(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記導管の前記全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、少なくとも前記上行大動脈の前記内壁まで延在するように構成され、かつ、
前記表面の少なくとも一部が、前記導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、前記導管の周辺に縦方向位置で配置されている、追加の表面をさらに含む、請求項1に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記外側支持構造の近位端の外径と前記外側支持構造の遠位端の外径との比率が、3:4と4:3との間になるように前記装置が構成される、請求項1に記載の機器。
前記内表面は、前記導管の前記広がり部分に近位の近位収束部分を規定するように構成され、前記近位収束部分は、前記収束部分の近位端から前記収束部分の遠位端への方向に収束する、請求項1に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記装置が20mmを超える長さを有するように前記装置が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記広がり部分の前記近位端における前記導管の直径と、前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の直径との差が3mmよりも大きくなるように前記装置が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の直径と、前記広がり部分の前記近位端における前記導管の直径との差が5mmよりも大きくなるように、前記装置が構成される、請求項12に記載の機器。
前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の直径と、前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の前記直径との前記差が30mm未満になるように前記装置が構成される、請求項12に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に移植されると、前記導管経由以外の任意の流路を経由して、前記上行大動脈の縦方向部分を通る血流が、前記上行大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように前記装置が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に埋め込まれると、前記導管経由以外の任意の流路を経由して、前記上行大動脈の縦方向部分を通る血流がなくなるように前記装置が構成される、請求項15に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記装置が、前記導管の前記全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、少なくとも前記上行大動脈の内壁まで延在し、かつ、血流を妨げるように構成される、2つの表面を規定するように、前記装置が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記装置が前記上行大動脈の縦方向部分内に配置された状態である場合に、前記広がり部分の遠位端における前記導管の直径対、前記広がり部分の近位端における前記導管の直径の比率が4:3よりも大きくなるように前記装置が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の直径対、前記広がり部分の前記近位端における前記導管の直径の比率が2:1よりも大きくなるように前記装置が構成される、請求項23に記載の機器。
前記広がり部分の前記遠位端における前記導管の直径対、前記広がり部分の前記近位端における前記導管の直径の比率が4:1よりも小さくなるように前記装置が構成される、請求項23に記載の機器。
【発明の概要】
【0004】
本発明のある用途に対して、装置が被験者の血管内部に配置される。装置は、装置の近位端から装置の遠位端まで装置を貫通する導管を規定する内表面を規定する。導管の少なくとも一部は、導管の近位(すなわち、上流)端部から導管の遠位(すなわち、下流)端部の方向に広がり(diverge)、それにより、導管のその遠位(すなわち、下流)端部における断面積が、導管のその近位(すなわち、上流)端部における断面積より大きくなるようにする。装置は、血管の縦方向部分内に配置され、それにより、順行か逆行方向かに関わらず、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流が、血管の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満(例えば、10パーセント未満、又は5パーセント未満)になるようにする。導管の広がりは、装置がない場合に血管の縦方向部分を流れる血液の圧力損失に比べて、導管を流れる血液の圧力損失を低減するように構成される。導管の広がりは、流れ剥離面積(area of flow separation)を低減することにより血液の圧力損失を低減するように構成される。
【0005】
装置は、典型的には、大動脈弁狭窄を患っている被験者の上行大動脈内に、狭窄した大動脈弁の近くに配置される。被験者の左心室から出る血液は、導管に入るように向けられ、導管は、本明細書で前述したように、流れ剥離面積を低減することにより血液の圧力損失を低減するように成形される。典型的には、血液を前述した方法で流すことにより、左心室を出て上行大動脈に入る血流の圧力及びエネルギーの損失が、装置がない場合の血流の圧力及びエネルギーの損失に比べて低減される。このように、被験者の上行大動脈内に装置を配置することにより、被験者の左室圧を低下させて、後負荷を低減し、及び/又は、被験者の心拍出量を改善し得る。ある用途に対して、大動脈弁からの血流を前述した方法で制御すると、更なる大動脈弁狭窄に至る悪化過程を延ばすか、又は、停止し得る。上行大動脈内の不健康な流状態は、弁表面上への血栓の逐次沈着を引き起こし得、それは、高度の狭窄に至る更なる弁の肥厚、変形及び石灰化を生じ得る。配置された装置は、流状態を変えることにより、石灰化を生じる炎症過程を低減し得る。従って、装置は、被験者の医学的状態の悪化を低減し得る。
【0006】
装置は、典型的には、導管の外側から血管の内壁まで、及び/又は、血管の内壁に接触している外側支持構造まで延在する1つ以上の表面を規定する。典型的には、1つ以上の表面は、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在する(それにより、表面は血管の内表面まで及び/又は外側支持構造まで延在する)。表面は、本明細書で説明する方法で、導管の外側周辺(例えば、導管の遠位端)で血液の逆流を妨げるように構成される。
【0007】
典型的には、装置は、導管の近位部分を取り囲む近位外表面を規定する。ある用途に対して、装置は、導管の遠位部分を取り囲む遠位外表面を規定する。典型的には、表面は、導管の外側から血管の内壁まで、及び/又は、血管の内壁に接触している外側支持構造まで延在する。近位及び遠位外表面は、装置が、被験者の大動脈の縦方向部分の内部に配置される場合に、順行か逆行方向かに関わらず、装置の内表面によって規定された導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を通る血流を、表面が実質的に妨げるように構成される。例えば、近位及び遠位表面は、装置が、被験者の大動脈の縦方向部分の内部に配置される場合に、装置の内表面によって規定された導管経由以外の流路を経由した流れが、被験者の大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満(例えば、10パーセント未満、又は5パーセント未満)になるように構成され得る。
【0008】
ある用途に対して、装置は、別個の遠位外表面を規定しない。むしろ、導管を規定する内表面の遠位端は、血管の内表面まで又は外側支持構造まで延在し、それにより、内表面の遠位端は、導管の遠位端の外側周辺での血液の逆流を妨げる。このように、内表面の遠位端は遠位外表面として機能する。
【0009】
ある用途に対して、近位及び遠位外表面及び/又は内表面は、不浸透性であり、導管の外側周辺で収縮期中(及び/又は拡張期中)に血液が大動脈弁の方に逆流するのを防ぐ。血液が、収縮期中に大動脈弁の方に逆流するのを防ぐことにより、表面は、左心室を出て上行大動脈に入る血流の圧力及びエネルギーの損失を、装置がない場合の血流の圧力及びエネルギーの損失に比べて抑える。ある用途に対して、表面は、不浸透性でないが、本明細書で前述した方法で、血液が、装置の内表面によって規定された導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を流れるのを実質的に防ぐために十分に低い浸透性を有する。
【0010】
ある用途に対して、装置は、導管と、装置がその中に配置される大動脈の縦方向部分内の大動脈の内壁との間の領域内に沈着する血液の凝固を、この領域を通る血流を、装置がない場合に比べて、実質的に低減することにより、促進するように構成される。典型的には、近位、遠位、及び/又は、内表面を規定する材料は、その領域内に生じる血栓が、その領域から出て、被験者の血流に入るのを防ぐように構成される。ある用途に対して、その領域内での血液の凝固を促進することにより、装置は、その領域に入る血液を凝固させ、それにより、その領域は、装置が大動脈内に配置されている所与の期間内(例えば、装置が大動脈内に配置されている、一週間、1か月又は3か月以内)に、凝固血液で満たされるようになり、それにより、凝固血液がその領域を通る血流を妨げる(例えば、遮断する)。ある用途に対して、その領域内で凝固する血液は、装置の配置直後に、その領域内で捕捉された血液である。代替又は追加として、血液は、装置が配置された後でその領域に入り、それに続いてその領域に入る血液が凝固される。
【0011】
典型的には、装置は、導管内又は装置内の任意の他の位置に配置された人工弁を含まないことに留意されたい。装置は、典型的には、任意のタイプの人工弁の使用を必要とすることなく、本明細書で説明する機能の全てを実行する。
【0012】
用語「近位」及び「遠位」は、本出願では、大動脈弁に対して、大動脈内のそれぞれの要素の位置を指す。すなわち、用語「近位」は、「上流」にある、大動脈弁により近い要素を指し、用語「遠位」は、「下流」にある、大動脈弁から遠い要素を指す。従って、用語「近位」は、用語「上流」と同義に使用され、用語「遠位」は、用語「下流」と同義に使用される。装置が、被験者の身体内の異なる位置に置かれる場合、用語「近位」及び「遠位」は、血流の方向に対して理解すべきであり、相対的に上流の位置は「近位」と見なされ、相対的に下流の位置は「遠位」と見なされる。
【0013】
従って、本発明のある用途に従い、被験者の上行大動脈内の血流を制御するための方法が提供され、本方法は、
配置された状態の場合に、装置の上流端部から装置の下流端部まで、装置を貫通する導管を規定する内表面を規定する装置を上行大動脈内に挿入することであって、内表面の少なくとも一部が、広がり部分の上流端部から広がり部分の下流端部への方向に広がり、それにより、広がり部分の下流端部における導管の断面積が、広がり部分の上流端部における導管の断面積より大きくなるように、装置を上行大動脈内に挿入することと、
導管経由以外の任意の流路を経由して、上行大動脈の縦方向部分を通る血流が、上行大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することと、を含む。
【0014】
ある用途に対して、装置は、人工弁を含まず、装置を上行大動脈内に挿入することは、人工弁を上行大動脈内に挿入することを含まない。
【0015】
ある用途に対して、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を通る血流がなくなるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することを含む。
【0016】
ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、導管の広がり部分に近位の内表面の一部が、収束部分の上流端部から収束部分の下流端部への方向に収束する導管の収束部分を規定する、装置を上行大動脈内に挿入することを含む。
【0017】
ある用途に対して、装置は、1つ以上のバルーンのセットを含み、装置を配置することは、1つ以上のバルーンを膨張させることを含む。
【0018】
ある用途に対して、本方法は、被験者を、大動脈弁狭窄を患っているとして識別することをさらに含み、装置を配置することは、上行大動脈内での圧力損失を、装置がない場合の上行大動脈内での圧力損失に比べて低減することによって被験者を治療することを含む。
【0019】
ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、配置された状態の場合に、20mmを上回る長さを有する装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、長さが70mm未満の装置を上行大動脈内に挿入することを含む。
【0020】
ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、装置が配置された状態の場合に、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が4:3よりも大きい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が2:1よりも大きい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が4:1よりも小さい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。
【0021】
ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、装置が配置された状態の場合に、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が3mmよりも大きい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が5mmよりも大きい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が30mmよりも小さい装置を上行大動脈内に挿入することを含む。
【0022】
ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、装置を、上行大動脈の内壁に接触させることによって、上行大動脈の内部にしっかりと固定するように構成された外側支持構造を含む装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造がステントグラフト材料で作られている装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造がそれぞれステントグラフト材料の別個の部品で作られている装置を上行大動脈内に挿入することを含む。ある用途に対して、装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造がステントグラフト材料の単一のつながった部品で作られている装置を上行大動脈内に挿入することを含む。
【0023】
ある用途に対して、導管経由以外の任意の流路を経由して、上行大動脈の縦方向部分を通る血流が、上行大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、装置の表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して、大動脈の内壁、及び、大動脈の内壁に接触している装置の外側支持構造、から成る群から選択された位置に接触するように装置を配置することを含み、表面は、それを通過する血流を妨げるように構成されている。
【0024】
ある用途に対して、装置の表面が選択された位置に接触するように装置を配置することは、0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有する装置の表面が選択された位置に接触するように装置を配置することを含む。
【0025】
ある用途に対して、装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、導管を規定する内表面の下流端部が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含む。
【0026】
ある用途に対して、装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、導管の下流端部において導管の全周囲の周辺に配置され、かつ、半径方向に外側へ延在する表面が、選択された位置に接触するように装置を配置することを含む。
【0027】
ある用途に対して、装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、表面の少なくとも一部が導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、表面が導管の周辺に縦方向位置で配置されている、表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含む。
【0028】
ある用途に対して、導管経由以外の任意の流路を経由して、上行大動脈の縦方向部分を通る血流が、上行大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、装置の2つの表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含み、両方の表面は、それを通過する血流を妨げるように構成されている。ある用途に対して、装置の2つの表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、血液を2つの表面の間の領域内で凝固させることを含む。ある用途に対して、本方法は、充填材を2つの表面の間の領域に注入することをさらに含む。
【0029】
本発明のある用途に従い、機器が追加として提供され、機器は、
被験者の血管内に配置されるように構成された埋込装置を含み、装置は、
装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、装置の近位端から装置の遠位端まで装置を貫通する導管を規定するように構成される内表面であって、導管の少なくとも一部は、導管のその遠位端における断面積が、導管のその近位端における断面積より大きくなるように、導管の近位端から導管の遠位端の方向に広がる、内表面と、
血管の内壁に接触することによって、装置を血管内に保持するように構成された外側支持構造と、を含み、
装置は、血管の縦方向部分内に配置された状態の場合、その遠位端において、導管から、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ延在する表面を規定するように構成される。
【0030】
ある用途に対して、装置は人工弁を含んでいない。
【0031】
ある用途に対して、半径方向に外側へ延在する表面は、0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有する。
【0032】
ある用途に対して、半径方向に外側へ延在する表面は、導管を規定する内表面の遠位端を含む。
【0033】
ある用途に対して、半径方向に外側へ延在する表面は、導管の遠位端の周辺に配置され、かつ、半径方向に外側へ延在する表面を含む。
【0034】
ある用途に対して、機器は、
装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成されていて、かつ
表面の少なくとも一部が導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、導管の周辺に縦方向位置で配置されている、追加の表面をさらに含む。
【0035】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、外側支持構造の近位端の外径と外側支持構造の遠位端の外径との比率が3:4と4:3との間になるように装置が構成される。
【0036】
ある用途に対して、装置が被験者の上行大動脈の縦方向部分内に埋め込まれると、装置が上行大動脈内の圧力損失を、装置がない場合の上行大動脈内での圧力損失に比べて低減するように装置が構成される。
【0037】
ある用途に対して、内表面は、導管の広がり部分に近位の近位収束部分を規定するように構成され、近位収束部分は、収束部分の近位端から収束部分の遠位端への方向に収束する。
【0038】
ある用途に対して、装置は、1つ以上のバルーンのセットを含む。
【0039】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、装置が20mmを超える長さを有するように装置が構成される。ある用途に対して、装置の長さが70mm未満になるように装置が構成される。
【0040】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、広がり部分の近位端における導管の直径と、広がり部分の遠位端における導管の直径との差が3mmよりも大きくなるように、装置が構成される。ある用途に対して、広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の近位端における導管の直径との差が5mmよりも大きくなるように、装置が構成される。ある用途に対して、広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の遠位端における導管の直径との差が30mm未満になるように、装置が構成される。
【0041】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に埋め込まれると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流が、血管の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように装置が構成される。ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に移植されると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流がなくなるように装置が構成される。
【0042】
ある用途に対して、内表面及び外側支持構造はステントグラフト材料で作られている。ある用途に対して、内表面及び外側支持構造は、それぞれ、ステントグラフト材料の別個の部品で作られている。ある用途に対して、内表面及び外側支持構造は、ステントグラフト材料の単一のつながった部品で作られている。
【0043】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、装置が、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在し、かつ、血流を妨げるように構成される、2つの表面を規定するように、装置が構成される。ある用途に対して、2つの表面は、2つの表面の間の領域内で血液を凝固させるように構成される。ある用途に対して、機器は、2つの表面の間の領域に注入するように構成された充填材をさらに含む。
【0044】
ある用途に対して、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:3よりも大きくなるように装置が構成される。ある用途に対して、広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が2:1よりも大きくなるように装置が構成される。ある用途に対して、広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:1よりも小さくなるように装置が構成される。
【0045】
本発明のある用途に従い、機器がさらに提供され、機器は、
被験者の血管内で膨張するように構成された1つ以上のバルーンのセットを含み、バルーンのセットは、
血管内でバルーンのセットが膨張した状態にある場合に、バルーンのセットの近位端からバルーンのセットの遠位端まで、バルーンのセットを貫通する導管を規定するように構成される内表面であって、導管の少なくとも一部は、導管のその遠位端における断面積が、導管のその近位端における断面積より大きくなるように、導管の近位端から導管の遠位端の方向に広がる、内表面と、
導管の外側周辺の血流を妨げるように構成された近位及び遠位の外表面と、を規定する。
【0046】
本発明は、図面と併せて、その実施形態の以下の詳細な説明から、さらに十分に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ここで
図1A〜
図1Dを参照すると、本発明のある用途に従って、被験者の血管(典型的には、図示のように、被験者の上行大動脈22)の内部に配置される埋込装置20の略図が示されている。
図1C及び
図1Dは、それぞれ、収縮期及び拡張期中の血流を表す矢印を示す。図に示すように、装置20は、装置の近位端から装置の遠位端まで、装置を貫通する導管26を規定する内表面24を規定する。導管の少なくとも一部25は、導管のその下流端部における断面積が、導管のその上流端部における断面積より大きくなるように、導管の近位端から導管の遠位端の方向に広がる。装置は典型的には、大動脈弁狭窄を患っている被験者の上行大動脈内に、狭窄した大動脈弁27の近くに配置される。被験者の左心室から出る血液は、収縮期中は、導管内に向かう(
図1C)。導管の広がりは、導管を流れる血液の圧力損失を、装置がない場合に血管の縦方向部分を流れる血液の圧力損失に比べて、低減するように構成される。導管は、流れ剥離面積を低減することにより血液の圧力損失を低減する。拡張期中、血液は、導管26を経由して冠動脈38の方に逆流する(
図1D)。
【0049】
装置は、典型的には、大動脈の縦方向部分内に配置され、それにより、順行か逆行方向かに関わらず、導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を通る血流が、血管の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満(例えば、10パーセント未満、又は5パーセント未満)になるようにする。
【0050】
典型的には、血液を前述した方法で流すことにより、左心室を出て上行大動脈に入る血流の圧力及びエネルギーの損失が、装置がない場合の血流の圧力及びエネルギーの損失に比べて、低減される。このように、被験者の上行大動脈内に装置20を配置することにより、被験者の左室圧を低下させて、後負荷を低減し、かつ/又は、被験者の心拍出量を改善し得る。ある用途に対して、大動脈弁からの血流を前述した方法で制御すると、更なる大動脈弁狭窄に至る悪化過程を延ばすか又は停止し得る。上行大動脈内の不健康な流状態は、弁表面上への血栓の逐次沈着を引き起こし得、それは、高度の狭窄に至る更なる弁の肥厚、変形及び石灰化を生じ得る。装置20は、流状態を変えることにより、石灰化を生じる炎症過程を低減し得る。従って、装置20は、被験者の医学的状態の悪化を低減し得る。
【0051】
典型的には、装置20は、導管内又は装置内の任意の他の位置に配置された人工弁を含まないことに留意されたい。装置は、典型的には、任意のタイプの人工弁の使用を必要とすることなく、本明細書で説明する機能の全てを実行する。
【0052】
装置は、典型的には、導管の外側から血管の内壁まで、及び/又は、血管の内壁と接触している外側支持構造40まで延在する1つ以上の表面(28、32)を規定する。典型的には、1つ以上の表面は、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在する(それにより、表面は血管の内表面まで及び/又は外側支持構造まで延在する)。表面は、血液が、導管26の外側周辺(例えば、導管26の遠位端の周辺)で、大動脈弁の方に逆流するのを妨げるように構成される。ある用途に対して、装置は、導管の外側周辺での、大動脈弁の方への血液のいかなる逆流も防ぐ。
【0053】
装置20は、典型的には、導管26の近位部分を囲み、かつ、少なくとも導管の外側から外側支持構造40まで延在する、近位外表面28を規定する。例えば、
図1A〜
図1Dに示すように、近位外表面は、導管26の近位端30を囲む円盤形状表面であり得る。典型的には、近位外表面は、近位表面の少なくとも一部が、導管の長さの最近位の30パーセント(例えば、最近位の20パーセント)以内にあるように、導管の周辺に縦方向位置で配置される。
【0054】
ある用途に対して、装置20は、導管26の遠位部分を囲み、かつ、導管の外側から外側支持構造40まで延在する、遠位外表面32を規定する。例えば、
図1A〜
図1Dに示すように、遠位外表面は、導管の遠位端34を囲む円盤形状表面であり得る。ある用途に対して、装置は、別個の遠位外表面を規定しない。むしろ、導管を規定する内表面の遠位端は、血管の内壁まで、又は、血管の内壁と接触している、外側支持構造まで延在する。このように、内表面の遠位端は、遠位外表面として機能し、
図6A〜
図6Eに示すように、導管の遠位端の外側周辺での血液の逆流を妨げる。
【0055】
近位及び遠位外表面は、典型的には、装置20が被験者の大動脈の縦方向部分35の内部に配置される場合に、表面は、導管26経由以外の任意の流路を経由して、縦方向部分35を通る血流を実質的に妨げるように、構成される。例えば、近位及び遠位表面は、装置が被験者の大動脈の縦方向部分の内部に配置される場合に、装置の内表面によって規定された導管経由以外の流路を経由した流れが、順行か逆行方向かに関わらず、被験者の大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満(例えば、10パーセント未満、又は5パーセント未満)になるように構成され得る。
【0056】
ある用途に対して、(a)遠位外表面32は、導管26の外側周辺での血液の逆流を妨げるように構成され、かつ、(b)近位外表面28は、導管26の外側周辺での順行血流を妨げるように構成される。例えば、近位外表面28は、導管を囲んでいる領域内で渦流及び/又はよどんだ血液を形成する可能性を低下させるために、導管の外側周辺での順行血流を妨げるように構成され得る。ある用途に対して、装置は、遠位外表面を含み(又は、導管を規定する内表面の遠位端が、血管の内壁まで、又は外側支持構造まで延在し、それにより、内表面の遠位端が遠位外表面として機能し)、例えば、
図10A〜
図10Bを参照して本明細書で以下に説明するように、装置は近位外表面を含まない。
【0057】
ある用途に対して、近位外表面、遠位外表面及び/又は内表面は、不浸透性であり、導管の外側で、血液が、収縮期中(及び/又は拡張期中)に大動脈弁の方に逆流するのを防ぐ。ある用途に対して、近位及び遠位外表面の両方(又は近位外表面及び血管の内壁まで延在する内表面)を持つことにより、装置は、導管と、装置がその中に配置される大動脈の縦方向部分内の大動脈の内壁との間の領域36内に沈着する血液を捕捉するように構成される。このように、装置は、領域36内に生じる血栓が、その領域から出て、被験者の血流に入るのを防ぐように構成される。
【0058】
本明細書で前述したように、ある用途に対して、表面は不浸透性でないが、本明細書で前述した方法で、血液が、装置の内表面によって規定された導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を流れるのを実質的に防ぐために十分に低い浸透性を有する。
【0059】
ある用途に対して、各表面は、0.25マイクロメータ未満(すなわち、0と0.25マイクロメータとの間)の単位長さ当たりの浸透性を有し、単位長さ当たりの浸透性は、ダルシーの法則に基づく、次の式に基づいて定義される:k/Δx=Vμ/Δp
式中、kは浸透性であり、Δxは長さ(メートル単位)で、Vは平均速度(メートル/秒単位)、μは流体粘性(パスカル秒で測定)、及びΔPは圧力差(パスカルで測定)である。
【0060】
ある用途に対して、近位外表面、遠位外表面及び/又は内表面は、材料の部分の間にオープンスペースがあるように構築される材料(織物、金属又は合金など)を含む。例えば、材料は、格子構造、編組構造、十字形交差構造、織物構造、細胞構造、ステッチ構造又は類似の構造に配置され得る。典型的には、かかる用途に対してさえ、各表面の20パーセントを超える面積が、材料で満たされ、各表面の80パーセント未満の面積が材料間のオープンスペースである。更に典型的には、各表面の50パーセントを超える、例えば、80パーセントを超える、面積が、材料で満たされる。ある用途に対して、表面内にオープンスペースがない(すなわち、各表面の全体が材料で満たされている)。
【0061】
ある用途に対して、装置は、導管と、装置がその中に配置される大動脈の縦方向部分内の大動脈の内壁との間の領域内に沈着する血液の凝固を、この領域を通る血流を、装置がない場合に比べて、実質的に低減することにより、促進するように構成される。典型的には、近位外表面、遠位外表面及び/又は内表面を規定する材料は、その領域内に生じる血栓が、その領域から出て、被験者の血流に入るのを防ぐように構成される。ある用途に対して、その領域内での血液の凝固を促進することにより、装置は、その領域に入る血液を凝固させ、それにより、その領域は、装置が大動脈内に配置されている所与の期間内(例えば、装置が大動脈内に配置されている、一週間、1か月又は3か月以内)に、凝固血液で満たされるようになり、それにより、凝固血液がその領域を通る血流を妨げる(例えば、遮断する)。
【0062】
ある用途に対して、その領域内で凝固する血液は、装置の配置直後に、その領域内で捕捉された血液である。代替又は追加として、血液は、装置が配置された後にその領域に入り、それに続いてその領域に入る血液が凝固される。かかる用途に対してさえ、装置が最初に配置される場合に、凝固血液がその領域の内部に形成される前でさえ、装置の内表面によって規定された導管経由以外の流路を経由した流れが、被験者の大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満(例えば、10パーセント未満、又は5パーセント未満)になるように、近位及び遠位表面が構成されることに留意されたい。ある用途に対して、領域36内で捕捉される血液を凝固させるために、技術が適用される。例えば、血液を凝固させるために、コイルコンパクション技術が適用され得る。
【0063】
典型的には、装置20が被験者の上行大動脈の内部に配置される場合、血液は、拡張期中(
図1D)には導管26を通る血液の逆流によって、及び/又は、導管26に入ることなく大動脈弁から冠動脈へ直接流れる血液(図示せず)によって、被験者の冠動脈38に供給される。ある用途に対して、冠動脈への血液供給の一部は、大動脈弁から冠動脈への(例えば、収縮期中)順行血流によって供給される。典型的には、冠動脈への血液供給のほとんどは、拡張期中には導管26を通る血液の逆流による。
【0064】
前述のように、導管26の少なくとも一部25は、導管の近位端30から導管の遠位端34の方向に広がる。導管のその部分の広がりに起因して、導管の広がり部分の近位端の断面積は、導管の遠位端の断面積よりも大きい。ある用途に対して、導管の広がり部分に沿った導管の広がりは、導管の広がり部分の長さに沿って一定の角度α(
図1A)であり、例えば、それにより、導管の広がり部分は、図のように、円錐台状形状を規定する。ある用途に対して、導管の広がり部分に沿った導管の広がり角度は、導管の広がり部分の長さに沿って変化する。例えば、広がりの角度は、その部分の近位端からその部分の遠位端まで増加し得、そのため、内表面24は、導管の広がり部分に沿って凸状断面を有する。ある用途に対して、導管の広がり部分は、ストラットフォードランプ(stratford ramp)形状を規定する。典型的には、導管の広がり部分の近位端及び遠位端は、円形断面を規定する。代替として、導管の広がり部分の近位端及び遠位端は、楕円形断面、多角形断面、又は異なる形状の断面を規定する。
【0065】
典型的には、広がりの角度α(
図1Aに示すように、導管の縦軸に平行な線29に対して測定される)、又は、広がりが導管の長さに沿って変化する場合には、広がりの平均角度は、1度より大きく(例えば、5度より大きい)、かつ30度より小さく(例えば、20度未満)、例えば、1〜30度、又は5〜20度である。
【0066】
ここで
図2A〜
図2Cを参照すると、本発明のある用途に従った、埋込装置20のそれぞれの外観の略図が示されている。図のように、ある用途に対して、装置20は外側支持構造40を含む。外側支持構造は、装置20を、血管の内壁に接触させることにより、血管(例えば、大動脈)内に保持する。ある用途に対して、外側支持構造はステント状構造であり、外側支持構造は、円筒状ステントとして成形され、かつ/又は、支持構造は、ステンレス鋼又はニチノールなどの、金属又は合金の支柱を含む。装置20が被験者の上行大動脈の内部に配置される場合、外側支持構造は、半径方向の外向きの力を大動脈の内壁にかけるように拡張することにより、装置を上行大動脈内にしっかりと固定する。ある用途に対して、外側支持構造は、外側支持構造と血管の内壁との間の接合面が封着されるように構成される。例えば、外側支持構造は、外側支持構造と血管の内壁との間の接合面を封着するカバー(例えば、
図4Bに示す、カバー62)で、少なくとも部分的に覆われ得る。ある用途に対して、装置と血管の内壁との間に実質的に血流がないように、装置の異なる部分が、装置と血管の内壁との間のシールを形成するように構成される。
【0067】
典型的には、内表面24は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は織ポリエステルなどの、低浸透率を有する(例えば、本明細書で説明するように)可撓性材料で作られている。内表面は、内側支持構造42によって支持され、それは、典型的には、ステンレス鋼又はニチノールなどの、金属又は合金の支柱を含む。ある用途に対して、内側支持構造及び外側支持構造は、図に示すように、支柱などの、剛性結合要素44を用いて、相互に連結される。典型的には、結合要素44は、近位外表面28及び遠位外表面32も支持する。ある用途に対して、近位及び遠位外表面は、内表面24のそれと類似の材料で作られている。ある用途に対して、内表面24、近位外表面28及び/又は遠位外表面32は、単一のつながった材料で作られている。代替又は追加として、内表面24、近位外表面28及び/又は遠位外表面32は、相互に別々に形成されて、表面間の接合面が実質的に封着されるように、相互に連結される。
【0068】
一般に、本発明の用途のいずれかに関して説明する装置20は、実質的に相互に連結される、モジュール形成された構成要素(すなわち、相互に別々に形成される構成要素)の任意の組合せを含み得る。典型的には、モジュール形成された構成要素は、構成要素間の接合面が実質的に封着されるように、相互に連結される。
【0069】
典型的には、近位外表面28は、内表面24を規定する材料の層の縁部から、外側支持構造40の内表面まで、半径方向に外側へ延在する。同様に、装置20が遠位外表面32を含む、用途に対して、遠位外表面は、内表面24を規定する材料の層の縁部から外側支持構造の内表面まで半径方向に外側へ延在する。ある用途に対して、内表面の遠位端は、血管の内壁まで、及び/又は、例えば、
図6A〜
図6Eを参照して説明する方法で、血管の内壁に接触している、外側支持構造の内表面まで半径方向に外側へ延在し、それにより、内表面の遠位端が導管の遠位端の外側周辺での血流を妨げる。
【0070】
ある用途に対して、導管26を規定する内表面24は、粗い。導管の粗い表面は、粘着性の向上、境界層の励起及び流れ剥離の遅延(delay flow separation)などのために、血液と導管の表面との間の境界層上のタービュレータとして機能するように構成される。
【0071】
典型的には、装置20は、被験者の上行大動脈に、カテーテルを用いて挿入される。装置を上行大動脈の内部に配置するために、カテーテルは引っ込められ、それに応答して、装置が自己拡張するように構成される。ある用途に対して、装置の自己拡張中に、装置は、大動脈の内壁、導管26、近位外表面28及び遠位外表面32の間で血液を捕捉する。ある用途に対して、捕捉した血液を凝固させるために技術が適用される。例えば、血液を凝固させるために、コイルコンパクション技術が適用され得る。ある用途に対して、装置20は、装置の内側で膨張しているバルーンによって、上行大動脈の内部で拡張するように構成されるバルーン拡張型装置である。
【0072】
図2Aを参照すると、典型的には、装置20の長さLは、20mmより大きく(例えば、30mmより大きい)、かつ/又は、70mmより小さく(例えば、60mm未満)、例えば、20〜70mm、又は、30〜60mmであることに留意されたい。ある用途に対して、(a)外側支持構造40の近位端の直径D0対(b)外側支持構造の遠位端の外径D1の比率は3:4より大きく、かつ/又は、4:3より小さく、例えば、3:4と4:3の間である。外側支持構造の近位端の外径D0は、典型的には、装置の近位端の方に向かって被験者の大動脈の内径と一致するように作られ、また、外側支持構造の遠位端の外径D1は、典型的には、装置の遠位端において被験者の大動脈の内径と一致するように作られる。被験者の大動脈の形状及びサイズには何らかのバリエーションがあるので、D0:D1の比率は典型的には、3:4と4:3との間で変動する。典型的には、装置の最大外径(すなわち、外径がその最大値になる装置の長さに沿った位置における装置の外径)は、18mmより大きく(例えば、25mmより大きい)、かつ/又は45mmより小さく(例えば、35mm未満)、例えば、18〜45mm、又は25〜35mmである。
【0073】
さらに典型的には、
図2Cを参照して、導管の広がり部分25の近位端における導管26の近位内径Dpと、導管の広がり部分の遠位端における導管26の遠位内径Ddとの差が3mmよりも大きく(例えば、5mmより大きいか、又は10mmより大きい)、かつ/又は30mmより小さく(例えば、20mm未満)、例えば、5〜30mm、又は10〜20mmであることに留意されたい。典型的には、近位内径Dpは、7mmより大きく、かつ/又は14mmより小さく、例えば、7〜14mmである。更に典型的には、遠位内径は、12mmより大きく、かつ/又は44mmより小さく、例えば、12〜44mmである。
【0074】
ある用途に対して、導管の広がり部分25の遠位端における導管26の直径Dd対、導管の広がり部分の近位端における導管の直径Dpの比率が4:3よりも大きく(例えば、2:1より大きい)、かつ/又は4:1より小さく(例えば、3:1より小さい)、例えば、4:3〜4:1、又は2:1〜3:1である。導管の断面は、必ずしも円形ではないことに留意されたい。用語「直径」が非円形断面を有する物体又は物体の一部を参照して使用される用途に対して、用語「直径」は、水力直径、すなわち、4A/P(ここでAは断面積であり、Pは外周である)を意味すると解釈すべきである。
【0075】
典型的には、本明細書で説明する装置20の寸法は、装置が非拘束状態の場合に、装置が有するように構成される寸法であることに留意されたい。典型的には、装置が挿入カテーテルを用いて挿入される場合、装置は、その挿入中に拘束され、そのため、挿入中の装置の寸法は本明細書で説明するような寸法でない可能性がある。しかし、装置が、被検者の血管の内部(例えば、被検者の上行大動脈の内部)に配置された状態である場合、装置は、血管の内部に配置された時、その「非拘束」構成をとるので、装置は、典型的には、本明細書で説明する寸法を有するように構成される。ある用途に対して、装置は、非低侵襲的な方法で(例えば、伝統的な手術法を使用して)移植されることに更に留意されたい。いくつかのかかる用途に対して、装置の挿入中でさえ、装置はその非拘束状態で構成される。
【0076】
図2Cを参照して、ある用途に対して、導管26は、広がり部分25に近位に配置される近位部分46、及び/又は、広がり部分25に遠位な遠位部分48を規定することに留意されたい。ある用途に対して、近位部分及び/又は遠位部分は、図のように、円筒形状を有する。代替又は追加として、近位部分及び/又は遠位部分は、異なる形状を有し得る。例えば、その部分の一方又は両方は、導管の縦軸に垂直な平面に沿って楕円形断面を有し得る。ある用途に対して、近位部分は、例えば、
図10Aに示すように、血液を大動脈弁から導管の広がり部分25へ向かわせるために、近位から遠位方向に収束する。ある用途に対して、装置20が上行大動脈の内部に配置される場合に、遠位部分が大動脈弓の方に湾曲するように、遠位部分が形成され、それにより、血液が大動脈弓の方に向かう。
【0077】
図2Cに示すように、ある用途に対して、導管26の近位端は、外側支持構造40の近位端と同じ高さであり、それにより、導管の近位端を囲んで、外側支持構造の近位端まで延在する、表面28は、平坦な円盤形状を規定する。しかし、ある用途に対して(図示せず)、導管の近位端は、外側支持構造の近位端を越えて、近位方向に延在する。代替として、外側支持構造の近位端は、導管の近位端を越えて、近位方向に延在する。かかる用途に対して、表面28は、典型的には、導管の縦軸に垂直な平面に対してある角度をなして配置される。ある用途に対して、表面28は、湾曲している。例えば、表面は、
図10Cを参照して以下で説明するように、凹面又は凸面であり得る。
【0078】
同様に、
図2Cに示すように、ある用途に対して、導管26の遠位端は、外側支持構造40の遠位端と同じ高さであり、それにより、導管の遠位端を囲んで、外側支持構造の遠位端まで延在する、表面32は、平坦な円盤形状を規定する。しかし、ある用途に対して(図示せず)、導管の遠位端は、外側支持構造の遠位端を越えて、遠位方向に延在する。代替として、外側支持構造の遠位端は、導管の遠位端を越えて、遠位方向に延在する。かかる用途に対して、表面32は、典型的には、導管の縦軸に垂直な平面に対してある角度をなして配置される。ある用途に対して、表面32は湾曲している。例えば、表面は凹面又は凸面であり得る。本明細書で前述したように、ある用途に対して、装置は、別個の遠位外表面を規定しない。むしろ、導管を規定する内表面の遠位端は、血管の内壁まで、及び/又は、血管の内壁と接触している外側支持構造まで延在し、それにより、
図6A〜
図6Eに示すように、内表面の遠位端は、導管の遠位端の外側周辺での血液の逆流を妨げる。
【0079】
ここで
図3を参照すると、本発明のある用途に従って、被験者の大動脈の内部に配置される装置20の略図が示されている。
図3に示す装置20は、以下で説明する差を除いて、
図1A〜
図2Cを参照して説明した装置20と概ね類似している。ある用途に対して、外側支持構造40は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は織ポリエステルなどの、低浸透率を有する(例えば、本明細書で前述したような)材料50を含み、それにより、導管26、装置20の端部、及び外側支持構造の間の容積52が実質的に封着される。いくつかのかかる用途に対して、装置20の、被検者の上行大動脈の内部への配置に続いて、充填材54(例えば、生体適合性接着剤又は自己固結性ゲル)が、容積を充填するためなど、容積52に注入される。ある用途に対して、外側支持構造は、本明細書で前述したように、ステント状構造を含み、ステント状構造の内表面及び外表面上に材料50を含む。代替として、外側支持構造は材料50を含み得、いかなる剛性支持要素も含まない。かかる用途に対して、外表面は、容積52内に注入されている充填材54のおかげで半径方向に拡張してくることにより、装置20を上行大動脈にしっかりと固定する。
【0080】
ここで
図4A〜
図4Bを参照すると、本発明のある用途に従った、埋込装置20の略図が示されている。
図4A〜
図4Bに示す装置20は、以下で説明する差を除いて、
図1A〜
図2Cを参照して説明した装置20と概ね類似している。
図4A〜
図4Bに示す装置20の外側支持構造40は、つながったステント状の円筒構造ではない。むしろ、
図4A〜
図4Bに示す装置20の外側支持構造は、支柱の近位リング及び遠位リング60を含み、それらは、半径方向の外向きの力を大動脈の内壁にかけるように、半径方向に拡張することにより、それぞれ、装置20の近位端及び遠位端を被検者の上行大動脈にしっかりと固定するように構成される。
図4A及び
図4Bに示すように、支柱の近位リング及び遠位リングは、互いに異なる長さ及び/又は形状を有し得ることに留意されたい。ある用途に対して、支柱リングは、
図4Aに示すように、近位表面及び遠位表面に対して近位及び遠位の両方に延在する。代替として、
図4Bに示すように、支柱の近位リングは、近位表面に対して遠位にのみ延在し得、遠位支柱リングは、遠位外表面に対して近位にのみ延在し得る。ある用途に対して、支柱リング又はその一部は、
図4Bに示すように、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は織ポリエステルなどの、カバー62で覆われる。典型的には、カバーは、内表面24、近位外表面28及び遠位外表面32の材料と類似の材料で作られている。更に典型的には、カバー62は、外側支持構造と血管の内壁との間の接合面を封着する。
【0081】
ここで
図5A〜
図5Cを参照すると、本発明のある用途に従い、ステントグラフト材料で作られている、装置20の略図が示されている。
図5A〜
図5Cは、それぞれ、装置の3次元図を示す。
図5A〜
図5Cに示す装置20は、以下で説明する差を除いて、
図4Bに示す装置20と概ね類似している。
【0082】
ある用途に対して、内表面24、近位外表面28、遠位外表面32及び外側支持構造40は全て、グラフト材料の単一のつながった部分で形成される。グラフト材料は、典型的には、金属又は合金ステント(例えば、ステンレス鋼又はニチノールで作られたステント)及び織物(延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は織ポリエステルなど)の組合せで形成される。
図5A〜
図5Cは、
図4Bに示すものと概ね類似の形状を有する装置を示しており、すなわち、装置は遠位外表面32を規定し、外側支持構造は装置の長さに沿ってつながっていないが、近位外表面に遠位に、かつ、遠位外表面に近位に配置される支持リングを含む。しかし、本発明の範囲には、本明細書で説明する他の構造の任意の1つを有する装置を形成するためにグラフト材料の1つのつながった部分を使用することを含む。例えば、グラフト材料は、遠位外表面を規定しないが、(
図6A〜
図6Eに示すように)血管の内壁まで延在する内表面を規定する装置を形成するために使用できるであろう。あるいは、グラフト材料は、(例えば、
図1A〜
図3に示すように)装置の長さに沿って連続している外側支持構造を有する装置を形成するために使用することができるであろう。ある用途に対して、グラフト材料は、装置20を形成するために使用されるが、装置は、グラフト材料の単一の部分から形成されていない。むしろ、装置は、相互に連結される複数のグラフト材料の部品で形成され得る。
【0083】
ここで
図6A〜
図6Eを参照すると、本発明のある用途に従って、被験者の血管(例えば、前述のように、被検者の上行大動脈)の内部に埋め込むための装置20の構成要素の略図が示されている。ある用途に対して、装置20は、外側ステント70及び導管26を規定する内側構造72を含む。
図6Aは、外側ステント70を示し、
図6Bは内側構造72を示し、
図6C〜
図6Eは、内側構造及び外側ステントが典型的に被験者の血管の内部(例えば、被検者の上行大動脈の内部)に配置される方法で、外側ステントの内部に配置された内側構造のそれぞれのビューを示す。
【0084】
外側ステントは、半径方向の力を大動脈の内壁にかけるステントの外表面74によって、装置20を上行大動脈内にしっかりと固定するように構成される。これに関して、外表面74は、前述のように、外側支持構造40として機能する。それぞれの用途によれば、外側ステントは自己拡張型であるか又はバルーン拡張型である。内側構造は、外側ステントの内部に配置されて、内側構造の内表面が導管26を規定するように構成される。それぞれの用途によれば、内側構造は、自己拡張型であるか又はバルーン拡張型である。
【0085】
ある用途に対して、外側ステント及び内側構造は、内側構造を外側ステントの内部に既に配置して、被検者の上行大動脈内に同時に挿入される。ある用途に対して、外側ステント及び内側構造は、単一の組込み構造であるか、又は相互に連結されている。典型的には、かかる用途に対して、外側ステント及び内側構造は、単一の配置ステップで配置される。例えば、外側ステント及び内側構造は、その時点で相互に、自己拡張可能にされるか又はバルーンを使用して拡張され得る。代替として、外側ステント及び内側構造は、別々の挿入及び/又は配置ステップで挿入及び/又は配置される。例えば、外側ステントがまず、上行大動脈の内部に(例えば、自己拡張又はバルーン拡張によって)配置され得、それにより、外側ステントが、上行大動脈内の適切な位置にしっかりと固定されるようになる。その後、内側ステントが外側ステントの内部に(例えば、自己拡張又はバルーン拡張によって)配置され得る。
【0086】
図6C〜
図6Eは、外側ステントの内部に配置された内側構造のそれぞれの外観を示す。
図6Ciは、外側ステント及び内側構造の側面透視図を示し、
図6D及び
図6Eは、それぞれ、外側ステント及び内側構造の近位端及び遠位端の外観を示す。
【0087】
図6C〜
図6Dに見られ得るように、外側ステント70は、近位表面28を規定し、それは、導管26の外側から、血管の内壁と接触している外側ステントの部分まで延在する。近位表面は、例えば、導管を囲んでいる領域内で渦流及び/又はよどんだ血液を形成する可能性を低下させるために、導管の外側周辺での順行血流を実質的に防ぐように構成される。典型的には、近位外表面は、表面の少なくとも一部が、導管の長さの最近位の30パーセント以内の縦方向位置にあるように、導管26の周辺に配置される。
【0088】
図6C及び
図6Eで見られ得るように、本発明のある用途によれば、装置20は、別個の遠位外表面を規定しない。むしろ、導管を規定する内表面の遠位端が、血管の内壁まで延在し、それにより、内表面の遠位端が、導管の遠位端の外側周辺で血液の逆流を妨げる。典型的には、内表面の遠位端は、遠位外表面に関して前述したのと概ね同様の方法で、導管の遠位端の外側周辺での血液の逆流を妨げる。例えば、内表面は不浸透性であり得、かつ/又は、(前述のように)0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有し得る。ある用途に対して、内表面は、材料の部分の間にオープンスペースがあるように構築される材料(織物、金属、又は合金など)を含む。例えば、材料は、格子構造、編組構造、十字形交差構造、織物構造、細胞構造、ステッチ構造又は類似の構造に配置され得る。典型的には、かかる用途に対してさえ、内表面の20パーセントを超える面積が、材料で満たされ、内表面の80パーセント未満の面積が材料間のオープンスペースである。更に典型的には、各内表面の50パーセントを超える、例えば、80パーセントを超える、面積が、材料で満たされる。ある用途に対して、内表面内にオープンスペースがない(すなわち、内表面の全体が材料で満たされている)。
【0089】
ここで
図7を参照すると、本発明のある用途に従った、埋込装置20の概略断面図が示されている。
図7に示す装置20は、以下で説明する差を除いて、
図1A〜
図2Cを参照して説明した装置20と概ね類似している。ある用途に対して、装置20は、外側支持構造40の近位端から延在するアンカー80を含む。アンカーは、大動脈洞の形状と一致するように曲げられる。アンカーは、大動脈洞内に配置されて、装置の下流移動を防ぐことにより、装置20を上行大動脈内にしっかりと固定するように構成される。
【0090】
ここで
図8を参照すると、本発明のある用途に従い、血管を通る血流を制御するために、被験者の血管の内部に配置するために構成されている装置20の略図が示されている。ある用途に対して、装置20は、1つ以上のバルーンのセットを含み、それは、膨張すると、バルーンのセットを貫通する縦方向の導管26を提供する表面90を規定するように構成され、導管の少なくとも一部は、導管の下流端部における断面積が、導管の上流端部における断面積より大きくなるように、導管の近位端から導管の遠位端への方向に広がるように成形されている。バルーンのセットは、血管の縦方向部分の内部で膨張ルーメン82を用いて膨張するように構成される。バルーンのセットは、導管の外側周辺で血流を妨げるように構成された近位外表面及び遠位外表面28、32を規定する。血管の縦方向部分の内部で膨張すると、バルーンのセットは、本明細書で前述したのと概ね類似の方法で、表面90によって規定された導管経由以外の任意の流路を経由して縦方向部分を通る血流を防ぐ。
【0091】
典型的には、バルーンのセットは、大動脈弁狭窄を患っている被験者の上行大動脈の内部で膨張して、例えば、被験者の左室圧を低下させて、後負荷を低減し、かつ/又は、心拍出量を改善することにより、狭窄に関連した症状の急性治療を提供する。バルーンのセットは、本明細書で前述したのと概ね類似の方法で、狭窄に関連した症状を治療するように構成される。ある用途に対して、バルーンのセットは、急性治療を被験者に適用するために使用される。典型的には、かかる用途に対して、バルーンのセットは、被験者の上行大動脈の内部で膨張された後、1か月未満(例えば、1週間未満、又は1日未満)で、収縮されて、被験者の身体から取り除かれる。ある用途に対して、バルーンのセットは、被験者の大動脈の内部で膨張して、被験者に慢性処置を提供するために、大動脈の内部に埋め込まれたままである。典型的には、バルーンの膨張に続いて、膨張ルーメンが被験者の身体から取り除かれる。
【0092】
ここで
図9A〜
図9Bを参照すると、本発明のある用途に従い、血管を通る血流を制御するために、被験者の血管の内部に配置するために構成されている装置20のそれぞれの外観の略図が示されている。図に示すように、ある用途に対して、装置20は、1つ以上のバルーンのセットを含み、それは、膨張すると、バルーンのセットを貫通する縦方向の導管26を規定する表面90を規定するように構成され、導管の少なくとも一部は、導管の下流端部における断面積が、導管の上流端部における断面積より大きくなるように、導管の近位端から導管の遠位端への方向に広がるように成形されている。バルーンのセットは、近位及び遠位のドーナツ形部分92も規定し、それらは、それぞれ、導管の近位端及び遠位端の周辺に配置される。ドーナツ形部分は、近位及び遠位の外表面28、32を規定する。バルーンのセットは、血管の縦方向部分の内部で膨張するように構成される。血管の縦方向部分の内部で膨張すると、バルーンのドーナツ形部分の近位及び遠位の外表面が、本明細書で前述したのと概ね類似の方法で、表面90によって規定された導管経由以外の任意の流路を経由して縦方向部分を通る血流を妨げるように構成される。
【0093】
図8及び
図9A〜
図9Bに関して、ある用途に対して、バルーンのセットのそれぞれの部分のコンプライアンスは、所望の方法で装置20によって規定された導管を通る血流を容易にする方法で、相互に異なり得ることに留意されたい。
【0094】
ここで
図10A〜
図10Cを参照すると、本発明のある用途に従った、装置20の略図が示されている。
図5A〜
図5Cを参照して説明したように、
図10A〜
図10Cに示す装置20は、本発明のある用途に従って、ステントグラフト材料で作られている。ステントグラフト材料は、血管の内壁に接触する外側支持構造40と、導管26を規定する内表面24と、を規定する。
【0095】
図10Aは、装置20の3次元図を示し、
図10B〜
図10Cは、それぞれの実施形態に従い、装置の縦軸に沿った、装置20の断面図を示す。
図10A〜
図10Cに示すように、ある用途に対して、(導管26を規定する)内表面24の遠位端において、下流方向に凹形に湾曲した、表面94は、外側支持構造40の内表面まで延在する。凹形に湾曲した表面は、内表面24とつながっている。そのため、凹形に湾曲した表面は、代替として、内表面の遠位端の連続として、又は、内表面から外側支持構造まで延在する遠位外表面として見なされ得る。凹形に湾曲した表面がどのように(内表面24の連続、又は遠位外表面として)見なされるかに関わらず、装置20は、その遠位端において、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで、延在する表面を規定する(それにより、表面は血管の内表面まで、及び/又は、外側支持構造まで延在する)。表面の機能の1つは、本明細書で前述したように、導管26の外側周辺での血液の逆流を実質的に妨げることである。一般に、本発明の範囲は、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在し(それにより、表面は血管の内表面まで、及び/又は、外側支持構造まで延在する)、本明細書で説明する方法で、導管26の遠位端の外側周辺で血液の逆流を妨げるように構成される、表面の任意の形式を使用することを含む。
【0096】
図10A〜
図10Cに示すように、また、本明細書で前述したように、ある用途に対して、導管26の近位端において、内表面24は、血液を大動脈弁から導管の広がり部分25の方へ向かわせるために、近位から遠位への方向に収束する。
【0097】
図10Bを参照して、ある用途に対して、装置20は、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在し、かつ、少なくともその一部が、導管の長さの最近位の30パーセント以内にある、近位外表面を規定しないことに留意されたい。代替として、
図10Cに示すように、ある用途に対して、装置20は、本明細書で前述したように、導管の全周囲の周辺に、半径方向に外側へ、導管から、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在し、かつ、少なくともその一部が、導管の長さの最近位の30パーセント以内にある、近位外表面を規定する。ある用途に対して、近位外表面は、
図10Cに示すように、湾曲している。本明細書で前述したように、典型的には、近位外表面は、表面の少なくとも一部が、導管の長さの最近位の30パーセント以内の縦方向位置にあるように、導管26の周辺に配置される。ある用途に対して、近位外表面は、例えば、導管を囲んでいる領域内で渦流及び/又はよどんだ血液を形成する可能性を低下させるために、導管26の外側周辺での順行血流を妨げるように構成される。
【0098】
実験の記述:
被験者の左心室から上行大動脈への狭窄した大動脈弁を経由した血流の状態を少なくとも部分的に再現するために、モデルが構築された実験を実施した。10mmの開口部を規定するアクリルノズルを、直径35mmのシリコンチューブに挿入し、そのノズルを用いて、流体をチューブにポンプで通した。水及びグリセリン溶液(血液と類似の粘性を有する)の両方を流体として使用した。ノズルを通って、ノズルの下流のチューブへ入る流体の流れは、狭窄した大動脈弁を通って上行大動脈へ入る血流を再現するが、比較的小さい開口部を通って、実質的により大きな直径を有するルーメンに入る流体の流れがある。ノズルの上流のチューブ内部の圧力は、大動脈弁の上流の左心室内の圧力を再現する。
【0099】
本明細書で説明する装置を、ノズルの下流(すなわち、上行大動脈を表す位置)でチューブの内部に置き、ノズルの上流(すなわち、左心室を表す位置)での圧力の変化を測定した。ある場合において、ノズルの下流に装置を置くと、ノズルの上流のチューブ内部の圧力が最大で60パーセント低下したことが分かった。
【0100】
例えば、ある事例では、固体アクリル製で、本出願の
図3に示すような装置20と概ね類似の形状を有する装置を、装置の近位端がノズルの端部から1mmになるように置いた。装置の近位端における導管の内径が10mmで、装置の遠位端における導管の内径が20mmで、装置の長さは5cmであった。装置を前述したように置くと、ノズルの上流でチューブ内部の圧力が60パーセント低下した。
【0101】
別の事例では、固体アクリル製で、本出願の
図6Cに示すような装置20と概ね類似の形状を有する装置を、装置の近位端がノズルの端部から9mmになるように置いた。装置の近位端における導管の内径が10mmで、装置の遠位端における導管の内径が28mmで、装置の長さは3.5cmであった。装置を前述したように置くと、ノズルの上流でチューブ内部の圧力が40パーセント低下した。
【0102】
上の結果は、本明細書で説明する装置を、大動脈弁狭窄を患っている被験者の上行大動脈内部に配置すると、被験者の左室圧が低下する結果となり得ることを示している。
【0103】
装置20は、本明細書では、被験者の上行大動脈内に埋め込むと一般に説明しているが、本発明の範囲は装置20を被験者の任意の血管の縦方向部分の内部に配置し、それにより、装置は、血液が導管26を通って順方向に流れるようにし、それにより、装置が配置される縦方向部分内で、導管経由以外の任意の流路を経由した血流を、その部分内に装置を配置することによって防ぐようにすることを含むことに留意されたい。
【0104】
用語「近位」及び「遠位」は、本出願では、大動脈弁に対して、大動脈内のそれぞれの要素の位置を指す。すなわち、用語「近位」は、「上流」にある、大動脈弁により近い要素を指し、用語「遠位」は、「下流」にある、大動脈弁から遠い要素を指す。従って、用語「近位」は、用語「上流」と同義に使用され、用語「遠位」は、用語「下流」と同義に使用される。装置が、被験者の身体内の異なる位置に置かれる場合、用語「近位」及び「遠位」は、血流の方向に対して理解すべきであり、相対的に上流の位置は「近位」と見なされ、相対的に下流の位置は「遠位」と見なされる。
【0105】
従って、本発明のある用途に従った、以下の発明概念が提供される。
【0106】
発明概念1.被験者の上行大動脈内の血流を制御するための方法であって、本方法は、
配置された状態の場合に、装置の上流端部から装置の下流端部まで、装置を貫通する導管を規定する内表面を規定する装置を、上行大動脈内に挿入することであって、内表面の少なくとも一部が、広がり部分の上流端部から広がり部分の下流端部の方向に広がり、それにより、広がり部分の下流端部における導管の断面積が、広がり部分の上流端部における導管の断面積より大きくなる、装置を上行大動脈内に挿入することと、
装置の外側支持構造が大動脈の内壁と接触し、かつ、内表面の遠位端と外側支持構造との間の血液の逆流が妨げられるように、装置を上行大動脈内に配置することと、を含む。
【0107】
発明概念2.装置は、人工弁を含まず、かつ、装置を上行大動脈内に挿入することは、人工弁を上行大動脈内に挿入することを含まない、発明概念1に記載の方法。
【0108】
発明概念3.装置を上行大動脈内に挿入することは、導管の広がり部分に近位の内表面の一部が、収束部分の上流端部から収束部分の下流端部への方向に収束する導管の収束部分を規定する、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念1に記載の方法。
【0109】
発明概念4.装置は1つ以上のバルーンのセットを含み、かつ、装置を配置することは1つ以上のバルーンを膨張させることを含む、発明概念1に記載の方法。
【0110】
発明概念5.被験者を、大動脈弁狭窄を患っているとして識別することを更に含み、かつ、装置を配置することは、上行大動脈内での圧力損失を、装置がない場合の上行大動脈内での圧力損失に比べて低減することにより被験者を治療することを含む、発明概念1に記載の方法。
【0111】
発明概念6.装置を上行大動脈内に挿入することは、配置された状態の場合に、20mmを上回る長さを有する装置を、上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
発明概念7.装置を上行大動脈内に挿入することは、長さが70mm未満の装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念6に記載の方法。
【0113】
発明概念8.装置を上行大動脈内に挿入することは、装置が配置された状態の場合に、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が4:3よりも大きい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
発明概念9.装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が2:1よりも大きい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念8に記載の方法。
【0115】
発明概念10.装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径対、広がり部分の上流端部における導管の直径の比率が4:1よりも小さい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念8に記載の方法。
【0116】
発明概念11.装置を上行大動脈内に挿入することは、装置が配置された状態の場合に、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が3mmよりも大きい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
発明概念12.装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が5mmよりも大きい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念11に記載の方法。
【0118】
発明概念13.装置を上行大動脈内に挿入することは、広がり部分の下流端部における導管の直径と、広がり部分の上流端部における導管の直径との間の差が30mmよりも小さい、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念11に記載の方法。
【0119】
発明概念14.装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造がステントグラフト材料で作られている、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
発明概念15.装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造が、それぞれ、ステントグラフト材料の別個の部品で作られている、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念14に記載の方法。
【0121】
発明概念16.装置を上行大動脈内に挿入することは、内表面及び外側支持構造が、ステントグラフト材料の単一のつながった部品で作られている、装置を上行大動脈内に挿入することを含む、発明概念14に記載の方法。
【0122】
発明概念17.内表面の遠位端と外側支持構造との間の血液の逆流が妨げられるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、装置の表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して、大動脈の内壁及び外側支持構造、から成る群から選択された位置に接触するように装置を配置することを含み、表面はそれを通過する血流を妨げるように構成されている、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
発明概念18.装置の表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有する装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含む、発明概念17に記載の方法。
【0124】
発明概念19.装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、導管を規定する内表面の下流端部が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含む、発明概念17に記載の方法。
【0125】
発明概念20.装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、導管の下流端部において導管の全周囲の周辺に配置され、かつ、半径方向に外側へ延在する表面が、選択された位置に接触するように、装置を配置することを含む、発明概念17に記載の方法。
【0126】
発明概念21.装置の表面が、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、表面の少なくとも一部が導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、表面が導管の全周囲の周辺に縦方向位置で配置されている、表面が、半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含む、発明概念17に記載の方法。
【0127】
発明概念22.内表面の遠位端と外側支持構造との間の血液の逆流が妨げられるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、装置の2つの表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することを含み、両方の表面はそれを通過する血流を妨げるように構成されている、発明概念17に記載の方法。
【0128】
発明概念23.装置の2つの表面が導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ延在して選択された位置に接触するように装置を配置することは、血液を、2つの表面の間の領域内で凝固させることを含む、発明概念22に記載の方法。
【0129】
発明概念24.充填材を2つの表面の間の領域に注入することをさらに含む、発明概念22に記載の方法。
【0130】
発明概念25.装置を上行大動脈内に配置することは、導管経由以外の任意の流路を経由して、上行大動脈の縦方向部分を通る血流が、上行大動脈の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することを含む、発明概念1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
発明概念26.装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することは、導管経由以外の任意の流路を経由して、大動脈の縦方向部分を通る血流がなくなるように、装置を上行大動脈の縦方向部分内に配置することを含む、発明概念25に記載の方法。
【0132】
発明概念27.被験者の血管の内部に埋め込まれるように構成された埋込装置であって、非拘束構成の場合に、
装置の近位端から装置の遠位端まで装置を貫通する導管を規定する内表面であって、内表面の少なくとも一部は、導管の近位端から導管の遠位端の方向に広がって、それにより、広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:3よりも大きくなる、内表面と、
血管の内壁に接触することによって、装置を血管の内部に保持するように構成された外側支持構造と、を規定するように構成され、
外側支持構造の近位端の外径と外側支持構造の遠位端の外径との比率が3:4と4:3との間である、埋込装置を含む、機器。
【0133】
発明概念28.埋込装置は人工弁を含まない、発明概念27に記載の機器。
【0134】
発明概念29.装置が被験者の上行大動脈の縦方向部分内に埋め込まれると、装置が上行大動脈内の圧力損失を、装置がない場合の上行大動脈内での圧力損失に比べて低減するように、装置が構成される、発明概念27に記載の機器。
【0135】
発明概念30.内表面は、導管の広がり部分に近位の近位収束部分を規定するように構成され、近位収束部分は、収束部分の近位端から収束部分の遠位端への方向に収束する、発明概念27に記載の機器。
【0136】
発明概念31.装置は1つ以上のバルーンのセットを含む、発明概念27に記載の機器。
【0137】
発明概念32.広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が2:1よりも大きい、発明概念27に記載の機器。
【0138】
発明概念33.広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:1よりも小さい、発明概念27に記載の機器。
【0139】
発明概念34.非拘束構成の場合に、装置は20mmを上回る長さを有する、発明概念27〜33のいずれか1つに記載の機器。
【0140】
発明概念35.装置の長さは70mm未満である、発明概念34に記載の機器。
【0141】
発明概念36.装置が非拘束構成の場合に、広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の近位端における導管の直径との差が3mmよりも大きい、発明概念27〜33のいずれか1つに記載の機器。
【0142】
発明概念37.広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の近位端における導管の直径との差が5mmよりも大きい、発明概念36に記載の機器。
【0143】
発明概念38.広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の近位端における導管の直径との差が30mm未満である、発明概念36に記載の機器。
【0144】
発明概念39.装置が血管の縦方向部分内埋め込まれると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流が、血管の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように、装置が構成される、発明概念27〜33のいずれか1つに記載の機器。
【0145】
発明概念40.装置が血管の縦方向部分内に埋め込まれると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流がなくなるように、装置が構成される、発明概念39に記載の機器。
【0146】
発明概念41.内表面及び外側支持構造はステントグラフト材料で作られている、発明概念27〜33のいずれか1つに記載の機器。
【0147】
発明概念42.内表面及び外側支持構造は、それぞれ、ステントグラフト材料の別個の部品で作られている、発明概念41に記載の機器。
【0148】
発明概念43.内表面及び外側支持構造は、ステントグラフト材料の単一のつながった部品で作られている、発明概念41に記載の機器。
【0149】
発明概念44.装置が非拘束構成の場合に、装置は、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成され、かつ血流を妨げるように構成される、表面を含む、発明概念27〜33のいずれか1つに記載の機器。
【0150】
発明概念45.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有する、発明概念44に記載の機器。
【0151】
発明概念46.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、導管を規定する内表面の遠位端を含む、発明概念44に記載の機器。
【0152】
発明概念47.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、導管の遠位端の周辺に配置され、かつ半径方向に外側へ延在する表面を含む、発明概念44に記載の機器。
【0153】
発明概念48.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、半径方向に外側へ延在し、かつ、表面の少なくとも一部が導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、導管の周辺に縦方向位置で配置されている、表面を含む、発明概念44に記載の機器。
【0154】
発明概念49.装置が非拘束構成の場合に、装置は、導管の全周囲の周辺に、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成され、かつ血流を妨げるように構成される、2つの表面を含む、発明概念44に記載の機器。
【0155】
発明概念50.2つの表面は、血液を、2つの表面の間の領域内で凝固させるように構成される、発明概念49に記載の機器。
【0156】
発明概念51.2つの表面の間の領域に注入するように構成された充填材をさらに含む、発明概念49に記載の機器。
【0157】
発明概念52.被験者の血管の縦方向部分内に配置されるように構成された埋込装置であって、
装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、装置の近位端から装置の遠位端まで装置を貫通する導管を規定するように構成される内表面であって、内表面の少なくとも一部は、広がり部分の近位端から広がり部分の遠位端の方向に広がって、それにより、広がり部分のその遠位端における断面積が、広がり部分のその近位端における断面積より大きくなる、内表面を含み、
装置は、血管の縦方向部分の内部に配置されると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流が、血管の縦方向部分を通る総血流の20パーセント未満になるように、血流を、導管を経由して血管の縦方向部分を通過させるように構成されている、埋込装置を含む機器。
【0158】
発明概念53.装置は人工弁を含まない、発明概念52に記載の機器。
【0159】
発明概念54.装置が血管の縦方向部分内に埋め込まれると、導管経由以外の任意の流路を経由して、血管の縦方向部分を通る血流がなくなるように、装置が構成される、発明概念52に記載の機器。
【0160】
発明概念55.装置が被験者の上行大動脈の縦方向部分内に埋め込まれると、装置が上行大動脈内の圧力損失を、装置がない場合の上行大動脈内での圧力損失に比べて低減するように、装置が構成される、発明概念52に記載の機器。
【0161】
発明概念56.内表面は、導管の広がり部分に近位の近位収束部分を規定するように構成され、近位収束部分は、収束部分の近位端から収束部分の遠位端への方向に収束する、発明概念52に記載の機器。
【0162】
発明概念57.装置は1つ以上のバルーンのセットを含む、発明概念52に記載の機器。
【0163】
発明概念58.血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、装置が20mmを超える長さを有するように、装置が構成される、発明概念52〜57のいずれか1つに記載の機器。
【0164】
発明概念59.装置の長さが70mm未満になるように、装置が構成される、発明概念58に記載の機器。
【0165】
発明概念60.装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、広がり部分の近位端における導管の直径と、広がり部分の遠位端における導管の直径との差が3mmよりも大きくなるように、装置が構成される、発明概念52〜57のいずれか1つに記載の機器。
【0166】
発明概念61.広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の近位端における導管の直径との差が5mmよりも大きくなるように、装置が構成される、発明概念60に記載の機器。
【0167】
発明概念62.広がり部分の遠位端における導管の直径と、広がり部分の遠位端における導管の直径との差が30mm未満になるように、装置が構成される、発明概念60に記載の機器。
【0168】
発明概念63.装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:3よりも大きくなるように、装置が構成される、発明概念52〜57のいずれか1つに記載の機器。
【0169】
発明概念64.広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が2:1よりも大きくなるように、装置が構成される、発明概念63に記載の機器。
【0170】
発明概念65.広がり部分の遠位端における導管の直径対、広がり部分の近位端における導管の直径の比率が4:1よりも小さくなるように、装置が構成される、発明概念63に記載の機器。
【0171】
発明概念66.装置は、血管の内壁に接触することによって、装置を血管の内部に保持するように構成された外側支持構造を含む、発明概念52〜57のいずれか1つに記載の機器。
【0172】
発明概念67.装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、外側支持構造の近位端の外径と外側支持構造の遠位端の外径との比率が3:4と4:3との間になるように、装置が構成される、発明概念66に記載の機器。
【0173】
発明概念68.内表面及び外側支持構造はステントグラフト材料で作られている、発明概念66に記載の機器。
【0174】
発明概念69.内表面及び外側支持構造は、それぞれ、ステントグラフト材料の別個の部品で作られている、発明概念68に記載の機器。
【0175】
発明概念70.内表面及び外側支持構造は、ステントグラフト材料の単一のつながった部品で作られている、発明概念68に記載の機器。
【0176】
発明概念71.装置は、装置が血管の縦方向部分内に配置された状態である場合に、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成され、かつ血流を妨げるように構成される、表面を含む、発明概念66に記載の機器。
【0177】
発明概念72.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、0.25マイクロメータ未満の単位長さ当たりの浸透性を有する、発明概念71に記載の機器。
【0178】
発明概念73.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、導管を規定する内表面の遠位端を含む、発明概念71に記載の機器。
【0179】
発明概念74.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、導管の遠位端の周辺に配置され、かつ、半径方向に外側へ延在するように構成される表面を含む、発明概念71に記載の機器。
【0180】
発明概念75.外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成される表面は、半径方向に外側へ延在するように構成され、かつ、表面の少なくとも一部が導管の長さの最近位の30パーセント以内にあるように、導管の周辺に縦方向位置で配置される、表面を含む、発明概念71に記載の機器。
【0181】
発明概念76.装置は、導管の全周囲の周辺に半径方向に外側へ、少なくとも外側支持構造の内表面の半径方向位置まで延在するように構成され、かつ、血流を妨げるように構成される、2つの表面を含む、発明概念71に記載の機器。
【0182】
発明概念77.2つの表面は、血液を、2つの表面の間の領域内で凝固させるように構成される、発明概念76に記載の機器。
【0183】
発明概念78.2つの表面の間の領域に注入するように構成された充填材をさらに含む、発明概念76に記載の機器。
【0184】
当業者には、本発明は、本明細書で具体的に示して前述したもの制限されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で前述した様々な特徴の組合せ及び部分的組合せの両方、ならびに、前述の説明を読むと当業者が思い付くような、従来技術ではない、その変形及び修正を含む。