(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4のいずれかに記載のコンジュゲートであって、リンカーが4、8もしくは12のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールである、コンジュゲート。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】多重化インサイチューハイブリダイゼーション方法の1つの態様を例示する概略図である。
【
図2】シグナル生成部分として酵素を用いる方法の1つの態様を例示する概略図である。
【
図3】検出可能なシグナル生成標識を含んでなる一次抗体を用いる標的の直接検出を例示する概略図である。
【
図4】検出シグナルを増幅する方法の1つの態様を例示する概略図である。
【
図5】本発明のハプテン−量子ドット免疫組織化学検出の1つの態様を例示する概略図である。
【
図6】本発明のハプテンのクラスの開示される態様にコンジュゲーションした一次抗体を用いる抗ハプテン抗体検出のIHC陽性染色を示す顕微鏡写真である。
【
図7】本発明のハプテンのクラスの開示される態様にコンジュゲーションした一次抗体を用いる抗ハプテン抗体を用いるIHC陰性染色を示す顕微鏡写真である。
【
図8】複数の異なる検出可能なシグナルを生成するために複数の異なるハプテンおよび複数の異なるシグナル生成部分を用いるサンプルにおける多数の標的の多重化検出のための開示される方法の1つの態様を例示する概略図である。
【
図9】組織におけるタンパク質のようなサンプルの検出に多数のハプテンおよびそれに対する抗体、例えば抗ビオチンおよび抗ジニトロフェニルを用いることを示す顕微鏡写真である。
【
図10】標的の2つの異なるクラス、すなわち遺伝子およびタンパク質標的の多重化検出の1つの態様を図式的に例示する。
【
図11】抗ジニトロフェニル抗体を用いることによるような、タンパク質および2つの遺伝子の検出を示す顕微鏡写真である。
【
図12】開示されるベンゾフラザンハプテンの1つの態様に対するマウスIgGモノクローナル抗体のハイブリドーマ融合産物ELISA結果を例示する。
【
図13】開示されるベンゾフラザンハプテンの1つの態様に対するマウスIgGモノクローナル抗体のハイブリドーマ融合産物ELISA結果を例示する。
【
図14】開示されるベンゾフラザンハプテンの1つの態様に対するマウスIgGモノクローナル抗体のハイブリドーマ融合産物ELISA結果を例示する。
【
図15】開示されるベンゾフラザンハプテンの1つの態様に対するマウスIgGモノクローナル抗体のハイブリドーマ融合産物ELISA結果を例示する。
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図16】開示されるベンゾフラザンハプテンの1つの態様に対するマウスIgGモノクローナル抗体のハイブリドーマ融合産物ELISA結果を例示する。
【
図17】DNP濃度に対するヌクレオチドパーセントのグラフである。
【
図18】標識されるヌクレオチドパーセントに対するサケDNA濃度のグラフである。
【
図19】正常扁桃腺組織上での抗ビオチンHRPコンジュゲートでのCD20−ビオチン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図20】正常扁桃腺組織上での抗チアゾールスホンアミドHRPコンジュゲートでのCD45チアゾールスルホンアミドに基づくハプテン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図21】正常扁桃腺組織上での抗ベンゾフラザンHRPコンジュゲートでのKi−67ベンゾフラザンに基づくハプテン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図22】正常扁桃腺組織上での抗ニトロピラゾールHRPコンジュゲートでのCD34ニトロピラゾールに基づくハプテン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図23】正常扁桃腺組織上での抗ジニトロフェニルHRPコンジュゲートでのカッパジニトロフェニルに基づくハプテン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図24】正常扁桃腺組織上での抗ロテノンHRPコンジュゲートでのラムダロテノンに基づくハプテン標識一次抗体の発色IHC染色である。
【
図25】ビオチンに結合した抗ラムダを用いてそして抗ビオチン抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図26】チアゾールスルホンアミドに基づくハプテンに結合した抗ラムダを用いてそして抗チアゾールスルホンアミド抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図27】ベンゾフラザンに基づくハプテンに結合した抗ラムダを用いてそして抗ベンゾフラザン抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図28】ジニトロフェニルに基づくハプテンに結合した抗ラムダを用いてそして抗ジニトロフェニル抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図29】ニトロピラゾールに基づくハプテンに結合した抗ラムダを用いてそして抗ニトロピラゾール抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図30】ロテノンに基づくハプテンに結合した抗ラムダを用いてそして抗ロテノン抗体QDotコンジュゲートで検出される正常扁桃腺における蛍光IHC染色である。
【
図31】正常扁桃腺組織上でのビオチン標識CD20一次抗体および抗ビオチンQDot525コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図32】正常扁桃腺組織上でのチアゾールスルホンアミドに基づくハプテン標識CD45一次抗体および抗チアゾールスルホンアミド抗体QDot565コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図33】正常扁桃腺組織上でのベンゾフラザンに基づくハプテン標識Ki67一次抗体および抗ベンゾフラザン抗体QDot585コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図34】正常扁桃腺組織上でのジニトロフェニルに基づくハプテン標識カッパ一次抗体および抗ジニトロフェニル抗体QDot605コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図35】正常扁桃腺組織上でのニトロピラゾールに基づくハプテン標識CD34一次抗体および抗ニトロピラゾール抗体QDot655コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図36】正常扁桃腺組織上でのロテノンに基づくハプテン標識ラムダ一次抗体および抗ロテノン抗体QDot705コンジュゲートの蛍光IHC染色である。
【
図37】
図31〜36にそして実施例34に記載したとおり正常扁桃腺組織上で一次抗体−ハプテンコンジュゲートの混合物を用いてそして抗ハプテン抗体QDotコンジュゲートの混合物で逐次視覚化した多重染色複合物である。
【
図38】正常扁桃腺組織上での抗CD45−チアゾールスルホンアミド−コンジュゲートおよびハプテン一次抗体および抗チアゾールスルホンアミド抗体QDot565コンジュゲートを表す多重染色複合物から抽出した画像である。
【
図39】正常扁桃腺組織上でのKi67ベンゾフラザン−コンジュゲートおよびハプテン一次抗体および抗ベンゾフラザンに基づく抗体QDot585コンジュゲートからの染色を表す
図37からの多重染色複合物より抽出した画像である。
【
図40】正常扁桃腺組織上での抗カッパ−ジニトロフェニル−コンジュゲートおよびハプテン一次抗体および抗ジニトロフェニルに基づくハプテン抗体QDot605コンジュゲートを表す
図37からの多重染色複合物より抽出した画像である。
【
図41】正常扁桃腺組織上での抗CD34ニトロピラゾール−コンジュゲートおよびハプテン一次抗体および抗ニトロピラゾールに基づくハプテン抗体QDot655コンジュゲートでの
図37からの多重染色複合物より抽出した画像である。
【
図42】正常扁桃腺組織上での抗CD20ビオチン一次抗体QDot525コンジュゲートでの
図37からの多重染色複合物より抽出した画像である。
【
図43】正常扁桃腺組織上でのラムダ−ロテノン−コンジュゲートおよびハプテン一次抗体および抗ロテノンに基づくハプテン抗体QDot705コンジュゲートでの
図37からの多重染色複合物より抽出された画像である。
【
図44】
図37の多重染色合成物からの個々のQDotシグナルを抽出するために用いられる波長を表し、そしてシグナルが扁桃腺組織の公称自己蛍光を上回ることを示す波長対相対蛍光のグラフである。
【0085】
[発明の詳細な記述]
【0086】
I.用語および序論
他に記載されない限り、技術用語は慣例的用法に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes VII,Oxford University Press出版,2000(ISBN 019879276X);Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia
of Molecular Biology,Blackwell Publishers出版,1994(ISBN 0632021829);およびRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,Wiley,John & Sons,Inc.出版,1995(ISBN 0471186341);ならびに他の同様の参考文献に見出されることができる。
【0087】
本明細書において用いる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形には、文脈が他に明らかに示さない限り複数の指示対象が包含される。同様に、「もしくは」という語には、文脈が他に明らかに示さない限り「および」を包含するものとする。また、本明細書において用いる場合、「含んでなる」という用語は「包含する」を意味する。従って、「AもしくはBを含んでなること」はA、B、もしくはAおよびBを包含することを意味する。さらに、核酸もしくはポリペプチドもしくは他の化合物に示される、全てのヌクレオチドサイズもしくはアミノ酸サイズ、および全ての分子量もしくは分子質量値は概算であり、そして説明のために提供されることが理解されるべきである。本明細書に記述されるものと同様のもしくは同等の方法および材料は、本開示の実施もしくは試験において用いることができるが、適当な方法および材料が以下に記述される。本明細書に記載される全ての公開、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全部が引用することにより組み込まれる。矛盾する場合、用語の説明を含んで、本明細書が規制する。さらに、材料、方法および実施例は実例となるだけであり、そして限定しているものではない。
【0088】
本開示の様々な例の概説を容易にするために、特定用語の以下の説明が提供される:
【0089】
アジュバント:抗原に対する免疫反応を非特異的に高める物質。ヒトにおける使用のためのワクチンアジュバントの開発は、Singh et al.(Nat.Biotechnol.17:1075−1081,1999)において概説され、これは、その公開時に、水酸化アルミニウム(Amphogel,Wyeth Laboratories
,Madison,NJ)のようなアルミニウム塩およびMF59マイクロエマルジョンがヒト使用に認可された唯一のワクチンアジュバントであることを開示する。アルミニウムヒドロゲル(Brentg Biosector,Copenhagen,Denmarkから入手可能)は、別の一般的なアジュバントである。
【0090】
1つの態様において、アジュバントには免疫活性化、例えばT細胞、B細胞、単球、樹状細胞およびナチュラルキラー細胞による自然免疫反応もしくは適応免疫反応を刺激するDNAモチーフが包含される。免疫活性化を刺激するDNAモチーフの特定の限定されない例には、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;第6,339,068号;第6,406,705号;および第6,429,199号に記述されるようなCpGオリゴデオキシヌクレオチドが包含される。
【0091】
増幅:本発明のある態様は、特定の標的の同定および/もしくは定量を容易にするために、単一の標的が複数の視覚化複合体(ここで、複合体は同じもしくは異なることができる)を用いて検出されることを可能にする。
【0092】
アナログ、誘導体もしくは模倣物:アナログは、親化合物と化学構造が異なる分子、例えばホモログ(アルキル鎖の長さの違いのような、化学構造における増分により異なる)、分子フラグメント、1つもしくはそれ以上の官能基によって異なる構造、イオン化における変化である。構造的アナログは、Remington(The Science and Practice of Pharmacology,第19版(1995),第28章)に開示されるもののような技術で、定量的構造活性相関(QSAR)を用いて見出されることが多い。誘導体は、基本構造由来の生物活性分子である。模倣物は、生物活性分子のような別の分子の活性を模倣する分子である。生物活性分子は、化合物の生物活性を模倣する化学構造を含むことができる。
【0093】
動物:生きている多細胞脊椎動物、例えば哺乳類および鳥類を包含するカテゴリー。哺乳類という用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳類の両方が包含される。同様に、「患者」という用語にはヒトおよび動物患者の両方、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマおよびウシが包含される。
【0094】
抗体:「抗体」は集合的に免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン様分子(例としてそして限定されずに、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、その組み合わせ、ならびに任意の脊椎動物において、例えばヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスのような哺乳類において免疫反応中に生産される同様の分子を包含する)および他の分子への結合が実質的になく興味のある分子(もしくは興味のある一群の非常に類似した分子)に特異的に結合する抗体フラグメント(例えば、生物学的サンプルにおける他の分子に対する結合定数より少なくとも10
3M
-1大きい、少なくとも10
4M
-1大きいもしくは少なくとも10
5M
-1大きい興味のある分子に対する結合定数を有する抗体および抗体フラグメント)をさす。
【0095】
さらに特に、「抗体」は、抗原のエピトープを特異的に認識しそして結合する少なくとも1つの軽鎖もしくは重鎖免疫グロブリン可変領域を含んでなるポリペプチドリガンドをさす。抗体は重鎖および軽鎖からなり、これらの各々は可変重(V
H)領域および可変軽(V
L)領域と呼ばれる可変領域を有する。一緒になって、V
H領域およびV
L領域は抗体により認識される抗原を結合することに関与する。
【0096】
これには、完全な免疫グロブリンならびに当該技術分野において周知であるそれらのバリアントおよび一部が包含される。抗体フラグメントには、タンパク質分解抗体フラグメ
ント[当該技術分野において既知であるようなF(ab’)
2フラグメント、Fab’フラグメント、Fab’−SHフラグメントおよびFabフラグメントのような]、組換え抗体フラグメント(sFvフラグメント、dsFvフラグメント、二重特異性sFvフラグメント、二重特異性dsFvフラグメント、F(ab)’
2フラグメント、一本鎖Fvタンパク質(“scFv”)、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(“dsFv”)、ジアボディ、およびトリアボディ(当該技術分野において既知であるような)、およびラクダ抗体(例えば、米国特許第6,015,695号;第6,005,079号−第5,874,541号;第5,840,526号;第5,800,988号;および第5,759,808号を参照))が包含される。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーにより結合される融合タンパク質であり、一方、dsFvにおいて、鎖は鎖の会合を安定させるためにジスルフィド結合を導入するように突然変異されている。該用語にはまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(二重特異性抗体のような)のような遺伝子操作した形態も包含される。Pierce Catalog and Handbook,1994−1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL);Kuby,J.,Immunology,第3版,W.H.Freeman & Co.,New York,1997もまた参照。
【0097】
典型的に、天然に存在する免疫グロブリンはジスルフィド結合により相互に連結される重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)がある。抗体分子の機能活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(もしくはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEがある。
【0098】
各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(これらの領域はまた、「ドメイン」としても知られている)。組み合わせて、重鎖および軽鎖可変領域は抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」もしくは「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により遮られる「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は特定されている(引用することにより本明細書に組み込まれる、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照)。Kabatデータベースは、現在、オンラインで維持される。異なる軽鎖もしくは重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成する軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、3次元空間においてCDRを配置しそして並べる働きをする。
【0099】
CDRは、抗原のエピトープへの結合に主に関与する。各鎖のCDRは、N末端から開始して順次番号が付され、CDR1、CDR2およびCDR3と典型的に呼ばれ、そしてまた特定のCDRが位置する鎖によっても典型的に同定される。従って、V
HCDR3はそれが存在する抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方、V
LCDR1はそれが存在する抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDR1である。RETに結合する抗体は特定のV
H領域およびV
L領域配列、従って、特定のCDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体ごとに異なるのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0100】
抗原:抗体分子もしくはT細胞受容体のような、特定の体液性もしくは細胞性免疫の生成物により特異的に結合され得る化合物、組成物もしくは物質。抗原は、例えばハプテン、単純中間代謝物、糖(例えばオリゴ糖)、脂質およびホルモンならびに複合炭水化物(例えば多糖)、リン脂質、核酸およびタンパク質のような巨大分子を包含する任意のタイ
プの分子であることができる。抗原の一般的カテゴリーには、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物および他の寄生虫抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患に関与する抗原、アレルギーおよび移植拒絶、毒素ならびに他の様々な抗原が包含されるがこれらに限定されるものではない。一例として、抗原はγPGAのようなバチルス(Bacillus)抗原である。
【0101】
アビジン:生物学的サンプルに存在し得る他の小分子では実質的になくビオチンに特異的に結合する任意のタイプのタンパク質。アビジンの例には、卵白、脂肪種子タンパク質(例えばダイズミール)および穀物(例えばトウモロコシ(corn/maize)に天然で存在するアビジンならびに細菌由来のタンパク質であるストレプトアビジンが包含される。
【0102】
結合親和性:特異的結合対のあるメンバーの特異的結合対の別のメンバーに対する傾向のような、別の分子と結合する(典型的には非共有結合的に)ある分子の傾向。結合親和性は結合定数として測定することができ、特異的結合対(抗体/抗原対もしくは核酸プローブ/核酸配列対のような)のこの結合親和性は、少なくとも1x10
6M
-1、少なくとも1x10
7M
-1もしくは少なくとも1x10
8M
-1のような少なくとも1x10
5M
-1であることができる。1つの態様において、結合親和性はFrankel et al.,Mol.Immunol.,16:101−106,1979により記述されるスキャッチャード法の改変により計算される。別の態様において、結合親和性は抗原/抗体解離速度により測定される。さらに別の態様において、高い結合親和性は競合ラジオイムノアッセイにより測定される。いくつかの例において、抗体/抗原対の高い結合親和性は少なくとも約1x10
8M
-1である。別の態様において、高い結合親和性は少なくとも約1.5x10
8M
-1、少なくとも約2.0x10
8M
-1、少なくとも約2.5x10
8M
-1、少なくとも約3.0x10
8M
-1、少なくとも約3.5x10
8M
-1、少なくとも約4.0x10
8M
-1、少なくとも約4.5x10
8M
-1もしくは少なくとも約5.0x10
8M
-1である。
【0103】
担体:ハプテンもしくは抗原をそれに結合することができる分子。担体分子には、免疫原性担体および特異的結合担体が包含される。免疫原性担体に結合する場合、結合した分子は免疫原性になることができる。免疫原性担体は、結合した分子の免疫原性を上げるためにそして/または診断的に、分析的に、そして/もしくは治療的に有益である担体に対する抗体を生じさせるために選択することができる。担体への分子の共有結合は、強化された免疫原性およびT細胞依存性を与えることができる(Pozsgay et al.,PNAS 96:5194−97,1999;Lee et al.,J.Immunol.116:1711−18,1976;Dintzis et al.,PNAS 73:3671−75,1976)。有用な担体には、反応物部分を結合することができる1つもしくはそれ以上の官能基を含有する天然(例えば、細菌もしくはウイルスからのタンパク質)、半合成もしくは合成物質であることができるポリマー担体が包含される。特異的結合担体は、抗体、核酸、アビジン、タンパク質−核酸を包含する任意のタイプの特異的結合部分であることができる。
【0104】
適当な免疫原性担体の例は、ハプテンの免疫原性を上げそして/または診断的に、分析的にそして/もしくは治療的に有益であるハプテンに対する抗体を生じさせるのに役立つことができるものである。有用な担体には、反応物部分を結合することができる1つもしくはそれ以上の官能基、例えば第一級および/もしくは第二級アミノ基、アジド基、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基を含有する天然であるか(オボアルブミンもしくはキーホールリンペットヘモシアニンのようなタンパク質のような)または任意の生物(ウイルスを包含する)から単離される天然ポリマー、半合成もしくは合成物質由来であることができるポリマー担体が包含される。担体は水溶性もしくは不溶性であることができ、そ
してある態様においてタンパク質もしくはポリペプチドである。これらの基準を満たす担体は、当該技術分野において一般に既知である(例えば、Fattom et al.,Infect.Immun.58:2309−12,1990;Devi et al.,PNAS 88:7175−79,1991;Szu et al.,Infect.Immun.59:4555−61,1991;Szu et al.,J.Exp.Med.166:1510−24,1987;およびPavliakova et al.,Infect.Immun.68:2161−66,2000を参照)。
【0105】
免疫原性担体は、ロタウイルスのもしくはロタウイルス以外のウイルスのポリペプチドのようなポリペプチドであることができる。そのような他のウイルスの限定されないそして決して包括的ではないリストには、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、鳥類伝染性気管支炎ウイルス、バキュロウイルス、水疱瘡、コロナウイルス、サイトメガロウイルス、ジステンパー、エンテロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ネコ白血病ウイルス、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヘルペス種、単純ヘルペス、インフルエンザウイルス、HIV−1、HIV−2、HTLV 1、インフルエンザAおよびB、クンジンウイルス、ラッサ熱ウイルス、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、レンチウイルス、麻疹、メンゴウイルス、麻疹ウイルス属、ミクソウイルス、パピローマウイルス、パロウイルス、パラインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、パルボウイルス、ポコウイルス(Poko virus)、ポリオウイルス、ポリオーマ腫瘍ウイルス、仮性狂犬病、狂犬病ウイルス、レオウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、レトロウイルス、ライノウイルス、牛疫、ロタウイルス、セムリキ森林ウイルス、センダイウイルス、シミアンウイルス40、シンドビスウイルス、SV5、ダニ媒介性脳炎ウイルス、トガウイルス(風疹、黄熱病、デング熱)、ワクシニアウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎、水疱性口内炎ウイルス、メタ肺炎ウイルス、ノロウイルス、SARSウイルス、天然痘ウイルス、ピコルナウイルス、水痘帯状ヘルペスおよびウェストナイルウイルスが包含される。
【0106】
あるいはまた、免疫原性担体ポリペプチドは、細菌もしくは他の病原性生物のものであることができる。典型的な細菌ポリペプチドには、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)、アシネトバクター・カルコアセティクス(Acinetobacter calcoaceticus)、好ましくはアシネトバクター・アニトラタス(A.anitratus)、アシネトバクター・ヘモリチカス(A.haemolyticus)、アシネトバクター・アルカリゲネス(A.alcaligenes)およびアシネトバクター・ルヴォフィイ(A.lwoffii)、アクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、アエロモナス・ハイドロフィリア(Aeromonas hydrophilia)、アルカリゲネス(Alcaligenes)種、好ましくはアルカリゲネス・フェカリス(A.faecalis)、アルカリゲネス・オドランス(A.odorans)およびアルカリゲネス・デニトリフィカンス(A.denitrificans)、アリゾナ・ヒンシャウイ(Arizona hinshawii)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・メラニノゲニカス(Bacteroides melaninogenicus)、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・レクレンティス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ(Brucella)種、好ましくはブルセラ・アボルタス(B.abortus)、ブルセラ・スイス(B.suis)、ブルセラ・メリテンシス(B.melitensis)およびブルセラ・カニス(B.canis)、カリマトバクテリウム・グラヌロマティス(Calymmatobacterium granulomatis)、カンピロバク
ター・コリ(Campylobacter coli)(例えばCjaAポリペプチド)、カンピロバクター・フェタスssp.インテスティナリス(Campylobacter fetus ssp.intestinalis)、カンピロバクター・フェタスssp.ジュジュニ(Campylobacter fetus ssp.jejuni)、クラミジア(Chlamydia)種、好ましくはクラミジア・シタッシ(C.psittaci)およびクラミジア・トラコマティス(C.trachomatis)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)、シトロバクター(Citrobacter)種、好ましくはシトロバクター・フロインディ(C.freundii)およびシトロバクター・ディバーサス(C.diversus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、好ましくはコリネバクテリウム・ウルセランス(C.ulcerans)、コリネバクテリウム・ヘモリチカム(C.haemolyticum)およびコリネバクテリウム・シュードツベルクローシス(C.pseudotuberculosis)、コキシエラ・ブルネティ(Coxiella burnetii)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター(Enterobacter)、好ましくはエンテロバクター・クロアカエ(E.cloacae)、エンテロバクター・アエロゲネス(E.aerogenes)、エンテロバクター・ハフニエ(E.hafniae)(ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)とも呼ばれる)およびエンテロバクター・アグロメランス(E.agglomerans)、エリシペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、エシェリキア・コリ(Escherichia
coli)、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター(Helicobacter)種(例えばヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)のUreBポリペプチド)、クレブシエラ(Klebsiella)種、好ましくはクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)、クレブシエラ・オザエナエ(K.ozaenae)もしくはクレブシエラ・リノスクレロマティス(K.rhinoscleromatis)、レジオネラ(Legionella)種、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、モラクセラ(Moraxella)種、好ましくはモラクセラ・ラクナタ(M.lacunata)およびモラクセラ・オスロエンシス(M.osloensis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)(例えばCFP10ポリペプチド)、マイコプラズマ(Mycoplasma)種、好ましくはマイコプラズマ・ニューモニエ(M.pneumoniae)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、ノカルジア(Nocardia)種、好ましくはノカルジア・アステロイデス(N.asteroides)およびノカルジア・ブラジリエンシス(N.brasiliensis)、パスツレラ・ヘモリチカ(Past
eurella haemolytica)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ペプトコッカス・マグナス(Peptococcus
magnus)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、ニューモコッカス(Pneumococci)、プロテウス(Proteus)種、好ましくはプロテウス・ミラビリス(P.mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(P.vulgaris)、プロテウス・レットゲリ(P.rettgeri)およびプロテウス・モルガニー(P.morganii)(それぞれプロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)およびモルガネラ・モルガニー(Morganella morganii)とも呼ばれる)、プロビデンシア(Providencia)種、好ましくはプロビデンシア・アルカリファシエンス(P.alcalifaciens)、プロビデンシア・スチュアルティイ(P.stuartii)およびプロビデンシア・レットゲリ(P.rettgeri)(プロテウス・レットゲリ(Proteus rettgeri)とも呼ばれる)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・マレイ(Pseudomonas mallei)、シュードモナス・シュードマレイ(Pseudomonas pseudomallei)、リケッチア(Rickettsia)、ロシャリメア・ヘンセレ(Rochalimaia henselae)、サルモネラ(Salmonella)種、好ましくはサルモネラ・エンテリディス(S.enteridis)、サルモネラ・チフィ(S.typhi)およびサルモネラ・デルビー(S.derby)、そして最も好ましくはサルモネラDT104タイプのサルモネラ種、セラチア(Serratia)種、好ましくはセラチア・マルセッセンス(S.marcescens)、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(S.flexneri)、シゲラ・ボイディ(S.boydii)およびシゲラ・ソンネイ(S.sonnei)、スピリルム・マイナー(Spirillum minor)、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタヒロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタヒロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、好ましくはストレプトコッカス・フェカリス(S.faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(S.faecium)およびストレプトコッカス・デュランス(S.durans)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(例えばSfb1ポリペプチド)、トレポネーマ・カラテウム(Treponema carateum)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテヌエ(Treponema pertenue)、好ましくはトレポネーマ・パリダム(T.pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus)、エルジニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)およびエルジニア・ペスティス(Yersinia pestis)のものが包含される。
【0107】
寄生虫免疫原性担体は、例えば、マラリア(Malaria)(プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・ビバックス(P.vivax)、プラスモジウム・マラリエ(P.malariae))、シストソーマ(Schistosomes)、トリパノソーマ(Trypanosomes)、リーシュマニア(Leishmania)、フィラリア・ネマトデス(Filarial nematodes)、トリコモナス症、肉胞子虫症、テニア(Taenia)(テ
ニア・サギナタ(T.saginata)、テニア・ソリウム(T.solium))、リーシュマニア(Leishmania)、トキソプラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)、旋毛虫症(トリキネラ・スピラリス(Trichinella
spiralis))もしくはコクシジウム症(アイメリア(Eimeria)種)から単離されそして/もしくは得られることができる。
【0108】
実例となる真菌免疫原性担体は、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)およびコクシジオイデス症から選択される真菌より単離されそして/もしくは得られることができる。
【0109】
水溶性ポリペプチド免疫原性担体の特定の限定されない例には、細菌もしくはウイルスからの天然、半合成もしくは合成ポリペプチドもしくはタンパク質が包含されるがこれらに限定されるものではない。1つの態様において、担体としての使用のための細菌生成物には、細菌壁タンパク質および他の生成物(例えば、ストレプトコッカスもしくはスタヒロコッカス細胞壁)、ならびに細菌の可溶性抗原が包含される。別の態様において、担体としての使用のための細菌生成物には細菌毒素が包含される。細菌毒素には、感受性宿主において有毒作用、炎症反応、ストレス、ショック、慢性後遺症もしくは死亡を媒介する細菌生成物が包含される。
【0110】
水不溶性ポリマー担体の特定の限定されない例には、反応性部分をそれに結合することができる、アミノアルキルアガロース(例えば、アミノプロピルもしくはアミノヘキシルセファロース;Pharmacia Inc.,Piscataway,N.J.)、アミノプロピルガラス、架橋デキストランなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。他の担体は、反応性基を共有結合するために官能基が利用可能であるならば、用いることができる。
【0111】
キメラ抗体:ヒトのようなある種からのフレームワーク残基およびRETに特異的に結合するマウス抗体のような別の種からのCDR(これは一般に抗原結合を与える)を有する抗体。
【0112】
コンジュゲーションすること、連結すること、結合することもしくはつなぐこと:より大きい分子を製造するためにある分子を別の分子に共有結合すること。例えば、2つのポリペプチドを1つの連続したポリペプチド分子にすること、またはscFv抗体のような、ポリペプチドにハプテンもしくは他の分子を共有結合すること。特定の文脈において、該用語は、エフェクター分子(「EM」)に抗体部分のようなリガンドを連結することへの言及を含む。該連結は、化学的もしくは組換え手段によるいずれかであることができる。「化学的手段」は、1つの分子を生成せしめるために2つの分子間で形成される共有結合があるような抗体部分とエフェクター分子との間の反応をさす。
【0113】
連結された:第一の原子もしくは分子に適用する場合に第二の原子もしくは分子に「連結される」ことは、直接連結されるそして間接的に連結されるの両方であることができる。二次抗体は、間接的連結の例を提供する。間接的連結の1つの具体例はウサギ抗ハプテン一次抗体であり、それはマウス抗ウサギIgG抗体により結合され、それは次に検出可能な標識に共有結合されているヤギ抗マウスIgG抗体により結合される。
【0114】
エピトープ:抗原決定基。これらは抗原性である、すなわち、特異的免疫反応を引き起こす分子上の特定の化学基または連続的もしくは非連続的ペプチド配列である。抗体は、特定の抗原性エピトープに結合する。
【0115】
ハプテン:抗体と特異的に結合することができるが、典型的には担体分子との組み合わせを除いて免疫原性であることが実質的にできない分子、典型的には小分子。
【0116】
ホモポリマー:この用語は、単一モノマー(例えばアミノ酸)のような単一タイプの分子種の多数の単位を一緒に結合することにより形成されるポリマーをさす。
【0117】
ヒト化抗体:ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを含んでなる抗体。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンもしくは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから取り込まれたアミノ酸での限られた数の置換を有し得る。ヒト化もしくは他のモノクローナル抗体は、抗原結合もしくは他の免疫グロブリン機能への影響を実質的に有さないさらなる保存的アミノ酸置換を有することができる。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子工学を用いて構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照)。
【0118】
ヒト化免疫グロブリン:ヒトフレームワーク領域および非ヒト(例えば、マウス、ラットもしくは合成)免疫グロブリンからの1つもしくはそれ以上のCDRを含む免疫グロブリン。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、そしてフレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。1つの態様において、全てのCDRはヒト化免疫グロブリンにおけるドナー免疫グロブリンからである。定常領域は存在する必要はないが、それらが存在する場合、それらはヒト免疫グロブリン定常領域に実質的に同一、すなわち、少なくとも約85〜90%、例えば約95%もしくはそれ以上同一でなければならない。従って、ヒト化免疫グロブリンの全ての部分は、場合によりCDRを除いて、天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に実質的に同一である。
【0119】
免疫反応:刺激に対する、B細胞、T細胞、マクロファージもしくは多形核細胞のような免疫系の細胞の反応。免疫反応は、宿主防御反応に関与する体の任意の細胞、例えば、インターフェロンもしくはサイトカインを分泌する上皮細胞を含むことができる。免疫反応には、先天性免疫反応もしくは炎症が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0120】
免疫原性コンジュゲートもしくは組成物:脊椎動物において特異的免疫反応(もしくは免疫原性反応)を刺激するかもしくは引き起こすために有用な組成物を意味するために本明細書において用いられる用語。ある態様において、免疫原性反応は、免疫原性組成物が向けられる生物からの感染もしくは疾患進行に脊椎動物がより良く抵抗することをそれが可能にする点において、防御的であるかもしくは防御免疫を与える。免疫原性組成物のタイプの1つの具体例はワクチンである。
【0121】
免疫原:動物に注射されるかもしくは吸収される組成物を包含する、動物において、適切な条件下で、抗体の生産もしくはT細胞反応を刺激することができる化合物、組成物もしくは物質。
【0122】
免疫学的に有効な用量:本開示の開示されるコンジュゲートの免疫学的に有効な用量は治療的に有効であり、そして疾患もしくは症状の重症度、程度もしくは期間を抑えるか、処置するか、減少させるかもしくは軽減する。
【0123】
免疫学的に反応性の条件:実質的に全ての他のエピトープへの結合よりも検出可能に大きい程度にそして/もしくはそれが実質的になく、特定のエピトープに対して産生される抗体がそのエピトープに結合することを可能にする条件への言及を含む。免疫学的に反応性の条件は、抗体結合反応の形態により決まり、そして典型的には免疫アッセイプロトコ
ルにおいて利用されるものもしくはインビボで遭遇する条件である。免疫アッセイ形態および条件の記述については、Harlow & Lane、上記を参照。これらの方法において用いられる免疫学的に反応性の条件は、生きている哺乳類もしくは哺乳類細胞の内部で典型的である条件(温度、浸透圧、pHのような)への言及を含む「生理的条件」である。ある器官は極限条件にさらされていることが認識されるが、生物内および細胞内環境は通常は約pH7辺りにあり(すなわち、pH6.0〜pH8.0、より典型的にはpH6.5〜7.5)、主要溶媒として水を含有し、そして0℃より上で50℃より下の温度で存在する。浸透圧は、細胞生存および増殖を支援する範囲内である。
【0124】
疾患を抑制することもしくは処置すること:例えば、炭疽病のような疾患の危険性がある患者において、疾患もしくは症状の完全な発症を抑制すること。「処置」は、それが発症し始めた後に疾患もしくは病状の兆候もしくは症状を改善する治療的介入をさす。本明細書において用いる場合、疾患、病状もしくは症状と関連した「改善すること」という用語は、処置の任意の観察可能な有益な効果をさす。有益な効果は、例えば、感受性患者における疾患の臨床症状の遅延発症、疾患のいくつかのもしくは全ての臨床症状の重症度の減少、疾患のより遅い進行、疾患の再発の数の減少、患者の全般的健康(health)もしくは健康(well−being)の改善により、または特定の疾患に特有である当該技術分野において周知である他のパラメーターにより証明することができる。
【0125】
単離された:「単離された」微生物(ウイルス、細菌、真菌もしくは原生動物のような)は、異なるタイプ、株もしくは種の微生物から離れて実質的に分離されるかもしくは精製されている。微生物は、連続希釈および培養を包含する様々な技術により単離することができる。
【0126】
「単離された」生物学的成分(核酸分子、タンパク質もしくは細胞小器官のような)は、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質ならびに細胞小器官のような、該成分が天然で存在する生物の細胞における他の生物学的成分から離れて実質的に分離されるかもしくは精製されている。「単離されている」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法により精製された核酸およびタンパク質が包含される。該用語にはまた、宿主細胞における組換え発現により製造される核酸およびタンパク質、ならびに化学的に合成された核酸もしくはタンパク質、またはそのフラグメントも包含される。
【0127】
検出可能な標識:その分子の検出を容易にするために、抗体もしくはタンパク質のような別の分子に直接もしくは間接的に結合される検出可能な化合物もしくは組成物。標識の特定の限定されない例には、蛍光タグ、酵素および放射性同位体が包含される。
【0128】
リンカーペプチド:可変軽鎖に可変重鎖を間接的に結合する働きをする抗体結合フラグメント(Fvフラグメントのような)内のペプチド。「リンカー」はまた、細胞毒素もしくは検出可能な標識のようなエフェクター分子にscFvのようなターゲッティング部分を連結する働きをするペプチドをさすこともできる。
【0129】
哺乳類:この用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳類の両方が包含される。同様に、「患者」という用語にはヒトおよび動物患者の両方が包含される。
【0130】
興味のある分子もしくは標的:その存在、位置および/もしくは濃度が決定されるべき分子。興味のある分子の例には、ハプテンで標識されるタンパク質および核酸配列が包含される。
【0131】
モノクローナル抗体:Bリンパ球の単一クローンによりもしくは単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクションされている細胞により生産される抗体。モノクローナ
ル抗体は、当業者に既知である方法により、例えば免疫脾臓細胞と骨髄腫細胞との融合からハイブリッド抗体産生細胞を作ることにより製造される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が包含される。
【0132】
多重化する、多重化した、多重化すること:本発明の態様は、サンプルにおける多数の標的が、複数の異なるコンジュゲートを用いて、所望に応じて、実質的に同時にもしくは順次検出されることを可能にする。多重化することには、個々にそしてありとあらゆる組み合わせの両方で、一般的に核酸、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質を同定することおよび/もしくは定量することを包含することができる。多重化することにはまた、その解剖学的関連で細胞における遺伝子、メッセンジャーおよびタンパク質の2つもしくはそれ以上を検出することを包含することもできる。
【0133】
ナノ粒子:ナノメートル単位で測定されるサイズを有するナノスケール粒子、例えば、約100nm未満の少なくとも1つの寸法を有するナノスケール粒子。ナノ粒子の例には、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様物質、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合した金属キレートでのような)、ナノ繊維、ナノホーン、ナノオニオン、ナノロッド、ナノロープおよび量子ドットが包含される。ナノ粒子は、例えば、光子(高周波および可視光子を包含する)の吸収および/もしくは放出ならびにプラズモン共鳴によって検出可能なシグナルを生成することができる。
【0134】
新生組織形成および腫瘍:細胞の異常なそして制御されない増殖の過程。新生組織形成は、増殖性疾患の一例である。
【0135】
新生組織形成の産物は新生物(腫瘍)であり、それは過剰な細胞分裂に起因する組織の異常な増殖である。転移しない腫瘍は、「良性」と呼ばれる。周囲組織に浸潤しそして/もしくは転移することができる腫瘍は、「悪性」と呼ばれる。血液学的腫瘍の例には、急性白血病(急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(acute myelocytic leukemia)、急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病のような)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ球性白血病のような)を包含する白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病および骨髄異形成が包含される。
【0136】
肉腫および癌腫のような充実性腫瘍の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫および他の肉腫、滑液肉腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、睾丸腫瘍、セミノーマ、膀胱癌およびCNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫のような)が包含される。
【0137】
製薬学的に許容しうる担体:本開示において有用な製薬学的に許容しうる担体(賦形剤)は、従来通りである。E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,第15版(1975)は、1つもしくはそれ以上のSARS−CoV核酸分子、タンパク質もしくはこれらのタンパク質に結合する抗体のような1つもしく
はそれ以上の治療化合物もしくは分子、および追加の製薬学的薬剤の製薬学的送達に適当な組成物および製剤を記述する。「製薬学的に許容しうる担体」という用語は、ハプテン/担体コンジュゲートもしくは抗原/担体コンジュゲートと関連して上に記述されるような「担体」と区別されるべきである。
【0138】
一般に、担体の性質は、用いられている特定の投与形態により決まる。例えば、非経口製剤は賦形剤として水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどのような製薬学的にそして生理学的に許容しうる液体が包含される注入可能な液体を通常は含んでなる。固形組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤もしくはカプセル剤形態)では、通常の無毒の固形担体には、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、澱粉もしくはステアリン酸マグネシウムを包含することができる。生物学的に中性の(neutral)担体に加えて、投与される製薬学的組成物は湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤およびpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウムもしくはソルビタンモノラウレートのような少量の無毒の補助物質を含有することができる。
【0139】
ポリペプチド:モノマーが、アミド結合によって一緒に連結されるアミノ酸残基であるポリマー。アミノ酸がアルファ−アミノ酸である場合、L−光学異性体もしくはD−光学異性体のいずれかを用いることができる。「ポリペプチド」もしくは「タンパク質」という用語には、本明細書において用いる場合、任意のアミノ酸配列が包含されそして糖タンパク質のような修飾された配列が包含されるものとする。「ポリペプチド」という用語は、特に、天然に存在するタンパク質ならびに組換え的にもしくは合成的に製造されるものを含むものとする。
【0140】
「残基」もしくは「アミノ酸残基」という用語には、タンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドに取り込まれるアミノ酸への言及が包含される。
【0141】
タンパク質:アミノ酸を含んでなる分子、特にポリペプチド。
【0142】
精製された:「精製された」という用語は絶対的純度を必要とせず;むしろ、それは相対的用語として意図される。従って、例えば、精製されたペプチド、タンパク質、コンジュゲートもしくは他の活性化合物は、タンパク質もしくは他の汚染物質から全体的にもしくは部分的に単離されるものである。一般的に、本開示内の使用のための実質的に精製されたペプチド、タンパク質、コンジュゲートもしくは他の活性化合物は、治療投与のための完全な製薬学的製剤において製薬学的担体、賦形剤、バッファー、吸収促進剤、安定剤、防腐剤、アジュバントもしくは他の共成分(co−ingredient)とペプチド、タンパク質、コンジュゲートもしくは他の活性化合物との混合もしくは調合の前に製剤に存在する全ての高分子種の80%より多くを含んでなる。より典型的には、ペプチド、タンパク質、コンジュゲートもしくは他の活性化合物は、他の製剤成分との混合の前に精製された製剤に存在する全ての高分子種の90%より多く、しばしば95%より多くに相当するように精製される。他の場合において、精製された製剤は本質的に均質であることができ、ここで、他の高分子種は通常の技術により検出可能でない。
【0143】
量子ドット:量子閉じ込めによってサイズに依存する電子および光学特性を示すナノスケール粒子。量子ドットは、例えば、半導体材料(例えばセレン化カドミウムおよび硫化鉛)そして結晶(分子線エピタキシーによって成長させる)などから構築されている。様々な界面化学および蛍光特性を有する様々な量子ドットが、Invitrogen Corporation,Eugene,ORから市販されている(例えば、米国特許第6,815,064号、第6,682,596号および第6,649,138号を参照、これらの特許の各々は本明細書に引用することにより組み込まれる)。量子ドットはまた、Evident Technologies(Troy,NY)からも市販されている。他
の量子ドットには、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdSSe、CdSeTe、ScSTe、HgSSe、HgSeTe、HgSTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、ZnCdSSe、ZnHgSSe、ZnCdSeTe、ZnHgSeTe、CdHgSSe、CdHgSeTe、InGaAs、GaAlAsおよびInGaN量子ドットのような合金量子ドットが包含される(合金量子ドットおよびそれらを製造する方法は、例えば、米国出願公開第2005/0012182号およびPCT公開WO2005/001889に開示される)。
【0144】
反応性基:本願の全体にわたる式(formulas)は、本明細書に記載の通り第一の単位を第二の単位に連結するために適当な様々な基のいずれかであることができる「反応性基」をさす。例えば、反応性基はアミン反応性基、例えばイソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、酸塩化物、例えばスルホニルクロリド、アルデヒドおよびグリオキサール、エポキシドおよびオキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、およびその組み合わせであってもよい。適当なチオール反応性官能基には、ハロアセチルおよびアルキルハロゲン化物、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール−ジスルフィド交換試薬、例えばピリジルジスルフィド、TNB−チオール、およびジスルフィド還元剤、ならびにその組み合わせが包含される。適当なカルボキシレート反応性官能基には、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル化合物、カルボニルジイミダゾール化合物およびカルボジイミドが包含される。適当なヒドロキシル反応性官能基には、エポキシドおよびオキシラン、カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートもしくはクロロギ酸N−ヒドロキシスクシンイミジル、過ヨウ素酸塩酸化化合物、酵素的酸化、アルキルハロゲンおよびイソシアネートが包含される。アルデヒドおよびケトン反応性官能基には、ヒドラジン、シッフ塩基、還元的アミノ化生成物、マンニッヒ縮合生成物、およびその組み合わせが包含される。活性水素反応性化合物には、ジアゾニウム誘導体、マンニッヒ縮合生成物、ヨウ素化反応生成物、およびその組み合わせが包含される。光反応性化学官能基には、アリールアジド、ハロゲン化アリールアジド、ベンゾフォノン、ジアゾ化合物、ジアジリン誘導体、およびその組み合わせが包含される。
【0145】
サンプル:患者から得られる、ゲノムDNA、RNA(mRNAを包含する)、タンパク質、もしくはその組み合わせを含有する生物学的試料。例には、末梢血、尿、唾液、組織生検、外科標本、羊水穿刺サンプルおよび剖検材料が包含されるがこれらに限定されるものではない。一例として、サンプルには腺癌の生検、非癌性組織のサンプル、正常組織のサンプル(既知の疾患もしくは障害に罹患していない患者から)が包含される。
【0146】
特異的結合部分:特異的結合対のメンバー。特異的結合対は、それらが他の分子への結合が実質的になく相互に結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生物学的サンプルにおける他の分子と結合対の2つのメンバーとのいずれかとの結合定数より少なくとも10
3M
-1大きい、10
4M
-1大きいもしくは10
5M
-1大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の特定の例には、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジンのようなアビジン、およびプロテインA)、核酸配列およびタンパク質−核酸が包含される。特異的結合部分にはまた、そのような特異的結合タンパク質により特異的に結合される分子(もしくはその一部)を包含することもできる。
【0147】
治療的に有効な量:その薬剤で処置されている患者において所望の効果を得るために十分な特定の薬剤の量。例えば、これは、感染および疾患に対する抵抗性を増すこと、それらを防ぐこと、改善することそして/もしくは処置することにおいて有用なコンジュゲートの量であることができる。理想的には、薬剤の治療的に有効な量は、感染に対する抵抗
性を増し、それを防ぎ、改善し、そして/もしくは処置するために十分なそして患者における実質的な細胞毒性効果を引き起こすことのない量である。患者における感染および疾患に対する抵抗性を増し、それを防ぎ、改善し、そして/もしくは処置するために有用な薬剤の有効量は、処置されている患者、苦痛の重度および治療組成物の投与の方法により決まる。
【0148】
ワクチン:ワクチンは、患者において予防もしくは治療免疫反応を引き出す製薬学的組成物である。ある場合において、免疫反応は防御反応である。典型的に、ワクチンは病原体、例えば細菌もしくはウイルス病原体の抗原に対して、または病状と相関している細胞成分に対して抗原特異的免疫反応を引き出す。ワクチンには、ポリヌクレオチド、ペプチドもしくはポリペプチド、多糖、ウイルス、細菌、細胞または1つもしくはそれ以上の細胞成分を包含することができる。ある場合において、ウイルス、細菌もしくは細胞は、ワクチン成分の免疫原性を保ちながら、感染の可能性を防ぐかもしくは減らすために不活性化されるかもしくは弱毒化されることができる。
【0149】
抗原性ポリペプチドは、ロタウイルスの、もしくはロタウイルス以外のウイルスものであることができる。そのような他のウイルスの限定されないそして決して包括的ではないリストには、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、鳥類伝染性気管支炎ウイルス、バキュロウイルス、水疱瘡、コロナウイルス、サイトメガロウイルス、ジステンパー、エンテロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ネコ白血病ウイルス、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヘルペス種、単純ヘルペス、インフルエンザウイルス、HIV−1、HIV−2、HTLV 1、インフルエンザAおよびB、クンジンウイルス、ラッサ熱ウイルス、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、レンチウイルス、麻疹、メンゴウイルス、麻疹ウイルス属、ミクソウイルス、パピローマウイルス、パロウイルス、パラインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、パルボウイルス、ポコウイルス、ポリオウイルス、ポリオーマ腫瘍ウイルス、仮性狂犬病、狂犬病ウイルス、レオウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、レトロウイルス、ライノウイルス、牛疫、ロタウイルス、セムリキ森林ウイルス、センダイウイルス、シミアンウイルス40、シンドビスウイルス、SV5、ダニ媒介性脳炎ウイルス、トガウイルス(風疹、黄熱病、デング熱)、ワクシニアウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎、水疱性口内炎ウイルス、メタ肺炎ウイルス、ノロウイルス、SARSウイルス、天然痘ウイルス、ピコルナウイルス、水痘帯状ヘルペスおよびウェストナイルウイルスが包含される。
【0150】
あるいはまた、抗原性ポリペプチドは、細菌もしくは他の病原性生物のものであることができる。典型的な細菌ポリペプチドには、アクロモバクター・キシロソキシダンス、アシネトバクター・カルコアセティクス、好ましくはアシネトバクター・アニトラタス、アシネトバクター・ヘモリチカス、アシネトバクター・アルカリゲネスおよびアシネトバクター・ルヴォフィイ、アクチノマイセス・イスラエリイ、アエロモナス・ハイドロフィリア、アルカリゲネス種、好ましくはアルカリゲネス・フェカリス、アルカリゲネス・オドランスおよびアルカリゲネス・デニトリフィカンス、アリゾナ・ヒンシャウイ、バチルス・アントラシス、バチルス・セレウス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・メラニノゲニカス、ボルデテラ・ペルツッシス、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・レクレンティス、ブルセラ種、好ましくはブルセラ・アボルタス、ブルセラ・スイス、ブルセラ・メリテンシスおよびブルセラ・カニス、カリマトバクテリウム・グラヌロマティス、カンピロバクター・コリ(例えばCjaAポリペプチド)、カンピロバクター・フェタスssp.インテスティナリス、カンピロバクター・フェタスssp.ジュジュニ、クラミジア種、好ましくはクラミジア・シタッシおよびクラミジア・トラコマティス、クロモバクテリウム・ビオラセウム、シトロバクター種、好ましくはシトロバクター・フロインディおよびシトロバクター・ディバーサス、クロストリジウム・ボツリヌム、クロス
トリジウム・ペルフリンゲンス、クロストリジウム・ジフィシル、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、コリネバクテリウム、好ましくはコリネバクテリウム・ウルセランス、コリネバクテリウム・ヘモリチカムおよびコリネバクテリウム・シュードツベルクローシス、コキシエラ・ブルネティ、エドワージエラ・タルダ、エイケネラ・コロデンス、エンテロバクター、好ましくはエンテロバクター・クロアカエ、エンテロバクター・アエロゲネス、エンテロバクター・ハフニエ(ハフニア・アルベイとも呼ばれる)およびエンテロバクター・アグロメランス、エリシペロスリクス・ルシオパシエ、エシェリキア・コリ、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム、フランシセラ・ツラレンシス、フゾバクテリウム・ヌクレアタム、ガードネレラ・バギナリス、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘモフィルス・インフルエンザ、ヘリコバクター種(例えばヘリコバクター・ピロリのUreBポリペプチド)、クレブシエラ種、好ましくはクレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オザエナエもしくはクレブシエラ・リノスクレロマティス、レジオネラ種、レプトスピラ・インテロガンス、リステリア・モノサイトゲネス、モラクセラ種、好ましくはモラクセラ・ラクナタおよびモラクセラ・オスロエンシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・レプラエ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(例えばCFP10ポリペプチド)、マイコプラズマ種、好ましくはマイコプラズマ・ニューモニエ、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ノカルジア種、好ましくはノカルジア・アステロイデスおよびノカルジア・ブラシリエンシス、パスツレラ・ヘモリチカ、パスツレラ・マルトシダ、ペプトコッカス・マグナス、プレシオモナス・シゲロイデス、ニューモコッカス、プロテウス種、好ましくはプロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・レットゲリおよびプロテウス・モルガニー(それぞれプロビデンシア・レットゲリおよびモルガネラ・モルガニーとも呼ばれる)、プロビデンシア種、好ましくはプロビデンシア・アルカリファシエンス、プロビデンシア・スチュアルティイおよびプロビデンシア・レットゲリ(プロテウス・レットゲリとも呼ばれる)、シュードモナス・アエルギノーザ、シュードモナス・マレイ、シュードモナス・シュードマレイ、リケッチア、ロシャリメア・ヘンセレ、サルモネラ種、好ましくはサルモネラ・エンテリディス、サルモネラ・チフィおよびサルモネラ・デルビー、そして最も好ましくはサルモネラDT104タイプのサルモネラ種、セラチア種、好ましくはセラチア・マルセッセンス、シゲラ・ディセンテリエ、シゲラ・フレクスネリ、シゲラ・ボイディおよびシゲラ・ソンネイ、スピリルム・マイナー、スタヒロコッカス・アウレウス、スタヒロコッカス・エピデルミディス、スタヒロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトバチルス・モニリフォルミス、ストレプトコッカス、好ましくはストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・フェシウムおよびストレプトコッカス・デュランス、ストレプトコッカス・アガラクチエ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス (例えばSfb1ポリペプチド)、トレポネーマ・カラテウム、トレポネーマ・パリダム、トレポネーマ・ペルテヌエ、好ましくはトレポネーマ・パリダム、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ビブリオ・コレラ、ビブリオ・パラヘモリチカス、エルジニア・エンテロコリチカおよびエルジニア・ペスティスのものが包含される。
【0151】
寄生虫ハプテンもしくは抗原は、例えば、マラリア(プラスモジウム・ファルシパルム、プラスモジウム・ビバックス、プラスモジウム・マラリエ)、シストソーマ、トリパノソーマ、リーシュマニア、フィラリア・ネマトデス、トリコモナス症、肉胞子虫症、テニア(テニア・サギナタ、テニア・ソリウム)、リーシュマニア、トキソプラズマ・ゴンジイ、旋毛虫症(トリキネラ・スピラリス)もしくはコクシジウム症(アイメリア種)から選択することができる。
【0152】
実例となる真菌ハプテンもしくは抗原は、クリプトコックス・ネオフォルマンス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガーツスおよびコクシジオイデス症から選択される真菌由来であることができる。
【0153】
ハプテンもしくは抗原はまた、例えば脊椎動物を包含する任意の動物由来であることもできる。例えば、ハプテンもしくは抗原は、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニンおよびマッコウクジラミオグロブリン由来の成分を含んでなることができる。
【0154】
適当な担体の例は、コンジュゲートの免疫原性を増しそして/または診断的に、分析的にそして/もしくは治療的に有益である担体に対する抗体を引き出すことができるものである。有用な担体には、反応物部分をそれに結合することができる1つもしくはそれ以上の官能基、例えば第一級および/もしくは第二級アミノ基、アジド基、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基を含有する天然、半合成もしくは合成材料であることができるポリマー担体が包含される。担体は水溶性もしくは不溶性であることができ、そしてある態様においてタンパク質もしくはポリペプチドである。これらの基準を満たす担体は、当該技術分野において一般に既知である(例えば、Fattom et al.,Infect.Immun.58:2309−12,1990;Devi et al.,PNAS 88:7175−79,1991;Szu et al.,Infect.Immun.59:4555−61,1991;Szu et al.,J.Exp.Med.166:1510−24,1987;およびPavliakova et al.,Infect.Immun.68:2161−66,2000を参照)。担体は、たとえそれが誘導する抗体がそれだけで有益でなくても有用であることができる。
【0155】
水溶性ポリペプチド担体の特定の限定されない例には、細菌もしくはウイルスからの天然、半合成もしくは合成ポリペプチドもしくはタンパク質が包含されるがこれらに限定されるものではない。1つの態様において、担体としての使用のための細菌生成物には、細菌壁タンパク質および他の生成物(例えばストレプトコッカスもしくはスタヒロコッカス細胞壁)、ならびに細菌の可溶性抗原が包含される。別の態様において、担体としての使用のための細菌生成物には細菌毒素が包含される。細菌毒素には、感受性宿主において有毒作用、炎症反応、ストレス、ショック、慢性後遺症もしくは死亡を媒介する細菌生成物が包含される。
【0156】
水不溶性担体の特定の限定されない例には、反応性部分をそれに結合することができる、アミノアルキルアガロース(例えば、アミノプロピルもしくはアミノヘキシルセファロース;Pharmacia Inc.,Piscataway,N.J.)、アミノプロピルガラス、架橋デキストランなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。他の担体は、反応性基を共有結合するために官能基が利用可能であるならば、用いることができる。
【0157】
II.ハプテン
そのようなハプテンの開示される態様には、ピラゾール、特にニトロピラゾール;ニトロフェニル化合物;ベンゾフラザン;トリテルペン;尿素およびチオ尿素、特にフェニル尿素、そしてなおさらに特にフェニルチオ尿素;ロテノイドとも本明細書において呼ばれる、ロテノンおよびロテノン誘導体;オキサゾールおよびチアゾール、特にオキサゾールおよびチアゾールスルホンアミド;クマリンおよびクマリン誘導体;ポドフィロトキシンおよびポドフィロトキシン誘導体により例示されるシクロリグナン;ならびにその組み合わせが包含される。
【0158】
以下に提供される一般式について、置換基が示されない場合、置換基は水素であることを当業者は認識する。例えば、環系の内部に伸びる、原子に連結されないが示される結合は、そのような置換基の位置が可変であることを示す。結合を通って引かれた曲線は、ある追加の構造がその位置に結合されること、典型的には担体にハプテンを連結するために使用されるリンカーまたは官能基もしくは部分を示す。さらに、1つもしくはそれ以上のキラル中心を有する化合物に立体化学が示されない場合、全ての鏡像異性体およびジアス
テレオマーが包含される。同様に、脂肪族もしくはアルキル基の詳述について、その全ての構造異性体もまた包含される。
【0159】
1.アゾール
本発明のハプテンの第一の一般的クラスは、以下の一般的化学式を有するアゾール、典型的にはオキサゾールおよびピラゾール、さらに典型的にはニトロオキサゾールおよびニトロピラゾールである。
【0160】
【化28】
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【0161】
この一般式に関して、nは0〜2、最も典型的には0もしくは1である。R
1〜R
4は、ハプテンとしての機能を妨げずそして潜在的に促進する任意の有機基であることができる。さらに特に、R
1〜R
4は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、シアノ(−CN)、エステル、エーテル、エキソメチレン、ハロゲン、ヘテロアリール、複素環式、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、ならびにその組み合わせから選択される。これらのR
1〜R
4置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
4置換基の少なくとも1つは、リンカーに結合されるかまたはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基である。R
1〜R
4は最も典型的には脂肪族、水素もしくはニトロ基、さらにより典型的にはアルキル、水素もしくはニトロ、そしてなおさらにより典型的には低級(10個以下の炭素原子)アルキル、水素、ニトロ、またはその組み合わせである。ニトロ基の数は異なることができるが、最も典型的には1もしくは2個のニトロ基がある。Xは独立して窒素もしくは炭素である。Yは酸素、硫黄もしくは窒素である。Yが酸素もしくは硫黄である場合、R
1基は存在せず、そしてn=0。Yが窒素である場合、少なくとも1個のR
1基が存在する。
【0162】
2個もしくはそれ以上のW基を有する化合物について、その相対位置は可変であることを当業者は認識する。例えば、ジアゾールは1および2位もしくは1および3位で窒素原子を有することができる。さらに、トリアジンでのような、2個より多いヘテロ原子もまた可能である。
【0163】
これらのアゾール化合物のR
1〜R
4の少なくとも1つは、ある他の基に結合されるかもしくは可変官能基である。例えば、例示される化合物は、アゾール環に関して適当な位置のいずれかで担体にもしくはリンカーに直接連結することができる。
【0164】
実用的態様は典型的に、R
1〜R
4の少なくとも1つがニトロ基であり、そして場合によりR
1〜R
4の2つがニトロ基であり、残りのR
1〜R
4がリンカーもしくは担体にハプテンを連結するために用いられるように、モノ−もしくはジニトロピラゾール誘導体であった。
【0165】
【化29】
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【0166】
1つの特定の化合物は、以下の構造を有した。
【0167】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0168】
2.ニトロアリール
本発明のハプテンの第二の一般的クラスはニトロアリール化合物である。典型的なニトロアリール化合物には、以下の一般的化学式を有する、ニトロフェニル、ニトロビフェニル、ニトロトリフェニルなどおよびありとあらゆるヘテロアリール対応物が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0169】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
この一般式に関して、そのような化合物は少なくとも1個のそして場合により複数のニトロ基を有する。従って、R
1〜R
6の少なくとも1つはニトロである。R
1〜R
6の1つより多くがニトロである場合、複数のニトロ置換基もしくは他の環置換基に対するニトロ置換基の相対的環位置の全ての組み合わせが、開示されるハプテンのこのクラス内に包含される。ジニトロアリール化合物は、最も典型的である。ニトロ基の数が増加するにつれて、一般式における残りの環置換基の数は減少することを当業者は認識する。これらの置換
基は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の炭素原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。R
1〜R
6置換基の少なくとも1つはリンカーに結合されるかまたはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基である。
【0171】
R
1〜R
6置換基の2つもしくはそれ以上はまた、ナフタレン(以下に示される)もしくはアントラセンタイプ誘導体のような、環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。縮合6−5環系のような、6員環系以外の環系を形成することができる。
【0172】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
この場合もやはり、R
1〜R
8により占められる環位置の少なくとも1つは、リンカーに結合されるかもしくは担体分子への共有結合によるような連結に適当な可変官能基である。例えば、本発明のニトロアリール化合物は、様々な任意の環位置で、担体へのもしくはリンカーへの連結のための官能基を含むことができる。
【0174】
実用的態様は、ニトロフェニル化合物により例示される。単に例として、モノニトロアリール化合物はニトロシンナミド化合物により例示される。ニトロシンナミドに基づく化合物の1つの態様は、以下に示される4,5−ジメトキシ−2−ニトロシンナミドにより例示される。
【0175】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0176】
化合物のニトロフェニルクラスはまた、ジニトロフェニル化合物によっても表される。ニトロ基を有さない環位置の残りの炭素原子の少なくとも1つは官能基に、リンカーにもしくは直接担体に結合される。これらの基の相対位置のありとあらゆる組み合わせは、開示されるハプテンのクラス内に包含される。
【0177】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
実用的態様は、以下に例示されるように、リンカーに連結される2,4−ジニトロフェニル化合物によりさらに特に例示される。
【0179】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
R
1〜R
3は上記のとおりである。
【0181】
3.ベンゾフラザン
ベンゾフラザンおよびその誘導体は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスである。ベンゾフラザンタイプ化合物の一般式は、以下に提供される。
【0182】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
R
1〜R
4置換基は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボ
キシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、およびその組み合わせから選択される。これらのR
1〜R
4置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
4置換基の少なくとも1つは、リンカーにもしくは直接担体に結合される。Yは、R
5およびR
6置換基を有する炭素原子(ここで、R
5およびR
6はR
1〜R
4に記載したとおりである)、酸素もしくは硫黄、典型的には酸素である。
【0184】
Yが酸素である化合物は、以下の構造を有する化合物によりさらに特に例示され、ここで、R
1〜R
4は上記のとおりであり、そして最も典型的には独立して水素および低級アルキルである。
【0185】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
ハプテンのこのクラスの化合物の1つの実用的態様は、以下の化学構造を有した。
【0187】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
4.トリテルペン
トリテルペンは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスである。環式トリテルペンに共通している基本環構造は、以下に示されるように、4つの6員縮合環、A〜Dを有する。
【0189】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
J.C.Connolly and R.A.Hill,Triterpenoids,Nat.Prod.Rep.,19,494−513(2002);Baglin et al.,A Review of Natural and Modified Beculinic,Ursolic and Echinocystic Acid Derivatives as Potential Antitumor and Anti−HIV Agents,Mini Reviews in Medicinal Chemistry,3,525−539;W.N.and M.C.Setzer,Plant−Derived Triterpenoids as Potential Antineoplastic Agents,Mini Reviews in Medicinal Chemistry,3,540−556(2003);およびBaltina,Chemical Modification of Glycyrrhizic Acid as a Route to New Bioactive Compounds for Medicine,Current Medicinal Chemistry,10,155−171 92003);(これらの各々は、引用することにより本明細書に組み込まれる)を包含する多数の公開が、本発明を実施するために有用なトリテルペンの属内の天然に存在する、半合成および合成トリテルペン種を説明する。本開示およびその実用的態様、ならびにこれらの先行公開により提供される開示に基づき、そしてこの第一の一般式に関して、R
1〜R
21は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。これらのR
1〜R
21置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型
的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
21置換基の少なくとも1つは、リンカーに結合されるかまたはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基である。Yはそれによって5員環を定義する結合であるか、もしくはR
22およびR
23置換基を有する炭素原子であり、ここで、これらのR基は上記のとおりである。
【0191】
ハプテンのこのクラスを例示するトリテルペンの開示される態様にはまた、E環を包含することもでき、そしてこのE環は様々な環サイズのもの、特に環に5〜7個の原子、典型的には炭素原子を有する環であることができる。例えば、E環は、以下の一般式により示されるように、6員環であってもよく、ここで、R
1〜R
31はR
1〜R
21についての上記のとおりである。
【0192】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
以下の一般式は、R
13置換基が、水素、ヒドロキシル、エステル、すなわち、−OR
34(ここで、R
34は脂肪族、典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)、第一級アミド(−NH
2)、第二級アミド(−NHR
35)および第三級アミド(−NR
35R
36)(ここで、R
35およびR
36は脂肪族、典型的には低級脂肪族、より典型的にはアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルもしくは置換された低級アルキルである)を包含するアミドから選択されるR
33置換基を有するアシル基であることができることを示す。この一般式はまた、R
1置換基がOR
32置換基、(ここで、R
32は水素もしくは脂肪族、より典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)であることが多いことも示す。残りのR基は、第一の一般式に関して上に記載したとおりである。
【0194】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0195】
E環はまた、以下の式により示されるように、5員環であることもでき、ここで、R
1〜R
29基はR
1〜R
21についての上記のとおりである。
【0196】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
これらの一般式に関して、R
1〜R
29基はR
1〜R
21についての上記のとおりである。
【0198】
E環が6員環である典型的な化合物のように、E環が5員環である化合物もまた上記に説明したようにR
1およびR
13で置換基を含むことができる。特に、この一般式は、R
13置換基が、水素、ヒドロキシル、エステル、すなわち、−OR
34(ここで、R
34は脂肪族、典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)、第一級アミド(−NH
2)、第二級アミド(−NHR
35)および第三級アミド(−NR
35R
36)(ここで、R
35およびR
36は脂肪族、典型的には低級脂肪族、より典型的にはアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルもしくは置換された低級アルキルである)を包含するアミドから選択されるR
33置換基を保有するアシル基であることができることを示す。この一般式はまた、R
1置換基がOR
32置換基(ここで、R
32は水素もしくは脂肪族、より典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)であることが多いことも示す。
【0199】
典型的な化合物はまた、AおよびE環の両方として5員環も含む。そのような典型的な化合物の一般式は以下に提供され、ここで、R
1〜R
29置換基は上記のとおりである。
【0200】
【化43】
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【0201】
この場合もやはり、R
1およびR
13置換基は酸素に基づく官能基であることができる。R
13置換基は、水素、ヒドロキシル、エステル、すなわち、−OR
34(ここで、R
34は脂肪族、典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)、第一級アミド(−NH
2)、第二級アミド(−NHR
35)および第三級アミド(−NR
35R
36)(ここで、R
35およびR
36は脂肪族、典型的には低級脂肪族、より典型的にはアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルもしくは置換された低級アルキルである)を包含するアミドから選択されるR
33置換基を有するアシル基であることができる。この一般式はまた、R
1置換基がOR
32置換基(ここで、R
32は水素もしくは脂肪族、より典型的にはアルキルもしくは置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルである)であることが多いことも示す。
【0202】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0203】
本発明の典型的なトリテルペンはまた、A〜E環の1つもしくはそれ以上において1つもしくはそれ以上の不飽和部位を含むこともできる。典型的な化合物は、以下に示されるようなC環における二重結合のようなC環における少なくとも1つの不飽和部位を有することが多い。
【0204】
【化45】
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【0205】
不飽和部位は、C環について以下に例示されるようなアルファ、ベータ不飽和ケトンであることができる。
【0206】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0207】
トリテルペンはまた、多数のステレオジェン炭素原子も有する。特定の鏡像異性体は天然に存在する可能性が最も高いことを当業者は認識する。天然に存在する鏡像異性体は最も利用可能でありそして/もしくは有効であり得るが、開示される態様を実施するために、全ての他の可能な立体異性体が本発明の範囲内である。さらに、他の天然に存在するトリテルペンもしくはその合成誘導体もしくは完全に合成の化合物は、(1)異なる立体化学、(2)異なる置換基を有することができ、そしてさらに天然に存在する化合物において置換されない位置で置換されることができる。上記に提供される一般式は、キラル中心での立体化学を示さない。これは、各キラル中心での両方の鏡像異性体およびその全てのジアステレオマー異性体の組み合わせが本発明の範囲内であることを表すためである。
【0208】
本発明の特定の実用的態様は以下の一般式により例示され、ここで、置換基は上記のとおりである。
【0209】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
本発明を実施するためにハプテンとして有用な天然に存在するトリテルペンの立体化学および置換基を以下に示す。
【0211】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0212】
A環におけるヒドロキシル基は、典型的には、実用的態様においてカルボニル官能基に酸化される。結果として、カルボニル基を保有する炭素原子は、もはやキラル中心ではない。
【0213】
5.尿素およびチオ尿素
尿素およびチオ尿素、特にアリールおよびヘテロアリール尿素およびチオ尿素は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスである。本発明の尿素に基づくハプテンの一般式は、以下に提供される。
【0214】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
この一般式に関して、R
1〜R
3は独立して水素、脂肪族、置換された脂肪族、典型的に
はアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルおよび置換された低級アルキル、環式、複素環式、アリールおよびヘテロアリールである。さらに特に、R
1は典型的には、発色活性を促進するために少なくとも1つの不飽和部位を有することが多い、アリールもしくは脂肪族である。R
2およびR
3は最も典型的には独立して水素および低級アルキルである。Yは酸素(尿素誘導体)もしくは硫黄(チオ尿素)である。
【0216】
アリール誘導体は典型的に以下の式を有する。
【0217】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
R
1〜R
7は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。R
3〜R
7置換基の少なくとも1つはまた、リンカーにもしくは担体分子に結合される。そのような結合に利用可能であるこれらのR
3〜R
7置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。
【0219】
以下に提供される典型的構造により示されるように、さらなる環が存在することもできる。R基はR
1〜R
7についての上記のとおりであり、そしてYは酸素もしくは硫黄である。
【0220】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0221】
チオ尿素の特定のサブクラスは、以下に表される。
【0222】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0223】
この一般式に関して、nは1〜5、典型的には1〜2であり、R
1およびR
2は独立して水素もしくは低級アルキルであり、そしてXは独立してハロゲン化物もしくは異なるハロゲン化物の組み合わせである。
【0224】
フェニルチオ尿素の実用的態様の一例は、以下に提供される。
【0225】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0226】
トリフルオロメチル基は、チオ尿素部分に対して2および4位において示される。2,3のような、ジ置換された化合物の全ての相対的位置を有する化合物、およびそのような複数のトリハロアルキル置換基の全ての可能な相対位置で、2つより多くのトリハロアルキル置換基を有する化合物もまた、本発明の範囲内であることを当業者は認識する。ローダミンチオ尿素ハプテンの特定の例は、以下の式を有する。
【0227】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0228】
6.ロテノン
まとめてロテノイドと呼ばれる、ロテノンおよびロテノンに基づくハプテンは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。ロテノンおよびロテノンに基づくハプテンの第一の一般式は、以下に提供される。
【0229】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0230】
Leslie Crombie and Donald Whiting,Biosynthesis in the Rotenoids Group of Natural Products:Application of Isotope Methodology,Phytochemistry,49,1479−1507(1998);およびNianbai Fang,and John Casida,Cube Resin Insecticide:Identification and Biolgoical Activity of 29 Rotenoid Constituents;(これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる)を包含する多数の公開は、本発明を実施するために有用なロテノイドの属を記述するために有用である天然に存在する、半合成および合成ロテノイドを説明する。本開示および実用的態様、ならびにこれらの先行公開により提供される開示に基づき、そしてこの第一の一般式に関して、R
1〜R
14は独立して水素、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、X
は鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、アミノ、アミノ酸、アミド、シアノ(−CN)、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル、カルボニル、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、カルボキシル、カルボキシレート(および第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩)、エステル、アルキルエステル、アシル、エキソメチレン、エーテル、環式、複素環式、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、ヘテロアリール、多糖、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、ならびにその組み合わせである。これらのR
1〜R
14置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
14置換基の少なくとも1つはまた、リンカーにもしくは担体分子に結合される。
【0231】
R
6およびR
7は上記のとおりであることができるが、そのような置換基はより典型的には独立して水素、OR
15(ここで、R
15は水素、脂肪族、置換された脂肪族、典型的にはアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルおよび置換された低級アルキル、例えばハロゲン化低級アルキル、環式、複素環式、アリールおよびヘテロアリールである)、−NR
21(ここで、R
21は水素、脂肪族、置換された脂肪族、典型的にはアルキル、置換されたアルキル、そしてさらにより典型的には低級アルキルおよび置換された低級アルキル、例えばハロゲン化低級アルキル、環式、複素環式、アリールおよびヘテロアリールである)もしくはN−L−RG(ここで、Lは、本明細書においてより詳細に説明されるように、リンカーもしくは反応性基、例えばアミンである)である。
【0232】
R
6およびR
7はまた、カルボニルを形成するための酸素への二重結合のような二重結合を形成することもできる。R
6および/もしくはR
7が−L−RGでない場合、R置換基の少なくとも1つはリンカーにもしくは担体分子に結合される。
【0233】
B環はまた、少なくとも1つのさらなる不飽和部位を含むこともできる。例えば、R
5およびR
12は二重結合を形成することができる。
【0234】
R
10およびR
11は、5もしくは6員環において連結されることができる。例えば、R
10およびR
11はピランもしくはフラン環を定義することができ、そしてさらに特に置換されたそして/もしくは不飽和のピランもしくはフラン環である。
【0235】
本発明のある典型的なロテノンに基づくハプテンはまた、典型的に以下の第二の一般式も満たす。
【0236】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0237】
この第二の一般式に関して、R置換基は上記のとおりである。R
6もしくはR
7が−L−RGでない場合、残りのR基の少なくとも1つはリンカーにもしくは担体に結合される。
【0238】
R
10およびR
11は、ピランもしくフランのような5もしくは6員環、そしてさらに特に置換されたそして/もしくは不飽和のピランもしくはフラン環において連結されることができる。従って、本発明のあるロテノンに基づくハプテンを表すために有用な第三の一般式は以下に提供され、ここで、R置換基は上記のとおりである。
【0239】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
Yは、以下に示されるように、それによって5員環を定義する結合であるか、もしくはR
19およびR
20置換基を保有する6員環における炭素原子であり、ここで、これらのR置換基は上記のとおりである。
【0241】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
環連結でのR
5およびR
12は、特定の立体化学を表さずに示される。天然に存在する化合物はシス環連結を有するが、ラセミ混合物もまた本発明を実施するために有用である。また、トランス立体異性体は迅速に平衡化してラセミ混合物を生成せしめるようである。
【0243】
このクラス内の化合物の実用的態様は、より典型的には以下の第三の一般式を満たす。
【0244】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
この一般式に関して、R
6およびR
7は水素、アルキルであるか、もしくはカルボニルを形成するための酸素へのような二重結合を定義する。R
15およびR
16は独立して水素および脂肪族、典型的には低級脂肪族、例えばアルケニルであり、その一例は、以下に示されるように、イソプレンである。
【0246】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
この場合もやはり、特定の鏡像異性体が上記の式において示されるが、本発明の範囲は示される特定の鏡像異性体に限定されないことを当業者は認識する。代わりに、ハプテンとして働く全ての立体異性体もまた本開示の範囲内である。このクラスの化合物について上記に説明される全ての置換は、この特定の化合物に適用される。他の置換もまた、当業者に容易に明らかである。例えば、A環上のメトキシ基は任意のアルコキシ化合物、特に低級アルコキシ基であることができる。イソプレン単位はまた、おそらくはリンカーもしくは担体分子にハプテンを連結するための代替位置もしくは少なくとも第二の位置を提供するために、合成的に改変することができるオレフィンも提供する。例えば、オレフィンはヒドロホウ素化によりアルコールに転化することができる。それはまた、ハプテンとしてもしくはさらなる転化に有用な中間体としての使用のためのハロゲン化物もしくはエポキシドに転化することもできる。
【0248】
本発明のロテノンに基づくハプテンを表す第四の一般式は、特に、以下に提供されるように、ロテノンイソオキサゾリンに関する。
【0249】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
R〜R
5は独立して水素、アルデヒド、アルコキシ、イソプレンのような全ての分枝鎖状異性体および全ての立体異性体を包含する、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、アミノ、アミノ酸、アミド、シアノ(−CN)、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル、カルボニル、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、カルボキシル、カルボキシレート(および第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩)、エステル、アルキルエステル、アシル、エキソメチレン、エーテル、環式、複素環式、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、ヘテロアリール、多糖、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、ならびにその組み合わせである。R〜R
5置換基の少なくとも1つはまた、リンカーにもしくは担体分子に結合される。Yは酸素、窒素もしくは硫黄である。
【0251】
この第四の一般式を満たすロテノンに基づくハプテンの特定の実用的態様は、以下に提供される。
【0252】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
7.オキサゾールおよびチアゾール
オキサゾールおよびチアゾールスルホンアミドは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。オキサゾールおよびチアゾールスルホンアミドの一般式は、以下に提供
される。
【0254】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
この第一の一般式に関して、R
1〜R
3は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。これらのR
1〜R
3置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
3置換基の少なくとも1つは、リンカーに結合されるかまたはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基である。Yは酸素もしくは硫黄、典型的には硫黄である。
【0256】
ある典型的な実用的態様について、R
1は以下に示されるアミド誘導体のようなアミドであった。R
1およびR
2により示される位置もまた、リンカーおよび/もしくは担体分子への連結のための代替もしくは追加の位置を提供するが、R
2はリンカーへのもしくは担体分子への連結のための位置を提供する。R
2は、ある実用的態様について、−SO
2であり、そしてスルホンアミドを形成することによりリンカーを連結するために用いられている。従って、このクラスのハプテンを例示するハプテンの実用的態様の第二の一般式は以下に示され、ここで、R
3〜R
6置換基およびYは上記のとおりである。
【0257】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0258】
ある実用的態様について、R
6はアルキル、特に低級アルキル、例えばメチルであり、そしてYは硫黄であった。
【0259】
このクラスのハプテンの化合物の1つの実用的態様は、以下の化学構造を有した。
【0260】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0261】
チアゾールもしくはオキサゾールはまた、より大きい環系の一部であってもよい。例えば、5員のオキサゾールもしくはチアゾールは、以下に示されるように、フェニル環のような少なくとも1つのさらなる環に連結されていてもよい。
【0262】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0263】
R
1〜R
5基は一般に上記のとおりであることができるが、そのような化合物はまた、R
5のような、リンカーへのそして/もしくは担体分子への連結のための位置も提供する。1つの可能なスルホンアミド誘導体は、以下に提供される。
【0264】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
8.クマリン
クマリンおよびクマリン誘導体は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。クマリンおよびクマリン誘導体の一般式は、以下に提供される。
【0266】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0267】
この一般式に関して、R
1〜R
6は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。R
1〜R
6置換基の少なくとも1つはまた、典型的にはリンカーもしくは担体分子に結合される。ある実用的態様は、リンカーもしくは担体分子への連結にR
5置換基を有するとして示される位置を使用している。これらの化合物を検出するために蛍光が使用される場合、4位は重要であり得る。4位で水素以外の置換基は、そのような誘導体はなお発色団であり得るが、蛍光をクエンチすると考えられる。Yは酸素、窒素もしくは硫黄である。そのような化合物を形成するために利用可能であるR
1〜R
6置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。これらのタイプの化合物の典型的態様は、以下に提供される。
【0268】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0269】
これらの環はまた複素環式および/もしくはヘテロアリールであることもできることを当業者は認識する。
【0270】
実用的態様は典型的には少なくとも1つの担体分子連結位置を有する縮合A〜D環系であり、1つの可能な連結位置は以下に示される。
【0271】
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0272】
この一般式に関して、RおよびY変記号基は上記のとおりである。最も典型的には、R
1〜R
14は独立して水素もしくは低級アルキルである。クマリンに基づくハプテンの特定
の態様には、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−10−カルボン酸
【0273】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0274】
およびジエチルクマリン
【0275】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0276】
が包含される。
【0277】
9.シクロリグナン
リグニンに基づく化合物、特にシクロリグナン、例えばポドフィロトキシンおよびその誘導体は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。これらのシクロリグニンに基づく誘導体の第一の一般式は、以下に提供される。
【0278】
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0279】
Stephanie Desbene and Sylviane Giorgi−Renault,Drugs that Inhibit Tubulin Polymerization:The Particuar Case of Podophyllotoxin and Analogues,Curr.Med.Chem.−Anti−Cancer Agents,2,71−90(2002);M.Gordaliza
et al.,Podophyllotoxin:Distribution,Sources,Applications and New Cytotoxic Derivatives,Toxicon,44,441−459(2004);Phillip
e Meresse et al.,Etoposide:Discovery and
Medicinal Chemistry,Current Medicinal Chemistry,11,2443−2466(2004);M.Pujol et al.,Synthesis and Biological Activity of New Class of Dioxygenated Anticancer Agents,Curr.Med.Chem.−Anti−Cancer Agents,5,215−237(2005);およびYoungjae You,Podophyllotoxin Derivatives:Current Synthetic Approaches for New Anticancer Agents、Current
Pharmaceutical Design、 11,1695−1717(2005);(これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる)を包含する多数の公開は、本発明を実施するために有用なシクロリグナンの属を記述するために有用である天然に存在する、半合成および合成シクロリグナンを説明する。本開示および実用的態様、ならびにこれらの先行公開により提供される開示に基づいて、そしてこの第一の一般式に関して、R
1〜R
12は典型的には水素、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、例えばイソプレン、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、アミノ、アミノ酸、アミド、シアノ(−CN)、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル、カルボニル、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、カルボキシル、カルボキシレート(および第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩)、エステル、アルキルエステル、アシル、エキソメチレン、エーテル、環式、複素環式、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、ヘテロアリール、多糖、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、ならびにその組み合わせから選択される。R
1〜R
12の少なくとも1つは、リンカーにもしくは担体分子に化合物を連結するための位置を提供する。さらに、R基のあるものは環系における原子であることができる。例えば、R
2およびR
3、ならびにR
7〜R
10の2つは環系において一緒に連結されることができる。R
12およびR
11の少なくとも1つは、ベンゼン環もしくは置換されたベンゼン環のようなアリール基であることも多い。
【0280】
ある実用的態様はまた以下の第二の一般式も満たし、ここで、R置換基は上記のとおりである。
【0281】
【化74】
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【0282】
R
11およびR
12の少なくとも1つがアリール基である典型的な化合物は以下の一般式を有し、ここで、R置換基は上記のとおりである。
【0283】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0284】
R
16〜R
20は一般に上記のとおりであるが、より典型的には独立して水素もしくはアルコキシ、典型的には以下に示されるようにメトキシのような低級アルコキシである。
【0285】
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0286】
R置換基の少なくとも1つは典型的にはリンカーに結合されるか、リンカーと反応することができる反応性官能基であるか、もしくは−L−RGである。例えば、R
5は−L−RGであることが多い。
【0287】
R
5およびR
6はまた、カルボニル官能基を形成するための酸素への二重結合もしくはイミンを形成するための窒素原子への二重結合のような二重結合を形成することもできる。R
5およびR
6が二重結合を形成するある典型的な化合物は以下の一般式を有し、ここで、残りのR置換基は上記のとおりである。Yは窒素、酸素もしくは硫黄から選択される。Y
が窒素である場合、該窒素原子はそれに水素、または水素以外のある原子、官能基もしくは化学部分をさらに結合していることができる。例えば、窒素はアルキル基のような脂肪族置換基、アリールもしくはヘテロアリール置換基、またはアルキルおよび/もしくはアルコキシ置換されたアリールもしくはヘテロアリール置換基のような置換されたアリールもしくはヘテロアリール置換基を有することができる。
【0288】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0289】
R
16〜R
20は独立して水素およびアルコキシ、より典型的には以下に示されるようにメトキシのような低級アルコキシから選択される。
【0290】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0291】
本発明の全てのハプテンコンジュゲートのように、R置換基の少なくとも1つは典型的にはリンカーに結合されるか、リンカーと反応することができる反応性官能基であるか、−L−RGであるか、もしくは担体に直接結合される。例えば、R
9は−L−RGであることが多い。
【0292】
ハプテンのこのシクロリグナンクラスを例示する化合物、ポドフィロトキシンの化学構造は、以下に提供される。
【0293】
【化79】
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【0294】
ポドフィロックスとも呼ばれるポドフィロトキシンは、414.40の分子量およびC
22H
22O
8の組成式を有する非アルカロイド毒素である。ポドフィロトキシンは、アメリカメイアップル(American Mayapple)ポドフィルム・ペルタツム(Podophyllum peltatum)の根茎において0.3〜1.0質量%の濃度で存在する。ポドフィロトキシンの融点は、183.3〜184.0℃である。
【0295】
従って、ポドフィロトキシン構造に実質的に基づく本発明のシクロリグナンは以下の一般式を有し、ここで、Yは窒素、酸素もしくは硫黄から選択される。
【0296】
【化80】
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【0297】
本発明のシクロリグナンハプテンの具体例は、以下に示される。
【0298】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
この化合物は、ポドフィロトキシンから出発して製造された。ポドフィロトキシンのヒドロキシル基は、ケトンに酸化された。次に、ケトンを置換されたヒドラジンと反応させて上記に示される化合物を生成せしめた。ヒドラジン試薬は、脂肪族およびアリール置換基を含めて、所望に応じて置換されることができる。
【0300】
10.ヘテロビアリール
本発明のハプテンの別の一般的クラスはヘテロビアリール化合物、典型的にはフェニルキノリンおよびキノキサリンである。開示されるヘテロビアリール化合物は、以下のような第一の一般的化学式を有する。
【0301】
【化82】
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【0302】
この一般式に関連して、A〜Dは炭素、窒素、酸素および硫黄、ならびにそのありとあらゆる組み合わせから選択される。最も典型的には、A〜Dは炭素もしくは窒素である。R
1〜R
2置換基は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、メトキシおよびエトキシのようなアルコキシアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(
−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。R
1〜R
2置換基の2つもしくはそれ以上、最も典型的には複数のR
1置換基はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
2置換基の少なくとも1つは典型的には、リンカーにもしくは直接担体に結合される。
【0303】
ヘテロビアリール化合物の特定の態様は、以下の式を有する。
【0304】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0305】
R
1およびR
2は第一の一般式についての上記のとおりである。Yは酸素、窒素もしくは硫黄、典型的には窒素である。Yが窒素である場合、該式はまた1個もしくはそれ以上の窒素原子への二重結合を含むこともできる。
【0306】
単一のヘテロ原子を有する化合物は、下記のようなフェニルキノリンにより例示される。
【0307】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0308】
さらに特定の態様には、以下の一般式により例示されるアリール置換されたハプテンが包含される。
【0309】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0310】
この一般式に関して、R
1〜R
3は上記に示したとおりである。より典型的には、R
1は水素であり、R
2はアシルであり、そしてR
3はアルコキシである。特定の例、2−(3,4−ジメトキシフェニル)キノリン−4−カルボン酸は、以下に提供される。
【0311】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0312】
2個のヘテロ原子を有する化合物は、以下の一般式により示されるように、キノキサリンにより表される。
【0313】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0314】
本発明のビアリール−ジヘテロ原子ハプテンの特定の例は、以下に、3−ヒドロキシ−2−キノキサリンカルバミドにより例示される。この場合もやはり、R
1およびR
2置換基は、ハプテンのこのクラスに関する上記のとおりである。
【0315】
【化88】
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【0316】
11.アゾアリール
本発明のハプテンの別の一般的クラスは、以下のような第一の一般的化学式を有する、アゾベンゼンのようなアゾアリール化合物である。
【0317】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0318】
R
1〜R
2置換基は独立して:水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10
個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、メトキシおよびエトキシのようなアルコキシアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、複素環式、シアノ(−CN)、エステル、アルキルエステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、スルホニル、エキソメチレン、ならびにその組み合わせから選択される。2つもしくはそれ以上のR
2置換基はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。例えば、2つのR
2置換基は縮合フェニル環または縮合複素環式もしくはヘテロアリール構造を形成することができる。
【0319】
ある開示されるアゾアリール化合物は、第一のアミン置換基および第二のアリール置換基を有する。これらの化合物は典型的に以下の式を有する。
【0320】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0321】
この一般式に関して、R
2〜R
4はこのクラスのハプテンに関する上記のとおりであり、特定の態様はR
2〜R
3脂肪族、特にアルキル、さらに特に低級アルキルおよびR
4水素を有する。
【0322】
アゾアリール化合物を表す第三の一般式は、以下に提供される。
【0323】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0324】
R
2〜R
5は、ハプテンのこの特定のクラスについての上記のとおりである。R
2〜R
5の少なくとも1つは、コンジュゲートを形成するためにアゾアリールハプテンにリンカーもしくは担体を連結するための位置を定義する。例えば、R
5はハロゲン化スルホニル官能基であることができる。以下に示されるもののようなハロゲン化スルホニルは、アゾアリールハプテンにリンカーを連結するための有用な官能基である。
【0325】
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【0326】
この式に関して、R
2〜R
5は上記のとおりである。Xはハロゲン化物である。これらのアゾアリールハプテンの特定の態様、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホニルクロリドは、以下に提供される式を有する。
【0327】
【化93】
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【0328】
12.ベンゾジアゼピン
本発明のハプテンの別のクラスは、以下に示されるような第一の一般式を有するベンゾジアゼピンハプテンである。
【0329】
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
【0330】
R
1〜R
5は独立して:アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族、特に低級脂肪族、置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、例えば、酸素、窒素、硫黄のようなヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、そしてさらにより典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルのような10個以下の原子を有する低級アルキル、ハロゲン化アルキル(例えば−CX
3、ここで、Xは鎖中のもしくはそれに結合している、ハロゲン化物およびその組み合わせである)のような置換されたアルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH
3−O−N=)、アルコール(すなわち、脂肪族もしくはアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル)、アミド、アミノ、アミノ酸、アリール、ベンジルのようなアルキルアリール、炭水化物、グルコースおよびフルクトースのような単糖、ショ糖およびラクトースのような二糖、オリゴ糖および多糖、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート(第I
族金属もしくはアンモニウムイオンカルボキシレートのようなその塩を包含する)、環式、シアノ(−CN)、エステル、エーテル、エキソメチレン、ハロゲン、ヘテロアリール、複素環式、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、オキシム(HO−N=)、脂肪族ケトンのようなケト、ニトロ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、ならびにその組み合わせから選択される。R
5置換基の2つもしくはそれ以上はまた、示される一般式を有する化合物に結合しているかもしくは縮合している環系における原子、典型的には炭素原子であることもできる。R
1〜R
5位置の少なくとも1つは、リンカーに結合されるかまたはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基により占められる。R
1〜R
5は最も典型的には脂肪族、アリール、水素もしくはヒドロキシル、さらにより典型的にはアルキル、水素もしくはフェニルである。Yは酸素もしくは硫黄、最も典型的には酸素である。
【0331】
ベンゾジアゼピンハプテンの特定の態様は、以下に示されるように、R
1アリールを有する。
【0332】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0333】
これらの態様について、R
2〜R
5はこのクラスのハプテンについての上記のとおりであり、より典型的にはそのような置換基は独立して脂肪族、特にアルキル、水素およびヒドロキシルから選択される。ある開示される態様は、以下に示されるように、フェニル化合物である。
【0334】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
この場合もやはり、R
2〜R
6は上記のとおりであるが、より典型的にはそのような置換基は独立して脂肪族、特にアルキル、水素およびヒドロキシルから選択される。ある開示される態様は、以下に示されるように、フェニル化合物である。特定の態様、4−(2−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[b][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンは、以下に提供される。
【0336】
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【0337】
III.リンカー
【0338】
I.概要
一般式ハプテン−任意のリンカー−担体により示されるように、本発明のコンジュゲートはリンカーを含むことができる。この目的のために現在既知であるかもしくは将来に開発される任意のリンカーは、本明細書に開示されるハプテンに連結することにより本発明のコンジュゲートを形成するために用いることができる。有用なリンカーはホモ−もしくはヘテロ二官能性のいずれかであることができるが、より典型的にはヘテロ二官能性である。
【0339】
2.脂肪族
単に例としてそして限定せずに、開示されるハプテンコンジュゲートを形成するために適当なリンカーの第一のクラスは、1つもしくはそれ以上の不飽和部位を有する脂肪族炭化水素鎖もしくはアルキル鎖のような脂肪族化合物である。脂肪族鎖はまた典型的に、特異的結合部分のような、ハプテンおよび他の所望の化合物への連結を容易にする、例としてそして限定せずに、カルボニル反応性基、アミン反応性基、チオール反応性基もしくは光反応性基を包含する末端官能基も含む。鎖の長さは異なることができるが、典型的には約30個の原子の実用上限を有する。約30個の炭素原子より大きい鎖連結は、より小さい鎖連結を有する化合物より効果が低いことが判明している。従って、脂肪族鎖リンカーは典型的に約1個の炭素原子〜約30個の炭素原子の鎖長を有する。しかしながら、特定のリンカーが30個より多くの原子を有し、そして担体分子連結単位にハプテンを連結するためになお効率よく働き、そしてコンジュゲートが所望のようになお機能する場合、そのような鎖連結はなお本発明の範囲内であることを当業者は認識する。
【0340】
3.アルキレンオキシド
本発明を実施するために有用なリンカーの第二のクラスは、アルキレンオキシドである。アルキレンオキシドは、エチレングリコールのようなグリコールを参考にして本明細書に表される。本発明のハプテンコンジュゲートは、リンカーの親水性がそれらの炭化水素鎖に対して増加される場合に特に有用であると判明している。結果として、グリコールのようなアルキレンオキシドは本発明を実施するために有用であると判明している。酸素原子の数が増加するにつれて、化合物の親水性もまた増加し得ることを当業者は認識する。従って、本発明のリンカーは、典型的に(−OCH
2CH
2O−)
n(式中、nは約2〜約15であるが、さらに特に約2〜約8である)の式を有する。
【0341】
本発明のある開示される態様を実施するために有用なヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーは、“Nanoparticle Conjugates,”2006年4月28日に出願された米国特許出願第11/413,778号;“Antibody
Conjugates,”2006年4月27日に出願された米国出願第11/413,415号;および“Molecular Conjugates,”2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739,794号;(これらの出願の全ては
引用することにより本明細書に組み込まれる)を包含する、譲受人の同時係属出願に記述される。これらの出願において開示されるリンカーは、特異的結合部分、シグナル生成部分およびハプテンをありとあらゆる所望の組み合わせで連結するために使用できることを当業者は認識する。ヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーは以下に開示され、そしてそれらの使用はハプテンおよび検出可能な標識に抗体および核酸のような特異的結合部分を連結することを参考にして例示される。特に、抗ハプテン抗体と検出可能な標識のコンジュゲートおよびハプテンと一次抗体もしくは核酸とのコンジュゲートは、以下に例示される。
【0342】
開示されるコンジュゲートでの使用のためのリンカーの1つの特定の態様は、以下に示される一般構造を有するヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーである:
【0343】
【化98】
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【0344】
ここで、AおよびBは異なる反応性基を含み、xは2〜10の整数(2、3もしくは4のような)であり、そしてYは1〜50、例えば3〜20もしくは4〜12のような2〜30の整数である。1個もしくはそれ以上の水素原子は、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシおよびエトキシのような)、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、スルファト基およびアミノ基(ジアルキルアミノ基のようなモノ−およびジ−置換されたアミノ基を包含する)のようなさらなる官能基に置換されることができる。
【0345】
リンカーのAおよびBは独立してカルボニル反応性基、アミン反応性基、チオール反応性基もしくは光反応性基を含むことができるが、同じものではない。カルボニル反応性基の例には、ヒドラジン誘導体およびアミンのようなアルデヒドおよびケトン反応性基が包含される。アミン反応性基の例には、活性エステル、例えばNHSもしくはスルホ−NHS、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、スルホニルクロリド、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、ハロゲン化アリール、イミドエステル、無水物などが包含される。チオール反応性基の例には非重合性マイケルアクセプター、ハロアセチル基(ヨードアセチルのような)、ハロゲン化アルキル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル基、ビニルスルホン、ベンゾキノン、フルオロベンゼン基(テトラおよびペンタフルオロベンゼン基のような)のような求核置換を受けることができる芳香族基、ならびにジスルフィド基、例えばピリジルジスルフィド基およびエルマン試薬で活性化されるチオールが包含される。光反応性基の例には、アリールアジドおよびハロゲン化アリールアジドが包含される。あるいはまた、Aおよび/もしくはBは反応性基の特定のタイプと反応する官能基であることができる。例えば、Aおよび/もしくはBは、ハプテンおよび/もしくは担体上に導入されているかもしくはそうでなければ存在する対応する反応性基(それぞれ、アミン反応性基、チオール反応性基もしくはカルボニル反応性基のような)と反応するアミン基、チオール基もしくはカルボニル含有基であることができる。これらのタイプの基の各々のさらなる例は、当業者に明らかである。あるタイプの反応性基を別のものに交換するための反応条件および方法に関するさらなる例および情報は、本明細書に引用することにより組み込まれる、Hermanson,“Bioconjugate Techniques,”Academic Press,San Diego,1996に提供される。特定の態様において、チオール反応性基はビニルスルホン以外である。
【0346】
ある態様において、ヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は特異的結合部分に共有結合しており、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基はハプテン誘導体(S
MCCとカルボン酸基を反応させることにより形成される活性化エステルのような)、ナノ粒子のアミン反応性基に共有結合しており、もしくはその逆である。例えば、ヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は特異的結合部分のシステイン残基(シスチン架橋の還元後のような)に共有結合していることができもしくはヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は特異的結合部分に導入されるチオール基に共有結合していることができ、そしてアミン反応性基は活性化エステルのようなアミン反応性基を有する活性化ハプテン誘導体に結合している。コンジュゲートが検出可能な標識にコンジュゲーションされた抗ハプテン抗体を含む場合、ヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は抗体に共有結合していることができ、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基は抗体に共有結合していることができ、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基は検出可能な標識に共有結合していることができ、もしくはその逆である。
【0347】
あるいはまた、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は特異的結合部分に共有結合していることができ、そしてリンカーの官能基もしくは異なる反応性基のいずれかはハプテンに結合している。特異的結合部分が抗ハプテン抗体であり、そして抗体が検出可能な標識にコンジュゲーションされる場合、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は抗体に共有結合していることができ、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基は検出可能な標識に共有結合していることができ、もしくはその逆である。特定の態様において、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は抗ハプテン抗体のグリコシル化部分上に形成されるアルデヒドに共有結合していることができ、そしてリンカーのアミン反応性基は検出可能な標識に結合している。さらに別の態様において、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は抗ハプテン抗体に共有結合しており、そしてヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は検出可能な標識に結合しており、もしくはその逆である。さらに別の態様において、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は特異的結合部分に共有結合しており、そしてヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基はナノ粒子に結合しており、もしくはその逆である。
【0348】
ある態様において、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0349】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0350】
を有し、ここで、AおよびBは異なる反応性基であり、そして上記のとおりであり;xおよびyは上記のとおりであり、そしてXおよびYはさらなるスペーサー基、例えば、1〜6個の間の炭素もしくは1〜4個の間の炭素のような1〜10個の間の炭素を有しそして場合により1つもしくはそれ以上のアミド結合、エーテル結合、エステル結合などを含有していてもよいスペーサー基である。スペーサーXおよびYは同じかもしくは異なることができ、そして直鎖状、分枝鎖状もしくは環状(例えば、脂肪族もしくは芳香族環状構造)であることができ、そして非置換であるかもしくは置換されることができる。スペーサー上の置換基であることができる官能基には、カルボニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン(F、Cl、BrおよびI)原子、アルコキシ基(メトキシおよびエトキシのような)、ニトロ基および硫酸基が包含される。
【0351】
特定の態様において、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0352】
【化100】
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【0353】
を有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールリンカーを含んでなり、ここで、n=1〜50、例えば、n=3〜20もしくはn=4〜12のようなn=2〜30。さらに特定の態様において、このリンカーのスクシンイミド基のカルボニルは検出可能な標識上のアミン基に共有結合しており、そしてリンカーのマレイミド基は抗ハプテン抗体のチオール基に共有結合しており、もしくはその逆である。他のさらに特定の態様において、平均約1〜約10の間の特異的結合部分が半導体ナノ粒子(例えば、Invitrogen Corp.,Eugene,ORから入手される量子ドットのような;例えば、米国特許第6,815,064号、第6,682,596号および第6,649,138号を参照、これらの特許の各々は本明細書に引用することにより組み込まれる)、常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子および超常磁性ナノ粒子のようなナノ粒子に共有結合している。
【0354】
他の特定の態様において、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0355】
【化101】
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【0356】
を有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールリンカーを含んでなり、ここで、m=1〜50、例えば、m=3〜20もしくはm=4〜12のようなm=2〜30。さらに特定の態様において、リンカーのヒドラジド基は抗ハプテン抗体のアルデヒド基と共有結合しており、そしてリンカーのマレイミド基は検出可能な標識のチオール基と共有結合しており、もしくはその逆である。なおさらに特定の態様において、特異的結合部分のアルデヒド基は、抗体のFc部分のグリコシル化領域の酸化により抗ハプテン抗体のFc部分において形成されるアルデヒド基である。他のなおさらに特定の態様において、平均約1〜約10の間の抗ハプテン抗体がナノ粒子に共有結合している。簡潔に言えば、上記の式のマレイミド/ヒドラジドPEG−リンカーは、保護されたヒドラジン誘導体(Bocで保護されたヒドラジンのような)での処理、続いて酸での処理により対応するマレイミド/活性エステルPEGリンカー(これは、例えば、Quanta Biodesign,Powell,OHから市販されている)から合成することができる。
【0357】
特異的結合部分(SBM)と開示されるハプテンの1つもしくはそれ以上のコンジュゲートが提供される。これらのコンジュゲートにおけるSBMは、例えば、抗体、核酸、レクチンもしくはステレプトアビジンのようなアビジンを含むことができる。SBMが抗体を含む場合、抗体は任意の特定の分子もしくは非常に類似した分子の特定の群に特異的に結合することができ、例えば、サンプルに存在し得る特定のタンパク質に特異的に結合する抗体。あるいはまた、抗体は免疫アッセイにおいて二次抗体として使用することができる抗抗体抗体であることができる。例えば、抗体は、抗マウスIgG抗体、抗ウサギIgG抗体もしくは抗ヤギIgG抗体のような抗IgG抗体を含んでなることができる。
【0358】
特定の態様において、開示される抗体コンジュゲートは式:
【0359】
【化102】
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【0360】
を有し、ここで、Abは抗体であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてj=1〜10(j=2〜6もしくはj=3〜4のような)。Xはハプテンをコンジュゲートの残りの部分から間隔をあけて配置しそしてハプテンがコンジュゲートの残りの部分に連結されることを可能にするために適当なスペーサー基である。例えば、スペーサー基は脂肪族もしくは芳香族基、典型的には脂肪族基、そしてさらにより典型的には1〜6個の間の炭素もしくは1〜4個の間の炭素のような約1〜約10個の炭素原子を有するアルキルもしくは置換されたアルキル基であることができる。スペーサーはまた、ハロゲン化物、窒素、酸素、硫黄、およびその組み合わせが包含されるがこれらに限定されるものではない、ヘテロ原子のような、炭素以外の原子を含むこともできる。そのようなさらなる原子は、官能基を定義することができる。例えば、スペーサー基は場合により1つもしくはそれ以上のアミド結合、エーテル結合、エステル結合、アミン結合などを含んでもよい。スペーサーの構造は、リンカーにハプテンを連結するために用いられる化学によって決まり、そしてそのような結合の具体例は特に開示されるハプテンに関して後で説明されるが、一般に、基Xは例えばハプテンに付加されたアミン反応性基とリンカー上のアミン(もしくはその逆)もしくはハプテンに付加されたカルボニル反応性基とリンカー上のカルボニル(もしくはその逆)を反応させることにより形成されることができる。
【0361】
あるいはまた、開示されるハプテンの1つもしくはそれ以上と抗体とのコンジュゲートは以下の式:
【0362】
【化103】
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【0363】
を有することができ、ここで、Abは抗体であり、m=1〜50(m=2〜30、m=3〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてk=1〜10(k=2〜6もしくはkj=3〜4のような)、そしてXはこの場合もやはりスペーサー基、例えば、1〜6個の間
の炭素もしくは1〜4個の間の炭素のような1〜10個の炭素原子を有しそして場合により1つもしくはそれ以上のアミド結合、エーテル結合、エステル結合、アミン結合などを含有していてもよいスペーサー基である。
【0364】
他の態様において、1つもしくはそれ以上のハプテンに連結される特異的結合部分は核酸である。特定の態様において、そのようなコンジュゲートは式:
【0365】
【化104】
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【0366】
を有することができ、ここで、Nucはヌクレオシド、ヌクレオチド、ヌクレオチドリン酸(ヌクレオチド3リン酸のような)、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドを包含する任意の核酸塩基含有化合物であり、そしてmは例えば約1〜500(m=1〜100もしくはm=1〜50のような)であることができ、そしてXはさらにこの場合もスペーサー基、例えば、1〜6個の間の炭素もしくは1〜4個の間の炭素のような1〜10個の間の炭素原子を有しそして場合により1つもしくはそれ以上のアミド結合、エーテル結合、エステル結合、アミン結合などを含有していてもよいスペーサー基である。
【0367】
また提供されるのは、開示されるハプテンに特異的に結合する抗体のコンジュゲートである。特定の態様において、そのようなコンジュゲートは以下の式
【0368】
【化105】
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【0369】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLは酵素のような検出可能な標識であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてo=1〜10(o=2〜6もしくはo=3〜4のような);もしくは
【0370】
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【0371】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLはナノ粒子のような検出可能な標識であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてp=1〜10(p=2〜6もしくはp=3〜4のような)]
を有することができる。
【0372】
さらに別の特定の態様において、開示されるコンジュゲートは式:
【0373】
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【0374】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLはナノ粒子のような検出可能な標識であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてq=1〜10(q=2〜6もしくはq=3〜4のような);もしくは
【0375】
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
【0376】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLは酵素のような検出可能な標識であり、そしてn=1〜50(n=2〜30、n=2〜20もしくはn=4〜12のような)、そしてr=1〜10(r=2〜6もしくはr=3〜4のような)]
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0377】
さらに別の特定の態様において、ヘテロ二官能性PEG連結特異的結合分子−ナノ粒子コンジュゲートは式:
【0378】
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
【0379】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DL酵素のような検出可能な標識であり、m=1〜50(m=2〜30、m=3〜20もしくはm=4〜12のような)、そしてs=1〜10(s=2〜6もしくはs=3〜4のような);もしくは
【0380】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【0381】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLはナノ粒子のような検出可能な標識であり、m=1〜50(m=2〜30、2〜20もしくは4〜12のような)、そしてt=1〜10(t=2〜6もしくはt=3〜4のような)]
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0382】
なおさらなる特定の態様において、ヘテロ二官能性PEG連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートは、式:
【0383】
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【0384】
[式中、AHAbは抗ハプテン抗体であり、DLは検出可能な標識であり、m=1〜50(m=2〜30、m=3〜20もしくはm=4〜12のような)、そしてu=1〜10(u=2〜6もしくはu=3〜4のような)];
もしくは
【0385】
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
【0386】
[式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50(m=2〜30、m=2〜20もしくはm=4〜12のような)、そしてv=1〜10(v=2
〜6もしくはv=3〜4のような)]
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0387】
開示されるコンジュゲートは、免疫組織化学アッセイおよびインサイチューハイブリダイゼーションアッセイを包含する任意のタイプのアッセイにおいて生物学的サンプル中の興味のある1つもしくはそれ以上分子を検出するために利用することができる。1つの態様において、開示されるコンジュゲートは免疫アッセイにおいてハプテン標識抗体、例えば、特定の分子に対するハプテン標識一次抗体として用いられ、それは次に検出可能な標識を含む抗ハプテン抗体コンジュゲートと接触させる。あるいはまた、標的核酸に結合しているハプテン標識核酸プローブは、次に、検出可能な標識を含む抗ハプテン抗体コンジュゲートと接触させる。生物学的サンプルは生体分子(タンパク質、核酸、脂質、ホルモンなど)を含有する任意のサンプルであることができるが、特定の態様において、生物学的サンプルには組織切片(生検により得られるような)もしくは細胞学サンプル(Pap塗抹標本もしくは血液塗抹標本のような)が包含される。開示されるコンジュゲートを使用することができるアッセイの他のタイプは当業者に容易に明らかであり、そして特定の例は以下に説明される。
【0388】
別の態様において、特異的結合部分−ハプテンコンジュゲートを製造する方法が開示され、該方法は特異的結合部分からチオール化特異的結合部分を形成すること;アミン基を有するハプテンをマレイミド/活性エステル二官能性リンカーと反応させて活性化ハプテンを形成すること;およびチオール化特異的結合部分を活性化ハプテンと反応させて特異的結合部分−ハプテンコンジュゲートを形成することを含む。
【0389】
チオール化特異的結合部分は、チオール化特異的結合部分を形成するように特異的結合部分を還元剤と反応させることにより、例えば、約1〜約10の間の特異的結合部分当たりのチオールの平均数を有するチオール化特異的結合部分を形成するように特異的結合部分を還元剤と反応させることにより形成することができる。特異的結合部分当たりのチオールの平均数は、滴定により決定することができる。還元剤の例には、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、DTT、DTEおよびTCEP、ならびにその組み合わせよりなる群から選択される還元剤が包含される。特定の態様において、還元剤はDTTおよびDTE、ならびにその組み合わせよりなる群から選択され、そして約1mM〜約40mMの間の濃度で使用される。
【0390】
あるいはまた、チオール化特異的結合部分を形成することは、特異的結合部分にチオール基を導入することを含む。例えば、チオール基は、2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミン、ならびにその組み合わせよりなる群から選択される試薬との反応により特異的結合部分に導入することができる(例えば、本明細書に引用することにより組み込まれる、Hermanson,“Bioconjugate Techniques,”Academic Press,San Diego,1996を参照)。さらに特定の態様において、特異的結合部分にチオール基を導入することは、特異的結合部分を酸化剤(過ヨウ素酸塩のような)と反応させて特異的結合部分の糖部分(抗体のグリコシル化部分のような)をアルデヒド基に転化しそして次にアルデヒド基をシスタミンと反応させることを含む。別のさらに特定の態様において、特異的結合部分はストレプトアビジンを含み、そしてチオール基を導入することはストレプトアビジンを2−イミノチオラン(トラウト試薬)と反応させることを含んでなる。
【0391】
別の特定の態様において、ハプテンをマレイミド/活性エステル二官能性リンカーと反応させて活性化ナノ粒子を形成することは、ハプテンを式:
【0392】
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0393】
[式中、n=1〜50、例えば、n=3〜20もしくはn=4〜12のようなn=2〜30]
を有するPEGマレイミド/活性エステルと反応させることを含む。
【0394】
さらなる態様において、特異的結合部分を酸化剤と反応させてアルデヒドを保有する特異的結合部分を形成すること;アルデヒドを保有する特異的結合部分をマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーと反応させてチオール反応性特異的結合部分を形成すること;およびチオール反応性特異的結合部分をチオール化ハプテンと反応させて特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートを形成することを含む特異的結合部分−ハプテンコンジュゲート組成物を製造する方法が開示される。特定の態様において、特異的結合部分は抗体であり、そして特異的結合部分を酸化剤と反応させてアルデヒドを保有する特異的結合部分を形成することは、抗体のグリコシル化領域を酸化して(過ヨウ素酸塩、I
2、Br
2もしくはその組み合わせ、またはノイラミダーゼ(neuramidase)/ガラクトース酸化酵素でのような)アルデヒドを保有する抗体を生成せしめることを含む。さらに特定の態様において、抗体を酸化剤と反応させてアルデヒドを保有する抗体を生成せしめることは、抗体当たり平均約1〜約10個の間のアルデヒド基を導入することを含む。さらに特定の態様において、マレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーは、式:
【0395】
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【0396】
[式中、m=1〜50、例えば、m=3〜20もしくはm=4〜12のようなm=2〜30]
を有する。チオール化ハプテンは、チオール基をハプテンに導入することにより(例えば、2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミン、ならびにその組み合わせよりなる群から選択される試薬とハプテンを反応させることにより)ハプテンから形成することができる。
【0397】
別の態様において、ヒドラジド反応性基を有するハプテン−リンカーコンジュゲートを抗体上に形成されるアルデヒドのカルボニル基と反応させてハプテン−リンカー−抗体コンジュゲートを生成せしめる。ヒドラジド反応性基を有するハプテン−リンカーコンジュゲートは、以下にさらに説明される。
【0398】
4.市販されているリンカー
さらなるリンカーはまた、市販されている。Rockford,IllinoisのPierce Biotechnology Inc.は、本発明を実施するために有用なある種のリンカーを提供する。例えば、Pierceはスルホスクシンイミジル−4−(
N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)を提供する。Pierceはまた、SMCCと呼ばれる、スルホ基のないスルホンアミジル化合物も販売し、それもまた有用なリンカーである。スルホ−SMCCは水溶性の非切断性膜不浸透性架橋剤である。この化合物のNHエステルは、pH7〜9で第一級アミンと容易に反応して安定なアミド結合を形成することができる。マレイミドは約6〜8の間、より典型的には約6.5〜約7.5のpHでスルフヒドリル基と反応して、安定なチオエーテル結合を形成する。遊離アミンを含んでなる担体にハプテンを連結することにおける使用には、スルホ−SMCCを担体の遊離アミンと反応させてマレイミド活性化担体を生成せしめることができる。次に、担体タイプ化合物をハプテン、例えば遊離スルフヒドリル基もしくはヒドロキシル基を有するハプテンと反応させて、本発明のコンジュゲートを生成せしめることができる。
【0399】
Pierceはまた、さらなる典型的なリンカーならびに実用的用途に潜在的に適当な各々の長さに関するさらなる情報も提供する。例えば、アミンと反応性の官能基について、Pierceは以下の化合物を提供する:EGS(エチレングリコールビス[コハク酸スクシンイミジル]);スルホ−EGS(エチレングリコールビス[コハク酸スルホスクシンイミジル]);DTSSP(3,3’−ジチオビス[プロピオン酸スルホスクシンイミジル]);DSS(スベリン酸ジスクシンイミジル);BS(スベリン酸ビス[スルホスクシンイミジル]);DSG(グルタル酸ジスクシンイミジル);およびMSA(アジピン酸メチルN−スクシンイミジル(methyl N−succinimidyl adipate))。スルフヒドリル反応性リンカーの例には、DPDPB(1,4−ジ−[3’−(2’−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ブタン);BM[PEO]
3(1,11−ビス−マレイミドトリエチレングリコール);BMH(ビス−マレイミドヘキサン);BM[PEO]
2(1,8−ビス−マレイミドジエチレングリコール);HBVS(1,6−ヘキサン−ビス−ビニルスルホン);DTME(ジチオ−ビス−マレイミドエタン);BMDB(1,4−ビス−マレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタン);BMB(1,4−ビス−マレイミドブタン;およびBMOE(ビス−マレイミドエタン)が包含される。BASED(ビス−[b−(4−アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド)およびAPG(p−アジドフェニルグリオキサール1水和物)を包含する、光反応性化合物もまたPierceから入手可能である。
【0400】
5.カルボジイミド連結
カルボジイミド[R−N=C=N−R
1]は、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを包含する標的分子に直接ハプテンを連結するために用いることができる。例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、New Biotinylating Reagent Utilizing Carbodiimide Function,Nucleic Acid Symposiums Series,No.34,69−70(1995)を参照。あるいはまた、カルボジイミド官能基は、ハプテン−リンカーコンジュゲートを形成するために上記に説明したようなリンカーに導入するかもしくは連結することができる。ハプテン−dPEGx−カルボジイミドを製造するための一般的な合成スキームは、実用的実施例において以下に提供される。この一般的な合成スキームを用いて、ニトロピラゾール−dPEGx−カルボジイミド、ベンゾフラザン−dPEGx−カルボジイミド、ジニトロフェニル−dPEGx−カルボジイミド、チアゾールスルホンアミド−dPEGx−カルボジイミドおよびロテノイド−dPEGx−カルボジイミドを包含する、ハプテン−カルボジイミドのいくつかの実用的態様が製造されている。
【0401】
IV.ハプテン−リンカーコンジュゲート
コンジュゲートとも呼ばれる本発明の化合物は、典型的にリンカーに連結されたハプテンを典型的に含んでなる。ハプテンコンジュゲートはまた、ハプテンに直接連結されるか
もしくはリンカーに連結されるいずれかの、ポリペプチド、タンパク質、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、トリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドもしくは核酸(1つもしくは複数)のような担体を含むこともできる。担体の特定の例には、免疫原性担体、抗体および核酸プローブが包含される。ハプテン、担体および/もしくはリンカーは1つもしくはそれ以上の官能基もしくは部分、典型的には、直接もしくはリンカーを介して間接的に、担体にハプテンを連結するために有用な求電子物質および求電子物質/求核物質対を含むことができる。従って、本開示のある態様を表す第一の一般式はハプテン−担体である。そのような化合物はまた、場合によりそして最も典型的にはリンカーも含む。リンカーを有する態様は、式ハプテン−リンカー−担体を満たす。従って、組み合わされた式は(ハプテン)
k−(リンカー)
m−担体
nであり、ここで、kは1であり、mおよびnは0もしくは1であり、そしてmもしくはnの少なくとも1つは1である。該一般式について、k=1、m=1もしくはn=1はハプテン、リンカーもしくは担体の数もしくは構造に制約がないことを意味することを当業者は理解する。例えば、組み合わされた式のコンジュゲートを提供するために担体は結合している多数のリンカーを有することができそして多数のリンカーは多数のハプテンに結合していることができる。さらに、リンカーは複数のサブユニットを含むかもしくは様々なサブコンポーネントから形成されることができる。例えば、担体およびハプテンは両方とも結合しているリンカーを含むことができ、ここで、これらのリンカーは次にハプテンおよび担体を一緒に連結するために反応させることができる。
【0402】
特定の態様において、本開示のコンジュゲートは一般構造(特異的結合部分)−リンカー−ハプテン、そしてさらに特に(特異的結合部分)−(リンカー−ハプテン)
pを有し、ここで、p=1〜200、例えばp=1〜10のような1〜50。一例において、リンカーはPEGリンカーを含んでなる。さらに特定の態様において、特異的結合部分は抗体もしくは核酸である。別の例において、特異的結合部分は抗体であり、そしてリンカーは抗体のFc領域の酸化された糖部分のアルデヒド基に共有結合しているカルボニル反応性基を含む。さらに別の例において、特異的結合部分は抗体であり、そしてリンカーは抗体のチオール基に共有結合しているスルフヒドリル反応性基を含み、ここで、チオール基は、抗体におけるジスルフィド結合を還元することにより生成される。さらに別の例において、特異的結合部分は核酸であり、そしてリンカーは核酸のシトシン残基に共有結合しているカルボニル反応性基を含む。
【0403】
別の特定の態様において、本開示のコンジュゲートは一般構造ハプテン−リンカー−RGを有し、ここで、RGはカルボニル反応性基、チオール反応性基もしくはアミン反応性基のような反応性基をさす。典型的には1つのハプテンは反応性基を保有する1つのリンカーに連結されるが、反応性基を有する1つのリンカーに多数のハプテンを結合させることもしくは1つのハプテンに反応性基を有する多数のリンカーを結合させることが可能である。これらのようなハプテンリンカーコンジュゲートは、ハプテンを抗体に結合させるために(前段落において説明したような)そしてまたハプテンをKLHのような免疫原性担体に結合させてハプテンに特異的に結合する抗体を生産するように動物を刺激するために用いることができる免疫原を生成せしめるためにも特に有用である。従って、ハプテンに特異的に結合する抗体は本開示の態様である。
【0404】
さらに別の態様において、抗ハプテン抗体(開示される免疫原を用いて製造することができるような)および検出可能な標識(量子ドットもしくは酵素のような)を含むコンジュゲートが開示される。従って、このタイプのコンジュゲートの一般式は(抗ハプテン抗体)
t−(検出可能な標識)
sであり、ここで、tおよびsは各々独立して1〜100であることができるが、より典型的には、t=1そしてs=1〜10。検出可能な標識と抗ハプテン抗体とのコンジュゲートは、単一のサンプルにおける多数の標的の多重化アッセイを可能にするために他のハプテン−担体コンジュゲート(標的ゲノム配列用のハプテン標
識核酸プローブおよび標的タンパク質に特異的に結合するハプテン標識一次抗体のような)と併せて用いることができる。
【0405】
本発明のコンジュゲートは、開示される典型的なリンカーもしくは複数のリンカーを開示されるハプテンもしくは複数のハプテンに連結することにより形成されることができる。ハプテンの多くは、リンカーをそれに連結することができる複数の位置を有する。開示されるハプテンに提供される一般式に関して適当なリンカー位置は、ハプテン−リンカーコンジュゲートの一般式がそうであるように、以下に示される。特定のハプテン−リンカーコンジュゲートは、これらの化合物を合成するためのプロトコルがそうであるように、PEGリンカーを参考にして提供される。
【0406】
1.オキサゾールおよびピラゾール
本発明のハプテンの第一の一般的クラスは、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、以下の一般的化学式を有するオキサゾールおよびピラゾール、最も典型的にはニトロオキサゾールおよびニトロピラゾールである。
【0407】
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【0408】
R
1〜R
4位置の任意の1つもしくはそれ以上は、リンカーに連結されることができる。R
2置換基により占められる位置は、以下に示されるように、このクラスのハプテンにリンカーを連結するために非常に適当であり、ここで、Lはリンカーであり、そしてRGは反応性官能基である。
【0409】
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
【0410】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例、5−ニトロ−3−ピラゾールカルバミドを以下に示す。このおよび次の態様について、Xは約2〜約24である。
【0411】
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
【0412】
Xが4である特定の態様は、以下に提供される。
【0413】
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【0414】
この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG4(4個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、実用的態様において他の反応性官能基に転化されている。例えば、カルボン酸官能基は、以下に示されるように、NHSエステルのような活性化エステルに転化されることができる。
【0415】
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
【0416】
そして、活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0417】
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
【0418】
2.ニトロアリール
本発明のハプテンの第二の一般的クラスは、以下の一般的化学式を有するニトロアリール化合物である。
【0419】
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
【0420】
そのような化合物は、R
1〜R
6の少なくとも1つがニトロであるように少なくとも1つの、そして場合により複数のニトロ基を有する。ニトロ基に連結されないR
1〜R
6位置のいずれかは、アリール環にリンカーを連結するための潜在的位置である。モノニトロフェニル化合物は、以下に例示されるようなニトロシンナミドハプテンコンジュゲートにより表される。
【0421】
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
【0422】
実用的態様はまた、2,4−ジニトロフェニル化合物によっても例示される。このクラスの典型的なハプテンコンジュゲートは以下に例示され、ここで、R
1〜R
3は上記のとおりである。
【0423】
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【0424】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例を以下に示す。
【0425】
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
【0426】
特定の態様は、以下の構造を有した。
【0427】
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
【0428】
従って、この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG4(4個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、実用的態様において他の反応性官能基に転化されている。例えば、カルボン酸官能基は、以下に示されるように、NHSエステルのような活性化エステルに転化されることができる。
【0429】
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【0430】
活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0431】
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
【0432】
3.ベンゾフラザンおよび関連化合物
ベンゾフラザンおよびその誘導体は、本発明のハプテンの別のクラスである。ベンゾフラザンタイプ化合物の一般式は、以下に提供される。
【0433】
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
【0434】
R
1〜R
4およびY置換基は上記のとおりである。R
1〜R
4置換基の少なくとも1つはリ
ンカーに、担体に結合されるか、またはリンカーもしくは担体への連結に適当な官能基である。R
2およびR
3位置は、このクラスのハプテンにリンカーを連結するために用いられる可能性が最も高い(R
2およびR
3は、特にR
1およびR
4が同じである場合、反応性に関して実質的に同一であり得る)。そのようなハプテンコンジュゲートは、以下に提供される一般式により例示される。
【0435】
【化129】
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【0436】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例、2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−カルバミドを以下に示す。
【0437】
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
【0438】
特定の態様は、以下の式を有した。
【0439】
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0440】
この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG4(4個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、実用的態様において他の反応性官能基に転化されている。例えば、カルボン酸官能基は、以下に示されるように、NHSエステルのような活性化エステルに転化されることができる。
【0441】
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
【0442】
活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0443】
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
【0444】
4.トリテルペン
トリテルペンは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスである。トリテルペンに共通している基本環構造は、以下に示されるように、4個の6員縮合環、A〜Dを有し、ここで、R
1〜R
21およびY置換基は上記のとおりである。
【0445】
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
【0446】
このクラスのハプテンを例示するトリテルペンの開示される態様はまた、E環を含むこともでき、それは様々な環サイズのものであることができる。例えば、E環は5もしくは6員環であってもよい。これらの化合物は、C環について以下に例示されるような、アルファ−ベータ不飽和ケトンを含むことが非常に多い。
【0447】
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
【0448】
これらの一般式においてR基により占められる位置の多くは、反応性コンジュゲートを形成するためにハプテンをリンカーに連結するのに有用であり得ることを当業者は認識する。アルファ−ベータ不飽和化合物に関して、特定のリンカー位置を以下に矢印を用いて示す。
【0449】
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
【0450】
例えば、本発明のハプテンコンジュゲート、このクラスの特定の反応性コンジュゲートは以下の式を有する。
【0451】
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
【0452】
他の典型的なトリテルペン構造および潜在的リンカー連結位置は、以下に提供される。
【0453】
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
【0454】
ベツリン酸、ウルソル酸およびエチノシスチン酸コア構造
【0455】
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
【0456】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例を以下に示す。
【0457】
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
【0458】
従って、この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG4(4個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下に示されるように、NHSエステルのような活性化エステルに転化されることができる。
【0459】
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
【0460】
例示される活性化エステルは、タンパク質担体に直接連結されている。あるいはまた、活性化エステルは、所望に応じて、保護された、例えばBOCで保護されたヒドラジン試薬での処理によりヒドラジドのような異なる反応性官能基に転化されることができる。
【0461】
5.尿素およびチオ尿素
尿素/チオ尿素、特にアリールおよびヘテロアリール尿素およびチオ尿素は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスである。アリール誘導体は、典型的に以下の式を有する。
【0462】
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
【0463】
R
3〜R
7置換基の少なくとも1つはまたリンカーに、担体に結合されることもでき、またはリンカーへのそして/もしくは担体分子への連結に適当な官能基である。あるいはま
た、尿素/チオ尿素官能基は、開示されるハプテンのこのクラスにリンカーを連結するために用いることができる。特にチオ尿素に関して、典型的なハプテンコンジュゲートが以下に提供される。
【0464】
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
【0465】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例を以下に示す。
【0466】
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
【0467】
従って、この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG8(8個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下に示されるように、NHSエステルのような活性化エステルに転化されることができる。
【0468】
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
【0469】
活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0470】
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
【0471】
本発明のローダミンチオ尿素ハプテンコンジュゲートは、典型的に以下の式を有する。
【0472】
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0473】
この式に関して、Rは典型的に独立して水素、脂肪族、特にアルキル、ヘテロ脂肪族、ハロゲン化アルキルのような置換された脂肪族、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせから選択される。R
1は典型的に独立して水素、脂肪族、特にアルキル、ヘテロ脂肪族、ハロゲン化アルキルのような置換された脂肪族、アルコール、アミン、低級アルキルアミンのような置換されたアミン(一例はジエチルアミンである)、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、およびその組み合わせから選択される。R
2は典型的に独立して水素、脂肪族、特にアルキル、ヘテロ脂肪族、ハロゲン化アルキルのような置換された脂肪族、アルコール、アミン、置換されたアミン、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、およびその組み合わせから選択される。Yは酸素、窒素もしくは硫黄である。ローダミンBチオ尿素の特定の態様は、以下の式を有した。
【0474】
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
【0475】
6.ロテノンおよびロテノンに基づくハプテン
ロテノンおよびロテノンに基づくハプテンは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを定義する。ロテノンおよびロテノンに基づくハプテンの一般式は、以下に提供される。
【0476】
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
【0477】
R
1〜R
14位置のいずれかは、このクラスのハプテンにリンカーを連結するために用いることができる。式1のある特定の化合物は、カルボニルを形成するための酸素への二重結合もしくはイミンを形成するための窒素への二重結合のような二重結合をR
6およびR
7に形成させる。これらのハプテンコンジュゲートに関して特定の典型的なリンカー連結位置は、以下に提供される。
【0478】
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
【0479】
リンカーに結合するためにカルボニル化合物を使用できることを当業者は認識する。このクラスの典型的なハプテンコンジュゲートは、以下に提供される一般式
【0480】
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
【0481】
以下に提供される一般式
【0482】
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
【0483】
により例示される。
【0484】
PEGに基づくリンカーを有するハプテン−リンカーコンジュゲートの一例を以下に示す。
【0485】
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
【0486】
特定の態様は、以下の式を有した。
【0487】
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
【0488】
この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG8(8個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下
に示されるNHSエステルを包含する活性化エステルのような所望に応じて異なる反応性官能基に転化されることができる。
【0489】
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
【0490】
活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0491】
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
【0492】
ロテノンイソオキサゾリンについて、典型的なハプテン−リンカーコンジュゲートは以下の式を有した。
【0493】
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
【0494】
7.オキサゾールおよびチアゾールスルホンアミド
オキサゾールおよびチアゾールスルホンアミドは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。オキサゾールおよびチアゾールスルホンアミドの一般式は、以下に提供される。
【0495】
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
【0496】
R
1〜R
3位置の任意の1つもしくはそれ以上は、ハプテンコンジュゲートを形成するようにこのクラスのハプテンにリンカーもしくは担体を連結するために用いることができる。ある典型的な実用的態様について、R
1は以下に示されるアミド誘導体のようなアミドであった。これらの化合物について、R
2およびR
3位置はリンカーへの連結に適当である。ある実用的態様について、R
2は−SO
2であり、そしてスルホンアミドを形成することによりリンカーを連結するために用いられている。従って、このクラスのハプテンを例示するハプテンの実用的態様の第二の一般式を以下に示す。
【0497】
【化159】
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【0498】
この一般式に基づく典型的なハプテンコンジュゲートには、以下の式を有するものが包含される。
【0499】
【化160】
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【0500】
ハプテン−リンカーコンジュゲートは、PEGに基づくリンカーを用いて形成されている。そのような化合物の一例、2−アセトアミド−4−メチル−5−チアゾールスルホンアミドを以下に示す。
【0501】
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
【0502】
特定の態様は、以下の構造を有した。
【0503】
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
【0504】
この例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEG8(8個のエチレンオキシ単位)であり、そして反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下に示されるNHSエステルを包含する活性化エステルのような所望に応じて異なる反応性官能基に転化されることができる。
【0505】
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
【0506】
活性化エステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0507】
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
【0508】
8.クマリン
クマリンおよびクマリン誘導体は、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。クマリンおよびクマリン誘導体の一般式は、以下に提供される。
【0509】
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
【0510】
R
1〜R
6位置のいずれかはまた典型的にリンカーに、担体に結合されるか、またはリンカーもしくは担体分子への連結に適当な官能基である。ある実用的態様は、リンカーへの
連結にR
5置換基を有するとして示される位置を使用している。R
6置換基により占められる位置は、これらの化合物を検出するために蛍光が用いられる場合に重要であることができる。一般式においてR
6により占められる位置での水素以外の置換基は、そのような誘導体はなお発色団であり得るが、蛍光をクエンチすると考えられる。この式を用いて製造される典型的なハプテンコンジュゲートは、以下の一般式を有する。
【0511】
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
【0512】
実用的態様は典型的に、以下に示されるように、縮合A〜D環系であった。
【0513】
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
【0514】
このクラスを例示するハプテンコンジュゲートは、以下に提供される。
【0515】
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
【0516】
これらの例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEGリンカーであり、そ
して反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下に示されるNHSエステルを包含する活性化エステルのような所望に応じて異なる反応性官能基に転化することができる。
【0517】
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
【0518】
NHSエステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0519】
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
【0520】
9.シクロリグナン
シクロリグナンは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。本明細書において詳細に説明される第一の一般式は、以下に提供される。
【0521】
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
【0522】
R
1〜R
12置換基の少なくとも1つは典型的にリンカーにもしくは担体に結合されるか、またはリンカーもしくは担体と反応することができる反応性官能基である。R
12およびR
11の少なくとも1つはまた、ベンゼン環もしくは置換されたベンゼン環のようなアリール基であることも多い。R
11およびR
12の少なくとも1つがアリール基である典型的な化合物は典型的に以下の一般式を有し、ここで、R置換基は上記のとおりである。
【0523】
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
【0524】
R
9は−L−RGであることが多く、そしてR
16〜R
20は独立して水素およびアルコキシ、典型的には以下に示されるようにメトキシのような低級アルコキシである。以下の一般的分子式は、このクラスのハプテンにリンカーを連結するための適当な位置を示す。
【0525】
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
【0526】
このクラス内の化合物の種を表すために有用な別の一般式は、下記のとおりである。
【0527】
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
【0528】
本発明の全てのハプテンコンジュゲートのように、R置換基の少なくとも1つは典型的にリンカーに結合されるか、リンカーと反応することができる反応性官能基であるか、もしくは−L−RGである。例えば、R
9は以下に示されるように、−L−RGであることが多い。
【0529】
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
【0530】
このクラスを例示するハプテン−L−RGコンジュゲートは、以下に提供される。
【0531】
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
【0532】
これらの例は式ハプテン−L−RGを満たし、ここで、LはPEGリンカーであり、そ
して反応性基はカルボン酸官能基である。カルボン酸官能基は、以下に示されるNHSエステルを包含する活性化エステルのような所望に応じて異なる反応性官能基に転化されることができる。
【0533】
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
【0534】
NHSエステルは、以下に例示されるように、ヒドラジドのような他の有用な反応性官能基に転化されることができる。
【0535】
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
【0536】
10.ヘテロビアリールハプテンコンジュゲート
ヘテロビアリールハプテンコンジュゲートは、本発明の範囲内のハプテンの別のクラスを提供する。ハプテンのこの一般的クラスは、以下のような第一の一般的化学式を有する。
【0537】
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
【0538】
この一般式に関して、A〜Dは炭素、窒素、酸素および硫黄から選択され、そして最も典型的には炭素もしくは窒素である。
【0539】
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
【0540】
R
1〜R
2置換基の少なくとも1つは典型的にリンカーにもしくは担体に結合されるか、またはリンカーもしくは担体と反応することができる反応性官能基である。
【0541】
モノヘテロ原子ビアリールハプテンコンジュゲートの特定の例を以下に例示する。Rは典型的にはヒドロキシルもしくはカルボキシルである。ヒドロキシルコンジュゲートでは、ヒドロキシル基をハロゲン化物に転化し、そして次にアミノカルボジイミドを用いて置換して生体分子を直接標識するために適当なカルボジイミド化合物を生成せしめることができる。カルボキシル基は、保護されたヒドラジドとのようなさらなる反応のための酸ハロゲン化物もしくはNHSエステルの形成によるように、活性化することができる。これらの化合物の合成は、下記にさらに詳細に記述される。
【0542】
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
【0543】
本発明のハプテンの別の一般的なクラスは、以下のような第一の一般的化学式を有する複素二環式/ビアリール化合物、典型的にはフェニルキノリンおよびキノキサリンである。
【0544】
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
【0545】
R
1〜R
2置換基は、このクラスのハプテンについての上記のとおりである。ジヘテロ原子ビアリールハプテンコンジュゲートの特定の例を以下に例示する。
【0546】
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
【0547】
モノヘテロ原子誘導体のように、Rは典型的にはヒドロキシルもしくはカルボキシルである。これらの官能基は、本明細書に開示されるようなさらなるコンジュゲートを形成するために用いることができる。Rは典型的にはヒドロキシルもしくはカルボキシルである。ヒドロキシルコンジュゲートでは、ヒドロキシル基をハロゲン化物に転化し、そして次
にアミノカルボジイミドを用いて置換して生体分子を直接標識するために適当なカルボジイミド化合物を生成せしめることができる。カルボキシル基は、保護されたヒドラジドとのようなさらなる反応のための酸ハロゲン化物もしくはNHSエステルの形成によるように、活性化することができる。これらの化合物の合成は、以下にさらに詳細に記述される。
【0548】
11.アゾアリールコンジュゲート
アゾアリールハプテンコンジュゲートのある開示される態様は、以下に提供されるような式を有した。
【0549】
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
【0550】
R
2〜R
4は上記のとおりである。リンカーもしくは担体は、例えば、ハロゲン化スルホニルとの反応によりアゾアリールハプテンに連結されることができる。そのようなコンジュゲートの1つの態様、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミドは、以下に提供される式を有する。
【0551】
【化185】
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【0552】
12.ベンゾジアゼピンコンジュゲート
ベンゾジアゼピンハプテンの特定の態様は、以下に示されるように、R
1アリールを有し、ここで、リンカーもしくは担体はアリール基に連結される。例えば、ベンゾジアゼピンハプテンリンカーコンジュゲートは以下に示されるような式を有する。
【0553】
【化186】
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【0554】
R
2〜R
5は上記のとおりである。より典型的には、そのような置換基は独立して脂肪族、特にアルキル、水素およびヒドロキシルから選択される。ある開示される態様は、以下に例示されるように、フェニル化合物である。
【0555】
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
【0556】
この場合もやはり、R
2〜R
6は上記のとおりである。特定の態様、(E)−2−(2(2−オキソ−2,3−ジヒドロ(dihydror)−1H−ベンゾ(benxo)[b][1,4]ジアゼピン−4イル)フェノキシ)アセトアミドは、以下に提供される。
【0557】
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
【0558】
Rは典型的にはヒドロキシルもしくはカルボキシルである。これらの官能基は、本明細書に開示されるようなさらなるコンジュゲートを形成するために用いることができる。Rは典型的にはヒドロキシルもしくはカルボキシルである。ヒドロキシルコンジュゲートでは、ヒドロキシル基をハロゲン化物に転化し、そして次にアミノカルボジイミドを用いて置換して生体分子を直接標識するために適当なカルボジイミド化合物を生成せしめることができる。カルボキシル基は、保護されたヒドラジドとのようなさらなる反応のための酸ハロゲン化物もしくはNHSエステルの形成によるように、活性化することができる。これらの化合物の合成は、以下にさらに詳細に記述される。
【0559】
V.担体
本願のハプテンリンカーコンジュゲートはまた、適当な官能基によりハプテンもしくはハプテンリンカーに連結される担体を含むこともできることを当業者は認識する。担体は、例としてそして限定せずに、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、およびその一部;ヌクレオシド、ヌクレオチド、ヌクレオチド鎖、核酸、DNA、RNA、mRNAなど;ならびにその組み合わせであることができる。典型的には、担体分子はタンパク質、DNA、RNA、もしくはその組み合わせである。
【0560】
適当な担体はまた、公開特許文献にも開示される。例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Waggoner et al.,米国特許出願第2004/0057958号は、さらなる適当な担体を開示する。担体はハプテン、または担体と会合していない場合に免疫原性、非免疫原性もしくは弱く免疫原性である任意の他の抗原性化合物
の免疫原性を高めるために用いることができる。非免疫原性、非アレルギー性、非抗原性であること、代謝可能であること、分子量、特に例えばリン酸緩衝食塩水のような水性生理溶液における溶解性、および抗原性化合物とコンジュゲーションする(例えば共有結合する)かもしくは会合する(例えば一緒に混合するかもしくは電荷−電荷相互作用によって会合する)ことができることを包含する生理化学的性質のような、潜在的担体のある特性もまた特定の担体を選択する場合に考慮することができる。
【0561】
単一の担体ならびに異なる担体の混合物を用いることができる。異なる担体には、例えば2つもしくはそれ以上の異なる長さのホモポリマーのような異なる長さのポリマー、ならびに本発明の2つもしくはそれ以上の異なる担体もしくはポリマーの混合物が包含される。単一の担体を使用することは1つのみの担体−ハプテン複合体を製造することを必要とし、一方、多数の担体を使用することは明らかにより難しい。1つより多くの担体を使用することは、特定のハプテンもしくはエピトープに対して生じる免疫反応が、使用する特定の担体により、例えば、大きさもしくは特異性においてのように、異なりそして最適な担体が既知でないかもしくはまだ実験的に決定されていない場合に好都合であり得る。
【0562】
担体は合成もしくは天然ポリマー、実質的に抗原性、実質的に非抗原性もしくは生物分解性、または両方であることができる。担体として有用な適当なポリマーの例には、ポリ(ジエン)、ポリ(アルケン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ハロゲン化ビニル)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(スチレン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(ウレタン)、ポリ(アミド)、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリ(サッカリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(エステルアミド)、ポリオルトエステル、ポリ(a−ヒドロキシ酪酸)、ポリ無水物もしくはその混合物が包含されるがこれらに限定されるものではない。別の態様において、ポリマーは、アルファヒドロキシカルボン酸もしくは複数の酸(例えば、アルファヒドロキシカルボン酸はグリコール酸、乳酸、a−ヒドロキシ酪酸、a−ヒドロキシイソ酪酸、a−ヒドロキシ吉草酸、a−ヒドロキシイソ吉草酸、a−ヒドロキシカプロン酸、a−ヒドロキシ−a−エチル酪酸、a−ヒドロキシイソカプロン酸、a−ヒドロキシ−3−メチル吉草酸、a−ヒドロキシヘプタン酸、a−ヒドロキシオクタン酸、a−ヒドロキシデカン酸、a−ヒドロキシミリスチン酸、a−ヒドロキシステアリン酸、a−ヒドロキシリグノセリン酸(a−hydroxyligoceric acid)を含んでなる)、ラクトン(3−プロピオラクトン、テトラメチレングリコリド、b−ブチロラクトン、4−ブチロラクトン、ピバラクトン)、ジエン、アルケン、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、ビニルアルコール、ビニルケトン、ハロゲン化ビニル、ビニルニトリル、ビニルエステル、スチレン、カーボネート、エステル、オルトエステル、エステルアミド、無水物、ウレタン、アミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、糖、アルファヒドロキシカルボン酸、ラクトン、エステルアミド、もしくはその混合物から選択される少なくとも1つのモノマーの重合もしくはオリゴマー化から得られるポリマーもしくはオリゴマーであることができる。
【0563】
ポリマーは、そのホモポリマーおよびヘテロポリマーの両方を包含する、1つもしくはそれ以上のアミノ酸由来であることができる。例えば、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸もしくはこれらのLおよびD異性体の混合物、例えばラセミ化合物由来のポリグルタメートが用いられる。Lおよび/もしくはDグルタニル、アスパルチル、グリシル、セリル、トレオニルおよびシステイニルは全て用いることができるアミノ酸の例である。ポリマーはまた、ブロック、グラフトもしくはランダムコポリマーであることもできる。これらには、例えば、少なくとも1つの他のアミノ酸、例えばアスパラギン酸、セリン、チロ
シン、グリシン、エチレングリコール、エチレンオキシド、(またはこれらのいずれかのオリゴマーもしくはポリマー)もしくはポリビニルアルコールを含有するコポリマーが包含される。グルタミン酸は、もちろん、1つもしくはそれ以上の置換基を保有することができ、そしてポリマーには、グルタミン酸モノマーの一部もしくは全部が置換されるものが包含される。特定のポリマー例には、ポリ(l−グルタミン酸)、ポリ(d−グルタミン酸)、ポリ(dl−グルタミン酸)、ポリ(l−アスパラギン酸)、ポリ(d−アスパラギン酸)、ポリ(dl−アスパラギン酸)、ポリ(l−セリン)、ポリ(d−セリン)、ポリ(dl−セリン)、ポリ(l−チロシン)、ポリ(d−チロシン)、ポリ(dl−チロシン)、ポリ(l−グリシン)、ポリ(d−グリシン)、ポリ(dl−グリシン)、ポリ(l−トレオニン)、ポリ(d−トレオニン)、ポリ(dl−トレオニン)、ポリ(d−システイン)、ポリ(l−システイン)およびポリ(dl−システイン)が包含されるがこれらに限定されるものではない。さらなる態様において、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸およびポリ乳酸、ならびにポリ(2−ヒドロキシエチル1−グルタミン)、キトサン、カルボキシメチルデキストラン、ヒアルロン酸、ヒト血清アルブミンおよびアルギニン酸と上記のポリ(アミノ酸)とのブロック、グラフトもしくはランダムコポリマーのようなコポリマーであり、ポリグルタミン酸が特に好ましい。
【0564】
適当なポリマーの分子量は異なり得る。しかしながら、典型的には、分子量は約1,000キロダルトン分子量〜10,000,000キロダルトン未満である。
【0565】
タンパク質担体を例示する実用的態様には、ウシサイログロブリン、キーホールリンペットヘモシアニンもしくはウシ血清アルブミンが包含された。
【0566】
本願のハプテンコンジュゲートは、ハプテン−リンカー化合物を形成するために担体にハプテンをもしくはリンカーにハプテンを連結するための反応性官能基を含む。タンパク質連結のために、タンパク質はハプテンコンジュゲートを形成するために適当な求電子性官能基に連結することができる様々な官能基、典型的には求核物質を含む。例えば、遊離アミン(−NH
2)もしくは第二級アミンは、酸ハロゲン化物(−CO)、スクシンイミドエステルなどのようなカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体との反応によりハプテンもしくはハプテン−リンカー化合物にタンパク質を連結してアミドを形成するために用いることができ;ハロゲン化アルキルはアミンを形成するために用いることができ;ケトンおよびアルデヒドのようなカルボニル化合物はイミンを形成するために用いることができ;そしてその組み合わせ。あるアミノ酸は、反応性ヒドロキシルおよび/もしくはスルフヒドリル基を包含する、ハプテンに担体を連結するために適当な他の反応性官能基を含む。典型的な連結には、カルボン酸もしくはカルボン酸誘導体との反応によるエステルおよびラクトン形成;エーテル形成;およびその組み合わせが包含される。
【0567】
VI.シグナル生成部分
特異的結合部分およびシグナル生成部分のコンジュゲートのようなシグナル生成部分を含んでなるコンジュゲートは、生物学的サンプルにおける特定の標的部分を検出するためのアッセイにおいて用いることができる。シグナル生成部分は、標的の存在および/もしくは位置を示す検出可能なシグナルを与えるために利用される。シグナル生成部分の例には、例としてそして限定せずに以下のものが包含される:西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼもしくはβ−ラクタマーゼのような酵素。西洋ワサビペルオキシダーゼは、ELISA、免疫ブロッティングおよび免疫組織化学を包含する多数の異なる免疫化学用途において免疫グロブリンの標識として広く用いられる。他の可能な開示される態様に加えて、HRPはグルタルアルデヒド、過ヨウ素酸塩酸化、ジスルフィド結合によって、そしてまたアミノおよびチオール特異的架橋剤を介してを包含するいくつ
かの異なる方法により抗体にコンジュゲーションすることができる。HRPは3つの最も一般的な酵素標識(HRP、アルカリホスファターゼおよびB−ガラクトシダーゼ)のうち最も小さくそして最も安定であり、そしてそのグリコシル化はより低い非特異的結合をもたらす;蛍光分子(フルオレセイン、クマリン、BODIPY色素、レゾルフィン、ローダミンのような;さらなる例は、The Handbook-A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies,Invitrogen Corporation,Eugene,ORに見出されることができる)、検出可能な構築物(例えばInvitrogen Corporation,Eugene,ORから入手することができる、量子ドットのような蛍光構築物のような;例えば、米国特許第6,815,064号、第6,682,596号および第6,649,138号を参照、これらの特許の各々は本明細書に引用することにより組み込まれる)、金属キレート(Gd
3+のような放射性もしくは常磁性金属イオンのDOTAおよびDPTAキレートのような)およびリポソーム(蛍光分子を封鎖するリポソームのような)。
【0568】
シグナル生成部分が酵素を含む場合、検出可能なシグナルを生成するために発色性化合物、蛍光性化合物もしくは発光性化合物を用いることができる(多種多様なそのような化合物は、例えば、Invitrogen,Eugene ORから利用可能である)。発色性化合物の特定の例には、ジ−アミノベンジジン(DAB)、リン酸4−ニトロフェニル(pNPP)、ファストレッド、リン酸ブロモクロロインドリル(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o−ジアニシジン、4−クロロナフトール(4−CN)、ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、o−フェニレンジアミン(OPD)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−Gal)、メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(MU−Gal)、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(PNP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド(X−Gluc)、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルーおよびテトラゾリウムバイオレットが包含される。
【0569】
標識された二次抗体は、Pierce Co.のようなしかしこれに限定されるものではない多数の供給業者から購入することができる。AmershamおよびEvident Technologiesは、広範囲のコンジュゲーションした抗体可能性を提供する。CyDye、EviTag量子ドット、フルオレセイン(FITC)およびローダミンを利用することができる。これらのコンジュゲートは様々な適用、色および発光範囲におよぶ。Evident TechnologiesからのEviTag量子ドットは、改善された光安定性、色多重化および単一源励起の有機フルオロフォアに対する利点を有して、様々な波長における光安定性および多色蛍光を与える。各Evitagは、それらを無傷細胞環境における多重化に理想的にする鋭い発光波長を生成する。
【0570】
Amersham CyDyeは、広範囲のpH値にわたって優れた光安定性を与える。標識の化学構造とともに、蛍光マーカーに関する指導書については:
http://www.hmds.org.uk/fluorochrome.htmlを参照。ハプテンで標識化する方法に関する以下のリンクを参照:
http://probes.invitrogen.com/handbook/boxes/2020.html
【0571】
検出可能なコンジュゲートの1つのタイプは、抗体およびフルオロフォアの共有結合コンジュゲートである。フルオロフォアにより吸収される波長のものである光子をコンジュゲートに向けることは、検出しそして抗体を定性化し、定量化しそして/もしくは特定す
るために用いることができる蛍光を刺激する。フルオロフォアとして用いられる蛍光部分の大部分は、共役パイ電子系を有する有機分子である。そのような有機フルオロフォアは強い蛍光シグナルを与えることができるが、それらは特に多重化アッセイにおいてそして記録保管試験結果が必要とされる場合に、それらの有効性を限定する多数の特性を示す。
【0572】
有機フルオロフォアは、励起源での長期照明により光退色する可能性があり、それは最大のそして/もしくは検出可能なシグナルをサンプルから引き出すことができる期間を制限する。長期照明および/もしくは酸素への長期暴露は、有機フルオロフォアを非蛍光分子に永久的に転化し得る。従って、蛍光検出は、記録保管サンプルが必要とされる場合に日常的に用いられていない。
【0573】
量子ドットと呼ばれることも多い、発色性および/もしくは蛍光性半導体ナノ結晶は、複合体を同定するために用いることができる。ナノ結晶性量子ドットは半導体ナノ結晶性粒子であり、そして特定サイズの粒子発光体で使用することに本発明を限定することなしに、典型的には2〜10nmのサイズである(おおよそ典型的なタンパク質のサイズ)。量子ドットは典型的に安定なフルオロフォアであり、光退色に耐性であることが多く、そして広範囲の励起、波長および狭い発光スペクトルを有する。特定の波長での発光のような特定の発光特性を有する量子ドットは、複数の異なる標的を同定するために複数の異なる発光特性を有する複数の異なる量子ドットを使用することができるように選択することができる。定量ドットバイオコンジュゲートは、利用可能である最も明るい伝統的な色素に匹敵する量子収率を特徴とする。さらに、これらの量子ドットに基づくフルオロフォアは伝統的な色素より10〜1000倍多い光を吸収する。量子ドットからの発光は狭くそして対称的であり、それは他の色との重複が最小限に抑えられることを意味し、さらに多くの色を同時に使用できることにもかかわらず、隣接する検出チャンネルへの最小限のブリードスルーおよび弱められたクロストークをもたらす。対称的なそして調節可能な発光スペクトルは、粒子のサイズおよび物質組成に従って変えることができ、それは実質的なスペクトルの重複なしに異なる量子ドットの柔軟なそして近い間隔を可能にする。さらに、それらの吸収スペクトルは広く、それは単一の励起波長を用いて同時に全ての量子ドット色バリアントを励起することを可能にし、それによってサンプル自己蛍光を最小限に抑える。
【0574】
さらに、量子ドットコンジット(conduit)上へのポリエチレングリコールの導入、PEG化は、非特異的なタンパク質:量子ドット相互作用を実質的に減少できることが見出されている。ある種の量子ドットは、例えばHayward,CaliforniaのQuantum Dot Corp.およびInvitrogenから市販されている。
【0575】
標準的な蛍光顕微鏡は、量子ドットバイオコンジュゲートの検出のための安価な道具である。定量ドットコンジュゲートは実質的に光安定性であるので、興味のある領域を見出しそしてサンプルに適切に焦点を合わせるために顕微鏡で時間をかけることができる。量子ドットコンジュゲートは、明るい光安定性発光が必要とされるときはいつでも有用であり、そして1つのみの励起源/フィルターが利用可能でありそして色間の最小限のクロストークが必要とされる多色用途において特に有用である。例えば、量子ドットは、ストレプトアビジンとIgGのコンジュゲートを形成して細胞表面マーカーおよび核抗原を標識するためにそして微小管およびアクチンを染色するために使用されている(Wu,X.et al.(2003).Nature Biotech.21,41−46)。
【0576】
一例として、蛍光はマルチスペクトルイメージングシステムNuance
TM(Cambridge Research & Instrumentation,Woburn,MA)で測定することができる。別の例として、蛍光はスペクトルイメージングシステム
SpectrView
TM(Applied Spectral Imaging,Vista,CA)で測定することができる。マルチスペクトルイメージングは、画像の各画素での分光学的情報が集められそして得られるデータがスペクトル画像処理ソフトウェアで分析される技術である。例えば、Nuanceシステムは、電子的にそして継続的に選択可能でありそして次にそのようなデータを処理するために考案された分析プログラムで利用される異なる波長での一連の画像を撮ることができる。Nuanceシステムは、スペクトル曲線が異なるならば、たとえ色素のスペクトルが非常に重複している場合でさえまたはそれらが共局在化しているかもしくはサンプルにおける同じ地点で存在している場合でさえ、同時に多数の色素から定量的情報を得ることができる。多数の生物学的材料は自己蛍光を発するか、もしくはより高いエネルギー光により励起される場合により低いエネルギー光を出す。このシグナルは、より低いコントラストの画像およびデータをもたらし得る。マルチスペクトルイメージング能力のない高感度カメラは、蛍光シグナルと一緒に自己蛍光シグナルを増加するだけである。マルチスペクトルイメージングは組織からの自己蛍光を混合しないかもしくは分離することができ、従って、達成可能なシグナル対ノイズ比を増加する。
【0577】
ハプテンを量子ドットにコンジュゲーションすることができ、そして例えば低波長光が量子ドット蛍光を刺激する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いることにより、量子ドット蛍光を刺激することができる。Invitrogenは、ビオチンにコンジュゲーションした量子ドットが抗ビオチンAlexa Fluorよりビオチン誘導体ビオシチンについて100倍低い検出限界を有したことを決定している。完全にビオチニル化した量子ドットは、25パーセントのビオチン被覆を有する量子ドットより10倍感度が低かった。
【0578】
量子ドット使用は、それらの生体適合性の欠如によりこれまで限定されていた。しかしながら、表面コーティング化学における新たな進歩は、これらの問題を克服するのに役立っている。例えば、Wu,X.et al.Immunofluorescent labeling of cancer marker Her2 and other cellular targets with semiconductor quantum dots,Nature Biotechnol.21,41−46(2003);Jaiswal,J.K.,Mattoussi,H.,Mauro,J.M.& Simon,S.M.Long−term multiple color imaging of live cells using quantum dot bioconjugates,Nature Biotechnol.21,47−51(2003);およびDubertret,B.et al.In vivo imaging of
quantum dots encapsulated in phospholipid micelles.Science 298,1759−1762(2002)を参照。
【0579】
量子ドットはまた、ストレプトアビジンのような生体認識分子(同文献)にもコンジュゲーションされている。これらのコンジュゲートは、固定された細胞および組織切片の両方上で使用されている。さらに、細胞表面タンパク質および生細胞の細胞内区画は量子ドットバイオコンジュゲートで標識されている。
【0580】
蛍光タンパク質もまた、視覚化を容易にするために、担体として使用することができ、もしくは担体に連結することができる。例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)は、最初にクラゲ エクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)の発光器官から単離された。キメラGFP融合物は、細胞への遺伝子導入によりインサイチューで発現させることができ、そして適切なターゲッティングシグナルにより細胞内の特定の部位に局在化させることができる。青色、青緑色および黄色がかった緑色の発光を有するスペ
クトルバリアントがエクオレアGFPから成功裏に作製されているが、いずれも529nmより長い発光極大を示さない。GFP様タンパク質はアントゾア(Anthozoa)(サンゴ動物)から単離されており、それは生物学的用途に利用可能な色の範囲を有意に広げた。現在配列データベースに寄託される「GFP様タンパク質」のファミリーは、約30の有意に異なるメンバーを含む。蛍光タンパク質は、発色団の自己触媒合成によって自発的に蛍光を発するようになることができるタンパク質をさす。
【0581】
赤色もしくは遠赤色波長で蛍光を発するタンパク質(赤色蛍光タンパク質もしくはRFP)は既知である。RFPは、多色標識および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)実験の両方に、より短い波長で蛍光を発する他の蛍光タンパク質と組み合わせて用いることができる。市販されているRFPは、2つの野生型GFP様タンパク質由来である。DsRed(drFP583)は、それぞれ、558nmおよび583nmで励起および発光極大を有する。遠赤色蛍光タンパク質は、571nmで吸収する色素タンパク質の突然変異誘発により作製された。HcRed1(Clontech)は、それぞれ、588nmおよび618nmで励起および発光極大を有する。最も長い波長で蛍光を発する蛍光タンパク質(導入されている任意の突然変異のない)は、イソギンチャク エンタクマエア・クアドリカラー(Entacmaea quadricolor)からクローン化されたeqFP611である。このタンパク質は559nmで吸収し、そして611nmで発光する。多数のスペクトルバリアントが出現するにつれて、より多くの研究者が多数のフルオロフォアおよび/もしくはFRETシグナルの同時イメージングに興味をもつようになっている。
【0582】
融合タンパク質もまた、本発明のハプテンコンジュゲートを形成するために用いることができる。機能性蛍光タンパク質を作り出す場合に考慮すべき少なくとも3つの点がある:蛍光タンパク質は蛍光を発するために正しくフォールディングしなければならず;宿主タンパク質は機能性であるために正しくフォールディングしなければならず;そしてキメラタンパク質の完全性は維持されなければならない。
【0583】
蛍光タンパク質と宿主タンパク質との間の任意のリンカーの長さおよび配列は、各々の特定の用途のために最適化されるべきである。最も広く使用されるリンカー設計は、主にグリシン(Gly)およびセリン(Ser)ストレッチからなる配列を有し、Ser残基はポリGlyストレッチの溶解性を向上するために散在している。
【0584】
蛍光タンパク質をタンパク質のアミノもしくはカルボキシル末端に融合するかどうかの決定は、タンパク質の特性により決まる。例えば、特定の末端は、適切なタンパク質機能を保持するためにもしくは正確な局在化を保証するために保存される必要があり得る。この決定はまた、特定の蛍光タンパク質の構造的特徴に基づいて行われる可能性もある。例えば、エクオレアGFPは、約10個のアミノ酸の柔軟なカルボキシル末端尾部を有し、それはリンカーの付加なしに他のタンパク質のアミノ末端へのその融合を可能にする。対照的に、DsRedは、アミノ末端がDsRedのテトラマー複合体から完全に突出するので、興味のあるタンパク質のカルボキシル末端により成功裏に融合される。宿主タンパク質のいずれの末端も改変することができない場合、タンパク質の中央に蛍光タンパク質を挿入することが可能である。
【0585】
効率よく成熟するGFPの黄色発光突然変異体(YFP)の2つの明るいバージョン、CitrineおよびVenusが最近開発された。
【0586】
T1およびE57として知られいている、DsRedの2つの最近開発された種類は改善された成熟を示し、それらを二色実験における使用に好ましくする。
【0587】
あるGFPバリアントの蛍光は特定の照明により「光活性化」することができ、それは選択した時間点で蛍光を出すことができるという利点を提供する。発色団においてもしくはその近くで光化学修飾を受ける3つの蛍光タンパク質、PA−GFP、KaedeおよびKFP1が開発されており、それらは特定の照明後に蛍光シグナルの選択的活性化を可能にし、そして個々の細胞、細胞小器官もしくはタンパク質を蛍光的に印付けするために用いることができる。
【0588】
表1は、シグナル生成部分およびそのような部分を含んでなるコンジュゲートのさらなる例を提供する。
【0589】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0590】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0591】
VII.ハプテンコンジュゲートを形成する方法−反応スキーム
以下のスキームは、本発明のコンジュゲートを製造するために有用な方法の典型的な態様を提供する。他の合成方法論もまたそのようなコンジュゲートを製造するために有用であり、そして以下のスキームは、示される特定の合成方法論に方法を限定すると解釈されるべきではない。
【0592】
1.ニトロピラゾールコンジュゲート
スキーム1は、典型的なニトロピラゾールハプテンをアルキレンオキシドリンカーにそして次にタンパク質担体に連結するために適当な1つの方法を例示する。
【0593】
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
【0594】
スキーム1は、典型的なニトロピラゾールハプテンを連結することがペンデント(pendent)カルボン酸官能基を介して典型的なエチレングリコールリンカーにであることを例示する。第一段階は、ニトロピラゾールからN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを形成することである。これは、求核物質とのその後の反応のためにエステルを「活性化する」。NHSエステルの形成は、カップリング試薬としてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて実用的態様において成し遂げられた。ジクロロメタンを溶媒として使用し、そしてトリエチルアミンを塩基として加えた。NHSエステルは、次に求核物質に連結する準備ができている。
【0595】
第一の可能な合成経路は、活性化エステルをジアミンと反応させて末端アミンを有するアミドを生成せしめることである。ジアミンは、BOC−エチレンジアミン化合物が使用されるスキーム1において例示されるように、保護されたジアミンであることができる。次に、BOCで保護されたアミドはジクロロメタン中トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて脱保護される。次に、脱保護された化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてハプテンにリンカーを連結することができる。リンカーはまた、終端に反応性官能基も含む。
【0596】
別の選択肢として、活性化エステルを有するハプテンをリンカーに連結して末端カルボン酸官能基もしくは末端ヒドロキシル基のいずれかを有するアミドを形成することができる。第二のDCCカップリング反応を行って再びカルボン酸官能基を活性化することができ、それを例示される保護されたヒドラジン試薬と反応させる。塩酸における脱保護により例示されるヒドラジドを生成せしめた。あるいはまた、活性化エステルペンデント官能基を有するニトロピラゾールハプテン−PEGリンカーは、免疫原を形成するために担体タンパク質と反応させるのに適している。
【0597】
別の代替合成経路は、末端ヒドロキシル基を有するハプテン−PEGリンカーを用いて例示される。ヒドロキシル終端化合物を塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物と反応させてヨード置換された誘導体を提供することができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0598】
2.ニトロフェニルコンジュゲート
スキーム2は、アルキレンオキシド(PEG)リンカーに連結される典型的なジニトロフェニルハプテンを例示する。次に、これらのハプテン−リンカーコンジュゲートは、所望に応じて誘導体化されるかもしくは担体に直接連結することができる。
【0599】
【化190】
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【0600】
典型的なジニトロフェニルハプテンをアルキルレンオキシドリンカー、すなわち、ペンデント遊離酸およびアミンの両方を有する二官能性ポリエチレングリコールに連結した。第一の方法において、ジニトロフェニルハプテンを置換によってエチレンジアミンに連結し、フッ素により占められる環位置は、オルトおよびパラニトロ基の存在により求核置換のために活性化された。得られる化合物は、マレイミド−PEG−NHSエステルへの連結のための末端求核性アミンを含む。
【0601】
あるいはまた、ジニトロフェニルハプテンは、末端カルボン酸もしくはヒドロキシル基のいずれかを有するアミノ−PEG化合物と反応させることができる。カルボン酸誘導体に関して、この化合物をジニトロフェニルハプテンと反応させてフッ素を置換した。次に、NHSエステルをジクロロメタン中DCCを用いて形成した。活性化エステルは、例えば例示される保護されたヒドラジン試薬との反応、続いて塩酸もしくはトリフルオロ酢酸のような酸を用いる脱保護により、所望に応じて誘導体化するのに適している。あるいはまた、活性化エステルは、免疫原を形成するために担体タンパク質に連結するのに適している。
【0602】
さらに別の選択肢として、ジニトロフェニルハプテンをアミノ−PEGリンカーと反応させて末端ヒドロキシル基を有する化合物を生成せしめることができる。ヒドロキシル終端化合物を塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物と反応させてヨード置換された誘導体を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0603】
シンナミドに基づくコンジュゲートを製造するための合成経路の第二の例をスキーム3において以下に提供する。典型的なニトロフェニルハプテンをDCCを用いて対応するNHSエステルに転化した。NHSエステルをエチレンジアミンと反応させた。得られる化合物は、マレイミド−PEG−NHSエステルに連結するための末端求核性アミンを含む。
【0604】
あるいはまた、ニトロフェニルハプテンは、末端カルボン酸もしくはヒドロキシル基のいずれかを有するアミノ−PEG化合物と反応させることができる。カルボン酸誘導体に関して、この化合物をニトロフェニルと反応させた。次に、NHSエステルをジクロロメタン中DCCを用いて形成した。活性化エステルは、例えば例示される保護されたヒドラジン試薬との反応、続いて塩酸における脱保護により、所望に応じて誘導体化するのに適している。あるいはまた、活性化エステルは免疫原を形成するために担体タンパク質に連結するのに適している。
【0605】
さらに別の選択肢として、ニトロフェニルハプテンをアミノ−PEGリンカーと反応させて末端ヒドロキシル基を有する化合物を生成せしめることができる。ヒドロキシル終端化合物を塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物と反応させてヨード置換された誘導体を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0606】
【化191】
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【0607】
3.ベンゾフラザンコンジュゲート
スキーム4は、典型的なベンゾフラザンハプテンをアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な合成方法論を例示する。
【0608】
【化192】
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【0609】
スキーム4に関して、典型的なベンゾフラザンハプテンはカルボン酸官能基を含む。第一段階は、活性化エステルを形成するためにカップリング剤としてDCCを用いるNHSとの反応によるかもしくは酸塩化物の形成によるカルボン酸官能基の活性化である。第一の選択肢として、活性化エステルをジアミンと反応させて末端アミンを生成せしめることができる。ある態様において、ジアミンはスキーム5において以下に例示されるように、BOCで保護されたジアミンのような保護されたジアミンである。カップリング反応後に、BOC保護基はトリフルオロ酢酸のような酸において取り除くことができる。次に、脱保護された化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてリンカーをハプテンに連結する。
【0610】
スキーム4により例示される第二の選択肢として、活性化エステルはここで典型的な二官能性アルキレンオキシドリンカー、すなわちPEGリンカーのような、所望に応じて、リンカーと連結する準備ができている。典型的なPEGリンカーは、アミンおよびカルボン酸基もしくはアミンおよびヒドロキシル基の両方を有することができる。リンカーと活性化エステル化合物との反応は、カルボン酸終端化合物もしくはヒドロキシル基終端化合物のいずれかを生成せしめる。カルボン酸は、カップリング剤としてDCCを用いてNHSとの反応により活性化エステルに転化することができる。この活性化エステルは、例示される保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いて塩酸において脱保護することができる。
【0611】
あるいはまた、ヒドロキシル終端化合物を塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物と反応させてヨード置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0612】
マレイミド−dPEG
8コンジュゲートを製造するために別の代替合成経路をスキーム5において以下に提供する。酸塩化物を次にBOCで保護されたヒドラジドと反応させ、続いてトリフルオロ酢酸を用いて脱保護する。次に、ヒドラジドをマレイミド−dPEG8−NHSと反応させて例示されるコンジュゲートを生成せしめる。
【0613】
【化193】
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【0614】
4.トリテルペン−リンカーコンジュゲートおよびトリテルペン免疫原
スキーム6は、ハプテン−リンカーコンジュゲートを形成するために典型的なトリテルペンハプテンをアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。ハプテン−リンカーコンジュゲートは、所望に応じてさらに誘導体化することができ、もしくはタンパク質担体分子に直接連結することができる。
【0615】
【化194】
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【0616】
スキーム6に関して、二クロム酸ピリジニウム(PDC)を用いて出発化合物40をケトン41に酸化した。次に、NHS活性化エステル42をジクロロメタンにおいてDCCカップリングを用いて形成した。次に、活性化エステル42をアミンおよびカルボン酸官能基の両方を含んでなる二官能性PEG−4リンカー43と反応させてアミド44を形成した。化合物44のカルボン酸官能基を再びNHSおよびDCCを用いて活性化エステル45に転化した。次に、活性化エステル45を免疫原性タンパク質担体に連結して免疫原46を形成した。
【0617】
5.尿素およびチオ尿素に基づくハプテン−リンカーコンジュゲートおよび免疫原
スキーム7は、典型的な尿素およびチオ尿素に基づくハプテンをアルキレンオキシドリンカーに、そして次にタンパク質担体分子に連結するために適当な1つの方法を例示する。
【0618】
【化195】
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【0619】
スキーム7に関して、出発イソチオシアネート化合物51をアミンおよびカルボン酸官能基の両方を含んでなるPEG−4リンカー52と反応させてチオ尿素53を形成した。化合物53のカルボン酸官能基をNHSおよびDCCを用いて活性化エステル54に転化した。次に、活性化エステル54を保護されたヒドラジン試薬55に連結し、続いて3M塩酸において脱保護して、化合物56を形成した。あるいはまた、活性化エステル54を担体に連結して免疫原58を形成することができる。
【0620】
6.ロテノンに基づくハプテン−リンカーコンジュゲートおよび免疫原
スキーム8は、典型的なロテノンに基づくハプテンをアルキレンオキシドリンカーに、そして次にタンパク質担体分子に連結するために適当な1つの方法を例示する。
【0621】
【化196】
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【0622】
出発化合物60をNH
2OH−HClで処理して中間体オキシムを形成し、それを次にアルファブロモ酢酸、化合物61と反応させてオキシム62を形成した。DCCを用いて化合物62のカルボン酸官能基をNHSエステルに転化して化合物63を形成した。次に、化合物63をアミンおよびカルボン酸官能基の両方を有する典型的なPEG−4リンカー64に連結して、化合物65を生成せしめた。化合物65のカルボン酸官能基をカップリング剤としてDCCを用いてNHSとの反応によりNHSエステル66に転化した。次に、化合物66をBOCで保護されたヒドラジン化合物67で処理し、そして次にジオキサン中3Mの塩酸を用いて脱保護して、化合物68を生成せしめた。化合物66はまた、免疫原を形成するために本明細書に開示されるように、タンパク質担体のような担体に連
結することもできることを当業者は認識する。
【0623】
スキーム9は、ロテノンイソオキサゾリンで用いられる合成経路を例示する。
【0624】
【化197】
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【0625】
スキーム9は、出発化合物を水酸化アンモニウム、続いてブロモ酢酸で逐次処理することによりロテノンイソオキサゾリンコンジュゲートを製造することを例示する。これは環転位をもたらして末端カルボン酸官能基を有するロテノンイソオキサゾリンを生成せしめる。N−3−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミド(EDAC)を用いてNHSエステルを製造した。第一の選択肢として、NHSエステルをジアミンと反応させて末端アミンを有するアミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイ
ミド−PEG−NHSエステルと反応させて反応性末端を有するPEGリンカーをハプテンに連結することができる。
【0626】
スキーム9により例示される第二の選択肢として、NHSエステルは典型的な二官能性アルキレンオキシドリンカー、すなわちPEGリンカーのような、所望に応じて、リンカーと連結する準備ができている。これらの典型的なPEGリンカーは、アミンおよびカルボン酸基もしくはアミンおよびヒドロキシル基のような複数の反応性官能基を有する。NHSエステルをリンカーと反応させることによりカルボン酸終端化合物もしくはヒドロキシル基終端化合物のいずれかを生成せしめる。カルボン酸は、カップリング剤としてDCCを用いてNHSエステルに転化することができる。NHSエステルを例示される保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いて塩酸において脱保護して、アミノ終端アミドを生成せしめることができる。
【0627】
あるいはまた、ヒドロキシル終端化合物を塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0628】
7.オキサゾールおよびチアゾールに基づくコンジュゲート
スキーム10は、典型的なオキサゾールおよびチアゾールに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。次に、ハプテン−リンカーコンジュゲートを所望に応じて誘導体化することができ、もしくは免疫原を形成するためにタンパク質担体分子に直接連結することができる。
【0629】
【化198】
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【0630】
スキーム10に関して、反応性スルホニルクロリド官能基を有する典型的なチアゾールハプテンをエチレンジアミンもしくは典型的な二官能性PEG
8リンカーのいずれかと反応させた。第一の選択肢として、チアゾールをBOCで保護されたエチレンジアミンと反応させ、続いてTFAを用いて脱保護して、末端アミンを有するアミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてハプテンにリンカーを連結することができる。あるいはまた、化合物を担体タンパク質に直接連結して免疫原を形成することができる。
【0631】
あるいはまた、チアゾールハプテンを末端ヒドロキシル基もしくは末端カルボン酸基のいずれかを有するアミノ−dPEGリンカーと反応させることができる。カルボン酸終端リンカーは、DCCを用いてNHSエステルに転化し、続いてBOCで保護されたヒドラジドと反応させることができる。BOC基を3M HClのような酸を用いて取り除いて、ヒドラジド終端コンジュゲートを形成することができる。
【0632】
ヒドロキシル終端チアゾールスルホンアミドPEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0633】
8.クマリンに基づくハプテン−リンカーコンジュゲートおよび免疫原
スキーム11は、典型的なクマリンに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。得られるハプテン−リンカーコンジュゲートは、所望に応じてさらに誘導体化することができ、もしくはタンパク質担体のような担体に連結して免疫原を形成することができる。
【0634】
【化199】
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【0635】
スキーム11に関して、出発化合物はカルボン酸官能基を含み、それをカップリング剤としてDCCを用いてNHSに転化した。第一の選択肢として、NHSエステルをエチレンジアミンと反応させて末端アミンを有するアミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させて反応性末端官能基を有するリンカーをハプテンに連結することができる。
【0636】
あるいはまた、NHSエステルを典型的な二官能性PEG
8と連結して末端カルボン酸もしくはヒドロキシル官能基のいずれかを有するアミドを生成せしめることができる。カルボン酸官能基は、カップリング剤としてDCCを用いてNHSエステルに転化すること
ができる。次に、NHSエステルを保護されたヒドラジン化合物と反応させ、続いてジオキサン中3Mの塩酸において脱保護して、ヒドラジドを生成せしめた。あるいはまた、NHSエステルを免疫原性タンパク質に連結して免疫原を生成せしめることができる。
【0637】
ヒドロキシル終端クマリンPEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0638】
9.シクロリグナン−リンカーコンジュゲートおよび免疫原
スキーム12は、典型的なポドフィロトキシンに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。次に、ハプテン−リンカーコンジュゲートを所望に応じてさらに誘導体化することができ、もしくはタンパク質担体分子のような担体分子に直接連結することができる。
【0639】
【化200】
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【0640】
スキーム12に関して、出発アルコールをジクロロエタン中で二酸化マンガン酸化を用いて対応するケトンに酸化した。次に、ケトンを中間体オキシム(示されない)に転化し、続いて5員複素環に環転位し、その結果、ラクトンの開環によりカルボン酸官能基を有する化合物を生成せしめた。この化合物をDCCもしくはEDACのいずれかを用いてNHSエステルに転化した。第一の選択肢として、NHSエステルをエチレンジアミンと反応させて末端アミンを有するアミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてリンカーをハプテンに連結することができる。
【0641】
あるいはまた、NHSエステルをPEG
8リンカーと連結して末端カルボン酸もしくはヒドロキシル官能基のいずれかを有するアミドを生成せしめた。アミドのカルボン酸官能基をNHSエステルに転化した。次に、この化合物をタンパク質担体に連結して免疫原を生成せしめた。あるいはまた、NHSエステルをBOCで保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いてジオキサン中3Mの塩酸において脱保護して、ヒドラジドを生成せしめた。
【0642】
ヒドロキシル終端PEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0643】
10.ヘテロアリールコンジュゲート
スキーム13および14は、典型的なヘテロアリールに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。次に、ハプテン−リンカーコンジュゲートを所望に応じてさらに誘導体化することができ、もしくはタンパク質担体分子のような担体分子に直接連結することができる。
【0644】
【化201】
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【0645】
【化202】
[この文献は図面を表示できません]
【0646】
スキーム13および14に関して、出発化合物は各々カルボン酸官能基を含む。第一の方法において、カルボン酸はHOBT/EDACを用いてBOCで保護されたエチレンジアミンとの反応によりエチレンアミノアミドに転化することができる。BOC保護基は、ジクロロメタン中TFAのような酸を用いて取り除かれる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてリンカーをハプテンに連結することができる。
【0647】
あるいはまた、NHSエステルをPEG
8リンカーに連結して末端カルボン酸もしくはヒドロキシル官能基のいずれかを有するアミドを生成せしめることができる。アミドのカ
ルボン酸官能基は、カップリング剤としてDCCを用いてNHSエステルに転化することができる。次に、NHSエステルをBOCで保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いてジオキサン中3Mの塩酸において脱保護して、ヒドラジドを生成せしめた。あるいはまた、NHSエステルをタンパク質担体に連結して免疫原を生成せしめることができる。
【0648】
ヒドロキシル終端PEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0649】
11.アゾアリールコンジュゲート
スキーム15は、典型的なアゾアリールに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。次に、ハプテン−リンカーコンジュゲートを所望に応じてさらに誘導体化することができ、もしくはタンパク質担体分子のような担体分子に連結することができる。
【0650】
【化203】
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【0651】
スキーム15に関して、反応性スルホニルクロリド官能基を有する典型的なアゾアリールハプテンをエチレンジアミンもしくは典型的な二官能性PEG
8リンカーのいずれかと反応させた。第一の選択肢として、アゾアリール化合物をエチレンジアミンと反応させて末端アミンを有するスルファミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させて反応性末端官能基を有するリンカーをハプテンに連結することができる。
【0652】
あるいはまた、反応性スルホニルクロリドをPEG
8リンカーと反応させて末端カルボン酸もしくはヒドロキシル官能基のいずれかを有するスルファミドを生成せしめることが
できる。アミドのカルボン酸官能基は、カップリング剤としてDCCを用いてNHSエステルに転化することができる。NHSエステルをBOCで保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いてジオキサン中3Mの塩酸において脱保護して、ヒドラジドを生成せしめた。あるいはまた、NHSエステルをタンパク質担体に連結して免疫原を生成せしめることができる。
【0653】
ヒドロキシル終端PEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0654】
12.ベンゾジアゼピンコンジュゲート
スキーム16は、典型的なベンゾジアゼピンに基づくハプテンを典型的なアルキレンオキシドリンカーに連結するために適当な1つの方法を例示する。次に、ハプテン−リンカーコンジュゲートを所望に応じてさらに誘導体化するか、もしくはタンパク質担体分子のような担体分子に直接連結することができる。
【0655】
【化204】
[この文献は図面を表示できません]
【0656】
スキーム16に関して、典型的なベンゾジアゼピンハプテンはヒドロキシル基を含む。この基をヨード酢酸エチルと反応させ、続いて水酸化ナトリウムで処理して末端カルボン酸官能基を有する化合物を生成せしめた。カップリング剤としてEDACを用いてカルボン酸をNHSエステルに転化した。NHSエステルをエチレンジアミンもしくは典型的な二官能性PEG
8リンカーのいずれかと反応させた。第一の選択肢として、アゾアリール化合物をエチレンジアミンと反応させて末端アミンを有するアミドを生成せしめることができる。次に、この化合物をマレイミド−PEG−NHSエステルと反応させてリンカーをハプテンに連結することができる。
【0657】
あるいはまた、反応性NHSエステルをPEG
8リンカーと反応させて末端カルボン酸
もしくはヒドロキシル官能基のいずれかを有するアミドを生成せしめることができる。カップリング剤としてDCCを用いてアミドのカルボン酸官能基をNHSエステルに転化することができる。NHSエステルをBOCで保護されたヒドラジン試薬と反応させ、続いてジオキサン中3Mの塩酸において脱保護して、ヒドラジドを生成せしめた。あるいはまた、NHSエステルをタンパク質担体に連結して免疫原を生成せしめることができる。
【0658】
ヒドロキシル終端PEGコンジュゲートを塩化メシルと反応させ、続いてヨウ化物のようなハロゲン化物と反応させて、ハロゲン化物で置換された化合物を生成せしめることができる。この化合物を例示されるジメチルアミンカルボジイミドと反応させて生体分子の直接標識に有用な化合物を生成せしめることができる。
【0659】
13.マレイミド/ヒドラジドPEG−リンカー合成
スキーム17は、マレイミド/ヒドラジドヘテロ二官能性PEGリンカーを製造するための一般的方法を示す。簡潔に言えば、マレイミド/活性エステルPEGリンカー102(Quanta Biodesignから入手されるような)を保護されたヒドラジン誘導体104と反応させて化合物106を生成せしめる。次に、化合物106を酸で脱保護してマレイミド/ヒドラジドPEGリンカー108を生成せしめた。
【0660】
【化205】
[この文献は図面を表示できません]
【0661】
マレイミド/ヒドラジドPEG
4リンカーの特定の合成を以下にスキーム16において概説する。5mlの乾式ジオキサン中の活性エステル110(116mg、1.0eq)に5mlの乾式ジオキサン中30mg(1.0eq.)のBocで保護されたヒドラジン112を1時間にわたって加えた。次に、反応物を乾燥窒素下で周囲温度で16時間攪拌した。2996光ダイオードアレイ検出器およびPhenomenex luna 10μ、C18(2)、100A、250x30mmカラムを装着したWaters Delta 600 HPLCを利用してHPLCにより反応混合物を分画した。カラムを12mL/分の流速で30分にわたって30〜60%ACN/水で溶出した。所望のBocで保護された−PEG
4−マレイミド114は38分で溶出し、高真空下で乾燥した後に5
0mgの高粘度の黄色の油を生成せしめた。次に、残留物を6mlの無水2N HCl/ジオキサンで乾燥窒素下で45分間攪拌することにより最終的な脱保護されたヒドラジド116が得られた。次に、回転蒸発によって濃縮して55mgのヒドラジド−PEG
4−マレイミドHCL塩を生成せしめた。
【0662】
【化206】
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【0663】
14.リンカー−検出可能な標識コンジュゲート
本発明のある態様は、リンカーを用いてコンジュゲートを形成することに関する。以下の限定されない例は、方法を例示するためにマレイミドPEG活性エステルを用いて検出可能な標識コンジュゲートを形成する態様を参考にして方法の態様を例示するために提供される。例示される態様は、本明細書に開示されるようなコンジュゲートの他のタイプを形成するために使用できることを当業者は認識する。
【0664】
1つの態様において、開示される特異的結合部分ナノ粒子コンジュゲートは、以下のスキーム19〜22に記述される方法に従って製造され、ここで、ヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーは、アミン反応性基(活性エステル)およびチオール反応性基(マレイミド)を有するポリエチレングリコールリンカーである。スキーム19に示されるように、1つもしくはそれ以上の利用可能なアミン基を有するナノ粒子(量子ドットのような)を過剰のリンカーと反応させて活性化ナノ粒子を形成する。
【0665】
【化207】
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【0666】
チオール基は、スキーム20に示されるようにDTTのような還元剤と抗体を反応させることにより抗体に導入することができる。DTEもしくはDTTのような穏やかな還元剤では、抗体を完全に保ちながら(これはサイズ排除クロマトグラフィーにより決定することができる)抗体に限られた数のチオール(約2〜約6の間のような)を導入するために約1mM〜約40mMの間の濃度、例えば、約5mM〜約30mMの間そしてより典型的には約15mM〜約25mMの間の濃度が利用される。特定の濃度の溶液との反応の時間の適当な量は、既定量の時間において生成されるチオールの数を滴定することにより容易に決定することができるが、反応は典型的に10分〜約1日、例えば約15分〜約2時間の間、例えば約20分〜約60分の間進めてもよい。
【0667】
【化208】
[この文献は図面を表示できません]
【0668】
次に、スキーム19および20に従って生成される成分を合わせてスキーム21に示されるようなコンジュゲートを生成せしめる。
【0669】
【化209】
[この文献は図面を表示できません]
【0670】
スキーム19〜21はマレイミドPEG活性エステルの最適な方法を例示し、ここで、ナノ粒子はアミン基(1つもしくは複数)をリンカーの活性エステルと反応させることにより最初に活性化されて活性化ナノ粒子を形成するが、抗体上のアミン(1つもしくは複数)もしくはチオール(1つもしくは複数)のいずれかをリンカーと反応させることにより抗体を最初に活性化し、そして次に活性化抗体をナノ粒子[適切な場合にリンカー上の残りの反応性基と反応するためにチオール(1つもしくは複数)もしくはアミン(1つもしくは複数)のいずれかを有する]と反応させることもまた可能である。
【0671】
従って、代替態様において、以下のスキーム22および23に示されるように抗体をコンジュゲーション用に活性化しそして次にナノ粒子にコンジュゲーションする。スキーム23において、抗体はスキーム19に示されたようにナノ粒子の代わりに活性化される。スキーム22の特定の態様において、糖部分(抗体のFc部分のグリコシル化領域に位置するような)を最初に酸化してアルデヒド基を生成せしめ、それを次にリンカーのアルデヒド反応性基(例示されるマレイミド/ヒドラジドPEGリンカーのヒドラジド基のような)と反応させる。
【0672】
【化210】
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【0673】
次に、スキーム23に示されるように、活性化抗体のリンカー部分のチオール反応性基(例示されるようなマレイミド基のような)を次にナノ粒子上のチオール基と反応させる。この場合もやはり、方法を逆にすることができ、ここで、リンカーを最初にナノ粒子上のアルデヒド基(例えば、糖部分の酸化により形成される)と反応させて活性化ナノ粒子を形成し、そして次に活性化ナノ粒子を抗体上のチオール基と反応させることができる。
【0674】
【化211】
[この文献は図面を表示できません]
【0675】
上記のスキーム17−2およびその後の22は例示目的のためにコンジュゲートの特定の例を示すが、開示されるコンジュゲートにおける特異的結合部分(この場合、抗体):ナノ粒子の比率はナノ粒子当たり多数(5、10、20もしくはそれ以上のような)の特異的結合部分から特異的結合部分当たり多数のナノ粒子(5、10、20もしくはそれ以上のような)まで異なることができる。
【0676】
15.抗体へのチオールの導入
コンジュゲーション用に抗体を活性化するために、例えば、抗マウスIgGもしくは抗ウサギIgG抗体、抗体を周囲温度(23〜25℃)で約25分間25mmolのDTTとインキュベーションすることができる。PD−10 SEカラムを通した精製後に、典型的には2〜6個の遊離チオールを有する、DTTを含まない抗体が得られる(スキーム2)。ヤギ抗マウスIgGチオールを製造するために概説される典型的な方法は、一般に他の抗体に適用可能である。抗体当たりのチオールの数は滴定により、例えば2005年4月28日に出願された米国仮特許出願第60/675759号(この出願は本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述されるチオールアッセイを用いることにより決定することができる。
【0677】
16.組織サンプルにおける超高感度(および多重化)免疫組織化学およびインサイチューハイブリダイゼーション検出のためのCdSe/ZnS量子ドットと免疫グロブリンおよびステレプトアビジンのコンジュゲート
量子ドットシェルに免疫グロブリンを導入する方法の1つの態様は、本実施例において記述される。この態様は:1)適当なヘテロ二官能性NHSエステル−(PEG)x−マレイミド(x=4、8、12)でのアミン終端量子ドットキャッピング基の機能化;2)ジチオスレイトール(DTT)での処理による天然ジスルフィドの還元;3)これらのチオール化免疫グロブリンでマレイミド終端量子ドットを誘導体化すること;および4)サ
イズ排除クロマトグラフィーのような適当な技術を用いてコンジュゲートを精製することを含む。方法をスキーム24に示す。
【0678】
【化212】
[この文献は図面を表示できません]
【0679】
ストレプトアビジンコンジュゲートは、該方法においてチオール化免疫グロブリンの代わりにチオール化ストレプトアビジンを使用することにより製造することができる。例えば、2−イミノチオランで処理したストレプトアビジン分子。
【0680】
本実施例において使用する量子ドットは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)の静電的に結合したシェルおよび水溶性をもたらすために挿入両親媒性ポリマー(intercalating amphiphilic polymer)により保護された。このポリマーは、さらなる機能化のために約30の末端アミン基を有する。E.W.Williams,et.al.“Surface−Modified Semiconductive and Metallic Nanoparticles Having
Enhanced Dispersibility in Aqueous Media”,米国特許第6,649,138号(本明細書に引用することにより組み込まれる)を参照。高感度量子ドットコンジュゲートを形成するために、抗体を様々な比率で量子ドットに結合させた。化学は、本明細書に引用することにより組み込まれる、2005年4月28日に出願された米国仮特許出願第60/675759号に記述されるものと同様である。
【0681】
この方法論は、天然ジスルフィドを使用するのでわずかな試薬の必要性のために好都合である。さらに、抗体は分離したままであり、そしてフラグメントを形成しない。これは各々の繋留抗体から2つの結合部位を可能にする。さらに、非常に安定なそして明るいコンジュゲートが生成される。明るさは、同じ組織上で市販されているストレプトアビジン−QDコンジュゲート(Invitrogen Corporation,Eugene,OR)を上回る。異なる発光波長の量子ドットにコンジュゲーションしたヤギ抗ビオチンおよびウサギ抗DNP抗体を製造し、それにより多重化アッセイを可能にした。FIS
HによるHPV検出が、開示される量子ドッコンジュゲートで示された。
【0682】
VIII.開示されるハプテン、ハプテンコンジュゲートおよびその組成物を使用する方法の態様
【0683】
A.インサイチューハイブリダイゼーション
本発明のある典型的な態様は、添付の図面に関連して本明細書に開示される。
図1は、開示されるハプテンの様々な態様で実施することができるインサイチューハイブリダイゼーションスキーム10の1つの態様を例示する。タンパク質のような標的12を有するサンプルが選択される。抗体のような標的12を検出するために有用なプローブ14もまた選択される。本明細書に開示されるハプテンのクラスの少なくとも1つのハプテン16をプローブ14にコンジュゲーションする。任意の適当な手段を用いて視覚化することができる複合体を形成するのに有効な方法でハプテン16にコンジュゲーションしたプローブ14で標的12を処理する。
図1は、プローブ−ハプテンコンジュゲートと複合体を形成した標的12を検出可能な標識20を有する抗ハプテン抗体18で処理することを示す。検出可能な標識20は、酵素、有機発色団、例えばフルオロフォア、発色性ナノ粒子、例えば蛍光量子ドットなどのような、本明細書に開示される様々なシグナル生成部分のいずれかもしくは当業者に既知であるもの、またはその組み合わせであることができることを当業者は認識する。検出可能な標識20は、複合体を視覚化するために用いられる。例えば、検出可能な標識20が酵素である場合、酵素の基質が与えられ、それにより着色沈殿物のような特異的に同定可能な沈殿物を生成せしめる。
【0684】
図1はまた、少なくとも1つのそして典型的には複数のプローブを使用することも例示し、ここで、プローブもしくは複数のプローブは、サンプルにおける多数の標的を同時に視覚化するために、少なくとも1つのハプテン、そして潜在的に複数の異なるハプテンにコンジュゲーションされる。
図1は、プローブ24により認識される特定の標的22を有するサンプルを例示する。ハプテン26はプローブ24にコンジュゲーションされる。ハプテン26は、ハプテン16と同じかもしくは異なることができる。次に、サンプルを検出可能な標識30にコンジュゲーションした抗ハプテン抗体28で処理する。この方法は、標的32および42について例示されるように、継続することができる。
【0685】
図1に例示されるようなシグナル生成部分20、30、40および50は、酵素のような同じ標識であることができる。この状況において、該方法は抗ハプテン抗体18、28、38および48を逐次加えることを含んでなることができる。各適用後に異なる基質を加えることにより異なる沈殿物が形成される。前の視覚化反応に使用した基質は、第二のおよびその後の基質を加える前にサンプルから洗い流される。
【0686】
図2は、酵素62のような検出可能な標識に連結された抗体60を例示する。酵素基質64を加えて検出可能な酵素生成物66を生成せしめる。この方法の1つの特定の態様は、銀インサイチューハイブリダイゼーション(SISH)である。SISH用の1つの適当な酵素62は、基質として銀イオンおよび過酸化水素を用いる、西洋ワサビペルオキシダーゼである。検出可能な生成物66は、元素銀粒子である。
【0687】
別の例として、酵素62はアルカリホスファターゼであってもよい。基質64は、銀イオン源およびリン酸塩で保護された還元剤である。この場合にもやはり、視覚的に検出可能な生成物66は元素の銀である。銀は、明視野顕微鏡検査を包含する任意の適当な手段により検出することができる。
【0688】
図2に例示される態様はまた、発色性インサイチューハイブリダイゼーションを行うために用いることもできる。この方法において、酵素62が再び選択され、適当な例には本
明細書に開示されるかもしくはそうでなければ当業者に既知であるものが包含され、特定の態様を例示するために西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが用いられる。次に、明視野顕微鏡検査を包含する当該技術分野において既知である技術を用いて検出することができる着色沈殿物生成物66を生成せしめるために適当な基質が選択される。発色性化合物は、蛍光性であることができる。適当な蛍光性化合物は、様々な供給業者から市販されている。例えば、ベータ−ラクタマーゼおよび蛍光性ベータ−ラクタマーゼ基質は、Invitrogen Detectionから入手可能である。基質は酵素作用により蛍光性にすることができ、もしくは蛍光性基質を非蛍光性にすることができる。免疫組織化学相互作用も視覚化するために量子ドットを使用することもできる。蛍光プローブおよび量子ドットは、典型的に、蛍光顕微鏡を用いてモニターされる。
【0689】
図3は、直接検出方法の1つの態様を例示する。この方法のために、一次抗体70が特定の標的に選択される。例えば、一次抗体70はマウスモノクローナルIgG抗体のようなモノクローナル抗体であってもよい。一次抗体70はまた典型的に、上記に説明したように、検出可能な標識72も含む。
【0690】
あるいはまた、
図4に図式的に例示されるように、増幅方法を用いることができる。この態様はまた、診断試験に用いることもできる。標的が選択される。標的と一次抗体の複合体形成を可能にする方法で一次抗体80がサンプルに加えられる。一次抗体80に対する二次抗体82がサンプルに加えられる。抗体82は、本明細書に説明されるように、基質を用いて複合体形成した標的を特に視覚的にもしくは視覚的手段、例えば顕微鏡検査により同定するために用いることができる検出可能な標識を含む。抗体82は、例としてそして限定せずに標識ウサギ抗マウスIgG抗体を包含する任意の適当な抗体であることができる。さらに、一次抗体80に対する二次抗体86もまたサンプルに加えることができる。抗体86は、異なる種からの抗体のような、一次抗体に対する任意の適当な抗体であることができる。例えば、抗体86は、例としてそして限定せずに、マウスIgG抗体のような一次抗体に対して産生されるヤギ抗体であってもよい。
図4は、検出される標的により生成されるシグナルを増幅するためにサンプルに検出可能な標識90を有する少なくとも1つのさらなる抗抗体88を加えることを例示する。この典型的な方法において、抗体88は標識ウサギ抗ヤギIgG抗体であってもよい。抗体88は、標識抗体84と同様に、同時にもしくは後に加えることができる。
【0691】
本発明のある態様は、抗ハプテンモノクローナル抗体を用ることにより促進される。
図5は、ハイブリドーマスクリーニングに有用な本発明の1つの態様を図式的に表す。前の実施例のように、特定の標的が選択される。例えば、例示されるラムダエピトープ102のような、組織100に位置している標的が同定される。標的102に対する一次抗体104は、抗体が標的を認識するのに有効な方法で投与される。例示される系の適当な一次抗体104の一例は、抗ラムダウサギ抗体である。
図5に示されるように、抗体104は、例示される態様のように、それにコンジュゲーションした少なくとも1つのそして潜在的に複数のハプテン106を有する。抗体にコンジュゲーションするハプテンの数は異なることができるが、この数は典型的には1〜約5個のハプテンであるが、より典型的には2〜3であることを当業者は第一に認識する。さらに、一次抗体にコンジュゲーションするハプテンは同じかもしくは異なり得ることを当業者は認識する。
【0692】
組織サンプル100を抗ハプテン抗体108で処理する。例えば、
図5に例示される態様において、一次抗体104に連結された、ハプテン106は、次に、ハイブリドーママウスモノクローナル抗体から提供され得るような、抗ハプテン抗体108に効果的に連結されるようになる。従って、一次抗体104に連結された各ハプテン106について、二次抗体108が存在する。マウスモノクローナル抗体のような抗ハプテン抗体108により形成される複合体は、次に同定されなければならない。1つの方法は、ここで、ヤギ抗
体のようなマウス抗体を認識する抗体で組成物を処理することである。
図5の例示される態様において、ヤギ抗体110は、例示される西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素112を包含する酵素のような、検出可能な標識にコンジュゲーションされる。次に、検出可能な、例えば着色した沈殿物を形成するために、当業者に既知であるように、この複合体をHRP基質とインキュベーションする。この方法は、ハイブリドーマスクリーニングのようなスクリーニングに用いることができる。
【0693】
抗ハプテンモノクローナル抗体についてスクリーニングするために、正常ヒト扁桃腺組織のような組織サンプルが得られる。サンプルをパラフィンに包埋することができ、そしてその場合、組織サンプルは、例えばVMSI EZPrep溶液を用いることにより、脱パラフィン処理される。次に、VMSI CC1を用いて細胞コンディショニングおよび抗原回復を行う。ヒト抗ラムダ(Dakoから入手可能)のような一次ポリクローナル抗体を本願に開示されるハプテンの態様にコンジュゲーションした。コンジュゲーションは、典型的に、抗体のFc領域で起こった。Fc領域にコンジュゲーションすることは、結合が抗体特異性に影響を及ぼす可能性を減らす。有効量の一次抗体を含んでなる溶液を有効な期間にわたって組織に適用する。実用的態様のために有効濃度は約10μg/mlの一次抗体であり、そして有効な期間は約60分であった。次に、組織サンプルを洗浄する。その後で、潜在的抗ハプテン抗体(例えば、KLH−CGT1−1.1+5−27F09−02E01)を組織サンプルに約60分のような有効な期間にわたって適用する。次に、VMSI Omni Map DAB染色のような任意の適当な手段を用いて抗体を検出する。
【0694】
潜在的抗ハプテン抗体の自動免疫組織化学(IHC)スクリーニングをVMSI Discovery XTおよびガラススライド上のホルマリン固定パラフィン包埋ヒト扁桃腺組織を用いて行った。組織サンプルは最初に脱パラフィン処理、抗原回復を受け、続いて興味のあるハプテンに連結された一次抗体、潜在的抗ハプテン抗体および検出抗体を加える。検出抗体は、VMSIからの色素原検出試薬を用いて視覚化される。染色されたスライドを顕微鏡下で手動でスクリーニングした。正しい一次抗体染色パターンを有するサンプルを潜在的抗ハプテン候補として選択した。選択性および特異性を試験するために、候補抗ハプテン細胞融合産物を上記に詳述した同じ染色方法下で異なる化学クラスのハプテンにコンジュゲーションした一次抗体を用いてさらにスクリーニングする。
【0695】
図6は、本発明のニトロピラゾールハプテンの開示される態様にコンジュゲーションした一次抗体を用いる抗ハプテン抗体検出のIHC陽性染色を示す顕微鏡写真である。
図6は、検出可能な標識に連結された本発明のハプテンを用いたサンプルにおける標的の視覚化を明白に示す。
【0696】
図7は、抗ニトロピラゾール抗体のような抗ハプテン抗体およびフェニルチオ尿素のような本発明のハプテンのクラスの開示される態様にコンジュゲーションした一次抗体を用いるIHC陰性染色を示す顕微鏡写真である。
図7は、検出可能な標識に連結された本発明のハプテンを用いたサンプルにおける標的の視覚化を明白に示す。
【0697】
本発明の態様は多重化、すなわち、サンプルにおける多数の標的の同時検出に有用である。この方法の1つの態様を
図8に図式的に例示する。
図8は、組織サンプル120のようなサンプルは:Ki−67(122)[G1期から有糸分裂まで蓄積するタンパク質抗原、そこでそれはその最高含有量で見出される。中間期の間、Ki−67タンパク質は主に核小体と会合している。有糸分裂中に、それは染色体との密接な会合を示す。Ki−67は増殖する(G1、S、G2期および有糸分裂)細胞の核に存在するが、静止もしくは休止細胞(G0期)の核には存在しない。最近、Ki−67タンパク質はMPM−2抗原のファミリーに属することおよび有糸分裂中のKi−67タンパク質のリン酸化は染色体
の凝縮および姉妹染色分体の分離と関連していることが示された。Ki−67タンパク質のC末端ドメインはインビトロおよびインビボで哺乳類ヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)ファミリーの全ての3つのメンバーに結合することができ、高次クロマチン構造の制御におけるKi−67タンパク質の役割を示唆する];CD3抗原(124)[CD3は、Tリンパ球における活性化シグナルを生成するためにT細胞受容体(TCR)と会合する、哺乳類における3つの別個の鎖(CD3γ、CD3δおよびCD3ε)からなるタンパク質複合体である。TCR、ζ鎖およびCD3分子は一緒になってTCR複合体を含んでなる。CD3γ、CD3δおよびCD3ε鎖は、非常に近縁の細胞表面タンパク質である];カッパタンパク質(126);CD20(128)[B細胞活性化中に受容体として機能すると考えられる正常および悪性ヒトB細胞上に発現される抗原];CD−68抗原(130)[主にリソソームに位置する110kDaの高度にグリコシル化された膜貫通タンパク質];およびラムダタンパク質(132)を包含する多数の標的を有し得ることを例示する。次に、標的122、124、126、128、130および132の各々の抗体が選択され、そして標的の抗体認識を可能にするのに有効な方法で組織サンプル120に加えられる。例えば、Ki−67(122)は、BFハプテン136にコンジュゲーションした一次抗体134により認識されることができる。次に、抗BF抗体138によるBFハプテンの認識を可能にするのに有効な方法で抗BFモノクローナル抗体138がサンプルに加えられる。抗BFモノクローナル抗体138は、Qdot585のような検出可能な標識140を含む。様々なQdotの発光スペクトルは、
www.niaid.nih.gov/vrc/pdf/fig3_qdot_spectra.pdfで提供される。Qdot585は、黄色−橙色の光を生成する。この方法は、記述されるものから変更できることを当業者は認識する。例えば、ハプテン136はBRである必要はなく、また検出可能な標識140はQdot585、さらにはQdotである必要はない。むしろ、本明細書に記述されるようなそして当業者に既知であるようなハプテンおよびシグナル生成部分の全ての様々な組み合わせを本発明を実施するために用いることができる。
【0698】
引き続き
図7に関して、CD3(124)は、ビオチン144にコンジュゲーションした一次抗体142により認識されることができる。この特徴は、ビオチンのような既知の薬剤をハプテン、ハプテンコンジュゲートおよびその組成物の開示される態様と組み合わせて使用することができる本発明の別の態様を例示する。次に、抗ビオチン抗体146によるビオチンの認識を可能にするのに有効な方法で抗ビオチンモノクローナル抗体146がサンプルに加えられる。抗ビオチンモノクローナル抗体146は、青みがかった緑色を生成するQdot525のような検出可能な標識148を含む。
【0699】
カッパ(126)は、ジニトロフェニルハプテン152にコンジュゲーションした一次抗体150により認識されることができる。次に、抗DNP抗体154によるDNPハプテンの認識を可能するのに有効な方法で抗DNPモノクローナル抗体154がサンプルに加えられる。抗ビオチンモノクローナル抗体154は、橙色を生成するQdot605のような検出可能な標識156を含む。
【0700】
CD20(128)は、ニトロフェニルハプテン160にコンジュゲーションした一次抗体158により認識されることができる。次に、抗NP抗体162によるNP160の認識を可能するのに有効な方法で抗NPモノクローナル二次抗体162がサンプルに加えられる。抗NPモノクローナル抗体162は、薄赤色を生成するQdot655のような検出可能な標識164を含む。
【0701】
CD−68(130)は、TSハプテン168にコンジュゲーションした一次抗体166により認識されることができる。次に、抗TS抗体170によるTS168の認識を可能するのに有効な方法で抗TSモノクローナル二次抗体170がサンプルに加えられる。
抗TSモノクローナル抗体170は、薄緑色を生成するQdot565のような検出可能な標識172を含む。
【0702】
ラムダ(132)は、ロテノンハプテン176にコンジュゲーションした一次抗体174により認識されることができる。次に、抗Rot抗体178によるRot176の認識を可能するのに有効な方法で抗Rotモノクローナル二次抗体178がサンプルに加えられる。抗Rotモノクローナル抗体178は、暗赤色を生成するQdot705のような検出可能な標識180を含む。従って、異なるシグナル生成部分を使用することにより、所望され得るように、いくつかの異なるサンプル標的を実質的に同時にもしくは逐次視覚化することができる。
【0703】
実用的態様は、検出可能な標的を視覚化するために、多数の異なるハプテンおよびそれに対する抗体を使用している。
図9は、そのような方法の結果を例示する。
図9は、多数のハプテンおよびそれに対する抗体を用いて生成される染色画像である。
図9は、タンパク質の視覚化を明白に示す。
【0704】
本発明の態様はまた、異なるタイプの多重化、すなわち、サンプルにおけるタンパク質および核酸標的のような標的の多数の異なるタイプの同時検出を実施するためにも有用である。これは、Her2(ヒト上皮増殖因子受容体2)に関して
図10に図式的に例示される。Her2は、細胞が増殖し、分裂しそしてそれら自身を修復する方法を制御するのに役立つ遺伝子である。Her2癌原遺伝子は、固有のチロシンキナーゼ活性を有する185kDaの膜貫通糖タンパク質をコードする。Her2遺伝子の増幅およびその産物の過剰発現は、細胞トランスフォーメーションを引き起こす。ヒト乳房腫瘍の10%〜40%において過剰発現される、p185(Her2)の予後関連性が多数の研究により示されている。
【0705】
図10は、蛍光イメージングを例示する。
図10に例示されるように、プローブがHer2遺伝子と複合体形成することを可能にするのに有効な方法でハプテン標識Her2プローブ200がサンプルに加えられる。プローブ200は、本明細書に開示されるハプテンの態様を包含する任意の既知のハプテンであることができるハプテン202を含む。
図10は、ジニトロフェニルハプテン202を用いることを例示する。次に、複合体形成した遺伝子を抗ハプテン抗体204で処理する。抗ハプテン抗体204は、Qdot565のような検出可能な標識206を含む。
【0706】
Her2タンパク質の認識を可能にするのに有効な方法で抗her2 4B5ウサギ抗体のような抗Her2タンパク質抗体208がサンプルに加えられる。抗Her2抗体208は、少なくとも1つのハプテン210および潜在的に複数のハプテン210を含み、それらは同じかもしくは異なることができる。
図10に例示される態様は、ビオチンを用いる方法を例示する。次に、二次抗体212とハプテン(1つもしくは複数)210の複合体形成を可能にするのに有効な方法で抗ハプテン二次抗体212がサンプルに加えられる。抗ハプテン二次抗体212は、Qdot655のような検出可能な標識214を含む。従って、
図10に例示される態様は、遺伝子および遺伝子産物の多重化検出を可能にする。
【0707】
図11は、そのような多重化発色検出の結果を例示する。
図11は、抗ビオチンおよび抗ジニトロフェニル抗体を用いることによるような、タンパク質および2つの遺伝子の検出を示す染色画像である。
【0708】
IX.試験キット
本発明の開示される態様は、1つには、本発明の方法の様々な態様を実施するためのキ
ットを提供する。そのようなキットの例には、コレステロール分析に有用なもの、妊娠キット、癌診断キットなどが包含される。本発明の試験キットは、典型的に、ハプテン−抗体コンジュゲートおよび/もしくはハプテン−核酸プローブコンジュゲートを包含する少なくとも1つのハプテン−特異的結合分子コンジュゲートのような本発明のハプテンコンジュゲート、ならびに抗ハプテン抗体、特に検出可能な標識にコンジュゲーションした抗ハプテン抗体を有する。
【0709】
具体例として、キットは阻害剤のような薬物治療に対する哺乳類腫瘍の反応性を特性化するために提供される。特定の例には、mTOR経路の阻害剤またはEGF経路、mTOR経路もしくは両方におけるポリペプチドの発現、リン酸化もしくは両方を検出することができる少なくとも2つの試薬、好ましくは抗体を含んでなる二重mTOR経路阻害剤およびEGR経路阻害剤が包含されるがこれらに限定されるものではない。例えば、キットは、ERKのリン酸化形態に結合するか、MEKのリン酸化形態に結合するか、HIF−1αに結合するか、もしくはmTORに結合する少なくとも2、3、もしくは4つの試薬を含有することができる。さらに、キットは、さらなる抗体が包含されるがこれらに限定されるものではない、上記に同定される試薬以外のさらなる成分を含むことができる。そのようなキットは、例えば、特定の患者に適切な治療を選択することに補助として臨床医もしくは医師により使用されることができる。
【0710】
X.自動化態様
ハプテンコンジュゲートを使用するための本明細書に開示される方法の態様は自動化できることを当業者は認識する。Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号および第6,943,029号、ならびに米国公開出願第20030211630号および第20040052685号を包含する、自動分析を行うための系および方法を開示する多数の米国特許の譲受人であり、これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0711】
ハプテン染色方法の特定の態様は、様々な自動化方法を用いて行われた。典型的な実用的態様に関するさらなる詳細は、実用的実施例に提供される。
【0712】
XI.実用的実施例
以下の実施例は、実用的態様のある特定の特徴を例示するために提供される。本発明の範囲は、以下の実施例により例示される特徴に限定されない。
【0713】
材料
DTTはAldrichから購入し、そして量子ドットはQuantum Dot,Co.から購入し、そして受け取ったままで使用した。NH
2−dPEG
8−CO
2H、NH
2−dPEG
8−OH、NHS−dPEG
12−MALおよびNHS−dPEG
4−MALは、Quanta BioDesignから購入した。ヤギ抗ビオチンは、Sigmaから凍結乾燥して受け取った。抗体濃度は、ε
280=1.4mlmg
-1cm
-1を用いて計算した。量子ドット濃度は、605nm発光量子ドット(QD
605)にはε
601(±
3)=650000M
-1cm
-1そしてQD655にはε
645(±
3)=700000M
-1cm
-1を用いて決定した。18.2MΩの抵抗に達するために脱イオン水をMilli−Q Biocelシステムに通した。バッファー交換は、PD−10カラム(GE Biosciences)上で行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、既知の分子量のタンパク質基準で標準化したAkta purifiers(GE Biosciences)上で行った。流速は、PBS、pH7.5を流すSuperdex 200 GL 10/300(GE Biosciences)上で0.9ml/分であった。
【実施例34】
【0800】
本実施例は、一次抗体−ハプテンコンジュゲートを多重化しそして多重蛍光(量子ドッ
ト)免疫組織化学(IHC)により検出する能力を示す。この方法は
図8に図式的に例示される。扁桃腺組織切片を一次抗体−ハプテンコンジュゲートの混合物:抗CD20Ab−ビオチン、抗CD34Ab−ニトロピラゾール、抗CD45Ab−チアゾールスルホンアミド、抗カッパAb−ジニトロフェニル、抗ラムダAb−ロテノンおよび抗Ki67Ab−ベンゾフラザンで処理した。抗CD20−ビオチンコンジュゲートは、20倍過剰で使用するマレイミド−dPEG11−ビオチンに抗体チオール官能基を連結することにより製造した(実施例24に記述される)。抗CD34−ニトロピラゾールコンジュゲートは、ポリアクリルアミドヒドラジドおよび20倍過剰のNHS−dPEG8−NPを用いて抗体のFc部分に連結することにより形成された(実施例22に記述される)。これは、抗体当たり12個のニトロピラゾールハプテンをもたらした。抗CD45−チアゾールスルホンアミドコンジュゲートは、抗体リシンを20倍過剰のNHS−dPEG8−TSと反応させることにより製造した(実施例21に記述される)。これは、抗体当たり10個のチアゾールスルホンアミドハプテンをもたらした。カッパ−ジニトロフェニルコンジュゲートは、ポリアクリルアミドヒドラジドおよび100倍過剰のNHS−dPEG8−DNPを用いて抗体のFc部分に連結することにより形成された(実施例22に記述される)。これは、抗体当たり62個のジニトロフェニルハプテンをもたらした。ラムダロテノンコンジュゲートおよびKi67ベンゾフラザンコンジュゲートは両方とも、それぞれNHS−dPEG8−ROTおよびNHS−dPEG8−BFに抗体リシンを反応させることにより製造した(実施例21に記述される)。これは、抗体当たり0.3個のロテノンハプテンおよび抗体当たり2個のベンゾフラザンハプテンをもたらした。次に、扁桃腺切片を実施例29における方法を用いて合成された二次抗体のカクテルで処理した:Gtα−ビオチンポリAb:QD525(300nM);Ms α-NPmAb:QD655(50nM);Ms α-TSmAb:QD565(300nM);Rb α−DNPポリAB:QD605(100nM);Ms α−ROTmAb:QD705(200nM);およびMs αBFmAb:QD585(300nM)。
【0801】
蛍光顕微鏡検査
イメージングは、Nikon蛍光顕微鏡上で行われた。蛍光スペクトルの分離は、CRiカメラを利用して成し遂げられた。DAPIは、多重化扁桃腺切片の対比染色に使用した。
【0802】
図37は、一次抗体−ハプテンコンジュゲートの混合物を用いて生成されそして
図31〜36にそして本実施例34に記載されるような抗ハプテン抗体QDotコンジュゲートの混合物で逐次視覚化された多重染色複合物(composite)である。
【0803】
図38〜43は、
図37の多重染色から抽出された画像である。
図44は、
図37の多重染色合成物から個々のQDotシグナルを抽出するために使用される波長を表す波長対相対蛍光のグラフである。
図44はまた、蛍光シグナルが扁桃腺組織の公称自己蛍光を上回ることも立証する。
【0804】
VIII.1つもしくはそれ以上の
ハプテンおよび/もしくはハプテンコンジュゲートを含んでなる組成物
本明細書に開示されるコンジュゲートは、典型的には1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる賦形剤および場合により他の治療成分(例えば、抗生物質もしくは抗炎症薬)と一緒に組み合わせて、診断および/もしくは製薬学的組成物(治療および予防製剤を包含する)に含まれることができる。
【0805】
そのような製薬学的組成物は、経口、直腸、鼻腔内、肺内もしくは経皮送達によるか、または他の表面への局所送達によってを包含する、粘膜投与形態のような様々な方法により患者に投与することができる。場合により、コンジュゲートは筋肉内、皮下、静脈内、
心房内、関節内、腹腔内もしくは非経口経路によってを包含する非粘膜経路により投与してもよい。他の代替態様において、コンジュゲートは患者由来の細胞、組織もしくは器官への直接暴露によりエクスビボで投与することができる。
【0806】
製薬学的組成物を調合するために、コンジュゲートを様々な製薬学的に許容しうる添加剤ならびにコンジュゲートの分散用のベースもしくは賦形剤と組み合わせることができる。所望の添加剤には、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸などのようなpH制御剤が包含されるがこれらに限定されるものではない。さらに、局所麻酔薬(例えば、ベンジルアルコール)、等張剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、Tween 80)、溶解促進剤(例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体)、安定剤(例えば、血清アルブミン)および還元剤(例えば、グルタチオン)を含むことができる。当該技術分野において周知である多数の他の適当な添加剤の中で、水酸化アルミニウム(例えば、Amphogel、Wyeth Laboratories、Madison、NJ)、フロイントアジュバント、MPL
TM(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A;Corixa、Hamilton IN)およびIL−12(Genetics Institute、Cambridge MA)のような添加剤を組成物に含むことができる。
【0807】
コンジュゲートは、コンジュゲートを分散させる能力を有する親水性化合物および任意の所望の添加剤を含むことができる、ベースもしくは賦形剤に分散させることができる。ベースは、他のモノマー(例えば、(メト)アクリル酸メチル、アクリル酸など)とポリカルボン酸もしくはその塩、無水カルボン酸(例えば無水マレイン酸)とのコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのような親水性ビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのようなセルロース誘導体、ならびにキトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸、およびその無毒の金属塩のような天然ポリマーが包含されるがこれらに限定されるものではない広範囲の適当な化合物から選択することができる。生物分解性ポリマーはベースもしくは賦形剤として選択されることが多く、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール酸)コポリマーおよびその混合物。あるいはまたもしくはさらに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのような合成脂肪酸エステルを賦形剤として用いることができる。親水性ポリマーおよび他の賦形剤は単独でもしくは組み合わせて用いることができ、そして増強された構造的完全性は部分結晶化、イオン結合、架橋などにより賦形剤に与えることができる。賦形剤は、粘膜表面への直接適用のための流動性もしくは粘性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフェアおよびフィルムを包含する様々な形態で提供することができる。
【0808】
コンジュゲートは、様々な方法に従ってベースもしくは賦形剤と組み合わせることができ、そしてコンジュゲートの放出は、拡散、賦形剤の崩壊もしくは水路の付随形成(associated formation of water channels)によってであることができる。ある状況において、コンジュゲートは適当なポリマー、例えば、2−シアノアクリル酸イソブチル(例えば、Michael et al.,J.Pharmacy Pharmacol.43:1−5,1991を参照)から製造されるマイクロカプセル(ミクロスフェア)もしくはナノカプセル(ナノスフェア)に分散され、そして生体適合性分散媒質に分散され、それは長期間にわたって徐放および生物学的活性をもたらす。
【0809】
あるいはまた、本開示の組成物は、pH調整および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤などのような、生理的条件に近づけるために必要とされるような製薬学的に許容しうる賦形剤物質として、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートおよびオレイン酸トリエタノールアミンを含有することができる。固形組成物では、例えば、製薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどを含む通常の無毒の製薬学的に許容しうる賦形剤を用いることができる。
【0810】
コンジュゲートを投与するための製薬学的組成物はまた、溶液、マイクロエマルジョンもしくは高濃度の有効成分に適当な他の規則構造として調合することもできる。賦形剤は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物を含有する溶媒もしくは分散媒質であることができる。溶液の適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散可能な製剤の場合には所望の粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により保つことができる。多くの場合において、組成物に等張剤、例えば、糖、マンニトールおよびソルビトールのようなポリアルコールもしくは塩化ナトリウムを含むことが望ましい。コンジュゲートの持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含むことによりもたらすことができる。
【0811】
ある態様において、コンジュゲートは持続放出製剤において、例えば持続放出ポリマーを含む組成物において投与することができる。これらの組成物は、迅速な放出から守る賦形剤、例えば制御放出賦形剤、例えばポリマー、マイクロカプセル封入送達系もしくは生体接着性ゲルで製造することができる。本開示の様々な組成物における持続送達は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチンを組成物に含むことによりもたらすことができる。制御放出製剤が所望される場合、本開示の使用に適当な制御放出結合剤には、有効成分に対して不活性でありそしてコンジュゲートおよび/もしくは他の生物活性薬剤を導入することができる任意の生体適合性制御放出物質が包含される。多数のそのような物質は、当該技術分野において既知である。有用な制御放出結合剤は、それらの送達後に生理的条件下で(例えば、粘膜表面でもしくは体液の存在下で)ゆっくりと代謝される物質である。適切な結合剤には、持続放出製剤における使用について当該技術分野において周知である生体適合性ポリマーおよびコポリマーが包含されるがこれらに限定されるものではない。そのような生体適合性化合物は周囲組織に対して無毒でそして不活性であり、そして鼻の炎症、免疫反応、炎症などのような重篤な有害副作用を引き起こさない。それらは、同様に生体適合性でありそして体から容易に排出される代謝産物に代謝される。
【0812】
本開示における使用のための典型的なポリマー材料には、加水分解可能なエステル結合を有するコポリマーおよびホモポリマーポリエステル由来のポリマーマトリックスが包含されるがこれらに限定されるものではない。これらの多数は、生物分解性であることそして毒性がないかもしくは低い毒性を有する分解産物をもたらすことが当該技術分野において既知である。典型的なポリマーには、ポリグリコール酸およびポリ乳酸、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(D−乳酸−コ−グリコール酸)およびポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)が包含される。他の有用な生物分解性もしくは生体浸食性(bioerodable)ポリマーには、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ(イプシロン−アプロラクトン−CO−乳酸)、ポリ(イプシロン−アプロラクトン−CO−グリコール酸)、ポリ(ベータ−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル−2−シアノアクリレート)、ヒドロゲル、例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)(例えば、L−ロイシン、グルタミン酸、L−アスパラギン酸など)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(2−ヒドロキシエチルDL−アスパルトアミド)、ポリアセタールポリマー、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリマレアミド、多糖、およびそのコポリマーのようなポリマーが包含されるがこれらに限定されるものではない。そのような製剤を製造する多数の方法が当業者に周知である(例えば、Sustaineda
nd Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照)。他の有用な製剤には、制御放出マイクロカプセル(米国特許第4,652,441号および第4,917,893号)、マイクロカプセルおよび他の製剤を製造することにおいて有用な乳酸−グリコール酸コポリマー(米国特許第4,677,191号および第4,728,721号)ならびに水溶性ポリペプチド用の持続放出組成物(米国特許第4,675,189号)が包含される。
【0813】
本開示の製薬学的組成物は典型的に無菌であり、そして製造、貯蔵および使用の条件下で安定である。無菌溶液は、必要に応じて、本明細書に列挙される成分の1つもしくは組み合わせと共に適切な溶媒に必要とされる量のコンジュゲートを導入し、続いて濾過滅菌により製造することができる。一般に、分散液は、基本分散媒質および本明細書に列挙されるものからの必要な他の成分を含有する無菌賦形剤にコンジュゲートおよび/もしくは他の生物活性薬剤を導入することにより製造される。無菌粉末の場合、製造の方法には、前に無菌濾過したその溶液からコンジュゲートに加えての任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥および凍結乾燥が包含される。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより成し遂げることができる。
【0814】
本開示の様々な処置方法に従って、コンジュゲートは、処置もしくは予防が求められる障害の管理と関連する通常の方法論と一致する方法で患者に送達することができる。本明細書における開示に従って、予防的にもしくは治療的に有効な量のコンジュゲートおよび/もしくは他の生物活性薬剤は、選択疾患(例えば炭疽病)もしくは症状またはその1つもしくはそれ以上の症候を防ぎ、抑制し、そして/もしくは改善するために十分な期間にわたってそして条件下でそのような処置を必要とする患者に投与される。
【0815】
VIII.薬剤開発および薬物治療態様
ハプテン、ハプテンコンジュゲートおよびその組成物の開示される態様は、疾患と関連する生物学的マーカーの発現もしくは活性化、治療効能、癌患者からの細胞および組織サンプルにおける腫瘍形成などを同定しそして検出するために有用な試薬として用いることができる。本明細書において提供される方法は、特定の処置処方計画への個々の患者の反応を予測するかもしくは評価するために有用である。これらの態様は、癌および癌処置を参考にして本明細書に特に例示されるが、当業者は、本発明の範囲が癌診断および処置に限定されず、代わりに他の疾患、薬剤開発および薬物治療にも適用できることを認識する。
【0816】
方法の1つの態様は、治療法を最初に選択することを含んでなる。少なくとも1つのハプテンを薬剤にコンジュゲーションし、それを次に患者に投与する。次に、ハプテン−治療コンジュゲートを追跡することにより、例えば検出可能な標識を有する抗ハプテン抗体を用いることにより、薬剤分布、代謝物生産などをモニターすることができる。
【0817】
方法の1つの態様は、哺乳類腫瘍から得られるサンプルをアッセイすることにより哺乳類腫瘍を同定することを含む。例えば、サンプルは、mTOR経路阻害剤、EGF経路阻害剤もしくは二重阻害剤のような経路の阻害剤についてアッセイすることができる。該方法は、発現もしくは過剰発現されている遺伝子、そのような遺伝子から生産されるタンパク質、発現のパターン、リン酸化のような細胞過程、またはその組み合わせを検出するために哺乳類から得られるサンプルをアッセイすることを含んでなることができる。「細胞もしくは組織サンプル」は、本文脈において使用する場合に、塗抹標本、唾液、生検、分泌物、脳脊髄液、胆汁、血液、リンパ液、尿および糞便、もしくは乳房、肺、腸、皮膚、頸部、前立腺および胃のような器官から取り除かれた組織のようなしかしこれらに限定さ
れるものではない体サンプルから単離される、細胞、しばしば腫瘍細胞を含んでなる生物学的サンプルを意味する。例えば、組織サンプルは機能的に関連する細胞もしくは隣接細胞の領域を含んでなることができる。
【0818】
哺乳類の癌に関する典型的態様について、発現、リン酸化もしくは発現とリン酸化の両方のパターンを用いることができる。例えば、本発明の開示される態様は:
(a)EGF経路の少なくとも1つのポリペプチドおよび
(b)mTOR経路の少なくとも1つのポリペプチド
からなる2つもしくはそれ以上のポリペプチドのパネルを分析するために用いることができる。発現、リン酸化もしくは発現とリン酸化の両方の検出されるパターンは、二重mTOR経路阻害剤およびEGF経路阻害剤治療を必要とする哺乳類腫瘍を同定する。ある態様において、EGF経路の少なくとも1つのポリペプチドにはリン酸化ERKポリペプチド;リン酸化MEKポリペプチド、もしくはリン酸化ERKポリペプチドとリン酸化MEKポリペプチドの両方が包含される。別の態様において、mTOR経路の少なくとも1つのポリペプチドは、HIF−1αポリペプチド、mTORポリペプチド、もしくはHIF−1αとmTORポリペプチドの両方を含んでなる。
【0819】
ある態様において、発現、発現されるタンパク質、リン酸化のような細胞過程、およびその組み合わせのパターンは、コントロールにおいて決定することができる。検出されるパターンおよび/もしくは生成物は、患者におけるものと比較することができる。例えば、ポリペプチドのパネルの発現、リン酸化もしくは発現とリン酸化の両方の検出されるパターンは、コントロールにおけるポリペプチドのパネルの発現、リン酸化もしくは発現とリン酸化の両方のパターンと比較される。コントロールにおけるポリペプチドのパネルのレベルと比較した場合のサンプルにおけるポリペプチドのパネルの増加したレベルは、哺乳類腫瘍が二重mTOR経路阻害剤およびEGF経路阻害剤治療を必要とすることを示す。
【0820】
本発明のある態様は、癌治療に対する癌患者のような、処置処方計画に対する患者における反応を予測する方法を提供する。予測バイオマーカーは、二重阻害剤治療を包含する、特定の治療薬を投与することが最も有効である患者において同定することができる。例えば、予測バイオマーカーは、EGF経路もしくはmTOR経路のメンバーを標的とする二重治療薬の効能を評価するかもしくはモニターするために同定することができる。
【0821】
処置処方計画に反応しない患者の適時の同定は、臨床医が、処置の不要な副作用に癌患者をさらすことを限定しそして代替処置を始めることを可能にする。残念ながら、組織学的検査を包含する当該技術分野に存在する方法は、そのような適時のそして正確な同定には不十分である。本発明は、有効な結果(すなわち、腫瘍の減少もしくは除去)の増加した可能性を有して患者に投与することができる治療のより情報に基づきそして有効な処方計画を開発する方法の態様を提供する。
【0822】
診断、疾患の初期診断および疾患経過(処置の前、間もしくは後)のその後のモニタリングの両方は、患者から取り除かれた細胞もしくは組織サンプルの組織学的検査を用いて確かめられることが多い。腫瘍について、臨床病理学者はそのようなサンプルが良性もしくは悪性であるかどうか正確に決定することそして悪性であると思われる腫瘍サンプルの悪性度を分類することができる必要がある。これらの決定は、患者処置の適当なコースを選択するための基礎をなすことが多い。同様に、病理学者は、特に処置、最も特に化学療法もしくは生物学的薬剤での処置の結果としてもしくはそれによって、癌が増殖しているかもしくは寛解に入っている程度を検出することができる必要がある。
【0823】
組織学的検査は、本明細書に開示されるような組織染色方法を単独でもしくは光学顕微
鏡下のような、サンプルの形態学的特徴が容易に観察されることを可能にする他の既知の技術と組み合わせて含む。病理学者は、染色されたサンプルを調べた後に、典型的には腫瘍サンプルが悪性であるかどうかの定性的決定を行う。単に組織学的検査により腫瘍の悪性度を確定することは難しい。腫瘍の悪性度は、サンプル形態によって反映され得るかもしくはそうでない、タンパク質発現、抑制および/もしくはタンパク質リン酸化のような腫瘍内の細胞の生化学の結果であることが多い。本発明の開示される態様を単独でそして場合により他の既知の技術と組み合わせて用いて腫瘍サンプル内の細胞の生化学を評価することは、腫瘍関連遺伝子もしくはタンパク質、またはさらに特に腫瘍関連シグナル伝達経路の細胞成分の遺伝子発現およびタンパク質リン酸化の両方を観察しそして潜在的に定量しているので、望ましい。
【0824】
癌治療は、単にそれらの組織学もしくは疾患の部位よりむしろ腫瘍の分子プロファイリングに基づくことができる。腫瘍組織における標的治療の生物学的効果を解明することおよびこれらの効果を臨床反応と相関させることは、腫瘍において働いている主な増殖および生存経路を同定するのに役立ち、それによって見込みのあるレスポンダーのパターンを確立し、そして逆に抵抗性を克服するために戦略を考案するための論理的根拠を提供する。増殖因子受容体の成功した診断ターゲティングは、腫瘍増殖もしくは生存が標的受容体もしくは受容体ファミリーにより、治療により標的とされない他の受容体により推進されるているかどうか、そして別の癌遺伝子経路が関与することを下流シグナル伝達が示唆するかどうかを決定する。さらに、1つより多くのシグナル経路が関与する場合、これらのシグナル経路のメンバーは、二重阻害剤治療が有効になるかもしくは有効であるかどうかを決定するために診断標的として用いることができる。
【0825】
有効な化学療法薬は腫瘍細胞を破壊し、そして隣接する正常細胞を破壊しない。これは、癌細胞に主に存在するが正常細胞には存在しない細胞活性に影響を与える薬剤を用いて成し遂げられる。正常細胞と腫瘍細胞の1つの違いは、細胞における酸素の量である。多数の腫瘍細胞は「低酸素」、すなわち酸素欠乏である。
【0826】
哺乳類細胞は、エネルギー基質としての酸素の要求と細胞巨大分子への酸化的損傷の固有の危険性のバランスをとるために一連の反応を有する。酸素恒常性の様々な細胞および全身機序の分子的機序は同定されており、そしてこれらの機序は遺伝子転写、タンパク質翻訳、翻訳後修飾および細胞局在化を包含するあらゆる調節レベルで起こることが見いだされている(Harris,2002,Nat Rev.2:38-47)。
【0827】
本発明の態様は、これらの産物および/もしくは過程を分析するために用いることができる。1つの開示される態様は、最初に腫瘍を同定することを含んでなる。各腫瘍の診断のパネルは、各治療の適当なそして好ましくは最良の候補を見出すために用いられる。例えば、ラパマイシンもしくはPX−478のようなmTOR経路を標的とする治療による処置は、EGF経路阻害剤が組み合わせて用いられない場合に有効でない可能性がある。pERKおよびpMEKのようなEGF経路成分の高い発現レベルがある場合、mTOR経路を標的とする治療は有効でない。本発明の開示される態様は、臨床医が標的治療のより有効な組み合わせを同定することを可能にする。
【0828】
当該技術分野において既知である自動(コンピューター支援)画像解析システムは、腫瘍サンプルの目視検査を増強することができる。代表的な態様において、細胞もしくは組織サンプルは、検出可能な標識を有するか、もしくは検出可能な標識を有する抗ハプテン抗体により認識される、少なくとも1つの開示されるハプテン、ハプテン−抗体コンジュゲートのようなハプテンコンジュゲート、もしくはその組成物にさらされる。これらのハプテンに基づく試薬および方法は、本明細書に開示されるもののような特定の生物学的マーカーに特異的であることができる。次に、サンプルの画像、典型的には拡大画像は、典
型的には電荷結合素子(CCD)もしくはテレビカメラのようなカメラから、画像を受け取るコンピューターにより処理される。そのようなシステムは、例えば、サンプルにおけるHIF−1α、pMEK、pERK、mTOR、pmTOR、pAKT、pTSC2、pS6およびp4EBP1のような所望の標的、もしくは任意のさらなる診断バイオマーカーの発現および活性化レベルを検出しそして測定するために用いることができる。従って、本発明の開示される態様は、最も特に腫瘍マーカー遺伝子もしくは特定の癌タイプおよびサブタイプ(例えば、異なる悪性度を有する)において発現されることが既知である遺伝子の発現に関して、組織学的に同定された癌細胞におけるより正確な癌診断および遺伝子発現のより優れた特性化を提供する。この情報は、臨床医がより有効な治療処方計画を決定すること、そして実施された治療処方計画の結果をモニターすることを可能にする。例えば、ある腫瘍タイプもしくはサブタイプに臨床効能を有する薬剤は、その細胞がそのように同定される患者に投与することができる。
【0829】
従来の治療の別の欠点は、個々のヒト患者において特定の疾患を処置することにおける特定の治療薬の効能が予測できないことである。この予測が不可能であることは、これまで、1つもしくはそれ以上の選択薬剤が有効であるかどうかまたは個々の患者において正確な予後もしくは処置経過を提供することを治療を開始する前に決定することを実質的に不可能にしている。特定の疾患は、どの処方計画が特定の個体に最も有効であるかを評価する現時点での方法なしに、処置処方計画の選択を臨床医に提起するので、これは特に重要である。本発明の開示される態様は、個々の患者における提示治療薬(もしくは薬剤の組み合わせ)の予想される効能をより良く評価することができる。開示される態様は、化学療法処方計画の効能を評価することにおいて時間および費用の両方の効率が高くそして癌患者に対して低外傷性であるというさらなる理由で好都合である。
【0830】
結果として、本発明の方法の開示される態様は、mTOR経路阻害剤もしくは二重mTOR経路阻害剤およびEGF経路阻害剤治療のような特定の阻害剤に反応する哺乳類腫瘍のような提示処置に反応する疾患を同定するために用いることができる。さらに、本発明の開示される態様は、特定の処置に患者を選択するために用いることができ、もしくは指示治療に反応しない疾患を同定するために用いることができる。さらに、本発明の方法は、提示処置に反応する可能性が低い患者を選択するために用いることができる。
【0831】
発現、もしくは他の細胞過程、例えばリン酸化、細胞生成物などのパターンは、本発明の開示される態様を用いて検出されそして場合により定量される。例えば、ポリペプチドの発現および/もしくはリン酸化パターンは、ポリペプチドに特異的なバイオ検出試薬を用いて検出することができる。典型的なバイオ検出試薬には、抗体および核酸プローブ、典型的にはサンプルへのそのハイブリダイゼーションを検出することができる1つもしくはそれ以上の核酸フラグメントの一群が包含される。抗体およびプローブは、非標識であるかまたは標的もしくはサンプルへのその結合を検出することができるように標識されることができる。例えば、抗体もしくはプローブは、単独でまたは他の開示されるかもしくは既知のハプテンと組み合わせて、少なくとも1つの開示されるハプテンにコンジュゲーションされていてもよい。検出可能な標識を有する抗ハプテン抗体は、抗ハプテン抗体がハプテンと複合体形成することを可能にするのに有効な方法でサンプルに投与することができる。次に、複合体を視覚化する。
【0832】
核酸プローブは、ゲノムの1つもしくはそれ以上の特定の(あらかじめ選択された)部分からの核酸源、例えば、1つもしくはそれ以上のクローン、単離された全染色体もしくは染色体フラグメント、または一群のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅産物からであることができる。核酸プローブはまた、アレイにおけるように、固体表面(例えば、ニトロセルロース、ガラス、石英、石英ガラススライド)上に固定化した単離された核酸であることもできる。プローブは、例えばWO96/17958に記述されるような核酸のア
レイのメンバーであることができる。高密度アレイを製造することができる技術もまた、この目的のために用いることができる(例えば、Fodor(1991)Science
767−773;Johnston(1998)Curr.Biol.8:R171−R174;Schummer(1997)Biotechniques 23:1087−1092;Kern(1997)Biotechniques 23:120−124;米国特許第5,143,854号を参照)。
【0833】
特定のプローブの正確な配列は、「実質的に同一である」がそれらが由来するプローブと同じ標的もしくはサンプルに特異的に結合する(すなわち、特異的にハイブリダイズする)能力を保持するプローブを製造するためにある程度まで改変できることを当業者は認識する。「核酸」という用語は、一本鎖もしくは二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドをさす。該用語には、所望の目的のために、基準核酸と同様のもしくは向上した結合特性を有する天然ヌクレオチドの既知のアナログを含有する、核酸、すなわちオリゴヌクレオチドが包含される。該用語にはまた、天然に存在するヌクレオチドと同様にもしくは所望の目的のために改善される速度で代謝される核酸も包含される。該用語にはまた、合成バックボーンを有する核酸様構造も包含される。結腸癌細胞のスクリーニングに関して、例えば、米国特許6,326,148を参考にしてサンプルにおける癌細胞のスクリーニングに核酸プローブを使用する方法を当業者は認識する。
【0834】
癌と関連するポリペプチドは、直接または適切な二次抗体(マウス一次抗体を使用する場合にはウサギ抗マウスIgGのような)および/もしくは第三級アビジン(もしくはストレプトアビジン)ビオチン複合体(「ABC」)を用いて検出される、HIF−1α、pMEK、pERK、mTOR、pmTOR、pAKT、pTSC2、pS6およびp4EBP1が包含されるがこれらに限定されるものではないバイオマーカーに対する適当な一次抗体を用いて画像解析により定量することができる。
【0835】
本明細書に例示されるような本発明の方法の実施において有用な試薬の例には、Ventana Medical Systems,Inc.(Tucson,AZ)から得られる、マウスモノクローナル抗体VMSI 760−4285が包含されるがこれに限定されるものではない、HIF−1αに特異的な抗体が包含される。本発明の方法の実施において有用な他の試薬には、mTORに特異的なウサギポリクローナル抗体Abcam2732、pmTORに特異的なウサギポリクローナル抗体CST2971、mTSC2に特異的なウサギポリクローナル抗体CST3614、pS6に特異的なウサギポリクローナル抗体CST2211、pAKTに特異的なウサギモノクローナル抗体CST3787、pMEKに特異的なウサギポリクローナル抗体CST9121、mERK(p44/p42)に特異的なウサギポリクローナル抗体VMSI760−4228およびm4EBP1に特異的なウサギポリクローナル抗体CST9455が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0836】
さらに、ペプチドもしくはそのリン酸化のような予測パターンもしくは生成物は、非腫瘍組織もしくは細胞サンプルのような処置を受けていないサンプルと比較することができる。非腫瘍組織もしくは細胞サンプルは、同じ個体からの非腫瘍組織もしくは細胞サンプル、あるいはまた異なる個体からの非腫瘍組織もしくは細胞サンプルより得られることができる。非腫瘍組織もしくは細胞サンプルと比較した場合により少ないポリペプチドが検出される場合には、ポリペプチドの検出されるパターンは、哺乳類腫瘍、組織もしくは細胞サンプルにおいて減少していると言われる。非腫瘍組織もしくは細胞サンプルと比較した場合により多くのポリペプチドが検出される場合には、ポリペプチドの検出されるパターンは、哺乳類腫瘍、組織もしくは細胞サンプルにおいて増加していると言われる。非腫瘍組織もしくは細胞サンプルと比較した場合に同じかもしくはほぼ同じポリペプチドが検
出される場合には、ポリペプチドの検出されるパターンは、哺乳類腫瘍、組織もしくは細胞サンプルにおいて正常であると言われる。
【0837】
標的タンパク質の量は、染色された抗原の平均光学密度を測定することにより定量することができる。同時に、染色される全組織領域の割合もしくはパーセンテージは、例えば第二の画像におけるコントロールレベル(抗体閾値レベルのような)を上回って染色される領域として、容易に計算することができる。バイオマーカーを含有する核の視覚化の後に、処置後の患者由来の組織におけるそのような細胞のパーセンテージもしくは量を未処置の組織におけるそのような細胞のパーセンテージもしくは量と比較する。本発明の目的のために、ポリペプチドの発現、リン酸化、もしくは発現とリン酸化の両方のパターンを「決定すること」は、直接検査によってもしくは例えば契約診断サービスから間接的に、そのようなポリペプチド(1つもしくは複数)に関する発現レベル情報を単に得ることを意味すると広く理解される。
【0838】
IX.様々な用途
本発明を例示するために本明細書に提示される例は主に免疫組織化学アッセイに関するが、開示されるハプテン、開示されるハプテン標識プローブおよび開示される検出方法は、任意のタイプの免疫アッセイ、核酸に基づくアッセイもしくはペプチド核酸(PNA)に基づくアッセイに適用することができる。例えば、開示されるハプテンは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);タンパク質、核酸およびPNAマイクロアレイアッセイ;およびフローサイトメトリーアッセイの検出スキームの成分を成すことができる。さらに、本明細書に特に詳述されるもののような免疫組織化学アッセイはまた、組織アレイにおける標的分子の検出に適用することもできる。
【0839】
開示されるハプテン、ハプテンにコンジュゲーションした抗体および検出方法は、標準(間接的)サンドイッチおよび競合形態ELISAアッセイにおける標的分子の検出に利用することができる。標準形態ELISAにおいて、標的分子は基質(ニトロセルロース基質のような)に非特異的に付着され、そして次に所望の標的もしくは複数の標的に特異的に結合する1つもしくはそれ以上の一次抗体により検出される。1つの態様において、一次抗体は本明細書に開示されるような異なるハプテンで標識され、そして次に検出可能な標識(さらに特に、ELISAにおける酵素、しかし、量子ドットのような他の検出可能な標識を代用することができる)にコンジュゲーションした開示される抗ハプテン抗体を基質に付着した標的分子の存在の視覚化のために加える。あるいはまた、サンドイッチ形態において、1つもしくはそれ以上の標的分子に特異的な捕捉抗体を基質に付着させ(共有結合的もしくは非共有結合的)、そしてサンプルを加え、存在する任意の標的分子もまた捕捉抗体との相互作用によって基質に付着されるようになることを可能にする。基質に非特異的に結合している非標的分子を除くために洗浄した後に、捕捉抗体と異なる部位で所望の標的に結合する1つもしくはそれ以上の検出抗体を加える。1つの態様において、検出抗体もしくは複数の抗体を1つもしくはそれ以上の開示されるハプテンで標識し、そして次に同じもしくは異なる検出可能な標識にコンジュゲーションした1つもしくはそれ以上の開示される抗ハプテン抗体を基質に付着した標的のその後の視覚化のために加える。任意の形態において、視覚化シグナルの増幅は、種特異的抗抗体のようなさらなる中間抗体を利用して可能である。
【0840】
1つの態様において、開示されるハプテン、開示されるハプテン標識抗体およびハプテン標識核酸、ならびに開示される検出方法はブロットアッセイにおける標的検出に用いることができ、ここで、電気泳動により分離されるタンパク質もしくは核酸は基質に非特異的にブロッティングされ、その基質は次に特定の核酸配列もしくはタンパク質の存在について検索される。例えば、サザンブロットアッセイにおいて、核酸はアガロースゲル電気泳動により分離され、そしてニトロセルロースフィルター上に相互に相対的位置でゲルか
らブロッティングされ、次にそのフィルターをハプテン標識核酸プローブで調べることができ、それを次に検出可能な標識にコンジュゲーションした開示される抗ハプテン抗体を利用することにより検出することができる。ノーザン(RNA)およびウェスタン(タンパク質)ブロットにおける標的の検出もまた、開示されるハプテンを利用して可能である。
【0841】
開示されるハプテン、ハプテン標識プローブおよび検出方法はまた、順相および逆相タンパク質マイクロアレイならびに核酸マイクロアレイ(cDNAおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイを包含する)のようなマイクロアレイを用いる標的検出スキームにおいて利用することもできる。例えば、逆相タンパク質マイクロアレイにおいて、サンプルを基質上に個々にスポットし、そこでサンプル中のタンパク質は基質に非特異的に結合するようになる。次に、多数の異なる抗体(開示される抗体−ハプテンコンジュゲートのような)を用いて特定のタンパク質の存在についてスポットを調べる。各スポットは同時に複数の異なるタンパク質について調べることができ、あるいはまた、各スポットを異なるタンパク質について調べることができ、もしくは各スポットを同じタンパク質について調べることができる(各スポットが、例えば、患者への薬剤の投与後に、異なる時間で患者から採取された異なるサンプルからである場合のような)。核酸マイクロアレイの場合、開示されるハプテン標識プローブを検出スキームにおいて利用することができる。
【0842】
組織マイクロアレイは、均一な染色および評点条件下で多数の組織サンプルを迅速にスクリーニングする目的で、本発明の開示される態様を実施するために都合よく用いられる(Hoos et al.,2001,Am J Pathol.158:1245−51)。染色されたアレイの評点は、標準的な0〜3+尺度を用いて手動で、もしくは観察される染色を正確に定量する自動システムにより成し遂げることができる。例えば、開示される薬物治療態様で、この分析は処置後の患者結果を最も良く予測するバイオマーカーを同定するために用いることができる。0〜100パーセントの間の患者「反応可能性」は、小セットのリガンド、受容体、シグナル伝達タンパク質もしくはその予測組み合わせの発現、リン酸化もしくは両方に基づいて予測することができる。癌患者からのさらなるサンプルは、組織マイクロアレイ結果の代替物としてもしくはそれに加えて分析することができる。例えば、乳癌患者からのサンプルの分析は、患者の反応が受容体発現および/もしくは下流シグナル伝達の特定のパターンと相関する場合に、組織アレイからの結果を裏付けることができる。
【0843】
開示されるハプテン、ハプテン標識プローブおよび検出方法はまたフローサイトメトリーにおいても有用性を見出し、ここで、細胞は1つもしくはそれ以上の標的分子(例えば、特定のタンパク質もしくは核酸配列)の存在について調べられ、そして場合により1つもしくはそれ以上の標的分子の存在もしくは不在に従って分類される(蛍光支援(fluorescence assisted)細胞分類、FACSのような)。1つの態様において、1つもしくはそれ以上の開示されるハプテン標識抗体もしくはハプテン標識核酸プローブを複数の細胞に接触させ、そして次に1つもしくはそれ以上の別個に検出可能な標識にコンジュゲーションされる1つもしくはそれ以上の抗ハプテン抗体と細胞を接触させる。
【0844】
X.抗原/抗体認識および一般的に標的
興味のあるハプテンに特異的に結合する任意の抗体、もしくは興味のある抗原からのエピトープは、本明細書に開示される方法において用いることができる。一例において、興味のある抗原に特異的に結合する抗体の各々の相補性決定領域(CDR)の特異性決定領域の配列が決定される。特異性決定領域(SDR、非リガンド接触部位)の外側の残基は置換することができる。例えば、最高でも1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することができる。ある抗体からのフレームワーク領域および異なる抗体からのCDRを含むキメ
ラ抗体の製造は、当該技術分野において周知である。例えば、ヒト化抗体は日常的に製造することができる。抗体もしくは抗体フラグメントは、興味のある抗原に特異的に結合するドナーモノクローナル抗体からの相補性決定領域(CDR)およびヒトアクセプター免疫グロブリン重鎖および軽鎖フレームワークからの免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変領域フレームワークを有するヒト化免疫グロブリンであることができる。一般に、ヒト化免疫グロブリンは、少なくとも10
8M
-1、少なくとも5x10
8M
-1もしくは少なくとも10
9M
-1のような少なくとも10
7M
-1の親和性定数でRETに特異的に結合する。
【0845】
ヒト化モノクローナル抗体は、ドナーマウス免疫グロブリンの重鎖および軽可変鎖からのドナー相補性決定領域(CDR)をヒト可変ドメインに導入し、そして次に親和性を保持するために必要とされる場合にはフレームワーク領域におけるヒト残基を置換することにより製造することができる。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分の使用は、ドナー抗体の定常領域の免疫原性と関連する潜在的問題を取り除く。ヒト化モノクローナル抗体を製造する技術は、例えば、Jones et al.,Nature 321:522,1986;Riechmann et al.,Nature 332:323,1988;Verhoeyen et al.,Science 239:1534,1988;Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285,1992;Sandhu,Crit.Rev.Biotech.12:437,1992;およびSinger et al.,J.Immunol.150:2844,1993に記述される。抗体は任意のアイソタイプのものであることができるが、いくつかの態様において抗体はIgG
1、IgG
2、IgG
3およびIgG
4が包含されるがこれらに限定されるものではないIgGである。
【0846】
1つの態様において、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワークの配列は、ドナー免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワークの配列に少なくとも約65%同一であることができる。従って、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワークの配列は、ドナー免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワークの配列に少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約99%もしくは少なくとも約95%同一であることができる。ヒトフレームワーク領域、およびヒト化抗体フレームワーク領域において製造することができる突然変異は、当該技術分野において既知である(例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,585,089号を参照)。
【0847】
典型的なヒト抗体は、LENおよび21/28CLである。これらは、腫瘍マーカーに結合する様々な抗体において使用されるフレームワーク領域である。他のものを使用できること、およびこれらの領域は例となるだけであることを当業者は認識する。重鎖および軽鎖フレームワークの配列は、当該技術分野において既知である。
【0848】
マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体のような抗体には、全長分子およびそのフラグメント、例えば、重鎖および軽鎖可変領域を含みそしてエピトープ決定基に結合することができるFab、F(ab’)
2およびFvが包含される。これらの抗体フラグメントは、それらの抗原もしくは受容体と選択的に結合するいくらかの能力を保持する。これらのフラグメントには、下記のものが包含される:
(1)Fab、抗体分子の1価の抗原結合フラグメントを含有するフラグメントは、酵素パパインでの全抗体の消化により製造することができ、完全な軽鎖および1つの重鎖の一部をもたらす;
(2)Fab’、抗体分子のフラグメントは、ペプシンで全抗体を処理し、続いて還元することにより得ることができ、完全な軽鎖および重鎖の一部をもたらす;2本のFab’フラグメントが抗体分子当たり得られる;
(3)(Fab’)
2、その後の還元なしに酵素ペプシンで全抗体を処理することにより得ることができる抗体のフラグメント;F(ab’)
2は、2本のジスルフィド結合に
より一緒に保持される2本のFab’フラグメントのダイマーである;
(4)Fv、2本の鎖として発現される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作されたフラグメント;および
(5)遺伝子的に融合された一本鎖分子として適当なポリペプチドリンカーにより連結される、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された分子として定義される一本鎖抗体(scFvのような)。
【0849】
これらのフラグメントを製造する方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Harlow and Lane,Antibodies:Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988を参照)。これらの抗体を製造するために、V
HおよびV
Lを宿主細胞において2つの個々の核酸構築物から発現させることができる。V
HおよびV
Lが非連続的に発現される場合、Fv抗体の鎖は典型的には非共有結合相互作用により一緒に保持される。しかしながら、これらの鎖は希釈の際に解離する傾向があり、従って、グルタルアルデヒド、分子間ジスルフィドもしくはペプチドリンカーによって鎖を架橋するために方法が開発されている。従って、一例において、Fvはジスルフィド安定化Fv(dsFv)であることができ、ここで、重鎖可変領域および軽鎖可変領域はジスルフィド結合により化学的に連結される。
【0850】
さらなる例において、Fvフラグメントはペプチドリンカーにより連結されるV
HおよびV
L鎖を含んでなる。これらの一本鎖抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドにより連結されるV
HおよびV
LドメインをコードするDNA配列を含んでなる構造遺伝子を構築することにより製造される。構造遺伝子は発現ベクターに挿入され、それは次にエシェリキア・コリのような宿主細胞に導入される。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一ポリペプチド鎖を合成する。scFvを製造する方法は、当該技術分野において既知である(Whitlow et al.,Methods:Companion to Methods in Enzymology,Vol.2,page 97,1991;Bird et al.,Science 242:423,1988;米国特許第4,946,778号;Pack et al.,Bio/Technology 11:1271,1993;およびSandhu,上記を参照)。
【0851】
抗体フラグメントは、抗体のタンパク質分解加水分解によりもしくはフラグメントをコードするDNAのエシェリキア・コリにおける発現により製造することができる。抗体フラグメントは、常法による全抗体のペプシンもしくはパパイン消化により得ることができる。例えば、抗体フラグメントは、ペプシンでの抗体の酵素切断により製造することができ、F(ab’)
2と表される5Sフラグメントを生成せしめる。このフラグメントをチオール還元剤、および場合によりジスルフィド結合の切断に起因するスルフヒドリル基のブロッキング基を用いてさらに切断して、3.5S Fab’1価フラグメントを生成せしめることができる。あるいはまた、ペプシンを用いる酵素切断は2本の1価のFab’フラグメントおよびFcフラグメントを直接生成せしめる(米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号、ならびにその中に含まれる参考文献;Nisonhoff et al.,Arch.Biochem.Biophys.89:230,1960;Porter,Biochem.J.73:119,1959;Edelman et al.,Methods in Enzymology,Vol.1,422頁,Academic Press,1967;ならびにColigan et al.2.8.1−2.8.10および2.10.1−2.10.4章を参照)。
【0852】
フラグメントが完全な抗体により認識される抗原に結合する限り、抗体を切断する他の方法、例えば1価の軽鎖−重鎖フラグメントを生成せしめるための重鎖の分離、フラグメ
ントのさらなる切断、または他の酵素的、化学的もしくは遺伝子的技術もまた用いることができる。
【0853】
抗体の保存的バリアントを製造できることを当業者は認識する。dsFvフラグメントもしくはscFvフラグメントにおけるような抗体フラグメントにおいて用いられるそのような保存的バリアントは、正確なフォールディングおよびV
HとV
L領域間を安定させるために必要な重要なアミノ酸残基を保持し、そして分子の低いpIおよび低い毒性を維持するために残基の電荷特性を保持する。収率を上げるためにアミノ酸置換(最大で1個、最大で2個、最大で3個、最大で4個もしくは最大で5個のアミノ酸置換のような)をV
HおよびV
L領域において行うことができる。機能的に同様のアミノ酸を与える保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つのグループは、相互に保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0854】
従って、当業者は配列番号:1〜2および5〜10を容易に検討し、上記の簡潔な表におけるアミノ酸の1つもしくはそれ以上を決め、保存的置換を同定し、そして周知の分子技術を用いて保存的バリアントを製造することができる。
【0855】
治療、診断もしくは検出部分のようなエフェクター分子は、当業者に既知である手段をいくつでも用いて、興味のある抗原に特異的に結合する抗体に連結することができる。共有結合および非共有結合手段の両方を用いることができる。抗体にエフェクター分子を結合する方法は、エフェクターの化学構造によって異なる。ポリペプチドは典型的に、エフェクター分子の結合をもたらすために抗体上の適当な官能基との反応に利用可能である、カルボン酸(COOH)、遊離アミン(−NH
2)もしくはスルフヒドリル(−SH)基のような様々な官能基を含有する。あるいはまた、抗体はさらなる反応性官能基をさらすかもしくは付けるために誘導体化される。誘導体化は、Pierce Chemical
Company,Rockford,ILから入手可能なもののような多数のリンカー分子のいずれかの結合を含むことができる。リンカーは、エフェクター分子に抗体を連結するために用いられる任意の分子であることができる。リンカーは、抗体およびエフェクター分子の両方に共有結合を形成することができる。適当なリンカーは当業者に周知であり、そして直鎖状もしくは分枝鎖状炭素リンカー、複素環式炭素リンカーまたはペプチドリンカーが包含されるがこれらに限定されるものではない。抗体およびエフェクター分子がポリペプチドである場合、リンカーは構成アミノ酸にそれらの側基を介して(システインへのジスルフィド結合を介してのような)もしくは末端アミノ酸のアルファ炭素アミノおよびカルボキシル基に連結することができる。
【0856】
抗体に様々な放射性診断化合物、放射性治療化合物、標識(酵素もしくは蛍光分子のような)薬剤、毒素および他の薬剤を結合するために報告されている多数の方法に関して、当業者は抗体もしくは他のポリペプチドに既定の薬剤を結合するための適当な方法を決定することができる。
【0857】
XI.一般にDNAを用いて抗体を製造する方法
興味のある抗原に特異的に結合する抗体をコードする配列をコードする典型的な核酸は、クローニング技術により製造することができる。適切なクローニングおよびシークエンシング技術の例、ならびに多数のクローニングの実行を通して当業者を指導するために十
分な使用説明書は、Sambrook et al.,上記、Berger and Kimmel(eds.)、上記およびAusubel,上記に見出される。生物学的試薬および実験装置の製造業者からの製品情報もまた、有用な情報を提供する。そのような製造業者には、SIGMA Chemical Company(Saint Louis,MO)、R&D Systems(Minneapolis,MN)、Pharmacia Amersham(Piscataway,NJ)、CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto,CA)、Chem Genes Corp.,Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Glen Research,Inc.、GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersburg,MD)、Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie
AG,Buchs,Switzerland)、Invitrogen(San Diego,CA)およびApplied Biosystems(Foster City,CA)ならびに当業者に既知である多数の他の商業的供給源が包含される。
【0858】
核酸はまた、増幅方法により製造することもできる。増幅方法にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写に基づく増幅系(TAS)、自律配列複製系(3SR)が包含される。多種多様なクローニング方法、宿主細胞およびインビトロ増幅方法論が当業者に周知である。
【0859】
一例において、有用な抗体は、ベクターに興味にある抗原に特異的に結合する抗体からの可変領域をコードするcDNAを挿入することにより製造される。
【0860】
いったん抗体もしくはそのフラグメントをコードする核酸が単離されそしてクローン化されると、タンパク質を細菌、植物、酵母、昆虫および哺乳類細胞のような組換え技術で作られた細胞において発現させることができる。抗体もしくはそのフラグメントをコードする1つもしくはそれ以上のDNA配列は、適当な宿主細胞へのDNA導入によりインビトロで発現させることができる。細胞は原核生物もしくは真核生物であることができる。該用語にはまた、対象宿主細胞の任意の子孫も包含される。複製中に起こる突然変異があり得るので全ての子孫が親細胞と同一とは限らない可能性があることが理解される。外来DNAが宿主において継続的に維持されることを意味する、安定な導入の方法は、当該技術分野において既知である。
【0861】
抗体もしくはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列に操作可能に連結することができる。コーディング配列に操作可能に連結される発現制御配列は、コーディング配列の発現が発現制御配列と適合する条件下で行われるように連結される。発現制御配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードする遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの正確な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正しい読み枠の維持、および終止コドンが包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0862】
抗体もしくはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列は、配列の挿入もしくは導入を可能にするように操作することができそして原核生物もしくは真核生物のいずれかにおいて発現させることができるプラスミド、ウイルスもしくは他の媒体が包含されるがこれらに限定されるものではない発現ベクターに挿入することができる。宿主には微生物、酵母、昆虫および哺乳類生物を包含することができる。原核生物において真核生物もしくはウイルス配列を有するDNA配列を発現させる方法は、当該技術分野において周知である。宿主において発現および複製ができる生物学的に機能性のウイルスおよびプラスミドDNAベクターは、当該技術分野において既知である。
【0863】
組換えDNAでの宿主細胞の形質転換は、当業者に周知であるような通常の技術により実施することができる。宿主がエシェリキア・コリのような原核生物である場合、指数増殖期の後に採取しそして次に当該技術分野において周知である方法を用いてCaCl
2法により処理した細胞からDNAの取り込みが可能であるコンピテント細胞を調製することができる。あるいはまた、MgCl
2もしくはRbClを用いることができる。形質転換はまた、所望に応じて宿主細胞のプロトプラストを形成した後に、もしくは電気穿孔により行うこともできる。
【0864】
宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈のようなDNAのトランスフェクションの方法、通常の機械的方法、例えば微量注入、電気穿孔、リポソームに入れられたプラスミドの挿入、もしくはウイルスベクターを用いることができる。真核細胞はまた、抗体もしくはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列および単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子のような選択可能な表現型をコードする第二の外来DNA分子で共形質転換することもできる。別の方法は、真核細胞に一時的に感染するかもしくはそれを形質転換しそしてタンパク質を発現させるために、シミアンウイルス40(SV40)もしくはウシパピローマウイルスのような真核生物ウイルスベクターを使用することである(例えば、Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring
Harbor Laboratory,Gluzman ed.,1982を参照)。当業者は、COS、CHO、HeLaおよび骨髄腫細胞系のような高等真核細胞を包含する細胞においてタンパク質を製造するのに有用なプラスミドおよびベクターのような発現系を容易に使用することができる。
【0865】
組換えで発現されたポリペプチドの単離および精製は、分取クロマトグラフィーおよび免疫学的分離を包含する常法により実施することができる。いったん発現されると、組換え抗体は硫酸アンモニウム沈殿、親和性カラム、カラムクロマトグラフィーなどを包含する当該技術分野の標準的な方法に従って精製することができる(一般に、R.Scopes,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.,1982を参照)。少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋な組成物が本明細書において開示され、そして98%〜99%もしくはそれ以上の均一性は製薬学的目的のために使用することができる。いったん部分的にもしくは均質まで所望に応じて精製されると、治療的に使用される場合には、ポリペプチドは内毒素を実質的に含まないべきである。
【0866】
エシェリキア・コリのような細菌からの、一本鎖抗体を包含する、一本鎖抗体の発現および/もしくは適切な活性形態へのリフォールディングの方法は記述されており、そして周知であり、そして本明細書に開示される抗体に適用可能である。全て本明細書に引用することにより組み込まれる、Buchner et al.,Anal.Biochem.205:263−270,1992;Pluckthun,Biotechnology 9:545,1991;Huse et al.,Science 246:1275,1989およびWard et al.,Nature 341:544,1989を参照。
【0867】
しばしば、エシェリキア・コリもしくは他の細菌からの機能性異種タンパク質は封入体から単離され、そして強い変性剤を用いる可溶化およびその後のリフォールディングを必要とする。可溶化工程中に、当該技術分野において周知であるように、ジスルフィド結合を分離するために還元剤が存在しなければならない。還元剤を有する典型的なバッファーは:0.1M Tris pH 8、6Mグアニジン、2mM EDTA、0.3M DTE(ジチオエリスリトール)である。ジスルフィド結合の再酸化は、本明細書に引用することにより組み込まれるSaxena et al.,Biochemistry 9:5015−5021,1970に記述されるように、そして特にBuchner et
al.、上記により記述されるように、還元および酸化形態の低分子量チオール試薬の存在下で起こることができる。
【0868】
再生は、典型的にはリフォールディングバッファーへの変性されそして還元されたタンパク質の希釈(例えば100倍)により成し遂げられる。典型的なバッファーは、0.1M Tris、pH8.0、0.5M l−アルギニン、8mM酸化グルタチオン(GSSG)および2mM EDTAである。
【0869】
二本鎖抗体精製プロトコルへの改変として、重鎖および軽鎖領域は別個に可溶化されそして還元され、そして次にリフォールディング溶液において合わせられる。典型的な収率は、もう一方に対する一方のタンパク質の5倍モル過剰を超えないようなモル比でこれら2つのタンパク質が混合される場合に得られる。酸化還元シャッフリングが完了した後にリフォールデンング溶液に過剰の酸化グルタチオンもしくは他の酸化低分子量化合物を加えることが望ましい。
【0870】
組換え法に加えて、本明細書に開示される抗体はまた、標準的なペプチド合成を用いて全部もしくは部分的に構築することもできる。約50アミノ酸未満の長さのポリペプチドの固相合成は、不溶性担体に配列のC末端アミノ酸を結合させ、続いて配列における残りのアミノ酸を逐次付加することにより成し遂げることができる。固相合成の技術は、Barany & Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.pp.3−284;Merrifield et al.,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156,1963およびStewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,第2版,Pierce Chem. Co.,Rockford,Ill.,1984により記述される。より長い長さのタンパク質は、より短いフラグメントのアミノおよびカルボキシル末端の縮合により合成することができる。カルボキシル終端の活性化によりペプチド結合を形成する方法(カップリング試薬N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの使用によるような)は、当該技術分野において周知である。
【0871】
XII.抗原
興味のある典型的な抗原には、以下に記載するものが包含される:
【0872】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0873】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0874】
興味のある抗原からの任意の抗原性ペプチド(免疫原性フラグメントのような)は、興味のあるその抗原に特異的なT細胞の集団を生成するために用いることができる。ウイルスおよび腫瘍抗原のような、多数のそのような抗原性ペプチドは当該技術分野において既知である。本開示は、特定の抗原ペプチドを使用することに限定されない。興味のある抗原からの抗原性ペプチドの特定の例には、表1に示されるもののような、ウイルス、真菌および腫瘍に関連する抗原が包含されるがこれらに限定されるものではない。さらなる抗原性ペプチドは当該技術分野において既知である(例えば、両方とも引用することにより本明細書に組み込まれる、Novellino et al.,Cancer Immunol.Immunother.54(3):187−207,2005およびChen
et al.,Cytotherapy,4:41−8,2002を参照)。
【0875】
表1は興味のある全長抗原の特定のフラグメントを開示するが、他のフラグメントもしくは全長タンパク質もまた本明細書に開示される方法において使用できることを当業者は認識する。一例において、興味のある抗原は全長抗原配列の「免疫原性フラグメント」である。「免疫原性フラグメント」は、抗体の生産のような、B細胞反応のような免疫反応を誘導するために用いることができるタンパク質の部分をさす。もちろんより長いフラグメントもまた使用することができるが、典型的には、そのようなフラグメントは全長抗原の8〜12個の連続するアミノ酸である。特定の例において、免疫原性フラグメントは、全長標的抗原配列からの8〜50個のアミノ酸、8〜20個のアミノ酸または10、20、30、40、50、100もしくは200個の連続するアミノ酸のような、全長標的抗原配列からの8〜100個の連続するアミノ酸である。
【0876】
単一アミノ酸置換された抗原アナログの研究および内因的に結合した天然でプロセシングされたペプチドのシークエンシングによって、抗原性分子を製造するために必要なモチ
ーフに対応する重要な残基が同定されている(例えば、Southwood et al.,J.Immunol.160:3363,1998;Rammensee et al.,Immunogenetics 41:178,1995;Rammensee et al.,J.Curr.Opin.Immunol.10:478,1998;Engelhard,Curr.Opin.Immunol.6:13,1994;Sette and Grey,Curr.Opin.Immunol.4:79,1992を参照)。
【0877】
開示される発明の原理を適用することができる多数の可能な態様に関して、例示される態様は本発明の好ましい例にすぎず、そして本発明の範囲を限定すると考えられるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の請求項により定義される。従って、これらの請求項の範囲および精神の範囲内に入る全てを我々の発明として請求する。