【実施例】
【0035】
以下、実施例とともに本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物について説明するが、本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
<実施例1>抗菌・抗ウイルス性組成物の作製
以下の手順で、抗菌・抗ウイルス性組成物を作製した。
(1)純水1000ml中に、硝酸銀0.1molと炭酸水素ナトリウム0.1molを添加し、常温、遮光した室内で添加後10分間攪拌した。
(2)濾過紙を用いて脱水し、純水1000mlで洗浄を行った。
(3)上記(2)によって得られた乾燥重量6.75g相当のペーストと、L−ピロリドンカルボン酸6.96gとを純水1000mlに加えて、加温反応させることでピロリドンカルボン酸銀1000mg/Lを得た。
(4)上記(1)(2)(3)と同様に、硝酸亜鉛を材料として、L−ピロリドンカルボン酸と反応させ、ピロリドンカルボン酸亜鉛(亜鉛:82%、ピロリドンカルボン酸化合物:18%)16.5g(乾燥重量)を得た。
(5)ピロリドンカルボン酸銀、L−ピロリドンカルボン酸亜鉛、硫酸銅五水和物を以下のように配合し、抗菌・抗ウイルス性組成物を作製した。
水1000ml中の配合
上記記載のピロリドンカルボン酸銀 100mg/L
L−ピロリドンカルボン酸亜鉛 16500mg/L
硫酸銅五水和物 2400mg/L
なお、この組成物は長時間経過しても変色が生じないことが確認された。
【0037】
<実施例2>組成物の消臭性
(1)実施例1で作製した組成物をレーヨン原料に対し1/200の割合で混合し、以下の条件で消臭性を試験した。
【0038】
試験方法:(一社)繊維評価技術評議会SEKマーク繊維製品認証基準21.消臭試験(検知管法、ガスクロマトグラフ法)
ガス初発濃度:アンモニア100ppm、酢酸30ppm、イソ吉草酸38ppm
試験試料:検知管法100cm
2、ガスクロマトグラフ法50cm
2
測定時間:2時間後
(2)結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示したように、実施例1で作製した組成物は優れた消臭性を有していることが確認された。
【0041】
<実施例3>組成物の抗菌性1
(1)実施例1で作製した組成物を綿に対して混合し、以下の条件で抗菌性を試験した。
【0042】
試験方法:JSL1902:2008定量試験(菌液吸収法)による。また、洗濯方法は、JIS 0217 103号 の試験方法による。生菌数の測定方法は混釈平板培養法による。
【0043】
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus Aureus NBRC 12732
(2)結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2に示したように、実施例1で作製した組成物は優れた抗菌性を有していることが確認された。
【0046】
さらに、上記(1)と同様の綿からなるソックスに実施例1で作製した組成物を練り込んだものについて、界面活性剤(Tween80)0.05%を添加した試験菌液を使用して、洗濯を繰り返し行い(0〜10回)、抗菌性の変化を検討した。
【0047】
結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表3に示したように、実施例1で作製した組成物が練り込まれた綿ソックスは、洗濯を10回繰り返しても抗菌性が大きく失われることはないことが確認された。
【0050】
<実施例4>組成物の抗菌性2
(1)綿に実施例1で作製した組成物を実用例1のもの、練り込み(具体的な方法について御教示下さい)、以下の条件で抗菌性を試験した。
【0051】
試験方法:JSL1902:2008定量試験(菌液吸収法)による。また、洗濯方法は、JIS 0217 103号 の試験方法による。生菌数の測定方法は混釈平板培養法による。
【0052】
試験菌株:大腸菌 Escherichia coli NBRC 3301
(2)結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
表4に示したように、実施例1で作製した組成物は優れた抗菌性を有していることが確認された。
【0055】
さらに、上記(1)と同様の綿からなるソックスに実施例1で作製した組成物を練り込んだものについて、界面活性剤(Tween80)0.05%を添加した試験菌液を使用して、洗濯を繰り返し行い(0〜10回)、抗菌性の変化を検討した。
【0056】
結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示したように、実施例1で作製した組成物が練り込まれた綿ソックスは、洗濯を10回繰り返しても抗菌性が大きく失われることはないことが確認された。
【0059】
<実施例5>組成物の抗菌性3
(1)実施例3の試験の繊維を変更して同様の試験を行った。
【0060】
結果を表6に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
表6に示したように、実施例1で作製した組成物が練り込まれた繊維(洗濯0回)は、抗菌性が良好であることが確認された。一方、洗濯を10回行った繊維では、種類によっては抗菌性の低下が確認された。
【0063】
<実施例6>組成物の抗菌性4
(1)実施例4の試験の繊維を変更して同様の試験を行った。
【0064】
結果を表7に示す。
【0065】
【表7】
【0066】
表7に示したように、実施例1で作製した組成物が練り込まれた繊維(洗濯0回)は、抗菌性が良好であることが確認された。一方、洗濯を10回行った繊維では、種類によっては抗菌性の低下が確認された。
【0067】
<実施例7>組成物の抗カビ性
(1)表が綿100%であり、裏がポリエステル、ポリウレタンからなる繊維に実施例1で作製した組成物をリッピング加工(1/100の重量比、60℃で乾燥)したものについて、以下の条件で抗カビ性を試験した。
試験方法:約18mm角の滅菌済み試料(0.2g分)に、1/20サブローデキストロース培地にて約105個/mlに調整した胞子混濁液を0.2ml接種し、25℃で42時間培養した。培養後、試料上の胞子のATP濃度を発光測定法にて測定した(試験胞子混濁液濃度:2.0×105個/ml)。
試験菌株:白癬菌 Trichophyton mentagrophytes NBRC 32409
結果を表8、表9に示す。
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
表8、表9に示したように、実施例1で作製した組成物は、50倍、100倍に希釈した場合も抗カビ性(抗菌性)を示すことが確認された。
【0071】
<実施例8>組成物の抗ウイルス性
(1)靴下の繊維に実施例1で作製した組成物をリッピング加工(1/100の重量比、60℃で乾燥)したものについて、以下の条件で抗ウイルス性を試験した。
【0072】
試験方法:ISO18184 Textiles-Determination of antivirial activity of textile productsによる。
【0073】
試験ウイルス:インフルエンザウイルス InfuenzaAvirus (H3N2) :ATCC VR-1679
結果を表10に示す。
【0074】
【表10】
【0075】
表10に示したように、実施例1で作製した組成物(100倍希釈)は、優れた抗ウイルス性を示すことが確認された。また、洗濯を10回行った場合も組成物の脱落はほとんどなく、抗ウイルス性が維持されることが確認された。
【0076】
<実施例9>組成物の消臭性2
以下に示した条件1〜6の繊維に、実施例1で作製した組成物にグルタミン酸、クエン酸を加えたものをリッピング加工(1/100の重量比、60℃で乾燥)したものについて、以下の条件で消臭性を試験した。
1.表綿100%
2.表綿100% 洗濯10回後
3.表綿100% 洗濯30回後
4.表綿 65% ポリエステル35%
5.表綿 65% ポリエステル35% 洗濯10回後
6.表綿 65% ポリエステル35% 洗濯30回後
試験方法:(一社)繊維評価技術評議会SEKマーク繊維製品認証基準21.消臭試験(検知管法、ガスクロマトグラフ法)
ガス初発濃度:アンモニア100ppm、酢酸30ppm、イソ吉草酸38ppm
試験試料:検知管法100cm
2、ガスクロマトグラフ法50cm
2
測定時間:2時間後
洗濯処理方法:JIS L 0217 103法,10、30回繰り返し,吊えい干し
洗濯使用洗剤:JAFET標準配合洗剤使用
結果を表11に示す。
【0077】
【表11】
【0078】
表11に示したように、条件1、4の結果から、実施例1で作製した組成物は優れた消臭性を有していることが確認された。また、条件2、3、5、6の結果から、洗濯を繰り返しても成分の脱落は生じ難く、消臭性が維持されることが確認された。
【0079】
<実施例9>抗菌・抗ウイルス性組成物の希釈時の成分割合
実施例1とは異なる以下の表12に示した配合で、抗ウイルス性組成物を作製した。
【0080】
【表12】
【0081】
この抗菌・抗ウイルス性組成物は、実施例1で得た組成物と同等、またはそれ以上に抗ウイルス性、抗菌性、消臭性を示すことが確認された。
【0082】
また、表12には、各成分の有効濃度の目安を示している。この濃度範囲であると抗ウイルス性、抗菌性、消臭性を確実に発揮することができる。
【0083】
なお、より好ましい配合割合としては、ピロリドンカルボン酸銀10mg/L〜100mg/L、ピロリドンカルボン酸亜鉛110mg/L〜500mg/L、硫酸銅として150mg/L〜500mg/L、グルタミン酸5mg/L〜20mg/L、クエン酸100mg/L〜1000mg/L、N−長鎖アシルアミノ酸カリウム400mg/L〜2000mg/Lを例示することができる。