【実施例】
【0034】
スキーム-1によるエピカテキンの調製
(-)&(+)エピカテキンの合成は6工程から成り、合成は天然分子ケルセチンのベンジル化から出発した後、還元及び脱ベンジルによりラセミエピカテキンを得てから、分取HPLCからのキラル分離によって(-)&(+)エピカテキンを生成した。
実施例1:
工程1:ケルセチンからの3’,4’,7-トリベンジル化ケルセチンの調製
【0035】
【化10】
【0036】
窒素雰囲気下0℃でDMF中[1](3.0g,9.9mmol)の撹拌溶液にK
2CO
3(1.3g,29.7mmol)を加えた。この温度で15分間撹拌した後、ベンジルブロミドを滴加した。反応混合物の温度を室温に上げてそれを一晩撹拌した。TLCが[1]の完全な消費を示した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、8%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して黄色がかった緑色の粉末[2]を得た(3.2g,57%)。分析データ:ESIMS:573[M
++1]
工程2:第3位のヒドロキシル基のTBDMS基による保護
【0037】
【化11】
【0038】
乾燥DCM(10ml)中の[2](0.500g,0.87mmol)の撹拌溶液に窒素雰囲気下RTでDBU(1.5ml)を加えた。この温度で5分間撹拌した後、DCM中のTBDMSCl(0.168ml,0.957mmol)を滴加した。
反応混合物をこの温度で30分間撹拌した。TLCが[2]の完全な消費を示した。水(20ml)を添加して反応混合物をクエンチし、ジクロロメタン(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡黄色の粘着性物質を得た(550mg,93%)。この粗生成物をそのままさらなる工程に使用した。
分析データ:ESIMS:687[M
++1]
工程3:五保護ケルセチン[4]の調製
【0039】
【化12】
【0040】
DMF中の[3](0.300g,0.43mmol)の撹拌溶液にK
2CO
3(0.072g,0.52mmol)を窒素雰囲気下0℃で加えた。この温度で15分間撹拌した後、ベンジルブロミド(0.063ml,0.52mmol)を滴加した。反応混合物の温度を室温に戻してそれを一晩撹拌した。TLCが[3]の完全な消費を示した。反応混合物を水(20ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、5%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して白色固体粉末[4]を得た(0.300g,95%)。
分析データ:ESIMS:777[M
++1]
工程4:五保護ケルセチン[4]からの4H及び2Hクロメンの合成
【0041】
【化13】
【0042】
メチル三級ブチルエーテル(10.0ml)中の[4](0.300g)の撹拌懸濁液に水素化アルミニウムリチウム(0.052g,3.6当量)を窒素雰囲気下で室温にて一度に加えた。この温度で10分間撹拌した後、反応の温度を65℃〜70℃に上昇させた。同温度で30分間撹拌した後、反応塊を1N HCl(10ml)溶液で0℃〜5℃にてクエンチしてから反応塊の温度を室温に戻した。反応塊に酢酸エチル(10ml)を加えて30分間撹拌してから有機層をデカントし、水層を酢酸エチルで希釈し、セライトベッドを通してろ過し、水層と有機層を分けた。混ぜ合わせた有機層を減圧下で濃縮して淡いピンク色の粘着性物質を得た(0.220g,74%)。
分析データ:ESIMS:763[M
++1]
工程5:ケトン中間体[7]の合成
【0043】
【化14】
【0044】
乾燥THF中の[5]と[6]の撹拌溶液にテトラ-ブチルアンモニウムブロミドを窒素雰囲気下-10℃で滴加した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌してから温度を0℃に上げた。出発物質全体が消費されるまで反応をTLCでモニターした。5時間後、飽和塩化アンモニウムを添加して反応混合物をクエンチし、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、回転蒸発させて暗赤色の粘着性物質を得た。この粗製物質をそのままさらなる反応に使用した。
分析データ:ESIMS:649[M
++1]
工程6:ラセミ四ベンジル化エピカテキン[8]の合成
【0045】
【化15】
【0046】
乾燥THF中の[7](0.100g)の撹拌溶液に-78℃でL-セレクトリドを窒素雰囲気下で滴加した。結果として生じた溶液を-78℃で5時間撹拌してから反応混合物の温度を室温に戻した。反応をTLCでモニターした。[7]の完全な消費後、飽和NaHCO
3を加えて酢酸エチルで抽出した。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させて所望物質を得た(0.080g,85%)。
分析データ:ESIMS:651[M
++1]
工程7:
【0047】
【化16】
【0048】
酢酸エチルとメタノールの1:1混合物(8ml)中の[8](0.180g,0.24mmol)の撹拌溶液に室温で10%Pd/C(0.020g)のスラリーを加えた。この温度で反応混合物を1時間撹拌してから反応温度を50℃〜55℃に上げてこの温度で一晩撹拌した。反応塊をセライト上でろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、4%メタノール/ジクロロメタンで溶出してオフホワイトの粉末[9]を得た(0.045,65%)。
分析データ:ESIMS:291[M
++1]
ラセミエピカテキンの調製プロセス
(-)&(+)エピカテキンの合成は、スキーム2に示すように4工程から成り、合成は天然分子ケルセチンのベンジル化から出発した後、還元及び脱ベンジルによりラセミ四ベンジル化エピカテキンを得てからラセミエピカテキンを得る。分取キラルHPLCを用いるキラル分離によって(+)及び(-)異性体を得ることができる。
実施例2:
工程-1:
ベンジルクロリドを用いるケルセチンからの五ベンジル化ケルセチンの合成
【0049】
【化17】
【0050】
N-メチルピロリドン[NMP](125ml)とアセトン(375ml)中のケルセチン二水和物[1](25g,0.074mol)の撹拌溶液に室温で炭酸カリウム(122.5gm,0.89mol)を添加した後、ベンジルクロリド(85.9ml,0.75mol)及びテトラブチルアンモニウムブロミド[TBAB](1.19gm,3.7m.mol)をゆっくり加えた。反応混合物を85〜90℃で加熱し、24時間撹拌した。反応の完了後、アセトンを蒸発させて反応塊を0〜5℃に冷却した後、水(1250ml)を加えて撹拌をさらに1時間続けた。沈殿固体をろ過し、水で3回洗浄してからメタノール:水の1:1混合物で洗浄して52g(93%;HPLC純度95%)のオフホワイト色の所望生成物[2]を得た。
分析データ:
ESIMS: 753[M
++1]
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.72(d, 1H, Ar-H); 7.60-7.62(d, 1H, Ar-H); 7.14-7.50(m, 25H, 5-Ar-H); 6.93(d, 1H, Ar-H); 6.52(d, 1H, Ar-H); 6.45(d, 1H, Ar-H); 5.24-5.28(s, 4H, 2×CH
2); 5.08-5.09(s, 4H, 2×CH
2); 4.96(s, 2H, CH
2)。
工程-2:4H及び2Hクロメンの五ベンジル化ケルセチンからの合成。
【0051】
【化18】
【0052】
温度計の鞘と窒素ガス入口を備えた4つ口の10000mLのRBFに、MTBE(6000mL)、[2](200g,0.266mol)及びLAH(36.4g,0.957mol)を不活性雰囲気下25℃〜30℃で入れた。結果として生じた反応混合物を55℃〜60℃に加熱し、1時間撹拌し、反応の進行をTLCでモニターした。出発物質の完全な消費後、反応混合物を0℃〜5℃に冷却してから1N HCl(800mL)でクエンチした。反応塊温度を25℃〜30℃に上げてEtOAc(1000ml)で希釈し、30分間撹拌した。有機層を分けた。粗製アルミン酸複合体をEtOAc(2000mL)で希釈し、セライトベッドを通してろ過し、ベッドをEtOAc(1000mL)で洗浄し、有機層と水層を分け、混ぜ合わせた有機層を真空下50℃で濃縮して粗製化合物をオフホワイトの固体として得た(200g)。粗製化合物(200g)をEtOAc(1000mL)と4時間25℃〜30℃で摩砕してから固体をろ過し、EtOAc(500ml)で洗浄した。ウェットケークを真空下RTで4時間乾燥させて[3](80.0gm,41%)をオフホワイトの固体として得た。
[3]の単離後、ML’sを減圧下で濃縮し、淡黄色の残渣を得、残渣に[4](10mg)をシードしてからそれをRTで一晩放置した。オフホワイト色の半固体の形成が観察され、得られた半固体を50%EtOAc:ヘキサン(1000ml)と30分間RTで摩砕し、固体をろ過し、50%EtOAc:ヘキサン(1000ml)で洗浄した。ウェットケークを真空下RTで4時間乾燥させて[4](60.0gm,31%)をオフホワイトの固体として得た。
分析データ:
ESIMS: 739[M
++1]
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) [3]: δ (ppm) 7.53-7.54 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 7.26-7.46 (m, 25 H), 6.91-6.94 (d, 1H, J = 9 Hz), 6.25-6.91 (2H, m), 5.190 (1 H ,s), 4.982-5.133 (6 H, m), 4.735 (2 H, s), 3.62(s, 2H)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) [4]: δ (ppm) 7.53-7.54 (d, 1H, J = 2.1 Hz); 7.26-7.46 (m, 25 H); 6.91-6.94 (d, 1H, J = 9 Hz); 6.14-6.23 (m, 2H); 6.01 (s,1H), 5.6 (s,1H), 4.882-5.137 (m,10H)。
工程-3:ラセミエピカテキンの4H-クロメンからの合成:
【0053】
【化19】
【0054】
水素Parr Glass容器フラスコ(500ml)内の氷酢酸(50ml)と10%Pd(OH)
2活性炭(1.25gm)のスラリーに化合物[3](5gm,6.7mmol)を窒素雰囲気下で加えた。結果として生じた溶液を水素圧(40〜60psi(2.8×10
5〜4.1×10
5Pa))下で室温にて3時間撹拌した。反応の完了後、セライトベッドを通して反応混合物をろ過し、吸引下メタノールで洗浄し、ろ液をトルエン共沸混合物経由で濃縮して粗製固体物質(2.2gm,110%)を得た。シリカゲル(100〜200メッシュ)上で移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて固体をカラムクロマトグラフ処理して[5]を得た(1.6gm,82%;HPLC純度96%)。
分析データ:
ESIMS: 291 [M
+ + 1]
1H-NMR (D
6-DMSO, 300 MHz): δ (ppm) 9.2 (s, 1 H), 8.90 (s, 1 H), 8.81 (s,1 H),8.72 (s, 1 H) 6.88 (s, 1 H), 6.65 (s, 2 H), 5.88 (d, 1 H, J = 2.1), 5.71 ( d, 1 H, J = 2.4 Hz), 4.722 (b, 1 H), 4.656-4.672 (d, 1 H, J = 4.8 Hz), 3.971-3.992 (m, 1 H), 2.37-2.7(dd,2H)。
工程-4:
ラセミエピカテキンのキラル分取HPLC分割:
分離の分析HPLC法:
エピカテキンのラセミ混合物をメタノールに溶かし、そのキラル純度を逆相CHIRAL PAK(登録商標)IC(250×4.6)mm、5μカラム、25℃の温度で調べた。使用した移動相はヘキサン/エタノール/トリフルオロ酢酸//60/40/0.05(v/v/v)であり、流速は1.0ml/分、サンプル注入体積は10μlだった。UV 280nmでPDAを用いてシグナルをモニターした。約1.6分の保持時間差で両異性体が分離された。15分の流出時間でHPLCをより速く移動する異性体は4.7分で溶出し、より遅く移動する異性体は6.3分に生じた。
分割された異性体のどちらの絶対配置の割当も、合成されたラセミエピカテキンの2つのエナンチオマーの保持時間に基づいて、同様のHPLC条件下で市販の天然エピカテキン(2R,3R)の保持時間と比較して行なった。保持時間に基づいて、6.3分で溶出した遅い速度の異性体を(-)-エピカテキン((2R,3R)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ベンゾピラン-3,5,7-トリオール)異性体と割り当て、4.7分で溶出した速い速度の異性体を(+)-エピカテキン(((2S,3S)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ベンゾピラン-3,5,7-トリオール)異性体を割り当てた。
【0055】
分離の分取HPLC法:
ラセミ混合物(0.200g)をメタノールに溶かし、CHIRAL PAK(登録商標)IC(250×20)mmカラム、25℃の温度にて分取HPLCで分離した。サンプル注入体積は2.0ml、供給濃度は5mg/mlだった。用いた移動相はヘキサン/EtOH//60/40v/vで、流速は18ml/分だった。PDAを用いてUV 280nmで検出を行なった。より速く移動する(+)エピカテキン異性体I(0.085g;HPLCによるキラル純度>99%)は4.7分で溶出し、より遅く移動する(-)エピカテキン異性体II(0.084g;HPLCによるキラル純度>99%)は6.3分で溶出した。
実施例3:
【0056】
【化20】
【0057】
工程1:
DMF中の[1](3.0g,9.9mmol)の撹拌溶液にK
2CO
3(1.3g,49.5mmol)を窒素雰囲気下0℃で加えた。この温度で15分間撹拌した後、ベンジルブロミドを滴加した。反応混合物の温度を室温に戻してそれを一晩撹拌した。TLCが[10]の完全な消費を示した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、8%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して黄色がかった緑色の粉末[11]を得た(3.2g,57%)。
分析データ:ESIMS:753 [M
++1]
【0058】
【化21】
【0059】
工程2:
窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン中の[11](25g,0.0332mol)の撹拌溶液にビトリド溶液(56ml,0.166ml)を0〜5℃で5分にわたって加えた。反応をこの温度で4時間撹拌した。反応の完了後、冷却下で反応混合物を飽和NaCl溶液でクエンチした。反応混合物をさらに酢酸エチルで希釈し、有機層を分け、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗製の淡黄色のガム質塊(30.0g)を得た。上記粗製塊をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出剤として酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して黄色のガム質塊(15.0g)を得、さらにメタノールHClで0〜5℃にて2時間処理してから25〜30℃にて24時間処理した。このようにして得られたウェットケークを真空下で乾燥させて[12]をピンク色がかった固体として得た(55%)。
分析データ:ESIMS:738[M
++1]
工程3:
【0060】
【化22】
【0061】
窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル等の適切な溶媒中の[12]の撹拌溶液に、下表1に示す還元剤を加えた。適切なキラル還元剤、例えばボラン、好ましくは‘S’若しくは‘R’アルピンボラン又は(-)ジイソピノカンフェイルボランの存在下で[12]をキラル2H-クロメン[13B]に変換することもできる。キラル又はアキラル[13B]を水素雰囲気内でパラジウムの存在下の水素化にさらすと、主生成物としてキラル又はアキラルエピカテキン[9]を与えた。
【0062】
表1. 2H及び/又は4Hクロメンを得るための実例条件
【0063】
工程3A:
【0064】
【化23】
【0065】
窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン中の[12](0.5g,0.67mmol)の撹拌溶液に9-BBN(0.5M/THF)(3.3ml,1.69mmol)を-10℃で5分にわたって加えた。反応をこの温度で1時間撹拌してから温度を室温に上げてこの温度で12時間撹拌した。反応の完了後、冷却下の水で反応混合物をクエンチした。反応混合物をさらに酢酸エチルで希釈し、有機層を分け、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗製の淡いピンク色のガム質の塊(0.5g)を得た。上記粗製塊をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出剤として酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して[13B]を淡いピンク色の粘着性物質として得た(0.35g,70%)。
分析データ:ESIMS:738[M
++1]
工程3B:
【0066】
【化24】
【0067】
窒素雰囲気下で乾燥ジクロロメタン中の[12](0.1g,0.12mmol)の撹拌溶液にハンチュエステル(0.03g,0.14mmol)を室温で一度に加えた。反応混合物をこの温度で15分間撹拌した。反応の完了後、冷却下、反応混合物を水でクエンチした。反応混合物をさらにジクロロメタンで希釈し、有機層を分け、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて[13A]を淡いピンク色の粘着性物質として得た(0.07g,85%)。
分析データ:ESIMS:738[M
++1]
工程3C:
【0068】
【化25】
【0069】
窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン中の[12](0.1g,0.12mmol)の撹拌溶液に(-)ジイソピノカンフェイルボラン(0.03g,0.12mmol)を-40℃で5分にわたって加えた。反応をこの温度で2時間撹拌した。TLCが[12]の完全な消費を示した。次に反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで希釈し、有機層を分け、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて[13A]とキラル[13B]の1:1混合物を淡いピンク色の粘着性物質として得た(0.06g,70%)。
分析データ:ESIMS:738[M
++1]
実施例4:
工程1:
【0070】
【化26】
【0071】
DMF中の[10](1.0gm,3.4mmol)の撹拌溶液にK
2CO
3(2.3gm,17.0mmol)を窒素雰囲気下0℃で加えた。この温度で15分間撹拌した後、ベンジルブロミドを滴加した。反応混合物の温度を室温に戻してそれを一晩撹拌した。TLCが[10]の完全な消費を示した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、8%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して白色粉末[14]を得た(1.5gm,68%)。
分析データ:ESIMS:651[M
++1]
【0072】
【化27】
【0073】
工程2:
DMF中の[14](1.5gm,2.3mmol)の撹拌溶液にNaH(0.85gm,3.4mmol)を窒素雰囲気下0℃で少しずつ加えた。この温度で15分間撹拌した後、ベンジルブロミドを滴加した。反応混合物の温度を室温に上げてそれを一晩撹拌した。TLCが[14]の完全な消費を示した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を回転蒸発させて淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、8%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して白色の粘着性物質を得た[14.2](1.4gm,82%)。
分析データ:ESIMS:741[M
++1]
【0074】
【化28】
【0075】
工程3:
CH
2Cl
2(15ml)とH
2O(6.0ml)の混合物中の14.2(1.0gm,1.3mmol)とDDQ(370mg,5.2mmol)の溶液を室温で3時間激しく撹拌した。反応混合物にNaHCO
3飽和水溶液を加え、CH
2Cl
2(3×130mL)で抽出した。混ぜ合わせた抽出物を無水MgSO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt-CHCl
3 1:40)で精製して[15](0.6gm,60%)を白色粉末として得た。
分析データ:ESIMS:757[M
++1]
【0076】
【化29】
【0077】
工程4:
1,2-ジクロロエタン(10mL)中の[15](200mg,0.24mmol)とDIPEA(0.72mmol)の溶液にMsCl(0.72mmol)を室温で加えた。反応混合物を80℃で加熱し、6.0時間撹拌した。冷却後、NaHCO
3飽和水溶液(40mL)を添加して反応をクエンチし、混合物をAcOEt(3×40mL)で抽出した。混ぜ合わせた抽出物を無水MgSO
4上で乾燥させ、真空中で蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して[13](0.15gm,75%)を粘着性の淡褐色物質として得た。
分析データ:ESIMS:738[M
++1]
工程5:
【0078】
【化30】
【0079】
酢酸エチルとメタノールの1:1混合物(8ml)中の[13](0.180gm,0.24mmol)の撹拌溶液に、10%Pd/C(0.020gm)のスラリーを室温で加えた。反応混合物をこの温度で1時間撹拌してから反応温度を50℃〜55℃に上げ、この温度で一晩撹拌した。反応塊をセライト上でろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して淡褐色の粘着性物質を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムに装填し、4%メタノール/ジクロロメタンで溶出してオフホワイトの粉末[9](0.04gm,55%)を同カテキンと共に得た。
分析データ:ESIMS:291[M
++1]
【0080】
発明の利点
1. 本発明は、異性体的に純粋な形、異性体的に富化された形及び/又はラセミ形のcis-エピカテキンの合成プロセスを提供する。
2. 本発明は、エピカテキンに変換できる異性体的に純粋な形、異性体的に富化された形及び/又はラセミ形の新規中間体を提供する。
3. 本出願のプロセスは、従来技術の他のプロセスと比較して高い収率を有する。
4. 本発明のプロセスは、大規模商業生産に受け入れられる。