(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マッピング・プローブと、処理装置と、表示装置と、ユーザ入力装置とを備えた医療装置によって実行される電圧ガイド式の解剖学的シェル編集用に処理装置に実装された方法であって、この処理装置ベースの方法は、
前記マッピング・プローブによって感知され、それぞれがおのおのの感知された電圧を含む複数の信号を、前記マッピング・プローブから前記処理装置によって受信する工程と、
前記複数の信号に基づく、心臓の構造の解剖学的シェルを、前記表示装置に、前記処理装置によって出力する工程と、
編集用に特定された第1の目標深さを、前記ユーザ入力装置から前記処理装置によって受信する工程と、
前記解剖学的シェルの選択された第1の領域を、前記ユーザ入力装置から前記処理装置によって受信する工程と、
前記解剖学的シェルの第1の部分であって、表面の選択された第1の領域を備えるとともに前記解剖学的シェルの表面から、前記第1の目標深さを特定するユーザ入力に基づいた少なくとも1つの有限深さを備える第1の編集深さまで内方に延びる、前記第1の部分を、前記処理装置によって除去し、かつ、
前記選択された第1の領域に対応する第1の新規表面領域であって、前記第1の編集深さに設けられるとともに当該第1の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの特徴を含む、前記第1の新規表面領域を、第1の修正された解剖学的シェルに、前記処理装置によって生成することによって、
前記第1の修正された解剖学的シェルを、前記処理装置によって生成する工程と、
前記第1の修正された解剖学的シェルを、前記表示装置に、前記処理装置によって出力する工程と、を備える方法。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示されている主題の実施形態は、構築された解剖学的シェルの編集を容易にする心臓マッピング・システムを含む。実施形態では、使用者の編集用ツールボックスは、特定のサブ・ボリューム、表面領域などを選択して除去するための諸ツールを含むことが可能である。実施形態では、処理装置は、解剖学的シェルを自動的に編集するための1つ以上のアルゴリズムを実装し得る。このように、本発明の実施形態は、心臓マッピング技術の精度向上を促進させることが可能になる。例示的な態様は、以下のものを含む。
【0005】
態様例1において、電圧ガイド式の解剖学的シェル編集用に処理装置に実装された方法であって、この処理装置ベースの方法は、表示装置に、マッピング・プローブによって感知され、それぞれがおのおのの感知された電圧を含む複数の信号に基づく心臓の構造の解剖学的シェルを出力する工程と、ユーザ入力装置から編集用の第1の目標深さを特定するユーザ入力を受信する工程と、ユーザ入力装置から前記解剖学的シェルの第1の領域の選択を受信する工程と、表面の選択された第1の領域を備える、前記解剖学的シェルの第1の部分であって、前記第1の目標深さに基づく少なくとも1つの有限の深さを備える第1の編集深さへ内方に延びる前記第1の部分を除去し、かつ、前記第1の編集深さに設けられた第1の新規表面領域であって、当該第1の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの特徴を含むとともに選択された前記第1の領域に対応する前記第1の新規表面領域を、第1の修正された解剖学的シェルに生成することによって、当該第1の修正された解剖学的シェルを生成する工程と、前記表示装置に前記第1の修正された解剖学的シェルを出力する工程と、を備える方法。
【0006】
態様例2において、前記ユーザ入力装置から前記第1の修正された解剖学的シェルの生成を元に戻すための命令を受信する工程と、解剖学的シェルを再生成する工程と、再生成された解剖学的シェルを前記表示装置に出力する工程と、をさらに備える態様例1に記載の方法。
【0007】
態様例3において、前記ユーザ入力装置から編集用の第2の目標深さを特定するユーザ入力を受信する工程と、前記ユーザ入力装置から前記第1の領域の少なくとも一部分を含む、解剖学的シェルの第2の領域の選択を受信する工程と、表面の選択された第2の領域を備える、前記解剖学的シェルの第2の部分であって、前記第2の目標深さに基づく少なくとも1つの有限深さを備える第2の編集深さへ内方に延びる前記第2の部分を除去し、かつ、前記第2の編集深さに設けられた第2の新規表面領域であって、当該第2の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴を含むとともに選択された前記第2の領域に対応する、前記第2の新規表面領域を、第2の修正された解剖学的シェルに生成することによって、第2の修正された解剖学的シェルを生成する工程と、前記表示装置に前記第2の修正された解剖学的シェルを出力する工程と、をさらに備える態様例1または2に記載の方法。
【0008】
態様例4において、前記第2の目標深さは、1ミリメートル以上5ミリメートル以下である態様例3に記載の方法。
態様例5において、前記第1の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴は、血液プールに対応する電圧の大きさを表わす態様例3または4に記載の方法。
【0009】
態様例6において、前記第2の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴は、心臓組織に対応する電圧の大きさを表わす態様例3乃至5のいずれか1つに記載の方法。
【0010】
態様例7において、解剖学的シェル編集用の処理装置ベースの方法は、少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号をそれぞれが含む複数の信号に対応する複数の第1のメッシュ・ポイントと交差する第1の表面を備える第1の解剖学的シェルを生成する工程と、前記第1の表面が交差しておらず、かつ、第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイントを選択する工程と、第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定し、前記テスト・ポイントに対応する前記測定量の第2の値を判定し、前記第1の値と前記第2の値とに基づいて前記測定量の勾配構造を演算し、前記勾配構造が条件を満たしているか否かを判定し、複数の第2のメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を備える第2の解剖学的シェルであって、前記勾配構造が条件を満たしている場合には、前記第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含んでいる前記第2の解剖学的シェルを、前記勾配構造が条件を満たしていない場合には、前記第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含んでいない前記第2の解剖学的シェルを生成することを備え、前記テスト・ポイントについてのテストを実施する工程と、を備える方法。
【0011】
態様例8において、前記勾配構造が条件を満たさない場合、前記第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置する追加的なテスト・ポイントを選択する工程と、前記追加的なテスト・ポイントに関連する前記テストを実施する工程と、をさらに備える態様例7に記載の方法。
【0012】
態様例9において、前記テスト・ポイントの位置は、前記第1のメッシュ・ポイントにおける前記第1の表面に対する法線方向の反対側に配置される態様例7または8に記載の方法。
【0013】
態様例10において、前記テスト隣地は、2ミリメートルの半径を有する球体を備える態様例7乃至9のいずれか1つに記載の方法。
態様例11において、前記測定量は、心臓帯域外インピーダンス測定量、単極の電極活性電圧測定量、マッピング・プローブの接触力測定量、および、位置ベースの心臓運動測定量のうちの少なくとも1つを備える態様例7乃至10のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
態様例12において、前記テストを実施する工程は、当該テスト・ポイントに対応する感知された電圧値を判定する工程と、前記感知された電圧値が電圧閾値を超えるか否かを判定する工程と、をさらに備える態様例7乃至11のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
態様例13において、前記勾配構造が条件を満たす場合であって、感知された電圧値が前記電圧閾値を超えているときには、前記複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含む一方、前記勾配構造が条件を満たさない場合、または、感知された電圧値が前記電圧閾値を超えていない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含まない態様例12に記載の方法。
【0016】
態様例14において、前記勾配構造が条件を満たすか否かを判定する工程は、当該勾配構造の絶対値が勾配閾値を超えているか否かを判定する工程を備える態様例7乃至13のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
態様例15において、システムは、心臓の構造に関連する複数の信号を感知するマッピング・プローブと、それぞれが少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号を含む複数の信号に対応する複数の第1のメッシュ・ポイントに交差する第1の表面を備える第1の解剖学的シェルを生成し、前記第1の表面が交差しておらず、かつ、第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイントを選択し、前記第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定し、前記テスト・ポイントに対応する測定量の第2の値を判定し、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記測定量の勾配構造を演算し、前記勾配構造が条件を満たすか否かを判定し、複数の第2のメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を備える第2の解剖学的シェルであって、前記勾配構造が条件を満たす場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含む第2の解剖学的シェルを、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含まない第2の解剖学的シェルを生成する処理装置と、前記第2の解剖学的シェルを表示する表示装置と、を備えるシステム。
【0018】
態様例16において、電圧ガイド式の解剖学的シェル編集用に処理装置に実装された方法は、表示装置にマッピング・プローブによって感知され、おのおのの感知された電圧を含む複数の信号に基づく心臓の構造の解剖学的シェルを出力する工程と、ユーザ入力装置から編集用の第1の目標深さを特定するユーザ入力を受信する工程と、ユーザ入力装置から前記解剖学的シェルの第1の領域の選択を受信する工程と、表面の選択された第1の領域を備えるとともに少なくとも1つの有限深さを含む第1の目標深さに基づいて第1の編集深さまで内方に延びる前記解剖学的シェルの第1の部分を除去し、かつ、前記第1の編集深さに設けられた第1の新規表面領域であって、当該第1の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴を含むとともに選択領域に対応する、前記第1の新規表面領域を、第2の修正された解剖学的シェルに生成することによって、当該第1の修正された解剖学的シェルを生成する工程と、前記表示装置に修正された解剖学的シェルを出力する工程と、前記ユーザ入力装置から修正された解剖学的シェルの生成を元に戻すための命令を受信する工程と、解剖学的シェルを再生成する工程と、再生成された解剖学的シェルを前記表示装置に出力する工程と、前記ユーザ入力装置から編集用の第2の目標深さを特定するユーザ入力を受信する工程と、前記ユーザ入力装置から前記第1の領域の少なくとも一部分を備える、前記解剖学的シェルの第2の領域の選択を受信する工程と、表面の選択された第2の領域を備えるとともに第2の目標深さに基づいて少なくとも1つの有限深さを備える第2の編集深さまで内方に延びる前記解剖学的シェルの第2の部分を除去し、かつ、第2の編集深さに設けられた第2の新規表面領域であって、当該第2の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴を含むとともに選択された第2の領域に対応する、前記第2の新規表面領域を、第2の修正された解剖学的シェルに生成することによって、第2の修正された解剖学的シェルを生成する工程と、前記表示装置に、第2の修正された解剖学的シェルを出力する工程と、を備える方法。
【0019】
態様例17において、第1の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴は、血液プールに対応する電圧の大きさを表わす態様例16の方法。
態様例18において、第2の編集深さにおいて感知された電圧の少なくとも1つの徴は、心臓組織に対応する電圧の大きさを表わす態様例16の方法。
【0020】
態様例19において、第1の目標深さは、1ミリメートル以上5ミリメートル以下である態様例16の方法。
態様例20において、第2の目標深さは、第1の目標深さよりも小さい態様例19の方法。
【0021】
態様例21において、システムは、心臓の構造に関連する複数の信号を感知するマッピング・プローブと、少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号を含む複数の信号に対応する複数の第1のメッシュ・ポイントに交差する第1の表面を備える第1の解剖学的シェルを生成し、前記第1の表面が前記テスト・ポイントと交差しておらず、かつ、前記第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイントを選択し、前記第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定し、前記テスト・ポイントに対応する測定量の第2の値を判定し、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記測定量の勾配構造を演算し、前記勾配構造が条件を満たすか否かを判定し、複数の第2のメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を備える第2の解剖学的シェルであって、前記勾配構造が条件を満たす場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含む第2の解剖学的シェルを、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含まない第2の解剖学的シェルを生成する処理装置と、前記第2の解剖学的シェルを表示する表示装置とを備えるシステム。
【0022】
態様例22において、測定量は、心臓帯域外インピーダンス測定、単極の電極活性電圧測定、マッピング・プローブの接触力測定、および、位置ベースの心臓運動測定のうちの少なくとも1つを備える態様例21のシステム。
【0023】
態様例23において、解剖学的シェル編集用の処理装置ベースの方法は、少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号を含む複数の信号に対応する複数の第1のメッシュ・ポイントに交差する第1の表面を備える第1の解剖学的シェルを生成する工程と、テスト・ポイントを選択する工程と、前記第1の表面が交差しておらず、かつ、第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイントを選択する工程と、前記第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定し、前記テスト・ポイントに対応する測定量の第2の値を判定し、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記測定量の勾配構造を演算し、勾配構造が条件を満たすか否かを判定することによって、前記テスト・ポイントについてのテストを実施する工程と、複数の第2のメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を備える第2の解剖学的シェルであって、前記勾配構造が条件を満たす場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントがテスト・ポイントを含む第2の解剖学的シェルを、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントが前記テスト・ポイントを含まない第2の解剖学的シェルを生成する工程と、を備える方法。
【0024】
態様例24において、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、本方法は、前記第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置する追加的なテスト・ポイントを選択する工程と、前記追加的なテスト・ポイントに関連する前記テストを実施する工程と、をさらに備える態様例23の方法。
【0025】
態様例25において、前記テスト・ポイントの位置は、前記第1のメッシュ・ポイントにおける前記第1の表面に対する法線方向の反対側に配置されている態様例23の方法。
態様例26において、前記テスト隣地は、2ミリメートルの半径を有する球体である態様例23の方法。
【0026】
態様例27において、前記測定量は、心臓帯域外インピーダンス測定量、単極の電極活性電圧測定量、マッピング・プローブの接触力測定量、および、位置ベースの心臓運動測定量のうちの少なくとも1つを備える態様例23の方法。
【0027】
態様例28において、前記テストを実施する工程は、当該テスト・ポイントに対応する感知された電圧値を判定する工程と、前記感知された電圧値が電圧閾値を超えるか否かを判定する工程とをさらに備える態様例23の方法。
【0028】
態様例29において、前記勾配構造が条件を満たす場合であって、感知された電圧値が前記電圧閾値を超えているときには、複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含み、前記勾配構造が条件を満たさない場合、または、感知された電圧値が前記電圧閾値を超えていない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含まない態様例28に記載の方法。
【0029】
態様例30において、前記勾配構造が条件を満たすか否かを判定する工程は、当該勾配構造の絶対値が勾配閾値を超えているか否かを判定する工程を備える態様例23の方法。
態様例31において、プログラムコードを含有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ・プログラム・コードは、処理装置によって実行されるときに、それぞれが少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号を含む複数の信号に対応する複数の第1のメッシュ・ポイントに交差する第1の表面を備える第1の解剖学的シェルを生成する工程と、前記第1の表面が交差しておらず、かつ、第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイントを選択する工程と、前記第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定し、前記テスト・ポイントに対応する測定量の第2の値を判定し、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記測定量の勾配構造を演算し、前記勾配構造が条件を満たすか否かを判定し、複数の第2のメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を備える第2の解剖学的シェルであって、前記勾配構造が条件を満たす場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントがテスト・ポイントを含む第2の解剖学的シェルを、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントがテスト・ポイントを含まない第2の解剖学的シェルを生成する、テスト・ポイントについてのテストを実施する工程と、処理装置に実行させるコンピュータ・プログラム製品。
【0030】
態様例32において、前記勾配構造が条件を満たさない場合には、前記コンピュータ・プログラム・コードが処理装置によって実行される場合に、第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に位置する追加的なテスト・ポイントを選択する工程と、前記追加的なテスト・ポイントに関連する前記テストを実施する工程とを、前記処理装置に実行させる態様例31のコンピュータ・プログラム製品。
【0031】
態様例33において、前記テスト・ポイントの位置は、前記第1のメッシュ・ポイントにおける前記第1の表面に対する法線方向の反対側に配置されている態様例31のコンピュータ・プログラム製品。
【0032】
態様例34において、前記測定量は、心臓帯域外インピーダンス測定量、単極の電極活性電圧測定量、マッピング・プローブの接触力測定量、および、位置ベースの心臓運動測定量のうちの少なくとも1つを備える態様例31のコンピュータ・プログラム製品。
【0033】
態様例35において、前記テストを実施する工程は、当該テスト・ポイントに対応する感知された電圧値を判定する工程と、前記感知された電圧値が電圧閾値を超えるか否かを判定する工程とをさらに備え、前記勾配構造が条件を満たし、前記感知された電圧値が前記電圧閾値を超えている場合には、複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含み、前記勾配構造が条件を満たさず、または、前記感知された電圧値が電圧閾値を超えていない場合には、前記複数の第2のメッシュ・ポイントは、前記テスト・ポイントを含まない態様例31のコンピュータ・プログラム製品。
【0034】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらなる他の実施形態が、以下の詳細な説明から当業者に明らかになることとなり、詳細な説明は、本発明の例示目的の実施形態を示して説明している。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示目的のものとしてみなされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
開示されている主題は、さまざまな修正および代替的な形態を受け入れやすいが、特定の実施形態が、図面の中に例として示されており、詳細に下記に説明されている。しかし、その意図は、説明されている特定の実施形態に本発明を限定することではない。それとは対照的に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲の中に入るすべての修正例、均等物、および代替例をカバーすることが意図されている。
【0037】
「ブロック」という用語は、例示的に用いられる異なるエレメントを含意するために本明細書で使用され得るが、個々の工程の順序を明示的に参照していなければ、また、そのときを除いて、当該用語は、本明細書で開示されているさまざまな工程のなんらかの要件、または、当該工程間の特定の順序を暗示するものとして解釈されるべきではない。
【0038】
図1は、本発明の実施形態による、心臓の構造102をマッピングするためのマッピング・システム100の概略図である。本発明の全体を通して、「心臓の構造」という用語は、対象者の心臓のなんらかの部分、および隣接する構造部分の少なくともいずれか一方、たとえば、心内膜、心外膜、心臓全体、心内腔、心内腔の一部分、弁、冠状静脈洞およびその支流の少なくともいずれか1つ、冠状静脈洞の一部分およびその支流の一部分の少なくともいずれか1つ、肺動脈、他の周囲の血管系などの少なくともいずれか1つを意味し得る。本発明は、心臓の構造102をマッピングするためにマッピング・システム100を使用することを説明しているが、同様にまたは代替的に、マッピング・システム100の実施形態は、限定はされないが、腎臓、肺、脳、胆嚢、肝臓、脾臓、腸などを含む、他の臓器および生物学的な組織をマッピングするために使用され得る。
【0039】
システム100は、マッピング・プローブ14を含む。マッピング・プローブ14は、可撓性のあるカテーテル本体18を含む。心臓の構造102をマッピングするときに、医師または医療専門家は、カテーテル本体18の遠位端部を患者の心室(たとえば、心臓の左心室)の中へ挿入する。心臓の左心室が示されているが、代替的に、カテーテル本体18の遠位端部は、心臓の他の部分および周囲の血管系の少なくともいずれか一方、たとえば、左心房、右心房、または右心室、冠状静脈洞およびその支流、ならびに、肺動脈などの中に配備され得る。カテーテル本体18の遠位端部は、複数の電極構造体20を有している。図示されている実施形態では、電極構造体20は、開放した内部スペース22を形成するバスケットの形態をとっている。電極構造体20は、図示されている実施形態では、バスケットの形態をとっているが、これは、単なる例であり、他の電極構造体も利用され得る。たとえば、電極構造体は、アブレーション・カテーテル、診断カテーテルなどの少なくともいずれか1つに設けられている1つ以上の電極(たとえば、アブレーション電極、マイクロ電極、リング電極など)を含むことが可能である。
【0040】
図1に示されているように、電極構造体20は、複数の電極24を含む。電極24は、心臓の構造102を横断する電気信号を感知する。電気信号は、心臓の心内膜表面と、心内膜表面下方の心内腔との少なくともいずれか一方で感知され得る。本明細書で使用されているように、心内腔の内側のポイントにおいて感知される信号のマッピングされた特徴は、心内膜表面の下方にあるというように称される。すなわち、たとえば、マップが心内膜表面を表す解剖学的シェルを含み、観察者の視点から、内腔の内側に配置されているが、心内膜表面には配置されていないポイントは、マッピングされた表面の下方にあるように見えることとなるからである。
【0041】
それぞれの信号は、信号が感知された場所に対応するそれぞれの位置座標に関連付けられる。それぞれの電気信号は、それに限定されないが、所定の期間にわたる電圧の大きさ、活性化信号、および、活性化信号の変化を含むことが可能である。それぞれの位置座標のそれぞれは、3次元のデカルト座標、や極座標などの少なくともいずれか1つを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、他の座標系も使用され得る。いくつかの実施形態では、任意の原点が使用され、それぞれの位置座標は、任意の原点に対する空間の中の位置を表している。いくつかの実施形態では、信号は、心内膜表面で感知され、および、心内膜表面によって囲まれた内腔の中で感知され得るので、それぞれの位置座標は、患者の心臓の心内膜表面と、心内膜表面の下方との少なくともいずれか一方にあり得る。
【0042】
電極24は、処理装置32に電気的に接続されている。すなわち、バスケット構造体20の上のそれぞれの電極24は、有線接続や無線接続を介して、処理装置32に通信可能に連結され得る。有線接続が存在している実施形態では、それぞれの電極からのワイヤ(図示せず)は、マッピング・プローブ14のカテーテル本体18を通って延びて、それぞれの電極24を処理装置32に電気的に接続する。無線接続が存在している実施形態では、送信機(図示せず)が、マッピング・プローブ14の中に含まれ、バスケット構造体20のそれぞれの電極24から、処理装置32に接続されている受信機(図示せず)へ、感知された信号を送信することが可能である。
【0043】
感知されたポイントが、電極24から処理装置32によって受信されると、処理装置32は、感知された信号を処理する。処理装置32は、メモリ34に記憶されている解剖学的シェル編集指示36にしたがって、感知されたポイントを処理する。処理装置32は、電気的な処理装置、ソフトウェア・処理装置、汎用マイクロ処理装置、および/または専用マイクロ処理装置であるか、それらを含むか、または、それらに含まれることが可能であり、また、単独の処理装置、または、複数の処理装置もしくはコアのうちの1つを含むことが可能である。処理された信号は、表示装置40の上に表示される。表示装置40は、それに限定されないが、以下の表示装置、すなわち、陰極線管(CRT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、または液晶表示(LCD)ディスプレイのうちの1つを含むことが可能である。
【0044】
メモリ34は、揮発性のメモリおよび/または不揮発性のメモリの形態であることが可能であり、また、リムーバル、ノンリムーバル、または、それらの組み合わせであり得る。媒体の例は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、電子的に消去可能なプログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、光学的な媒体またはホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ、もしくは他の磁気ストレージ・装置、データ送信、および/または、情報を記憶するために使用され得、また、処理装置32によってアクセスされ得る、任意の他の媒体、たとえば、量子状態メモリなどを含む。マッピング・指示36は、さまざまな言語、開発キット、フレームワークなどを含む、任意の数の異なるプログラミング環境を使用して、メモリ34の上でプログラムされ得る。本明細書で企図される機能性のうちのいくつかまたはすべては、同様にまたは代替的に、ハードウェアおよび/またはファームウェアの中に実装され得る。
【0045】
処理装置32、メモリ34、および表示装置40は、直接的におよび/または間接的に、バス42によって一緒に接続され得る。また、任意の数の追加的なコンポーネント、異なるコンポーネント、および/または、コンポーネントの組み合わせが、バス42を介して、処理装置32、メモリ34、および表示装置40に接続され得る。バスは、1つ以上のバスであり得るものを表している(たとえば、アドレス・バス、データ・バス、または、それらの組み合わせなど)。
【0046】
図1に示されている例示目的のマッピング・システム100は、本発明の実施形態の使用または機能性の範囲についての限定を示唆することを意図していない。例示目的のマッピング・システム100は、任意の単一のコンポーネント、または、ここで図示されているコンポーネントの組み合わせに関連する任意の依存性または要件を有するものとして解釈されるべきではない。追加的に、
図1に示されているさまざまなコンポーネントは、実施形態では、ここで示されている他のコンポーネント(および/または、図示されていないコンポーネント)のうちのさまざまな1つと一体化され得、そのすべてが、本発明の範囲の中にあると考えられる。たとえば、メモリ34は、処理装置32と一体化され得る。
【0047】
図2は、本発明の実施形態による、
図1のシステム100に関連した使用のためのマッピング・プローブ14の概略図である。マッピング・プローブ14は、可撓性のあるカテーテル本体18を有しており、その遠位端部は、マッピング電極24を含む3次元のバスケット構造体20を担持している。上述のように、マッピング電極24は、心臓の構造の信号を感知し、感知された信号は、有線接続または無線接続を介して、処理装置32に送られる。処理装置32は、感知された信号を処理し、たとえば、下記の
図3に対応する説明の中にあるように、マップが作成される。作成されるマップの類型は、それに限定されないが、以下のもの、すなわち、電圧マップ、活性化マップ、分別(fractionation)マップ、速度マップなどを含み得る。
【0048】
バスケット構造体20は、ベース部材41と端部キャップ42とを備え、両者間に、可撓性のスプライン44が、概ね円周方向に間隔を隔てて配置された関係で延びている。既述のように、バスケット構造体20は、開放した内部スペース22を形成するバスケットの形態をとっている。実施形態では、スプライン44は、弾性的な不活性材料、たとえば、ニチノール(登録商標)金属またはシリコーン・ゴムなどから形成されており、また、弾性的な予備張力の掛けられた条件で、湾曲して組織表面への接触をなじませているように、ベース部材41と端部キャップ42との間に連結されている。図示されている実施形態では、8つのスプライン44が、3次元の構造体20を形成している。他の実施形態では、追加的なまたはより少ないスプライン44が使用され得、3次元の構造体20は、任意の数の異なる形状、たとえば、概ね球形の形状、概ね楕円形の形状、概ね涙滴の形状などに模して構成され得る。図示されているように、それぞれのスプライン44は、8つのマッピング電極24を担持している。追加的なまたはより少ないマッピング電極24が、3次元の構造体20の他の実施形態において、それぞれのスプライン44の上に設けられ得る。図示されている実施形態では、3次元の構造体20は、比較的に小さい(たとえば、直径が40mm以下)。実施形態では、3次元の構造体20は、より大きくなっている(たとえば、直径が40mm以上)。
【0049】
実施形態では、スライド可能なシース50は、カテーテル本体30の主軸線に沿って移動可能である。シース50を前方に(すなわち、遠位端部に向けて)移動させると、シース50を3次元の構造体20上に移動させ、構造体20を潰して心臓等の内部スペースに導入するのに適した小型で低い形状にする。それとは対照的に、シース50を後方へ(すなわち、近位端部に向けて)移動させることは、3次元の構造体20を露出させ、構造体20を弾性的に拡張させ、
図2に示す予備張力の掛けられた位置をとることを可能にする。3次元の構造体20の実施形態のさらなる詳細は、たとえば、「複数の電極支持構造体」という標題の米国特許第5,647,870号明細書に開示されており、その全体を本願明細書に援用する。
【0050】
マッピング・プローブ14が有線接続を使用する実施形態では、信号ワイヤ(図示せず)が、それぞれのマッピング電極24に電気的に接続され得る。ワイヤは、マッピング・カテーテ
ルの本体30を通ってハンドル54の中へ延びることが可能であり、ハンドル54の中で、外部コネクタ56に接続され得、外部コネクタ56は、たとえば、複数のピン・コネクタであり得る。コネクタ56は、マッピング電極24を処理
装置32に電気的に接続する。マッピング・カテーテルによって生成される信号を処理するためのマッピング・システムおよび方法についてのさらなる詳細は、たとえば、「複数電極構造体の中の移動可能な電極エレメントをガイドするためのシステムおよび方法」という標題の米国特許第6,070,094号明細書、「心臓マッピングおよびアブレーション・システム」という標題の米国特許第6,233,491号明細書、および、「登録された体腔のマップを改良するためのシステムおよびプロセス」という標題の米国特許第6,735,465号明細書において説明されており、それらの開示を、本願明細書に援用する。
【0051】
他の電極構造体が、マッピング・カテーテルの遠位端部の上に配備され得るということが留意される。複数のマッピング電極24が、たとえば、
図2に示されている単一のマッピング・プローブ14というよりもむしろ、2つ以上の構造体の上に設けられ得るということがさらに留意される。たとえば、複数のマッピング構造体によって左心房の中をマッピングする場合には、複数のマッピング電極を担持する冠状静脈洞カテーテルと、左心房の中に位置決めされる複数のマッピング電極を担持するバスケット・カテーテルとを含む構成体が、使用され得る。別の例として、複数のマッピング構造体によって右心房中をマッピングする場合には、冠状静脈洞の中に位置決めするための複数のマッピング電極を担持するデカポーラ・カテーテルと、三尖弁輪の周りに位置決めするための複数のマッピング電極を担持するループ・カテーテルとを含む構成体が、使用され得る。
【0052】
マッピング電極24は、マッピング・プローブ14などのような専用マッピング・プローブによって担持されるものとして説明されてきたが、マッピング電極は、マッピング専用でないプローブまたは多機能プローブの上に担持され得る。たとえば、アブレーション・カテーテルが、カテーテル本体の遠位端部の上に設けられ、信号処理
装置32に連結されている1つ以上のマッピング電極24を含むように構成され得る。
【0053】
図3は、本発明の実施形態による、調節可能な深さ解剖学的シェル編集用の処理装置ベースの方法300のフロー・ダイアグラムである。方法300の実施形態は、マッピング・システム(たとえば、
図1に示されているマッピング・システム100)によって、全体的にまたは部分的に実施され得る。方法300は、心臓の構造の第1の解剖学的シェルを表示装置に出力することを含む(ブロック302)。第1の解剖学的シェルは、複数のポイントにおいて、心臓の構造に関連付けられる複数の電圧の説明を含み、複数の電圧は、マッピング・プローブによって感知される。実施形態では、マッピング・プローブは、
図1および
図2において既述のマッピング・プローブ14と同じまたは同様の性質を有することが可能である。実施形態では、心臓の構造は、それに限定されないが、左心房の一部分、右心房の一部分、左心室の一部分、右心室の一部分、冠状静脈洞の一部分およびその支流の一部分の少なくともいずれか一方、他の周囲の血管系の一部分、または、左心房、右心房、左心室、右心室、冠状静脈洞およびその支流、もしくは周囲の血管系の完全な内腔を含むことが可能である。
【0054】
マッピング・プローブによって感知された複数の電圧のそれぞれは、3次元位置座標対応のセットを有している。感知された電圧に関する3次元の位置座標は、電圧が感知されたポイントとして参照される。いくつかの実施形態では、ポイントは、デカルト座標で表され得る。しかし、他の座標系も使用され得る。いくつかの実施形態では、任意の原点が使用され、ポイントは、任意の原点に対して定義される。いくつかの実施形態では、ポイントは、不均一な間隔を有しているが、他の実施形態では、ポイントは、均一な間隔を有している。実施形態では、感知された電圧に対応するポイントは、心臓の心内膜表面と心臓の心内膜表面の下方との少なくともいずれか一方に配置され得る。
【0055】
実施形態では、解剖学的シェルは、少なくとも部分的に、電気信号に基づいて生成され得る。シェルは、少なくとも部分的に、任意の数の他の信号、技法などを使用して生成され得る。たとえば、実施形態は、シェルを生成するために、インピーダンス・マッピング技法を利用し得る。いくつかの実施形態では、表面は、電気信号に関連付けられたポイントのうちの1つ以上に合致され、心内膜表面を表すシェルを生成することが可能である。いくつかの実施形態では、心内膜表面に対応するポイントにおける電気信号の1つ以上の特性が、当該心内膜表面のマップの中に含まれ得る。たとえば、実施形態は、たとえば、電圧、活性化電圧の大きさ、信号シャープネスなどのような、電気信号から抽出される特性を表す、シェルの脚注を表示することを含むことが可能である。別の例として、表面は、電気信号に関連付けられたポイントの1つ以上に合致され、心外膜表面または他の興奮性の心臓組織を表すシェルを生成することが可能である。
【0056】
表示装置に出力される例示目的の第1の解剖学的シェル400Aのイメージが、
図4Aに示されている。異なる灰色の陰影は、マッピング・プローブによって感知された異なる電圧に対応している。より具体的には、第1の部分402、第2の部分404、第3の部分406、および第4の部分408は、異なるそれぞれの電圧の大きさ(または、電圧の大きさの範囲)をそれぞれ有している。第1の部分402は、第2の部分404よりも高い電圧の大きさを有しており、第2の部分404は、第3の部分406よりも高い電圧の大きさを有しており、第3の部分406は、第4の部分408よりも高い電圧を有している。
【0057】
また、方法300の実施形態は、ユーザ入力装置から第1の解剖学的シェルの領域の選択を受信することを含む(ブロック304)。選択を行うために使用されるユーザ入力装置は、マウス、タッチスクリーンなどを含むことが可能であり、それは、表示装置によって提供されるユーザ・インターフェースに提供される選択ツールを操作するために使用される。選択ツールは、たとえば、ブラシ、選択される領域の周りに自由形式の形状を描くことによってその領域を囲むためのカーソル、拡張可能な多角形選択ツールなどを含むことが可能であり、また、実施形態では、複数の随意的な選択ツールから選択され得る。実施形態では、選択ツールは、調節可能なサイズと、挙動と、その他の性質との少なくともいずれか1つを有することが可能である。このように、たとえば、使用者は、所望の選択ツールおよびそのサイズを選択することが可能である。解剖学的シェルの表面の領域を選択することは、たとえば、カーソルを操作するためにマウスもしくはタッチスクリーン・装置を使用して、解剖学的シェルの表面の領域を丸で囲むこと、ブラシを操作するために
ユーザ入力装置を使用して、表面の領域をブラッシングすることなどを含むことが可能である。
【0058】
図4Aを参照して、たとえば、選択領域410Aが示されている。選択領域410Aは、3つの領域、すなわち、第1の領域402A、第2の領域404A、および第3の領域406Aを含み、それらは、異なる電圧の徴をそれぞれ有している。異なる電圧は、たとえば、異なる色、陰影、材質感などを使用して表示され得る。第1の領域402Aは、領域402と同じ電圧を有しており、領域402は、第2の領域404Aの電圧よりも高くなっており、第2の領域404Aは、領域404と同じ電圧を有している。そして、第2の領域404Aは、第3の領域406Aよりも高い電圧を有しており、第3の領域406Aは、領域406と同じ電圧を有している。3つの領域402A、404A、406Aにおいて感知された異なる電圧の大きさから、使用者は、選択領域410Aの中の電圧の大きさのすべてをシステムが正確に表示してはいないということを判定することが可能である。とりわけ、たとえば、使用者は、第2の領域404Aおよび第3の領域406Aが第1の領域402Aにより近い電圧の大きさを有するべきであるということを判定することが可能である。代替的にまたは追加的に、心臓の生体構造に詳しい使用者は、解剖学的シェル400Aが正確に表されていないということを認識することが可能である。その理由は、たとえば、使用者は、心室が、第2の領域404Aおよび第3の領域406Aの近くに
、シェル400Aの上に表示されていない内部突出部を有していることを知って
いるからである。しかし、本明細書で提供される実施形態を用いることによって、解剖学的シェル400Aは、下記に説明されているように、より正確に心臓の構造を表示するように編集され得る。
【0059】
また、いくつかの実施形態では、方法300は、
ユーザ入力装置から、解剖学的シェルの表面の領域の選択に対する修正を受信することを含むことが可能である。修正を受信することに応答して、解剖学的シェルの表面の領域の修正された選択がなされ得る。選択を修正することができるということは、大き過ぎるまたは小さ過ぎる領域を選択した使用者にとって、累積的な選択を容易にするために、より正確な選択を容易にするためなどに、有用である可能性がある。実施形態では、選択に対する修正は、選択の目標深さに対する修正、選択された表面の領域のサイズに対する修正などを含むことが可能である。たとえば、実施形態では、修正は、解剖学的シェルの表面の追加的な領域の選択を含むことが可能である。上述した一部分を選択するのと同様に、マウス、タッチスクリーンなどが、選択を修正するために使用され得る。実施形態では、選択された部分を修正することは、選択領域を選択解除し、次いで、領域を再選択することを含むことが可能である。実施形態では、選択を修正することは、選択の境界を変更することによって選択を修正することを含むことが可能である。実施形態では、たとえば、選択領域の境界線の一部分の上をクリックすることによって、および、境界線の選択された部分を新しい場所へドラッグすることによって、これが行われ得る。
【0060】
また、方法300の実施形態は、ユーザ入力装置から選択領域に関する目標深さを受信することを含む(ブロック306)。受信された目標深さを使用することにより、選択領域410Aは、目標深さに基づくとともに解剖学的シェル400Aの輪郭に従う、編集深さまで除去され得る。実施形態では、除去される部分は、表面の選択領域(または、修正された選択領域)を含み、編集深さまで内方に延びている。編集深さは、少なくとも1つの有限深さを含むことが可能であり、また、編集深さは、解剖学的シェルの表面の輪郭に対応して変化することが可能である。すなわち、たとえば、編集深さは、解剖学的シェルの表面に垂直の軸線に沿った、解剖学的シェルの表面のポイントと解剖学的シェルの表面から内向きの(すなわち、表面の下の)ポイントとの間の距離であり得る。その様式で、編集深さは、表面の輪郭とともに変化することが可能である。
【0061】
実施形態によれば、編集深さは、調節可能および/または選択可能である。すなわち、たとえば、使用者は、ユーザ・インターフェースを介して、目標深さを入力および/または選択することが可能であり、編集深さが、選択領域の中のそれぞれのポイントに対応して、少なくとも目標深さにおおよそ等しくなり得るようになっている(たとえば、目標深さに等しい、目標深さの少なくとも.1ミリメートル以内、目標深さの少なくとも.5ミリメートル以内、目標深さの1ミリメートル以内など)。実施形態では、目標深さは、1ミリメートル未満、1ミリメートル以上10ミリメートル以下、1ミリメートル以上5ミリメートル以下などであり得る。
【0062】
実施形態では、方法300は、領域410Aが選択された後に、領域410Aが選択される前に、または、解剖学的シェル400Aが表示されている間のいずれかの時間に、ユーザ入力装置から表示されている解剖学的シェル400Aを回転させるための命令を受信することを含み得る。方法300は、命令に基づいて第1の解剖学的シェルの回転させられた図を生成することを含むことが可能である。実施形態では、解剖学的シェル400Aは、いずれかの方向に回転させられ得る。追加的に、たとえば、ズーム、パン(平行移動)、反転などのような、表示されているイメージを調節する任意の数の他の方法が用いられ得る。追加的に、任意の数の異なる色、材質感などが、たとえば、解剖学的構造、電圧の大きさ、信号シャープネス、活性電圧の大きさ、活性伝播などのような、さまざまな表示されている特性を表すために実装され、調節され、および/または選択され得る。
【0063】
実施形態では、方法300は、ユーザ入力装置から修正された解剖学的形状を生成するための命令を受信することを含むことが可能である(ブロック308)。つまり、領域410Aが選択されると、修正された形状を自動的に生成する代わりに、処理装置ベースの方法は、修正された解剖学的形状を生成するための命令を使用者が入力するまで待機する。これは、選択領域410Aが、使用者が選択することを意図したものであるかどうかを判定するために有用である可能性がある。また、本発明の実施形態は、選択領域に基づいて、修正された解剖学的形状を自動的に生成することを含む。
【0064】
また、方法300の実施形態は、選択された部分に関する略有限深さにおいて、マッピング・プローブによって感知された少なくとも1つの電圧を含む、修正された(第2の)解剖学的シェルを生成することを含む(ブロック310)。すなわち、実施形態では、選択された部分410Aが、略有限深さにおいてマッピング・プローブによって感知された電圧を表示していることを除き、修正された解剖学的シェルは、第1の解剖学的シェル400Aと同じ形状および電圧を有している。実施形態では、修正された解剖学的シェルは、形状が変更され、構造部分、構造体などの存在または不在を示すことが可能である。実施形態では、選択領域は、修正された解剖学的シェルにおいて、編集深さまで除去され得るのであり、新規表面領域が編集深さにおいて生成され、当該新規表面領域に、それぞれの電圧値が表示されている。修正された解剖学的形状が生成された後に、方法300の実施形態は、修正された解剖学的シェルを表示装置に出力することを含む(ブロック312)。表示装置は、
図1の表示装置40と同じ特性のうちのいくつかまたはすべてを有することが可能である。
【0065】
表示装置に出力される例示的な修正された解剖学的シェル400Bのイメージが、
図4Bに示されている。図示のように、修正された解剖学的シェル400Bの選択領域410Bは、第1の解剖学的シェル400Aの選択領域410Aとは異なる電圧の大きさを有している。とりわけ、選択領域410Bは、ここで、第4の領域408と同じ電圧の大きさを有する領域408Bおよび第3の領域406と同じ電圧の大きさを有する領域406Bを含む。実施形態では、使用者および処理装置(たとえば、
図1に示されている処理装置32)の少なくともいずれか一方は、領域406B、408Bがそのような低い電圧の大きさを有しているので、当該領域406B、
408Bが血液プールに対応している可能性が高い、と判定することが可能である。つまり、領域406B、408Bは、血液プールにおいて感知された電圧の大きさに概ね対応する電圧の大きさを有しているので、使用者は、たとえば、選択された目標深さが深過ぎた可能性が高いということを判定することが可能である。結果として、諸実施形態における方法300は、修正された解剖学的シェルの生成を元に戻し、第1の解剖学的シェルを再生成するために、ユーザ入力装置から命令を受信することを含むことが可能である(ブロック314)。第1の解剖学的シェルが生成された際に、当該第1の解剖学的シェルは、使用者が視認できるように表示装置に出力され得る。
【0066】
修正された解剖学的シェル400Bの生成を元に戻すことを使用者が選んだ後に、次いで、使用者は、選択領域410Aの境界を増加もしくは減少させること、または、選択領域410Aの深さを変化させることのいずれかによって、選択領域410Aを修正することが可能である。
図4Aから
図4Dに示す例では、目標深さが修正された。別の(第3の)修正された解剖学的シェル400Cは、
図4Cに示されているように、修正された選択(たとえば、修正目標深さ)を使用して作成され得る。図から看取されるように、より高い電圧の大きさが、選択領域410Cの中に含まれている。とりわけ、領域402Cは、第1の領域402と同じ電圧の大きさを有しており、領域404Cは、第2の領域404と同じ電圧の大きさを有している。
【0067】
図4Dは、選択領域410Cを示す修正された解剖学的シェル400Cの別の回転させられた図である。この回転に起因して、使用者は、受信された修正目標深さが、第1の解剖学的シェル400Aおよび修正された解剖学的シェル400Bよりも実際の心室に形状が近い可能性の高い、修正された解剖学的シェル400Cを結果として生じさせたということを言うことが可能である。他方では、いくつかの有限深さが試され、それが、
図4Aの選択された部分410Aの電圧の大きさを改善させなかった場合には、医師は、選択された部分410Aが病気にかかっており、理想的な電圧活性化よりも低い値を示していると発言し得る。このように、医師または他の医療専門家は、表示される特徴の向上した精度に起因して、この心室により良好にいずれかの必要な心臓治療を施すことが可能である。
【0068】
電圧ガイド式の解剖学的シェル編集のユーザ指向型の方法の実施形態が既述のが、本発明の実施形態は、自動化された解剖学的シェル編集を含む。実施形態では、たとえば、処理装置(たとえば、
図1に示されている処理装置32)は、生成された解剖学的シェルの心内膜表面の下のポイントをテストするように構成されており、解剖学的特徴がそこに存在しているかどうかを判定し、さまざまなポイントおよび深さにおいて電圧の大きさを判定することなどが可能である。実施形態では、処理装置は、たとえば、電圧の大きさ、活性化電圧の大きさ、信号シャープネス、心臓帯域外インピーダンス測定、マッピング・プローブの接触力測定、位置ベースの心臓運動測定などのような、任意の数の異なる測定量を利用するように構成され得る。測定量の値は、任意の数のさまざまなアルゴリズムの中で利用され、内部構造体などを識別することが可能である。
【0069】
実施形態では、上記に列挙されているものなどのような、選ばれた測定量(または、諸測定量)は、組織への近似性が意味のある外れ値と一致し、インテリジェントな注釈および集計を可能にする挙動を示す傾向があり得る。また、測定量は、当該測定量を示すいくつかの量の組み合わせであり得る。実施形態では、測定量は、R
3→R関数であることが可能であり、測定量が測定されたすべてのポイントに関して、三次元位置がスカラー値と同様に記録されるようになっている。
【0070】
実施形態では、測定量は、特定のポイント(たとえば、テスト・ポイント)における電極(およびマッピング・プローブの少なくともいずれか一方)と心臓の構造との間の接触の可能性、近似性、および程度の少なくともいずれか1つが判定され得るように選択され得る。たとえば、電極(およびマッピング・プローブの少なくともいずれか一方)と心臓の構造との間の接触の可能性、近似性、および程度の少なくともいずれか1つを判定することによって、生成された解剖学的シェルが心臓の構造の実際の形状の変形したバージョンであるか否かを判定することが可能である。たとえば、測定量の実施形態によって示されるプロファイルについての観察が、
図5に具現化されている。
図5は、本発明の実施形態による、電極(およびマッピング・プローブの少なくともいずれか一方)と心臓の構造との間の接触の可能性、近似性、および程度の少なくともいずれか1つを判定するための技法をモデル化するために使用され得る測定量502のグラフ500である。
【0071】
図5に図示されているように、測定量に対応する一般的な数学的モデルは、たとえば、下記であり得る。
【0072】
【数1】
ここで、dは、心臓の構造からの測定された信号の場所の距離であり、εは、第1の閾値であり、δは、第2の閾値である。同様に、
【0073】
【数2】
すなわち、システムの実施形態は、勾配の中にある情報を利用することが可能である。たとえば、血液プールの中で(たとえば、接触不足のケースにおいて)、測定量の値は、何らかの低い平均の辺りで概ね均一になっていると考えられ得、逆に、接触過剰に関して、値は、何らかの高い平均の辺りで概ね均一になっていると考えられ得る。心内膜表面は、縦軸の近く(または、たとえば、縦軸のε以内)にあると考えられ得る。この1次元のモデルは、密度による線形化が仮定される場合には、たとえば、空間的量子化によって、三次元に拡張され得る。すなわち、たとえば、同様に一般化された三次元勾配によって説明される、一般化された三次元ケースを、選択されたポイントのセットの間で取られる線形勾配のセットまで低減させることが可能である。
【0074】
たとえば、マッピング電極と心臓の構造との間の接触の好適な量(または、可能性)が存在するときには、マッピング電極が心臓の構造と接触していないか、または、(たとえば、接触過剰の状況において)マッピング電極が心臓の構造を膨出させているかのいずれかのときの測定量502の勾配よりも、測定量502の勾配が大きくなり、閾値を超えるように、測定量502は選ばれ得る。実施形態では、感知された電気信号は、
図5の測定量502の特性を示すことが可能であるとともに、測定量となるように選択され得る。また、実施形態では、測定量となるように選択される感知された電気信号は、それに限定されないが、心臓帯域外インピーダンス測定量、単極の電極活性電圧測定量、マッピング・プローブの接触力測定量、および、位置ベースの心臓運動測定量のうちの1つ以上を含むことが可能である。
【0075】
図6Aから
図6Cを参照して、たとえば、電極602Aから602Cと心臓の構造604Aから604Cとの間の接触の3つの類型が図示されている。実施形態では、電極602Aから602Cは、2つ以上の電極、マッピング・プローブ、カテーテル先端部などを表すことが可能である。明確化の目的のために、説明は、電極に言及することとなるが、この説明は、本発明の実施形態の範囲を限定することを意味するものではなく、また、同様の説明が、複数の電極、マッピング・プローブ、カテーテルなどに適用可能であり得るということが理解されるべきである。この例に関しては、マッピング・プローブによって感知される最も外側のポイントと交差する第1の表面を有する解剖学的形状が生成され、測定量は、感知された電圧である、と推定する。
【0076】
図6Aを参照して、電極602Aは、この実施形態では、感知されたポイント606Aにおいて、望ましい量の心臓の構造604Aとの接触を有している。とりわけ、電極602Aは、感知されたポイント606Aにおいて、心臓の構造604Aに接触しているが、心臓表面604Aに押し当てておらず、また、それを変形させていない。したがって、この類型の心臓の構造604Aとの接触を有するマッピング電極602Aによって感知される信号に基づいて生成される解剖学的シェルは、感知されたポイント606Aにおける心臓の構造604Aの実際の形状に非常に近似し得る。すなわち、たとえば、感知されたポイント606Aは、解剖学的シェルの表面またはメッシュの上のポイントとして表示するための適切なポイントとして判定し得る。
【0077】
実施形態によれば、感知されたポイント606Aが適切な表面ポイントであるか否かを判定するために、既述の1つ以上の測定量の勾配に基づくテストが、テスト・ポイント610Aに関して実施され得る。とりわけ、感知されたポイント606Aの位置のテスト隣地内に位置するテスト・ポイント610Aが選択され得る。感知されたポイント606Aは、マッピング・プローブによって感知される最も外側のポイントのうちの1つであるので、テスト・ポイントは、感知されたポイント606Aに関する心臓の構造表面604Aの下方に配置されることとなる。感知されたポイント606Aは、心臓の構造の表面
604Aにあるので、表面604Aの下方に配置されているいずれかのポイントが、心臓の構造604Aの血液プール608Aの中に配置されている可能性がある。血液は、一般的に、心臓の構造604Aの表面(たとえば、心内膜)で感知されるものよりも明確に低い電圧を示す。血液の中で測定される電圧は、一般的に、心臓の構造604Aの表面で測定される電圧よりも明確に低いので、感知された電圧の2つの値(すなわち、感知されたポイント606Aにおける測定量の値と、テスト・ポイント610Aにおける測定量の値)の間に、急な勾配が存在し得る。勾配が閾値を超える場合には、感知されたポイント606Aが心臓の構造604Aの表面の閾値距離の中に配置されているということが判定し得る。
【0078】
図6Bを参照して、電極602Bは、この実施形態では、心臓の構造604Bに接触しているが、心臓の構造604Bを押圧し、変形させている。したがって、心臓の構造604Bに対し、この類型の接触を有するマッピング電極602Bが感知した信号に基づいて生成される解剖学的シェルは、感知されたポイント606Bにおける心臓の構造604Bの実際の形状よりも大きい解剖学的シェルを作り出すこととなる。換言すれば、感知されたポイント606Bは、表面604Bによって交差されるべき適切なポイントではない可能性がある。生成された解剖学的シェルが、感知されたポイント606Bにおける心臓の構造604Bの実際の形状の変形した形状であるか否かを判定するために、既述のような測定量を使用して、テスト・ポイント610Bに関するテストが実施され得る。
【0079】
実施形態では、電極602Bが心臓の構造604Bの表面に触れているかどうかについて、判定が行われ得る。すなわち、電極602Bが心臓の構造604Bの表面に触れているので、感知されたポイント606Bが血液プール608Bの中の電圧を感知しているとした場合よりも明らかに高い電圧が、感知されたポイント606Bにおいて感知されることとなる。したがって、電極602Bは、心臓の構造604Bの表面に触れているということが判定され得る。追加的にまたは代替的に、力感知測定量、インピーダンス測定量などの少なくともいずれか1つが、電極602Bが心臓の構造604Bの表面に接触しているか否かを判定するために利用され得る。実施形態では、この判定を行った後に、テストが実施され得る。
【0080】
とりわけ、感知されたポイント606Bのテスト隣地内に配置されているテスト・ポイント610Bが選択され得る。感知されたポイント606Bは、マッピング・プローブによって感知される最も外側のポイントのうちの1つであるので、選択されたポイントは、感知されたポイント606Bに関する心臓の構造604Bの表面の下側に配置されることとなる。感知されたポイント606Bが心臓の構造604Bの表面を膨出させているので、適切な信号の密度がマッピング・プローブによって感知されたと仮定した上で、テスト・ポイント610Bおよび対応する電圧が、たとえば、(
図6Aに示されている構成と同様に)心臓の構造604Bの表面に適正に触れており、心臓の構造604Bの表面を膨出させていないと認識される場合がある。つまり、テスト・ポイント610Bが感知されたポイント606Bの電圧と同様の電圧を有する場合があり、2つの値に関する勾配が閾値を超えない場合がある。この例では、テスト・ポイント610Bは、解剖学的シェルの表面が交差するポイントのセットの感知されたポイント606Bと交換され得る。その理由は、感知されたポイント606Bにおいて感知された電圧によって判定した際に、勾配が閾値を超えないためであり、さらに、感知されたポイント606Bが心臓の構造604Bの表面に触れているためである。感知されたポイント606Bをテスト・ポイント610Bと交換することによって、解剖学的シェルは、心臓の構造604Bの実際の形状をより正確に表すことが可能である。
【0081】
図6Cを参照して、電極602Cは、この実施形態では、心臓の構造604Cに接触していない。したがって、この類型の心臓の構造604Cとの接触を有するマッピング電極602Cによって感知される信号に基づいて生成される解剖学的シェルは、この感知されたポイント606Cにおける心臓の構造604Cの実際の形状よりも小さい解剖学的シェルを作り出す可能性がある。生成された解剖学的シェルが、感知されたポイント606Cにおける心臓の構造604Cの実際の形状の変形した形状であるか否かを判定するために、既述のような測定量を使用して、テスト・ポイント610Cに関して、テストが実施され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、テストを実施する前に、電極602Cが心臓の構造604Cの表面に触れているかどうかについての判定が実施され得る。すなわち、電極602Cが、血液プール608Cの中に配置されており、心臓の構造604Cの表面に触れていないので、感知されたポイント606Cが心臓の構造604Cの表面に触れているとした場合よりも明らかに小さい電圧が、感知されたポイント606Cにおいて感知され得る。追加的にまたは代替的に、力感知測定量、インピーダンス測定量などが、電極602Cが心臓の構造604Cの表面に接触しているか否かを判定するために利用され得る。したがって、電極602Cは、心臓の構造604Cの表面に触れていないということが判定され得る。実施形態では、電極60
2Cが心臓の構造604Cに触れていないという判定が行われるときに、テストは実施されなくてもよい。その代わりに、医師または他の医療専門家は、より徹底的に、感知されたポイント606Cの近くの心臓の構造604Cをマッピングすることを選ぶことが可能である。実施形態では、テストが実施される場合には、感知されたポイント606Cは心臓の構造604Cの表面にないということが判定され得る。その理由は、血液プールの中のテスト・ポイント610Bにおける電圧は、感知されたポイント606Cにおける電圧と同様であることとなり、したがって、測定量の勾配は、低くなり、閾値を超えないこととなるからである。
【0083】
実施形態では、処理装置32は、1つ以上の人工知能(すなわち、機械学習)技法、クラシファイアなどを使用することによって、そのアルゴリズムの精度を自動的に改善するように構成され得る。実施形態では、たとえば、処理装置は、たとえば、サポート・ベクター・マシン(SVM)、k−近傍技法、人工ニューラル・ネットワークなどのような、1つ以上の教師ありの技法および/または教師なしの技法を使用することが可能である。実施形態では、クラシファイアは、使用者からのフィードバック情報、他の測定量などを使用して、訓練および/または適合され得る。
【0084】
図7は、本発明の実施形態による、深さを調節可能な解剖学的シェル編集用の処理装置ベースの方法700のフロー・ダイアグラムである。方法700の実施形態は、マッピング・システム(たとえば、
図1に示されているマッピング・システム100)によって、全体的にまたは部分的に実施され得、それは、処理装置(たとえば、
図1に示されている処理装置32)を含むことが可能である。既述のように、実施形態では、生成される解剖学的シェルは、解剖学的シェルが、当該解剖学的シェルから生成される心臓組織の心内膜表面の実際の形状を正確に表さないポイント乃至セクションを含む可能性がある。方法700の実施形態は、生成される解剖学的シェルのさまざまなポイント乃至セクションが、マッピングされている心臓組織の実際の形状の正確な特徴であるか否かを判定することを容易にすることが可能である。方法700の実施形態は、メッシュ(および、たとえば、解剖学的シェルの表面)によって交差されるさまざまなポイントと関連付けられる電気的なデータ、ならびに、解剖学的シェルの表面の下のテスト・ポイント(たとえば、メッシュによって交差されないポイント)からの電気的なデータを使用し、心臓組織のマップをより正確に表すために、解剖学的シェルの表面がメッシュ・ポイントのうちの1つ以上の代わりに、テスト・ポイントのうちの1つ以上と交差すべきであるか否かを判定する。
【0085】
図7に示されているように、方法700は、それぞれが少なくとも1つのおのおのの感知された電気信号を含む複数の信号に対応する第1のセットのメッシュ・ポイントに交差する第1の表面を含む第1の解剖学的シェルを生成することを含む(ブロック702)。実施形態では、第1のセットのメッシュ・ポイントに対応する信号は、既述のマッピング・プローブ14と同じまたは類似の性質を有するマッピング・プローブを使用して感知され得る。それぞれのメッシュ・ポイントは、
図3に既述のように、それぞれのセットの位置座標を有している。実施形態では、第1のセットのメッシュ・ポイントのうちのあるメッシュ・ポイントは、空間の中のポイント、すなわちボクセルのいずれかであり得る。第1の解剖学的シェルの第1の表面は、メッシュ・ポイントのそれぞれの位置座標において、第1のセットのメッシュ・ポイントに適合させられ得る。実施形態では、第1のセットのメッシュ・ポイントは、マッピング・プローブによって感知される信号に対応するポイントのすべてのサブセットである。複数の第1のメッシュ・ポイントの中に含まれていない、マッピング・プローブによって感知されたポイントの少なくともいくつかは、下記に説明されているように、テスト・ポイントとして使用され得る。
【0086】
また、方法700は、第1の表面が交差していないテスト・ポイントを選択することを含む(ブロック704)。既述のように、方法700は、生成される解剖学的シェルの表面が第1のセットのメッシュ・ポイントのうちの第1のメッシュ・ポイントと交差すべきであるか否か、または、その代わりに、表面が別のポイント、たとえば、テスト・ポイントと交差すべきであるか否かを判定するために使用され得る。よって実施形態では、テスト・ポイントの選択は、第1のメッシュ・ポイントに基づく場合がある。すなわち、実施形態では、テスト・ポイントは、当該テスト・ポイントの位置が第1のメッシュ・ポイントの位置のテスト隣地内に配置されているか否かに基づいて選択され得る。テスト隣地は、実施形態では、その中心が第1のメッシュ・ポイントの位置に配置されている球体であることが可能であり、また、いくつかの所定の選択可能な半径および調節可能な半径(たとえば、2ミリメートル)の少なくともいずれか一方を有することが可能である。
【0087】
テスト・ポイントの位置は、生成される第1の解剖学的シェルの心内膜表面の下方に配置され得る。実施形態では、第1のメッシュ・ポイントにおけるメッシュの表面の法線の反対側方向に位置するテスト・ポイントが選択され得る。実施形態では、テスト・ポイントは、法線の反対側方向に配置されているマッピング・プローブによって感知される第1のメッシュ・ポイントのすべてのポイント位置の直近に位置し得る。このように、たとえば、生成される第1の解剖学的シェルが、マッピング・プローブによって感知される最も外側のポイントと交差し、また、解剖学的シェルの表面が、第1のメッシュ・ポイントの代わりにテスト・ポイントと交差すべきであるということが判定される場合には、解剖学的シェルの表面は、テスト・ポイントと交差するように内方に調節されることとなる。
【0088】
生成される解剖学的シェルが、第1のメッシュ・ポイントの代わりに、テスト・ポイントと交差すべきであるか否かを判定するために、方法700は、テスト・ポイントについてのテストを実施することを含む(ブロック706)。実施形態では、テストは、たとえば、
図8に関連して下記に説明されている工程、および/または、
図6Aから
図6Cに関連して既述の工程の実施形態などのような、複数の工程を含むことが可能である。なんらかの数の他のテスト、アルゴリズム、機械学習技法などは、メッシュがテスト・ポイントと交差するように調節されるべきであるか否かを判定するために使用され得る。
【0089】
テスト・ポイントについてのテストが実施された後に、方法700は、テストが合格したか否かを判定することを含む(ブロック708)。テストが合格した場合には、方法700は、テスト・ポイントを含む第2のセットのメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を含む第2の解剖学的シェルを生成することを含む(ブロック710)。実施形態では、テスト・ポイントは、第1のメッシュ・ポイントの代わりに置き換えられ得る。追加的に、実施形態では、システムは、補間および/または他のスムージング技法を実施し、テスト・ポイントの場所の周りの表面を滑らかにすることが可能である。実施形態では、方法700は、第1のセットのメッシュ・ポイントの中に含まれる他のメッシュ・ポイントに関して実施され得る。他方、テストが不合格の場合には、方法700は、テスト・ポイントを含まない第2のセットのメッシュ・ポイントと交差する第2の表面を有する第2の解剖学的シェルを生成することを含む(ブロック712)。実施形態では、第1のメッシュ・ポイントは、第2のセットのメッシュ・ポイントの中に含まれ得る。たとえば、第2のセットのメッシュ・ポイントは、このケースでは、第1のセットのメッシュ・ポイントと同一であり得る。
【0090】
既述のように、
図8は、本発明の実施形態による、テスト・ポイントについてのテストを実施するための例示目的の処理装置に実装された方法800を示すフロー・ダイアグラムである。方法800は、第1のメッシュ・ポイントに対応する測定量の第1の値を判定することを含む(ブロック802)。判定された測定量の第1の値は、第1のメッシュ・ポイントにおける測定量の大きさであり得る。たとえば、実施形態では、測定量の第1の値は、メッシュ・ポイントに対応する少なくとも1つの感知された電気信号の大きさであり得る。また、方法800は、テスト・ポイントに対応する測定量の第2の値を判定することを含む(ブロック804)。
【0091】
図8に示されているように、方法800は、また、前記第1の値および前記第2の値に基づいて測定量の勾配構造を演算することを含む(ブロック806)。実施形態では、勾配構造は、第1のメッシュ・ポイントとテスト・ポイントとの間の距離によって分割された、第1および第2の値の差であり得る。また、方法800の実施形態は、勾配構造が条件を満たすか否かを判定することを含む。実施形態では、勾配の値は、負の閾値などよりも低くなっている場合は、勾配構造の絶対値が閾値を超えるときに、条件が満たされ得る。
【0092】
【数3】
上記に示されているように、いくつかのマッピング・システムは、グリッド・ベースのデータ・集合体・スキームを利用することが可能である。そのようなシステムでは、それぞれの収集された電極/空間的記録に関して、実施形態は、事前判定された影響半径を確立することを含むことが可能であり、測定量が周囲のボクセルのセットに割り当てられるようになっている。ボクセルが2つ以上の電極獲得によって影響を受ける場合には、実施形態は、測定値を平均することを含むことが可能である。これは、組織形状および位置が、必ずしも時間の経過とともに変化するわけではないという哲学、および、結果的に、最後または第1のものだけではなく、すべての測定値が考慮されるべきであると想定され得るという哲学に基づくことが可能である。
【0093】
実施形態では、それ自身およびその近隣のものに関して割り当てられた有効な測定量を備えるそれぞれのボクセルviに関して、テストは、以下のクロス・ボクセル勾配を演算することを含むことが可能である。
【0094】
【数4】
を見出すことをさらに含むことが可能である。ここで、データ密度が十分な場合、この測定量は、勾配曲線、および、結果的に、いずれかの生成されるメッシュ・トライアングルについて、ボクセルの位置の良好な指示を提供し得る。実施形態では、システムは、同様にまたは代替的に、最大勾配の方向を考慮することが可能であり、それは、たとえば、2つの隣接するボクセルの間に形成されるベクトルとして表示され得る。
【0095】
上述した測定量の値の割り当てに基づいて、幾工程かの改良工程が行われ得る。実施形態では、改良工程は、変数、または、固定値、予め定められた設定値、調整値、選択値などの閾値に基づくことが可能である。たとえば、実施形態では、低い値を有するボクセルは、単純に消去され得る。実施形態では、他の表面全体が、標準的な再構築とともに示され、使用者がどの再構築のエリアが新しい表面にスナップするかを選択する既存のメッシュ生成アルゴリズムを使用して生成することができる(ISOレベルが、正規化された閾値として正規化されたグリッドに適用される)。
【0096】
実施形態では、獲得時の測定量のなんらかの形態の直接的な可視化は、心臓組織の短時間での近似性(たとえば、電気的に感知されている心臓帯域外インピーダンス値の平均)を示すために使用され得る。しかし、ある場合には、そのような実施形態は、なんらかの所与の瞬間的な測定量が、ある測定量にかかるプローブの近くのノイズ乃至他の周囲信号によって毀損している可能性があるために(たとえば、アブレーション・エネルギーの適用は、多くのそのような効果の原因となる)、いくつかの欠点を有する可能性がある。よって、実施形態では、改良された解剖学的シェルは、時間と空間とにわたって、上述した測定量のうちの1つ以上の集合体を利用して上述したような異常値を取り扱うことを可能にし、もって、心臓組織の形状および位置の正確な割り当てをもたらすこととしている。時間と空間とにわたって、上述した測定量のうちの1つ以上の集合体を、安定して信頼性が高いと一般的に考えられるプローブの獲得する位置とともに利用することにより、心臓組織に近似的な代替的表示が、改良された解剖学的シェルに近似的な演算によって生成され得る。諸実施形態は、上述した課題(すなわち、プローブの近くのノイズおよび他の周囲信号によって引き起こされる毀損の少なくともいずれか一方)を克服するために、単独で、または他の方法と組み合わせることにより、ノイズ乃至周囲信号の検出時に切換を判定することによって(たとえば、アブレーション・エネルギーの適用を検出することによって、または、獲得されるマッピング・プローブ信号のノイズの高められたレベルを感知することによって)、心臓組織の近似的な代替的表示を使用し得る。
【0097】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明されている例示的な実施形態に対して、さまざまな修正および追加が行われ得る。たとえば、既述の実施形態は、特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、および、説明されている特徴のすべてを含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、すべてのその均等物とともに、特許請求の範囲の中に入るものとして、そのような代替例、修正例、および変形例すべてを包含することが意図されている。