(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
以下、図を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の電池状態判定装置1の概要を示す概要図である。
図1に示す通り、蓄電池BTには、負荷LDが接続される。蓄電池BTは、蓄電池BTに蓄積された電力を負荷LDへ供給する。
ここで、蓄電池BTとは、電池の一例である。本実施形態の蓄電池BTとは、例えば、リチウムイオン電池、鉛電池およびニッケル水素電池等である。
【0013】
図2を参照して蓄電池BTの詳細について説明する。
図2は、本実施形態の直方体の外観形状を有する蓄電池BTを展開した展開図である。
図2に示す通り、この一例では、蓄電池BTは、直方体であって、上面Uと、左面Lと、右面Rと、底面Dと、正面Fと、背面Bとを有する。上面Uには、負荷LDと接続される電源端子が配置される。
【0014】
図1に戻り、蓄電池BTには、検出部300が蓄電池BTのいずれかの面に接して設置される。具体的には、検出部300は、蓄電池BTの外装が有する複数の面のうち、正面Fに接して設置される。
【0015】
ここで、検出部300とは、例えば、圧電効果によって厚さを検出する圧電素子を備えるセンサーである。検出部300は、圧電効果によって生じる電気信号に応じて、蓄電池BTの正面Fの膨張の程度を検出する。
【0016】
検出部300は、蓄電池BTの正面Fの膨張の程度を検出することにより、蓄電池BTの厚さを検出する。蓄電池BTの厚さとは、蓄電池BTの所定の方向の電池厚tnである。蓄電池BTの所定の方向とは、例えば、蓄電池BTの高さ方向、奥行き方向または幅方向である。この一例では、
図1に示すXYZ直交座標系は、蓄電池BTの高さ方向、奥行き方向または幅方向を示す。具体的には、X軸は、蓄電池BTの幅方向を示す。また、Y軸は、蓄電池BTの奥行き方向を示す。また、Z軸は、蓄電池BTの高さ方向を示す。
すなわち、この一例では、蓄電池BTの高さ方向の電池厚tnとは、上面Uと底面Dとの間の距離である。また、蓄電池BTの奥行き方向の電池厚tnとは、正面Fと背面Bとの間の距離である。また、蓄電池BTの幅方向の電池厚tnとは、左面Lと右面Rとの間の距離である。以降の説明において、蓄電池BTの高さ方向、奥行き方向または幅方向の厚さのうち、検出部300が検出する方向の厚さを、電池厚tnと記載する。
この一例では、検出部300は、蓄電池BTの奥行き方向の厚さを、電池厚tnとして検出する。具体的には、検出部300は、蓄電池BTの正面Fの膨張の程度を検出することにより、蓄電池BTの奥行き方向の距離である電池厚tnを検出する。
また、この一例では、蓄電池BTが内部に備えるセルは、
図1に示す直交座標系のXZ平面と水平であって、Y軸方向に積層される。
【0017】
なお、上述では、検出部300が蓄電池BTの正面Fと、背面Bとの距離が示す蓄電池BTの電池厚tnを検出する場合について説明したが、これに限られない。
検出部300は、蓄電池BTの所定の方向の電池厚tnであれば、いずれの電池厚tnを検出してもよい。例えば、検出部300は、蓄電池BTの左面Lに接して設置されていてもよい。この場合、検出部300は、蓄電池BTの幅方向の電池厚tnを検出してもよい。
【0018】
また、
図2に示す通り、検出部300は、蓄電池BTの各部の電池厚tnを検出する。具体的には、検出部300は、蓄電池BTの外縁部opの電池厚tnを検出する。以下の説明において、検出部300が検出する蓄電池BTの外縁部opの電池厚tnを、外縁厚otnとも記載する。また、検出部300は、蓄電池BTの内側部ipの電池厚tnを検出する。以下の説明において、検出部300が検出する蓄電池BTの内側部ipの電池厚tnを、内側厚itnとも記載する。
ここで、外縁部opとは、蓄電池BTの外縁の部分である。また、内側部ipとは、外縁部opより蓄電池BTの内側の部分である。
つまり、この一例では、検出部300は、蓄電池BTの電池厚tnのうち、内側部ipの電池厚tnである内側厚itnと、外縁部opの電池厚tnである外縁厚otnとをそれぞれ検出する。
【0019】
なお、上述では、
図2に示す通り、蓄電池BTの外縁部opと、内側部ipとが四角形である場合を一例に説明したが、これに限られない。蓄電池BTの外縁部opと、内側部ipとは、内側部ipと、外縁部opとが区別される形状であれば、いずれの形状であってもよい。
【0020】
また、上述では、検出部300が圧電効果によって厚さを検出する圧電素子を備えるセンサーである場合について説明したが、これに限られない。検出部300は、撮像部と撮像部が撮像した画像を画像解析する装置とを備えており、画像を解析する装置は、撮像部が蓄電池BTを撮像し、生成した画像を既知の方法によって解析し、蓄電池BTの厚さを検出してもよい。これにより、検出部300は、蓄電池BTの電池厚tnのうち、内側部ipの電池厚tnである内側厚itnと、外縁部opの電池厚tnである外縁厚otnとをそれぞれ検出してもよい。
【0021】
図1に戻り、電池状態判定装置1は、制御部100と、記憶部200と、検出部300とを備える。検出部300は、検出した蓄電池BTの電池厚tnを示す検出厚tnRを制御部100へ供給する。具体的には、検出厚tnRには、検出部300が検出した蓄電池BTの内側厚itnを示す内側厚検出結果itnRが含まれる。また、検出厚tnRには、検出部300が検出した蓄電池BTの外縁厚otnを示す外縁厚検出結果otnRが含まれる。
【0022】
以下、
図3と、
図4とを参照して電池状態判定装置1の構成と、動作とについて説明する。
図3は、本実施形態の電池状態判定装置1の一例を示す構成図である。
図4は、本実施形態の電池状態判定装置1の動作の一例を示す流れ図である。
上述したように、電池状態判定装置1は、検出部300と、制御部100と、記憶部200とを備える。
記憶部200には、故障基準差分情報FDSと、劣化基準差分情報DDSとが記憶される。故障基準差分情報FDSと、劣化基準差分情報DDSとについては後述する。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、取得部110と、状態判定部120とをその機能部として備える。
【0023】
取得部110は、検出部300から検出厚tnRを取得する。具体的には、取得部110は、ある時期における検出厚tnRと、ある時期より過去の時期における検出厚tnRとを取得する。以降の説明において、取得部110が検出部300から検出厚tnRを取得するある時期を第1時期P1と記載する。また、取得部110が検出部300から検出厚tnRを取得する時期であって、第1時期P1より過去の時期を第2時期P2と記載する。つまり、取得部110は、第1時期P1において検出部300が検出した第1の検出厚tnRである検出厚tnR1を取得する。また、取得部110は、第2時期P2において検出部300が検出した第2の検出厚tnRである検出厚tnR2を取得する。
この一例では、第2時期P2とは、蓄電池BTの使用が開始された時期である。すなわち、検出厚tnR2とは、蓄電池BTの使用が開始された初期の状態において、検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出結果である。
また、この一例では、第1時期P1とは、第2時期P2のから所定の時間が経過した後の時期である。
【0024】
上述したように、検出厚tnRには、内側厚検出結果itnRと、外縁厚検出結果otnRとが含まれる。取得部110は、検出厚tnRの取得時期毎に、内側厚検出結果itnRと、外縁厚検出結果otnRとを取得する。取得部110が第1時期P1に取得する検出厚tnR1には、内側厚検出結果itnR1が、内側厚検出結果itnRとして含まれる。また、取得部110が第1時期P1に取得する検出厚tnR1には、外縁厚検出結果otnR1が、外縁厚検出結果otnRとして含まれる。また、取得部110が第2時期P2に取得する検出厚tnR2には、内側厚検出結果itnR2が、内側厚検出結果itnRとして、外縁厚検出結果otnR2が、外縁厚検出結果otnRとして、それぞれ含まれる。
取得部110は、取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とを状態判定部120へ供給する。
【0025】
図4に示す通り、取得部110は、第2時期P2において検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnR2を取得する(ステップS110)。取得部110は、取得した検出厚tnR2を状態判定部120へ供給する(ステップS120)。また、取得部110は、第1時期P1において検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnR1を取得する(ステップS130)。また、取得部110は、取得した検出厚tnR1を状態判定部120へ供給する(ステップS140)。
【0026】
図3に戻り、状態判定部120は、取得部110から検出厚tnR1と、検出厚tnR2とを取得する。状態判定部120は、故障状態判定部121と、劣化状態判定部122とを備える。
まず故障状態判定部121について説明し、次に、劣化状態判定部122について説明する。
【0027】
故障状態判定部121は、取得部110から取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池BTの状態を判定する。具体的には、故障状態判定部121は、検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池BTの状態が故障状態であるか否かを判定する。より具体的には、故障状態判定部121は、検出厚tnRに含まれる内側厚検出結果itnRと、外縁厚検出結果otnRとのうち、外縁厚検出結果otnRの差に基づいて蓄電池BTの状態が故障状態であるか否かを判定する。ここで、蓄電池BTの状態が故障状態であるとは、蓄電池BTの内部回路が短絡する等、蓄電池BTの機能の一部又は全部が失われる可能性がある状態のことである。
【0028】
具体的には、
図4に示す通り、故障状態判定部121は、取得部110から検出厚tnR2を取得する(ステップS150)。また、故障状態判定部121は、取得部110から検出厚tnR1を取得する(ステップS160)。また、故障状態判定部121は、記憶部200から故障基準差分情報FDSを読み出す(ステップS170)。
【0029】
以下、故障基準差分情報FDSについて説明する。故障基準差分情報FDSとは、第1時期P1と、第2時期P2とにおいて検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnRの差の基準を示す情報である。具体的には、故障基準差分情報FDSとは、第1時期P1と、第2時期P2とにおいて検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnRのうち、外縁厚検出結果otnRの差の基準を示す情報である。
【0030】
ここで、内部回路の短絡等によって蓄電池BTの状態が故障状態である場合、蓄電池BTの正面Fのうち、外縁部opが膨張する場合がある。つまり、蓄電池BTの状態が故障状態である場合、蓄電池BTの外縁厚otnが大きく(厚く)なる場合がある。
したがって、故障状態判定部121は、外縁厚検出結果otnR1と、外縁厚検出結果otnR2とが示す外縁厚otnの差が、故障基準差分情報FDSより大きい場合には、蓄電池BTが故障していると判定する。
【0031】
具体的には
図4に示す通り、故障状態判定部121は、外縁厚検出結果otnR1と、外縁厚検出結果otnR2との差が故障基準差分情報FDSより大きいか否かを判定する(ステップS180)。故障状態判定部121は、外縁厚検出結果otnR1と、外縁厚検出結果otnR2との差が故障基準差分情報FDSより大きい場合(ステップS180;YES)、蓄電池BTが故障状態であると判定する(ステップS190)。また、故障状態判定部121は、外縁厚検出結果otnR1と、外縁厚検出結果otnR2との差が故障基準差分情報FDSより小さい場合(ステップS180;NO)、蓄電池BTが故障状態ではないと判定する(ステップS200)。
【0032】
図3に戻り、劣化状態判定部122は、取得部110から取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池BTの状態を判定する。具体的には、劣化状態判定部122は、検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池BTの状態が劣化状態であるか否かを判定する。より具体的には、劣化状態判定部122は、検出厚tnRに含まれる内側厚検出結果itnRと、外縁厚検出結果otnRとのうち、内側厚検出結果itnRの差に基づいて蓄電池BTの状態が劣化状態であるか否かを判定する。ここで、蓄電池BTの状態が劣化状態であるとは、蓄電池BTの蓄電容量が使用され始めてから経過した時間に応じて低下している状態のことである。
【0033】
具体的には、
図4に示す通り、劣化状態判定部122は、取得部110から検出厚tnR2を取得する(ステップS210)。また、劣化状態判定部122は、取得部110から検出厚tnR1を取得する(ステップS220)。また、劣化状態判定部122は、記憶部200から劣化基準差分情報DDSを読み出す(ステップS230)。
【0034】
以下、劣化基準差分情報DDSについて説明する。劣化基準差分情報DDSとは、第1時期P1と、第2時期P2とにおいて、検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnRの差の基準を示す情報である。具体的には、劣化基準差分情報DDSとは、第1時期P1と、第2時期P2とにおいて検出部300が蓄電池BTの電池厚tnを検出した検出厚tnRのうち、内側厚検出結果itnRの差の基準を示す情報である。
【0035】
ここで、蓄電池BTが使用され始めてから経過した時間に応じて蓄電池BTの状態が劣化状態である場合、蓄電池BTの正面Fのうち、内側部ipが膨張する場合がある。つまり、蓄電池BTの状態が劣化状態である場合、蓄電池BTの内側厚itnが大きくなる場合がある。
したがって、劣化状態判定部122は、内側厚検出結果itnR1と、内側厚検出結果itnR2とが示す内側厚itnの差が、劣化基準差分情報DDSより大きい場合には、蓄電池BTが劣化していると判定する。
【0036】
具体的には、
図4に示す通り、劣化状態判定部122は、内側厚検出結果itnR1と、内側厚検出結果itnR2との差が劣化基準差分情報DDSより大きいか否かを判定する(ステップS240)。劣化状態判定部122は、内側厚検出結果itnR1と、内側厚検出結果itnR2との差が劣化基準差分情報DDSより大きい場合(ステップS240;YES)、蓄電池BTが劣化状態であると判定する(ステップS250)。また、劣化状態判定部122は、内側厚検出結果itnR1と、内側厚検出結果itnR2との差が劣化基準差分情報DDSより小さい場合(ステップS240;NO)、蓄電池BTが劣化状態でなはいと判定する(ステップS260)。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の電池状態判定装置1は、検出部300を備える。検出部300は、蓄電池BTの所定の方向の電池厚tnであって、蓄電池BTの外縁部opの外縁厚otnと、蓄電池BTの外縁厚otnより内側の内側部ipの内側厚itnとをそれぞれ検出厚tnRとして検出する。検出部300は、内側厚itnを検出した結果である内側厚検出結果itnRと、外縁厚otnを検出した結果である外縁厚検出結果otnRとを含む検出厚tnRを制御部100へ供給する。
また、電池状態判定装置1は、制御部100と、記憶部200とを備える。記憶部200には、故障基準差分情報FDSと、劣化基準差分情報DDSとが記憶される。
制御部100は、CPUを備えており、取得部110と、状態判定部120とをその機能部として備える。状態判定部120には、故障状態判定部121と、劣化状態判定部122とが含まれる。
取得部110は、検出部300が第1時期P1において検出した蓄電池BTの第1の検出厚tnRを示す検出厚tnR1を取得する。また、取得部110は、検出部300が第1時期P1より過去の第2時期P2において予め検出されている蓄電池BTの第2の検出厚tnRを示す検出厚tnR2を取得する。取得部110は、取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とを状態判定部120へ供給する。
状態判定部120は、取得部110から取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池BTの状態を判定する。
【0038】
蓄電池BTの状態には、蓄電池BTの故障の状態が含まれる。状態判定部120に含まれる故障状態判定部121は、検出厚tnRのうち、外縁厚検出結果otnRに基づいて、蓄電池BTの故障の状態を蓄電池BTの状態として判定する。
具体的には、故障状態判定部121は、検出厚tnR1に含まれる外縁厚検出結果otnR1と、検出厚tnR2に含まれる外縁厚検出結果otnR2との差と、故障基準差分情報FDSとに基づいて、蓄電池BTが故障状態であるか否かを判定する。
【0039】
また、蓄電池BTの状態には、蓄電池BTの劣化の状態が含まれる。状態判定部120に含まれる劣化状態判定部122は、検出厚tnRのうち、内側厚検出結果itnRに基づいて、蓄電池BTの劣化の状態を蓄電池BTの状態として判定する。
具体的には、劣化状態判定部122は、検出厚tnR1に含まれる内側厚検出結果itnR1と、検出厚tnR2に含まれる内側厚検出結果itnR2との差と、劣化基準差分情報DDSとに基づいて、蓄電池BTが劣化状態であるか否かを判定する。
【0040】
ここで、蓄電池BTは、内部回路の短絡等によって故障した場合、発熱し、内部温度が上昇する。蓄電池BTは、故障に伴い発熱した箇所の内容物が気化することに伴って、膨張する。また、蓄電池BTの製造の特性上、蓄電池BTの故障個所は、蓄電池BTの外縁部であることが多い。
したがって、蓄電池BTの外縁部は、内側部と比較して、蓄電池BTが故障することに伴って、膨張する。すなわち、蓄電池BTは、蓄電池BTの外縁厚otnの変化に応じて、蓄電池BTが故障状態であるか否かを判定することができる。
【0041】
また、蓄電池BTが直方体の外観形状を有している場合、蓄電池BTの外縁部には、化学反応に伴う副生成物が生じることに伴い蓄電池BTが膨張することを抑制するため、ボルト等によって高い圧力がかけられる場合がある。これに対し、蓄電池BTの内側部にかかる圧力は、蓄電池BTの外縁部と比較して低い場合がある。
したがって、蓄電池BTの内側部は、外縁部と比較してかかる圧力が低いことから、蓄電池BTの使用が開始されてから経過した時間に応じて劣化することに伴い膨張する。すなわち、蓄電池BTは、蓄電池BTの内側厚itnの変化に応じて、蓄電池BTが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0042】
従来の技術では、蓄電池の外形の膨張の程度を測定することができても、蓄電池の内側厚と、外縁厚とを区別して測定していなかった。すなわち、従来の技術では、蓄電池の膨張の程度を判定することが可能であっても、蓄電池が故障しているのか、劣化しているのかを判定することまでは困難である場合があった。
【0043】
本実施形態の電池状態判定装置1は、蓄電池BTの使用が開始された時期である第2時期P2において検出部300が検出した検出厚tnR2を取得する。また、電池状態判定装置1は、第2時期P2から所定の時間が経過した後の時期である第1時期P1において検出部300が検出した検出厚tnR1を取得する。電池状態判定装置1は、取得した検出厚tnR1に含まれる外縁厚検出結果otnR1と、検出厚tnR2に含まれる外縁厚検出結果otnR2とを比較することができる。これにより、電池状態判定装置1は、蓄電池BTの使用が開始された時期から所定の時間が経過した時期までの間に蓄電池BTの外縁部opに生じた膨張の程度を判定することができる。具体的には、電池状態判定装置1によれば、蓄電池BTの使用が開始された時期から所定の時間が経過した時期までの間に蓄電池BTの外縁部opに生じた膨張の程度が基準より大きいか否かを判定することができる。
すなわち、本実施形態の電池状態判定装置1によれば、蓄電池BTが故障状態であるか否かを判定することができる。
【0044】
また、本実施形態の電池状態判定装置1は、蓄電池BTの使用が開始された時期である第2時期P2において検出部300が検出した検出厚tnR2を取得する。また、電池状態判定装置1は、第2時期P2から所定の時間が経過した後の時期である第1時期P1において検出部300が検出した検出厚tnR1を取得する。電池状態判定装置1は、取得した検出厚tnR1に含まれる内側厚検出結果itnR1と、検出厚tnR2に含まれる内側厚検出結果itnR2とを比較することができる。これにより、電池状態判定装置1は、蓄電池BTの使用が開始された時期から所定の時間が経過した時期までの間に蓄電池BTの内側部ipに生じた膨張の程度を判定することができる。具体的には、電池状態判定装置1によれば、蓄電池BTの使用が開始された時期から所定の時間が経過した時期までの間に蓄電池BTの内側部ipに生じた膨張の程度が基準より大きいか否かを判定することができる。
すなわち、本実施形態の電池状態判定装置1によれば、蓄電池BTが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0045】
上述したように、本実施形態の電池状態判定装置1は、蓄電池BTの使用が開始された時期である第2時期P2において検出部300が検出した検出厚tnR2を取得する。また、電池状態判定装置1は、第2時期P2から所定の時間が経過した後の時期である第1時期P1において検出部300が検出した検出厚tnR1を取得する。本実施形態の電池状態判定装置1は、取得した検出厚tnR1と、検出厚tnR2とに基づいて、蓄電池の厚さが変化した位置毎に、蓄電池BTの厚さの変化を検出する。このように構成することにより、本実施形態の電池状態判定装置1は、蓄電池BTが故障しているのか劣化しているのかを判定することができる。
【0046】
また、本実施形態の電池状態判定装置1が備える検出部300は、蓄電池BTの電池厚tnを圧電効果によって検出する圧電素子を備える。
【0047】
従来の技術では、蓄電池の電池厚を検出する際に光センサーが用いられる場合があった。ここで、光センサーと圧電素子とでは、光センサーの方が高価である場合があった。すなわち、蓄電池の電池厚を光センサーによって検出する場合、費用を低減することが困難である場合があった。
【0048】
本実施形態の電池状態判定装置1によれば、検出部300が圧電素子を備えることにより、光センサーを備える場合と比較して、費用を低減することができる。
【0049】
なお、上述では、第2時期P2が蓄電池BTの使用が開始された時期である場合について説明したが、これに限られない。例えば、第2時期P2から第1時期P1までの時間が蓄電池BTに故障および劣化が生じる時間であれば、第2時期P2と、第1時期P1とは、いずれの時期であってもよい。
【0050】
また、上述では、状態判定部120に含まれる故障状態判定部121と、劣化状態判定部122とが同一の第1時期P1と、同一の第2時期P2とに取得された検出厚tnRに基づいて蓄電池BTの状態を判定する場合について説明したが、これに限られない。
例えば、蓄電池BTの使用が開始されてから蓄電池BTが劣化状態となるまでの時間と、蓄電池BTが故障状態となるまでの時間とでは、所要時間が異なる場合がある。
具体的には、蓄電池BTの劣化状態を検出する時間とは、蓄電池BTの蓄電容量が使用され始めてから半年から1年程度の時間である場合がある。これに対し、蓄電池BTの故障状態を検出する時間とは、蓄電池BTの蓄電容量が使用され始めてから1分から1時間程度の時間である場合がある。
また、蓄電池BTの劣化状態を検出する時間とは、蓄電池BTの充電と、放電とを1サイクルとした場合、100サイクル程度動作するまでの時間である場合がある。これに対し、蓄電池BTの故障状態を検出する時間とは、1サイクル動作するまでの時間である場合がある。
この場合、故障状態判定部121と、劣化状態判定部122とは、第1時期P1と、第2時期P2とを互いに異なる時期としてもよい。具体的には、故障状態判定部121と、劣化状態判定部122とは、互いに異なる第1時期P1と、第2時期P2とにおいて検出厚tnR1と、検出厚tnR2とを検出部300から取得し、蓄電池BTの状態を判定してもよい。
【0051】
また、上述では、故障基準差分情報FDSと、劣化基準差分情報DDSとが、検出厚tnR1と、検出厚tnR2との差の基準を示す情報である場合について説明したが、これに限られない。
例えば、記憶部200には、蓄電池BTが故障状態であると判定される外縁厚otnの基準である値が記憶されていてもよい。これにより、電池状態判定装置1は、記憶部200に記憶される外縁厚otnの基準である値に基づいて、蓄電池BTが故障状態であると判定してもよい。
また、例えば、記憶部200には、蓄電池BTが劣化状態であると判定される内側厚itnの基準である値が記憶されていてもよい。これにより、電池状態判定装置1は、記憶部200に記憶される内側厚itnの基準である値に基づいて、蓄電池BTが劣化状態であると判定してもよい。
【0052】
また、上述では、蓄電池BTが1つである場合について説明したが、これに限られない。例えば、蓄電池BTは、蓄電池BTが複数積層された蓄電池モジュールであってもよい。これにより、検出部300は、蓄電池モジュールの外装うち、蓄電池モジュールの所定の方向の厚さであって、蓄電池モジュールの外縁部の外縁厚と、蓄電池モジュールの外縁部より内側の内側部の電池厚である内側厚とをそれぞれ検出厚として検出してもよい。また、電池状態判定装置1は、検出部300が検出した蓄電池モジュールの内側厚と、外縁厚とに基づいて、蓄電池モジュールの状態を判定してもよい。
【0053】
また、上述では、蓄電池BTが1つである場合について説明したが、これに限られない。例えば、電池状態判定装置1は、複数の検出部300を備えていてもよく、電池状態判定装置1が備える複数の検出部300は、互いに異なる蓄電池BTに接して設置されていてもよい。これにより、電池状態判定装置1は、検出部300が検出した複数の蓄電池BTの状態を複数の蓄電池BT毎に判定してもよい。この場合、電池状態判定装置1は、複数の蓄電池BTの状態を判定することができる。
【0054】
なお、上記の各実施形態における電池状態判定装置1が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0055】
なお、電池状態判定装置1が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、電池状態判定装置1が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0056】
また、電池状態判定装置1が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0057】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。