(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射体の画像を生成するステップは、前記少なくとも1つの合成データ及び前記受信データを用いて前記反射体の画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の超音波測定方法。
前記合成フォーカシング地点それぞれに対する合成データをチャネルごとに合算して単一の受信データを生成し、前記単一の受信データに対して収差補正するデータ合算及び収差補正部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の超音波測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る超音波測定装置及び超音波測定方法を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1A及び1Bは、本発明の実施形態に係る超音波測定装置の概略を示すブロック図である。
図1Aに示すように、超音波測定装置18は、プロセッサ30、表示部20、媒質コンテナ40、送受信部50、増幅器及びフィルタ70、及びアナログ−デジタル変換部80を備える。
送受信部50は、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)を含む。
【0022】
プロセッサ30は、超音波測定装置全般の動作を制御する。
プロセッサ30は、格納部(図示せず)に格納されたプログラム又はアルゴリズムに基づいて超音波測定装置全般の動作を制御する。
プロセッサ30は、送受信部50の超音波信号の送信時期及び送信地点を決定する。
詳細には、プロセッサ30は、超音波信号のビームフォーカシング地点を決定する。
【0023】
プロセッサ30は、決定されたビームフォーカシング地点に対応して少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)の各駆動時期を決定する。
プロセッサ30は、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)の駆動時期に対する電気的な信号を生成し、生成された駆動時期に対する電気的な信号を少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のそれぞれに出力する。
例えば、プロセッサ30は、超音波信号がサンプル60上の少なくとも1つの地点にビームフォーカスされるよう、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のそれぞれの送信時期を決定する。
【0024】
少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のそれぞれは、電気的な信号を超音波信号に変換する。又は、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)それぞれは、受信されたアコースティックフィールドを電気的な信号に逆変換し得る。
少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のそれぞれは、プロセッサ30から受信された電気的な信号に基づいて各駆動時期に超音波信号を送信する。少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)からの超音波信号は互いに干渉してもよく、特定の地点にビームフォーカスされてもよい。
【0025】
少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)は、受信されたアコースティックフィールドを電気的な信号に変換する。一方、ここで、アコースティックフィールドは、サンプル60内の反射体によって反射又は散乱された媒質上のフィールドである。
変換された電気的な信号は、増幅器及びフィルタ70によって予め設定された利得に増幅されてフィルタリングされる。
さらに、フィルタリングされた電気的な信号は、アナログ−デジタル変換器80によってデジタル信号に変換される。本実施形態では、受信されたアコースティックフィールドが変換された電気的な信号は受信データと命名するか、又は、変換されたデジタル信号を受信データとして命名してもよい。
受信データは、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のチャネルごとのデータを含み、これに関連しては後で、表1を参照して詳細に説明する。
【0026】
少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)は、一定期間の間にアコースティックフィールドを受信する。
時間の流れに伴って、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のそれぞれに受信されるアコースティックフィールドも変更される。
受信データも一定期間の間の時間によるデータであってもよい。例えば、受信データは、アナログ−デジタル変換器80のサンプリング期間による時系列的なデータであってもよく、これに関連しては後で、表1を参照して詳細に説明する。
【0027】
プロセッサ30は、受信データが入力され、入力された受信データに基づいてサンプル60に対する画像を生成する。
プロセッサ30は、生成された画像を表示部20が表示するように制御してもよい。
一方、プロセッサ30は、サンプル60の少なくとも1つの実際フォーカシング地点に超音波信号をビームフォーカシングするように少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)の送信時期を決定する。
さらに、プロセッサ30は、少なくとも1つのトランスデューサー素子(51〜54)のチャネルごとに受信データを取得する。
【0028】
プロセッサ30は、合成フォーカシング方法に基づいて、サンプル60内の反射体周辺領域の複数の合成フォーカシング地点それぞれに対する合成データを取得する。
ここで、複数の合成データを合成データセットと命名する。
プロセッサ30は、合成データに基づいて反射体の画像を取得する。上述した工程については詳細に後述する。
媒質コンテナ40は、超音波信号が移動するための媒質を入れるコンテナであってもよい。
一方、媒質が準備された測定環境として、媒質コンテナ40は超音波測定装置に含まれないこともある。
【0029】
図1Bは、本発明の他の実施形態に係る超音波測定装置の概略を示すブロック図である。
図1Bの実施形態に係る超音波測定装置は、
図1Aの実施形態に係る超音波測定装置とは対照的に受信部90をさらに備える。
受信部90は、例えば、少なくとも1つのチャネルを有するハイドロフォン(hydrophone)又は追加トランスデューサー素子などで実現され得る。
【0030】
図2Aは、サンプル内に単一反射体が存在する場合を説明するための概念図である。
図2Aに示していないが、少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)は、サンプル10に超音波信号を送信する。
サンプル10は超音波信号を受信し、これに対応してアコースティックフィールドを生成する。
一方、
図2Aに示すように、サンプル10内には単一の反射体201が含まれてもよい。
反射体201は、超音波信号に対応したり、又はビームフォーカシング地点からの超音波信号に対応してアコースティックフィールド210を放出する。
【0031】
少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)は、アコースティックフィールド210を受信し、これを電気的な信号に変換する。
超音波測定装置は、変換された信号に基づいて反射体201の位置を測定し得る。
図2Aに示すように、単一の反射体201によって生成されたアコースティックフィールド210は、実質的に球面波の形態に形成される。これはホイヘンスの原理によって反射体201を中心に同心円形態のアコースティックフィールドが形成されることから起因する。
単一の反射体201が実質的な球面波の形態であるアコースティックフィールド210を放出することによって、超音波測定装置は球面波の収差(aberration)補正を行って単一の反射体201に対する画面を生成する。超音波測定装置が収差補正する構成については後述する。
【0032】
一方、
図2Bは、サンプル内の複数反射体が含まれた場合のアコースティックフィールドの概念図である。
図2Bに示すように反射体(201、280、290)がサンプル10内に存在する。
少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)は、サンプル10に超音波信号を送信する。
反射体201は、超音波信号を受信してアコースティックフィールド210を生成して放出する。反射体280は、超音波信号を受信してアコースティックフィールド220を生成して放出する。反射体290は、超音波信号を受信してアコースティックフィールド230を生成して放出する。
複数のアコースティックフィールド(210、220、230)は媒質内で互いに干渉する。
【0033】
図2Bに示すように、複数の反射体(201、280、290)それぞれによって生成されたアコースティックフィールド(210、220、230)は、実質的に球面波の形態に形成される。
ただし、球面波形態のアコースティックフィールド(210、220、230)は互いに干渉され得る。そのため、複数の球面波が干渉された形態のアコースティックフィールドが生成され、少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)は、干渉された形態のアコースティックフィールドを受信して電気的な信号に変換する。
トランスデューサー素子(ch1〜ch5)に球面波の形態と相違の大きいアコースティックフィールドが入力されることによって、超音波測定装置は、特定の反射体201に対する正確な画像を生成することができない。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る超音波測定装置で、比較例による観測対象である第1反射体以外の他の反射体が含まれたサンプルに対する超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
図3に示す比較例は、
図4A〜4Cを参照して詳細に説明することにする。
【0035】
まず、
図3を参照すると、ステップS310において、超音波測定装置は測定地点を決定する。
ここで、測定地点は、画像生成を行うための地点である。例えば、
図4Aに示すように、サンプル10内には複数の反射体(401、480、490)が含まれる。
超音波測定方法は、複数の反射体(401、480、490)のうちから第1反射体401を測定地点に決定するとする。超音波測定方法は、後述する方法に基づいて第1反射体401以外の残りの反射体(480、490)の測定時に及ぼす影響を抑制したり最小化することができる。
【0036】
再び
図3を参照すると、ステップS320において、超音波測定方法は、測定地点周辺領域のn地点にビームフォーカシングを行う。
超音波測定装置は、複数のトランスデューサー素子を含み得る。超音波測定装置は、複数のトランスデューサー素子それぞれの超音波信号の送信時期を調整する。
超音波測定装置は、複数のトランスデューサー素子それぞれの送信時期を含むトランスデューサー制御信号を出力する。
そのため、超音波測定装置は、サンプル10内の特定地点に超音波信号を集中するようにするビームフォーカシングを行う。
【0037】
例えば、
図4Bに示す第1地点411にビームフォーカシングを行う場合に、超音波測定装置は第2トランスデューサー素子ch2の超音波信号の送信時期を相対的に遅くに調整して、第5トランスデューサー素子ch5の超音波信号の送信時期を相対的に早く調整する。
例えば、第1地点411から第2トランスデューサー素子ch2までの距離が最短であり、第1地点411から第5トランスデューサー素子ch5までの距離が最長であると仮定する。
第2トランスデューサー素子ch2からの超音波信号が相対的に遅れた時期に送信され、第5トランスデューサー素子ch5からの超音波信号が相対的に早い時期に送信されることで、複数の超音波信号が第1地点411に同時に集中する。超音波測定装置は、残りのトランスデューサー素子の超音波信号の送信時期を決定して全てのトランスデューサー素子からの超音波信号が第1地点411に同時に集中するように制御する。
【0038】
他の実施形態に係る超音波測定方法として、超音波信号が第2地点(図示せず)から発生するようにビームフォーカシングを行ってもよい。
例えば、超音波測定装置は、第2地点(図示せず)をトランスデューサーの後方の一地点として決定してもよく、第2地点(図示せず)から超音波が拡散されるようにビームフォーカシングを行ってもよい。これについて
図7Bを参照して詳細に説明する。
それと共に、スキャットラインごとに深度方向にフォーカスされる位置が互いに異なってもよい。
【0039】
第1地点411にビームフォーカシングを行った後、第1反射体401によってアコースティックフィールドが生成される。
ステップS330において、少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)はアコースティックフィールドを受信し、受信されたアコースティックフィールドを電気的な信号に変換する。
超音波測定装置は、受信されたアコースティックフィールドに対する受信データを格納する。超音波測定装置は、受信データをチャネルごとにch1〜ch5に格納してもよい。
超音波測定装置は、受信データを一定期間の間に格納してもよい。例えば、表1は、第1地点411に対応した格納された受信データの例示である。
【0041】
表1の受信データは、予め設定された期間でサンプリングされて格納されたものとして、「t」が指示する1〜6はサンプリングナンバーである。
格納された受信データは、チャネルごと(ch1〜ch5)に区分されて格納される。
【0042】
ステップS340において、超音波測定方法は「n」が「N」を超過するか否かを判断する。
例えば、「N」が“25”と設定されてもよい。「n」が「N」を超過しない場合、超音波測定方法はステップS350において「n」の値を“1”増加させ、これに対応してステップS360においてフォーカシング地点を移動させる。
超音波測定装置は、第2地点412に対してビームフォーカシングを行う。超音波測定装置は、第2地点412に対応して少なくとも1つのトランスデューサー素子(ch1〜ch5)の送信時期を再調整し、第2地点412に対しビームフォーカシングを行う。
【0043】
超音波測定装置は、測定地点401の周辺地域にフォーカシング地点(411〜435)を決定してもよく、例えば、
図4Bに示すように、フォーカシング地点(411〜435)がそれぞれ予め設定された間隔に離隔して全体的に長方形の格子形態を有するようビームフォーカシング地点を決定してもよい。
すなわち、一部のビームフォーカシング地点は、第1反射体401よりトランスデューサーに近く配置し、一部のビームフォーカシング地点は第1反射体401よりトランスデューサーから遠く配置し、又は、一部のビームフォーカシング地点は。第1反射体401とトランスデューサーから同じ距離に配置する。
一方、
図4Bでは、2次元の地点に25個のフォーカシング地点に対してビームフォーカシングするように図に示しているが、これは一例に過ぎず、他の実施形態に係る超音波測定装置は、3次元の例を挙げて125個フォーカシング地点に対してビームフォーカシングを行ってもよい。
【0044】
超音波測定装置は、決定された全てのフォーカシング地点に対してビームフォーカシングを行い、各フォーカシング地点に対してチャネルごとのデータを格納する。
例えば、超音波測定装置は、
図4Cに示すような受信データを格納してもよい。
受信データは、フォーカシング地点ごと(n=1、2、...、25)に格納される。
各フォーカシング地点ごとの受信データは、チャネルごとに格納される。
第1フォーカシング地点411に対する受信データは、第1チャネル〜第5チャネル(441〜445)ごとに格納される。
さらに、第1チャネル〜第5チャネル(441〜445)ごとのデータそれぞれは、表1のように予め設定された時間の間に格納される。第2フォーカシング地点411に対する受信データも第1チャネル〜第5チャネル(451〜455)ごとに格納され、第25フォーカシング地点435に対する受信データも第1チャネル〜第5チャネル(461〜465)ごとに格納される。
【0045】
全てのフォーカシング地点(411〜435)に対して測定が完了すれば(n>N)、ステップS370において超音波測定装置はチャネルごとに受信データを合算する。
例えば、
図4Dに示すように、超音波測定装置は、チャネルごとに受信データを合算する。
図4Dに示すように、超音波測定装置は、複数のフォーカシング地点(411〜435)に対する受信データの第1チャネルデータ(441、451、...、461)を合算し、合算された第1チャネルデータ471を算出する。
【0046】
さらに、超音波測定装置は、複数のフォーカシング地点に対する受信データをチャネルごとに合算してチャネルごとの合算データ(471〜475)を生成する。
そのため、超音波測定装置は、単一の受信データを生成する。
ここで、単一の受信データとは、複数フォーカシング地点に対する受信データがチャネルごとに合算されて1つの単一の受信データが生成されることを示す。
チャネルごとのデータ合算を行うために、観測地点(第1反射体401)以外の他の反射体(480、490)によるアコースティックフィールドの影響が相殺され得る。
これについて、
図4E及び4Fを参照して説明することにする。
【0047】
ステップS380において、超音波測定装置は収差補正をさらに行う。
ステップS390において、超音波測定装置は、チャネルごとの合算データに基づいて画像を生成する。
【0048】
図4E及び4Fは、チャネルごとのデータ合算によって他の反射体による影響が相殺される構成を説明するための概念図である。
図4Eは、フォーカシング地点が第1地点411である場合に対する概念図である。
第1反射体401及び第2反射体480のそれぞれからトランスデューサー素子に受信される時間はそれぞれ「t1」及び「t2」である。
さらに、
図4Fは、フォーカシング地点が第2地点412である場合に対する概念図である。
第1反射体401及び第2反射体480のそれぞれからトランスデューサー素子に受信される時間はそれぞれ「t3」及び「t4」である。ここで、“t1−t2”と“t3−t4”は互いに異なるが、チャネルごとのデータ合算時の観測地点ではない他の反射体からの信号はディレイ差で相殺される。
一方、
図3に示す比較例による超音波測定方法では、複数のフォーカシング地点に対してビームフォーカシングするための測定時間が増加する。
【0049】
図5は、本発明による超音波測定装置の他の実施形態に係る超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS510において、超音波測定装置は、少なくとも1つの実際フォーカシング地点に超音波信号をビームフォーカシングする。
特に、本実施形態に係る超音波測定方法では、トランスデューサー素子の個数以下の個数の実際フォーカシング地点にビームフォーカシングを行う。
図6A及び6Bは、様々な実施形態に係るビームフォーカシング方法を説明するための概念図である。
図6A及び6Bの実施形態で、サンプル10内の第1地点601が測定地点に決定されたと仮定する。
【0050】
本実施形態に係る超音波測定方法は、第1地点601の周辺領域に複数のフォーカシング地点(611〜615)を決定する。
超音波測定装置は、フロントフォーカシング方法に基づいて、トランスデューサー素子(ch1〜ch5)の前面に複数のフォーカシング地点(611〜615)を決定する。
超音波測定装置は、トランスデューサー素子の個数である“5つ”より以下の個数でフォーカシング地点(611〜615)の個数を決定する。
他の実施形態に係る超音波測定方法では、リアフォーカシング方法に基づいてトランスデューサー素子(ch1〜ch5)の後面に複数のフォーカシング地点(621〜625)を決定する。
【0051】
図7A〜7Cは、フォーカシング地点にビームフォーカシングを行った構成を説明するための概念図である。
図7Aは、スキャンライン(scan line)ごとのフォーカシング方法に基づいたビームフォーカシング実行結果であり、
図7Bはリアフォーカシング方法に基づいたビームフォーカシング実行結果であり、
図7Cはフロントフォーカシング方法に基づいたビームフォーカシング実行結果である。
【0052】
図8は、本発明の実施形態に係るビームフォーカシング方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS805において、超音波測定装置は、例えば、
図6A及び
図6Bに示す測定地点601のように測定地点を決定する。
ステップS810において、超音波測定装置は、少なくとも1つの実際フォーカシング地点を決定する。
ステップS820において、超音波測定装置は、少なくとも1つのトランスデューサーの送信時期を決定、すなわち、トランスデューサー素子間の駆動ディレイを決定する。
ステップS830において、超音波測定装置は、少なくとも1つのトランスデューサー素子を決定された送信時期に超音波信号を送信するように制御し、そのため、特定実際フォーカシング地点にビームフォーカシングを行う。
【0053】
図9は、本発明の実施形態による複数フォーカシング地点に対するビームフォーカシング方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS910において、超音波測定装置は測定地点を決定する。
ステップS920において、超音波測定装置は、少なくとも1つの実際フォーカシング地点を決定する。例えば、超音波測定装置は、
図6A又は6Bに示すように、フロントフォーカシング方式又はリアフォーカシング方式に基づいて少なくとも1つの実際フォーカシング地点を決定する。
ステップS930において、超音波測定方法は、「k」地点にビームフォーカシングする。
これに対応して、ステップS940において、アコースティックフィールドを受信して格納する。
「k」は「K」値になるまでフォーカシング地点を移動させながらビームフォーカシングを行い、「k」が「K」値以下であれば(ステップS950)、超音波測定装置はステップS960で「k」値を1ずつ増加させ、ステップS970でフォーカシング地点を移動させる。
【0054】
再び
図5を参照すると、ステップS520において、超音波測定装置は、フォーカシング地点それぞれに対応するアコースティックフィールドを受信して格納する。
ステップS530において、超音波測定装置は、受信データそれぞれのディレイを調整して合成フォーカシングを行う。
合成フォーカシングは、サンプル上の第1実際フォーカシング地点に対応した受信データを用いて、第2合成フォーカシング地点に対応する合成データを生成する方法である。
詳細には、合成フォーカシングは、第1実際フォーカシング地点にビームフォーカシングを行った後、受信されたチャネルごとのデータそれぞれのディレイを調整し、第2合成フォーカシング地点にビームフォーカシングを行い、これに対応して受信されたデータを生成する方法である。
【0055】
例えば、超音波測定装置は、第1フォーカシング地点に実際ビームフォーカシングを実行して、これに対応する第1受信データを取得する。ここで、第1実際フォーカシング地点は複数であってもよく、第1受信データも複数であってもよい。
超音波測定装置は、実際ビームフォーカシングを行った第1実際フォーカシング地点と合成フォーカシングを行う第2合成フォーカシング地点との間の距離、及びディレイのうち少なくとも1つを判断する。
さらに、超音波測定装置は、第1実際フォーカシング地点と第2合成フォーカシング地点との間のディレイに基づいて、トランスデューサー素子チャネルごとのディレイを予測する。
【0056】
超音波測定装置は、予測されたトランスデューサー素子チャネルごとのディレイに基づいて、第1受信データのチャネルごとのデータをディレイ調整する。
そのため、超音波測定装置は、第2合成フォーカシング地点にビームフォーカシングを行った場合に受信される受信データの第2受信データを取得する。
すなわち、超音波測定装置は、第2合成フォーカシング地点に実際にビームフォーカシングすることなく、第2合成フォーカシング地点に対応した受信データを取得する。
【0057】
ステップS540において、超音波測定装置は、測定地点周辺領域の複数の合成フォーカシング地点に対する合成データを取得する。
合成データを取得する方法の詳細は後述する。
ステップS550において、超音波測定装置は、複数の合成データのチャネルごとのデータを合算する。
チャネルごとのデータ合算にしたがって、サンプル内に複数の反射体がある場合にも、測定地点以外の他の反射体の影響が抑制される。
他の実施形態で、超音波測定装置は、合成データ及び受信データに対してチャネルごとのデータを合算してもよい。
【0058】
ステップS560において、超音波測定装置は、チャネルごとの合算データに基づいて測定地点に対する画像を生成する。
図5に示していないが、超音波測定装置は、収差補正を行ってチャネルごとの合算データに基づいて測定地点に対する画像を生成してもよい。
又、超音波測定装置は、受信データからハーモニック(harmonic)成分を抽出して用いてもよい。
さらに、超音波測定装置は、受信データに対してフィルタリング又は復調を行って、受信端ディレイ補正又は合成フォーカシング方法を適用してもよい。
詳細には、受信データは、フィルタリングを用いてバンドパスフィルタリングされたデータに加工されてハーモニック成分を抽出してもよく、パルスインバージョン(pulse inversion)のような方式を用いてハーモニック成分が抽出されてもよく、復調によりベースバンド信号に変換されてもよい。
【0059】
図10は、本発明の一実施形態に係る実際フォーカシング受信データを説明するための図である。
例えば、超音波測定装置は、
図10に示すような実際フォーカシング受信データを取得する。
ここで、実際フォーカシング受信データは、超音波測定装置が実際に超音波信号をサンプルに送信し、これに対応してアコースティックフィールドを受信した場合のデータを示す。
実際フォーカシング受信データは、
図10に示すように、チャネルごとに受信データを含む。
【0060】
図10に示す実際フォーカシング受信データは、例えば、
図6Aに示すように、5個のフォーカシング地点(611〜615)にビームフォーカシングを行って取得された受信データであり得る。
第1地点611に対するビームフォーカシングの結果、受信された第1データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1001〜1005)を含む。
第2地点612に対するビームフォーカシングの結果、受信された第2データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1011〜1015)を含む。
フォーカシングの結果、受信された第5データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1021〜1025)を含む。
【0061】
図11A及び11Bは、サンプル内の合成フォーカシング地点を説明するための概念図であり、
図12は、本発明の一実施形態に係る合成データ取得方法を説明するためのフローチャートである。
図11A及び11Bは、
図12を参照してより詳しく説明する。
まず、
図12を参照すると、ステップS1210において、超音波測定装置は合成フォーカシング地点を決定する。
例えば、超音波測定装置は、
図11Aに示すように、合成フォーカシング地点(1101〜1120)を決定する。超音波測定装置は、測定地点601の周辺領域に合成フォーカシング地点を決定する。
例えば、超音波測定装置は、フォーカシング地点(1101〜1120)がそれぞれ予め設定された間隔で離隔して全体的に長方形の格子形態を有するように合成フォーカシング地点を決定してもよい。
【0062】
ステップS1220において、超音波測定装置は、合成フォーカシング地点(1101〜1120)それぞれに対応する受信データ取得のために格納された受信データのディレイを調整し、ステップS1230において、測定地点周辺領域の合成データを取得する。
例えば、
図11Bに示すように、超音波測定装置は、実際フォーカシング地点(611〜615)と合成フォーカシング地点1101との間のディレイがそれぞれA1、A2、A3、A4、A5であることを取得する。
超音波測定装置は、合成フォーカシング地点1101と実際フォーカシング地点(611〜615)との間で取得されたディレイ、及び少なくとも1つのトランスデューサー素子それぞれにおけるディレイに基づいて合成フォーカシング方法を行う。
【0063】
詳細には、合成フォーカシング地点1101に対応する合成データは、
図10に示すような実際フォーカシング受信データに基づいて取得される。
例えば、トランスデューサー素子から実際フォーカシング地点(611〜615)までのフォーカシング時間を「t1」と仮定する。さらに、上述したように、実際フォーカシング地点(611〜615)と合成フォーカシング地点1101との間のディレイはそれぞれA1、A2、A3、A4、A5である。
【0064】
超音波測定装置は、第1実際フォーカシング地点に対応する受信データに“t1−A1”のディレイを適用させる。さらに、超音波測定装置は、第2実際フォーカシング地点から第5実際フォーカシング地点に対応する受信データそれぞれに“t1−A2”〜“t1−A5”のディレイを適用させる。
超音波測定装置は、ディレイが適用された第1実際フォーカシング地点に対応する受信データ乃至ディレイが適用された第5実際フォーカシング地点に対応する受信データを合算し、合成フォーカシング地点1101に対応する合成データを取得する。
【0065】
一方、上述した“t1−A1”のディレイは、合成フォーカシング地点1101が実際フォーカシング地点(611〜615)より相対的にトランスデューサー素子に近い場合の例示である。
実際フォーカシング地点(611〜615)が合成フォーカシング地点1101より相対的にトランスデューサー素子に近い場合、ディレイは“t1+A1”に決定される。
超音波測定装置は、上述したように合成データを取得し、そのため、
図4Cに示すような、実際フォーカシング受信データと同一のデータを取得することができる。
【0066】
すなわち、超音波測定装置は、合成フォーカシング方法を受信データに適用し、
図4Bに示すように実際フォーカシングを行うことなく、
図4Cに示すような受信データを取得することができる。
上述したように、本発明の一実施形態に係る超音波測定方法は、相対的に少ない実際のフォーカシング地点についてのみビームフォーカシングを行っても、合成フォーカシング方法を用いて測定地点周辺領域の相対的に多くのフォーカシング地点に対する受信データを取得することができる。
そのため、演算時間及び測定時間を著しく縮小することができる。
【0067】
図13は、本発明の他の実施形態に係る複数の合成フォーカシング地点に対する合成データを取得する方法を説明するためのフローチャートである。
図13に示す実施形態は、超音波測定装置が実際フォーカシング地点からの受信データを格納したと仮定する。
ステップS1310において、超音波測定装置は複数の合成フォーカシング地点を決定する。
例えば、超音波測定装置は、測定地点近所領域で複数のフォーカシング地点を決定する。
【0068】
ステップS1320において、超音波測定装置は、合成フォーカシング地点と実際フォーカシング地点との間のディレイを予測する。
超音波測定装置は、「m」合成フォーカシング地点と実際フォーカシング地点との間の距離を予測する。
超音波測定装置は、「m」合成フォーカシング地点と少なくとも1つのトランスデューサー素子までの測定時間と、実際フォーカシング地点と少なくとも1つのトランスデューサー素子までの測定時間との間の差に基づいて、トランスデューサー素子チャネルごとにディレイを予測する。そのため、トランスデューサー素子チャネルごとのディレイを予測する。
【0069】
ステップS1330において、超音波測定装置は、予測されたディレイに基づいて受信データのディレイを補正する。
合わせて、ステップS1340において、超音波測定装置は、「m」合成フォーカス地点に対応する合成データを取得して格納する。
超音波測定装置は、「m」が「M」を超過するまで上述した工程を繰り返す(ステップS1350、S1360)。ここで、「M」は合成フォーカシング地点の個数である。
超音波測定装置は、ステップS1370において、測定地点周辺領域の複数フォーカシング地点に対応する合成データを取得する。
【0070】
図14は、本発明の一実施形態に係る合成データの例示である。
図14に示すように、合成データは、例えば、25個であってもよく、それぞれの合成データはチャネルごとのデータを含んでもよい。
例えば、第1合成データは、第1チャネルデータ乃至第5チャネルデータ(1401〜1405)を含み、第2合成データは第1チャネルデータ乃至第5チャネルデータ(1411〜1415)を含み、第3合成データは第1チャネルデータ乃至第5チャネルデータを含む。
合成データは、実際受信データを含んでもよい。例えば、超音波測定装置は、実際受信データ5個及び合成データ20個を生成して25個の受信データを生成してもよい。
又は、超音波測定装置は、実際受信データ5個に基づいて合成データ25個を生成して25個の受信データを生成してもよい。
【0071】
図15は、本発明の他の実施形態に係る超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
図15は、特に受信データ測定時のサンプル内反射体が移動する場合、反射体動き補正を行う超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS1510において、超音波測定装置はサンプル上の複数地点に超音波信号ビームフォーカシングを行う。
【0072】
例えば、超音波測定装置は、
図6A又は6Bに示すような、フロントフォーカシング方法又はリアフォーカシング方法に基づいてビームフォーカシングを行う。
超音波測定装置は、サンプル上の複数地点に送信側ビームフォーカシングを行う。
超音波測定装置は、トランスデューサー素子の個数よりも小さい個数のフォーカシング地点にビームフォーカシングを行う。
【0073】
ステップS1520において、超音波測定装置は、サンプル上の複数地点に対するビームフォーカシングのそれぞれに対応して受信されるアコースティックフィールドを受信する。
超音波測定装置は、アコースティックフィールドを受信して受信データを取得及び格納する。
受信データは、トランスデューサー素子のチャネルごとのデータを含んでもよく、予め設定された時間の間測定されてもよい。
【0074】
ステップS1530において、超音波測定装置は、チャネルごとのデータに対して動き補正を行う。
詳細には、超音波測定装置は、受信データに基づいて画像を生成する。超音波測定装置は、時間の流れに応じて複数の画像フレームを生成する。超音波測定装置は、複数の画像フレームのうち互いに隣接する画像フレームを比較して反射体の動きを検出する。
超音波測定装置は、反射体動きに対応してチャネルごとのデータを補正する。
【0075】
例えば、超音波測定装置は、反射体が動く以前の位置と反射体が動いた以後の位置との間のディレイを予測する。
超音波測定装置は、予測されたディレイに基づいてチャネルごとのデータを補正して動き補正を行う。
動きベクトル検出は、画面次元で行われてもよく、動き補正はチャネルごとのデータのディレイを調整することによって行われてもよい。
【0076】
ステップS1540において、超音波測定装置は合成データを取得する。
例えば、超音波測定装置はフォーカシング地点を決定し、合成フォーカシング地点と実際フォーカシング地点との間のディレイを予測する。
超音波測定装置は、合成フォーカシング地点と実際フォーカシング地点との間のディレイに基づいてチャネルごとのデータを補正し、そのため、合成フォーカシング地点に対応する合成データを取得する。
【0077】
ステップS1550において、超音波測定装置は、合成データ又は実際フォーカシング受信データ及び合成データ両者に基づいて画像を生成する。
超音波測定装置は、チャネルごとにチャネルごとのデータを合算する。
上述した構成によって測定地点以外の他の反射体の影響を予防することができる。
【0078】
また、超音波測定装置は、収差補正(aberration correction)を行ってもよい。
超音波測定装置は、収差補正された合算データに基づいて画像を生成する。
また、超音波測定装置は、合成フォーカシング又は動き補正によってディレイエラーを再算出してもよく、合成フォーカシングを再び行うことによって上記のステップが繰り返すように制御する。
【0079】
図16は、本発明の他の実施形態に係る動き補正を行う超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
図16に示す動き補正の方法は、
図17A〜17Cと
図18を参照してより詳しく説明する。
図16に示す動き補正の方法の実施形態で、サンプル10内の反射体1700は、
図17Aに示すように移動するものと仮定する。
【0080】
ステップS1610において、超音波測定装置は、サンプル上の複数地点に超音波信号ビームフォーカシングを行う。
例えば、超音波測定装置は、
図6A又は
図6Bに示すような、フロントフォーカシング方法又はリアフォーカシング方法に基づいてビームフォーカシングを行う。
ステップS1620において、超音波測定装置は、サンプル上の複数地点に対するビームフォーカシングそれぞれに対応して受信されるアコースティックフィールドを受信する。
超音波測定装置は、アコースティックフィールドを受信して受信データを取得及び格納を行う。受信データはトランスデューサー素子のチャネルごとのデータを含んでもよく、予め設定された時間の間測定されてもよい。
【0081】
ステップS1630において、超音波測定装置は、受信データに基づいて画像フレームを生成する。
上述したように、受信データは予め設定された時間の間に測定され、そのために時間の流れに応じて格納される。
超音波測定装置は、時間の流れにより格納された受信データに基づいて予め設定された時間の間の複数の画像フレームを生成する。
例えば、超音波測定装置は、
図17Bに示すように、第1、2、3画像フレーム(1710、1720、1730)を生成する。
【0082】
超音波測定装置は、第1、2、3画像フレーム(1710、1720、1730)での反射体の動きを検出する。
例えば、超音波測定装置は、第1画像フレーム1710での反射体1711と第2画像フレーム1720での反射体1721との間の距離が閾値以上であることを確認する。
ステップS1640において、超音波測定装置は、隣接する画像フレームの反射体位置の間の距離が閾値以上であるかを判断して動きベクトルを抽出する。
さらに、超音波測定装置は、第3画像フレーム1730での反射体1731も第1画像フレーム1710と比較して動きを確認する。
【0083】
例えば、超音波測定装置は、第3画像フレーム1730と第2画像フレーム1720とを比較し、動きベクトルが「0」であることを確認する。
これによって、超音波測定装置は、第3画像フレーム1730の反射体1731と第1画像フレーム1710の反射体1711との位置間の動きベクトルと、第2画像フレーム1720の反射体1721と第1画像フレーム1710の反射体1711との位置間の動きベクトルとが同一であることを確認できる。
【0084】
一方、図に示していないが、第4画像フレームで反射体が再び動いてもよい。
このような場合、超音波測定装置は、第4画像フレームと第3画像フレームとを比較して動きベクトルを検出する。
超音波測定装置は、第4画像フレームでの反射体と第1画像フレームでの反射体との間の動きベクトルを取得する。
詳細には、超音波測定装置は、第3フレームと第1フレームとの間の動きベクトルに、第4フレームと第3フレームとの間の動きベクトルを合算し、第4フレームと第1フレームとの間の動きベクトルを取得する。
【0085】
ステップS1650において、超音波測定装置は、動きベクトルに基づいて受信データの動きを補正する。
例えば、超音波測定装置は、
図17Cに示すように、移動以前地点1741と移動以後地点1742との間のディレイ「Δt」を予測する。
超音波測定装置は、移動以前地点1741と移動以後地点1742との間のディレイ「Δt」に基づいて、トランスデューサー素子チャネルごとのディレイを予測することができる。超音波測定装置は、予測されたトランスデューサー素子チャネルごとのディレイに基づいて、受信データをチャネルごとにディレイ補正を行う。それにより、受信データは動き補正される。
【0086】
図18は、チャネルごとにディレイを補正する工程を説明するための図である。
図18は、例えば、第1地点にビームフォーカシングを行った結果に応じて取得された受信データである。
受信データはt=1、2、...、Tである場合に対して格納される。ここで、「t」はサンプリング区間に対する時間インデックスである。さらに、各時間ごとの受信データは、チャネルごとのデータを含む。
例えば、t=1である場合の受信データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1801〜1805)を含む。t=2である場合の受信データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1811〜1815)を含んでもよい。t=Tである場合の受信データは、第1チャネル受信データ乃至第5チャネル受信データ(1821〜1825)を含む。
【0087】
一方、例えば、
図17A及び17Bに示す実施形態では、第1サンプリング区間と第2サンプリング区間との間でのみ反射体が移動した。さらに、第2サンプリング区間以後の第Tサンプリング区間まで反射体が停止した状況を想定する。
この場合、超音波測定装置は、第2サンプリング区間に対応する受信データから第Tサンプリング区間に対応する受信データのチャネルごとのディレイ補正を行う。
詳細には、超音波測定装置は、各サンプリング区間でチャネルごとのディレイを予測し、予測されたチャネルごとのディレイに基づいてチャネルごとのディレイ補正を行う。
そのため、超音波測定装置は、第2サンプリング区間に対応するデータ乃至第Tサンプリング区間に対応する受信データが、反射体が初期位置に継続して位置したような受信データになるよう補正する。
【0088】
例えば、超音波測定装置は、
図17Aに示すように、反射体1700が初期位置に続けて位置するように受信データを補正する。
それにより、超音波測定装置は、
図18に示すように、第2サンプリング区間のチャネルごとのデータを動き補正した、動き補正された受信データ(1831〜1835)と、第Tサンプリング区間のチャネルごとのデータを動き補正した、動き補正された受信データ(1841〜1845)を生成する。
従って、第2サンプリング区間の受信データと第Tサンプリング区間の受信データとの間の受信データも動き補正されたことを、当業者は容易に理解するのであろう。
【0089】
再び
図16を参照すると、ステップS1660において、超音波測定装置は、動き補正された受信データに基づいて合成データを取得する。
また、ステップS1670において、超音波測定装置は、合成データに基づいて画像を生成する。
超音波測定装置は、チャネルごとにチャネルごとのデータを合算する。
上述した構成によって測定地点以外の他の反射体の影響を予防することができる。
超音波測定装置は、収差補正を行ってもよい。超音波測定装置は、収差補正された合算データに基づいて画像を生成してもよい。
上述した工程によって、サンプル内に動いている反射体が存在する場合にも動きを補正することによって明確な画像生成を行うことができる。
【0090】
図19は、本発明の一実施形態に係る動き補正を行う超音波測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図19に示すように、超音波測定装置は、超音波信号送受信部1910、動き補正部1920、合成データ取得部1930、データ合算及び収差補正部1940、画像生成部1950、動き推定部1960、及び表示部1970を備える。
【0091】
超音波信号送受信部1910は、サンプルの少なくとも1つの実際フォーカシング地点に超音波信号を送信し、ビームフォーカシングに対応して反射体が生成するアコースティックフィールドを受信する。
【0092】
画像生成部1950は、受信したアコースティックフィールドに対応する受信データに基づいて複数の画像フレームを生成する。
受信データは、上述したように時系列的なデータであってもよい。例えば、受信データは表1のように、サンプリングナンバー及びトランスデューサー素子チャネルごとのデータを含み得る。そのため、画像生成部1950は、時間の流れに応じた複数の画像フレームを生成することができる。
【0093】
動き補正部1920は、生成された複数の画像フレーム間の比較によって動く反射体を補正する。
詳細には、動き推定部1960で推定された動きベクトルに基づいて動き補正部1920は受信データをチャネルごとに動き補正を行う。
合成データ取得部1930は、動き補正された受信データに合成フォーカシング方法を適用する。そのため、合成データ取得部1930は、少なくとも1つの合成データを取得する。
【0094】
データ合算及び収差補正部1940は、少なくとも1つの合成データをチャネルごとに合算して単一の受信データを取得する。
さらに、データ合算及び収差補正部1940は、単一の受信データに収差補正を行う。
画像生成部1950は、収差補正された単一の受信データに基づいて画像を生成する。
表示部1970は、生成された画像を表示する。
【0095】
図20A及び20Bは、収差補正工程を説明するための概念図である。
図20Aに示すように、(x、z)座標を有する反射体2001からアコースティックフィールド2041が放出される。
反射体2001は、トランスデューサー素子アレイ2002から“R”だけ離隔される。ここで、アコースティックフィールド2041は球面波の形態であってもよく、これによってトランスデューサー素子それぞれに到達する時間が異なってもよい。
【0096】
トランスデューサー素子は、受信したアコースティックフィールド2041を電気的な信号2003に変換して出力する。
収差補正部2004は、受信した電気的な信号2003のディレイを調整して収差補正された電気的な信号2010を出力する。
信号合算部2005は、収差補正された電気的な信号2010を合算して画像信号2006を生成する。
【0097】
一方、
図20Bに示すように、音速度が一定ではない媒質2030が配置されている場合、アコースティックフィールド2042がトランスデューサー素子のそれぞれに球面波の形態ではない不規則な時間に到達する。
そのため、変換された電気的な信号2013に対して収差補正部2004が収差補正しても収差補正された信号2040の間にディレイが発生することがある。
そのため、画像信号2060は、反射体2001に対する歪曲された画像信号となる。
【0098】
本発明の一実施形態に係る収差補正部2004は、中央チャネル信号を他のチャネル信号と相互相関(cross correlation)して他のチャネル信号が中央チャネル信号と整列するように収差補正してもよい。
例えば、収差補正部2004は、相互相関して
図20Cに示すように、他のチャネル信号のディレイ「Δt」を調整して中央チャネル信号と整列させる。
図20D及び20Eは、本発明の実施形態に係る相互相関に基づいた収差補正以前と以後の画像写真である。
【0099】
図21は、本発明のさらに他の実施形態に係る超音波測定方法を説明するためのフローチャートである。
超音波測定装置は、ステップS2110において、少なくとも1つの実際フォーカシング地点に対応する受信データに合成フォーカシング方法を適用し、反射体周辺領域の合成フォーカシング地点に対応する少なくとも1つの合成データを取得する。
超音波測定装置は、ステップS2120において、少なくとも1つの合成データを用いて反射体の画像を生成する。
【0100】
以上で説明した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合わせで実現され得る。
例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は、命令(instruction)を実行して応答できる異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的のコンピュータを用いて実現してもよい。
【0101】
処理装置は、オペレーションシステム(OS)及びオペレーションシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行し得る。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータに対しアクセス、格納、操作、処理、及び生成を行い得る。
理解の便宜のために、処理装置は1つの使用されるものとして説明した場合もあるが、当該の技術分野で通常の知識を有する者であるならば、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数の類型の処理要素を含んでいることが理解されよう。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含んでもよい。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0102】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はこのうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、所望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令してもよい。
ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するためどのような類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、送信される信号波に永久的又は一時的に具体化できる。
ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散し、分散された方法で格納されたり実行されてもよい。ソフトウェア及びデータは1つ以上のコンピュータで読取可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0103】
上述の本発明の実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。
コンピュータ読取可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうち1つ又はその組み合わせを含んでもよい。記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。
【0104】
コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。
プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードが含まれる。前記したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0105】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。