(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のモノマーが、第1の1,1−二置換アルケンモノマーであり、前記第2のモノマーが、前記第1のモノマーとは異なる第2の1,1−二置換アルケンモノマーであり、および前記第1のモノマー及び前記第2のモノマーの総濃度が、前記共重合体の総重量に基づいて、30重量%以上である、請求項1に記載の共重合体。
前記第1のモノマーが、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェンキルメチル、メチレンマロン酸フェンキルエチル、メチレンマロン酸メンチルエチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸シクロヘキシルエチル、メチレンマロン酸イソボルニルエチル、メチレンマロン酸ベンジルエチル、メチレンマロン酸ベンジルメチル、メチレンマロン酸ジベンジル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体。
前記第2のモノマーが、メチレンマロン酸メチルメトキシエチル、メチレンマロン酸エチルエトキシエチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体。
前記共重合体が、第2のポリマーブロックに付着した第1のポリマーブロックを含むブロック共重合体であり、該第1のポリマーブロックが、前記第1のモノマーを含み、前記共重合体が、25℃〜250℃の第1のガラス転移温度を有し、および前記共重合体が、−100℃〜15℃の第2のガラス転移温度を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体。
前記第1のポリマーブロックが、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェンキルメチル、メチレンマロン酸フェンキルエチル、メチレンマロン酸メンチルエチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸シクロヘキシルエチル、メチレンマロン酸イソボルニルエチル、メチレンマロン酸ベンジルエチル、メチレンマロン酸ベンジルメチル、メチレンマロン酸ジベンジル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーの50重量%以上を含み、および前記第2のポリマーブロックが、メチレンマロン酸メチルメトキシエチル、メチレンマロン酸エチルエトキシエチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーの約50重量%以上を含む、請求項6に記載の共重合体。
前記共重合体中の1,1−二置換アルケンモノマーの総量が、前記共重合体の総重量に基づいて、98重量%〜100重量%であり、当該共重合体が、25重量%以上の前記第1のモノマー及び25重量%以上の前記第2のモノマーを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体。
前記第2のモノマーが、1,1−二置換アルケンモノマーではなく、かつ、1つ以上のアクリレート類、1つ以上のメタクリレート類、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書の説明と図解は、同業者以外の人々に本開示、その原理、及びその実際的応用を知らせるよう意図されている。従って、上述の本発明の特定の実施形態は、網羅的にまたは本開示を限定するように意図されてはいない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を、該特許請求の範囲が権利を与えられる全範囲の等価物と一緒に参照して決められるべきである。出願及び刊行物を含む、全ての論文及び参考文献の開示は、全ての目的で引用により組み入れられる。下記の特許請求の範囲から収集される他の組み合わせも可能であり、該組み合わせも引用によりこの記載説明内へここで組み入れられる。
【0025】
本開示は、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含むポリマーに関する。ポリマーは、好ましくは、モノマーの組み合わせ、及び/または改善された特性をもたらすポリマーアーキテクチャを有する。例えば、ポリマーは、以下のもの:物理的特性、機械的特性、密着性、及び/または反応速度の1つまたは任意の組み合わせにおいて改善を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ホモポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、共重合体であってもよい。いくつかの実施形態では、共重合体は、ランダム共重合体であってもよい。いくつかの実施形態では、共重合体は、ブロック共重合体であってもよい。
【0026】
ポリマーは、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマー(例えば、1つ以上の1,1−二置換エチレンモノマー)を含む、から実質的になる、またはから完全になる。1,1−二置換アルケンモノマーは、化合物であり、中心炭素原子は、別の炭素原子に二重結合して、アルケン(例えば、エチレン)基を形成する。中心炭素原子は、2つのカルボニル基にさらに結合する。各カルボニル基は、直接結合を介して、または酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を介してヒドロカルビル基に結合する。ヒドロカルビル基が直接結合を介してカルボニル基に結合する場合、ケト基が形成される。ヒドロカルビル基が酸素原子を介してカルボニル基に結合する場合、エステル基が形成される。1,1−二置換アルケンは、好ましくは、以下の式Iに示すような構造を有し、X
1及びX
2は、酸素原子または直接結合であり、R
1及びR
2は、それぞれ同一または異なっていてもよいヒドロカルビル基である。X
1及びX
2の両方は、式IIAに示すような酸素原子であってもよく、X
1及びX
2の一方は、酸素原子であってもよく、他方は、式IIBに示すような直接結合であってもよく、またはX
1及びX
2の両方は、式IICに示すような直接結合であってもよい。本明細書中で使用される1,1−二置換アルケン化合物は、全てエステル基(式IIAに示すような)、全てケト基(式IIBに示すような)、またはそれらの混合物(式IICに示すような)を有してもよい。全てエステル基を有する化合物は、種々のそのような化合物を合成する柔軟性により好ましい。
【化1】
【0027】
式IIA中のO−R
1の酸素及び/または式IIA及び式IIB中のO−R
2の酸素原子は、硫黄原子または窒素原子によって独立して置換されていてもよい。
【0028】
本明細書中で使用される1つ以上は、記載した構成要素の少なくとも1つまたは2つ以上が開示されたように使用され得ることを意味する。官能性に対して使用される基準は、理論的な官能性を意味し、これは、一般的に、使用した成分の化学量論から算出することができる。一般的に、実際の官能性は、原料の不完全性、反応物質の不完全な変換、及び副生成物の形成により異なる。この文脈における耐久性は、いったん硬化した組成物がその設計された機能を実行するのに十分に強いままであることを意味し、硬化した組成物が接着剤である実施形態では、接着剤は、硬化した組成物を含有する構造の寿命または寿命のほとんどにわたって基板を一緒に保持する。この耐久性の指標として、硬化可能な組成物(例えば、接着剤)は促進老化中に優れた結果を示すのが好ましい。構成要素の残留物含有量は、遊離形態で存在する構成要素、またはポリマーなどの別の物質と反応した構成要素の量を指す。典型的には、構成要素の残留物含有量は、構成要素または組成物を調製するのに利用した成分から算出することができる。あるいは、公知の分析技術を利用して決定することができる。ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄及びリンを意味し、より好ましいヘテロ原子としては、窒素及び酸素が挙げられる。本明細書中で使用されるヒドロカルビルは、1つ以上のヘテロ原子を随意に含有してもよい1つ以上の炭素原子主鎖及び水素原子を含有する基を指す。ヒドロカルビル基がヘテロ原子を含有する場合、ヘテロ原子は、当業者に周知の1つ以上の官能基を形成してもよい。ヒドロカルビル基は、脂環式、脂肪族、芳香族、またはそのようなセグメントの任意の組み合わせを含有してもよい。脂肪族セグメントは、直鎖または分枝状であってもよい。脂肪族及び脂環式セグメントは、1つ以上の二重及び/または三重結合を含んでもよい。ヒドロカルビル基に含まれるものは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカリール及びアラルキル基である。脂環式基は、環状部分及び非環状部分の両方を含有してもよい。ヒドロカルビレンは、ヒドロカルビル基、または、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルカリレン及びアラルキレンなどの2つ以上の価数を有する記載のサブセットのいずれかを意味する。ヒドロカルビル基の一方または両方は、1つ以上の炭素原子及び1つ以上の水素原子からなってもよい。本明細書中で使用される場合、重量%または重量部は、特に指定されない限り、エマルション組成物の重量を指す、または該重量に基づくものである。
【0029】
他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の参照文献は、本開示において使用される多数の用語についての一般的な定義を、当業者に提供する:Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988);The Glossary of Genetics、5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.)、Springer Verlag(1991);及び Hale & Marham、The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書中で使用される場合、特に指定されない限り、以下の用語は、これらの文献で定義された意味となる。
【0030】
1,1−二置換アルケン化合物は、それに二重結合が付着した炭素を有し、カルボニル基の2つの炭素原子にさらに結合する化合物を意味する。好ましいクラスの1,1−二置換アルケン化合物は、核となる式を有する化合物を指すメチレンマロン酸である。
【化2】
【0031】
用語「単官能性」は、唯一の核となる式を有する1,1−二置換アルケン化合物またはメチレンマロン酸を指す。用語「二官能性」は、2つの核となる式の各々における1つの酸素原子間のヒドロカルビル連結を介して結合した2つの核となる式を有する1,1−二置換アルケン化合物またはメチレンマロン酸を指す。用語「多官能性」は、2つの隣接した核となる式の各々における1つの酸素原子間のヒドロカルビル連結を介して鎖を形成する2つ以上の核となる式を有する1,1−二置換アルケン化合物またはメチレンマロン酸を指す。用語「潜在酸を形成する不純物(複数可)」は、1,1−二置換アルケン化合物またはメチレンマロン酸と一緒に存在する場合には、時間と共に酸に変換される任意の不純物を指す。これらの不純物から形成された酸は、1,1−二置換アルケン化合物の過剰な安定化をもたらすことで、化合物の全体の質及び反応性を減少させることがある。用語「ケト」は、ケタール官能性を有する分子;即ち、2つの−OR基に結合する炭素を含有する分子を指す。ここで、Oは酸素であり、Rは任意のアルキル基を表す。用語「揮発性」及び「不揮発性」は、揮発性の場合には常温及び標準圧で容易に蒸発することができ、または、不揮発性の場合には常温及び標準圧で容易に蒸発することができない化合物を指す。本明細書中で使用される場合、用語「安定化」(例えば、「安定化」1,1−二置換アルケン化合物または同を含むモノマー組成物の文脈では)は、活性剤で活性化する前に、時間と共に実質的に重合しない、実質的に硬くならない、ゲルを実質的に形成しない、実質的に厚くならない、またはあるいは時間と共に粘度を実質的に増加させない、及び/または時間と共に硬化速度の最小限の損失を実質的に示す(即ち、硬化速度が維持される)化合物(またはモノマー組成物)の傾向性を指す。本明細書中で使用される場合、用語「保管寿命」(例えば、改善された「保管寿命」を有する1,1−二置換アルケン化合物の文脈と同様に)は、所与の期間;例えば、1ヵ月、6ヵ月、またはさらに1年以上にわたって安定化される1,1−二置換アルケン化合物を指す。本明細書中で使用される場合、バルク重合は、1つ以上のモノマーを含む重合可能な組成物の重合を指す。ここで、1つ以上のモノマーの濃度は、室温で液体である重合可能な組成物中の化合物の総重量に基づいて、約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上(例えば、約100重量%)である。本明細書中で使用される場合、一般的に塊状の連鎖分布のモノマーを有する共重合体は、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、または約0.3以下のブロック状化指数を有するものとして特徴付けてもよい。
【0032】
ヒドロカルビル基(例えば、R
1及びR
2)の各々は、直鎖または分枝鎖アルキル、直鎖または分枝鎖アルケニル、直鎖または分枝鎖アルキニル、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールを含む。ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の主鎖中に1つ以上のヘテロ原子を随意に含んでもよい。ヒドロカルビル基は、モノマーまたはモノマーから調製されたポリマーの究極機能に負の影響を及ぼさない置換基で置換されてもよい。好ましい置換基としては、アルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アジド、カルボキシ、アシロキシ、及びスルホニル基が挙げられる。より好ましい置換基としては、アルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、及びヒドロキシル基が挙げられる。最も好ましい置換基としては、ハロ、アルキル、及びアルコキシ基が挙げられる。
【0033】
本明細書中で使用される場合、アルカリールは、アリール基が結合したアルキル基を意味する。本明細書中で使用される場合、アラルキルは、アルキル基が結合したアリール基を意味し、ジフェニルメチル基またはジフェニルプロピル基などのアルキレン架橋アリール基を含む。本明細書中で使用される場合、アリール基は、1つ以上の芳香族環を含んでもよい。シクロアルキル基は、1つ以上の環を含有する基、架橋環を随意に含む基を含む。本明細書中で使用される場合、アルキル置換シクロアルキルは、シクロアルキル環に結合する1つ以上のアルキル基を有するシクロアルキル基を意味する。
【0034】
好ましいヒドロカルビル基としては、1〜30炭素原子、より好ましくは1〜20炭素原子、最も好ましくは1〜12炭素原子が挙げられる。主鎖中にヘテロ原子を有する好ましいヒドロカルビル基は、1つ以上のアルキルエーテル基または1つ以上のアルキレンオキシ基を有するアルキルエーテルである。好ましいアルキルエーテル基は、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシである。
【0035】
1つ以上のヒドロカルビル基(例えば、R
1、R
2、または両方)は、C
1−15直鎖または分枝鎖アルキル、C
1−15直鎖または分枝鎖アルケニル、C
5−18シクロアルキル、C
6−24アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリールを含むのが好ましい。より好ましくは、ヒドロカルビル基は、C
1−8直鎖または分枝鎖アルキル、C
5−12シクロアルキル、C
6−12アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリールを含む。
【0036】
好ましいアルキル基としては、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル、ヘキシル、エチルペンチル、ヘプチル及びオクチル基が挙げられる。より好ましいアルキル基としては、メチル及びエチルが挙げられる。好ましいシクロアルキル基としては、シクロヘキシル及びフェンキルが挙げられる。好ましいアルキル置換基としては、メンチル及びイソボルニルが挙げられる。
【0037】
カルボニル基に付着した最も好ましいヒドロカルビル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェンキル、メンチル、及びイソボルニルが挙げられる。
【0038】
1,1−二置換アルケンモノマー(例えば、1,1−二置換エチレンモノマー)は、2つのカルボニル(例えば、エチレンに結合したエチレン)を含み、同じであり且つ両方が直接接続したヒドロカルビル基、または酸素原子によって2つのカルボニルに両方が接続したヒドロカルビル基を有する対称モノマーであってもよい。
【0039】
1,1−二置換アルケンモノマー(例えば、1,1−二置換エチレンモノマー)は、2つのカルボニル(例えば、エチレンに結合したエチレン)を含み、異なるヒドロカルビル基、及び/または2つのカルボニルに別々に結合している(例えば、1つは直接結合し、1つは酸素原子によって結合している)ヒドロカルビル基を有する非対称モノマーであってもよい。
【0040】
特に好ましいモノマーとしては、メチレンマロン酸メチルプロピル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ジイソプロピル、メチレンマロン酸ブチルメチル、メチレンマロン酸エトキシエチルエチル、メチレンマロン酸メトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジペンチル、メチレンマロン酸エチルペンチル、メチレンマロン酸メチルペンチル、メチレンマロン酸エチルエチルメトキシル、メチレンマロン酸エトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ブチルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジエチル(DEMM)、メチレンマロン酸ジエトキシエチル、メチレンマロン酸ジメチル、ジ−N−プロピルメチレンマロン酸、メチレンマロン酸エチルヘキシル、メチレンマロン酸メチルフェンキル、メチレンマロン酸エチルフェンキル、メチレンマロン酸2フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸3フェニルプロピルエチル、及びメチレンマロン酸ジメトキシエチルが挙げられる。
【0041】
1,1−二置換アルケンのいくつかまたは全ては、2つ以上の中心核単位、したがって、2つ以上のアルケン基を有する多官能性であってもよい。例示の多官能性1,1−二置換アルケンを式で示す:
【化3】
式中、R
1、R
2及びXは、上記で定義した通りであり、nは、1以上の整数であり、Rは、ヒドロカルビル基であり、及び1,1−二置換アルケンは、n+1アルケンを有する。好ましくは、nは、1〜約7であり、より好ましくは1〜約3、さらにより好ましくは1である。例示の実施形態では、R
2は、出現毎に別々に、直鎖または分枝鎖アルキル、直鎖または分枝鎖アルケニル、直鎖または分枝鎖アルキニル、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の主鎖中の1つ以上のヘテロ原子を含有してもよく、化合物または化合物から調製されたポリマーの究極機能に負の影響を及ぼさない置換基で置換されてもよい。例示の置換基は、R
1に対して有用なものとして開示されたものである。特定の実施形態では、R
2は、出現毎に別々に、C
1−15直鎖または分枝鎖アルキル、C
2−15直鎖または分枝鎖アルケニル、C
5−18シクロアルキル、C
6−24アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリール基である。特定の実施形態では、R
2は、出現毎に別々に、C
1−8直鎖または分枝鎖アルキル、C
5−12シクロアルキル、C
6−12アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリール基である。
【0042】
1つ以上のモノマーが、直接結合(例えば、炭素−炭素結合)または酸素原子を介してカルボニル基の各々に結合したヒドロカルビル基を有する1,1−二置換アルケン化合物であるコモノマー、例えば、上述の1つ以上の特徴を有するモノマーを含んでもよいことが、本明細書の教示に従って理解されるであろう。含まれるとすれば、コモノマーは、1,1−二置換アルケン化合物ではないモノマーで随意的にあってもよい。アニオン重合またはフリーラジカル重合が可能な任意のコモノマーを採用してもよい。例えば、コモノマーは、1,1−二置換アルケン化合物と共にランダム共重合体を形成することができ、1,1−二置換アルケン化合物と共にブロック共重合体を形成することができ、または両方を形成することができてもよい。
【0043】
1,1−二置換アルケンモノマーは、重合できるように十分に高い純度をもたらす方法を用いて調製するのが好ましい。1,1−二置換アルケン化合物の純度は、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらにより好ましくは95モル%以上、最も好ましくは99モル%以上の1,1−二置換アルケン化合物が重合プロセス中にポリマーに変換されるように十分に高くてもよい。1,1−二置換アルケン化合物の純度は、1,1−二置換アルケン化合物の総モルに基づいて、好ましくは約85モル%以上、より好ましくは約90モル%以上、さらにより好ましくは約93モル%以上、さらにより好ましくは約95モル%以上、さらにより好ましくは約97モル%以上、最も好ましくは約97モル%以上である。1,1−二置換アルケン化合物が不純物を含む場合、好ましくは約40モル%以上、より好ましくは約50モル%以上の不純物分子は、類似の1,1−二置換アルカン化合物である。ジオキサン基を有する任意の不純物の濃度は、1,1−二置換アルケン化合物の総モルに基づいて、好ましくは約2モル%以下、より好ましくは約1モル%以下、さらにより好ましくは約0.2モル%以下、最も好ましくは約0.05モル%以下である。(例えば、アルケンに水をマイケル付加することで)類似のヒドロキシアルキル基で置換されたアルケン基を有する任意の不純物の総濃度は、1,1−二置換アルケン化合物中の総モルに基づいて、好ましくは約3モル%以下、より好ましくは約1モル%以下、さらにより好ましくは約0.1モル%以下、最も好ましくは約0.01モル%以下である。好ましい1,1−二置換アルケン化合物は、反応生成物または中間反応生成物(例えば、反応生成物、またはホルムアルデヒド及びマロン酸エステルの供給源の中間反応生成物)を蒸留する1つ以上の(例えば、2つ以上の)工程を含むプロセスによって調製される。
【0044】
ポリマーは、ホモポリマー、またはランダム共重合体またはブロック共重合体などの共重合体であってもよい。ホモポリマーまたは共重合体は、本明細書の教示による1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む。好ましくは、ポリマー中(またはブロック共重合体のポリマーブロック中)の1,1−二置換アルケンモノマーの総量は、ポリマーの総重量に基づいて、約2重量%以上、より好ましくは約5重量%、さらにより好ましくは約30重量%以上、さらにより好ましくは約50重量%以上、さらにより好ましくは約70重量%以上である。例えば、ポリマーは、1,1−二置換アルケンモノマーから本質的、または完全になってもよい。別の例として、ポリマーは、1,1−二置換アルケンを含有する化合物から独立して本質的、または完全になる1つ以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体であってもよい。
【0045】
ポリマーは、ブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体は、同じポリマー鎖上に2つ以上の異なるブロックをもたらす任意の方法によって調製してもよい。例えば、ブロック共重合体は、異なるポリマー鎖(例えば、末端グラフトとして、側方グラフトとして、または両方)を組み合わせること、または、重合中に異なるモノマーの多段階付加を含むプロセスを使用すること調製し、異なる組成物によるポリマーブロックを有するブロック共重合体を達成してもよい。例えば、ブロック共重合体は、第1のポリマーブロック(ブロックA)、及び第2のポリマーブロック(ブロックB)を有してもよい。ブロック共重合体は、2以上のブロック、または3以上のブロックを有してもよい。Aブロック及びBブロックは、同じ(しかしながら、異なる濃度で)である少なくとも1つのモノマーを含んでもよく、または異なるモノマーのみを含んでもよい。例えば、Aブロックは、第1のモノマーのホモポリマーであってもよく、Bブロックは、各々が第1のモノマーとは異なる1つ以上の第2のモノマーを含んでもよい。第1のポリマーブロックは、ホモポリマーまたは共重合体(例えば、ランダム共重合体)であってもよい。第2のポリマーブロックは、ホモポリマーまたは共重合体(例えば、ランダム共重合体)であってもよい。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックの各々は、本明細書の教示による1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含むのが好ましい。好ましくは、第1のポリマーブロック中及び/または第2のポリマーブロック中の1,1−二置換アルケンモノマーの量は、ポリマーブロックの総重量に基づいて、約30重量%以上、好ましくは約50重量%以上、さらにより好ましくは約70重量%以上である。例えば、1つ以上のポリマーブロックは、1,1−二置換アルケンモノマー(複数可)から本質的または完全になってもよい。1つ以上のブロックは、任意の1,1−二置換アルケンを含有する化合物を本質的または完全に含まなくてもよいことが理解されるであろう。例えば、1つ以上のポリマーブロックは、1つ以上の共役ジエンモノマー及び/または1つ以上のスチレンモノマーを含んでもよい。
【0046】
ポリマーは、モノマー、及び/またはモノマーのポリマーへの高い変換をもたらす方法を用いて調製するのが好ましい。モノマーのポリマーへの変換は、
図1A及び
図1Bに示すような、1,1−二置換アルケンモノマーを重合する伝播反応の初期及び後期の段階に対応するNMR分光法を用いて測定してもよい。ここでは、モノマーは、メチレンマロン酸ジエチルであり、モノマーの濃度は、モノマーの反応性二重結合に対応する約6.45ppm 40でのピークで監視することができる。ヘキサメチルジシロキサンは、ここでは内部標準(即ち、内部参照)42として使用し、約0ppmで見られる。他の化合物を内部標準として採用してもよいことが理解されるであろう。
図1Aでは、NMRスペクトログラムは、モノマーの開始剤に対するモル比が約100:1で、安息香酸ナトリウムで開始させた試料から採取した第1アリコート上で測定した。第1アリコートは、反応を室温で約30秒間伝播させた後に採取した。第1アリコートを酸で急冷し、伝播反応を停止させた。
図1Bは、約5分の伝播反応後に同じ試料から採取した第2アリコートからのNMRスペクトログラムを示す。
図1Bで分かるように、モノマーは、約6.45ppm 40での反応性二重結合ピークがないことによって証明されるように、もはや検出可能ではない。
【0047】
本明細書の教示によるポリマーは、約700g/モル以上、より好ましくは約2,000g/モル以上、さらにより好ましくは約10,000g/モル以上、最も好ましくは約20,000g/モル以上の数平均分子量または重量平均分子量を有するのが好ましい。ポリマーの分子量は、ポリマーが容易に処理され得るように十分に低くてもよい。数平均分子量または重量平均分子量は、好ましくは約3,000,000g/モル以下、より好ましくは約1,000,000g/モル以下、さらにより好ましくは約500,000g/モル以下、最も好ましくは約200,000g/モル以下である。
【0048】
ポリマーは、約40,000g/モル以下、約30,000g/モル以下、または約20,000g/モル以下の数平均分子量を有する比較的低分子量のポリマーであってもよい。ポリマーは、40,000g/モル以上、約60,000g/モル以上、または約100,000g/モル以上の数平均分子量を有する比較的高分子量のポリマーであってもよい。
【0049】
ポリマーは、約1.00以上または約1.05以上の多分散性指標によって特徴付けられてもよい。ポリマーは、約10以下、好ましくは約7以下、より好ましくは約4以下、最も好ましくは約3以下の多分散性指標によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、多分散性指標が約2.3以下、約1.9以下、約1.7以下、約1.5以下、または約1.3以下になるような狭い分子量分散を有してもよい。
【0050】
ポリマーの分子量は、
図5A、5B、5C、5D、及び6に示すように、ゲル浸透クロマトグラフィー(即ち、GPC)を用いて測定してもよい。
図6は、エマルション系中のメチレンマロン酸ジエチルを重合することによって調製したホモポリマーのGPC曲線を示す。反応は、約100%のモノマーがポリマーに変換されるまで継続させた。このサンプルは、ポリマーの分子量特徴(例えば、重量平均分子量、ピーク分子量、数平均分子量、z平均分子量、及び多分散性指標)を算出するための面積50を定義する単一のピークを有する。GPC曲線58は、分の保持時間の関数として信号強度(濃度と相関する)を示す。較正曲線54の一例を
図6にも示す。較正曲線は、公知の分子量の一連のPMMA標準の保持時間を示す。この方法に基づいた分子量をこれらの標準で測定するための下限56は、約200ダルトンである。
図6で特徴付けたメチレンマロン酸ジエチルのポリマーは、約747の数平均分子量、約943の重量平均分子量、及び約1.26の多分散性指標(即ち、Mw/Mn)を有する。
図5A、5B、5C、及び5Dは、ブロック共重合体を調製する場合の分子量の逐次増加を示す。
図5Aは、第1のブロックを調製した後に測定し、
図5Bは、第2のポリマーブロックを調製するために重合を継続した後に測定する。
図5C及び5Dは、第3のポリマーブロック及び第4のポリマーブロックのそれぞれの逐次重合後に測定する。
【0051】
本明細書の教示によるポリマーは、エラストマーとして特徴付けられてもよい。例えば、ポリマーは、融解温度が実質的になく(例えば、約5%以下、または3%以下、または1%以下の結晶化、または約15℃以上の融解温度がない)、かつ、約15℃以上のガラス転移温度が実質的になくてもよい。
【0052】
本明細書の教示によるポリマーは、約15℃以上、約50℃以上、約80℃以上、約100℃以上、または約120℃以上の融解温度及び/またはガラス転移温度を有する熱可塑性物質として特徴付けられてもよい。高ガラス転移温度を有するポリマーには、非晶質状態でポリマー分子の移動度を減少させる立体障害をもたらす嵩高いヒドロカルボニル基を有するものが含まれる。熱可塑性物質の融解温度及び/またはガラス転移温度は、約250℃以下、約200℃以下、または約150℃以下であってもよい。
【0053】
ポリマーは、1つ以上の高ガラス転移温度モノマー、1つ以上の低ガラス転移温度モノマー、または両方を含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「高ガラス転移温度モノマー」及び「低ガラス転移温度モノマー」は、モノマーから調製されたホモポリマーの最大ガラス転移温度を指し、約50,000ダルトン以上の分子量を有するホモポリマーのガラス転移によって推定してもよい。例えば、ポリマーは、第1のモノマー及び第2のモノマーを含む共重合体であってもよく、第1のモノマーは、高ガラス転移温度モノマーである1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む。第2のモノマーは、1つ以上の低ガラス転移温度モノマーを含んでもよい。
【0054】
ポリマーは、1つ以上の高ガラス転移温度モノマーを含む第1のポリマーブロックを有するブロック共重合体であってもよい。例えば、第1のポリマーブロック中の高ガラス転移温度モノマーの量は、第1のポリマーブロックが約15℃以上(例えば、約25℃以上、約35℃以上、約50℃以上、約80℃以上、または約100℃以上)のガラス転移温度または融解温度によって特徴付けられるように十分であってもよい。高ガラス転移温度モノマーは、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む、から実質的になる、またはから完全になるのが好ましい。
【0055】
ブロック共重合体は、1つ以上の低ガラス転移温度モノマーを含む第2のポリマーブロックを有してもよい。第2のポリマーブロック中の低ガラス転移温度モノマーの濃度は、第2のポリマーブロックが15℃を上回る融解温度を持たず、かつ、15℃未満(例えば、約10℃以下、約0℃以下、または約−20℃以下)のガラス転移温度を有するものとして特徴付けられるように十分に高いのが好ましい。低ガラス転移温度モノマーは、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む、から実質的になる、またはから完全になるのが好ましい。
【0056】
高ガラス転移温度モノマーは、高ガラス転移温度を有するポリマーをもたらす1つ以上のヒドロカルビル基を含んでもよい。例えば、ヒドロカルビル基(その存在が一般的に高ガラス転移温度を有するポリマーをもたらす)としては、アリール基、アラルキル基、アリール基が1炭素原子に結合したアルカリール基、シクロアルキル基、1炭素原子上にシクロアルキル基を有するアルキル基、または分枝アルキル基が挙げられ、1炭素原子は第三級であり、または1及び2炭素原子は第二級である。特定の実施形態では、ヒドロカルビル基(その存在がそれから形成されるポリマーのTgを増加させる)としては、環状テルペン、アルキル置換シクロアルキル、アダマンチル、フルフリル、第三級ブチル基、またはそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、ヒドロカルビル基(その存在がそれから形成されるポリマーのTgを増加させる)としては、フェンキル、メンチル、シクロヘキシル、2−フェニルプロピル、またはイソボルニル基が挙げられる。それから調製されたポリマーのガラス転移温度を増加させるカルボニル炭素上に1つ以上のヒドロカルビル基を有する例示の1,1−二置換アルケンは、上に提示された式1及び2で示す。特定の実施形態では、1,1−二置換アルケン上のヒドロカルビル基上の置換基は、アルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アジド、カルボキシ、アシロキシ、及びスルホニル基を含んでもよく、より好ましい置換基としては、アルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、及びヒドロキシル基が挙げられ、ハロ、アルキル及びアルコキシがさらにより好ましい。特定の実施形態では、R
1は、出現毎に別々に、1炭素原子が第三級であるかまたは1及び2炭素原子が第二級であるC
4−15分枝鎖アルキル、1炭素原子が第三級であるかまたは1及び2炭素原子が第二級であるC
4−15分枝鎖アルケニル、C
5−18シクロアルキル、C
6−24アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリール基である。特定の実施形態では、R
1は、出現毎に別々に、1炭素原子が第三級であるかまたは1及び2炭素原子が第二級であるC
4−8分枝鎖アルキル、C
5−12シクロアルキル、C
6−12アルキル置換シクロアルキル、C
4−18アリール、C
4−20アラルキル、またはC
4−20アルカリール基である。特定の実施形態では、R
1は、出現毎に別々に、第三級ブチル、フェンキル、メンチル、シクロヘキシル、2−フェニルプロピル、フルフリル、アダマンチル、及びイソボルニルである。
【0057】
高ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマーは、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェンキルメチル、メチレンマロン酸フェンキルエチル、メチレンマロン酸メンチルエチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸シクロヘキシルエチル、メチレンマロン酸イソボルニルエチル、メチレンマロン酸ベンジルエチル、メチレンマロン酸ベンジルメチル、及びメチレンマロン酸ジベンジルからなる群から選択される1つ以上のモノマーを含む、から本質的になる、またはから完全になってもよい。好ましくは、第1のポリマーブロックは、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルメチル、メチレンマロン酸フェンキルメチル、メチレンマロン酸フェンキルエチル、メチレンマロン酸メンチルエチル、メチレンマロン酸フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸ジシクロヘキシル、メチレンマロン酸シクロヘキシルエチル、メチレンマロン酸イソボルニルエチル、メチレンマロン酸ベンジルエチル、メチレンマロン酸ベンジルメチル、メチレンマロン酸ジベンジル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーの約50重量%以上(より好ましくは約80重量%以上、最も好ましくは約90重量%以上)を含む。
【0058】
低ガラス転移温度モノマーは、低ガラス転移温度を有するポリマーを一般的にもたらすヒドロカルビル基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのようなヒドロカルビル基は、ホモ重合する場合には、15℃以下(例えば、0℃以下)のガラス転移温度を有するポリマーを調製することが望ましい場合がある。これらの基準を満たす例示のヒドロカルビル基としては、出現毎に、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有するアルキル、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有するアルケニル、アリール基がXから3以上の炭素原子である炭素原子に結合しているアルカリール、シクロアルキル基がXから3以上の炭素原子である炭素原子に結合しているアルキル基、またはポリアルキレンエーテルが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなヒドロカルビル基には、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有する直鎖C
1−8アルキル基、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有する直鎖C
1−8アルケニル基、アルコキシ基、ポリアルキレンエーテル基などが含まれる。特定の実施形態では、ヒドロカルビル基は、メチルまたはエチルであってもよい。式1〜3では、好ましくは、R
2は、出現毎に別々に、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有するアルキル、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有するアルケニル、アリール基がXから3以上の炭素原子である炭素原子に結合しているアルカリール、Xから3以上の炭素原子である炭素原子に結合しているシクロアルキル基を有するアルキル基、またはポリアルキレンエーテルである。いくつかの実施形態では、R
2は、出現毎に別々に、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有する直鎖C
1−8アルキル基、第一級の1炭素原子または第二級の1炭素原子及び第一級の2炭素原子を有する直鎖C
1−8アルケニル基、アルコキシ基、ポリアルキレンエーテル基などである。いくつかの実施形態では、R
2は、出現毎に別々に、メチルまたはエチルである。
【0059】
低ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマーは、メチレンマロン酸メチルメトキシエチル、メチレンマロン酸エチルエトキシエチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ペンチルエチル及びメチレンマロン酸ジペンチルからなる群から選択される1つ以上のモノマーを含む、から本質的になる、またはから完全になってもよい。好ましくは、第2のポリマーブロックは、メチレンマロン酸メチルメトキシエチル、メチレンマロン酸エチルエトキシエチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、メチレンマロン酸ペンチルエチル、メチレンマロン酸ジペンチル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーの約50重量%以上(より好ましくは約80重量%以上、最も好ましくは約90重量%以上)を含む。
【0060】
高ガラス転移温度を有するポリマーまたはポリマーブロックは、1つ以上の高ガラス転移温度モノマーに加えて1つ以上の低ガラス転移温度モノマーを含んでもよいことが理解されるであろう。そのようなポリマーまたはポリマーブロック中の低ガラス転移温度モノマーの量は、ポリマーまたはポリマーブロックのガラス転移温度が約25℃以上、約35℃以上、約50℃以上、約80℃以上、約100℃以上、または約120℃以上であるように十分に少なくすべきである。そのようなブロック中の低ガラス転移温度モノマーの量は、ポリマー/ポリマーブロック中の高ガラス転移温度モノマーのガラス転移温度(複数可)によって影響を受けてもよい。好ましくは、そのようなポリマー/ポリマーブロック中の低ガラス転移温度モノマーの総濃度は、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、または約5重量%以下である。
【0061】
本明細書の教示によるブロック共重合体は、2つ以上のポリマーブロックを含んでもよい。例えば、ブロック共重合体は、2、3、4、5以上のブロックを有してもよい。隣接のポリマーブロック(例えば、Aブロック、Bブロック、及び随意にさらなるブロック)は、異なるモノマー、異なる濃度のモノマー、または両方を有する。各ポリマーブロックは、約15以上、より好ましくは約30以上、最も好ましくは約50以上の重合度を有するのが好ましい。ブロック共重合体は、ジブロック共重合体またはトリブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体は、1つ以上のAブロック及び1つ以上のBブロックを含む。ブロックは、ブロックの末端で接続していてもよく、または一方のブロックは、他方のブロックの長さに沿って配置されてもよい。例えば、ブロック共重合体は、以下の構造:A−B、A−B−A、B−A−B、A−B−A−B、A−B−A−B−A、またはB−A−B−A−Bの1つ以上を有してもよい。ブロック共重合体は、Aブロック及びBブロックとは異なるCブロックを含んでもよい。例えば、ブロック共重合体は、以下のブロック構造:A−B−C、A−C−B、またはC−A−Bを含むかまたはからなってもよい。
【0062】
ブロック共重合体は、ブロック共重合体が室温で複数の相を有するように混和性ではないポリマーブロックを含んでもよい。したがって、ブロック共重合体は、第1のポリマーブロックに対応する第1のガラス転移温度、及び第2のポリマーブロックに対応する第2のガラス転移温度を有してもよい。ブロックのガラス転移温度は、特定のブロックで使用したモノマー(複数可)に基づいて、及び/または末端効果(ブロック中のモノマー単位数の効果を含む)に基づいて目的にあったものであってもよいことが理解されるであろう。説明のために、以下のものから本質的または完全になるポリマーブロック:(1)メチレンマロン酸ジエチルホモポリマーは、約25℃〜約45℃(好ましくは約30℃)のガラス転移温度を有すると期待され、(2)メチレンマロン酸フェンキルメチルは、約145℃〜約195℃(好ましくは約151℃)のガラス転移温度を有すると期待され、(3)メチレンマロン酸メチルメトキシエチルは、約−15℃〜約+10℃(好ましくは約0℃)のガラス転移温度を有すると期待され、(4)メチレンマロン酸ヘキシルエチルは、約−20℃〜約10℃(好ましくは約−5℃)のガラス転移温度を有すると期待され、(5)メチレンマロン酸ジヘキシルは、約−55℃〜約−35℃(好ましくは約−44℃)のガラス転移温度を有すると期待される。複数のガラス転移温度、例えば、第1のポリマーブロックに特有の第1のガラス転移温度及び第2のポリマーブロックに特有の第2のガラス転移温度を有するブロック共重合体を調製することが可能であってもよい。いくつかのブロック共重合体では、単一ガラス転移が観察され、それは、単一相が形成されることを示す、2つのポリマーブロックが実質的に同じガラス転移温度(例えば、約20℃以下または約10℃以下の差)を有することを示す、または両方を示す。
【0063】
ブロック共重合体は、ブロック共重合体が約25℃以上(好ましくは約50℃以上)のガラス転移温度によって特徴付けられる高ガラス転移温度ブロックを含むように、十分な濃度の1つ以上の高ガラス転移温度モノマー(複数可)(例えば、高ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマー(複数可))を有するブロックを含んでもよい。高ガラス転移温度ブロックは、約250℃以下または約200℃以下のガラス転移温度を有するのが好ましい。ブロック共重合体は、ブロック共重合体が約15℃以下(好ましくは約0℃以下)のガラス転移温度によって特徴付けられる低ガラス転移温度ブロックを含むように、十分な濃度の1つ以上の低ガラス転移温度モノマー(複数可)(例えば、低ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマー(複数可))を有するブロックを含んでもよい。低ガラス転移温度ブロックは、約−100℃以上または約−80℃以上のガラス転移温度を有するのが好ましい。
【0064】
本明細書の教示による共重合体(例えば、ランダム共重合体またはブロック共重合体)は、約2重量%〜約98重量%の第1のモノマー及び約2重量%〜約98重量%の第2のモノマーを含み、第1のモノマーは、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマー(好ましくは1つ以上の1,1-二置換エチレンモノマー)を含む。共重合体は、1つ以上のさらなるモノマーを含んでもよい。第2のモノマー及び/またはさらなるモノマーは、1,1−二置換アルケンモノマーであってもよく、または1,1−二置換アルケンモノマーではないモノマーであってもよいことが理解されるであろう。共重合体中の1,1−二置換アルケンモノマー(複数可)の総濃度は、共重合体の総重量に基づいて、約30重量%以上、約50重量%以上、または約70重量%以上であってもよい。いくつかの実施形態では、共重合体は、1,1−二置換アルケンモノマーから本質的または完全になる。例えば、共重合体中の1,1−二置換アルケンモノマーの総濃度は、共重合体の総重量に基づいて、約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、または約99重量%以上であってもよい。第1のモノマーは、共重合体の総重量に基づいて、約10重量%以上(例えば、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、または約60重量%以上の濃度で存在するのが好ましい。第1のモノマーは、共重合体の総重量に基づいて、約95重量%以下、より好ましくは約90重量%以下、さらにより好ましくは約85重量%以下、最も好ましくは約80重量%以下の濃度で存在するのが好ましい。第2のモノマーは、共重合体の総重量に基づいて、約5重量%以上、より好ましくは約10重量%以上、さらにより好ましくは約15重量%以上、最も好ましくは約20重量%以上の濃度で存在するのが好ましい。第2のモノマーは、共重合体の総重量に基づいて、約90重量%以下(例えば、約80重量%以下、約75重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、または約40重量%以下)の濃度で存在するのが好ましい。第1のモノマーは、本明細書の教示による1つ以上の高ガラス転移温度モノマーを含むかまたはから本質的になってもよい。第2のモノマーは、本明細書の教示による1つ以上の低ガラス転移温度モノマーを含む、から本質的になる、またはから完全になってもよい。
【0065】
本明細書の教示による第1のモノマー及び第2のモノマーを含むランダム共重合体は、(例えば、第1のモノマーのホモポリマー及び第2のモノマーのホモポリマーの混合物が、同じ濃度で、複数のガラス転移温度を示す場合であっても)単一のガラス転移温度を有するのが好ましい。ホモポリマーは、メチレンマロン酸2−フェニル−1−プロピルエチルのホモポリマーについては
図2(約59.4℃のTg)及びメチレンマロン酸フェンキルメチルのホモポリマーについては
図3(約146.9℃のTg)に示すような単一のガラス転移温度を有してもよい。(モノマーA及びモノマーBの)ランダム共重合体は、対応するホモポリマー(ホモポリマーA及びホモポリマーB)、例えば、
図4に示す、約86.3℃の単一のガラス転移温度を有する、メチレンマロン酸2−フェニル−1−プロピルエチル(約50重量%)及びメチレンマロン酸フェンキルメチル(約50重量%)のランダム共重合体のガラス転移間に1つ以上のガラス転移温度(好ましくは単一のガラス転移温度)を有してもよい。
【0066】
本明細書の教示によるポリマーは、ランダム共重合体、及び/またはランダム共重合体であるポリマーブロックを有するブロック共重合体であってもよい。ランダム共重合体は、(例えば、約50モル%以上の濃度で存在する)主モノマーと、ポリマー鎖を介してランダムに分布し、50モル%未満の濃度を有する副モノマーとを含んでもよい。ランダム共重合体の特性は、一般的に、主モノマーから完全になるホモポリマーの特性とは異なるであろう。例えば、副モノマーの量が約0.5モル%から約49.5モル%に増加すると、ランダム共重合体のガラス転移温度は、主モノマーに特有のガラス転移温度から副モノマーに特有のガラス転移温度へとシフトし得る。ランダム共重合体として調製する場合、ポリマーは、典型的に、(例えば、主モノマーのホモポリマーと副モノマーのホモポリマーの混合物が、同じ濃度で、複数のガラス転移温度を示す場合であっても)単一のガラス転移温度を有する。
【0067】
本明細書の教示によるポリマーまたはポリマーブロックは、主モノマー(即ち、ポリマーまたはポリマーブロックの総重量に基づいて、約50重量%以上の濃度で存在するモノマー)を含んでもよい。主モノマーは、ポリマーの総重量及び/またはポリマーブロックの総重量に基づいて、約60重量%以上、約70重量%以上、または約80重量%以上、または約90重量%以上の濃度で存在してもよい。ポリマーまたはポリマーブロックは、1つ以上の副モノマー(即ち、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーブロックの総重量に基づいて、または両方の総重量に基づいて、50重量%未満の濃度で存在するモノマー)を含んでもよい。
【0068】
主モノマーのホモポリマーは、半結晶性ポリマーであってもよい。典型的には、ランダム共重合体(またはランダム共重合体であるポリマーブロック)を調製するのに副モノマーを添加する場合、副モノマーは、主モノマーが結晶化する能力を少なくとも一部阻害し、低結晶化度、低曲げ弾性率、低融解温度、またはそれらの任意の組み合わせなどの、ホモポリマーとは異なる特性を有するランダム共重合体をもたらす。例えば、副モノマーの選択及び/またはランダム共重合体中の副モノマーの量は、ランダム共重合体が(即ち、主モノマーのホモポリマーに対して)約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、または約20℃以上まで低下した融解温度を有するようにしてもよい。副モノマーの選択及び/またはランダム共重合体中の副モノマーの量は、ランダム共重合体が(即ち、主モノマーのホモポリマーに対して)約10%以上、約20%以上、40%以上、または約60%以上まで低下した結晶化度を有するようにしてもよい。
【0069】
ポリマーは、少なくとも第1のポリマーブロックと第1のポリマーブロックとは異なる第2のポリマーブロックとを含むブロック共重合体であってもよい。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、以下の特性:ピーク融解温度、最終融解温度、結晶化度、ガラス転移温度、曲げ弾性率、引張弾性率、破損伸長、気体遮断性、または密着性の1つまたは任意の組み合わせに関して異なってもよい。例えば、第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、約10℃以上、約20℃以上、約30℃以上、または約50℃以上まで異なる融解温度(ピーク融解温度及び/または最終融解温度)を有してもよい。一方のポリマーブロックは、融解温度を有してもよく、他方のポリマーブロックは、測定可能な融解温度がないように結晶性ポリマーを含まなくてもよいことが理解されるであろう。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、約10℃以上、約20℃以上、約30℃以上、または約40℃以上まで異なるガラス転移温度を有してもよい。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、または約30%以上まで異なる結晶化度を有してもよい。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、約1.5以上、約2以上、約4以上、約8以上、または約15以上の比を有する弾性率(例えば、曲げ弾性率、引張弾性率、または両方)を有してもよい。第1のポリマーブロック及び第2のポリマーブロックは、約2以上、約3以上、約4以上、または約6以上の破損伸長比及び/または引張強度比を有してもよい。
【0070】
ランダム共重合体中のブロック性の程度(即ち、ブロック状化指数、またはBI)は、第2のモノマーに付加された第1のモノマー(例えば、1,1−二置換アルケン化合物である主モノマー)のダイアド分率(f(M1−M2))に、第1のモノマーに付加された第2のモノマーのダイアド分率(f(M2−M1))を加えた濃度の、統計学的ランダム共重合体についてのダイアド分率の理論的濃度(2X
M1(1−X
M1))、式中、X
M1は第1のモノマーのモル分率である)に対する比率によって算出することができる:
BI=(f(M1−M2)+f(M2−M1))/(2X
M1(1−X
M2))
定義により、真の統計学的ランダム共重合体は、1のBI(1.0)を有する。ブロック状ランダム共重合体は、より低い濃度のM1−M2及びM2−M1ダイアド分率を有することになり、BIが1.0よりも小さくなる。ブロック共重合体は、非常に低い濃度のM1−M2及びM2−M1ダイアド分率を有することになり、BIが1よりもはるかに小さくなり、ゼロに近づく。一方、X
M1が0.5以上である交互共重合体は、BI=1+(1/X
M1)を有する。ダイアド分率の濃度及びX
M1は、Yi−Jun Huange et al.“Random Copolymers of Propylene Oxide and Ethylene Oxide Prepared by Double Metal Cyanide Complex Catalyst”,Chinese Journal of Polymer Science、20:5、2002、pages 453〜459(これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載される類似のピーク割当及び技術を使用して、
13C−NMR分光法を使用して測定することができる。
【0071】
好ましいランダム共重合体は、約0.60以上、より好ましくは約0.70以上、さらにより好ましくは約0.75以上、さらにより好ましくは約0.80以上、さらにより好ましくは約0.85以上、さらにより好ましくは約0.90以上、最も好ましくは約0.95以上のBIを有する。好ましいランダム共重合体は、好ましくは約1+(0.8/x
M1)未満、より好ましくは約1+(0.5/x
M1)、さらにより好ましくは約1+(0.25/x
M1)未満、最も好ましくは約1+(0.10/x
M1)未満のBIを有し、x
M1は、共重合体中の主モノマーのモル分率であり、x
M1は、少なくとも0.5である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ホモポリマーまたはランダム共重合体は、ポリマーが約25℃以上(好ましくは約50℃以上)のガラス転移温度によって特徴付けられる高ガラス転移温度ポリマーであるように、十分な濃度の1つ以上の高ガラス転移温度モノマー(例えば、高ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマー(複数可))を含む。高ガラス転移温度ポリマーは、約250℃以下または約200℃以下のガラス転移温度を有するのが好ましい。
【0073】
いくつかの実施形態では、ホモポリマーまたはランダム共重合体は、ポリマーが約15℃以下(好ましくは約0℃以下)のガラス転移温度によって特徴付けられる低ガラス転移温度ポリマーであるように、十分な濃度の1つ以上の低ガラス転移温度モノマー(複数可)(例えば、低ガラス転移温度の1,1−二置換アルケンモノマー(複数可))を含む。低ガラス転移温度ポリマーは、約−100℃以上または約−80℃以上のガラス転移温度を有するのが好ましい。
【0074】
2つ以上の異なる1,1−二置換アルケンモノマーの組み合わせは、以下の特性:重ねせん断強度(即ち、重ねせん断強度の増加)、凝結時間(即ち、凝結時間の短縮)、または耐久性(即ち、環境暴露後の重ねせん断強度の保持の増加)の1つ以上の改善をもたらし得る。例として、遅い凝結時間及び高い重ねせん断強度を有する第1のモノマーと、速い凝結時間及び低い重ねせん断強度を有する第2のモノマーとの組み合わせは、速い凝結時間及び高い重ねせん断強度の改善された組み合わせを有するモノマー組成物をもたらし得る。(例えば、窓ガラス基板上、または第二級開始剤を塗布した、ピルビン酸ナトリウムを有する冷延鋼基板上の)組成物の凝結時間は、好ましくは約60分以下、より好ましくは約30分以下、さらにより好ましくは約10分以下、最も好ましくは約1分以下である。窓ガラス基板上を室温で24時間硬化した後の重ねせん断強度は、好ましくは約1MPa以上、より好ましくは約1.4MPa以上、最も好ましくは約1.6MPa以上である。第二級開始剤を塗布した、ピルビン酸ナトリウムを有する冷延鋼基板上を室温で24時間硬化した後の重ねせん断強度は、好ましくは約3MPa以上、より好ましくは約5MPa以上、さらにより好ましくは約6MPa以上、最も好ましくは約8MPa以上である。第二級開始剤を塗布した、ピルビン酸ナトリウムを有する冷延鋼基板上を室温で72時間硬化した後の重ねせん断強度は、好ましくは約8MPa以上、より好ましくは約8.5MPa以上、さらにより好ましくは約9MPa以上、最も好ましくは約9.5MPa以上である。
【0075】
重ねせん断強度サンプルは、一般的に、約97重量%以上の1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む種々の高分子組成物を用いて、ASTM D1002(せん断強度は、50mm/分の速度で、インストロン上で測定した)に従って調製する。重ねせん断強度は、室温で1時間、24時間、及び72時間硬化させた後に測定した。次いで、72時間硬化させたいくつかの試料を、約60〜90分間熱湯中で耐久性について、約40℃の温度を有する水と一般洗剤とを用いた、10サイクル後の食洗機環境中で耐久性について試験した。いくつかの研究では、ロックタイトガラス接着剤、市販のガラス接着剤を使用した対照を採用した。重ねせん断サンプルは、一般的にゼロギャップであり、結合ラインは低い。高分子組成物の凝結時間は、組成物がせん断において約4.54kgの重量を10秒間支えるのに十分硬化する時間によって決定される。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、長鎖分岐を含まない直鎖ポリマーである。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、長鎖分岐を含む。例えば、ポリマーは、1、2、3、4、5、6以上の長鎖分岐を有してもよい。長鎖分岐の量は、1つ以上のレオロジー特性(例えば、溶液中のゼロせん断粘度、バルクポリマーのゼロせん断粘度、溶融粘度、または溶融流量)が著しく影響を受けるように十分であってもよい。例えば、長鎖分岐を含むポリマーの溶融流量(ASTM D1238に従って測定した)は、同じモノマーと同じ総分子量を有する直鎖ポリマーと比較して、10%以上または25%以上まで変化してもよい。長鎖分岐は、約3以上モノマー単位、好ましくは約10以上モノマー単位の長さを有してもよい。長鎖分岐は、鎖の主鎖の側鎖からの分岐であってもよい。長鎖分岐は、ポリマー反応を開始及び/または停止する際に形成されてもよい。長鎖分岐を含むポリマーは、中心位置で接続した3、4、5、6、7以上のアームを含む星型ポリマーであってもよい。例えば、ポリマーは、多官能性求核試薬を用いて調製してもよい。好ましい星型ポリマーは、約同じ長さのアームを有する。例えば、星型ポリマーは、約50%未満だけ異なる、好ましくは約30%未満だけ異なる、または約20%未満だけ異なる分子量を有する2つのアームを有してもよい。
【0078】
長鎖分岐は、ポリマーの開始中、ポリマーの成長中(例えば、低濃度の適切な多官能性モノマーを用いて)、または停止反応中に形成されてもよい。
図9に示すように、長鎖分岐は、多官能性開始剤を用いて形成されてもよい。例えば、多官能性開始剤は、JEFFAMINE403などの多官能性アミンであってもよい。
【0079】
長鎖分岐はまた、多官能性停止剤を用いて形成されてもよい。多官能性停止剤は、複数の反応鎖末端と反応することができる任意の停止剤であってもよい。例として、多官能性停止剤は、テトラクロロシランなどの多官能性シランであってもよい。多官能性開始剤及び多官能性停止剤を採用することによって、停止ステップは、ポリマーの架橋をもたらし得ることが理解されるであろう。
【0080】
ポリマーは、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、プロセス安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、かぶり防止剤、溶媒、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、(例えば、充填剤の)カップリング剤、架橋剤、造核剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、顔料、着色剤、難燃添加剤、流動助剤、潤滑剤、スリップ剤、及びポリマー化合物の分野で公知の他の加工助剤などの1つ以上の添加剤を含む高分子組成物中に採用してもよい。適切な難燃剤としては、ハロゲンを含有する難燃剤、及びハロゲンを含有しない難燃剤が挙げられ得る。
【0081】
高分子組成物は、充填剤粒子(例えば、繊維、粉末、ビーズ、フレーク、顆粒など)などの1つ以上の他の充填剤を含んでもよい、充填剤粒子は、繊維(例えば、10よりも大きい各垂直方向に対する最長方向のアスペクト比を有する)であってもよい。充填剤粒子は、(例えば、10よりも小さい、8よりも小さい、または5よりも小さい垂直方向に対する最長方向のアスペクト比を有する)繊維ではない粒子であってもよい。充填剤は、有機物質及び/または無機物質から形成されてもよい。有機充填剤の例としては、バイオマスから得られた充填剤、及びポリマーから得られた充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、非金属物質、金属物質、及び半導体物質が挙げられる。例えば、充填剤粒子は、ケイ酸アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ケイ素、硫酸バリウム、ベントナイト、窒化ホウ素、炭酸カルシウム(例えば、活性炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、または重質炭酸カルシウム)、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、カーボンブラック、粘土、綿フロック、コルク粉、珪藻土、ドロマイト、エボナイト粉、ガラス、グラファイト、ハイドロタルサイト、酸化鉄、金属粒子、カオリン、マイカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン化物、軽石、パイロフィライト、セリサイト、シリカ、炭化ケイ素、タルク、酸化チタン、ウォラストナイト、ゼオライト、酸化ジルコニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。充填剤粒子は、約0.1重量%以上、約1重量%以上、約5重量%以上、または約10重量%以上の濃度で存在してもよい。充填剤粒子は、約70重量%以下、約50重量%以下、約35重量%以下、または約25重量%以下の濃度で存在してもよい。充填剤粒子は、約1mm以下、約0.3mm以下、約0.1mm、約50μm以下、約10μm以下である一、二、または三次元を有するのが好ましい。充填剤粒子は、約0.1μm以上、約0.3μm以上、または約1μm以上である一、二、または三次元を有するのが好ましい。
【0082】
本明細書の教示による高分子組成物は、所望の使用のために最終ポリマーの特性を調整するための可塑剤を含んでもよい。可塑剤は、重合前、重合中、または重合後に添加してもよい。例えば、特定の実施形態では、適切な可塑剤は、1,1−二置換アルケンモノマーと共に含むことができる。一般的に、適切な可塑剤としては、接着剤系のレオロジー特性を修正するために用いた可塑剤を含むことができ、例えば、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチル、及びフタル酸ジブチルなどの直鎖及び分枝鎖アルキル−フタル酸塩、並びに部分的に水素化されたテルペン、リン酸トリオクチル、エポキシ可塑剤、トルエンスルファミド、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、セバシン酸ジメチルなどのセバシン酸、ヒマシ油、キシレン、1−メチル−2−ピロリジオン及びトルエンが挙げられる。Solutia社製(セントルイス、ミズーリ州)のHB−40などの市販の可塑剤が適していることもある。
【0083】
現在の教示のポリマーは、高分子組成物を調製するための1つ以上のさらなるポリマーと混合してもよい。高分子組成物中のポリマーの濃度は、高分子組成物中のポリマーの総重量に基づいて、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、または約50重量%以上であってもよい。ポリマーは、高分子組成物中のポリマーの総重量に基づいて、約100重量%以下、約95重量%以下、または約90重量%以下、または約60重量%以下の濃度で、高分子組成物中で存在してもよい。
【0084】
本明細書の教示によるポリマー及びポリマー組成物は、公知のポリマー処理機器で処理するのに適切な1つ以上のレオロジー特性(例えば、溶融指標、溶融流量、粘度、溶融強度など)を有してもよい。例えば、1,1−二置換アルケン化合物を含むポリマーまたはポリマー組成物は、押出成形、共押出成形、射出成形、インサート成形、共射出成形、カレンダー成形(例えば、2つ以上のロールを用いて)、ブロー成形、圧縮成形、熱成形、ローリング成形、スプレー塗装を用いて処理してもよい。例えば、高分子材料(即ち、ポリマーまたはポリマー組成物)は、スクリュー及びバレルアセンブリを有する処理装置に供給してもよく、高分子材料は、高分子材料が少なくとも一部が液体状態の温度(例えば、任意のガラス転移温度を上回る及び任意の融解温度を上回る)でスクリューに沿って運搬される。
【0085】
本明細書の教示によるポリマーは、1つ以上の以下の基板:アルミニウム、スチール、ガラス、シリコン、またはウッドに接着するのが好ましい。例えば、基板間に配置されたポリマーを有する2つの基板を分離する場合、基板の分離は、ポリマーの凝集破壊をもたらし得、一部のポリマーが基板の表面上に残ったままである。
【0086】
本明細書の教示によるポリマー及び/または高分子組成物は、保管及び/または運搬用に(例えば、固体粒子または液体として)包装されてもよい。
【0087】
本明細書の教示によるポリマー及び/または高分子組成物は、押出成形品、ブロー成形品、射出成形品、熱成形品、または圧縮成形品で採用してもよく、または基板に被膜層または接着層として塗布してもよい。ポリマーまたは高分子組成物は、接着剤として採用してもよい。例えば、ポリマーは、感圧接着剤組成物中で採用してもよい。ポリマーは、保護被膜などの被膜として採用してもよい。ポリマーは、基板の上の下塗層として採用してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の1,1−二置換アルケンモノマーを含む重合可能な組成物を基板に塗布し、重合反応は、重合可能な組成物の塗布後に起こる。
【0088】
溶融温度及びガラス転移温度は、約0.5〜1.0mgのサンプルで示差走査熱量測定を用いて測定する。サンプルを約10℃/分の速度で加熱した後、約20℃/分の速度で冷却する。
【0089】
分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定する。GPCサンプルは、テトラヒドロフラン(THF)中にポリマーを溶解させることによって調製する。約25μLの溶解したポリマー溶液を、1mL/分の流量を有するTHF溶離液に注入する。5ミクロンの高架橋ポリスチレン/ジビニルベンゼンマトリックス粒子を有する2つのカラムを採用する。これらのカラムは、200〜2,000,000の直鎖ポリマーの分子量を測定するように設計されている。カラム圧力は約65バールであり、カラム温度は約35℃である。溶出時間は30分である。カラムは、PMMA標準を用いて較正する。したがって、分子量の単位は、標準のPMMA等価分子量に基づいて相対的である。
【0090】
モノマー変換は、定量NMRを用いて算出する。300MHz NMRを採用する。エマルション重合試料の任意の残分重合反応は、トリフロロ酢酸を添加することで、NMR分析前に急冷する。好ましい溶媒は、極性の非プロトン性溶媒であるためDMSO−d6である。溶媒をエマルションに添加する場合、水性及び非水性相は混和性になる。酢酸を内部標準として添加し、これらのモノマー組成物に適切である。約6.45ppmでの二重結合強度を測定し、未変換モノマーの濃度を決定する。この二重結合は、メチレンマロン酸ジエチル及びメチレンマロン酸ジブチルなどの対称モノマーの一重項であり、メチレンマロン酸ヘキシルエチルなどの非対称モノマーの二重項である。4つのNMRスキャンを、スキャン間を20秒遅延で、各試料上で実行する。
【0091】
特に指定されない限り、結晶化及び融解温度は、約10℃/分の加熱速度でASTM D3418−15に従って測定する。
【0092】
特に指定されない限り、ガラス転移温度は、約20℃/分の加熱速度でASTM D3418−15に従って測定する。
【0093】
特に指定されない限り、溶液粘度は、ASTM D5225に従って測定する。
【0094】
特に指定されない限り、ポリマーの動粘度及び動粘性率は、ASTM D445に従って測定する。
【実施例】
【0095】
実施例1〜62は、2015年7月1日に出願された米国特許出願第14/789,178号に記載されたエマルション重合プロセスを用いて調製されたポリマーである(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる段落96〜135及び表1〜7を参照されたい。)。特に指定されない限り、全てモノマーは、約97モル%以上の純度;ヒドロキシアルキル基で置換されたアルケン基を有する約0.05モル%以下、及び約0.1モル%以下の類似の不純物のジオキサンを含む不純物の濃度を有する高純度モノマーである。
【0096】
実施例1は、約23℃の温度で高純度のメチレンマロン酸ジエチルのアニオンエマルション重合によって調製されたポリマーである。ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて特徴付ける。GPCは、PMMA標準を用いて較正し、ポリマーの分子量分散を測定するために使用される。実施例1は、約15,579の数平均分子量、約21,010の重量平均分子量、及び約1.36の多分散性指標を有する。
【0097】
実施例2〜6は、モノマー対活性剤の比率及び/または活性剤の種類が変わる以外は、実施例1と同様に調製する。
【0098】
実施例1〜6の分子量分散を表1に示す。
【表1】
【0099】
実施例7〜12は、異なるモノマー対活性剤比を用いて、約23℃の温度で高純度のメチレンマロン酸ジエチルのアニオンエマルション重合によって調製されたポリマーである。モノマーのポリマーへの変換は、約100%である。実施例7〜12の分子量の特徴付けを表2に記載する。
【表2】
【0100】
凍結/凍解安定性は、ポリマー試料の初期粘度を最初に測定することによって評価する。次いで、ポリマー試料を約−24℃の温度で約17時間チャンバーに配置した後、約22℃の室温に約7時間配置した。この24時間サイクルを5回繰り返す。試料の粘度は、室温で約7時間放置した後に測定する。試料は、不安定なエマルション系を示す沈降、ゲル化、または凝固の任意の兆候についても観察される。逆に、沈降、ゲル化、または凝固の兆候が観察されないことは、安定したエマルション系を示す。
【0101】
実施例13は、約995の数平均分子量を有し、エマルション重合によって調製したポリ(メチレンマロン酸ジエチル)(即ち、ポリ(DEMM))のサンプルである。実施例13の初期粘度は、約10〜22cPsである。5回の凍結/凍解サイクル後、試料は、約10〜22cPsの粘度をまだ有する。5回のサイクル中、沈降、ゲル化、または凝固の兆候は示さない。
【0102】
実施例14は、約2121の数平均分子量を有し、エマルション重合によって調製したポリ(メチレンマロン酸ジブチル)(即ち、ポリ(DBMM))のサンプルである。実施例14の初期粘度は、約13〜24cPsである。5回の凍結/凍解サイクル後、試料は、約13〜24cPsの粘度をまだ有する。5回のサイクル中、沈降、ゲル化、または凝固の兆候は示さない。
【0103】
実施例15は、約5018の数平均分子量を有し、エマルション重合によって調製したポリ(メチレンマロン酸ヘキシルエチル)(即ち、ポリ(HMMM))のサンプルである。実施例15の初期粘度は、約15〜25cPsである。5回の凍結/凍解サイクル後、試料は、約15〜25cPsの粘度をまだ有する。5回のサイクル中、沈降、ゲル化、または凝固の兆候は示さない。
【0104】
実施例16は、約25,000の数平均分子量を有し、エマルション重合によって調製したポリ(DEMM)のサンプルである。ポリマーは、凍結/凍解安定性について試験する。5回の凍結/凍解サイクル後、実施例16は、沈降、ゲル化及び凝固の兆候を示すが、流れない。
【0105】
実施例17、18、19、20、及び21は、表3に示すように、25,345〜498,003の数平均分子量を有する、調製されたポリ(DEMM)のホモポリマーである。約0.05重量%のヒドロキシエチルセルロース安定剤をポリマーサンプルの各々に添加する。5回の凍結/凍解サイクル後、沈降、ゲル化、または凝固の兆候は示さず、最終粘度は、初期粘度から実質的に変化しない。
【表3】
【0106】
実施例22、23、24、26、26、27、28、及び29は、約23℃で異なる表面活性剤混合物を用いてアニオンエマルション重合によって調製される。各実施例の界面活性剤及び表面活性剤の量を表4に示す。活性剤は、安息香酸ナトリウムであり、約100:1のモノマー対活性剤の比率で添加する。モノマーのポリマーへの95%及び99%変換のおおよその時間(定量NMR分光法を用いて測定した)を表4に記載する。反応は4時間継続する。最終変換も表4に記載する。DBSAの添加は反応速度を遅らせ得るが、少量のDBSA(例えば、約1500ppm未満)の添加は、高い重合反応速度と、狭い分子量分散を有するポリマーとをもたらし得る。
【表4】
【0107】
実施例30は、約23℃でマロン酸ジエチルメチルを用いて、エマルション重合を介して調製したポリマーである。メチレンマロン酸ジエチルモノマー対安息香酸ナトリウムのモル比は、約200:1である。反応時間は約10分であり、モノマーのポリマーへの変換は99.9%を超える。回収したポリマーは、50,000を超える重量平均分子量、及び約35℃のガラス転移温度を有する。
【0108】
実施例31は、マロン酸ジエチルメチルモノマーをメチレンマロン酸フェンキルメチルモノマーで置換し、開始剤がモノマー対活性剤のモル比が約200:1であるケイ酸ナトリウムである以外は、実施例30と同じ手順を用いて調製したポリマーである。回収したポリマーは、50,000を超える重量平均分子量、及び約143℃のガラス転移温度を有する。
【0109】
実施例32は、マロン酸ジエチルメチルモノマーをメチレンマロン酸メチルメトキシエチルモノマーで置換し、開始剤がモノマー対活性剤のモル比が約200:1であるケイ酸ナトリウムである以外は、実施例30と同じ手順を用いて調製したポリマーである。回収したポリマーは、50,000を超える重量平均分子量、及び約0℃のガラス転移温度を有する。
【0110】
実施例33は、マロン酸ジエチルメチルモノマーをメチレンマロン酸ヘキシルエチルモノマーで置換し、開始剤がモノマー対活性剤のモル比が約200:1であるケイ酸ナトリウムである以外は、実施例30と同じ手順を用いて調製する。回収したポリマーは、50,000を超える重量平均分子量、及び約−34℃のガラス転移温度を有する。
【0111】
実施例34のホモポリマーは、マロン酸ジエチルメチルモノマーをメチレンマロン酸ジブチルモノマーで置換し、表面活性剤がモノマー対活性剤のモル比が約200:1であるケイ酸ナトリウムである以外は、実施例30と同じ手順を用いて調製する。回収したポリマーは、50,000を超える重量平均分子量、及び約−44℃のガラス転移温度を有する。
【0112】
実施例35のホモポリマーは、メチレンマロン酸ジエチルモノマー対安息香酸ナトリウム活性剤のモル比が約100:1である以外は、実施例30と同じ手順を用いて調製する。実施例35の調製では、溶液を約400rpmの混合速度を用いて撹拌する。混合時間は約1時間である。得られたエマルションは、動的光散乱を用いて測定する。ポリマー粒子は、約1.81の屈折率を有する。数平均粒径は、約7.6μmの標準偏差を有する約28.6μmである。実施例36のホモポリマーは、混合速度を約1500rpmに増加させた以外は、実施例35と同じ手順を用いて調製する。得られたポリマー粒子は、約1.81の屈折率、約3.31μmの標準偏差を有する約6.44μmの平均粒径を有する。実施例37のホモポリマーは、撹拌を約40kHzの周波数で超音波処理を用いて達成した以外は、実施例35と同じ手順を用いて調製する。得られたポリマー粒子は、約1.81の屈折率、約0.09μmの標準偏差を有する約0.48μmの平均粒径を有する。H−1〜H−6のホモポリマー結果を表5にまとめる。
【表5】
【0113】
実施例38は、2つのホモポリマー、実施例30のホモポリマーと実施例31のホモポリマーの混合物である。実施例30のホモポリマーと実施例31のホモポリマーは、2つのホモポリマーの重量比が1:1で、ジクロロメタン溶媒中で一緒に溶解させる。次いで、溶媒の容量の約4倍の容量でメタノール(約−25℃)を添加することで、ポリマー混合物を溶液から沈殿させる。沈殿させたポリマーをメタノールとヘキサンの1:1混合物(重量)(約−25℃)でさらに洗浄する。得られたポリマー混合物は、約45℃と約137℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0114】
実施例39は、2つのホモポリマー、実施例30のホモポリマーと実施例32のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例31のホモポリマーを実施例32のホモポリマーで置換する以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約28℃と約12℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0115】
実施例40は、2つのホモポリマー、実施例30のホモポリマーと実施例33のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例31のホモポリマーを実施例33のホモポリマーで置換する以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約25℃と約−25℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0116】
実施例41は、2つのホモポリマー、実施例30のホモポリマーと実施例34のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例31のホモポリマーを実施例34のホモポリマーで置換する以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約−5℃で単一のガラス転移温度を有する。
【0117】
実施例42は、2つのホモポリマー、実施例31のホモポリマーと実施例32のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例31のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例32のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約131℃と約10℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0118】
実施例43は、2つのホモポリマー、実施例31のホモポリマーと実施例33のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例31のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例33のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約132℃と約−14℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0119】
実施例44は、2つのホモポリマー、実施例31のホモポリマーと実施例34のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例31のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例34のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約129℃と約−33℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0120】
実施例45は、2つのホモポリマー、実施例32及び実施例33のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例32のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例33のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約−7℃と約−25℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0121】
実施例46は、2つのホモポリマー、実施例32及び実施例34のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例32のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例33のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約−9℃と約−36℃で2つのガラス転移温度を有する。
【0122】
実施例47は、2つのホモポリマー、実施例33のホモポリマーと実施例34のホモポリマーの混合物である。ポリマー混合物は、実施例30のホモポリマーを実施例33のホモポリマーで置換し、実施例31のホモポリマーを実施例34のホモポリマーで置換した以外は、実施例38で上述したのと同じ方法を用いて調製する。得られたポリマー混合物は、約−37℃で単一のガラス転移温度を有する。
【0123】
実施例48、49、50、51、52、53、54、55、56、及び57は、マロン酸ジエチルメチルのモノマーを表6に記載した1:1重量比のモノマー1及びモノマー2で置換した以外は、実施例30のホモポリマーの方法に従って調製したランダム共重合体である。得られたポリマーは、50,000以上の重量平均分子量を有し、モノマーのポリマーへの変換が99.9重量%を超えるランダム共重合体である。ランダム共重合体の各々は、表6に示すように単一のガラス転移温度を有する。
【表6】
【0124】
実施例58は、第1のポリマーブロック、第2のポリマーブロック、及び第3のポリマーブロックを順次重合することによって調製したブロック共重合体である。第1のポリマーブロックは、モノマーの量を実施例30で採用したモノマーの約1/3に減少した以外は、実施例30のホモポリマーで上述したように調製する。第1のポリマーブロックの調製後、ポリマー(実施例58、ステージ1)のサンプルを除去し、約500ppmのトリフロロ酢酸で急冷し、沈殿させ、上述のように分析のために洗浄する。第2のモノマー(メチレンマロン酸フェンキルメチル)をエマルションに添加することで残りのポリマーをさらに重合させ、第2のモノマーから本質的になる第2のポリマーブロックを形成する。第2のモノマーの量は、実施例30で使用した総モノマーの約1/3である。第2のポリマーブロックの調製後、ジブロックポリマー(実施例58、ステージ2)のサンプルを除去し、約500ppmのトリフロロ酢酸で急冷し、沈殿させ、分析のために洗浄する。さらなるの量の第1のモノマーをエマルションに添加することで残りのポリマーをさらに重合させ、第1のモノマーから本質的になる第3のポリマーブロックに重合する。第3のモノマーの量は、実施例30で採用したモノマーの約1/3である。得られたトリブロック共重合体(実施例58、ステージ3)を約500ppmのトリフロロ酢酸で急冷し、沈殿させ、洗浄する。
【0125】
実施例59、60、及び61は、第2のモノマーのメチレンマロン酸フェンキルメチルを、それぞれ、メチレンマロン酸メチルメトキシエチル、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、及びメチレンマロン酸ジブチルで置換する以外は、実施例58で上述した方法に従って調製したブロック共重合体である。
【0126】
3つのステージ(単一ブロック、ジブロック、及びトリブロック)の各々の終わりでの実施例58、59、60、及び61の特性を表7に記載する。
【表7】
【0127】
実施例62。感圧接着剤エマルション組成物は、約700rpmで約67.98部の脱イオン水、約0.03部の4−ドデシルベンゼンスルホン酸、及び約2.00部のエトキシ化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールを混合することによって調製する。脱イオン水中のケイ酸ナトリウム活性剤の10%溶液を約0.42部(モノマー対活性剤のモル比が約200:1で)で添加し、約1,000rpmで混合する。約27.75部のメチレンマロン酸ヘキシルエチルモノマーをバルクで添加し、混合は約1,000rpmで継続する。重合反応が完了した後、エマルションを鋼板に塗布し、水を蒸発で除去する。得られたポリマーは、感圧接着剤であり、ポリマーの結果として代表的な粘着性を有する。架橋剤を添加し、PSA材料を鋼板に付着させる場合、第2の基板に塗布し、除去すると、ポリマーは鋼板から実質的に移動しない。PSA材料は、5回の凍結/凍解サイクル後に良好な安定性を有する。
【0128】
実施例63〜88は、2015年7月28日に出願された米国特許出願第14/810,741号に記載の溶液重合プロセスを用いて調製したポリマーである(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる段落96〜124及び表1〜5を参照されたい)。本明細書で採用した1,1−二置換アルケン化合物は、97重量%以上の純度を有する高純度モノマーである。いずれのモノマーも、ごく微量の不純物しか有さないため、重合(アニオンまたはフリーラジカル重合)から安定しているか、または、例えば、活性剤によって開始された溶液重合前に重合を防ぐために、十分な安定剤パッケージ(例えば、約10ppmのメタンスルホン酸及び100ppmのモノメチルエーテルヒドロキノン)で提供される。特に指定されない限り、重合反応の反応時間は、約1時間以下である。
【0129】
実施例63。メチレンマロン酸(F3M)フェンキルメチルを溶液中で重合する。溶媒はテトラヒドロフランである。丸底フラスコに約9.0gのテトラヒドロフランと約1.0gのメチレンマロン酸フェンキルメチルを充填する。磁気攪拌機で混合物を約5分間撹拌する。次いで、テトラメチルグアニジン(TMG)をフラスコに添加し、重合反応を活性化させる。モノマー(F3M)対活性剤(TMG)のモル比は、約1000(即ち、1000:1)である。重合反応は、約23℃の温度で約1時間継続する。ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)及び示差走査熱量測定(DSC)を用いている。反応の終わりのNMR分光法は、残留モノマーの測定可能な存在を示さない。GPCは、ポリマーが約2000の分子量における第1ピークと約60,000の分子量における第2ピークとを有することを示す。ポリマーは、約1.43の多分散性指標を有する。ポリマーのガラス転移温度は、約151℃である。メチレンマロン酸フェンキルメチルのホモ重合では、反応条件を変えることによって、モノマーの純度、活性剤濃度及び反応温度、ポリマーの分子量分散は、約1〜8の間で変化させてもよく、ポリマーのガラス転移は、約190℃まで高く増加させてもよい(例えば、重量平均分子量が高い場合)。
【0130】
実施例64は、モノマーがメチレンマロン酸p−メンチルメチル(4M)である以外は、実施例63の方法に従って調製した。得られたポリマーは、約126℃のガラス転移温度を有する。数平均分子量は、約40,000である。メチレンマロン酸p−メンチルメチルのホモ重合は、(例えば、より高い重量平均分子量をもたらすプロセス条件を採用することによって)最高で約145℃のガラス転移温度を有するポリマーをもたらし得る。
【0131】
実施例65は、溶液で調製されたメチレンマロン酸ジエチルのポリマーである。モノマー(DEMM)対活性剤(TMG)のモル比は、約2000:1である。1時間の反応時間後、約0.2mlのトリフロロ酢酸に添加することで重合を終了させた。得られたポリマーの分子量分散は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、結果を表8に示す。
【0132】
実施例66は、活性剤の量を、モノマー対活性剤のモル比が約4000:1に対応する約36マイクロリットルに減少させる以外は、実施例65を調製する方法に従って調製する。実施例67は、活性剤の量を、モノマー対活性剤のモル比が約8000:1に対応する約18マイクロリットルに減少させる以外は、実施例65を調製する方法に従って調製する。実施例68は、活性剤の量を、モノマー対活性剤のモル比が約16000:1に対応する約9マイクロリットルに減少させる以外は、実施例65を調製する方法に従って調製する。実施例69は、活性剤の量を、モノマー対活性剤のモル比が約32000:1に対応する約4.5マイクロリットルに減少させる以外は、実施例65を調製する方法に従って調製する。
【0133】
実施例70。実施例70は、安息香酸カリウムと、10mLのジクロロメタン中の0.428gのクラウンエーテル(18−クラウン6)とを用いて、1,1−二置換アルケンのアニオン溶液重合によって調製する。安息香酸カリウム対クラウンエーテルのモル比は、約1:2である。クラウンエーテルは、DCM中に安息香酸カリウムを可溶化させるのを助けると考えられる。ポリマーは、約405,700の重量平均分子量と、約198,000の数平均分子量とを有する。
【表8】
【0134】
実施例71は、低温でメチレンマロン酸ジエチルを重合することによって調製する。Schlenkフラスコ装置中で約−78℃で重合を行う。溶媒はテトラヒドロフランである。活性剤は、第二級ブチルリチウムであり、シクロヘキサン中の1.5M溶液として提供される。ドライアイス/アセトン寒剤を用いて反応温度を維持する。モノマー対活性剤のモル比は、約1000:1である。反応を約20分間継続した後、メタノール及びトリフロロ酢酸を添加して終了した。アリコートは、約2分、6分、10分、及び20分の重合時間で除去する。各アリコートの分子量分散は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定する。結果を表9に示す。
【表9】
【0135】
実施例72。1,1−二置換アルケンのアニオン重合は、リビング重合として特徴付けられてもよい。実施例72では、テトラヒドロフラン溶媒に最初に添加したメチレンマロン酸ジエチルの量が約0.25gである以外は、実施例71のプロセスを繰り返す。重合反応中、少量のアリコートを2分ごとに除去し、さらに0.25gのモノマーを反応フラスコに添加する。ポリマーが溶媒から沈殿し始める場合、プロセスは、約10分間継続する。採用する活性剤の量は、最初の注入(即ち、0.25g)で添加したモノマー対活性剤の量のモル比が約1000:1になるように選択する。ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した分子量は、ほぼ線形に増加する:
【表10】
【0136】
実施例73は、総モノマー対活性剤のモル比が約100:1になるように活性剤の量を増加させる以外は、実施例72と同じように調製する。再び、ポリマーは、モノマーをさらに充填するごとに成長し続ける:
【表11】
【0137】
実施例74は、溶液重合を用いて調製したランダム共重合体である。実施例65で使用した方法は、以下の変化で使用する:(1)2gのDEMMを1gの(P3M)及び1gの(H3M)に置換した;(2)総モノマー対活性剤のモル比が約1000:1になるように、1%のTMG活性剤溶液の量を調整する。重合反応は、約23℃である。ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー及び示差走査熱量測定を用いて特徴付ける。得られたポリマーは、約27.5℃の単一のガラス転移温度を有するランダム共重合体である。数平均分子量は、約7,104ダルトンであり、重量平均分子量は、約16,343ダルトンであり、約2.3の多分散性指標PDIが得られる。
【0138】
実施例75、76、及び77は、1,1−二置換アルケンモノマーである第1のモノマーと、第2の1,1−二置換アルケンモノマーである第2のモノマーとを含むランダム共重合体である。実施例75、76、及び77は、(1)テトラヒドロフランの量が約9gであり、(2)HM3対DEMMの比率が、それぞれ、75:25、50:50、及び25:75であり、総モノマーが1gである状態で、モノマーをメチレンマロン酸ヘキシルエチル(HM3)及びメチレンマロン酸ジエチル(DEMM)で置換する以外は、実施例74の方法を用いて調製する。ポリマーは、示差走査熱量測定によって特徴付けられる。
【0139】
実施例78は、モノマーが1gのメチレンマロン酸ヘキシルエチルモノマーである以外は、実施例75の方法に従って調製したホモポリマーである。実施例75、76、77、及び78の結果を表10に示す。これらの実施例の各々は、単一のガラス転移温度を有し、75、76及び77がランダム共重合体であることを示す。
【表12】
【0140】
実施例79は、第1のホモポリマーの2つのポリマーブロック(Aブロック)と第2のホモポリマーの2つのポリマーブロック(Bブロック)とを含む4つのポリマーブロックを有するブロック共重合体である。ブロック共重合体は、構造:A−B−A−Bを有し、各A及びBは、ポリマーブロックである。ブロックAは、メチルメチレンマロン酸2−フェニルプロピルからなる。ブロックBは、メチレンマロン酸ヘキシルエチルからなる。Schlenkフラスコを酸性溶液で不動態化し、塩化メチレンですすぎ、オーブンで乾燥させた。約18gのテトラヒドロフランをSchlenkフラスコ中に配置する。次いで、約0.25gのモノマーAをフラスコに添加する。次いで、フラスコをゴム隔膜で密閉し、約−78℃の温度を有するアセトン―ドライアイスバスに半分沈める。フラスコに真空を引っ張った後、窒素でバックフィルさせる。真空/窒素バックフィルを少なくとも3回繰り返す。PTFE被膜磁力撹拌棒を用いて溶液を混合する。ガス密マイクロリットルシリンジを用いて、第二級ブチルリチウムを活性剤として添加する。活性剤の量は、開始モノマー対活性剤のモル比が約1000:1になるように選択する。約5分間反応させた後、少量のアリコートを除去する。このアリコートをトリフロロ酢酸で急冷し、アリコートの分子量分散を、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定する。アリコートもまたNMR分光法を用いて特徴付けられる。次いで、シリンジを用いて約0.25gのモノマーBをフラスコに注入し、約5分間反応させることによって重合を継続する。次いで、第2アリコートをフラスコから除去した後、シリンジを用いてモノマーの第3の量(0.25gのモノマーA)をフラスコに添加し、約5分間反応させる。次いで、第3アリコートをフラスコから除去した後、シリンジを用いてモノマーの第4の量(0.25gのモノマーB)をフラスコに添加し、約5分間反応させる。次いで、第4アリコートを除去する。各アリコートは、第1アリコートとして処理する(即ち、急冷した後、GPC及びNMRによって特徴付けられる)。各アリコートの結果を表11に示す。最終ブロック共重合体を単離し、示差走査熱量測定を用いて特徴付ける。
【表13】
【0141】
実施例80は、テトラヒドロフランを溶媒として用いて、実施例69の方法に従って調製する。得られたポリマーは、約2,000,000ダルトンの数平均分子量を有する。実施例81は、溶媒がヘプタンである以外は、実施例80の方法に従って調製する。得られたポリマーは、約500,000ダルトンの数平均分子量を有する。実施例82は、溶媒がトルエンである以外は、実施例80の方法に従って調製する。得られたポリマーは、約200,000ダルトンの数平均分子量を有する。実施例83は、溶媒がジメトキシエタンである以外は、実施例80の方法に従って調製する。得られたポリマーは、約700,000ダルトンの数平均分子量を有する。実施例84は、溶媒がジクロロメタンである以外は、実施例80の方法に従って調製する。得られたポリマーは、約150,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0142】
実施例85及び実施例86は、モノマーがメチレンマロン酸p−メンチルメチル(4M)であり、モノマー対活性剤のモル比が実施例85で約100:1、実施例86で約1000:1である以外は、実施例63の方法を用いて調製したホモポリマーである。実施例85で採用したモノマーは、約94.1重量%の純度を有し、実施例86で採用したモノマーは、約98.23重量%の純度を有する。実施例85は、約6,700ダルトンの数平均分子量、約17,400ダルトンの重量平均分子量、約2.60の多分散性指標、及び約83℃のガラス転移温度を有する。実施例86は、約1,451,800ダルトンの数平均分子量、約2,239,300ダルトンの重量平均分子量、約1.62の多分散性指標、及び約145℃のガラス転移温度を有する。
【0143】
実施例87及び実施例88は、モノマーがメチレンマロン酸フェンキルメチル(F3M)であり、モノマー対活性剤のモル比が約100:1である以外は、実施例63の方法を用いて調製したホモポリマーである。実施例87で採用したモノマーは、約92.8重量%の純度を有し、実施例88で採用したモノマーは、約98.6重量%の純度を有する。実施例87は、約40,300ダルトンの重量平均分子量、及び約136℃のガラス転移温度を有する。実施例88は、約290,800ダルトンの重量平均分子量、及び190℃のガラス転移温度を有する。
【0144】
実施例89は、メチレンマロン酸ジエチルを多官能性開始剤JEFFAMINE403で重合することによって調製する。JEFFAMINE403の代表的な構造を
図9に示す。溶液中で形成された得られたポリマーの粘度は、同様の量のTMG開始剤(唯一の開始部位を有する)で重合したポリ(メチレンマロン酸ジエチル)で観察されたものよりも高い。実施例89は、ポリマー中の分枝の代表例である。実施例89は、GPCでの使用のために濾過できなかった。これは高度の分岐の結果であると考えられる。
【0145】
実施例90は、メチレンマロン酸ジエチルをホモ重合することによってキログラム規模の反応炉で調製する。得られたポリマーを、メタノール中での沈殿によって任意の残留モノマーを除去する。次いで、ポリマーをすり潰し、圧縮成形して、動的機械的分析を用いた試験用のバーにする。実施例90の動的機械的分析(DMA)を
図10に示す。
【0146】
実施例LS−1、LS−2、LS−3、及びLS−4は、単一モノマーを窓ガラス基板に塗布し、室温で24時間硬化/重合することによって調製した重ねせん断強度サンプルである。実施例LS−1、LS−2、LS−3、及びLS−4のモノマーは、それぞれ、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸メトキシエチル、及びメチレンマロン酸ヘキシルエチルである。重ねせん断強度は、一般的に、ASTM D1002(せん断強度は、50mm/分の速度で、インストロン上で測定した)に従って調製する。得られたポリマーは、ホモポリマーである。また、試料を試験して、重合/接着が約4.54kgの重量を支えるのに十分である凝結時間を決定する。結果を以下の表にまとめる。
【表14】
【0147】
実施例LS−5、LS−6、LS−7、及びLS−8は、一般的に速い凝結モノマー(例えば、メチレンマロン酸ジエチル、またはメチレンマロン酸ジメチル)及び遅い凝結、高性能のモノマー(例えば、メチレンマロン酸ヘキシルエチル、またはメチレンマロン酸エチルメチル)の混合物で調製した重ねせん断強度サンプルである。実施例LS−1で記載の方法を用いて試験を行った。結果を以下の表にまとめる。
【表15】
【0148】
実施例LS−6は、室温で72時間硬化した後、硬化した試料を熱湯中に配置することによって耐久性についても試験する。ロックタイトガラス結合剤を用いて調製した実施例LS−9を同様に調製し、室温で72時間硬化する。実施例LS−9は、熱湯中で約60〜90分後に故障した。実施例LS−6は、熱湯中に6時間浸水した後も故障しなかった。試験は6時間後に停止する。実施例LS−6及びLS−9は、約40℃の温度を有する洗剤及び水を用いて、10サイクルの食洗機環境中で試験する。食洗機環境中での10サイクル後、実施例LS−9は、約0.6MPaの重ねせん断強度しか有さず、実施例LS−6は、約1.4MPaの重ねせん断強度を有した。
【0149】
実施例LS−10、LS−11、LS−12、LS−13、LS−14、LS−15、LS−16、LS−17、及びLS−18は、冷延鋼上で調製する。冷延鋼の表面は、エタノール中の0.1重量%ピルビン酸ナトリウムの溶液で処理する。エタノールを蒸発後、ピルビン酸ナトリウムは表面上に残り、開始剤として機能し得る。重ねせん断強度サンプルをLS−1に記載のように調製し、試験し、モノマー及びモノマー混合物を以下の表に記載する。重ねせん断強度の結果を表に示す。72時間硬化で、モノマー混合物は、単独で硬化した場合のモノマーのいずれと比較しても改善された重ねせん断強度を提供する共重合体をもたらす。
【表16】
【0150】
そのような性能の相乗効果は、他の「オンデマンド反応」系、例えば、被膜の場合にも観察される。モノマーブレンドによる被膜を調製するための典型的な手順は、上述の重ねせん断で開始されたピルビン酸ナトリウムに類似している。ここで選択される開始剤溶液は、ブチルセロソルブ中の0.1%安息香酸ナトリウムである。開始剤溶液は、マイヤーロッド#10を用いて冷延鋼パネル上に引き延ばす。パネルを80℃に5分間曝すことによって、溶媒を蒸発させる。鋼の基板に、この場合には開始剤として機能する安息香酸ナトリウムを均等に被膜する。このモノマーまたはモノマーブレンドを、マイヤーロッド#10を用いて、前処理した鋼基板上に引き延ばした後、モノマーを室温で24時間硬化させる。実施例C1、C2、C3、C4、C5、及びC6は、この手順に従って調製する。クロスハッチ接着力、180°曲げ柔軟性、及び溶媒抵抗性(MEK拭き取り数)などの特徴は、完全硬化後に評価する。種々のモノマーの組み合わせの結果を以下の表に示す。
【表17】
【0151】
数平均分子量は、一般的に、極性の非プロトン性溶媒を用いた場合に最も高くなると予想される。低い数平均分子量は、一般的に、非極性の溶媒を用いた場合に得られると予想される。
【0152】
図面からの参照符号
【0153】
40 NMRスペクトログラフ上の約6.45ppm(メチレンマロン酸ジエチルの反応性二重結合ピークに対応)
【0154】
42 NMRスペクトログラフ上の約0ppm−内部参照
【0155】
50 GPCピーク及び計算領域
【0156】
52 重量平均分子量(Mw)
【0157】
54 PMMA標準に基づく較正曲線(分子量対保持時間)
【0158】
56 最低分子量較正(200ダルトン)
【0159】
58 GPC曲線