(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689979
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセンス装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20200421BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20200421BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20200421BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20200421BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
H05B33/12 C
H01L27/32
H05B33/14 B
C09K11/06 690
G09F9/30 365
【請求項の数】4
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-529259(P2018-529259)
(86)(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公表番号】特表2019-503041(P2019-503041A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】CN2016107985
(87)【国際公開番号】WO2017107749
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】201510990548.X
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179314
【氏名又は名称】昆山工研院新型平板顕示技術中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN NEW FLAT PANEL DISPLAY TECHNOLOGY CENTER CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 松
(72)【発明者】
【氏名】劉 嵩
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲ヒー▼
【審査官】
辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/099160(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0071852(KR,A)
【文献】
特開2013−179291(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/194971(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0018716(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0113007(KR,A)
【文献】
特開2012−186021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/12
C09K 11/06
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に積層して設置された第1の電極、第1の発光層、第2の発光層及び第2の電極を含み、前記第1の発光層は、同発光層に設置された複数の赤色発光ユニット、複数の緑色発光ユニット及び複数の青色発光ユニットを含み、前記第2の発光層は、青色発光層である有機エレクトロルミネセンス装置であって、前記緑色発光ユニットは、ドープされたホスト材料とゲスト材料を含み、
前記ゲスト材料は緑色発光燐光材料であり、前記ホスト材料は少なくとも、三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位の差(ΔE
ST)が0.15eVより小さい熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を含み、前記熱活性化遅延蛍光材料は、以下の式(1−4)〜(1−48)、(1−53)〜(1−105)から選択される構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
【化1】
【請求項2】
前記熱活性化遅延蛍光材料の三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位の差は0.10eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項3】
前記第1の発光層における前記青色発光ユニットは、前記第2の発光層が前記第1の発光層まで伸びることにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項4】
前記赤色発光ユニットは、燐光発光材料を含み、前記青色発光ユニットは、蛍光材料を含み、前記青色発光層は、蛍光材料を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンスの分野に関し、具体的には有機エレクトロルミネセンス装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセンス装置(英語のフルネームはOrganic Light−Emitting Deviceであり、OLEDと略称)は、有機エレクトロルミネセンス材料を用いるアクティブ発光装置であり、消費電力が低く、色域が広く、体積がより薄い等の利点があり、次世代の主流となる照明とフラットパネル表示の技術となるのが望ましい。
【0003】
従来では、有機エレクトロルミネセンス表示技術は、既にスマートフォンの表示パネル等の小サイズパネルで広範に応用されている。今の段階では、有機エレクトロルミネセンス表示装置は、主に以下の三つの手段によってフルカラー表示を実現する。1つはP(英語のフルネームはPentileであり、ペンタイルと訳す)配列とIGNIS配列(中国特許CN102714213A参照)等を代表とする原色画素並列法であり、もう1つは液晶表示技術でのカラーフィルタ法でフルカラー表示を実現する手段である。また、アメリカのプリンストン大学はRGB有機発光ダイオードの多層積層型の装置構造を開発した(1997年に《合成金属》(《Synthetic Metals》)第91回9〜13ページに掲載の《The stacked OLED(SOLED):a new type of organic device for achieving high−resoluting full−color displays》参照)。同じ画素ユニットにはRGBの三つの副画素が積層して設置され、各副画素は、それぞれ各々の駆動回路によって駆動される独立した有機発光ダイオードである。この技術では、各副画素は、それぞれ完全構造の有機発光ダイオードであり、単一の画層ユニットでの積層層数が多すぎて、製造過程では制御が困難であり、そして、各ダイオードはそれぞれ独立した駆動回路によって駆動され、対応した画素回路が複雑で、プロセスの難度が増加し、有機エレクトロルミネセンス表示装置の信頼性を低下させやすい。
【0004】
カラーフィルタ法では、白色有機発光ダイオードの発光面に一層のカラーフィルタを増加させる必要があり、製造コストが増加するだけでなく、表示パネルの厚さも増加する。最も重要なのは、このフィルタは、OLED装置から発した光を多く吸収してOLED装置の外部量子効率をひどく低下させる。原色画素並列法では、各画素は2〜4個の原色副画素を配列して組み合わせてなり、製造の時、ファインメタルマスク(fine metal mask)によって最低三回の堆積又は転写工程で各副画素を製造する必要があり、プロセス精度に対する要求が非常に高い。実際の製造過程では、異なる原色の混色がよくあるため、表示の品質を影響するという問題が現れる。また、従来の技術では、燐光材料の集中消光の問題を回避するために、通常、ホストゲストドープのプロセスで発光層を製造するため、正孔の移動速度が電子より速いという問題があるので、電気的特性の異なるキャリアが発光層で結合することを保証するように、発光層の陽極から離れた側にエネルギー準位整合した正孔阻止層を設置する必要があるが、プロセスの難度がさらに増加した。
【0005】
中国特許文献CN1599527Aには、画素ユニットに一層の共通青色発光層を設置して正孔阻止層の設置を避けることにより、一つのマスク蒸着工程を減少させ、プロセスコストを効果的に削減するフルカラー有機エレクトロルミネセンス装置が開示されている。しかし、赤色、緑色副画素から発したスペクトルに青色光成分を含まないことを保証するために、通常、発光材料のエネルギー準位を限定し、当該文献では、青色発光材料のHOMOエネルギー準位が5.5eV以上であると限定され、青色発光材料の選択範囲を大きく制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、従来の青色発光層が共通する有機エレクトロルミネセンス装置における発光材料の組み合わせ選択範囲が小さいという問題を解決するために、赤色/緑色副画素の発光スペクトルに青色光が含まれず、かつ発光材料の組み合わせ選択範囲が広い青色発光層が共通する有機エレクトロルミネセンス装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的問題を解決するために、本発明は以下の技術手段を用いる。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、基板に積層して設置された第1の電極、第1の発光層、第2の発光層及び第2の電極を含み、前記第1の発光層は、同じ層に設置された複数の赤色発光ユニット、複数の緑色発光ユニット及び複数の青色発光ユニットを含み、前記第2の発光層は青色発光層であり、
前記緑色発光ユニットは少なくとも、ドープされたホスト材料とゲスト材料を含み、前記ホスト材料は、三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位の差(ΔEST)が0.15eVより小さい熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を含む。
【0008】
前記熱活性化遅延蛍光材料の三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位の差は0.10eV以下である。
【0009】
前記熱活性化遅延蛍光材料は、連結された複数の供与体基ユニットと複数の受容体基ユニットを含み、前記供与体基ユニットは、少なくとも1つの供与体基を連結して構成された基であり、前記受容体基ユニットは、少なくとも1つの受容体基を連結して構成された基である。
【0010】
前記熱活性化遅延蛍光材料は、連結された複数の供与体基ユニット、複数の受容体基ユニット及び連結基を含み、前記供与体基ユニットと前記受容体基ユニットはそれぞれ前記連結基と連結される。
【0011】
前記受容体基は、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリアジン基、ベンズイミダゾール基、シアノ基、ピリディン基、スルフォン基、フェナントロイミダゾール基、ナフトチアゾール基、ベンゾチアゾール基、オキサジアゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたナフチル基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたアントリル基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたフェナントリル基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたピレニル基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたトリアジン基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたベンズイミダゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたピリディン基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたスルフォン基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたフェナントロイミダゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたナフトチアゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたベンゾチアゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基、フェニル基又はピリディン基のうちの少なくとも一種で置換されたオキサジアゾール基のうちの一種である。
【0012】
前記受容体基は、
【0013】
前記供与体基は、インドロカルバゾール基、カルバゾール基、ビカルバゾール基、トリフェニルアミン基、フェノキサジン基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたインドロカルバゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたカルバゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたビカルバゾール基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたトリフェニルアミン基、C1−C6のアルキル基、メトキシ基、 エトキシル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたフェノキサジン基のうちの一種ある。
【0014】
前記供与体基は、
【0015】
前記連結基は、立体障害を有する連結基であり、スピロフルオレン基、フェニル基、キセニル基、C1−C6のアルキル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたスピロフルオレン基、C1−C6のアルキル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたフェニル基、又はC1−C6のアルキル基又はフェニル基のうちの少なくとも一種で置換されたキセニル基のうちの少なくとも一種である。
【0016】
前記熱活性化遅延蛍光材料は、以下の式(1−1)〜式(1−104)のいずれか1つである。
【0017】
前記第1の発光層における前記青色発光ユニットは、前記第2の発光層が前記第1の発光層まで伸びることにより形成される。
【0018】
前記赤色発光ユニットは、燐光発光材料を含み、前記青色発光ユニットは、蛍光材料を含み、前記青色発光層は、蛍光材料を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記技術手段は、従来の技術と比べると以下の利点を有する。
【0020】
・ 本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、基板に積層して設置された第1の電極、第1の発光層、第2の発光層及び第2の電極を含み、前記第1の発光層は、同じ層に設置された複数の赤色発光ユニット、複数の緑色発光ユニット及び複数の青色発光ユニットを含み、前記第2の発光層は青色発光層であり、前記緑色発光ユニットは、ドープされたホスト材料とゲスト材料を含み、前記ホスト材料は少なくとも、三重項エネルギー準位と一重項励起エネルギーの差(ΔE
ST)が0.15eVより小さい熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を含む。
図2に示すように、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、TADF材料を緑色発光ユニットの第1のホスト材料として用いて、第1のゲスト材料となる緑色発光燐光材料を増感し、一部の三重項励起子は一重項励起子に逆項間交差し、三重項励起子の濃度が低下して複合領域が狭くなり、三重項励起子が青色発光層まで拡散して発光することを避けて、緑色光スペクトルに青色光を含まないことを実現する。また、赤色光と青色光のエネルギー準位の差が大きいので、赤色光のキャリアは青色光の中に伝わりにくくなるため、赤色光スペクトルに青色光成分が現れにくい。このようにして、青色発光層を共通する有機エレクトロルミネセンス装置における赤色/緑色画素の発光スペクトルに青色光成分を含まず、発光材料の組み合わせ選択範囲を効果的に拡大し、かつ装置の表示性能を向上させる。
【0021】
2、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、正孔阻止層を設置する必要がなく、装置構造を効果的に簡略化することにより、動作電圧を低減する。また、プロセスの難度を低減し、製品の歩留まりを高めることにより、製造コストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の内容をより容易に明らかに理解するために、以下、本発明の具体的な実施例と図面を組み合わせて、本発明をさらに詳しく説明する。
【
図1】
図1は本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置の構造概略図である。
【
図2】
図2は本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明らかにするために、以下、図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0024】
本発明は、ここで記載される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実施することが可能であると理解すべきである。逆に、これらの実施例を提供することにより、本開示が徹底し、完全になり、かつ、本発明の構想を充分に当業者に伝達し、本発明は特許請求の範囲のみにより限定される。図面において、明瞭化のために、層と領域のサイズ及び相対サイズを誇張する場合がある。
【実施例1】
【0025】
本実施例は、
図1に示すように、基板1に積層して設置された第1の電極2、第1の発光層3、第2の発光層4及び第2の電極5を含み、前記、第1の発光層3が同じ層に設置された複数の赤色発光ユニット301、複数の緑色発光ユニット302及び複数の青色発光ユニット303を含み、前記第2の発光層4が青色発光層である有機エレクトロルミネセンス装置を提供する。本実施例では、好ましくは、前記第1の発光層3における前記青色発光ユニット303は、前記第2の発光層4が前記第1の発光層3まで伸びることによって製造され、即ち、前記青色発光ユニット303の材料は前記第2の発光層4の材料と同じである。
【0026】
本発明の変更可能な実施例として、前記青色発光ユニット303の材料は、前記第2の発光層4と異なってもよく、いずれも本発明の目的を実現することができ、本発明の保護範囲に属する。
【0027】
本発明の好ましい実施例として、本実施例に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、前記第1の電極2と前記第2の電極5の間に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び電子輸送層等の機能層を含んでもよい。
【0028】
具体的には、本実施例では、ITO(酸化インジウムスズ)を陽極とし、HATCNを正孔注入層とし、TCTAを正孔輸送層とし、緑色発光ユニット302は、式(1−103)に示されるTADF分子をホスト材料(GH−1)として用い、Ir(ppy)3をゲスト材料として用い(ゲスト材料のドープ率は10wt%)、第2の発光層4は、そのホスト材料とゲスト材料がそれぞれBH−1とBD−1であり(ゲスト材料のドープ率は5wt%)、Bphenを電子輸送層とし、LiFを電子注入層とし、Alを陰極とする。
【0029】
緑色発光構造は、ITO/HAT−CN(7nm)/NPB(50nm)/TCTA(10nm)/GH−1:10%Ir(ppy)3(30nm)/BH−1:5%BD−1(25nm)/Bphen(30nm)/LiF(0.7nm)/Al(150nm)であり、前記緑色発光ユニット302は、ドープされたホスト材料とゲスト材料を含み、前記ホスト材料は、三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位の差(ΔE
ST)が0.15eVより小さい熱活性化遅延蛍光(TADF)材料である(1−103のΔE
STは0.1eVである)。
【0030】
赤色発光構造では、赤色発光ユニット301が緑色発光ユニット302と異なるのを除き、その他の層はいずれも同じであり、赤色発光ユニット301の赤色発光ホストは赤色発光染料Ir(piq)
3を用い、
赤色発光構造は、ITO/HAT−CN(7nm)/NPB(50nm)/TCTA(10nm)/CBP:5%Ir(piq)
3(30nm)/BH−1:5%BD−1(25nm)/Bphen(30nm)/LiF(0.7nm)/Al(150nm)である。
【実施例2】
【0031】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記赤色発光ユニット301のホスト材料が式(1−1)に示される熱活性化遅延蛍光材料であり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−2)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例3】
【0032】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−11)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例4】
【0033】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−19)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例5】
【0034】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−23)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例6】
【0035】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−26)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例7】
【0036】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−50)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例8】
【0037】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−54)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例9】
【0038】
本実施例は、有機エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−66)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【実施例10】
【0039】
本実施例は、エレクトロルミネセンス装置を提供し、装置構造は実施例1と同じであり、前記緑色発光ユニット302のホスト材料が式(1−90)に示される熱活性化遅延蛍光材料であるのに相違する。
【0040】
実施例1と同じであり、緑色発光ユニットのホスト材料に相違し、比較例における緑色発光材料はCBPを緑色発光ホストとして用い、具体的な構造は、
ITO/HAT−CN(7nm)/NPB(50nm)/TCTA(10nm)/CBP:10%Ir(ppy)3(30nm)/BH−1:5%BD−1(25nm)/Bphen(30nm)/LiF(0.7nm)/Al(150nm)である。
【0041】
実施例1と同じであり、比較例2における赤色、緑色発光ユニットが青色発光層で覆われないのに相違し、緑色発光ユニットと赤色発光ユニットの具体的な構造は以下のとおりである。
緑色発光ユニット:ITO/HATCN(7nm)/NPB(50nm)/TCTA(10nm)/GH−1:10%Ir(ppy)3(30nm)/Bphen(30nm)/LiF(0.7nm)/Al(150nm)
赤色発光ユニット:ITO/HAT−CN(7nm)/NPB(50nm)/TCTA(10nm)/CBP:5%Ir(piq)
3(30nm)/Bphen(30nm)/LiF(0.7nm)/Al(150nm)
【0042】
本実施例と比較例で用いられる有機材料及びその構造式は以下のとおりである。
【0043】
テスト例
前記実施例1〜10と比較例に係る有機エレクトロルミネセンス装置をテストし、テスト結果を以下の表で示す。
【0044】
したがって、実施例1〜10に係る有機エレクトロルミネセンス装置の緑色光スペクトルと赤色光スペクトルはいずれも青色光スペクトルを含まない。
【0045】
実施例1と比較例1の緑色光テストから分かるように、緑色発光ユニット302にTADFでない緑色発光ホストを用いると、緑色光ペクトルに青色光成分が現れ、緑色発光TADFホストの導入によりキャリア複合領域を削減することにより、緑色光スペクトルに青色光成分を含まない。
【0046】
実施例と比較例2の緑色光テストから分かるように、TADF緑色発光ホストを含む緑色発光ユニット302に青色発光層を増設することにより、緑色発光ユニット自体の電流効率と色度を影響することがなく、緑色光ペクトルに青色光成分が現れることもなく、青色発光層の導入により緑色発光の動作電圧をわずかに上げることができる。
【0047】
赤色光の実施例1と比較例2から分かるように、赤色発光ユニット301に青色発光層を増設することにより、赤色発光ユニット301自体の電流効率と色度を影響することがなく、赤色光スペクトルに青色光成分が現れることもなく、青色発光層の導入により赤色発光の動作電圧をわずかに上げることができる。
【0048】
赤色光の実施例2と比較例2から分かるように、赤色発光ユニット301のホストは熱活性化遅延蛍光材料を用い、赤色発光ユニット301に青色発光層を増設することにより、赤色発光ユニット301自体の電流効率と色度を影響することがなく、赤色発光の動作電圧をわずかに上げることができる。赤色発光ユニット301のホストは熱活性化遅延蛍光材料を用いた後、赤色発光効率がわずかに上がる。
【0049】
明らかなように、上記実施例は、明確に説明するために挙げられた例に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明を基にさらに他の異なる形式の変化又は変更を行うことができる。ここで全ての実施形態を挙げる必要も可能性もない。それから導き出された明らかな変化又は変更は、依然として本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0050】
1−基板、2−第1の電極、3−第1の発光層、4−第2の発光層、5−第2の電極、6−ホスト材料、7−ゲスト材料、301−赤色発光ユニット、302緑色発光ユニット、303−青色発光ユニット。