(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体と、前記本体内の調理空間と、調理物を調理する調理プレートと、前記調理プレートの上方に設けられる上部加熱手段と、前記調理プレートの下方に設けられる下部加熱手段と、を有する加熱調理器であって、
前記調理プレートの下方には、下部加熱手段収容部材を有し、
前記下部加熱手段は、前記調理プレートの下面を下方から加熱可能な電熱式ヒーターで、前記下部加熱手段収容部材内に位置し、前記調理プレートと非接触であり、
前記下部加熱手段収容部材は、その内部に、前記下部加熱手段の外周を包囲し且つ前記調理プレートと非接触状態の遮熱板を有し、
前記遮熱版は、前記調理プレートより小さいリング状の部材で、その全てが前記加熱手段収容部材の内側に位置するとともに、その全てが前記調理プレートの下側に位置し、
加熱調理時、前記下部加熱手段で加熱された前記加熱手段収容部材内の空気は、上昇して前記調理プレートの底面に当たり、その後、前記底面の全ての方向に沿って前記遮熱板の外方に流れることを特徴とする加熱調理器。
【背景技術】
【0002】
従来、調理プレート上に調理物をおいて調理プレートの上下から調理物(例えば、ピザ、餅、クッキー等)を調理する加熱調理器として例えば
図10に記載するものが知られている。
【0003】
この加熱調理器1は、着脱自在な上ケース部材2及び下ケース部材3を有してなり、これら上ケース部材2と下ケース部材3とを取り外す等して、オーブントースター、電気コンロまたはホットプレートとしての使用を可能にするものであり、図に示すものはオーブントースターとしてのものである。
【0004】
即ち、前記上ケース部材2の図の左側には正面視(扉方向からの視認)矩形状の扉5を有してなり、この扉5は、リンク式の開閉機構5aを有しており、その上部外方側に設けられる図示しない摘みを手前に引くことにより下端部の図示しないヒンジ軸を支点として垂直状態から水平状態に開蓋し、内部が直方体状の調理空間4を外部に開放する。
【0005】
そして、上ケース部材2の上部には、扉5と平行な形態で直線状の上ヒーター6が設けられ、更に上ケース部材2の上部及び後部を覆う形態で大面積の反射板4aが設けられており、調理物を上方から加熱する。
【0006】
また、前記下ケース部材3の上部には、調理プレート7が載置され、調理プレート7の下方には、調理プレート7の下面に接する形態で下ヒーター8が設けられており(3頁5欄45〜48行参照)、調理物を下方から加熱する。
【0007】
ピザ等を調理する場合は、調理プレート7上にピザ等の生地を載せ、タイマーセットボタン9をセットする。すると、上ヒーター6及び下ヒーター8に通電され、調理プレート7上に載せられたピザ等の生地が両面から焼かれ、焼き色が付けられることになる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0008】
ところで、例えば、ピザ生地は薄く大径な円形状のものであり、全体を均一に焼き上げて均一な焼き色を付けることが望まれている。
【0009】
ところが、上記従来例のように、下ヒーターが調理プレートに接するような形態で設けられるものは、接する箇所の調理プレート部分及びその近傍部分の温度上昇が急で、それら部分の上面に位置する調理物であるピザ生地部分が早く焼けて、裏面全体を均一に焼き上げ均一な焼き色を付けることができにくくなるという問題が生じる。
【0010】
また、上記従来例のものでは、下ヒーターが接する近傍の調理プレートが加熱され、その熱が調理プレートの内部を伝導して全体を加熱する形式であり、特に調理プレートが非金属製の場合には加熱開始から調理プレートが均一に加熱されて調理可能になるまでの時間が長くなるという弊害を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜
図4は加熱調理器の各種展開図であり、
図5及び
図6は加熱調理器の断面図であり、
図7〜
図9は加熱料理器の一部を斜めまたは上方からみた図である。
【0025】
なお、加熱調理器は、例えば、ピザ、餅及びクッキー等のような調理可能なものであればどのようなものでもよいが、以下においてはピザ焼き器を用いて説明し、扉側からの視認を正面視、扉側と反対側からの視認を背面視、上方からの視認を平面視、扉に直交する方向からの視認を側面視と呼び、扉側を前方、扉と反対側を後方、前後方向に直交する側を左右方向と呼ぶ。
【0026】
ピザ焼き器20は、外ケース21、内ケース30、上ヒーターユニット40、調理プレートユニット50、下ヒーターユニット55、支持部材ユニット65、制御部材ユニット70、扉75、及び底部材80を有する、主として業務用であるが、家庭用としての使用も可能である。
【0027】
前記外ケース21は、ピザ焼き器20の上方及び左右側方を覆う正面視及び背面視トンネル状の例えば鉄系に亜鉛メッキを施した金属製の平板部材であり、矩形状の平板をトンネル状に折り曲げて形成され、ピザ焼き器20の本体である外郭を形成する。
【0028】
そして、その下方であって、制御部材ユニット70が収納配置される領域の左右側面には複数の開孔22を有し、冷却ファン74(
図5参照)の作動時に当該開孔22の一方から外気を取り込み、他方の開孔22から加熱空気を排出することにより制御部材ユニット70等を冷却する。
【0029】
また、外ケース21の頂部中央には円開孔23(
図3、4参照)を有し、この円開孔23には、蒸気筒24が挿入される。この蒸気筒24は、円形頂部24a、及び円形頂部24aより小径で高さの低い環状部24b(
図3、4参照)が同軸状に一体形成される縦断面略茸状の金属製の部材であり、円形頂部24aの下端と環状部24bの上端との間には複数の蒸気孔25(
図5、6参照)が外方に向かって放射状に開口し、調理空間31で発生する過剰の蒸気を外部に排出する。
【0030】
そして、蒸気筒24は、円開孔23に挿入後、突出空間形成部材42の頂部に取り付けられるリング状部材43に嵌合する。
【0031】
なお、蒸気孔25は、上部反射板44に設けられ且つ調理空間31に連通する通気孔44cと上下方向において前後にずれており、調理空間31の蒸気は容易に排出されるが、調理空間31の熱は外部に逃げにくくしている。
【0032】
外ケース21の左右下端部は、所定の長さ内方に向かって直角に折り曲げられてなる取付部26を有し、更にこれら取付部26には複数のビス穴26aを有し、これら取付部26は支持部材ユニット65の下面にビス止めされる。
【0033】
また、外ケース21の後端部は、背面部材27(
図5参照)により封鎖される。背面部材27は、外ケース21と同じ金属製の平板部材で、正面視及び背面視は外ケース21と同じトンネル状であり、下端部には、外ケース21と同様の複数のビス穴26aを有する取付部26を有する。そして、背面部材27の外周部は、外ケース21後端部にビス27a(
図5参照)でビス止めされ、その下端部の取付部26は支持部材ユニット65の下面にビス止めされる。
【0034】
前記内ケース30は、正面視アーチ状のステンレス製部材であり、そのアーチ形状は、左右側面部が同じ曲率半径の円弧状で、中央部が直線状或いは若干上方に突き出る円弧状であり、輻射熱を効率よく調理プレート51方向に反射させる機能を有し、フランジ部32、矩形状開孔33及び外方張出部35を有し、内部には蒲鉾状の調理空間31が形成される。
【0035】
なお、左右側面部は、上方が円弧状で下方が垂直状の形状であってもよいし、中央部は、左右側面部の円弧状と同じ曲率半径の円弧状であってもよい。しかし、上記のように中央部が直線状或いは若干上方に突き出る円弧状のほうが調理空間31を小さくできて熱効率を高めることができる。即ち、調理物を均一に焼き上げ且つ均一な焼き色を付けることができるため好ましい。
【0036】
前記フランジ部32は、内ケース30の前端部に形成される垂直状の平坦部であり、その外周は扉75の外周形状と同じアーチ状で、且つ調理物の入出口となる内周部もアーチ状である。そして、フランジ部32の上方中央部には、扉75を閉鎖状態に維持するための磁石部材32aを有する。
【0037】
前記矩形状開孔33は、内ケース30の上方に前方から後方に亘って形成される前後方向の長さが左右方向の長さより長い平面視矩形状の孔で、その外周上面には複数の取付片34が立設されており、当該取付片34に上ヒーターユニット40が取り付けられる。
【0038】
前記外方張出部35は、内ケース30の左右下端部から外方に向かって直角に折り曲げられた平面視前後方向に細長い矩形状の部分であり、複数のビス穴35aを有する。
【0039】
また、内ケース30の後方には、後部蓋36(
図5参照)が取り付けられる。この後部蓋36は調理空間31の奥の後壁部となるステンレス製部材であり、その下端部には内ケース30と同様なビス穴35aを有する外方張出部35を有し、図示しないビスで内ケース30の後壁部の外周にビス止めされる。
【0040】
そして、後部蓋36を固定した内ケース30は、調理プレートユニット50、下ヒーターユニット55及び中間受皿63を挟持する形態で支持部材ユニット65にビス止めされることになる。
【0041】
前記上ヒーターユニット40は、
図3に示すように、上からマイカ板41、突出空間形成部材42、リング状部材43、上部反射板44、下部反射板45、上ヒーター46及びヒーター取付部材47を有する。
【0042】
前記マイカ板41は、平板状の断熱部材であり、その略中央部にはリング状部材43が上方に突出可能なリング状部材43の外径より若干大径の円形開孔41a(
図3参照)を有しており、突出空間形成部材42の上面にビス止めされて上方への熱を逃げを低減する。
【0043】
前記突出空間形成部材42は、前後方向の長さが左右方向の長さより長い矩形状の平板状部材の左右端を下方に円弧状に折り曲げてなる金属製部材であり、内部に正面視略台形状で扉75から奥側に向かって伸びる突出空間42d(
図3、6参照)を形成する。そして、その頂部には複数のビスねじ42a、リング状部材43の支持片43aのための挿入穴42b及び蒸気口42c(
図1、
図4参照)を有する。
【0044】
前記リング状部材43は、高さの低いリング状の金属製部材であり、下端部に下方に伸びる複数の支持片43a(
図3参照)を有しており、支持片43aを突出空間形成部材42の挿入穴42bに挿入し、挿入した下端を折り曲げることにより突出空間形成部材42に取り付けられる。
【0045】
前記上部反射板44は、平板状部材を断面略M字状に折り曲げてなる断熱及び反射機能を有する金属製部材であり、上ヒーター46の上方及び側方を囲む遮熱板に相当し、その頂部には複数のビス穴44aを有する。
【0046】
上部反射板44の断面M字状は、
図6に示すように下方に位置することになる中央部は水平部分44bを有するとともに、この水平部分44bは調理空間31の上面であるほぼ直線状または若干円弧状の部分と同一面上になるように位置する。
【0047】
上部反射板44を上記のような形態にすることにより、調理空間31の一部となるが調理空間31として不要な突出空間42d内の容積を低減することができる、別言すれば、実質的な調理空間31の増加を抑制することができるため、調理空間31での熱効率の低下を抑制することができる。
【0048】
更に、前記水平部分44bの前方寄りと後方寄りであって、突出空間形成部材42の蒸気口42cとは上下方向において前後方向にずれた位置に通気孔44cを有しており、調理空間31で発生する蒸気を外部に逃がす。
【0049】
上記のように通気孔44cは、蒸気口42c及び蒸気筒24の蒸気孔25と上下方向において前後方向にずれており、蒸気は容易に排出するが(
図6の黒塗りの矢印参照)、調理空間31の熱は逃げにくくしている。
【0050】
前記下部反射板45は、断面V字状の上部反射板44と同じ材質の金属製部材であり、上部反射板44と同様、上ヒーター46の上方及び側方を囲む遮熱板である。そして、この下部反射板45は、2個からなり上部反射板44の左右の上方に突出する部分にそれぞれ入り込むように配置され、更にそれぞれの頂部には複数のビス穴45aを有する。なお、この下部反射板45は省略することもできるが、あるほうが上方への熱の逃げをより低減することができる。
【0051】
前記上ヒーター46は、上部加熱手段に相当する直管状の輻射式ヒーター、例えば、カーボンヒーター、ハロゲンヒーター、石英ヒーター、コルチェヒーター等であり、2個からなり下部反射板45のそれぞれに入り込むような形態で配置される(
図6参照)。
【0052】
前記ヒーター取付部材47(
図3参照)は、正面視略台形状の絶縁性部材であり、左右端部に挿通孔47aと直角に折り曲げられた取付用突起47bを有し、それぞれの挿通孔47aには上ヒーター46の端部が挿入され、その後、締結部材48で締結することにより、2個のヒーター取付部材47と2個の上ヒーター46とからなるH状の上ヒーター組立体が形成される。
【0053】
上ヒーターユニット40は以下のように組み立てられる。即ち、まず、上記H状の上ヒーター組立体を組み立て、マイカ板41を突出空間形成部材42の上面に取り付け、リング状部材43を突出空間形成部材42の上部に取り付けておく。
【0054】
次いで、
図3に示すように上からマイカ板41、突出空間形成部材42、リング状部材43、上部反射板44、下部反射板45の順で置き、それぞれの複数のビスねじ42aと、ビス穴44a、45aとを一致させ、下方から複数のビス穴44a、45aにビスを挿入し、突出空間形成部材42のビスねじ42aにビスを螺合させて、突出空間形成部材42、上部反射板44、下部反射板45とを一体にビス止めする。
【0055】
その後、突出空間形成部材42の側面下方のビス穴とヒーター取付部材47の取付用突起47bとをビス止めする。その結果、2個の下部反射板45に2個の上ヒーター46が入り込む形態での上ヒーターユニット40が完成する。
【0056】
その後、上ヒーターユニット40を、内ケース30上部の取付片34に取り付けると
図2及び
図4のようになる。なお、上ヒーターは2個以外、例えば、1個或いは2個より多くてもよい。
【0057】
前記調理プレートユニット50は、調理プレート51と調理プレート51を上下から挟み込む金属製の調理プレート枠52とを有する。
【0058】
前記調理プレート51は、蓄熱性の高い非金属製、例えば蓄熱性の高いカーボンブラックからなる平板状のものであり、その上でピザ等の調理物を調理する。なお、蓄熱性の高いセラミック製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0059】
そして、前記調理プレート枠52は、同形の上下2枚の枠体であり、調理プレート51の外周を上下から挟んで例えば無理ばめで一体化することにより調理プレートユニット50を形成する。
【0060】
前記下ヒーターユニット55(
図1参照)は、下ヒーター56、下ヒーター支持部材57、遮熱板58及び下ヒーター受皿59を有する。
【0061】
前記下ヒーター56は、下部加熱手段に相当する渦巻状の電熱式ヒーター、例えば、インコロイヒーター
、シーズヒーター等で、複数個、例えば内側下ヒーター56a及び外側下ヒーター56b(
図4、8参照)からなり、それらは内外周上、即ち、内外に同軸上に配置される。
【0062】
前記下ヒーター支持部材57は、複数個、例えば内外周それぞれ3個からなり、上部に下ヒーター56を載せるU字状溝を有し、下方に直角に折れ曲がった取付部を有する縦に細長い金属製部材であり、下方の取付部を下ヒーター受皿59の上面にビス止めし、上方のU字状溝に下ヒーター56を上方から若干押し込む形態で載せることにより下ヒーター56を取り付ける。
【0063】
その際、内側下ヒーター56aの端子部56aa及び外側下ヒーター56bの端子部56bbは奥側、即ち、
図8、
図9に示すように扉75と反対側に配置される。各端子部56aa及び端子部56bbは下方に向かって直角に折り曲げられ、下方の制御部材ユニット70に向かって伸び、内部の制御基板等に電気的に接続され、内側下ヒーター56a及び外側下ヒーター56bをそれぞれ別々に制御する。
【0064】
なお、各端子部56aa及び端子部56bbを奥側に配置する理由は、調理空間31の奥側は温度が高くなる傾向があるのに対し、各端子部56aa及び端子部56bb近傍の温度は他と比べて温度が低い傾向にあるためであり、このように配置することにより調理空間31内の温度を均一にすることができる。
【0065】
前記遮熱板58は、高さの低いリング状で遮熱機能の高い金属製部材であり、その径は下ヒーター56より大きく、調理プレート51より小さいもので、取付後は下ヒーター56の外周より若干大きい近傍に位置し、且つその上端は調理プレート51の下端との間に若干の隙間、例えば2mm有する形態で配置される。
【0066】
また、遮熱板58は、下端部に下方に伸びる複数の支持片58a(
図4参照)を有しており、支持片58aを下ヒーター受皿59の挿入穴59aに挿入し、挿入した下端を折り曲げることにより下ヒーター受皿59に固定される。
【0067】
遮熱板58を設ける理由は、後記するように調理プレートユニット50により下ヒーター受皿59内に閉鎖空間が形成されるが、この閉鎖空間を小さくして加熱時間を短縮するためであり、別言すれば、この遮熱板58を設けることにより下ヒーター56回りの閉鎖空間をより小さくして閉鎖空間内の空気の加熱時間を短縮するためである。
【0068】
即ち、遮熱板58を設けると下ヒーター56回りの閉鎖空間はより小さくなる。その結果、遮熱板58内の空気は短時間で加熱され、加熱された熱は上昇して調理プレート51の底面に当たり、その後、前記2mmの隙間を通って調理プレート51の底面に沿って略水平に外方に向かって流れ、調理プレート51全体を短時間で均一に加熱する。その結果、調理プレート51は短時間で且つ間接的に均一に加熱されることになる。
【0069】
前記下ヒーター受皿59は、調理プレートユニット50より若干大きい平面視矩形状で皿状の金属製部材であり、前側を除く左右側及び後側の外周近傍には深さの浅い段部59bを有し、更に段部59bの内側には深さの深い凹嵌部59cを有する。
【0070】
そして、段部59bには、調理プレートユニット50が載置され、凹嵌部59cの底面には、下ヒーター支持部材57及び遮熱板58が取り付けられる。段部59bに調理プレートユニット50が載置されると、下ヒーター56は調理プレート51に非接触状態になり、且つ凹嵌部59cは密閉状の閉鎖空間となり、下ヒーター56が加熱するとこの閉鎖空間の空気を加熱し、加熱された空気は、調理プレート51の下面全体を加熱することになり、調理プレート51は遮熱板58の上記した機能をも加えて短時間で且つ均一に加熱される。
【0071】
また、凹嵌部59cの上面であって、内側下ヒーター56aの中心には第1温度センサ60が取り付けられ、凹嵌部59cの角部には第2温度センサ61が取り付けられており、凹嵌部59cの中心温度を第1温度センサ60で検知し、凹嵌部59cの外周部の温度を第2温度センサ61で検知しており、それらの検知信号に基づいて内側下ヒーター56aと外側下ヒーター56bとは別々に制御される。
【0072】
本願のピザ焼き器20は、例えば100Vで最大1350Wの定出力での制御であり、このような定且つ低出力で上ヒーター46と下ヒーター56とを同時に使用する場合、内側下ヒーター56a及び外側下ヒーター56bを用いた高出力の調理が難しくなる。そのため、第1温度センサ60及び第2温度センサ61を設けるとともに、内側下ヒーター56aと外側下ヒーター56bとをそれぞれ別々に制御することにより上記の弊害を解決している。
【0073】
即ち、調理前には、例えば、出力250Wで外側下ヒーター56bのみに通電して、出力250Wで調理プレート51を加熱し、調理時には、内側下ヒーター56aに切り換えて同じく例えば、出力250Wで調理するものであり、その切替は、調理プレート51に調理物を載せたときに生じる中央と外周部の温度差を利用して行う。
【0074】
具体的には、調理物を載せると調理プレート51の中央部の温度が下がって外周部との間に温度差が生じることになり、その温度差を第1温度センサ60と第2温度センサ61で検出し、その差が所定値以上になった場合に切り換えることになる。このような形態により、低出力であっても上ヒーター46と下ヒーター56とを同時に使用する加熱が可能になる。
【0075】
ところで、下ヒーターユニット55と支持部材ユニット65との間には、第2閉鎖空間及び第3閉鎖空間を形成するための中間受皿63及び下部受皿64を有する(
図2参照)。
【0076】
前記中間受皿63は、下ヒーター受皿59より若干大きい平面視矩形状で皿状の金属製部材であり、外周近傍には深さの浅い段部63bを有し、更に段部63bの内側には深さの深い凹嵌部63cを有するとともに、左右側及び後部側の上面には上下方向に貫通する複数のビス穴63aを有する。
【0077】
そして、中間受皿63は支持部材ユニット65上に載置され、その段部63bには下ヒーター受皿59が内部に入り込む形態で載置され、載置されると凹嵌部63cは第2閉鎖空間になる。
【0078】
前記下部受皿64は、中間受皿63より若干大きい平面視矩形状で皿状の金属製部材であり、内側には深さの深い凹嵌部64cを有し、支持部材ユニット65の上方に内部に入り込む形態で載置され、載置されると凹嵌部64cは第3閉鎖空間になる。
【0079】
前記支持部材ユニット65は、複数の枠体を直方体状に組合せた前後、左右、上下の6面が開口する金属製部材であり、その上枠部分には複数のビスねじ65aを有し、その上方には、内ケース30、上ヒーターユニット40、調理プレートユニット50、下ヒーターユニット55、中間受皿63及び下部受皿64が載置される。
【0080】
それらの取り付けは以下の通りである。即ち、支持部材ユニット65の上方に下部受皿64を挿入し、支持部材ユニット65の上面に下部受皿64の上面を載置する。その後、中間受皿63を支持部材ユニット65の上面に載置する。
【0081】
その後、中間受皿63の段部63b内に下ヒーターユニット55の一部である下ヒーター受皿59を載置し、その後、下ヒーター受皿59の段部59bに調理プレートユニット50を載置し、その後、調理プレートユニット50の外周上に上ヒーターユニット40を組み込んでなる内ケース30を載置する。
【0082】
その後、内ケース30の外方張出部35に設けられる複数のビス穴35aに上方からビスを挿入し、そのビスを更に中間受皿63のビス穴63aに挿入し、支持部材ユニット65のビスねじ65aにビス止めすることにより各部材を一体に固定する。即ち、調理プレートユニット50、下ヒーターユニット55及び下部受皿64は挟持固定であり、その取り付けを簡単且つ容易にしている。
【0083】
前記制御部材ユニット70は、高さに比べて左右方向の幅及び前後方向の奥行きの長さが長い略直方体状の本体ケース71(
図5参照)で外郭を構成し、内部にタイマー、温度調整器、制御基板及び通電回路等を有し、支持部材ユニット65内に前方から挿入され、支持部材ユニット65の枠体にビス止めされる。
【0084】
本体ケース71の前端部71aは他の部分より大きくされており、本体ケース71が支持部材ユニット65内に挿入されると、前端部71aは支持部材ユニット65の前方側の外側面に当接する。
【0085】
そして、前端部71aの前面には、タイマースイッチ及び温度調節用の各種摘み72が設けられるとともに、前端部71aの上面の左右端にはそれぞれ扉を取り付けるための取付部73を有する。
【0086】
また、支持部材ユニット65内には、本体ケース71より奥側に冷却ファン74が取り付けられる。この冷却ファン74は、外ケース21下端の一方側の開孔22より空気を取り込み、制御部材ユニット70及び下部受皿64等を冷却し、外ケース21下端の他方側の開孔22より空気を外部に排出する。
【0087】
前記扉75は、正面視アーチ状の金属製部材で、その中央部には扉75の外形とほぼ同じで且つ大きさの小さい窓76が設けられる。この窓76は断熱性を有する透明な部材、例えば耐熱ガラス等であり、外から調理空間31内を視認することができる。
【0088】
また、扉75の前面の上部には平面視コ字状の取手77が設けられ、扉75の底面にはヒンジ部78を有しており、ヒンジ部78を本体ケース71の前端部71aの取付部73に取り付けることにより、扉75を取付部73の上方に回動可能に取り付ける。ヒンジ部78は扉75を立設状態、即ち閉蓋状態の方向に作用するばねを有しており、通常時には
図3の立設状態にあり、開蓋時には取手77を前方側に引くと
図4のように水平状態に回動して調理空間31を開放する。
【0089】
前記底部材80は、支持部材ユニット65の下面を覆う平面視矩形状の金属製部材で、その外周部には複数のビス穴を有し、更にその下面には4個の脚81が取り付けられる。そして、底部材80の取り付けは以下のようになされる。
【0090】
即ち、まずは支持部材ユニット65上に、上から順に内ケース30、上ヒーターユニット40、調理プレートユニット50、下ヒーターユニット55、中間受皿63及び下部受皿64を取り付け、次いで、外ケース21を被せて、外ケース21の下端部の取付部26を支持部材ユニット65の下端底部に入れ込み、その後、支持部材ユニット65の底部に脚81を取り付けた底部材80を当接し、底部材80の図示しないビス穴及び外ケース21の取付部26のビス穴26aにビスを挿入し、そのビスを支持部材ユニット65に設けられる図示しないビスねじに螺合して取り付けることになる。
【0091】
上記のように組み立てられた断面図を
図6に示す。図に示すように、上ヒーター46は、直線状で扉75から奥側に向かって伸びており、調理空間31の上方に突出空間形成部材42によって突出空間42dが形成されるが、その突出空間42dの容積は上部反射板44により小さくされており、結果的に調理空間31の容積の増加を抑制している。
【0092】
また、突出空間形成部材42と上部反射板44との間には断熱性を有する閉鎖空間49が形成されており、この閉鎖空間49とマイカ板41により上方への熱の逃げを防止する。
【0093】
そして、突出空間形成部材42内には、上部反射板44及び下部反射板45が上下に積層され、下部反射板45内に上ヒーター46が入り込んでおり、上ヒーター46から上方へ向かう熱は下部反射板45で反射されて下方の調理物の方向に向かう。
【0094】
また、上ヒーター46からの熱は、
図6で白抜きの矢印で示すように下部反射板45の下端部に邪魔されて上部反射板44に直接当たらないようにされており、その結果、閉鎖空間49の温度上昇が抑制される。
【0095】
即ち、上ヒーター46と上部反射板44と下部反射板45との積層構造は、上ヒーター46からの熱が上部反射板44に直接当たらない構造であり、閉鎖空間49とマイカ板41との積層構造と合わせて上部への熱の逃げを極力低減している。
【0096】
また、調理空間31はアーチ状であるため、上ヒーター46からの熱で側部方向に向かう熱は、側部の湾曲部で調理物方向に反射されることになる。即ち、調理空間31のアーチ形状は、内部での加熱空気の対流を滑らかにして加熱開始から調理開始までの時間を短縮する。
【0097】
また、上ヒーター46は下部反射板45内に配置されるため、調理物の入出時に邪魔にならず、更には上ヒーター46からの熱を下方及び左右側壁部方向に指向させることができるため、調理可能な調理空間を広く利用できるとともに、輻射熱の大部分を調理物に効率よく照射することができるようになる。
【0098】
また、調理プレート51の下方には、下ヒーター受皿59、中間受皿63及び下部受皿64による3層構造の閉鎖空間が形成されており、下方への熱の逃げを防止している。なお、例えば、下部受皿64がない2層構造でもよい。
【0099】
また、下ヒーター56を下ヒーター受皿59内の閉鎖空間に調理プレート51と非接触状態で配置することにより、下ヒーター56からの直接の輻射熱と、下ヒーター56により加熱された閉鎖空間の熱とで調理プレート51全体を下方から均一に間接加熱することになり、調理物の裏面を均一に焼き上げ且つ均一な焼き色を付けることができる。
【0100】
また、調理プレート51を独立して制御可能な内側下ヒーター56a及び外側下ヒーター56bにすることにより少ない電力での調理が可能になる。
【0101】
また、内側下ヒーター56a及び外側下ヒーター56bの端子部を調理空間の奥側に位置することにより、調理プレート51の加熱温度がより均一になる。
【0102】
また、下ヒーター56回りの閉鎖空間を遮熱板58により小さくできるため、調理プレートをより短時間で且つ均一に加熱できる。
【0103】
本願発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。