(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら以下に説明する。なお、以下の説明における上下、左右、および前後の各方向は各図に示す通りであり、下方向は鉛直下向きに一致し、前後および左右方向は水平方向に一致する。
【0019】
1.フィラメント3次元結合体製造装置の全体構成
図1は、本実施形態に係るフィラメント3次元結合体製造装置1の概略的な構成図である。
図2は、
図1に示すフィラメント3次元結合体製造装置1のA−A´断面矢視図である。
図3は、フィラメント3次元結合体製造装置1が有する圧着装置26の近傍における概略的な構成図である。
【0020】
フィラメント3次元結合体製造装置1は、立体的な網状構造を有する熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメント3次元結合体3を製造する装置であり、押出成形機10と、3次元結合体形成装置20とを備えている。またフィラメント3次元結合体製造装置1は、後述する圧着装置26の各動作を制御するコントローラ27(
図2を参照)を備えている。以下の説明では、熱可塑性樹脂繊維をフィラメントと称し、フィラメント3次元結合体3を3DF(3-dimensional filaments-linked structure)3と称することがある。また、フィラメント3次元結合体製造装置1を3DF製造装置1と称することがある。
【0021】
押出成形機10は、溶融状態のフィラメント(線条)を形成し、これを3次元結合体形成装置20に向けて排出する溶融フィラメント供給装置の一例である。押出成形機10は、材料投入用のホッパー13を備えた加圧溶融部である押出機11と、この押出機11に連設され、ノズル群形成部17を有するダイ12等を有し、当該ノズル群形成部17から溶融状態のフィラメントを排出する。なお、以下では、溶融状態のフィラメントを溶融フィラメント2と称することがある。
【0022】
ホッパー13は、フィラメントの材料となる熱可塑性樹脂を押出成形機10内に投入するための材料投入部である。熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリスチレン樹脂等や、スチレン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。
【0023】
押出機11は、熱可塑性樹脂を加圧しながら溶融する加圧溶融部である。押出機11の内部にはシリンダー11aが形成されている。このシリンダー11aには、スクリューモーター15により回転するスクリュー14が挿通されている。シリンダー11aの外周には、スクリューヒーター16(16a、16b、16c)が内装されている。スクリュー14は、スクリューヒーター16により加熱されて溶融する熱可塑性樹脂を加圧し、フィラメント排出部11bからダイ12に搬送する加圧搬送部材である。スクリューヒーター16は、シリンダー11a内の熱可塑性樹脂を加熱する加熱部である。
【0024】
ダイ12は、押出機11から搬送された溶融状態の熱可塑性樹脂を繊維状の溶融フィラメント2にして送出するフィラメント送出部である。ダイ12の内部には、ダイ導流路12aが形成されている。ダイヒーター18(18a〜18f)はダイ導流路12aを通過する溶融フィラメント2を加熱する加熱部である。
【0025】
ダイヒーター18の近傍には、溶融フィラメント2の温度を測定する温度センサー19(19a、19b、19c)が設けられ、スクリューヒーター16の近傍にも不図示の温度センサーが設けられている。これらの温度センサーによる温度の測定結果に基づいて、スクリューヒーター16及びダイヒーター18の出力は制御されている。
【0026】
押出成形機10は、スクリュー14、スクリューヒーター16、ダイヒーター18などにより、ホッパー13から供給された熱可塑性樹脂をシリンダー11a内で溶融する。溶融した熱可塑性樹脂は、ダイ12内部のダイ導流路12aを経由して、ノズル群形成部17に形成された各ノズル17aから複数の溶融フィラメント2として鉛直下方に排出される。
【0027】
ノズル群形成部17は、円形の開口部であるノズル17aが複数形成された略直方体(前後、左右、および上下の各面を有する略直方体)の金属板であり、ダイ導流路12aの最下流部に相当するダイ12の下部に設けられている。ノズル群形成部17の前後方向および左右方向寸法は、例えばマットレス用の3DF3を製造する場合、その断面寸法(マットレスの厚みおよび幅寸法)に応じて設定することが可能である。本実施形態におけるノズル群形成部17は、一例として幅広のマットレス用の3DF3の製造に用いるため、前後方向寸法に比べて左右方向寸法が非常に大きくなっている。
図4は、ノズル群形成部17の下側の面を、下方から見た様子を概略的に示している。なお
図4には、本図にα1で示す領域の部分拡大図も示している。
【0028】
図4に示すようにノズル群形成部17には、ノズル17aが前後と左右の二次元に並ぶマトリクス状に配置されている。換言すれば、ノズル群形成部17には、前後方向に一列に並ぶノズル群(本実施形態の例では7個のノズル17aからなり、以下、「特定ノズル群」と称することがある)が複数列設けられている。一例として、
図4にSNで示す7個のノズル17aは、左から3番目の特定ノズル群である。複数列の特定ノズル群それぞれは、左右方向へ等間隔に並ぶように配置されている。
【0029】
図4に示すように、マトリクス状に配置された各ノズル17a同士のピッチ(ノズル間隔)について、以下の説明では、前後方向のピッチをX1、左右方向のピッチ(特定ノズル群同士の間隔と見ることも出来る)をX2とする。本実施形態では一例として、ピッチX1およびピッチX2は10mmに設定されている。但しノズル17aの具体的形態は特に限定されるものではなく、例えばフィラメント3次元結合体の反発力の仕様等に基づき、ノズル形状、ノズル内径、ノズル間隔、或いはノズル配置などを適宜調整することができる。
【0030】
3次元結合体形成装置20は、複数の溶融フィラメント2を融着結合および冷却固化させることにより立体的な網状構造の3DF3を形成する。3次元結合体形成装置20は、所定の間隔を設けて面対称(前後左右に拡がる平面に対称)となるように設置された前後一対の受け板21a、21bと、冷却水22aを蓄える水槽23を含む冷却機22と、圧着装置26とを備えている。
【0031】
ノズル群形成部17から排出されて鉛直下方へ並進する複数の溶融フィラメント2は、圧着装置26を経て、その鉛直下方に配置された一対の受け板21a、21bに到達する。一対の受け板21a、21bそれぞれは、互いの中央部(対称面)に向けて下り傾斜となる平板状の傾斜面21a1、21b1と、傾斜面21a1、21b1の下部から鉛直下方に延びる平板状の鉛直面21a2、21b2を含む。
【0032】
受け板21a、21bの上部には、受け板21a、21bの表面全体に冷却水を供給する冷却水供給装置(不図示)を設けてもよい。冷却水の供給によって受け板21a、21bの温度上昇を抑制又は防止することにより、溶融フィラメント2が受け板21a、21bに融着することを防止できる。一対の受け板21a、21bに到達した溶融フィラメント2は、前後一対の鉛直面21a2、21b2の間を通って下方の冷却機22へ進入する。
【0033】
なお受け板21a、21bは、圧着装置26から送られてきた溶融フィラメント2の厚み方向の両端部(表面層)を中央部方向に寄せることにより高密度とし、溶融フィラメント2(フィラメント3次元結合体)の両端部に硬質表面層を形成させる。硬質表面層が形成されることにより、フィラメント3次元結合体を長さ方向(ここでは、溶融フィラメント2の搬送方向に対応する方向)の変化を抑えることができ、フィラメント3次元結合体の形状を安定化できる。
【0034】
冷却機22は、融着結合した溶融フィラメント2を冷却固化する。冷却機22は、冷却水22aを蓄えた水槽23と、3DF3を搬送する一対の無端コンベア24a、24bと、複数の搬送ローラ25a〜25gと、これらの無端コンベア及び搬送ローラをギアを介して駆動する搬送モーター(不図示)とを有する。
【0035】
無端コンベア24a、24b及び複数の搬送ローラ25a〜25gは、3DF3を搬送する搬送装置である。一対の無端コンベア24a、24bは、受け板21a、21bの鉛直方向下部に設けられ、3次元的に融着結合が進んだ網目状の溶融フィラメントを冷却水22aで冷却しながら下方に移動させるとともに、冷却固化した3DF3を搬送する。
【0036】
無端コンベア24a、24bの搬送速度はフィラメント密度に密接に関係する。即ち、溶融フィラメント2の冷却スピードとの関係で、搬送速度が速くなるとフィラメント密度が低くなり、遅くなるとフィラメント密度が高くなる。搬送ローラ25a〜25gは、一対の無端コンベア24a、24bの後段に配設され、無端コンベア24a、24bを通過した3DF3を水槽23外まで搬送する。
【0037】
なお本実施形態では、無端コンベア24a、24bとして網状の金属メッシュからなるベルトコンベアが採用されているが、これに限定されるものではなく、各種の搬送装置を採用することが可能である。例えば、当該搬送装置として、スラットコンベアなどを採用することも可能である。
【0038】
また本実施形態では、ノズル群形成部17と一対の受け板21a、21bの間に、圧着装置26(溶融フィラメント圧着装置の一形態)が設けられている。圧着装置26は、ノズル群形成部17から排出されて落下する複数の溶融フィラメント2の一部を押して他の溶融フィラメント2に圧着させる装置である。
【0039】
圧着装置26は、第1フィラメント圧着部51および第2フィラメント圧着部61を有している。第1フィラメント圧着部51は、ノズル群形成部17から排出された糸状の溶融フィラメント2同士を前後方向へ部分的に圧着して複数の第1中間体2aを形成し、第2フィラメント圧着部61へ送出する。第1中間体2aは、ある程度の圧着結合がなされた状態の溶融フィラメント2と見ることも出来る。
【0040】
第2フィラメント圧着部61は、第1中間体2a同士を左右方向へ部分的に圧着して第2中間体2bを形成し、一対の受け板21a、21bへ送出する。そのため、受け板21a、21bに到達する段階の溶融フィラメント2は、実際には、圧着装置26によって第2中間体2bに形成されたものである。第2中間体2bは、第1中間体2aよりも更に圧着結合の度合が進んだ状態の溶融フィラメント2と見ることも出来る。
【0041】
2.圧着装置の構成および動作
以下、圧着装置26の構成および動作について、より詳細に説明する。
【0042】
2−1.第1フィラメント圧着部の構成および動作
まず、第1フィラメント圧着部51の構成について説明する。
図5は、第1フィラメント圧着部51の上方視点による概略的な構成図である。
図6は、
図5にα2で示す領域の部分拡大図である。
図7は、
図5にB−B´で示す平面の概略的な矢視図である。なお
図7には、本図にα3で示す領域の部分拡大図も示している。また
図8は、第1フィラメント圧着部51の一部の概略斜視図である。なお
図8(a)は、後側支持部53の近傍部分の斜視図を示し、
図8(b)は、第1圧着部材54が前後方向へ可動である様子を示し、
図8(c)は、第2圧着部材55が前後方向へ可動である様子を示している。
【0043】
第1フィラメント圧着部51には、各圧着部材54、55を支持するための左右方向に伸びた前側支持部52と後側支持部53が、前後方向に間隔を空けて設けられている。前側支持部52は後側支持部53の前方に配置されており、前側支持部52の後面と後側支持部53の前面は前後方向に向い合っている。前側支持部52と後側支持部53に挟まれた領域は、ノズル群形成部17から排出される溶融フィラメント2が通る領域となる。また、前側支持部52の後面と後側支持部53の前面には、ガイド溝G1が設けられている。
【0044】
これらの支持部52、53の間には、複数の第1圧着部材54と複数の第2圧着部材55が配置されている。第1圧着部材54および第2圧着部材55は、前後方向に伸びており、左右方向へ交互に並ぶように配置されている。各圧着部材54、55は、前側先端部が前側支持部52のガイド溝G1に嵌め込まれ、後側先端部が後側支持部53のガイド溝G1に嵌め込まれている。各圧着部材54、55は、後述する動作サイクル(
図9〜
図11を参照)の動きが可能となるように各支持部52、53に支持されており、落下中の各溶融フィラメント2を前または後方向へ瞬間的に押して変位させる。換言すれば、各圧着部材54、55は、各溶融フィラメント2を水平面方向に回転変位(回転振動)させる。
【0045】
第1圧着部材54は、上側第1圧着部材54aと下側第1圧着部材54bが組み合わさった構成となっている。上側第1圧着部材54aは、前側支持部52のガイド溝G1から後側支持部53のガイド溝G1へ達するように前後方向に伸びた棒状部分を有するとともに、当該棒状部分から左右へ枝のように突出した複数の突出部Paを有する。複数の突出部Paそれぞれは、左右に隣り合う第2圧着部材55の棒状部分の近傍まで突出しており、前後方向にピッチX1(
図4を参照)の2倍の間隔を空けて設けられている。
【0046】
下側第1圧着部材54bは、前側支持部52のガイド溝G1から後側支持部53のガイド溝G1へ達するように前後方向に伸びた棒状部分を有するとともに、当該棒状部分から枝のように左右へ突出した複数の突出部Pbを有する。複数の突出部Pbそれぞれは、左右に隣り合う第2圧着部材55の棒状部分の近傍まで突出しており、前後方向にピッチX1の2倍の間隔を空けて設けられている。
【0047】
上側第1圧着部材54aと下側第1圧着部材54bは、上下に重なるよう配置されており、互いに前後方向へ摺動可能である。上側第1圧着部材54aの各突出部Paの上下方向位置は、下側第1圧着部材54bの各突出部Pbの上下方向位置と同一である。各突出部Paは基本状態において、対応する各突出部Pbの後側に接している。
図8(b)に示すように、上側第1圧着部材54aおよび下側第1圧着部材54bは、それぞれ離れるように前後方向に可動である。
【0048】
第2圧着部材55は、上側第2圧着部材55aと下側第2圧着部材55bが組み合わさった構成となっている。上側第2圧着部材55aは、前側支持部52のガイド溝G1から後側支持部53のガイド溝G1へ達するように前後方向に伸びた棒状部分を有するとともに、当該棒状部分から左右へ突出した複数の突出部Qaを有する。複数の突出部Qaそれぞれは、左右に隣り合う第1圧着部材54の棒状部分の近傍まで突出しており、前後方向にピッチX1の2倍の間隔を空けて設けられている。
【0049】
下側第2圧着部材55bは、前側支持部52のガイド溝G1から後側支持部53のガイド溝G1へ達するように前後方向に伸びた棒状部分を有するとともに、当該棒状部分から左右へ突出した複数の突出部Qbを有する。複数の突出部Qbそれぞれは、左右に隣り合う第1圧着部材54の棒状部分の近傍まで突出しており、前後方向にピッチX1の2倍の間隔を空けて設けられている。
【0050】
上側第2圧着部材55aと下側第2圧着部材55bは、上下に重なるよう配置されており、互いに前後方向へ摺動可能である。上側第2圧着部材55aの各突出部Qaの上下方向位置は、下側第2圧着部材55bの各突出部Qbの上下方向位置と同一である。各突出部Qaは基本状態において、対応する各突出部Qbの後側に接している。
図8(c)に示すように、上側第2圧着部材55aおよび下側第2圧着部材55bは、それぞれ離れるように前後方向へ可動である。
【0051】
第1圧着部材54の各突出部Pa、Pbと第2圧着部材55の各突出部Qa、Qbは、基本状態において、ピッチX1の分だけ前後方向へずれた位置に配置されている。また、左右に隣り合う第1圧着部材54の棒状部分と第2圧着部材55の棒状部分は、左右方向へピッチX2(
図4を参照)の間隔を空けて配置されている。
【0052】
なお
図6等に示すように、左右方向には、前後に伸びた第1圧着部材54の棒状部分と第2圧着部材55の棒状部分が交互に並んでおり、前後方向には、左右に伸びた第1圧着部材54の突出部Pa、Pbと第2圧着部材55の突出部Qa、Qbが交互に並んでいる。そのため、基本状態の第1フィラメント圧着部51を上方から見ると、第1圧着部材54と第2圧着部材55が略格子状を形成している。当該格子状の各升目は、各ノズル17aの真下に位置している。そのため
図6に破線で示すように、一つの当該升目には、各ノズル17aから排出されて並進する溶融フィラメント2の一つが通ることになる。
【0053】
次に、第1フィラメント圧着部51の動作について詳細に説明する。
図9〜
図11は、第1フィラメント圧着部51の動作サイクルに関する説明図である。より具体的には、
図9は、
図7と同じ視点による模式図である。
図10は、各突出部Pa、Pb、Qa、Qbの動きを左方から見た場合の模式図である。
図11は、
図10にC−C´で示す平面での第1フィラメント圧着部51の動きを、上方から見た場合の模式図である。なお
図11に示すB−B´の位置は、
図5に示すB−B´の位置と同じである。
【0054】
また
図9〜
図11における(a)〜(h)は、第1フィラメント圧着部51の各状態を示している。すなわち、第1フィラメント圧着部51の状態は、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)→(g)→(h)の順に遷移して(a)に戻ることを繰返す。ノズル群形成部17から複数の糸状の溶融フィラメント2が下方へ並進する中、第1フィラメント圧着部51は、このような動作サイクルで動作することになる。また
図10のFk(kは1〜7)は、ノズル群形成部17における後からk番目のノズル17aより排出される溶融フィラメント2を示す。
【0055】
状態(a)は、第1フィラメント圧着部51の基本状態であり、第1圧着部材54の突出部Pa、Pbおよび第2圧着部材55の突出部Qa、Qbの上下方向の位置は同じである。状態(a)において第2圧着部材55が下方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(b)の状態となる。状態(b)において、第2圧着部材55の突出部Qa、Qbは、第1圧着部材54の突出部Pa、Pbよりも下側に位置する。
【0056】
状態(b)において、上側第2圧着部材55aが概ねピッチX1だけ後方へ移動し、かつ、下側第2圧着部材55bが概ねピッチX1だけ前方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(c)の状態となる。状態(b)から状態(c)へ遷移する過程において、上側第2圧着部材55aの突出部Qaは、その後側にある溶融フィラメント2(F1、F3、F5、F7)を後方へ押し、下側第2圧着部材55bの突出部Qbは、その前側にある溶融フィラメント2(F2、F4、F6)を前方へ押すことになる。
【0057】
その結果、F2とF3の溶融フィラメント2同士、F4とF5の溶融フィラメント2同士、およびF6とF7の溶融フィラメント2同士のそれぞれは、双方の進路のほぼ中央位置において部分的に圧着する。なお、溶融フィラメント2同士は高温の溶融状態にあるため、互いに接触することにより容易に融着し、圧着が実現される。これらの圧着は第1圧着部材54よりも下方で行われるため、圧着時に各突出部Qa、Qbが第1圧着部材54に干渉することはなく、また、その後に当該圧着された部分が下方へ進んでも第1圧着部材54に当たることはない。
【0058】
状態(c)において、上側第2圧着部材55aが前方へ移動し、かつ、下側第2圧着部材55bが後方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(d)の状態となる。また状態(d)において、第2圧着部材55が上方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(e)の状態となる。なお第1フィラメント圧着部51の状態として、状態(d)は状態(b)と同じであり、状態(e)は状態(a)と同じである。すなわち(a)から(e)までの動作サイクルでは、第2圧着部材55が下方に移動して所定の溶融フィラメント2同士を圧着させ、元の位置に戻るという一連の動作が行われる。
【0059】
次に、状態(e)において第1圧着部材54が下方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(f)の状態となる。状態(f)において、第1圧着部材54の突出部Pa、Pbは、第2圧着部材55の突出部Qa、Qbよりも下側に位置する。
【0060】
状態(f)において、上側第1圧着部材54aが概ねピッチX1だけ後方へ移動し、かつ、下側第1圧着部材54bが概ねピッチX1だけ前方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(g)の状態となる。状態(f)から状態(g)へ遷移する過程において、上側第1圧着部材54aの突出部Paは、その後側にある溶融フィラメント2(F2、F4、F6)を後方へ押し、下側第1圧着部材54bの突出部Pbは、その前側にある溶融フィラメント2(F1、F3、F5、F7)を前方へ押すことになる。
【0061】
その結果、F1とF2の溶融フィラメント2同士、F3とF4の溶融フィラメント2同士、およびF5とF6の溶融フィラメント2同士のそれぞれは、双方の進路のほぼ中央位置において部分的に圧着する。これらの圧着は第2圧着部材55よりも下方で行われるため、圧着時に各突出部Pa、Pbが第2圧着部材55に干渉することはなく、また、その後に当該圧着された部分が下方へ進んでも第2圧着部材55に当たることはない。
【0062】
状態(g)において、上側第1圧着部材54aが前方へ移動し、かつ、下側第1圧着部材54bが後方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(h)の状態となる。また状態(h)において、第1圧着部材54が上方へ移動することにより、第1フィラメント圧着部51は(a)の状態となる。なお第1フィラメント圧着部51の状態として、状態(h)は状態(f)と同じであり、状態(a)は状態(e)と同じである。すなわち(e)から(a)までの動作サイクルでは、第1圧着部材54が下方に移動して所定の溶融フィラメント2同士を圧着させ、元の位置に戻るという一連の動作が行われる。
【0063】
以上の動作サイクルが繰返し実行されることにより、
図10に示すように、前後に隣り合う溶融フィラメント2同士が部分的に圧着して網目状となった中間体2aが逐次形成される。このような第1中間体2aは、ノズル群形成部17に設けられたノズル17aの左右方向の数だけ形成され、左右方向へピッチX2で並んだ状態で第1フィラメント圧着部51から下方へ排出される。これらの中間体2aは、第1フィラメント圧着部51の下方に設置された第2フィラメント圧着部61へ到達する。
【0064】
なお第1圧着部材54による圧着は、
図10(h)にV1、V3、V5、・・・で示す位置で行われ、第2圧着部材55による圧着は、V2、V4、・・・で示す位置で行われる。このように、第1圧着部材54による圧着がなされる箇所と第2圧着部材55による圧着がなされる箇所は、溶融フィラメント2の並進の方向に異なっている。またこれらの圧着は何れも、隣り合うフィラメント2同士を互いに近づく方向へ押すことによりなされる。そのため
図10(h)の下寄り部分に示すように、前後方向にほぼ対称形となるバランスの良い網目状の第1中間体2aが形成される。但し、これらの圧着がなされる箇所は、例えばフィラメント3次元結合体の反発力の仕様等に基づき、任意に設定され得る。また、第1フィラメント圧着部51の動作速度や動作周期等を更新可能としておき、溶融フィラメント2を押すタイミングを変えることにより、当該圧着がなされる箇所を適宜調節可能としても良い。
【0065】
2−2.第2フィラメント圧着部の構成および動作
次に、第2フィラメント圧着部61の構成について説明する。
図12は、第2フィラメント圧着部61の上方視点による概略的な構成図である。
図13は、
図12にβ1で示す領域の部分拡大図である。
図14は、
図12にD−D´で示す平面の概略的な矢視図である。なお
図14には、本図にβ2で示す領域の部分拡大図も示している。また
図15は、第2フィラメント圧着部61における後側支持部53の近傍部分の概略斜視図である。
【0066】
第2フィラメント圧着部61には、左右方向に伸びた前側支持部62と後側支持部63が、前後方向に間隔を空けて設けられている。前側支持部62は後側支持部63の前方に配置されており、前側支持部62の後面と後側支持部63の前面は前後方向に向い合っている。前側支持部62と後側支持部63に挟まれた領域は、第1フィラメント圧着部51から排出される第1中間体2aが通る領域となる。また、前側支持部62の後面と後側支持部63の前面には、ガイド溝G2が設けられている。
【0067】
これらの支持部62、63の間には、複数の第3圧着部材64と複数の第4圧着部材65が配置されている。第3圧着部材64および第4圧着部材65は、前後方向に伸びており、左右方向へ交互に並ぶように配置されている。これらの各圧着部材64、65は、前側先端部が前側支持部62のガイド溝G2に嵌め込まれ、後側先端部が後側支持部63のガイド溝G2に嵌め込まれている。各圧着部材64、65は、後述する動作サイクル(
図16〜
図18を参照)の動きが可能となるように各支持部62、63に支持されており、落下中の各第1中間体2aを左または右方向へ瞬間的に押して変位させる。換言すれば、各圧着部材64、65は、各第1中間体2aを水平面方向に回転変位(回転振動)させる。
【0068】
第3圧着部材64は、左側第3圧着部材64aと右側第3圧着部材64bが組み合わさった構成となっている。左側第3圧着部材64aおよび右側第3圧着部材64bは、何れも、前側支持部62のガイド溝G2から後側支持部63のガイド溝G2へ達するように前後方向に伸びた棒状となっている。
【0069】
左側第3圧着部材64aと右側第3圧着部材64bは、基本状態において左右方向に接するよう配置され、上下方向位置は同一である。左側第3圧着部材64aおよび右側第3圧着部材64bは、それぞれ離れるように左右方向に可動である。
【0070】
第4圧着部材65は、左側第4圧着部材65aと右側第4圧着部材65bが組み合わさった構成となっている。左側第4圧着部材65aおよび右側第4圧着部材65bは、何れも、前側支持部62のガイド溝G2から後側支持部63のガイド溝G2へ達するように前後方向に伸びた棒状となっている。
【0071】
左側第4圧着部材65aと右側第4圧着部材65bは、基本状態において左右方向に接するよう配置され、上下方向位置は同一である。左側第4圧着部材65aおよび右側第4圧着部材65bは、それぞれ離れるように左右方向に可動である。左右に隣り合う第3圧着部材64と第4圧着部材65は、左右方向へピッチX2(
図4を参照)の間隔を空けて配置されている。隣り合う第3圧着部材64と第4圧着部材65の間に形成される一のスペースには、第1フィラメント圧着部51から排出された第1中間体2aの一つが通ることになる。
【0072】
次に、第2フィラメント圧着部61の動作について詳細に説明する。
図16〜
図18は、第2フィラメント圧着部61の動作サイクルに関する説明図である。より具体的には、
図16は、
図14と同じ視点による模式図である。
図17は、各圧着部材64a、64b、65a、65bの動きを前方から見た場合の模式図である。
図18は、
図17にE−E´で示す平面での第2フィラメント圧着部61の動きを、上方から見た場合の模式図である。
【0073】
また
図16〜
図18における(a)〜(h)は、第2フィラメント圧着部61の各状態を示している。すなわち、第2フィラメント圧着部61の状態は、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)→(g)→(h)の順に遷移して(a)に戻ることを繰返す。第1フィラメント圧着部51から複数の第1中間体2aが下方へ並進する中、第2フィラメント圧着部61は、このような動作サイクルで動作することになる。また
図17のMk(kは1〜7)は、左右に7個の第1中間体2aが並ぶ任意領域において、左からk番目の第1中間体2aを示す。
【0074】
状態(a)は、第2フィラメント圧着部61の基本状態であり、左側第3圧着部材64aは右側第3圧着部材64bの左側に接しており、左側第4圧着部材65aは右側第4圧着部材65bの左側に接している。状態(a)において第4圧着部材65が下方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(b)の状態となる。
【0075】
状態(b)において、左側第4圧着部材65aが概ねピッチX2だけ左方へ移動し、かつ、右側第4圧着部材65bが概ねピッチX2だけ右方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(c)の状態となる。状態(b)から状態(c)へ遷移する過程において、左側第4圧着部材65aは、その左側にある第1中間体2a(M1、M3、M5、M7)を左方へ押し、右側第4圧着部材65bは、その右側にある第1中間体2a(M2、M4、M6)を右方へ押すことになる。
【0076】
その結果、M2とM3の第1中間体2a同士、M4とM5の第1中間体2a同士、およびM6とM7の第1中間体2a同士のそれぞれは、双方の進路のほぼ中央位置において部分的に圧着する。なお、第1中間体2a同士は高温の溶融状態にあるため、互いに接触することにより容易に融着し、圧着が実現される。これらの圧着は第3圧着部材64よりも下方で行われるため、圧着時に第4圧着部材65が第3圧着部材64に干渉することはなく、また、その後に当該圧着された部分が下方へ進んでも第3圧着部材64に当たることはない。
【0077】
状態(c)において、左側第4圧着部材65aが右方へ移動し、かつ、右側第4圧着部材65bが左方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(d)の状態となる。また状態(d)において、第4圧着部材65が上方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(e)の状態となる。なお第2フィラメント圧着部61の状態として、状態(d)は状態(b)と同じであり、状態(e)は状態(a)と同じである。すなわち(a)から(e)までの動作サイクルでは、第4圧着部材65が下方に移動して第1中間体2a同士を圧着させ、元の位置に戻るという一連の動作が行われる。
【0078】
次に、状態(e)において第3圧着部材64が下方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(f)の状態となる。状態(f)において、左側第3圧着部材64aが概ねピッチX2だけ左方へ移動し、かつ、右側第3圧着部材64bが概ねピッチX2だけ右方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(g)の状態となる。状態(f)から状態(g)へ遷移する過程において、左側第3圧着部材64aは、その左側にある第1中間体2a(M2、M4、M6)を左方へ押し、右側第3圧着部材64bは、その右側にある第1中間体2a(M1、M3、M5、M7)を右方へ押すことになる。
【0079】
その結果、M1とM2の第1中間体2a同士、M3とM4の第1中間体2a同士、およびM5とM6の第1中間体2a同士のそれぞれは、双方の進路のほぼ中央位置において部分的に圧着する。これらの圧着は第4圧着部材65よりも下方で行われるため、圧着時に第3圧着部材64が第4圧着部材65に干渉することはなく、また、その後に当該圧着された部分が下方へ進んでも第4圧着部材65に当たることはない。
【0080】
状態(g)において、左側第3圧着部材64aが右方へ移動し、かつ、右側第3圧着部材64bが左方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(h)の状態となる。また状態(h)において、第3圧着部材64が上方へ移動することにより、第2フィラメント圧着部61は(a)の状態となる。なお第2フィラメント圧着部61の状態として、状態(h)は状態(f)と同じであり、状態(a)は状態(e)と同じである。すなわち(e)から(a)までの動作サイクルでは、第3圧着部材64が下方に移動して第1中間体2a同士を圧着させ、元の位置に戻るという一連の動作が行われる。
【0081】
以上の動作サイクルが繰返し実行されることにより、左右に隣り合う第1中間体2a同士が部分的に圧着した第2中間体2bが逐次形成される。第2中間体2bは、
図19に例示するように、糸状の溶融フィラメント2が3次元的に結合した形態となっている。第2中間体2bは下方に進み、先述した一対の受け板21a、21bを経て冷却固化され、3DF3が得られる。
【0082】
なお第3圧着部材64による圧着は、
図17(h)にY1、Y3、Y5、・・・で示す位置で行われ、第4圧着部材65による圧着は、Y2、Y4、・・・で示す位置で行われる。このように、第3圧着部材64による圧着がなされる箇所と第4圧着部材65による圧着がなされる箇所は、第1中間体2aの並進の方向に異なっている。またこれらの圧着は何れも、隣り合う第1中間体2a同士を互いに近づく方向へ押すことによりなされる。そのため
図17(h)の下寄り部分に示すように、左右方向にほぼ対称形となるバランスの良い網目状の第2中間体2bが形成される。但し、これらの圧着がなされる箇所は、例えばフィラメント3次元結合体の反発力の仕様等に基づき、任意に設定され得る。また、第2フィラメント圧着部61の動作速度や動作周期等を更新可能としておき、第1中間体2aを押すタイミングを変えることにより、当該圧着がなされる箇所を適宜調節可能としても良い。
【0083】
また、隣り合う第1中間体2a同士を圧着させる前後方向位置は、2次元的な網目状を形成している第1中間体2aの任意の位置とすることが可能であり、例えば
図10(h)にV1、V2、・・・で示す位置としても構わない。但しこの例の場合は、前後と左右の方向から4本の溶融フィラメント2が同じ箇所で圧着する格好となる。この点、隣り合う第1中間体2a同士を圧着させる前後方向位置を、例えば
図10(h)にW1、W2、・・・で示す位置とすれば、第1フィラメント圧着部51を用いて圧着される箇所と、第2フィラメント圧着部61を用いて圧着される箇所とが異なる状態となる。これにより、3DF3におけるフィラメント同士の結合箇所の偏りを抑え、より均質な3DF3を形成することが容易となる。
【0084】
3.その他
本実施形態において、受け板21a、21bにおける前後一対の鉛直面21a2、21b2同士の間隔は、第2中間体2bの前後方向寸法よりもやや小さくなっている。そのため、第2中間体2bが一対の受け板21a、21b同士の間を通る際、第2中間体2bにおける前後の端部近傍は中央部へ導かれるように押され、第2中間体2bの前後方向寸法は鉛直面21a2、21b2同士の間隔に規制される。また、このように押されることにより、第2中間体2bの前後の端部近傍においてフィラメントが比較的密な状態となり、3DF3の型崩れなどを防ぐことが容易となる。
【0085】
また以上の説明から明らかである通り、圧着装置26に設けられた各圧着部材54、55、64、65(以下、「圧着部材Z」と総称することがある)は、溶融フィラメント2または第1中間体2a(以下、「溶融フィラメント2x」と総称することがある)に接触する。そのため圧着装置26の形態は、圧着部材Zに溶融フィラメント2xが融着しないように工夫されていることが望ましい。
【0086】
このことを考慮して、圧着装置26に設けられた圧着部材Zには、表面エネルギーの低い材質(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなる被覆層を有するようにしても良い。表面エネルギーの低い被覆層を設けることにより、溶融フィラメント2xが圧着部材Zに融着することをより十分に防ぐことができる。なお当該被覆層を形成する材質としては、表面エネルギーの低いものであれば特に制限はないが、溶融フィラメントが接着しにくいフッ素系樹脂やシリコーン樹脂などが好適である。
【0087】
また、圧着部材Zの表面が、綿製の布で構成されるシート状の保水膜(不図示)で被覆されるようにしても良い。このようにすれば、保水膜に吸着した水が圧着部材Zと溶融フィラメント2xとの間に介在して離形効果が得られ、溶融フィラメント2xが圧着部材Zに融着することを抑えることができる。
【0088】
当該保水膜としては、保水効果を有するものであれば特に制限はないが、吸水性繊維からなる布やメッシュ、或いはセルロースファイバーを含むシートなどが使用できる他、耐熱性に優れた親水性シリカ粒子を含む樹脂被膜などが利用可能である。当該保水膜には、給水装置から適宜に給水されるようにしても良い。当該給水装置から保水膜に供給する水の温度は、低すぎると溶融フィラメントの温度が局所的に低下して歪が生じやすくなり、逆に高すぎると大気中に蒸散しやすくなる。このことを考慮して、通常、当該水の温度は80℃以上95℃以下に設定することが好ましい。
【0089】
なお、上述した保水膜の被覆は、上述した表面エネルギーの低い材質からなる被覆層を有する圧着部材Zに設けられても良く、当該被覆層を有しない圧着部材Zに設けられても良い。また圧着部材Zへの溶融フィラメント2xの融着を防止する手段としては、フィラメント圧着部材26に超音波振動素子を設けておき、圧着部材Zにおける溶融フィラメント2xとの接触面近傍を振動させることにより、溶融フィラメント2xの融着を防止する手段を適用してもよい。
【0090】
また、圧着装置26(第1フィラメント圧着部51および第2フィラメント圧着部61)に溶融フィラメント2xが融着することを防止する方法として、表面エネルギーの低いフッ素系樹脂やシリコーン樹脂など被覆する方法の他、離型剤として表面エネルギーの低いシリコーンオイルやワックス等を用いてもよい。ワックスは、溶融時には粘度の低い液体であるが、常温で個体となることから、得られるフィラメント3次元結合体の表面がべとつかない効果が得られる。ワックスとしては、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックスなどが使用できる。
【0091】
ワックスの融点が水の沸点より低いと、冷却水中に溶け込んだ後、冷却水を循環させる配管内等でワックスが析出して詰まる可能性がある。そのため用いるワックスとしては、融点が105℃以上150℃以下の低分子量ポリエチレンワックスや低分子量ポリプロピレンワックスが好ましい。
【0092】
シリコーンオイルやワックスなどの離型剤を圧着装置26に供給する方法としては、加熱した離型剤を液状にして直接供給する方法や、溶融フィラメントを構成する材料の中に添加する方法がある。熱可塑性樹脂に対する離型剤の添加量が少なすぎると離形効果が得られにくくなり、熱可塑性樹脂に対する離型剤の添加量が多すぎると融着結合時に強固な結合を形成できなくなる。そのため、熱可塑性樹脂に対する離型剤の添加量としては、熱可塑性樹脂100重量部に対して離型剤が0.1重量部〜1重量部の範囲が好ましい。
【0093】
また、第1フィラメント圧着部51における各圧着部材54、55の構造について、本実施形態では、長い棒状部分から枝のように突出した突出部Pa、Pb、Qa、Qbを設けるようにしたが、第2フィラメント圧着部61のように突出部を設けない構造とすることも可能である。
図20(
図5および
図6と同視点の図)は、突出部を設けない構造とした場合の第1フィラメント圧着部51を例示している。
【0094】
図20に示す第1フィラメント圧着部51は、先述した第2フィラメント圧着部61の構成および動作について前後方向と左右方向を逆転させたような仕様となっている。すなわち、
図20に示す第1フィラメント圧着部51の各支持部72、73および各圧着部材74、75は、原理的に、第2フィラメント圧着部61の各支持部62、63および各圧着部材64、65に相当する。これにより当該第1フィラメント圧着部51は、溶融フィラメント2を前後方向へ押して部分的に圧着させ、第1中間体2aを形成することが可能である。
【0095】
但し
図20に例示する構造によれば、各圧着部材74、75は非常に長い形状となってしまい、部品強度や操作性等が問題となる可能性がある。この点、
図5に示す各圧着部材54、55の構造は、溶融フィラメント2を前後方向へ押すことが可能でありながら、
図20に示すものに比べて大幅に短くなるよう工夫されており、部品強度や操作性等の問題は生じ難い。
【0096】
なお第1フィラメント圧着部51における各圧着部材は、前後方向から傾斜した方向へ伸びた棒状の構成とし、前側支持部と後側支持部により斜め方向(当該棒状の伸びる方向と直交する方向)へ可動に支持された状態としておき、可動方向へ押して溶融フィラメント2同士を圧着させるようにしても良い。この場合、当該圧着部材を棒状の簡素な構成としつつも、
図20に示すものに比べて十分に短くすることができる。
【0097】
また、第1フィラメント圧着部51が溶融フィラメント2同士を圧着させる方向と、第2フィラメント圧着部61が第1中間体2a同士を圧着させる方向とは、直交しないようにすることも可能である。第1フィラメント圧着部51および第2フィラメント圧着部61による圧着の方向は任意に設定可能であり、これらを異なる方向として溶融フィラメント2同士を3次元的に圧着することが出来る。なお圧着装置26は、第2フィラメント圧着部62を省略した構成とし、第1中間体2aが受け板21a、21bへ供給されるようにしても構わない。
【0098】
以上に説明した3DF製造装置1は、複数のノズル17aを有し、ノズル17aそれぞれから下方へ並進するように溶融フィラメント2を排出する押出成形機10(溶融フィラメント供給装置)と、前記並進する溶融フィラメント2の少なくとも一つを押して、他の前記並進する溶融フィラメント2への部分的な圧着を実現させる圧着装置26(溶融フィラメント圧着装置)とを備え、前記圧着済みのものを含む溶融フィラメント2を用いて3DF3を形成する。
【0099】
そのため3DF製造装置1によれば、例えば当該圧着が行われない場合に比べ、3DF3におけるフィラメントの形状やフィラメントの結合箇所の制御が容易である。仮に圧着装置26を設けていないとすると、溶融フィラメント2は受け板21a、21bの近傍においてランダムなループを形成し易く、ひいては、3DF3の構造が不規則となり反発力の不均一化などを招く虞がある。またフィラメント同士の結合が制御できないため、3DF3を構成する各フィラメントの形状や結合箇所が不規則となり、3DF3の反発力等を所期の状態に制御することは難しい。
【0100】
この点、本実施形態では圧着装置26を設けているため、受け板21a、21bに到達する前に意図的に、溶融フィラメント2同士を部分的に結合させることが出来る。当該結合がなされることにより、その分だけ各溶融フィラメント2の挙動を規制することができ、受け板21a、21b近傍におけるランダムなループの形成も抑えられ、3DF3の反発力の均一化等が容易となる。また圧着装置26の構成或いは動作設定などの調節により、溶融フィラメント2同士の結合を積極的に制御することは容易であり、3DF3を構成する各フィラメントの形状や結合箇所を規則的なものとして、3DF3の反発力等を所期の状態に制御することが出来る。
【0101】
なお本実施形態では、所定の部材(圧着部材)を用いて溶融フィラメント2を押すようにしているが、溶融フィラメント2を押す形態はこれに限られず、例えば水や風などの流体を当てることにより溶融フィラメント2を押すようにしても構わない。また圧着部材の形態は、溶融フィラメント2を適切に押すことが出来る限り特に制限されない。その他、溶融フィラメント2を押す方向や押す位置、更には、圧着させる溶融フィラメント2の組合わせ(どの溶融フィラメント2同士を圧着させるか)等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に設定され得る。
【0102】
また押出成形機10は、前後方向(所定方向)へ並ぶ複数のノズル17aからなる特定ノズル群を有し、圧着装置26は、第1フィラメント圧着部51を有している。第1フィラメント圧着部51は、特定ノズル群において隣り合うノズル17aから排出された溶融フィラメント2同士で、部分的な圧着を実現させる。
【0103】
また第1フィラメント圧着部51は、特定ノズル群において隣り合うノズル17aから排出された溶融フィラメント2同士を互いに近づく方向へ押すことにより、溶融フィラメント2同士の圧着を実現させる。例えば
図10の(c)を参照すると、F2とF3の溶融フィラメント2同士、F4とF5の溶融フィラメント2同士、およびF6とF7の溶融フィラメント2同士のそれぞれが、互いに近づく方向へ押されている。隣り合うノズル17aから排出された溶融フィラメント2同士の一方のみを押すことによっても圧着は可能であるが、両方を互いに近づく方向へ押すことで、より対称形状に近いバランスの良い形態の第1中間体2aを形成することが可能である。
【0104】
また特定ノズル群は、前後方向に1番目から4番目まで順に並ぶノズル17a(ここでは一例として、F1〜F4の溶融フィラメント2を排出するノズルとする)を含む。そして第1フィラメント圧着部51は、F2とF3の溶融フィラメント2同士の圧着である第1圧着(
図9〜
図11の(c)を参照)と、F1とF2の溶融フィラメント2同士、およびF3とF4の溶融フィラメント2同士の圧着である第2圧着(
図9〜
図11の(g)を参照)と、を行う。第1圧着がなされる箇所と第2圧着がなされる箇所は、各溶融フィラメント2の並進の方向に異なる。そのため少なくともF1〜F4の溶融フィラメント2同士を、2次元的な網目状となるようにバランス良く圧着し、圧着箇所の偏り等を抑えることが可能である。
【0105】
なお本実施形態では、F1〜F7の溶融フィラメント2が2次元的な網目状となるように圧着されるため、同じ特定ノズル群から排出される溶融フィラメント2全体をバランス良く圧着することが可能である。但し、このような圧着を実現させる領域は任意に設定することが可能であり、F1〜F7の溶融フィラメント2の一部(例えば、F1〜F4の溶融フィラメント2)についてのみ、2次元的な網目状となるように圧着されるようにしても良い。
【0106】
また3DF製造装置1は、複数の特定ノズル群を有し、第1フィラメント圧着部51による圧着によって溶融フィラメント2同士が結合した第1中間体2aを、特定ノズル群ごとに形成する。更に圧着装置26は、左右方向(前後方向とは異なる方向)へ第1中間体2a同士を部分的に圧着させる第2フィラメント圧着部61を有する。これにより、第1中間体2a同士を圧着させて、3次元的に溶融フィラメントが結合した第2中間体2bを形成することができる。そのため、3DF3におけるフィラメントの形状やフィラメントの結合箇所の制御がより容易となっている。
【0107】
また本実施形態の押出成形機10(フィラメント供給装置)は、水平方向へ異なる位置に配置されたノズル17aそれぞれから、鉛直下方へ溶融フィラメント2を排出するように構成されている。そのため、溶融フィラメント2の排出方向は重力方向に一致し、自然に落下するようにして、複数の溶融フィラメント2が並進する。
【0108】
なお本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。