【実施例1】
【0049】
図1には、本発明の一実施例のボイラ設備の系統図を示し、
図2には、
図1のボイラの灰回収装置(固体粒子回収装置)の一部詳細図を示し、節炭器下方とA/H下方のホッパ部分の内部側面図(一部断面図)を示している。また、
図3には、
図2のA−A線矢視図(平面図)を示し、
図4(A)には、
図2のB−B線矢視図(一部省略)を示し、
図4(B)には、
図2のC−C線矢視図(一部省略)を示す。更に、
図5には、
図2のバッフル板の別の例を示す。
【0050】
流動層ボイラ1の起動時は、バーナ5等に供給される灯油などの液体燃料により炉内及び流動層61を所定温度以上にすると共に、流動層61を流動化状態とし、その後、フィーダ3から木質バイオマス燃料が投入され、火炉7内で燃焼させ、所定負荷到達後はバーナ5等を消火し、木質バイオマス専焼状態で燃焼させる。燃焼によって発生する排ガスは、出口部9から過熱器11、蒸発水管部13、節炭器15を通り排ガスと水との間で熱交換が行われる。水と排ガスを熱交換することで蒸気を発生させ、この高圧蒸気により図示しないタービンを回転させて、タービンと連結した発電機により発電する。
【0051】
更にA/H17で燃焼用空気と排ガスとの熱交換が行われることで、燃焼用空気が昇温されて、一次空気配管65から火炉7下部より一次空気が、二次空気配管67から火炉7の缶前のアフターエアポート69より二次空気が、それぞれ火炉7内に供給される。一次空気及び二次空気は、各配管65,67に設けたダンパ63により流量が調整される。A/H17でガス温度が一定温度まで低下した排ガスは、バグフィルター19により煤塵が除去された後、煙突21から排出される。
【0052】
火炉7の下部では砂などの流動媒体により流動層61が形成されており、流動層61内の異物(灰が付着して大きくなった砂及びクリンカ)を除去する目的で、ボイラ炉底より砂を抜き出し、排出機23において冷却し、分離機25により篩い分けした後、ブロア27により砂供給用サイロ29に空気搬送されて火炉7に再投入される。また、砂サイロ31からも砂が補充される。
【0053】
次に、灰回収装置100について説明する。
図2に示すように、節炭器15の下方とA/H17の下方には、それぞれ節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37を備えており、更に、A/Hホッパ37の入り口(上流側)に、バッフル板41を、その上端がホッパ縁37aよりも上方にあり、且つその下端がホッパ縁37aよりも下方にあるように、起立姿勢で配置している。
【0054】
排ガスは、出口部9から矢印D方向(下方)に流れて、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37間の水平部40aを通り、矢印E方向(上方)に流れる。
排ガスと共に排ガスダクト40を流れる灰及び砂等の固体粒子は、バッフル板41の上端がホッパ縁よりも上方にあることで、バッフル板41に当たって、A/Hホッパ37に案内されると共に、その反動で上流側の節炭器ホッパ35にも落下する。また、バッフル板41の下端がホッパ縁37aよりも下方にあることで、粗粒の燃焼灰のバッフル板41の下方のすり抜けを防止できる。
【0055】
従って、排ガスダクト40を流れてくる粗粒の燃焼灰や砂が下流側のバグフィルター19に飛散することを防止でき、損傷のリスクも解消するので、バグフィルター19のろ布が布製のままでも問題ない。フライアッシュサイロ用バグフィルター49についても同様のことが言える。
【0056】
当業者の常識的な考え方であれば、上記バッフル板41は、よりガス流れ方向上流側(図示例では右側)のホッパに設けるのが普通である。しかしながら、本発明者らは、その発想では問題を解決できないことを見出し、敢えて下流(図示例では左側)のホッパに設けることとした。この点が本発明の特徴に繋がっている。
【0057】
尚、木質バイオマス由来の灰は比重が軽いため、一度回収されても、舞い上がって排ガスダクト40に飛散してしまう場合もある。そこでA/Hホッパ37内に、再飛散防止板43を、その上端がホッパ縁37aよりも下方にあるように配置することで、ホッパ37内の灰が排ガスダクト40を流れる排ガスに運ばれてしまうことを防止しながら、ホッパ37外部への飛散を抑制できる。即ち、A/Hホッパ37内の灰は舞い上がっても、再飛散防止板43に当たってUターンすることで捕集される。
図2では、再飛散防止板43が、その端部がホッパ内壁に接して水平方向に沿って設置されているが、端部がホッパ内壁に接していなくても、また斜め方向に設置されていても良く、灰の衝突面がホッパ底側を向いているような配置であれば良い。
【0058】
煤塵中には、主に木質バイオマス燃料由来の灰と砂が含まれており、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37では、特に粒径の比較的大きい粗粒灰と砂が回収される。回収された灰と砂はロータリーバルブ45によって連続的に定量排出され、ブロア27からの空気搬送によって砂用バグフィルター39に運ばれる。この時、配管の湾曲部をセラミックライニング管としたり、配管の流速調整用の弁53を開閉することで流速を15〜20m/sとすれば、配管の摩耗を抑制できる。ロータリーバルブ45や弁53の調整は、図示しない制御装置によって行うことで、連続運転も可能となる。
【0059】
更に、砂用バグフィルター39からはロータリーバルブ45によって一定量ずつ繰り出され、循環配管56を経て砂供給用サイロ29に送られる。尚、この時、均圧配管55により一部をバイパスすることで、粗粒灰の流れがスムーズになる。本実施例によれば、灰と共に飛散する流動砂もA/Hホッパ37及び節炭器ホッパ35に回収できることで流動砂の回収量が向上し、また回収した流動砂を火炉7に循環させることで火炉7に供給する流動砂の補充量も軽減される。
【0060】
一方、粒径の比較的小さい微粒の燃焼灰は、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37をすり抜けて、A/H17の下流側のバグフィルター19で回収される。バグフィルター19からはロータリーバルブ45によって一定量ずつ繰り出され、真空ポンプ47によってフライアッシュサイロ用バグフィルター49に送られる。更に、フライアッシュサイロ用バグフィルター49からはロータリーバルブ45によって一定量ずつ繰り出され、フライアッシュサイロ51に送られる。バグフィルター19では微粒の燃焼灰が回収され、流動砂は殆ど含まれないので、フライアッシュサイロ51に貯留される灰は、湿式処理又は乾式処理後、有効利用される。
【0061】
以上のように、灰回収装置100は、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37とバグフィルター19の他に、砂用バグフィルター39、砂供給用サイロ29、フライアッシュサイ
ロ用バグフィルター49、フライアッシュサイロ51等から構成される。
【0062】
また、
図2及び3に示すように、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37を隣接配置にすることで、バッフル板41と節炭器ホッパ35との間隔も近くなるため、バッフル板41に当たった粗粒の燃焼灰が節炭器ホッパ35に案内され易くなり、節炭器ホッパ35での粗粒の燃焼灰の回収率が向上する。尚、本明細書中、隣接配置とは節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37のそれぞれのホッパ縁が接する場合、及び節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37との間に各構造体の接続に必要な程度のダクトが存在する場合を意味している。
【0063】
バッフル板41は、その上端が排ガスダクト40の上部、例えば水平部40aの天井付近まであれば、排ガスダクト40を流れる粗粒の燃焼灰の大部分がバッフル板41に当たることになるため、排ガスダクト40の上部を流れる粗粒の燃焼灰も高い確率で捕集できる。
【0064】
一方で、バッフル板41の長さ(高さ)が短い方が、排ガスの圧力損失は軽減されるため、例えば
図5に示すように、バッフル板41の長さをダクト40の内径(高さ)の半分程度にすることも考えられる。排ガスの流速は、ケーシングの構造・サイズ、バイオマス燃料の性状及び排ガス量等の関係で決まってくる。流速が大きいと比重の大きい粒子でも飛散するが、流速が小さいと比重の大きい粒子のみならず比重が小さくても形状の大きい粒子は落下して捕集されやすくなる。
【0065】
バッフル板41の上端が流路の半分の高さ位置にある場合、バッフル板41の上の部分(流路の上半分)は比較的灰が少なく、障害物がないことで流速が高速に保たれる。そして、バッフル板41の設置部分(流路の下半分)は比較的灰が多く、バッフル板41に当たって流速が落ちて捕集される。従って、流速が速く、且つバッフル板41を設置することによる圧力損失の増加を極力抑える必要がある場合は、
図5に示すようにバッフル板41の上端を流路の半分の高さ位置にすることにより、圧力損失を低く抑えることが可能となる。この場合は、バッフル板41より上側の排ガス流速は速くなるが、比重が小さく且つ微粒の灰が選択的に同伴される。一方、バッフル板41の設置している下側の排ガス流速は上側に比較して相対的に遅くなる。流動砂のように比重の大きい粒子及び粗粒の燃焼灰のように比重が小さくても形状の大きい粒子は、排ガスに同伴されて下側を流れる確率が高いが、バッフル板41に衝突することで流速が落ちて捕集されるので、所定の捕集率は確保可能となる。
【0066】
また、バッフル板41は、
図4に示すように、複数の細長い板41a、41bを千鳥配置とした構成にすると良い。
図4(A)には上流側板41aの配置を示し、
図4(B)には下流側板41bの配置を示している。図示例では、排ガス流れ方向に沿って上流側板41aと下流側板41bを設置し、排ガス流れ方向から見て重複しないように千鳥配置としている。この配置によって、排ガス流に同伴する固体粒子が確実にバッフル板41の各板41a、41bに当たると共に、排ガスが上流側板41a間、下流側板41b間、上流側板41aと下流側板41b間などの隙間を流れることで、排ガスの圧力損失の増大を防止できる。
【0067】
本実施例の効果を確認するため、実施例としてバッフル板41のみ設置した場合(ケース1)及びバッフル板41と再飛散防止板43の両方を設置した場合(ケース2)、また較例として、バッフル板41を節炭器ホッパ35出口側(下流側)に設置した場合(ケース3)、バッフル板41をA/Hホッパ37よりも下流側のダクト40に設置した場合(ケース4)について流動解析を行い、固体粒子の捕集率、排ガスの最大流速及び排ガスの圧力損失を計算した。
【0068】
尚、捕集率については、本流動解析において、排ガスに同伴される全粒子数が各ホッパに何個補修されたかの数を数えて各々の捕集率の計算を実施した。また、ダクト内に残留した粒子数及び排ガスに同伴されて系外に出た粒子数も数えて全体の収支を確認した。
【0069】
また、圧力損失は以下のように求めた。圧力値として各断面での静圧の平均値及び動圧の平均値の和を全圧の平均値として求め、圧力損失は流入面(ダクト入口の平行断面、即ち鉛直部と水平部の境界面)の全圧平均値と所定断面での全圧平均値との差として算出した。下記表1記載の圧力損失(ドラフトロス)は各ケースでの流入面の全圧平均値と流出面(ダクト出口の平行断面)の全圧平均値との差として算出している。
【0070】
図6(A)及び(B)には、実施例としてケース1及びケース2の設置例の斜視図を示し、
図7(A)及び(B)には、比較例としてケース3及びケース4の設置例の斜視図を示す。これらの図では、バッフル板41の形状及び位置が分かりやすいように、バッフル板41を実線で示し、節炭器ホッパ35、A/Hホッパ37及び排ガスダクト40の一部は破線で示している。流動解析条件は以下の通りとした。
【0071】
排ガス量:41,000m3N/h、節炭器ホッパ入り口ガス温度:228℃、ダスト濃度:0.6g/m3N、ダスト粒径:0.6mm、ダスト密度:0.1t/m3
図8には、バッフル板41の断面の例を示す。
図8(A)には
図2及び
図5に示すバッフル板41の断面であって断面コの字型、
図8(B)には断面L字型の例を示している。
【0072】
バッフル板41として、
図8(A)に示す断面コの字型の板(200mm×1500mm)を排ガス流れ方向に5本ずつ、計10本用いて千鳥配置に設置した。バッフル板41は、その平面部(コの字の開口側)が排ガス流れ方向に対向するように、ケース1〜3では鉛直方向に設置し、ケース4では水平方向に設置した。
【0073】
各ホッパ35,37の形状は四角錐であり、節炭器ホッパ35は底辺(2000mm×1680mm)、高さ1200mm、A/Hホッパ37は底辺(2000mm×2010mm)、高さ1200mmとし、排ガスダクト40の幅2000mm、高さ1500mm、各ホッパ35,37間の距離(縁間の距離)を590mmとした。
【0074】
図9には、ケース1の流動解析結果を示し、
図10には、ケース2の流動解析結果を示し、
図11には、ケース3の流動解析結果を示し、
図12には、ケース4の流動解析結果を示す(斜視図)。各図の(B)は各図の(A)のX部(X1〜X4)の拡大図を示し、各図の(D)は各図の(C)のY部(Y1〜Y4)の拡大図を示している。この解析は汎用流体解析ソフト(Ansys Fluent(アンシス・ジャパン株式会社製))によりモデル化し、有限体積法による定常解析により実施した。表1には、各ケースの固体粒子の捕集率、排ガスの最大流速及び排ガスの圧力損失を示す。尚、表中のEcoとは節炭器のことである。
【0075】
【表1】
【0076】
ケース4(
図12)では、合計捕集率が低く、最大流速と圧力損失が高くなる結果となり、どの数値もこれらの中で一番良くなかった。
図12(B)及び(D)に示すように、特にバッフル板41を通過後の排ガス流速が23.8m/s以上に上昇した。ケース3(
図11)では、ケース1に比べて合計の捕集率は高いものの、R部に示すように排ガスがバッフル板41の下側とホッパ35上部間の隙間をすり抜けて最大流速が23m/sまで上昇した。局部的にでも流速が大きい箇所があると、バッフル板やホッパなどの摩耗の要因となってしまい、これらの部材の寿命が短命化するため好ましくない。また、圧力損失もケース1及び2に比べて非常に高かった。流速は速い方が圧力損失は大きくなる。
【0077】
ケース1(
図9)では、合計の捕集率がケース3に比べて若干低かったが、最大流速が21.5m/sに抑えられ、圧力損失も低かった。更に、ケース2(
図10)では、再飛散防止板43の効果によってA/Hホッパ37における捕集率が向上した。また、圧力損失も一番低く、最も良好な結果となった。総合的に見て、ケース1とケース2が適用可能と判断される。
【0078】
また、断面コの字型(又は
図8(B)に示すような断面L字型でも良い)の板によりバッフル板41を構成すると、
図9(B)に示すように排ガスが板に当たった際にコの字の空間部に案内されることで下方に流れやすくなる。また、バッフル板41の各板の下部が貫通する支持板57(ダクト内壁に固定)によりバッフル板41を支持したり、バッフル板41の各板の上部を支持部材59(ダクト内壁に固定)により支持したりすることで、支持構造が強固となり、排ガス流によるバッフル板41の揺動を抑制できる。
【0079】
尚、図示しないが、バグフィルター19下部のホッパ19aに窒素や二酸化炭素などの不燃性ガスのエアーブラスターを設置したり、ロータリーバルブ45が設置されている配管の径を大きくしたりすることで(例えば、50mmから65mmに)、より一層、灰の流れがスムーズになる。
【実施例2】
【0080】
本実施例では、一番良好な結果が得られたケース2について、飛散灰として実際に採取した黒色灰のダスト分布とダスト密度を用いて、実施例1と同一の解析モデルで流動解析を実施した。燃料となる木質バイオマスは、表2に元素分析結果を示すが、杉の間伐材を乾燥等の処理をすることなく破砕したものである。尚、表中、ウッドとは木材を薄い方形状に粉砕したものを言い、チッパーとは細長い繊維状に粉砕したものを言う。
【0081】
【表2】
【0082】
表2に示すように、杉の間伐材には石炭と違って硫黄分が殆ど含まれていないため、火炉7に石灰石を投入する必要はない。そして、
図15に示すボイラ設備を使用して、以下の運転条件により、木質バイオマスの燃焼を行った。尚、
図15に示すボイラ設備は
図1の設備に改善する前の設備(比較例)であり、バッフル板41や再飛散防止板43は設置されておらず、節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37とバグフィルター19で回収された全ての灰及び砂がフライアッシュサイロ用バグフィルター49からフライアッシュサイロ51に送られる。その他の部分は
図1のボイラ設備と共通している。
【0083】
改善前の設備では、全ての灰及び砂をフライアッシュサイロ51に貯めていたが、設備系内の閉塞、損傷、輸送配管の摩耗等の問題があり、安定運用に問題があった。しかし、
図1の設備に改善することで、設備系内の閉塞、損傷、輸送配管の摩耗等の問題は全て解消される。また、上流側の節炭器ホッパ35とA/Hホッパ37では、未燃分の多い粗粒の燃焼灰と流動砂が火炉7に回収される。更に、下流側のバグフィルター19では粒径が小さく未燃分の少ない燃焼灰が回収される。従って、未燃分の低減による燃焼効率の向上及び流動砂の補充量の軽減が図れる。
【0084】
流動層ボイラは空気ノズル方式(炉底より空気を供給するもの)の単胴自立型の自然循環・強制循環併用式のボイラであり、火炉形状が炉幅5.6m×炉奥行3.6m×炉高16.6m、送電端出力5000kW規模のボイラである。また、起動時用として灯油バーナを用いた。そして、木質チップをフィーダ3から供給し、火炉7内に投入後、流動層61内及び層上で燃焼した。流動層ボイラ1で発生した蒸気をタービンに送気することで、タービンを高速で回転させ、タービンに接続している発電機を回転させることで、回転エネルギーを電気に変換するシステムである。基本的に定格負荷で1年間連続運転としている。
表3には、燃焼灰の内、未燃分の多い粗粒灰として採取した黒色灰の組成分析結果を示す。木質系バイオマスとして適用した燃料は、杉の間伐材をチップ状にしたものであるが、一般的な木質バイオマスと比較すると、杉特有の灰性状として、Ca分及びK分が多いという特徴がある。これらの成分は灰融点を低くする性質があるため、灰の炉内及び伝熱管への灰付着には注意を要する。
【0085】
【表3】
【0086】
また、
図13には、レーザー法で分析した黒色灰の粒度分布の測定結果を示す。測定装置として、株式会社堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置(型式LA920)を使用した。黒色灰のダストの平均粒径:290μm、ダスト密度:0.2t/m3であった。尚、排ガス量や節炭器ホッパ35入り口ガス温度等の条件は実施例1と同じである。
【0087】
図14には、実施例1と同一の解析モデルで流動解析した結果を示す。解析条件は、ダストの平均粒径とダスト密度以外は実施例1と同じである。尚、実線は上流側の節炭器ホッパ35の捕集率を示し、破線は下流側のA/Hホッパ37の捕集率を示し、一点鎖線は黒色灰の通過率(両ホッパの通過率)を示す。例えば、1000μm粒子径の灰は、上流側ホッパで76%捕集、下流側ホッパで19%捕集、残りの5%が流出面を通過する結果を記載している(全100%)。
【0088】
灰の中でも、特に粒径の比較的大きい粗粒灰が、燃え切らずにバグフィルター19に飛散することで、損傷や摩耗などを引き起こす。
図14によれば、上流側の節炭器ホッパ35と下流側のA/Hホッパ37の捕集率を合計すると、特に粒径1.5mm(1500μm)以上の粗粒灰は通過率がほぼゼロとなり、殆ど捕集可能であるとの結果であった。また、粒径1000μm程度の灰でも、95%もの捕集率であった。粒径の大きい灰は落下しやすいため、上流側の節炭器ホッパ35で主に回収され、500μm前後の粒径の小さい灰は、バッフル板41や再飛散防止板43の効果によって下流側のA/Hホッパ37で主に回収されると言える。
【0089】
表2の間伐材では、全水分が55%程度で計画値(性能計算等のベース条件)を44%としているが、実際の間伐材の水分は20%〜60%とばらつきがある。ペレット状のバイオマス燃料は加工されているため水分量が一定に調整されているが、原林から採取した間伐材は何ら処理されていないため、水分量のばらつきが生じてしまう。
【0090】
水分量の高い燃料のみが計画条件の場合は、火炉内壁に耐火材を張って炉内の温度を上げることで燃焼性は解消されるが、実際の運用条件として水分量の低い燃料もある場合は、耐火材の高温部に灰が付着してクリンカの発生を引き起こしてしまうことも考慮する必要がある。従って、水分量に広いばらつきのある未加工の木質バイオマス燃料を使用する場合は、単純に炉内の温度を上げることはできない。水分量が多い燃料を適用した場合、燃焼性が悪くなって未燃分が増加して、バグフィルター19に飛散したり、バグフィルター19下部のホッパ19a内で排出障害を引き起こしてしまう。しかし、灰回収装置100によって、このような燃料を使用した場合でも、バグフィルター19の上流側で未燃分を多く含む粗粒灰や流動砂を効果的に捕集できる。