(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させて前記レーザヘッドから出射するレーザ光により前記ワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機の制御装置であって、
前記製品同士の間または前記製品と前記ワーク端部との間に形成される残部に応じて、前記残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれてバネ状に形成される交差部分を含む切り込み部を前記ワークに形成させる、レーザ加工機の制御装置。
2つの前記製品から前記延長部分が平行して切り込まれる場合、それぞれの前記交差部分は、前記延長部分に沿って交互に配置される、請求項2または請求項3記載のレーザ加工機の制御装置。
ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させて前記レーザヘッドから出射するレーザ光により前記ワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機の制御装置であって、
前記製品同士の間または前記製品と前記ワーク端部との間に形成される残部に応じて、前記製品の外周から延びて切り込まれる延長部分、および前記残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれる交差部分、のうち少なくとも一方を含む切り込み部を前記ワークに形成させ、
前記ワークの材質、厚さ、前記残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて前記切り込み部を形成するか否かを判定する判定部を備える、レーザ加工機の制御装置。
前記判定部により前記切り込み部の形成を判定した場合、先に取得した加工プログラムに対して前記切り込み部を追加、または加工プログラムの修正を行う、請求項5記載のレーザ加工機の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1枚のワークからできるだけ多くの製品を取得して歩留りを向上させるため、ワーク中の製品同士をできるだけ近づけて設定することが行われている。これにより、製品間の残部(サン)の幅が狭くかつ長くなる場合があり、このような残部は、熱密度の高いレーザ光の熱を受けた後に冷却されて長手方向に収縮してしまう。その結果、製品の周りの狭い隙間を消失させ、製品が残材に強く把持されて、製品を下方に押し付けても残材から容易に切り離すことができないといった問題がある。また、上記した特許文献1のように製品を下方に押し付けることなく、残材を持ち上げることで製品を残材から容易に切り離し可能とすることが望まれている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、残部が収縮した場合であっても残材による製品の把持を解消または軽減することにより、製品を残材から容易に切り離すことが可能なレーザ加工機の制御装置、レーザ加工機、加工プログラム生成装置、加工プログラム生成方法、及びワーク加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機の制御装置であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、
残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれ
てバネ状に形成される交差部分
を含む切り込み部をワークに形成させる。
【0007】
また、
切込み部は、前記製品の外周から延びて切り込まれる延長部分を含み、交差部分は、延長部分の一部から切り込まれてもよい。また、延長部分は、残部の長手方向に沿うように製品の角部を構成する一方の片部から延びるように切り込まれてもよい。また、2つの製品から延長部分が平行して切り込まれる場合、それぞれの交差部分は、延長部分に沿って交互に配置されてもよい。また、
本発明は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させて前記レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機の制御装置であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、製品の外周から延びて切り込まれる延長部分、および残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれる交差部分、のうち少なくとも一方を含む切り込み部をワークに形成させ、ワークの材質、厚さ、残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて切り込み部を形成するか否かを判定する判定部を備え
る。また、判定部により切り込み部の形成を判定した場合、先に取得した加工プログラムに対して切り込み部を追加、または加工プログラムの修正を行ってもよい。
【0008】
また、本発明は、ワークに対して相対的に移動しかつレーザ光を出射してワークを切断するレーザヘッドと、上記した制御装置と、を備えるレーザ加工機が提供される。
【0009】
また、本発明
の態様に係る加工プログラム生成装置は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機に対して、加工処理を実行させる加工プログラムを生成する装置であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれてバネ状に形成される交差部分を含む切り込み部をワークに形成させる加工プログラムを生成する。
また、本発明
の態様に係る加工プログラム生成装置は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機に対して、加工処理を実行させる加工プログラムを生成する装置であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、製品の外周から外側に延びて切り込まれる延長部分、および残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれる交差部分、のうち少なくとも一方を含む切り込み部をワークに形成させる加工プログラムを生成し、ワークの材質、厚さ、残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて切り込み部を形成するか否かを判定する判定部を備える。
【0010】
また、本発明
の態様に係る加工プログラム生成方法は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機に対して、加工処理を実行させる加工プログラムを生成する方法であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、
残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれてバネ状に形成される交差部分を含む切り込み部をワークに形成させること、を含む。
また、本発明
の態様に係る加工プログラム生成方法は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成するレーザ加工機に対して、加工処理を実行させる加工プログラムを生成する方法であって、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、製品の外周から外側に延びて切り込まれる延長部分、および残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれる交差部分、のうち少なくとも一方を含む切り込み部をワークに形成させることと、ワークの材質、厚さ、残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて切り込み部を形成するか否かを判定することと、を含む。
【0011】
また、本発明は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成することと、
製品同士の間または
製品と
ワーク端部との間に形成される残部に応じて、
残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれ
てバネ状に形成される交差部分
を含む切り込み部をワークに形成することと、を含む、ワーク加工方法が提供される。
また、本発明は、ワークとレーザヘッドとを相対的に移動させてレーザヘッドから出射するレーザ光によりワークの一部を切断して製品を形成することと、製品同士の間または製品とワーク端部との間に形成される残部に応じて、製品の外周から外側に延びて切り込まれる延長部分、および残部の長手方向に対する交差方向に切り込まれる交差部分、のうち少なくとも一方を含む切り込み部をワークに形成することと、ワークの材質、厚さ、残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて切り込み部を形成するか否かを判定することと、を含む、ワーク加工方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレーザ加工機の制御装置によれば、切断時のレーザ光によって熱を受けた残部が収縮した場合であっても切り込み部の延長部分が伸びること、または交差部分が開くことにより残材による製品の把持を解消または軽減し、製品を残材から容易に切り離すことができる。従って、製品を押し付けつつ残材を持ち上げたときに容易に製品を残材から切り離すことができる。さらに、製品と残材との隙間が確保されるので、残材を持ち上げただけで製品を残材から切り離すことが可能となる。
【0013】
また、交差部分が、延長部分の一部から切り込まれる場合、延長部分及び交差部分の双方によって、残材による製品の把持を効率よく解消または軽減できる。また、切り込み部の延長部分を、残部の長手方向に沿うように製品の角部を構成する一方の片部から延びるように形成させる場合、残部の収縮によって製品の角部が把持されるのを防止できる。また、2つの製品から延長部分が平行して切り込まれる場合、それぞれの交差部分が、延長部分に沿って交互に配置されてバネ状に形成されるものでは、バネ状の部分が伸びることで残部の収縮を許容するため、残材が製品を把持するのを防止できる。また、ワークの材質、厚さ、残部の長さ、幅のうち少なくとも1つに基づいて切り込み部を形成するか否かを判定する判定部を備える場合、判定部によって必要な個所に切り込み部を形成するので、効率よく切り込み部を形成することができる。また、判定部により切り込み部の形成を判定した場合、先に取得した加工プログラムに対して切り込み部を追加、または加工プログラムの修正を行うものでは、レーザ加工機において加工プログラムを変更するので、別の装置等で加工プラグラムを変更する必要がなく、オペレータの手間を省くことができる。
【0014】
また、本発明のレーザ加工機によれば、上記した制御装置を備えるので製品を残材から容易に切り離し可能なレーザ加工機を提供することができる。
【0015】
また、本発明の加工プログラム生成装置及び加工プログラム生成方法によれば、レーザ加工機に提供可能な加工プログラムとして、製品を残材から容易に切り離し可能な加工プログラムを生成することができる。
【0016】
また、本発明の加工方法によれば、製品を残材から容易に切り離すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0019】
<レーザ加工機>
図1は、実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御装置の一例を示す図である。このレーザ加工機1は、レーザヘッド2からレーザ光Lを出射してワークWを切断可能である。
図1に示すように、レーザ加工機1は、レーザヘッド2、レーザ光源3、ヘッド移動装置4、及び制御装置5を含んでいる。
【0020】
レーザヘッド2は、不図示の光ファイバなどの光伝送体を介してレーザ光源3に接続されており、レーザ光源3からのレーザ光Lを収束しつつノズル2aから下方(−Z方向)に出射する。レーザヘッド2は、ワークW上でレーザ光Lを収束させ、所定径(例えば直径0.2mmなど)のスポットSとなるように不図示の光学系を有している。レーザ光LのスポットSの径は、ワークWの切断等の加工条件に応じて設定される。ノズル2aからはワークWの加工時に、レーザ光Lとともにアシストガスを射出してもよい。また、ノズル2aは、交換可能であってもよい。
【0021】
ヘッド移動装置4は、レーザヘッド2をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる。ヘッド移動装置4は、例えば、X方向に移動可能なガントリと、ガントリに対してY方向に移動可能なスライダと、スライダに対してZ方向に移動可能な昇降部と、で構成され、それぞれの駆動源を駆動することによりレーザヘッド2をX方向、Y方向、及びZ方向の所定位置に移動させる。ただし、ヘッド移動装置4の構成はこれに限定されず、ロボットアームとうにより行ってもよい。
【0022】
制御装置5は、レーザ光源3及びヘッド移動装置4の動作を制御する。制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、不図示の主記憶装置や補助記憶装置などの記憶装置とを有している。記憶装置には、例えば加工プログラム等の各種プログラムや、ワークWの加工条件など、各種情報が格納されている。制御装置5は、記憶装置等から加工プログラム読み出し、この加工プログラムに従ってレーザヘッド2やヘッド移動装置4を動作させることにより、レーザ光でワークWの一部を切断して製品を形成させる。加工プログラムは、製品の寸法に沿うようなレーザヘッド2の移動経路や移動速度の他に、例えば、ワークWの材質や厚さなどの加工条件に応じたレーザ光の出力、アシストガスの噴出量などの動作も含む。また、加工プログラムは、後述する切り込み部10A、10Bを形成するためのレーザヘッド2の移動経路等も含んでいる。
【0023】
本実施形態では、説明を容易にするため、複数の矩形状の製品M1、M2を形成する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、ワークW中に単一の製品が形成されてもよいし、矩形とは異なる形状の製品が形成されてもよい。なお、上記ではワークWに対してレーザヘッド2が移動する構成を説明したがこれに限定されず、レーザヘッド2を固定してワークWを移動させるものや、レーザヘッド2及びワークWの双方が移動するものなど、ワークWとレーザヘッド2とが相対的に移動する任意の構成が適用可能である。
【0024】
ワークWは、不図示のパレット等に載置された状態でレーザ加工機1の加工領域に搬入される。ワークWは、パレットに載置されたままレーザ光Lにより切断加工された後、パレットに載置されたままレーザ加工機1から搬出される。このパレットとしては、例えば、鋸歯状、波形状、または剣山状の上端部にワークWを載置した状態で搬送可能なものが用いられる。なお、このようなパレットの動作についても制御装置5によって制御してもよい。
【0025】
図1に示すように、ワークWを切断して矩形状の製品M1、M2を形成することにより、製品M1と製品M2との間に残部Rが形成される。残部Rは、製品M1、M2がワークWから切り取られた残材の一部である。本実施形態では、残部Rは、例えばY方向の幅が狭くかつX方向に長手となるが、これらはワークW中に形成する製品によって決定され、幅が狭くかつX方向と異なる方向に長手となるように形成される場合もある。また、切り取られた製品M1、M2は、スポットSに対応する幅(例えば約0.2mm程度)の隙間Cによって囲まれた状態となる。
【0026】
制御装置5は、製品M1、M2の外周から外側に延びる切り込み部10A及び10BをワークWに形成させることができる。切り込み部10A及び10Bは、例えば、製品M1、M2からX方向に延びて直線状に切り込まれた延長部分11A、11Bと、この延長部分11A、11Bの一部から交差方向(例えばY方向)に切り込まれた直線状の交差部分12A、12Bと、を含む。
【0027】
制御装置5は、残部Rの長手方向(X方向)に沿うように切り込み部10A、10Bを形成させることができる。例えば、制御装置5は、製品M1の角部M1aを構成する2つの片部M1b、M1cのうち一方の片部M1bからX方向に延びるように切り込み部10Aを形成させてもよい。また、制御装置5は、製品M2の角部M2aを構成する2つの片部M2b、M2cのうち一方の片部M2bからX方向に延びるように切り込み部10Bを形成させてもよい。また、制御装置5は、製品M1、M2から延長部分11A、11Bが平行する場合、それぞれの交差部分12A、12Bが延長部分11A、11Bに沿って交互に配置されてバネ状となるように交差部分12A、12Bを形成させてもよい。
【0028】
制御装置5は、判定部6を有している。判定部6は、ワークWに切り込み部10A等を形成するか否かを判定する。この判断は、例えばワークWの材質、厚さ、残部Rの長さ(長手方向の寸法)、幅(短手方向の寸法)のうち少なくとも1つに基づいて行う。また、制御装置5は、判定部6が切り込み部10A等を形成すると判定する場合、切り込み部10A等の形状や寸法について、ワークWの材質や厚さの情報から演算して求めてもよいし、または、予め記憶装置に記憶していた形状や寸法を選択して適用してもよい。
【0029】
図2は、制御装置5の動作の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、制御装置5は、加工プログラムを読み込む(ステップS01)。この加工プログラムは、予め記憶装置に記憶されたものでもよいし、上位コントローラ(
図9の上位コントローラ200参照)から無線または有線により送られるものでもよい。また、USBメモリ等の記憶媒体に格納された加工プログラムを読み出してもよい。次に、読み出した加工プログラムに基づいて、判定部6は、ワークWの材質、厚さ、残部Rの長さ(長手方向の寸法)、幅(短手方向の寸法)を参照して切り込み部を形成するか否かを判定する(ステップS02)。
【0030】
例えば、判定部6は、所定材質(例えば鉄やアルミなど)のワークWが所定厚さ(例えば3mmや5mmなど)である場合、残部Rの幅(製品M1と製品M2との間隔)が所定値(例えば1cmや2cmなど)より小さくなり、かつ、その残部Rの長手方向の長さが所定値(例えば10cや20cmなど)より大きいときは、残部Rの収縮により製品M1または製品M2の把持が生じるとして切り込み部が必要と判断する。ただし、判定部6によるこの判断は一例であり、他の手法によって判断してもよい。また、判定部6により判断するか否かは任意であり、制御装置5は、残部Rについて判断することなく、加工プログラムで読みだした製品M1等に対して一律に切り込み部を加えるように制御してもよい。
【0031】
切り込み部が必要と判定した場合(ステップS02のYES)、制御装置5は、加工プログラムに切り込み部を形成する工程を追加する(ステップS03)。制御装置5は、例えばワークWの材質、厚さ、残部Rの幅や長さに基づいて、どのような形状の切り込み部を形成するかを設定する。切り込み部の形状として、上記の切り込み部10A、10Bの他に複数種類の形状を予め記憶させておき、これら複数種類の形状の中から選択するようにしてもよい。また、切り込み部の寸法や形状を演算により求めてもよい。また、ステップS03では加工プログラムに切り込み部を追加することに限定されない。例えば、製品とともに切り込み部を含めてレーザヘッド2を動作させるように、加工プログラムを修正してもよい。なお、切り込み部が不要と判定した場合(ステップS02のNO)、加工プログラムに切り込み部を追加、または加工プログラムの修正は行わない。
【0032】
制御装置5は、設定された加工プログラムを実行し、レーザヘッド2を動作させてワークWの切断加工を開始させる(ステップS04)。なお、制御装置5は、レーザ加工機1を統括制御してもよく、この場合、レーザ加工機1の加工領域に対するワークWの搬入または搬出などの動作も併せて制御する。
【0033】
以下、制御装置5が切り込み部の形成を必要と判断し、上記の切り込み部10A、10Bを加工プログラムに追加した場合、または加工プログラムを修正した場合を例に挙げてワークWの加工方法について説明する。
図3は、ワークWの加工方法の一例を示すフローチャートである。
図4及び
図5は、レーザ加工機1によるワークWの動作過程の一例を示す平面図である。なお、
図3〜
図5に示すものはワークWの加工方法の一例を示しており、製品の形状や、ワークWを切断する順序を限定するものではない。
【0034】
まず、
図3に示すように、ワークWのうち製品M1の周囲が切断される(ステップS11)。ステップS11では、レーザヘッド2からレーザ光Lが出射し、ワークW上にスポットSが形成される。そして、レーザヘッド2が移動させ、スポットSがワークW上を移動することにより、スポットSによりワークWが切断される。
【0035】
図4(a)に示すように、まずスポットSがワークW上の所定の始点P1に配置される。その後、スポットSが始点P1から−Y方向に移動することで、Y方向に沿った直線状の隙間C1が形成される。次に、隙間C1の−Y側端部からスポットSが+X方向に移動することで、X方向に沿った直線状の隙間C2が形成される。続いて、隙間C2の+X側端部からスポットSが+Y方向に移動することで、Y方向に沿った直線状の隙間C3が形成される。そして、隙間C3の+Y側端部からスポットSが−X方向に移動することで、X方向に沿った直線状の隙間C4が形成される。この隙間C4が隙間C1に接続されることにより、4つの直線状の隙間C1〜C4で囲まれた状態で矩形の製品M1が形成される。なお、隙間C1〜C4は、それぞれ製品M1の寸法に応じて予め設定された長さに形成される。また、製品M1には、角部M1aや、この角部M1aを形成する2つの片部M1b、M1cが形成される。
【0036】
次に、
図3に示すように、延長部分11Aの切り込みが行われる(ステップS12)。ステップS12では、隙間C4が形成された直後の位置からスポットSがそのまま−X方向に移動する。これにより、
図4(b)に示すように、製品M1の角部M1aを構成する2つの片部M1b、M1cのうちX方向に沿った片部M1bから−X方向に延びるように延長部分11Aが形成される。延長部分11Aは、後の工程で形成される残部Rの長手方向に沿って形成される。
【0037】
次に、
図3に示すように、交差部分12Aの切り込みが行われる(ステップS13)。ステップS13では、スポットSがY方向に移動する。この場合、
図5(a)に示すように、例えば、延長部分11Aの+Y側から延長部分11Aに向けて−Y方向にスポットSが移動してもよいし、延長部分11Aから+Y方向に向けてスポットSを移動させてもよい。また、2本の交差部分12Aを形成する場合、左側(+X側)または右側(−X側)のいずれを先に形成するかは任意である。
【0038】
次に、
図3に示すように、製品M1の隣の製品M2に関する交差部分12Bの切り込みが行われる(ステップS14)。ステップS14では、ステップS13と同様、スポットSがY方向に移動する。この場合、
図5(b)に示すように、例えば、スポットSが+Y方向に移動してもよいし、−Y方向に移動してもよい。ただし、交差部分12Bの−Y側の端部は、延長部分11Aに接続しないように切り込まれている。また、2本の交差部分12Bを形成する場合、左側(+X側)または右側(−X側)のいずれを先に形成するかは任意である。
【0039】
また、ステップS13及びステップS14については、先に交差部分12Aを形成し、次に交差部分12Bを形成することに限定されない。例えば、交差部分12Aと交差部分12Bとを1つずつ交互に形成してもよい。また、交差部分12A及び交差部分12Bの本数は任意であり、それぞれ1本ずつでもよく、また3本以上であってもよい。また、交差部分12Aと交差部分12Bとで同数であることに限定されず、例えば交差部分12Aが2本で交差部分12Bが1本など、異なってもよい。
【0040】
次に、
図3に示すように、製品M2に関する延長部分11Bの切り込みが行われる(ステップS15)。ステップS15では、
図6(a)に示すように、スポットSがワークW上の予め設定された始点P2に配置され、その後スポットSが+X方向に向けて移動する。これにより、X方向に沿った延長部分11Bが形成される。また、スポットSが+X方向に移動する際に、交差部分12Bの+Y側端部を通過することで交差部分12Bと延長部分11Bとが接続される。この延長部分11Bは、後の工程で形成される製品M2の角部M2aを構成する2つの片部M2b、M2cのうちX方向に沿った片部M2bから−X方向に延びた状態となる。また、延長部分11Bは、後の工程で形成される残部Rの長手方向に沿って形成される。
【0041】
次に、
図3に示すように、製品M2の周囲が切断される(ステップS16)。ステップS16では、まず、延長部分11Bが形成された直後の位置からスポットSがそのまま+X方向に移動することで、X方向に沿った直線状の隙間C5が形成される。次に、隙間C5の+X側端部からスポットSが+Y方向に移動することで、Y方向に沿った直線状の隙間C6が形成される。続いて、隙間C6の+Y側端部からスポットSが−X方向に移動することで、X方向に沿った直線状の隙間C7が形成される。そして、隙間C7の−X側端部からスポットSが−Y方向に移動することで、Y方向に沿った直線状の隙間C8が形成される。この隙間C8が隙間C5に接続されることにより、4つの直線状の隙間C5〜C8で囲まれた状態で矩形の製品M2が形成される。また、製品M2には、角部M2aや、この角部M2aを形成する片部M2b、M2cが形成される。そして、製品M1と製品M2との間には、残部Rが形成される。
【0042】
以上により、ワークW中に製品M1、M2が形成され、この製品M1、M2から外側に延びた状態で切り込み部10A、10Bが形成される。切り取られた製品M1、M2の周りは、それぞれスポットSの径に応じた狭い隙間C1〜C4、C5〜C8によって囲まれた状態となっている。また、ワークWは、切断に使用したレーザ光により加熱された状態となっており、切断加工後は自然冷却される。なお、
図3では、
図6(A)、(B)に示すように、ステップS15で隣の製品M2に関する延長部分11Bや交差部分12Bを切り込んだ後に、ステップS16で製品M2の周囲を切断しているが、この順番に限定されない。例えば、先に製品M2の全部または一部の周囲を切断した後に、延長部分11Bや交差部分12Bを切り込んでもよい。
【0043】
図7は、残部Rが収縮した状態を示す平面図である。
図7に示すように、ワークWが冷めることにより、残部Rは長手方向(X方向)に収縮する。一方、本実施形態では、製品M1、M2に切り込み部10A、10Bが形成されており、それぞれ延長部分11A、11Bと交差部分12A、12Bとを有している。このため、
図7に示すように、交差部分12A、12Bがバネ状となり、残部Rの収縮に伴って交差部分12A、12Bが開くように変形する。これにより、製品M1、M2の周囲に形成された隙間Cの幅L1、L2が減少するのを防止または抑制される。従って、製品M1、M2は、残材に強く把持された状態とはならない。
【0044】
このように、本実施形態によれば、切断時のレーザ光Lによって熱を受けた残部Rが収縮した場合であっても残材による製品の把持を解消または軽減することにより、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。従って、製品M1、M2を押し付けつつ残材を持ち上げたときに容易に製品を残材から切り離すことができる。さらに、製品M1、M2と残材との隙間Cが確保されるので、残材を持ち上げただけで製品M1、M2を残材から切り離すことが可能となる。
【0045】
上記した実施形態では、2つの製品M1、M2の間に形成された残部Rの影響を回避するために切り込み部10A、10Bが形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図8は、変形例に係る切り込み部10Cの一例を示す斜視図である。本変形例において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
【0046】
図8に示すように、ワークWを切断して矩形状の製品M3を形成することにより、製品M3とワークWの端部Waとの間に残部R1が形成される。ここでは、残部R1は、例えばX方向に長手となるように形成されるがこれに限定するものではなく、X方向とは異なる方向に長手となるように形成されてもよい。また、切り取られた製品M3は、スポットSに対応する狭い隙間Cによって囲まれた状態となる。
【0047】
切り込み部10Cは、製品M3の外周から外側に延びるように形成される。切り込み部10Cは、延長部分11Cと、交差部分12Cとを含む。延長部分11Cは、残部R1の長手方向(X方向)に沿って形成される。この切り込み部10Cは、製品M3の角部M3aを構成する2つの片部M3b、M3cのうち一方の片部M3bからX方向に延びて直線状に切り込まれている。なお、交差部分12Cの本数は任意であり、1本または3本以上であってもよい。また、交差部分12Cは、延長部分11Cの一部から+Y方向に直線状に切り込まれている。また、延長部分11Cは、製品M3からY方向に延びて形成されてもよい。この場合、交差部分12Cは、例えば−X方向に形成される。
【0048】
この変形例によれば、製品M3を切断する際のレーザ光Lによって熱を受けた残部R1が収縮した場合であっても、
図7に示す交差部分12A、12Bと同様に、交差部分12Cが開くことで収縮に対応する。これにより、製品M3と残材との隙間Cが減少するのを防止または抑制される。従って、製品M3は、上記した製品M1、M2と同様に、残材に強く把持された状態とはならず、製品M3を残材から容易に切り離すことができる。また、切り込み部10Cとして、ワークWの端部Waから−Y方向に向けて1本または複数本の切り込みが形成されてもよい。この場合、2本の交差部分12Cと並ぶように交互に形成されてもよい。
【0049】
図9〜
図11は、変形例に係る切り込み部の例を示す図である。
図9(A)に示すように、切り込み部10D、10Eは、製品M1、M2の外周からそれぞれ残部Rの長手方向に沿って延びるように形成される。切り込み部10Dは、隙間Cと連続する延長部分11D、11Eを有しており、交差部分を含んでいない。なお、
図9(A)では残部Rの+X側及び−X側の双方に切り込み部10D、10Eが形成されるが、いずれか一方でもよい。また、延長部分11D、11EのX方向の長さは任意に設定可能である。
【0050】
この切り込み部10D、10Eによれば、残部RがX方向に延長された状態となり、残部Rが収縮した場合でもX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0051】
図9(B)に示すように、切り込み部10Fは、製品M1とM2との間の残部Rにおいて、残部Rの長手方向(X方向)に対する交差方向の交差部分12Fを有しており、延長部分を含んでいない。交差部分12Fは、製品M1、M2の隙間Cから離れて形成されるが、いずれか一方の隙間Cまたは双方の隙間Cに接続されてもよい。また、交差部分12Fは、X方向に対する角度は任意に設定可能である。また、交差部分12Fが形成される位置は、残部RのX方向におけるほぼ中央部分の他に、中央部分に対して+X側または−X側であってもよい。また、交差部分12Fは、複数形成されてもよい。
【0052】
この切り込み部10Fによれば、残部Rが収縮した場合、
図9(B)の点線で示すように交差部分12Fが開くことによりX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0053】
図9(C)に示すように、切り込み部10Gは、製品M1とM2との間の残部Rにおいて、残部Rの一部に開口形状を持つ交差部分12Gを有しており、延長部分を含んでいない。この交差部分12Gは、開口形状を持つため、残部Rの長手方向(X方向)に対する交差方向の部分を含んでいる。交差部分12Gは、製品M1、M2の隙間Cから離れて形成されるが、いずれか一方の隙間Cまたは双方の隙間Cに接続されてもよい。また、交差部分12Gの形状は、矩形状の他に、三角形または五角形以上の多角形状や、円形状、楕円形状、長円形状に形成されてもよい。また、交差部分12Gが形成される位置は、残部RのX方向におけるほぼ中央部分の他に、中央部分に対して+X側または−X側であってもよい。また、交差部分12Gは、複数形成されてもよい。
【0054】
この切り込み部10Gによれば、残部Rが収縮した場合、
図9(C)の点線で示すように交差部分12Gが開くことによりX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0055】
図10(A)に示すように、切り込み部10Hは、製品M1、M2のいずれか一方の外周から残部Rの長手方向に対する交差方向に延びるように形成される。切り込み部10Hは、隙間Cと連続する交差部分12Hを有している。なお、この交差部分12Hは、製品M1、M2の外周から延びた延長部分でもある。なお、
図10(A)では残部Rの+X側及び−X側の双方に切り込み部10Hが形成されるが、いずれか一方でもよい。また、交差部分12HのY方向の長さは任意に設定可能である。また、交差部分12Hは、+X側または−X側に複数形成されてもよい。
【0056】
この切り込み部10Gによれば、残部Rが収縮した場合、
図10(A)の点線で示すように交差部分12Hが開くことによりX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0057】
図10(B)に示すように、切り込み部10I、10Jは、製品M1、M2の外周のそれぞれから、残部Rの長手方向に対する交差方向に延びるように形成される。切り込み部10I、10Jは、隙間Cと連続する交差部分12I、12Jを有している。なお、この交差部分12I、12Jは、製品M1、M2の外周から延びた延長部分でもある。なお、
図10(B)では残部Rの+X側及び−X側の双方に切り込み部10I、10Jが形成されるが、いずれか一方でもよい。また、交差部分12I、12JのY方向の長さは任意に設定可能であり、互いに同一の長さであってもよく、また異なる長さでもよい。また、交差部分12I、12Jは、+X側または−X側に複数形成されてもよい。
【0058】
この切り込み部10I、10Jによれば、残部Rが収縮した場合、
図10(B)の点線で示すように交差部分12I、12Jがそれぞれ開くことによりX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0059】
図10(C)に示すように、切り込み部10Kは、製品M1、M2の間の残部Rに対して+X側及び−X側に離間した位置に、残部Rの長手方向に対する交差方向に形成される。切り込み部10Kは、隙間Cから離れた交差部分12Kを有している。なお、
図10(C)では残部Rの+X側及び−X側の双方に切り込み部10Kが形成されるが、いずれか一方でもよい。また、交差部分12KのY方向の長さは任意に設定可能である。また、交差部分12Kが残部RからX方向に離間する長さも任意に設定可能である。また、交差部分12Kは、+X側または−X側に複数形成されてもよい。
【0060】
この切り込み部10Kによれば、残部Rが収縮した場合、
図10(C)の点線で示すように交差部分12Kが開くことによりX方向の収縮量が緩和されるので、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。
【0061】
図11(A)に示すように、切り込み部10L、10Mは、製品M1、M2の外周からそれぞれ隙間Cと連続しかつ残部Rの長手方向と平行に延びる延長部分11L、11Mと、延長部分11L、11Mの間において残部Rの長手方向に対する交差方向の交差部分12Lと、を有する。延長部分11L、11Mは、残部Rの+Y側及び−Y側の隙間Cが延びる方向からずれた状態で形成される。なお、
図11(A)では、切り込み部10L、10Mが残部Rの−X側に形成されているが+X側に形成されてもよく、また、+X側または−X側の双方に形成されてもよい。また、交差部分12LのY方向の長さは任意に設定可能である。また、交差部分12Lは、延長部分11L、11Mのいずれか一方または双方に接続されてもよい。また、交差部分12Lは、複数形成されてもよい。
【0062】
この切り込み部10L、10Mによれば、延長部分11L、11Mによって残部RがX方向に延長され、さらに交差部分12Lを有するので、残部Rが収縮した場合、交差部分12Lが開くこと(
図11(A)の点線参照)等によりX方向の収縮量が緩和され、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。なお、交差部分12Lは、形成されなくてもよい。
【0063】
図11(B)に示すように、切り込み部10Nは、製品M1の外周から隙間Cと連続しかつ残部Rの長手方向に対する交差方向に延びる延長部分11N1と、延長部分11N1の+Y側端部から残部Rの長手方向に延びる延長部分11N2と、延長部分11N2の一部から残部Rの長手方向に対する交差方向に延びる交差部分12Nと、を有する。なお、延長部分11N1は、残部Rの長手方向に対する交差方向に延びる交差部分でもある。また、切り込み部10Pは、製品M2の外周から隙間Cと連続しかつ残部Rの長手方向と平行に延びる延長部分11Pを有する。延長部分11N2、11Pは、残部Rの+Y側及び−Y側の隙間Cが延びる方向からずれた状態で形成される。なお、
図11(B)では、切り込み部10N、10Pが残部Rの−X側に形成されているが+X側に形成されてもよく、また、+X側または−X側の双方に形成されてもよい。また、交差部分12NのY方向の長さは任意に設定可能である。また、交差部分12Nは、延長部分11Pの一部から延びるように形成されてもよい。また、交差部分12Nは、複数形成されてもよい。
【0064】
この切り込み部10N、10Pによれば、延長部分11N2、11Pによって残部RがX方向に延長され、さらに交差部分12Nを有するので、残部Rが収縮した場合、交差部分12Nが開くこと(
図11(B)の点線参照)等によりX方向の収縮量が緩和され、隙間CがX方向に減少するのを防止または抑制する。これにより、製品M1、M2は残材に強く把持された状態とはならず、製品M1、M2を残材から容易に切り離すことができる。なお、交差部分12Nは、形成されなくてもよい。
【0065】
<加工プログラム生成装置>
図12は、実施形態に係る加工プログラム生成装置100の一例を示す機能ブロック図である。加工プログラム生成装置100は、レーザ加工機1で用いられる加工プログラムを生成する。加工プログラムは、ワークW中において少なくとも1つの製品を形成するためにレーザヘッド2等を動作させるプログラムである。加工プログラム生成装置100は、制御部101と、記憶部102と、入力部103と、表示部104とを有している。加工プログラム生成装置100は、例えば、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータや、タブレット型携帯端末などにより実現される。
【0066】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、電子情報を送受信するための通信インターフェースを有している。この通信インターフェースは、有線方式及び無線方式のいずれであってもよい。制御部101は、判定部105を有している。判定部105は、例えば上記実施形態における判定部6と同様に、レーザ加工機1において加工するワークWに切り込み部を形成するか否かを判定する。記憶部102には、例えば制御部101で生成された加工プログラム等の各種プログラムや、加工プログラムを生成する際に必要な生成プログラムなど各種情報が記憶される。また、記憶部102には、例えば、レーザヘッド2の移動に関する情報や、ワークWの材質や厚さに関する情報など記憶されてもよい。
【0067】
入力部103は、例えば、レーザ加工機1においてワークWを加工する際に必要な情報を入力するために用いられる。このような情報としては、例えば製品の形状に関する情報などが挙げられる。入力部103としては、例えば、キーボードやマウスが用いられる。なお、入力部103として、例えば表示部104上に形成されたタッチパネルが用いられてもよい。表示部104は、制御部101における算出結果や、記憶部102に格納されている情報、入力部103によって入力される情報、制御部101が通信インターフェースを介して取得した情報などを表示する。表示部104としては例えば、液晶ディスプレイなどが用いられる。
【0068】
加工プログラム生成装置100は、通信回線を介してバス106に接続されてもよく、同じくバス106に接続されたレーザ加工機1及び上位コントローラ200に対して通信可能であってもよい。これにより、生成した加工プログラムをレーザ加工機1や上位コントローラ200に容易に送ることができ、例えばレーザ加工機1から離れた場所で加工プログラムを生成した場合でも迅速にデータを送ることができる。また、加工プログラム生成装置100は、スタンドアローンに配置されてもよい。この場合、生成した加工プログラムは、持ち運び可能なUSBメモリ等の記憶媒体に格納され、レーザ加工機1や上位コントローラ200に記憶媒体を介して送られるような構成であってもよい。
【0069】
次に、上記のように構成された加工プログラム生成装置100を用いて加工プログラムを生成する動作を説明する。
図13は、加工プログラム生成装置100における処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、レーザ加工機1で形成される製品の形状に関する情報が入力される(ステップS21)。ステップS21の製品形状の入力は、入力部103によってオペレータにより入力される他に、記憶部102によって記憶されている製品の設計情報を選択して用いてもよい。また、製品の設計情報を上位コントローラ200や他の制御装置の記憶部から無線または有線によりダウンロードして入手してもよい。また、ステップS21において、例えばワークWの材質、厚さが入力されてもよい。
【0070】
次に、制御部101は、入力された製品形状に関する情報に基づいて加工プログラムを生成する(ステップS22)。生成された加工プログラムは、例えば記憶部102に記憶される。
【0071】
次に、判定部105は、記憶部102に記憶された加工プログラムを読み込み、例えばワークWの材質、厚さ、残部Rの長さ(長手方向の寸法)、幅(短手方向の寸法)のうち少なくとも1つに基づいて、切り込み部を形成するか否かを判定する(ステップS23)。このステップS23は、
図2に示すステップS02とほぼ同様の処理を行う。例えば、判定部105は、所定材質のワークWが所定厚さである場合、残部Rの幅が所定値より小さくなり、かつ、その残部Rの長手方向の長さが所定値より大きいときは、残部Rの収縮により製品M1または製品M2の把持が生じるとして切り込み部が必要と判断する。ただし、判定部6によるこの判断は一例であり、他の手法によって判断してもよい。
【0072】
判定部105により切り込み部が必要と判定した場合(ステップS23のYES)、制御部101は、加工プログラムに切り込み部を形成する工程を追加する(ステップS24)。制御部101は、例えばワークWの材質、厚さ、残部Rの幅や長さに基づいて、どのような形状の切り込み部を形成するかを設定する。切り込み部の形状として、記憶部102に予め記憶された形状から選択してもよく、また、切り込み部の寸法や形状を演算により求めてもよい。切り込み部を形成する工程が追加された加工プログラムは、例えば記憶部102に記憶される。判定部105により切り込み部が不要と判定した場合(ステップS23のNO)、加工プログラムに切り込み部が追加されない。
【0073】
以上により、加工プログラムの生成を終了する。生成した加工プログラムは、レーザ加工機1によりワークWの切断加工を実行可能である。完成した加工プログラムは、オペレータの操作によって、バス106を介してレーザ加工機1または上位コントローラ200に送られるか、または、持ち運び可能な記憶媒体に格納されてもよい。
【0074】
このように、本実施形態によれば、製品を残材から容易に切り離すことができるように、切り込み部を追加した加工プログラムを容易に生成することができる。なお、上記した加工プログラム生成装置100において、判定部105を備えることに限定されない。例えば、入力された製品形状に対して一律に切り込み部を加えて加工プログラムを生成してもよい。
【0075】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、切り込み部の形状については、上記した実施形態及び変形例に記載の形状に限定されず、他の形状であってもよい。例えば、切り込み部は直線状に限定するものではなく、曲線や折れ曲がりを含む形状であってもよい。例えば、延長部分11A等は、直線状であることに代えて、曲線状であってもよく、また、一部に屈曲部分が形成されてもよい。また、延長部分11A等や交差部分12A以外に他の切り込みが加えられてもよい。また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせて切り込み部を形成させるものでもよい。