【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
【0034】
(1)硫酸相対粘度
試料0.25gを濃度98wt%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98wt%の硫酸の流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
【0035】
(2)オルトクロロフェノール相対粘度(OCP相対粘度)
試料0.5gをオルトクロロフェノール100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、オルトクロロフェノールの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
【0036】
(3)繊度
1.125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、200回転させて、ループ状かせを作成し、熱風乾燥機にて乾燥(105±2℃×60分)した後、天秤にてかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。なお、芯鞘複合繊維の公定水分率は、4.5%とした。
【0037】
(4)強度・伸度
繊維試料を、オリエンテック(株)製“TENSILON”(登録商標)、UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で除した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。
【0038】
(5)α晶配向パラメーター
繊維試料を、レーザーラマン分光法にて測定し、1120cm
−1付近に認められるナイロンのα晶に由来するラマンバンドの平行偏光での強度比(I1120)平行)と、垂直偏光での強度比(I1120)垂直)の比をとることで、配向度評価のパラメーターとした。また、配向に対する異方性が小さいCH変角バンド(1440cm
−1付近)のラマンバンド強度を基準とし、各偏光条件(平行/垂直)の散乱強度を規格化した。
α晶配向パラメーター=(I1120/I1440)平行/(I1120/I1440)垂直
なお、配向測定用の試料は樹脂包埋後(ビスフェノール系エポキシ樹脂、24時間硬化)、ミクロトームにより切片化した。切片厚みは2.0μmとした。切片試料は切断面が楕円形になるように繊維軸から僅かに傾けて切断し、楕円形の短軸の厚みが一定厚になる箇所を選択して測定した。測定は顕微モードで行い、試料位置におけるレーザーのスポット径は1μmである。 芯、鞘層中心部の配向性解析を行い、配向の測定は偏光条件下で行った。偏光方向が繊維軸と一致する場合を平行条件、直行する場合を垂直条件として、それぞれ得られるラマンバンド強度の比から配向の程度を評価した。なお、各測定点につきn=3の測定を行った。詳細条件を以下に示す。
レーザーラマン分光法
装置:T−64000(Joobin Yvon/愛宕物産)
条件:
測定モード;顕微ラマン
対物レンズ;×100
ビーム径;1μm
光源;Ar+レーザー/514.5nm
レーザーパワー;50mW
回折格子;Single 600gr/mm
スリット;100μm
検出器;CCD/Jobin Yvon 1024×256 。
【0039】
(6)鞘部ポリマーチップのアミノ末端基濃度
試料1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差から試料1gあたりのアミノ末端基量を求めた。
【0040】
(7)芯鞘複合繊維の鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
A.鞘部の重量比率測定
パラフィン、ステアリン酸、エチルセルロースからなる包理剤を溶解し、芯鞘複合糸を導入後室温放置により固化させ、包理剤中の原糸を横断面方向に切断したものを東京電子(株)製のCCDカメラ(CS5270)にて繊維横断面を撮影し、その単糸中で任意に選定した10本(単糸数が10以下の場合は全て)の芯鞘複合糸について、三菱電機製のカラービデオプロセッサー(SCT−CP710)にて1500倍でプリントアウトした断面写真を鞘部および芯部に切り抜き、重量測定後、以下の式にて算出した。
鞘部の重量比率=鞘部の重量/(鞘部の重量+芯部の重量)×100
B.芯鞘複合繊維のアミノ末端基濃度
上記(6)記載の方法にてアミノ末端基量を求めた。
C.鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
上記Bで得られたアミノ末端基量を、上記Aで得られた鞘部の重量比率にて除し、算出した。
鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
=芯鞘複合繊維のアミノ末端基量/鞘部の重量比率/100 。
【0041】
(8)芯鞘複合繊維(繊維全体)の無機粒子含有量
繊維試料を、JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)、8.25項 灰分に準じ測定した。
【0042】
(9)鞘部ポリアミドの無機粒子含有量
上記(8)で得られた無機粒子含有量を、上記(7)−Aで得られた鞘比率にて除し、算出した。
鞘部ポリアミドの無機粒子含有量(重量%)=芯鞘複合繊維の無機粒子含有量/鞘比率/100 。
【0043】
(10)筒編み地作製
A.筒編地の作製
筒編機にて度目が50となるように調整して作製した。繊維の正量繊度が低い場合は、筒編機に給糸する繊維の総繊度が50〜100dtexとなるように適宜合糸し、総繊度が100dtexを超える場合は、筒編機への給糸を1本で行い、前記同様度目が50となるように調整して作製した。
B.筒編み地の精錬
上記Aで得られた筒編み地をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンSS)2g/l水溶液を編み地1gに対し100ml用意し、60℃にて30分洗浄した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
C.筒編み地の染色
上記A,Bで得られた筒編み地を、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。
酸性染料:Erionyl Blue A−R 2.0質量%
染色助剤:酢酸 1.5%
酸性染料、染色助剤を含む染色浴に常圧98℃設定で45分間染色した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
D.発色性
上記Cにて得られた、染色後の筒編み地の発色性について、以下の4段階で評価した。
◎:均一に全体が濃色に着色
○:均一に全体が中色(淡〜濃色)〜濃色に着色
△:均一に全体が淡色〜中色(淡〜濃色)に着色
×:均一に全体が淡色に着色 。
【0044】
(11)染色堅牢度
染色筒編み地(C)を、JIS L0844(2009)7.1項A法に従い、表7中のA−2条件にて測定した。判定はJIS L0801(2009)10項(a)の視感法に従って、変退色および色落ちについて級判定を実施した。変退色および色落ち判定のいずれも3級以上の場合は染色堅牢度は合格、少なくとも変退色か色落ち判定の1つが2−3級以下の場合は染色堅牢度は不合格とした。
【0045】
(12)制電性
(織物の作製) 該芯鞘複合繊維を経糸、緯糸に用い、経密度188本/2.54cm、緯密度155本/2.54cmに設定し平組織で製織した。得られた生機地を常法に従って、1リットル当たり2gの苛性ソーダ(NaOH)を含む溶液でオープンソーパーにより精練し、シリンダー乾燥機にて120℃で乾燥し、次いで170℃にてプレセット、ジッガー染色機にて染色し、フッ素系樹脂化合物を浸漬(パディング法)、乾燥(120℃)、仕上げセット(175℃)した。その後、カレンダー加工(加工条件:シリンダー加工、加熱ロール表面温度180℃、加熱ロール加重147kN、布走行速度20m/min)を織物の両面に1回施し、密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。
前記織物を、JIS L1094(織物及び編物の帯電性試験方法、2014年)A法(半減期測定法)、B法(摩擦帯電圧測定法)に従い測定した。尚、環境条件は10℃×10%RH、摩擦布は綿(金巾3号)、たて方向で測定した。
摩擦耐電圧が1000V以下の場合、着用時に良好な制電性能が得られると判断した。
【0046】
(13)洗濯後制電性
(12)記載の織物を、JIS L0217(2010)付表1記載の番号103記載の方法にて、繰り返し20回洗濯を実施した後、上記記載の制電性を測定した。
【0047】
(14)織物の引裂強力
(12)記載の織物の引裂強力は、JIS L1096(2010)8.14.1に規定されている引裂強さJIS法D法(湿潤時グラブ法)に準拠して、経緯の両方向において測定し、経緯の引裂強力がそれぞれ6.0N以上の場合、実用に耐えうる強力が得られると判断した。
【0048】
実施例1
(ポリアミド芯鞘複合繊維の製造)
ポリアミド成分がナイロン6、ポリエーテル成分(ポリ(アルキレンオキシド)グリコール)が分子量1500のポリエチレングリコールであり、ポリエーテル成分の構成比率はmol比にて約76%であるポリエーテルエステルアミド共重合体(アルケマ社製、MH1657、オルトクロロフェノール相対粘度:1.69)を芯部とし、硫酸相対粘度が2.71、アミノ末端基量が5.95×10
−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし、270℃にて溶融し、同心円芯鞘複合用口金から芯/鞘比率(重量部)=5/95になるように紡糸した。なお、アミノ末端基量は重合時にヘキサメチレンジアミンおよび酢酸にて調整した。
この時、得られる芯鞘複合繊維の総繊度が22dtexとなるようにギヤポンプの回転数を選定し、それぞれ9g/minの吐出量とした。そして糸条冷却装置で糸条を冷却固化し、給油装置により非含水油剤を給油したのち、第1流体交絡ノズル装置で交絡を付与し、第1ロールである引き取りローラーの周速度を2339m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を4210m/minで延伸、延伸ローラー150℃により熱セットを行い、巻き取り速度を4000m/minで巻き取り、22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
(織物の製造)
該芯鞘複合繊維を経糸、緯糸に用い、経密度188本/2.54cm、緯密度155本/2.54cmに設定し平組織で製織した。
【0049】
得られた生機地を常法に従って、1リットル当たり2gの苛性ソーダ(NaOH)を含む溶液でオープンソーパーにより精練し、シリンダー乾燥機にて120℃で乾燥し、次いで170℃にてプレセット、ジッガー染色機にて染色し、フッ素系樹脂化合物を浸漬(パディング法)、乾燥(120℃)、仕上げセット(175℃)した。その後、カレンダー加工(加工条件:シリンダー加工、加熱ロール表面温度180℃ 、加熱ロール加重147kN、布走行速度20m/min)を織物の両面に1回施し、密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた織物について、引裂強力を前記方法で評価した。結果を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=7.4N/6.8Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は420V、洗濯後摩擦帯電圧は420Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級と極めて良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0050】
実施例2
芯/鞘比率(重量部)=10/90になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=7.2N/6.5Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は570V、洗濯後摩擦帯電圧は570Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級と良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0051】
実施例3
芯/鞘比率(重量部)=15/85になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=6.8N/6.2Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は650V、洗濯後摩擦帯電圧は650Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級と良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0052】
実施例4
硫酸相対粘度が2.40、アミノ末端基量が5.30×10
−5mol/gであるナイロン6を鞘部成分としたこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を2476m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=6.9N/6.3Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は500V、洗濯後摩擦帯電圧は500Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級と良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0053】
実施例5
硫酸相対粘度が3.30、アミノ末端基量が4.80×10
−5mol/gであるナイロン6を鞘部成分としたこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を2276m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=7.6N/7.1Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は450V、洗濯後摩擦帯電圧は450Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級と極めて良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0054】
実施例6
酸化チタン3.2重量%、硫酸相対粘度が2.71、アミノ末端基量が6.08×10
−5mol/gであるナイロン6チップを鞘部成分としたこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を2460m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=6.7N/6.3Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は470V、洗濯後摩擦帯電圧は470Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級と極めて良好であり、かつ審美性にも優れていた。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0055】
実施例7
硫酸相対粘度が2.69、アミノ末端基量が3.00×10
−5mol/gであるナイロン610チップを鞘部成分としたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表1に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=7.6N/7.2Nであり、実用に耐えうる強力を有し、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は770V、洗濯後摩擦帯電圧は770Vと優れた制電性能を有した。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級と良好であった。すなわち、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
【0056】
比較例1
芯/鞘比率(重量部)=50/50になるように紡糸したこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3368m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表2に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=3.5N/2.8Nであり、実用に耐えうる強力を有しておらず、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は1200V、洗濯後摩擦帯電圧は1200Vと制電性能に劣っていた。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級と良好であった。すなわち、得られた織物は、実用に耐えうる強力を有しておらず、低温低湿度の環境下において着用時のまつわり付きやほこり付着しやすく快適性に劣ることがわかる。
【0057】
比較例2
硫酸相対粘度が2.14、アミノ末端基量が4.70×10
−5mol/gであるナイロン6チップを鞘部成分としたこと、芯/鞘比率(重量部)=10/90になるように紡糸したこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3368m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表2に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=3.0N/2.5Nであり、実用に耐えうる強力を有しておらず、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は700V、洗濯後摩擦帯電圧は1100Vと洗濯後の制電性能に劣っていた。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた織物は、実用に耐えうる強力および洗濯耐久性(制電性、染色性)を有しておらず、低温低湿度の環境下において着用時のまつわり付きやほこり付着しやすく快適性に劣ることがわかる。
【0058】
比較例3
硫酸相対粘度が3.45、アミノ末端基量が3.35×10
−5mol/gであるナイロン6チップを鞘部成分としたこと、芯/鞘比率(重量部)=15/85になるように紡糸したこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表2に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=6.7N/6.1Nであり、実用に耐えうる強力を有していた。また、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は1100V、洗濯後摩擦帯電圧は1600Vと制電性能に劣っていた。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた織物は、実用に耐えうる洗濯耐久性(制電性、染色性)を有しておらず、低温低湿度の環境下において着用時のまつわり付きやほこり付着しやすく快適性に劣ることがわかる。
【0059】
比較例4
硫酸相対粘度が2.80、アミノ末端基量が2.45×10
−5mol/gであるナイロン610チップを鞘部成分としたこと、芯/鞘比率(重量部)=50/50になるように紡糸したこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3368m/minとしたこと以外、実施例1と同様の方法で22デシテックス20フィラメントの芯鞘複合繊維と密度が経210本/2.54cm、緯で160本/2.54cmである織物を得た。得られた繊維と織物の物性を表2に示す。
得られた織物の引裂強力は、経/緯=3.7N/3.0Nであり、実用に耐えうる強力を有しておらず、10℃×10%RH環境下での摩擦帯電圧は1300V、洗濯後摩擦帯電圧は1300Vと制電性能に劣っていた。また、得られた筒編みの洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた織物は、実用に耐えうる強力および洗濯耐久性(制電性、染色性)を有しておらず、低温低湿度の環境下において着用時のまつわり付きやほこり付着しやすく快適性に劣ることがわかる。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】