特許第6690300号(P6690300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000002
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000003
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000004
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000005
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000006
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000007
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000008
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000009
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000010
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000011
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000012
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000013
  • 特許6690300-スタッカクレーン 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6690300
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】スタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20200421BHJP
   B66F 9/07 20060101ALN20200421BHJP
   B66F 9/24 20060101ALN20200421BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
   !B66F9/07 Z
   !B66F9/24 P
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-36073(P2016-36073)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-149569(P2017-149569A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】草川 光生
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−040508(JP,A)
【文献】 特開2006−111361(JP,A)
【文献】 特開2009−263121(JP,A)
【文献】 特開平07−277417(JP,A)
【文献】 特開平06−127612(JP,A)
【文献】 実開平04−125214(JP,U)
【文献】 特許第5170552(JP,B2)
【文献】 特許第5512097(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B66F 9/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーションと、高さ区分が複数ある複数の棚を有するラックとを有する倉庫に用いられ、高さ区分が複数ある荷物を搬送するスタッカクレーンであって、
走行車と、
前記走行車に設けられたマストと、
前記マストに沿って昇降可能であり、前記ステーション及び前記棚との間で荷物の移載を行う移載部と、
前記マストに設けられ、前記移載部に置かれた荷物を検知するためのセンサと、
前記移載部の停止位置と前記センサの検出結果に基づいて前記荷物の高さ区分を判定し、当該荷物の高さ区分と当該棚の高さ区分を考慮することで、前記荷物を前記移載部から前記棚に移載可能であるか否かを判断するコントローラと、
を備えたスタッカクレーン。
【請求項2】
前記センサは、前記移載部が前記荷物を前記棚に移載しようとするときに、前記移載部に置かれた荷物を検知できる位置に設けられている、請求項1に記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
前記コントローラは、前記センサの検出結果を保存する記憶部を有し、
前記コントローラは、前記記憶部に保存された検出結果に基づいて、前記荷物を前記棚に移載可能であるか否かを判断する、請求項1に記載のスタッカクレーン。
【請求項4】
前記コントローラは、前記移載部の位置を制御することで、前記センサにより前記荷物の高さを検知する、請求項3に記載のスタッカクレーン。
【請求項5】
前記センサは、前記移載部が前記ステーションから前記荷物を積み込む移載動作を行うときに、前記荷物の高さを検知できる位置に設けられている、請求項4に記載のスタッカクレーン。
【請求項6】
前記センサは、前記荷物を前記棚に移載しようとするときに保管不可能な荷物を検知できる位置に設けられており、
前記コントローラは、前記センサの検出結果により前記荷物が保管不可能な荷物であるか否かを判断する、請求項1〜5のいずれかに記載のスタッカクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカクレーン、特に、複数の棚に沿って走行し荷物を搬送するスタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫は、例えば、前後方向に所定間隔をあけるようにして設けられた一対のラックと、前後のラック間において左右方向に移動自在に設けられたスタッカクレーンと、一方のラックの側方に配された入庫ステーションと、他方のラックの側方に配された出庫ステーションとを有している(特許文献1を参照)。
ラックは、上下・左右に多数の荷物収納棚を有する。スタッカクレーンは、走行台車と、それに設けられたマストに昇降自在となされた昇降台と、それに設けられた荷物移載装置(例えば、前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク)とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−2412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスタッカクレーン2は、キャリッジ12上に載置された荷物の上端部を検出するための検出センサ18を有している。検出センサ18は、クレーンマスト13の上部位置に設けられている。
上記のスタッカクレーン2では、検出センサ18によって、高い荷物でもアッパーフレームと衝突することが防止されている。
しかし、検出センサ18は、荷物の高さ自体を検出していない。したがって、荷物を棚に移載する際に、当該荷物が棚に収納できない高さを有している場合には、荷物の上部が棚の上側フレームに衝突するという問題を回避できない。
【0005】
本発明の目的は、スタッカクレーンにおいて、荷物の高さを検出することで荷物を棚に移載できるか否かを判断可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るスタッカクレーンは、ステーションと、複数の棚を有するラックとを有する自動倉庫に用いられる。スタッカクレーンは、走行車と、マストと、移載部と、センサと、コントローラとを有する。
マストは、走行車に設けられている。
移載部は、マストに沿って昇降可能であり、ステーション及び棚との間で荷物の移載を行う。
センサは、マストに設けられ、移載部に置かれた荷物を検知する。
コントローラは、移載部の停止位置とセンサの検出結果に基づいて、荷物を移載部から棚に移載可能であるか否かを判断する。
このスタッカクレーンでは、マストにセンサを設けており、コントローラが、移載部の停止位置とセンサの検出結果に基づいて、荷物を移載部から棚に移載可能であるか否かを判断する。したがって、移載不能な荷物を棚に移載しようとすることが、防止される。
【0008】
センサは、移載部が荷物を棚に移載しようとするときに、移載部に置かれた荷物を検知できる位置に設けられていてもよい。
このスタッカクレーンでは、移載部が棚に荷物を移載する停止位置にあるときに、センサによって棚に移載不能な荷物を検出できる。したがって、記憶部を用いる必要がない。また、マニュアル操作時にでも、移載不能な荷物が棚に移載されようとすることが防止される。
【0009】
コントローラは、センサの検出結果を保存する記憶部を有していてもよい。
コントローラは、記憶部に保存された検出結果に基づいて、荷物を棚に移載可能であるか否かを判断してもよい。
このスタッカクレーンでは、センサの検出結果を記憶できることにより、検出結果に基づいて荷物の移載を決定できる。
【0010】
コントローラは、移載部の位置を制御することで、センサにより荷物の高さを検知してもよい。
このスタッカクレーンでは、マストの所定の位置に設けられたセンサによって、荷物の高さを検出できる。したがって、ラックの棚に荷物を移載するときに、荷物の高さを検出する必要がなくなる。
【0011】
センサは、移載部がステーションから荷物を積み込む移載動作を行うときに、荷物の高さを検知できる位置に設けられていてもよい。
このスタッカクレーンでは、ステーションから移載部に荷物を移載するときに、移載不能な荷物を検知できる。したがって、ラックの棚に荷物を移載するときに荷物の高さを検出する必要がなくなる。
【0012】
センサは、荷物を棚に移載しようとするときに保管不可能な荷物を検知できる位置に設けられていてもよい。
コントローラは、センサの検出結果により荷物が保管不可能な荷物であるか否かを判断してもよい。
センサによって、棚に保管不可な荷物を検知できる。したがって、保管不能な荷物を棚に移載しようとすることが防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るスタッカクレーンでは、荷物の高さを検出することで荷物を棚に移載できるか否かを判断可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としての自動倉庫の部分平面図。
図2】自動倉庫の部分側面図。
図3】自動倉庫の正面図。
図4】スタッカクレーンの概略側面図。
図5】スタッカクレーンの概略正面図。
図6】スタッカクレーンの制御構成を示すブロック図。
図7】第1の入庫制御動作を示すフローチャート。
図8】第2実施形態におけるスタッカクレーンの制御構成を示すブロック図。
図9】第2の入庫制御動作を示すフローチャート。
図10】荷物の高さ測定動作を示す模式図。
図11】荷物の高さ測定動作を示す模式図。
図12】二種類のセンサの配置位置を示す模式図。
図13】二種類のセンサの配置位置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体
図1及び図2を用いて、本発明に係る一実施形態としての自動倉庫1を説明する。自動倉庫1は、荷物の保管、入庫及び出庫が可能な施設である。図1は、本発明の一実施形態としての自動倉庫1の部分平面図である。図2は、自動倉庫1の部分側面図である。
なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の前後方向であり、図1及び図2の左右方向が自動倉庫1の左右方向である。
また、以下の説明では、荷物を表現するのに「荷物W」、「低荷物L」、「高荷物H」、「保管不能荷物O」の用語を実施形態に即して用いるが、一般的な動作を説明する場合には「荷物」と称する。
【0016】
自動倉庫1は、一対のラック2と、スタッカクレーン3とを有している。ラック2は荷物を保管する施設である。スタッカクレーン3は荷物を搬送して入出庫を行う装置である。スタッカクレーン3は一対のラック2の間を走行する。
【0017】
(2)ラック
図1図3を用いて、一対のラック2と一台のスタッカクレーン3を説明する。図3は自動倉庫1の正面図である。
【0018】
一対のラック2は、図1の左右方向に延びるスタッカクレーン通路5を挟むように配置されている。ラック2は、所定間隔で左右に並ぶ多数の前側支柱7と、前側支柱7の後方にそれとの間に所定間隔をあけて並ぶ後側支柱9と、前側支柱7および後側支柱9に設けられた多数の荷物支承部材11とを有している。左右一対の荷物支承部材11によって、棚13が構成されている。各棚13には、図から明らかなように、荷物Wが載置可能である。なお、各荷物Wは、パレットP(図2を参照。)上に載置され、パレットPと共に移動させられる。なお、左右一対の荷物支承部材11間は、後述のスライドフォーク29の上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙15となっている。
【0019】
(3)スタッカクレーン
スタッカクレーン通路5に沿って、上下一対のガイドレール21が設けられており、これらガイドレール21にスタッカクレーン3が左右に移動可能に案内されている。スタッカクレーン3は、走行台車23(走行車の一例)と、走行台車23に設けられた左右一対のマスト25に昇降自在に装着された昇降台27と、昇降台27に進退機構(図示せず)によって前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク29とを有している。なお、昇降台27とスライドフォーク29によって、荷物の移載を行う移載部30が構成されている。
【0020】
以下、図4及び図5を用いて、複数の荷物高さ判定用センサ31a〜31dを説明する。図4は、スタッカクレーンの概略側面図である。図5は、スタッカクレーンの概略正面図である。
なお、図4及び図5は模式図であって簡略化されている。
最初に、図5を用いて、ラック2の棚13を説明する。図5に示すように、ラック2の棚13は、下から上方に順番に、第1低荷物用棚13a、第2低荷物用棚13b,第3低荷物用棚13c、高荷物用棚13dを有している。ここでの低荷物用棚とは、低荷物Lが載置される棚であり、高さが低く設定されている。また、高荷物用棚とは、高荷物Hが載置される棚であり、高さが高く設定されている。以上より、高荷物用棚には低荷物L及び高荷物Hが載置可能であるが、低荷物用棚には低荷物Lのみが載置可能である。
【0021】
図4及び図5に示すように、スタッカクレーン3のマスト25には、具体的には、下方から上方に向かって、第1センサ31a、第2センサ31b、第3センサ31c、第4センサ31dが間隔を空けて配置されている。各センサ31a〜31dは、投光器と受光器をセットで使用して、投光器と受光器間を遮ることでON/OFFする透過型光電センサである。
図5に示すように、第1センサ31aは、第1低荷物用棚13aの上部位置に対応してマスト25に設けられている。第2センサ31bは、第2低荷物用棚13bの上部位置に対応してマスト25に設けられている。第3センサ31cは、第3低荷物用棚13cの上部位置に対応してマスト25に設けられている。第4センサ31dは、高荷物用棚13dの上部位置に対応してマスト25に設けられている。
【0022】
より具体的には、第1センサ31aは、第1低荷物用棚13aに移載されようとする荷物が低荷物Lであるか又は第1低荷物用棚13aに収納できない高さの荷物(高荷物H又はそれ以上の高さを有する保管不能荷物O)であるかを区別可能な位置に設けられている。第2センサ31bは、第2低荷物用棚13bに移載されようとする荷物が低荷物Lであるか又は第2低荷物用棚13bに収納できない高さの荷物であるかを区別可能な位置に設けられている。第3センサ31cは、第3低荷物用棚13cに移載されようとする荷物が低荷物Lであるか又は第3低荷物用棚13cに収納できない高さの荷物であるかを区別可能な位置に設けられている。第4センサ31dは、高荷物用棚13dに移載されようとする荷物が高荷物Hであるか又は保管不能荷物Oであるかを区別可能な位置に設けられている。
【0023】
次に、図6を用いて、スタッカクレーン3のコントローラ51を説明する。図6は、スタッカクレーンの制御構成を示すブロック図である。
【0024】
コントローラ51は、各スタッカクレーン3に搭載され、自動倉庫1全体を制御するコントローラ(図示せず)と通信可能である。コントローラ51は、CPUやメモリ等のコンピュータ・ハードウェアを有しており、ソフトウェアを実行することで各種制御を実行する。
【0025】
コントローラ51は、走行台車23の走行・停止を制御するための走行装置53(例えば、走行用モータ)に接続されている。コントローラ51は、昇降台27をマスト25に沿って上下動させるための昇降装置55(例えば、昇降用モータ)に接続されている。コントローラ51は、スライドフォーク29を前後方向に移動させるための移載装置57(例えば、移載用モータ)に接続されている。
コントローラ51には、センサ31a〜31dが接続されている。コントローラ51は、後述するように、センサ31a〜31dの検出結果にしたがって、荷物の高さを判定する。
また、コントローラ51には、各種スイッチ及びセンサが接続されており、それらからの検出結果に基づいて各種制御を実行する。
【0026】
(4)ステーション
図1に示すように、前側のラック2の左側方に入庫ステーション17が配され、後側のラック2の左側方に出庫ステーション19が配されている。
【0027】
(5)入庫制御動作
図7を用いて、入庫制御動作を説明する。図7は、第1の入庫制御動作を示すフローチャートである。なお、以下の制御動作は、コントローラ51によって実行される。
ステップS1では、スタッカクレーン3は、入庫指令を受信すると、入庫ステーション17に移動し、荷物Wを積み込む。
【0028】
ステップS2では、スタッカクレーン3は、走行し、さらに昇降台27を昇降させることで昇降台27を目標の棚13の前に移動させる。例えば、図4及び図5に示すように、昇降台27は第3低荷物用棚13cの前に移動させられる。
ステップS3では、コントローラ51は、当該棚13の上部に対応する位置に設けられたセンサ31からの検出信号を受信する。例えば、図4及び図5に示すように、第3センサ31cからの検出信号がコントローラ51に送信される。
【0029】
ステップS4では、コントローラ51は、荷物を当該棚13に移載できるか否かを判断する。
移載できると判断すれば、プロセスはステップS5に移行し、移載装置57が荷物を棚13に移載する。
移載できないと判断すれば、プロセスはステップS6に移行し、異常処理を行う。異常処理は、例えば、荷物の移載の中止である。移載できない場合の一例として、図4及び図5では、高荷物Hが第3低荷物用棚13cに移載されようとするときに、第3センサ31cにおいて投光器と受光器が高荷物Hによって遮断される。これにより、コントローラ51は、高荷物Hを第3低荷物用棚13cに移載できないことが分かる。
【0030】
以上に述べたように、移載部30の停止位置とセンサの検出結果に基づいて、荷物を移載部30から棚に移載可能であるか否かを判断できる。したがって、棚に移載不能な荷物を棚に移載しようとすることが防止される。
より具体的には、センサ31a〜31dは、移載装置57が荷物を棚13に移載しようとするときに、移載装置57に置かれた荷物を検知できる位置に設けられている。したがって、移載装置57が棚13に荷物を移載する停止位置にあるときに、センサ31a〜31dによって棚に移載不能な荷物を検出できる。したがって、記憶部を用いる必要がない。また、マニュアル操作時でも、棚13に移載不能な荷物が移載されようとすることが防止される。
【0031】
2.第2実施形態
第1実施形態では、移載部33が棚13に荷物を移載する停止位置にあるときに、センサ31a〜31dによって棚に移載不能な荷物を検出していた。しかし、移載部30の停止位置とセンサの検出結果に基づいて、荷物を移載部30から棚に移載可能であるか否かを判断できればよいので、本発明は第1実施形態に限定されない。
【0032】
図8図10を用いて、第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態におけるスタッカクレーンの制御構成を示すブロック図である。図9は、第2の入庫制御動作を示すフローチャートである。図10は、荷物の高さ測定動作を示す模式図である。
なお、第2実施形態の構成は第1実施形態の構成と基本的に同じである。以下、第2実施形態の特徴的な点を中心に説明する。
コントローラ51は、図8に示すように、センサ31a〜31dの検出結果を保存する記憶部51aを有している。また、記憶部51aは、後述する第5センサ31eの検出結果も保存する。
【0033】
図9を用いて、入庫制御動作を説明する。なお、以下の制御動作は、コントローラ51によって実行される。
ステップS11では、スタッカクレーン3は、入庫指令を受信すると、入庫ステーション17に移動し、荷物を積み込む。
ステップS12では、コントローラ51は、積み込んだ荷物を移載部30の直近のセンサからの検出信号を受信する。図10の例では、第5センサ31eからの検出信号がコントローラ51に送信される。このように、前述のセンサは、移載部30が入庫ステーション17から荷物を積み込む移載動作を行うときに、荷物の高さを検知できる位置に設けられている。この結果、コントローラ51が、センサの検出結果により荷物が保管不可能な荷物であるか否かを判断する。したがって、保管不能な荷物が棚に移載されることが防止される。また、第1実施形態とは異なり、ラックの棚13に荷物を移載するときに荷物の高さを検出する必要がなくなる。なお、「荷物の高さを検知できる位置」とは、一例として、低荷物Lと高荷物Hを判別する設定値が定められており、マスト上にステーション高さから設定値分高い位置である。
【0034】
なお、移載部30の直近のセンサとしては、第1センサ31aを用いてもよい。また、第2センサ31b〜第4センサ31dのいずれでもよい。移載部30はいずれの高さにおいても荷物を積み込めるからである。
また、この実施形態では、センサの数は単数でも複数でもよい。
【0035】
図11を用いて、荷物の高さを測定する変形例を説明する。この変形例では、所定のセンサに対して移載部30が所定の距離だけ下方の位置に移動して停止させる。図11の例では、第3センサ31cが所定のセンサとして用いられる。これにより、センサの高さAと移載部30の高さBとの間の距離Cを設定することで、荷物が低荷物L、高荷物H、保管不能荷物Oの3種類のいずれかであることを判定できる。このようにして、コントローラは、移載部30の位置を制御することで、センサにより荷物の高さを検知する。この結果、マスト25の所定の位置に設けられたセンサによって、荷物の高さを検出できる。したがって、ラック2の棚13に荷物を移載するときに、荷物の高さを検出する必要がなくなる。なお、上記により、保管不能荷物Oと他の荷物とを区別もできる。
なお、所定のセンサは、第3センサ31cには限定されない。
また、この実施形態でも、センサの数は単数でも複数でもよい。
【0036】
ステップS13では、コントローラ51は、荷物の高さを判定する。具体的には、荷物が低荷物L、高荷物H、保管不能荷物Oの3種類のいずれかであることが判定される。保管不能荷物Oであれば、プロセスはステップS19に移行し、異常処理が行われる。
ステップS14では、コントローラ51は、荷物の高さ情報を記憶部51aに保存する。
【0037】
ステップS15では、スタッカクレーン3は、走行し、さらに昇降台27を昇降させることで昇降台27を目標の棚13の前に移動させる。
ステップS16では、コントローラ51は、荷物を当該棚13に移載できるか否かを判断する。このとき、コントローラ51は、記憶部51aに保存された検出結果に基づいて、荷物を棚に移載可能であるか否かを判断する。
【0038】
移載できると判断すれば、プロセスはステップS17に移行し、移載装置57が荷物を棚13に移載する。
移載できないと判断すれば、プロセスはステップS18に移行し、異常処理を行う。異常処理は、例えば、荷物の移載の中止である。移載できない場合の一例として、低荷物用棚に高荷物Hが移載されようとする場合である。
【0039】
3.第3実施形態
図12及び図13を用いて、センサが、荷物を棚に移載しようとするときに保管不可能な荷物を検知できる位置に設けられている実施形態の変形例を説明する。図12及び図13は、二種類のセンサの配置位置を示す模式図である。
図12に示す変形例では、マストに設けられたセンサと昇降台に設けられセンサとの組み合わせによって、荷物の高さ判定が可能である。具体的には、昇降台27に設けられたセンサ61によって、低荷物Lとそれ以外の荷物を区別ができ、センサ31Aによって、高荷物Hと保管不能荷物Oとを区別できる。
【0040】
図13に示す変形例では、マストに設けられた第1センサと第2センサとの組み合わせによって、荷物の高さ判定が可能である。具体的には、第1センサ31Cによって、低荷物Lとそれ以外の荷物を区別ができ、第2センサ31Dによって、高荷物Hと保管不能荷物Oとを区別できる。
【0041】
4.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のように表現できる。
スタッカクレーン3は、入庫ステーション17(ステーションの一例)と、複数の棚13(棚の一例)を有するラック2(ラックの一例)とを有する自動倉庫1(自動倉庫の一例)に用いられる。スタッカクレーン3は、走行台車23(走行車の一例)と、マスト25(マストの一例)と、移載部30(移載部の一例)と、センサ31a〜31e(センサの一例)と、コントローラ51(コントローラの一例)とを有する。
【0042】
マスト25は、走行台車23に設けられている。
移載部30は、マスト25に沿って昇降可能であり、入庫ステーション17及び棚13との間で荷物の移載を行う。
センサ31a〜31eは、マストに設けられ、移載部30に置かれた荷物を検知する。
コントローラ51は、移載部30の停止位置とセンサ31a〜31eの検出結果に基づいて、荷物を移載部30から棚13に移載可能であるか否かを判断する。
【0043】
このスタッカクレーン3では、マスト25にセンサ31a〜31eを設けており、コントローラ51が、移載部30の停止位置とセンサ31a〜31eの検出結果に基づいて、荷物を移載部30から棚13に移載可能であるか否かを判断する。したがって、移載不能な荷物を棚13に移載しようとすることが、防止される。
【0044】
5.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記実施形態ではスタッカクレーンのマストの本数は2本であったが、マストは1本でもよい。
【0045】
前記実施形態では透過型光電センサが用いられていたが、投光器の光が検出物体に当たり、受光器に戻ってくることでON/OFFする反射型光電センサが用いられてもよい。その場合、反射型光電センサは1本のマストに装着されていればよい。
また、他の種類のセンサが用いられてもよい。
前述したように昇降台にも荷物を検出するセンサが設けられていてもよい。ただし、上記の実施形態では、昇降台に荷物を検出するセンサを設けなくてもよい。
【0046】
昇降台に高荷を検出するためのセンサを設けていない場合を以下に説明する。その場合、マストのセンサで荷の高さ判別を行うことになる。そのため、昇降台を従来より高い上部まで上昇させることができる。その結果、ラック上部に低荷用の棚を追加でき、それによりデッドスペースを削減できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、複数の棚に沿って走行し荷物を搬送するスタッカクレーンに広く適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 :自動倉庫
2 :ラック
3 :スタッカクレーン
5 :スタッカクレーン通路
7 :前側支柱
9 :後側支柱
11 :荷物支承部材
13 :棚
13a :第1低荷物用棚
13b :第2低荷物用棚
13c :第3低荷物用棚
13d :高荷物用棚
15 :フォーク通過間隙
17 :入庫ステーション
19 :出庫ステーション
21 :ガイドレール
23 :走行台車
25 :マスト
27 :昇降台
29 :スライドフォーク
30 :移載部
31 :荷物高さ判定用センサ
31a :第1センサ
31b :第2センサ
31c :第3センサ
31d :第4センサ
31e :第5センサ
51 :コントローラ
53 :走行装置
55 :昇降装置
57 :移載装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13