特許第6689973号(P6689973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689973
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】包帯
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A61F13/02 340
   A61F13/02 390
   A61F13/02 380
   A61F13/02 360
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-525454(P2018-525454)
(86)(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公表番号】特表2018-533445(P2018-533445A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】US2016061584
(87)【国際公開番号】WO2017083686
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】62/253,898
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/349,484
(32)【優先日】2016年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518164205
【氏名又は名称】バンドグリップ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレッド・スミス
(72)【発明者】
【氏名】キース・ホグランド
(72)【発明者】
【氏名】トム・プルター
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04430998(US,A)
【文献】 米国特許第05047047(US,A)
【文献】 特表2015−523139(JP,A)
【文献】 米国特許第03863640(US,A)
【文献】 米国特許第05947917(US,A)
【文献】 特表2003−533326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 − 13/14
15/00 − 17/00
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域、第1の側面領域および第2の側面領域を有する底基板であって、弾性材料を備える底基板と、
前記中央領域に亘って配置される創傷被覆部と、
前記第1の側面領域に亘って延在する第1の側面連結部材および前記第2の側面領域に亘って延在する第2の側面連結部材と、
前記第1の側面領域上に配置される第1の側面接着部および前記第2の側面領域上に配置される第2の側面接着部と、
を備える包帯であって、
前記第1の側面連結部材および前記第2の側面連結部材の少なくとも一つは、
上面および下面を有し、且つ外周部を画定する基部であって、前記外周部が前縁部および後縁部を有する、基部と、
前記基部から外側に延在し、且つ互いに離間された複数の把持構造体であって、複数の把持構造体のそれぞれが前記前縁部に向かって湾曲する、複数の把持構造体と、を備え、
複数の前記把持構造体のそれぞれは、前面および後面と、対向する第1の側面および第2の側面と、を含み、
前記前面、前記後面、前記第1の側面、および前記第2の側面は、一緒になって前記基部における基部外周部とそこから遠位に延びる上端とを画定し、
前記上端で交わるように、対向する前記第1の側面および前記第2の側面は内向きに傾斜し、前記前面および前記後面は前記前縁部に向かって湾曲し、
前記基部外周部によって画定される底面の外側に前記上端が位置していることを特徴とする包帯
【請求項2】
前記第1の側面連結部材が、前記中央領域と前記第1の側面接着部との間に配置され、
前記第2の側面連結部材が、前記中央領域と前記第2の側面接着部との間に配置される請求項1に記載の包帯。
【請求項3】
さらに、前記創傷被覆部がガーゼを含む請求項1または2に記載の包帯。
【請求項4】
前記底基板が透明または不透明のいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載の包帯。
【請求項5】
前記基部外周部が、正方形部材を含む請求項に記載の包帯。
【請求項6】
前記把持構造体が両側縁部の間にある行に配置され、隣接する行の前記把持構造体は交互に配列される請求項に記載の包帯。
【請求項7】
前記把持構造体が2つの行に配置され、第1の行の前記把持構造体は、第2の行の前記把持構造体に対して相対的に交互に配列される請求項に記載の包帯。
【請求項8】
前記把持構造体が略同一である請求項1〜7のいずれか1項に記載の包帯。
【請求項9】
前記第1の側面連結部材は、モノリシックに形成されたアクリル系ポリマー部材を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の包帯。
【請求項10】
前記第1の側面連結部材および前記第2の側面連結部材は、互いに略左右対称である請求項1〜のいずれか1項に記載の包帯。
【請求項11】
包帯の製造に関連して利用される保護キャリアと、包帯の一部を形成する機械的連結系との組み合わせであって、
前記保護キャリアは、対向する第1の側壁および第2の側壁を備える基部を含み、前記第1の側壁および第2の側壁協調的にチャネルを画定し、前記保護キャリアは細長く、それ自体の上に巻かれることが可能で
包帯の一部を形成する前記機械的連結系は、そこから延在する複数の把持構造体を有する基部を備え、前記基部および前記把持構造体は前記保護キャリアによって画定される前記チャネル内に完全に配置され
前記機械的連結系は、前記保護キャリア内に配置され、前記保護キャリアの前記基部は、前記機械的連結系が前記保護キャリアの前記チャネル内に位置した状態で、それ自体の上に巻かれることを特徴とする、保護キャリアと機械的連結系との組み合わせ。
【請求項12】
前記把持構造体は、前記機械的連結系の第1の側に向かって湾曲する請求項11に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本開示は、創傷治療デバイス、特に、創傷の被覆および創傷の閉鎖の補助の両方を提供する包帯に関する。
【0002】
本出願は、2015年11月11日に出願された「Bandage」と題する米国特許出願第62/253,898号に基づく優先権を主張し、当該明細書全体はすべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
包帯の使用は当該技術分野で周知である。一般に、包帯は、被覆材料と、底基板とを備える。被覆材料は底基板と連結され、底基板は使用者の皮膚に接着する。
【0004】
大抵の場合、深い創傷は、必要な閉鎖を提供するために縫合などを必要とする。問題なことに、典型的な包帯は有用であるが、創傷の両側を合うように向かわせるか、または閉鎖を促進するようにするための何らかまたは十分な力を創傷に与えない。
【0005】
創傷の被覆ならびに創傷の閉鎖を容易、促進および/または促す力を提供できることは包帯にとって有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの態様では、本開示は、底基板と、創傷被覆部と、第1の側面連結部材および第2の側面連結部材と、第1の側面接着部および第2の側面接着部と、を備える包帯を対象としている。前記底基板が弾性部材を備え、中央領域、第1の側面領域および第2の側面領域を含む。前記創傷被覆部が、前記中央領域に亘って配置される。前記第1の側面連結部材が、前記第1の側面領域に亘って延在する。前記第2の側面連結部材が、前記第2の側面領域に亘って延在する。前記第1の側面接着部が、前記第1の側面領域上に配置される。前記第2の側面接着部が、前記第2の側面領域上に配置される。
【0007】
使用では、使用者は前記第1の側面領域を取り、この第1の側面領域を創傷の第1の側と連結すると考えられる。次に、使用者は材料を引き伸ばし、前記第2の側面領域を創傷の第2の側と連結する。同時に、創傷はつままれ得る。前記第1の側面領域および前記第2の側面領域の両方が連結されると、前記第1の側面連結部材および前記第2の側面連結部材(マイクロニードル)は、使用者の皮膚内に導かれる。この構成のために、概して創傷への皮膚に対する前記底基板の内向きの移動を阻止する。前記第1の側面接着部および前記第2の側面接着部は、前記包帯の位置を維持し、前記第1の側面連結部材および第2の側面連結部材と創傷の両側の皮膚との係合および機械的係止を促進する。前記底基板の付勢力は、創傷の両側を互いに向けて向かわせ、創傷を塞ぐために必要な閉鎖力を与える。
【0008】
一部の態様では、前記第1の側面連結部材が、前記中央領域と前記第1の側面接着部との間に配置され、前記第2の側面連結部材が、前記中央領域と前記第2の側面接着部との間に配置される。
【0009】
一部の態様では、さらに、前記創傷被覆部がガーゼをさらに含む。
【0010】
一部の態様では、前記底基板が透明または不透明のいずれかである。
【0011】
一部の態様では、さらに、前記第1の側面連結部材および前記第2の側面連結部材の少なくとも一つは、基部と、複数の把持構造体と、を備える。前記基部が、上面および下面を有し、外周部を画定する。外周部は前縁部および後縁部を有する。前記複数の把持構造体が、前記基部から外側に延在し、互いに離間する。前記複数の把持構造体のそれぞれが前記前縁部に向かって湾曲する。
【0012】
一部の態様では、前記複数の把持構造体のそれぞれは、前面および後面と、対向する第1の側面および第2の側面と、を含み、前面、後面、第1の側面、及び第2の側面はともに前記基部の基部外周部およびそこから遠位に延びる上端を画定する。対向する前記第1の側面および前記第2の側面が、前記上端で交わるように内向きに傾斜する。前記前面および前記後面が、前記前縁部に向かって湾曲する。前記上端が、前記基部外周部によって画定される底面の外側にある。
【0013】
一部の態様では、前記基部外周部が、正方形部材を含む。
【0014】
一部の態様では、前記把持構造体が両側縁部の間にある行に配置され、隣接する行の前記把持構造体は交互に配列される。
【0015】
一部の態様では、前記把持構造体が2つの行に配置され、第1の行の前記把持構造体は、第2の行の前記把持構造体に対して相対的に交互に配列される。
【0016】
一部の態様では、前記把持構造体が略同一である。
【0017】
一部の態様では、前記第1の側面連結部材は、モノリシックに形成されたアクリル系ポリマー部材を備える。
【0018】
一部の態様では、前記第1の側面連結部材および前記第2の側面連結部材は、互いに略左右対称である。
【0019】
本開示の他の態様では、本開示は、創傷を治療する方法を対象としている。前記方法は、請求項1に記載の包帯を引き伸ばされていない形態で提供する工程と、前記第1の側面連結部材を前記創傷の第1の側上に設置する工程と、前記第1の側面接着部を前記創傷の第1の側上に接着する工程と、前記包帯の底基板を引き伸ばす工程と、前記包帯の底基板が引き伸ばされた状態を維持しながら前記第2の側面連結部材を前記創傷の第2の側上に設置する工程と、前記第2の側面接着部を前記創傷の第2の側上に接着する工程と、前記包帯が引き伸ばされていない形態に戻り、次いで前記創傷を塞ぐように前記底基板を放す工程と、を備える。
【0020】
一部の態様では、前記包帯の底基板が引き伸ばされた状態を維持しながら、前記第2の側面接着部を前記創傷の第2の側上に接着する工程が完了する。
【0021】
一部の態様では、前記底基板が透明原料を含む。さらに、前記方法は前記創傷を前記底基板を通して観察する工程を含む。
【0022】
本開示の他の態様では、本開示は、包帯の製造に関連する利用のための保護キャリアと機械的連結系との組み合わせを対象としている。前記保護キャリアは、底部、対向する第1の側壁および第2の側壁を備え、底部、第1の側壁、及び第2の側壁は、協調的にチャネルを画定する。前記保護キャリアは、細長く、構造的にそれ自体の上に巻かれるように構成される。前記機械的連結系は、そこから延在する複数の把持構造体を有する基部を備え、前記把持構造体は前記保護キャリアによって画定される前記チャネル内に留まる。前記機械的連結系は、前記保護キャリア内に配置され、それ自体の上に巻かれる。
【0023】
一部の態様では、前記把持構造体は、前記機械的連結系の第1の側に向かって湾曲する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は図面を参照して説明する。
【0025】
図1】本開示の包帯の概略底面図である。特に、図1では、図の明確さのためではあるが、縮尺を変更して機械的連結系を示している。
図2】本開示の包帯の概略側面図である。
図3】創傷に亘って配置された包帯の上面図である。
図4】本開示の包帯の他の態様の底面図である。特に、図4では、本構成の寸法を示している。
図5】第1の側面連結部材の部分側面図である。特に、図5では、把持構造体の構成を示している。
図6】第1の側面連結部材の部分背面図である。特に、図6では、把持構造体の構成を示している。
図7】本開示の把持構造体の斜視図を示す写真である。
図8】組立および製造の目的のために機械的連結系のロールが配置され得る保護キャリアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明は、多数の異なる形態の実施形態が可能であるが、本開示は例示として考慮されるべきであり、説明される実施形態に限定されることを目的としていないという理解のもとで、図面を示し、本明細書で詳細に具体的な実施形態を説明する。
【0027】
本明細書で言及される同様のまたは類似の要素と構成要素とのいずれか一方または両方は、図面を通して同様の参照符号によって特定され得るものと理解される。さらに、図面は、発明の略図に過ぎず、構成要素の一部は、図の明確さの目的のために実際の縮尺から変更していることがあるものと理解される。
【0028】
さて、図面、特に図1を参照すると、概して本開示の包帯は参照符号10で示されている。包帯10は、底基板12と、創傷被覆部(wound covering portion)14と、機械的連結系(mechanical coupling system)16と、接着性連結系(adhesive coupling system)18と、を備える。本開示の包帯10は、創傷の閉鎖や保護によく適していると考えられる。また、本開示は、他の目的にさらによく適しており、本開示は、ある特定の使用または用途に制限されないものと理解される。
【0029】
図1および図2では、底基板12は、第1の端部20と第2の端部40との間に延在し、第1の側縁部22と第2の側縁部42との間に及ぶように示されている。底基板12は、使用者の皮膚に貼り付けられる際に外側を向く外表面24と、使用者の皮膚に首尾よく覆う内表面26と、を含む。底基板12は、中央領域44とともに、中央領域44の第1の側から延在する第1の側面領域46および中央領域44の第2の側から延在し、第1の側面領域46と反対側である第2の側面領域48を含む。
【0030】
底基板12は、実質的に厚さが均一であると考えられる。同様に、図示された構成では、幅も実質的に均一である。底基板12は、第1の端部20および第2の端部40との間の縦軸に沿って底基板12を2等分する軸に関して実質的に対称である。同様に、底基板12は、第1の側縁部22と第2の側縁部42との間の横軸に関して実質的に対称である。他の構成では、底基板は、対称であってもなくてもよく、均一であってもなくてもよいと考えられる。多種多様な構成が考えられ、本開示は、底基板のいずれの特定の形状に制限されない。
【0031】
底基板12は弾性があり、天然もしくは合成の織布材料または不織布材料と予想される。好ましくは、そのような材料は少なくとも縦軸方向にある程度の弾性伸縮を有する。それによって、包帯10を弾性的に引き伸ばすために第1の端部20および第2の端部40が互いに対して引っ張られることが可能である。他の構成では、底基板はあらゆる方向に弾性変形可能であってもよい。使用のために非合成材料が考えられ、そのような材料は織布または不織布であり得るとも考えられる。また、底基板12の材料は同一であることが示されているが、変形例が考えられ、底基板12を形成するために相互に連結する多種多様な材料を含んでもよいと考えられる。
【0032】
創傷被覆部14は、その中に位置した吸収材料を有するいくつかの種類のガーゼ材料(gauze material)を備えるものとして示されている。典型的に、創傷被覆部14は、底基板12の内表面26に接着した材料を含み、創傷接触面(wound contact surface)30を含む。いくつかある特徴の中でも、創傷被覆部14は、吸収材料、薬剤を含んでもよいと考えられる。すなわち、そのような特徴は、包帯技術の当業者に知られている。
【0033】
図1および図2では、機械的連結系16は、第1の側面連結部材(first side coupling member)32と、第2の側面連結部材(second side coupling member)34と、を備えることが示されている。第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34は、実質的に同一であると考えられる(けれども、性質、大きさおよび量などが変えられてもよく、一般に同一の使用特性を有する)。第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34は依然として同一の機能性を有するが、異なってもよいものと理解される。そのようなものとして、第2の側面連結部材34は同一の材料および構造から選択され得るという理解のもとに、第1の側面連結部材32が説明される。
【0034】
第1の側面連結部材32は、非観血的に、かつ痛みを伴わずに使用者の真皮に導かれる700μmのマイクロニードル(micron micro needles)のアレイ(array)を備える。マイクロニードルは、実質的に平面である底面(base surface)から延在し、実質的に平面である出発原料から形成される。底面は、底基板12の内表面26に接着している。他の構成では、マイクロニードルの底面は、底基板の一部を形成してもよいと考えられる。他の構成では、マイクロニードルは、出願人であるユニバーシティ オブ ワシントン スルー イッツ センター フォー コマーシャリゼーションによる「微細構造に基づく創傷閉鎖デバイス」と題されたPCT公開出願、公報番号WO 2013/188884A1で示された構造を備えてもよく、当該明細書全体はすべて本明細書に援用される。同様に、特定の他の構成は、使用のために考えられる。また、いくつかある構成の中でも、マイクロニードルは直線、斜めまたはかぎ状(hooked)であってもよいものと理解される。図示された構成では、マイクロニードルは中央領域44に向かって内向きに傾斜するが、他の構成も考えられる。
【0035】
第1の側面連結部材32は、第1の側縁部22から第2の側縁部42まで底基板12の全体に亘って広がると考えられる。図示された構成では、第1の側面連結部材32は、創傷被覆部14と底基板12の各端部との両方から離間するように位置している。他の構成では、その構成で示されたように、第1の側面連結部材および第2の側面連結部材は、実質的に連続部材を含むというより不連続部位を含んでもよい。
【0036】
特に、第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34は、互いに左右対称であってもよく、図4図6に集合的に示された構造体を備えてもよい。特に、第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34は、基部60と離間した複数の把持構造体(gripping structure)70とをそれぞれ備えてもよい。一般に、基部60は下面62、上面64および外周部(outer perimeter)66を画定する実質的な平面部材を備える。図示された構成では、基部60は、0.25mmの厚さを有する。使用可能な形態に取り付けられた際、外周部66は前縁部(leading edge)67と、後縁部(trailing edge)68とを画定する。図示された構成では、基部60は、実質的に同一の長方形部材を備え、その長辺は互いに平行な前縁部67および後縁部68である。当然に、付加的なトポグラフィー(additional topographies)を有する構成を備える他の構成が考えられる。
【0037】
把持構造体70は、基部60周りに位置し、基部60の上面64から延在する。そのような構造体は、モノリシック(monolithic)であり、単一の実質的に均一な構成を形成するために基部60と連動して追従されるものと理解される。一般に、把持構造体70は、構成が実質的に同一であるが、必ずしもその必要はない。そのようなものとして、単一の把持構造体は、残りの把持構造体が実質的に同一であるという理解のもとで示されている。
【0038】
把持構造体70は前面72と、後面74と、第1の側面76と、第2の側面78と、を含む。基部60の把持構造体70は、実質的に正方形の基部外周部(base perimeter)80を画定する。4つの面72、74、76、78は協調的に上部の上端(upper tip)81に先細になる。外面は、角度83で内向きに傾斜され、図示された構成では角度83は12.02°であり、挟角82は24.04°である。図示された構成では、把持構造体70の高さは0.700mmであり、基部60は0.426mm四方である。前面72および後面74は、基部外周部80によって画定された底面(footprint)の外側に上端81があるようにそれぞれ湾曲し、第1の側面76および第2の側面78は上述の角度で傾斜している。当然に、変形例が考えられる。第1の側面76および第2の側面78の湾曲した面は、直線のまたは屈曲した把持構造体と比べて把持構造体70の保持力に非常に役に立つということが見出されている。把持構造体の拡大写真は図7に示されている。
【0039】
図示された構成では、把持構造体70は、互いに対してオフセットされた(offset)均等な行と列に位置している。そのような構成では、計15個の把持構造体は、2つの行のそれぞれに位置していてもよく、これらの行は交互に配列されている。それによって、第1の行の把持構造体は、第2の行の隣接する把持構造体の間に位置する。当然に、例えばいずれの方向にも均等な分離の格子状の構造を形成する均等な行と列に構造体がある構成などの変形例が考えられる。図示された構成では、第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34が形成される材料は、アクリル系ポリマー樹脂から形成されたアクリル系ポリマー材料を含む。この形成は、開示されたポリマー構造物と関連する使用に限定されず、使用のために他のポリマー構造物が考えられる。
【0040】
図1では、接着性連結系18は、第1の側面接着部36と、第2の側面接着部38と、を備えるものとして示されている。一般的に、第1の側面接着部36および第2の側面接着部38は、同様の構成であってもよいものと理解される。したがって、第1の側面接着部36および第2の側面接着部38は、同一の場所または異なった場所に設けられてもよいが、これらの一般的な接着性構造物は同様である。そのようなものとして、同一の原理および構造は第2の側面接着部38に適用されてもよいという理解のもとで、第1の側面接着部36は議論される。
【0041】
第1の側面接着部36は、複数の領域、またはその保持を容易にするように適切な接着力で患者の皮膚に剥離可能に貼り付けることができる接着剤の単一の領域を備えてもよい。最も好ましくは、第1の側面接着部36は1以上の領域を含み、これらの領域の全てが第1の側面連結部材32と底基板12の第1の端部20との間に位置している。同一の構造が、第2の側面連結部材34と底基板12の第2の端部40との間にあるように、第2の側面接着部38で利用されると考えられる。接着剤は、包帯技術の当業者に知られている種類である。すなわち、そのような接着剤は、十分な力で使用者の皮膚に接着するように構成される。他の構成では、接着剤の複数の領域が第1の側面接着部36および第2の側面接着部38の両方に利用されると考えられる。そのような領域は機械的連結系16に亘って、機械的連結系16と底基板12の各端部との間、もしくは機械的連結系16と創傷被覆系との間、または3つの場所全てに位置してもよいと考えられる。最も好ましくは、選択される領域は、機械的連結系16と底基板12の各端部との間であるということが見出されている。接着剤は、底基板12の内表面26全体に亘って延在してもよいと考えられる。それによって、第1の側面接着部36および第2の側面接着部38を形成する同一の接着剤で、創傷被覆部14および機械的連結系16が底基板12と連結される。
【0042】
図4図6に示された構成では、本開示によって形成された一例の包帯(sample bandage)の寸法が示されている。この寸法は例示であり、限定的であると見なされるべきではない。包帯の長さ(A)は63.50mmである。包帯の幅(B)は50.80mmである。第1の側面接着部36および第2の側面接着部38のそれぞれの長さ(C)は12.70mmである。第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34のそれぞれの長さ(D)は、12.70mmである。第1の側面連結部材32と第2の側面連結部材34との間の空間の長さ、すなわち創傷接触面(E)は12.70mmである。繰り返すが、これらは例示に過ぎない。包帯の一部は、この幅の半分であってもよいと考えられる。
【0043】
使用では、まず包帯が提供される。好ましい構成では、底基板12は、ほぼ中央に設けられた創傷被覆部14を含み、第1の側面連結部材32が第1の側面領域46の側面に位置し、第2の側面連結部材34が第2の側面領域48の側面に位置する。第1の側面接着部36は、第1の側面連結部材32と第1の端部20との間に延在し、第2の側面接着部38は、第2の側面連結部材34と第2の端部40との間に延在する。当然に、上述の他の構成は、同様に考えられる。
【0044】
図3を参照すると、一般的におよび概念的に包帯10を貼り付けるために、包帯10は、内向きの付勢力を与えるように引き伸ばされ、接着剤は、創傷100の両側にさらなる機械的保持を提供する。
【0045】
より詳細には、当該包帯10によって治療されるべきと考えられる種類の典型的な創傷では、細長い経路に沿って皮膚の層を通る傷口であり、この経路は第1の側と第2の側とを有し、経路の両側に皮膚がある。そのような創傷または他の同様の創傷では、まず使用者(または医療従事者)が、第1の側面接着部36および第1の側面連結部材32を創傷100の第1の側上の皮膚に接着する。すなわち、この連結は、創傷100の第1の側の皮膚になる。好ましくは痛みを伴わずに、目に見える血流を生じさせるあらゆる毛細血管を切断することなしに、第1の側面連結部材32およびマイクロニードルは皮膚の上層内に延在するものと理解される。フック(hook)は、創傷100に向かって延在するように構成され、さらにフックが創傷への基板全体の移動を防ぐ働きをする。さらに、接着剤は、マイクロニードルの皮膚への方向さらに容易にし、スキッピング(skipping)や皮膚に沿う移動を阻止するように皮膚に貼り付けられる。すなわち、接着剤は、マイクロニードルが動作可能に皮膚内に延在し、適切な方向にとどまることを保証する。概して、引き伸ばされていない形態(unstretched configuration)では、これが生じる。
【0046】
次に、使用者(または医療従事者)は、創傷100の反対側に延在するように底基板12を伸ばす。そして、第2の側面領域48は皮膚内に導かれる。第2の側面連結部材34は皮膚内に導かれ、マイクロニードルを皮膚へ押し込む。同様に、これらのマイクロニードルは、創傷100に向かって傾斜されるので、創傷100に向かう底基板12のさらなる移動は制限され、阻止される。そして、第2の側面領域48を皮膚に固定し、マイクロニードルを適切な向きで保持するために、第2の側面接着部38は皮膚に押し付けられる。
【0047】
そのような構成では、創傷被覆部14は創傷100に亘って延在し、好ましくは創傷接触面30が創傷100の表面と接触する。創傷接触面30は、凝固するのを促進するため創傷100への圧力を提供してもよく、そうでなければ有益な薬剤を提供してもよい。
【0048】
底基板12の弾性と、第2の側面領域の皮膚への接着より前に創傷100に亘って底基板12が弾性伸長することに起因して、底基板12が連結すると、自身の元の形態に戻るために付勢力を発揮する。底基板は、自身の元の引き伸ばされていない形態に戻ろうとするので、マイクロニードルは、そのような移動に抵抗し、接着剤は、そのような移動を阻止し、かつマイクロニードルの皮膚からの後退も阻止する。そのようなものとして、創傷100の両側の皮膚内に延在するマイクロニードルは、創傷100に向かって皮膚に押し付ける。それによって、底基板12によって発揮される付勢力が、創傷100を強制的に塞ぎ、皮膚をほぼつまむ。そのような使用は、創傷閉鎖、血液凝固および傷の最小化を促進する。また、痛みを増加させることなしに、またさらなる損傷を創傷100の周囲の皮膚へ生じさせることなしに、同じことが達成される。
【0049】
本構成の包帯を製造するため、底基板12、創傷被覆部14および機械的連結系16はロールに提供されてもよく、構成要素は互いに接合されていると考えられる。問題なことに、把持構造体70を破損させることなしに、機械的連結系16のロールを提供することが難しいかもしれない。そのような構成では、機械的連結系16は、保護包装によって少なくとも部分的に包まれたロールに提供される。例えば、図8に示すように、機械的連結系16となるであろうもののロールが供給され、一方の側は連結部材の前縁部67を形成し、他方の側は連結部材の後縁部68を形成し、保護キャリア(protective carrier)200のチャネル(channel)201内に設置され得る。保護キャリアのチャネル201は、底部205、第1の側壁207および第2の側壁209によって画定される。保護キャリア200は、機械的連結系材料のロールの長さと等しい長さを有する。機械的連結系16のロールは、把持構造体70が上方向を向いている状態でチャネル201内に設置される。第1の側壁207および第2の側壁209の高さは、それらによって画定されるチャネル201内に把持構造体70が保持されるようなものであると理解される。製造中、機械的連結系材料は底基板12への貼り付けの際にチャネル201内から除去され、その上に接着剤が配置される。図示された構成では、例えばカートリッジ(cartridge)を形成するために、各保護キャリア200内に収納された2つの隣り合う機械的連結系材料のロールは利用され、互いに連結される。第1の側面連結部材32および第2の側面連結部材34を実質的に同時に形成するために、機械的連結系材料はそれぞれから除去される。ロールはそれ自体の上に巻かれてもよく、包帯を形成するために利用され得る5〜100フィートの機械的連結系16をロールが備えてもよいと考えられる。
【0050】
前述の説明は、発明を説明し解説するに過ぎず、発明はそれらに制限されず、添付の特許請求の範囲が制限される場合を除き、それらの前に開示を有する当業者は本発明の範囲を逸脱することなく変更を加えることができるであろう。
【符号の説明】
【0051】
10 包帯
12 底基板
14 創傷被覆部
15 計
16 機械的連結系
18 接着性連結系
20 第1の端部
22 第1の側縁部
24 外表面
26 内表面
30 創傷接触面
32 第1の側面連結部材
34 第2の側面連結部材
36 第1の側面接着部
38 第2の側面接着部
40 第2の端部
42 第2の側縁部
44 中央領域
46 第1の側面領域
48 第2の側面領域
60 基部
62 下面
64 上面
66 外周部
67 前縁部
68 後縁部
70 把持構造体
72 前面
74 後面
76 第1の側面
78 第2の側面
80 基部外周部
81 上端
82 挟角
83 角度
100 創傷
200 保護キャリア
201 チャネル
205 底部
207 第1の側壁
209 第2の側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8