【実施例】
【0016】
図1,
図2は、実施例に係る横形製袋充填機(以下包装機と称す)における不良品検出装置の概略構成を示すものであって、該包装機は、アルミ蒸着やアルミラミネートされたアルミ包材や、和紙ラミネートされた包材などの、包装品の内部が視認不能な包材のフィルムロール10から引出した帯状フィルム12を、その長手方向両端縁部を下方で合掌状に重合して筒状フィルム12aとして成形する製袋手段14と、筒状フィルム12aの重合部12bを一対の送りローラ22a,22aで挟持して搬送するフィルム搬送手段22と、筒状フィルム12aに向けて物品16を所定間隔毎に供給する供給コンベヤ18と、前記合掌状に重合した前記重合部12bをシールして縦シール部26を形成する縦シール手段24と、縦シール手段24より下流で筒状フィルム12a中に供給された物品16の前後位置で筒状フィルム12aを挟み、筒状フィルム12aの搬送方向と交差する方向にシールして横シール部を形成する横シール手段32と、の夫々を備え、縦シール手段24と横シール手段32との間のフィルム搬送路において、搬送中の筒状フィルム12aと交差してX線を細いビーム状にして照射するX線検査手段46が配置される。そして、このX線検査手段46によって、筒状フィルム12aの内部に所定間隔毎に供給されている物品16の位置ずれの有無と、縦シール手段24によって形成された縦シール部26への物品16その他の異物やシール皺と重合部12aの重なりのずれによるシール不良を検査し得るよう構成される。
【0017】
前記製袋手段14の下流側には、前記供給コンベヤ18によって筒状フィルム12a中に所定間隔毎に供給された物品16を載置して案内する案内部材としての搬送ベッド20が配設されている。搬送ベッド20は、X線が透過しないステンレス板からなる金属プレートであって、
図2に示す如く、左右に配設される載置部20a,20aを備え、フィルムの両端縁が両載置部20a,20aの間に画成される間隙Sから下方に延出するよう案内されて合掌状に重合される。搬送ベッド20には、前記X線検査手段46によるX線の照射ビーム位置に対応して、上下方向に貫通するX線通過部としての貫通孔21が左右方向に延在するように設けられている。貫通孔21は、前記間隙Sで交差して載置部20a,20aの夫々に設けられている。搬送ベッド20の下方に配置されたX線発生器48から照射されたX線が、貫通孔21を通過して搬送ベッド20で案内される前記筒状フィルム12aの幅全域に亘って照射可能に、貫通孔21の左右方向の長さが設定されている。また、搬送ベッド20の下方で合掌状に重合したフィルムの重合部12bには、前記送りローラ22a,22aの下流において、一対のシールローラ24a,24aからなる縦シール手段24によって縦シール部26が形成される。ここで、重合部12bは、前記搬送ベッド20の間隙Sから下方へ延出してフィルム搬送方向下流側に案内される。なお、前記フィルム搬送手段22による筒状フィルム12aのフィルム搬送量は、前記送りローラ22a,22aに直接的または間接的に設けたエンコーダからのパルス信号や、その他のフィルム搬送量を検出可能な適宜フィルム送り量検出手段により得ることができる。
なお、フィルム搬送手段22で送られる筒状フィルム12aのフィルム搬送路を挟んで一側方が包装機の運転操作側として設定されており、この操作側を手前、これと反対側を奥と指称するものとする。
【0018】
前記搬送ベッド20の下流側には、搬送ベッド20の下面に配設されて、前記間隙Sの一側から該間隙Sを斜めに横切って下方へ傾斜する斜片を備えた折曲部材30が設けられ、該折曲部材30によって、前記重合部12bは、筒状フィルム12aが下流側へ搬送されるのに伴って、筒状フィルム12aの下面から垂下する姿勢から物品16が収容される筒状部25の下面に沿って折り曲がるまで徐々に傾倒するよう案内される。
【0019】
図1に示す如く、前記搬送ベッド20より下流側には、筒状フィルム12aに横シールを施すと共に切断する上下一対のシール体32a,32aを備えた横シール手段32が配設される。この横シール手段32は、公知のボックスモーション式を採用した場合で例示するものであって、フィルムが1包装長搬送される毎に、筒状フィルム12a中に所定間隔毎に供給されている物品16の前後位置においてシール体32a,32aで筒状フィルム12aを挟持することで、筒状フィルム12aの搬送方向と交差する方向に横シール部を形成するよう動作制御される。そして、重合部12bは、前記折曲部材30で筒状フィルム12aの下面に沿って折り曲げられて横シール部が施されるので、横シール部が形成された位置に縦シール部26が交差したピロー包装品が得られる。シール体32a,32aで筒状フィルム12aを挟持する噛合位置の上流と下流に設けた搬入コンベヤ34と搬出コンベヤ36との対向端部同士は、横シール手段32のシール体32a,32aの近接離間移動と前進後退移動動作に連動して、シール体32a,32aが離間した際に相互に近接移動して筒状フィルム12a中の物品16のコンベヤ間の受け渡しを支障なく行い得るよう構成される。なお、搬入コンベヤ34における搬送上流端は、前記搬送ベッド20の下流端とわずかな隙間で隣接した近接位置に配設されている。
【0020】
前記製袋手段14の下流側から前記縦シール手段24の配設位置までの間に亘るフィルム搬送路の上方に、筒状フィルム12aを補助送りし得る公知の押えコンベヤ38が配設される。なお、押えコンベヤ38は、物品16の性状などその他必要に応じて採用すれば良い。
【0021】
図1に示す如く、前記押えコンベヤ38の配設位置の上流側から前記折曲部材30の配設位置(縦シール部26の折曲げ形成位置)の下流側までの間(重合部12bに縦シールが施される位置から縦シール部26の折曲げ形成位置までの間)において搬送ベッド20より上方の空間を覆う透明樹脂製の防護カバー40が開閉自在に設けられている。防護カバー40は、
図3に示す如く、フィルム搬送路より奥側に配設される背面壁42の手前側に、奥側の端部の回動支点40cにより上下に回動自在に支持されて、搬送路の周囲の上部空間を閉鎖する下方の閉鎖位置と、上部空間を開放する上方の開放位置との間を開閉動するよう構成される。防護カバー40は、閉鎖位置において搬送ベッド20の上方を背面壁42から手前側に向けた上部空間を覆うよう水平に延在する天面部40aと、該天面部40aの延出端から搬送ベッド20の手前側に向けた傾斜面によりフィルム搬送路の手前側の空間を覆う側面部40bとを備え、防護カバー40の閉鎖位置において前記貫通孔21を備えた搬送ベッド20の上方を防護カバー40で覆って、X線発生器48から照射されたX線が防護カバー40の外部に漏れるのを防止する。このような樹脂カバーとしては、所定の厚みで形成された、例えばポリカーボネートや塩ビ、PETなどの樹脂板材を採用することができる。また、前記搬送ベッド20の手前側には、該搬送ベッド20で仕切られた下部空間Mの前側を覆う前面カバー44が設けられており、防護カバー40の閉鎖位置において前記側面部40bの下端は前面カバー44の手前側に重なるようになっている。
【0022】
前記包装機は、包装制御部27によって、供給コンベヤ18、フィルム搬送手段22、横シール手段32等の各種作動機構を回転駆動するサーボモータの夫々を作動するよう同期駆動制御信号により駆動制御される。また、包装制御部27は、各種作動機構の運転動作パラメータ等のデータの設定や運転状況や各種設定条件等を入力設定表示し得るタッチパネルからなる入力・表示手段が接続される。前記包装制御部27には、X線検査手段46の検出制御部47が接続されている。
【0023】
前記縦シール部26を形成した重合部12bが筒状フィルム12aの下面に沿って折り重ねられる前の、重合部12bが下方に延出して搬送される筒状フィルム12aの搬送区間において、フィルム搬送路を横切るようにX線を照射して物品16の位置ずれおよび重合部12bにおける縦シール部26の不良を検査し得るようX線検査手段46が配置されている。X線検査手段46は、
図2,
図3に示す如く、前記搬送ベッド20の下方において、X線の出力部48aからX線を斜め上方に向けて照射すべく配置されたX線発生器48と、フィルム搬送路を挟んだ反対側のX線発生器48から照射されたX線を検出可能なX線検出器50,52とを備える。X線発生器48は、前記下部空間M内に配設され、フィルム搬送路の手前側(一側)から奥側(他側)に向けた斜め上方にX線を照射する。X線は、フィルム搬送路を挟む反対側となる上方に設けたX線検出器50,52に向けて細いビーム状で照射される。なお、X線発生器48としては、透過力が弱く、包装機の安全カバーとして用いられている前記した脂製のカバー40で十分遮蔽可能な軟X線を照射するX線発生器を採用することが好ましい。また、X線発生器48は、出力部48aが設けられる面と反対側に、X線発生器48のX線発生部に電源を供給する電源部や、電源供給等を制御するX線検査手段用の制御部などの付帯装置54が付設されており(
図4参照)、X線発生器48は付帯装置54と一体でユニット化されるようになっており、X線発生器48と付帯装置54とを合わせてX線発生器ユニット56と指称する。
【0024】
前記X線検出器50,52は、
図3および
図4に示す如く、前記搬送ベッド20の上方において、前記X線発生器48の配設位置に対して、前記フィルム搬送路を挟む反対側の位置であって、X線発生器48から照射されるX線ビームの照射幅の範囲内となる筒状フィルム12aの上部空間に第1検出器50が配設され、また搬送ベッド20の下方であって、該搬送ベッド20から下方に延出する前記重合部12bを挟んでX線発生器48と反対側に配置され、前記X線ビームの照射範囲内で縦シール部26におけるシール領域を透過したX線ビームの透過量を検出可能な第2検出器52が配設されている。
前記第1検出器50は、前記防護カバー40の天面部40aの内側に、検出部50aを下方に向けて配設されている。第1検出器50は、防護カバー40の開閉に伴いフィルム搬送路の上方を覆う検出位置と、そこから離間した退避位置とに移動する。すなわち、第1検出器50は、防護カバー40の開閉と共にフィルム搬送路に接近・離間移動する。第1検出器50は、検出位置において、前記X線発生器48からフィルム搬送路を横切るよう斜め上向きに筒状フィルム12aと交差する方向に所定の照射角度で広がるX線ビームを照射することで筒状フィルム12aを透過して検出部50aまで至ったX線の値を検出する。
【0025】
また、前記第2検出器52は、前記搬送ベッド20の隙間Sから筒状フィルム12aの重合部12bが下方へ延出して搬送される区間において、該重合部12bを挟んで前記X線発生器48の配置位置の反対側となる奥側の一側に臨み、前記X線発生器48から照射されたX線ビームが前記重合部12bに施された縦シール部26の形成範囲を透過して検出部52aまで至ったX線の値を検出する。具体的には、第2検出器52は、縦シール部26を形成した重合部12bが前記折曲部材30によって折曲げ形成されるまでのフィルムの搬送途上(重合部12bが筒状フィルム12aの底面に向けて斜めに折り曲がった姿勢となって案内される区間)に配設され、検出部52aを斜め下方に向けて斜めに折り曲がった重合部12bと同様に傾斜して近接配置されている。
前記第1検出器50と第2検出器52とはいずれも、CMOSやフォトダイオードなどが採用された公知の半導体型ラインセンサであって、X線発生器48から斜め上向きに照射されたX線ビームが筒状フィルム12aを透過して各検出器50,52まで至ったX線の透過量を検出することができる。具体的に、第1検出器50では、センサ基板に複数のX線検出素子が、筒状フィルム12aの幅方向に直線的に配列され、第2検出器52では、センサ基板に複数のX線検出素子が、重合部12bの筒状部25からの延出方向に直線的に配列される。なお、X線検査手段46の検出制御部47は、第1検出器50の筐体に収容されている。
【0026】
前記X線発生器48から照射されたX線ビームの照射域において、X線ビームが第2検出器52で遮られることなく第1検出器50に到達し得るように、第1検出器50と第2検出器52とがフィルム搬送方向前後に変位して配置される。具体的に、第1検出器50の検出部50aは、第2検出器52の配設位置に対してフィルム搬送方向上流側に変位して配置される。前記X線発生器48から照射されるX線ビームは、筒状フィルム12aの搬送路の手前側における下方から筒状フィルム12aを横断してその上方の奥側に向けて、所定の照射角度範囲の広がりをもって斜めに照射されるのに加えて、フィルム搬送方向上流へわずかに傾いて斜めに照射されるよう、前記X線発生器48の出力部48aの向きが設定されている。
【0027】
そして、前記第1検出器50および第2検出器52の夫々の検出値と、検出器毎に異なる閾値(判定値)とが比較されて、各閾値を超える検出値となった場合に、X線検査手段46の検出制御部47から包装制御部27に対してその検知信号が出力される。第1検出器50における検出値が前記閾値より小さい場合には、筒状フィルム12a内に物品16の存在が認められるものとして検知信号が出力される。すなわち、筒状フィルム12aが搬送されるのに伴って筒状フィルム12aに収容されている物品16がX線ビームを通過する期間は、第1検出器50によるX線の透過量となる検出値が減少して閾値より小さい値となる。また、第2検出器52の検出値が閾値より小さい値となった場合には、縦シール部26への異物混入やシール皺等のシール不良が認められるものとして検知信号が出力される。また、第2検出器52の検出値が閾値より大きい値となった場合には、重合部12bの合わせ目がずれて重合部12bで重なり合う2枚のフィルムの一方が他方の端縁より飛び出した状態となったシール不良が有るものとして検知信号が出力される。
【0028】
前記筒状フィルム12aの搬送位置は、前記フィルム送り量検出手段から得ることができ、それから得た搬送中の一包装分のフィルム位置との関係で、前記第1検出器50で検知されたタイミングにおいて筒状フィルム12a内に収容された物品16の位置が適正位置の範囲内にあるか否かを判定することができる。そして、その判定結果において許容範囲を超えた場合に、物品16の位置不良信号(不良信号)が出力される。具体的には、前記第1検出器50からの検知信号が非出力状態から出力状態となり、物品16の前端が通過したことが検出されたタイミングにおいて、搬送状態にある一包装分の長さのフィルムの始端から物品16の前端までの距離が許容値を超えているか否かが求められる。また、第1検出器50からの検知信号が出力状態から非出力状態となり、物品16の後端が通過したことが検出されたタイミングにおいて、一包装分の長さのフィルムの終端から物品16の後端までの距離が許容値を超えているか否かが求められる。この検出結果に応じて、物品16の前端または後端のいずれかの位置が許容範囲外にある場合には、位置不良として判定された物品16の前方または後方のいずれかが前記シール体32a,32aに至った際に干渉して物品16の噛込みが生ずるものとして異状信号(不良信号)が発信される。そして、一包装分の長さのフィルムが搬送される都度、この判定が繰り返し実施される。このようにして、X線検査手段46によって筒状フィルム12aにおける筒状フィルム12a内の物品16の位置ずれと、前記縦シール部26におけるシール不良とを検出することができる。
【0029】
前記フィルム送り量検出手段から得られるフィルム搬送位置との関係で、前記第1検出器50および第2検出器52とにより異常と判断された不良個所を含む一包装分の筒状フィルム12aが横シール手段32までに至る時期に合わせて、包装制御部27は、横シール手段32により横シールする動作を休止するよう、シール体32a,32aを作動制御する。そして、筒状フィルム12aが横シール・切断されずに通過して2包装長以上連続する包装体が得られる。このような不良包装品は、下流への搬送過程において不良品排除手段によって系外に排出される。このような横シール動作の休止は、前記第2検出器52によるシール不良検知箇所については、必要に応じ採用されるものであればよい。
なお、シール体32a,32aの動作を休止するのに変えて、包装機の全ての作動機構の動作を停止するようにしてもよい。また、不良判定された際に、警報ブザーや、警報ランプなどにより異状報知を行うようにしてもよい。
【0030】
前記X線発生器48は、位置調節可能に配設されると共に、X線ビームの照射角度や照射向き、照射ビーム幅や、照射ビームの広がり角度などのX線ビームが筒状フィルム12aを横切るときの照射状態を、適宜の調節手段によって調節可能に配設されることが好ましい。また、第1検出器50および第2検出器52の夫々についても、位置調節可能に配設されると共に、X線発生器48との離間間隔や検出部50a,52aの検出角度などの検出状態を、適宜の調節手段によって調節可能に配設されることが好ましい。実施例では、第1検出器50は、
図1または
図4に示したように、防護カバー40に配設されたネジとナットとを用いた調節手段58によって、フィルム搬送方向の前後に位置調節可能に構成されている。なお、X線ビームの照射角度や照射向きなどの照射状態、あるいは検出角度などの検出状態は、対応する発生器48や検出器50,52の配設姿勢を適宜調節手段によって変更することで調節可能である。
【0031】
前記X線発生器48は、包装機の運転中はX線を連続的に照射する。X線検査手段46の配設位置周囲の上部空間を覆う防護カバー40には、そのカバーの開閉状態(開閉)を検知する検知手段45が設けられ、包装機の運転状態で防護カバー40が閉鎖状態の時に、前記X線発生器48からのX線の照射が許可される。また、包装機の運転が停止中であっても、防護カバー40の開放状態にある時はX線発生器48からX線が照射されることはない。
【0032】
次に、実施例の作用について説明する。包装運転の開始と共に前記X線発生器48からX線ビームを細いビーム状にして照射する。フィルム搬送路の手前側から奥側に向けて筒状フィルム12aと交差するように斜め上向きに照射されたX線ビームが筒状フィルム12aを透過して前記第1検出器50で検出され、その透過量となる検出値が閾値と比較して小さい値である場合に、物品16が検知状態にあるものとして検出制御部47から検知信号が出力される。そして、包装制御部27は、その検知信号が出力されたタイミングで、一包装分の長さの筒状フィルム12aの位置に対して物品16の収容位置が規定範囲内であるか否かを判定し、規定範囲外と判定される場合に位置不良信号を出力する。また、前記X線ビームは筒状フィルム12aにおける重合部12bを透過して第2検出器52によって検出され、その透過量となる検出値が閾値を越える値である場合には、縦シール部26にシール不良が生じているものとして検出制御部47から検知信号が出力される。そして、包装制御部27は、前記第1検出器50と第2検出器52とによる不良検知タイミングとの関係で、位置不良またはシール不良として検出された不良箇所を含む一包装分の長さの不良フィルム12aが横シールされる位置に至る時期を求めて、その求めた時期に合わせて、不良フィルム12aが横シール手段32を通過するまで、横シールを休止するよう前記横シール手段32による横シール動作を一時停止するよう制御する。横シールの休止によって横シール・切断されずに2包装長以上連続する包装体となった不良包装品は、下流への搬送過程において不良品排除手段などによって系外に排出される。
【0033】
前記X線発生器48を、出力部48aからX線ビームを斜め上方に向けて照射するように配置したので、電源部や制御部を含めた大型のX線発生器ユニット56を、搬送ベッド20の下部空間M内に設置できるので、包装機の横幅寸法が大きくなるのを抑制することができる。これにより、X線発生器ユニット56が包装機の操作側に大きく張り出して包装部までの奥行きが拡大するのを抑えて、包装部での作業性が低下するのを防止することができる。また、X線発生器48および第2検出器52を搬送ベッド20の下方に配置すると共に、第1検出器50を搬送ベッド20の上面から離間してフィルム搬送路より上方に配置したので、X線発生器48および各検出器50,52は何れも搬送ベッド20の上面から突出しておらず、筒状フィルム12aのセット時や搬送ベッド上の清掃等、その他のメンテナンス時に邪魔となる部分がなく、包装部での作業性が向上する。更に、第1検出器50を、開閉可能な防護カバー40の天面部40aに配設したので、メンテナンス等に際して防護カバー40を開放するだけで第1検出器50をフィルム搬送路から上方に大きく離間することができ、メンテナンス時に第1検出器50を別途移動させる必要はなく作業性が向上する。また、X線ビームを手前から奥側に向けて照射するようX線発生器48が配置されているので、いかなる時にも包装機の手前側、すなわち包装機の運転操作側において操作を行う運転操作者に向けて誤ってX線ビームが照射されることはない。
【0034】
また、細いビーム状のX線ビームをフィルム搬送方向へ斜めに傾けて照射し、そのX線ビームの照射角度を設定することで、X線ビームは、第2検出器52で遮られることなく、筒状フィルム12aを全幅に亘って透過して前記搬送ベッド20の貫通孔21を経て第1検出器50に至り、そのX線の透過量を第1検出器50で得ることができるように、X線ビームの照射経路の中間に障害物などが無い照射範囲を確保することができる。
また、第2検出器52は、縦シール部26を形成した重合部12bが筒状部25の下面に沿って折り重ねられる途中で斜めに折り曲がった状態での該重合部12bを挟んでX線発生器48と反対側に配置したので、縦シール部26の各種シール不良を安定的に精度よく検出することができる。特に、第2検出器52は、検出対象とする重合部12bから離間することなく、近接配置したので、検出精度を落とすことなく良好な検出結果を得ることができ、微小な噛込み物品の存在などシール部の異状を精度良く検出することができる。更に、第2検出器52における検出部(ラインセンサ)52aを、重合部12bの下方への延出姿勢に沿うように傾斜が合うように傾斜配置したので、縦シール部26における前記シール不良を一層高精度で検出することができる。
更にまた、X線検出器を第1検出器50と第2検出器52とに分け、第1検出器50による検出値により1包装長さに対する筒状フィルム内の物品16の位置ずれを検出すると共に、第2検出器52による検出値により重合部12bにおける縦シール部26のシール不良を検出するようにしたので、2つの不良検査項目夫々で精度良い検出結果を得ることができ、検査を良好に行うことができる。
なお、前記X線発生器48、第1検出器50、第2検出器52の位置や配設姿勢を調節可能に構成すれば、フィルムや物品16の性状あるいは検出環境、その他の検出条件の変化に対応して各装置48,50,52の位置や姿勢を適正に配置することができ、多品種の包装に柔軟に対応し得ると共に不良を精度良く検出することができる。
【0035】
(変更例)
本発明は、以上に例示した各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) X線発生器48から照射されるX線ビームが通過可能なX線通過部として、実施例では搬送ベッド20に貫通孔21を設けたが、所定の隙間をもってフィルム搬送方向前後に分割して配置された載置部によってX線通過部を構成してもよい。また、X線通過部は、貫通孔などの空所に限らず、X線ビームを透過可能な閉塞された部分で構成してもよい。
(2) 実施例では第1検出器50の検出部50aを、第2検出器52よりフィルム搬送方向上流側にずらして配置したが、第2検出器52の検出部52aを、第1検出器50の検出部50aよりフィルム搬送方向上流側にずらして配置してもよい。すなわち、2つの検出器50,52は、その検出部50a,52aのどちらがフィルム搬送方向上流側に配置されるものであってもよく、縦シール後の重合部12bの筒状部25から下方への延出が維持されている期間などに応じて、選択的に配置されればよい。
(3) 実施例ではX線発生器48を、出力部48aからX線ビームをフィルム搬送方向上流側(後側)へ向けて傾いて照射するよう配置したが、X線ビームをフィルム搬送方向下流側(前側)へ向けて傾いて照射するよう配置してもよく、その場合には第1検出器50および第2検出器52を、フィルム搬送方向下流側に傾いて照射されたX線ビームを検出可能なようにフィルム搬送方向前後に変位して配置すればよい。
【0036】
(4) X線検査手段46は、縦シール部26が形成されて筒状部25から斜めに延出するよう傾斜している重合部12bに沿った傾斜で第2検出器52を配置することが最も精度よく不良を検出できるので好ましいが、必要に応じて、重合部12bが下方に直立状態で搬送されている状態で該重合部12bに沿わせて第2検出器52を配置する構成を採用することができる。また、直立状態あるいは傾斜状態で搬送されている重合部12bを透過したX線ビームを検出し得るのであれば、第2検出器52を搬送ベッド20の下面に沿って略平行(水平)に配置することができる。すなわち、第2検出器52は、重合部12bの折り曲げ角度に合わせて傾斜配置することなく、重合部12bの通過に対して縦シール部26の形成範囲をX線ビームが透過して検出し得るのであれば、適宜の傾斜姿勢や直立姿勢あるいは水平姿勢であってもよい。
(5) 第2検出器52の検出部52aを、縦シール部26を形成した重合部12bに近接して配置しているが、透過量を適正に検出可能な範囲で重合部12bから側方に所定距離離間した位置に検出部52aを配置するようにしてもよい。
(6) 筒状フィルム中に供給された物品16を載置して案内する案内部材として、物品16を載置して搬送する無端ベルトを用いることができ、重合部12bを下方に延出させる間隙Sや、X線ビームを通過させるX線通過部は、複数の無端ベルトを相互に離間して配置することで形成し得る。
(7) X線発生器48、第1検出器50、第2検出器52は、フィルムや物品16の性状あるいは検出環境、その他の検出条件に応じて照射状態や検出状態を変更し得るように、必要に応じて何れかが位置や配設姿勢を調節可能に構成されていればよい。
(8) X線検査手段46の検出制御部47は、包装機の包装制御部27と共有する構成を採用することができる。