特許第6689519号(P6689519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689519
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ヒンジセット、ドア構造および引戸構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/02 20060101AFI20200421BHJP
   E05D 7/081 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   E05D7/02 B
   E05D7/081
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-221028(P2015-221028)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-89256(P2017-89256A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】599026418
【氏名又は名称】千代川 健裕
(73)【特許権者】
【識別番号】506148730
【氏名又は名称】一建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133802
【弁理士】
【氏名又は名称】富樫 竜一
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】千代川 健裕
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭41−017684(JP,Y1)
【文献】 実公昭45−033183(JP,Y1)
【文献】 実開昭50−110938(JP,U)
【文献】 特開2015−101828(JP,A)
【文献】 実開平07−032160(JP,U)
【文献】 米国特許第04937916(US,A)
【文献】 独国特許発明第102008028756(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ受け側軸孔を有し、ドア用上部支持部およびドア用下部支持部に固定可能な1対のヒンジ受け部材と、
それぞれドア側軸孔を有し、前記ドア材の上端および下端に固定可能な1対のヒンジ部材と、
各ドア側軸孔および各受け側軸孔に挿入されて各ヒンジ部材を各ヒンジ受け部材に回転可能に取り付ける1対の軸体を有し、
前記各ヒンジ部材はヒンジ板と棒材とを有し、前記ヒンジ板は前記ドア側軸孔を有し、前記棒材は前記ヒンジ板に垂直に一体的に設けられ、前記ドア材は上端および下端にそれぞれ縦孔を有し、前記棒材は前記縦孔に挿入された状態で前記ドア材にビスで固定可能な取付孔を側部に有することを、特徴とするヒンジセット。
【請求項2】
各ヒンジ部材はさらにナットを有し、前記ヒンジ板は2以上の円弧溝孔を有し、前記棒材は前記円弧溝孔を貫通する端部を有し、前記端部の周囲に雄ネジが設けられ、前記ナットは前記円弧溝孔から突出した前記雄ネジと螺合して前記棒材は前記ヒンジ板に垂直に設けられていることを、特徴とする請求項記載のヒンジセット。
【請求項3】
前記ヒンジ板は、前記ドア材の上端および下端の幅内に収まる大きさから成ることを、特徴とする請求項または記載のヒンジセット。
【請求項4】
前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部にボールキャスターを有することを、特徴とする請求項または記載のヒンジセット。
【請求項5】
前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部は長さ方向に伸びる収納孔を有し、前記収納孔に進退可能に収納されたガイドピンを有し、前記ドア用上部支持部は引戸用レールを有し、前記ガイドピンは前記端部から突出した突出位置および前記収納孔に収納された収納位置でそれぞれ保持可能であって、前記棒材が前記ドア材の上端に取り付けられて前記ガイドピンが前記突出位置で保持されたとき、前記ガイドピンは前記引戸用レールと係合可能に構成されていることを、特徴とする請求項記載のヒンジセット。
【請求項6】
請求項記載のヒンジセットと、ドア用上部支持部と、ドア用下部支持部と、ドア材と、戸車とを有し、
前記ドア用上部支持部は引戸用レールを有し、
各ヒンジ受け部材は前記引戸用レールから外れた位置で前記ドア用上部支持部および前記ドア用下部支持部にそれぞれ固定され、
各ヒンジ部材は前記引戸の上端および下端に幅内に収まるようそれぞれ固定され、前記引戸の上端に固定された前記ヒンジ部材は前記ガイドピンを有し、前記ガイドピンは前記突出位置で保持されて前記引戸用レールと係合しており、前記引戸の下端に固定された前記ヒンジ部材の前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部にボールキャスターを有し、
前記戸車は前記引戸の下端に取り付けられていることを、
特徴とする引戸構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物のドアに適したヒンジセット、ドア構造および引戸構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、躯体側凹部に挿入固定される躯体側取付部材と、扉側凹部に挿入固定される扉側取付部材とを備え、扉側取付部材が躯体側取付部材に回動可能に連結されたドアヒンジが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−179254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドアヒンジは、ドアに左開き用または右開き用に取り付けた後に逆開きに変更することはできず、変更する場合にはドアごと交換する必要があり、変更に手数がかかるうえ、変更コストがかさむという課題があった。また、特許文献1に記載のドアヒンジは、スイングドアには対応していないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能なヒンジセットおよびそのヒンジセットを用いたドア構造ならびに引戸構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るヒンジセットは、それぞれ受け側軸孔を有し、ドア用上部支持部およびドア用下部支持部に固定可能な1対のヒンジ受け部材と、それぞれドア側軸孔を有し、前記ドア材の上端および下端に固定可能な1対のヒンジ部材と、各ドア側軸孔および各受け側軸孔に挿入されて各ヒンジ部材を各ヒンジ受け部材に回転可能に取り付ける1対の軸体とを、有することを特徴とする。ドア用上部支持部およびドア用下部支持部は、ドア枠の上部と下部であっても、天井と床であってもよい。
【0007】
本発明に係るヒンジセットは、ドア材に対する各ヒンジ部材の固定位置、固定角度によって、ドアを左開きまたは右開きに自由に設定することができる。ドア材に対する各ヒンジ部材の固定位置、固定角度を変えれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能である。
【0008】
本発明に係るヒンジセットにおいて、各ヒンジ部材はヒンジ板と棒材とを有し、前記ヒンジ板は前記ドア側軸孔を有し、前記棒材は前記ヒンジ板に垂直に一体的に設けられ、前記ドア材は上端および下端にそれぞれ縦孔を有し、前記棒材は前記縦孔に挿入された状態で前記ドア材にビスで固定可能な取付孔を側部に有することが好ましい。
【0009】
この場合、ドア材の縦孔に挿入された各ヒンジ部材の棒材の固定位置、固定角度によって、ドアを左開きまたは右開きに自由に設定することができる。ドア材に対する棒材の固定位置、固定角度を変えれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能である。
【0010】
本発明に係るヒンジセットにおいて、各ヒンジ部材はさらにナットを有し、前記ヒンジ板は2以上の円弧溝孔を有し、前記棒材は前記円弧溝孔を貫通する端部を有し、前記端部の周囲に雄ネジが設けられ、前記ナットは前記円弧溝孔から突出した前記雄ネジと螺合して前記棒材は前記ヒンジ板に垂直に設けられていてもよい。
【0011】
本発明に係るヒンジセットにおいて、前記ヒンジ板は、前記ドア材の上端および下端の幅内に収まる大きさから成ることが好ましい。
この場合、各軸体を各ヒンジ部材から取り外し、ヒンジ板をドア材の上端および下端の幅内に収めることにより、ドア材を引戸として利用することができる。
【0012】
本発明に係るヒンジセットにおいて、前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部にボールキャスターを有するものであってもよい。
この場合、ボールキャスターを設置面に載せてドア材の開閉を容易にすることができる。
【0013】
本発明に係るヒンジセットにおいて、前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部は長さ方向に伸びる収納孔を有し、前記収納孔に進退可能に収納されたガイドピンを有し、前記ドア用上部支持部は引戸用レールを有し、前記ガイドピンは前記端部から突出した突出位置および前記収納孔に収納された収納位置でそれぞれ保持可能であって、前記棒材が前記ドア材の上端に取り付けられて前記ガイドピンが前記突出位置で保持されたとき、前記ガイドピンは前記引戸用レールと係合可能に構成されているものであってもよい。
【0014】
この場合、ドア材を引戸として利用するとき、ドア材の上端に固定されたヒンジ部材のガイドピンを突出位置で保持して引戸用レールと係合させることにより、引戸用レールに沿ってドア材の開閉を容易にすることができる。
【0015】
本発明に係るヒンジセットにおいて、各ヒンジ部材は板材から成り、前記ドア材の上端または下端にビスで取り付けるための2個以上の貫通孔を有していてもよい。
この場合、製造容易であり、また、ドア材に縦孔を設ける必要がないため、ヒンジ部材のドア材への取付けを容易にすることができる。
【0016】
本発明に係るヒンジセットにおいて、各ヒンジ受け部材は基板と、前記基板から垂直に突出する筒体とを有し、前記受け側軸孔は前記筒体に長さ方向に沿って設けられ、前記基板は前記ドア用上部支持部または前記ドア用下部支持部に固定するための貫通する固定孔を有することが好ましい。
【0017】
本発明に係るドア構造は、前述のヒンジセットと、ドア用上部支持部と、ドア用下部支持部と、ドア材とを有し、各ヒンジ受け部材は前記ドア用上部支持部および前記ドア用下部支持部にそれぞれ固定され、各ヒンジ部材は前記ドア材の上端および下端にそれぞれ固定され、各軸体が各ドア側軸孔および各受け側軸孔に挿入されて、各ヒンジ部材が各ヒンジ受け部材に回転可能に取り付けられていることを、特徴とする。
【0018】
本発明に係るドア構造は、ドア材に対する各ヒンジ部材の固定位置、固定角度によって、ドアを左開きまたは右開きに自由に設定することができる。ドア材に対する各ヒンジ部材の固定位置、固定角度を変えれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能である。
【0019】
本発明に係る引戸構造は、ガイドピンを有する前述のヒンジセットと、ドア用上部支持部と、ドア用下部支持部と、ドア材と、戸車とを有し、前記ドア用上部支持部は引戸用レールを有し、各ヒンジ受け部材は前記引戸用レールから外れた位置で前記ドア用上部支持部および前記ドア用下部支持部にそれぞれ固定され、各ヒンジ部材は前記ドア材の上端および下端に幅内に収まるようそれぞれ固定され、前記ドア材の上端に固定された前記ヒンジ部材は前記ガイドピンを有し、前記ガイドピンは前記突出位置で保持されて前記引戸用レールと係合しており、前記ドア材の下端に固定された前記ヒンジ部材の前記棒材は前記ヒンジ板を貫通する端部を有し、前記端部にボールキャスターを有し、前記戸車は前記ドア材の下端に取り付けられていることを、特徴とする。
【0020】
本発明に係る引戸構造は、引戸として利用される。開き戸またはスイングドアに変更する場合には、ドア材の上端に固定されたヒンジ部材のガイドピンを収納位置で保持する。各ヒンジ受け部材をドア用上部支持部およびドア用下部支持部の所定の位置でそれぞれ固定する。各ヒンジ部材をドア材の上端および下端の所定の位置でそれぞれ固定する。各ヒンジ部材を各ヒンジ受け部材に各軸体で回転可能に取り付ける。これにより、ドア材を開き戸またはスイングドアに容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能なヒンジセットおよびそのヒンジセットを用いたドア構造ならびに引戸構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態のヒンジセットを示す(A)平面図、(B)側面図である。
図2図1のヒンジセットのヒンジ部材の(A)正面図、(B)棒材の平面図、(C)棒材の正面図、(D)棒材の底面図、(E)ヒンジ板の平面図、(F)ヒンジ板の正面図、(G)ナットの正面図、(H)ナットの平面図、(I)ボールキャスターの平面図、(J)ボールキャスターの正面図、(K)ボールキャスターの底面図である。
図3図1のヒンジセットのヒンジ受け部材を示す(A)平面図、(B)左側面図、(C)右側面図、(D)正面図、(E)底面図である。
図4図1のヒンジセットの軸体を示す(A)平面図、(B)正面図、(C)底面図である。
図5図1のヒンジセットを有する本発明の実施の形態のドア構造の(A)開閉状態を示す平面図、(B)ヒンジ部材の位置を示す平面図である。
図6図1のヒンジセットを有する本発明の実施の形態のドア構造のスイングドアに使用したときの(A)開閉状態を示す平面図、(B)ヒンジセットの左開き状態を示す平面図、(C)ヒンジセットの閉じた状態を示す平面図、(D)ヒンジセットの右開き状態を示す平面図である。
図7図1のヒンジセットを有する本発明の実施の形態の引戸構造の(A)要部平面図、(B)要部正面図である。
図8図7の引戸構造の(A)平面図、(B)正面図、(C)底面図である。
図9】本発明の他の実施の形態のヒンジセットのヒンジ部材の(A)棒材の平面図、(B)正面図、(C)底面図である。
図10】本発明の他の実施の形態のヒンジセットの使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1図8は、本発明の実施の形態のヒンジセット、ドア構造および引戸構造を示している。
【0024】
図1図4に示すように、ヒンジセットは、1対のヒンジ受け部材1と1対のヒンジ部材2と1対の軸体3とを有している。
【0025】
図3に示すように、各ヒンジ受け部材1は、基板11と筒体12とを有している。基板11は、長円形状の金属板から成り、ドア用上部支持部およびドア用下部支持部に固定するための貫通する2つの固定孔11a,11bを有している。一方の固定孔11aは、円形をなし、基板11の中央に設けられている。他方の固定孔11bは、基板11の長さ方向に伸びる長円形状をなし、一方の固定孔11aより基板11の一端側に寄って設けられている。他方の固定孔11bは、細長い形状のため、ドア用上部支持部およびドア用下部支持部への取付け位置を調整可能となっている。ドア用上部支持部およびドア用下部支持部は、ドア枠の上部と下部であっても、天井と床であってもよい。
【0026】
筒体12は、基板11と一体的に設けられ、基板11の他端から垂直に突出している。筒体12は、受け側軸孔12aを有している。受け側軸孔12aは筒体12に長さ方向に沿って設けられている。受け側軸孔12aは、横断面が基板11の幅方向に細長い形状を有している。筒体12は、側部に受け側軸孔12aに貫通するプラグネジ孔12bを有している。プラグネジ孔12bには、プラグネジ3a(図1参照)が螺合可能となっている。各ヒンジ受け部材1は、ドア用上部支持部およびドア用下部支持部に2つの固定孔11a,11bで固定可能となっている。
【0027】
図2に示すように、各ヒンジ部材2は、ヒンジ板21と棒材22とナット23とボールキャスター24とを有している。ヒンジ板21は大円の円弧と小円の円弧とその2本の共通外接線とで形成される形状を有し、小円の円弧側端部にドア側軸孔21aを有している。ヒンジ板21は、大円の円弧側端部に2つの円弧溝孔21bを有している。ヒンジ板21は、ドア材4の上端4aおよび下端4bの幅内に収まる大きさから成っている。
【0028】
棒材22は、筒状であって両端まで長さ方向に伸びる収納孔22aを有し、内周に雌ネジが形成されている。棒材22は、円弧溝孔21bを貫通する端部22bを有し、端部22bの周囲に雄ネジが設けられている。ナット23は、円弧溝孔21bから突出した端部22bの周囲の雄ネジと螺合している。これにより、棒材22は、ヒンジ板21に垂直に一体的に設けられている。図1に示すように、各ヒンジ部材2が固定されるドア材4は、上端4aおよび下端4bにそれぞれ縦孔4cを有している。棒材22は、縦孔4cに挿入された状態でドア材4にビス25で固定可能な取付孔22cを側部に複数有している。取付孔22cは、例えば、棒材22の周囲に60度間隔で6個、長さ方向に一定間隔をおいて数個ずつ設けられている。これにより、各ヒンジ部材2は、ドア材4の上端4aおよび下端4bに固定可能となっている。
【0029】
ドア材4に対する各ヒンジ部材2の固定位置、固定角度によって、ドアを左開きまたは右開きに自由に設定することができる。ドア材4に対する各ヒンジ部材2の固定位置、固定角度を変えれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能である。
【0030】
図1に示すように、ドア材4の下端4bに固定される棒材22は、端部22bにボールキャスター24を有している。ボールキャスター24は、基部24aとボール体24bとを有している。基部24aは、プラグネジ状であって外周に雄ネジが形成され、上部にドライバーで回転させるための十字溝を有している。ボール体24bは、基部24aの下端に回転可能に取り付けられている。基部24aは、棒材22の下端22bの内周に螺合して取り付けられている。
【0031】
図1に示すように、ドア材4の上端4aに固定される棒材22は、収納孔22aに進退可能に収納されたガイドピン26を有する。ガイドピン26は、端部22bから突出した突出位置および収納孔22aに収納された収納位置でそれぞれ保持可能である。図7に示すように、ドア用上部支持部が引戸用レール5を有する場合、棒材22がドア材4の上端4aに取り付けられてガイドピン26が突出位置で保持されたとき、ガイドピン26は引戸用レール5と係合可能に構成されている。
【0032】
図4に示す各軸体3は、各ドア側軸孔21aおよび各受け側軸孔12aに挿入されて各ヒンジ部材2を各ヒンジ受け部材1に回転可能に取り付けるようになっている。1対の軸体3は、同一軸線上に配置される。各軸体3は、プラグネジ孔12bと螺合するプラグネジ3aの先端と係合する係合孔3bを側部に有している。
【0033】
ドア構造は、ヒンジセットと、ドア用上部支持部と、ドア用下部支持部と、ドア材4とを有している。各ヒンジ受け部材1は、2つの固定孔11a,11bでビス25によりドア用上部支持部およびドア用下部支持部にそれぞれ固定されている。各ヒンジ部材2は、ドア材4の上端4aおよび下端4bの縦孔4cに棒材22を挿入させ、ビス25により取付孔22cでドア材4の上端4aおよび下端4bにそれぞれ固定されている。各ヒンジ部材2は、各ヒンジ受け部材1に各軸体3で回転可能に取り付けられている。1対の軸体3は、同一軸線上に配置される。各軸体3は、筒体12に挿入されたプラグネジ3aにより各ヒンジ受け部材1に固定されている。
【0034】
図5(A),(B)に示すように、ドア材4の縦孔4cに挿入されて固定された各ヒンジ部材2の棒材22のドア材4に対する固定位置、固定角度によって、ドアを左開きまたは右開きに自由に設定することができる。ドアは、左片開き、右片開き、中片開きのいずれでも可能である。図6(A),(B),(C)に示すように、ドア材4に対する各ヒンジ部材2の棒材22の固定位置、固定角度を変えれば、左右開きの変更が容易であり、スイングドアにも対応可能である。
【0035】
スイングドアに用いる場合、スイング用バネ6が設けられていることが好ましい。スイング用バネ6は、板バネから成り、ヒンジ受け部材1とヒンジ部材2とに取り付けられ、ヒンジ受け部材1とヒンジ部材2とが開いた状態(図6(B),(C)参照)から重なった状態(図6(A)参照)にヒンジ部材2を付勢するようになっている。
【0036】
図7に示すように、引戸構造は、ヒンジセットと、ドア用上部支持部と、ドア用下部支持部と、ドア材4と、戸車7とを有している。ドア用上部支持部は、引戸用レール5を有する。各ヒンジ受け部材1は、引戸用レール5から外れた位置でドア用上部支持部およびドア用下部支持部にそれぞれ固定されている。各ヒンジ受け部材1の筒体12は、ドア材4をスライドさせる際のガイドとなる位置に配置される。各ヒンジ部材2は、ドア材4の上端4aおよび下端4bに幅内に収まるようそれぞれ固定されている。各軸体3を各ヒンジ部材2から取り外し、ヒンジ板21をドア材4の上端4aおよび下端4bの幅内に収めることにより、ドア材4を引戸として利用することができる。引戸は、左片引き、右片引き、引き違いのいずれでも可能である。
【0037】
ドア材4の上端4aに固定されたヒンジ部材2は、ガイドピン26を有している。ガイドピン26は、突出位置で保持されて引戸用レール5と係合している。これにより、引戸用レール5に沿ってドア材4の開閉を容易にすることができる。また、図7に示すように、ドア材4の上端4aには、上下式引戸用ガイドピン27を別個に取り付けることができる。さらに、ドア材4の下端4bに長さ方向に沿ってスライド溝を設けておき、スライド溝と係合する上下式引戸用ガイドピンを床に取り付けておいてもよい。
【0038】
ドア材4の下端4bに固定されたヒンジ部材2の棒材22は、端部22bにボールキャスター24を有している。これにより、ボールキャスター24を設置面に載せてドア材4の開閉を容易にすることができる。図8に示すように、戸車7はドア材4の下端4bに2個取り付けられている。
【0039】
引戸構造は、引戸として利用される。開き戸またはスイングドアに変更する場合には、ドア材4の上端4aに固定されたヒンジ部材2のガイドピン26を収納位置で保持する。各ヒンジ受け部材1をドア用上部支持部およびドア用下部支持部の所定の位置でそれぞれ固定する。各ヒンジ部材2をドア材4の上端4aおよび下端4bの所定の位置でそれぞれ固定する。各ヒンジ部材2を各ヒンジ受け部材1に各軸体3で回転可能に取り付ける。これにより、ドア材4を開き戸またはスイングドアに容易に変更することができる。
【0040】
なお、ヒンジ部材は、図9に示す他の実施の形態から成っていてもよい。図9に示すように、ヒンジ部材30は、ヒンジ板31と棒材32とを有している。ヒンジ板31は、ドア側軸孔31aを有している。棒材32は、筒状でなく、ヒンジ板31に棒材32が垂直に固定されている。棒材32は、貫通する複数の取付孔32aを有している。ヒンジ部材30は、ヒンジ部材2の代わりに用いることができる。
【0041】
また、ヒンジ部材は、図10に示す他の実施の形態から成っていてもよい。図10に示すように、各ヒンジ部材33は板材から成り、L字状に直角に折れ曲がった平面形状を有している。各ヒンジ部材33は、それぞれドア側軸孔33aと、2個以上(例えば、3個)の貫通孔33bを有している。貫通孔33bは、ドア材4の上端4aまたは下端4bにビスで取り付けるための孔である。各ヒンジ部材33は、各貫通孔33bにビスを挿入してドア材4の上端4aおよび下端4bにそれぞれ固定可能となっている。この構成の場合、ヒンジ部材が製造容易であり、また、ドア材4に縦孔4cを設ける必要がないため、ヒンジ部材のドア材4への取付けを容易にすることができる。
【0042】
従来のドアでは以下の問題点があった。
1.開き勝手が左右で異なるため、その違いによって、金具取付け位置、建具本体の加工が別々になる。また、開き戸およびスイングドアと引戸では、取付ける金物も加工も別々になる。このため、取付け後に変更したい場合でも、建具そのものを交換する必要があり、実質的に変更が困難であった。その結果、住宅取得者と建設業者および建具メーカーとの打合せ等が、非効率で時間を浪費し、コストが割高になっていた。
2.従来のドアに用いられるヒンジ金具では、金具構造が複雑で製造および加工コストが高くなっていた。また、ドアの取付けには、ドアを取付ける枠が必須の材料となり、枠の分のコストが嵩んでいた。
3.従来のドアでは、建具枠材と建具に対しビスを直接打込み固定するので、枠材および建具材の強度によって取付けビスが緩むなどの弊害があった。
4.一般的な建具は、左右開き・スイング・引戸のいずれにするか決定後に注文し、生産者側は受注生産をするので、管理製造コストが嵩んでいた。
【0043】
これら従来の問題点に対し、本発明の実施の形態のヒンジセットは、以下の特徴を有する。
1.ヒンジセットは、左右兼用の1種類であり、建具の加工取付けを従来品より容易にする。
2.ヒンジセットでは、開き戸とスイングドアと引戸で、加工も部品も同じ仕様で実現することができる。
3.ヒンジセットでは、建具を変更せずに、取付位置を変えるだけで、左右の開きを変更でき、軸体3を外すことで引戸に変更することができる。このため、取付け後でも、ドアの開き勝手の変更および引戸への変更が容易である。
4.打合せ及び生産コストを削減でき、工場では同じ加工商品を生産在庫にしても無駄にならず、コスト削減を実現することができる。
5.ヒンジセットは、構造が単純で製造が容易にできる。
6.ヒンジセットを使用することで、一般的に使用する枠材に限らず、床および天井などの建物構造体に直接固定することができ、長期間の使用による建具のガタツキ等を少なくすることができる。
7.ヒンジセットは、建具内部に主要な部分を収納してあるので、長期間使用によるガタツキを防ぐことができる。
8.建具本体の受注生産をせずに、予め生産しておくことで管理製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ヒンジ受け部材
2 ヒンジ部材
3 軸体
3a プラグネジ
3b 係合孔
4 ドア材
4a ドア材の上端
4b ドア材の下端
4c 縦孔
5 引戸用レール
6 スイング用バネ
7 戸車
11 基板
12 筒体
11a,11b 固定孔
12a 受け側軸孔
12b プラグネジ孔
21 ヒンジ板
21a ドア側軸孔
21b 円弧溝孔
22 棒材
22a 収納孔
22b 端部
22c 取付孔
23 ナット
24 ボールキャスター
24a 基部
24b ボール体
25 ビス
26 ガイドピン
27 上下式引戸用ガイドピン
30 ヒンジ部材
31 ヒンジ板
31a ドア側軸孔
32 棒材
32a 取付孔
33 ヒンジ部材
33a ドア側軸孔
33b 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10