特許第6690239号(P6690239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6690239感光性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜を具備する素子及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6690239
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜を具備する素子及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20200421BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20200421BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20200421BHJP
   G03F 7/09 20060101ALI20200421BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20200421BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20200421BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20200421BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20200421BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20200421BHJP
   C08K 5/5435 20060101ALI20200421BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   G03F7/075 511
   G03F7/023
   G03F7/004 501
   G03F7/09 501
   G03F7/40 501
   G03F7/40 521
   G03F7/075 521
   G03F7/20 521
   C08L83/06
   C08K5/13
   C08K3/36
   C08K5/5435
   C08G77/04
【請求項の数】22
【全頁数】129
(21)【出願番号】特願2015-547174(P2015-547174)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(86)【国際出願番号】JP2015076713
(87)【国際公開番号】WO2016052268
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-200268(P2014-200268)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷垣 勇剛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健典
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−129649(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099785(WO,A1)
【文献】 特開2011−022173(JP,A)
【文献】 特開2008−162952(JP,A)
【文献】 特開2007−264462(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/049440(WO,A1)
【文献】 特開2004−059737(JP,A)
【文献】 特開2010−262133(JP,A)
【文献】 特開2007−248885(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083186(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/052268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、
前記(A)ポリシロキサンが、一般式(1)で表されるポリシロキサンであり、
【化1】
(一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。n及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、lは、0以上の整数を表す。)
【化2】
(一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
【化3】
(一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
(一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有し、前記(A)ポリシロキサンに占める、前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で15〜80mol%であり、
前記芳香族基を有するオルガノシラン単位が、一般式(4a)で表されるオルガノシラン単位、一般式(4b)で表されるオルガノシラン単位及び一般式(4c)で表されるオルガノシラン単位からなる群から選ばれる一種以上であり、
【化4】
(一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。pは、0〜7の整数を表す。)
(一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。qは、0〜7の整数を表し、wは、1〜2の整数を表し、xは、0〜1の整数を表し、w+x=2である。)
(一般式(4c)において、R64及びR65は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。rは、0〜7の整数を表し、yは、1〜3の整数を表し、zは、0〜2の整数を表し、y+z=3である。)
(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表されることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
【請求項2】
前記(A)ポリシロキサンの重量平均分子量が、500〜100,000である、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、(F)溶解促進架橋剤を含有し、前記(F)溶解促進架橋剤が、一般式(14)で表される化合物、一般式(15)で表される化合物及び一般式(16)で表される化合物からなる群から選ばれる一種以上である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【化5】
(一般式(14)において、R35及びR36は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R37及びR38は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表す。Xは、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。Xが、直接結合の場合、a、b、x及びyは0である。Xが、直接結合でない場合、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表し、R33及びR34は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。また、c及びdは、0〜2の整数を表す。Xが、直接結合でない場合、x及びyは、1であり、a及びbは、1〜6の整数を表す。)
(一般式(15)において、R39は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表し、R40及びR41は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。eは、0〜3の整数を表す。)
(一般式(16)において、X17及びX18は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R65〜R67は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表し、R68及びR69は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R70及びR71は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。X11が、直接結合の場合、f、g、p及びqは0である。X12が、直接結合の場合、h、i、r及びsは、0である。X11又はX12が、直接結合でない場合、X13、X14、X15及びX16は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R61〜R64は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表す。また、j、k及びlは、0〜2の整数を表す。X11及びX12が、直接結合でない場合、p、q、r及びsは、1であり、f、g、h及びiは、1〜6の整数を表す。)
【請求項4】
(X)及び(Y)が、一般式(4’)〜(6’)で表されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
24≦(X)≦75 (4’)
8≦(Y)≦40 (5’)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6’)
【請求項5】
さらに、(B)無機粒子を含有する、請求項1〜のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)無機粒子がシリカ粒子である、請求項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)ポリシロキサンが、前記(B)無機粒子が結合したオルガノシラン単位を有する、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンである、請求項又は記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物、(D)光重合開始剤、(E1)光酸発生剤及び(E2)光塩基発生剤からなる群から選ばれる一種以上を含有する、請求項1〜のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、(G)溶解促進剤を含有し、前記(G)溶解促進剤が、(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物、及び/又は、(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂である、請求項1〜のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
【化6】
(一般式(17)において、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン鎖、炭素数4〜10のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜15のアリーレン鎖を表し、Xは、直接結合又はメチレン鎖を表し、Yは、直接結合又は酸素原子を表し、R42は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、R43及びR44は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。fは、0〜2の整数を表す。)
(一般式(18)において、Xは、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン鎖、炭素数4〜10のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜15のアリーレン鎖を表し、X及びXは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、Yは、直接結合又は酸素原子を表し、R45及びR46は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。gは、0〜2の整数を表す。)
(一般式(19)において、R47及びR48は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R49及びR50は、一般式(20)で表される構造単位を有する、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、X10は直接結合、炭素数1〜6のアルキレン鎖、炭素数4〜7のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜10のアリーレン鎖を表す。)
【化7】
(一般式(20)において、R51は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又はヒドロキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表し、R52は、水素、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、1〜4の整数を表し、iは、0〜30の整数を表し、jは、1〜100の整数を表す。)
【請求項10】
前記(A)ポリシロキサンが、酸性基を有するオルガノシラン単位を含有するポリシロキサンである、請求項1〜のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(B)無機粒子の数平均粒子径が、20〜55nmである、請求項10のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、
前記(A)ポリシロキサンが、オルガノシランを加水分解し、縮合させることによって得られるポリシロキサンであり、前記オルガノシランが、一般式(21)で表されるオルガノシラン及び一般式(22)で表されるオルガノシランを含み、
【化8】
(一般式(21)において、R53及びR54は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。)
(一般式(22)において、R57〜R60は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。qは、1〜10の整数を表す。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
【化9】
(一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
(一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。)
【化10】
(一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有し、前記(A)ポリシロキサンに占める、前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で15〜80mol%であり、
前記芳香族基を有するオルガノシラン単位が、一般式(4a)で表されるオルガノシラン単位、一般式(4b)で表されるオルガノシラン単位及び一般式(4c)で表されるオルガノシラン単位からなる群から選ばれる一種以上であり、
【化11】
(一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。pは、0〜7の整数を表す。)
(一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。qは、0〜7の整数を表し、wは、1〜2の整数を表し、xは、0〜1の整数を表し、w+x=2である。)
(一般式(4c)において、R64及びR65は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。rは、0〜7の整数を表し、yは、1〜3の整数を表し、zは、0〜2の整数を表し、y+z=3である。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表されることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜を具備する素子。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜を具備する半導体装置。
【請求項16】
(1)基板上に、以下の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程
(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、
前記(A)ポリシロキサンが、一般式(1)で表されるポリシロキサンであり、
【化12】
(一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。n及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、lは、0以上の整数を表す。)
【化13】
(一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
【化14】
(一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
(一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有し、前記(A)ポリシロキサンに占める、前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で15〜80mol%であり、
前記芳香族基を有するオルガノシラン単位が、一般式(4a)で表されるオルガノシラン単位、一般式(4b)で表されるオルガノシラン単位及び一般式(4c)で表されるオルガノシラン単位からなる群から選ばれる一種以上であり、
【化15】
(一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。pは、0〜7の整数を表す。)
(一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。qは、0〜7の整数を表し、wは、1〜2の整数を表し、xは、0〜1の整数を表し、w+x=2である。)
(一般式(4c)において、R64及びR65は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。rは、0〜7の整数を表し、yは、1〜3の整数を表し、zは、0〜2の整数を表し、y+z=3である。)
(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表されることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
2)前記パターンが形成された基板に不純物領域を形成する工程及び/又は前記パターンが形成された基板をパターン加工する工程、
(3)前記パターンを除去する工程、を有する半導体装置の製造方法であり、
前記(2)の工程として、
(2−A)前記パターンが形成された基板にイオン注入する工程、
(2−B)前記パターンが形成された基板にドーパント暴露する工程、
(2−C)前記パターンが形成された基板を、ドライエッチングでパターン加工する工程、
(2−D)前記パターンが形成された基板を、ウェットエッチングでパターン加工する工程、からなる群から選ばれる一種以上の工程を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
(1)基板上に、以下の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程;
(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、
前記(A)ポリシロキサンが、オルガノシランを加水分解し、縮合させることによって得られるポリシロキサンであり、前記オルガノシランが、一般式(21)で表されるオルガノシラン及び一般式(22)で表されるオルガノシランを含み、
【化16】
(一般式(21)において、R53及びR54は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。)
(一般式(22)において、R57〜R60は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。qは、1〜10の整数を表す。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
【化17】
(一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
(一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。)
【化18】
(一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有し、前記(A)ポリシロキサンに占める、前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で15〜80mol%であり、
前記芳香族基を有するオルガノシラン単位が、一般式(4a)で表されるオルガノシラン単位、一般式(4b)で表されるオルガノシラン単位及び一般式(4c)で表されるオルガノシラン単位からなる群から選ばれる一種以上であり、
【化19】
(一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。pは、0〜7の整数を表す。)
(一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。qは、0〜7の整数を表し、wは、1〜2の整数を表し、xは、0〜1の整数を表し、w+x=2である。)
(一般式(4c)において、R64及びR65は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。rは、0〜7の整数を表し、yは、1〜3の整数を表し、zは、0〜2の整数を表し、y+z=3である。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表されることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
2)前記パターンが形成された基板に不純物領域を形成する工程及び/又は前記パターンが形成された基板をパターン加工する工程、
(3)前記パターンを除去する工程、を有する半導体装置の製造方法であり、
前記(2)の工程として、
(2−A)前記パターンが形成された基板にイオン注入する工程、
(2−B)前記パターンが形成された基板にドーパント暴露する工程、
(2−C)前記パターンが形成された基板を、ドライエッチングでパターン加工する工程、
(2−D)前記パターンが形成された基板を、ウェットエッチングでパターン加工する工程、からなる群から選ばれる一種以上の工程を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記(1)の工程として、(1−1)前記感光性樹脂組成物のパターンを150〜1,500℃に加熱する工程を有する、請求項16または17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記(2)の工程として、
(2−A1)前記パターンが形成された基板を200〜1,000℃に加熱しながら、前記基板にイオン注入する工程、
(2−B1)前記パターンが形成された基板を200〜1,500℃に加熱しながら、前記基板にドーパント暴露する工程、
(2−C1)前記パターンが形成された基板を100〜400℃に加熱しながら、ドライエッチングでパターン加工する工程、
(2−D1)前記パターンが形成された基板を100〜400℃に加熱しながら、ウェットエッチングでパターン加工する工程、からなる群から選ばれる一種以上を有する、請求項1618のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記(1−1)の工程が、(1−1a)前記感光性樹脂組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程である、請求項1619のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記(3)の工程が、(3−A)前記パターンを0〜300℃未満で処理する工程からなる、請求項16または17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記基板が、ケイ素、二酸化ケイ素(SiO)、窒素ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化ガリウムアルミニウム(GaAlAs)、ガリウムインジウム窒素ヒ素(GaInNAs)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、インジウムガリウムアルミニウムリン(InGaAlP)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、ダイヤモンド、サファイア(Al)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化カドミウム(CdS)及びテルル化カドミウム(CdTe)からなる群から選ばれる一種以上を有する基板である、請求項1621のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物およびそれを用いた硬化膜、素子ならびに半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、半導体基板中に不純物領域を形成するため、フォトレジストなどのレジストが使用される。不純物領域を形成する方法としては、例えば、不純物領域を形成する元素を含有する化合物から該元素をイオン化して半導体基板に衝突させる方法(以下、「イオン注入」)、又は不純物領域を形成する元素を含有する化合物を半導体基板に暴露させる方法(以下、「ドーパント暴露」)が挙げられる。例えば、半導体基板上に形成されたレジスト膜を、所望のパターンを有するマスク又はレチクルを介して活性化学線を照射し、現像液で現像し、加熱して硬化(以下、「熱硬化」)させることによって、レジスト膜の硬化パターンを形成する。形成された硬化パターンをイオン注入マスク又はドーパント暴露マスクとして、イオン注入又はドーパント暴露することで、所望のパターン状の不純物領域を形成する。
【0003】
イオン注入又はドーパント暴露によって半導体基板中に不純物領域を形成する際、所望のパターン状に不純物領域を形成するため、イオン注入マスク及びドーパント暴露マスクには、高解像度のパターン加工性が要求される。また、イオン注入時のイオン注入温度が低いと、基板に衝突したイオンによる基板の結晶構造へのダメージが残り、低抵抗層が形成できないという懸念がある。同様に、ドーパント暴露時のドーパント暴露温度が低いと、基板中へのイオンの拡散が不十分となり、低抵抗層が形成できないという懸念がある。そのため、イオン注入マスク及びドーパント暴露マスクには高耐熱性及び耐クラック性が求められる。特に、イオン注入時には、高エネルギーで加速されたイオンが衝突するため、衝突エネルギーによって余剰な熱が発生する。そのため、イオン注入マスクにはイオン注入時の衝撃に耐える高度な高耐熱性及び耐クラック性が要求される。
【0004】
一般的に、フォトレジストは高解像度のパターン加工性には優れているが、耐熱性に乏しい。また、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(化学気相成長法)によって形成されたSiO(二酸化ケイ素)膜は、微細なパターン形成をするためには、フォトレジストを用いたドライエッチングでのパターン加工が必要となる。そのため、工程が煩雑になるという課題がある。従って、高解像度のパターン形成が可能であり、高耐熱性及び高耐クラック性を有する感光性樹脂組成物が求められていた。
【0005】
また、半導体基板中に不純物領域を形成する際、ドーパント暴露において使用する液体若しくは気体とレジスト膜との反応、又はレジスト膜へのイオン注入若しくはドーパント暴露によってレジスト膜が変質する場合がある。さらに、レジスト膜の組成によっては、レジスト膜中の有機物が変質して難溶性の化合物が生成する場合がある。不純物領域形成におけるこのようなレジスト膜の変質により、レジスト剥離液へのレジスト膜の溶解性が悪化し、レジスト膜除去後の残渣の原因となる。従って、不純物領域形成において変質したレジスト膜や硬化膜を残渣なく除去する方法が求められていた。
【0006】
高耐熱性を有する感光性樹脂組成物として、ポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物が知られており、絶縁膜等の硬化膜として用いられていた。例えば、ポリシロキサン、ナフトキノンジアジド化合物、又は光酸発生剤若しくは光架橋剤を含有するポジ型又はネガ型感光性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリシロキサン及びナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/49440号公報
【特許文献2】特開2012−511740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来知られていたポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物は、何れも、イオン注入マスク材料として使用するには特性が不十分であった。具体的には、高解像性、耐熱性又は耐クラック性のいずれかが不足していた。
【0009】
そこで本発明は、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化膜を得ることが可能で、アルカリ現像可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また別の問題として、ポリシロキサンを含有する組成物の硬化膜を容易には除去できない場合又は除去に煩雑な工程を要する場合があった。
【0011】
そこで本発明は、半導体基板への不純物領域の形成後、組成物の硬化膜を残渣なく容易に除去できるとともに、除去に要する工程を短縮できる方法及びそれを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、
前記(A)ポリシロキサンが、一般式(1)で表されるポリシロキサンであり、
【0013】
【化1】
【0014】
(一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。n及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、lは、0以上の整数を表す。)
【0015】
【化2】
【0016】
(一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、
【0017】
【化3】
【0018】
(一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
(一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。)
前記(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有し、前記(A)ポリシロキサンに占める、前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で15〜80mol%であり、
(X)及び(Y)が、式(4)〜(6)を満たすことを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
【0019】
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
【発明の効果】
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化膜を得ることが可能である。加えて、本発明の半導体装置の製造方法によれば、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化膜が得られる。そのため、半導体基板への不純物領域の形成後、組成物の硬化膜の除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の感光性樹脂組成物をイオン注入マスクレジストに用いた場合のイオン注入プロセスを示す工程図
図2】本発明におけるエッチングプロセス及びイオン注入プロセスの模式図
図3】本発明の感光性樹脂組成物のパターンの、イオン注入前後のラマンスペクトル
図4】本発明の感光性樹脂組成物のパターンの、焼成前後の赤外分光(IR)スペクトル
図5】本発明の感光性樹脂組成物から得られた2μmのドットパターンの観察画像
図6】本発明の感光性樹脂組成物から得られた1μmのライン・アンド・スペースパターンの観察画像
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリシロキサン、を含有する感光性樹脂組成物であり、前記(A)ポリシロキサンが、一般式(1)で表されるポリシロキサンであり、(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、Si原子mol比で(Y)mol%であり、(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表されることを特徴とする。
【0023】
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
【0024】
【化4】
【0025】
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。n及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、lは、0以上の整数を表す。
【0026】
【化5】
【0027】
一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0028】
【化6】
【0029】
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0030】
一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。
【0031】
<(A)ポリシロキサン>
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリシロキサンを含有する。(A)ポリシロキサンは熱硬化性樹脂であり、高温で熱硬化させて脱水縮合させることで高耐熱性のシロキサン結合(Si−O)が形成される。従って、高耐熱性のシロキサン結合を有する(A)ポリシロキサンを樹脂組成物に含有させることで、得られる硬化膜の耐熱性、耐クラック性を向上させることができる。そのため、硬化膜をイオン注入マスク、ドーパント暴露マスク、ドライエッチングマスク又はウェットエッチングマスクとして用いる場合などに好適である。
【0032】
本発明に用いられる(A)ポリシロキサンは、一般式(1)で表されるポリシロキサンである。
【0033】
【化7】
【0034】
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。n及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、lは、0以上の整数を表す。
【0035】
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。また、R〜R、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基がより好ましい。
【0036】
上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアシル基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0037】
一般式(1)のR〜Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基が挙げられる。アルキル基が置換体である場合、R〜Rとしては、例えば、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基又は3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。
【0038】
一般式(1)のR〜Rのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基が挙げられる。
【0039】
一般式(1)のR〜Rのアルケニル基及びその置換体としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基又は2−(メタ)アクリロキシエチル基が挙げられる。
【0040】
一般式(1)のR〜Rのアリール基及びその置換体としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−スチリル基、2−フェニルエチル基、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基又は4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基が挙げられる。
【0041】
一般式(1)のR〜R、Y及びYのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。一般式(1)のR〜R、Y及びYのアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。一般式(1)のR〜R、Y及びYのアリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基又は1−ナフチル基が挙げられる。
【0042】
【化8】
【0043】
一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアリール基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0044】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で(X)mol%、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で(Y)mol%であり、(X)及び(Y)が、一般式(4)〜(6)で表される含有比率である。
【0045】
7.5≦(X)≦75 (4)
2.5≦(Y)≦40 (5)
1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y) (6)
【0046】
【化9】
【0047】
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。
【0048】
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
【0049】
一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基がより好ましい。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアシル基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0050】
一般式(2)のR及びRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基が挙げられる。アルキル基が置換体である場合、R及びRとしては、例えば、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基又は3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。
【0051】
一般式(2)のR及びRのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基が挙げられる。
【0052】
一般式(2)のR及びRのアルケニル基及びその置換体としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基又は2−(メタ)アクリロキシエチル基が挙げられる。
【0053】
一般式(2)のR及びRのアリール基及びその置換体としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−スチリル基、2−フェニルエチル基、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基又は4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基が挙げられる。
【0054】
一般式(3)のR及びRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。一般式(3)のR及びRのアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。一般式(3)のR及びRのアリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基又は1−ナフチル基が挙げられる。
【0055】
一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を含有させることで、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。一般式(3)で表されるオルガノシラン単位を含有させることで、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐熱性及び透明性を損なうことなく、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。
【0056】
一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどの二官能シラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジメトキシジシロキサン若しくは1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジエトキシジシロキサン又はDMS−S12、DMS−S15、PDS−1615若しくはPDS−9931(以上、何れもGelest製)などの二官能シランオリゴマーが挙げられる。熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性向上の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジメトキシジシロキサン又は1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジエトキシジシロキサンが好ましい。
【0057】
一般式(3)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン若しくはテトラアセトキシシランなどの四官能シラン、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51、シリケート40若しくはシリケート45(以上、何れも多摩化学工業(株)製)又はメチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40若しくはエチルシリケート48(以上、何れもコルコート(株)製)などのシリケート化合物が挙げられる。現像後の解像度向上及び現像後の残渣発生の抑制の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51(多摩化学工業(株)製)又はメチルシリケート51(コルコート(株)製)が好ましい。
【0058】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で7.5〜75mol%であり、15〜75mol%が好ましく、24〜75mol%がより好ましく、36〜70mol%がさらに好ましい。一般式(2)で表されるオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、高解像性と耐クラック性を両立させることができる。一般式(2)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が7.5mol%に満たないと、熱硬化時又はイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性向上の効果が不十分な場合がある。一方、75mol%を超えると、熱硬化後のパターン形状の悪化や、現像後又は熱硬化後の解像度の低下、現像後の残渣発生の原因となる場合がある。
【0059】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で2.5〜40mol%であり、5〜40mol%が好ましく、8〜40mol%がより好ましく、12〜40mol%がさらに好ましい。一般式(3)で表されるオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、高解像性と耐クラック性を両立させることができる。一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が2.5mol%に満たないと、現像後の解像度向上の効果が不十分な場合や、現像後の残渣発生の原因となる場合がある。一方、40mol%を超えると、熱硬化時又はイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性が低下する場合がある。
【0060】
イオン注入時の基板の結晶構造へのダメージを抑制するため、基板を加熱しながらイオン注入する必要がある場合がある。さらに、イオン注入時には、高エネルギーで加速されたイオンが衝突するため、衝突エネルギーによって余剰な熱が発生する場合がある。イオン注入時における、硬化膜の耐クラック性が不足していると、イオン注入時に硬化膜にクラックが発生する場合がある。イオン注入時に硬化膜にクラックが発生すると、イオン注入装置内に硬化膜の破片が散乱し、パーティクルによって装置を汚染するだけでなく、汚染された装置を通過した他のウェハにパーティクルが付着してしまう懸念がある。そのため、イオン注入マスクレジストとして使用される本発明の感光性樹脂組成物には、イオン注入時における、前記組成物から得られる硬化膜の耐クラック性が要求される。また、イオン注入時において、より高エネルギーに加速されたイオンを阻止する必要がある。そのため、より厚膜での、イオン注入時における硬化膜の耐クラック性を有することが好ましい。
【0061】
(X)及び(Y)は、1.5×(Y)≦(X)≦3×(Y)を満たす範囲であり、2×(Y)≦(X)≦3×(Y)を満たす範囲を満たす範囲であることが好ましい。(X)が、上記範囲内であると、高解像性と耐クラック性を両立させることができる。(X)が、1.5×(Y)に満たないと、熱硬化時又はイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性が低下する場合がある。一方、(X)が、3×(Y)を超えると、現像後の解像度の低下や、現像後の残渣発生の原因となる場合がある。
【0062】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(3)で表されるオルガノシラン単位の含有比率が、上記範囲内であり、かつ(X)及び(Y)が上記範囲内であると、現像後の解像度を向上させることができるとともに、熱硬化時又はイオン注入時における耐クラック性を向上させることができる。そのため、(A)ポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物を、後述する(1−1a)前記組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程に適用する上で好ましい。加えて、前記組成物を、後述する(3−A)前記組成物のパターンを0〜300℃未満で処理する工程に適用する上で好ましい。(1−1a)の工程及び(3−A)の工程により、前記組成物のパターンの除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することができる。
【0063】
本発明に用いられる(A)ポリシロキサンとしては、少なくとも、一般式(21)で表されるオルガノシラン及び一般式(22)で表されるオルガノシランを加水分解し、脱水縮合して得られる(A)ポリシロキサンであることが好ましい。
【0064】
【化10】
【0065】
一般式(21)において、R53及びR54は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。一般式(22)において、R57〜R60は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表す。qは、1〜10の整数を表す。)
一般式(21)において、R53及びR54は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。また、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
【0066】
一般式(22)において、R57〜R60は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアシル基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0067】
(A)ポリシロキサンは、さらに一般式(7)で表されるオルガノシラン単位及び/又は一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を含有するポリシロキサンであることが好ましい。
【0068】
(A)ポリシロキサンにおいて、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位、一般式(3)で表されるオルガノシラン単位、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位は、規則的な配列又は不規則的な配列のいずれであっても構わない。規則的な配列としては、例えば、交互共重合、周期的共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合などが挙げられる。不規則的な配列としては、例えば、ランダム共重合などが挙げられる。
【0069】
また、(A)ポリシロキサンにおいて、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位、一般式(3)で表されるオルガノシラン単位、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位は、二次元的な配列又は三次元的な配列のいずれであっても構わない。二次元的な配列としては、例えば、直鎖状が挙げられる。三次元的な配列としては、例えば、梯子状、籠状又は網目状などが挙げられる。
【0070】
【化11】
【0071】
一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0072】
一般式(8)において、Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基、アリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基を表す。
【0073】
一般式(7)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアシル基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0074】
一般式(8)において、Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ポリシロキサンのポリマー鎖又は一般式(7)で表される置換基がより好ましい。
【0075】
一般式(7)及び(8)のR〜Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、カルボキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基又はコハク酸無水物残基が挙げられる。アルキル基が置換体である場合、R〜Rとしては、例えば、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、1−カルボキシ−2−カルボキシペンチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基又は下記の構造の基が挙げられる。
【0076】
【化12】
【0077】
一般式(7)及び(8)のR〜Rのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、カルボキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基又はコハク酸無水物残基が挙げられる。一般式(7)及び(8)のR〜Rのアルケニル基及びその置換体としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基又は2−(メタ)アクリロキシエチル基が挙げられる。
【0078】
一般式(7)及び(8)のR〜Rのアリール基及びその置換体としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−スチリル基、2−フェニルエチル基、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基又は4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基が挙げられる。
【0079】
一般式(7)のRのアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。一般式(7)のRのアリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基又は1−ナフチル基が挙げられる。一般式(8)のRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。
【0080】
一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を含有させることで、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を含有させることで、硬化膜の耐熱性及び透明性を損なうことなく、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0081】
一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルトリメトキシシラン、トリ−n−プロピルトリエトキシシラン、トリ−n−ブチルトリメトキシシラン、トリ−n−ブチルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物又は4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの一官能シランが挙げられる。
【0082】
一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−t−ブチルフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−(4−アミノフェニル)プロピルトリメトキシシラン、1−[4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニル]尿素、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、N−t−ブチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド又はN−t−ブチル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)コハク酸イミドなどの三官能シランが挙げられる。
【0083】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で0〜10mol%であり、0〜5mol%が好ましい。一般式(7)で表されるオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、高解像性と耐クラック性を両立させることができる。
【0084】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(8)で表されるオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で0〜90mol%であり、0〜80mol%が好ましく、0〜68mol%がより好ましく、5〜52mol%がさらに好ましい。一般式(8)で表されるオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、高解像性と耐クラック性を損なうことなく、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0085】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位の含有比率及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位の含有比率の合計は、Si原子mol比で(Z)mol%であり、(Z)は、0〜90mol%であり、0〜80mol%が好ましく、0〜68mol%がより好ましく、5〜52mol%がさらに好ましい。
【0086】
(A)ポリシロキサンが、芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有することが好ましい。そのようなポリシロキサンは、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとして、芳香族基を有するオルガノシランを用いて得られるものであることが好ましい。(A)ポリシロキサンが芳香族基を有するオルガノシラン単位を有することで、芳香族基の立体障害により、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。
【0087】
一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつ芳香族基を有するオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−t−ブチルフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン若しくは4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシランなどの三官能シラン又はジフェニルジメトキシシラン若しくはジフェニルジエトキシシランなどの二官能シランが挙げられる。熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性向上の観点から、フェニルトリメトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン又はジフェニルジエトキシシランが好ましく、フェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン又はジフェニルジエトキシシランがより好ましく、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン又はジフェニルジエトキシシランがさらに好ましい。
【0088】
(A)ポリシロキサンに占める、芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で、15〜80mol%が好ましく、25〜70mol%がより好ましい。特に、一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつ芳香族基を有するオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であることが好ましい。これにより、アルカリ現像液でのパターン加工性が向上するとともに、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。
【0089】
一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつ芳香族基を有するオルガノシラン単位を有するオルガノシランのうち、アルカリ現像液でのパターン加工性向上、現像後の残渣発生の抑制及び現像後の解像度向上の観点から、フェニルトリメトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン又はジフェニルジエトキシシランが好ましく、フェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン又はジフェニルジエトキシシランがより好ましく、1−ナフチルトリメトキシシラン又は2−ナフチルトリメトキシシランがさらに好ましい。
【0090】
一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつ芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有するオルガノシランとしては、一般式(4a)で表されるオルガノシラン単位、一般式(4b)で表されるオルガノシラン単位及び一般式(4c)で表されるオルガノシラン単位(以下、「ナフチルを有するオルガノシラン単位」)からなる群から選ばれる一種以上を有することが特に好ましい。
【0091】
【化13】
【0092】
一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。pは、0〜7の整数を表す。
【0093】
一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。qは、0〜7の整数を表し、wは、1〜2の整数を表し、xは、0〜1の整数を表し、w+x=2である。
【0094】
一般式(4c)において、R64は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表し、R65は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。rは、0〜7の整数を表し、yは、1〜3の整数を表し、zは、0〜2の整数を表し、y+z=3である。
【0095】
一般式(4a)において、R61は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0096】
一般式(4b)において、R62及びR63は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0097】
一般式(4c)において、R64及びR65は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0098】
(A)ポリシロキサンが、ナフチル基を有するオルガノシラン単位を含有することで、現像時の残渣発生が抑制され、現像後の解像度を向上させることができる。これは、ナフチル基の立体障害により、ナフチル基の近傍にシロキサン架橋を形成していないシラノール基が多く残存しているためである。さらに、ナフチル基が疎水性を有するため、露光部と未露光部との溶解コントラスト比が向上するためと推測される。加えて、熱硬化時及びイオン注入時における、硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。これは、ナフチル基の立体障害により、(A)ポリシロキサン中の過剰なシロキサン架橋が阻害され、収縮応力が低減されたためと推測される。さらに、露光及び現像時における、露光量に対するパターン寸法幅変化を低減することができる。これは、ナフチル基により、露光時の散乱光や下地の基板からの反射光が吸収されたためと推測される。
【0099】
また、(A)ポリシロキサンがナフチル基を有する場合、前記(A)ポリシロキサンと後述する(F)溶解促進架橋剤との相溶性が向上し、解像度向上、耐クラック性向上、パターン寸法幅変化抑制の効果をより高めることができる。
【0100】
(A)ポリシロキサンが、ナフチル基を有するオルガノシラン単位を含有することで、現像後の解像度を向上させることができるとともに、熱硬化時又はイオン注入時における耐クラック性を向上させることができる。そのため、(A)ポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物を、後述する(1−1a)前記組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程に適用する上で好ましい。加えて、前記組成物を、後述する(3−A)前記組成物のパターンを0〜300℃未満で処理する工程に適用する上で好ましい。(1−1a)の工程及び(3−A)の工程により、前記組成物のパターンの除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することができる。
【0101】
本発明の感光性樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、芳香族基を有するオルガノシランが特に好ましい。(A)ポリシロキサンが芳香族基を有するオルガノシラン由来の構造を有することで、後述する(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物との相溶性を向上させることができ、相分離せず、透明性を損なうことなく、均一な硬化膜を形成することができる。
【0102】
本発明の感光性樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、エポキシ基及び/又はビニル基を有するオルガノシランを用いても構わない。(A)ポリシロキサンがエポキシ基及び/又はビニル基を有するオルガノシラン由来の構造を有することで、硬化膜の密着性を向上させることができる。
【0103】
一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつエポキシ基及び/又はビニル基を有するオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン若しくはビニルトリエトキシシランなどの三官能シラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン若しくはジビニルジエトキシシランなどの二官能シラン又は(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン若しくは(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの一官能シランが挙げられる。硬化膜の密着性向上の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン若しくはビニルトリエトキシシランが好ましい。
【0104】
(A)ポリシロキサンに占める、一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつエポキシ基及び/又はビニル基を有するオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で、1〜70mol%が好ましく、3〜60mol%がより好ましく、5〜50mol%がさらに好ましく、10〜50mol%が特に好ましい。一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表されかつエポキシ基及び/又はビニル基を有するオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、硬化膜の密着性を向上させることができる。
【0105】
本発明の感光性樹脂組成物にネガ型の感光性を付与する場合、一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、及び一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、エチレン性不飽和二重結合基を有するオルガノシランを用いても構わない。(A)ポリシロキサンがエチレン性不飽和二重結合基を有するオルガノシラン由来の構造を有することで、露光時のUV硬化が促進されて、感度を向上させることができる。そして、熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。ここでいう露光とは、活性化学線(放射線)の照射のことであり、例えば、可視光線、紫外線、電子線又はX線などの照射が挙げられる。一般的に使用されている光源であるという観点から、例えば、可視光線や紫外線の照射が可能な超高圧水銀灯光源が好ましく、j線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)の照射がより好ましい。以降、露光とは、活性化学線(放射線)の照射をいう。
【0106】
一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表され、かつエチレン性不飽和二重結合基を有するオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン若しくは4−スチリルトリメトキシシランなどの三官能シラン又はメチルビニルジメトキシシラン若しくはジビニルジエトキシシランなどの二官能シランが挙げられる。露光時の感度向上や、硬化膜の硬度の観点から、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン又は4−スチリルトリメトシキシランが好ましい。
【0107】
本発明の感光性樹脂組成物にネガ型の感光性を付与し、一般式(2)、一般式(7)又は一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとして、エチレン性不飽和二重結合基を有するオルガノシランを用いる場合、(A)ポリシロキサンの二重結合当量としては、150〜10,000g/molが好ましく、200〜5,000g/molがより好ましく、250〜2,000g/molがさらに好ましい。ここで二重結合当量とは、エチレン性不飽和二重結合基1mol当たりの樹脂重量をいい、単位はg/molである。二重結合当量はヨウ素価を測定することで算出できる。(A)ポリシロキサンの二重結合当量が上記範囲内であると、露光時の感度及び硬化膜の硬度を向上させることができる。 一般式(7)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン及び/又は一般式(8)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしては、酸性基を有するオルガノシランも好ましい。(A)ポリシロキサンがオルガノシランシラン由来の酸性基を有することで、アルカリ現像液でのパターン加工性を向上させることができ、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。酸性基としては、pH6未満の酸性度を示す基が好ましい。pH6未満の酸性度を示す基としては、例えば、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、ヒドロキシイミド基又はシラノール基が挙げられる。アルカリ現像液でのパターン加工性及び現像後の解像度向上の観点から、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基が好ましい。
【0108】
一般式(7)又は一般式(8)で表されかつ酸性基を有するオルガノシラン単位を有するオルガノシランとしてはとしては、例えば、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン若しくは4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシランなどの三官能シラン又は3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物若しくは4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの一官能シランが挙げられる。
アルカリ現像液でのパターン加工性向上、現像後の残渣発生の抑制及び現像後の解像度向上の観点から、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物若しくは4−(3−トリエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの三官能シラン又は3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物若しくは4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの一官能シランが好ましく、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物又は4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物がより好ましい。
【0109】
本発明の感光性樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合、(A)ポリシロキサンに占める、一般式(7)又は一般式(8)で表されかつ酸性基を有するオルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で、0.01〜20mol%が好ましく、0.02〜15mol%がより好ましく、0.03〜10mol%がさらに好ましい。一般式(7)又は一般式(8)で表されかつ酸性基を有するオルガノシラン単位由来のSi原子mol比が上記範囲内であると、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。
【0110】
本発明の感光性樹脂組成物にネガ型の感光性を付与する場合、(A)ポリシロキサンのカルボン酸当量としては、280〜1,400g/molが好ましく、300〜1,100g/molがより好ましく、350〜950g/molがさらに好ましい。ここでカルボン酸当量とは、カルボキシ基1mol当たりの樹脂重量をいい、単位はg/molである。カルボン酸当量の値から、樹脂中のカルボキシ基の数を求めることができる。(A)ポリシロキサンのカルボン酸当量が上記範囲であると、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。
【0111】
(A)ポリシロキサンに占める、各種オルガノシラン単位の含有比率は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、IR、TOF−MS、元素分析法及び灰分測定などを組み合わせて求めることができる。
【0112】
(A)ポリシロキサンの重量平均分子量(以下、「Mw」)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」)で測定されるポリスチレン換算で、500〜100,000が好ましく、500〜50,000がより好ましく、500〜20,000がさらに好ましい。(A)ポリシロキサンのMwが上記範囲であると、塗布時のレベリング性、アルカリ現像液でのパターン加工性及び塗液の保管安定性を向上させることができる。本発明の感光性樹脂組成物に用いられる(A)ポリシロキサンとしては、Mwが500以上のものをいう。
【0113】
オルガノシランを加水分解し、脱水縮合する方法としては、例えば、オルガノシランを含む混合物に、溶媒及び水、さらに必要に応じて触媒を添加し、50〜150℃、好ましくは90〜130℃で、0.5〜100時間程度加熱撹拌する方法が挙げられる。なお、加熱撹拌中、必要に応じて蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を蒸留により留去しても構わない。
【0114】
オルガノシランの加水分解及び脱水縮合に用いる溶媒としては、例えば、後述する溶剤と同様のものが挙げられる。溶媒の添加量は、オルガノシラン及びオルガノシランと反応させる、後述する(B)無機粒子の合計を100重量部とした場合において、10〜1,000重量部が好ましい。水の添加量は、加水分解性基1molに対して0.5〜2molが好ましい。
【0115】
必要に応じて添加される触媒としては、酸触媒又は塩基触媒が好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸若しくは多価カルボン酸又はこれらの無水物あるいはイオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン又はイオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量は、オルガノシラン及びオルガノシランと反応させる(B)無機粒子の合計を100重量部とした場合において、0.01〜10重量部が好ましい。
【0116】
本発明の感光性樹脂組成物の保管安定性の観点から、(A)ポリシロキサンは上記触媒を含有しないことが好ましいため、事後的に触媒を除去しても構わない。触媒を除去する方法としては、操作の簡便さ及び除去性の観点から、水洗浄又はイオン交換樹脂による処理が好ましい。ここで水洗浄とは、得られた(A)ポリシロキサンの溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄し、得られた有機層をエバポレーターなどで濃縮する方法をいう。またイオン交換樹脂による処理とは、得られた(A)ポリシロキサンの溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法をいう。
【0117】
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)無機粒子を含有する。ここで、本発明において感光性樹脂組成物が(B)無機粒子を含有するとは、感光性樹脂組成物中に(A)ポリシロキサンと(B)無機粒子が別々に含まれる形態のほか、(B)無機粒子に(A)ポリシロキサンが結合している形態や、その両方の形態を含むことをいう。
【0118】
<(A1)無機粒子含有ポリシロキサン>
(A)ポリシロキサンとしては、(A)ポリシロキサンが、(B)無機粒子が結合したオルガノシラン単位を有するポリシロキサン(以下、「(A1)無機粒子含有ポリシロキサン」)であることが好ましい。(A1)無機粒子含有ポリシロキサンとしては、(B)無機粒子の存在下で、少なくとも一般式(2)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシラン、及び一般式(3)で表されるオルガノシラン単位を有するオルガノシランを加水分解し、脱水縮合させることによって得られるポリシロキサンを用いることが好ましい。このようにして得られる(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを用いることで、(B)無機粒子のアルカリ可溶性が向上するため、アルカリ現像液でのパターン加工性の低下を抑制することができる。また、(B)無機粒子は熱硬化時の収縮率が小さいため、収縮応力の発生を抑制でき、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。
【0119】
(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの結合の有無は、13C−NMR、29Si−NMR及びIRなどを組み合わせて確認することができる。例えば、29Si−NMRにおいて、(B)無機粒子のスペクトル、(A)ポリシロキサンのスペクトル及び(A1)無機粒子含有ポリシロキサンのスペクトルを比較する。(A1)無機粒子含有ポリシロキサン中の、(B)無機粒子に結合しているSi原子由来のピークは、(A)ポリシロキサンのスペクトルには存在しない化学シフトを有するピークとなるため、(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの結合の有無を確認することができる。
【0120】
同様に、IRでも(A1)無機粒子含有ポリシロキサン中のSi原子由来のピークは、(A)ポリシロキサンのスペクトルとは異なる波数を有するピークとなるため、(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの結合の有無を確認することができる。
【0121】
また、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」)又は透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」)で(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの境界部分を観察することによっても確認することができる。(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとが結合している場合、それらが一体化している状態が観察され、(B)無機粒子間の境界部分、又は(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの間の境界部分が不明瞭となる。一方、(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとが結合していない場合、それらが一体化していない状態が観察され、(B)無機粒子間の境界部分、又は(B)無機粒子と(A)ポリシロキサンとの間の境界部分が明瞭となり、(B)無機粒子の数平均粒子径に相当する大きさの粒子が明確に観察される。
【0122】
<(B)無機粒子>
以下の説明は、(A)ポリシロキサンとは別々に含まれる無機粒子と、(A)ポリシロキサンと結合する無機粒子の双方に共通する。
【0123】
(B)無機粒子とは、金属化合物又は半導体化合物からなる粒子をいう。金属又は半導体としては、例えば、ケイ素、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれる元素が挙げられる。金属化合物又は半導体化合物としては、例えば、上記金属若しくは半導体のハロゲン化物、酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はメタケイ酸塩が挙げられる。
【0124】
特定範囲の数平均粒子径を有する(B)無機粒子を用いることが、アルカリ現像液でのパターン加工性の向上及び現像後の解像度の向上、並びに、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性の向上の観点から重要である。
【0125】
(B)無機粒子の数平均粒子径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましく、20nm以上が特に好ましく、25nm以上が最も好ましい。(B)無機粒子の数平均粒子径が上記範囲内であると、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。一方、数平均粒子径は、200nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましく、55nm以下が特に好ましく、45nm以下が最も好ましい。数平均粒子径が上記範囲内であると、アルカリ現像液でのパターン加工性及び現像後の解像度を向上させることができる。
【0126】
ここで、(B)無機粒子の数平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置(N4−PLUS;べックマン・コールター(株)製)を用いて、溶液中の(B)無機粒子のブラウン運動によるレーザー散乱を測定する(動的光散乱法)ことで求めることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜中の(B)無機粒子の数平均粒子径は、SEM及びTEMを用いて測定することで求めることができる。拡大倍率を50,000〜200,000倍として、(B)無機粒子の数平均粒子径を直接測定する。(B)無機粒子が真球の場合、真球の直径を測定し、数平均粒子径とする。(B)無機粒子が真球でない場合、最も長い径(以下、「長軸径」)及び長軸径と直交する方向において最も長い径(以下、「短軸径」)を測定し、長軸径と短軸径を平均した、二軸平均径を数平均粒子径とする。
【0127】
(B)無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、フッ化リチウム粒子、塩化リチウム粒子、臭化リチウム粒子、酸化リチウム粒子、炭酸リチウム粒子、硫酸リチウム粒子、硝酸リチウム粒子、メタケイ酸リチウム粒子、水酸化リチウム粒子、フッ化ナトリウム粒子、塩化ナトリウム粒子、臭化ナトリウム粒子、炭酸ナトリウム粒子、炭酸水素ナトリウム粒子、硫酸ナトリウム粒子、硝酸ナトリウム粒子、メタケイ酸ナトリウム粒子、水酸化ナトリウム粒子、フッ化マグネシウム粒子、塩化マグネシウム粒子、臭化マグネシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、硫酸マグネシウム粒子、硝酸マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子、フッ化カリウム粒子、塩化カリウム粒子、臭化カリウム粒子、炭酸カリウム粒子、硫酸カリウム粒子、硝酸カリウム粒子、フッ化カルシウム粒子、塩化カルシウム粒子、臭化カルシウム粒子、酸化カルシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸カルシウム粒子、硝酸カルシウム粒子、水酸化カルシウム粒子、フッ化ストロンチウム粒子、フッ化バリウム粒子又はフッ化ランタン粒子が挙げられる。(A)ポリシロキサンとの相溶性の観点から、シリカ粒子が好ましい。
【0128】
また、マトリックスの樹脂と反応しやすくするため、(B)無機粒子はその表面にヒドロキシ基など、樹脂と反応可能な官能基を有することが好ましい。(B)無機粒子とマトリックスの樹脂との反応性が良好であると、熱硬化時に樹脂中に(B)無機粒子が組み込まれ、熱硬化時の収縮応力の発生が抑えられるため、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性が向上する。
【0129】
シリカ粒子としては、例えば、メタノール(MA)を分散媒とした数平均粒子径(以下、「粒子径」)10〜20nmのメタノールシリカゾル、イソプロピルアルコール(IPA)を分散媒とした粒子径10〜20nmのIPA−ST、エチレングリコール(EG)を分散媒とした粒子径10〜20nmのEG−ST、n−プロピルセロソルブ(NPC)を分散媒とした粒子径10〜20nmのNPC−ST−30、ジメチルアセトアミド(DMAC)を分散媒とした粒子径10〜20nmのDMAC−ST、メチルエチルケトン(MEK)を分散媒とした粒子径10〜20nmのMEK−ST、メチルイソブチルケトン(MIBK)を分散媒とした粒子径10〜20nmのMIBK−ST、キシレン(Xy)とn−ブチルアルコール(nBA)の混合溶媒を分散媒とした粒子径10〜20nmのXBA−ST、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を分散媒とした粒子径10〜20nmのPMA−ST、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を分散媒とした粒子径10〜20nmのPGM−ST、MAを分散媒とした粒子径8〜11nmのMA−ST−S、MAを分散媒とした粒子径20〜30nmのMA−ST−M、MAを分散媒とした粒子径40〜50nmのMA−ST−L、MAを分散媒とした粒子径70〜100nmのMA−ST−ZL、IPAを分散媒とした粒子径8〜11nmのIPA−ST−S、IPAを分散媒とした粒子径20〜30nmのIPA−ST−M、IPAを分散媒とした粒子径40〜50nmのIPA−ST−L、IPAを分散媒とした粒子径70〜100nmのIPA−ST−ZL、分散溶液が水である粒子径4〜6nmの“スノーテックス”(登録商標)OXS、分散溶液が水である粒子径8〜11nmの同OS、分散溶液が水である粒子径10〜20nmの同O、分散溶液が水である粒子径20〜30nmの同O−40、分散溶液が水である粒子径40〜50nmの同OL、分散溶液が水である粒子径40〜60nmの同XL、分散溶液が水である粒子径50〜80nmの同YL、分散溶液が水である粒子径70〜100nmの同ZL、分散溶液が水である粒子径が約100nmの同MP−1040若しくは分散溶液が水である粒子径が約200nmの同MP−2040(以上、何れも日産化学工業(株)製)、IPAを分散媒とした粒子径5〜10nmの“OSCAL”(登録商標)−1421、IPAを分散媒とした粒子径10〜20nmの同−1432、MAを分散媒とした粒子径10〜20nmの同−1132、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGME)を分散媒とした粒子径10〜20nmの同−1632、MIBKを分散媒とした粒子径10〜20nmの同−1842、γ−ブチロラクトン(GBL)を分散媒とした粒子径10〜20nmの同−101、EGを分散媒とした粒子径110〜130nmの同−1727BM、EGを分散媒とした粒子径150〜170nmの同−1727TH若しくは分散溶液が水である粒子径5〜80nmの“CATALOID”(登録商標)−S(以上、何れも日揮触媒化成工業(株)製)、分散溶液が水である粒子径5〜10nmの“クォートロン”(登録商標)PL−06L、分散溶液が水である粒子径10〜15nmの同PL−1、分散溶液が水である粒子径15〜20nmの同PL−2L、分散溶液が水である粒子径20〜30nmの同PL−2、分散溶液が水である粒子径30〜40nmの同PL−3、分散溶液が水である粒子径30〜40nmの同PL−3L、分散溶液が水である粒子径30〜40nmの同PL−3H、分散溶液が水である粒子径50〜60nmの同PL−5、分散溶液が水である粒子径70〜85nmの同PL−7、分散溶液が水である粒子径80〜100nmの同PL−10H、IPAを分散媒とした粒子径10〜15nmの同PL−1−IPA、IPAを分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−IPA、MAを分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−MA、PGMEを分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−PGME、PGMEを分散媒とした粒子径30〜40nmの同PL−3−PGME、PGMEを分散媒とした粒子径30〜40nmの同PL−3L−PGME、ジアセトンアルコール(DAA)を分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−DAA、GBLを分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−BL若しくはトルエン(TOL)を分散媒とした粒子径15〜20nmの同PL−2L−TOL(以上、何れも扶桑化学工業(株)製)、粒子径が100nmであるシリカ(SiO2)SG−SO100(共立マテリアル(株)製)又は粒子径が5〜50nmである“レオロシール”(登録商標)((株)トクヤマ製)が挙げられる。
アルカリ現像液でのパターン加工性を損なうことなく、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性向上の観点から、メタノールシリカゾル、IPA−ST、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、PMA−ST、PGM−ST、MA−ST−S、MA−ST−M、MA−ST−L、IPA−ST−S、IPA−ST−M、IPA−ST−L、“スノーテックス”(登録商標)OXS、同OS、同O、同O−40、同OL、同XL、同YL若しくは同ZL(以上、何れも日産化学工業(株)製)、“OSCAL”(登録商標)−1421、同−1432、同−1132若しくは同−1632(以上、何れも日揮触媒化成工業(株)製)又は“クォートロン”(登録商標)PL−06L、同PL−1、同PL−2L、同PL−2、同PL−3、同PL−3L、同PL−3H、同PL−5、同PL−1−IPA、同PL−2L−IPA、同PL−2L−MA、同PL−2L−PGME、同PL−3−PGME、同PL−3L−PGME若しくは同PL−2L−DAA(以上、何れも扶桑化学工業(株)製)が好ましく、MA−ST−M、MA−ST−L、IPA−ST−M、IPA−ST−L、“スノーテックス”(登録商標)O−40、同OL若しくは同XL(以上、何れも日産化学工業(株)製)又は“クォートロン”(登録商標)PL−2、同PL−3、同PL−3L、同PL−3H、同PL−5、同PL−3−PGME若しくは同PL−3L−PGME(以上、何れも扶桑化学工業(株)製)がより好ましい。
【0130】
シリカ−酸化リチウム複合粒子としては、例えば、リチウムシリケート45(日産化学工業(株)製)が挙げられる。
【0131】
溶剤を除く、本発明の感光性樹脂組成物の固形分に占める(B)無機粒子の含有量は、5〜80重量%が好ましく、7〜70重量%がより好ましく、10〜60重量%がさらに好ましく、15〜50重量%が特に好ましい。(B)無機粒子の含有量が上記範囲内であると、アルカリ現像液でのパターン加工性を損なうことなく、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。なお、(B)無機粒子の含有量とは、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子と、それ以外の(B)無機粒子との合計量をいう。
【0132】
(A)ポリシロキサンが、特定範囲の数平均粒子径を有する(B)無機粒子を含有することで、現像後の解像度を向上させることができるとともに、熱硬化時又はイオン注入時における耐クラック性を向上させることができる。そのため、(A)ポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物を、後述する(1−1a)前記組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程に適用する上で好ましい。加えて、前記組成物を、後述する(3−A)前記組成物のパターンを0〜300℃未満で処理する工程に適用する上で好ましい。(1−1a)の工程及び(3−A)の工程により、前記組成物のパターンの除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することができる。
【0133】
<ポジ型感光性>
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型又はネガ型の感光性を有する感光性組成物であり、ポジ型の感光性を有することが好ましい。前記感光性樹脂組成物がポジ型の感光性を有することで、現像後の解像度に優れたパターンを得ることができる。
【0134】
<ポジ型感光性;(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物>
本発明の感光性樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合、前記感光性樹脂組成物に、(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を含有させることが好ましい。(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物とは、露光によって光反応を起こして構造変化し、アルカリ可溶性を有するインデンカルボン酸を発生する化合物をいう。このインデンカルボン酸の発生により、露光部のみがアルカリ現像液に溶解する。
【0135】
一方、未露光部では、本発明の感光性樹脂組成物中の、(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物のキノンジアジド部位が作用する。キノンジアジド部位が、(A)ポリシロキサン中に残存するシラノール基に配位して相互作用し、(A)ポリシロキサン中の残存シラノールによるアルカリ現像液に対する溶解性を抑制する。
【0136】
従って、本発明の感光性樹脂組成物が(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を含有することで、露光部と未露光部とでアルカリ現像液に対する溶解性の差が大きくなり、溶解コントラストが向上する。
【0137】
(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物が挙げられる。(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物中の、フェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基又は一般式(9)〜(11)のいずれかで表される置換基であることが好ましい。
【0138】
【化14】
【0139】
10〜R12は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基又はカルボキシ基を表し、R10〜R12のうち、少なくとも2つで環を形成しても構わない。
【0140】
10〜R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又はカルボキシ基が好ましい。
【0141】
上記のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びカルボキシ基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0142】
10〜R12のうち、少なくとも2つで形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ノルボルネン環、アダマンタン環又はフルオレン環が挙げられる。
【0143】
フェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が、それぞれ独立して、一般式(9)〜(11)のいずれかで表される置換基の場合、熱硬化時に酸化分解が起こりにくく、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成されにくい。そのため、硬化膜が着色しにくく、硬化膜の透明性が向上する。これらの(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとの公知のエステル化反応により合成することができる。
【0144】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。(何れも本州化学工業(株)製)
【0145】
【化15】
【0146】
【化16】
【0147】
ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、例えば、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド又は5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが挙げられる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は、i線(波長365nm)領域に吸収を有するため、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は、広範囲の波長領域に吸収を有するため、広範囲の波長での露光に適している。
【0148】
(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物としては、例えば、一般式(12)で表される化合物が挙げられる。一般式(12)で表される(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を用いることで、露光時の感度や現像後の解像度を向上させることができる。
【0149】
【化17】
【0150】
13〜R16は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のエステル基、炭素数6〜15のアリール基又はカルボキシ基を表し、R17は、水素、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。Qは、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基又は水素を表し、Qのいずれか1つ以上が5−ナフトキノンジアジドスルホニル基である。a、b、c、d、e、α、β、γ、δは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、α+β+γ+δ≧2である。
【0151】
13〜R16は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のエステル基又は炭素数6〜10のアリール基又はカルボキシ基が好ましく、R17は、水素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基及びカルボキシ基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0152】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、2〜30重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物の含有量が上記範囲内であると、現像時の溶解コントラストを向上させることができるとともに、現像後の残渣発生を抑制できる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0153】
<ネガ型感光性>
本発明の感光性樹脂組成物にネガ型の感光性を付与する場合、前記感光性樹脂組成物に、(D)光重合開始剤、(E1)光酸発生剤及び(E2)光塩基発生剤からなる群から選ばれる一種以上を含有させることが好ましい。(D)光重合開始剤とは、露光によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する化合物をいう。(E1)光酸発生剤とは、露光によって結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいう。(E2)光塩基発生剤とは、露光によって結合開裂を起こして塩基を発生する化合物をいう。
【0154】
<ネガ型感光性;(D)光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物が(D)光重合開始剤を含有することで、露光時のUV硬化が促進されて、感度を向上させることができる。また、組成物の熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0155】
(D)光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン若しくは3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−オクチル−9H−カルバゾールなどのα−アミノアルキルフェノン化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド若しくはビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド化合物、1−フェニルプロパン−1,2−ジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1−フェニルブタン−1,2−ジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパン−1,2,3−トリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチル)オキシム若しくは1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−[1−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルオキシ]ベンゾイル]−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチル)オキシムなどのオキシムエステル化合物、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ジベンジルケトン若しくはフルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−エチル)ヘキシル、4−ジエチルアミノ安息香酸エチル若しくは2−ベンゾイル安息香酸メチルなどの安息香酸エステル化合物、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、ベンザルアセトフェノン若しくは4−アジドベンザルアセトフェノンなどの芳香族ケトン化合物、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン若しくは2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン化合物、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、ナフタレンスルホニルクロリド、キノリンスルホニルクロリド、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−n−ブチル−2−クロロアクリドン、N−フェニルチオアクリドン、1,7−ビス(アクリジン−9−イル)−n−ヘプタン、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロロアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、メチレンアントロン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンズスベロン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェート(1−)、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン又は過酸化ベンゾイルあるいはエオシン又はメチレンブルーなどの光還元性の色素と、アスコルビン酸又はトリエタノールアミンなどの還元剤との組み合わせが挙げられる。
露光時の感度向上や、硬化膜の硬度向上の観点から、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物又はアミノ基を有する安息香酸エステル化合物が好ましい。アミノ基を有するベンゾフェノン化合物としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。アミノ基を有する安息香酸エステル化合物としては、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−エチルヘキシル)又は4−ジエチルアミノ安息香酸エチルが挙げられる。
【0156】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(D)光重合開始剤の含有量は、(A)ポリシロキサン及び後述のラジカル重合性化合物の合計を100重量部とした場合において、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。(D)光重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、露光時の感度や、硬化膜の硬度を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0157】
<ネガ型感光性;(E1)光酸発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物が(E1)光酸発生剤を含有することで、露光時のUV硬化が促進されて、感度を向上させることができる。また、組成物の熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0158】
(E1)光酸発生剤としては、イオン性化合物と、非イオン性化合物と、がある。イオン性化合物としては、重金属、ハロゲンイオンを含まないものが好ましく、トリオルガノスルホニウム塩系化合物がより好ましい。トリオルガノスルホニウム塩系化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩又は4−トルエンスルホン酸塩;ジメチル−1−ナフチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩又は4−トルエンスルホン酸塩;ジメチル(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)スルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩又は4−トルエンスルホン酸塩;ジメチル(4,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)スルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩又は4−トルエンスルホン酸塩;ジフェニルヨードニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩又は4−トルエンスルホン酸塩が挙げられる。
【0159】
非イオン性の(E1)光酸発生剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、リン酸エステル化合物又はスルホンベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。
【0160】
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物又はハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物が挙げられる。ハロゲン含有化合物としては、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン又は2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが好ましい。
【0161】
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−4−トリルスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン又はフェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタンが挙げられる。
【0162】
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物又はジアリールジスルホン化合物が挙げられる。スルホン化合物としては、4−トリルフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン又は4−クロロフェニル−4−トリルジスルホン化合物が好ましい。
【0163】
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル又はイミノスルホン酸エステル化合物などが挙げられる。スルホン酸エステル化合物としては、ベンゾイン−4−トリルスルホネート、ピロガロールトリス(メチルスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアンスリル−2−スルホネート又は2,6−(ジニトロベンジル)フェニルスルホネートが好ましい。
【0164】
イミノスルホン酸エステル化合物としては、例えば、ベンジルモノオキシム−4−トリルスルホネート、ベンジルモノオキシム−4−ドデシルフェニルスルホネート、ベンジルモノオキシムヘキサデシルスルホネート、4−ニトロアセトフェノンオキシム−4−トリルスルホネート、4,4’−ジメチルベンジルモノオキシム−4−トリルスルホネート、4,4’−ジメチルベンジルモノオキシム−4−ドデシルフェニルスルホネート、ジベンジルケトンオキシム−4−トリルスルホネート、α−(4−トリルオキシ)イミノ−α−シアノ酢酸エチル、フリルモノオキシム−4−(アミノカルボニル)フェニルスルホネート、アセトンオキシム−4−ベンゾイルフェニルスルホネート、3−(ベンジルスルホニルオキシ)イミノアセチルアセトン、ビス(ベンジルモノオキサイド)ジオクチルナフチルジスルホネート、α−(4−トリルスルホニルオキシ)イミノベンジルシアニド、α−(4−トリルスルホニルオキシ)イミノ−4−メトキシベンジルシアニド、α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ−4−メトキシベンジルシアニド又は5−(4−トリルスルホニルオキシ)イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−(2−メチルフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
【0165】
カルボン酸エステル化合物としては、例えば、カルボン酸2−ニトロベンジルエステルが挙げられる。
【0166】
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(4−トリルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ヘプタフルオロプロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(エチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(プロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ペンチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ヘキシルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(ヘプチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド、N−(オクチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミド又はN−(ノニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシイミドなどが挙げられる。
【0167】
これらのうち、溶解性と硬化膜の絶縁性能の観点から、イオン性化合物よりも非イオン性化合物の方が好ましい。発生する酸の強さの観点から、ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸又はリン酸を発生するものがより好ましい。j線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)に対する量子収率の高さによる高感度と、硬化膜の透明性の観点から、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物やイミノスルホン酸エステル化合物がさらに好ましい。
【0168】
<ネガ型感光性;(E2)光塩基発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物が(E2)光塩基発生剤を含有することで、露光時のUV硬化が促進されて、感度を向上させることができる。また、組成物の熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0169】
(E2)光塩基発生剤としては、露光によって有機系の塩基を発生するものと、無機系の塩基を発生するものと、がある。露光による塩基の発生効率と、溶解性の観点から、アミン類を発生する(E2)光塩基発生剤がさらに好ましい。露光により発生するアミン類の種類としては、例えば、脂肪族アミン類又は芳香族アミン類が挙げられる。
【0170】
露光により発生するアミン類としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−セチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール又はピラゾールが挙げられる。
【0171】
露光によりアミン類を発生する(E2)光塩基発生剤としては、例えば、オルトニトロベンジルカルバメート化合物、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート化合物又はアシルオキシイミノ化合物が挙げられる。
【0172】
オルトニトロベンジルカルバメート化合物としては、例えば、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−メチルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−n−プロピルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−n−ヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−シクロヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニルアニリン、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニルピペリジン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]−2,4−トリレンジアミン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]ピペラジン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−メチルアミン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−n−プロピルアミン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−n−ヘキシルアミン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−シクロヘキシルアミン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニルアニリン、N−(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニルピペリジン、N,N’−ビス[(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル]−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル]−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス[(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル]−2,4−トリレンジアミン、N,N’−ビス[(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル]−4,4−ジアミノジフェニルメタン又はN,N’−ビス[(2,6−ジニトロベンジルオキシ)カルボニル]ピペラジンが挙げられる。
【0173】
α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート化合物としては、例えば、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル−N−メチルアミン、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル−N−n−プロピルアミン、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル−N−n−ヘキシルアミン、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル−N−シクロヘキシルアミン、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニルアニリン、N−(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニルピペリジン、N,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]−2,4−トリレンジアミン、N,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]−4,4’−ジアミノジフェニルメタン又はN,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]ピペラジンが挙げられる。
【0174】
アシルオキシイミノ化合物としては、例えば、アセトフェノン−O−プロパノイルオキシム、ベンゾフェノン−O−プロパノイルオキシム、アセトン−O−プロパノイルオキシム、アセトフェノン−O−ブタノイルオキシム、ベンゾフェノン−O−ブタノイルオキシム、アセトン−O−ブタノイルオキシム、ビス(アセトフェノン)−O,O’−ヘキサン−1,6−ジオイルオキシム、ビス(ベンゾフェノン)−O,O’−ヘキサン−1,6−ジオイルオキシム、ビス(アセトン)−O,O’−ヘキサン−1,6−ジオイルオキシム、アセトフェノン−O−アクリロイルオキシム、ベンゾフェノン−O−アクリロイルオキシム又はアセトン−O−アクリロイルオキシムが挙げられる。
【0175】
これらのうち、N−(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル−N−シクロヘキシルアミン、N,N’−ビス[(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]−1,6−ヘキサメチレンジアミン又はN,N’−ビス[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル]−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
【0176】
本発明の感光性樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、前記感光性樹脂組成物に占める(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤の含有量は、(A)ポリシロキサン及び後述のラジカル重合性化合物の合計を100重量部とした場合において、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤の含有量が上記範囲内であると、露光時の感度や、硬化膜の硬度を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0177】
<ポジ型感光性;(E1)光酸発生剤及び(E2)光塩基発生剤>
一方、本発明の感光性樹脂組成物がポジ型の感光性を有する場合にも、前記感光性樹脂組成物は、さらに(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤を含有することが好ましい。(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤を含有することで、熱硬化後のパターン形状が良好となり、矩形に近いパターンが得られる。これは例えば、現像によってパターン加工した後、ブリーチング露光時、該化合物から大量の酸及び/又は塩基が発生するため、熱硬化時に(A)ポリシロキサン中の残存シラノールの脱水縮合が促進されることで、熱硬化後のパターン形状が良好となり、より矩形に近いパターンが得られる。
【0178】
(E1)光酸発生剤及び(E2)光塩基発生剤としては、本発明の感光性樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物の機能を阻害しないものが好ましい。適切な(E1)光酸発生剤及び(E2)光塩基発生剤を選択し、含有量を調節することで、アルカリ現像液でのパターン加工性を損なうことなく、熱硬化後のパターン形状が良好となる。
【0179】
本発明の感光性樹脂組成物がポジ型の感光性を有する場合、前記感光性樹脂組成物に占める(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。(E1)光酸発生剤及び/又は(E2)光塩基発生剤の含有量が上記範囲内であると、アルカリ現像液でのパターン加工性を損なうことなく、熱硬化後のパターン形状が良好となる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0180】
<(E3)熱酸発生剤及び(E4)熱塩基発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(E3)熱酸発生剤及び/又は(E4)熱塩基発生剤を含有することが好ましい。(E3)熱酸発生剤とは、熱によって結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいう。(E4)熱塩基発生剤とは、熱によって結合開裂を起こして塩基を発生する化合物をいう。
【0181】
(E3)熱酸発生剤及び/又は(E4)熱塩基発生剤を含有することで、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。これは、熱硬化時、該化合物から発生した酸及び/又は塩基により、高温に昇温前に十分にシロキサンの架橋が進行するため、昇温時に急激なシロキサンの架橋進行が起こらず、収縮応力の発生が抑えられ、耐クラック性が向上すると推測される。
【0182】
(E3)熱酸発生剤及び(E4)熱塩基発生剤としては、本発明の感光性樹脂組成物の塗布後、プリベーク時の熱では酸若しくは塩基を発生しない、又は酸若しくは塩基を少量しか発生しないものが好ましい。例えば、プリベーク温度が100℃の場合、100℃より高い温度で酸又は塩基を発生する化合物が好ましい。(E3)熱酸発生剤及び(E4)熱塩基発生剤が、プリベーク温度より高い温度で酸又は塩基を発生する化合物であると、プリベーク時に(A)ポリシロキサン中の残存シラノールの脱水縮合が促進されず、露光時の感度低下や現像後の残渣発生が抑制される。
【0183】
(E3)熱酸発生剤としては、例えば、“サンエイド”(登録商標)SI−60、同SI−80、同SI−100、同SI−200、同SI−110、同SI−145、同SI−150、同SI−60L、同SI−80L、同SI−100L、同SI−110L、同SI−145L、同SI−150L、同SI−160L、同SI−180L(以上、何れも三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(メトキシカルボニルオキシ)フェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート又はベンジル−4−(メトキシカルボニルオキシ)フェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
【0184】
(E4)熱塩基発生剤としては、例えば、“U−CAT”(登録商標) SA1、同SA102、同SA102−50、同SA106、同SA112、同SA506、同SA603、同1000、同1102、同2000、同2024、同2026、同 2030、同2110、同2313、同651M、同660M、同18X、同201G、同202、同420A、同130、“POLYCAT”(登録商標) 8、同9、同12、同41、TMED(以上、何れもサンアプロ(株)製)が挙げられる。
【0185】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(E3)熱酸発生剤及び/又は(E4)熱塩基発生剤の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。(E3)熱酸発生剤及び/又は(E4)熱塩基発生剤の含有量が上記範囲内であると、熱硬化時及びイオン注入時における、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0186】
<(F)溶解促進架橋剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(F)溶解促進架橋剤を含有することが好ましい。(F)溶解促進架橋剤とは、親水性基又はアルカリ可溶性基及び架橋性基を有する化合物をいう。(F)溶解促進架橋剤は、熱硬化時、(A)ポリシロキサン中のシラノール基又はナフトキノンジアジド化合物中の芳香環と反応可能な部位を有する化合物である。また、(A)ポリシロキサンが芳香族基、特に、ナフチル基を有する場合、該化合物が有する芳香族基により、前記(A)ポリシロキサンとの相溶性が向上し、解像度向上、耐クラック性向上、パターン寸法幅変化抑制の効果をより高めることができる。
【0187】
(F)溶解促進架橋剤を含有させることで、アルカリ現像液に対する溶解性が向上するとともに、得られる硬化膜に架橋構造を導入することができる。そのため、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。これは、現像時、(A)ポリシロキサンと相溶している該化合物が有する親水性基又はアルカリ可溶性基により、(A)ポリシロキサンのアルカリ現像液に対する溶解性が向上するためと推測される。加えて、熱硬化時及びイオン注入時における、硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。これは、該化合物により導入された架橋構造が、(A)ポリシロキサン中のシロキサン架橋鎖の間に形成され、該架橋構造によってシロキサン架橋構造に起因する内部応力が低減されたためと推測される。さらに、露光及び現像時における、露光量に対するパターン寸法幅変化を低減することができる。これは、該化合物が有する芳香族基により、露光時の散乱光や下地の基板からの反射光が吸収されたためと推測される。
【0188】
(F)溶解促進架橋剤としては、一般式(14)で表される化合物、一般式(15)で表される化合物及び一般式(16)で表される化合物からなる群から選ばれる一種以上が好ましい。
【0189】
【化18】
【0190】
一般式(14)において、R35及びR36は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R37及びR38は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表す。Xは、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。Xが、直接結合の場合、a、b、x及びyは0である。Xが、直接結合でない場合、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表し、R33及びR34は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。また、c及びdは、0〜2の整数を表す。Xが、直接結合でない場合、x及びyは、1であり、a及びbは、1〜6の整数を表す。)
一般式(15)において、R39は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表し、R40及びR41は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。eは、0〜3の整数を表す。)
一般式(16)において、X17及びX18は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R65〜R67は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を表し、R68及びR69は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R70及びR71は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。X11が、直接結合の場合、f、g、p及びqは0である。X12が、直接結合の場合、h、i、r及びsは、0である。X11又はX12が、直接結合でない場合、X13、X14、X15及びX16は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、R61〜R64は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表す。また、j、k及びlは、0〜2の整数を表す。X11及びX12が、直接結合でない場合、p、q、r及びsは、1であり、f、g、h及びiは、1〜6の整数を表す。)
一般式(14)において、Xは、直接結合又は炭素数1〜4のアルキレン鎖が好ましい。Xが、直接結合でない場合、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜4のアルキレン鎖が好ましい。また、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。また、R33及びR34は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。また、R35及びR36は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、R37及びR38は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシ基が好ましい。
【0191】
一般式(15)において、R39は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。R40及びR41は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0192】
一般式(16)において、X11及びX12は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜4のアルキレン鎖が好ましい。X11又はX12が、直接結合でない場合、X13、X14、X15、X16、X17及びX18は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜4のアルキレン鎖が好ましい。また、R61〜R64は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。また、R65〜R67は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。また、R68及びR69は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、R70及びR71は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシ基が好ましい。
【0193】
(F)溶解促進架橋剤としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチル−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチル−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(エトキシメチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(エトキシメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’−テトラキス(ヒドロキシメチル)−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラキス(メトキシメチル)−4,4’−ビフェノール2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−6−メチルフェノール、2,4−ビス(メトキシメチル)−6−メチルフェノール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−6−エチルフェノール、2,4−ビス(メトキシメチル)−6−エチルフェノール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−6−イソプロピルフェノール、2,4−ビス(メトキシメチル)−6−イソプロピルフェノール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス(メトキシ)メチル−6−シクロヘキシルフェノール、2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチル)フェニル−2−[4−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチル)フェニル]プロパン、2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチル−5−メチル)フェニル−2−[4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチル−5−メチル)フェニル]プロパン、2−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−[4−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)]フェニル]プロパン又は2−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]−2−[4−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)]フェニル]プロパンが挙げられる。
【0194】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(F)溶解促進架橋剤の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましく、0.3〜5重量部がさらに好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。
(F)溶解促進架橋剤の含有量が上記範囲内であると、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができるとともに、熱硬化時及びイオン注入時における、硬化膜の耐クラック性を向上させることができ、さらに、露光及び現像時における、露光量に対するパターン寸法幅変化を低減することができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0195】
(A)ポリシロキサンが、(F)溶解促進架橋剤を含有することで、現像後の解像度を向上させることができるとともに、熱硬化時又はイオン注入時における耐クラック性を向上させることができる。そのため、(A)ポリシロキサンを含有する感光性樹脂組成物を、後述する(1−1a)前記組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程に適用する上で好ましい。加えて、前記組成物を、後述する(3−A)前記組成物のパターンを0〜300℃未満で処理する工程に適用する上で好ましい。(1−1a)の工程及び(3−A)の工程により、前記組成物のパターンの除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することができる。
【0196】
<(G)溶解促進剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(G)溶解促進剤を含有することが好ましい。(G)溶解促進剤とは、親水性基又はアルカリ可溶性基を有する化合物をいう。
【0197】
(G)溶解促進剤を含有させることで、アルカリ現像液に対する溶解性が向上するため、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。これは、現像時、(A)ポリシロキサンと相溶している該化合物が有する親水性基又はアルカリ可溶性基により、(A)ポリシロキサンのアルカリ現像液に対する溶解性が向上するためと推測される。
【0198】
(G)溶解促進剤としては、(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物、及び/又は、(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂が好ましい。
【0199】
【化19】
【0200】
一般式(17)において、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン鎖、炭素数4〜10のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜15のアリーレン鎖を表し、Xは、直接結合又はメチレン鎖を表し、Yは、直接結合又は酸素原子を表し、R42は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、R43及びR44は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。fは、0〜2の整数を表す。
【0201】
一般式(18)において、Xは、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン鎖、炭素数4〜10のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜15のアリーレン鎖を表し、X及びXは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキレン鎖を表し、Yは、直接結合又は酸素原子を表し、R45及びR46は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基を表す。gは、0〜2の整数を表す。
【0202】
一般式(19)において、R47及びR48は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R49及びR50は、一般式(20)で表される構造単位を有する、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、X10は直接結合、炭素数1〜6のアルキレン鎖、炭素数4〜7のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜10のアリーレン鎖を表す。
【0203】
一般式(17)において、X及びXは、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン鎖、炭素数4〜7のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜10のアリーレン鎖が好ましい。また、R43及びR44は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。また、fは、0が好ましい。
【0204】
一般式(18)において、Xは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン鎖、炭素数4〜7のシクロアルキレン鎖又は炭素数6〜10のアリーレン鎖が好ましい。また、X及びXは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン鎖が好ましい。また、R45及びR46は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。また、gは、0が好ましい。
【0205】
一般式(19)において、R47及びR48は、水素、メチル基又はエチル基が好ましい。また、R49及びR50は、一般式(20)で表される構造単位を有する、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜6のシクロアルキル基が好ましい。また、X10は直接結合、炭素数1〜4のアルキレン鎖又は炭素数4〜6のシクロアルキレン鎖が好ましい。
【0206】
【化20】
【0207】
一般式(20)において、R51は、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表し、R52は、水素、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、1〜4の整数を表し、iは、0〜30の整数を表し、jは、1〜100の整数を表す。
【0208】
一般式(20)において、R51は、水素、メチル基、エチル基又はヒドロキシ基を有するメチル基若しくはエチル基が好ましい。また、R52は、水素、メチル基、エチル基又はヒドロキシ基を有するメチル基若しくはエチル基が好ましい。また、gは、1又は2が好ましい。また、hは、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。また、iは、2〜60の整数が好ましく、3〜30の整数がより好ましい。
【0209】
また、(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物を含有させることで、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができるとともに、アルカリ現像時における下地の基板との密着性を向上させることができる。これは、該化合物と(A)ポリシロキサン中のシラノール基と、が開環反応によって反応し、親水性のヒドロキシ基が遊離するとともに、該化合物中のアルコキシシリル基が、下地の基板との相互作用を高めるためと推測される。
【0210】
(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン若しくは3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシランなどの三官能シラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン若しくは3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルメチルジメトキシシランなどの二官能シラン又は3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン又は3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルジメチルメトキシシランなどの一官能シランなどが挙げられる。現像後の解像度向上及び下地の基板との密着性向上の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン若しくは3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシランが好ましく、下地の基板との密着性向上の観点から、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン若しくは3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0211】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましく、0.3〜5重量部がさらに好ましい。(G1)一般式(17)で表される化合物又は一般式(18)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができるとともに、アルカリ現像時における下地の基板との密着性を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0212】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂としては、一般式(20)で表される構造単位を有する共重合成分、カルボキシ基若しくはカルボン酸無水物基を有する(メタ)アクリル化合物の共重合成分、(メタ)アクリル酸エステル由来の共重合成分又はその他の共重合成分を、ラジカル共重合させて得た樹脂、又は、その方法で得た樹脂に、さらに一般式(20)で表される構造単位を有する化合物を反応させて得られる樹脂が好ましい。
【0213】
また、カルボキシ基若しくはカルボン酸無水物基を有する(メタ)アクリル化合物の共重合成分、(メタ)アクリル酸エステル由来の共重合成分又はその他の共重合成分を、ラジカル共重合させて得た樹脂に、さらに、一般式(20)で表される構造単位及びエポキシ基を有する化合物を開環付加反応させて得られる樹脂、又は、カルボキシ基若しくはカルボン酸無水物基を有する(メタ)アクリル化合物の共重合成分、(メタ)アクリル酸エステル由来の共重合成分又はその他の共重合成分を、ラジカル共重合させて得た樹脂に、さらに、一般式(20)で表される構造単位及びヒドロキシ基を有する化合物をエステル化反応させて得られる樹脂も好ましい。
【0214】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂中の全共重合成分由来の構造単位に占める、一般式(19)で表される構造単位を有する共重合成分の含有比率は、30mol%以上が好ましく、40mol%以上がより好ましく、50mol%以上がさらに好ましい。含有比率が上記範囲内であると、硬化膜の耐熱性を向上させることができる。一方、含有比率は、80mol%以下が好ましく、75mol%以下がより好ましく、70mol%以下がさらに好ましい。含有比率が上記範囲内であると、アルカリ現像時における膜減りを抑制することができる。
【0215】
一般式(20)で表される構造単位としては、例えば、エチレングリコール構造単位、1−ヒドロキシメチルエチレングリコール構造単位、1−ヒドロキシエチルエチレングリコール構造単位、プロピレングリコール−エチレングリコール構造単位、ブチレングリコール−エチレングリコール構造単位、ポリエチレングリコール構造単位、プロピレングリコール−ポリエチレングリコール構造単位、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール構造単位が挙げられる。
【0216】
一般式(20)で表される構造単位を有する共重合成分若しくは化合物、一般式(20)で表される構造単位及びエポキシ基を有する化合物、又は、一般式(20)で表される構造単位及びヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシ)エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−メトキシ)エトキシ]エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールエステル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
【0217】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂としては、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基を有することが好ましい。樹脂の主鎖から分岐した側鎖にカルボキシ基又はカルボン酸無水物基を有することで、それらの基がアルカリ可溶性基として機能し、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。
【0218】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂としては、例えば、
DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2008、DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2015、DISPERBYK−2022、DISPERBYK−2025、DISPERBYK−2050、BYK−381、BYK−3440若しくはBYK−3441(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0219】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂に占める、各種共重合成分由来の構造単位の含有比率は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、IR、TOF−MS、元素分析法及び灰分測定などを組み合わせて求めることができる。
【0220】
(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂のMwとしては、GPCで測定されるポリスチレン換算で、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。Mwが上記範囲内であると、アルカリ現像時における膜減りを抑制することができる。一方、Mwとしては、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましい。Mwが上記範囲内であると、現像後の解像度を向上させることができる。
【0221】
ラジカル共重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)若しくは2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物又は過酸化ラウロイル又は過酸化ジ−t−ブチル、ペルオキシ二炭酸ビス(4−t−ブチルシクロヘキサン−1−イル)、2−エチルペルオキシヘキサン酸t−ブチル、メチルエチルケトンペルオキシド、過酸化ベンゾイル若しくはクメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0222】
ラジカル共重合の条件としては、例えば、バブリングや減圧脱気などによって反応容器内を十分窒素置換した後、反応溶媒中、共重合成分とラジカル重合開始剤と、を添加し、60〜110℃で30〜500分反応させることが好ましい。共重合成分としてカルボン酸無水物基を有する(メタ)アクリル化合物を用いた場合には、理論量の水を加え、30〜60℃で30〜60分反応させることが好ましい。また、必要に応じてチオール化合物などの連鎖移動剤を用いても構わない。
【0223】
本発明の感光性樹脂組成物に占める(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.005〜3重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましく、0.03〜1重量部がさらに好ましい。(G2)一般式(19)で表される構造単位を有するアクリル樹脂の含有量が上記範囲内であると、現像後の残渣発生を抑制し、現像後の解像度を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0224】
<ネガ型感光性;ラジカル重合性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、前記感光性樹脂組成物は、さらにラジカル重合性化合物を含有しても構わない。ラジカル重合性化合物とは、分子中に複数のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物をいう。露光により、前述した光重合開始剤から発生するラジカルによって、ラジカル重合性化合物の重合が進行し、ポリシロキサンを含有する組成物の露光部がアルカリ現像液に対して不溶化して、ネガ型のパターンを形成することができる。
【0225】
ラジカル重合性化合物を含有することで、露光時のUV硬化が促進されて、感度を向上させることができる。また、組成物の熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。
【0226】
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合の進行しやすい、(メタ)アクリル基を有するラジカル重合性化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物の二重結合当量としては、露光時の感度向上及び硬化膜の硬度向上の観点から、80〜400g/molが好ましい。
【0227】
ラジカル重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸又は1,3−ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸が挙げられる。露光時の感度向上や、硬化膜の硬度向上の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸又は1,3−ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸が好ましい。
【0228】
本発明の感光性樹脂組成物に占めるラジカル重合性化合物の含有量は、(A)ポリシロキサン及びラジカル重合性化合物の合計を100重量%とした場合において、0〜30重量%とすることが好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜10重量%がさらに好ましい。ラジカル重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、露光時の感度や、硬化膜の硬度を向上させることができる。なお、(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量%とする。
【0229】
<シランカップリング剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにシランカップリング剤を含有しても構わない。シランカップリング剤を含有することで、硬化膜と基板界面における相互作用が増大し、硬化膜の密着性及び耐薬品性が向上する。
【0230】
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−t−ブチルフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−(N−t−ブチル)アミノ−4−オキソブタン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−(4−アミノフェニル)プロピルトリメトキシシラン、1−[4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニル]尿素、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、N−t−ブチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド若しくはN−t−ブチル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)コハク酸イミドなどの三官能シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどの二官能シラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルトリメトキシシラン、トリ−n−プロピルトリエトキシシラン、トリ−n−ブチルトリメトキシシラン、トリ−n−ブチルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物若しくは4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの一官能シラン、又は一般式(13)で表されるオルガノシランが挙げられる。
【0231】
【化21】
【0232】
一般式(13)において、R18〜R21は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アシル基又はアリール基を表し、oは1〜15の整数を表す。
【0233】
一般式(13)において、R18〜R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基が好ましく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
【0234】
上記のアルキル基、アシル基及びアリール基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0235】
一般式(13)で表されるオルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン若しくはテトラアセトキシシランなどの四官能シラン、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51、シリケート40若しくはシリケート45(以上、何れも多摩化学工業(株)製)又はメチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40若しくはエチルシリケート48(以上、何れもコルコート(株)製)などのシリケート化合物が挙げられる。
【0236】
本発明の感光性樹脂組成物がポジ型の感光性を有する場合、硬化膜の密着性及び耐薬品性向上の観点から、シランカップリング剤としては、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、1−[4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニル]尿素、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、N−t−ブチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド、N−t−ブチル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)コハク酸イミド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン若しくはテトラアセトキシシラン、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51、シリケート40若しくはシリケート45(以上、何れも多摩化学工業(株)製)又はメチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40若しくはエチルシリケート48(以上、何れもコルコート(株)製)が好ましい。
【0237】
本発明の感光性樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、硬化膜の密着性及び耐薬品性向上の観点から、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−[4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニル]尿素、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、N−t−ブチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド、N−t−ブチル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)コハク酸イミド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン若しくはテトラアセトキシシラン、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51、シリケート40若しくはシリケート45(以上、何れも多摩化学工業(株)製)又はメチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40若しくはエチルシリケート48(以上、何れもコルコート(株)製)が好ましい。
【0238】
本発明の感光性樹脂組成物に占めるシランカップリング剤の含有量は、(A)ポリシロキサンを100重量部とした場合において、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であると、硬化膜の密着性及び耐薬品性を向上させることができる。なお(A)ポリシロキサンが(A1)無機粒子含有ポリシロキサンの場合、(A1)無機粒子含有ポリシロキサンを構成する(B)無機粒子の重量を含めて100重量部とする。
【0239】
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに溶剤を含有しても構わない。溶剤としては、各成分を均一に溶解することによる、得られる硬化膜の透明性向上の観点で、アルコール性水酸基を有する化合物、カルボニル基を有する化合物又はエーテル結合を3つ以上有する化合物が好ましく、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物がより好ましい。沸点を110℃以上とすることで、塗布時に適度に溶剤が揮発して塗膜の乾燥が進行し、塗布ムラのない良好な塗膜を得ることができる。一方、沸点を250℃以下とすることで、塗膜中の残存する溶剤量を少なく抑えることができ、熱硬化時の膜収縮量を低減できるため、良好な平坦性の硬化膜を得ることができる。
【0240】
アルコール性水酸基を有し、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物としては、例えば、ヒドロキシアセトン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、n−ブタノール又はn−ペンタノールが挙げられる。塗布性の観点から、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール又はテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
【0241】
カルボニル基を有し、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物としては、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−n−ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。塗布性の観点から、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はγ−ブチロラクトンが好ましい。
【0242】
エーテル結合を3つ以上有し、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル又はジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテルが挙げられる。塗布性の観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル又はジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
【0243】
本発明の感光性樹脂組成物に占める溶剤の含有量は、塗布方法などに応じて適宜調整可能であるが、例えば、スピンコーティングにより塗膜を形成する場合には、前記感光性樹脂組成物全体の50〜95重量%とすることが一般的である。
【0244】
<界面活性剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに界面活性剤を含有しても構わない。界面活性剤を適量含有することで、塗布時のレベリング性が向上して塗布ムラの発生を抑制することができ、均一な塗布膜を得ることができる。
【0245】
界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤又はポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤が挙げられる。
【0246】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールビス(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールビス(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールビス(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N’−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩又はリン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)が挙げられる。また、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖及び側鎖のいずれかの部位にフルオロアルキル基又はフルオロアルキレン鎖を有する化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F−142D、同F−172、同F−173、同F−183、同F−444、同F−445、同F−470、同F−475、同F−477、同F−555若しくは同F−559(以上、何れも大日本インキ化学工業(株)製)、“エフトップ”(登録商標)EF301、同303若しくは同352(以上、何れも三菱マテリアル電子化成(株)製)、“フロラード”(登録商標)FC−430若しくは同FC−431(以上、何れも住友スリーエム(株)製)、“アサヒガード”(登録商標)AG710(旭硝子(株)製)、“サーフロン”(登録商標)S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105若しくは同SC−106(以上、何れもAGCセイミケミカル(株)製)、BM−1000若しくはBM−1100(以上、何れも裕商(株)製)又はNBX−15、FTX−218若しくはDFX−218(以上、何れも(株)ネオス製)が挙げられる。
【0247】
シリコーン系界面活性剤しては、例えば、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA若しくはST94PA(以上、何れも東レ・ダウコーニング(株)製)又は“BYK”(登録商標)−301、同−307、同−331、同−333若しくは同−345(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0248】
本発明の感光性樹脂組成物に占める界面活性剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物全体の0.0001〜1重量%が好ましい。
【0249】
<その他の添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、他の樹脂又はそれらの前駆体を含有しても構わない。樹脂又はそれらの前駆体としては、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ウレア樹脂、ポリアミック酸、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール若しくはポリウレタン又はそれらの前駆体が挙げられる。
【0250】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物又は(D)光重合開始剤などの光反応を促進する増感剤、前記感光性樹脂組成物の熱硬化を促進する硬化剤及び前記感光性樹脂組成物の硬化膜の架橋密度を向上させる架橋剤からなる群から選ばれる一種以上を含有しても構わない。
【0251】
増感剤としては、例えば、アントラセン化合物、アントラキノン化合物又はクマリン化合物が挙げられる。硬化剤としては、例えば、窒素含有有機化合物、シリコーン樹脂硬化剤、金属アルコキシド、メチロール基含有芳香族化合物、メチロール基含有メラミン誘導体又はメチロール基含有尿素誘導体が挙げられる。架橋剤としては、例えば、メチロール基含有芳香族化合物、メチロール基含有メラミン誘導体、メチロール基含有尿素誘導体、エポキシ基含有化合物又はオキセタニル基含有化合物が挙げられる。
【0252】
<本発明の感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物の、代表的な製造方法について説明する。ポジ型の感光性を有する感光性樹脂組成物を製造する場合、例えば、(C)ナフトキノンジアジド構造を有する化合物、(E1)光酸発生剤、(E2)光塩基発生剤、(E3)熱酸発生剤、(E4)熱塩基発生剤及びその他の添加剤を、任意の溶剤に加え、撹拌して溶解させる。その後、(A)ポリシロキサン及び(B)無機粒子を添加し、20分〜3時間撹拌して均一な溶液とする。撹拌後、得られた溶液をろ過することで、ポジ型の感光性を有する、本発明の感光性樹脂組成物が得られる。
【0253】
また、ネガ型の感光性を有する感光性樹脂組成物を製造する場合、例えば、(D)光重合開始剤、(E1)光酸発生剤、(E2)光塩基発生剤、(E3)熱酸発生剤、(E4)熱塩基発生剤及びその他の添加剤を、任意の溶剤に加え、撹拌して溶解させる。その後、(A)ポリシロキサン及び(B)無機粒子を添加し、20分〜3時間撹拌して均一な溶液とする。撹拌後、得られた溶液をろ過することで、ネガ型の感光性を有する、本発明の感光性樹脂組成物が得られる。
【0254】
<本発明の感光性樹脂組成物を用いたプロセス>
本発明の半導体装置の製造方法を用いたプロセスとして、本発明の感光性樹脂組成物をイオン注入マスクレジストとして用いたイオン注入プロセスを例に、図1に示して説明する。まず、(1)炭化ケイ素半導体基板1上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして、ポリシロキサン膜2を形成する。次に、(2)所望のパターンを有するマスク3を介して、活性化学線4を照射する。その後、(3)現像してパターン加工をした後、必要に応じてブリーチング露光及びミドルベークし、熱硬化させることで、所望のパターンを有するポリシロキサンパターン2aを形成する。次に、(4)ポリシロキサンパターン2aをイオン注入マスクとして、イオン5を注入し、炭化ケイ素半導体基板1中に不純物領域6を形成する。その後、(5)炭化ケイ素半導体基板1上から、ポリシロキサンパターン2aを除去する。
【0255】
以上のように、本発明の半導体装置の製造方法によれば、微細なパターン領域に高温でイオン注入、ドーパント暴露、ドライエッチング又はウェットエッチングをすることが可能であるため、半導体装置製造における歩留り向上や性能向上に繋がる。加えて、SiO膜をイオン注入マスク、ドーパント暴露マスク、ドライエッチングマスク又はウェットエッチングマスクに用いる方法と比較して、工程数を削減することができるため、生産性の向上やタクトタイム短縮が可能となる。さらに、イオン不純物領域形成において変質したポリシロキサンを含有する組成物の硬化膜を、残渣なく容易に除去することを可能とするため、半導体装置製造における歩留まり向上に繋がる。
【0256】
<パターンを得る工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(1)基板上に、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程、を有する。本発明の感光性樹脂組成物のパターンを得る工程としては、例えば、基板上に前記感光性樹脂組成物を塗布して成膜した後にパターン加工する工程、又は基板上に前記感光性樹脂組成物をパターン状に塗布して成膜する工程が挙げられる。
【0257】
基板としては、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素(SiO)、窒素ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化ガリウムアルミニウム(GaAlAs)、ガリウムインジウム窒素ヒ素(GaInNAs)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、インジウムガリウムアルミニウムリン(InGaAlP)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、ダイヤモンド、サファイア(Al)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化カドミウム(CdS)及びテルル化カドミウム(CdTe)からなる群から選ばれる一種以上を有する基板、又はガラス上にITO、金属(モリブデン、銀、銅若しくはアルミニウムなど)若しくはCNT(Carbon Nano Tube)が、電極若しくは配線として形成された基板などが用いられる。
【0258】
<塗布して成膜した後にパターン加工する工程>
本発明の感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング又はスリットコーティングが挙げられる。塗布膜厚は、塗布方法、本発明の感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度などによって異なるが、通常は塗布及びプリベーク後の膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。
【0259】
基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布した後、プリベークすることが好ましい。プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。プリベーク温度としては、50〜150℃が好ましい。プリベーク時間としては、30秒〜数時間が好ましい。80℃で2分間プリベークした後、120℃で2分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でプリベークしても構わない。パターン加工する方法としては、例えば、フォトリソグラフィー又はエッチングが挙げられる。
【0260】
<フォトリソグラフィーによりパターン加工する方法>
基板上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークした後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)などの露光機を用いて露光する。露光時に照射する活性化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、KrF(波長248nm)レーザー又はArF(波長193nm)レーザーなどが挙げられる。水銀灯のj線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)を用いることが好ましい。また露光量は通常100〜40,000J/m(10〜4,000mJ/cm)程度(i線照度計の値)であり、必要に応じて所望のパターンを有するマスクを介して露光することができる。
【0261】
露光後、露光後ベークをしても構わない。露光後ベークを行うことによって、現像後の解像度向上又は現像条件の許容幅増大などの効果が期待できる。露光後ベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを
使用することができる。露光後ベーク温度としては、50〜180℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。露光後ベーク時間は、10秒〜数時間が好ましい。露光後ベーク時間が上記範囲内であると、反応が良好に進行し、現像時間を短くできる場合がある。
【0262】
露光後、自動現像装置などを用いて現像する。本発明の感光性樹脂組成物がポジ型の感光性を有する場合、現像後、露光部が現像液で除去され、レリーフ・パターンを得ることができる。本発明の感光性樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、現像後、未露光部が現像液で除去され、レリーフ・パターンを得ることができる。
【0263】
現像液としては、アルカリ現像液が一般的に用いられる。アルカリ現像液としては、例えば、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましく、環境面の観点から、アルカリ性を示す化合物の水溶液すなわちアルカリ水溶液がより好ましい。
【0264】
有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2−ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられる。
【0265】
現像液としては、有機溶媒を用いても構わない。有機溶媒としては、例えば、前述の溶剤、酢酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド又はヘキサメチルホスホルトリアミドが挙げられる。
【0266】
現像液としては、上記の有機溶媒と、本発明の感光性樹脂組成物に対する貧溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。本発明の感光性樹脂組成物に対する貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン又はキシレンが挙げられる。
【0267】
現像する方法としては、例えば、露光後の膜に、上記の現像液をそのまま塗布する、上記の現像液を霧状にして放射する、露光後の膜を上記の現像液中に浸漬する又は露光後の膜を上記の現像液中に浸漬後に超音波を照射するなどの方法が挙げられる。露光後の膜は、現像液に5秒〜10分間接触させることが好ましい。現像後、得られたレリーフ・パターンを、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合、水が好ましい。
【0268】
リンス液としては、例えば、エタノール若しくはイソプロピルアルコールなどのアルコール類の水溶液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類の水溶液又は炭酸ガス、塩酸若しくは酢酸などの酸性を示す化合物の水溶液を用いても構わない。
【0269】
リンス液としては、有機溶媒を用いても構わない。有機溶媒としては、現像液との親和性の観点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが好ましい。
【0270】
<エッチングによりパターン加工する方法>
基板上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークした後、必要に応じて、後述する熱硬化工程の処理をしても構わない。その後、前記感光性樹脂組成物の塗膜上に、上記と同様の方法でフォトレジストを塗布して成膜する。塗布した後、上記と同様の方法で、プリベークすることが好ましい。
【0271】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上に、フォトレジストを塗布及びプリベークした後、上記と同様の方法で露光及び現像することで、フォトリソグラフィーにより、前記感光性樹脂組成物の塗膜上に、フォトレジストのパターンを形成することができる。
【0272】
現像後、得られたパターンを熱硬化させることが好ましい。熱硬化させることで、フォトレジストの硬化膜の耐薬品性及びドライエッチング耐性が向上し、フォトレジストのパターンをエッチングマスクとして好適に用いることができる。熱硬化は、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。熱硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。熱硬化時間としては、30秒〜数時間が好ましい。 現像及び熱硬化後、フォトレジストのパターンをエッチングマスクとして、前記パターン下層の、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を、エッチングによってパターン加工する。エッチングする方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチング又はエッチングガスを用いるドライエッチングが挙げられる。エッチング液としては、酸性若しくはアルカリ性のエッチング液又は有機溶媒を用いることが好ましい。
【0273】
酸性のエッチング液としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はフルオロスルホン酸などの酸性を示す化合物の溶液が挙げられる。
【0274】
アルカリ性のエッチング液としては、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2−ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられる。
【0275】
有機溶媒としては、例えば、前述の溶剤、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン又はキシレンが挙げられる。
【0276】
エッチング液としては、アルカリ性のエッチング液と、有機溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。
【0277】
ウェットエッチングの方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板に、上記のエッチング液をそのまま塗布する若しくは上記のエッチング液を霧状にして放射する、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、上記のエッチング液中に浸漬する、又は本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、上記のエッチング液中に浸漬後に超音波を照射するなどの方法が挙げられる。
【0278】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、エッチング液に接触させるエッチング温度は、10〜180℃が好ましく、20〜160℃がより好ましく、30〜140℃がさらに好ましく、40〜120℃が特に好ましい。前記エッチング液中の成分の沸点が180℃に満たない場合、エッチング温度は該成分の沸点に満たない温度が好ましい。
【0279】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、エッチング液に接触させるエッチング時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0280】
ウェットエッチング後、ウェットエッチングによってパターン加工した本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが挙げられる。エッチング液として、酸性のエッチング液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液を用いた場合、リンス液としては、水を含有するものが好ましい。
【0281】
エッチングガスとしては、例えば、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、六フッ化硫黄、二フッ化キセノン、酸素、オゾン、アルゴン又はフッ素が挙げられる。
【0282】
ドライエッチングの方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板に、上記のエッチングガスを暴露させる反応性ガスエッチング、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させたエッチングガスを暴露させるプラズマエッチング、又は本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させたエッチングガスを、バイアスを印加して加速させて衝突させる反応性イオンエッチングなどが挙げられる。
【0283】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、エッチングガスに接触させるエッチング温度は、10〜180℃が好ましく、20〜160℃がより好ましく、30〜140℃がさらに好ましく、40〜120℃が特に好ましい。
【0284】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストのパターンを形成した基板を、エッチングガスに接触させるエッチング時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0285】
エッチング後、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上に残存するフォトレジストを除去することで、本発明の感光性樹脂組成物のパターンが得られる。フォトレジストを除去する方法としては、例えば、レジスト剥離液を用いる除去又はアッシングによる除去が挙げられる。レジスト剥離液としては、酸性若しくはアルカリ性のレジスト剥離液又は有機溶媒を用いることが好ましい。酸性のレジスト剥離液としては、例えば、酸性溶液又は酸性溶液と酸化剤の混合溶液が挙げられる。フォトレジストの除去性の観点から、酸性溶液と酸化剤の混合溶液が好ましい。
【0286】
酸性溶液としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はフルオロスルホン酸などの酸性を示す化合物の溶液が挙げられる。フォトレジストの除去性の観点から、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、ギ酸、酢酸又はプロピオン酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
【0287】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラブロモ−1,4−ベンゾキノン、3,4,5,6−テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、ペルオキシ一硫酸カリウム、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、2,6−ジクロロピリジン−N−オキシド、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン、(ジアセトキシヨード)ベンゼン、2−ヨードソ安息香酸、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、超酸化ナトリウム又は超酸化カリウムが挙げられる。フォトレジストの除去性の観点から、過酸化水素、過酢酸又はm−クロロ過安息香酸が好ましく、過酸化水素がより好ましい。
【0288】
アルカリ性のレジスト剥離液としては、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2−ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられる。
【0289】
有機溶媒としては、例えば、前述の溶剤、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン又はキシレンが挙げられる。
【0290】
レジスト剥離液としては、アルカリ性のレジスト剥離液と、有機溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。レジスト剥離液を用いる除去方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板に、上記のレジスト剥離液をそのまま塗布する若しくは上記のレジスト剥離液を霧状にして放射する、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、上記のレジスト剥離液中に浸漬する、又は本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、上記のレジスト剥離液中に浸漬後に超音波を照射するなどの方法が挙げられる。
【0291】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、レジスト剥離液に接触させる温度は、10〜180℃が好ましく、20〜160℃がより好ましく、30〜140℃がさらに好ましく、40〜120℃が特に好ましい。前記レジスト剥離液中の成分の沸点が180℃に満たない場合、浸漬温度は該成分の沸点に満たない温度が好ましい。
【0292】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、レジスト剥離液に接触させる時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0293】
レジスト剥離液を用いる除去後、得られた本発明の感光性樹脂組成物のパターンを、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが挙げられる。レジスト剥離液として、酸性のレジスト剥離液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液を用いた場合、リンス液としては、水を含有するものが好ましい。
【0294】
アッシングによる除去に用いられるガスとしては、酸素、オゾン、アルゴン、フッ素又は塩素からなる群から選ばれる一種以上を成分として含有するガスが挙げられる。フォトレジストの除去性の観点から、酸素又はオゾンを成分として含有するガスが好ましい。
【0295】
アッシングによる除去方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板に、上記のガスを暴露させて紫外線を照射する光励起アッシング、又は本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させた上記のガスを暴露させるプラズマアッシングなどが挙げられる。
【0296】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、上記のガスに接触させるアッシング温度は、10〜300℃が好ましく、20〜250℃がより好ましく、30〜220℃がさらに好ましく、40〜200℃が特に好ましい。
【0297】
本発明の感光性樹脂組成物の塗膜上にフォトレジストが残存した基板を、上記のガスに接触させるアッシング時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0298】
<基板上に前記感光性樹脂組成物をパターン状に塗布して成膜する工程>
本発明の感光性樹脂組成物をパターン状に塗布する方法としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷、平版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷又はレーザー印刷が挙げられる。塗布膜厚は、塗布方法、本発明の感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度などによって異なるが、通常は塗布及びプリベーク後の膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。
【0299】
基板上に本発明の感光性樹脂組成物をパターン状に塗布した後、プリベークすることが好ましい。プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。プリベーク温度としては、50〜150℃が好ましい。プリベーク時間としては、30秒〜数時間が好ましい。80℃で2分間プリベークした後、120℃で2分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でプリベークしても構わない。基板上に、パターン状に塗布及びプリベークすることで、本発明の感光性樹脂組成物のパターンが得られる。
【0300】
フォトリソグラフィー、エッチング又はパターン状に塗布して成膜からなる群から選ばれる一種以上の方法で、本発明の感光性樹脂組成物のパターンを得た後、ブリーチング露光をしても構わない。ブリーチング露光をすることで、熱硬化後のパターン形状が良好となり、矩形に近いパターンが得られる。また、硬化膜の透明性を向上させることができる。
【0301】
ブリーチング露光は、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)などの露光機を使用することができる。ブリーチング露光時に照射する活性化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、KrF(波長248nm)レーザー又はArF(波長193nm)レーザーなどが挙げられる。水銀灯のj線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)を用いることが好ましい。また露光量は通常500〜500,000J/m(50〜50,000mJ/cm)程度(i線照度計の値)であり、必要に応じて所望のパターンを有するマスクを介して露光することができる。
【0302】
ポリシロキサンを含有する組成物のパターンを得た後、ミドルベークをしても構わない。ミドルベークを行うことで、熱硬化後の解像度が向上するとともに、熱硬化後のパターン形状が制御可能となる。ミドルベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。ミドルベーク温度としては、50〜250℃が好ましく、70〜220℃がより好ましい。ミドルベーク時間としては、10秒〜数時間が好ましい。100℃で5分間ミドルベークした後、150℃で5分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でミドルベークしても構わない。
【0303】
<熱硬化工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(1)基板上に、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程として、(1−1)本発明の感光性樹脂組成物のパターンを150〜1,500℃に加熱する工程を有することが好ましい。熱硬化は、オーブン、ホットプレート、縦型炉、横型炉、電気炉、フラッシュアニール装置、レーザーアニール装置又は赤外線などを使用することができる。本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を、150〜1,500℃に加熱して熱硬化させることで、硬化膜のイオン阻止性、耐薬品性及びドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0304】
本発明の半導体装置の製造方法において、(1−1)の工程の熱硬化温度は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましく、400℃以上が特に好ましい。熱硬化温度が上記範囲内であると、硬化膜のイオン阻止性を向上させることができる。一方、熱硬化時のクラック発生の抑制の観点から、熱硬化温度は、800℃以下が好ましく、600℃以下がより好ましく、500℃以下がさらに好ましく、450℃以下が特に好ましい。
【0305】
本発明の半導体装置の製造方法において、(1−1)の工程の熱硬化時間は、1〜300分が好ましく、5〜250分がより好ましく、10〜200分がさらに好ましく、30〜150分が特に好ましい。熱硬化時間が上記範囲内であると、熱硬化時のクラック発生を抑制することができるとともに、硬化膜の透明性及びイオン阻止性を向上させることができる。250℃で30分間熱硬化させた後、400℃で30分間熱硬化させるなど、二段又はそれ以上の多段で熱硬化させても構わない。
【0306】
本発明の半導体装置の製造方法において、後述する不純物領域の形成工程後、後述するパターンを除去する工程において、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンは、酸性又はアルカリ性の薬液による処理後に多くの残渣が発生する場合や、硬化膜が残存する場合があり、除去するのが困難である。
【0307】
これは、イオン注入工程又はイオンドーピング工程において、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンへのイオン注入又はイオンドーピングによって、パターンが変質するためである。パターンの変質により、酸性又はアルカリ性の薬液への溶解性が低下するため、除去が困難となる。特に、組成物にポジ型又はネガ型の感光性を付与するため、感光性の有機化合物を含有させた感光性組成物のパターンは、不純物領域の形成工程後、例えば、フッ酸による処理後に多くの残渣が発生する場合や、硬化膜が残存する場合があった。
【0308】
イオン注入工程の前後における、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの変質を、図3を用いて説明する。アルキル基およびアリール基を有するポリシロキサンと、ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を有する組成物を用いて得られたパターンについて、イオン注入工程の前後において、パターンの斜め切削ラマン分光測定をしたところ、図3に示すスペクトルが得られた。なお、図3においてAはイオン注入前の、Bはイオン注入後のスペクトルを示す。
【0309】
図3に示されるように、イオン注入工程後にダイヤモンド状炭素(以下、「DLC」)のピークを検出した。1,580cm−1付近の主ピークと、1,390cm−1付近のショルダーバンドを有するピークが、DLCのピークである。従って、イオン注入工程において、パターン中に存在する有機物が変質し、化学的に安定なDLCが生成するため、酸性又はアルカリ性の薬液での除去が困難となるものと考えられる。
【0310】
また、イオンドーピング工程においても、不純物領域を形成する元素を有する化合物の気体又は液体と、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンとの反応、又はパターンへのイオンドーピングによって、パターンの変質が発生する。イオンドーピング工程後、パターンの変質により、酸性又はアルカリ性の薬液への溶解性が低下するため、除去が困難となる。
【0311】
そこで、本発明の半導体装置の製造方法は、(1)基板上に、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程として、(1−1a)本発明の感光性樹脂組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程を有することがより好ましい。パターンを、500〜1,500℃に加熱して熱硬化させることで、後述する半導体基板への不純物領域の形成後、ポリシロキサンを含有する組成物の硬化膜を、残渣なく容易に除去することができ、さらに、除去に要する工程を短縮することが可能となる。
【0312】
これは、パターンを、500〜1,500℃に加熱して熱硬化させることで、パターン中の有機物の結合が開裂し、有機物の熱分解及び揮発が進行するとともに、パターンがSiO化するため、後述する半導体基板への不純物領域の形成後、パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。すなわち、パターンがSiO化するため、後述する不純物領域の形成工程において、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの変質を抑制するという観点において、パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。
【0313】
加えて、パターンを、500〜1,500℃に加熱して熱硬化させることで、パターンがSiO化するため、後述する焼成工程と同等の効果が得られる。従って、(1−1a)の工程は、後述する焼成工程を兼ねることができるため、除去に要する工程を短縮することが可能となる。
【0314】
(1−1a)の工程の前後における、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンのSiO化を、図4を用いて説明する。アルキル基およびアリール基を有するポリシロキサンと、ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を有する組成物を用いて得られたパターンについて、パターンの焼成工程の前後において、パターンのIRスペクトルを測定したところ、図4に示すスペクトルが得られた。(A)はポリシロキサンを含有する組成物のパターンの(1−1a)の工程前のIRスペクトルであり、(B)はポリシロキサンを含有する組成物のパターンの(1−1a)の工程後のIRスペクトルである。
【0315】
3,050cm−1付近のピーク、1,500cm−1付近のピーク、1290cm−1付近のピーク及び800cm−1付近のショルダーバンドを有するピークが、有機物のピークであり、(1−1a)の工程後に消失している。このように、(1−1a)の工程後に有機物のピークが消失することによりパターンがSiO化していることを確認できる。
【0316】
(1−1a)の工程としては、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの除去性及びタクトタイムの観点から、空気又は酸素雰囲気下、パターンを500〜1,500℃に焼成することが好ましい。
【0317】
空気又は酸素雰囲気下としては、例えば、常圧での空気下、常圧での酸素を10〜100重量%含有するガス(以下、「酸素含有ガス」)下、流量10〜1,000L/minの空気気流下又は流量10〜1,000L/minの酸素含有ガス気流下などが挙げられる。 (1−1a)の工程には、オーブン、ホットプレート、縦型炉、横型炉、電気炉、フラッシュランプアニール装置、レーザーアニール装置又は赤外線などを使用することができる。
【0318】
本発明の半導体装置の製造方法において、(1−1a)の工程の熱硬化温度は、タクトタイムの観点から、550℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、700℃以上がさらに好ましく、800℃以上が特に好ましい。熱硬化温度が上記範囲内であると、有機物の分解が促進されてSiO化が進行しやすく、除去がより容易となる。また、短時間の処理でSiO化が進行するため、タクトタイム短縮が可能となる。
【0319】
本発明の半導体装置の製造方法において、(1−1a)の工程の熱硬化時間は、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの除去性の観点から、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。一方、タクトタイムの観点から、熱硬化時間は、300分以下が好ましく、240分以下がより好ましく、180分以下がさらに好ましく、120分以下が特に好ましい。400℃で30分間焼成した後、600℃で30分間焼成するなど、二段又はそれ以上の多段で焼成しても構わない。
【0320】
本発明の半導体装置の製造方法において、(1−1)の工程の熱硬化時間は、1〜300分が好ましく、5〜250分がより好ましく、10〜200分がさらに好ましく、30〜150分が特に好ましい。熱硬化時間が上記範囲内であると、熱硬化時のクラック発生を抑制することができるとともに、硬化膜の透明性及びイオン阻止性を向上させることができる。250℃で30分間熱硬化させた後、400℃で30分間熱硬化させるなど、二段又はそれ以上の多段で熱硬化させても構わない。
【0321】
パターンの除去性又はタクトタイム短縮など、(1−1a)の工程の効果は、後述する不純物領域を形成する工程後の、パターンを除去する工程に限定されない。(1−1a)の工程の効果は、パターンを、500〜1,500℃に加熱して熱硬化させることで、パターンがSiO化することである。従って、後述する基板をパターン加工する工程、具体的には、ドライエッチングする工程後又はウェットエッチングする工程後の、パターンを除去する工程などにおいても、同様に、パターンを残渣なく容易に除去することができ、さらに、除去に要する工程を短縮することが可能となる。 <不純物領域を形成する工程及び基板をパターン加工する工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(2)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板に不純物領域を形成する工程及び/又は前記パターンが形成された基板をパターン加工する工程、を有する。
【0322】
(2)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板に不純物領域を形成する工程としては、(2−A)前記パターンが形成された基板にイオン注入する工程、又は(2−B)前記パターンが形成された基板にドーパント暴露する工程が挙げられる。(2)前記パターンが形成された基板をパターン加工する工程としては、(2−C)前記パターンが形成された基板を、ドライエッチングでパターン加工する工程、又は(2−D)前記パターンが形成された基板を、ウェットエッチングでパターン加工する工程が挙げられる。本発明の半導体装置の製造方法は、前記(2)の工程として、前記(2−A)、(2−B)、(2−C)及び(2−D)からなる群から選ばれる一種以上の工程を有することが好ましい。
【0323】
<イオン注入する工程>
本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンをイオン注入マスクとして、前記パターンが形成された基板にイオン注入することで、前記基板中に前記パターン状の不純物領域を形成することができる。
【0324】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−A)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板にイオン注入する工程は、前記パターンをイオン注入マスクとして、前記パターン下層の基板に、不純物領域を形成する元素を含有する化合物から該元素をイオン化して衝突させることで、前記基板中に不純物領域を形成する工程である。
【0325】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−A)の工程で用いられる、イオン注入により不純物領域を形成する元素としては、例えば、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、酸素、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カドミウム、亜鉛、チタン、タングステン又は鉄が挙げられる。
【0326】
不純物領域を形成する元素を含有する化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、ボロン酸トリメチル、ジボラン、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、アンモニア、亜酸化窒素、窒素、ホスフィン、三フッ化リン、五フッ化リン、塩化ホスホリル、五酸化二リン、リン酸、アルシン、三フッ化ヒ素、五塩化アンチモン、四塩化炭素、モノシラン、ジシラン、トリシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、ゲルマン、四塩化スズ、酸素、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、フッ化水素、フロン、フッ素、三フッ化塩素、塩化水素、塩素、臭化水素、臭素、ヨウ化水素、ヨウ素、二塩化カドミウム、二塩化亜鉛、四塩化チタン、六フッ化タングステン又は三塩化鉄が挙げられる。
【0327】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−A)の工程は、基板を加熱しながらイオンを基板に衝突させることが好ましい。イオン注入する際の、イオン注入温度としては、10〜1,000℃が一般的であり、100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましく、400℃以上が特に好ましく、500℃以上が最も好ましい。イオン注入温度が上記範囲内であると、イオン注入時の基板の結晶構造へのダメージを抑制することが可能となる。
【0328】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−A)の工程は、イオンにバイアスを印加し、イオンを加速させて基板に衝突させることが好ましい。イオン注入する際の、イオンの加速エネルギーとしては、1〜10,000keVが一般的である。基板中へのイオンの注入深さの観点から、1〜5,000keVが好ましく、5〜1,000keVがより好ましく、10〜500keVがさらに好ましい。
【0329】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−A)の工程のイオンドーズ量としては、1×1010〜1×1020cm−2が一般的である。基板の結晶構造へのダメージ抑制及び基板中へのイオンの注入深さの観点から、1×1010〜1×1017cm−2が好ましく、1×1011〜1×1015cm−2がより好ましい。
【0330】
<ドーパント暴露する工程>
本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンをドーパント暴露マスクとして、前記パターンが形成された基板にドーパント暴露することで、前記基板中に前記パターン状の不純物領域を形成することができる。
【0331】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−B)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板にドーパント暴露する工程は、前記パターンをドーパント暴露マスクとして、前記パターン下層の基板に、不純物領域を形成する元素を含有する化合物を暴露させることで、前記基板中に不純物領域を形成する工程である。
【0332】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−B)の工程で用いられる、ドーパント暴露により不純物領域を形成する元素としては、例えば、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、酸素、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カドミウム、亜鉛、チタン、タングステン又は鉄が挙げられる。
【0333】
不純物領域を形成する元素を含有する化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、ボロン酸トリメチル、ジボラン、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、アンモニア、亜酸化窒素、窒素、ホスフィン、三フッ化リン、五フッ化リン、塩化ホスホリル、五酸化二リン、リン酸、アルシン、三フッ化ヒ素、五塩化アンチモン、四塩化炭素、モノシラン、ジシラン、トリシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、ゲルマン、四塩化スズ、酸素、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、フッ化水素、フロン、フッ素、三フッ化塩素、塩化水素、塩素、臭化水素、臭素、ヨウ化水素、ヨウ素、二塩化カドミウム、二塩化亜鉛、四塩化チタン、六フッ化タングステン又は三塩化鉄が挙げられる。
【0334】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−B)の工程は、不純物領域を形成する元素を含有する化合物を基板に暴露させて加熱することが好ましい。ドーパント暴露する際の、ドーパント暴露温度としては、10〜1,500℃が一般的であり、100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましく、400℃以上が特に好ましく、500℃以上が最も好ましい。ドーパント暴露温度が上記範囲内であると、不純物領域を形成する元素が基板中に拡散しやすくなる。
【0335】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−B)の工程のドーパント暴露時間としては、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。ドーパント暴露時間が上記範囲内であると、不純物領域を形成する元素が基板中に拡散しやすくなる。一方、タクトタイムの観点から、ドーパント暴露時間は300分以下が好ましく、240分以下がより好ましく、180分以下がさらに好ましく、120分以下が特に好ましい。
【0336】
<ドライエッチングする工程>
本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンをドライエッチングマスクとして、前記パターンが形成された基板をドライエッチングすることで、前記基板を前記パターン状に加工することができる。
【0337】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−C)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板を、ドライエッチングでパターン加工する工程は、前記パターンをドライエッチングマスクとして、前記パターン下層の基板を、エッチングガスを用いてパターン加工する工程である。
【0338】
エッチングガスとしては、例えば、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、六フッ化硫黄、二フッ化キセノン、酸素、オゾン、アルゴン、フッ素、塩素又は三塩化ホウ素が挙げられる。
【0339】
ドライエッチングの方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、上記のエッチングガスを暴露させる反応性ガスエッチング、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させたエッチングガスを暴露させるプラズマエッチング、又は本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させたエッチングガスを、バイアスを印加して加速させて衝突させる反応性イオンエッチングなどが挙げられる。
【0340】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−C)の工程のエッチング温度は、10〜400℃が一般的であり、20℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。エッチング温度が上記範囲内であると、エッチングレートを向上させることができる。一方、サイドエッチングによるパターン寸法拡大の抑制の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、150℃以下が特に好ましい。
【0341】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−C)の工程のエッチング時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0342】
<ウェットエッチングする工程>
本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンをウェットエッチングマスクとして、前記パターンが形成された基板をウェットエッチングすることで、前記基板を前記パターン状に加工することができる。
【0343】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−D)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンが形成された基板を、ウェットエッチングでパターン加工する工程は、前記パターンをエッチングマスクとして、前記パターン下層の基板を、エッチング液を用いてパターン加工する工程である。エッチング液としては、酸性又はアルカリ性の薬液をエッチング液として用いることができる。
【0344】
酸性のエッチング液としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はフルオロスルホン酸などの酸性を示す化合物の溶液が挙げられる。
【0345】
アルカリ性のエッチング液としては、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2−ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられる。
【0346】
エッチング液としては、アルカリ性のエッチング液と、有機溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。有機溶媒としては、例えば、前述の溶剤、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン又はキシレンが挙げられる。
【0347】
ウェットエッチングの方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、上記のエッチング液をそのまま塗布する若しくは上記のエッチング液を霧状にして放射する、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板を、上記のエッチング液中に浸漬する、又は本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板を、上記のエッチング液中に浸漬後に超音波を照射するなどの方法が挙げられる。
【0348】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−D)の工程のエッチング温度は、10〜400℃が一般的であり、20℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。エッチング温度が上記範囲内であると、エッチングレートを向上させることができる。一方、サイドエッチングによるパターン寸法拡大の抑制の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、150℃以下が特に好ましい。エッチング温度は、前記エッチング液中の成分の沸点に満たない温度が好ましい。
【0349】
本発明の半導体装置の製造方法において、(2−D)の工程のエッチング時間は、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、エッチング時間は60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0350】
ウェットエッチング後、ウェットエッチングによってパターン加工した基板を、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが挙げられる。エッチング液として、酸性のエッチング液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液を用いた場合、リンス液としては、水を含有するものが好ましい。
【0351】
<パターンを除去する工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(3)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを除去する工程、を有する。
【0352】
<焼成工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(3)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを除去する工程として、(3−1)前記パターンを300〜1,500℃で焼成する工程を有しても構わない。前記パターンを300〜1,500℃で焼成することで、前記パターン中の有機物の結合開裂、有機物の熱分解及び有機物の揮発が進行するとともに、前記パターン中にクラックが発生し、前記パターンへの薬液の浸透が促進され、前記パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。また、前記パターンを300〜1,500℃で焼成することで、イオン注入時、前記パターンに発生した変質層の分解も進行するため、前記パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。
【0353】
焼成工程としては、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの除去性及びタクトタイムの観点から、空気又は酸素雰囲気下、パターンを300〜1,500℃で焼成することが好ましい。
【0354】
空気又は酸素雰囲気下としては、例えば、常圧での空気下、常圧での酸素を10〜100重量%含有するガス(以下、「酸素含有ガス」)下、流量10〜1,000L/minの空気気流下又は流量10〜1,000L/minの酸素含有ガス気流下などが挙げられる。
【0355】
パターンの焼成には、オーブン、ホットプレート、縦型炉、横型炉、電気炉、フラッシュランプアニール装置、レーザーアニール装置又は赤外線などを使用することができる。
【0356】
本発明の半導体装置の製造方法において、焼成工程の焼成温度は、タクトタイムの観点から、400℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましく、600℃以上がさらに好ましく、800℃以上が特に好ましい。焼成温度が上記範囲内であると、有機物の分解が促進されてSiO化が進行しやすく、除去がより容易となる。また、短時間の処理でSiO化が進行するため、タクトタイム短縮が可能となる。
【0357】
本発明の半導体装置の製造方法において、焼成工程の焼成時間は、ポリシロキサンを含有する組成物のパターンの除去性の観点から、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。一方、タクトタイムの観点から、焼成時間は、300分以下が好ましく、240分以下がより好ましく、180分以下がさらに好ましく、120分以下が特に好ましい。400℃で30分間焼成した後、600℃で30分間焼成するなど、二段又はそれ以上の多段で焼成しても構わない。 <パターンを0〜300℃未満で処理する工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(1)基板上に、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを得る工程として、(1−1a)本発明の感光性樹脂組成物のパターンを500〜1,500℃に加熱する工程を有する場合、(3)前記パターンを除去する工程が、(3−A)前記パターンを0〜300℃未満で処理する工程からなることが好ましい。
【0358】
(1−1a)の工程において、パターンを、500〜1,500℃に加熱することで、パターンがSiO化するため、焼成工程を兼ねることができるため、パターンを残渣なく容易に除去することができ、さらに、パターンの除去に要する工程を短縮することが可能となる。すなわち、焼成工程を省略することが可能であるため、プロセスタイムを短縮することができる。
【0359】
また、(1−1a)の工程において、パターンが既にSiO化するため、その後の工程を0〜300℃で処理しても、パターンを残渣なく容易に除去することができ、タクトタイム短縮が可能となる。
【0360】
(3−A)の工程としては、例えば、後述するフッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程、紫外線処理する工程、プラズマ処理する工程、又は、アルカリ溶液、有機溶媒、酸性溶液及び酸化剤からなる群から選ばれる一種以上を含有する薬液に浸漬する工程が挙げられる。
【0361】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−A)の工程の処理温度は、タクトタイム短縮の観点から、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましく、100℃以下が特に好ましい。一方、パターンの除去性の観点から、処理温度は、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましい。
【0362】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−A)工程の処理時間は、パターンの除去性の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、処理時間は、60分以下が好ましく、45分以下がより好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。
【0363】
<フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(3)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを除去する工程として、(3−2)前記パターンを、フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程を有しても構わない。フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬することで、前記パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。前記溶液がフッ化水素酸を含有することで、前記パターン中の、シランカップリング剤、シリコーン、シロキサン、シリカ粒子又は二酸化ケイ素などのケイ素由来の成分を効果的に溶解し、前記パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。
【0364】
フッ化水素酸を含有する溶液は、フッ化物イオンを発生する化合物を含有しても構わない。フッ化物イオンを発生する化合物を含有することで、フッ化水素酸を含有する溶液のライフタイムが向上する。
【0365】
フッ化物イオンを発生する化合物としては、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化アルミニウム又はフッ化亜鉛が挙げられる。
【0366】
フッ化水素酸を含有する溶液に占めるフッ化水素酸の含有量は、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。フッ化水素酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0367】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−2)の工程の、フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する浸漬温度は、10〜40℃が好ましく、12〜35℃がより好ましく、15〜30℃がさらに好ましい。浸漬温度が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となるとともに、前記溶液のライフタイムが向上する。
【0368】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−2)の工程の、フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する浸漬時間は、前記パターンの除去性の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、浸漬時間は30分以下が好ましく、20分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下が特に好ましい。
【0369】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−2)の工程の、フッ化水素酸を含有する溶液は、さらに硝酸及び/又は硫酸を含有しても構わない。前記溶液が酸化力を有する強酸である硝酸を含有することで、前記パターン中への薬液の浸透性が向上するとともに、前記パターン中の結合開裂が促進され、前記パターンを残渣なく容易に除去することが可能となる。また、前記溶液が強力な酸化力を有する硫酸を含有することで、前記パターン中の有機物の分解が促進され、前記パターンを除去後の残渣の発生を抑制できる。
【0370】
フッ化水素酸及び硝酸を含有する溶液に占めるフッ化水素酸の含有量は、10〜65重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、10〜45重量%がさらに好ましい。フッ化水素酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0371】
フッ化水素酸及び硝酸を含有する溶液に占める硝酸の含有量は、5〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。硝酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0372】
フッ化水素酸及び硫酸を含有する溶液に占めるフッ化水素酸の含有量は、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。フッ化水素酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0373】
フッ化水素酸及び硫酸を含有する溶液に占める硫酸の含有量は、5〜70重量%が好ましく、10〜65重量%がより好ましく、15〜60重量%がさらに好ましい。硫酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0374】
フッ化水素酸、硝酸及び硫酸を含有する溶液に占めるフッ化水素酸の含有量は、10〜65重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、10〜45重量%がさらに好ましい。フッ化水素酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0375】
フッ化水素酸、硝酸及び硫酸を含有する溶液に占める硝酸の含有量は、5〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。硝酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0376】
フッ化水素酸、硝酸及び硫酸を含有する溶液に占める硫酸の含有量は、5〜70重量%が好ましく、10〜65重量%がより好ましく、15〜60重量%がさらに好ましい。硫酸の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0377】
フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程後、前記パターンを除去した基板を、リンス液で洗浄することが好ましい。
【0378】
リンス液としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが挙げられる。リンス液としては、水を含有するものが好ましい。
【0379】
<追加処理する工程>
本発明の半導体装置の製造方法は、(3)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを除去する工程として、(3−2)前記パターンを、フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程の後、さらに(3−3)紫外線処理する工程、(3−4)プラズマ処理する工程、及び、(3−5)アルカリ溶液、有機溶媒、酸性溶液及び酸化剤からなる群から選ばれる一種以上を含有する薬液(以下、「特定の薬液」)に浸漬する工程、のいずれか一種以上の工程を有しても構わない。これらの工程は、前記(3−2)の工程の浸漬時間を短縮する代わりに導入されるものであり、前記(3−2)、及び、該(3−3)、(3−4)及び(3−5)からなる群から選ばれる一種以上の工程を合わせることで、合計としてプロセスタイムを短縮することを目的とする。
【0380】
<紫外線処理する工程及びプラズマ処理する工程>
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−3)紫外線処理する工程又は(3−4)プラズマ処理する工程に用いられるガスとしては、酸素、オゾン、アルゴン、フッ素又は塩素からなる群から選ばれる一種以上を成分として含有するガスが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンの除去性の観点から、酸素又はオゾンを成分として含有するガスが好ましい。
【0381】
(3−3)の工程としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、上記のガスを暴露させて紫外線を照射する工程が挙げられる。(3−3)の工程に用いられる紫外線の波長としては、10〜450nmが一般的であり、前記パターンの除去性の観点から、20〜400nmが好ましく、50〜350nmがより好ましい。
【0382】
(3−4)の工程としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを形成した基板に、電磁波によってイオン化若しくはラジカル化させた上記のガスを暴露させる工程が挙げられる。
【0383】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−3)又は(3−4)の工程の処理温度は、前記パターンの除去性の観点から、10〜300℃が好ましく、20〜250℃がより好ましく、30〜220℃がさらに好ましく、40〜200℃が特に好ましい。
【0384】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−3)又は(3−4)の工程の処理時間は、前記パターンの除去性の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。
【0385】
<他の薬液に浸漬する工程>
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−5)特定の薬液に浸漬する工程に用いられる薬液は、除去する本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターン中の成分を溶解可能な薬液を選択することが好ましく、それにより前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0386】
アルカリ溶液としては、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。 有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2−ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられる。前記パターンの溶解性の観点から、2−アミノエタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが好ましい。
【0387】
アルカリ溶液に占める有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の含有量は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0388】
有機溶媒としては、例えば、ヒドロキシアセトン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、n−ブタノール、n−ペンタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−n−ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、エチルメチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、2−ヘプタノン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル又はジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテルが挙げられる。前記パターンの溶解性の観点から、ヒドロキシアセトン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、エチルメチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル又はジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテルが好ましい。
【0389】
アルカリ溶液と有機溶媒の混合溶液に占める有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の含有量は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0390】
アルカリ溶液と有機溶媒の混合溶液に占める有機溶媒の含有量は、1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。有機溶媒の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。1重量%に満たないと、残存した前記パターンを完全に除去できない場合や、前記パターンを除去するのに長時間を要する場合がある。
【0391】
酸性溶液としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はフルオロスルホン酸などの酸性を示す化合物の溶液が挙げられる。前記パターンの溶解性の観点から、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、硫酸、硝酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、乳酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はフルオロスルホン酸が好ましい。
【0392】
酸性溶液に占める酸性を示す化合物の含有量は0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。酸性を示す化合物の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0393】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラブロモ−1,4−ベンゾキノン、3,4,5,6−テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、ペルオキシ一硫酸カリウム、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、2,6−ジクロロピリジン−N−オキシド、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン、(ジアセトキシヨード)ベンゼン、2−ヨードソ安息香酸、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、超酸化ナトリウム又は超酸化カリウムが挙げられる。前記パターンの溶解性の観点から、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、ペルオキシ一硫酸カリウム、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン又は(ジアセトキシヨード)ベンゼンが好ましく、過酸化水素がより好ましい。
【0394】
酸性溶液と酸化剤の混合溶液に占める酸性を示す化合物の含有量は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。酸性を示す化合物の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0395】
酸性溶液と酸化剤の混合溶液に占める酸化剤の含有量は、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。酸化剤の含有量が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0396】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−5)の工程の、特定の薬液に浸漬する浸漬温度は、10〜180℃が好ましく、20〜160℃がより好ましく、30〜140℃がさらに好ましく、40〜120℃が特に好ましい。特定の薬液中の成分の沸点が180℃に満たない場合、浸漬温度は該成分の沸点に満たない温度が好ましい。浸漬温度が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となるとともに、特定の薬液のライフタイムが向上する。
【0397】
本発明の半導体装置の製造方法において、(3−5)の工程の、特定の薬液に浸漬する浸漬時間は、前記パターンの除去性の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましく、5分以上が最も好ましい。一方、タクトタイムの観点から、浸漬時間は30分以下が好ましく、20分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下が特に好ましい。
【0398】
特定の薬液に浸漬する工程後、前記パターンを除去した基板を、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル又は2−ヘプタノンが挙げられる。リンス液としては、水を含有するものが好ましい。
【0399】
<超音波の照射>
本発明の半導体装置の製造方法は、(3−5)特定の薬液に浸漬する工程が、(3−5’)特定の薬液に、浸漬しながら超音波を照射する又は浸漬後に超音波を照射する工程であっても構わない。超音波を照射することで、特定の薬液中の成分の分子を加速し、本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターン中の成分との衝突を促進させることで、前記パターンを特定の薬液に溶解しやすくすることができる。従って、超音波を照射することで、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0400】
照射する超音波の周波数は、20〜3,000kHzが好ましく、25〜500kHzがより好ましく、25〜150kHzがさらに好ましく、25〜70kHzが特に好ましい。周波数が上記範囲内であると、前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0401】
本発明の半導体装置の製造方法は、(3)本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物のパターンを除去する工程として、(3−3)紫外線処理する工程、(3−4)プラズマ処理する工程、又は、(3−5)特定の薬液に浸漬する工程の後、さらに(3−6)特定の薬液であり、前記(3−5)の工程で使用した薬液とは異なる薬液に浸漬する工程を有しても構わない。この工程は、(3−2)前記パターンを、フッ化水素酸を含有する溶液に浸漬する工程、前記(3−3)、(3−4)及び(3−5)からなる群から選ばれる一種以上の工程の時間を短縮する代わりに導入されるものである。前記(3−2)、(3−3)、(3−4)及び(3−5)からなる群から選ばれる一種以上の工程、及び該(3−6)の工程を合わせることで、合計としてプロセスタイムを短縮することを目的とする。該(3−6)の工程に用いられる薬液は、前記(3−5)の工程で使用した薬液とは異なる薬液、かつ除去する前記パターン中の成分を溶解可能な薬液を選択することが好ましい。前記(3−5)の工程で使用した薬液とは異なる薬液を使用することで、有機物と無機物のハイブリッドなど、多様かつ複雑な成分からなる組成物のパターンであっても、残渣なく容易に除去することが可能となり、それにより前記パターンの除去に要する時間を短縮することが可能となる。
【0402】
<半導体装置の製造方法>
本発明の半導体装置の製造方法について、本発明の感光性樹脂組成物を用いて、炭化ケイ素半導体基板に不純物領域を形成する方法を、図2に示して説明する。
【0403】
まず、(1)炭化ケイ素半導体基板7上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして、ポリシロキサン膜8を形成する。次に、(2)所望のパターンを有するマスク9を介して、活性化学線10を照射する。その後、(3)現像してパターン加工した後、必要に応じて、ブリーチング露光及びミドルベークし、熱硬化させることで、所望のパターンを有するポリシロキサンパターン8aを形成する。次に、(4)ポリシロキサンパターン8aをエッチングマスクとして、炭化ケイ素半導体基板7をドライエッチングによりパターン加工し、炭化ケイ素半導体基板7中にパターン11を形成する。その後、(5)本発明の半導体装置の製造方法に従い、炭化ケイ素半導体基板7上から、ポリシロキサンパターン8aを除去することで、パターン11が形成された炭化ケイ素半導体基板7aが得られる。次いで、(6)炭化ケイ素半導体基板7a上に、上記と同様の方法で本発明の感光性樹脂組成物から、所望のパターンを有するポリシロキサンパターン12aを形成する。次に、(7)ポリシロキサンパターン12aをイオン注入マスクとして、イオン13を注入し、炭化ケイ素半導体基板7a中に不純物領域14を形成するとともに、ポリシロキサンパターン中に変質層15が生成する。その後、(8)本発明の半導体装置の製造方法に従い、炭化ケイ素半導体基板7a上から、変質層15が生成したポリシロキサンパターン12aを除去することで、不純物領域14を有する炭化ケイ素半導体基板7bが得られる。
【0404】
<熱硬化して得られる硬化膜>
本発明の感光性樹脂組成物は、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化膜を得ることが可能で、アルカリ現像可能な感光性樹脂組成物である。さらに、前記感光性樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化膜は、高透明性を有する。
【0405】
本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、前記感光性樹脂組成物の塗膜を、150〜1,000℃に加熱して熱硬化させて得た、ポリシロキサン系硬化膜である。熱硬化温度は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましく、400℃以上が特に好ましい。熱硬化温度が上記範囲内であると、硬化膜の耐熱性を向上させることができる。一方、熱硬化時のクラック発生の抑制の観点から、熱硬化温度は、800℃以下が好ましく、600℃以下がより好ましく、500℃以下がさらに好ましく、450℃以下が特に好ましい。従って、本発明の感光性樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化膜は、高透明性及び高耐熱性を有する、ポリシロキサン系硬化膜である。
【0406】
また、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、前記感光性樹脂組成物の塗膜を、空気又は酸素雰囲気下、300〜1,100℃で焼成させた得た焼成膜であっても構わない。前記感光性樹脂組成物の塗膜を、空気又は酸素雰囲気下、300〜1,100℃で焼成させることで、前記塗膜中の有機物の結合開裂、有機物の熱分解及び有機物の揮発が進行し、SiO膜に類似した、残留有機物の少ないシリカ系の焼成膜を得ることができる。従って、本発明の感光性樹脂組成物を焼成して得られる焼成膜は、高透明性及び高耐熱性を有する、シリカ系焼成膜である。
【0407】
本発明の感光性樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化膜は、高解像度のパターンが形成され、高透明性及び高耐熱性を有する、ポリシロキサン系硬化膜又はシリカ系焼成膜である。そのため、例えば、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜、金属配線用保護膜、金属配線用絶縁膜又はTFT用平坦化膜などの用途に好適に用いることが可能である。
【0408】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性、及び耐クラック性に優れた硬化膜を得ることが可能な塗液を調製することが可能となる。
【0409】
また、本発明の感光性樹脂組成物によれば、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜、金属配線用保護膜、金属配線用絶縁膜若しくはTFT用平坦化膜などの用途に好適に用いられる硬化膜を得ることが可能となる。加えて、該硬化膜を前記絶縁膜、前記保護膜若しくは前記平坦化膜などの用途として具備する素子を得ることが可能となる。
【0410】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法によれば、微細なパターン領域に高温でイオン注入、ドーパント暴露、ドライエッチング又はウェットエッチングをすることが可能であるため、半導体製造における歩留り向上や性能向上に繋がる。加えて、従来のSiO膜を用いた方法と比較して、工程数を削減することができるため、生産性の向上やタクトタイム短縮が可能となる。さらに、本発明の半導体装置の製造方法によれば、高解像度のパターン形成が可能であり、耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化膜を用いることで、半導体基板への不純物領域の形成等の後、組成物の硬化膜の除去に要する工程を短縮することが可能となり、プロセスタイムを短縮することが可能となる。
【実施例】
【0411】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。なお、用いた化合物のうち略語を使用しているものについて、名称を以下に示す。
【0412】
46DMOC:“AVライト”(登録商標)46DMOC(旭有機材工業(株)製;2,4−ビス(メトキシメチル)−6−メチルフェノール)
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
BYK−3440:水溶性アクリル樹脂(ビックケミー・ジャパン(株)製)
CF:テトラフルオロメタン
DAA:ジアセトンアルコール
Dimethylol−BisOC−P:2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチル)フェニル−2−[4−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチル)フェニル]プロパン(本州化学工業(株)製)
EtOH:エタノール
FPD:フラットパネルディスプレイ
HF:フッ化水素酸
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
IPA:イソプロピルアルコール
KBM−04:テトラメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
KBM−303:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
M−315:“アロニックス”(登録商標)M−315(東亞合成(株)製;1,3,5−トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸)
MA−ST−L:メタノールを分散媒とした粒子径15〜20nmのシリカ粒子(日産化学工業(株)製)
MB:3−メトキシ−1−ブタノール
MDT:N−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(ヘレウス(株)製)
MeOH:メタノール
NaOH:水酸化ナトリウム
NMD−W:2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(東京応化工業(株)製)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NMR:核磁気共鳴
OXE−01:“IRGACURE”(登録商標) OXE−01(BASF製;1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム)
PAI−101:α−(4−トリルスルホニルオキシ)イミノ−4−メトキシベンジルシアニド(みどり化学(株)製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PH:ホスフィン
Ph−cc−AP:1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(本州化学工業(株)製)
PL−2L−MA:“クォートロン”(登録商標)PL−2L−MA(扶桑化学工業(株)製;メタノールを分散媒とした粒子径15〜20nmのシリカ粒子)
PL−2L−PGME:“クォートロン”(登録商標)PL−2L−PGME(扶桑化学工業(株)製;プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした粒子径15〜20nmのシリカ粒子)
PL−3−PGME:“クォートロン”(登録商標)PL−3−PGME(扶桑化学工業(株)製;プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした粒子径15〜20nmのシリカ粒子)
RF:高周波
RIE:反応性イオンエッチング
SI−200:“サンエイド”(登録商標)SI−200(三新化学工業(株)製;4−(メトキシカルボニルオキシ)フェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート)
SiC:炭化ケイ素
SR−8EGS:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製)
TGA:熱重量分析
THF:テトラヒドロフラン
TM−BIP−A:“AVライト”(登録商標)TM−BIP−A(旭有機材工業(株)製;2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]プロパン)
TMX−BIP−A:“AVライト”(登録商標)TM−BIP−A(旭有機材工業(株)製;2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]プロパン)
TMOM−BPAF:2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル]プロパン(本州化学工業(株)製)
X−88−347:3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)。
【0413】
合成例1 ポリシロキサン溶液(A−1)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを30.06g(50mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、メチルトリメトキシシランを17.03g(25mol%)、DAAを51.67g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水24.78gにリン酸0.331gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−1)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−1)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0414】
合成例2 ポリシロキサン溶液(A−2)の合成
ジメチルジメトキシシランを12.02g(20mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(10mol%)、メチルトリメトキシシランを47.68g(70mol%)、DAAを50.87g、水を26.13g、リン酸を0.337g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−2)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−2)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは4,000であった。
【0415】
合成例3 ポリシロキサン溶液(A−3)の合成
ジメチルジメトキシシランを24.04g(40mol%)、ジフェニルジメトキシシランを42.76g(35mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、DAAを85.57g、水を22.53g、リン酸を0.429g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−3)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−3)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,400であった。
【0416】
合成例4 ポリシロキサン溶液(A−4)の合成
ジメチルジメトキシシランを24.04g(40mol%)、ジフェニルジメトキシシランを6.11g(5mol%)、テトラメトキシシランを11.42g(15mol%)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(40mol%)、DAAを75.21g、水を24.33g、リン酸を0.406g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−4)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−4)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,700であった。
【0417】
合成例5 ポリシロキサン溶液(A−5)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(10mol%)、フェニルトリメトキシシランを59.49g(60mol%)、DAAを79.33g、水を25.23g、リン酸を0.426g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−5)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−5)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,900であった。
【0418】
合成例6 ポリシロキサン溶液(A−6)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(15mol%)、テトラメトキシシランを3.81g(5mol%)、フェニルトリメトキシシランを59.49g(60mol%)、メチルトリメトキシシランを13.62g(20mol%)、DAAを78.81g、水を26.13g、リン酸を0.430g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−6)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−6)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは4,100であった。
【0419】
合成例7 ポリシロキサン溶液(A−7)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(25mol%)、DAAを81.92g、水を24.78g、リン酸を0.431g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−7)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−7)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0420】
合成例8 ポリシロキサン溶液(A−8)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、テトラメトキシシランを11.42g(15mol%)、フェニルトリメトキシシランを54.53g(55mol%)、DAAを76.74g、水を25.68g、リン酸を0.420g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−8)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−8)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,800であった。
【0421】
合成例9 ポリシロキサン溶液(A−9)の合成
ジメチルジメトキシシランを6.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを3.81g(5mol%)、フェニルトリメトキシシランを59.49g(60mol%)、メチルトリメトキシシランを17.03g(25mol%)、DAAを78.54g、水を26.58g、リン酸を0.432g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−9)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−9)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは4,200であった。
【0422】
合成例10 ポリシロキサン溶液(A−10)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを36.65g(30mol%)、テトラメトキシシランを30.44g(40mol%)、DAAを79.33g、水を25.23g、リン酸を0.426g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−10)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−10)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0423】
合成例11 ポリシロキサン溶液(A−11)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、テトラメトキシシランを15.22g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを49.57g(50mol%)、DAAを74.15g、水を26.13g、リン酸を0.414g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−11)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−11)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,900であった。
【0424】
合成例12 ポリシロキサン溶液(A−12)の合成
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサンを14.58g(Si原子mol比で30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(25mol%)、DAAを81.92g、水を22.07g、リン酸を0.414g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−12)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−12)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0425】
合成例13 ポリシロキサン溶液(A−13)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、Mシリケート51を14.71g(Si原子mol比で25mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(25mol%)、DAAを81.92g、水を21.40g、リン酸を0.410g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−13)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−13)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0426】
合成例14 ポリシロキサン溶液(A−14)の合成
ジメチルジメトキシシランを6.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを3.81g(5mol%)、フェニルトリメトキシシランを69.40g(70mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(15mol%)、DAAを83.20g、水を26.58g、リン酸を0.447g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−14)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−14)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは4,000であった。
【0427】
合成例15 ポリシロキサン溶液(A−15)の合成
ジメチルジメトキシシランを27.05g(45mol%)、ジフェニルジメトキシシランを6.11g(5mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(25mol%)、DAAを67.96g、水を24.78g、リン酸を0.385g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−15)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−15)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,700であった。
【0428】
合成例16 ポリシロキサン溶液(A−16)の合成
ジメチルジメトキシシランを30.06g(50mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを19.83g(20mol%)、メチルトリメトキシシランを3.41g(5mol%)、DAAを60.98g、水を24.78g、リン酸を0.362g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−16)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−16)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,700であった。
【0429】
合成例17 ポリシロキサン溶液(A−17)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(25mol%)、DAAを91.31g、水を24.78g、リン酸を0.463g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−17)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−17)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは3,500であった。
【0430】
合成例18 ポリシロキサン溶液(A−18)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを19.83g(20mol%)、DAAを76.81g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水25.23gにリン酸0.439gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。加水分解終了後、DAA8.53gに3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物6.56g(5mol%)を溶かした溶液を添加した。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−18)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−18)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,700であった。
【0431】
合成例19 ポリシロキサン溶液(A−19)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを14.87g(15mol%)、DAAを79.88g、水を25.68g、リン酸を0.447g、DAAを8.88g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を13.12g(10mol%)使用し、合成例18と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−19)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−19)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは3,600であった。
【0432】
合成例20 ポリシロキサン溶液(A−20)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを12.22g(20mol%)、テトラメトキシシランを9.51g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを9.91g(20mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を68.08g、DAAを59.08g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水12.61gにリン酸0.220gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。加水分解終了後、DAA6.56gに3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物3.28g(5mol%)を溶かした溶液を添加した。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−20)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−20)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0433】
合成例21 ポリシロキサン溶液(A−21)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、テトラメトキシシランを5.71g(15mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(50mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を63.94g、DAAを55.49g、水を13.06g、リン酸を0.214g、DAAを6.17g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−21)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−21)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0434】
合成例22 ポリシロキサン溶液(A−22)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを12.22g(20mol%)、テトラメトキシシランを9.51g(25mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を24.84g(20mol%)、メタノールシリカゾル(30.5重量%のMeOH溶液)を54.64g、DAAを64.28g、水を12.61g、DAAを7.14g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−22)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−22)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、メタノールシリカゾルは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0435】
合成例23 ポリシロキサン溶液(A−23)の合成
ジメチルジメトキシシランを14.43g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを19.55g(20mol%)、テトラメトキシシランを15.22g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを15.86g(20mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を22.48g、DAAを68.27g、水を20.18g、リン酸を0.352g、DAAを7.59g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を5.25g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−23)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−23)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,600であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して10重量%含まれる。
【0436】
合成例24 ポリシロキサン溶液(A−24)の合成
ジメチルジメトキシシランを10.82g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを14.66g(20mol%)、テトラメトキシシランを11.42g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを11.90g(20mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を37.93g、DAAを57.60g、水を15.14g、リン酸を0.264g、DAAを6.40g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.93g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−24)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−24)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して20重量%含まれる。
【0437】
合成例25 ポリシロキサン溶液(A−25)の合成
ジメチルジメトキシシランを7.21g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを9.77g(20mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(25mol%)、フェニルトリメトキシシランを7.93g(20mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を101.14g、DAAを61.44g、水を10.09g、リン酸を0.176g、DAAを6.83g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を2.62g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−25)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−25)の固形分濃度は37重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して50重量%含まれる。
【0438】
合成例26 ポリシロキサン溶液(A−26)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、テトラメトキシシランを5.71g(15mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を55.88g(45mol%)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを6.16g(10mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を79.19g、DAAを76.36g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水13.29gにリン酸0.244gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−26)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−26)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0439】
合成例27 ポリシロキサン溶液(A−27)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを19.03g(25mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を24.84g(10mol%)、ビニルトリメトキシシランを11.12g(15mol%)、DAAを80.05g仕込んだ。フラスコ内に窒素を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水24.78gにリン酸0.425gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−27)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−27)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは4,700であり、二重結合当量は880であった。
【0440】
合成例28 ポリシロキサン溶液(A−28)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルジメトキシシランを12.22g(20mol%)、テトラメトキシシランを9.51g(25mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を6.21g(5mol%)、ビニルトリメトキシシランを5.56g(15mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を65.08g、DAAを56.48g仕込んだ。フラスコ内に窒素を0.05L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水12.61gにリン酸0.213gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。加水分解終了後、DAA6.28gに3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物3.28g(5mol%)を溶かした溶液を添加した。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−28)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−28)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは2,200、カルボン酸当量は1330であり、二重結合当量は890であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0441】
合成例29 ポリシロキサン溶液(A−29)の合成
ジメチルジメトキシシランを24.04g(40mol%)、ジフェニルジメトキシシランを24.44g(20mol%)、テトラメトキシシランを11.42g(15mol%)、フェニルトリメトキシシランを24.79g(25mol%)、DAAを82.98g、水を22.98g、リン酸を0.423g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−29)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−29)の固形分濃度は36重量%、ポリシロキサンのMwは3,500であった。
【0442】
合成例30 ポリシロキサン溶液(A−30)の合成
ジメチルジメトキシシランを18.03g(30mol%)、テトラメトキシシランを22.83g(30mol%)、フェニルトリメトキシシランを39.66(40mol%)、DAAを68.97g、水を27.03g、リン酸を0.403g使用し、合成例1と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−30)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−30)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは4,000であった。
【0443】
合成例31 ポリシロキサン溶液(A−31)の合成
1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、メチルトリメトキシシランを13.62g(40mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を82.87g、DAAを71.92g、水を13.97g、リン酸を0.256g、DAAを7.99g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を6.56g(10mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−31)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−31)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,300であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0444】
合成例32 ポリシロキサン溶液(A−32)の合成
ジメチルジメトキシシランを6.01g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、メチルトリメトキシシランを8.51g(25mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を79.13g、DAAを68.67g、水を12.84g、リン酸を0.244g、DAAを7.63g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例20と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−32)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−32)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,300であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0445】
合成例33 ポリシロキサン溶液(A−33)の合成
三口フラスコにジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを6.81g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを29.74g(60mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を67.24g、DAAを58.35g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.10L/minで流し、混合溶液を撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに撹拌しながら、水13.52gにリン酸0.447gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分間撹拌して、シラン化合物を加水分解させた。加水分解終了後、DAA6.48gに3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物3.28g(5mol%)を溶かした溶液を添加した。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を110℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1〜3時間加熱撹拌した(内温は95〜105℃)。1〜3時間加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、ポリシロキサン溶液(A−33)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−33)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0446】
合成例34 ポリシロキサン溶液(A−34)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを6.81g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを29.74g(60mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を72.04g、DAAを58.35g、水を13.52g、リン酸を0.447g、DAAを6.48g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−34)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−34)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0447】
合成例35 ポリシロキサン溶液(A−35)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを6.81g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを29.74g(60mol%)、MA−ST−L(40.5重量%のMeOH溶液)を37.35g、DAAを58.35g、水を13.52g、リン酸を0.447g、DAAを6.48g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−35)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−35)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、MA−ST−Lは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0448】
合成例36 ポリシロキサン溶液(A−36)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを6.81g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを29.74g(60mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を133.79g、DAAを75.86g、水を13.52g、リン酸を0.447g、DAAを8.43g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−36)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−36)の固形分濃度は44重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して50重量%含まれる。
【0449】
合成例37 ポリシロキサン溶液(A−37)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを17.35g(35mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を66.01g、DAAを57.29g、水を12.84g、リン酸を0.434g、DAAを6.37g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−37)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−37)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,500であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0450】
合成例38 ポリシロキサン溶液(A−38)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを17.35g(35mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を70.73g、DAAを57.29g、水を12.84g、リン酸を0.434g、DAAを6.37g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−38)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−38)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,500であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0451】
合成例39 ポリシロキサン溶液(A−39)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、フェニルトリメトキシシランを17.35g(35mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を131.35g、DAAを74.47g、水を12.84g、リン酸を0.434g、DAAを8.27g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−39)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−39)の固形分濃度は42重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して50重量%含まれる。
【0452】
合成例40 ポリシロキサン溶液(A−40)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(30mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を78.50g、DAAを68.12g、水を13.52g、リン酸を0.247g、DAAを7.57g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−40)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−40)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,300であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0453】
合成例41 ポリシロキサン溶液(A−41)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(30mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を84.10g、DAAを68.12g、水を13.52g、リン酸を0.247g、DAAを7.57g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−41)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−41)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,300であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0454】
合成例42 ポリシロキサン溶液(A−42)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(30mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、MA−ST−L(40.5重量%のMeOH溶液)を43.61g、DAAを68.12g、水を13.52g、リン酸を0.247g、DAAを7.57g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−42)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−42)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,300であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、MA−ST−Lは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0455】
合成例43 ポリシロキサン溶液(A−43)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(30mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を52.06g、DAAを59.04g、水を13.52g、リン酸を0.247g、DAAを6.56g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−43)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−43)の固形分濃度は38重量%、ポリシロキサンのMwは1,600であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して25重量%含まれる。
【0456】
合成例44 ポリシロキサン溶液(A−44)の合成
ジメチルジメトキシシランを3.01g(10mol%)、テトラメトキシシランを1.90g(5mol%)、メチルトリメトキシシランを10.22g(30mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を62.09g(50mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を156.19g、DAAを88.56g、水を13.52g、リン酸を0.247g、DAAを9.84g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−44)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−44)の固形分濃度は42重量%、ポリシロキサンのMwは1,200であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0457】
合成例45 ポリシロキサン溶液(A−45)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を43.46g(35mol%)、PL−2L−MA(22.5重量%のMeOH溶液)を76.49g、DAAを66.38g、水を12.84g、リン酸を0.239g、DAAを7.38g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−45)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−45)の固形分濃度は40重量%、ポリシロキサンのMwは1,500であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−2L−MAは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0458】
合成例46 ポリシロキサン溶液(A−46)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を43.46g(35mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を81.96g、DAAを66.38g、水を12.84g、リン酸を0.239g、DAAを7.38g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−46)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−46)の固形分濃度は41重量%、ポリシロキサンのMwは1,500であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0459】
合成例47 ポリシロキサン溶液(A−47)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を43.46g(35mol%)、MA−ST−L(40.5重量%のMeOH溶液)を42.50g、DAAを66.38g、水を12.84g、リン酸を0.239g、DAAを7.38g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−47)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−47)の固形分濃度は41重量%、ポリシロキサンのMwは1,500であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、MA−ST−Lは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して35重量%含まれる。
【0460】
合成例48 ポリシロキサン溶液(A−48)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を43.46g(35mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を50.74g、DAAを57.53g、水を12.84g、リン酸を0.239g、DAAを6.39g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−48)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−48)の固形分濃度は39重量%、ポリシロキサンのMwは1,800であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して25重量%含まれる。
【0461】
合成例49 ポリシロキサン溶液(A−49)の合成
ジメチルジメトキシシランを9.02g(30mol%)、ジフェニルメトキシシランを6.11g(10mol%)、テトラメトキシシランを7.61g(20mol%)、1−ナフチルトリメトキシシラン(50重量%のIPA溶液)を43.46g(35mol%)、PL−3−PGME(21.0重量%のPGME溶液)を152.21g、DAAを86.30g、水を12.84g、リン酸を0.239g、DAAを9.59g、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.28g(5mol%)使用し、合成例33と同様に重合をして、ポリシロキサン溶液(A−49)を得た。得られたポリシロキサン溶液(A−49)の固形分濃度は41重量%、ポリシロキサンのMwは1,400であった。このポリシロキサンは無機粒子含有ポリシロキサンであり、PL−3−PGMEは無機粒子含有ポリシロキサンの重量に対して50重量%含まれる。
【0462】
合成例50 ナフトキノンジアジド構造を有する化合物(QD−1)の合成
乾燥窒素気流下、フラスコにPh−cc−APを15.32g(0.05mol)、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドを37.62g(0.14mol)秤量し、1,4−ジオキサン450gに溶解させて室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gとトリエチルアミン15.58g(0.154mol)の混合溶液を、系内が35℃以上にならないように撹拌しながら滴下した。滴下終了後、混合溶液を30℃で2時間撹拌した。撹拌後、析出したトリエチルアミン塩をろ過によって除去した後、ろ液を水に投入して撹拌し、析出した固体沈殿をろ過して得た。得られた固体を減圧乾燥によって乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド構造を有する化合物(QD−1)を得た。
【0463】
【化22】
【0464】
合成例51 アクリル樹脂(AC−1)の合成
フラスコにAIBNを0.821g(1mol%)、PGMEAを121.49g仕込んだ。次に、メタクリル酸メチルを10.01g(20mol%)、メタクリル酸を12.91g(30mol%)、メタクリル酸2−[2−(2−メトキシ)エトキシ]エトキシエチルを58.07g(50mol%)仕込み、室温でしばらく撹拌して、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌して、アクリル樹脂溶液(AC−1)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(AC−1)に、固形分濃度が35重量%になるようにPGMEAを添加した。アクリル樹脂のMwは13,000であった。
【0465】
合成例52 アクリル樹脂(AC−2)の合成
フラスコにAIBNを0.821g(1mol%)、PGMEAを27.11g仕込んだ。次に、メタクリル酸メチルを5.01g(10mol%)、メタクリル酸を17.22g(40mol%)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを32.54g(50mol%)仕込み、室温でしばらく撹拌して、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にSR−8EGSを54.47g(20mol%)、ジメチルベンジルアミンを0.676g(1mol%)、4−メトキシフェノールを0.186g(0.3mol%)、PGMEAを55.03g添加し、90℃で4時間加熱撹拌して、アクリル樹脂溶液(AC−2)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(AC−2)に、固形分濃度が35重量%になるようにPGMEAを添加した。アクリル樹脂のMwは20,000であった。
【0466】
合成例1〜49の組成を、まとめて表1〜表3に示す。
【0467】
【表1】
【0468】
【表2】
【0469】
【表3】
【0470】
各実施例及び比較例における評価方法を以下に示す。
【0471】
(1)樹脂溶液の固形分濃度
重量を測定したアルミカップに樹脂溶液を1g秤量し、ホットプレート(HP−1SA;アズワン(株)製)を用いて250℃で30分間加熱して蒸発乾固させた。加熱後、固形分が残存したアルミカップの重量を測定し、加熱前後の重量の差分から残存した固形分の重量を算出し、樹脂溶液の固形分濃度を求めた。
【0472】
(2)樹脂のMw
GPC分析装置(HLC−8220;東ソー(株)製)を用い、流動層としてTHF又はNMPを用いてGPC測定を行い、ポリスチレン換算により求めた。
【0473】
(3)カルボン酸当量
電位差自動滴定装置(AT−510;京都電子工業(株)製)を用い、滴定試薬として0.1mol/LのNaOH/EtOH溶液を用いて、「JIS K2501(2003)」に基づき、電位差滴定法により、酸価を測定して算出した。
【0474】
(4)二重結合当量
「JIS K0070(1992)」に基づき、樹脂のヨウ素価を測定して算出した。
【0475】
(5)ポリシロキサン中の各オルガノシラン単位の含有比率
29Si−NMRの測定を行い、オルガノシラン由来のSi全体の積分値に対する、特定のオルガノシラン単位由来のSiの積分値の割合を算出して、それらの含有比率を計算した。試料(液体)は、直径10mm の“テフロン”(登録商標)製NMRサンプル管に注入して測定に用いた。29Si−NMR測定条件を以下に示す。
【0476】
装置:核磁気共鳴装置(JNM−GX270;日本電子(株)製)
測定法:ゲーテッドデカップリング法
測定核周波数:53.6693MHz(29Si核)
スペクトル幅:20000Hz
パルス幅:12μs(45°パルス)
パルス繰り返し時間:30.0秒
溶媒:アセトン−d6
基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:23℃
試料回転数:0.0Hz。
【0477】
(6)基板の前処理
Siウェハ((株)エレクトロニクス エンド マテリアルズ コーポレーション製)及び4H−SiCウェハ(東レ・ダウコーニング(株)製)は、ホットプレート(HP−1SA;アズワン(株)製)を用いて、130℃で2分間加熱して脱水ベーク処理をし、次いで、HMDS処理装置(関西ティーイーケィ(株)製)を用いて、100℃で50秒間、HMDSによる表面疎水化処理をして使用した。単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板(単層Cr成膜基板;(株)倉元製作所製、以下、「Cr基板」)は、前処理をせずに使用した。
【0478】
(7)膜厚測定
光干渉式膜厚測定装置(ラムダエース VM−1030;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、屈折率を1.55に設定して測定した。
【0479】
(8)未露光部の膜厚減少値
現像時の未露光部の膜厚減少値は、以下の式に従って算出した。
未露光部の膜厚減少値=現像前の未露光部の膜厚値−現像後の未露光部の膜厚値。
【0480】
(9)Eth感度(限界露光量)
下記、参考例1記載の方法で、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM−6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000−5−FS;Opto−Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像し、組成物の現像後膜を作製した。FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて、作製した現像後膜の解像パターンを観察し、30μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(i線照度計の値)をEth感度とした。
【0481】
(10)Eop感度(最適露光量)
上記(9)記載の方法で、露光及び現像を行い、組成物の現像後膜を作製した。FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出型走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、作製した硬化膜の解像パターンを観察し、残渣が無く得られた最小パターン寸法の、ライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(i線照度計の値)をEop感度とした。
【0482】
(11)組成物の熱硬化
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、組成物の硬化膜を作製した。熱硬化条件は、窒素気流下、50℃で30分間保持してオーブン内を窒素パージし、次に昇温速度10℃/minで450℃まで昇温させ、450℃で30分間熱硬化させ、組成物の硬化膜を作製した。
【0483】
(12)解像度(ドットパターン解像度)
下記、参考例1記載の方法で、縮小投影型露光装置(i線ステッパー NSR−2005i9C;(株)ニコン製)を用いてパターニング露光し、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、組成物の硬化膜を作製した。FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出型走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、作製した硬化膜の解像パターンを観察した。露光時間を変えて、前記のように露光、現像及び熱硬化を行い、残渣が無く得られたドットパターン又はライン・アンド・スペースパターンの最小パターンの寸法を解像度とした。
表5−1記載の、実施例22において得られた、2μmのドットパターンのSEM写真を図5に示す。また、表9−1記載の、実施例63において得られた、1μmのライン・アンド・スペースパターンのSEM写真を図6に示す。
【0484】
(13)パターン寸法幅変化(露光量許容度)
下記、参考例1記載の方法で、縮小投影型露光装置(i線ステッパー NSR−2005i9C;(株)ニコン製)を用いてパターニング露光し、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像し、組成物の現像後膜を作製した。FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出型走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、残渣が無く得られた最小パターン寸法の、ライン・アンド・スペースパターンの解像パターンを観察し、Eop感度の露光量でのパターン寸法幅を測定した。Eop感度の露光量(露光時間)から変えて露光、及び現像を行い、同様に解像パターンを観察してパターン寸法幅を測定した。Eop感度の露光量から、50mJ/cm小さい露光量でのパターン寸法幅を(A)、Eop感度の露光量から、50mJ/cm小大きい露光量でのパターン寸法幅を(B)として、以下の式に従って、パターン寸法幅変化を算出した。
パターン寸法幅変化=(B)−(A)。
【0485】
(14)耐熱性(1%重量減少温度)
下記、参考例1記載の方法で、Cr基板上に組成物の硬化膜を作製した。作製した硬化膜を基板から削りとり、アルミセルに約10mg入れた。このアルミセルを、熱重量測定装置(TGA−50;(株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、30℃にて10分間保持した後、昇温速度10℃/minで800℃まで昇温しながら熱重量分析を行った。重量減少が1%となる、1%重量減少温度(Td1%)を測定し、それぞれの温度Td1%を比較した。Td1%が高いほど、耐熱性が良好であることを示す。
【0486】
(15)イオン注入
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、表7〜10に記載されている、下記(16)記載のイオン注入時における耐クラック膜厚と同じ膜厚で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、硬化膜を作製した基板に、イオン注入装置(MODEL 2100 Ion Implanter;Veeco製)を用いて、以下の条件でイオン注入を行った。
【0487】
イオン種:Al
イオン注入温度:400℃
加速エネルギー量:300keV
イオンドーズ量:1.0E+14ions/cm
真空度:2.0E−6Torr。
【0488】
(16)イオン注入時における耐クラック膜厚
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、1.0〜3.0μmまでの膜厚でSiウェハ上に組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、上記(15)記載の方法で、硬化膜を作製した基板にイオン注入を行った。イオン注入後、硬化膜表面におけるクラック発生の有無を、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて観察した。クラックが発生しなかった硬化膜の最大膜厚値をイオン注入時における耐クラック膜厚(以下、「イオン注入耐クラック膜厚」)とし、それぞれのイオン注入耐クラック膜厚を比較した。イオン注入耐クラック膜厚が大きいほど、イオン注入時における耐クラック性が良好であることを示す。イオン注入耐クラック膜厚が、1.0μm以上のものを合格とした。イオン注入耐クラック膜厚が、1.65μm以上のものが、イオン注入マスクレジストとして優秀である。
【0489】
(17)イオン注入後のクラックの有無
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、硬化膜を作製した基板に、イオン注入装置(MODEL 2100 Ion Implanter;Veeco製)を用いて、上記(15)と同様の条件でイオン注入を行った。
【0490】
イオン注入後、イオン注入された硬化膜表面におけるクラック発生の有無を、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて観察した。クラックが発生していた場合はクラック有り、クラックが発生していなかった場合はクラック無しとして評価した。クラックが発生していなければ、400℃でのイオン注入に対する耐熱性及び耐クラック性が良好であることを示す。
【0491】
(18)ドーパント暴露後のクラックの有無
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、1.0μmの膜厚で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、硬化膜を作製した基板に、横型拡散炉(MODEL 208;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、以下の条件でドーパント暴露を行った。
【0492】
ドーパント:PH
ドーパント暴露温度:800℃
ドーパント暴露時間:30分。
【0493】
ドーパント暴露後、ドーパント暴露された硬化膜表面におけるクラック発生の有無を、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて観察した。クラックが発生していた場合はクラック有り、クラックが発生していなかった場合はクラック無しとして評価した。クラックが発生していなければ、800℃でのドーパント暴露に対する耐熱性及び耐クラック性が良好であることを示す。
【0494】
(19)ドライエッチング後のクラックの有無
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、表7〜10記載の膜厚で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、硬化膜を作製した基板を、ハイスループットアッシング・エッチング装置(MAS−8220AT;キヤノン(株)製)を用いて、以下の条件にてドライエッチングで処理した。
【0495】
エッチングガス:CF/O=75/25(体積比)
RF電力:300W
エッチング温度:200℃
エッチング時間:30秒
処理圧力:20Pa
ガス流量:50sccm。
【0496】
ドライエッチング後、ドライエッチングされた硬化膜表面におけるクラック発生の有無を、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて観察した。クラックが発生していた場合はクラック有り、クラックが発生していなかった場合はクラック無しとして評価した。クラックが発生していなければ、200℃でのドライエッチングに対する耐熱性及び耐クラック性が良好であることを示す。
【0497】
(20)ウェットエッチング後のクラックの有無
下記、参考例1記載の方法で、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、表7〜10記載の膜厚で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化温度は450℃で組成物の硬化膜を作製した。熱硬化後、硬化膜を作製した基板を、以下の条件にてウェットエッチングで処理をした。
【0498】
エッチング液:リン酸
エッチング温度:100℃
エッチング時間:300秒
リンス液:水
リンス時間:120秒。
【0499】
ウェットエッチング後、ウェットエッチングされた硬化膜表面におけるクラック発生の有無を、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)を用いて観察した。クラックが発生していた場合はクラック有り、クラックが発生していなかった場合はクラック無しとして評価した。クラックが発生していなければ、200℃でのドライエッチングに対する耐熱性及び耐クラック性が良好であることを示す。
【0500】
(21)硬化膜の除去性
下記、参考例1記載の方法で、組成物の硬化膜を作製し、上記(15)、(18)、(19)及び(20)記載の方法で、硬化膜を作製した基板にイオン注入、ドーパント暴露、ドライエッチング及びウェットエッチングからなる群から選ばれる一種以上の処理をした。
【0501】
処理後、大型マッフル炉(FUW263PA;アドバンテック東洋(株)製)を用いて焼成した。焼成条件は、空気気流下、昇温速度10℃/minで23℃から1,000℃まで昇温させ、1,000で30分間焼成した。続いて、以下の条件で薬液処理し、組成物の硬化膜を除去した。
【0502】
処理薬液:20重量%フッ化水素酸
処理温度:23℃
処理時間:300秒
リンス液:水
リンス時間:120秒。
【0503】
その後、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出形走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて基板表面を観察し、硬化膜の残膜又は残渣の有無を確認した。残膜又は残渣があった場合は残膜有り又は残渣有り、残渣が無かった場合は残渣無しとして評価した。残渣が無ければ、レジストとして除去可能であることを示す。
【0504】
参考例1
黄色灯下、PAI−101を0.333g秤量し、DAAを0.823g、PGMEAを6.300g添加し、撹拌して溶解させた。次に、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(A−1)を17.544g添加して撹拌し、均一溶液とした。その後、得られた溶液を0.2μmのフィルターでろ過し、組成物1を調製した。
【0505】
調製した組成物1を、4H−SiCウェハ上にスピンコーター(MS−A100;ミカサ(株)製)を用いて任意の回転数でスピンコーティングにより塗布した後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて95℃で195秒間プリベークし、膜厚約1.9μmのプリベーク膜を作製した。
【0506】
作製したプリベーク膜を、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM−6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000−5−FS;Opto−Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて、NMD−Wで90秒間現像し、水で30秒間リンスした。又は、作製したプリベーク膜を、縮小投影型露光装置(i線ステッパー NSR−2005i9C;(株)ニコン製)を用いてパターニング露光した。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて、NMD−Wで90秒間現像し、水で30秒間リンスした。
【0507】
現像後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて120℃で300秒間ミドルベークし、その後、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、450℃で熱硬化させ、膜厚約1.6μmの硬化膜を作製した。熱硬化条件は、窒素気流下、50℃で30分間保持してオーブン内を窒素パージし、次に昇温速度10℃/minで450℃まで昇温させ、450℃で30分間熱硬化させた。
【0508】
熱硬化後、硬化膜を作製した基板に、イオン注入、ドーパント暴露、ドライエッチング及びウェットエッチングからなる群から選ばれる一種以上の処理をした。
【0509】
イオン注入は、硬化膜を作製した基板に、イオン種としてAlをイオン注入温度400℃にて注入した。
【0510】
ドーパント暴露は、硬化膜を作製した基板に、ドーパントとしてPHをドーパント暴露温度800℃にて暴露させた。
【0511】
ドライエッチングは、硬化膜を作製した基板を、エッチングガスとしてCF/O=75/25(体積比)を用いて、エッチング温度200℃にて処理をした。
【0512】
ウェットエッチングは、硬化膜を作製した基板を、エッチング液としてリン酸を用いて、エッチング温度100℃にて処理をした。
【0513】
処理後、大型マッフル炉(FUW263PA;アドバンテック東洋(株)製)を用いて焼成した。焼成条件は、空気気流下、昇温速度10℃/minで23℃から1,000℃まで昇温させ、1,000で30分間焼成した。続いて、20重量%フッ化水素酸に23℃で300秒間浸漬した後、水で120秒間リンスし、組成物の硬化膜を除去した。
【0514】
その後、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出型走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて基板表面を観察し、硬化膜の残膜や残渣の有無を確認した。
【0515】
参考例2、実施例〜91及び比較例1〜4
参考例1と同様に、組成物2〜91を表4−1〜表11−1に記載の組成にて調製した。得られた各組成物を用いて、参考例1と同様に、基板上に組成物を成膜し、感光特性及び硬化膜の特性の評価を行った。それらの評価結果を、まとめて表4−2〜表11−2に示す。
【0516】
【表4-1】
【0517】
【表4-2】
【0518】
【表5-1】
【0519】
【表5-2】
【0520】
【表6-1】
【0521】
【表6-2】
【0522】
【表7-1】
【0523】
【表7-2】
【0524】
【表8-1】
【0525】
【表8-2】
【0526】
【表9-1】
【0527】
【表9-2】
【0528】
【表10-1】
【0529】
【表10-2】
【0530】
【表11-1】
【0531】
【表11-2】
【0532】
実施例92
黄色灯下、合成例50で得られたナフトキノンジアジド構造を有する化合物(QD−1)を0.578g秤量し、DAAを1.932g、PGMEAを7.200g添加し、撹拌して溶解させた。次に、合成例44で得られたポリシロキサン溶液(A−44)を15.291g添加して撹拌し、均一溶液とした。その後、得られた溶液を0.2μmのフィルターでろ過し、組成物70を調製した。
【0533】
調製した組成物70を、4H−SiCウェハ上にスピンコーター(MS−A100;ミカサ(株)製)を用いて任意の回転数でスピンコーティングにより塗布した後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて95℃で195秒間プリベークし、膜厚約2.1μmのプリベーク膜を作製した。
【0534】
作製したプリベーク膜を、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM−6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000−5−FS;Opto−Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて、NMD−Wで90秒間現像し、水で30秒間リンスした。又は、作製したプリベーク膜を、縮小投影型露光装置(i線ステッパー NSR−2005i9C;(株)ニコン製)を用いてパターニング露光した。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて、NMD−Wで90秒間現像し、水で30秒間リンスした。
【0535】
現像後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて120℃で300秒間ミドルベークし、その後、フラッシュランプアニール装置(LA−3000−F;(株)SCREENセミコンダクターソリューションズ製)を用いて、空気気流下、1,000℃で30分間熱硬化させ、膜厚約1.5μmの硬化膜を作製した。
【0536】
熱硬化後、硬化膜を作製した基板に、イオン注入、ドーパント暴露、ドライエッチング及びウェットエッチングからなる群から選ばれる一種以上の処理をした。
【0537】
イオン注入は、硬化膜を作製した基板に、イオン種としてAlをイオン注入温度500℃にて注入した。
【0538】
ドーパント暴露は、硬化膜を作製した基板に、ドーパントとしてPHをドーパント暴露温度800℃にて暴露させた。
【0539】
ドライエッチングは、硬化膜を作製した基板を、エッチングガスとしてCF/O=75/25(体積比)を用いて、エッチング温度200℃にて処理をした。
【0540】
ウェットエッチングは、硬化膜を作製した基板を、エッチング液としてリン酸を用いて、エッチング温度100℃にて処理をした。
【0541】
処理後、20重量%フッ化水素酸に23℃で300秒間浸漬した後、水で120秒間リンスし、組成物の硬化膜を除去した。
【0542】
その後、FPD検査顕微鏡(MX−61L;オリンパス(株)製)及び電界放出型走査電子顕微鏡(S−4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて基板表面を観察し、硬化膜の残膜や残渣の有無を確認した。
【0543】
実施例93〜97及び比較例5
参考例1と同様に、組成物70を表12−1に記載の組成にて調製した。得られた組成物70を用いて、実施例92と同様に、基板上に組成物を成膜し、感光特性及び硬化膜の特性の評価を行った。それらの評価結果を、まとめて表12−2に示す。
【0544】
【表12-1】
【0545】
【表12-2】
【符号の説明】
【0546】
1 炭化ケイ素半導体基板
2 ポリシロキサン膜
2a ポリシロキサンパターン
3 マスク
4 活性化学線
5 イオン
6 不純物領域
7 炭化ケイ素半導体基板
7a 炭化ケイ素半導体基板
7b 炭化ケイ素半導体基板
8 ポリシロキサン膜
8a ポリシロキサンパターン
9 マスク
10 活性化学線
11 パターン
12a ポリシロキサンパターン
13 イオン
14 不純物領域
15 変質層
図1
図2
図3
図4
図5
図6