(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図12、
図13は、本発明に係る作業機1の一例を示している。本実施形態では、作業機1として、旋回作業機であるバックホーが例示されている。
作業機1は、機体(旋回台)2と、キャノピ3と、走行装置4と、作業装置5とを備えている。機体2上には、運転席6が設けられている。
【0009】
以下、機体2上に設けられた運転席6に着座した運転者の前側(
図13の左側)を前方、運転者の後側(
図13の右側)を後方、運転者の左側(
図13の手前側)を左方、運転者の右側(
図13の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向K1(
図13参照)に直交する方向である水平方向K2(
図12参照)を機体幅方向として説明する。また、機体2の機体幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2における機体幅方向の中心から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2における機体幅方向の中心に近づく方向である。
【0010】
機体(旋回台)2は、走行装置4のフレーム上に、ベアリングを介して縦方向の軸心回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータの駆動により旋回する。機体2の右前部には、支持ブラケット7が設けられている。支持ブラケット7には、スイングブラケット8が装着されている。スイングブラケット8は、支持ブラケット7に対して縦方向の軸心回りに揺動可能に支持されている。スイングブラケット8の揺動は、機体2に取り付けられたスイングシリンダ9の伸縮により行われる。
【0011】
走行装置4は、クローラ式の走行装置である。走行装置4は、機体外方側に設けられている。具体的には、走行装置4は、機体2の右側と左側の下方に夫々設けられている。走行装置4は、油圧モータによって駆動される。走行装置4の前部にはドーザ10が設けられている。ドーザ10は、ドーザシリンダ(図示略)により上下方向に揺動する。
図13に示すように、作業装置5は、ブーム11、アーム12及び作業具13を有している。作業装置5は、ブーム11、アーム12及び作業具13の駆動機構(油圧アクチュエータ等)として、ブームシリンダ14、アームシリンダ15及び作業具シリンダ16を有している。ブームシリンダ14、アームシリンダ15、作業具シリンダ16、スイングシリンダ9及びドーザシリンダは、油圧シリンダにより構成されている。ブーム11の基端部は、スイングブラケット8に対して横軸回りに揺動可能に枢支されている。アーム12の基端部は、ブーム11の先端部に対して横軸回りに揺動可能に枢支されている。アーム12の先端部には作業具13が装着されている。ブーム11は、ブームシリンダ14の伸縮により上下に揺動する。アーム12は、アームシリンダ15の伸縮により上下に揺動する。作業具13は、作業具シリンダ16の伸縮によりスクイ・ダンプ動作する。本実施形態では、作業具13としてバケットが示されているが、バケットに代えて或いは加えて、他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することもできる。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0012】
図13に示すように、キャノピ3は、機体2の上部に搭載されている。キャノピ3は、ルーフ3aと支柱3bとを有している。ルーフ3aの下方には運転席6が設けられている。尚、キャノピ3は2柱式であっても4柱式であってもよい。また、キャノピ3に代えてキャビンを搭載してもよい。
図12、
図13に示すように、機体2は、旋回基板17、第1カバー18、第2カバー19、第3カバー20、第4カバー21、ウエイト22を有している。
【0013】
旋回基板17は、走行装置4のフレーム上に、ベアリングを介して縦方向の軸心回りに旋回自在に支持されている。
図12に示すように、旋回基板17上には、エンジン23、作動油タンク24、燃料タンク25、ラジエータ26、油圧ポンプ27、バッテリ28等の機器が搭載されている。
エンジン23は、旋回基板17上の後部にクランク軸を機体幅方向に向けて配置されている。作動油タンク24は、旋回基板17上の右後部に配置されている。燃料タンク25及びバッテリ28は、旋回基板17上の右前部に配置されている。ラジエータ26は、エ
ンジン23の右方に配置されている。油圧ポンプ27は、エンジン23の左方に配置されている。ファン30は、ラジエータ26の左方に配置されており、エンジン23により駆動される。ファン30の駆動により、後述する開口部(第1開口部31、第2開口部32)からラジエータ26に向けて外気が取り入れられる。
【0014】
第1カバー18は、エンジン23の前部上方及び左方を覆っている。第2カバー19は、エンジン23の後部上方及び後方を覆っている。
図1に示すように、第3カバー20は、前カバー20Aと後カバー20Bとを有している。前カバー20Aは、機体2の側部の前部を覆っている。具体的には、前カバー20Aは、作動油タンク24、燃料タンク25及びバッテリ28の側方(右方)を覆っている。後カバー20Bは、機体2の側部の後部を覆っている。具体的には、後カバー20Bは、ラジエータ26の側方(右方)を覆っている。第4カバー21は、作動油タンク24、燃料タンク25及びバッテリ28の上方を覆っている。ウエイト22は、機体2の後部であって且つ第2カバー19の下方に設けられている。
【0015】
図14に示すように、運転席6の前方には、走行装置4を操作する走行レバー37が設けられている。走行レバー37の右方には、油圧アクチュエータを操作する操作ペダル38が設けられている。運転席6の右方には、ブーム11や作業具13等を操作する第1操作部57が設けられている。運転席6の左方には、旋回用の油圧モータ等を操作する第2操作部59が設けられている。
【0016】
図2に示すように、後カバー20Bは、前方から後方に向かうにつれて機体内方に向かうように湾曲している。
図3に示すように、後カバー20Bは、第1開口部31を形成する縁部31aと、第2開口部32を形成する縁部とを有している。第1開口部31及び第2開口部32は、ラジエータ26の側方(右方)に設けられている。これによって、ファン30の駆動により外気が第1開口部31及び第2開口部32を通って機体内方に導入され、ラジエータ26に向かって流れる。
【0017】
第1開口部31は、後カバー20Bの下部に設けられている。第1開口部31は、前後の方向に長く延びている。第1開口部31は、下縁部31Dと、上縁部31Uと、前縁部31Fと、後縁部31Rとを有している。下縁部31Dは、後カバー20Bの前下部から後下部に向けて延びている。上縁部31Uは、下縁部31Dの上方に、下縁部31Dと間隔をあけて設けられている。上縁部31Uは、第1上縁部311Uと、第2上縁部312Uと、第3上縁部313Uとを有している。第1上縁部311Uは、後カバー20Bの前部から後部に向けて延びている。第2上縁部312Uは、第1上縁部311Uの後端部から後方且つ下方に向けて延びている。第3上縁部313Uは、第2上縁部312Uの後端部から後方に向けて延びている。前縁部31Fは、上縁部31U(第1上縁部311U)の前端部と下縁部31Dの前端部とを繋ぐように設けられている。前縁部31Fは、第1上縁部311U及び下縁部31Dに対して、概ね直角となる方向に延びている。後縁部31Rは、上縁部31U(第3上縁部313U)の後端部と下縁部31Dの後端部とを繋ぐように設けられている。後縁部31Rは、第3上縁部313Uに対して鋭角をなす斜め方向に延びている。
【0018】
後カバー20Bは、第1開口部31の近傍に、後述するカバー39を取り付けるための複数の取付部を有している。取付部は、第1取付部33、第2取付部34、第3取付部35及び第4取付部36を含んでいる。第1取付部33は、前縁部31Fと下縁部31Dとの角部(コーナ部)に設けられており、後方且つ上方に向けて突出している。第2取付部34は、第1上縁部311Uの長さ方向の略中央位置に設けられており、下方に向けて突出している。第3取付部35は、第2上縁部312Uの後方且つ第3取付部313Uの上方に設けられている。第4取付部36は、第3上縁部313Uの上方且つ後方に設けられている。尚、取付部の位置及び数は限定されず、カバー39の大きさや形状に応じて設定される。
【0019】
各取付部(第1取付部33、第2取付部34、第3取付部35、第4取付部36)は、ねじ孔を有している。後述するカバー39は、各取付部のねじ孔を利用して縁部31aに取り付けられる。
図1、
図2に示すように、カバー39(以下、外カバー39という)は、機体2の側部(右部)に装着される。具体的には、
図4に示すように、外カバー39は、後カバー20Bの縁部31aに外側(機体外方側)から装着される。
【0020】
図5、
図6に示すように、外カバー39は、吸気口40を形成する縁部40aを有している。吸気口40(縁部40aに囲まれる部分)には、多数の開口53を有する格子が設けられている。外カバー39は、例えば樹脂製であって、縁部40aと格子とが一体に形成されている。但し、外カバー39の材質は限定されない。また、縁部40aに対して、縁部40aと別体で形成された格子を固定してもよい。また、縁部40aに囲まれる部分に、格子を設ける構成に代えて、あるいは格子を設ける構成に加えて、多数の開口を有する板(例えば、パンチングメタルやエキスパンドメタル等の多孔板)を設ける構成としてもよい。
【0021】
以下、外カバー39の構成について、外カバー39を後カバー20Bの縁部31aに装着した状態を基準として説明する。
吸気口40を形成する縁部40aの形状は、第1開口部31を形成する縁部31aの形状と略同じである。吸気口40は、第1開口部31に対して機体外方の重なる位置、すなわち第1開口部31と連通する位置に配置されている。
【0022】
図5、
図6に示すように、吸気口40を形成する縁部40aは、第1縁部41、第2縁部42、第3縁部43、第4縁部44、第5縁部45及び第6縁部46を有している。第1縁部41は、外カバー39の一端部(前端部)側に設けられており、上下の方向に延びている。第2縁部42は、第1縁部41の上端部から外カバー39の他端部(後端部)側に向けて延びている。第3縁部43は、第1縁部41の下端部から外カバー39の他端部(後端部)側に向けて延びており、第2縁部42と離れた位置にある。つまり、第1縁部41は、第2縁部42の前端部と第3縁部43の前端部とを繋ぐように設けられている。第1縁部41は、第2縁部42及び第3縁部43に対して、概ね直角となる方向に延びている。第4縁部44は、第2縁部42の後端部から後方且つ下方に向けて延びている。第5縁部45は、第4縁部44の後端部から後方に向けて延びている。第6縁部46は、第5縁部45の後端部と第3縁部43の後端部とを繋ぐように設けられている。第6縁部46は、第5縁部45に対して鋭角をなす斜め方向に延びている。
【0023】
外カバー39は、吸気口40の近傍に複数の固定部を有している。固定部は、上記取付部に対してボルトにより固定される部分である。固定部は、第1固定部47、第2固定部48、第3固定部49及び第4固定部50を含んでいる。第1固定部47は、第1縁部41と第3縁部43との角部(コーナ部)に設けられており、後方且つ上方に向けて突出している。第2固定部48は、第2縁部42の長さ方向の略中央位置に設けられており、下方に向けて突出している。第3固定部49は、第4縁部44の後方且つ第4縁部45の上方に設けられている。第4固定部50は、第5縁部45の上方且つ後方に設けられている。
【0024】
固定部(第1固定部47、第2固定部48、第3固定部49、第4固定部50)は、内側(機体内方側)に向けて円筒状に突出しており、円筒の底面に貫通孔を有している。固定部の貫通孔の位置は、後カバー20Bに設けられた取付部(第1取付部33、第2取付部34、第3取付部35、第4取付部36)のねじ孔の位置と対応している。具体的には、第1固定部47の貫通孔と第1取付部33のねじ孔、第2固定部48の貫通孔と第2取付部34のねじ孔、第3固定部49の貫通孔と第3取付部35のねじ孔、第4固定部50の貫通孔と第4取付部36のねじ孔、が夫々対応する位置にある。
【0025】
外カバー39を後カバー20Bの外側(機体外方側)に重ねた状態で、固定部(第1固定部47、第2固定部48、第3固定部49、第4固定部50)の貫通孔にボルトを挿通し、当該ボルトを取付部(第1取付部33、第2取付部34、第3取付部35、第4取付部36)のねじ孔に螺合して固定する。これにより、
図1、
図3及び
図4に示すように、外カバー39が後カバー20Bに装着される。外カバー39を後カバー20Bに装着した状態において、外カバー39の吸気口40は、後カバー20Bの第1開口部31と重なった位置にある。
【0026】
吸気口40の内側(縁部40aに囲まれる部分)に設けられた格子は、複数の第1桟部51と、複数の第2桟部52とを有している。複数の第1桟部51は、互いに間隔をあけて設けられており、第1縁部41、第2縁部42、第4縁部44、第5縁部45と、第3縁部43、第6縁部46とを繋いでいる。複数の第2桟部52は、互いに間隔をあけて設けられており、第1桟部51と交差している。第1桟部51と第2桟部52とにより囲まれる部分、及び、第1桟部51と第2桟部52と縁部40aとにより囲まれる部分に、矩形又は三角形の開口53が形成されている。
【0027】
図2、
図11に示すように、外カバー39は、一端部(前端部)から他端部(後端部)にかけて湾曲している。詳しくは、外カバー39は、後カバー20Bと同様に、前方から後方に向かうにつれて機体内方に向かうように湾曲している。この外カバー39の湾曲の曲率半径は一定ではなく、一端部(前端部)側と他端部(後端部)側との間に、湾曲の曲率半径が変化する変曲部54を有している。具体的には、変曲部54より一端部(前端部)側の曲率半径R1は、変曲部54より他端部(後端部)側の曲率半径R2に比べて大きい。
【0028】
図7、
図8に示すように、吸気口40の外側(機体外方側)には、防塵部材55が装着されている。
図9に示すように、防塵部材55は、板部56と係止部70とを有している。防塵部材55は、多数の貫通孔を有する板であり、例えば、パンチングメタルやエキスパンドメタル等の金属板が好適に使用される。防塵部材55の厚さは、人の手で容易に湾曲させることが可能な厚さ(例えば1mm以下)に設定される。尚、防塵部材55は、吸気口40に装着していない状態では平板であり、後述するように、吸気口40に装着する際に湾曲される。
図9は、吸気口40に装着した状態(湾曲した状態)における防塵部材50を示している。
【0029】
板部56は、全面にわたって多数の貫通孔58を有している。尚、図面では、貫通孔58を省略するか又は一部のみを描いている。本実施形態では、防塵部材55はパンチングメタルから形成されており、貫通孔58は円形の孔である。貫通孔58の大きさは、吸気口40に形成された格子の開口53の大きさに比べて小さい。貫通孔58の大きさを十分に小さく設定することにより、塵や虫等が吸気口40及び第1開口部31を通って機体2の内部に入り込み、ラジエータ26の目詰まりを起こすことが防止できる。具体的な貫通孔58の大きさは特に限定されないが、例えば直径0.5〜3mmの範囲に設定される。また、貫通孔58の形状についても特に限定されず、例えば楕円形や多角形形状であってもよい。板部56は、吸気口40を外方(機体外方)から覆うように装着される。
【0030】
板部56の外形は、吸気口40の形状と略同じである。以下、板部56の外形について、防塵部材55を吸気口40に装着した状態を基準として説明する。
図9に示すように、板部56は、第1外縁部61、第2外縁部62、第3外縁部63、第4外縁部64、第5外縁部65及び第6外縁部66を有している。第1外縁部61は、板部56の一端部(前端部)側に設けられており、上下の方向に延びている。第2外縁部62は、第1外縁部61の上端部から板部56の他端部(後端部)側に向けて延びている。第3外縁部63は、第1外縁部61の下端部から板部56の他端部(後端部)側に向けて延びており、第2外縁部62と離れた位置にある。つまり、第1外縁部61は、第2外縁部62の前端部と第3外縁部63の前端部とを繋ぐように設けられている。第1外縁部61は、第2外縁部62及び第3外縁部63に対して、概ね直角となる方向に延びている。第4外縁部64は、第1外縁部61の後端部から後方且つ下方に向けて延びている。第5外縁部65は、第4外縁部64の後端部から後方に向けて延びている。第6外縁部66は、第5外縁部65の後端部と第3外縁部63の後端部とを繋ぐように設けられている。第6外縁部66は、第5外縁部65に対して鋭角をなす斜め方向に延びている。
【0031】
板部56は、第1切欠部67及び第2切欠部68を有している。第1切欠部67は、第1外縁部61と第3外縁部63との角部に設けられており、後方且つ上方に向けて切り欠かれている。第2切欠部68は、第2外縁部62の長さ方向の略中央位置に設けられており、下方に向けて切り欠かれている。第1切欠部67の位置及び形状は、第1固定部47の位置及び形状と対応している。第2切欠部68の位置及び形状は、第2固定部48の位
置及び形状と対応している。
【0032】
係止部70は、吸気口40を形成する縁部40aに係止される部分である。係止部70は、板部56の周縁の複数箇所に設けられている。本実施形態では、係止部70は7箇所に設けられている。つまり、本実施形態では、係止部70として、第1係止部71、第2係止部72、第3係止部73、第4係止部74、第5係止部75、第6係止部76及び第7係止部77を有している。
【0033】
第1係止部71は、第1外縁部61の長さ方向の中間位置であって切欠部67の上方に設けられている。第2係止部72は、第2外縁部62の前部(板部56の一端部(前端部)側)であって切欠部68の前方に設けられている。第3係止部73は、第3外縁部63の前部(板部56の一端部(前端部)側)であって第2係止部72の下方に設けられている。第4係止部74は、第2外縁部62の後部であって切欠部68の後方に設けられている。第5係止部75は、第3外縁部63の長さ方向の中間位置であって第4係止部74の下方に設けられている。第6係止部76は、第5外縁部65の後部に設けられている。第7係止部77は、第6外縁部66の下部に設けられている。
【0034】
板部56の外縁に沿って隣り合う係止部の間の距離は、第1係止部71と第2係止部72との間の距離と、第1係止部71と第3係止部73との間の距離が、他の隣り合う係止部の間の距離よりも短く設定されている。つまり、第1係止部71と第2係止部72と第3係止部73とは、他の係止部同士の間隔に比べて、互いに近い位置に設けられている。これにより、詳細は後述するが、防塵部材55を吸気口40に装着する際の位置決めを簡便に行うことができ、防塵部材55を吸気口40に装着する作業を容易に行うことが可能となる。
【0035】
図9の仮想線(二点鎖線)で示すように、係止部70は、板部56の周縁から板部56の板面平行方向の外側に突出した長方形の板を、板部56に対して板部56の板面と交差する方向(本実施形態では略直角方向)に屈曲あるいは湾曲させることにより形成されている。防塵部材55が吸気口40に装着された状態において、係止部70の屈曲あるいは湾曲の方向は機体内方側となる。係止部70の幅Wは、吸気口40の格子の開口53に挿入可能な幅に設定されている。係止部70の長さLは、
図10に示すように、係止部70を吸気口40の内方において屈曲あるいは湾曲させたときに、屈曲あるいは湾曲させた部分(後述する当接部79)が縁部40aにおける板部56が配置されている側と反対側(内方側)の面(以下、便宜上「内方面」という)に当接可能な長さに設定されている。
【0036】
係止部70は、
図8に示すように、吸気口40の開口53に対して外方から内方に向けて挿通された後、
図10に示すように、吸気口40の内方(機体内方)において、縁部40aの内側面に当接して防塵部材55を縁部40aに係止させるように屈曲あるいは湾曲される(本実施形態では係止部70は略直角に且つ縁部40aに向けて屈曲される)。これにより、防塵部材55が吸気口40に装着される。係止部70は、防塵部材55の厚さが薄いため、人の指で屈曲あるいは湾曲することができる。そのため、防塵部材55を吸気口40に装着する作業は、工具を必要とせず、短時間で容易に行うことができる。防塵部材55が吸気口40に装着された状態(以下、装着状態という)では、板部56が吸気口40を外方(機体外方)から覆っている。
【0037】
図10に示すように、装着状態において、係止部70は、突出部78と当接部79とを有する。突出部78は、板部56の周縁から前記外方(板部56が覆っている外方)と反対側である内方に突出し且つ吸気口40(格子の開口53)を通っている。突出部78は、機体2の内方に突出することにより、吸気口40の内方(板部56が覆っている外方と反対側)に突出している。当接部79は、突出部78と連続し、且つ吸気口40の内方において屈曲あるいは湾曲して縁部40aにおける内方面に当接している。
【0038】
全ての係止部70(第1係止部71、第2係止部72、第3係止部73、第4係止部74、第5係止部75、第6係止部76、第7係止部77)は、夫々突出部78と当接部79とを有している。ここで、第1係止部71の当接部を第1当接部81、第2係止部72の当接部を第2当接部82、第3係止部73の当接部を第3当接部83、第4係止部74の当接部を第4当接部84、第5係止部75の当接部を第5当接部85、第6係止部76
の当接部を第6当接部86、第7係止部77の当接部を第7当接部87と称する。
【0039】
第1当接部81は、第1縁部41の内方面に当接している。第2当接部82は、第2縁部42の前部の内方面に当接している。第3当接部83は、第3縁部43の前部の内方面に当接している。第4当接部84は、第2縁部42の後部の内方面に当接している。第5当接部85は、第3縁部43の長さ方向の中間部の内方面に当接している。第6当接部86は、第5縁部45の内方面に当接している。第7当接部87は、第6縁部46の内方面に当接している。第1当接部81、第2当接部82及び第3当接部83は、防塵部材55の一端部(前端部)側に位置している。
【0040】
防塵部材55は、板部56が吸気口40に沿って湾曲された状態で装着されている。防塵部材55の板部56は、吸気口40に装着していない状態では平板である。そのため、
図11に示すように、板部56を吸気口40に装着する作業は、防塵部材55の板部56を吸気口40に沿って湾曲させながら行われる。この装着作業は、二段階で行われる。
第一段階では、
図11の仮想線に示すように、防塵部材55の一端部(前端部)側を外カバー39の一端部(前端部)側に固定する。第一段階では、防塵部材55に設けられた係止部70のうち、第1係止部71と第2係止部72と第3係止部73を使用する。具体的には、第1当接部81を第1縁部41の内方面に当接させ、第2当接部82を第2縁部42の前部の内方面に当接させ、第3当接部83を第3縁部43の内方面に当接させる。これにより、防塵部材55の一端部(前端部)側が、外カバー39の一端部(前端部)側に位置決めされて固定される。
【0041】
第二段階では、
図11の左側矢印に示すように、防塵部材55の他端部(後端部)側を弾性変形により湾曲させて、外カバー39の他端部(後端部)側に固定する。第二段階では、防塵部材55の残りの係止部70(第4係止部74、第5係止部75、第6係止部76、第7係止部77)を使用する。具体的には、第4当接部84を第2縁部42の内方面に当接させ、第5当接部85を第3縁部43の内方面に当接させ、第6当接部86を第5縁部45の内方の面に当接させ、第7当接部87を第6縁部46の内方面に当接させる。これにより、防塵部材55の他端部(後端部)側が外カバー39の他端部(後端部)側に固定される。その結果、
図7、
図10に示すように、防塵部材55は、一端部(前端部)側から他端部(後端部)側にわたって全体が外カバー39に固定される。
【0042】
上述したように、防塵部材55が、一端部(前端部)側に位置する第1当接部81と第2当接部82と第3当接部83とを有することにより、第一段階において、防塵部材55の一端部側に位置する隣接する三辺(第1外縁部61、第2外縁部62、第3外縁部63)を、吸気口40の一端部側に位置する隣接する三辺(第1縁部41、第2縁部42、第3縁部43)に位置決めして固定することができる。つまり、吸気口40の一端部側に対する防塵部材55の一端部側の位置が、吸気口40の前部(第1縁部41)、上部(第2縁部42)、下部(第3縁部43)において定まる。
【0043】
第二段階においては、防塵部材55の一端部側にある隣接する三辺が、吸気口40の一端部側にある隣接する三辺に固定された状態で、防塵部材55の他端部(後端部)側を湾曲させることができる。このとき、吸気口40の一端部側に対する防塵部材55の一端部側の位置が、吸気口40の前部、上部、下部において定まっているため、防塵部材55の他端部(後端部)側を吸気口40の他端部(後端部)側に向けて湾曲させる際の湾曲形状が縁部40aの湾曲形状に応じて適切に定まる。そのため、防塵部材55の他端部側の位置と吸気口40の他端部側の位置とを正確に合わせることができる。具体的には、防塵部材55の第5外縁部65と第6外縁部66との角部(コーナ部)を、吸気口40の第5縁部45と第6縁部46の角部(コーナ部)に正確に合わせることができる。これにより、容易且つ確実に、防塵部材55を吸気口40に沿わせて装着し、吸気口40の全面を板部56により外方から覆うことができる。
【0044】
図10に示すように、装着状態において、防塵部材55の第4当接部84は、外カバー39の変曲部54において第2縁部42の内方面に当接している。また、第5当接部85は、変曲部54において第3縁部43の内方面に当接している。これによって、防塵部材55を、より確実に吸気口40に沿わせて装着することが可能となる。
また、装着状態において、防塵部材55には湾曲した状態から元の状態(平板の状態)に戻ろうとする力(復元力)が作用している。この復元力は、係止部70の当接部79を吸気口40の縁部に密着させる方向に作用するため、防塵部材55が吸気口40から外れにくくなる。
【0045】
尚、図示しないが、吸気口40の縁部40aに、係止部70を受け止めるための受け部があってもよい。受け部は、例えば、係止部70の当接部の先端を差し込むことができる形状に構成される。
また、上記実施形態では、係止部70を板部56の周縁(外縁)にのみ設けているが、係止部70を板部56の周縁以外の部分(内部)に設けてもよい。例えば、係止部70を第1桟部51あるいは第2桟部52に係止させるように配置してもよい。係止部70を板部56の周縁以外の部分(内部)に設けることにより、吸気口40及び防塵部材55の面積が広い場合でも、防塵部材55を吸気口40に沿って確実に装着することが可能となる。
【0046】
第2開口部32は、第1開口部31の上方に設けられている。第2開口部32の内側(機体内方側)には、図示しないが、エキスパンドメタル等の多孔板とネットとが装着される。多孔板は、第2開口部32の周縁にボルト等により固定される。ネットは、多孔板と第2開口部32の周縁との間に挟み込まれて固定される。尚、第2開口部32についても第1開口部31と同様に、外カバー39と防塵部材55とを装着する構成としてもよい。
【0047】
上述した実施形態の作業機1は、機体2と、機体2に装着され且つ吸気口40を有するカバー39と、吸気口40に装着された防塵部材55とを備え、防塵部材55は、多数の貫通孔58を有する板部56と、板部56の周縁から突出し、屈曲あるいは湾曲して吸気口49の縁部における板部56が配置されている側とは反対側の面に当接する係止部70とを備えている。そのため、吸気口40に防塵部材55を装着することにより、吸気口40からの塵や虫等の異物の侵入を防ぐことができる。また、係止部70を吸気口40の縁部40aに係止することにより、防塵部材55を吸気口40に装着することができる。そのため、必要に応じて、防塵部材55を吸気口40に容易に装着することが可能である。
【0048】
また、板部56が、吸気口40を機体2の外方から覆い、係止部70が、板部56の周縁から機体2の内方に突出する突出部78と、突出部78から屈曲あるいは湾曲して縁部40aの内方面に当接する当接部79とを有することにより、吸気口40に防塵部材55を確実に固定して、吸気口40を機体2の外方から防塵部材55により覆うことができる。
【0049】
また、カバー(外カバー)39は、一端部から他端部にかけて湾曲しており、縁部40aは、前記一端部側に設けられた第1縁部41と、第1縁部41から前記他端部側に向けて延びる第2縁部42と、第1縁部41の第2縁部42と離れた位置から前記他端部側に向けて延びる第3縁部43とを有し、当接部79は、第1縁部41の内方面に当接する第1当接部81と、第2縁部42の内方面に当接する第2当接部82と、第3縁部43の内方面に当接する第3当接部83とを有するため、容易且つ確実に防塵部材55を吸気口40に沿わせて装着することができる。
【0050】
また、カバー(外カバー)39は、前記一端部側と前記他端部側との間に湾曲の曲率半径が変化する変曲部54を有し、当接部79は、変曲部54において第2縁部42の内方面に当接する第4当接部84を有することにより、防塵部材55を、より確実に吸気口40に沿わせて装着することが可能となる。
また、縁部40aには、複数の開口53を有する格子が設けられ、突出部78は、前記格子の開口を通って吸気口40の内方に突出していることにより、カバー(外カバー)39を外した状態においても格子により異物の侵入を防止することができる。加えて、カバー(外カバー)39の内面(機体内方側の面)が格子に当接することにより、カバー39に加わる外力を格子で受けることができる。また、格子により突出部78の位置決めが容易となる。
【0051】
また、板部56は、吸気口40に沿って弾性変形により湾曲された状態で装着されているため、防塵部材55が湾曲した状態から元の状態(平板の状態)に戻ろうとする復元力
により、防塵部材55が吸気口40から外れにくくなる。
上述した実施形態の防塵部材55は、作業機1の吸気口40に装着される防塵部材であって、多数の貫通孔を有する板部56と、板部56の周縁から突出し、屈曲あるいは湾曲して吸気口40の縁部40aにおける板部56が配置されている側とは反対側の面に当接する係止部70とを備えている。そのため、作業機1の吸気口40に防塵部材55を装着することにより、吸気口40からの塵や虫等の異物の侵入を防ぐことができる。また、係止部70を吸気口40の縁部40aに係止することにより、防塵部材55を作業機1の吸気口40に装着することができる。そのため、必要に応じて、防塵部材55を作業機1の吸気口40に容易に装着することが可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、防塵部材55を吸気口40の外側(機体外方側)に装着した例について説明したが、防塵部材55を吸気口40の内側(機体内方側)に装着してもよい。この場合、係止部70の当接部79は、縁部40aの機体外方側の面に当接させる。
また、本実施形態では、本発明をバックホーに適用した場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、例えば、ホイールローダ、スキッドステアローダ等の他の建設機械(作業機)や、トラクタなどの農業機械(作業機)に適用することもできる。
【0053】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。