特許第6690930号(P6690930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6690930
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】沓摺部の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/70 20060101AFI20200421BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20200421BHJP
   C04B 14/20 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   E06B1/70 F
   C04B28/14
   C04B14/20 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-245430(P2015-245430)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-110403(P2017-110403A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000159032
【氏名又は名称】菊水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】菱田 幹大
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
(72)【発明者】
【氏名】小張 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】安藤 洋志
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−123748(JP,A)
【文献】 特開平10−058414(JP,A)
【文献】 特開2006−097234(JP,A)
【文献】 実公平02−043133(JP,Y2)
【文献】 実開昭49−118247(JP,U)
【文献】 特開2010−156193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00−1/70
E04C 2/00−2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に凹部を有する沓摺と、前記凹部に充填された沓摺用充填材と、を備える沓摺部の製造方法であって、
少なくとも石こう及び水を含み、バーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含む流動体を前記凹部に充填し、硬化させて前記沓摺用充填材を形成する沓摺部の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沓摺用充填材、沓摺部、及び沓摺部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建屋の床に設けられる沓摺部は、下面に凹部を有する金属製の沓摺と、その凹部内に充填されたモルタルとから成る(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−256934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の沓摺部は、沓摺の凹部にモルタルを流し込み、それを硬化させる方法で製造される。モルタルの硬化時間は長いため、従来の沓摺部は製造に長時間を要する。また、従来の沓摺部は、衝撃を与えたとき、モルタルが割れ易かった。また、モルタルは沓摺の凹部から脱落し易く、脱落を防止するために、沓摺の凹部に鉄筋棒を設ける必要があった。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、上記の課題を解決できる沓摺用充填材、沓摺部、及び沓摺部の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも石こうを含む沓摺用充填材である。この沓摺用充填材、及びそれを用いて製造した沓摺部は、耐衝撃性に優れる。また、この沓摺用充填材を用いれば、沓摺部の製造効率を向上させることができる。また、この沓摺用充填材を用いれば、沓摺の凹部から沓摺用充填材が脱落するおそれを低減できる。
【0007】
本開示の一態様は、下面に凹部を有する沓摺と、前記凹部に充填された、上記の沓摺用充填材と、を備える沓摺部である。この沓摺部は、耐衝撃性に優れる。また、この沓摺部は、高い製造効率で製造することができる。また、この沓摺部は、沓摺の凹部から沓摺用充填材が脱落するおそれを低減できる。
【0008】
本開示の一態様は、下面に凹部を有する沓摺と、前記凹部に充填された沓摺用充填材と、を備える沓摺部の製造方法であって、少なくとも石こう及び水を含む流動体を前記凹部に充填し、硬化させて前記沓摺用充填材を形成する沓摺部の製造方法である。この沓摺部の製造方法によれば、耐衝撃性に優れる沓摺を製造できる。また、この製造方法によれば、沓摺部の製造効率を向上させることができる。また、この製造方法によれば、沓摺の凹部から沓摺用充填材が脱落するおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】沓摺1の構成を表す斜視図である。
図2図1におけるII-II断面での断面図である。
図3】沓摺1の構成を表す斜視図である。
図4図3におけるIV-IV断面での断面図である。
図5】沓摺部7の構成を表す斜視図である。
図6図5におけるVI-VI断面での断面図である。
図7】四方枠14の構成を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を説明する。
1.沓摺用充填材
本開示の沓摺用充填材は、少なくとも石こうを含む。本開示の沓摺用充填材は、少なくとも石こうを含むことにより、以下の効果を奏する。すなわち、本開示の沓摺用充填材は耐衝撃性が高い。また、本開示の沓摺用充填材は軽量である。また、本開示の沓摺用充填材は、沓摺との密着性が高い。その結果、沓摺用充填材が沓摺から脱落し難くなる。また、本開示の沓摺用充填材は、沓摺の凹部全体に充填することが容易である。また、本開示の沓摺用充填材は、例えば、沓摺の凹部からはみ出したとき、そのはみ出した部分を削り取ることが容易である。
【0011】
100質量部の沓摺用充填材に含まれる石こうの量は、固形分換算で、70質量部以上であることが好ましい。この範囲内である場合、上記の効果が一層顕著になる。
本開示の沓摺用充填材は、例えば、少なくとも石こう及び水を含む流動体を沓摺の凹部に充填し、その流動体を硬化させて製造することができる。流動体が石こうを含むことにより、以下の効果を奏する。すなわち、流動体の硬化時間が短くなるため、沓摺部の製造効率を向上させることができる。また、流動体が硬化するときに膨張し易くなるので、形成された沓摺用充填材と沓摺との密着性が高くなる。その結果、沓摺用充填材が沓摺から脱落し難くなる。また、流動体を沓摺の凹部全体に充填し、凹部全体において沓摺用充填材を形成することが容易になる。
【0012】
石こうとしては、例えば、二水石こう、半水石こう、無水石こう等が挙げられる。特に半水石こうを用いることが好ましい。半水石こうを用いると、流動体の硬化時間が一層短くなる。半水石こうには、α型半水石こうと、β型半水石こうとがある。α型半水石こうを用いると、流動体の硬化時間がさらに短くなる。
【0013】
本開示の沓摺用充填材は、バーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含むことができる。バーミキュライトとは、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを主成分とする鉱物であり、ひる石とも呼ばれる。バーミキュライトは、高温で急熱すると膨張する性質を持つ。焼成バーミキュライトとは、バーミキュライト原石を高温(800〜1000℃)の焼成炉の中を通過させて膨張させたものである。
【0014】
本開示の沓摺用充填材がバーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含む場合、沓摺用充填材の耐衝撃性が一層向上する。また、沓摺用充填材が一層軽量になる。また、沓摺用充填材にネジを埋め込む際の作業性が一層向上する。
【0015】
本開示の沓摺用充填材におけるバーミキュライト又は焼成バーミュライトの配合量は、石こう100質量部に対し、3〜5質量部の範囲が好ましい。この範囲内である場合、セルフレベリング性及びネジ埋め込み性において優れる。
【0016】
本開示の沓摺用充填材は、その他に、適宜公知の成分を含んでいてもよい。
2.沓摺部
沓摺部は、下面に凹部を有する沓摺と、前記凹部に充填された沓摺用充填材とを備える。図1図2に示すように、沓摺1は、例えば、下面が開放された中空の長尺部材である。その長尺部材は、例えば、中空の角筒状部材において、下方が開放された形状(いわゆるコノ字形状)を有する。
【0017】
沓摺1は、その下面が開放されることにより、下面に凹部3を有する。沓摺1を使用するとき、その端面は、図1に示すように、たて枠5に接続される。沓摺1は、図3図4に示すように、上面が段差を有する形態であってもよい。
【0018】
沓摺1の材質は特に限定されず、例えば、金属、樹脂等とすることができる。金属としては、例えば、ステンレス、鋼、アルミ等が挙げられる。樹脂としては、例えば、硬質塩化ビニール等が挙げられる。
【0019】
図5図6に示すように、沓摺部7を構成する沓摺用充填材9は、沓摺1の凹部3に充填されている。沓摺用充填材9は前記「1.沓摺用充填材」の項で述べたものである。沓摺用充填材9は、凹部3の全てに充填してもよいし、一部に充填してもよい。また、沓摺用充填材9の一部は、凹部3の外側に存在してもよい。沓摺用充填材9は、その内部に鉄筋棒等の他の部材を含んでいてもよい。
【0020】
本開示の沓摺部では、沓摺と沓摺用充填材との密着性が高い。その結果、沓摺用充填材が沓摺から脱落し難くなる。また、本開示の沓摺部を構成する沓摺用充填材は、耐衝撃性が高い。
【0021】
本開示の沓摺部は、例えば、少なくとも石こう及び水を含む流動体を沓摺の凹部に充填し、その流動体を硬化させて沓摺用充填材を形成し、製造することができる。流動体が石こうを含むことにより、流動体の硬化時間が短くなる。その結果、沓摺部の製造効率を向上させることができる。
【0022】
本開示の沓摺部を構成する沓摺用充填材がバーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含む場合、沓摺用充填材の耐衝撃性が一層向上する。また、沓摺用充填材が一層軽量になる。また、沓摺用充填材にネジを埋め込む際の作業性が一層向上する。
【0023】
3.沓摺部の製造方法
本開示の沓摺部の製造方法では、少なくとも石こう及び水を含む流動体を沓摺の凹部に充填し、硬化させて沓摺用充填材を形成する。本開示の沓摺部の製造方法で形成される沓摺用充填材は、前記「1.沓摺用充填材」の項で述べたものである。また、本開示の沓摺部の製造方法で使用する流動体は、前記「1.沓摺用充填材」の項で述べたものである。
【0024】
本開示の沓摺部の製造方法では、石こう及び水を含む流動体を用いるので、以下の効果を奏する。すなわち、流動体の硬化時間が短くなる。その結果、沓摺部の製造効率を向上させることができる。また、流動体が硬化するときに膨張し易くなるので、形成された沓摺用充填材と沓摺との密着性が高くなる。その結果、沓摺用充填材が沓摺から脱落し難くなる。
【0025】
また、形成された沓摺用充填材と沓摺との密着性が高いため、従来の沓摺部のように、沓摺に鉄筋棒を溶接することが必須ではない。なお、従来の沓摺では、モルタルから成る沓摺用充填材が沓摺から脱落することを防止するため、沓摺に鉄筋棒を溶接することが必要であった。
【0026】
また、流動体を沓摺の凹部全体に充填し、凹部全体において沓摺用充填材を形成することが容易になる。また、例えば、形成された沓摺用充填材が沓摺の凹部からはみ出したとき、そのはみ出した部分を削り取ることが容易である。
【0027】
本開示の製造方法で用いる流動体は、例えば、バーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含むことができる。流動体がバーミキュライト又は焼成バーミキュライトをさらに含む場合、形成された沓摺用充填材の耐衝撃性が一層向上する。また、形成された沓摺用充填材が一層軽量になる。また、形成された沓摺用充填材にネジを埋め込む際の作業性が一層向上する。
【0028】
4.沓摺部の使用方法
本開示の沓摺部7は、例えば、工場で製造することができる。その場合の製造方法は以下のとおりである。まず、沓摺1と、帯アンカー11と、一対のたて枠5及び上枠15を溶接して構成した3方枠と、を用意する。次に、帯アンカー11を沓摺1に溶接する。次に、流動体を沓摺1の凹部3に流し込み、硬化させて、沓摺部7とする。次に、沓摺部7と3方枠とを溶接し、四方枠14を作成する。作成した四方枠14を工場から出荷し、現場に搬入する。なお、後述する鉄筋棒13は、工場では沓摺部7に固定せず、現場で床スラブに設置する。
【0029】
また、本開示の沓摺部7を現場で製造し、使用してもよい。その場合は、以下のように沓摺部7を現場で製造し、使用することができる。まず、沓摺1と、一対のたて枠5と、上枠15とを現場に搬入する。搬入される沓摺1には、予め工場において帯アンカー11が溶接されている。次に、流動体を沓摺1の凹部3に流し込み、硬化させて、沓摺部7とする。次に、沓摺部7と、一対のたて枠5と、上枠15と、をビス又は溶接で固定し、四方枠14を作成する。
【0030】
沓摺部7を含む四方枠14は、以下のようにして、建物の躯体に対し固定することができる。具体的には、図6に示すように、床スラブ17に鉄筋棒13を設置し、その鉄筋棒13と帯アンカー11とを溶接することで、沓摺部7を、床スラブ17に固定する。また、図5に示すように、たて枠5を、帯アンカー19及び鉄筋棒21を用いて鉄骨23に固定する。上枠15も、図示しない躯体に固定する。なお、躯体が木造の場合は、ビス留めにより四方枠14を躯体に固定してもよい。
【0031】
次に、図5図6に示すように、沓摺部7の両側にコンクリートの塗り床25を設ける。コンクリートの塗り床25の高さは、沓摺部7の上面よりわずかに低い高さとする。
(実施例)
(1)流動体の製造
表1に示す成分を、表1に示す配合量にて混合して、流動体S1〜S7を製造した。表1に示す配合量の単位は質量部である。
【0032】
【表1】
【0033】
(2)試験方法
流動体S1〜S7のそれぞれについて、以下の方法で試験を行った。また、石こうボードについても同様の試験を行った。この石こうボードは、JIS A6901(GB−R)である。
【0034】
(2−1)比重
容積210ccの容器に流動体を摺り切り一杯に充填した。よって、充填時における流動体の容積は210ccである。その後、室温で24時間静置した。流動体は硬化し、沓摺用充填材が形成された。沓摺用充填材の質量を測定し、容積(210cc)で除することにより、沓摺用充填材の比重を算出した。石こうボードについても、周知の方法で比重を算出した。
【0035】
(2−2)硬化時間
容積300ccのビーカーに、200ccの流動体を充填し、試験体とした。充填直後に、試験体を横に90°傾けた。流動体を充填した時点から、流動性が無くなる時点までの時間を硬化開始時間とした。硬化開始時間の経過後、5分ごとに、直径5mmの木棒を流動体に対し垂直に突き刺す操作を行った。流動体を充填した時点から、木棒が刺さらなくなる時点までの時間を硬化終了時間とした。
【0036】
(2−3)セルフレベリング性
厚さ2.3mm×幅70mm×奥行き70mmのSS400鋼板の中心に高さ15mm×直径55mmの鋼製円環を設置し、該円環内に流動体を摺り切り一杯に充填した。充填直後に、円環を取り外し、SS400鋼板上での流動体の広がり半径を測定した。そして、広がり半径等に基づき、以下の基準でセルフレベリング性を評価した。
【0037】
◎:流動体がSS400鋼板全体に広がる。
○:広がり半径が70mm以上であるが、SS400鋼板全体には広がっていない。
△:広がり半径が60mm以上70mm未満である。
【0038】
×:広がり半径が60mm未満である。
(2−4)沓摺との一体性
幅30mm×高さ25mm×長さ100mmのコの字型鋼板を、コの字の開放面が上側となるように設置した。なお、コの字型鋼板は沓摺に対応する。次に、コの字型鋼板の内側に流動体を充填した。その後、流動体を硬化させ、沓摺用充填材を形成した。コの字型鋼板と沓摺用充填材との間に隙間が生じているか否かを目視で観察した。隙間が生じていない場合は○と評価し、隙間が生じている場合は×と評価した。
【0039】
石こうボードについては、以下の方法で型枠との一体性を評価した。石こうボードをコの字型鋼板の形状、大きさに合わせて切断し、コの字型鋼板にはめ込んだ。次に、石こうボードに指で力を加え、石こうボードがずれないか否かを確認した。ずれなかった場合は一体性を○とし、ずれてしまった場合は×とした。
【0040】
(2−5)膨張収縮
容積210ccの容器に流動体を摺り切り一杯に充填した。その後、室温で24時間静置し、流動体を硬化させて沓摺用充填材を形成した。次に、容器の上に平らなガラス板をのせた。沓摺用充填材の表面が容器の縁よりも上にある場合は、カラス板と容器の縁との鉛直方向での距離を測定した。その測定結果を正の値で表す。なお、沓摺用充填材の表面が容器の縁よりも上にある場合とは、流動体に比べて沓摺用充填材が膨張した場合である。
【0041】
また、沓摺用充填材の表面が容器の縁よりも下にある場合は、カラス板と沓摺用充填材の表面との鉛直方向での距離を測定した。その測定結果を負の値で表す。なお、沓摺用充填材の表面が容器の縁よりも下にある場合とは、流動体に比べて沓摺用充填材が収縮した場合である。
【0042】
(2−6)ネジ埋込み性
容積210ccの容器に流動体を摺り切り一杯に充填した。その後、室温で24時間静置して流動体を硬化させ、沓摺用充填材を形成した。次に、直径3.8mm×長さ38mmの木ねじを、電動ドリルを用いて沓摺用充填材にねじ込み、木ねじの長さの半分が沓摺用充填材に入り込むまでの時間を測定した。その時間が20秒以内の場合は○と評価し、2分以内の場合は△と評価し、2分を超える場合は×と評価した。
【0043】
石こうボードについても、上と同様に、木ねじの長さの半分が入り込むまでの時間を測定し、その時間に基づいて評価を行った。
(2−7)ネジ引抜き性
前記「(2−6)ネジ埋込み性」と同様に、沓摺用充填材を形成し、その沓摺用充填材に木ねじをねじ込んでから、木ねじをペンチでつかみ、引き抜く操作を行った。引き抜くのに10秒以上を要した場合は◎と評価し、引き抜くのに5秒以上、10秒未満を要した場合は○と評価し、容易にひき抜けた場合は×と評価した。石こうボードについても、上と同様に、ねじ込んだ木ねじを引き抜けるか否か基づき評価を行った。
【0044】
(2−8)研磨性
流動体を硬化させて沓摺用充填材を形成した。その沓摺用充填材の表面を、JIS R 6251に記載されているA-P180の研磨布を用いて研磨した。研磨は、手で軽く研磨布を沓摺用充填材の表面に押し当てて30往復することにより行った。その後、研磨後の沓摺用充填材の表面における平滑性を目視により観察した。表面が平滑になった場合は○と評価し、平滑にならなかった場合は×と評価した。石こうボードについても、上と同様に、研磨後の表面における平滑性に基づき、評価を行った。
【0045】
(2−9)耐衝撃性
幅30mm×高さ25mm×長さ100mmのコの字型鋼板を、コの字の開放面が上側となるように設置した。次に、コの字型鋼板の内側に流動体を充填し、試験体とした。その後、室温で24時間静置して流動体を硬化させ、沓摺用充填材を形成した。
【0046】
次に、試験体を1.5mの高さから落下させた。沓摺用充填材に変化がなかった場合は○と評価し、沓摺用充填材にひび割れが生じた場合は×と評価した。石こうボードについても、上と同様に評価を行った。
【0047】
(2−10)圧縮強度
前記「(2−6)ネジ埋込み性」と同様に、沓摺用充填材を形成した。容器から取り出した沓摺用充填材を試験体とした。試験体に対し、144kN/分の試験荷重を加え、試験体が降伏し始めるまでの時間(以下では降伏時間とする)を計測した。降伏時間の長さに基づき、試験体の圧縮強度を評価した。
【0048】
×:降伏時間が30秒未満
○:降伏時間が30秒以上40秒未満
◎:降伏時間が40秒以上
また、石こうボードの試験体についても、上と同様に評価を行った。石こうボードの試験体は、石こうボードの市販の薄板を必要な枚数だけ積層し、沓摺用充填材の試験体と同じ厚みとしたものである。
(3)試験結果
評価結果を上記表1に示す。流動体S1〜S6、及びそれらを硬化させて成る沓摺用充填材は、少なくともいずれかの試験において良好な結果を示した。
【0049】
なお、圧縮強度の試験において、S6の試験体は硬化しなかったため、試験を行うことができなかった。また、石こうボードの試験体は、試験荷重を加えたとき、試験体を構成する石こうボードの薄板同士がずれてしまい、試験を行うことができなかった。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…沓摺、3…凹部、5…たて枠、7…沓摺部、9…沓摺用充填材、11…帯アンカー、13…鉄筋棒、14…四方枠、15…上枠、17…床スラブ、19…帯アンカー、21…鉄筋棒、23…鉄骨、25…コンクリートの塗り床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7