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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689997
(24)【登録日】2020年4月10日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ガス再気化システムを備える船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20200421BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20200421BHJP
   B63J 2/14 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B63B25/16 G
   B63B25/16 H
   B63B25/08 A
   B63J2/14 B
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-539953(P2018-539953)
(86)(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公表番号】特表2019-504792(P2019-504792A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】KR2017003497
(87)【国際公開番号】WO2017135804
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0042768
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0092196
(32)【優先日】2016年7月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0010602
(32)【優先日】2017年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513235337
【氏名又は名称】コリア シップビルディング アンド オフショア エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ テ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジョン ピル
(72)【発明者】
【氏名】カン ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホ ヒ スン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スン ウク
【審査官】 杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0085284(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0011152(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0743904(KR,B1)
【文献】 特表2012−524002(JP,A)
【文献】 特表2009−529456(JP,A)
【文献】 特開2010−058772(JP,A)
【文献】 特開2015−013494(JP,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2012−0003585(KR,U)
【文献】 特開平03−025296(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0044139(KR,A)
【文献】 特表2013−511004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
B63B 25/08
B63J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する船体と、
前記船体の外部上側に設けられ、液化ガスを気化させて需要先に供給する気化器と、
前記気化器で液化ガスと熱交換されるように、前記気化器に非爆発性熱源を供給する熱源供給装置と、
前記熱源供給装置において、前記熱源と熱交換するように前記熱源供給装置に海水を供給する海水供給装置と、を含み、
前記熱源供給装置と前記海水供給装置は、前記船体の内部空間に設けられることを特徴とするガス再気化システムを備える船舶。
【請求項2】
前記船体の内部空間を上下に区画する少なくとも1つのデッキをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項3】
前記熱源供給装置は、
前記熱源を供給する熱源ポンプと、
前記熱源と海水を熱交換させる海水熱交換器と、
前記熱源ポンプ及び前記海水熱交換器が備えられる熱源循環ラインと、を含み、
前記熱源ポンプと前記海水熱交換器は、
前記デッキによって互いに上側または下側に区画されて配置されることを特徴とする請求項2に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項4】
前記海水熱交換器に前記海水を供給する海水ポンプと、
前記海水が流動し、前記海水ポンプ及び前記海水熱交換器を備える海水ラインと、をさらに含み、
前記熱源循環ラインは、
直径が前記海水ラインの直径より小さく形成されることを特徴とする請求項3に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項5】
前記海水ラインは、一端が前記船体の側面に形成された海水流入口と連結され、他端が前記船体の側面に形成された海水排出口と連結され、
前記熱源供給装置は、
前記船体内部の前記海水排出口が備えられる区域に配置されることを特徴とする請求項4に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項6】
前記海水ポンプは、
前記船体の内部船首側に配置されることを特徴とする請求項4に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項7】
前記熱源とスチームを熱交換させるスチーム熱交換器をさらに含み、
前記熱源ポンプ、前記海水熱交換器または前記スチーム熱交換器は、
前記デッキによって互いに上側または下側に区画されて配置されることを特徴とする請求項3に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項8】
前記スチームを発生させ、前記船体内のエンジンルームに配置されるボイラーと、
前記スチーム熱交換器と前記ボイラーを前記スチームが循環するように連結するスチームラインをさらに含み、
前記スチームラインは、
少なくとも一部が前記船体の船底部に形成されるハル(Hull)の内部に設けられることを特徴とする請求項7に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項9】
前記スチームは、
前記海水の後に前記熱源と熱交換されることを特徴とする請求項8に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項10】
前記熱源供給装置は、
前記熱源ポンプ、前記海水熱交換器または前記スチーム熱交換器を含むようにするモジュール型に製作されることを特徴とする請求項7に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項11】
前記熱源供給装置は、
前記船体の内部船首側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項12】
前記熱源供給装置は、
前記船体の内部側面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項13】
前記熱源供給装置は、
前記船体の船尾内部に配置されるエンジンルームの側面に配置されることを特徴とする請求項12に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項14】
前記熱源は、
グリコールウォーター(Glycol water)であることを特徴とする請求項に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【請求項15】
前記熱源供給装置は、
前記熱源循環ライン内に流動する熱源の圧力を保持させる圧力保持装置を含み、
前記圧力保持装置は、
不活性ガスを用いて前記熱源の圧力を保持させることを特徴とする請求項3に記載のガス再気化システムを備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス再気化システムを備える船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、LNGはクリーン燃料で、埋蔵量も石油より豊富と知られており、採鉱と搬送技術が発達するにつれて、その使用量が急激に増加している。このようなLNGは、主成分であるメタンを1気圧下で−162℃以下に温度を下げて液体状態で保管することが一般的であるが、液化されたメタンの体積は標準状態である気体状態のメタン体積の600分の1程度であり、比重は0.42で、原油比重の約2分の1となる。
【0003】
LNGは運搬が容易性で液化して輸送した後、使用先で気化させて使用する。しかし、自然災害及びテロのリスクのため、陸上にLNG気化設備を設けることに懸念がある。
【0004】
このため、従来の陸上に設けた液化天然ガス再気化システムの代わりに、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)を運搬するLNG運搬船に再気化装置を設けて陸上に気化された天然ガス(Natural Gas)を供給する設備が脚光を浴びている。
【0005】
LNG再気化装置システムにおいて、液化ガス貯蔵タンクに貯蔵されたLNGはブーストポンプにより加圧されてLNG気化器に送られ、LNG気化器でNGに気化されて陸上の需要先に送られる。ここで、LNG気化器上でLNGの温度を上げる熱交換が行われる過程で、多くのエネルギーが必要となる。従って、この過程で使われるエネルギーが非効率的な交換が行われて浪費される問題点を解決すべく、効率的な再気化のための様々な熱交換技術が研究されている状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術を改善するために創出されたものであり、液化ガスの再気化効率を最大化することができるガス再気化システムを備える船舶を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるガス再気化システムを備える船舶は、船体と、上記船体の上部に設けられ、液化ガスを気化させて需要先に供給する気化器と、上記船体の内部に設けられ、上記気化器に熱源を供給する熱源供給装置と、を含むことを特徴とする。
【0008】
具体的に、上記船体の内部空間を上下に区画する少なくとも1つのデッキをさらに含んでもよい。
【0009】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記熱源を供給する熱源ポンプと、上記熱源と海水を熱交換させる海水熱交換器と、上記熱源ポンプ及び上記海水熱交換器が備えられる熱源循環ラインと、を含み、上記熱源ポンプと上記海水熱交換器は、上記デッキによって互いに上側または下側に区画されて配置されてもよい。
【0010】
具体的に、上記海水熱交換器に上記海水を供給する海水ポンプと、上記海水が流動し、上記海水ポンプ及び上記海水熱交換器を備える海水ラインと、をさらに含み、上記熱源循環ラインは、直径が上記海水ラインの直径より小さく形成されてもよい。
【0011】
具体的に、上記海水ラインは、一端が上記船体の側面に形成された海水流入口と連結され、他端が上記船体の側面に形成された海水排出口と連結され、上記熱源供給装置は、上記船体内部の上記海水排出口が備えられる区域に配置されてもよい。
【0012】
具体的に、上記海水ポンプは、上記船体の内部船首側に配置されてもよい。
【0013】
具体的に、上記熱源とスチームを熱交換させるスチーム熱交換器をさらに含み、上記熱源ポンプ、上記海水熱交換器または上記スチーム熱交換器は、上記デッキによって互いに上側または下側に区画されて配置されてもよい。
【0014】
具体的に、上記スチームを発生させ、上記船体内のエンジンルームに配置されるボイラーと、上記スチーム熱交換器と上記ボイラーを上記スチームが循環するように連結するスチームラインをさらに含み、上記スチームラインは、少なくとも一部が上記船体の船底部に形成されるハル(Hull)の内部に設けられてもよい。
【0015】
具体的に、上記スチームは、上記海水の後に上記熱源と熱交換されてもよい。
【0016】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記熱源ポンプ、上記海水熱交換器または上記スチーム熱交換器を含むようにするモジュール型に製作されてもよい。
【0017】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記船体の内部船首側に配置されてもよい。
【0018】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記船体の内部側面に配置されてもよい。
【0019】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記船体の船尾内部に配置されるエンジンルームの側面に配置されてもよい。
【0020】
具体的に、上記熱源は、非爆発性冷媒であってもよい。
【0021】
具体的に、上記熱源は、グリコールウォーター(Glycol water)であってもよい。
【0022】
具体的に、上記熱源供給装置は、上記熱源循環ライン内に流動する熱源の圧力を保持させる圧力保持装置を含み、上記圧力保持装置は、不活性ガスを用いて上記熱源の圧力を保持させてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるガス再気化システムを備える船舶は、液化ガスの再気化効率を最大化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図である。
図2】本発明の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図である。
図3】本発明の他の実施例によるガス再気化システムを示す概念図である。
図4】本発明の実施例によるガス再気化システムを示す概念図である。
図5】本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図である。
図6】本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを示す概念図である。
図7】本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを詳細に示す概念図である。
図8】本発明の一実施例によるグリコールウォーター循環装置を示す概念図である。
図9】本発明の海水供給装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明と好ましい実施例により更に明確になるだろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにあたり、同じ構成要素には、たとえ他の図面上に表示されたとしても可能な限り同じ番号を付したことに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0026】
以下、本明細書において、液化ガスはLNGまたはLPG、エチレン、アンモニアなどのように、通常液体状態で保管される全てのガス燃料を包括する意味で使用することができ、加熱や加圧によって液体状態ではない場合なども、便宜上液化ガスと表現することができる。これは、蒸発ガスにも同様に適用されることができる。また、LNGは便宜上、液体状態であるNG(Natural Gas)だけでなく、超臨界状態等であるNGを全て包括する意味で使用してもよく、蒸発ガスは気体状態の蒸発ガスだけでなく、液化された蒸発ガスを含む意味で使用してもよい。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0028】
図1は、従来の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図である。
【0029】
図1に示したように、従来のガス再気化システム1は、液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、バッファタンク30、気化器40、需要先70を含む。
【0030】
従来のガス再気化システム1は、液化ガス貯蔵タンク10から液体状態の液化ガスをフィードポンプ20を介して取り出し、バッファタンク30を経てブーストポンプ21で加圧した後、気化器40で熱源により液化ガスを加熱して再気化させ、これを第1需要先70に供給する方式を用いた。
【0031】
このようなガス再気化システム1は、船体100内に液化ガス貯蔵タンク10が複数個配置されるのに対し、再凝縮器30、ブーストポンプ21、気化器40は、船首部101の上甲板104の上側に配置される再気化ユニットルーム1000内に配置されて駆動されていた。
【0032】
上記再凝縮器30、ブーストポンプ21、気化器40の配置は、液化ガスが爆発性物質からなるため、循環性がよくない閉鎖的な船体100内に備えられないようにすることで、安全性を確保するためのものである。
【0033】
気化器40は、熱源循環ラインL3上に備えられる海水熱交換器41及び熱源ポンプ42を介して第1熱媒の供給を受けて液化ガスを再気化させるが、第1熱媒としてプロパンまたはブタンなどの爆発性冷媒を使用した。従って、ガス再気化システム1の構成と同様に、気化器40に熱源を供給する海水熱交換器41及び熱源ポンプ42も上甲板104の上側に配置されて駆動されていた。
【0034】
これに対し、海水熱交換器41に海水を供給する構成である海水ポンプ51は、船体100の内部の配置条件に応じてエンジンルーム51に位置するしかなく、これにより、海水熱交換器41及び海水ポンプ51を連結する海水ラインL4がかなり長くなった。海水ラインL4は、熱源循環ラインL3に比べて耐腐食性を持たなければならず、大量の海水を海水熱交換器41に供給しなければならないため、相対的に多くの費用がかかるという問題点があった。
【0035】
また、上述したように、爆発性冷媒を有するため、船体100に配置される位置が限定されるしかなく、船体100内の空間活用性に深刻な損害を与える問題点があった。
【0036】
このような問題点を解決するための方案として本発明が開発されており、これに対する詳細は以下で説明する。
【0037】
説明していない符号L1、L2、61、102、103、105、H1、H2、E、S、P、ER、Dは、それぞれ液化ガス供給ラインL1、再気化ラインL2、第2需要先61、中央部102、船尾部103、船底部105、海水流入口H1、海水流出口H2、エンジンE、プロペラ軸S、プロペラP、エンジンルームER、デッキDであって、以下図2図4の本発明の実施例において詳しく説明する。
【0038】
図2は、本発明の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図である。
【0039】
図2に示したように、本発明の実施例によるガス再気化システム2は、液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第2需要先61、第1需要先70、及び蒸発ガス圧縮機80を含む。
【0040】
本発明の実施例における液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第2需要先61、第1需要先70などは、便宜上、従来のガス再気化システム1における各構成と同じ符号を使用するが、必ずしも同じ構成を指すものではない。
【0041】
ここで、ガス再気化システム2が設けられた船舶は、船首部101、中央部102、船尾部103、上甲板104、及び船底部105からなる船体100を有し、船尾部103に配置されるエンジンルームERのエンジンEで生成された動力をプロペラ軸SがプロペラPに伝達して作動することにより、推進される。
【0042】
また、上記船舶は、海上で液化ガスを再気化して液化ガスを陸上ターミナルに供給できるようにするために、液化ガス運搬船(符号不図示)にガス再気化システム2を設けた液化ガス再気化船舶(LNG RV)または浮遊式液化ガス貯蔵及び再気化設備(FSRU)であってもよい。
【0043】
以下では、図2を参照して本発明の実施例によるガス再気化システム2を説明する。
【0044】
本発明の実施例によるガス再気化システム2の個々の構成を記述する前に、個々の構成を有機的に連結する基本的な流路について説明する。ここで、流路は、流体が流れる通路で、ライン(Line)であってもよいが、これに限定されず、流体が流動する構成であれば構わない。
【0045】
本発明の実施例では、液化ガス供給ラインL1、再気化ラインL2、熱源循環ラインL3、海水ラインL4、スチームラインL5、蒸発ガス供給ラインL6、蒸発ガス分岐ラインL7をさらに含んでもよい。それぞれのラインには、開度調節ができるバルブ(不図示)が設けられてもよく、各バルブの開度調節に応じて蒸発ガスまたは液化ガスの供給量が制御されてもよい。
【0046】
液化ガス供給ラインL1は、液化ガス貯蔵タンク10とバッファタンク30を連結し、フィードポンプ20を備えて、液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスをフィードポンプ20を介してバッファタンク30に供給することができる。このとき、液化ガス供給ラインL1は、バッファタンク30と連結されるとともに、バッファタンク30の上流で分岐されて再気化ラインL2に直接連結されてもよい。
【0047】
再気化ラインL2は、バッファタンク30と第1需要先70を連結し、ブーストポンプ21及び気化器40を備えて、バッファタンク30に一時貯蔵された液化ガスまたは液化ガス供給ラインL1から直接供給される液化ガスをブーストポンプ21で加圧し、気化器40で再気化させて第1需要先70に供給することができる。
【0048】
熱源循環ラインL3は、気化器40、海水熱交換器41、及び熱源ポンプ42を循環連結し、第1熱媒を各構成に循環させることができる。ここで、熱源循環ラインL3は、直径が海水ラインL4より小さく形成されてもよい。
【0049】
また、熱源循環ラインL3は、4つのスキッドからなる気化器40(図6及び7に図示)と海水熱交換器41及び熱源ポンプ42と連結されるそれぞれの熱源供給ラインL3が1つのコモンライン(common line)からなってもよい。このとき、気化器40は、第1〜第4トレイン401a〜401d(図6及び7に図示)上に第1〜第4気化器スキッド401〜404(図6及び7に図示)が設けられ、それぞれの第1〜第4スキッド401〜404(図6及び7に図示)に熱源供給ラインL3で分岐されるそれぞれの分岐された熱源供給ラインL3a〜L3d(図6及び7に図示)が連結されてもよい。
【0050】
このとき、熱源供給ラインL3は、コモンラインからなる熱源供給ラインL3が上甲板104を貫通するとき、2つのみが形成されて船首部101の上甲板104の耐久性が向上する効果があり、熱源が漏れる可能性が低減し、システムの信頼性が向上する効果がある。また、熱源供給ラインL3は並列に追加ラインを構築することができるため、1つの熱源供給ラインL3が収容することができるグリコールウォーターの流量を十分に確保することができる。この場合、船首部101の上甲板104を貫通するラインは4つであってもよい。
【0051】
海水ラインL4は、海水流入口H1と海水流出口H2を連結し、海水ポンプ51と海水熱交換器41を備えて、海水ポンプ51を介して海水を海水熱交換器41に供給することができる。ここで、海水ラインL4は、直径が熱源循環ラインL3より大きく形成されてもよく、耐腐食性を有する材料を内部に塗布して構成されてもよい。
【0052】
スチームラインL5は、第2需要先61とスチーム熱交換器62を連結し、第2需要先61で生成されたスチームをスチーム熱交換器62に供給することができる。
【0053】
蒸発ガス供給ラインL6は、液化ガス貯蔵タンク10とバッファタンク30を連結し、蒸発ガス圧縮機80を備えて、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを蒸発ガス圧縮機80で加圧してバッファタンク30に供給することができる。このとき、蒸発ガス供給ラインL6は、バッファタンク30の下側に連結されてもよい。
【0054】
蒸発ガス分岐ラインL7は、蒸発ガス供給ラインL6上の蒸発ガス圧縮機80の下流で分岐されて第2需要先61と連結されてもよく、蒸発ガス圧縮機60によって加圧された蒸発ガスを第2需要先61に供給することができる。
【0055】
以下では、上述した各ラインL1〜L7によって有機的に形成されてガス再気化システム2を具現する個々の構成について説明する。
【0056】
液化ガス貯蔵タンク10は第1需要先70に供給される液化ガスを貯蔵する。液化ガス貯蔵タンク10は液化ガスを液体状態で保管しなければならず、このとき、液化ガス貯蔵タンク10は圧力タンクの形態であってもよい。
【0057】
ここで、液化ガス貯蔵タンク10は船体100の内部に配置され、エンジンルームERの前方に、例えば、4つが形成されてもよい。また、液化ガス貯蔵タンク10は、一例としてメンブレイン型タンクであるが、これに限定されず、独立型タンクなどの様々な形態であってもよく、その種類を特に限定しない。
【0058】
液化ガス貯蔵タンク10は、それぞれの液化ガス貯蔵タンク10の間にコファダム106が配置されてもよく、エンジンルームERと液化ガス貯蔵タンク10の間にもコファダム106が配置されることができる。
【0059】
フィードポンプ20は液化ガス供給ラインL1上に備えられ、液化ガス貯蔵タンク10の内部または外部に設けられて液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスをバッファタンク30に供給することができる。
【0060】
具体的には、フィードポンプ20は、液化ガス供給ラインL1上の液化ガス貯蔵タンク10とバッファタンク30との間に備えられ、液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスを1次加圧してバッファタンク30に供給することができる。
【0061】
フィードポンプ20は、液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスを6〜8barに加圧してバッファタンク30に供給することができる。ここで、フィードポンプ20は、液化ガス貯蔵タンク10から排出される液化ガスを加圧するため、圧力及び温度が多少高くなることがあるが、加圧された液化ガスは依然として液体状態であることができる。
【0062】
このとき、フィードポンプ20は、液化ガス貯蔵タンク10の内部に備えられる場合は、潜水型ポンプであってもよく、液化ガス貯蔵タンク10の外部に設けられる場合は、液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスの水位より低い船体100の内部の位置に備えられてもよく、遠心型ポンプであってもよい。
【0063】
ブーストポンプ21は、液化ガス供給ラインL1上のバッファタンク30と気化器40の間に備えられてもよく、フィードポンプ20から供給された液化ガスまたはバッファタンク30から供給された液化ガスを50〜120barに加圧して気化器40に供給することができる。
【0064】
ブーストポンプ21は、第1需要先70が求める圧力に合わせて液化ガスを加圧することができ、遠心型ポンプからなってもよい。ここで、ブーストポンプ21は、船首部101の上甲板104の上側に備えられてもよい。
【0065】
バッファタンク30は、液化ガス供給ラインL1と連結され、液化ガス貯蔵タンク10から液化ガスの供給を受けて一時貯蔵することができる。
【0066】
具体的には、バッファタンク30は、液化ガス供給ラインL1を介してフィードポンプ20から液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスの供給を受けることができ、供給された液化ガスを一時貯蔵することにより、液化ガスを液相と気相に分離することができ、分離された液相は、ブーストポンプ21に供給されてもよい。
【0067】
即ち、バッファタンク30は、液化ガスを一時貯蔵して液相と気相を分離した後、完全な液相をブーストポンプ21に供給し、ブーストポンプ21が有効吸引ヘッド(NPSH)を満たすようにすることで、ブーストポンプ21における空洞現象(Cavitation)が防止できるようにする。
【0068】
また、バッファタンク30は、蒸発ガス供給ラインL6と連結されて液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスの供給を受けて一時貯蔵することができる。
【0069】
具体的には、バッファタンク30は、蒸発ガス供給ラインL6を介して蒸発ガス圧縮機80から液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスの供給を受けて一時貯蔵することができる。
【0070】
これにより、バッファタンク30は、液化ガス供給ラインL1から供給されて一時貯蔵された液化ガスと蒸発ガス供給ラインL6から供給されて一時貯蔵された蒸発ガスを互いに熱交換させて再凝縮させることができる。ここで、バッファタンク30は、圧力に耐えられる圧力容器状に形成されてもよく、6〜8バー(bar)または6〜15バー(bar)に耐えることができる。
【0071】
従って、バッファタンク30は、蒸発ガス圧縮機80及びフィードポンプ20を介して蒸発ガスと液化ガスを約6〜8bar(または6〜15barまでも可能)の圧力で供給を受けるため、低圧の蒸発ガスまたは液化ガスより再凝縮効率が向上し、上記圧力を保持した状態で再凝縮してブーストポンプ21に供給することで、ブーストポンプ21の圧縮負荷を下げる効果がある。
【0072】
このとき、バッファタンク30は、スプレー部31とパッキング部32を備えて、一時貯蔵されている液化ガスと蒸発ガスを効果的に再凝縮することができる。
【0073】
スプレー部31は、液化ガス供給ラインL1の末端部からバッファタンク30の内部に延長形成されてパッキング部32の上側に設けられてもよく、液化ガス供給ラインL1を介して供給される液化ガスをパッキング部32に噴射させることができる。
【0074】
スプレー部31は、液相の液化ガスを噴霧して液化ガスと蒸発ガスが接触する面積を増大させることができ、パッキング部32と類似する役割を遂行することができる。
【0075】
パッキング部32は、バッファタンク30内の中央に備えられてもよく、液化ガス供給ラインL1上から供給される液化ガスと蒸発ガス供給ラインL1上から供給される蒸発ガスが互いに接触する表面積が広くなるように、内部に砂利のような部材を形成することができる。即ち、パッキング部32は、内部に形成された砂利により多くの孔隙を形成し、この孔隙を介して液化ガスが流動しながら蒸発ガスと接触する面積が増大することができる。
【0076】
これにより、パッキング部32は、液化ガスと蒸発ガスの熱交換効率を増加させて再凝縮率を向上させることができる。
【0077】
ここで、バッファタンク30は、パッキング部32を基準として上側で液化ガス供給ラインL1と連結され、下側で蒸発ガス供給ラインL6と連結されて、液相と気相の流動性質を最大限利用することができる。また、バッファタンク30は、船首部101の上甲板104の上側に備えられてもよい。
【0078】
気化器40は、再気化ラインL2上に設けられてブーストポンプ21から排出される高圧の液化ガスを再気化させることができる。
【0079】
具体的には、気化器40は、第1需要先70とブーストポンプ21の間の再気化ラインL2上に設けられ、ブーストポンプ21から供給される高圧の液化ガスを気化させて第1需要先70が求める状態で供給することができる。
【0080】
気化器40は、熱源循環ラインL3を介して第1熱媒の供給を受けて液化ガスと熱交換させて液化ガスを気化させ、液化ガスと熱交換された第1熱媒を再び熱源循環ラインL3を介して循環させる。
【0081】
気化器40は、第1熱媒に熱源を継続的に供給するために、熱源循環ラインL3上に海水熱交換器41及びスチーム熱交換器61を備えてもよく、熱源ポンプ42をさらに備えて第1熱媒を熱源循環ラインL3に循環させることができる。
【0082】
このとき、気化器40は、液化ガスを気化させるための第1熱媒としてグリコールウォーター(Glycol Water)、海水(Sea Water)、スチーム(Steam)またはエンジン排気ガスなどの非爆発性熱媒を使用してもよく、高圧の気化された液化ガスを圧力変動なく第1需要先70に供給することができる。
【0083】
ここで、気化器40は、船首部101の上甲板104の上側に配置されてもよく、海水熱交換器41、スチーム熱交換器61及び熱源ポンプ42は、モジュール化されて船首部101内部の空間に配置されてもよい。
【0084】
例えば、海水熱交換器41、スチーム熱交換器61、及び熱源ポンプ42は、モジュール化されて船体100の内部側面、好ましくはエンジンルームERの内部に配置されてもよいが、好ましく、船首部101の内部空間に配置されることができる。
【0085】
よって、以下では、海水熱交換器41、スチーム熱交換器61及び熱源ポンプ42が船首部101の内部空間に配置される一例を基準に説明し、エンジンルームERの一側面または両側面に配置される一例は、図5図9を参照して説明する。
【0086】
海水熱交換器41とスチーム熱交換器61及び熱源ポンプ42は、船体100の内部空間を上下に区画する少なくとも1つのデッキによって上下に区画されてもよい。例えば、本発明の実施例では、船首部101の内部空間を第1デッキD1及び第2デッキD2で上下に区画しているが、これに限定されない。
【0087】
海水熱交換器41は、海水ラインL4及び熱源循環ラインL3上に設けられ、海水ラインL4を介して供給される海水と熱源循環ラインL3を介して供給される第1熱媒を互いに熱交換させ、第1熱媒に海水の熱源を伝達する機能を行うことができる。
【0088】
海水熱交換器41は、船首部101の内部空間のうち第1デッキD1上に設けられてもよく、海水流出口H2に隣接した位置に配置されてもよい。
【0089】
図1に示したように、従来のガス再気化システム1では、海水熱交換器41及び熱源ポンプ42が船体100の上甲板104の上側に配置されて海水ポンプ51と海水熱交換器41を連結する海水ラインL4が非常に長かった。海水ラインL4は、耐腐食性を有し、且つ直径の大きいパイプを使用しなければならないため、非常に高価であるが、上述したように、従来は海水ラインL4が非常に長くて、構築費用が莫大にかかるという問題があった。
【0090】
そこで、本発明の実施例では、海水熱交換器41を熱源ポンプ42とともにモジュール化して船首部101の内部空間のうち第1デッキD1上に配置し、特に海水流出口H2に隣接して配置させることで、海水ラインL4を画期的に減らしたため、構築費用を最小化する効果がある。
【0091】
このように、本発明の実施例では、第1熱媒として非爆発性熱媒を使用することで、第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)を船体100の内部に配置することが可能となり、また、第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)をモジュール化して構成することができ、コンパクト化されることによって、さらに第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)が船体100の内部に配置できるように具現した。
【0092】
また、本発明の実施例では、海水ラインL4上に備えられる海水ポンプ51をさらに含んでもよい。
【0093】
海水ポンプ51は、海水ラインL4を介して海水を海水熱交換器41に供給し、船首部101の内部空間のうち船底部105上に(好ましくは、海水流入口H1に隣接する位置)に配置されてもよい。
【0094】
図1に示したように、従来のガス再気化システム1は、海水ポンプ51がエンジンルームERに配置されて、海水ポンプ51と海水熱交換器41を連結する海水ラインL4が非常に長かった。従って、従来は、上述したように海水ラインL4が非常に長くて構築費用が莫大にかかるという問題点があった。
【0095】
そこで、本発明の実施例では、海水ポンプ51を船首部101の内部空間のうち船底部105上に配置し、特に海水流入口H1に隣接して配置させることにより、海水ラインL4を画期的に減らしたため、構築費用が最小する効果がある。
【0096】
スチーム熱交換器61は、スチームラインL5及び熱源循環ラインL3上に設けられて、スチームラインL5を介して供給されるスチームと熱源循環ラインL3を介して供給される第1熱媒を互いに熱交換させ、第1熱媒に海水の熱源をさらに伝達する機能を行うことができる。ここで、スチームは、海水の後に第1熱媒と熱交換してもよい。即ち、スチームは海水から供給される熱源が不足する場合、これを補うために次善の熱源を第1熱媒に供給することができる。
【0097】
スチーム熱交換器61は、船首部101の内部空間のうち第1デッキD1上に設けられてもよい。
【0098】
熱源ポンプ42は、熱源循環ラインL3上に設けられて、第1熱媒を熱源循環ラインL3上に備えられる海水熱交換器41及びスチーム熱交換器61に循環させることができる。
【0099】
熱源ポンプ42は、海水熱交換器41とモジュール化されて船首部101の内部空間に設けられてもよく、また、船首部101の内部空間のうち第2デッキD2上に配置されて、海水熱交換器41と第1デッキD1を介して上下に区画されて配置されてもよい。
【0100】
上述したように、本発明の実施例では、第1熱媒として非爆発性熱媒を使用し、また、第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)をモジュール化することにより、船体100の内部に配置できるように具現した。これに加えて、本発明の実施例において、第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)を船体100の内部に配置できるように、第1熱媒の循環流量を減らすために、図4に示すシステム配置及びライン構成を有する。
【0101】
以下では、図4を参照して上記ガス再気化システムの配置及び構成を詳細に説明する。
【0102】
図4は、本発明の実施例によるガス再気化システムを示す概念図である。
【0103】
ここで、気化器40は、再気化ラインL1上の第1熱交換器401及び第2熱交換器402からなってもよく、海水熱交換器41は、熱源循環ラインL3上の第1海水熱交換器411及び第2海水熱交換器412からなってもよく、スチーム熱交換器62は、熱源循環ラインL3上の第1ヒーター621及び第2ヒーター622からなってもよい。
【0104】
このとき、第1熱交換器401はトリムヒーター(trim heater)であり、気化された液化ガスを昇温する機能を行うことができ、第2熱交換器402はLNG気化器(LNG Vaporizer)であり、液相の液化ガスを気相の液化ガスに気化させる機能を行うことができる。また、第1ヒーター621及び第2ヒーター622は電気ヒーターであってもよい。
【0105】
また、本発明の実施例では、海水並列ラインL4a及びスチーム並列ラインL5aをさらに含んでもよく、海水並列ラインL4aは、海水ラインL4上で分岐されて第2海水熱交換器412と並列連結され、スチーム並列ラインL5aは、スチームラインL5上で分岐されて第2ヒーター622と並列連結されてもよい。
【0106】
図4を参照して、本発明の実施例によるガス再気化システム2の気化器40の構成を詳細に説明すると、第1熱交換器401、第1海水熱交換器411、第2熱交換器402、第2海水熱交換器412が熱源循環ラインL3上に順に設けられてもよい。ここで、第1ヒーター621は、熱源循環ラインL3上の第1海水熱交換器411と第2熱交換器402の間に備えられ、第2ヒーター622は、熱源循環ラインL3上の第2海水熱交換器412と第1熱交換器401の間に備えられる。ここで、海水は、スチームに優先して第1熱源を加熱することができる。
【0107】
本発明の実施例では、上記のような構成を順に配置することで、第1熱媒の流量を画期的に減らすとともに、液化ガスの気化率を保持することができるため、第1熱媒を使用する構成(熱源供給装置)を船体100の内部に配置できるように、実質的に実現する効果がある。
【0108】
また、本発明の実施例によるガス再気化システム2は、圧力保持装置94をさらに含んでもよい。
【0109】
圧力保持装置94は、熱源循環ラインL3上に流動する第1熱媒の圧力を保持することができ、不活性ガスを使用してこれを具現することができる。
【0110】
このように、本発明の実施例では、圧力保持装置94が不活性ガスを用いて第1熱媒の圧力を保持させるため、コンパクト化することができ、船体100の内部空間に配置可能となる効果がある。
【0111】
第2需要先61は、液化ガス貯蔵タンク10で発生する蒸発ガスの供給を受けて燃料として使用する。即ち、第2需要先61は蒸発ガスを必要とし、これを原料にして駆動されることができる。第2需要先61は発電機(例えば、DFDG)、ガス燃焼装置(GCU)、ボイラー(例えば、スチームを生成するボイラー)であってもよいが、これに限定されない。
【0112】
具体的には、第2需要先61は、蒸発ガス供給ラインL6上の蒸発ガス圧縮機80の下流で分岐される蒸発ガス分岐ラインL7と連結されて蒸発ガスの供給を受け、蒸発ガス圧縮機80により約1〜6bar(最大15bar)の低圧に加圧された蒸発ガスの供給を受けて燃料として使用することができる。
【0113】
また、第2需要先61は、異種燃料の使用可能な異種燃料エンジンであってもよく、蒸発ガスだけでなく、オイルを燃料として使用してもよいが、蒸発ガスとオイルが混合されて供給されず、蒸発ガスまたはオイルが選択的に供給されてもよい。これは燃焼温度の異なる2つの物質が混合されて供給されることを遮断し、第2需要先61の効率が低下することを防止するためである。
【0114】
ここで、第2需要先61は、船尾部103の内部に設けられるエンジンルームERのデッキD上に備えられてもよく、第2需要先61は、上述したスチーム熱交換器62とスチームラインL5を介して連結されてもよい。
【0115】
このとき、スチームラインL5は、船底部105に設けられる二重隔壁状のハル(Hull)の内部空間を介して、船尾部103に位置する第2需要先61と船首部101に位置するスチーム熱交換器62とを連結することができる。
【0116】
第1需要先70は、気化器40によって気化された液化ガスの供給を受けて消費することができる。ここで、第1需要先70は、液化ガスを気化させて気相の液化ガスの供給を受けて使用することができ、陸上に設けられる陸上ターミナルまたは海上に浮遊して設けられる海上ターミナルであってもよい。
【0117】
蒸発ガス圧縮機80は、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを加圧してバッファタンク30または第2需要先61に供給することができる。ここで、蒸発ガス圧縮機80は、コンプレッサールーム81内に配置されてもよく、コンプレッサールーム81の側部にはモータールーム82が配置されてもよい。
【0118】
具体的には、蒸発ガス圧縮機80は、蒸発ガス供給ラインL6上に設けられて、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを約6〜8barまたは6〜15barに加圧してバッファタンク30に供給するか、または第2需要先61に供給することができる。このとき、第2需要先61は、蒸発ガス供給ラインL6で分岐される蒸発ガス分岐ラインL7を介して蒸発ガスの供給を受けることができる。
【0119】
蒸発ガス圧縮機80は、複数個備えられて蒸発ガスを多段加圧することができ、例えば、蒸発ガス圧縮機80は、3つ備えられて蒸発ガスを3段加圧することができる。ここで、一例として挙げた3段圧縮機は1つの例に過ぎず、3段に限定されない。
【0120】
本発明の実施例では、蒸発ガス圧縮機80のそれぞれの後段には、蒸発ガス冷却器(不図示)が備えられてもよい。蒸発ガス圧縮機80によって蒸発ガスが加圧されると、圧力上昇により温度も上昇することがあるため、本実施例では、蒸発ガス冷却器を使用して蒸発ガスの温度を再び下げることができる。蒸発ガス冷却器は、蒸発ガス圧縮機80と同数設けられてもよく、それぞれの蒸発ガス冷却器は、それぞれの蒸発ガス圧縮機80の下流に設けられてもよい。
【0121】
また、本発明の実施例では、蒸発ガス圧縮機80が並列に備えられており、液化ガス貯蔵タンク10で発生する蒸発ガスの量が急激に上昇する場合、これをすべて収容することができ、または蒸発ガス圧縮機80の1つが誤作動を起こしたりシャットダウン(Shut down)する場合、残り1つの蒸発ガス圧縮機80が作動することができるため、液化ガス貯蔵タンク10で発生する蒸発ガスを効率的に収容し処理することができる。ここで、蒸発ガス圧縮機80は、船首部101の上甲板104の上側に備えられてもよい。
【0122】
このように、本発明によるガス再気化システムを備える船舶は、液化ガスの再気化効率が最大化される効果がある。
【0123】
図3は、本発明の他の実施例によるガス再気化システムを示す概念図である。
【0124】
図3に示したように、本発明の他の実施例によるガス再気化システム3は、液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第2需要先61、第1需要先70、蒸発ガス圧縮機80、蒸発ガス吸引ユニット90、第1及び第2加圧手段91、92、及び窒素分離器93を含む。
【0125】
以下では、図3を参照して、本発明の実施例によるガス再気化システム3を説明する。
【0126】
液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第1熱交換器41、第2熱交換器42、第2需要先61、第1需要先70、及び蒸発ガス圧縮機80は、本発明の実施例によるガス再気化システム2での説明と同一また類似するため、これに代える。
【0127】
本発明の実施例では、バイパスラインL8と蒸発ガス吸引ラインL9をさらに含んでもよい。それぞれのラインには、開度調節ができるバルブ(不図示)が設けられてもよく、各バルブの開度調節に応じて蒸発ガスまたは液化ガスの供給量が制御されてもよい。
【0128】
バイパスラインL8は、再気化ラインL2上の気化器40の下流、好ましくは第1熱交換器401の下流で分岐されて蒸発ガス吸引ユニット90をバイパスした後、第1需要先70の上流に連結されてもよい。
【0129】
バイパスラインL8は、蒸発ガス吸引ユニット90を駆動しない場合、気化器40によって再気化された液化ガスを第1需要先70に直接供給することができる。
【0130】
蒸発ガス吸引ラインL9は、蒸発ガス吸引ユニット90と液化ガス貯蔵タンク10を連結し、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを蒸発ガス吸引ユニット90に供給することができる。
【0131】
蒸発ガス吸引ユニット90は、再気化ラインL2上の気化器40の下流に設けられて液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを吸引する。
【0132】
具体的には、蒸発ガス吸引ユニット90は、再気化ラインL2上の気化器40の下流に設けられて、液化ガス貯蔵タンク10と蒸発ガス吸引ラインL9を介して連結され、再気化ラインL2を介して気化器40から供給される気化された液化ガスを駆動流体(Driving Fluid)として液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを蒸発ガス吸引ラインL9を介して吸引してから、混合して再び再気化ラインL2を介して第1需要先70に供給することができる。
【0133】
このとき、蒸発ガス吸引ユニット90は、50〜120barの圧力を有する気化された液化ガスの供給を受けて、1〜1.1barの圧力を有する液化ガス貯蔵タンク10の蒸発ガスを吸引して混合することができ、蒸発ガス吸引ユニット90は、エジェクター(Ejector)、エダクター(Eductor)またはジェットポンプ(jet pump)であってもよい。
【0134】
蒸発ガス吸引ユニット90に流入される気化された液化ガスは、50〜120bar(好ましくは100bar)の圧力を有し、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスは、1.00bar〜1.10bar(好ましくは約1.06bar)の圧力を有する。
【0135】
蒸発ガス吸引ユニット90は、駆動流体として気化器40で再気化された液化ガスの供給を受け、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを吸引して混合するが、このとき、駆動流体が有する運動エネルギーは混合流体全体の運動エネルギーに変換され、蒸発ガス吸引ユニット90のノズル(符号不図示)の断面が拡大される末端部分で混合流体の速度が低下するにつれて混合流体の運動エネルギーは再び圧力に変換するようになる。
【0136】
このため、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスは、駆動流体の流入圧力である50〜120barの圧力よりも低い圧力の混合流体を得るようになる。該当圧力では第1需要先70で消費できないため、別途の加圧手段によりさらに加圧してから、第1需要先70に供給しなければならず、ここで、別途の加圧手段は、後述する第2加圧手段92である。
【0137】
ここで、駆動流体の圧力は高圧であるため、少量の流体でも吸引流体の圧力を容易に上昇させることができる。
【0138】
このように、本発明の実施例によるガス再気化システム3は、蒸発ガス吸引装置90を介して液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスを処理するため、蒸発ガスを再凝縮させる別途の再凝縮器を構築する必要がなくなり、構築費用が節減され、システムがコンパクト化されて信頼性が向上する効果がある。
【0139】
第1加圧手段91は、再気化ラインL2上の蒸発ガス吸引ユニット90と気化器40との間に備えられ、気化器40から吐出される気化された液化ガスを加圧することができる。このとき、第1加圧手段91は気体を加圧する手段であり、例えば、圧縮機であってもよい。
【0140】
具体的には、第1加圧手段91は、再気化ラインL2上の蒸発ガス吸引ユニット90とバイパスラインL8の分岐点との間に配置され、気化器40から気化された液化ガスを120bar以上に加圧して蒸発ガス吸引ユニット90に供給することができる。
【0141】
即ち、第1加圧手段91は、気化器40で損失された圧力を補償して蒸発ガス吸引ユニット90に供給するとともに、液化ガス貯蔵タンク10で発生した蒸発ガスの吸引量に応じて気化された液化ガスの圧力をさらに増大させることができるため、蒸発ガスの効率的な処理が可能となる効果がある。
【0142】
第2加圧手段92は、再気化ラインL2上の蒸発ガス吸引ユニット90と第1需要先70との間に備えられ、蒸発ガス吸引ユニット90から吐出される混合流体(気化した液化ガスと蒸発ガスの混合)を加圧することができる。このとき、第2加圧手段92は気体を加圧する手段であり、例えば、圧縮機であってもよい。
【0143】
具体的には、第2加圧手段92は、再気化ラインL2上の窒素分離器93とバイパスラインL8の連結点との間に配置され、蒸発ガス吸引ユニット90から吐出される混合流体を50〜120barに加圧して第1需要先70に供給することができる。
【0144】
即ち、第2加圧手段92は、蒸発ガス吸引ユニット90で損失された圧力を補償して第1需要先70に供給することができ、第1需要先70が求める圧力に適切に合わせることができる効果がある。
【0145】
窒素分離器93は、再気化ラインL2上の蒸発ガス吸引ユニット90と第2加圧手段92との間に備えられ、蒸発ガス吸引ユニット90から吐出される混合流体(気化された液化ガスと蒸発ガスの混合)内の窒素成分を分離して除去することができる。
【0146】
分離された窒素は、船体100内で窒素を消費する窒素需要先(不図示)に供給されてもよく、例えば、圧力保持装置94に供給して第1熱媒の圧力を保持するのに用いられてもよい。
【0147】
上記図2図4で説明した実施例において、再気化ユニットルーム1000の下側には、カーゴスイッチボードルーム1001(Cargo SWBD room)が配置されてもよく、上甲板104上にはベントマストVが配置されてもよく、エンジンルームERの上側の上甲板104上には、船室C及び煙突Chが配置されてもよい。
【0148】
図5は本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを備える船舶の概念図で、図6は本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを示す概念図で、図7は本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システムを詳細に示す概念図であり、図8は本発明の一実施例によるグリコールウォーター循環装置を示す概念図である。
【0149】
図5図8に示したように、本発明のさらに他の実施例によるガス再気化システム4は、液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第2需要先61、第1需要先70、蒸発ガス圧縮機80を含む。
【0150】
上記図2図4で説明した実施例では、海水熱交換器41、スチーム熱交換器62、及び熱源ポンプ42がモジュール化されて船体100の内部側面のうち船首部101の上甲板104の下側、即ち、船首部101の内部空間に配置される技術について説明した。以下では、図5図8を参照して、海水熱交換器41、スチーム熱交換器61、及び熱源ポンプ42がエンジンルームERの内部に配置される発明について説明する。
【0151】
図5図8に示した構成のうち言及していない構成は、図2図4で説明したガス再気化システム2、3を含む船舶と同一であるため、図2図4での説明に代える。但し、図5図8で説明する実施例は、図2図4で説明したガス再気化システム2、3を含む船舶とは下記2点において相違する。
【0152】
まず、図2図4で説明したガス再気化システム2、3を含む船舶では、ブーストポンプ21、再凝縮器30、及び気化器40が収容される再気化ユニットルーム1000が船首部101の上甲板104上に配置されるが、図5図8に示したガス再気化システム4では、ブーストポンプ21、再凝縮器30、及び気化器40が収容される再気化ユニットルーム2000が船体の中央に配置される点(第1相違点−ガス再気化システムの配置位置の違い)で相違し、図2図4で説明したガス再気化システム2、3を含む船舶では、海水熱交換器41、スチーム熱交換器61、及び熱源ポンプ42などの中間熱媒供給装置の構成が船首部101の上甲板104の下側、即ち、船首部101の内部に配置されるが、図5図8で説明するガス再気化システム4を含む船舶では、船尾部103の内部(好ましくは、エンジンルームERの内部)に配置される点(第2相違点−中間熱媒供給装置の配置位置の違い)で相違する。
【0153】
以下では、図5図8を参照して、上記相違点を中心に詳細に説明する。
【0154】
液化ガス貯蔵タンク10、フィードポンプ20、ブーストポンプ21、バッファタンク30、気化器40、第1熱交換器41、第2熱交換器42、第1需要先70、及び蒸発ガス圧縮機80は、本発明の実施例及び他の実施例によるガス再気化システム2、3での説明と同一または類似するため、これに代える。
【0155】
本発明の実施例では、グリコールウォーター貯蔵タンク43、エクスパンションタンク44、再気化ユニットルーム2000、カーゴスイッチボードルーム2001(Cargo SWBD room)、トランスファールームTR、コンバートルームCVTをさらに含んでもよい。
【0156】
ここで、トランスファールームTR及びコンバートルームCVTは、第3デッキD4(3rd deck)上に配置されてもよく、カーゴスイッチボードルーム2001(Cargo SWBD room)は、船室C内に配置されてもよく、船室Cは、図2図4の実施例によるガス再気化システム2、3を含む船舶において配置される船室に比べて高さが低く形成されてもよい。
【0157】
本発明の実施例では、エンジンルームER内に既存設けられていたボイラー(不図示)を除去し、海水熱交換器41、熱源ポンプ42、グリコールウォーター貯蔵タンク43などの中間熱媒供給装置がエンジンルームER内のエンジンEの前方に配置されてもよい。
【0158】
ボイラーが除去されることにより、第4デッキD5(4th deck)においてエンジンEが船尾方向に移動する空間が確保され、また、これにより、エンジンEの前方に海水熱交換器41、熱源ポンプ42、グリコールウォーター貯蔵タンク43などの中間熱媒供給装置が配置される空間が確保される。このため、中間熱媒供給装置に非爆発性熱媒を使用することにより、船内に配置することができ、船内のエンジンルームER内に配置することができるため、上甲板104上の空間を多く確保することができる。従って、船舶の空間活用性が増大する効果がある。
【0159】
このとき、エンジンEはDFDEで、プロペラ軸Sに直結される方式ではないモーター(不図示)によって連結される方式であってもよい。
【0160】
ここで、海水熱交換器41は4台設けられ、全てが第4デッキD5(4th deck)に配置されてもよく、海水ポンプ51はフロアD6(floor)上に配置されてもよい。このため、海水ポンプ51と海水熱交換器41の高さの差が減少し、海水ポンプ51の水頭が減ってOPEXが減る効果がある。
【0161】
また、海水熱交換器41は、エンジンルームER内の第4デッキD5(4th deck;)に配置されるとき、海水面上または海水面より低く配置されてもよい。これにより、海水熱交換器41から排出される海水の排出ラインが短く形成されることができ、海水を外部に排出する際に発生する真空現象を防止する効果がある。
【0162】
本発明の実施例において、グリコールウォーター貯蔵タンク43は、中間熱媒供給装置(好ましくは、海水熱交換器41)の修理のために、一時的にグリコールウォーターを貯蔵するタンクであって、フロアD6(floor)上に配置されてもよい。
【0163】
即ち、グリコールウォーター貯蔵タンク43は、海水熱交換器41の下側に配置されることにより、中間熱媒供給装置の修理時のグリコールウォーターの排水のための別途の搬送ポンプを構築する必要がなくなり、構築費用が低減される効果がある。
【0164】
また、本発明の実施例では、熱源循環ラインL3が上甲板104を貫通して気化器40に連結される場合、エンジンルームERの前方に形成されるコファダム106を経由して連結されてもよい。
【0165】
具体的には、熱源循環ラインL3がエンジンルームERからコファダム106方向にコファダム106を水平に貫通してコファダム106内に入り、コファダム106内で垂直に上昇した後、コファダム106上の上甲板104を貫通して再気化ユニットルーム2000内の気化器40に連結されてもよい。このとき、コファダム106の一番下の方に漏れたグリコールウォーターを収集する収集装置(不図示)が配置されてもよい。
【0166】
これにより、熱源循環ラインL3が上甲板104を貫通するとき、別途の換気システムを構築する必要がなく、構築費用が低減される効果がある。
【0167】
本発明の実施例では、図6及び図7に示したように、4つのスキッドからなる気化器40と海水熱交換器41及び熱源ポンプ42と連結されるそれぞれの熱源供給ラインL3が1つのコモンライン(common line)からなってもよい。このとき、気化器40は、第1〜第4トレイン401a〜401d上に第1〜第4気化器スキッド401〜404が設けられ、それぞれの第1〜第4スキッド401〜404に熱源供給ラインL3で分岐されるそれぞれの分岐された熱源供給ラインL3a〜L3dが連結されてもよい。
【0168】
即ち、従来では、熱源供給ラインL3が4つのスキッドからなる気化器40のそれぞれに連結される場合、上甲板104に8つ(引入ラインと引出ライン)が貫通するため、上甲板104の耐久性が弱くなるが、本発明の実施例では、コモンラインからなる熱源供給ラインL3の2つのみが上甲板104を貫通して形成されるため、上甲板104の耐久性が向上する効果があり、熱源が漏れる可能性が減少してシステムの信頼性が向上する効果がある。
【0169】
このとき、熱源供給ラインL3は並列に追加ラインを構築してもよく、これにより、1つの熱源供給ラインL3が収容できるグリコールウォーターの流量を十分に確保することができる。この場合、上甲板104を貫通するラインは4つであってもよい。
【0170】
本発明の実施例では、図8に示したように、中間熱媒供給配置がエクスパンションタンク44、海水熱交換器41、熱源ポンプ42、気化器40の順に配置されてもよい。従来では、エクスパンションタンク44、熱源ポンプ42、海水熱交換器41、気化器40の順に配置されたが、図8に示したように中間熱媒供給装置が配置されることにより、海水熱交換器41の許容圧力が低下して、海水熱交換器41の構築費用が低減される効果がある。
【0171】
ここで、海水熱交換器41はPCHE方式の熱交換器であってもよく、海水熱交換器41に流入されるグリコールウォーターの圧力は約2.5barで、海水熱交換器41から熱源ポンプ42に流入されるグリコールウォーターの圧力は約0.5barであり、熱源ポンプ42から吐出されるグリコールウォーターの圧力は約15barであってもよい。このとき、海水熱交換器41に流入される海水の圧力は約2〜3barであってもよい。
【0172】
図9は、本発明の海水供給装置の概念図である。
【0173】
図9に示したように、海水供給装置には、海水が流入されるシーチェストSC1〜SC3、海水ポンプ51が備えられる。図9の海水供給装置は、図2図4におけるガス再気化システム2、3を含む船舶だけでなく、図5図8におけるガス再気化システム4を含む船舶にも適用されることができる。
【0174】
従来の海水供給装置は、海水が流入されるシーチェスト(Sea Chest)が船体の一番下の一側面のみに配置されため、ガス再気化システムから排出される海水の温度によって高温の海水が流入される恐れがあった。
【0175】
当該問題点を解決すべく、本実施例による海水供給装置は、シーチェストSC1〜SC3を船体の一番下の両側面に配置させ、第1シーチェストSC1(Sea Chest 1)及び第2シーチェストSC2(Sea Chest 2)から海水が流入されるときには、船体の左側面から海水が排出されるように(図上の左排出)制御し、第3シーチェストSC3(Sea Chest 3)から海水が流入されるときには、船体の右側面から海水が排出されるように(図上の右排出)制御することにより、シーチェストSC1〜SC3に流入される海水の温度を一定に確保することができる効果がある。
【0176】
また、本発明の実施例では、右側のシーチェストSC1、SC2を第1シーチェストSC1(Sea Chest 1)及び第2シーチェストSC2(Sea Chest 2)の2つに分けて構築することができる。この場合、シーチェストに流入される海水の温度をさらに一定に確保することができる効果がある。
【0177】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的な思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、その変形や改良が可能であることは明らかである。
【0178】
本発明の単純な変形乃至変更は全て本発明の範囲に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明確になるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9