【実施例】
【0061】
一般的な方法
試薬及び溶媒は商業的供給源から受け取った状態で使用された。
1H NMRスペクトルは400MHzスペクトロメーターで記録した。化学シフトは、溶媒共鳴(CDCl
3、DMSO−d
6)により内部標準としてのテトラメチルシランからのppmで報告される。データは以下の通り報告される。化学シフト、多重度(s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、br=ブロード、m=多重項)、カップリング定数(Hz)及び積分。
13C NMRスペクトルは完全プロトンデカップリングにより100MHzスペクトロメーターで記録した。化学シフトは、溶媒(CDCl
3、DMSO−d
6)と共に内部参照としてのテトラメチルシランからのppmで報告される。溶媒充填はすべて出発の2−フルオロ−3−ニトロトルエンに関して行われる。
【0062】
X線粉末回析データは、固定されたスリットを装備したPhillips X線粉末回折計(X’Pert)を使用して得た。照射はCuKα(1.541837Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAであった。データは3.000〜40.009°2θで室温にて収集し;刻み幅は0.008°であり;カウント時間は15.240秒であった。5〜40mgの範囲のサンプルをサンプルホルダー上で調製し、ステージは2.000秒の回転時間で回転させた。
【0063】
オメカムチブメカルビルビス−HCl塩の熱特性は、DSC Q1000またはDSC Q 100モデル(TA Instruments)示差走査熱量測定、及びQ 500(TA Instruments)熱重量分析計を使用して特徴づけられた。データ解析はUniversal Analysis 2000(TA Instruments)を使用して行われた。多様な温度範囲にわたる示差走査熱量測定及び熱重量分析のために10℃/分の加熱速度を使用した。<1〜5mgの範囲のサンプルをDSC分析のために圧着したアルミニウムパン、気密アルミニウムパンまたは開放アルミニウムパン中で調製した。
【0064】
モイスチャーバランスデータはVTI SGA 100対称的蒸気吸脱着分析器を使用して収集した。相対湿度は、吸着稼動の間に5%〜95%の間の相対湿度及び脱離稼動の間に95%〜5%の相対湿度で5%の増分で変動させた。平衡基準は、180分間の最大平衡時間で1分間中に0.01%の重量変化と設定された。およそ1〜15mgのサンプルを使用した。
【0065】
C
20H
28C
12FN
5O
4の無色のブレード(およその寸法0.03mm×0.12mm×0.50mm)をX線結晶解析のために使用した。X線強度データは、1.2kWの電力(40kV、30mA)で操作される、グラファイトのモノクロメーター及びCuKα高精度焦点シールド管(λ=1.54178Å)を装備したBruker Kappa APEX IIシステム上で100(2)Kで測定した。検出器は結晶から5.0cmの距離をおいて配置された。
【0066】
合計7824フレームは、ω及びφにおいて0.5°のスキャン幅ならびに90秒/フレームの露光時間により収集された。合計のデータ収集時間は260時間であった。フレームは、ナローフレームの積分アルゴリズムを使用して、Bruker SAINTソフトウェアパッケージにより積分された。三斜晶格子を使用するデータの積分は、69.57°(0.83Å分解能)の最大θ角度に対して合計12349の反射をもたらし、そのうちの4046は独立しており(冗長性3.06)、完全性=93.6%、R
int=5.13%、R
sig=5.18%であり、3351(82.8%)が>2シグマ(I)σ(F
2)より大きかった。最終的な格子定数は、a=5.9979(4)Å、b=13.4375(9)Å、c=14.4250(9)Å、α=97.617(4)°、β=93.285(4)°、γ=94.585(5)°、体積=1145.95(13)Å
3であり、6.196°< 2θ< 138.239°で20σ(I)より上の4790反射のXYZ重心の精密化に基づく。データの分析から、データ収集の間の崩壊が無視できることが示された。マルチスキャン技法(SADABS)を使用して、吸収効果についてデータを補正した。最小見かけ透過率対最大見かけ透過率の比は0.350であった。計算された最小透過係数及び最大の透過係数(結晶サイズに基づく)は、0.3206及び0.9168である。
【0067】
この構造を解像し、Bruker SHELXTL(バージョン6.1)ソフトウェアパッケージを使用し空間群P−1を使用して、式単位C
20H
28Cl
2FN
5O
4についてZ=2で精密化した。320の変数によるF
2の最終的な異方性完全行列最小二乗法精密化は、観測されたデータについてR1=6.43%及びすべてのデータについてwR2=19.18%で収束した。適合度は1.067であった。最終的な差電子密度合成での最大ピークは1.084e
−/Å
3であり、最大ホールは0.101e
−/Å
3のRMS偏差で−0.527e
−/Å
3であった。最終的なモデルに基づいて、計算された密度は1.427g/cm
3及びF(000)(516e
−)であった。
【0068】
部分的な水占有についての2つの位置がこの構造中で見出され、精密化された。水の占有率は、オメカムチブメカルビル1分子あたり0.94当量の水で合計水含有量について53%及び41%へ独立して精密化された。これはこの化合物の形状における水含有量の他の測定値と一致する。溶媒和水のうちの1つ上の水素原子(41%の占有率のもの)が電子密度差マップ中で見出され、1.01Åで固定された結合距離により精密化された。N3、C4及びN4上の水素原子が見出され、等方的に精密化された。他のすべての水素原子は理想化された位置で配置され、ライディングモードで精密化された。
【0069】
X線粉末回析データ(XRPD)は、リアルタイム複数ストリップ(RTMS)検出器を取り付けたPANalytical X’Pert PRO回折計(PANalytical、Almelo、オランダ)を使用して得た。使用した照射はCuKα(1.54Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAで設定した。データは0.0334°のステップサイズにより5〜45°2θで室温にて収集した。サンプルは低バックグラウンドサンプルホルダー上で調製し、2秒の回転時間により回転させるサンプルステージ上に配置した。
【0070】
あるいは、XRPDデータは、RTMS検出器を取り付けたPANalytical X’Pert PRO回折計(PANalytical、Almelo、オランダ)を使用して得た。使用した照射はCuKα(1.54Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAで設定した。データは同様に0.0334°のステップサイズにより5〜40°2θで室温にて収集した。サンプルは低バックグラウンドサンプルホルダー上で調製し、2秒の回転時間により回転させるサンプルステージ上に配置した。
【0071】
あるいは、XRPDデータは、RTMS検出器を取り付けたPANalytical X’Pert PRO回折計(PANalytical、Almelo、オランダ)を使用して得た。使用した照射はCuKα(1.54Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAで設定した。データは同様に0.0167°のステップサイズにより5〜40°2θで室温にて収集した。サンプルは低バックグラウンドサンプルホルダー上で調製し、2秒の回転時間により回転させるサンプルステージ上に配置した。
【0072】
あるいは、XRPDデータは、RTMS検出器を取り付けたPANalytical X’Pert Pro回折計(PANalytical、Almelo、オランダ)を使用して得た。使用した照射はCuKα(1.54Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAで設定した。データは0.008°のステップサイズにより3〜40°2θで室温にて収集した。サンプルは低バックグラウンドサンプルホルダー上で調製し、2秒の回転時間のサンプルステージ上に配置した。
【0073】
あるいは、XRPDデータは、電動xyzサンプルステージ及びGADDS面検出器を取り付けたBruker D8 Discover X線回析システム(Bruker、Billerica、MA)を使用して得た。使用した照射はCuKα(1.54Å)であり、電圧及び電流はそれぞれ45kV及び40mAで設定した。平板ガラスプレート上の固体サンプルをマッピングし、各々のサンプルについては、1mm
2の面積を5〜48°2θで3分間の振動モードでスキャンした。
【0074】
示差走査熱量測定(DSC)データは、標準的なDSCモード(DSC Q200、TA Instruments、New Castle、DE)を使用して収集した。10℃/分の加熱速度を40℃〜300℃の温度範囲にわたって用いた。分析は窒素下で実行し、サンプルを標準的な気密状態で密封したアルミニウムパン中にロードした。インジウムを校正標準として使用した。
【0075】
あるいは、DSCデータは、温度調節DSCモード(DSC Q200、TA Instruments、New Castle、DE)を使用して収集した。サンプルを20℃で5分間平衡化させた後に、3℃/分の加熱速度を20℃〜200℃の温度範囲にわたって±0.75℃/分の調節により用いた。分析は窒素下で実行し、サンプルを標準的なクリンプしてないアルミニウムパン中にロードした。インジウムを校正標準として使用した。
【0076】
オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物の製造
オメカムチブメカルビルへの合成経路
【化2】
【0077】
API SMピペラジンニトロHClの合成
【化3】
【0078】
5N NaOH溶液により満たされた、還流/帰還コンデンサー及びスクラバーを装備した、60Lの反応器(露出したステンレス鋼、Hastelloy(登録商標)または他の金属部品を含有しない)中で、FN−トルエン(2.0kg、12.89mol、1.0当量)、N−ブロモスクシンイミド(3.9kg、21.92mol、1.70当量)、ベンゾイルペルオキシド(125.0g、0.03当量、0.39mol、25重量%の水を含有)及び酢酸(7.0L、3.5体積)の機械的に撹拌された混合物を、窒素雰囲気下で85℃へ7時間加熱した。別個の槽中で調製したH
3PO
3(106.0g、1.29mol、0.1当量)及び酢酸(200mL、0.1体積)の溶液を添加した。反応混合物を0.5時間撹拌し、アリコートの分析からベンゾイルペルオキシドの完全な分解が確認された(検出されない、HPLC
254nm)。反応混合物を22℃へ冷却した。脱イオン水(8.0L、4体積)及びトルエン(16.0L、8体積)をチャージし、二相性混合物を撹拌し(20分間)、層を分離させた。1.6N NaOH水溶液(14.0L、7.0体積)を、バッチ温度が25℃の下でとどまるようにする速度で有機層へ添加し、生じた水相のpHを測定した(≧11)。二相性混合物を、5μmテフロン(登録商標)カートリッジラインを介して濾過し、層を分離させた。フィルターラインを別の2Lのトルエンにより洗浄した。
【0079】
アッセイ収率は、2.5%のFN−トルエン、62.3%のFN−臭化物及び30.0%の二臭化物であった。トルエン溶液はベンゾイルペルオキシド、スクシンイミドまたはα−ブロモ酢酸を含有せず、KF滴定によって水分含有量は1030ppmであった(アッセイ収率の変化なしに室温で>12時間窒素下でこの溶液を保持することができた)。
【0080】
この溶液へ、ジイソプロピルエチルアミン(880.0g、6.63mol、0.53当量)、続いてメタノール(460mL、11.28mol、0.88当量)を室温で添加し、40℃へ加熱した。メタノール(460mL、11.28mol、0.88当量)中の亜リン酸ジエチル(820.0g、5.63mol、0.46当量)の溶液を調製し、バッチ温度が40±5℃内であるような速度で1時間の期間にわたって滴下漏斗を介して40℃で反応混合物へ添加した。内容物を添加のスタートから3時間の期間40℃で撹拌し、室温へ冷却し、窒素雰囲気下で12時間維持した。反応混合物のアッセイ収率は、2.5%のFN−トルエン、92.0%のFN−臭化物及び0.2%の二臭化物であった。この溶液はアルキル化工程にそのまま使用される。
【0081】
最終的な生産物混合物の成分についての特徴づけ(純粋化合物について収集された)。
【0082】
2−フルオロ−3−ニトロトルエン(FN−トルエン):
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm 2.37(s,1H),7.13−7.20(m,1H),7.45−7.51(m,1H),7.79−7.85(m,1H).
13C NMR(100MHz,クロロホルム−d)δppm 14.3(d,J=5Hz),123.3(d,J=3Hz),123.6(d,J=5Hz),128.2(d,J=16Hz),136.7(d,J=5Hz),137.5(ブロード),153.7(d,J=261Hz);1−(ブロモメチル)−2−フルオロ−3−ニトロベンゼン(FN臭化物):
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm 4.56(s,1H),7.28−7.34(m,1H),7.69−7.76(m,1H),7.98−8.05(m,1H).
13C NMR(100MHz,クロロホルム−d)δppm 23.6(d,J=5Hz),124.5(d,J=5Hz),126.1(d,J=3Hz),128.5(d,J=14Hz),136.5(d,J=4Hz),137.7(ブロード),153.3(d,J=265Hz).DSC:53.59℃で単一融解物。正確な質量[C
7H
5BrFNO
2+H]
+:計算値=233.9566、測定値=233.9561;1−(ジブロモメチル)−2−フルオロ−3−ニトロベンゼン(二臭化物):
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm 6.97(s,1H),7.39−7.45(m,1H),8.03−8.10(m,1H),8.16−8.21(m,1H).
13C NMR(100MHz,クロロホルム−d)δppm 29.2(d,J=7Hz),124.9(d,J=5Hz),127.1(d,J=2Hz),132.1(d,J=11Hz),135.7(d,J=2Hz),137.2(broad),149.8(d,J=266Hz).DSC:49.03℃で単一融解物。正確な質量[C
7H
4Br
2FNO
2+H]
+:計算値=311.8671、測定値=311.8666。
【0083】
ピペラジンニトロ−HCl:
窒素雰囲気下で22℃の60Lの反応器中のFN−臭化物(前の工程から調製された)の機械的に撹拌されたトルエン溶液(9体積)へ、ジイソプロピルエチルアミン(1.90kg、14.69mol、1.14当量)をチャージした。この混合物へ、トルエン(1.0L、0.5体積)中のピペラジンカルボキシレートメチルエステル(ピペラジンカルボキシレート)(2.03kg、14.05mol、1.09当量)の溶液を、バッチ温度が30.0℃(発熱性)の下でとどまるようにする速度で添加した。添加の間に、ジャケット温度は30℃より下のバッチ温度を維持するように5℃へ調整した。混合物を22℃で3時間撹拌し、アリコートの分析からアルキル化反応の完了が確認された(HPLC
254nmで、<1.0 LCAP FN−臭化物)。反応混合物をNH
4Cl水溶液(20重量%、10.0L、5体積;2.0kgのNH
4Cl及び10.0Lの脱イオン水から調製した)により処理し、二相性混合物を撹拌し(30分間)、層を分離させた。有機層を、NaHCO
3水溶液(9重量%、10.0L、5体積;0.90kgのNaHCO
3及び10.0Lの脱イオン水から調製した)により連続して洗浄した。有機層を、5μmテフロン(登録商標)カートリッジラインを介して濾過し、ドラム中に移し、別の1.0Lのトルエンによりフィルターラインを洗浄し、合わせたトルエン溶液(10.0体積)を計量し、アッセイして(HPLC)ピペラジンニトロ遊離塩基を定量化した。ピペラジンニトロ遊離塩基についてのアッセイ収率は89.0%であり、FN−トルエンは2.5%及びFN−臭化物は0.2%であり、FN−臭化物は検出されない。水性洗浄に対する産物の合計の減少は<1.0%である。窒素雰囲気下でこの溶液は12時間を超えて安定的である。
【0084】
窒素雰囲気下で22℃の60Lの反応器中のピペラジンニトロ遊離塩基(上述のように調製した)の機械的に撹拌されたトルエン溶液へ、IPA(19.4L、9.7体積)及び脱イオン水(1.0L、0.5体積)をチャージした。混合物を55℃へ加熱し、1.4当量の20%濃HCl(使用の前に滴定し、力価に基づいた電荷;276.0mL、3.21mol)をチャージした。内容物を15分間撹拌し、ピペラジンニトロHClシード(130.0g、0.39mol、0.03当量)をIPA(400mL、0.2体積)中の懸濁液としてチャージした。混合物を30分間撹拌し、残りの濃HCl(チャージの80%、1.10L、12.82mol)を、4時間の期間にわたって添加した。混合物を55℃で1時間撹拌し、1.5時間にわたって直線状様式で20℃へ冷却し、この温度で12時間撹拌した。ピペラジンニトロHClの上清濃度を測定した(2.8mg/g)。混合物を、5μmテフロン(登録商標)クロスを装備したオーロラフィルターを介して濾過した。母液を清浄なドラムへ移しアッセイした。フィルターケーキをIPA(11.2L、5.6体積)により2回洗浄し、真空及び窒素スイープ(14時間)によりフィルター上で一定の重量(2時間の期間にわたって2回の連続したTGA測定について≦1.0%重量減少として定義される)へ乾燥した。母液及び洗浄液中のピペラジンニトロHClの合わせた減少は2.5%であった。ピペラジンニトロHClは、87.6%の補正収率、>99.5重量%及び99.0%のLCAP純度で3.59kg単離された。
【0085】
メチル4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩(ピペラジンニトロHCl):
1H NMR(300MHz,DMSO−d)δppm 3.25(br.s,3H),3.52−3.66(m,8H),4.47(s,2H),7.44−7.63(t,1H,J=8Hz),7.98−8.15(m,1H),8.17−8.34(m,1H).
13C NMR(75MHz,DMSO−d)δppm 50.3,51.4,52.8,119.6(d,J=14Hz),125.1(d,J=5Hz),127.9,137.4(d,J=8Hz),139.8(d,J=3Hz),152.2,154.7,155.7.DSC:248.4℃で融解が始まる。正確な質量[C
13H
16FN
3O
4+H]
+:計算値=298.1203、測定値=298.1198。
【0086】
ピペラジンニトロの合成のための代替のプロセス:
【化4】
【0087】
THF(68mL)中のNaBH
4(1.7g、44mmol)の混合物を2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸(3.4g、18.4mmol)により処理し、0〜5℃へ冷却した。次いでTHF(12mL)中のヨード溶液(4.7g、18.4mmol)を、ガス放出を制御する速度で1滴ずつ添加した。反応の進行をHPLCによって査定した。2時間後に、HPLCアッセイにより4%AUCの2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸が残存することが示された。混合物を1M HCl(30mL)の中で反応停止し、MTBE(5mL)により抽出した。次いで有機層を20%KOH水溶液及び10%チオ硫酸ナトリウムにより洗浄した。有機層をNa
2SO
4により乾燥し、セライトの上で濾過し、濃縮して、(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)メタノールを得た(2.8g、88%、HPLCによって89%AUC)。
【0088】
2−MeTHF(26mL)中の(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)メタノール(2.8g、16mmol)の溶液をトリエチルアミン(4.5mL、32mmol)により処理し、0〜5℃へ冷却した。次いで溶液をメタンスルホニルクロライド(1.6mL、21mmol)により処理した。反応の進行をHPLCによって査定した。0〜5℃で30分間後に、反応は完了していると見なされた。混合物を水(14mL)により反応停止し、相を分離した。有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4により乾燥し、セライトの上で濾過し、濃縮して、黄色油として2−フルオロ−3−ニトロベンジルメタンスルホン酸塩を得た(3.3g、83.1%、HPLCによって81%AUC)。
【0089】
トルエン(33mL)中の2−フルオロ−3−ニトロベンジルメタンスルホン酸塩(3.3g、13mmol、AMRIロット#46DAT067B)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.7mL、15mmol)を一度に添加して処理した。トルエン(1.1mL)中のメチルピペラジン−1−カルボキシレート(2.1g、15mmol)の溶液を、23〜29℃の間を維持するようにシリンジ経由で緩慢に添加した。添加後は16時間撹拌して反応させた。この時間が経過した後、HPLCアッセイから反応が完了したことが示された。20%NH
4Cl水溶液(11mL)を20〜25℃で添加した。二相性混合物を15分間撹拌し、相を分離させた。9%炭酸水素ナトリウム水溶液(11mL)を使用してこのプロセスを繰り返した。次いでトルエン層を20〜25℃でセライトの上で濾過した。2−プロパノール(50mL)及び水(1.1mL)をトルエン溶液へ添加し、混合物を55〜60℃へ加熱した。次いで混合物を20分間にわたって37重量%HCl(1.6mL、18.7mmol)により処理した。添加後に沈殿物が見られた。添加が完了したら、混合物を20〜25℃へ徐冷し、濾過の前に数時間撹拌し、IPA(2ベッド体積)により洗浄した。
【0090】
次いでケーキを真空下で乾燥して、4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩を得た(2.41g、54%、HPLCによって90%AUC、HPLCによって88重量%)。
【0091】
ピペラジンニトロ遊離塩基:
還流冷却管を装備した60Lの反応器中で、ピペラジンニトロHCl(2.0kg、5.99mol、1.0当量)及び酢酸イソプロピル(6.0L、3.0体積)の混合物を窒素雰囲気下の周囲温度で機械的に撹拌した。別個の槽中で調製した炭酸水素ナトリウム(629g、7.49mol、1.25当量)及び水(7.5L、3.75体積)の溶液を添加した。二相性混合物を撹拌し(15分間)、層を分離させた。上部有機層(産物を含有する)を別個の槽へ移し、一方で反応器を水及びイソプロパノールによりリンスした。次いで有機層をインラインの5μmテフロン(登録商標)カートリッジを介して清浄な60Lの反応器の中へ戻した。フィルターラインは、60Lの反応器の中への4.0Lのイソプロパノール(2.0体積)により洗浄した。追加の12.0Lのイソプロパノール(6.0体積)を60Lの反応器へ添加し、40℃へ加熱した。減圧(50torr)下でバッチをおよそ6L(3.0体積)まで濃縮した。溶液は10分間にわたって直線状様式で27℃から20℃へ冷却した。水(4.0L、2.0体積)を30分間にわたって20℃で添加し、ピペラジンニトロ遊離塩基シード(18g、0.06mol、0.01当量)を続けて添加した。混合物を5分間放置し放置し、残りの水(24.0L、12.0体積)を90分間にわたって添加した。20℃で一晩保持した後に、ピペラジンニトロ遊離塩基の上清濃度を測定した(<10mg/mL)。混合物を、12μmテフロン(登録商標)クロスを装備したオーロラフィルターを介して濾過した。フィルターケーキを水(3.3L、1.65体積)及びイソプロパノール(700mL、0.35体積)の混合物により洗浄し、真空及び窒素スイープ(48時間)によりフィルター上で一定の重量(2時間の期間にわたって2回の連続したTGA測定について≦1.0%重量減少として定義される)へ乾燥した。母液及び洗浄液中のピペラジンニトロ遊離塩基を合わせた減少はおよそ7.5%であった。ピペラジンニトロ遊離塩基は、92.5%の補正収率、100.0重量%及び99.4%のLCAP純度で1.67kg単離された。
【0092】
API SMフェニルカルバメートHClの合成
【化5】
【0093】
窒素雰囲気下の20℃で設定され、スクラバーを介して排気される、ガラス内張りのジャケット付きの60Lの反応器(5N NaOHを含有する)へ、2.5kgのアミノピリジン(1.0当量、23.1モル)、続いて25L(19.6kg、10体積)のアセトニトリルをチャージした。アミノピリジンの撹拌及び(吸熱性)溶解の開始後に、槽に12.5LのN−メチル−2−ピロリジノン(12.8kg、5体積)をチャージした。滴下漏斗に1.8L(0.6当量、13.9モル)のフェニルクロロギ酸をチャージし、次いでそれをアミノピリジンの溶液へ68分間にわたって添加し、内部温度を≦30℃で維持した。反応物を20±5℃の内部温度で>30分間撹拌した。次いで槽に200mLアセトニトリル中の懸濁液として61±1gのシードをチャージし、≧30分間放置した。滴下漏斗に1.25L(0.45当量、9.7モル)のフェニルクロロギ酸をチャージし、次いでそれを反応懸濁物へ53分間にわたって添加し、その間再び内部温度を≦30℃で維持した。反応器の内容物を20±5℃で≧30時間放置した。上清をアッセイした(産物及び出発材料の両方について≦15mg/g)後に、固体を、12μmテフロンクロスを装備したオーロラフィルターを使用して濾過した。母液を第2のガラス内張りのジャケット付きの60Lの反応器へ移した。反応器及びケーキを1×10Lの5:10のNMP/ACN及び1×10LのACNによりリンスした。洗浄液を同様に第2の反応器へ移した。ケーキを窒素流れと共に真空下で≧24時間乾燥させて、98.8重量%、99.2%のLCAP純度で灰白色固体として5.65kg(90.2%の収率)の産物フェニルカルバメートHClを得た。
【0094】
フェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート塩酸塩(フェニルカルバメートHCl)
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 11.24(s,1H),8.81(s,1H),8.41(d,1H,J=8.8Hz),7.85(d,1H,J=8.8Hz),7.48−7.44(m,2H),7.32−7.26(m,3H),2.69(s,3H);
13C NMR(100MHz,DMSO−d6)δppm 151.66,150.01,147.51,136.14,133.79,129.99,129.49,127.75,125.87,121.70,18.55:HR−MS:C
13H
12N
2O
2についての計算値:228.0899、M+H
+=229.0972;観測された質量:229.0961
【0095】
フェニルカルバメートHClの代替合成
5−アミノ−2−メチルピリジン(53.2kg、1.0当量)及びアセトニトリル(334kg、8.0mL/g)を、窒素で通気したガラス内張りの反応器へチャージした。反応器の内容物を25〜30℃へ温めながら撹拌した。次いで混合物を、25〜30℃を維持しながら3時間の間隔で活性炭(11kg、20重量%)を充填したフィルターを介して再循環させた。各々の3時間の間隔に続いて、混合物のサンプルを、色標準との比較による色及び440nmでのUV吸収について分析した。一旦満足な結果が達成されたならば、フィルターを反応器の中へ吹き出し、フィルターをアセトニトリル(85kg、2.0mL/g)によりリンスした。アセトニトリルのリンス液を反応混合物の中へ移した。1−メチル−2−ピロリジノン(274kg、5.0mL/g)をガラス内張りの反応器中の反応混合物へチャージした。フェニルクロロギ酸(46.6kg、0.6当量)を15〜30℃(典型的には60〜70分間)を維持しながら混合物へ緩慢に添加した。反応混合物を20〜25℃を維持しながらおよそ60分間撹拌した。フェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート塩酸塩(0.58kg、0.010当量)シード結晶を撹拌混合物へチャージした。次いで懸濁液を20±5℃でおよそ4時間撹拌した。フェニルクロロギ酸(33.4kg、0.45当量)を15〜30℃を維持しながら懸濁液へ緩慢に添加した。次いで撹拌しながら混合物を8±1時間放置し、その後5−アミノ−2−メチルピリジン(目標値≦15mg/mL)及びフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート塩酸塩(目標値≦15mg/mL)の濃度をHPLCによって確認した。次いでバッチを真空下で濾過し、アセトニトリル(112kg、2.68mL/g)及び1−メチル−2−ピロリジノン(72kg、1.32mL/g)の混合物により洗浄し、続いてアセトニトリル(167kg、4.0mL/g)により3回洗浄した。固体を脱液し、続いて<1重量%のLODが達成されるまで、20〜40℃及び1.3〜0.65psiaの間で維持されるトレー乾燥機へ移し、その後フェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート塩酸塩106.3kg(81.6%の収率)を乾燥機から単離した。
【0096】
メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(ピペラジンアニリン)
【化6】
【0097】
ジャケット付きのガラス内張りの100Lの反応器へ、メチル4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩(2.00kg、1.00当量)及び酢酸イソプロピル(6.00L、出発材料に対して3.00体積)を添加した。生じた懸濁液を窒素スイープ下で撹拌した。混合物へ、7.7%w/w炭酸水素ナトリウム水溶液(629g、炭酸水素ナトリウムの1.25当量を7.50Lの水中で溶解した)を45±30分間にわたって1滴ずつ添加し、ジャケット制御によって20±5℃の内部温度を維持した(注:添加は吸熱性であり、最大1当量の二酸化炭素ガスを放出させ得る)。混合物を≧15分間撹拌し、清澄な二相性混合物を生ずる。撹拌を停止し、層を沈降させた。
【0098】
下(水)層を排出し、pH試験紙によって分析して層がpH>6であることを確実にする。上部(有機)層の定量的HPLC分析から、メチル4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート遊離塩基(1.73〜1.78kg)が97〜100%のアッセイ収率であることが示された。上部(有機)層を、20LのHastelloy(登録商標)水素化装置の中へインラインフィルターを介して移し、100Lの反応器及びラインを酢酸イソプロピル(2.00L、1.00体積)の追加のアリコートによりリンスした。水素化装置を窒素によりパージし、大気圧へ排気した。反応混合物へ、酢酸イソプロピル(400mL)中の5.0重量%のパラジウム炭素(20.0g、Strem/BASF Escat(商標)1421、約50%の水)の懸濁液、続いて400mLリンスを添加した。生じた反応混合物を、酢酸イソプロピル(1.2L;合計の酢酸イソプロピル量は10.0L、5.00体積である)の追加のアリコートにより希釈した。水素化装置を窒素により3回パージし(60±10psigへ加圧し、次いで大気圧へ排気した)、次いで水素により60±5psigへ加圧した。反応が完了したと考えられるまで、>2時間60±5psigの水素を維持しながら、反応混合物を30±5℃で<100rpmで撹拌した。この温度及び圧力2は0Lの水素化装置中での約0.40の測定されたkLa値に対応する。反応の終了は、反応の発熱の軽減が同時に起こる水素消費の劇的な減少によって決定される。二量体不純物の可能性を制御するために、反応プロファイルにおけるこの変化後に反応を少なくとも30分間継続し、HPLC分析は実行してヒドロキシルアミンのアニリンへの>99.5%の変換が達成されたことを確認する。
【0099】
反応の終了時に、水素化装置を窒素により3回パージした(60±10psigへ加圧し、次いで大気圧へ排気した)。粗製反応混合物を、5μmフィルター、連続で続いて0.45μmフィルターを介して40Lのガラス内張りの反応器の中へ濾過した。水素化装置及びラインを酢酸イソプロピル(2.00L)の追加のアリコートにより洗浄した。粗製反応混合物の定量的HPLC分析から、95〜100%のアッセイ収率(1.52〜1.60kgのアニリン産物)が示された。合計の反応体積がおよそ8.00L(4.00体積)になるまで、反応混合物を50±5℃のバッチ温度で減圧(典型的には250〜300mbar)下にて蒸留した。バッチへのヘプタンの添加によって50±5℃、250〜300mbarで一定体積での蒸留を行って、合計のバッチ体積を制御した。およそ8.00L(4.00体積)のヘプタンを添加した後に、GCの分析から、溶媒組成物がおよそ50%酢酸イソプロピル、50%ヘプタンであることが示された。真空を中断し、内部バッチ温度を50±5℃で維持した。反応混合物へシードの懸濁液(80mLヘプタン及び20mL酢酸イソプロピルの溶媒混合物中の20.0グラムの産物メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート)を添加した。生じた懸濁液を50±5℃で2±1時間撹拌し、次いで2.5±1.0時間にわたって20±5℃へ冷却した。追加のヘプタン(24.0L、12.0体積)を2時間にわたって1滴ずつ添加し、20±5℃で≧1時間(典型的には一晩)バッチを撹拌した。この濾過された上清の定量的HPLC分析から溶液中で<5mg/mLの産物が示され、産物結晶は50〜400μmの複屈折性のロッドであった。反応懸濁液をフィルタークロスの上で20℃にて濾過し、ケーキをヘプタン(6.00L、2.00体積)により置換洗浄した。サンプルの乾燥がLOD分析によって確認されるまで、窒素スイープ下でケーキをフィルター上で周囲温度にて>4時間乾燥した(<1.0重量%減少を示す)。産物メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(1.56kg)は、86%の収率、HPLCによって99.8重量%、100.0のLCAP
210で、淡黄色粉末として単離された。[合わせた濾液及び洗浄液の分析から、108グラムの産物(7.0%)が母液へ減少したことが示された。残りのマスバランスは、反応器中で維持される産物(付着物)からなる。]
1H NMR(DMSO−d
6,400MHz)δ:6.81(dd,J=7.53,7.82Hz,1H),6.67(m,1H),6.49(m,1H),5.04(s,2H),3.58(s,3H),3.45(m,2H),3.34(m,4H),2.33(m,4H).
19F NMR(d6−DMSO,376MHz)δ:−140.2.
13C NMR(d6−DMSO,125MHz)δ:155.0,150.5,148.2,136.2(m),123.7(m),117.6,115.1,73.7,54.9(m),52.1(m),43.4.mp=89.2℃.
【0100】
ピペラジンアニリンに対する代替の経路
ジャケット付きのガラス内張りの反応器へ、メチル4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩(46.00kg、1.00当量)及び酢酸イソプロピル(200kg、5.0mL/g)を添加した。生じた懸濁液を窒素スイープ下で撹拌した。混合物へ7.4%w/w炭酸水素ナトリウム水溶液(1.25当量)を25±5℃の内部温度を維持しながら添加した。混合物を≧30分間撹拌し、清澄な二相性混合物を生ずる。撹拌を停止し、下(水)層を排出した。水層の分析からpH≧6が示される。水(92kg、2.0mL/g)を有機層へチャージし、≧15分間撹拌した。次いで撹拌を停止し、下(洗浄水)層を排出した。水(92kg、2.0mL/g)を有機層へチャージし、≧15分間撹拌した。次いで撹拌を停止し、下(洗浄水)層を排出した。40〜50℃の間のバッチ温度を維持しながら減圧下でバッチを蒸留した。酢酸イソプロピルを連続的に添加することによって、蒸留を通してバッチ体積を一定に維持した。一旦バッチの水分含有量が<1,500ppmになれば、5.0重量%パラジウム炭素(BASF Escat 1421、0.69kg、1.5重量%)を含有するHastelloy反応器の中へインラインのフィルターを介して溶液を通過させた。ジャケット付きのガラス内張りの反応器を酢酸イソプロピル(100kg、2.5mL/g)によりリンスし、インラインのフィルターを介してHastelloy反応器へ添加した。
【0101】
バッチをおよそ25〜35℃(好ましくは30℃)へ調整し、水素ガスが約4bargを維持するように激しく撹拌しながら添加した。水素取り込みが終わった後に、水素化処理を1時間続け、HPLCによる≧99.0%の変換が達成された。パラジウム炭素触媒を濾過によって収集し、上清を反応器中で収集した。酢酸イソプロピル(40kg、1.0mL/g)をHastelloy反応器へチャージし、フィルターを介して移し、ジャケット付きのガラス内張りの反応器中で収集した。
【0102】
最終的な体積がおよそ4.0mL/gになるまで、35〜55℃の間のバッチ温度を維持しながら減圧下でバッチを濃縮した。GCによって測定してヘプタン中で20〜25%の酢酸イソプロピルが達成されるまで、ヘプタン(219kg、7.0mL/g)を50〜60℃の間でバッチを維持しながらジャケット付きのガラス内張りの反応器へ添加した。溶液を40〜50℃の間に冷却し、ヘプタン(6.4kg、0.20mL/g)中の懸濁液としてメチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.46kg、1.0重量%)によりシード形成した。懸濁液をおよそ2時間放置し、その後35〜45℃の間のバッチ温度を維持しながら減圧下でバッチを蒸留した。ヘプタン(219kg、7.0mL/g)の連続的な添加によって、蒸留を通してバッチ体積を一定に維持した。次いでバッチをおよそ3時間にわたって15〜25℃の間へ冷却した。上清の濃度はHPLCによって≦5mg/mLのメチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレートであると測定された。
【0103】
バッチを濾過し、生じた固体をヘプタン(63kg、2.0mL/g)、次いでヘプタン(94kg、3.0mL/g)により連続的に洗浄した。≦1重量%のLODが達成されるまで、固体を真空で乾燥窒素を流してフィルター上で乾燥させ、その後33.88kg(90.7%の収率)をフィルター乾燥機から単離した。
【0104】
オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物手順
【化7】
【0105】
ガラス内張りの15Lの反応器へ、メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(1,202g、4.50mol)、フェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート塩酸塩(1,444g、5.40mol)及びテトラヒドロフラン(4.81L)をチャージした。生じた懸濁液を窒素スイープ下で撹拌し、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1,019L、5.85mol)を懸濁液へチャージし、それにより茶色溶液を生じた。<1%のAUCのピペラジンアニリンがHPLC分析によって残存するまで、溶液の温度を65℃へ増加させて22時間間撹拌した。
【0106】
バッチを50℃へ冷却し、真空圧の調整によって50℃より下で槽の内部温度を維持しながら減圧下で蒸留した。15Lの反応器中で一定体積を維持する速度で残留真空により2−プロパノールを添加した。GCによって<5%のTHFを達成するには、合計10.5kgの2−プロパノールが必要であった。次いで水(2.77kg)を反応器へチャージし、続いて60℃より下で内部温度を維持する速度で6N HCl(1.98kg)を添加する。反応器は窒素スイープ下で周囲圧力にされた。次いで溶液を60℃へ加熱し、インラインのフィルターを通してガラス内張りの60Lの反応器へ移した。次いで15Lの反応器を1:1の水/2−プロパノール(1.2L)によりリンスし、それを60Lの反応器へインラインのフィルターを介して送った。
【0107】
60Lの反応器を45℃へ調整し、2−プロパノール(0.35L)中のシードの懸濁液(114g、0.23mol)を反応器へ添加し、懸濁液をもたらした。バッチを45℃で1時間放置し、続いて2時間にわたってインラインのフィルターを介して2−プロパノール(3.97kg)を添加した。バッチを1時間にわたって55℃へ加熱し、0.25時間保持し、次いで1時間にわたって45℃へ再度冷却し、45℃で一晩保持した。次いで2−プロパノール(11.71kg)を3時間にわたってインラインのフィルターを介してバッチへ添加した。バッチを1時間放置し、次いで2時間にわたって20℃へ冷却し、20℃で0.5時間保持した。バッチは次いで、さらなる粒子サイズ減少が顕微鏡検査によって観察されなくなるまで、2.15時間56Hzで操作される1−ミディアム及び2−ファインのローター−ステーターを取り付けた湿式ミルを介して再循環させた。
【0108】
次いでバッチを、12umフィルタークロスを取り付けた20インチのHastelloy(登録商標)フィルターを介して500torrの真空下で濾過した。95:5の2−プロパノール:水の洗浄溶液(1.82L)を60Lの反応器へインラインのフィルターを介して、次いでフィルターの上へチャージした。2−プロパノールの第2の洗浄液(2.85L)を60Lの反応器へインラインのフィルターを介して、次いでフィルターの上へチャージした。次いで、<5,000ppmの2−プロパノール及び2.5〜5%の水が残存するまで、バッチを5psiの加湿窒素の圧力下で乾燥させた。最終的な固体をフィルターから排出して、灰白色結晶固体として2.09kgのメチル4−(2−フルオロ−3−(3−(6−メチルピリジン−3−イル)ウレイド)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレートを、89%の収率、HPLCによって99.88重量%、100.0%のAUCで得た。液に対する合計の減少は0.10kg(4.7%)であった。
【0109】
DSC:T
onset=61.7℃、T
max=95.0℃;TGA=2.2%、分解開始=222℃;
1H HMR(D
2O,500MHz)δ8.87(s,1H),8.18(d,J=8.9Hz,1H),7.83(t,J=7.5Hz,1H),7.71(d,J=8.8Hz,1H),7.35−7.29(m,2H),4.48(s,2H),4.24(brs,2H),3.73(s,3H),3.31(brs,6H),2.68(s,3H);
13C HMR(D
2O,150MHz)δ156.8,154.2,153.9(J=249Hz),147.8,136.3,136.1,130.1,129.4,128.0,127.2,125.5(J=11.8Hz),125.1(J=4.2Hz),116.1(J=13.5Hz),53.54,53.52,53.49,50.9,40.5,18.2.
【0110】
カップリングのための代替のプロセス(アニリンフェニルカルバメート)
【化8】
【0111】
メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2.5g、1.0当量)、アセトニトリル(25.0mL、10.0mL/g)及び1−メチル−2−ピロリジノン(12.5mL、5.0mL/g)を反応槽にチャージした。バッチを0℃へ冷却し、その後フェニルクロロギ酸(1.20mL、1.02当量)をおよそ5分にわたって添加した。45分後に生じた懸濁液を20℃へ加温した。固体を濾過によって収集し、アセトニトリル(10.0mL、4.0mL/g)により2回リンスした。固体を乾燥窒素のストリーム下で乾燥して、白色固体としてメチル4−(2−フルオロ−3−((フェノキシカルボニル)アミノ)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩2.8g(71%の収率)を得た。
【0112】
4−(2−フルオロ−3−((フェノキシカルボニル)アミノ)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩:
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 3.08(br.s.,2H),3.24−3.52(m,4H),3.62(s,3H),4.03(d,J=11.25Hz,2H),4.38(br.s.,2H),7.11−7.35(m,4H),7.35−7.49(m,2H),7.49−7.66(m,1H),7.80(s,1H),10.12(br.s,1H),11.79(br.s,1H);HRMS=388.1676(観測値)、388.1667(計算値)。
【0113】
反応槽へメチル4−(2−フルオロ−3−((フェノキシカルボニル)アミノ)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩(0.50g、1.0当量)、6−メチルピリジン−3−アミン(0.15g、1.2当量)、テトラヒドロフラン(2.0mL、4.0mL/g)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.23mL、1.1当量)をチャージした。バッチを65℃へ22時間加熱し、その後定量的HPLC分析から0.438gのオメカムチブメカルビルと示された(92%のアッセイ収率)。
【0114】
代替のオメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物手順
オメカムチブメカルビル遊離塩基(3.0kg、1.0当量)、続いて水(4.6L、1.5mL/g)及び2−プロパノール(6.1L、2.60mL/g)を窒素パージしたジャケット付き槽へチャージした。懸濁液を撹拌し、およそ40℃へ加熱し、その後6N HCl(2.6L、2.10当量)を懸濁液へチャージし、無色の均一な溶液を生じた。溶液を60〜65℃の間で加熱し、インラインのフィルターを介して60℃へ前加熱した60Lの反応器へ移した。バッチを45℃へ冷却し、その後オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物(150g、5.0重量%)を95:5(v/v)の2−プロパノール/水(600mL、0.20mL/g))中の懸濁液として槽へチャージした。生じた懸濁液を45℃で0.5時間維持し、続いておよそ20℃へ冷却し、次いで3〜16時間保持した。2−プロパノール(33.0L、11.0mL/g)を≧2時間にわたって添加し、続いておよそ20℃の等温で≧1時間保持した(上清のpHは≦7)。
【0115】
オフラインで較正した目視の顕微鏡検査基準と比較して、十分な粒子減少が達成されるまで、5〜10のバッチターンオーバーで湿式ミルを介してバッチを再循環させた。懸濁液を真空濾過し、生じた固体を95:5(v/v)の2−プロパノール/水(3.0L、1.0mL/g)の2回の洗浄及び2−プロパノール(6.0L、2.0mL/g)による最終的なケーキ洗浄により洗浄した。≦5,000ppmの2−プロパノール及び2.5〜5%の水がそれぞれGC及びKF分析によって測定されるまで、ケーキに加湿窒素を通過させることによって、フィルター上でケーキを乾燥した。オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物は無色の結晶固体(3.40kg、93%の収率)として単離された。
【0116】
pH依存性の放出プロファイル
オメカムチブメカルビル半水和物(遊離塩基)及びオメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物(形状A)の製剤は、以下の成分(すべての成分はw/w%として報告される)を有して調製された。
遊離塩基(75mgマトリックス錠剤)活性顆粒:15.37%遊離塩基;30%ヒプロメロース(HPMC K100 MPrem CR);10%クエン酸一水和物;11.88%微結晶セルロース(Avicel PH 101);6.75%ラクトース一水和物(FastFlo 316);12.5%精製水;ならびにクエン酸顆粒:20%クエン酸一水和物;5%微結晶セルロース(Avicel PH 101);及び1%ステアリン酸マグネシウム(非ウシ)。形状A(75mgマトリックス錠剤)顆粒内:18.37%形状A;30%ヒプロメロース(HPMC K100 MPrem CR);0.50%ステアリン酸マグネシウム;ならびに顆粒外:16.88%微結晶セルロース(Avicel PH 101);18.37%無水クエン酸;及び0.5%ステアリン酸マグネシウム(非ウシ)。
【0117】
製剤はpH2及びpH6.8で試験し、経時的に放出される薬物の量を測定した。この薬物放出プロファイルの結果を
図6中で示す。
【0118】
前述のものは、本発明の単なる例示であり、本発明を開示した塩または製剤へ限定するとは意図されない。当業者にとって明らかな変法及び改変は、添付の請求項中で定義される本発明の範囲及び本質内であることが意図される。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)オメカムチブメカルビルのジヒドロクロリド塩。
(2)前記ジヒドロクロリド塩が一水和物である、(1)に記載の形状。
(3)前記塩が結晶性である、(1)または(2)に記載の塩。
(4)前記塩がCuKα照射を使用して、約6.6、14.9、20.1、21.4及び26.8±0.2°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、(1)〜(3)のいずれかに記載の塩。
(5)CuKα照射を使用して、約8.4、24.2、26.0及び33.3±0.2°2θでのピークをさらに含む、(4)に記載の塩。
(6)CuKα照射を使用して、約6.2、9.7、13.2、14.3、15.4、16.3、16.9、18.9、19.5、20.7、21.8、22.8、23.6、25.1、27.3、27.7、28.4、29.4、30.2、31.2、31.5、31.9、33.9、34.5、34.9、36.1、36.8、37.7、38.5及び39.7±0.2°2θでのピークをさらに含む、(4)または(5)に記載の塩。
(7)図8中で示されるようなX線粉末回折パターンを実質的に有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の塩。
(8)示差走査熱量測定によって測定される場合、約230℃〜約240℃での吸熱転移を有する、(1)〜(7)のいずれかに記載の塩。
(9)前記転移が約235℃である、(8)に記載の塩。
(10)a)水素化触媒の存在下においてメチル4−(2−フルオロ−3−ニトロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレートを水素添加して、メチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレートを形成することと;
(b)トリアルキルアミン塩基の存在下においてメチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート及びフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメートを混合して、遊離塩基としてオメカムチブメカルビルを形成することと;
(c)塩酸水溶液及びアルコール溶媒の存在下においてオメカムチブメカルビル遊離塩基を結晶化して、オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド含水塩を形成することと
を含む、オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド水和物を調製する方法。
(11)オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド含水塩を製剤化することをさらに含む、(10)に記載の方法。
(12)前記水素化触媒がパラジウムを含む、(10)に記載の方法。
(13)前記水素化触媒がパラジウム炭素である、(12)に記載の方法。
(14)前記トリアルキルアミン塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはそれらの組み合わせである、(10)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)前記トリアルキルアミン塩基がジイソプロピルエチルアミンを含む、(10)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)前記アルコール溶媒がイソプロピルアルコールを含む、(10)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)前記オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド含水塩が、CuKα照射を使用して、約6.6、14.9、20.1、21.4及び26.8±0.2°2θでのピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)を有する、(10)〜(16)のいずれかに記載の方法。
(18)前記XRPDパターンが、CuKα照射を使用して、約8.4、24.2、26.0及び33.3±0.2°2θでのピークをさらに含む、(17)に記載の方法。
(19)前記XRPDパターンが、CuKα照射を使用して、約6.2、9.7、13.2、14.3、15.4、16.3、16.9、18.9、19.5、20.7、21.8、22.8、23.6、25.1、27.3、27.7、28.4、29.4、30.2、31.2、31.5、31.9、33.9、34.5、34.9、36.1、36.8、37.7、38.5及び39.7±0.2°2θでのピークをさらに含む、(17)または(18)に記載の方法。
(20)トリアルキルアミン塩基の存在下においてメチル4−(3−アミノ−2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート及びフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメートを混合して、オメカムチブメカルビルを形成すること
を含む、オメカムチブメカルビルを調製する方法。
(21)前記トリアルキルアミン塩基がジイソプロピルエチルアミンを含む、(20)に記載の方法。
(22)塩酸水溶液及びアルコール溶媒の存在下においてオメカムチブメカルビルを結晶化して、オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド含水塩を形成することをさらに含む、(20)または(21)に記載の方法。
(23)前記アルコール溶媒がイソプロピルアルコールを含む、(22)に記載の方法。
(24)前記オメカムチブメカルビルジヒドロクロリド含水塩が、CuKα照射を使用して、約6.6、14.9、20.1、21.4及び26.8±0.2°2θでのピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)を有する、(22)または(23)に記載の方法。
(25)前記XRPDパターンが、CuKα照射を使用して、約8.4、24.2、26.0及び33.3±0.2°2θでのピークをさらに含む、(24)に記載の方法。
(26)前記XRPDパターンが、CuKα照射を使用して、約6.2、9.7、13.2、14.3、15.4、16.3、16.9、18.9、19.5、20.7、21.8、22.8、23.6、25.1、27.3、27.7、28.4、29.4、30.2、31.2、31.5、31.9、33.9、34.5、34.9、36.1、36.8、37.7、38.5及び39.7±0.2°2θでのピークをさらに含む、(24)または(25)に記載の方法。