【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書の第1の態様は、シャフトと支持部との間の動的シーリングを提供するために、長手方向に沿って向けられた軸周りに回転可能な回転シャフトのための支持部に浮動するように取り付けられた少なくとも1つのリングのためのシーリングシステムに関する。本システムは、リングと支持部との間に介在する結合部品を備え、それにより、リングが支持部にしっかりと固定されている。支持部および結合部品は、支持部と結合部品との間の第1の横断方向に対する円筒状ジョイントタイプの相対移動を可能にする第1の運動学的ジョイントを提供するように、ともに協同するのに適切な、それぞれの第1のジョイント部分を備えている。リングおよび結合部品は、リングと結合部品との間の、第1の横断方向に対して垂直な第2の横断方向に対する円筒状ジョイントタイプの相対移動を可能にする第2の運動学的ジョイントを提供するように、ともに協同するのに適切な、それぞれの第2のジョイント部分を備えている。
【0011】
本明細書では、「長手方向」との用語は、回転シャフトの回転軸に平行な方向を示すのに使用される。このため、この回転軸は、長手方向を向いている。
【0012】
本明細書では、「横断方向」との用語は、上述の長手方向に垂直な面にある方向を示すのに使用される。そのような方向は、このため、回転シャフトの回転軸に対する「径方向」と呼ぶことができる。そのような垂直面は、このため、本明細書では「横断面」と呼ぶ。そのような横断面は、回転シャフトの回転軸に対する「径方向面」とも呼ぶことができる。
【0013】
本明細書では、「支持部と結合部品との間の、第1の横断方向に対する円筒状ジョイントタイプの相対移動を可能にする第1の運動学的ジョイント」との用語は、長手方向に垂直な第1の横断方向周りの、支持部と結合部品との互いに対する回転移動と、同じ第1の横断方向に沿う、支持部と結合部品との互いに対する平行移動との、支持部と結合部品との間の移動の2つの自由度を可能にする、支持部と結合部品との間のジョイントを意味するのに使用される。
【0014】
同様に、本明細書では、「リングと結合部品との間の、第1の横断方向に対して垂直な第2の横断方向に対する円筒状ジョイントタイプの相対移動を可能にする第2の運動学的ジョイント」との用語は、長手方向に垂直であるとともに、第1の横断方向に垂直である第2の横断方向に関する、リングと結合部品との互いに対する回転移動と、前記第2の横断方向に沿う、リングと結合部品との互いに対する平行移動との、リングと結合部品との間の移動の2つの自由度を可能にする、リングと結合部品との間のジョイントを意味するのに使用される。
【0015】
このため、上述のタイプの第1の運動学的ジョイントと第2の運動学的ジョイントとにより、互いに対して垂直である2つの横断方向における移動構成要素を分離するように、リングと支持部との間に、リングから分離した結合部品を介在させることにより、リングは、回転シャフトのあらゆる横断方向の移動に、この移動が回転移動か平行移動かのいずれであっても、追従することが可能である。
【0016】
回転シャフトとリングとのそれぞれの外周表面間の界面に提供される、「一次」シーリングと呼ばれるシーリングも、有効に達成され得る。
【0017】
同時に、第1の円筒状のタイプのジョイントと第2の円筒状のタイプのジョイントとが、回転シャフトが周りを回転する長手方向に対して両方とも垂直である第1の横断方向と第2の横断方向とのそれぞれに対して向けられているという事実により、リングと結合部品との両方が、長手方向周りに回転することが防止される。具体的には、リングが支持部に対して移動する6つの潜在的な自由度の内、このシーリングシステムによって除去された(実際には、作動クリアランスは無視する)自由度のみが、長手方向周りの回転移動を実施するリングに対応する自由度である(この自由度は、第1のジョイント部分と第2のジョイント部分との間に存在するクリアランスが小さい場合に、実際に、特に良好に除去される)。
【0018】
したがって、この解決策により、信頼できるとともに有効である動的シーリングが、回転シャフトと支持部との間に提供されることが可能になる。リングは、長手方向周りの、シャフトによる回転駆動が防止されつつ、回転シャフトの横断方向の移動に容易に追従することができる。
【0019】
この解決策も、結合部品をリングと支持部との間に径方向に介在させることができることから、コンパクトに実施することが可能である。
【0020】
特定の実施形態では、本システムは、第1のジョイント部分の各々が(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)変形不可能であるようなものであってもよい。
【0021】
したがって、支持部と結合部品とのそれぞれの第1のジョイント部分が相互に協同して第1の運動学的ジョイントを提供する場合、これら第1のジョイント部分のいずれも(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)変形しない。
【0022】
特定の実施形態では、本システムは、第2のジョイント部分の各々が(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)変形不可能であるようなものであってもよい。
【0023】
したがって、リングと結合部品とのそれぞれの第2のジョイント部分が相互に協同して第2の運動学的ジョイントを提供する場合、これらジョイント部分のいずれも(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)変形しない。
【0024】
特定の実施形態では、本システムは、少なくとも1つの第1のジョイント部分が、(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)必要に応じて、圧縮され、かつ/または、曲げられ、かつ/または、ねじられる際に、弾性的に変形されるのに適切であるようなものであってもよい。
【0025】
したがって、支持部と結合部品とのそれぞれの第1のジョイント部分が相互に協同して第1の運動学的ジョイントを提供する場合、これら第1のジョイント部分の少なくとも1つ(すなわち、必要に応じて、支持部に属する第1のジョイント部分の1つのみもしくは各々、および/または、結合部品に属する第1のジョイント部分の1つのみもしくは各々)が、(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)必要に応じて、圧縮され、かつ/または、曲げられ、かつ/または、ねじられる際に、弾性的に変形する。
【0026】
特定の実施形態では、本システムは、少なくとも1つの第2のジョイント部分が、(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)必要に応じて、圧縮され、かつ/または、曲げられ、かつ/または、ねじられる際に、弾性的に変形されるのに適切であるようなものであってもよい。
【0027】
したがって、リングと結合部品とのそれぞれの第2のジョイント部分が相互に協同して第2の運動学的ジョイントを提供する場合、これら第2のジョイント部分の少なくとも1つ(すなわち、必要に応じて、リングに属する第2のジョイント部分の1つのみもしくは各々、および/または、結合部品に属する第2のジョイント部分の1つのみもしくは各々)が、(シーリングシステムを利用する正常な状況下で)必要に応じて、圧縮され、かつ/または、曲げられ、かつ/または、ねじられる際に、弾性的に変形する。
【0028】
特定の実施形態では、本システムは、本システムが、支持部と結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第1のジョイント部分の単一の対を有するようなものであってもよい。
【0029】
特定の実施形態では、本システムは、本システムが、支持部と結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第1のジョイント部分の少なくとも第1の対と、支持部と結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第1のジョイント部分の第2の対と、を有し、これら第1の対と第2の対とが、第1の横断方向に沿って互いから離間しているようなものであってもよい。
【0030】
特定の実施形態では、本システムは、本システムが、リングと結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第2のジョイント部分の単一の対を含むようなものであってもよい。
【0031】
特定の実施形態では、本システムは、本システムが、リングと結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第2のジョイント部分の少なくとも第1の対と、リングと結合部品とのそれぞれに属し、相互に協同するように構成された、第2のジョイント部分の第2の対と、を含み、これら第1の対と第2の対とが、第2の横断方向に沿って互いから離間しているようなものであってもよい。
【0032】
特定の実施形態では、本システムは、支持部とリングとが、横断面における支持部とリングとの間の平坦ジョイントタイプの相対移動を可能にする第3の運動学的ジョイントを提供するように、ともに協同するのに適切な、それぞれの第3のジョイント部分を含むようなものであってもよい。
【0033】
本明細書では、「横断面における支持部とリングとの間の平坦ジョイントタイプの相対移動を可能にする第3の運動学的ジョイント」との用語は、第1の横断方向に沿う、リングと支持部との互いに対する平行移動と、第2の横断方向に沿う、リングと支持部との互いに対する平行移動と、長手軸周りの、リングと支持部との互いに対する回転移動(実際に、上述のように、第1の運動学的ジョイントと第2の運動学的ジョイントとが存在することから、回転移動のためのこの自由度は、第1のジョイント部分と第2のジョイント部分との間に設けられたクリアランスが同様に制限される限りにおいて、かなり制限されるとしても)との、支持部とリングとの間の3つの自由度を可能にする、支持部とリングとの間のジョイントを示すのに使用される。
【0034】
支持部とリングとの間のそのような平坦タイプのジョイントにより、「二次」シーリングと呼ばれるシーリングが、それぞれの第3のジョイント部分を実現する、支持部とリングとの2つのそれぞれの横断面表面間の界面において有効に提供されることが可能になる。
【0035】
回転シャフトとリングとの間に確立される上述の一次シーリングと、リングと支持部との間に確立される二次シーリングとを分離することにより、回転シャフトと支持部との間の全体の有効なシーリングを得ることを容易にすることができる。
【0036】
さらに、上で特定したタイプの第1の運動学的ジョイントと第2の運動学的ジョイントとのために、リングが、第1の横断方向周りと、第2の横断方向周りとの両方において旋回することが可能にされているという事実が、リングと支持部との間の第3の運動学的ジョイントによって設定された横断面における面接触に持続性を与えることに寄与する。
【0037】
特定の実施形態では、本システムは、本システムが、それぞれの第3のジョイント部分間の協同にバイアスをかけるように、支持部およびリングと協同するのに適切であるバイアス要素を含むようなものであってもよい。
【0038】
そのようなバイアス要素も、支持部とリングとを互いに対して付勢する復帰力を生じることにより、上述の面接触に持続性を与えることに寄与する。
【0039】
特定の実施形態では、本システムは、結合部品とバイアス要素とが互いから分離しているようなものであってもよい。
【0040】
特定の実施形態では、本システムは、結合部品とバイアス要素とが単一のユニットとして形成され、それにより、システムを単純化し、長手方向および/または横断方向においてシステムをよりコンパクトにするようなものであってもよい。
【0041】
特定の実施形態では、本システムは、横断面とバイアス要素とが、リングの、長手方向における両側に配置されているようなものであってもよい。
【0042】
したがって、バイアス要素は、長手方向において、支持部とリングとの間の面接触が確立されている横断面から、リングがバイアス要素とこの横断面との間に介在している状態で離間している。
【0043】
本明細書の第2の態様により、上述の第1の態様による回転シャフトとシーリングシステムとを有するターボポンプが提供される。
【0044】
いずれにしろ、本記述の範囲を越えることなく、ターボマシンまたはターボポンプとは異なるロータリマシンにシーリングシステムを取り付けるための準備をし、動的シーリングを設ける必要がある少なくとも1つの回転シャフトを含むそのようなロータリマシンを提供することが可能である。
【0045】
上で特定された特徴および利点、ならびに他の特徴および利点は、限定的特徴がなく、単に説明のために与えられた各実施形態の以下の詳細な説明を読むことでより明らかになる。この詳細な説明では、添付図面を参照する。
【0046】
添付図面は概略的であり、拡縮されておらず、また、これら図面は特に、本記述に説明する原理を示すことを試みる。添付図面では、