(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[実施形態]
本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1から
図19に基づいて説明する。
【0016】
図1から
図5の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。また、
図1の符号WHは、その電気接続箱1を備えた本実施形態のワイヤハーネスを示す。
【0017】
本実施形態の電気接続箱1は、筐体10と、この筐体10に収容される収容対象物としての少なくとも1つの電子部品20(
図5)と、を備える(
図1から
図5)。電気接続箱1は、例えば、車両(図示略)のエンジンコンパートメント等に設置される。この電気接続箱1においては、車両に搭載された接続対象物(図示略)が電子部品20に対して電気的に接続されており、この電子部品20を介して少なくとも2つの接続対象物の間を電気的に繋いでいる。例えば、電子部品20とは、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタ、端子金具などのことを指している。本実施形態では、回路基板、電子制御ユニット(いわゆるECU)等の電子機器についても、筐体10に収容される電子部品20の一形態として考える。更に、本実施形態では、電子部品20が別の筐体に収容された所謂電子部品ユニットについても、筐体10への収容対象物として考える。また、接続対象物とは、二次電池などの電源、電気機器(アクチュエータ等)などの負荷、センサなどのことを指している。
【0018】
この電気接続箱1においては、電子部品20に対して電気的に接続される電線(電力供給線や信号線等)Weが筐体10の内方から外方に引き出されており(
図1)、この電線Weを介して電子部品20が接続対象物に対して電気的に接続される。電気接続箱1は、その電線Weと共にワイヤハーネスWHを成す。尚、図中の電線Weは、複数本が保護テープやコルゲートチューブ等の保護部材で一纏めに束ねられた状態を示している。
【0019】
この例示の筐体10は、複数に分割された構造体を備えるものであり、それぞれの構造体を互いに組み付けることで形成される。それぞれの構造体は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されている。この筐体10は、主筐体10Xと副筐体10Yとに大別され、これらを組み付けることによって形成される(
図1)。主筐体10Xは、筐体10の主体部分であり、電子部品20が収容される収容室11を内方に配置している(
図5)。副筐体10Yは、主筐体10Xに組み付けることで所定の開口と空間とを形成する。その開口とは、筐体10の外方に引き出される電線Weの引出口であり、後述する電線引出口12のことである。また、その空間とは、収容室11から引き出された電線Weを電線引出口12まで案内する案内経路であり、後述する電線配索空間13のことである。
【0020】
例えば、ここで示す筐体10は、それぞれの構造体として、電子部品20の収容体となるフレーム10Aと、このフレーム10Aにおける2つの主開口10A
11,10A
12(
図5)の内の一方(主開口10A
11)を塞ぐロアカバー10Bと、その2つの主開口10A
11,10A
12の内の他方(主開口10A
12)を塞ぐアッパーカバー10Cと、を備えている(
図1、
図2、
図4及び
図5)。この筐体10においては、フレーム10Aに対してロアカバー10Bとアッパーカバー10Cとが組み付けられることによって、主筐体10Xが形成される。更に、この筐体10は、ロアカバー10Bに組み付けるサブカバー10Dを備えている(
図1、
図2及び
図4から
図7)。この筐体10においては、サブカバー10Dが副筐体10Yとなる。
【0021】
筐体10は、電子部品20が収容される収容室11を備える(
図5)。この筐体10においては、角筒状のフレーム10Aの内方の空間を収容室11として利用する。その収容室11には、電子部品20を保持するための保持部材30が収容及び固定されている。その保持部材30は、この技術分野でブロック等と称されるものであり、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されている。この保持部材30は、電子部品20が収容される収容空間を有しており、その収容空間で電子部品20を保持している。例えば、電子部品20は、その収容空間で電線Weに対して物理的且つ電気的に接続されている。つまり、収容室11においては、電子部品20と電線Weとが保持部材30を介して収容及び保持されており、かつ、その電子部品20と電線Weとの間の電気的な接続部が配置されている。
【0022】
また、筐体10には、その電線Weを内方から外方に引き出す電線引出口12(
図1から
図3)と、収容室11から引き出された電線Weを電線引出口12まで案内する空間(以下、「電線配索空間」という。)13(
図6から
図9)と、が備えられている。この筐体10においては、電線Weが収容室11からロアカバー10B側に引き出されるので、このロアカバー10B側に電線引出口12と電線配索空間13とを配置する。
【0023】
この例示の電線引出口12と電線配索空間13は、互いに組み付けられる主筐体10Xと副筐体10Yとが各々有する第1電線配索部14aと第2電線配索部14bとで形成される(
図6から
図9)。
【0024】
第1電線配索部14aは、主筐体10Xの外壁面側に配置されるものであり、ロアカバー10Bの外壁面の一部を凹ませた空間部として形成されている。ここでは、半円弧状に凹ませた弧状壁面14a
1を有する第1電線配索部14aが形成されている(
図6及び
図7)。その弧状壁面14a
1においては、一端側に、収容室11から引き出された電線Weを第1電線配索部14a(つまり、電線配索空間13)に導く貫通孔(以下、「電線挿通孔」という。)15が形成されている(
図6から
図9)。その電線挿通孔15は、ロアカバー10B(つまり、主筐体10X)の内方と外方とを連通させる貫通孔であり、電線Weを挿通させる。
【0025】
第2電線配索部14bは、副筐体10Yとしてのサブカバー10Dに設ける。サブカバー10Dは、半角筒状に成形され、その内方の空間部を第2電線配索部14bとして利用する。このサブカバー10Dは、ロアカバー10Bに組み付けた際に、第2電線配索部14bで第1電線配索部14aを電線挿通孔15と共に覆うことができるように成形する。このサブカバー10Dは、主体となる矩形状の壁体10D
1と、この壁体10D
1における対向する辺部から各々立設した2つの矩形状の立壁体10D
2,10D
3と、を有する(
図6及び
図7)。また、このサブカバー10Dは、壁体10D
1における一端側の辺部から立設した矩形状の立壁体10D
4を有しており(
図8及び
図10)、この立壁体10D
4で一端側の開口を塞いでいる。このサブカバー10Dにおいては、他端側の開口が電線引出口12の一部として利用される。
【0026】
この筐体10においては、ロアカバー10Bとサブカバー10Dとを組み付けた際に、第1電線配索部14aと第2電線配索部14bとで電線配索空間13が形成され、かつ、第1電線配索部14aと第2電線配索部14bとが他端側に開口を形成する。この筐体10においては、その開口を電線引出口12として利用する。よって、電線配索空間13においては、一端側の電線挿通孔15から導かれてきた電線Weが他端側の電線引出口12に案内されていく。その電線Weは、電線引出口12から筐体10の外方に引き出される。
【0027】
また、筐体10には、電線配索空間13を成す内壁面を有し且つ筐体10の外壁を成す壁体に、電線配索空間13と筐体10の外方とを連通させる貫通孔(以下、「液抜き孔」という。)16を設けている(
図1から
図3及び
図5から
図9)。その液抜き孔16は、電線配索空間13を成す内壁面に向けて電線引出口12から浸入してきた液体を筐体10の外方に排出させる貫通孔である。この液抜き孔16は、電線配索空間13を成す内壁面の中でも、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体が最初に向かう内壁面に形成する。換言するならば、その内壁面の中でも、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体が最初に接する可能性のある領域(以下、「ファーストコンタクト領域」という。)FCに形成する(
図1から
図3及び
図6から
図9)。そのファーストコンタクト領域FCは、例えば、高圧洗浄試験で電線引出口12側に液体を直撃させたときの防水性を向上させるのであれば、電線引出口12から電線配索空間13に浸入する液体の進入角度を考慮した上で定めればよい。液抜き孔16は、ファーストコンタクト領域FCに少なくとも1つ形成する。
【0028】
この例示では、サブカバー10Dの壁体10D
1の内壁面の内、電線引出口12側がファーストコンタクト領域FCとなる。この例示のサブカバー10Dの壁体10D
1においては、ファーストコンタクト領域FCに、格子状に配置された複数の液抜き孔16を形成している。
【0029】
この電気接続箱1においては、そのような液抜き孔16を備えているので、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体が液抜き孔16を介して筐体10の外方に排出される。故に、この電気接続箱1においては、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体の電線挿通孔15側への流動を抑えることができる。よって、この電気接続箱1は、例えば、高圧洗浄試験のような勢いのある液体が電線引出口12から浸入してきたとしても、その液体の電線挿通孔15を介した収容室11側への流入を抑えることができる。
【0030】
ところで、この電気接続箱1は、例えば、主筐体10Xの内方で結露した水等の液体を筐体10の外方に排出させるための排液部17を備えている(
図6から
図8及び
図10)。この例示の排液部17は、ロアカバー10Bに設けている。排液部17は、例えば、複数の壁体で囲まれた液体の排液路17aと、その排液路17aにおける筐体10の外方側を向いた開口(排液口)17bと、その排液路17aを収容室11側に連通させる連通孔17cと、を備えている(
図10)。更に、この排液部17は、排液口17bからの液体の浸入を抑えることで、収容室11側への液体の流入を抑える浸入抑止体17dを備えている(
図10)。その浸入抑止体17dは、排液路17aを外側から囲うものである。排液部17は、サブカバー10Dに突出状態で設けている。
【0031】
この例示の浸入抑止体17dは、排液口17bに対して間隔を空けて対向配置させる壁体(以下、「浸入抑止壁」という。)17d
1と、排液口(第1排液口)17bから排出された液体を筐体10の外方に排出する第2排液口17d
2と、を有する。この排液部17においては、第1排液口17bから排出された液体が第2排液口17d
2を介して筐体10の外方に排出される。一方、この排液部17においては、第2排液口17d
2を第1排液口17bに対して対向配置させていないので、筐体10の外方から第2排液口17d
2に浸入してきた液体の第1排液口17b側への流動を抑えることができる。例えば、筐体10の外方の液体は、車体CBで跳ね返り、第2排液口17d
2から内方に浸入する(
図10の矢印)。この例示において、その浸入してきた液体は、排液路17aを成す壁体にぶつかる。よって、この電気接続箱1は、筐体10の外方の液体が第2排液口17d
2から浸入してきたとしても、その液体の排液部17から収容室11側への流入を抑止することができる。
【0032】
更に、この例示の浸入抑止体17dは、排液路17aを外側から囲う立壁体17d
3を有する。その立壁体17d
3は、所謂二重壁として形成し、排液路17aを成す壁体を壁部間の隙間に嵌合させる。つまり、排液部17は、ロアカバー10Bとサブカバー10Dとの間で所謂迷路構造を成しており、立壁体17d
3における筐体10の外方と排液路17aとの間の経路長が長くなっている。よって、この電気接続箱1は、排液部17におけるロアカバー10Bとサブカバー10Dとの間の嵌合部位において、筐体10の外方の液体が排液路17a側へ浸入することを抑えることができる。故に、この電気接続箱1は、この点からも、排液部17において、筐体10の外方の液体の収容室11側への流入を抑止することができる。
【0033】
また、この電気接続箱1において、主筐体10Xは、収容室11から引き出された電線Weを電線挿通孔15に挿通させる際に案内する開口(以下、「作業用開口」という。)18Aを有している(
図5から
図7及び
図11)。その作業用開口18Aは、電線挿通孔15に連接され且つ主筐体10Xの内方と外方とを連通させる開口である。この作業用開口18Aは、電線挿通孔15を有するロアカバー10Bに設けている。ここでは、電線挿通孔15に対して交差しているロアカバー10Bの交差壁体に、矩形状の切欠きの如きものとして作業用開口18Aを形成している。この例示においては、ロアカバー10Bにおけるフレーム10A側の角筒状の端部がフレーム10Aの内方に収容されるので、その収容箇所の作業用開口18Aについても、外方からフレーム10Aで覆われている。
【0034】
更に、この電気接続箱1において、副筐体10Yとしてのサブカバー10Dは、その作業用開口18Aを塞ぐ矩形状の壁体(以下、「閉塞壁体」という。)18Bを有している(
図2から
図5、
図7及び
図11)。その閉塞壁体18Bは、壁体10D
1から立壁体10D
3と同じ向きに立設させており、サブカバー10Dのロアカバー10Bへの組付けと共に作業用開口18Aに嵌め込まれる。従って、ロアカバー10Bにおいては、作業用開口18Aの周縁が所謂二重壁となっており、その壁部間の隙間を閉塞壁体18Bが嵌め込まれる際の案内部として利用している。
【0035】
ここで、主筐体10Xと副筐体10Yとの間には、閉塞壁体18Bを主筐体10Xに係合保持させるロック機構19を設けている(
図11)。そのロック機構19は、主筐体10Xに設けた第1係合体19Aと、閉塞壁体18Bに設け、主筐体10Xと副筐体10Yとを組み付けた際に第1係合体19Aに係合保持される第2係合体19Bと、を備える。この例示では、第1係合体19Aをフレーム10Aに設け、第2係合体19Bを閉塞壁体18Bの壁面に突出状態で設けている。第1係合体19Aと第2係合体19Bは、各々、爪部19A
1,19B
1を有しており、例えば、サブカバー10Dがロアカバー10Bと共にフレーム10Aに組み付けられた際に、それぞれの爪部19A
1,19B
1が互いに引っ掛かる。
【0036】
閉塞壁体18Bは、作業用開口18Aへの組付け作業性の向上や軽量化等のために板厚が薄くなっているので、設計公差の範囲内で撓んでいたり、外力等によって撓んだりする可能性がある。従って、閉塞壁体18Bに撓みが発生しているときには、作業用開口18Aの周縁との間で隙間が発生してしまう可能性がある。しかしながら、この電気接続箱1においては、ロック機構19によって、閉塞壁体18Bをフレーム10Aに対して強固に固定し、閉塞壁体18Bの撓み量を低減させることができる。故に、この電気接続箱1においては、作業用開口18Aの周縁と閉塞壁体18Bとの間での隙間の発生が抑えられるので、その隙間から筐体10の外方の液体が収容室11側へ浸入することを抑止することができる。
【0037】
以上示したように、本実施形態の電気接続箱1は、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体を液抜き孔16から筐体10の外方に排出することができる。また、この電気接続箱1は、第1排液口17bの排液機能を確保しつつも第1排液口17bを筐体10の外方側から覆う浸入抑止体17dが排液部17に設けられているので、筐体10の外方の液体が第1排液口17bから収容室11側に浸入してしまうことを抑止することができる。また、この電気接続箱1は、閉塞壁体18Bの撓み量を低減させることが可能なロック機構19を備えているので、作業用開口18Aの周縁と閉塞壁体18Bとの間の隙間から収容室11側への筐体10の外方の液体の浸入を抑止することができる。
【0038】
これらのように、本実施形態の電気接続箱1は、防水性に優れたものとなっており、筐体10の外方の液体の収容室11への流入を抑えることができる。よって、この電気接続箱1は、その液体の収容室11の電子部品20への接触の可能性が軽減されるので、その電子部品20や電子部品20に接続された電線Weの耐久性を向上させることができる。そして、本実施形態のワイヤハーネスWHは、その電気接続箱1を備えるものであるので、その電気接続箱1の効果を奏することができる。
【0039】
尚、本実施形態の電線配索空間13においては、直径の異なる2種類の電線Weが配策されている。ここでは、直径が大きい方の電線Weを大径電線We1と称し、直径が小さい方の電線Weを小径電線We2と称する場合もある。そして、この電線配索空間13では、それぞれの電線We毎の結束バンド41,42で保持部13a,13bに大径電線We1と小径電線We2とが保持されている(
図12及び
図13)。その保持部13a,13bは、各々、結束前の結束バンド41,42を挿通させることが可能であり、ロアカバー10Bに形成している。しかしながら、この形態では、2箇所でのバンド締め作業が必要になる。そこで、電線配索空間13には、大径電線We1と小径電線We2とが1本の結束バンド43で一纏めに束ねて保持される保持機構50を設けてもよい(
図14から
図17)。
【0040】
その保持機構50は、ロアカバー10Bに設ける。この保持機構50は、U字状に形成されたU字体51を備えており、そのU字体51の内方における開口側に大径電線We1の第1保持部51aを設けると共に、その内方における開口よりも奥側に小径電線We2の第2保持部51bを設ける(
図15)。このU字体51においては、大径電線We1が入り込まないように第2保持部51bを形成することによって、大径電線We1と小径電線We2のそれぞれの保持位置を規制している。
【0041】
更に、この保持機構50は、U字体51に挿入された大径電線We1や小径電線We2の径方向の外側に、結束前の結束バンド43のバンド体43aを挿通させる挿通部52を備えている(
図15)。大径電線We1と小径電線We2は、各々、第1保持部51aと第2保持部51bに挿入し、挿通部52にバンド体43aが挿通されている結束バンド43のバンド締め作業を行うことによって、U字体51に保持する。
【0042】
この保持機構50は、大径電線We1と小径電線We2の双方を1本の結束バンド43で一纏めに束ねて保持することができる(
図16及び
図17)。従って、この電気接続箱1は、保持機構50を設けることで、電線配索空間13でのバンド締め作業の作業性を向上させることができる。更に、この保持機構50は、大径電線We1のみを結束バンド43で保持することができる(
図18)。また更に、この保持機構50は、小径電線We2のみを結束バンド43で保持することができる(
図19)。この電気接続箱1は、収容される電子部品20の種類や数量を変えた様々な仕様のものとして構成することができるので、その電子部品20の種類や数量に応じて、電線Weの種類や本数が変更される。例えば、この電気接続箱1においては、上記の例示の他に、大径電線We1のみが電線配索空間13に配策される場合もあれば、小径電線We2のみが電線配索空間13に配策される場合もある。この電気接続箱1は、保持機構50を設けているので、その何れの場合にも構成を変えずに対応することができる。
【0043】
[変形例]
図20の符号2は、本変形例の電気接続箱を示す。本変形例の電気接続箱2は、前述した実施形態の電気接続箱1において、筐体10を下記の筐体110に置き換えたものである。そして、本変形例の筐体110は、その筐体10において、副筐体10Yとしてのサブカバー10Dを下記のサブカバー110Dに置き換えたものである。尚、本変形例では、実施形態の電気接続箱1と同等の構成(部品や部位等)に対して、実施形態で示したものと同じ符号を付している。
【0044】
本変形例のサブカバー110Dは、実施形態のサブカバー10Dにおいて、液抜き孔16を下記の液抜き孔116に置き換えたものである。本変形例の液抜き孔116は、実施形態の液抜き孔16と同じように、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体を排出させる。また、本変形例の液抜き孔116は、その液体の排出機能と共に、自らにおける筐体110の外方側からの液体の浸入を抑止させる。
【0045】
その液体の浸入抑止機能を得るべく、液抜き孔116を成す内壁面116aには、液抜き孔116における筐体110の外方側の開口116bから液抜き孔116に浸入してきた液体を当接させる当接壁面116cを設ける(
図21)。その当接壁面116cは、その液体の当接点における法線が開口116b側を向くように傾斜させた傾斜面とする。ここでは、内壁面116aを全体的に傾けて、この内壁面116aそのものを当接壁面116cとして利用する。例えば、筐体110の外方の液体は、車体CBで跳ね返り、液抜き孔116の開口116bから内方に浸入する(
図21の矢印)。この液抜き孔116によれば、その開口116bから浸入してきた液体は、電線配索空間13側の開口116dに到達する前に内壁面116a(当接壁面116c)にぶつかるので、その開口116dからの電線配索空間13への浸入が抑えられる。更に、この液抜き孔116は、内壁面116a(当接壁面116c)に触れた液体を開口116bから筐体110の外方に排出することができる。
【0046】
本変形例の電気接続箱2は、電線引出口12から電線配索空間13に浸入してきた液体を液抜き孔116から筐体110の外方に排出することができ、かつ、開口116bから液抜き孔116に浸入してきた液体の電線配索空間13への浸入を抑えることができる。つまり、本変形例の電気接続箱2は、実施形態の電気接続箱1と同等の作用効果が得られるだけでなく、液抜き孔116からの液体の浸入をも抑えることができる。よって、本変形例の電気接続箱2は、更に防水性に優れたものとなっており、筐体110の外方の液体の収容室11への流入の抑制効果が高くなっている。従って、この電気接続箱2は、その液体の収容室11の電子部品20への接触の可能性が更に軽減されるので、その電子部品20や電子部品20に接続された電線Weの耐久性の更なる向上が可能になる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、その電気接続箱2を備えるものであるので、その電気接続箱2の効果を奏することができる。
【0047】
尚、本変形例の電気接続箱2においては、相対的に比較するならば液体が浸入しやすい電線引出口12側を本変形例の液抜き孔116とし、それよりも奥側(つまり、電線挿通孔15側)を実施形態の液抜き孔16とするなど、液抜き孔16,116を混在させてもよい。