特許第6691061号(P6691061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691061
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】金属ドープ酸化セリウム組成物
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/00 20200101AFI20200421BHJP
   C01G 25/00 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 23/10 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20200421BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20200421BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200421BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20200421BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20200421BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20200421BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200421BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   C01F17/00 B
   C01G25/00
   B01J23/10 A
   B01J32/00
   B01J35/10 301J
   B01J37/03 B
   B01J37/04 102
   B01J37/08
   B01J35/02 H
   B01D53/94 100
   C09K3/14 550D
   C09G1/02
   B24B37/00 H
   H01L21/304 622D
   F01N3/10 A
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-572783(P2016-572783)
(86)(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公表番号】特表2017-529296(P2017-529296A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2015064177
(87)【国際公開番号】WO2015197656
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】14290182.6
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大竹 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 学
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 利裕
(72)【発明者】
【氏名】須田 栄作
(72)【発明者】
【氏名】ダランソン, ロリアンヌ
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−501346(JP,A)
【文献】 特表2010−505735(JP,A)
【文献】 特表2008−538349(JP,A)
【文献】 特開2003−027045(JP,A)
【文献】 特開平09−221304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00−17/00
B01D 53/94
B01J 23/10
B01J 32/00
B01J 35/02
B01J 35/10
B01J 37/03
B01J 37/04
B01J 37/08
B24B 37/00
C01G 25/00
C09G 1/02
C09K 3/14
F01N 3/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化セリウム(IV)および少なくとも金属(M)酸化物を含む組成物を調製するための方法であって、以下の工程:
(a)硝酸セリウム(III)であるセリウム(III)塩、硝酸セリウム(IV)または酸化セリウム(IV)であるセリウム(IV)化合物および金属(M)硝酸塩である金属(M)の塩を含む溶液を提供する工程であって;セリウム(III)/セリウム(IV)化合物モル比が、50/1〜5000/1の間に含まれる、工程と、
(b)この溶液を、不活性雰囲気下で、塩基と接触させ、それによって、沈殿物が得られる工程と、
(c)工程(b)で得られた媒体を不活性雰囲気下で熱処理に供し、それによって、組成物が得られる工程であって、前記組成物の金属(M)酸化物酸化セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれる、工程と
を含み、工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で行われる、方法。
【請求項2】
前記方法が、前の工程で得られた生成物を酸性化および洗浄する工程(d)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)での酸性化後の媒体のpHが、2〜5の間に含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、工程(c)または(d)の終了後、前の工程で得られた生成物を焼成する工程(e)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
セリウム(III)/セリウム(IV)化合物モル比が、75/1〜500/1の間に含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
金属(M)が、Zr、Al、La、Pr、Nd、YおよびSrからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属(M)酸化物酸化セリウム(IV)のモル比が、1〜7%の間に含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属(M)酸化物酸化セリウム(IV)のモル比が0.1〜15%の間に含まれる、酸化セリウム(IV)および金属(M)酸化物を含む組成物であって、
前記組成物は、酸化セリウム(IV)および金属(M)酸化物を含む一次粒子からできている二次粒子を含み、前記一次粒子は、10〜60nmの間に含まれる平均サイズD50を有し、
− 20〜100m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 300℃で4時間焼成後の比表面積と比較して、1〜60%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の比表面積の減少率
を示す、組成物。
【請求項9】
一次粒子の平均サイズD50が、15〜40nmの間に含まれる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
一次粒子が、前記平均サイズの値の最大で30%の標準偏差を有する平均サイズD50を有する、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
金属(M)が、希土類元素およびアルカリ土類金属元素からなる群から選択され、前記金属(M)は、セリウムよりも高いイオン半径値を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、
− 20〜80m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 300℃で4時間焼成後の比表面積と比較して、1〜35%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の、比表面積の減少率
を示す、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
金属(M)が、遷移金属元素およびポスト遷移金属元素からなる群から選択され、前記金属(M)は、セリウムよりも低いイオン半径値を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、
− 60〜100m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 300℃で4時間焼成後の比表面積と比較して、1〜60%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の、比表面積の減少率
を示す、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物を得るための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項8〜14のいずれか一項に定義されたとおりの組成物、および液相を含む、懸濁液。
【請求項17】
基板の一部を除去する方法であって、
− 少なくとも請求項16に記載の懸濁液および研磨されるべき基板を接触させる工程と、
− 基板上で研磨を行う工程と
を含む、方法。
【請求項18】
基板の一部を除去する方法であって、
− 少なくとも請求項16に記載の懸濁液を提供する工程と、
− 少なくとも懸濁液および研磨されるべき基板を接触させる工程と、
− 基板上で研磨を行う工程と
を含む、方法。
【請求項19】
少なくとも請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物を含む、触媒システム。
【請求項20】
請求項19に記載の触媒システムが使用されることを特徴とする、内燃機関からの排ガスを処理するための方法。
【請求項21】
ガスを請求項19に記載の触媒システムと接触させることを含む、空気を浄化するための方法。
【請求項22】
酸化セリウム(IV)および少なくとも金属(M)酸化物を含む組成物と、液相とを含む懸濁液を調製するための方法であって、以下の工程:
(a)硝酸セリウム(III)であるセリウム(III)塩、硝酸セリウム(IV)または酸化セリウム(IV)であるセリウム(IV)化合物および金属(M)硝酸塩である金属(M)の塩を含む溶液を提供する工程であって;セリウム(III)/セリウム(IV)化合物モル比が、50/1〜5000/1の間に含まれる、工程と、
(b)この溶液を、不活性雰囲気下で、塩基と接触させ、それによって、沈殿物が得られる工程と、
(c)工程(b)で得られた媒体を不活性雰囲気下で熱処理に供し、それによって、組成物が得られる工程であって、前記組成物の金属(M)酸化物酸化セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれる、工程と、
(d)組成物を液相と混合する工程と
を含み、工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で行われる、方法。
【請求項23】
酸化セリウム(IV)および少なくとも金属(M)酸化物を含む組成物を含む触媒システムを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)硝酸セリウム(III)であるセリウム(III)塩、硝酸セリウム(IV)または酸化セリウム(IV)であるセリウム(IV)化合物および金属(M)硝酸塩である金属(M)の塩を含む溶液を提供する工程であって;セリウム(III)/セリウム(IV)化合物モル比が、50/1〜5000/1の間に含まれる、工程と、
(b)この溶液を、不活性雰囲気下で、塩基と接触させ、それによって、沈殿物が得られる工程と、
(c)工程(b)で得られた媒体を不活性雰囲気下で熱処理に供し、それによって、組成物が得られる工程であって、前記組成物の金属(M)酸化物酸化セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれる、工程と
を含み、工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セリウムおよび金属酸化物を含む金属ドープセリウム組成物を沈殿によって生成させるためのプロセスに関する。本発明はまた、高い微結晶サイズを与え、かつ高い熱安定性を示す金属ドープセリウム組成物に関し、これは、触媒担体としてまたは研磨用途のために使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
先行技術についての以下の考察は、本発明を適切な技術的前後関係に置き、その利点がより十分に理解されることを可能にするために提供される。しかし、本明細書の全体にわたっての先行技術のいかなる考察も、そのような先行技術が広く知られているかまたは当該分野における共通の一般知識の一部を形成するという明確なまたは暗黙の了解と見なされるべきでないことは十分よく理解されるべきである。
【0003】
酸化セリウムは、触媒または触媒担体として、および同様に研磨用途のために普通に使用されている。触媒作用用途に関して、触媒と反応物質の間の接触面積が増加するにつれて、触媒の有効性が一般に増加することは周知である。これを達成するために、触媒は、可能な限り微粉化されている状態で保たれる、すなわち、それを構成する固体粒子は可能な限り小さく、かつ個別化されていることが必要である。したがって、担体の基本的役割は、可能な最も微粉化された状態で、触媒粒子または微結晶を反応物質と接触状態に保つことである。研磨用途に関して、電子産業の発展は、ディスクまたは誘電体化合物などの様々な部品の研磨のための組成物のますます多くの使用を必要としている。これらの組成物は、懸濁液の形態であり、それらは、いくらかの特徴に対応しなければならない。例えば、それらは、材料の高い除去度を与えなければならず、これは、それらの砥粒性能を反映する。それらはまた、可能な限り低い欠陥性を有しなければならず;用語「欠陥性」は、特に、組成物で一度処理された基板により示される引っ掻き傷の量を意味することが意図される。安定性および使用の容易さの理由で、これらの懸濁液は、サブミクロン寸法、すなわち、一般に300nm未満の粒子からならなければならない。加えて、これらの懸濁液中で微細過ぎる粒子の存在はそれらの砥粒性能を低下させ、大き過ぎる粒子は欠陥性の増加の一因になり得る。
【0004】
セリウムを様々な元素でドーピングすることも、いくつかの目的のために、例えば、特異的な触媒作用用途、特に、CSF(触媒化煤フィルタ)およびDOC(ディーゼル酸化触媒)での酸素貯蔵容量を改善すること、ならびにまた、特に化学機械研磨のために、研磨速度および表面仕上げを改善することが興味深いと考えられるその酸素イオン伝導のために、これらの用途について公知である。
【0005】
しかしながら、セリウムのドーピングは、時間および温度に対するこれらの化合物の比表面積の劇的な減少をもたらし、その場合に低い熱安定性を示すと思われる。したがって、十分な熱安定性を維持しながら触媒作用および研磨などの様々な用途で十分な特性に到達することができるセリウム混合酸化物の開発は、複雑な問題であることが理解される。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記に特定された不利点なしで、かつ純セリウム化合物よりもさらにより高い、重要な熱安定性を有するセリウムベース混合酸化物組成物を調製するための新規なプロセスを開発することである。したがって、本発明は、酸化セリウムおよび金属酸化物を含む金属ドープセリウム組成物を沈殿によって生成させるためのプロセスに関する。本発明はまた、高い微結晶サイズを与え、かつ高い熱安定性を示す金属ドープセリウム組成物に関し、これは、触媒担体として、または研磨用途のために使用されてもよい。本発明の組成物はまた、様々な触媒作用用途に使用されてもよい、良好なNOx貯蔵および還元能力も与える。熱分解後に比表面積の良好な保存を示す本発明のセリウムベース混合酸化物はまた、内燃機関の排ガスの処理にとって興味深い有効な酸素貯蔵能力(「OSC」)も与える。
【0007】
したがって、本発明は、酸化セリウムおよび少なくとも金属(M)酸化物を含む組成物を調製するためのプロセスであって、前記金属(M)酸化物は酸化セリウムではなく、以下の工程:
(a)セリウム(III)塩、セリウム(IV)化合物および少なくとも金属(M)の塩を含む溶液を提供する工程であって;セリウム(III)塩/セリウム(IV)化合物モル比は、50/1〜5000/1の間に含まれる工程と、
(b)この溶液を塩基と不活性雰囲気下で接触させ、それによって沈殿物が得られる工程と、
(c)工程(b)で得られた媒体を不活性雰囲気下で熱処理に供し、それによって組成物が得られる工程であって、前記組成物の金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれる工程と
を含み、工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で行われる、プロセスに関する。
【0008】
したがって、本発明のプロセスは、金属(M)ドープ酸化セリウム(IV)組成物;すなわち、不純物として通常は存在するよりも大きい濃度で存在する1種以上の金属(M)ドーパントを含有する組成物を生成させることを可能にし;ここで、前記組成物の金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれる。ドーパントの組合せも考慮される。
【0009】
本発明はまた、このプロセスによって得られやすい組成物に関する。
【0010】
定義
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下に続く説明および本発明を例示することを意図する具体的な、しかし非限定的な実施例を読むとさらにより十分に明らかになる。
【0011】
特許請求の範囲を含めて、本説明の全体にわたって、用語「1つを含む」は、特に明記しない限り、用語「少なくとも1つを含む」と同じ意味であると理解されるべきであり、「〜の間に」は、その両端を含むと理解されるべきである。それ故、説明の継続において、特に断りがない限り、両端での値は、与えられている値の範囲に含まれることが明記される。
【0012】
表現「金属(M)」は、周期律表から、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類元素、アクチニド元素、遷移金属元素およびポスト遷移金属元素からなる群の元素を意味すると理解される。表現「希土類」は、イットリウムおよび57〜71(57と71を含む)の原子番号を有する周期表の元素からなる群の元素を意味すると理解される。遷移金属元素は、周期律表上で3〜12族を含む、周期律表のdブロックのいずれかの元素と定義される。貧金属としても知られる、ポスト遷移金属元素は、周期律表のpブロックの金属元素、特に、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛、ビスマスおよびポロニウムと定義される。
【0013】
「金属(M)酸化物」は、少なくとも酸素原子および少なくとも金属(M)を含む化合物である。「金属(M)の塩」は、少なくとも金属カチオンおよびアニオンを含むイオン化合物である。
【0014】
特に断りがない限り、含有量は、酸化物として示される。酸化セリウム(cerium oxide)は、酸化セリウム(ceric oxide)(酸化セリウム(IV)(cerium(IV)oxide))の形態である。
【0015】
以下に続く説明において、用語「比表面積」は、定期刊行の“The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)”に記載されているBrunauer−Emmett−Teller法から策定された標準ASTM D 3663−78に従って窒素吸着によって決定されるBET比表面積(SBET)を意味すると理解される。比表面積(SBET)は、以下の通りに、空気下に供された温度で前もって焼成された200mgの試料によって、MOUNTECH Co.,LTD.のMacsorb分析器を使用することによって得られてもよい。
【0016】
表面積値がその最後で得られる焼成は、空気中での焼成である。さらに、所定温度および所定時間について示される比表面積値は、特に断りのない限り、示された時間にわたって保持された温度での焼成に対応する。
【0017】
比表面積の減少率のパーセントは、酸化物組成物について、300℃で4時間焼成後の比表面積と比較して800℃で4時間焼成後の比表面積を測定することによって得られる。それは、以下の式:
減少率(%)=(300℃/4時間焼成後の比表面積−800℃/4時間焼成後の比表面積)/300℃/4時間焼成後の比表面積x100に従うその比表面積の変化に対応する。
【0018】
例えば、300℃で4時間焼成後に50m/gの比表面積、および800℃で4時間焼成後に37m/gの比表面積を示す混合酸化物は、26%の比表面積の減少率を与える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、上記プロセスの第1の工程(a)は、少なくともセリウム(III)塩、セリウム(IV)化合物、および金属(M)の塩を含む溶液を調製することにある。
【0020】
本発明の溶液は、少ない成分が多い成分内に一様に分布している液体混合物と定義される。
【0021】
セリウム(III)塩として、セリウム(III)の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、リン酸塩または炭酸塩、およびまたこれらの塩の混合物、例えば、混合硝酸塩/塩化物が使用されてもよい。公知の仕方において、この出発溶液は、セリウムが溶液中に全体的に存在するのに適した酸性度を有すべきである。出発溶液はまた、塩または酸化物であってもよいセリウム(IV)化合物を含む。これは、例えば、硝酸セリウム(IV)または酸化セリウム(IV)であり得る。媒体が酸化セリウム(IV)を含む場合、本発明の溶液はコロイド溶液を指す。コロイド懸濁液として知られることもある、コロイド溶液は、物質が液体に均一に懸濁している溶液である。
【0022】
セリウム(IV)化合物の量は、セリウム(III)塩/セリウム(IV)化合物モル比が、50/l〜5000/lの間、好ましくは75/l〜100/lの間、より好ましくは75/l〜500/lの間、再度より好ましくは100/l〜500/lの間に含まれるようなものである。
【0023】
溶液はまた、例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、または炭酸塩であってもよい金属(M)の塩を含む。本発明の溶液はまた、1種以上の金属(M)の塩を含んでもよい。
【0024】
金属(M)の塩は、特に
− 遷移金属元素、例えば、Zr、
− ポスト遷移金属元素、例えば、Al、
− 希土類元素、例えば、La、Pr、NdおよびY、ならびに
− アルカリ土類金属元素、例えば、Sr
からなる群から選択される、カチオン性金属(M)を含んでもよい。
【0025】
金属(M)の塩は、好ましくは硝酸ランタン、硝酸プラセオジム、硝酸ネオジムおよび硝酸ジルコニウムからなる群から選択される。
【0026】
工程(a)で調製された出発溶液は、不活性ガスによる通気によって前もって脱気され得る。用語「不活性ガス」または「不活性雰囲気」は、本説明において、酸素を含まない雰囲気またはガスを意味することが意図され、例えば、ガスは窒素またはアルゴンであることが可能である。
【0027】
本プロセスの第2の工程(b)は、溶液を塩基と反応させることにある。水酸化物タイプの生成物が、特に塩基として使用され得る。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、およびアンモニア水が挙げられてもよい。第2級、第3級または第4級アミンも使用され得る。
【0028】
塩基も、不活性ガスによる通気によって前もって脱気され得る。
【0029】
本プロセスの第2の工程の反応を行うために、接触させることは、反応物質を導入するいかなる順序でも行うことができる。しかしながら、塩基を含有する媒体中に溶液を導入することが好ましい。
【0030】
第2の工程は、不活性雰囲気下で、特に不活性ガスによるスイーピングとともに密閉反応器または半密閉反応器中で行われなければならない。接触をさせることは、一般に撹拌反応器中で行われる。
【0031】
最後に、この第2の工程は、一般に5〜50℃の間に含まれる温度で行われる。
【0032】
本プロセスの第3の工程(c)は、前の工程の最後に得られた反応媒体の熱処理である。この処理は、媒体を加熱し、それを、一般に30〜95℃の間、より特には60〜95℃の間に含まれる温度で維持することにある。この処理の継続時間は、10分〜10時間の間であり得る。
【0033】
工程(c)の間に、セリウム(III)塩からの3価セリウムイオンの4価セリウムイオンへの酸化が起こり、それにより、酸化セリウム(IV)を含む生成物を形成する。
【0034】
この処理も、不活性雰囲気下で行われなければならず、第2の工程についてのこの雰囲気に関しての説明がここで同様に適用される。同様に、処理は、撹拌反応器中で行われてもよい。
【0035】
本発明のプロセスの1つの特徴によれば、工程(a)、工程(b)または工程(c)の少なくとも1つは、硝酸イオン(NO)の存在下で行われるべきである。一般に、硝酸イオンは、例としてCe(NOまたは硝酸(HNO)などのNOアニオンを含む任意の供給源または材料により与えられてもよい。好ましくは、硝酸は、溶液の調製中に工程(a)で添加される。
【0036】
NO/Ce3+
のモル比で表現される、硝酸イオンの量は、一般に、好ましくは工程(a)もしくは工程(b)の間、または工程(c)の開始時に、1/3〜5/1の間である。
【0037】
本発明による組成物は、工程(c)の最後に得られてもよい。
【0038】
本発明のプロセスは、特に工程(c)の最後に、以下の工程の少なくとも1つ:
(d)前の工程で、特に工程(c)の最後の後で得られた生成物を酸性化および洗浄する工程、ならびに/または
(e)前の工程で、特に工程(c)もしくは工程(d)の最後の後で得られた生成物を焼成する工程
を任意選択で含んでもよい。
【0039】
工程(d)は、任意の順序で行われ得る2つの連続操作を含んでもよい。これらの操作は、第1に酸性化、第2に洗浄であってもよい。これらの操作は、酸性化に洗浄が続く一連の場合について、以下により具体的に記載される。
【0040】
酸性化は、一般に、酸の添加によって、工程(c)の最後に得られた生成物の冷却後に行われる。任意の無機または有機酸が使用され得る。硝酸がより特に使用される。添加される酸の量は、酸性化後の媒体のpHが2〜5の間に含まれるようなものである。
【0041】
次いで、本発明のプロセスは、好ましくはそのようにして得られた生成物を、2〜5の間に含まれるpHに、特に1分〜100分の間、好ましくは5分〜60分の間に含まれる時間酸性化し、このようにして得られた媒体を洗浄する工程(d)を含む。
【0042】
この操作は、空気下で行うことができ;通常、本プロセスのこの段階で不活性雰囲気下で手順を行うことはもはや必要でない。
【0043】
酸性化に洗浄が続いてもよく、この目的は、懸濁液から可溶性種、実質的に塩を除去することである。洗浄は、固体/液体分離によって、またはそれによらず様々な仕方で行われ得る。したがって、それは、固体粒子を液相から分離することによって、例えば、前面濾過、沈降または遠心分離によって行うことができる。次いで、得られた固体は、水相に再懸濁される。本プロセスはまた、接線濾過によって行われ得る。この洗浄は、例えば、懸濁液の所定の伝導率が得られるまで、必要に応じて任意選択で繰り返すことができ、それによって伝導率により、この懸濁液中に存在する不純物の量が測定される。
【0044】
上に示されるように、操作の順序は、ちょうど記載されたものと比較して逆にすることができる。したがって、工程(c)の最後に、および繰り返して言うが、一般に得られた媒体の冷却後に、次いで、洗浄が、上に記載されたように行われ得る。洗浄の最後に、次いで、得られた媒体の酸性化が行われてもよい。
【0045】
本発明による組成物は、工程(d)の最後に得られてもよい。
【0046】
工程(c)または工程(d)の後に、濾過ケーキを得るために濾過によって進行することも可能である。濾過ケーキは、先行技術で使用される標準的な方法によって乾燥および/または焼成され得る。得られた乾燥および/または焼成生成物はまた、特に触媒用途のために、必要に応じて粉砕されてもよい。
【0047】
工程(e)は、特に工程(c)または(d)の最後に、前の工程でそのようにして得られた生成物の焼成に関する。乾燥は、焼成の前に行われてもよい。前記焼成は、300〜1200℃の間に含まれる温度で、数分〜数時間の間の範囲であり得る期間にわたって行われてもよい。
【0048】
説明されてきた工程の最後に、超音波処理の装置、二重衝撃噴流処理の装置、または湿式ミル装置などの公知の解凝集装置で得られた組成物を処理することが可能である。
【0049】
本発明はまた、酸化セリウムおよび酸化セリウム以外の金属(M)酸化物を含み、金属(M)酸化物/酸化セリウムモル比は0.1〜15%の間に含まれる組成物であって;
− 20〜100m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 1〜60%の間、好ましくは1〜40%の間、より好ましくは1〜35%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の、比表面積の減少率
を示す組成物に関する。
【0050】
前に定義されたとおりの本発明の組成物は、特に定義されたとおりの以下の工程(a)、(b)、(c)ならびに任意選択で(d)および/または任意選択で(e)を含む、上に記載されたとおりのプロセスによって得られてもよい。
【0051】
本発明の混合酸化物は、特に立方結晶格子構造を有してもよい。
【0052】
本発明の混合酸化物の一次粒子(微結晶)の平均サイズD50は、10〜60nmの間、好ましくは15〜60nmの間、より好ましくは15〜40nmの間に含まれてもよい。一次粒子のサイズの平均値は、X線回折(XRD)技術によって決定されてもよい。XRDにより測定された値は、2つの最も強い回折線の幅に基づいて、Scherrerモデルを用いて計算されたコヒーレント範囲のサイズに対応する。
【0053】
これらの一次粒子は、微細かつ単分散であってもよい。それらは、前記平均サイズの値の最大で30%の標準偏差を有する平均サイズD50をもたらし得る。標準偏差は、通常の数学的意味を有し、それは分散の平方根であり、特に米国特許出願公開第2010/072417 A1号明細書に表されている。
【0054】
したがって、標準偏差は、分散の平方根であり、それは、式:
によって表され、
nは測定で考慮される粒子の数であり、
は、粒子iのサイズであり、
は、粒子のサイズの平均値(1/n Σ)である。
【0055】
n個の様々な粒子(n>300)のサイズが、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られた写真を使用して測定される。この標準偏差は、一次粒子の平均サイズD50の値の好ましくは最大で20%、より特には最大で15%、さらにより特には最大で10%のものであり得る。
【0056】
二次粒子は、一次粒子または微結晶と呼ばれる他のより微細な粒子からできている凝集体である。本発明の混合酸化物の二次粒子サイズD50は、好ましくは0.05〜30μmの間、好ましくは0.1〜20μmの間に含まれる。二次粒子のサイズは、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中のCeOの光学指数を1.2の値として、Horiba LA920 レーザ粒子サイズ測定装置を使用することによって測定されてもよい(体積での分布)。
【0057】
金属(M)酸化物/セリウム(IV)モル比は、0.1〜15%の間に含まれ、好ましくは0.5〜10%の間に含まれ、より好ましくは1〜7%の間に含まれる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、金属(M)は、希土類元素およびアルカリ土類金属元素からなる群から選択されてもよく、前記金属(M)は、例えば、La、Pr、Nd、YおよびSrなどは、セリウムよりも高いイオン半径値を有する。これらの元素のイオン半径値は、以下の表に挙げられる。
【0059】
【0060】
本発明は、特に、酸化セリウムおよび金属(M)酸化物を含む組成物に関し、ここで:
− 金属(M)は、希土類元素およびアルカリ土類金属元素からなる群から選択され;前記金属は、セリウムより高いイオン半径値を有し、ならびに
− 金属(M)酸化物/酸化セリウムモル比は、0.1〜15%の間に含まれる。
【0061】
前記組成物は、
− 20〜80m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 1〜35%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の、比表面積の減少率
を示し得る。
【0062】
前記組成物は、0.05〜2μmの間に含まれる、好ましくは0.1〜1μmの間に含まれる、粒子サイズD50を有する二次粒子をもたらし得る。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、本発明の混合酸化物を形成する金属(M)は、遷移金属元素およびポスト遷移金属元素からなる群から選択されてもよく、前記金属(M)は、例えば、AlおよびZrなどは、セリウムよりも低いイオン半径値を有する。これらの元素のイオン半径値は、以下の表に挙げられる。
【0064】
【0065】
したがって、本発明は、酸化セリウムおよび金属(M)酸化物を含む組成物に関し、ここで、
− 金属(M)は、遷移金属元素またはポスト遷移金属元素からなる群から選択され、前記金属は、セリウムよりも低いイオン半径値を有し、および
− 金属(M)酸化物/酸化セリウムモル比は、0.1〜15%の間に含まれる。
【0066】
前記組成物は、
− 60〜100m/gの間に含まれる、300℃で4時間焼成後の、比表面積、および
− 1〜60%の間に含まれ、好ましくは1〜50%の間に含まれる、800℃で4時間焼成後の、比表面積の減少率
を示し得る。
【0067】
前記組成物は、1〜30μmの間に含まれ、好ましくは5〜20μmの間に含まれる粒子サイズD50を有する二次粒子をもたらし得る。
【0068】
本発明はまた、少なくとも上に定義されたとおりのプロセスによって得られる組成物、または上に定義されたとおりの組成物および液相を含む懸濁液に関する。本発明による懸濁液の液相は、様々な性質のもの、例えば、水および/または有機液体、例えば、有機溶媒であってもよい。
【0069】
それは、まず第一に水であり得る。それはまた、水/水混和性溶媒混合物であり得る。この種の溶媒の一例として、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、エチレングリコールモノアセテートなどのグリコールのアセテート誘導体、またはポリオールが挙げられてもよい。
【0070】
液相はまた、有機液体、例えば、有機溶媒からなってもよい。有機液体の一例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはノナンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタンまたはシクロヘプタンなどの不活性脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンまたは液体ナフタレンなどの芳香族炭化水素が挙げられてもよい。IsoparまたはSolvessoタイプ(Exxon社により登録された商標)、特にメチルエチルベンゼンとトリメチルベンゼンの混合物を実質的に含有するSolvesso100、特にジメチルベンゼンとテトラメチルベンセンとの、アルキルベンゼンの混合物を含有するSolvesso150ならびにC11およびC12のイソパラフィン系およびシクロパラフィン系炭化水素を実質的に含有するIsoparの石油留分も好適である。また挙げられてもよい石油留分の他のタイプには、Petrolink社のPetrolink(登録商標)タイプまたはTotal社のIsane(登録商標)タイプのものが含まれる。
【0071】
塩素化炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンまたはクロロトルエンも、有機液体として使用され得る。脂肪族および脂環式エーテルまたはケトン、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンまたはメシチルオキシドが想定され得る。
【0072】
エステル、例えば、酸と、C〜Cアルコールとの反応に由来するものなど、特にイソプロパノールなどの第二級アルコールのパルミテートが使用され得る。例として、酢酸ブチルが挙げられてもよい。
【0073】
液相は、上記のタイプの2種以上の炭化水素または化合物の混合物をベースにすることができる。
【0074】
懸濁液は、全体的酸化物含有量、すなわち、酸化セリウムおよび金属(M)酸化物の含有量を有してもよく、これは、広い限界内で変わり得、かつ、例えば、酸化物の質量で1〜40%の間、特に酸化物の質量で5%〜30%の間に含まれ得る。液相は、通常懸濁液の重量で100%への補足に相当する。
【0075】
同様に、これらの懸濁液のpHは、広い範囲内、一般には2〜9の間、より特には2〜8の間にあることができ、残存する懸濁液は、このpHの範囲内で、以下に与えられる意味の範囲内で安定である。安定性は、アニオン性または双性イオンポリマーまたは分子などの化合物を懸濁液に添加することによって、公知の仕方で改善され得る。この種の化合物として、以下:エチレン性不飽和、直鎖もしくは分岐、脂肪族、環式もしくは芳香族のモノカルボン酸もしくはポリカルボン酸または無水物の中から選択される少なくとも1種のモノマーを重合させることによって得られる化合物を挙げることができる。ポリアクリル酸またはクエン酸が例として挙げられてもよい。
【0076】
本発明の懸濁液は安定であることが留意される。これは、沈降ケーキの形成が、数日、例えば、少なくとも8日より前にこれらの懸濁液で観察されないことを意味することが意図される。さらに、沈降ケーキは、それが形成する場合、簡単な攪拌によって再懸濁され得る。
【0077】
部分的または完全に水以外の有機液体媒体中の懸濁液の場合、この懸濁液は、知られた仕方で、まさに説明されたプロセスによって、および有機液体と接触させることによって得られるとおりに水性懸濁液から調製され得る。
【0078】
その機能が水相から有機相への粒子の移動を加速させ、得られる有機懸濁液の安定性を向上させることである促進剤を有機相に添加することが有利であり得る。
【0079】
促進剤として、アルコール官能基を含む化合物、最も特には6〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐脂肪族アルコールが使用されてもよい。具体例として、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、またはそれらの混合物が挙げられてもよい。
【0080】
接触させることは、周囲温度、例えば、およそ20℃で、しかしまた、例えば、60〜150℃の範囲での、より高い温度で行うことができる。
【0081】
水相と有機相の分離は、例えば、有機溶媒の性質に依存して蒸留、沈降または遠心分離によって行われる。
【0082】
本発明はまた、酸化物粒子の再分散性粉末に関する。液相中への導入および液相中への再分散後に、上に記載されたとおりの本発明による懸濁液を生成することは、この粉末の特徴である。再分散は、液相中での粉末の簡単な攪拌によって行われる。この粉末は、乾燥させ、次いで、例えば、最大で300℃、特に100〜200℃の間であってもよい温度で数分〜数時間の範囲であり得る期間にわたって焼成することによって、本発明による懸濁液から得ることができる。この乾燥は、炉、オーブンまたはスプレー乾燥機を使用することによってなされてもよい。
【0083】
本発明のある実施形態によれば、本発明はまた、上に記載されたとおりの懸濁液、または上に記載されたプロセスによって得られるとおりの懸濁液、さもなければ本発明による粉末の再懸濁後に得られる懸濁液のいずれかを含む、研磨のための懸濁液に関する。この懸濁液は、例えば、結晶作製または鏡産業におけるガラス、板ガラス、テレビ画面または眼鏡の研磨のために、さもなければセラミック、またはガラス質タイプの他の材料の研磨のために使用され得る。この懸濁液はまた、最も特には電子産業におけるCMP型研磨に、したがって、マイクロプロセッサを構成することになる金属基板の研磨に、ただしまた、これらの同じマイクロプロセッサの絶縁層または層間絶縁膜(ILD)層の研磨にも使用することができ、本発明の懸濁液は、前記層の研磨に特に適する。化学機械平坦化(CMP)は、浅いトレンチ分離(Shallow Trench Isolation)(STI)を可能にする重要なプロセスであり、これは、デバイス分離を達成するために電流集積回路製造プロセスで使用される。これらの層は、一般にシリカ、例えば、ドープシリカまたは多孔質シリカから作られている。この懸濁液はまた、集積回路での配線および障壁のための金属CMP、特に合成石英ガラスから作られているフォトマスク基板の研磨に使用されてもよい。
【0084】
一般に、このような懸濁液は、砥粒特性を有する化合物、例えば、本発明の酸化物粒子に加えて、分散剤または酸化剤などの添加剤を含む。
【0085】
本発明はまた、特にCMP操作において、基板の一部を除去する方法であって、
− 少なくとも本発明の組成物を含む懸濁液および研磨されるべき基板を接触させる工程と、
− 基板上で研磨を行う工程と
を含む方法に関する。
【0086】
好ましくは、本発明は、特にCMP操作において、基板の一部を除去する方法であって、
− 少なくとも本発明の組成物を含む懸濁液を提供する工程と、
− 少なくとも懸濁液および研磨されるべき基板を接触させる工程と、
− 基板上で研磨を行う工程と
を含む方法に関する。
【0087】
本発明のある実施形態によれば、本発明はまた、少なくとも上に記載されたとおりの組成物を含む触媒システムに関する。この触媒システムは、これらの組成物をベースとし、触媒特性を持った、コーティング(ウォッシュコート)を、例えば、金属またはセラミックモノリス型の基板上に含むことができる。そのようなモノリス型は、例えば、炭化ケイ素、コーディエライトまたはチタン酸アルミニウムをベースとするフィルタ型であり得る。コーティングはそれ自体また、上述のもののタイプの担体を含むことができる。このコーティングは、基板上にその後堆積させることができる懸濁液を形成するために、本組成物を担体と混合することによって得られる。
【0088】
本発明のこれらの触媒システムおよびより特に組成物は、いくつかの用途を有することができる。それらは、例えば、炭化水素または他の有機化合物の脱水、水硫化(hydrosulfurization)、水素化脱窒素、脱硫、水素化脱硫、脱ハロゲン化水素、改質、水蒸気改質、分解、水素化分解、水素添加、脱水素、異性化、不均化、オキシ塩素化、炭化水素または他の有機化合物の脱水素環化、内燃機関からの排ガスの酸化および/または還元反応、Claus反応、処理、リーンバーン(lean burn)条件下に作動するディーゼルエンジンもしくはガソリンエンジンなどの、内燃機関によって排出される煤煙の脱金属、メタン化、転化、COの酸化、低温酸化(200℃未満、実に100℃未満さえ)による空気の浄化、触媒酸化などの、様々な反応の触媒作用に特に好適であり、したがって、その触媒作用に使用可能である。
【0089】
触媒作用におけるこれらの使用のケースでは、本発明の組成物は、貴金属と組み合わせて用いることができる。これらの金属の性質およびこれらの組成物への後者の組み込みのための技術は当業者に周知である。例えば、金属は、白金、ロジウム、パラジウム、金またはイリジウムであり得、それらは、特に、含浸によって本組成物に組み込むことができる。
【0090】
述べられた使用の中で、内燃機関からの排ガスの処理(自動車後燃え触媒作用)は、特に有利な用途である。
【0091】
このような理由により、本発明はまた、上に記載されたような触媒システムが使用されることを特徴とする、内燃機関からの排ガスを処理するためのプロセスに関する。
【0092】
別の有利な使用は、200℃未満、実にさらには100℃未満の温度での空気の浄化であり、この空気は、一酸化炭素、エチレン、アルデヒド、アミン、メルカプタンもしくはオゾンタイプの、一般的には、脂肪酸、炭化水素、特に芳香族炭化水素、および窒素酸化物(NOを与えるためのNOの酸化ための)などの、揮発性有機化合物または大気汚染物質のタイプ、ならびに悪臭化合物タイプの少なくとも1種の化合物を含む。
【0093】
したがって、本発明はまた、空気を浄化するためのプロセスであって、前記空気は、特に一酸化炭素、エチレン、アルデヒド、アミン、メルカプタン、オゾン、揮発性有機化合物、大気汚染物質、脂肪酸、炭化水素、芳香族炭化水素、窒素酸化物または悪臭化合物を含み、ガスを本発明の触媒システムと接触させる工程を含むプロセスに関する。このタイプの化合物としては、エタンチオール、吉草酸およびトリメチルアミンがより特に挙げられてもよい。この処理は、処理されるべき空気を、上に記載されたとおりのまたは上に詳細に記載されたプロセスによって得られる本発明の組成物または触媒システムと接触させることによって行われる。
【0094】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例証するために含まれる。言うまでもなく、本発明は、記載された実施例に限定されない。
【実施例】
【0095】
比較例1:酸化Ce組成物
137.7gの2.89M3価硝酸セリウム溶液(CeOを単位として39.9gのセリウム)、24.4gの60%硝酸、および92.8モル%の4価セリウムイオンを含有する0.32gの1.49M硝酸セリウム溶液(CeOを単位として0.057gのセリウム))を添加することによって、硝酸セリウムの希釈溶液を調製する。750のセリウム(III)/セリウム(IV)モル比を有するこの溶液を、半密閉貯槽(reservoir)中に充填し、次いで、激しい撹拌および窒素通気によって1時間脱気する。
【0096】
798.6gの脱イオン水および93.0gの25% アンモニア水の溶液を添加することによって、アンモニア水の希釈溶液を調製する。この溶液を半密閉の1.5lのジャケット付き反応器に充填し、次いで、撹拌(500rpmで3つの傾斜パドルを有する攪拌機)および窒素通気に1時間供する。
【0097】
次いで、希釈硝酸セリウム溶液を希釈アンモニア水溶液に、同じ攪拌によっておよび窒素スイーピング下で、周囲温度で30分にわたって添加する。
【0098】
窒素スイーピングを止め、次いで、反応混合物の温度を80℃におよそ3/4時間で上昇させ、次いで、依然として同じ攪拌によって、この温度で4時間維持する。
【0099】
この熱処理の最後に、反応混合物を放置して冷却し、次いで、60%硝酸を添加することによってpH2に酸性化する。遠心分離、遠心分離水の除去および脱イオン水へのケーキの再懸濁によって、懸濁液を最終的に洗浄する。
【0100】
懸濁液を、ヌッチェフィルタを通して固−液分離に供して、濾過ケーキを得る。
【0101】
このようにして得られたケーキを200℃で10時間乾燥させ、次いで、空気中300℃で4時間焼成し、続いて、粉砕して、酸化セリウム粉末を得る。
【0102】
得られた酸化物粉末をTEMにより観察する。一次粒子は、実に単分散であり、ほぼ45nmを中心としたサイズのものであることが明らかに観察される。酸化物粉末を代表するおよそ150個の粒子の写真上で、粒子のそれぞれを計数および測定し、それによって、43nmの平均サイズが得られ、標準偏差は5.2nmであり、これは、平均サイズの値の12%である。
【0103】
酸化物粉末を、XRD分析によって測定する。この粉末のX線回折図(diffractogram)は、結晶CeOの痕跡を有する(シート ASTM 34−394)。Scherrerモデルを適用することにより、2θ=28.6に位置する回折ピークの中位幅から計算されたコヒーレンス域の平均サイズは、48nmを与える。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、26m/gである。
【0104】
二次粒子のサイズを、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中でのCeOの光学指数を1.2の値として、Horiba LA920レーザ粒子サイズ測定装置を使用して測定する。メジアンサイズD50は、0.2μmである。
【0105】
比較例2:酸化Ce組成物
90モル%以上の4価セリウムイオンを含有する、CeOを単位として50gの硝酸セリウム溶液を量り分け、脱イオン水で1lの合計量に調整する。得られた溶液を撹拌下で100℃に加熱し、この温度で30分間維持し、周囲温度まで冷却させて、それにより、セリウム懸濁液を得る。
【0106】
このようにして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した(CeOを単位として2.6gのセリウムが同時に除去される)後で、合計容積を脱イオン水で1lに調整する。
【0107】
次いで、セリウム懸濁液を撹拌下に120℃で2時間維持し、冷却させ、25%アンモニア水でpH8.5に中和する。
【0108】
得られたスラリーを、ヌッチェフィルタを通して固−液分離に供して、濾過ケーキを得る。このケーキを、空気中300℃で4時間焼成して、酸化セリウム粉末を得る。
【0109】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、9nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、180m/gである。
【0110】
二次粒子のサイズを比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、8.6μmである。
【0111】
比較例3:酸化Ce/金属(M)酸化物組成物
C3.1 酸化Ce/酸化La組成物
母液を除去した後に10.9gの硝酸ランタン溶液(Laを単位として2.5gのランタン)を添加することを除いて比較例2におけるのと同様に、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.6%)での酸化セリウムおよび酸化ランタンの複合酸化物を調製する。
【0112】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、11nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、225m/gである。
【0113】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、7.1μmである。
【0114】
C3.2 酸化Ce/酸化Pr組成物
母液を除去した後に10.5gの硝酸プラセオジム溶液(Pr11を単位として2.5gのプラセオジム)を添加することを除いて比較例2におけるのと同様に、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.3%)での酸化セリウムおよび酸化プラセオジムの複合酸化物を調製する。
【0115】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、11nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、245m/gである。
【0116】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、6.2μmである。
【0117】
C3.3 酸化Ce/酸化Nd組成物
母液を除去した後に12.4gの硝酸ネオジム溶液(Ndを単位として2.5gのネオジム)を添加することを除いて比較例2におけるのと同様に、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.3%)での酸化セリウムおよび酸化ネオジムの複合酸化物を調製する。
【0118】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、12nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、196m/gである。
【0119】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、3.6μmである。
【0120】
C3.4 酸化Ce/酸化Zr組成物
母液を除去した後に26.7gの硝酸ジルコニウム溶液(ZrOを単位として5.3gのジルコニウム)を添加することを除いて比較例2におけるのと同様に、質量比90:10(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比15.4%)での酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムの複合酸化物を調製する。
【0121】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、16nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、152m/gである。
【0122】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、17.2μmである。
【0123】
実施例1:酸化Ce/金属(M)酸化物組成物
1.1 酸化Ce/酸化La組成物
この実施例は、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.6%)での酸化セリウムおよび酸化ランタンの複合酸化物に関する。
【0124】
130.5gの2.89M3価硝酸セリウム溶液(CeOを単位として39.9gのセリウム)、12.1gの硝酸ランタン溶液(Laを単位として2.0gのランタン)、23.1gの60%硝酸、および92.8モル%4価セリウムイオンを含有する0.92gの1.49M硝酸セリウム溶液(CeOを単位として0.16gのセリウム)を添加することによって、硝酸セリウムの希釈溶液を調製する。セリウム(III)/セリウム(IV)モル比250を有するこの溶液を、半密閉貯槽に充填し、次いで、激しい撹拌および窒素通気によって1時間脱気する。
【0125】
794.2gの脱イオン水および93.2gの25%アンモニア水の溶液を添加することによって、アンモニア水の希釈溶液を調製する。この溶液を半密閉の1.5lのジャケット付き反応器に充填し、次いで、撹拌(500rpmでの4つの傾斜パドル付き攪拌機)および窒素通気に1時間供する。
【0126】
次いで、希釈硝酸セリウム溶液を希釈アンモニア水溶液に、同じ攪拌によっておよび窒素スイーピング下で、周囲温度で30分かけて添加する。
【0127】
窒素スイーピングを止め、次いで、反応混合物の温度を80℃に、およそ3/4時間で上昇させ、次いで、同じ攪拌によったままで、この温度で4時間維持する。
【0128】
この熱処理の最後に、反応混合物を放置して冷却し、次いで、60%硝酸を添加することによってpH2に酸性化する。遠心分離、遠心分離水の除去、および脱イオン水へのケーキの再懸濁によって、懸濁液を最終的に洗浄する。
【0129】
懸濁液を、ヌッチェフィルタを通して固−液分離に供して、濾過ケーキを得る。
【0130】
このようにして得られたケーキを、200℃で10時間乾燥させ、次いで、空気中300℃で4時間焼成し、続いて、粉砕して、酸化セリウム粉末を得る。
【0131】
得られた酸化物粉末を、TEMにより観察する。一次粒子は実に単分散であり、ほぼ35nmを中心としたサイズのものであることが明らかに観察される。酸化物粉末を代表するおよそ150個の粒子の写真上で、粒子のそれぞれを計数および測定し、それによって、34nmの平均サイズが得られ、標準偏差は3.3nmであり、これは平均サイズの値の10%である。
【0132】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、24nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、59m/gである。
【0133】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、0.1μmである。
【0134】
1.2 酸化Ce/酸化Pr組成物
10.1gの硝酸プラセオジム溶液(Pr11を単位として2.0gのプラセオジム)を硝酸ランタン溶液の代わりに添加することを除いて実施例1.1におけるのと同様に、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.3%)での酸化セリウムおよび酸化プラセオジムの複合酸化物を調製する。
【0135】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、26nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、57m/gである。
【0136】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、0.2μmである。
【0137】
1.3 酸化Ce/酸化Nd組成物
9.9gの硝酸ネオジム溶液(Ndを単位として2.0gのネオジム)を硝酸ランタン溶液の代わりに添加することを除いて実施例1.1におけるのと同様に、質量比95:5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比5.3%)での酸化セリウムおよび酸化ネオジムの複合酸化物を調製する。
【0138】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、22nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、50m/gである。
【0139】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、0.3μmである。
【0140】
1.4 酸化Ce/酸化Zr組成物
10.1gの硝酸ジルコニウム溶液(ZrOを単位として2.0gのジルコニウム)を硝酸ランタン溶液の代わりに添加し、92.8モル%4価セリウムイオンを含有する1.49M硝酸セリウム溶液の量をセリウム(III)/セリウム(IV)モル比100と一致させるために0.92g〜2.3g(CeOを単位として0.4gのセリウム)に変えることを除いて実施例1.1におけるのと同様に、質量比98.5:1.5(金属(M)酸化物/酸化セリウム(IV)モル比2.1%)での酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムの複合酸化物を調製する。
【0141】
この酸化物粉末を、比較例1におけるのと同様にXRD分析により測定する。(111)面により計算された微結晶サイズは、19nmである。窒素吸着により決定されたBET比表面積は、74m/gである。
【0142】
二次粒子のサイズを、比較例1におけるのと同様に測定する。メジアンサイズd50は、17μmである。
【0143】
実施例2:熱安定性の比較
上記実施例で得られた組成物を、300℃で4時間、次いで、同様に800℃で4時間焼成後のそれらの熱安定性について試験した。結果を表1に示す。
【0144】
【0145】
SBET減少率:酸化物組成物について、300℃/4時間での焼成と比較しての800℃/4時間での焼成後のSBETの減少率のパーセント
SBET変化:純酸化セリウム組成物のSBETと比較しての800℃/4時間で焼成後のSBETの変化のパーセント;したがって、組成物についてのSBET変化=(組成物の800℃/4時間でのSBET−純CeOの800℃/4時間でのSBET)/純CeOの800℃/4時間でのSBETx100;ここで、純CeOの800℃/4時間でのSBETは、800℃で4時間焼成後の純CeO2の比表面積であり、純CeOは、組成物と同じプロセスで得られる(金属Mの塩がないことを除いて)。
【0146】
したがって、前の結果から、古典的な酸化セリウム化合物(C3.1〜C3.4)に関するLa、Pr、NdおよびZrなどのドーパントは、同じ熱処理後の純セリウム(C2)と比較して、熱処理後の比表面積の減少をもたらすとみられる;SBET変化の欄を参照されたい。対照的に、La、Pr、NdおよびZrを有する本発明のドープセリウム化合物(1.1〜1.4)は、同じ熱処理後の純セリウム(C1)と比較して、熱処理後のより高い比表面積を有する。
【0147】
さらに、La、Pr、NdおよびZrを有する本発明のドープセリウム化合物(1.1〜1.4)は、70%より高いSBET減少率を示す同じドーパントでドープされた古典的な酸化セリウム化合物(C3.1〜C3.4)と比較して、熱処理後の比表面積のより低い減少率を有する。