(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、エレベータにおける一実施形態について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。なお、各図(
図9〜
図16も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るエレベータ1は、ユーザーが乗るための重量体であるかご11と、重量体である釣合錘12と、かご11と釣合錘12とを接続する複数のロープ3a〜3cとを備えている。そして、複数のロープ3a〜3cの一端部は、かご11に接続され、複数のロープ3a〜3cの他端部は、釣合錘12に接続されている。なお、ロープ3a〜3cの本数は、複数であれば、特に限定されないが、本実施形態においては、三つである。
【0014】
また、エレベータ1は、かご11及び釣合錘12を昇降させるために、ロープ3a〜3cが巻き掛けられる回転体2a,2bと、ロープ3a〜3cが振動することを抑制する制振装置13と、複数のロープ3a〜3cを固定する固定具4とを備えている。なお、機械室X1の床は、ロープ3a〜3cが通るための開口部X11を備えている。
【0015】
回転体2a,2bの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、二つである。第1回転体2aは、駆動シーブであり、第2回転体2bは、従動シーブである。そして、駆動源(図示していない)によって、第1回転体2aが回転させられることで、かご11及び釣合錘12は、昇降路X2内を昇降する。
【0016】
制振装置13は、ロープ3a〜3cと接することによって、ロープ3a〜3cが振動することを抑制する。これにより、ロープ3a〜3cが開口部X11に接することを防止することができる。なお、制振装置13は、一方の開口部X11に配置されているが、例えば、他方の開口部X11にも配置されてもよく、また、例えば、配置されていなくてもよい。また、制振装置13は、特に限定されないが、ローラとすることができる。
【0017】
図3に示すように、第1回転体2aは、所定方向(以下「軸方向」ともいう)D1に沿って延びる軸部21と、ロープ3a〜3cが巻き掛けられ、軸方向D1を中心に回転可能な回転部22とを備えている。回転部22は、ロープ3a〜3cが巻き掛けられる凹状のロープ溝22aを複数備えている。なお、図示していないが、第2回転体2bも、第1回転体2aと同様の構成である。
【0018】
図3及び
図4に示すように、ロープ3a〜3cは、かご11に接続される接続部31a〜31cと、固定具4に固定される固定部32a〜32cと、第1回転体2aに巻き掛けられる巻掛部33a〜33cとを備えている。なお、ロープ3a〜3cの接続部31a〜31cは、かご11の枠11aに接続されている。
【0019】
また、固定部32a〜32cは、接続部31a〜31cと巻掛部33a〜33cとの間の部分である。即ち、固定具4は、接続部31a〜31c及び巻掛部33a〜33c間の部分で、ロープ3a〜3cを固定している。
【0020】
これにより、ロープ3a〜3cのうち、固定部32a〜32cの領域は、かご11の昇降に関わらず、ロープ3a〜3cの同じ領域である。即ち、ロープ3a〜3cのうち、固定部32a〜32cの部分は、かご11の昇降に関わらず、ロープ3a〜3cの中で不変である。したがって、固定具4は、ロープ3a〜3cと一体となって移動する。
【0021】
そして、かご11が最上階に位置した際に(
図2参照)、固定具4は、昇降路X2の内部に位置するように、ロープ3a〜3cを固定している。これにより、固定具4が開口部X11,制振装置13及び第1回転体2a等に当たることを防止している。
【0022】
なお、ロープ3a〜3cのうち、接続部31a〜31cの部分は、かご11の昇降に関わらず、ロープ3a〜3cの中で不変であり、ロープ3a〜3cのうち、巻掛部33a〜33cの部分は、かご11の昇降に伴って、ロープ3a〜3cの中で変化する。以下、第1〜第3ロープ3a〜3cの接続部31a〜31c、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33cを、それぞれ第1〜第3接続部31a〜31c、第1〜第3固定部32a〜32c及び第1〜第3巻掛部33a〜33cという。
【0023】
図5及び
図6に示すように、固定具4は、ロープ3a〜3cを挟持する第1本体部41及び第2本体部42を備えている。また、固定具4は、第1本体部41と第2本体部42とでロープ3a〜3cを挟持した状態を維持するように、第1本体部41と第2本体部42とを固定する固定手段43を備えている。
【0024】
第1本体部41は、複数のロープ3a〜3cを位置決めするための複数の凹部41aを備えており、第2本体部42は、複数のロープ3a〜3cを挟持するための複数の挟持部42aを備えている。本実施形態においては、第2本体部42の挟持部42aは、凹状に形成されている。
【0025】
そして、凹部41a及び挟持部42aの形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、凹部41a及び挟持部42aのそれぞれは、上下方向D3視において、ロープ3a〜3cの半径よりも小さい深さを有する半円形状に形成されている。これにより、第1本体部41と第2本体部42とは、隙間を有して、ロープ3a〜3cを挟持している。
【0026】
固定手段43の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、固定手段43は、ボルト43a及びナット43bを備えており、第1本体部41及び第2本体部42のそれぞれは、ボルト43aに挿入される貫通孔41b,42bを備えている。そして、ボルト43a、ナット43b及び貫通孔41b,42bは、複数(本実施形態においては、四つ)備えられている。
【0027】
なお、例えば、固定手段43は、ボルト43aを備え、一方の本体部41(42)は、ボルト43aに挿入される貫通孔41b(42b)を備え、他方の本体部42(41)は、ボルト43aと螺合する雌ネジ孔を備える、という構成でもよい。また、例えば、固定手段43は、備えられておらず、第1本体部41と第2本体部42とは、溶接によって、互いに固定されている、という構成でもよい。
【0028】
また、第1本体部41は、凹部41aの上下方向D3の両側に、面取り部41cを備えており、第2本体部42は、挟持部42a上下方向D3の両側に、面取り部42cを備えている。これにより、ロープ3a〜3cが接する本体部41,42の角部41d,42d(
図6において、第1本体部41の角部41dのみ図示している)の角度は、大きくなる(例えば、鈍角になる)。したがって、ロープ3a〜3cが角部41d,42dと当たる際に、ロープ3a〜3cが損傷することを抑制することができる。
【0029】
また、本体部41,42の材質は、特に限定されないが、例えば、鉄鋼、ステンレス鋼等の金属、又は、硬質樹脂とすることができる。そして、本体部41,42の強度(例えば、硬度)がロープ3a〜3cの強度よりも小さい場合には、ロープ3a〜3cが本体部41,42と当たる際に、ロープ3a〜3cが損傷することを抑制することができる。
【0030】
ところで、
図4に示すように、固定具4が第1〜第3ロープ3a〜3cを固定することによって、第1及び第2ロープ3a,3bは、巻掛部33a,33bと接続部31a,31bとの間で曲がる(屈曲又は湾曲する)曲部34a,34bを備えている。なお、曲部34a,34bは、固定部32a,32bと、下方側(接続部31a,31b側)で隣接している。
【0031】
これにより、巻掛部33a,33b及び曲部34a,34b間の第1及び第2ロープ3a,3bが延びる方向は、接続部31a,31b及び曲部34a,34b間の第1及び第2ロープ3a,3bが延びる方向と、異なっている。具体的には、接続部31a,31b及び曲部34a,34b間の第1及び第2ロープ3a,3bが延びる方向は、上下方向D3に対して傾斜しており、巻掛部33a,33b及び曲部34a,34b間の第1及び第2ロープ3a,3bが延びる方向は、上下方向D3に平行である。
【0032】
したがって、固定具4が複数のロープ3a〜3cを固定することによって、第1及び第2ロープ3a,3bの位置を変更させている。なお、第3ロープ3cは、巻掛部33cと接続部31cとの間で曲部を備えていない。即ち、第3ロープ3cは、巻掛部33cから接続部31cまで直線状に延びている。
【0033】
ここで、まず、ロープ3a〜3cの接続部31a〜31cと固定部32a〜32cとの配置の関係について、
図7を参照しながら説明する。
【0034】
なお、
図7は、上下方向D3視(具体的には、下方視)の図である。そして、
図7(
図12も同様)においては、固定部32a〜32cの位置(具体的には、固定部32a〜32cの上端の位置)は、実線で示されており、接続部31a〜31cの位置(具体的には、接続部31a〜31cの上端の位置)は、破線で示されている。
【0035】
図7に示すように、上下方向D3視において、第1接続部31aと第1固定部32aとは、異なる位置であり、第2接続部31bと第2固定部32bとは、異なる位置であり、第3接続部31cと第3固定部32cとは、同じ位置である。これにより、上下方向D3視において、第1〜第3接続部31a〜31cの配置は、第1〜第3固定部32a〜32cの配置と、異なっている。
【0036】
そして、上下方向D3視において、最も離れる固定部32a,32b同士間(即ち、第1及び第2固定部32a,32b間)の距離W2は、最も離れる接続部31a,31b同士間(即ち、第1及び第2接続部31a,31b間)の距離W1よりも、小さくなっている。これにより、
図3及び
図4に示すように、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33c間のロープ3a〜3cが位置する領域は、小さくなる。
【0037】
なお、本実施形態においては、接続部31a〜31cは、枠11aの延びる方向D1に沿って並ぶように、配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、接続部31a〜31cは、枠11aの延びる方向D1に交差する方向に沿って並ぶように、配置されている、という構成でもよい。また、例えば、接続部31a〜31cは、所定の環状線(仮想線)に沿って並ぶように、配置されている、という構成でもよい。
【0038】
次に、ロープ3a〜3cの固定部32a〜32cと巻掛部33a〜33cとの配置の関係について、
図3〜
図6を参照しながら説明する。
【0039】
図3及び
図4に示すように、ロープ3a〜3cの巻掛部33a〜33cは、第1回転体2aのロープ溝22aによって、位置決めされている。即ち、巻掛部33a〜33cの軸方向D1の間隔W3,W3は、第1回転体2aのロープ溝22aの軸方向D1の間隔W4,W4と同じである。
【0040】
なお、巻掛部33a〜33cの間隔W3,W3は、巻掛部33a〜33cの中心間の距離である。そして、ロープ溝22aの間隔W4,W4は、ロープ溝22aの最も深い位置間の距離である。また、例えば、ロープ溝22aの間隔W4,W4は、ロープ溝22aの軸方向D1の中心間の距離でもある。
【0041】
また、
図4〜
図6に示すように、ロープ3a〜3cの固定部32a〜32cは、第1本体部41の凹部41aによって、位置決めされている。即ち、固定部32a〜32cの軸方向D1の間隔W5,W5は、第1本体部41の凹部41aの軸方向D1の間隔W6,W6と同じである。
【0042】
なお、固定部32a〜32cの間隔W5,W5は、固定部32a〜32cの中心間の距離である。そして、第1本体部41の凹部41aの間隔W6,W6は、凹部41aの最も深い位置間の距離である。また、例えば、第1本体部41の凹部41aの間隔W6,W6は、凹部41aの軸方向D1の中心間の距離でもある。
【0043】
そして、巻掛部33a〜33cの軸方向D1の間隔W3,W3は、固定部32a〜32cの軸方向D1の間隔W5,W5と、同じ(完全に同じだけでなく、±10mmの差異を有する略同じも含む)になっている。これにより、ロープ3a〜3cの巻掛部33a〜33cに対して、ロープ溝22aから離脱する方向D1の力が作用することを抑制することができる。したがって、例えば、ロープ3a〜3cがロープ溝22aから脱落することを抑制することができる。
【0044】
しかも、第1本体部41の凹部41aは、軸方向D1に沿って並ぶように、配置されている。これにより、ロープ3a〜3cの固定部32a〜32cは、軸方向D1に沿って並ぶように、配置されている。したがって、例えば、ロープ3a〜3cが第1回転体2aに巻き掛けられる長さを均一化させることができる。
【0045】
その結果、例えば、各ロープ3a〜3cの張力を調整する作業を行い、各ロープ3a〜3cの張力が均一化された場合には、それぞれのロープ溝22a及びロープ3a〜3c間に生じる圧力を均一化させることができたり、また、例えば、ロープ3a〜3cがロープ溝22aに対して滑る際に、ロープ3a〜3cのうち、滑る領域の長さを均一化させることができたりする。よって、例えば、各ロープ溝22a間に摩耗差が発生することを抑制することができたり、各ロープ3a〜3c間に摩耗差が発生することを抑制することができたりする。
【0046】
また、本実施形態においては、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33c間の部分が、上下方向D3に対して平行に延びている。これにより、第1回転体2aから上下方向D3に対して平行に垂れるロープ3a〜3cによって、かご11を吊ることができるため、例えば、ロープ3a〜3cの張力が大きくなることを抑制することができる。なお、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33c間の部分が、上下方向D3に対し傾斜する方向に延びている、という構成でもよい。
【0047】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ1の作用について、比較例に係るエレベータと比較して、
図2及び
図8を参照しながら説明する。
【0048】
図8に示すように、比較例に係るエレベータY1は、固定具4を備えていないエレベータである。そして、比較例に係るエレベータY1においては、ロープ3a〜3cが位置する領域は、大きくなる。これにより、ロープ3a〜3cと制振装置13(又は開口部X11)との距離は、小さくなる。
【0049】
しかも、かご11が上昇することに伴って、例えば、第1ロープ3a及び第2ロープ3bが上下方向D3に対して傾斜する角度θ1,θ2は、大きくなる。これにより、かご11が上昇することに伴って、ロープ3a〜3cと制振装置13(又は開口部X11)との距離も、小さくなる。
【0050】
したがって、ロープ3a〜3cが振動することによって、ロープ3a〜3cが制振装置13(又は開口部X11)に接し易くなる。その結果、ロープ3a〜3cが制振装置13(又は開口部X11)に接することによって、ロープ3a〜3cが摩耗乃至損傷する可能性がある。
【0051】
それに対して、本実施形態に係るエレベータ1においては、
図2に示すように、固定具4がロープ3a〜3cを固定することによって、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33c間のロープ3a〜3cが位置する領域は、小さくなっている(
図4参照)。これにより、ロープ3a〜3cと制振装置13(又は開口部X11)との距離は、大きくなる。
【0052】
しかも、かご11が上昇した場合でも、ロープ3a〜3cと制振装置13(又は開口部X11)との距離は、十分確保される。これにより、ロープ3a〜3cが振動した場合でも、ロープ3a〜3cが制振装置13(又は開口部X11)に接することを抑制することができるため、ロープ3a〜3cが摩耗乃至損傷することを抑制することができる。
【0053】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、かご11及び釣合錘12のうち一方である第1重量体(本実施形態においては、かご11)と、前記かご11及び前記釣合錘12のうち他方である第2重量体(本実施形態においては、釣合錘12)と、前記第1重量体11と前記第2重量体12とを接続する複数のロープ3a〜3cと、前記複数のロープ3a〜3cが巻き掛けられる回転体2aと、前記複数のロープ3a〜3cを固定する固定具4と、を備え、前記複数のロープ3a〜3cのそれぞれは、前記第1重量体11に接続される接続部31a〜31cと、前記回転体2aに巻き掛けられる巻掛部33a〜33cと、を備え、前記固定具4は、少なくとも一つの前記ロープ3a,3bが前記巻掛部33a,33bと前記接続部31a,31bとの間で曲がる曲部34a,34bを有するように、前記複数のロープ3a〜3cを固定する。
【0054】
斯かる構成によれば、固定具4が複数のロープ3a〜3cを固定することによって、少なくとも一つのロープ3a,3bは、巻掛部33a,33bと接続部31a,31bとの間に、曲がる曲部34a,34bを備えている。これにより、固定具4が複数のロープ3a〜3cを固定することによって、ロープ3a,3bの位置を変更させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係るエレベータ1においては、前記複数のロープ3a〜3cのそれぞれは、前記固定具4に固定される固定部32a〜32cを備え、上下方向D3視において、前記複数の固定部32a〜32cのうち、最も離れる固定部32a,32b同士間の距離W2は、前記複数の接続部31a〜31cのうち、最も離れる接続部31a,31b同士間の距離W1よりも、小さい、という構成である。
【0056】
斯かる構成によれば、複数のロープ3a〜3cが固定具4に固定されることによって、上下方向D3視において、複数の固定部32a〜32cのうち、最も離れる固定部32a,32b同士間の距離W2は、複数の接続部31a〜31cのうち、最も離れる接続部31a,31b同士間の距離W1よりも、小さくなっている。これにより、固定部32a〜32c及び巻掛部33a〜33c間のロープ3a〜3cが位置する領域を、小さくすることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るエレベータ1においては、前記複数のロープ3a〜3cのそれぞれは、前記固定具4に固定される固定部32a〜32cを備え、前記回転体2aは、前記ロープ3a〜3cが巻き掛けられる凹状のロープ溝22aを複数備え、前記回転体2aの軸部21が延びる方向D1において、前記複数の固定部32a〜32cのそれぞれの間隔W5,W5は、複数の前記ロープ溝22aのそれぞれの間隔W4,W4と、同じである、という構成である。
【0058】
斯かる構成によれば、ロープ3a〜3cは、凹状のロープ溝22aに巻き掛けられている。そして、回転体2aの軸部21が延びる方向D1において、複数の固定部32a〜32cのそれぞれの間隔W5,W5が、複数のロープ溝22aのそれぞれの間隔W4,W4と同じであるため、ロープ溝22aに巻き掛けられるロープ3a〜3cの巻掛部33a〜33cに対して、ロープ溝22aから離脱する方向D1の力が作用することを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るエレベータ1においては、前記複数の固定部32a〜32cは、前記回転体2aの軸部21が延びる方向D1に沿って並ぶように、配置される、という構成である。
【0060】
斯かる構成によれば、複数の固定部32a〜32cが、回転体2aの軸部21が延びる方向D1に沿って並ぶように、配置されているため、例えば、ロープ3a〜3cが回転体2aに巻き掛けられる長さを均一化させることができる。
【0061】
なお、エレベータ1及び固定具4は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及び固定具4は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0062】
(1)例えば、エレベータ1は、
図9〜
図12に示すように、固定具4がロープ3a〜3cに対して位置ずれすることを抑制する抑制部5を備えている、という構成でもよい。斯かる構成によれば、抑制部5によって、固定具4がロープ3a〜3cに対して位置ずれすることを抑制することができる。これにより、例えば、複数のロープ3a〜3cの位置を確実に変更させることができる。
【0063】
(1−1)
図9及び
図10に係る抑制部5は、本体部41,42とロープ3a〜3cとの間に挿し込まれる楔部材51,51を備えている。楔部材51は、先端側ほど薄くなっている。そして、楔部材51,51は、本体部41の上方側の面取り部41c,42cとロープ3a〜3cとの間に、先端側から挿し込まれる。
【0064】
斯かる構成によれば、例えば、本体部41,42がロープ3a〜3cから力を受けることによって、本体部41,42がロープ3a〜3cに対して上方側へ位置ずれする場合に、楔部材51は、本体部41,42の内部に向けてさらに挿し込まれることになる。これにより、本体部41,42が楔部材51と協働してロープ3a〜3cを挟持する力は、大きくなる。したがって、固定具4がロープ3a〜3cに対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0065】
(1−2)
図11及び
図12に係る抑制部5は、かご11と固定具4とを連結する連結材52を備えている。連結材52は、例えば、かご11の枠11aと固定具4の本体部41,42とを連結している。斯かる構成によれば、固定具4が連結材52によってかご11に固定されているため、固定具4がロープ3a〜3cに対して位置ずれすることを抑制することができる。なお、連結材52がかご11及び固定具4に固定される構成は、特に限定されない。
【0066】
(1−3)また、抑制部5は、本体部41,42に備えられてる、という構成でもよい。例えば、抑制部5は、本体部41,42のうち、ロープ3a〜3cと接する部分を、凹凸状(例えば、ローレット状又はディンプル状)にすることによって、形成されている、という構成でもよい。具体的には、第1本体部41の凹部41aの表面及び第2本体部42の挟持部42aの表面の少なくとも一方は、凹凸状に形成されている、という構成でもよい。
【0067】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、上下方向D3視において、最も離れる固定部32a,32b同士間の距離W2は、最も離れる接続部31a,31b同士間の距離W1よりも、小さい、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、上下方向D3視において、最も離れる固定部32a,32b同士間の距離W2は、最も離れる接続部31a,31b同士間の距離W1以上である、という構成でもよい。
【0068】
(2−1)例えば、
図11及び
図12に示すように、上下方向D3視において、最も離れる固定部32a,32b同士間の距離W2は、最も離れる接続部31a,31b同士間の距離W1と、同じ、という構成でもよい。即ち、上下方向D3視において、第1及び第2固定部32a,32b間の距離W2は、第1及び第2接続部31a,31b間の距離W1と、同じである。
【0069】
なお、
図11及び
図12に係るエレベータ1においては、上下方向D3視において、第1及び第3固定部32a,32c間の距離W2aは、第1及び第3接続部31a,31c間の距離W1aと、同じである。しかも、上下方向D3視において、第2及び第3固定部32b,32c間の距離W2bは、第2及び第3接続部31b,31c間の距離W1bと、同じである。
【0070】
また、
図11及び
図12に係るエレベータ1においては、枠11aは、回転体2aの軸部21(
図1〜
図4参照)が延びる方向D1に交差する方向D2に延びている。そして、複数の接続部31a〜31cが、回転体2aの軸部21が延びる方向D1に交差する方向D2に沿って並ぶように、配置されていることに対して、固定具4がロープ3a〜3cを固定することによって、複数の固定部32a〜32cは、回転体2aの軸部21が延びる方向D1に沿って並ぶように、配置されている。
【0071】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、本体部41の凹部41aは、一つのロープ3a〜3cを位置決めする、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13に示すように、本体部41の凹部41aは、複数(
図13においては、二つ)のロープ3a,3bを位置決めする、という構成でもよい。斯かる構成においては、複数のロープ3a,3bが本体部41の凹部41aの内部に配置されている。
【0072】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2本体部42の挟持部42aは、凹状に形成されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13に示すように、第2本体部42の挟持部42aは、凸状に形成されている、という構成でもよい。また、例えば、
図14に示すように、第2本体部42の挟持部42aは、平坦状に形成されている、という構成でもよい。
【0073】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ1の固定具4においては、ロープ3a〜3cを位置決めする凹部41aを有する第1本体部41は、一つ備えられている、という構成である。しかしながら、エレベータ1の固定具4は、斯かる構成に限られない。例えば、
図14に示すように、ロープ3a〜3cを位置決めする凹部41aを有する第1本体部41は、複数(
図14において、三つ)備えられている、という構成でもよい。
【0074】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ1の固定具4においては、凹部41aを有する第1本体部41は、一つ備えられ、挟持部42aを有する第2本体部42は、一つ備えられている、という構成である。しかしながら、エレベータ1の固定具4は、斯かる構成に限られない。
【0075】
例えば、
図15に示すように、凹部41aを有する第1本体部41は、一つ備えられ、挟持部42aを有する第2本体部42は、複数(
図15においては、二つ)備えられている、という構成でもよい。
図15に係る固定具4においては、一対の第2本体部42,42は、第1本体部41を挟むように配置され、各第2本体部42と第1本体部41とは、ロープ3a〜3fを挟持している。
【0076】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、曲部34a,34bは、固定部32a,32bと隣接している、即ち、固定部32a,32bと異なる部分である、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図16に示すように、曲部34a,34bの少なくとも一部は、固定部32a,32bの少なくとも一部を含む、という構成でもよい。
【0077】
なお、
図16に係る曲部34a,34bの全体は、固定部32a,32bに含まれている。そして、
図16に係るロープ3a,3bにおいては、巻掛部33a,33b(
図16においては、図示していない)及び曲部34a,34b間のロープ3a,3bが延びる方向D3は、接続部31a,31b(
図16においては、図示していない)及び曲部34a,34b間のロープ3a,3bが延びる方向D3と、同じである。
【0078】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、回転体2aの軸部21が延びる方向D1において、複数の固定部32a〜32cのそれぞれの間隔W5,W5は、複数のロープ溝22aのそれぞれの間隔W4,W4と、同じである、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数の固定部32a〜32cのそれぞれの間隔W5,W5は、複数のロープ溝22aのそれぞれの間隔W4,W4と、異なる、という構成でもよい。
【0079】
(9)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、複数の固定部32a〜32cは、回転体2aの軸部21が延びる方向D1に沿って並ぶように、配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数の固定部32a〜32cは、回転体2aの軸部21が延びる方向D1と交差する方向に沿って並ぶように、配置されている、という構成でもよい。
【0080】
(10)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、固定具4は、かご11に接続される接続部31a〜31cと第1回転体2aに巻き掛けられる巻掛部33a〜33cとの間のロープ3a〜3cの部分(固定部)32a〜32cを固定する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0081】
例えば、固定具4は、釣合錘12に接続される接続部と第2回転体2bに巻き掛けられる巻掛部との間のロープ3a〜3cの部分(固定部)を固定する、という構成でもよい。即ち、第1重量体は、釣合錘12であってもよい。なお、固定具4は、かご11と第1回転体2aとの間と、釣合錘12と第2回転体2bとの間とに、それぞれ設けられている、という構成でもよい。
【0082】
(11)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、固定具4は、全てのロープ3a〜3cを固定する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、固定具4は、かご11と釣合錘12とを接続する複数のロープ3a〜3cのうち、一部の複数(例えば、二つ)のロープ3a〜3cを固定する、という構成でもよい。
【0083】
(12)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、固定具4に固定された複数のロープ3a〜3cのうち、曲部34a,34bを有するロープは、一部のロープ3a,3bである、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、固定具4に固定された複数のロープ3a〜3cのうち、曲部34a,34bを有するロープは、全てのロープ3a〜3cである、という構成でもよく、また、一つのロープである、という構成でもよい。
【0084】
(13)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1本体部41と第2本体部42とがロープ3a〜3cを挟持することによって、固定具4がロープ3a〜3cを固定している、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、本体部41の凹部41aにロープ3a〜3cを溶接することによって、固定具4がロープ3a〜3cを固定している、という構成でもよい。即ち、固定具4は、第2本体部42及び固定手段43を備えていない、という構成でもい。
【解決手段】 エレベータは、かご及び釣合錘のうち一方である第1重量体と、かご及び釣合錘のうち他方である第2重量体と、第1重量体と第2重量体とを接続する複数のロープと、複数のロープが巻き掛けられる回転体と、複数のロープを固定する固定具と、を備え、複数のロープのそれぞれは、第1重量体に接続される接続部と、回転体に巻き掛けられる巻掛部と、を備え、固定具は、少なくとも一つのロープが巻掛部と接続部との間で曲がる曲部を有するように、複数のロープを固定する。