特許第6689830号(P6689830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6689830デルタ−シグマ変調を使用する無線デバイスのための伝送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689830
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】デルタ−シグマ変調を使用する無線デバイスのための伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20200421BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20200421BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   H04B1/40
   H04B5/02
   H04B1/59
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-515794(P2017-515794)
(86)(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-533632(P2017-533632A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】CA2014000745
(87)【国際公開番号】WO2016044912
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】14/493,262
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513093841
【氏名又は名称】ディーアールエヌシー ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タジンダー マンク
【審査官】 対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0299579(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/177658(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0016719(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0300619(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/177659(WO,A1)
【文献】 特開2014−064236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1/38− 1/58
5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線デバイスのための伝送装置であって、
搬送波周波数で送信された元の信号を受信し、前記無線デバイスからの情報を含む変調された信号を後方散乱するための、アンテナと、
前記アンテナに結合され、インピーダンス値を有する、可変インピーダンス回路であって、
1つ以上の並列のスイッチング回路のアレイをさらに有し、
前記1つ以上の並列のスイッチング回路がそれぞれ制御可能スイッチおよび固定インピーダンス素子を有し、前記制御可能スイッチが、各々のスイッチング回路を(i)前記各々のスイッチング回路が第1のインピーダンス応答を有する制御オン状態と(ii)前記各々のスイッチング回路が第2のインピーダンス応答を有する制御オフ状態との間で切り替えるための制御入力
を有する、可変インピーダンス回路と、
前記変調された信号を生成するために、前記情報に従って、前記可変インピーダンス回路の前記インピーダンス値を変調し、それによって前記アンテナのための後方散乱係数を変調するための、前記可変インピーダンス回路に結合されたデルタ−シグマ変調器と、
前記情報から前記可変インピーダンス回路の前記インピーダンス値を生成するための、前記デルタ−シグマ変調器に結合されたデコーダと
を備えた、伝送装置。
【請求項2】
前記情報は、Nビットデジタル波形であり、前記Nビットデジタル波形は、前記Nビットデジタル波形に関連する前記可変インピーダンス回路のための制御信号を生成するために、前記デコーダに適用され、その後、前記デルタ−シグマ変調器に適用される、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記情報は、複素変調信号であり、前記複素変調信号は、前記元の信号から周波数においてオフセットされている、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記情報は、複素変調信号であり、前記複素変調信号は、制御信号を介して、同相信号と直交信号との間で交互に現れ、前記可変インピーダンス回路の前記インピーダンス値は、前記複素変調信号が前記同相信号であるか、それとも前記直交信号であるかに応じて、互いに90度オフセットされた後方散乱係数の間で切り換わる、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記情報は、Nビットデジタル波形であり、前記Nビットデジタル波形は、前記デコーダ、前記デルタ−シグマ変調器、および前記可変インピーダンス回路のうちの少なくとも1つにおける誤差を補償するように調整される、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記可変インピーダンス回路は、前記デコーダおよび前記デルタ−シグマ変調器のうちの少なくとも1つによって生成されるノイズをフィルタリングするためのフィルタを含む、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記元の信号は、RFIDリーダから受信され、前記RFIDリーダは、前記デコーダ、前記デルタ−シグマ変調器、および前記可変インピーダンス回路のうちの少なくとも1つにおける誤差を補正するように構成されている、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項8】
無線デバイスのための伝送装置であって、
搬送波周波数で送信された元の信号を受信し、前記無線デバイスからの情報を含む変調された信号を相互インダクタンスによって伝送するための、インダクタと、
前記インダクタに結合され、インピーダンス値を有する、可変インピーダンス回路であって、
1つ以上の並列のスイッチング回路のアレイをさらに有し、
前記1つ以上の並列のスイッチング回路がそれぞれ制御可能スイッチおよび固定インピーダンス素子を有し、前記制御可能スイッチが、各々のスイッチング回路を(i)前記各々のスイッチング回路が第1のインピーダンス応答を有する制御オン状態と(ii)前記各々のスイッチング回路が第2のインピーダンス応答を有する制御オフ状態との間で切り替えるための制御入力
を有する、可変インピーダンス回路と、
前記変調された信号を生成するために、前記情報に従って、前記可変インピーダンス回路のインピーダンス値を変調し、それによって前記相互インダクタンスの値を変調するための、前記可変インピーダンス回路に結合されたデルタ−シグマ変調器と、
前記情報から前記可変インピーダンス回路の前記インピーダンス値を生成するための、前記デルタ−シグマ変調器に結合されたデコーダと
を備えた、伝送装置。
【請求項9】
前記情報は、Nビットデジタル波形であり、前記Nビットデジタル波形は、前記Nビットデジタル波形に関連する前記可変インピーダンス回路のための制御信号を生成するために、前記デコーダに適用され、その後、前記デルタ−シグマ変調器に適用される、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項10】
前記情報は、複素変調信号であり、前記複素変調信号は、前記元の信号から周波数においてオフセットされている、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項11】
前記情報は、複素変調信号であり、前記複素変調信号は、制御信号を介して、同相信号と直交信号との間で交互に現れ、前記可変インピーダンス回路の前記インピーダンス値は、前記複素変調信号が前記同相信号であるか、それとも前記直交信号であるかに応じて、互いに90度オフセットされたインピーダンス値の間で切り換わる、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項12】
前記情報は、Nビットデジタル波形であり、前記Nビットデジタル波形は、前記デコーダ、前記デルタ−シグマ変調器、および前記可変インピーダンス回路のうちの少なくとも1つにおける誤差を補償するように調整される、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項13】
前記可変インピーダンス回路は、前記デコーダおよび前記デルタ−シグマ変調器のうちの少なくとも1つによって生成されるノイズをフィルタリングするためのフィルタを含む、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項14】
前記元の信号は、RFIDリーダから受信され、前記RFIDリーダは、前記デコーダ、前記デルタ−シグマ変調器、および前記可変インピーダンス回路のうちの少なくとも1つにおける誤差を補正するように構成されている、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項15】
前記デルタ−シグマ変調器は、ローパスデルタ−シグマ変調器およびバンドパスデルタ−シグマ変調器のうちの一方である、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項16】
前記デルタ−シグマ変調器は、シングルビットデルタ−シグマ変調器である、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項17】
前記デルタ−シグマ変調器は、前記可変インピーダンス回路を制御して少なくとも2つの状態の間切り換える、請求項1に記載の伝送装置。
【請求項18】
前記デルタ−シグマ変調器は、ローパスデルタ−シグマ変調器およびバンドパスデルタ−シグマ変調器のうちの一方である、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項19】
前記デルタ−シグマ変調器は、シングルビットデルタ−シグマ変調器である、請求項8に記載の伝送装置。
【請求項20】
前記デルタ−シグマ変調器は、前記可変インピーダンス回路を制御して少なくとも2つの状態の間切り換える、請求項8に記載の伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別システムの分野に関し、より詳細には、後方散乱および誘電結合が行われる無線周波数識別システムにおける無線デバイス(例えば、タグ)用の伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2014年9月22日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第14/493262号に基づく優先権を主張する。
【0003】
無線周波数識別(「RFID」)システムは、非常に多くのアプリケーションにおいて非常によく用いられるものになった。典型的なRFIDシステム100が、図1に示されている。RFIDシステム100は、アプリケーションシステム110と、リーダ120と、タグ130とを含む。タグ130が、リーダ120の動作範囲内に出現すると、それは、送信機/受信機121およびアンテナ123を介したリーダ120からのエネルギー140およびデータ150の両方を、アンテナ133を介して受け取り始める。タグ130内の整流回路131は、タグ130内の他の回路(例えば、制御/変調器132)に給電するためのエネルギー140を収集し、蓄積する。十分なエネルギー140を収集した後に、タグ130は、動作することができ、それまでに蓄積されたデータをリーダ120に送り返すことができる。リーダ120は、その後、受信された応答データを、通信インターフェース160を介して、システムアプリケーションのために、アプリケーションシステム110のサーバシステム/データベース111に渡す。
【0004】
RFIDシステム100内のタグ130は、タグの電力供給に従って、受動タイプと能動タイプとに分類されることができる。受動タグは、それら独自の電源を有さず、したがって、必要とされるすべての電力を、タグのアンテナ133を介して受け取られる電磁エネルギーによって、リーダ120から引き出す。対照的に、能動タグは、それの動作のために必要とされる電力のすべてまたは一部を供給するバッテリを内蔵する。
【0005】
RFIDシステム100内のリーダ120とタグ130との間におけるエネルギー140およびデータ150の典型的な伝送方法は、後方散乱結合(または後方散乱)を用いる。リーダ120のアンテナ123は、エネルギー140をタグ130に結合する。タグのアンテナ133の反射係数を変調することによって、データ150が、タグ130とリーダ120との間で伝送されることができる。後方散乱は、図2に示されるように、一般に、マイクロ波帯RFIDシステムにおいて使用される。電力Pinが、リーダのアンテナ123から放射される。Pinの小さな割合が、タグのアンテナ133によって受け取られ、整流され、電源としての役割を果たすためにタグ130内の蓄電キャパシタを充電する。十分なエネルギーを収集した後に、タグ130は、動作し始める。到来した電力Pinの一部は、タグのアンテナ133によって反射され、電力Preturnとして返される。反射特性は、アンテナ133に接続された負荷を変更することによって、影響されることができる。データ150をタグ130からリーダ120に伝送するために、伝送されるデータストリームに合わせて、トランジスタが、スイッチオンおよびオフされる。したがって、反射される電力Preturnの大きさが、変調され、リーダのアンテナ123によって拾い上げられることができる。
【0006】
RFIDシステム100では、振幅シフトキーイング(「ASK」)変調が、一般に使用される。ASK変調では、搬送波の振幅が、2値伝送符号系列によって制御される2つの状態の間で切り換えられる。また、いくつかのアプリケーションでは、位相シフトキーイング(「PSK」)変調も使用される。しかしながら、現在のRFID後方散乱システムでは、任意の複素タイプの変調は、一般に使用されない。ここで、複素タイプの変調は、通常はI+jQとして表現されるものであり、Iは、同相成分であり、Qは、直交成分であり、jは、−1の平方根である。
【0007】
参考に述べると、RFID使用の始まりは、第2次世界大戦にまで遡って見出されることができる。例えば、非特許文献1を参照されたい。無線周波数(「RF」)後方散乱によってリーダと通信するために、受動および半受動RFIDタグが使用された。後方散乱RFIDシステムでは、図3に示されるように、いくつかのタグ130が、メインリーダデバイス120と対話する。リーダ130は、(i)RF信号の電力を介してタグ130の電源を入れるために、(ii)データをタグ130に転送するために、および(iii)タグ130から情報を読み取るために、使用される。
【0008】
一般に、リーダ120とタグ130との間には、リンクバジェットが存在する。タグ130は、ASKまたはPSK変調のいずれかを使用して、RF信号をリーダ120に後方散乱することによって、リーダ120と通信する。後方散乱方法の1つの利点は、タグ130内のチップ上でRF搬送波を生成する必要がなく、したがって、より少ない電力、より小さい複雑さ、およびより少ないコストしか必要としないことである。タグ130用の後方散乱伝送装置400の典型的なブロック図が図4に示されている。図4では、Zantは、アンテナ133のインピーダンスであり、Zoは、スイッチ410と並列した固定されたインピーダンスである。反射係数Γは、等式
【0009】
【数1】
【0010】
によって与えられる。
【0011】
スイッチ410がオンである(すなわち、閉じられている)場合、Γ=1である。スイッチがオフである(すなわち、開いている)場合、Γ=0である。スイッチ410をオン、オフすることによって、図4に示されるように、ASK信号420が生成される。
【0012】
PSK信号も、類似のセットアップを使用して、生成されることができる。これは、図5に示された伝送装置500に示されている。ここでは、反射係数Γは、等式
【0013】
【数2】
【0014】
によって与えられる。
【0015】
ここで、Ziは、図5にあるように、切り換えられるインピーダンスである。そのため、スイッチ410、510の位置に応じて、後方散乱は、ASK信号420またはPSK信号520のいずれかを生成するように、設計される。
【0016】
図6に示されるように、後方散乱技法を使用して、各タグ130は、同じ搬送波620上でRF信号610を送信し、そのため、他のタグ130のRFスペクトルと重複する。これは、タグ130のすべての間でデータ衝突を回避することに関する課題を提示する。現在のシステムでは、これらの衝突問題は、リーダ120とタグ130との間で使用される通信プロトコルを介して解決される。
【0017】
非特許文献2(Thomas他)では、Γ値の数がスイッチインおよびアウトされる、4値直交振幅変調(「QAM」)信号の生成が提案された。
【0018】
これまでのタグ伝送装置には、いくつかの問題が存在する。例えば、Thomas他によって提案されたもののようなシステムは、それらが後方散乱することができる信号の性質において制限される。すなわち、いかなる任意の信号も、伝送されることができるわけではない。例えば、QAM信号が、最初に、フィルタを介してフィルタリングされる場合、Thomas他のシステムは、QAM信号のフィルタリングされたバージョンを伝送することができない。別の例として、信号が、単に、正弦波またはガウス最小シフトキーイング(「GMSK」)信号である場合、Thomas他のシステムは、この信号を伝送するためには使用されることができない。さらなる例として、Thomas他のシステムは、単側波帯信号を伝送することができない。
【0019】
したがって、後方散乱および誘電結合が行われる無線周波数識別システムにおける無線デバイス(例えば、タグ)用の改良された伝送装置の必要性が存在する。したがって、少なくとも部分的には、上述および他の短所に対処するソリューションが切望される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Stockman H., “Communication By Means of Reflected Power,” Proc. IRE, pp. 1196−1204, Oct. 1948
【非特許文献2】Thomas S., Reynolds S. Matthew, “QAM Backscatter for Passive UHF RFID Tags”, IEEE RFID, p. 210, 2010
【発明の概要】
【0021】
本発明の一態様によれば、元の信号を受信し、無線デバイスからの情報を含む変調された信号を後方散乱するための、アンテナと、アンテナに結合された可変インピーダンスであって、インピーダンス値を有する可変インピーダンスと、変調された信号を生成するために、情報に従って、インピーダンス値を変調し、それによってアンテナのための後方散乱係数を変調するための、可変インピーダンスに結合されたデルタ−シグマ変調器と、情報からインピーダンス値を生成するための、デルタ−シグマ変調器に結合されたデコーダとを備える、無線デバイス用の伝送装置が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施形態の特徴および利点は、添付の図面と組み合わせて理解される、以下の詳細な説明から明らかになる。
【0023】
図1】先行技術による無線周波数識別(RFID)システムを図説するブロック図である。
図2】先行技術による、RFIDシステム内のリーダとタグとの間のエネルギーおよびデータの伝送を図説するブロック図である。
図3】先行技術による、RFIDシステム内のリーダと複数のタグとの間の通信を図説するブロック図である。
図4】先行技術による、ASKおよび/またはオン−オフキーイング(「OOK」)信号を後方散乱するための、タグ用の伝送装置を図説するブロック図である。
図5】先行技術による、PSK信号を後方散乱するための、タグ用の伝送装置を図説するブロック図である。
図6】先行技術による、同じ周波数スペクトルを使用してリーダに情報を返す複数のタグを図説するブロック図である。
図7A】本発明の実施形態による、デジタル波形入力に基づいて、信号をリーダに後方散乱するための、無線デバイス用の伝送装置を図説するブロック図である。
図7B】本発明の実施形態による、図7Aの伝送装置用の可変インピーダンス回路を図説するブロック図である。
図8】本発明の実施形態による、ガンマ(Γ)とZiとの間の関係を図説するグラフである。
図9】本発明の実施形態による、IおよびQデータ入力に基づいて、任意の変調された信号をリーダに後方散乱するための、無線デバイス用の加算器を有する伝送装置を図説するブロック図である。
図10A】本発明の実施形態による、RFIDシステム内のリーダと無線デバイスとの間の誘電結合を図説するブロック図である。
図10B】本発明の実施形態による、図10AのRFIDシステム用の等価回路を図説するブロック図である。
図11】本発明の実施形態による、デジタル波形入力に基づいて、信号をリーダに伝送するための、無線デバイス用の誘電結合を使用する伝送装置を図説するブロック図である。
【0024】
添付の図面のすべてにおいて、同様の特徴は、同様の参照番号によって識別されることが留意される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の理解を提供するために、詳細が記載される。いくつかの例では、本発明を曖昧にしないために、あるソフトウェア、回路、構造、および方法は、詳細には説明されず、または示されていない。「装置」という用語は、本明細書では、本明細書で説明されるシステム、デバイス、およびネットワーク設備を含む、データを処理するための任意のマシンを指すために使用される。「無線デバイス」という用語は、本明細書では、RFIDタグ、RFIDトランスポンダ、セルラ電話、スマートフォン、ポータブルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、または類似のデバイスを指すために、使用される。本発明は、データ処理システムのオペレーティングシステムが、本発明の要件をサポートすることができる便宜を提供するならば、任意のコンピュータプログラミング言語で実施されることができる。提示されるいずれの制限も、特定のタイプのオペレーティングシステムまたはコンピュータプログラミング言語の結果であり、本発明の制限ではない。本発明は、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせでも、実施されることができる。
【0026】
図7Aは、本発明の実施形態による、デジタル波形入力830に基づいて、信号をリーダ120に後方散乱するための、無線デバイス130用の伝送装置800を図説するブロック図である。そして、図7Bは、本発明の実施形態による、図7Aの伝送装置800用の可変インピーダンス810回路を図説するブロック図である。本発明は、受動および半受動RFIDシステム100用の複素波形を生成するための方法および装置を提供する。複素波形は、8−コンステレーション位相シフトキーイング(「8PSK」)、直交周波数分割多重(「OFDM」)、またはn−コンステレーション直交振幅変調(「nQAM」)など、任意のタイプの複素変調信号を生成することができる。方法および装置は、各無線デバイス130用の周波数チャネルを生成するために、使用されることもできる。一実施形態によれば、伝送装置(例えば、800)は、無線デバイス130内の後方散乱デコーダ820およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840を介して(それぞれ図7Bにおける第1のスイッチS1および第2のスイッチS2を介して)スイッチオンまたはオフされるインピーダンスのアレイ(例えば、図7Bにおける第1のインピーダンスZ1および第2のインピーダンスZ2)を有する可変インピーダンス810に結合されたアンテナ133を含む。デコーダ820の入力に印加される信号830は、任意のタイプのデジタル信号からなることができる。伝送装置800は、デコーダ820、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840、および可変インピーダンス810を制御するためのプロセッサ880と、情報(例えば、デジタル波形830)を記憶するためのメモリ890と、当業者に知られているような関連するハードウェアおよびソフトウェアとを含むことができる。
【0027】
図8は、本発明の実施形態による、ガンマ(Γ)とZiとの間の関係を図説するグラフである。ここで、Γは、反射係数であり、Ziは、アンテナ133によって見られるインピーダンスである。反射係数は、デジタル波形830に正比例する。本発明の一実施形態によれば、後方散乱RFアプリケーションについて、反射または後方散乱係数ガンマ(Γ)は、
【0028】
【数3】
【0029】
によって与えられ、ここで、φiは、位相であり、αは、反射係数の大きさであり、jは、−1の平方根である。後方散乱インピーダンス(すなわち、アンテナ133によって見られるインピーダンス)は、その場合、
【0030】
【数4】
【0031】
によって与えられ、ここで、Zsは、定数(典型的には、50オーム)であり、Ziは、後方散乱インピーダンス値である。
【0032】
位相は、0であり、すなわち、
【0033】
【数5】
【0034】
であると仮定する。
【0035】
s(t)が、リーダ120に送信される信号(例えば、正弦波)である場合、それは、α(t)に直接的に関連しなければならず(例えば、s(t)は、α(t)に正比例する)、したがって、Γに直接的に関連しなければならない。これは、時間とともに変化するインピーダンス値Ziを生成する。
【0036】
この実施形態では、信号s(t)は、無線デバイス130によって、リーダ120に後方散乱される。図7Aに示される伝送装置800では、インピーダンス値Ziが、図8に示されるように符号化されるように、Nビット821が、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840を介して、可変インピーダンス810に適用される。ここで、可変インピーダンス810は、N個の状態を有する。符号化に何らかの誤差が、またはZiの符号化に不完全性が存在する場合、これらは、リーダ120内で補正されることができる。これは、信号s(t)がしばらくの間リーダ120によって知られている場合に、可能である。リーダ120は、その場合、到来信号に歪みを加算して、これらの不完全性を補正することができる。
【0037】
図7Aおよび図7Bを再び参照すると、デジタル波形情報830(例えば、Nビット情報)が、情報830についての散乱値または反射係数Γをインピーダンス値Ziに変換するデコーダ820などの要素に適用される。このインピーダンス値Zi(例えば、Nビット821)は次いで、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の出力に基づいて、それぞれのインピーダンスZ1、Z2の間で切り換えを行うために、可変インピーダンス810内のスイッチS1、S2を制御するデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840に適用される。例えば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の出力が「1」である場合、インピーダンス値Ziは、第2のインピーダンスZ2の値になるように設定される。デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の出力が「0」である場合、インピーダンス値Ziは、第1のインピーダンスZ1の値になるように設定される。例えば、第2のインピーダンスZ2のための116オーム、および第1のインピーダンスZ1のための21オームのインピーダンス値は、それぞれ、0.4および−0.4の反射係数Γに対応することができる。所望の反射係数Γがゼロである場合、デコーダ820は、(図8に示されたグラフの通りに)50オームのインピーダンス値Ziを決定することができる。デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、今度は、21オームおよび116オームのインピーダンスZ2、Z1の間で切り換えを行うことによって、50オームの可変インピーダンス810のための平均インピーダンス値を生成する出力を生成する。
【0038】
図7Bに示されるように、可変インピーダンス810回路は、デジタルデコーダ820およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840に依存して、それぞれのスイッチS1、S2によってスイッチインおよびアウトされる、インピーダンスZ1、Z2のアレイから構成されることができる。また、可変インピーダンス810は、アナログ信号を介して制御されることができ、すなわち、可変インピーダンス810を駆動するために、ガンマからZiへのデコーダ820およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の後に、デジタルアナログ変換機(「DAC」)(図示されず)が追加される
【0039】
デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、可変設計とすることができる。例えば、一実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、ローパスデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器を含むこと、またはローパスデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器とすることができる。別の実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、バンドパスデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器を含むこと、またはバンドパスデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器とすることができる。一実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、シングルビットデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器とすることができる。
【0040】
デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、DCレベルから何らかの事前決定された設計帯域幅までの入力データ821を表す出力ビットストリームを生成する。事前決定された設計帯域幅より上では、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の量子化されたノイズは、何らかの設計カットオフポイントにおいて、信号があまりにも大きい量子化ノイズを有すると見なされることができるまで、増加することができる。一実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840からのアウトオブバンドノイズ出力をフィルタリングするために、1または複数のフィルタが、可変インピーダンス810回路内に含まれることができる。可変インピーダンス810回路は、アンテナ133に電気的に接続された出力を有する。デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、可変インピーダンス810回路のインピーダンス値Ziを変更することによって、アンテナ133の反射係数Γが調整されることができるように、可変インピーダンス810回路の出力をデジタルに制御するために、可変インピーダンス810回路への入力に結合される。一実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の出力は、少なくとも2つの状態またはインピーダンス値Ziの間で可変インピーダンス810のインピーダンス値Ziの切り換えを行う。
【0041】
一実施形態によれば、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、それに適用される信号の帯域幅に基づいて、任意の次数とすることができる。加えて、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840に適用されるクロックは、オーバーサンプリングレートを設定することができる。
【0042】
図9は、本発明の実施形態による、IおよびQデータ入力1030に基づいて、任意の変調された信号をリーダ120に後方散乱するための、無線デバイス130用の加算器1050を有する伝送装置1000を図説するブロック図である。一実施形態によれば、デジタル波形830は、図9に示されるように、同相(「I」)および直交(「Q」)データ1030とすることができる。図9では、デジタル信号生成器(「DSS」)1040は、IおよびQデータ1030を任意選択でアップコンバートする(またはずらす)ことができる。例えば、DSS1040は、それぞれの混合器1071によってIおよびQデータに適用される正弦(または余弦)および余弦(または正弦)信号1070を提供することができる。あるいは、DSS1040は、IおよびQデータに乗算される定数値を生成することができる(すなわち、混合器1071は、ゲイン要素として動作する)。ガンマからZiへのデコーダ1020は、アップコンバートされた(またはずらされた)IおよびQデータを受け取り、それをデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1080を介して可変インピーダンス1010に適用する。可変インピーダンス1010は、スイッチインまたはアウトされるインピーダンスのアレイ(例えば、それぞれのスイッチを有するインピーダンスの並列アレイ)から構成されることができる。
【0043】
図7Aおよび図7Bを再び参照しながら、上述のことを要約すると、一実施形態によれば、アンテナ133は、リーダ120から来た到来無線周波数信号を後方散乱するために使用される。アンテナ133は、スイッチS1、S2に接続されたインピーダンスデバイスZ1、Z2のアレイに電気的に結合される。インピーダンスデバイスのアレイ(例えば、可変インピーダンス810)は、任意のNビットデジタル波形(例えば、830)によって駆動される、デジタルブロック(例えば、デコーダ820)およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840によってデジタル的に制御されることができる。デジタルブロック820は、出力を、Nビットデジタル波形830に関連するデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840を介して、インピーダンスのアレイ810に提示する。インピーダンスのアレイ810のインピーダンス値の変化は、到来無線周波数信号を後方散乱し、したがって、到来無線周波数信号に関するデジタル波形830の出力の直接的なアップコンバートされたバージョンを生成する。デジタルブロック820およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840の出力は、様々な状態の間でインピーダンスのアレイ810の切り換えを行い、それが、反射係数Γの特性を変更する。デジタルブロック820に適用される信号830は、例えば、GMSK、nPSK、8PSK、nQAM、OFDMなど、任意の複素変調信号の形態を取ることができ、そのような信号は、周波数+/−ωだけ到来無線周波数信号からずらされることができる。
【0044】
図9を再び参照すると、デジタルブロック1020への入力1030は、例えば、制御信号を介して、同相(すなわち、I)信号と直交(すなわち、Q)信号との間で交互に現れることができる。また、インピーダンスのアレイ1010は、データがIデータであるか、それともQデータであるかに応じて、互いに90度オフセットされた後方散乱係数の間で切り換えを行うことができる。例えば、I信号が、シータ度において後方散乱係数を生成する場合、Q信号は、シータ+90度である後方散乱係数を生成する。制御信号は、クロック信号とすることができる。DSS1040によってIおよびQ信号1030に適用される信号1070は、直流(「DC」)信号の形態(すなわち、周波数オフセットなし)、または選択された(すなわち、ωの周波数オフセットを与えるように選択された)周波数における正弦波および余弦波の形態を取ることができる。デジタルブロック1020に適用されるIおよびQ信号は、インピーダンスアレイ1010、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1080、またはデジタルブロック1020におけるいずれの誤差も補償するように、調整されることができる。インピーダンスのアレイ1010は、デジタルブロック1020またはデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1080のアウトオブバンドノイズのいくらかをフィルタリングして除去するための、いくつかのフィルタリング特性を含むことができる。また無線デバイス130からの後方散乱された信号を検出するために使用されるリーダ120は、インピーダンスアレイ1010、デジタルブロック1020、またはデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1080内で生成されたいずれの誤差も補償することができる。
【0045】
図10Aは、本発明の実施形態による、RFIDシステム1300内のリーダ120と無線デバイス130との間の誘電結合を図説するブロック図である。図10Bは、本発明の実施形態による、図10AのRFIDシステム1300用の等価回路1310を図説するブロック図である。そして図11は、本発明の実施形態による、デジタル波形入力1430に基づいて、信号をリーダ120に伝送するための、無線デバイス130用の誘電結合を使用する伝送装置1400を図説するブロック図である。
【0046】
一実施形態によれば、リーダ120と無線デバイス130との間の通信は、リーダ120において誘電負荷変化を感知することによって、生じることができる。ここでは、リーダ120は、磁気または誘電結合を介して、無線デバイス120と通信する。これは、図10Aおよび図10Bに示されている。図10Aおよび図10Bは、誘電結合が行われるRFIDシステム1300の基本原理を示している。誘電結合が行われるシステム1300の場合、基本となるコイルが、それらのサイズによって定義される。2つのコイル1320、1330の結合システムは、等価の変成器によって表されることができることが知られている。これら2つのコイル1320、1330の間の接続は、磁界(B)によって与えられ、この接続を記述する基本となる値は、相互インダクタンス(M)および/または結合係数(k)である。
【0047】
ビオサバールの法則は、
【0048】
【数6】
【0049】
によって与えられる。
【0050】
これは、あらゆるポイントにおける磁界の計算を、電流i1ならびに幾何形状の関数として可能にする。ここで、μ0は、透磁率であり、xは、距離であり、Sは、コイルに沿った積分経路を記述する。さらに、相互インダクタンスおよび結合係数は、
【0051】
【数7】
【0052】
【数8】
【0053】
によって与えられる。
【0054】
これらの等式では、A2は、第2のコイルの面積を記述し、L1およびL2は、2つのコイル1320、1330のインダクダンスである。リーダ−コイル1320とトランスポンダ−コイル1330との間の距離xも、結合係数を決定する。この結合についての等価なモデルが、図10Bに示されている。リーダ120によって見られるインピーダンス値Ziは、アドミッタンスY1およびY2に直接的に関連する。アドミッタンスY1およびY2は、振幅を介して変調されるか(例えば、ASK)、または同相で変調される(例えば、PSK)。アドミッタンスY1およびY2も、多位相PSKおよび多振幅ASKを使用して、変調されることができる。
【0055】
一般的に言うと、リーダ120によって受信される信号は、無線デバイス130において変化するインピーダンス値の関数である。このインピーダンス値がひとたび変化すると、リーダ120によって見られる信号は変更され、リーダ120は、これを検出することができる。
【0056】
後方散乱のケースと同様に、図11に示されるように、可変インピーダンス1410は、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1440を介して、デコーダ1420によって変更されることができる。ここで、L1405は、無線デバイス側におけるインダクタンスである。後方散乱のケースと同様に、上で説明されたのと同じ方法が、例えば、(i)IおよびQ信号を生成するために、(ii)デコードからリーダが見るものへの一般的なマッピングのために、ならびに(iii)信号がリーダによって知られている場合は、信号を事前に歪ませて、補正された信号を生成するために、使用されることができる。
【0057】
図11を再び参照しながら、上述のことを要約すると、一実施形態によれば、インダクティブ要素1405と、インダクティブ要素1405に電気的に結合された出力を有する、スイッチおよび回路によって制御されるインピーダンスのアレイ1410と、インピーダンスのアレイ1410のインピーダンス値Ziをデジタルに制御するための、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1440を介してインピーダンスのアレイ1410に結合された少なくとも1つのデジタルブロック1420とを備える、到来無線周波数(RF)信号を変更するための伝送装置1400であって、到来RF信号は、インダクティブ要素1405の結合されたインピーダンスのアレイ1410が調整されるにつれて変更される、伝送装置1400が提供される。
【0058】
デコーダ1420およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1440の出力は、到来RF信号を変更する、様々な状態の間でのインピーダンスのアレイ1410の切り換えを行うことができる。デジタルブロック1420に適用される信号1430は、例えば、GMSK、nPSK、8PSK、nQAM、OFDMなどの、任意の複素変調信号の形態を取ることができ、そのような信号は、周波数+/−ωだけ、到来無線周波数信号からずらされることができる。
【0059】
デジタルブロック1420への入力1430は、例えば、制御信号を介して、同相(すなわち、I)と直交(すなわち、Q)信号との間で、交互に現れることができる。また、インピーダンスのアレイ1410は、データがIデータであるか、それともQデータであるかに応じて、0度から90度にずらすように、到来RF信号を変更することができる。例えば、I信号が、シータ度においてインピーダンス値を生成する場合、Q信号は、シータ+90度であるインピーダンス値を生成する。制御信号は、クロック信号とすることができる。IおよびQ信号に適用される信号(例えば、1070)は、DC信号の形態、または選択された周波数における正弦波および余弦波の形態を取ることができる。デジタルブロック1420に適用されるIおよびQ信号は、アレイ内におけるインピーダンス値の変化に起因する、インピーダンスアレイ1410におけるいずれの誤差も補償するように、調整されることができる。インピーダンスのアレイ1410は、DAC量子化されたアウトオブバンドノイズのいくらかをフィルタリングして除去するための、いくつかのフィルタリング特性を有することができる。そして変調された信号を検出するために使用されるリーダ120は、インピーダンスアレイ1410、デジタルブロック1420、またはデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器1440内で生成されたいずれの誤差も補償することができる。
【0060】
したがって、一実施形態によれば、元の信号を受信し、無線デバイス120からの情報830を含む変調された信号を後方散乱するためのアンテナ133と、アンテナ133に結合された可変インピーダンス810であって、インピーダンス値Ziを有する可変インピーダンス810と、変調された信号(例えば、任意の変調された信号)を生成するために、情報830に従って、インピーダンス値Ziを変調し、それによってアンテナ133のための後方散乱係数Γを変調するための、可変インピーダンス810に結合されたデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840と、情報830からインピーダンス値Ziを生成するための、デルタ−シグマ変調器840に結合されたデコーダ820とを備える、無線デバイス130用の伝送装置800が提供される。
【0061】
上述の伝送装置800では、可変インピーダンス810は、アンテナ133と直列に結合されることができる。無線デバイス130は、元の信号からのエネルギー140によって給電されることができる。可変インピーダンス810は、インピーダンスのアレイと、それぞれのスイッチとを含むことができる。デコーダ820は、後方散乱係数Γからインピーダンス値Ziへのデコーダを含むことができる。情報830は、Nビットデジタル波形830とすることができる。Nビットデジタル波形830は、Nビットデジタル波形830に関連する可変インピーダンス810のための制御信号821を生成するために、デコーダ820に適用され、その後、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840に適用されることができる。インピーダンス値Ziの変化は、変調された信号を生成するために、元の信号を後方散乱し、変調された信号は、Nビットデジタル波形830の周波数オフセット(例えば、アップコンバートされた)形態である。可変インピーダンス810のための制御信号821は、可変インピーダンス810内のインピーダンスのアレイの切り換えを行うことができ、それがアンテナ133の後方散乱係数Γの特性を変更することができる。情報830は、複素変調信号1030とすることができる。複素変調信号1030は、元の信号から周波数においてオフセットされていることができる。複素変調信号1030は、GMSK信号、nPSK信号、8PSK信号、nQAM信号、およびOFDM信号のうちの1つとすることができる。複素変調信号1030は、I+jQによって表されることができ、ここで、Iは、同相成分であり、Qは、直交成分であり、jは、−1の平方根である。複素変調信号1030は、制御信号を介して、同相信号(I)と直交信号(Q)との間で交互に現れることができる。可変インピーダンス810、1010は、複素変調信号1030が同相信号(I)であるか、それとも直交信号(Q)であるかに応じて、互いに90度オフセットされた後方散乱係数の間で切り換えを行うことができる。制御信号は、クロック信号とすることができる。伝送装置800、1000は、デジタル信号生成器1040をさらに含むことができる。デジタル信号生成器1040は、定数値信号を、同相信号(I)および直交信号(Q)に適用することができる。デジタル信号生成器1040は、正弦波および余弦波信号1070を、それぞれ、同相信号(I)および直交信号(Q)に適用することができる。複素変調信号1030は、同相信号(I)と直交信号(Q)の和とすることができる。伝送装置800、1000は、デジタル信号生成器1040をさらに含むことができる。デジタル信号生成器1040は、定数値信号を、同相信号(I)および直交信号(Q)に適用することができる。デジタル信号生成器1040は、正弦波および余弦波信号1070を、それぞれ、同相信号(I)および直交信号(Q)に適用することができる。Nビットデジタル波形830は、デコーダ820、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840、および可変インピーダンス810のうちの少なくとも1つにおける誤差を補償するように調整されることができる。可変インピーダンス810は、デコーダ820およびデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840のうちの少なくとも一方によって生成されるフィルタリングノイズのためのフィルタを含むことができる。変調された信号は、任意の信号とすることができる。無線デバイス120は、RFIDタグとすることができる。元の信号は、RFIDリーダ120から受信されることができる。RFIDリーダ120は、デコーダ820、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840、および可変インピーダンス810のうちの少なくとも1つにおける誤差を補正するように構成されることができる。伝送装置800は、伝送装置800を制御するためのプロセッサと、情報830を記憶するためのメモリとをさらに含むことができる。デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、ローパスデルタ−シグマ変調器およびバンドパスデルタ−シグマ変調器のうちの一方とすることができる。デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、シングルビットデルタ−シグマ変調器とすることができる。そしてデルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、少なくとも2つの状態(Z1、Z2)の間でインピーダンス値Ziの切り換えを行う(S1、S2)ことができる。
【0062】
上述の実施形態は、後方散乱および誘電結合が行われる無線周波数識別システム内の無線デバイス130とリーダ120との間の通信のための改良された方法および装置に貢献することができ、1または複数の利点を提供することができる。例えば、本発明の無線デバイス130は、それらがリーダ120に後方散乱または誘電結合することができる信号の性質において制限されない。加えて、本発明の無線デバイス130は、これらの信号のフィルタリングを可能にする。加えて、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、信号を生成するために状態を切り換えるのに必要とするインピーダンスの数を削減する。さらに、デルタ−シグマ(ΔΣ)変調器840は、わずか1つだけのインピーダンスを用いて、高レベルの変調を可能にする。
【0063】
上で説明された本発明の実施形態は、例示的にすぎないことが意図されている。当業者は、これらの実施形態に対して細部の様々な変更が行われることができ、それらのすべてが本発明の範囲内に包含されることを理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11