特許第6689975号(P6689975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689975
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】コイル振動システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20200421BHJP
   B21C 47/24 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B65G47/28 L
   B21C47/24 B
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-526695(P2018-526695)
(86)(22)【出願日】2016年12月5日
(65)【公表番号】特表2018-537370(P2018-537370A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】US2016064918
(87)【国際公開番号】WO2017100120
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年8月2日
(31)【優先権主張番号】62/263,928
(32)【優先日】2015年12月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・スペンサー
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−270770(JP,A)
【文献】 特開2004−155516(JP,A)
【文献】 特開2001−114225(JP,A)
【文献】 特開平02−243414(JP,A)
【文献】 特開平11−035130(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0283731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/28
B21C 45/00−49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット(10)上に担持されたコイル(C)を振動させるためのシステムであって、前記パレットはコンベア(18)に沿って移動可能であり、前記システムは、
前記コイルを担持するための前記パレットと、
前記パレットを持ち上げると共に支持するためのエレベータ機構であって、前記エレベータ機構は、前記パレットが前記コンベアから離間するように前記パレットを上昇させるよう構成される、エレベータ機構と
前記エレベータ機構を振動させ、これによって、前記パレットと、その上で担持された前記コイルとを振動させるための手段(S)と
を備え、
前記エレベータ機構は、前記パレットを持ち上げると共に、前記パレットが前記コンベアの上方に置かれる上昇位置において前記パレットを支持することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記エレベータ機構はリフトフレーム(20)を備え、
前記リフトフレーム(20)は、このリフトフレーム(20)が、前記コンベア上に支持された前記パレットの下方に置かれる下方位置と、前記上昇位置において前記パレットを支持する上方位置との間で、垂直方向に位置調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リフトフレームが前記上昇位置にあるとき、前記パレットを前記リフトフレームに対して取り外し可能に固定するためのクランプ(24)をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記リフトフレームがクサビアセンブリ(23)によって垂直方向に位置調整可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記リフトフレームと前記クサビアセンブリとの間に介在させられた防振マウント(22)をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記振動させるための手段は、前記リフトフレームを振動させるよう構成されかつ配置された振動モーター(30)を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記パレットは、前記コイルの中心を通って垂直方向に突出するステム(12)を有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容が参照により本明細書中に組み込まれる、2015年12月7日に出願された米国仮出願第62/263,928号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、そこでそれらが直立コイルにおける重ね合わされたリングとして集められるポーリングリールまたはリフォームステーションに向けられるロッド、バーおよびその他の同様の長い製品を製造する熱間圧延ミルに関し、特に、そのリングをより均一に再整列させ、これによってその高さを減少させるための、請求項1のプリアンブルに記載のそうしたコイルを振動させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
長い製品ミルは、通常、ロッドおよびより小さなバー製品を、保管、輸送およびエンドユーザーの機械への最終的な巻き出しのために圧密成形されかつ巻回されたコイルへと集積する。コイルは、材料ハンドリング設備から損傷を受けることなく、そうしたプロセスに耐えるために、秩序だったパッケージを備えていなければならない。
【0004】
コイルは、比較的大きな圧密成形力によって圧密成形される間、堅固に巻回され、安定保持されなければならない。リング配列に緩いオーバレイパターンが存在し、結果としてコイル壁の最小断面積に圧密成形力が加えられる場合、圧密成形力は製品リングを損傷させることが知られている。これは、圧密成形されていないコイルの高さが比較的大きく、コイル内の乱れたリングパターンを示す場合に明らかである。整列させられたリングは、圧密成形圧力に耐えるより多くの表面積を提供し、これによって、圧密成形中にリングが隣接するリングの上で激しく滑ることによる、潜在的なかじり損傷を減少させる。このタイプの損傷は、通常、コイルの外側からは見られず、コイルが顧客の巻出設備に到着するまで検出されない。この時点で、コイルは、特に製品が低炭素、ステンレス鋼合金またはその他の比較的柔らかい鋼である場合、高い不良率を有する。
【0005】
これらの問題に対処するために、コイルパッケージは、ときどき、リングにある量の潤滑剤を提供するために、水および石鹸高圧スプレー(または同様の液体)にさらされる。このアイデアは、潤滑剤が、緩く重ね合わされたリングが、表面のかじりを伴わずに圧密成形プロセス中により自由に滑ることを可能にするというものである。コイルの温度に依存して、このプロセスは、製品の特性を変える可能性が、すなわち製品の発錆を加速する可能性があり、しかも周囲の蒸気環境に起因して材料ハンドリング設備の急速な腐食を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、コイルがポーリングリールまたはリフォームステーションを離れた後、コイルは振動にさらされるが、これはリングを再整列させ、それをより均一に分布させるので、コイルの高さ、およびその後の圧密成形およびバンディング中の潜在的な内部リングの損傷が低減される。振動システムは完全自動であり、液体または潤滑剤を必要としない。したがって、製品の冶金学的特性の変化、あるいは製品の錆、汚れまたは異物による汚染のリスクはない。
【0007】
本発明の別の態様によれば、コイルは、振動中に取り囲まれると共に半径方向に拘束され、これによってコイルが一方の側に落下する傾向が抑えられる。
【0008】
本発明によるシステムの例示的な実施形態では、パレット上にコイルが担持され、パレットはコンベア上に支持され、かつ、コンベアに沿って移動可能である。エレベータ機構が、パレットを持ち上げ、そしてコンベアの上方に間隔を置いて配置された上昇位置でそれを支持する役割を果たす。振動誘起手段が、エレベータ機構を振動させ、これによって、さらに、パレットおよびその上に担持されたコイルを振動させるために採用される。
【0009】
エレベータ機構は、コンベア上に支持されたパレットの下方に間隔を置いて配置された下方位置と、コンベア上のその上昇位置においてパレットを支持する上方位置との間で、垂直方向に調整可能なリフトフレームを含むことができる。
【0010】
リフトフレームがその上昇位置にあるとき、パレットをリフトフレームに対して開放可能に固定するためのクランプが設けられてもよい。リフトフレームは、クサビアセンブリによって垂直方向に調整可能であってもよい。防振マウントが、リフトフレームとクサビアセンブリとの間に介在させられてもよい。
【0011】
エレベータ機構を振動させるための手段は、リフトフレームを振動させるよう構成されかつ配置された振動モーターを備えることができる。
【0012】
コイルは、ペレットから垂直方向に突出するステムによって内部で支持されてもよく、そして、パレットがその上昇位置にあるとき、コイルを半径方向に拘束するために、旋回サイドガイドの形態の手段が設けられてもよい
本発明のそうした有利な態様は、本願において特許請求され、かつ、以下の図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の例示的な実施形態によるコイル振動ステーションの正面図であり、コイルが振動を受ける前のコンベア上の静止したパレットを示している。
図2】振動サイクルのための準備ができた状態でコンベアから持ち上げられたパレットを示す、図1と同様の図である。
図3図1および図2と同様の図であり、その開位置で、追加された垂直ガイドを示している。
図4図3と同様の図であり、ガイドをその閉鎖位置で示している。
図5】防振マウントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に図1を参照すると、パレット10上に支持されたコイル「C」が示されている。パレットは、コイルの中心を通って垂直方向に突き出すステム12を有する。パレットは、18で大まかに示すコンベアのローラー16上に、14で示すように支持される。典型的な設備では、コンベア18は、ミルのポーリングリールまたはリフォームステーション(図示せず)からコイルコンパクター(やはり図示せず)まで延在する。
【0015】
コンベアに沿った位置にある振動ステーション「S」は、図5に示されるタイプのものであってもよい防振マウント22によって支持されたリフトフレーム20を含む。防振マウントは、クサビアセンブリ23上でリフトフレームを支持するように機能する。
【0016】
パレット10の両側において、リフトフレーム20には、スプリングが組み込まれた油圧によって解放可能なクランプ24が設けられる。図1に示す段階では、クランプ24は、コンベア18に沿ったパレット10の移動の自由度に対応するために、油圧によって解放される。
【0017】
クサビアセンブリ23は、上部および下部クサビコンポーネント23a,23bを備えていてもよく、下部クサビコンポーネントは連結ロッド26によって接続され、油圧シリンダー28によって作動させられる。
【0018】
リフトフレーム20のいずれかの側に、例えばNetter GmbHによって供給されるタイプの電気式外部振動器であってもよい振動モーター30が取り付けられる。
【0019】
図1に示すように、コイルCは、ポーリングリールまたはリフォームステーションから受け入れられ、パレット10上を振動ステーションSまで運搬される。
【0020】
図2に示すように、クサビアセンブリ23の下部クサビコンポーネント23bは、フレーム20を持ち上げるために油圧シリンダー28によって作動させられ(左側に引っ張られ)、この結果、パレット10はコンベアローラー16から持ち上げられる。
【0021】
パレット10をフレーム20上で堅固に固定するためにクランプ24が閉じられ、その後、振動モーター30が作動させられて、パレット10およびその上に担持されたコイルCと共にフレーム20を振動させる。コイルの振動は、外力を伴わずに、リングをより均一に再配列するように機能し、これによってコイルの高さが減少させられ、そして潜在的な内部リング損傷が回避される。
【0022】
有利なことには、振動ステーションSには、コンベア18の両側に、図3の開位置で示される、旋回サイドガイド32の形態の手段が設けられてもよい。パレットがその上昇位置にある場合、図4に示すように、コイルが振動させられているとき、コイルを取り囲みかつ半径方向に拘束するためにサイドガイドが閉じられてもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 パレット
12 ステム
16 コンベアローラー
18 コンベア
20 リフトフレーム
22 防振マウント
23 クサビアセンブリ
23a 上部クサビコンポーネント
23b 下部クサビコンポーネント
24 クランプ
26 連結ロッド
28 油圧シリンダー
30 振動モーター
32 旋回サイドガイド
図1
図2
図3
図4
図5