(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガラス基板は、板厚が薄いほど、また、サイズが大きいほど、撓みやすい。従来の搬送方式を用いて、板厚が薄いあるいはサイズが大きいガラス基板を搬送したときに、搬送中にガラス基板が撓んで、ガラス基板の搬送方向の先端部が、前方にあるローラの下方にもぐり込む場合があった。
【0009】
一方で、ガラス基板の製造工程では、成形されたガラス板を所定の基板サイズに切断する切断プロセスや、ガラス基板の端面を加工する端面加工プロセスなどで、切り屑などの異物が発生し、ガラス基板の表面に付着する場合がある。ガラス基板に異物が存在すると、パターンが良好に形成されず、最終製品であるFPDの不良の原因となる。また、ガラス基板に付着した異物は、ガラス基板の表面に傷を生じさせて、ガラス基板の機械的強度を低下させる場合がある。
【0010】
本発明は、搬送中のガラス基板の撓みを抑制しつつ、ガラス基板の表面に付着した異物を除去することのできるガラス基板の搬送方法、およびガラス基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記(1)から(4)を提供する。
(1)ガラス基板に流体を吹き付けて前記ガラス基板に浮上力を与えることで、前記ガラス基板の浮上状態を維持するステップと、
前記浮上状態を維持しつつ前記ガラス基板を一方向に搬送するステップと、
前記ガラス基板の主表面上を前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向に気体が流れるよう、前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向のうちの第1の側において、前記浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側で前記気体を吹き出し、前記第1の側と反対側の第2の側に流れた前記気体を吸い込むステップと、を備え、
前記浮上状態を維持するステップでは、前記ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよう、前記浮上力のうち、前記第1の側に位置する前記ガラス基板の第1の領域の部分を浮上させる第1の浮上力と、前記第2の側に位置する前記ガラス基板の第2の領域の部分を浮上させる第2の浮上力と、を調節し、
前記ガラス基板の第1の領域の部分が前記気体から板厚方向に受ける押付圧と略同等の基準圧力に基づいて、前記押付圧を受ける前記第1
の領域の部分に与える第1の浮上力を調節することを特徴とするガラス基板の搬送方法。
【0012】
(2)ガラス基板に流体を吹き付けて前記ガラス基板に浮上力を与えることで、前記ガラス基板の浮上状態を維持する浮上ユニットと、
前記浮上状態を維持しつつ前記ガラス基板を搬送経路に沿って一方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ガラス基板の主表面上を前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向に気体が流れるよう、前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向のうちの第1の側において、前記浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側で前記気体を吹き出し、前記第1の側と反対側の第2の側に流れた前記気体を吸い込む吹出吸込ユニットと、を備え、
前記浮上ユニットは、前記ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよう、前記浮上力のうち、前記第1の側に位置する前記ガラス基板の第1の領域の部分を浮上させる第1の浮上力と、前記第2の側に位置する前記ガラス基板の第2の領域の部分を浮上させる第2の浮上力と、を調節する調節機構を有し、
前記調節機構は、前記気体が吹き出される前記搬送経路上の位置において、前記第1の領域の部分が前記気体から板厚方向に受ける押付圧と略同等の基準圧力に基づいて前記第1の浮上力を調節することを特徴とするガラス基板搬送装置。
【0013】
(3)
ガラス基板に浮上力を与えて、前記ガラス基板の浮上状態を維持するステップ
と、
前記浮上状態を維持しつつ前記ガラス基板を一方向に搬送するステップと、
前記ガラス基板の主表面上を前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向
に気体が流れるよう、前記浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側
で前記気体を吹き出すステップと、を備え、
前記浮上状態を維持するステップでは、前記ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよ
う、前記ガラス基板が前記気体から板厚方向に受ける押付圧を受ける前記ガラス基板の領
域に与える浮上力を調節することを特徴とするガラス基板の搬送方法。
【0014】
(4)
ガラス基板に浮上力を与えて、前記ガラス基板の浮上状態を維持する浮上ユニ
ットと、
前記浮上状態に維持しつつ前記ガラス基板を搬送経路に沿って一方向に搬送する搬送ユ
ニットと、
前記ガラス基板の主表面上を前記一方向に沿った方向または前記一方向と交差する方向
に気体が流れるよう、前記浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側
で前記気体を吹き出す吹出ユニットと、を備え、
前記浮上ユニットは、前記ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよう、前記気体が吹
き出される前記搬送経路上の位置において、前記気体から板厚方向に受ける押付圧と略同
等の基準圧力に基づいて前記浮上力を調節する調節機構を有していることを特徴とするガ
ラス基板搬送装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送中のガラス基板の撓みを抑制しつつ、ガラス基板の表面に付着した異物を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態のガラス基板の搬送方法、およびガラス基板搬送装置について説明する。
(1)ガラス基板の製造方法の概略
本実施形態で製造されるガラス基板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられる。ガラス基板Gは、例えば、0.2mm〜0.8mmの厚みを有し、かつ、縦680mm〜2200mmおよび横880mm〜2500mmのサイズを有する。
【0018】
ガラス基板Gの一例として、以下の組成を有するガラスが挙げられる。
【0019】
(a)SiO
2:50質量%〜70質量%、
(b)Al
2O
3:10質量%〜25質量%、
(c)B
2O
3:5質量%〜18質量%、
(d)MgO:0質量%〜10質量%、
(e)CaO:0質量%〜20質量%、
(f)SrO:0質量%〜20質量%、
(g)BaO:0質量%〜10質量%、
(h)RO:5質量%〜20質量%(Rは、Mg、Ca、SrおよびBaから選択される少なくとも1種である。)、
(i)R’
2O:0質量%〜2.0質量%(R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。)、
(j)SnO
2、Fe
2O
3およびCeO
2から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物。
【0020】
なお、上記の組成を有するガラスは、0.1質量%未満の範囲で、その他の微量成分の存在が許容される。
【0021】
図1は、ガラス基板Gの製造工程を表すフローチャートの一例である。ガラス基板Gの製造工程は、主として、成形工程(ステップS1)と、採板工程(ステップS2)と、切断工程(ステップS3)と、端面加工工程(ステップS4)と、粗面化工程(ステップS5)と、洗浄工程(ステップS6)と、検査工程(ステップS7)と、梱包工程(ステップS8)とからなる。
【0022】
成形工程S1では、ガラス原料を加熱して得られた熔融ガラスから、ダウンドロー法またはフロート法によって、ガラスシートが連続的に成形される。成形されたガラスシートは、歪みおよび反りが発生しないように温度制御されながら、ガラス徐冷点以下まで冷却される。
【0023】
採板工程S2では、成形工程S1で成形されたガラスシートが切断されて、所定の寸法を有する素板ガラスが得られる。
【0024】
切断工程S3では、採板工程S2で得られた素板ガラスが切断されて、製品サイズのガラス基板Gが得られる。一般的に、素板ガラスは、カッターまたはレーザを用いて切断される。
【0025】
端面加工工程S4では、切断工程S3で得られたガラス基板Gの端面加工が行われる。端面加工は、例えば、ガラス基板Gの端面の研磨および研削、ガラス基板Gのコーナーカットである。
【0026】
粗面化工程S5では、端面加工工程S4で端面加工処理が行われたガラス基板Gの表面粗さを増加させる粗面化処理が行われる。ガラス基板Gの粗面化処理は、例えば、フッ化水素を含むエッチャントを用いるウェットエッチングである。
【0027】
洗浄工程S6では、粗面化工程S5で粗面化処理が行われたガラス基板Gが洗浄される。ガラス基板Gには、素板ガラスの切断、および、ガラス基板Gの端面加工によって生じた微小なガラス片や、雰囲気中に存在する有機物等の異物が付着している。ガラス基板Gの洗浄によって、これらの異物が除去される。
【0028】
検査工程S7では、洗浄工程S6で洗浄されたガラス基板Gが検査される。具体的には、ガラス基板Gが搬送されながら、ガラス基板Gの表面に存在する傷およびクラック、ガラス基板Gの表面に付着している異物、および、ガラス基板Gの内部に存在している微小な泡等の欠陥が、光学的に検知される。
【0029】
梱包工程S8では、検査工程S7における検査に合格したガラス基板Gが、ガラス基板Gを保護するための合紙と交互にパレット上に積層されて、梱包される。梱包されたガラス基板Gは、FPDの製造業者等に出荷される。
【0030】
本実施形態のガラス基板の搬送方法は、例えば、採板工程(S2)、切断工程(S3)、端面加工工程(S4)の各工程の後に行われる。
図2に、一例として、切断工程(S5)の後に行われるガラス基板Gの搬送を概略的に示す。切断工程(S3)は、
図2に示す例において、切断ゾーン1に配置された切断装置10によって行われる。ガラス基板Gは、切断工程(S3)の後、端面加工工程(S4)の前に、切断ゾーン1を通過するように搬送方向(X方向)に沿って搬送される。切断ゾーン1に搬送されたガラス基板Gは、搬送を停止した状態で、あるいは、搬送されながら切断装置10による端面加工が施され、端面加工されたガラス基板Gは、下流側に搬送され、切断ゾーン1から搬出される。本実施形態のガラス基板の搬送方法を行うガラス基板搬送装置は、
図2に示す例において、切断ゾーン1内の切断装置10の下流側に配置されている。
【0031】
(2)ガラス基板搬送装置の詳細
本実施形態のガラス基板搬送装置は、ガラス基板に浮上力を与えて、ガラス基板の浮上状態を維持する浮上ユニットと、浮上状態に維持しつつガラス基板を搬送経路に沿って一方向に搬送する搬送ユニットと、ガラス基板の主表面上を一方向に沿った方向または一方向と交差する方向に気体が流れるよう、浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側で(例えば主表面に向けて)気体を吹き出す吹出ユニットと、を備え、浮上ユニットは、ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよう、気体が吹き出される搬送経路上の位置において、気体から板厚方向に受ける押付圧と略同等の基準圧力に基づいて浮上力を調節する調節機構を有している。
このガラス基板搬送装置では、浮上状態に維持されつつ搬送されるガラス基板の主表面のうち、浮上力が与えられる主表面と反対側の主表面の側で気体が吹き出され、当該主表面上を、搬送方向(一方向)に沿った方向または搬送方向と交差する方向に気体が流れる。この気体の流れが、ガラス基板の主表面に付着した異物に接触することで、異物は主表面から除去される。一方で、ガラス基板に与えられる浮上力が上記のように調節されることによって、吹き出された気体から押付圧を受けたガラス基板の部分が、浮上力に抗して沈み込むことが抑制される。このため、ガラス基板の撓みの発生が抑えられ、ガラス基板を略水平な姿勢で搬送することができる。すなわち、本実施形態によれば、搬送中のガラス基板の撓みを抑制しつつ、ガラス基板の表面に付着した異物を除去することができる。なお、主表面の側で気体を吹き出す態様として、当該主表面に向けて気体を吹き出す態様のほか、吹き出された気体の少なくとも一部が当該主表面に吹き付けられる態様が含まれる。また、主表面の側という場合、主表面と平行な方向に延在する平面内の位置であってガラス基板の端から外側の位置も、主表面の側に含まれる。
【0032】
図3、
図4、および
図7を参照しながら、本実施形態に係るガラス基板搬送装置100をより具体的に説明する。
図3は、ガラス基板搬送装置100を側方から(
図7のY方向に)見て示す図である。
図4は、ガラス基板搬送装置を示す斜視図である。
図7は、ガラス基板搬送装置100の変形例を上方から見て示す図である。ガラス基板搬送装置100は、主として、浮上ユニット20と、搬送ユニット30(
図7参照)と、吹出吸込ユニット50とからなる。浮上ユニット20は、
図7の変形例においても同様に構成されているため、便宜的に
図7を参照しながら説明する。
図3および
図4において、搬送ユニット30の図示は省略されている。
図3および
図7において、吹出吸込ユニット50の図示は省略されている。
図3、
図4、および
図7において、ガラス基板Gの搬送方向(X方向)と直交する平面内の水平方向は、ガラス基板Gの幅方向(Y方向)であり、ガラス基板Gの搬送方向と直交する平面内の鉛直方向は、ガラス基板Gの板厚方向(Z方向)である。以降の説明において、ガラス基板Gの搬送方向に平行なガラス基板Gの端部を側端部といい、ガラス基板Gの幅方向に平行な端部を先端部および後端部という。なお、ガラス基板の側端部G1(
図6参照)および側端部G2(
図6参照)は、互いに平行でなくても良い。
【0033】
(2−1)浮上ユニット
浮上ユニット20は、略水平な姿勢で搬送されるガラス基板Gの下面に気体を吹き付けてガラス基板Gを浮上させるユニットである。水平な姿勢とは、ガラス基板Gの板厚方向が鉛直方向と一致するガラス基板Gの姿勢、言い換えると、ガラス基板Gの主表面が鉛直方向を向くガラス基板Gの姿勢をいう。略水平な姿勢には、水平な姿勢のほか、ガラス基板Gの板厚方向が鉛直方向に対し±10度の範囲内で傾斜した姿勢が含まれる。以降の説明において、ガラス基板Gの主表面のうち上方を向く主表面を上面といい、下方を向く主表面を下面という。
【0034】
浮上ユニット20は、複数のフロートパネル22(
図7参照)と、調節機構26とを有している。
複数のフロートパネル22は、
図7に示される例において、ガラス基板Gの搬送方向に沿って並べられたフロートパネル22の列を形成するとともに、フロートパネル22の列がガラス基板Gの幅方向に沿って並べられたフロートパネルアレイ24を形成している。幅方向に隣り合うフロートパネル22の列同士は、接続部材28により連結されている。フロートパネルアレイ24を構成するすべてのフロートパネル22の上面は、同じ高さ位置に位置しており、搬送されるガラス基板Gと対向する1つの平面が形成されている。また、
図7に示す例において、幅方向に隣り合うフロートパネル22の列の間で、フロートパネル22の搬送方向の位置はオフセットされている。
フロートパネル22は、例えば、多孔質な材料、あるいは、多数の孔が形成された中実の金属材料で構成されている。多孔質な材料は、例えば、カーボン、アルミナ、ジルコニア等の材料を成形し、焼結させたものである。なお、
図3において、フロートパネルアレイ24は、ガラス基板Gの搬送方向に沿った一部の領域のみが示される。
【0035】
フロートパネル22は、
図3に示されるように、噴出機構22aと、吸引機構22cとを有する。
噴出機構22aは、フロートパネル22の上方に向かって気体を噴出する機構である。噴出機構22aは、例えば、フロートパネル22の表面に形成される多数の微小孔から、気体を噴出する。気体は、例えば圧搾されたエアである。なお、
図3において、噴出機構22aは、便宜的に、1つのフロートパネル22に2箇所に位置するように示される。噴出された気体は、搬送されるガラス基板Gの下面に吹き付けられる。これにより、搬送されるガラス基板Gは、上向きの力を受け、フロートパネル22の上面から浮上する。噴出機構22aから噴出される気体は、エアに制限されず、例えば、窒素ガス、希ガス等であってもよい。また、噴出機構22aは、気体の代わりに、水等の液体を噴出するものであってもよい。
【0036】
吸引機構22cは、フロートパネル22の上面からフロートパネル22内に気体を吸引する機構である。吸引機構22cは、例えば、フロートパネル22の上面側に開放された孔から、気体を吸引する。吸引機構22cによって気体が吸引されることで、搬送されるガラス基板Gの下面と、フロートパネル22の上面との間において、吸引機構22cの近傍の空間は、負圧の状態になる。これにより、搬送されるガラス基板Gは、下向きの力を受ける。この下向きの力は、搬送されるガラス基板Gの形状をある程度強制する機能を有している。搬送されるガラス基板Gと対向するフロートパネルアレイ24の領域で発生する、噴出機構22aによる上向きの力および吸引機構22cによる下向きの力の合力が、ガラス基板Gを浮上させる浮上力である。浮上力は、鉛直方向の上方を向く力である。浮上力がガラス基板Gに与えられることで、ガラス基板Gの浮上状態が維持される。
【0037】
フロートパネルアレイ24の幅方向の寸法は、ガラス基板Gの幅方向の寸法より長い。フロートパネル22の搬送方向の寸法は、例えば、100mm〜150mmである。浮上しているガラス基板Gの下面と、フロートパネル22の上面との間の距離は、例えば、25μm〜35μmである。なお、
図3において、ガラス基板Gとフロートパネル22との間の間隔は誇張して示されている。
【0038】
調節機構26は、ガラス基板Gが略水平な姿勢で搬送されるよう、吹出吸込ユニット50の吸込装置52(後述)に対して吹出装置51(後述)が配置された側(第1の側)のガラス基板Gの領域の部分(第1の部分)を浮上させる第1の浮上力と、吹出装置51に対して吸込装置52が配置された側(第2の側)のガラス基板Gの領域の部分(第2の部分)を浮上させる第2の浮上力と、を調節する機構である。第1の部分は、
図4に示される例において、吹出吸込ユニット50の吹出装置51(後述)から吹き出された気体が吹き付けられるガラス基板Gの領域の部分である。第2の部分は、
図4に示される例において、第1の部分と搬送方向の下流側に間隔をあけて位置する領域であって、第1の部分が位置する領域と同じ幅方向位置の領域の部分である。第1の部分、第2の部分がそれぞれ延在する幅方向の長さはそれぞれ、例えば、吹出装置51と吸込装置52の間の搬送方向の間隔の1/10〜1/3の長さである。
調節機構26は、具体的に、噴出機構22aから噴出される気体の圧力、および、吸引機構22cによる気体の吸込圧力を制御することで、第1の浮上力および第2の浮上力を調節する。調節機構26は、より具体的に、第1の部分が気体から板厚方向に受ける押付圧(後述)と略同等の基準圧力に基づいて、第1の浮上力を調節することで、第1の浮上力および第2の浮上力を調節する。具体的な調節の方法は、後述する。
【0039】
なお、
図4に示されるガラス基板搬送装置100では、浮上搬送されるガラス基板Gは、フロートパネルアレイ24を挟んで搬送方向の上流側および下流側に配置されたローラ40に支持される。
【0040】
(2−2)搬送ユニット
搬送ユニット30は、浮上ユニット20によって浮上させたガラス基板Gを、搬送方向に沿って搬送するユニットである。搬送ユニット30は、主として、
図7に示されるように、保持部32と、搬送部34とを備える。
【0041】
保持部32は、ガラス基板Gの端部(
図7において側端部G1)を保持する。保持部32は、例えば、ガラス基板Gを保持するための吸着機構を備えている。搬送部34は、保持部32を搬送方向に沿って移動させるリニア駆動機構を備えている。
【0042】
(2−3)吹出吸込ユニット
吹出吸込ユニット50は、ガラス基板Gの第1の側において、搬送ユニット30により搬送されるガラス基板Gよりも上方の位置から、ガラス基板Gの上面に向けて気体を噴出し、第2の部分の側に流れた気体を吸い込むユニットである。吹出吸込ユニット50は、具体的に、ガラス基板Gの上面上を、第1の側から第2の側に気体が流れるよう、気体の吹き出しおよび吸い込みを行う。なお、気体の流れる方向は、
図4に示される例においてガラス基板Gの搬送方向に沿った方向であるが、吹出装置51が配置された側から、吸込装置52が配置された側に流れる気流が形成されるのであれば、気体の流れる方向は、ガラスの搬送方向あるいは幅方向に対して傾斜していてもよい。また、気体の流れる方向は、複数あってもよい。この場合に、
図5(a)において幅方向を向く複数の矢印で示されるように、隣り合った気体の流れる方向が互いに逆向きであってもよく、
図5(b)において搬送方向を向く矢印で示されるように、吹出装置51の上流側および下流側において互いに逆向きであってもよい。なお、
図5(a)は、ガラス基板搬送装置100の変形例を示す斜視図であり、
図5(b)は、ガラス基板搬送装置100の別の変形例を示す斜視図である。
図5(a)に示す吹出吸込ユニット50は、吹出装置51および吸込装置52をそれぞれ複数有している。吹出装置51は、幅方向の両側に気体を吹き出す。
図5(b)において、吸込装置52は、搬送方向の両側に気体を吹き出す。
図5(b)に示す吹出吸込ユニット50は、1つの吹出装置51および複数の吸込装置52を有している。
【0043】
吹出吸込ユニット50は、吹出装置51と、吸込装置52とを有している。
吹出装置51は、気体をガラス基板Gの上面に向けて吹き出す装置である。気体は、例えば、空気、窒素ガス、希ガス等である。吹出装置51は、ガラス基板Gの幅方向に沿って延びるよう開口された吹出口51a(
図6参照)を有している。
図6は、ガラス基板搬送装置100のさらに別の変形例を説明する斜視図である。吹出口51aは、搬送されるガラス基板Gより上方であってガラス基板Gに近傍位置に位置しており、
図4に示す例において、搬送されるガラス基板Gの幅方向領域を超える幅方向領域にわたり位置している。吹出装置51から気体が吹き出されると、搬送されるガラス基板Gの第1の部分には、吹き出された気体の圧力のうち、板厚方向の下方を向く押付圧が作用する。なお、吹出装置51は、搬送方向に移動する保持部32と接触しないよう配置される。吹出装置51から吹き出される気体の圧力は、異物の除去力を高めるため、エアナイフで一般に用いられる吹出圧力よりも高いことが好ましい。
【0044】
吸込装置52は、吹出装置51から吹き出され、ガラス基板Gの上面上を第2の側に流れた気体を吸い込む装置である。吸込装置52によって気体が吸い込まれることで、搬送されるガラス基板Gの上面上に、第1の側から第2の側に向かって流れる気体の流れが形成される。ガラス基板Gに付着した異物は、この気体の流れに接触することで、ガラス基板Gから脱離し、除去される。異物は、例えば、ガラス基板の採板、切断、端面加工によって発生した微小なガラス片(切り屑)や、雰囲気中に存在する埃等である。
吸込装置52は、ガラス基板Gの幅方向に沿って延びるよう開口された吸込口52aを有している。吸込口52aは、
図4に示される例において、吹出装置51とほぼ同じ鉛直方向位置に配置されている。
【0045】
吹出装置51の吹出量と吸込装置52の吸込量は等しくてもよく、吹出装置51の吹出量よりも吸込装置52の吸込量が多くてもよい。また、吹出吸込ユニット50は、
図4に示す例において、ガラス基板Gの搬送経路上の所定位置に固定されているが、搬送方向に移動するよう構成されていてもよい。この場合、例えば、ガラス基板Gの搬送を一時的に停止させ、吹出吸込ユニット50を搬送方向に移動させることで、ガラス基板Gを搬送方向の全体にわたって異物の除去を行うことができる。
また、吹出吸込ユニット50は、搬送経路上の複数の位置に配置されていてもよい。この場合に、吹出装置および吸込装置の互いの配置位置が、吹出吸込ユニット50の間で異なっていてもよい。例えば、
図4に示される例とは逆に、吹出装置51が第2の側に配置され、吸込装置52が第1の側に配置されていてもよい。また、吹出吸込ユニット50の間で、吹出量および吸込量が異なっていてもよい。
また、吹出装置51は、ガラス基板Gに付着した異物を振動させ、除去しやすくするために、気体を吹き出すほか、さらに超音波を照射するものであっても良い。
【0046】
次に、本実施形態のガラス基板の搬送方法について説明する。
本実施形態のガラス基板の搬送方法は、ガラス基板に浮上力を与えて、ガラス基板の浮上状態を維持するステップと、浮上状態を維持しつつガラス基板を一方向に搬送するステップと、ガラス基板の主表面上を一方向に沿った方向または一方向と交差する方向に気体が流れるよう、浮上力が与えられるガラス基板の主表面と反対側の主表面の側で(例えば主表面に向けて)気体を吹き出すステップと、を備え、浮上状態を維持するステップでは、ガラス基板が略水平な姿勢で搬送されるよう、ガラス基板が気体から板厚方向に受ける押付圧を受けるガラス基板の領域に与える浮上力を調節する。
このガラス基板の搬送方法では、浮上状態に維持されつつ搬送されるガラス基板の主表面のうち、浮上力が与えられる主表面と反対側の主表面の側で気体が吹き出され、当該主表面上を、搬送方向(一方向)に沿った方向または搬送方向と交差する方向に気体が流れる。この気体の流れが、ガラス基板の主表面に付着した異物に接触することで、異物は主表面から除去される。一方で、ガラス基板に与えられる浮上力が上記のように調節されることによって、吹き出された気体から押付圧を受けたガラス基板の部分が、浮上力に抗して沈み込むことが抑制される。このため、ガラス基板の撓みの発生が抑えられ、ガラス基板を略水平な姿勢で搬送することができる。すなわち、本実施形態によれば、搬送中のガラス基板の撓みを抑制しつつ、ガラス基板の表面に付着した異物を除去することができる。なお、主表面の側で気体を吹き出す態様として、当該主表面に向けて気体を吹き出す態様のほか、吹き出された気体の少なくとも一部が当該主表面に吹き付けられる態様が含まれる。また、主表面の側という場合、主表面と平行な方向に延在する平面内の位置であってガラス基板の端から外側の位置も、主表面の側に含まれる。
【0047】
より具体的に、本実施形態のガラス基板の搬送方法を説明する。
図2に示す例において、端面加工工程(S4)が終了すると、ガラス基板Gは、ガラス基板搬送装置100によって搬送方向に沿って搬送される。具体的に、ガラス基板Gは、ローラ40で支持されながら、浮上ユニット20から吹き出される気体によってフロートパネルアレイ24の上面から所定の浮上高さ浮上した状態が維持される。この状態で搬送されることで、ガラス基板Gは浮上状態を維持しつつ搬送される。そして、ガラス基板Gは、搬送経路上の所定位置で、吹出吸込ユニット50によって形成された、第1の部分の側から第2の部分の側に流れる気流に接触することで、ガラス基板Gの上面に付着したガラス屑等の異物は、ガラス基板Gの上面から脱離し、除去される。
【0048】
このとき、ガラス基板Gの第1の部分には、吹出装置51によって吹き出された気体によって板厚方向の下方に押付圧が作用し、第1の部分は下方に沈み込もうとする。調節機構26は、このような沈み込みを抑制するために、第1の浮上力と第2の浮上力とを調節する。具体的には、第1の浮上力を、押付圧と略同等の基準圧力に基づいて調節することで、第1の浮上力と第2の浮上力とを調節する。押付け圧と略同等の基準圧力とは、圧力の大きさが押付圧と略同等であり、かつ、圧力の向きが押付圧と逆向きである圧力をいう。圧力の大きさが略同等であるとは、基準圧力の大きさが、例えば、押付圧の絶対値の±10%の範囲内にあることをいう。また、基準圧力に基づいて第1の浮上力を調節するとは、具体的には、基準圧力に、気体が吹き出される第1の部分の領域の面積を乗じて計算される力に基づいて、第1の浮上力を調節することをいう。第1の部分の領域の面積は、例えば、第1の部分の幅方向長さに第1の部分の搬送方向長さを掛けることで計算される。第1の浮上力は、具体的には、第1の部分と対向するフロートパネルアレイ24の領域における、噴出機構22aから噴出される気体による上向きの力と、吸引機構22cによって気体が吸引されることで生じる下向きの力との合力である。基準圧力に基づいて第1の浮上力を調整することの具体的な態様として、第1の浮上力を、上記計算される力と等しくなるよう、噴出機構22a及び吸引機構22cを調節することが挙げられる。このように基準圧力に基づいて第1の浮上力を調節することで、押圧力に抗して第1の部分の浮上高さを維持することができ、ガラス基板Gを略水平な状態に保つことができる。なお、第1の浮上力の調節は、例えば、フロートパネルアレイ24の上面からの第1の部分の浮上高さを測定しながら行うことができる。
【0049】
このように第1の浮上力を調節することにより、ガラス基板Gの第1の部分が下方への沈み込みが抑制され、ガラス基板Gの撓みが抑制される。これにより、ガラス基板Gを略水平な姿勢で搬送することができる。本実施形態によれば、搬送中のガラス基板Gの撓みを抑制しつつ、ガラス基板Gの表面に付着した異物を除去することができる。
【0050】
なお、調節機構26による第1の浮上力および第2の浮上力の調節には、第1の浮上力を行うことによって、第2の浮上力が第1の浮上力に対して相対的に調節されることも含まれる。すなわち、第1の浮上力の調節だけを行い、第2の浮上力の調節を行わなくてもよい。一方で、第1の浮上力および第2の浮上力の両方の調節を行ってもよい。第2の浮上力の調節は、第2の部分、あるいは、吹出装置51と対向するフロートパネルアレイ24の領域にある噴出機構22aおよび吸引機構22cを調節することで行うことができる。
【0051】
第1の浮上力の調節は、ガラス基板Gが吹き飛ばない程度の吸着力を維持するため、噴出機構22aおよび吸引機構22cの少なくとも一方を調節することにより行うことができる。また、第1の浮上力を精度よく調節するために、調節機構26は、搬送方向にわたって存在する噴出機構22aおよび吸引機構22cのうち、同じ搬送方向位置にある噴出機構22aおよび吸引機構22cごとに、第1の浮上力を調節してもよい。
また、調節機構26による調節は、第1の浮上力の第2の浮上力の調節に制限されず、第1の部分および第2の部分を除く領域の浮上力の調節を含むものであってもよく、ガラス基板G全体を浮上させる浮上力の調節であってもよい。
【0052】
図6を参照して、ガラス基板搬送装置100の変形例を説明する。
この変形例の構成、および、変形例によって行われるガラス基板の搬送方法は、以降の説明を除いて、上記実施形態と同様である。
なお、
図6において、搬送ユニット30の図示は省略されている。また、
図6に示すフロートパネルアレイ24は、吹出吸込ユニット50をわかりやすく説明するために、ガラス基板Gの幅方向の領域のうち、両端を含む領域が省略されている。
図6において、ガラス基板Gとフロートパネル22との間の間隔は誇張して示されている。
【0053】
この変形例の調節機構26は、ガラス基板Gが略水平な姿勢で搬送されるよう、ガラス基板Gの一方の側端部G1(第1の端部)を浮上させる第1の浮上力と、他方の側端部G2(第2の端部)を浮上させる第2の浮上力と、を調節する機構である。側端部G1および側端部G2は、ガラス基板Gの幅方向の端を含む部分であって、幅方向の端から幅方向の内側に向かって延在する部分をいう。側端部G1、側端部G2がそれぞれ延在する幅方向の長さはそれぞれ、例えば、ガラス基板Gの幅方向長さの1/10〜1/3の長さであり、例えば、幅方向の端から幅方向に0mmを超え40mm以下の長さである。なお、
図6において、側端部G1は、後述する吹出吸込ユニット50によって気体が吹き出される領域によって示され、側端部G2は、この領域と同じ搬送方向位置の領域で示される。
【0054】
搬送ユニットは、上記説明した搬送ユニット30である。
【0055】
吹出吸込ユニット50は、ガラス基板Gの側端部G1の側において、搬送ユニット30により搬送されるガラス基板Gよりも上方の位置から、ガラス基板Gの上面に向けて気体を噴出し、側端部G2の側に流れた気体を吸い込むユニットである。吹出吸込ユニット50は、具体的に、ガラス基板Gの上面上を、側端部G1の側から側端部G1の側に気体が流れるよう、気体の吹き出しおよび吸い込みを行う。なお、気体の流れる方向は、
図6に示される例においてガラス基板Gの幅方向に沿った方向であるが、吹出装置51が配置された幅方向の側(第1の側)から吸込装置52が配置された幅方向の側(第2の側)に流れる気流が形成されるのであれば、気体の流れる方向は、ガラスの搬送方向あるいは幅方向に対して、X方向の側あるいはX方向と逆側に傾斜した方向であってもよい。
【0056】
吹出吸込ユニット50は、吹出装置51と、吸込装置52とを有している。
吹出装置51は、気体をガラス基板Gの上面に向けて吹き出す装置である。気体は、例えば、空気、窒素ガス、希ガス等である。吹出装置51は、ガラス基板Gの搬送方向に沿って延びるよう開口された吹出口51aを有している。吹出口51aは、搬送されるガラス基板Gより上方に位置しており、
図6に示す例において、搬送されるガラス基板Gの幅方向の外側に位置している。吹出装置51から気体が吹き出されると、搬送されるガラス基板Gの側端部G1には、吹き出された気体の圧力に応じた大きさの、板厚方向の下方を向く押付圧が作用する。なお、吹出装置51は、搬送方向に移動する保持部32と接触しないよう配置される。
【0057】
吸込装置52は、吹出装置51から吹き出され、ガラス基板Gの上面上を側端部G2の側に流れた気体を吸い込む装置である。吸込装置52によって気体が吸い込まれることで、搬送されるガラス基板Gの上面上に、側端部G1の側から側端部G2の側に向かって流れる気体の流れが形成される。
吸込装置52は、ガラス基板Gの搬送方向に沿って延びるよう開口された吸込口52aを有している。吸込口52aは、
図6に示される例において、搬送されるガラス基板Gとほぼ同じ鉛直方向位置に配置され、搬送されるガラス基板Gの幅方向の外側に位置している。
【0058】
吹出吸込ユニット50は、
図6に示す例において、ガラス基板Gの搬送経路上の所定位置に固定されているが、搬送方向に移動するよう構成されていてもよい。この場合、例えば、上記搬送部34によってガラス基板Gの搬送を一時的に停止させ、吹出吸込ユニット50を搬送方向に移動させることで、ガラス基板Gを搬送方向の全体にわたって異物の除去を行うことができる。
また、吹出吸込ユニット50は、例えば、
図6に示される例とは逆に、吹出装置51が側端部G2の側に配置され、吸込装置52が側端部G1の側に配置されていてもよい。
【0059】
図6に示す変形例では、ガラス基板Gは、保持部32によって側端部G1が保持されとともに、浮上ユニット20から吹き出される気体によってフロートパネルアレイ24の上面から所定の浮上高さ浮上した状態が維持される。この状態で搬送部34により搬送されることで、ガラス基板Gは浮上状態を維持しつつ搬送される。そして、ガラス基板Gは、搬送経路上の所定位置で、吹出吸込ユニット50によって形成された、側端部G1の側から側端部G2の側に流れる気流に接触することで、ガラス基板Gの上面に付着したガラス屑等の異物は、ガラス基板Gの上面から脱離し、除去される。
【0060】
このとき、ガラス基板Gの側端部G1には、吹出装置51によって吹き出された気体によって板厚方向の下方に押付圧が作用し、側端部G1は下方に沈み込もうとする。調節機構26は、このような沈み込みを抑制するために、第1の浮上力と第2の浮上力とを調節する。具体的には、第1の浮上力を、押付圧と略同等の基準圧力に基づいて調節することで、第1の浮上力と第2の浮上力とを調節する。押付け圧と略同等の基準圧力とは、圧力の大きさが押付圧と略同等であり、かつ、圧力の向きが押付圧と逆向きである圧力をいう。圧力の大きさが略同等であるとは、基準圧力の大きさが、例えば、押付圧の絶対値の±10%の範囲内にあることをいう。また、基準圧力に基づいて第1の浮上力を調節するとは、具体的には、基準圧力に、気体が吹き出される側端部G1の領域の面積を乗じて計算される力に基づいて、第1の浮上力を調節することをいう。第1の浮上力は、具体的には、側端部G1と対向するフロートパネルアレイ24の領域における、噴出機構22aから噴出される気体による上向きの力と、吸引機構22cによって気体が吸引されることで生じる下向きの力との合力である。基準圧力に基づいて第1の浮上力を調整することの具体的な態様として、第1の浮上力を、上記計算される力と等しくなるよう、噴出機構22a及び吸引機構22cを調節することが挙げられる。このように基準圧力に基づいて第1の浮上力を調節することで、押圧力に抗して側端部G1の浮上高さを維持することができ、ガラス基板Gを略水平な状態に保つことができる。なお、第1の浮上力の調節は、例えば、フロートパネルアレイ24の上面からの側端部G1の浮上高さを測定しながら行うことができる。
【0061】
このように第1の浮上力を調節することにより、ガラス基板Gの側端部G1が下方への沈み込みが抑制され、ガラス基板Gの撓みが抑制される。これにより、ガラス基板Gを略水平な姿勢で搬送することができる。本実施形態によれば、搬送中のガラス基板Gの撓みを抑制しつつ、ガラス基板Gの表面に付着した異物を除去することができる。
【0062】
なお、第2の浮上力の調節は、側端部G2と対向するフロートパネルアレイ24の領域にある噴出機構22aおよび吸引機構22cを調節することで行うことができる。また、調節機構26による調節は、第1の浮上力の第2の浮上力の調節に制限されず、側端部G1および側端部G2を除く領域の浮上力の調節を含むものであってもよく、ガラス基板G全体を浮上させる浮上力の調節であってもよい。
【0063】
以上、本発明のガラス基板の搬送方法およびガラス基板搬送装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
ガラス基板の搬送方法は、端面加工工程の後に制限されず、例えば、採板工程の後、端面加工工程の後に行われてもよい。また、複数の工程の後に行われてもよい。
また、ガラス基板に浮上力を与えることを、ガラス基板に流体を吹き付けることによって行うことに制限されず、他の手段を用いて行ってもよい。