(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光学系は、一つの前記集光レンズと該集光レンズで集光した光を平行光にする一つの平凹レンズを一組とした光学系を上下に2つ以上並べて構成された集光光学系を備える、請求項1に記載の検出装置。
前記第1光学系が、一つ又は複数の前記集光レンズを通して集光される光の光路が前記ベースプレートの上方に向かって延び、反射ミラーで前記ベースプレートに対して水平方向に向かう光学系である、請求項4に記載の分析装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、集光したそれぞれの光を対応するハーフミラーで反射して同一光路上に集めるため、光量の低下が生じている。ここで、検体溶液に照射する光量を確保する場合、光出力を上げる必要があり、電力消費の増大や、電力確保のための装置電源部の大型化などの問題が生じる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、複数の光源から射出されたそれぞれの光を集光する際の光量の低下を抑制できる検出装置、及びこの検出装置を用いた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様の検出装置は、波長の異なる光を射出する複数の発光ダイオードと、複数の前記発光ダイオードから射出されたそれぞれの光を一つの集光レンズ又は一つの光軸上に並列に配置された複数の集光レンズを通して集光させると共に、試料溶液が収められる光透過性を有する容器まで導く第1光学系と、前記容器を透過した光を分光し、分光した光をそれぞれ波長の異なる光として複数の受光素子へそれぞれ導く第2光学系と、を備えている。
【0008】
本発明の第1態様の検出装置では、第1光学系によって、複数の発光ダイオード(光源)から射出されたそれぞれの光が一つの集光レンズ又は一つの光軸上に並列された複数の集光レンズを通して集光されて試料溶液が収められる容器に導かれる。このため、上記検出装置は、例えば、複数の光源から射出されたそれぞれの光をハーフミラーで反射して同一光路上に集めて試料溶液が収められる容器に導くものと比べて、複数の発光ダイオードから射出されたそれぞれの光を集光する際の光量の低下を抑制できる。
【0009】
また第2光学系によって、容器を透過した光が分光されて、分光された光がそれぞれ波長の異なる光として複数の受光素子へそれぞれ導かれる。これらの受光素子では、受光した光の光量が計測(検出)される。なお、試料溶液中の特定成分、又は、特定成分から変換されて生成する物質によって特定波長の光が吸収されている場合には、特定波長の光を受光した受光素子において計測される光量が低下するため、試料中に含まれる特定成分の濃度が算出可能になる。
【0010】
本発明の第2態様の検出装置は、
本発明の第1態様の検出装置であって、複数の前記発光ダイオードを基板上にマトリクス状に配置している。
【0011】
本発明の第2態様の検出装置では、複数の発光ダイオードを基板上にマトリクス状に配置しているため、例えば、複数の光源を基板上に一列に配置したものと比べて、射出された光を受けて集光する集光レンズの大きさ(外径)を小さくできる。これにより、装置の小型化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3態様の分析装置は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上方に設けられ、上下方向に延びる回転軸を中心として前記ベースプレートに対して回転可能とされた円盤状の反応テーブルと、前記反応テーブルの外周部に前記反応テーブルの周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記試料溶液が収められる光透過性を有する前記容器と、前記ベースプレート上に設置される
本発明の第1態様又は
第2態様の検出装置と、を備え、前記検出装置の前記第1光学系は、前記反応テーブルの前記容器よりも前記回転軸側に配置され、前記検出装置の前記第2光学系は、前記反応テーブルの周辺部に配置され、前記第1光学系から前記第2光学系までの光路上を前記容器が通過する。
【0013】
本発明の第3態様の分析装置では、
本発明の第1態様又は
第2態様の検出装置をベースプレート上に設置している。また、検出装置の第1光学系を反応テーブルの容器よりも回転軸側に配置し、第2光学系を反応テーブルの周辺部に配置して、第1光学系から第2光学系までの光路上を試料溶液が収められる光透過性を有する容器が通過するように構成している。これにより、反応テーブルを回転させると、複数の容器が順次第1光学系から第2光学系までの光路上を通過するため、例えば、試料溶液を収めた容器を都度第1光学系から第2光学系までの光路上に運搬する構成と比べて、第1光学系で集光した光を効率よく複数の容器に収められた試料溶液に照射することができる。これにより、試料中に含まれる特定成分の濃度を効率よく算出可能になる。
【0014】
本発明の第4態様の分析装置は、
本発明の第3態様の分析装置において、前記第1光学系が、一つ又は複数の前記集光レンズを通して集光される光の光路が前記ベースプレートの上方に向かって延び、反射ミラーで前記ベースプレートに対して水平方向に向かう光学系である。
【0015】
本発明の第4態様の分析装置では、一つ又は複数の集光レンズを通して集光される光の光路をベースプレートの上方に向かって延ばし、反射ミラー(全反射ミラー)でベースプレートに対して水平方向に向かわせていることから、例えば、一つ又は複数の集光レンズを通して集光される光の光路を水平方向に延ばすものと比べて、装置の幅(水平方向に沿った長さ)を狭くできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の光源から射出されたそれぞれの光を集光する際の光量の低下を抑制できる検出装置、及びこの検出装置を用いた分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る検出装置70及びこの検出装置70を用いた分析装置10について説明する。なお、本実施形態では、試料である検体として血液を用い、酵素法によって糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度を測定し、電極法によってグルコース濃度を測定する例について説明する。
【0019】
[分析装置の全体概略構成]
図1に示されるように、分析装置10は、主に検体ラックエリア12と、検体分注エリア14と、反応エリア16と、試薬分注エリア18と、検出エリア20と、洗浄エリア22と、電極測定エリア24と、によって構成されている。
【0020】
検体ラックエリア12には、複数(本実施形態では5個)の検体ラック26が配列されており、検体ラック26には、検体が収容された検体容器28が5本ずつ保持されている。また、検体ラック26は、
図1における矢印A方向に沿って1個ずつ順に移動する。移動する検体ラック26の位置は、図示しない位置検出センサによって検出される。なお、検体容器28には、それぞれ図示しないバーコードが付与されており、バーコードリーダー等でバーコードを読み取ることにより、検体が識別可能とされている。
【0021】
検体分注エリア14には、検体分注ピペット36を有する検体分注装置30と、検体分注ピペット36の先端部を洗浄するピペット洗浄部32と、が設けられている。この検体分注装置30は、先端に検体分注ピペット36が取り付けられた回動アーム34を備えている。この回動アーム34は、図示しない駆動機構によって、回転軸34Aを中心に水平方向に旋回可能とされ且つ上下方向に昇降可能とされている。回動アーム34を旋回させることによって、検体分注ピペット36が検体ラックエリア12の検体容器28上と、後述する反応エリア16の反応テーブル38にセットされた反応容器42上との間を移動する。
【0022】
また、検体分注ピペット36は、検体の真空吸引、及び真空吸引した検体の吐出を行う図示しない吸排装置を備えており、検体容器28から吸引した検体を反応容器42に分注可能とされている。さらに、検体分注ピペット36は、精製水が貯留された図示しない精製水タンクに連通されており、吸引した検体と精製水とを反応容器42に吐出して、反応容器42の中で検体を希釈できる。
【0023】
反応エリア16には、反応テーブル38と、反応テーブル38の周辺に配置された攪拌ユニット40と、が設けられている。反応テーブル38は円盤状であり、外周部に複数(本実施形態では30個)の光透過性を有する反応容器42が周方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。反応容器42は、上面が開放された四角柱形状のセルであり、本実施形態では一例として耐熱ガラスで形成されている。なお、本発明はこの構成に限定されず、反応容器42は、光透過性を有していれば、樹脂(例えば、プラスチック)で形成されてもよい。
【0024】
また、反応テーブル38は、ベースプレート39(
図2参照)の上方に配置されており、このベースプレート39に対して回転軸38Aを中心にして回転可能とされている。この回転軸38Aは、上下方向に延びており、図示しない駆動機構からの駆動力を受けて反応テーブル38と一体回転する。このとき、反応テーブル38の回転と共に反応容器42も回転する。なお、反応テーブル38内には図示しない温調装置が設けられており、温調装置によって反応容器42が所定の温度(例えば、37℃)に保持(インキュベーション)される。
【0025】
攪拌ユニット40は、図示しない駆動機構によって駆動される攪拌棒44を備えている。攪拌棒44を反応容器42内に挿入して振動させることにより、反応容器42内の検体を攪拌する。
【0026】
試薬分注エリア18には、試薬容器収容部46と、第1試薬分注ピペット62及び第2試薬分注ピペット64を有する試薬分注ユニット50と、第1試薬分注ピペット62及び第2試薬分注ピペット64の先端部を洗浄するピペット洗浄部52と、が設けられている。
【0027】
試薬容器収容部46には複数の凹部46Aが設けられており、凹部46Aには複数の試薬容器54が保持されている。本実施形態では、第1試薬としてR1、第2試薬としてR2がそれぞれ用いられており、R1が収容されたR1容器54Aと、R2が収容されたR2容器54Bとが、それぞれ2本ずつ凹部46Aに保持されている。
【0028】
試薬分注ユニット50は、第1駆動アーム58と第2駆動アーム60とを備えている。第1駆動アーム58には第1試薬分注ピペット62が取り付けられており、第1試薬分注ピペット62は、R1容器54A上、ピペット洗浄部52上、及び反応テーブル38の反応容器42上の間で移動可能とされている。また、第2駆動アーム60には第2試薬分注ピペット64が取り付けられており、第2試薬分注ピペット64は、R2容器54B上、ピペット洗浄部52上、及び反応テーブル38の反応容器42上との間で、第1試薬分注ピペット62と一体に移動可能とされている。
【0029】
なお、第1試薬分注ピペット62、第2試薬分注ピペット64は、反応容器42の移動方向(反応テーブル38の回転方向)に沿って並列に配置されている。また、第1試薬分注ピペット62、第2試薬分注ピペット64は、試薬の真空吸引、及び真空吸引した試薬の吐出を行う図示しない吸排装置を備えており、試薬容器54から吸引した試薬を反応容器42に分注可能とされている。
【0030】
検出エリア20には、検出装置70が設けられている。
図2に示されるように、この検出装置70は、異なる波長の光を射出する複数の発光ダイオード(以下、「LED」と称する。)76を備えたLED光源部65と、それぞれ波長の異なる光を受光する複数の受光素子96を備えた受光部66と、を備えている。LED光源部65は反応テーブル38の下方に配置され、受光部66は反応テーブル38の周辺に配置されており、LED光源部65から反応容器42の側面に向かって光が照射され、反応容器42内の検体溶液Lを透過した光が受光部66で受光される。受光部66では、受光した光の光量(吸光度)が測定される。そして、受光部66で測定された吸光度を基に、検体中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度が算出される。
【0031】
洗浄エリア22には、図示しない駆動機構によってそれぞれ上下方向に駆動される複数の洗浄ノズル22Aが設けられている。洗浄ノズル22Aは、洗浄液が貯留された図示しない洗浄液タンクに連通されており、反応容器42内に洗浄液を吐出して反応容器42内を洗浄した後、洗浄液を吸引する。
【0032】
電極測定エリア24には、図示しない電極を有する測定装置24Aが設けられている。測定装置24A内には、検体分注装置30の検体分注ピペット36によって検体容器28内の検体(血液)が分注される。測定装置24Aでは、分注された血液中のグルコースが水及び酸素分子の存在下にグルコースオキシダーゼ(グルコース酸化酵素)と反応して過酸化水素が生成され、生成された過酸化水素が電極表面で分解される際の電流量を測定することにより、グルコース濃度を算出することができる。
【0033】
[検出装置の構成]
次に、
図2、
図3を用いて検出装置70の構成について説明する。
【0034】
図2に示されるように、検出装置70は、LED光源部65と受光部66とを含んで構成されている。LED光源部65は、筐体65Aを備えている。この筐体65Aは、ベースプレート39上に設置されている。この筐体65Aの上部には、反応テーブル38の径方向外側に向かって開口する開口部65Bが形成されている。なお、
図1及び
図2では、反応テーブル38の半径方向を矢印Xで示している。ここで、反応テーブル38の半径方向内側とは、半径方向に沿って回転軸38A(
図1参照)に向かう側を指し、反応テーブル38の半径方向外側とは、半径方向内側の逆側、すなわち、半径方向に沿って回転軸38Aから離れる側を指している。
【0035】
また、受光部66は、筐体66Aを備えている。この筐体66Aは、反応テーブル38の周辺部分に設置されている。この筐体66Aの上部には、反応テーブル38の径方向内側に向かって開口する開口部66Bが形成されている。
【0036】
ここで、後述する第1光学系72によって導かれた光は、筐体65Aの開口部65Bを通って反応容器42内の検体溶液Lに照射され、検体溶液Lを透過した光は、開口部66Bから筐体66A内に入り、第2光学系74によって分光され、後述する複数のバンドパスフィルタ95でそれぞれ波長の異なる光とされて複数の受光素子96に導かれる。すなわち、第1光学系72から第2光学系74までの光路OL1上を反応容器42が通過するように、第1光学系72(LED光源部65)と第2光学系74(受光部66)とがベースプレート39上に配置されている。
【0037】
LED光源部65の筐体65A内には、波長の異なる複数(本実施形態では、4つ)のLED76が設けられている。
図3に示されるように、4つのLED76のうち、LED76Aは波長が570nmの光を射出できるように構成されている。また、LED76Bは波長が660nmの光を、LED76Cは波長が700nmの光を、LED76Dは波長が800nmの光をそれぞれ射出できるように構成されている。なお、本実施形態では、LED76A〜76Dの波長を上記のように設定しているが、本発明はこの構成に限定されない。LED76A〜76Dの各波長については適宜調整しても構わない。また、本実施形態では、波長の異なる4つのLED76を用いているが本発明はこの構成に限定されない。波長の異なる5つ以上のLED76を用いてもよいし、波長の異なる2つ又は3つのLED76を用いてもよい。
【0038】
これらの発光ダイオード76A〜76Dは1枚の基板77上にマトリクス状に配置されている。この基板77は、筐体65Aの底面に図示しない取付部材を用いて取り付けられている。
【0039】
図2に示されるように、LED光源部65の筐体65A内には、発光ダイオード76A〜76Dの上方に集光光学系78が配置されている。この集光光学系78は、発光ダイオード76A〜76Dから射出されたそれぞれの光を集光する光学系であり、集光レンズ80と、この集光レンズ80で集光した光を平行光にする平凹レンズ82とを一組みとした光学系を一つ又は複数並列して構成される。また、集光光学系78を構成する各レンズは、一つの光軸上に並列されている。言い換えると、集光光学系78を構成する各レンズは、各々の光軸が一致するように配置されている。なお、本実施形態では、集光光学系78の光軸が上下方向に延びるように各レンズが配置されている。このため、集光光学系78を通って集光される光の光路OL2がベースプレート39の上方向に向かって延びている。
なお、本実施形態の集光光学系78は、一つの集光レンズ80と一つの平凹レンズ82を一組とした光学系を上下に2つ並べて構成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、一つの集光レンズ80と一つの平凹レンズ82を一組とした光学系を上下に3つ以上並べて集光光学系を構成してもよい。また、一つの集光レンズ80と一つの平凹レンズ82を一組とした光学系を集光光学系としてもよい。なお、集光光学系78においては、集光レンズ80と平凹レンズ82とを共に同じ数だけ備えさせることが好ましい。
【0040】
また、本実施形態の集光光学系78では、LED76A〜76Dから射出されたそれぞれの光が集光レンズ80Aで集光され、集光された光が平凹レンズ82Aで平行光にされる。そして、平凹レンズ82Aからの平行光は、集光レンズ80Bでさらに集光され、平凹レンズ82Bで平行光にされる。このとき、平凹レンズ82Aを通った光の径(光径)よりも平凹レンズ82Bを通った光の径が小さくなる。集光光学系78を通った光は集光されて光径が小さくなる。言い換えると光軸断面積が小さくなる。なお、本実施形態では、
図2に示されるように、2つの集光レンズ80のうちLED側に位置するものを集光レンズ80Aと称し、もう一方を集光レンズ80Bと称している。また、2つの平凹レンズ82のうちLED側に位置するものを平凹レンズ82Aと称し、もう一方を平凹レンズ82Bと称している。
【0041】
また、集光光学系78の上方には、集光光学系78で集光された光を開口部65Bに向けて反射する反射ミラー84が配置されている。この反射ミラー84によって集光光学系78で集光された光の光路がベースプレート39に対して水平方向に曲がり、反応容器42中の検体溶液Lに導かれる。また、集光光学系78と反射ミラー84によってLED光源部65の第1光学系72が形成されている。なお、本実施形態の第1光学系72は、本発明の第1光学系の一例である。
また、本実施形態の第1光学系72を構成する各レンズ及びミラーは、それぞれ図示しない取付部材によって筐体65Aに取り付けられている。
【0042】
受光部66の筐体66A内には、第2光学系74が配置されている。この第2光学系74は、検体溶液Lを透過した光を集光する集光レンズ86と、この集光レンズ86で集光した光を平行光にするコリメータレンズ88と、コリメータレンズ88を通った平行光を後述する分光光学系92に向かって反射する反射ミラー90と、反射ミラー90で反射された光を複数(本実施形態では4つ)に分光する分光光学系92と、を備えている。
なお、本実施形態の第2光学系74を構成する各レンズ及び各ミラーは、それぞれ図示しない取付部材によって筐体66Aに取り付けられている。また、本実施形態でいう反射ミラーは、全反射ミラーである。
【0043】
分光光学系92は、反射ミラー90で反射された光の一部を反射し、残りを透過させるハーフミラー92Aと、このハーフミラー92Aで反射された光の一部を反射し、残りを透過させてバンドパスフィルタ95Aを通して受光素子96Aに導くハーフミラー92Bと、ハーフミラー92Bで反射された光をバンドパスフィルタ95Bを通して受光素子96Bに導く反射ミラー92Cとを備えている。また、分光光学系92は、ハーフミラー92Aを透過した光を反射する反射ミラー92Dと、反射ミラー92Dで反射された光の一部を反射し、残りを透過させてバンドパスフィルタ95Cを通して受光素子96Cに導くハーフミラー92Eと、ハーフミラー92Eで反射された光をバンドパスフィルタ95Dを通して受光素子96Dに導く反射ミラー92Fとを備えている。また、本実施形態の分光光学系92では、ハーフミラー92A、92B、92E、反射ミラー92C、92D、92Fの各組み合わせにより、反射ミラー90で反射された光を略均等に分光して各バンドパスフィルタ95A〜95Dを通してそれぞれの受光素子96A〜96Dに導くことができる。
【0044】
バンドパスフィルタ95AはLED76Aから射出される光の波長を通過させられるように構成されている。また、バンドパスフィルタ95BはLED76Bから射出される光の波長を通過させられるように構成され、バンドパスフィルタ95CはLED76Cから射出される光の波長を通過させられるように構成され、バンドパスフィルタ95DはLED76Dから射出される光の波長を通過させられるように構成されている。
【0045】
バンドパスフィルタ95A〜96Dを通過した波長の異なる光はそれぞれ4つの受光素子96A〜96Dに受光される。なお、本実施形態の4つの受光素子96A〜96Dはすべて同じ構造のものを用いている。また、これらの受光素子96A〜96Dは、1枚の基板97上に1列に配置されている。この基板97は、筐体66Aに図示しない取付部材によって取り付けられている。なお、受光素子96としては、例えば、フォトダイオードを用いることができる。
【0046】
また、4つの受光素子96A〜96Dは、上下に延びる基板97上に上下方向に並列に配置されている。このため、分光光学系92を構成する各ミラーが上下に配置されている。この構成により、筐体66Aの幅が狭くされている。
【0047】
[分析装置による分析手順]
次に、
図4に示すフローチャートに従って、本発明の一実施形態に係る分析装置10による検体(試料)としての血液の分析手順について説明する。
【0048】
まず、ステップ100(S100)において、スタンバイ動作として、検体(血液)が収容された検体容器28が保持された検体ラック26を検体ラックエリア12に配置する。
【0049】
また、ステップ102(S102)において、ピペット洗浄部32で検体分注ピペット36を洗浄し、ピペット洗浄部52で第1試薬分注ピペット62、第2試薬分注ピペット64を洗浄し、洗浄ノズル22Aによって反応容器42内を洗浄する。さらに、ステップ104(S104)において、反応容器42内に精製水を分注し、検出エリア20で精製水の吸光度を測定する。
【0050】
次に、ステップ106(S106)において、第1駆動アーム58を上下方向に移動させ、第1試薬分注ピペット62によって、凹部46Aに配置されたR1容器54A内のR1を吸引する。そして、第1駆動アーム58と第2駆動アーム60を水平方向に移動させて、第1試薬分注ピペット62を反応テーブル38の反応容器42上に移動させる。その後、第1駆動アーム58により第1試薬分注ピペット62を降下させて、吸引したR1を反応容器42内に分注する。
【0051】
次に、ステップ108(S108)において、回動アーム34を駆動して検体分注ピペット36を検体ラックエリア12に移動させ、検体分注ピペット36によって検体容器28内の検体を吸引すると同時に、精製水タンクから精製水を吸引する。回動アーム34を駆動して検体分注ピペット36を反応テーブル38上に移動させた後、吸引した検体と精製水とを、ステップ106(S106)における反応容器42とは別の反応容器42に吐出して、反応容器42の中で検体を精製水で希釈して溶血させる。その後、当該希釈した検体を検体分注ピペット36で吸引する。
【0052】
次に、反応テーブル38を回転させて、R1が分注されている反応容器42を検体分注ピペット36の真下に移動させる。その後、ステップ110(S110)において、検体分注ピペット36によって吸引した希釈検体を、R1が分注されている反応容器42内に分注する。なお、吸引、分注される検体はバーコードによって識別される。
【0053】
次に、ステップ112(S112)において、攪拌棒44によって反応容器42内の希釈検体及びR1を攪拌し、ステップ114(S114)において、反応容器42を所定時間(例えば、5分)、所定の温度(例えば、37℃)に保持する。これにより、検体である血液とR1とが反応(一次反応)する。このとき、検出エリア20で、一次反応によって得られた反応液(一次反応液)の吸光度を複数回(例えば、30秒毎に10回)測定することにより、総ヘモグロビン(Hb)濃度を算出する。
【0054】
次に、ステップ116(S116)において、第2駆動アーム60を上下方向に移動させ、第2試薬分注ピペット64によって、凹部46Aに配置されたR2容器54B内のR2を吸引する。そして、第1駆動アーム58と第2駆動アーム60を水平方向に一体に移動させて、第2試薬分注ピペット64を反応テーブル38の反応容器42上に移動させる。
【0055】
同時に、反応テーブル38を回転させて、希釈検体とR1との一次反応の反応液(一次反応液)が収容されている反応容器42を第2試薬分注ピペット64の真下に移動させる。その後、第2駆動アーム60により第2試薬分注ピペット64を降下させて、吸引したR2を一次反応液が収容されている反応容器42内に分注する。
【0056】
次に、ステップ118(S118)において、攪拌棒44によって反応容器42内の一次反応液及びR2を攪拌し、ステップ120(S120)において、反応容器42を所定時間(例えば、5分)、所定の温度(例えば、37℃)に保持する。これにより、検体である血液とR2とが反応(二次反応)する。このとき、検出エリア20で、二次反応によって得られた反応液(二次反応液)の吸光度を複数回(例えば、30秒毎に10回)測定することにより、糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度を算出する。
【0057】
その後、ステップ122(S122)において、洗浄ノズル22Aによって反応容器42内を洗浄する。以上の手順によって算出された総ヘモグロビン(Hb)濃度、及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度から、総ヘモグロビン(Hb)中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)の割合を演算することができる。なお、糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度の測定とは別に、測定装置24Aによってグルコース濃度の測定が行われる。
【0058】
検出装置70では、第1光学系72によって、LED76A〜76Dから射出されたそれぞれの光が集光光学系78を通して集光されて検体溶液Lを収めた反応容器42に導かれる。このため、検出装置70は、例えば、複数の光源から射出されたそれぞれの光をハーフミラーで反射して同一光路上に集めて検体溶液に導くものと比べて、LED76A〜76Dから射出されたそれぞれの光を集光する際の光量の低下を抑制できる。
【0059】
また第2光学系74によって、検体溶液Lを透過した光が分光されて、分光された光がバンドパスフィルタ95A〜95Dで波長が異なる光とされてそれぞれの受光素子96A〜96Dへ導かれる。これらの受光素子96A〜96Dでは、受光した光の光量が計測(検出)される。なお、検体溶液L中の特定成分、又は、特定成分から変換されて生成する物質によって特定波長の光が吸収されている場合には、特定波長の光を受光した受光素子96において計測される光量が低下するため、検体中に含まれる特定成分(例えば、糖化ヘモグロビン(HbA1c))の濃度が算出可能になる。
【0060】
また、検出装置70では、LED76A〜76Dを基板77上にマトリクス状に配置しているため、例えば、複数の光源を一列に配置したものと比べて、射出された光を受けて集光する集光レンズ80Aの大きさ(外径)を小さくできる。これにより、筐体65Aの小型化を図ることができる。
【0061】
分析装置10では、第1光学系72から第2光学系74までの光路OL1上を反応容器42が通過するように構成している。これにより、反応テーブル38を回転させると、複数の反応容器42が順次光路OL1上を通過するため、例えば、検体溶液を収めた反応容器を都度第1光学系から第2光学系までの光路上に運搬する構成と比べて、第1光学系72で集光した光を効率よく複数の反応容器42に収められた検体溶液Lに照射することができる。これにより、検体中に含まれる特定成分の濃度を効率よく算出可能になる。
【0062】
また、分析装置10では、集光光学系78で集光される光の光路OL2をベースプレート39の上方に向かって延ばし、反射ミラー84でベースプレート39に対して水平方向に向かわせていることから、例えば、集光光学系で集光される光の光路をベースプレート39に対して水平方向に延ばすものと比べて、分析装置10の幅(水平方向に沿った長さ)を狭くできる。
【0063】
前述の実施形態では、発光ダイオード76A〜76Dを1枚の基板77上にマトリクス状に配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、発光ダイオード76A〜76Dを1枚の基板77上に一列に並べる構成としてもよい。
【0064】
また、前述の実施形態では、第1光学系72を含むLED光源部65を反応テーブル38の下方で且つ回転軸38A側に配置し、第2光学系74を含む受光部66を反応テーブル38の周辺に配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、LED光源部65と受光部66との配置位置をそれぞれ逆にしてもよい。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。