特許第6689890号(P6689890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6689890調理器具用内鍋及びその製造方法、調理器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689890
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】調理器具用内鍋及びその製造方法、調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A47J27/00 103H
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-564110(P2017-564110)
(86)(22)【出願日】2016年8月11日
(65)【公表番号】特表2018-520748(P2018-520748A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】CN2016094672
(87)【国際公開番号】WO2017156971
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】201610157062.2
(32)【優先日】2016年3月17日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201620211844.5
(32)【優先日】2016年3月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐騰飛
(72)【発明者】
【氏名】呉培洪
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第204839082(CN,U)
【文献】 特開2007−244648(JP,A)
【文献】 特開2014−223245(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204698316(CN,U)
【文献】 実開平04−108027(JP,U)
【文献】 特開平03−106521(JP,A)
【文献】 特開2000−271002(JP,A)
【文献】 特開平09−029027(JP,A)
【文献】 特開昭59−183860(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204561805(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具用内鍋であって、
鍋本体と、ハンドル部とを含み、
前記鍋本体は、鍋口が内へ縮むドラム形に形成され、前記鍋本体の外周壁には、前記鍋本体の周方向に沿って延伸する段差部を有し、
前記ハンドル部は、前記段差部に連結され、前記ハンドル部は、前記鍋本体の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成され、
前記鍋本体の内周壁における前記段差部に対向する位置に、内へ突出する突起が設けられ
前記段差部は、
水平に延伸するリング状平面部と、
下端が前記リング状平面部の内端に連結され、鉛直に延伸するリング状柱面部と、を含み、
前記ハンドル部の内周面は前記リング状柱面部と締りばめされ、
前記ハンドル部の下面は前記リング状平面部に密着し、
前記ハンドル部の上面は前記リング状柱面部に連結される、
ことを特徴とする調理器具用内鍋。
【請求項2】
前記ハンドル部の上面と前記リング状柱面部との間は、円弧状に接続する、
ことを特徴とする請求項に記載の調理器具用内鍋。
【請求項3】
前記鍋本体は、ステンレス層とアルミ合金層とからなる複合円片を引張ってバルジ成形して形成され、
前記アルミ合金層は、前記ステンレス層の内側に位置する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の調理器具用内鍋。
【請求項4】
前記鍋本体の鍋口には、外へ延伸する鍋口のフランジングが設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の調理器具用内鍋。
【請求項5】
前記ハンドル部は、ストリップ状のステンレス板を折り曲げて形成され、アルゴンアーク溶接により前記段差部に溶接されている、
ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の調理器具用内鍋。
【請求項6】
前記ハンドル部は、前記鍋本体の鍋口から切断されたリング状のエッジ材により構成され、アルゴンアーク溶接により前記段差部に溶接されている、
ことを特徴とする請求項に記載の調理器具用内鍋。
【請求項7】
前記段差部は、ロール成形される、
ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の調理器具用内鍋。
【請求項8】
請求項1〜の何れか1項に記載の調理器具用内鍋を含む、
ことを特徴とする調理器具。
【請求項9】
調理器具用内鍋の製造方法であって、
前記内鍋は鍋本体とハンドル部とを含み、前記鍋本体は鍋口が内へ縮むドラム形に形成され、前記鍋本体の外周壁には前記鍋本体の周方向に沿って延伸する段差部を有し、前記ハンドル部は前記段差部に連結され、前記ハンドル部は前記鍋本体の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成され、
前記製造方法は、
鍋口が内へ縮んでドラム形をなす鍋本体を製造し、ロール成形装置により前記鍋本体の外周壁に前記段差部をロール成形するステップS1と、
リング状構造をなすハンドル部を製造するステップS2と、
前記ハンドル部をステップS1における前記鍋本体に組み付けて前記段差部に押し付け、アルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接するステップS3と、
を含み、
前記ステップS1は、前記ロール成形の過程において鍋本体の内周壁に突起を形成するステップを含み、
前記段差部は、
水平に延伸するリング状平面部と、
下端が前記リング状平面部の内端に連結され、鉛直に延伸するリング状柱面部と、を含み、
前記ステップS3では、前記ハンドル部の内周面と前記リング状柱面部とを締りばめし、前記ハンドル部の下面を前記リング状平面部と密着させ、前記リング溶接により前記ハンドル部の上面を前記リング状柱面部に連結する、
ことを特徴とする内鍋の製造方法。
【請求項10】
前記ステップS1は、具体的に、
ステンレス層とアルミ合金層とからなる複合円片を円柱状のバルジ成形すべき鍋本体に引張り、前記アルミ合金層は前記ステンレス層の内側に位置するステップS11と、
金属洗浄液により前記バルジ成形すべき鍋本体を洗浄するステップS12と、
ステップS12において洗浄されたバルジ成形すべき鍋本体を、バルジ成形装置により、鍋口が内へ縮んでドラム形をなすフランジングすべき鍋本体にバルジ成形するステップS13と、
前記フランジングすべき鍋本体の鍋口を外へ折り曲げて鍋口のフランジングを形成するステップS14と、
ロール成形装置により鍋口のフランジングを有する鍋本体の外周壁に前記段差部をロール成形し、ロール成形過程において鍋本体の内周壁に突起が形成されるステップS15と、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の内鍋の製造方法。
【請求項11】
前記鍋口のフランジングの外径がD1であり前記リング状柱面部の直径がD2で且つ高さがH1であり、前記D1、D2はD2>D1を満たし、前記リング状平面部の幅W1が0.3mm〜1.5mmである、
ことを特徴とする請求項10に記載の内鍋の製造方法。
【請求項12】
前記ステップS2は、具体的に、
溶接すべきハンドル部を取得するように、ストリップ状のステンレス板を円環状に折り曲げ、加工代を残すステップS21と、
加工すべきハンドル部を取得するように、前記溶接すべきハンドル部の両端をアルゴンアーク溶接により溶接し、溶接部を滑らかに研磨するステップS22と、
前記ハンドル部を取得するように、前記加工すべきハンドル部をNC旋盤により所要の寸法に加工するステップS23と、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の内鍋の製造方法。
【請求項13】
前記ハンドル部を加工する寸法は、前記段差部が加工された寸法に基づいて決める、
ことを特徴とする請求項12に記載の内鍋の製造方法。
【請求項14】
前記ハンドル部の厚みがH2であり、且つ内径がD3であり、前記D2、D3はD3<D2を満たし、前記H1、H2はH2<H1を満たす、
ことを特徴とする請求項13に記載の内鍋の製造方法。
【請求項15】
前記ステップS3は、具体的に、
前記ハンドル部を油圧プレスによって工具を介して前記鍋本体に組み付け、前記ハンドル部の内周面と前記段差部の前記リング状柱面部とが締りばめされ、前記ハンドル部の下面は前記リング状平面部と密着するステップS31と、
前記鍋本体内を水で満たし、前記水の液面が前記鍋本体の前記突起の上方に位置し、且つ高度差が少なくとも10mmになるようにするステップS32と、
水で満たされた前記鍋本体を溶接工具に置き、前記溶接工具により前記ハンドル部を前記段差部に押し付けてアルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接を行い、溶接された前記ハンドル部の上面が前記リング状柱面部に連結して円弧状に接続するステップS33と、を含む、
ことを特徴とする請求項1114の何れか1項に記載の内鍋の製造方法。
【請求項16】
前記ハンドル部が溶接された前記鍋本体を研磨装置により溶接部のスラグを除去し、ポリッシュ装置により前記鍋本体の外面をポリッシュするステップS4をさらに含む、
ことを特徴とする請求項15の何れか1項に記載の内鍋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家電の分野に関し、特に調理器具用内鍋及びその製造方法、調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、炊飯器の内鍋は通常ハンドルがないため、消費者が内鍋を移動する時に不便になる。従来において、一部の内鍋にハンドルが設けられても、それはただ内鍋の外側壁に対称するハンドルを2つ設けるだけであり、このようなハンドルが設けられた内鍋を炊飯器内に入れる際、消費者はまず一定の位置を合わせなければならなくて不便になる。しかも、位置がずれると、隠れた危険が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来技術に存在する技術課題の少なくとも1つを解決する。そのため、本発明の一つの目的は、使用が簡単で隠れた危険のない調理器具用内鍋を提供する。
【0004】
本発明のもう一つの目的は、前記内鍋を有する調理器具を提供する。
【0005】
本発明のさらにもう一つの目的は、調理器具用内鍋の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面における調理器具用内鍋によれば、鍋本体と、ハンドル部とを含み、前記鍋本体は、鍋口が内へ縮むドラム形に形成され、前記鍋本体の外周壁には前記鍋本体の周方向に沿って延伸する段差部を有し、前記ハンドル部は、前記段差部に連結され、前記ハンドル部は前記鍋本体の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成される。
【0007】
本発明の調理器具用内鍋によれば、ハンドル部を設けることにより、従来のハンドルに取って代わり、ハンドルの機能を完全に実現でき、利便性が良く、隠れた危険もなくなる。且つ、段差部を介してハンドル部に対して位置決め固定することにより、ハンドル部の加工位置の正確性が保証され、予め設計された段差部により、ハンドル部の強固さが保証され、加工工程が減少され、加工の難易度及びコストが下げられ、且つ内鍋の外観も影響されない。
【0008】
本発明における一つの例によれば、前記段差部は、水平に延伸するリング状平面部と、鉛直に延伸するリング状柱面部とを含み、前記リング状柱面部の下端は前記リング状平面部の内端に連結され、前記ハンドル部は前記リング状平面部に支持される。
【0009】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部の内周面と前記リング状柱面部とは締りばめされる。
【0010】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部と前記鍋本体とを連結するように、前記ハンドル部の上面は前記リング状柱面部に連結する。
【0011】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部の上面と前記リング状柱面部との間は円弧状に接続する。
【0012】
本発明における一つの例によれば、前記鍋本体の内周壁における前記段差部に対向する位置に、内へ突出する突起が設けられる。
【0013】
本発明における一つの例によれば、前記鍋本体はステンレス層とアルミ合金層とからなる複合円片を引張ってバルジ成形(bulge forming)して形成され、前記アルミ合金層は前記ステンレス層の内側に位置する。
【0014】
本発明における一つの例によれば、前記鍋本体の鍋口には、外へ延伸する鍋口のフランジングが設けられている。
【0015】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部はストリップ状のステンレス板を折り曲げて形成され、アルゴンアーク溶接により前記段差部に溶接されている。
【0016】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部は前記鍋本体の鍋口から切断されたリング状のエッジ材により構成され、アルゴンアーク溶接により前記段差部に溶接されている。
【0017】
本発明における一つの例によれば、前記段差部は、ロール成形される。
【0018】
本発明の第2の側面の調理器具によれば、本発明の前記第1の側面における調理器具用内鍋を含む。
【0019】
本発明の第3の側面の調理器具用内鍋の製造方法によれば、前記内鍋は鍋本体とハンドル部とを含み、前記鍋本体は、鍋口が内へ縮むドラム形に形成され、前記鍋本体の外周壁には前記鍋本体の周方向に沿って延伸する段差部を有し、前記ハンドル部は前記段差部に連結され、前記ハンドル部は前記鍋本体の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成され、鍋口が内へ縮んでドラム形をなす鍋本体を製造し、ロール成形装置により前記鍋本体の外周壁に前記段差部をロール成形するステップS1と、リング状構造をなすハンドル部を製造するステップS2と、前記ハンドル部をステップS1における前記鍋本体に組み付けて前記段差部に押し付け、アルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接するステップS3とを含む。
【0020】
本発明における一つの例によれば、前記ステップS1は、ステンレス層とアルミ合金層とからなる複合円片を円柱状のバルジ成形すべき鍋本体に引張り、前記アルミ合金層は前記ステンレス層の内側に位置するステップS11と、金属洗浄液により前記バルジ成形すべき鍋本体を洗浄するステップS12と、ステップS12において洗浄されたバルジ成形すべき鍋本体を、バルジ成形装置によりバルジ成形して、鍋口が内へ縮んでドラム形に形成されたフランジングすべき鍋本体になるステップS13と、前記フランジングすべき鍋本体の鍋口を外へ折り曲げて鍋口のフランジングを形成するステップS14と、ロール成形装置により鍋口のフランジングを有する鍋本体の外周壁に前記段差部をロール成形し、ロール成形過程において鍋本体の内周壁に突起を形成するステップS15とを含む。
【0021】
本発明における一つの例によれば、前記鍋口のフランジングの外径がD1であり、前記段差部は水平に延伸するリング状平面部と鉛直に延伸するリング状柱面部とを含み、前記リング状柱面部の直径がD2で高さがH1であり、前記D1、D2はD2>D1を満たし、前記リング状平面部22の幅W1が0.3mm〜1.5mmの間にある。
【0022】
本発明における一つの例によれば、前記ステップS2は、溶接すべきハンドル部を取得するように、ストリップ状のステンレス板を円環状に折り曲げ、加工代を残すS21と、加工するハンドル部を取得するように、前記溶接すべきハンドル部の両端をアルゴンアーク溶接により溶接し、溶接部を滑らかに研磨するS22と、前記ハンドル部を取得するように、前記加工するハンドル部をNC旋盤により所要の寸法に加工するS23とを含む。
【0023】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部を加工する寸法は、前記段差部が加工された寸法に基づいて決める。
【0024】
本発明における一つの例によれば、前記ハンドル部の厚みがH2であり、且つ内径がD3であり、前記D2、D3はD3<D2を満たし、前記H1、H2はH2<H1を満たす。
【0025】
本発明における一つの例によれば、前記ステップS3は、前記ハンドル部を油圧プレスによって工具を介して前記鍋本体に組み付け、前記ハンドル部の内周面と前記段差部の前記リング状柱面部とが締りばめされ、前記ハンドル部の下面は前記リング状平面部と密着するS31と、前記鍋本体内を水で満たし、前記水の液面が前記鍋本体の前記突起の上方に位置し、且つ高度差が少なくとも10mmになるようにするステップS32と、水で満たされた前記鍋本体を溶接工具に置き、前記溶接工具により前記ハンドル部を前記段差部に押し付けてアルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接を行い、溶接された前記ハンドル部の上面が前記リング状柱面部に連結して円弧状に接続するS33とを含む。
【0026】
本発明における一つの例によれば、前記内鍋の製造方法は、前記ハンドル部が溶接された前記鍋本体を研磨装置により溶接部のスラグを除去し、ポリッシュ装置により前記鍋本体の外面をポリッシュするS4をさらに含む。
【0027】
本発明の付加的な内容及びメリットは以下の内容に開示され、一部が以下の説明により明らかになり、又は本発明の実践により知り得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の前記及び/又は付加的な内容及びメリットは以下の図面を組合せて実施形態における説明により明らかで理解し易くなり、又は本発明の実践により知り得る。
【0029】
図1図1は本発明の実施形態におけるバルジ成形すべき鍋本体の構造図である。
図2図2は本発明の実施形態における鍋本体の構造図である。
図3図3図2における段差箇所の拡大された構造図である。
図4図4は本発明の実施形態におけるハンドル部の構造図である。
図5図5は本発明の実施形態における調理器具用内鍋の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は本発明の実施形態を詳細に説明する。前記実施形態における例は図面に示され、そのうち、最初から最後まで同じ又は類似する符号は、同じ又は類似する部材或いは同じ又は類似する機能を有する部材を表示する。図面に基づいて説明する以下の実施例は例示的なものであり、その目的は本発明を解釈するものであり、本発明に対する限定と見なしてはならない。
【0031】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定と理解してはいけない。
【0032】
なお、「第1」、「第2」の用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。そこで、「第1」、「第2」が限定されている特徴は一つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、二つ又は二つ以上のことを意味する。
【0033】
以下は図1図5を参照しながら本発明の第1の実施様態における調理器具(図示しない)の内鍋100を説明する。内鍋100は、例えば炊飯器などの調理器具に適用する。本願における下記説明において、内鍋100を炊飯器に適用する例を挙げて説明する。勿論、当業者が理解できるように、内鍋100は電気圧力鍋などの調理器具に適用してもよいのである。
【0034】
図1図5に示されたように、本発明の第1の実施様態における調理器具、例えば炊飯器の内鍋100は鍋本体1とハンドル部3とを含む。
【0035】
鍋本体1は、鍋口が内へ縮むドラム形に形成される。なお、「内」との方向は鍋本体1の中心に向く方向であり、その反対方向は「外」であり、つまり、鍋本体1の中心から離れる方向と定義される。具体的には、例えば、図2及び図5に示されたように、鍋本体1の頂部が鍋口を形成するように開放され、鍋本体1全体が略ドラム形に形成されるように、鍋本体1の中部からそれぞれ鍋口と鍋底の方向に、鍋口と鍋底がいずれも鍋本体1の中心の方向へ縮む。
【0036】
鍋本体1の外周壁には、鍋本体1の周方向に沿って延伸する段差部2を有し、段差部2は鍋本体1の外周を一周回ってリング状をなす。ハンドル部3は段差部2に連結され、且つ、ハンドル部3は鍋本体1の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成され、例えば、図4図5に示されたように、段差部2には水平に設置された一周の円環(即ち、ハンドル部3)が連結される。
【0037】
よって、ハンドル部3を設けることにより、内鍋100が調理器具、例えば炊飯器に適用される場合、ハンドル部3が環状の一周であるため、内鍋100をどのように設置しても、従来技術における対称するハンドルが2つ設けられている内鍋100が、設置位置がずれることによりもたらした隠れた危険が避けられ、内鍋100の安全性が向上され、且つ、ユーザが任意に設置できるため、利便性が遥かに向上する。
【0038】
本発明の実施形態における調理器具、例えば炊飯器の内鍋100によれば、ハンドル部3を設けることにより、従来のハンドルに取って代わり、ハンドルの機能を完全に実現でき、利便性が良く、隠れた危険もなくなる。且つ、段差部2を介してハンドル部3に対して位置決め固定することにより、ハンドル部3の加工位置の正確性が保証され、予め設計された段差部2により、ハンドル部3の強固さが保証され、加工工程が減少され、加工の難易度及びコストが下げられ、且つ内鍋100の外観も影響されない。
【0039】
本発明における一部の実施形態によれば、図2を参照して図3を組合せて分かるように、段差部2の縦断面はL字状に類似し、段差部2は、水平に延伸するリング状平面部22と鉛直に延伸するリング状柱面部21とを含み、リング状柱面部21は円柱面であってよく、リング状柱面部21の下端がリング状平面部22の内端に連結され、この際、リング状柱面部21はリング状平面部22の内側に位置して上へ延伸する。そのうち、ハンドル部3がリング状平面部22に支持される。よって、段差部2を設けることにより、段差部2は明確な位置制限機能を有し、ハンドル部3は段差部2のL字状夾角に当接してもよく、位置が固定され、後続の溶接が容易に行なえる。
【0040】
図4図5に示されたように、ハンドル部3は、水平に設置され、且つ上面32と、下面33と、上面の内端と下面33の内端との間に連結する内周面31(勿論、上面の外端と下面33の外端との間に連結する外周面も含まれる)と、を含む。そのうち、ハンドル部3の内周面31はリング状柱面部21と締りばめされ、この際、ハンドル部3の内周面31とリング状柱面部21とは締りばめにより貼り付けられる。これにより、溶接に有利であり、溶接がもたらした不良効果が減少され、歩留まりが向上する。ハンドル部3の下面33はリング状平面部22と密着でき、リング状平面部22がハンドル部3に対して支持及び位置制限の作用を奏し、ハンドル部3の高さを比較的良く制御し、ハンドル部3の寸法の安定性を保持することができる。
【0041】
好ましくは、図5に示されたように、ハンドル部3と鍋本体1との連結を実現するように、ハンドル部3の上面32はリング状柱面部21に連結される。よって、ハンドル部3の下面33及びハンドル部3の内周面31と段差部2との溶接が減少され、ハンドル部3の上面32と段差部2のリング状柱面部21との間の溶接だけをすれば、ハンドル部3を段差部2に固着でき、加工工程が減少され、加工の難易度及びコストが下げられ、且つ内鍋100の外観も影響されない。さらに、ハンドル部3の上面32とリング状柱面部21との間は円弧状に接続する。図5に示される通りである。
【0042】
本発明の更なる実施例によれば、鍋本体1の内周壁の段差部2に対向する位置に内へ凸出する突起23が設けられている。図2図5に示されたように、突起23は、鍋本体1の内周壁の一部から内へ凸出して鍋本体1の内周を回る一周であってもよい。突起23は、段差部2に対応する、鍋本体1内の位置を指示できる。これにより、溶接する場合、液冷用の水の鍋本体1における量を定めることができる。
【0043】
好ましくは、鍋本体1は、ステンレス層12とアルミ合金層11とからなる複合円片を引張ってバルジ成形により形成される。そのうち、アルミ合金層11はステンレス層12の内側に位置する。鍋本体1に溶接する部分はステンレス層12であり、溶接を容易にするために、各ステンレス層12の厚みを均一にすることが好ましい。
【0044】
図1図2図5に示されたように、鍋本体1の鍋口には、外へ延伸する鍋口のフランジング13が設けられ、鍋口のフランジング13は一周であり、鍋本体1の頂部が外へ水平に折曲がって形成されてもよいのである。
【0045】
段差部2は、ロール成形されてもよく、ハンドル部3はストリップ状のステンレス板が折曲がって形成されてもよい。よって、材料の利用率が向上され、ハンドル部3は、アルゴンアーク溶接により段差部2に溶接されてもよい。勿論、ハンドル部3は、鍋本体1の鍋口から切断されたリング状のエッジ材(即ち、鍋口のフランジング13)からなってもよく、アルゴンアーク溶接により段差部2に溶接され、在り合せのカスを最大限に利用し、リサイクルの目的も果たせる。なお、鍋口のフランジング13を、好ましくは、鍋本体1が鍋口が内へ縮むドラム形に加工される前に取り外す。例えば、後続きに鍋口のフランジング13を溶接する際に鍋口のフランジング13がスムーズに鍋口を通して段差部2に取付けるように、図1に示された円筒状の鍋本体が作成されると、鍋口のフランジング13を切断してもよい。
【0046】
本発明の第2の側面の実施例における調理器具によれば、本発明の前記第1側面の実施例における調理器具用内鍋100を含む。本発明の実施形態における前記内鍋100は、調理器具の分野に幅広く適用され、特に電熱調理器具、例えば炊飯器、電気圧力鍋などがある。
【0047】
本発明の第3の側面における調理器具用内鍋100の製造方法によれば、そのうち、図1図5に示されたように、内鍋100は鍋本体1とハンドル部とを含み、鍋本体1は鍋口が内へ縮むドラム形に形成され、鍋本体1の外周壁には鍋本体1の周方向に沿って延伸する段差部2を有し、ハンドル部3は段差部2に連結され、且つ、ハンドル部3は鍋本体1の周方向に沿って水平に外へ延伸するリング状に形成される。
【0048】
そのうち、調理器具用内鍋100の製造方法には以下のステップが含まれる。
【0049】
S1、鍋口が内へ縮んでドラム形をなす鍋本体1を製造し、ロール成形装置により鍋本体1の外周壁に段差部2をロール成形する。
【0050】
S2、リング状構造をなすハンドル部3を製造する。
【0051】
S3、ハンドル部3をステップS1における鍋本体1に組み付けて段差部2に押し付け、アルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接する。
【0052】
具体的には、例えば、ドラム形をなす鍋本体1を製造し、さらにロール成形装置により当該鍋本体1の外周壁におけるハンドル部3をネスティングする必要がある位置にリング状の段差部2を一周ロール成形し、円環状のハンドル部3を製造し、ハンドル部3をNC旋盤により所要の寸法に加工し、最後に、製造したハンドル部3を、段差部2を有する鍋本体1に組み付けて段差部2に押し付け、アルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接する。
【0053】
なお、当該製造方法において、ステップS1は必ずステップS2の前に完成するとは限らず、この両者が交換されてもよく、同時に進行することもできる。一般的には、まず、ステップS1を行い、鍋本体1及び段差部2を製造し、さらにステップS2を行ってハンドル部3を製造するのが通常である。その理由は、段差部2に対する加工に偏差が生じるが、ハンドル部3は比較的に容易に加工されるからである。従って、先に加工された段差部2に偏差が生じた場合、後に加工するハンドル部3により当該偏差を補うことができ、比較的に好ましい技術案になる。
【0054】
図1図3に示されたように、ステップS1は具体的に、以下のようなステップを含む。
【0055】
S11、図1に示されるように、ステンレス層12とアルミ合金層11とからなる複合円片を円柱状(即ち、直身)のバルジ成形すべき鍋本体に引張り、そのうち、アルミ合金層11はステンレス層12の内側に位置する。
【0056】
S12、金属洗浄液によりバルジ成形すべき鍋本体を洗浄する。
【0057】
S13、図2に示されるように、ステップS12において洗浄されたバルジ成形すべき鍋本体を、バルジ成形装置によりバルジ成形して、鍋口が内へ縮んでドラム形をなすフランジングすべき鍋本体になる。
【0058】
S14、フランジングすべき鍋本体の鍋口を外へ折り曲げて鍋口のフランジング13を形成する、例えば、エッジ切削設備によりドラム形のフランジングすべき鍋本体の鍋口を外へ折り曲げて鍋口のフランジング13を形成する。
【0059】
S15、図2図3に示されるように、ロール成形装置により鍋口のフランジング13を有する鍋本体1の外周壁に段差部2をロール成形し、そのうち、ロール成形過程において鍋本体1の内周壁に突起23を形成する。
【0060】
そのうち、ステップS15において、段差部2は、鍋本体1の外周壁にハンドル部3をネスティングする位置に位置し、当該位置は適宜な高さを予め設計してもよく、使用時の炊飯器又は電気圧力鍋の具体的な構造に対応し、一般的には、鍋本体1の中部で上に近い位置に設置され、一周の完全なリング状構造として水平に設置される。ロール成形する過程において、段差部2は鍋本体1の内周壁に突起23を形成する。
【0061】
好ましくは、鍋口のフランジング13の外径がD1であり、段差部2は水平に延伸するリング状平面部22と鉛直に延伸するリング状柱面部21とを含み、リング状柱面部21の直径がD2であり、且つリング状柱面部21の高さがH1であり、そのうち、D1、D2はD2>D1を満たし、リング状平面部22の幅W1が0.3mm-1.5mm(エンドポイントを含む)の間にある。よって、ロール成形する手段により、鍋本体1の内周壁と外周壁にそれぞれ段差部2と突起23を形成し、段差部2のリング状平面部22の幅W1が小さ過ぎてはならず、直角状の位置制限の要求を満たすべきである。
【0062】
図4に示されたように、ステップS2は、具体的に、以下のようなステップを含む。
【0063】
S21、溶接すべきハンドル部を取得するように、ストリップ状のステンレス板を円環状に折り曲げ、加工代を残す。
【0064】
S22、加工するハンドル部を取得するように、溶接すべきハンドル部の両端をアルゴンアーク溶接により溶接し、溶接部を滑らかに研磨する。
【0065】
S23、ハンドル部3を取得するように、加工するハンドル部をNC旋盤により所要の寸法に加工する。
【0066】
そのうち、ハンドル部3を加工する寸法は、段差部2が加工された寸法に基づいて決める。具体的には、ハンドル部3の厚みがH2であり、且つ内径がD3であり、そのうち、D2、D3はD3<D2を満たし、H1、H2はH2<H1を満たす。
【0067】
段差部2の加工に偏差が生じるが、ハンドル部3は比較的に容易に加工するものであるため、段差部2の加工に偏差が生じた場合、ハンドル部3に対する加工により補うことができる。D3をD2よりも小さくさせることにより、段差部2のリング状柱面部21とハンドル部3との締りばめが実現され、ハンドル部3を鍋本体1の段差部2に合わせるようにさせ、鍋本体1とハンドル部3の上面の接触するところに隙間がないようにすることで、溶接に有利であり、溶接がもたらした不良効果が減少され、歩留まりが向上する。H2がH1より小さいことは、ハンドル部3の厚みが比較的に小さいことを限定し、このように、ハンドル部3の上部は段差部2のリング状柱面部21のハンドル部3よりも高い部分と溶接して円弧接続を形成することができ、鍋本体1全体にほぼ影響しない。
【0068】
好ましくは、ハンドル部3の内径D3はD2とD1との間にあり、即ち、ハンドル部3は鍋口のフランジング13からネスティングしてもよいが、段差部2に挟まれた時は締りばめになり、ハンドル部3の幅、つまりその内径と外径との差の半分であり、これはハンドルの幅に相当し、ユーザーに利便性を提供するために、小さ過ぎてはならず、一般的には1cm-3cm(エンドポイントを含む)ぐらいに設計してもよい。
【0069】
図5に示されたように、ステップS3は、具体的に、以下のようなステップを含む。
【0070】
S31、ハンドル部3を油圧プレスによって工具を介して鍋本体1に取付け、そのうち、ハンドル部3の内周面と段差部2のリング状柱面部21とが締りばめされ、ハンドル部3の下面はリング状平面部22と密着する。
【0071】
S32、鍋本体1を水で満たし、水の液面が鍋本体1の突起23の上方に位置し、且つ高度差が少なくとも10mmになるようにする。
【0072】
S33、水で満たされた鍋本体1を溶接工具に置き、溶接工具によりハンドル部3を段差部2に押し付けてアルゴンアーク溶接ワイヤフィードによりリング溶接を行い、溶接されたハンドル部3の上面がリング状柱面部21に連結して円弧状に接続する。
【0073】
アルゴンアーク溶接の温度が1000℃以上になり、アルミ合金の融点が700℃以下であるため、溶接する際、鍋本体1に水位が比較的高い水を入れてもよく、具体的には、水は水道水を直接使用してもよい。こうすると、鍋本体1のアルミ合金層11が溶接される時に融解されることがなくなり、高温でのステンレスとステンレス-アルミ合金複合部材との高温溶接という課題が解決される。
【0074】
ハンドル部3と鍋本体1の段差部2が溶接される際に、工具により押し付けると、溶接温度が高すぎて、鍋本体11の段差部2とハンドル部3が形状変化されて溶接に影響する不良効果が大幅に抑えられる。具体的には、ハンドル部3と鍋本体1が高温ではいずれも膨張し、押し付けなければ、溶接作業が続くと、ハンドル部3と鍋本体1との間に隙間が生じ、溶接隙間が0.1mmよりも大きくなると、鍋本体1に穴を開け易くなる一方、ハンドル部3も膨張するときに、段差部2のリング状柱面部21と比較的大きい隙間が生じ、寸法が不安定になり、外観も影響される。
【0075】
さらに、内鍋100の製造方法は、ステップS4を更に含む。
【0076】
S4、ハンドル部3が溶接された鍋本体1を研磨装置により溶接部のスラグを除去し、ポリッシュ装置により鍋本体1の外面をポリッシュする。理解されるのは、つや出しの具体的な所要効果は、当該内鍋100の使用要求により決められ、一般的には、炊飯器又は電気圧力鍋の使用要求を満足すればよいのである。
【0077】
本発明の説明において、「一つの実施形態」、「一部の実施形態」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体的な例」、或いは「一部の例」などの用語を参考した説明とは、該実施形態或いは例に結合して説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態或いは例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な描写は、必ずしも同じ実施形態或いは例を示すことではない。又、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれか一つ或いは複数の実施形態又は例において適切に結合することができる。
【0078】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者は、本発明の原理及び主旨から逸脱することなく、これらの実施例に対して各種の変化、修正、切り替え及び変形を行うことができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物により限定される。
【符号の説明】
【0079】
100 内鍋
1 鍋本体
11 アルミ合金層
12 ステンレス層
13 鍋口のフランジング
2 段差部
21 リング状柱面部
22 リング状平面部
23 突起
3 ハンドル部
31 内周面
32 上面
33 下面
図1
図2
図3
図4
図5