特許第6690884号(P6690884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6690884
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】鋏スタンド
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/04 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   B26B29/04
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-145294(P2019-145294)
(22)【出願日】2019年8月7日
【審査請求日】2019年11月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518327419
【氏名又は名称】株式会社ローレル・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】小堺 哲男
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第107263558(CN,A)
【文献】 実開昭54−153498(JP,U)
【文献】 実開平06−075370(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0107715(KR,A)
【文献】 特開2000−014945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B1/00−11/00
B26B23/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の鋏の刃部が挿入されて収納されるケースと、該ケースが着脱可能に取り付けられる基台とを有する鋏スタンドであって、
該ケースの先端には突起体が設けられ、該基台には該突起体が嵌入される嵌入穴が凹設され、
該突起体は球体であり、該嵌入穴内において摺動回動可能であり、
該嵌入穴の開口部には、該開口部の内周全体に中心方向に僅かに突出する環状凸部が形成され、該環状凸部の径は、該突起体の径より僅かに小さくなっていることにより、
該鋏を持って引き出す場合には、該鋏のみが取り出され、
該ケースを持って引き出す場合には、該ケースと該鋏とが取り出されることを特徴とする鋏スタンド。
【請求項2】
前記突起体には、紐を貫通可能な貫通孔が貫設されていることを特徴とする請求項記載の鋏スタンド。
【請求項3】
前記基台の前記嵌入穴が凹設された面と反対側の面には、該基台が取付面に固着される固着手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鋏スタンド。
【請求項4】
前記固着手段は、ゴム又は熱可塑性エラストマ−であることを特徴とする請求項記載の鋏スタンド。
【請求項5】
前記基台は略半球状をなし、中空半球状の半球面部と円板状の底面部とからなり、該半球面部には前記嵌入穴が凹設され、該底面部には前記固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設されていることを特徴とする請求項又は記載の鋏スタンド。
【請求項6】
前記半球面部は、前記嵌入穴が形成されたカップ状の嵌入穴部と、該嵌入穴部が包み込まれる半球面本体とが一体化されていることを特徴とする請求項記載の鋏スタンド。
【請求項7】
前記基台は、円錐台状の台座部と、該台座部の上部から突出する円柱状の受け部とからなり、
該受け部の先端には前記嵌入穴が凹設され、該台座部の底面には前記固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設されていることを特徴とする請求項又は記載の鋏スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋏の刃部が挿入されて収納されるケースと、このケースが着脱可能に取り付けられる基台とからなる鋏スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鋏を収納するには、例えば特許文献1に示されるペン立てが用いられ、鋏はボールペン等の筆記用具とともに収納される。このペン立てによれば、ボールペン等の筆記用具も同時に使用することができ便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−7924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、鋏を鋏スタンドに迅速に収納及び取り出しをしたい場合がある。この場合、上記従来のペン立てを鋏スタンドとして使用したのでは、迅速に鋏の収納及び取り出しができなくなる。すなわち、ペン立てにボールペン等の筆記用具も一緒に収納されている場合には、ペン立て内が煩雑になり、鋏の収納及び取り出しが迅速にできない。また、ペン立てに鋏のみ単独で収納されている場合であっても、ペン立ての開口部が広いため鋏全体の傾きが一定しなかったり、鋏のハンドルがペン立て内に入り込んだりして、やはり鋏を取り出し難くなる。さらに、ペン立てに収納されたケース付きの鋏から鋏だけを取り出したい場合には、ペン立てからケース付きの鋏を取り出した後、ケースから鋏を取り出さなければならず面倒である。その上、ペン立ては作業机等の上に置かれているため、鋏を収納する場合はペン立ての上方から下方に向かって収納し、鋏を取り出す場合はペン立ての上方に向かって取り出さなければならず、鋏の収納、取り出し方向が限られてしまい、これも鋏の収納及び取り出しが迅速にできなくなる要因の1つになる。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、鋏の収納及び取り出しがし易い鋏スタンドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る鋏スタンドの特徴は、1本の鋏の刃部が挿入されて収納されるケースと、該ケースが着脱可能に取り付けられる基台とを有する鋏スタンドであって、該ケースの先端には突起体が設けられ、該基台には該突起体が嵌入される嵌入穴が凹設され、該突起体は球体であり、該嵌入穴内において摺動回動可能であり、該嵌入穴の開口部には、該開口部の内周全体に中心方向に僅かに突出する環状凸部が形成され、該環状凸部の径は、該突起体の径より僅かに小さくなっていることにより、該鋏を持って引き出す場合には、該鋏のみが取り出され、該ケースを持って引き出す場合には、該ケースと該鋏とが取り出されることである。
【0008】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記突起体には、紐を貫通可能な貫通孔が貫設されていることである。
【0009】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記基台の前記嵌入穴が凹設された面と反対側の面には、該基台が取付面に固着される固着手段が設けられていることである。
【0010】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記固着手段は、ゴム又は熱可塑性エラストマ−であることである。
【0011】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記基台は略半球状をなし、中空半球状の半球面部と円板状の底面部とからなり、該半球面部には前記嵌入穴が凹設され、該底面部には前記固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設されていることである。
【0012】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記半球面部は、前記嵌入穴が形成されたカップ状の嵌入穴部と、該嵌入穴部が包み込まれる半球面本体とが一体化されていることである。
【0013】
請求項に係る鋏スタンドの特徴は、前記基台は、円錐台状の台座部と、該台座部の上部から突出する円柱状の受け部とからなり、該受け部の先端には前記嵌入穴が凹設され、該台座部の底面には前記固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設されていることである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る鋏スタンドは、1本の鋏の刃部が挿入されて収納されるケースと、このケースが着脱可能に取り付けられる基台とを有している。ケースには1本の鋏の刃部が挿入されてぴったりと収納されるため、他の文房具等が一緒に収納されることがなく、ケース内が煩雑になることがない。また、ケースの先端には突起体が設けられ、基台には突起体が嵌入される嵌入穴が凹設されている。そして、鋏を持って引き出す場合には鋏のみが取り出され、ケースを持って引き出す場合にはケースと鋏とが取り出される。そのため、鋏のみを持って引き出せば直ちに鋏を使用することができ、使い勝手が非常によい。また、ケースを持って引き出せばケースに収納された状態の鋏を取り出すことができ、鋏をケースに入れたまま安全に持ち運ぶことができる。したがって、この鋏スタンドによれば、鋏の収納及び取り出しがし易い。なお、「基台」には、直方体、立方体、円柱、半球、円錐台、角錐台等いろいろな形状をなすものが含まれる。さらには、テープカッター等の文房具や事務用品、作業台、机等、嵌入穴が凹設され得るすべてのものも「基台」に含まれる。更に、突起体は球体であり、嵌入穴内において摺動回動可能であるため、ケースの方向、及び角度を広範囲に自由に変えることができ、より鋏の収納及び取り出しがし易くなる。
【0016】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、突起体には紐を貫通可能な貫通孔が貫設されている。そのため、突起体の貫通孔に紐を貫通させ、この紐を突起物等に引っ掛ければ、ケースに収納された状態の鋏を突起物等に掛けておくことができる。
【0017】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、基台の嵌入穴が凹設された面と反対側の面には、基台が取付面に固着される固着手段が設けられている。そのため、鋏スタンドを作業台等の表面だけでなく、裏面にも取り付けることができる。さらには、鋏スタンドを壁面にも取り付けることができる。これにより、鋏の収納、及び取り出し方向が自由になり、作業効率が向上する。なお、「取付面」とは、作業台や机の表面だけでなく、作業台や机の裏面、壁面、文房具の表面等の基台が取り付け可能なすべての面をいう。
【0018】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、固着手段がゴム、又は熱可塑性エラストマーであるため、鋏が収納された鋏スタンドを取付面に強力に固着させることができる。
【0019】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、基台は、嵌入穴が凹設された中空半球状の半球面部と、固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設された円板状の底面部とからなっている。そのため、単純な形状であり、安価に製造することができる。なお、本明細書において、「略半球状」には、半球状の他、円錐台状等の形状も含まれる。
【0020】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、半球面部が嵌入穴が形成されたカップ状の嵌入穴部と、嵌入穴部が包み込まれる半球面本体とが一体化されている。そのため、半球面本体には硬質の材質の樹脂を用いるとともに、嵌入穴部には弾力性のある材質の樹脂を用いることができ、鋏スタンドの機能を十分に発揮させることができる。なお、嵌入穴部と半球面本体とを一体化する方法は、特に限定されず、二重成形による方法、接着剤により固定する方法、押圧して嵌着する方法等がある。
【0021】
請求項に係る鋏スタンドにおいては、基台が円錐台状の台座部と、台座部の上部から突出する円柱状の受け部とからなっている。そして、受け部の先端には嵌入穴が凹設され、台座部の底面には固着手段を取り付け可能な取付穴が凹設されている。そのため、鋏スタンドの機能を十分に発揮させることができるほか、受け部が台座部から斜めに突出していれば、ケースを取付面に対して平行に近づけても台座部に当接することがなく、取付面に対するケースの角度をさらに広範囲に自由に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1の鋏スタンドの正面図。
図2】実施形態1の鋏スタンドに係り、ケースの正面図。
図3】実施形態1の鋏スタンドに係り、基台の正面図。
図4】実施形態1の鋏スタンドに係り、基台の平面図。
図5】実施形態1の鋏スタンドに係り、基台の底面図。
図6】実施形態1の鋏スタンドに係り、図4におけるVI―VI矢視断面図。
図7】実施形態1の鋏スタンドに係り、鋏を収納した鋏スタンドの正面図。
図8】実施形態1の鋏スタンドに係り、鋏スタンドから鋏を取り出した状態を示す図。
図9】実施形態1の鋏スタンドに係り、鋏スタンドからケースに収納された鋏を取り出した状態を示す図。
図10】実施形態1の鋏スタンドに係り、鋏を収納した鋏スタンドを取付面に取り付けた図。
図11】実施形態2の鋏スタンドの正面図。
図12】実施形態2の鋏スタンドに係り、基台の正面図。
図13】実施形態2の鋏スタンドに係り、基台の平面図。
図14】実施形態2の鋏スタンドに係り、図13におけるXIV―XIV矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る鋏スタンドを具体化した実施形態1、2を図面に基づいて以下に説明する。図1は実施形態1の鋏スタンド1、2の正面図であり、図2はケース1の正面図である。図1に示すように、この鋏スタンドはケース1と基台2とを有している。図2にも示すように、ケース1には1本の鋏90の刃部が挿入されて確実に収納される。そして、鋏90を収納したままケース1を回転させてもケース1から鋏90が抜け出ることはないが、鋏90を引き抜けばケース1から鋏90を容易に取り出すことができるようになっている。なお、ケース1の材質はポリプロピレン、ABS樹脂等であることが好ましい。
【0024】
また、ケース1の先端には球体状の突起体11が設けられ、基台2の中央部には嵌入穴22aが凹設されている。この突起体11が嵌入穴22aに嵌入され、嵌入穴22a内において摺動回動可能になっている。そのため、ケース1内に収納された鋏90はケース1とともに方向、及び角度を自由に変えることができる。さらには、ケース1を持って突起体11を嵌入穴22aから引き出せば、ケース1に収納された状態の鋏90を基台2から片手で簡単に取り外すことができる。このため、ケース1に収納された状態の鋏90を自由に持ち運ぶことができる。また、突起体11には貫通孔11aが貫設されている。この貫通孔11aに紐を通してループ状にすれば、紐を突起物等に引っ掛けることができ、ケース1に収納された状態の鋏90を突起物等に掛けておくことができる。
【0025】
基台2の嵌入穴22aが凹設された面と反対側の面には、固着手段としてのブタジエンゴム29が取り付けられている。このブタジエンゴム29を机95の上面95aに圧着させることにより、基台2を上面95aに確実に固着させることができる。そして、ブタジエンゴム29の接着力に抗して基台2を上面95aから引き離せば、鋏スタンド1、2を上面95aから取り外すことができる。ここで、上面95aが「取付面」である。なお、本実施形態1においては、固着手段としてブタジエンゴム29を採用しているが、これ以外にその他のゴム又は熱可塑性エラストマーを用いてもよい。また、上面95aの種類により吸盤や磁石を使うこともできる。
【0026】
次に、基台2について、図3から図6を用いて詳細に説明する。図3は基台2の正面図、図4は基台2の平面図である。また、図5は基台2の底面図、図6は基台2の断面図である。図3から図6に示すように、基台2は略半球状をなし、中空半球状の半球面部20と円板状の底面部25とからなっている。半球面部20には嵌入穴22aが凹設され、底面部25にはブタジエンゴム29を取り付け可能な取付穴25aが凹設されている。このように、基台2は単純な形状であり、安価に製造することができる。
【0027】
また、半球面部20は、嵌入穴22aが形成されたカップ状の嵌入穴部22と、嵌入穴部22が包み込まれる半球面本体21とが二重成形により一体化されている。嵌入穴部22の開口部には、開口部の内周全体に中心方向に僅かに突出する環状凸部22bが形成されている。この環状凸部22bの径は、突起体11の径より僅かに小さくなっている。そのため、半球面本体21には硬質の材質の樹脂を用いるとともに、嵌入穴部22には弾力性のある材質の樹脂を用いることができ、鋏スタンド1、2の機能を十分に発揮させることができる。すなわち、半球面本体21には、例えばABS樹脂等の硬質の材質の樹脂を用いることにより、外力に対して基台2の形状を維持することができる。また、嵌入穴部22には、例えば熱可塑性エラストマー等の弾力性のある材質の樹脂を用いることにより、ケース1の突起体11を安定して保持することができるため、ケース1が基台2に取り付けられた状態を確実に維持することができる。さらには、突起体11の嵌入穴22aへの嵌入、及び取り出しに際しては、嵌入穴22aが適度の弾性力をもって変形するため、ケース1を基台2へ容易に取り付け、取り外しできる。
【0028】
また、底面部25の取付穴25aが設けられた面と反対側の面には、嵌入穴部22の底部と半球面本体21の底部とを支持する6枚の補強板26が立設されている。この補強板26により、ケース1の突起体11が基台2の嵌入穴22aに強い力で嵌入された場合であっても、基台2の破損を防止することができる。なお、半球面部20の形状は半球状の他、円錐台状、角錐台等であってもよい。
【0029】
以上の構成をした鋏スタンドの使用方法について説明する。図7は、鋏90を鋏スタンド1、2に収納した状態を示している。鋏スタンド1、2には1本の鋏90の刃部がケース1に挿入されてぴったりと収納されているため、他の文房具等が一緒に収納されることがなく、ケース1内が煩雑になることがない。また、この状態において、鋏スタンド1、2を回転させてもケース1から鋏90が抜け出ることはない。さらに、ケース1は先端に取り付けられた突起体11が基台2の嵌入穴22a内において摺動回動可能であるため、鋏90とケース1との方向、及び角度を自由に変えることができる。
【0030】
図8は、鋏スタンド1、2から鋏90を取り出した状態を示している。図7に示す状態において鋏90を片手で持って引き出せば、図8に示すように、鋏90のみが取り出される。その場合、ケース1は基台2に固着されたままである。また、図7に示す状態において、鋏90とケース1との方向、及び角度を変えてから、鋏スタンド1、2から鋏90を取り出すことができるため、鋏90を取り出し易くなっている。さらには、鋏90を収納する場合には、鋏90の刃先でケース1の方向、及び角度を変えつつ鋏90をケース1に片手で差し込むことができるため、鋏90の収納もし易くなっている。このように、鋏90、又は鋏90とケース1の収納及び取り出しが片手で簡単にできるため、片手の不自由な者であっても取り扱いが容易である。さらには、一方の手で作業をしつつ、他方の手で鋏90、又は鋏90とケース1の収納及び取り出しを行うことができ、便利であるだけでなく作業効率も向上する。
【0031】
図9は、鋏スタンド1、2からケース1に収納された鋏90を取り出した状態を示している。図7に示す状態においてケース1を持って引き出せば、図9に示すように、ケース1に収納された状態の鋏90を取り外すことができる。このケース1に収納された状態の鋏90を、例えば、筆入れに入れて自由に持ち運ぶことができる。また、突起体11の貫通孔11aに紐を通してループ状にすれば、紐を突起物等に引っ掛けることができ、ケース1に収納された状態の鋏90を突起物等に掛けておくことができる。
【0032】
図10は、鋏90を収納した鋏スタンド1、2を作業台91の表面91a、作業台91の裏面91b、及び壁面92に取り付けた状態を示している。ここで、表面91a、裏面91b、壁面92が「取付面」である。基台2の底面部25に凹設された取付穴25aに取り付けられたブタジエンゴム29により、鋏スタンド1、2が表面91a、裏面91b、壁面92に確実に固着される。そのため、鋏90を取り出しやすい場所に鋏スタンド1、2を取り付けることができるだけでなく、邪魔にならない場所に取り付けることもできる。
【0033】
実施形態1の鋏スタンド1、2によれば、1本の鋏90の刃部が挿入されて収納されるケース1と、このケース1が着脱可能に取り付けられる基台2とを有している。ケース1には1本の鋏90の刃部が挿入されてぴったりと収納されるため、他の文房具等が一緒に収納されることがなく、ケース1内が煩雑になることがない。また、ケース1の先端には突起体11が設けられ、基台2の中央部には突起体11が嵌入される嵌入穴22aが凹設されている。そして、鋏90を持って引き出す場合には鋏90のみが取り出され、ケース1を持って引き出す場合にはケース1と鋏90とが取り出される。そのため、鋏90のみを持って引き出せば直ちに鋏90を使用することができ、使い勝手が非常によい。また、ケース1を持って引き出せばケース1に収納された状態の鋏90を取り出すことができ、鋏90をケース1に入れたまま安全に持ち運ぶことができる。さらに、鋏90のみの収納、取り出し、及びケース1と鋏90との収納、取り出しをすべて片手で行うことができるため、非常に便利である。したがって、この鋏スタンドによれば、鋏90の収納及び取り出しがし易い。
【0034】
また、この鋏スタンド1、2は、突起体11が球体であり、嵌入穴22a内において摺動回動可能であるため、上面95a、表面91a、裏面91b、壁面92に対するケース1の方向、及び角度を広範囲に自由に変えることができ、より鋏90の収納及び取り出しがし易くなる。
【0035】
また、この鋏スタンド1、2においては、突起体11には紐を貫通可能な貫通孔11aが貫設されている。そのため、突起体11の貫通孔11aに紐を貫通させ、この紐を突起物等に引っ掛ければ、ケース1に収納された状態の鋏90を突起物等に掛けておくことができる。
【0036】
また、基台2の嵌入穴22aが凹設された面と反対側の面には、基台2が机95の上面95aに固着されるブタジエンゴム29が設けられている。そのため、鋏スタンド1、2を作業台91の表面91a、及び裏面91bにも取り付けることができるのみならず、壁面92にも取り付けることができる。これにより、鋏90の収納、及び取り出し方向が自由になり、作業効率が向上する。
【0037】
さらに、この鋏スタンド1、2においては、固着手段がブタジエンゴム29であるため、鋏90が収納された鋏スタンド1、2を上面95a、表面91a、裏面91b、壁面92に強力に固着させることができる。
【0038】
また、この鋏スタンド1、2においては、基台2は、嵌入穴22aが凹設された中空半球状の半球面部20と、ブタジエンゴム29を取り付け可能な取付穴25aが凹設された円板状の底面部25とからなっている。そのため、単純な形状であり、安価に製造することができる。
【0039】
さらに、この鋏スタンド1、2においては、半球面部20が嵌入穴22aが形成されたカップ状の嵌入穴部22と、嵌入穴部22が包み込まれる半球面本体21とが二重成形により一体化されている。そのため、半球面本体21には硬質の材質の樹脂を用いるとともに、嵌入穴部22には弾力性のある材質の樹脂を用いることができ、鋏スタンド1、2の機能を十分に発揮させることができる。
【0040】
次に、実施形態2の鋏スタンドについて、図11から図14を用いて説明する。ただし、実施形態1の構成と同様の構成については、同一の符号を用いるものとし、その説明を省略する。図11は鋏入れ1、3の正面図、図12は基台3の正面図である。また、図13は基台3の平面図、図14は基台3の断面図である。図11に示すように、実施形態2の鋏スタンド1、3は、ケース1と基台3とからなっている。
【0041】
図12から図14にも示すように、基台3は円錐台状の台座部30と、台座部30の上部から机95の上面95aに対し角度θで斜めに突出する円柱状の受け部31とが一体に形成されている。ここで、台座部30及び受け部31の材質は同じものであり、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等である。また、受け部31の先端には嵌入穴31aが凹設されている。この嵌入穴31aは、開口部から底部に向かって次第に広くなっている。そして、開口部の径は、突起体11の径より僅かに小さくなっている。これにより、ケース1を基台3へ容易に取り付け、取り外しできるとともに、ケース1の突起体11を安定して保持することができる。また、嵌入穴31a内において突起体11が摺動回動可能になっている。なお、ケース1と上面95aとの角度は、受け部31と上面95aとの角度θと同じである。この角度θは40度から80度が好ましい。
【0042】
台座部30の底面には、固着手段としてのブタジエンゴム29が取り付けられる取付穴30aが凹設されている。取付穴30aに取り付けられたブタジエンゴム29を上面95aに圧着させることにより、上面95aに基台3を確実に固着させることができる。そして、基台3をブタジエンゴム29の接着力に抗して上面95aから引き離せば、鋏スタンド1、3を上面95aから取り外すことができる。
【0043】
実施形態2の鋏スタンド1、3によれば、基台3が円錐台状の台座部30と、台座部30の上部から斜めに突出する円柱状の受け部31とからなっている。そして、受け部31の先端には嵌入穴31aが凹設され、台座部30の底面にはブタジエンゴム29を取り付け可能な取付穴30aが凹設されている。そのため、ケース1を机95の上面95aに対して平行に近づけても台座部30に当接することがなく、上面95aに対するケース1の角度θをさらに広範囲に自由に変えることができる。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
【0044】
以上、本発明の鋏入れを実施形態1、2に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、実施形態1においては、嵌入穴22aが凹設された略半球状の基台2を採用しているが、円錐台状等の他の形状の基台を採用してもよい。また、実施形態2においては受け部31が机95の上面95aに対し角度θで斜めに突出しているが、受け部31が机95の上面95aに対し垂直に突出していてもよい。さらには、実施形態1、2とも独立した基台2、3を採用しているが、例えば、文房具のテープカッターの表面に嵌入穴を設けて、テープカッター自体を基台としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…ケース、2、3…基台、11…突起体、11a…貫通孔、20…半球面部、21…半球面本体、22…嵌入穴部、22a、31a…嵌入穴、25…底面部、25a、30a…取付穴、29…固着手段(ブタジエンゴム)、30…台座部、31…受け部、90…鋏、91a、91b、92、95a…取付面(91a…表面、91b…裏面、92…壁面、95a…上面)。
【要約】
【課題】鋏の収納及び取り出しがし易い鋏スタンドを提供する。
【解決手段】1本の鋏90の刃部が挿入されて収納されるケース1と、ケース1が着脱可能に取り付けられる基台2とを有する鋏スタンドである。ケース1の先端には突起体11が設けられ、基台2には突起体11が嵌入される嵌入穴22aが凹設されている。そして、鋏90を持って引き出す場合には鋏90のみが取り出され、ケース1を持って引き出す場合にはケース1と鋏90とが取り出される。
【選択図】図1
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