(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜
図6は、第1実施形態を示している。
図4〜
図6は、トラクタ1等の車両にフロント作業機2を装着した作業車3を示している。本実施形態では、フロント作業機2として、フロントドーザを例示している。
図4は、作業車3の側面図を示す。
図5は、作業車3の正面図を示す。
図6は、作業車3の平面図を示す。本発明の実施形態において、
図4及び
図6の矢印A1方向を前方、
図4及び
図6の矢印A2方向を後方、
図5及び
図6の矢印B1方向を左方、
図5及び
図6の矢印B2方向を右方として説明する。
【0021】
図4〜
図6に示すように、トラクタ(車両)1は、機体1Aと、機体1Aに装着された前輪4L,4Rと、機体1Aに装着された後輪5L,5Rとを有する。機体1Aの前部には、エンジンやラジエータ等が搭載されている。エンジン及びラジエータ等は、ボンネット6で覆われている。また、エンジンの後方の機体1Aには、変速装置が搭載されている。ボンネット6の後方には、ステアリングホイール7が設けられ、ステアリングホイール7の後方には、運転席8が設けられている。
【0022】
なお、
図5に示すように、機体1Aの前後に直交する方向である水平方向を機体幅方向X1として説明する。機体1Aの中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向X1であって機体1Aから離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向X1であって機体1Aに近づく方向である。
【0023】
図1〜
図6に示すように、フロント作業機2は、装着フレーム(フレーム)9L、9Rと、ホルダ10と、作業ユニット11とを有する。
装着フレーム9Lは、トラクタ1の左側に設けられ、装着フレーム9Rは、トラクタ1の右側に設けられている。
左の装着フレーム9Lは、取付プレート(取付部)12と、支持台13と、アーム装着部14と、補強フレーム15とを有する。右の装着フレーム9Rも、取付プレート12と、支持台13と、アーム装着部14と、補強フレーム15とを有する。
【0024】
取付プレート12は、トラクタ1(機体1A)に取り付けられている。支持台13は、取付プレート12から機体外方に突出している。アーム装着部14は、支持台13の機体外方側に設けられている。補強フレーム15は、支持台13及びアーム装着部14から後方に延びており、後部がトラクタ1の機体1Aに取り付けられている。
図4に示すように、ホルダ10は、トラクタ1のボンネット6の前方側に配置されている。ホルダ10は、トラクタ1(機体1A)の前部に固定されている。
図1〜
図3に示すように、ホルダ10は、左に設けられた縦部材16Lと、右に設けられた縦部材16Rと、横部材17と、取付部材18とを有する。縦部材16L及び縦部材16Rは、上下方向に長い板材である。縦部材16Lと縦部材16Rとは機体幅方向X1に離間して配置されている。縦部材16Lと縦部材16Rとは対向して配置されている。横部材17は、角パイプによって構成され、縦部材16Lと縦部材16Rとの上部間に配置されている。横部材17の一端は、縦部材16Lに連結されている。横部材17の他端は、縦部材16Rに連結されている。この横部材17によって、縦部材16Lと縦部材16Rとの上部同士が連結されている。取付部材18は、前方に向けて開口した溝型鋼によって形成され、縦部材16Lと縦部材16Rとの下部間に配置されている。取付部材18の一端は、縦部材16Lに連結されている。取付部材18の他端は、縦部材16Rに連結されている。この取付部材18によって、縦部材16(縦部材16L、縦部材16R)の下部同士が連結されている。また、取付部材18は、トラクタ1(機体1A)の前端側の下部に取り付けられている。
【0025】
図4に示すように、縦部材16は、トラクタ1の前面側の下部から上方にいくに従って前方に移行する傾斜方向に延びている。また、ホルダ10の上部(縦部材16Lの上端、縦部材16Rの上端、横部材17の上端)は、ボンネット6と略同じ高さ、或いは、ボンネット6より上方に突出している。また、ホルダ10の上端は、運転席8の上端(背凭れ部の上端)、或いは、ステアリングホイール7の最も高い部分よりも低い。
【0026】
図1に示すように、作業ユニット11は、アーム19Lと、アーム19Rと、連結部材20と、ブレード(作業具)21と、アームシリンダ22とを有する。
図5及び
図6に示すように、アーム19Lは、トラクタ1(機体1A)の前部であって左側に設けられている。アーム19Rは、トラクタ1(機体1A)の前部であって右側に設けられている。アーム19Lとアーム19Rとは、機体幅方向X1に所定の間隔で離間して配置されている。
図2の仮想線に示すように、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、アーム19Lの前部とアーム19Rの前部との間にホルダ10が配置されている。言い換えれば、ブレード21が平坦な地面に設置するように、アーム19Lの前部及びアーム19Rの前部を下げた状態において、ホルダ10は、アーム19L及びアーム19Rの前部の間に配置されている。
【0027】
図1に示すように、アーム19Lは、主要部位である本体23と、アーム19の基部を構成するアーム基部24とを有する。アーム19Rも、本体23と、アーム基部24とを有する。
本体23は、パイプ材から構成され、前後に長く且つ上側に凸となる湾曲状に形成されている。また、
図4に示すように、本体23は、トラクタ1のボンネット6の後部からボンネット6の前方に向けて形成されている。
図1に示すように、本体23の先端(前端)側には、第1端板25と、第2端板26とが設けられている。第1端板25は、本体23の先端開口を閉塞している。第2端板26は、上部が本体23の機体内方側の側面に固着されており、且つ本体23の先端から突出している。
【0028】
図1に示すように、アーム基部24の上部は、本体23の基部(後部)に溶接によって固定されている。したがって、アーム基部24は、本体23の後部から下方に突出している。また、アーム基部24の下端は、アーム装着部14にアーム軸27によって横軸心(機体幅方向X1の軸心)回りに回転自在に枢支されている。これによって、アーム19L及びアーム19Rは、アーム軸27を中心として上下に揺動自在とされている。
【0029】
図2に示すように、連結部材20は、断面楕円形のパイプ材によって構成されている。また、
図1に示すように、連結部材20は、アーム19Lの本体23の先端と、アーム19Rの本体23の先端との間に配置されている。連結部材20の一端は、第2端板26を介してアーム19Lの本体23(一方の本体23)に固定されている。連結部材20の他端は、第2端板26を介してアーム19Rの本体23(他方の本体23)に固定されている。この連結部材20によって、本体23の先端側同士が連結されている。また、連結部材20には、ブレード取付部28が設けられている。ブレード取付部28は、連結部材20の左端側及び右端側にそれぞれ設けられ、連結部材20及び第2端板26に固着されている。
【0030】
ブレード21は、ホルダ10より前方に配置されている。このブレード21は、背面側がブレード取付部28に着脱自在に取り付けられている。したがって、ブレード21は、ブレード取付部28及び第2端板26等を介してアーム19L及びアーム19Rの先端側に取り付けられている。
図1〜
図3に示すように、アームシリンダ22は、シリンダチューブ29とピストンロッド30とを有する一本の複動式油圧シリンダによって構成されている。このアームシリンダ22は、連結部材20及びホルダ10の横部材17の後方に配置されている。また、アームシリンダ22は、ピストンロッド30が下方に向けて突出するように縦向きに配置されている。また、アームシリンダ22は、ホルダ10の機体幅方向X1の中央部に配置されている。
【0031】
アームシリンダ22の上端側(シリンダチューブ29の上端側)は、横部材17から上方側に突出した第1ステー31に第1枢軸32を介して枢支されている。アームシリンダ22の下端側(ピストンロッド30の先端側)は、連結部材20から後方側に突出した第2ステー33に第2枢軸34を介して枢支されている。したがって、アームシリンダ22を収縮(ピストンロッド30を退避)させることにより、アーム(アーム19L、アーム19R)がアーム軸27を中心として上方に揺動する。また、アームシリンダ22を伸長(ピストンロッド30を突出)させることにより、アーム(アーム19L、アーム19R)がアーム軸27を中心として下方に揺動する。
【0032】
第1ステー31は、支持板35Lと、支持板35Rと、第1補強板36と、複数の第2補強板37とを有する。
支持板35Lは左に配置された板材であり、支持板35Rは右に配置された板材である。支持板35Lと支持板35Rとは、機体幅方向X1に所定の間隔で離間して配置されている。支持板35Lは、横部材17(ホルダ10)の左側から上方に突出している。支持板35Rは、横部材17(ホルダ10)の右側から上方に突出している。即ち、二枚の支持板35L、35Rは、ホルダ10の機体幅方向X1の中央を境として左側と、右側とに振り分けて配置されている。また、二枚の支持板35L、35Rは、機体幅方向X1で対向して配置されている。支持板35L、35Rの下端は、横部材17に溶接によって固定されている。
【0033】
図2に示すように、側面視において、支持板35Lは、横部材17から上方に延び、支持板35Lの上部は、上方にいくに従って後方に移行する傾斜方向に延びている。また、支持板35Rは、横部材17から上方に延び、支持板35Rの上部は、上方にいくに従って後方に移行する傾斜方向に延びている。なお、
図2の実線は、アーム19L,19Rを上昇させた状態を示し、
図2の仮想線(鎖線)は、アーム19L,19Rを最も下げた状態を示している。
【0034】
したがって、支持板(支持板35L、支持板35R)の上端部は、横部材17の後方側に位置している。また、
図3に示すように、背面視において、支持板35L、35Rの下部は、上方にいくに従って機体内方に移行する傾斜状に形成され、支持板35L、35Rの上部は、鉛直方向に沿って形成されている。
支持板35L、35Rの上端部の機体内方側の面には、ボス部38がそれぞれ設けられている。ボス部38の間には、アームシリンダ22の上端側が配置されている。ボス部38及びアームシリンダ22の上端側を、第1枢軸32が貫通している。これによって、第1枢軸32は、第1ステー31にアームシリンダ22の上端を枢支している。また、第1枢軸32は、横部材17(ホルダ10)の上方であって、横部材17より後方に位置している。
【0035】
第1補強板36は、機体幅方向X1に長い帯板によって構成されている。第1補強板36は、アームシリンダ22の前方側にて、支持板35Lの上部と支持板35Rの上部とを連結している。複数の第2補強板37は、例えば、第2補強板37の左に配置された第2補強板と、第2補強板37の右に配置された第2補強板とを含む。左に配置された第2補強板37は、横部材17と支持板35Lの下端とを連結する。右に配置された第2補強板37は、横部材17と支持板35Rの下端とを連結する。
【0036】
第2ステー33は、連結部材20の機体幅方向X1の中央部に設けられている。この第2ステー33は、連結部材20から後方に突出している。また、第2ステー33の後端側は、横部材17よりも後方に位置している。
第2ステー33は、側板39Lと、側板39Rとを有する。側板39Lは左に配置された板材であり、側板39は右に配置された板材である。側板39Lと側板39Rとは、機体幅方向X1に所定の間隔で離間して配置されている。側板39L及び側板39Rは、連結部材20から後方に突出している。即ち、二枚の側板39L、39Rは、結部材20の機体幅方向X1の中央を境として左側と、右側とに振り分けて配置されている。また、二枚の側板39L、39Rは、機体幅方向X1で対向して配置されている。側板39L、39Rの前端は、連結部材20に溶接によって固定されている。この二枚の側板39L、39Rの後端側に第2枢軸34が設けられている。この第2枢軸34は、連結部材20の後方で且つ横部材17(横部材17の後面)よりも後方に位置している。そのため、アームシリンダ22を伸縮させてアーム19L、19Rを揺動させた場合に、当該アームシリンダ22が横部材17に干渉することを防止することができる。
【0037】
アームシリンダ22のピストンロッド30の先端側に設けられたロッドボス41は、二枚の側板39L、39Rの間の後端側に配置されている。ロッドボス41及び二枚の側板39L、39Rを、第2枢軸34が貫通している。したがって、第2枢軸34は、第2ステー33にアームシリンダ22の下端を枢支している。
作業車3にあっては、ホルダ10から上方側に突出する第1ステー31を設け、この第1ステー31に、ホルダ10より上方に位置する第1枢軸32によってアームシリンダ22の上端を枢支している。これによって、アームシリンダ22の上端の位置を高くすることができ、ホルダ10を高くすることなく、且つ簡単な構成で、アーム(アーム19L、19R)の持ち上げ高さを高くすることができる。そして、アームの持ち上げ高さを高くするに際して、ホルダ10自体を高くしないので、視界性及び外観品質が損なわれることがない。なお、ホルダ10は、上部がボンネット6から上方に突出するように、トラクタ1の前方側に設けられている。したがって、アームの持ち上げ高さを高くするために、ホルダを高く(縦部材16L及び縦部材16Rを上方に延設すると共に、縦部材16L及び縦部材16Rの延設に伴って横部材17の位置を高く)した場合、トラクタ1の運転席8に着座したオペレータの視界性が損なわれることとなる。また、ホルダ10を全体的に上方に延長させると、ホルダ10が大きくなり、外観品質も損なわれる。
【0038】
また、ホルダ10は、機体幅方向X1で対向する2つの縦部材16L、16Rの上部同士を連結する横部材17とを有し、第1ステー31は、横部材17から上方に突出している。第1ステー31は、ホルダ10の上部に位置する横部材17から上方に突出するだけなので、第1ステー31を、コンパクトに設けることができる。
また、アームシリンダ22を横部材17の後方に設けることにより、アームシリンダ22に接触しようとする部材からアームシリンダ22を横部材17によって保護することができる。
【0039】
また、連結部材20から後方に突出する第2ステー33を設け、連結部材20より後方に位置する第2枢軸34によって第2ステー33にアームシリンダ22の下端を枢支することにより、アームシリンダ22が連結部材20に干渉するのを良好に防止することができる。
なお、
図1に仮想線で示すように、ブレード21にフォーク42を取り付けてもよい。ブレード21にフォーク42を取り付けることにより、荷物の運搬ができる。また、アーム19の持ち上げ高さを高くすることにより、トラック等の運搬車の荷台に対する荷物の積み降ろし作業を容易に行うことができる。
【0040】
図7〜
図10は第2実施形態を示している。
第1実施形態と同様の構成は、同様の符号を付して説明を省略する。
図9は、作業車3の側面図を示し、
図10は、作業車3の平面図を示している。
図7〜
図10に示すように、フロント作業機2は、フロントフレーム47と、装着フレーム(フレーム)9L、9Rと、第1ブラケット46と、作業ユニット11とを有する。
【0041】
フロントフレーム47は、機体1Aの前部(前端側)に取り付けられている。このフロントフレーム47は、前板47aと、第1側板47bと、第2側板47cとを有する。前板47aは、機体1Aの一部を構成する前車軸フレームの前面にボルト固定されている。第1側板47bは、前板47aの左側から後方に突出している。第2側板47cは、前板47aの右側から後方に突出している。
【0042】
左の装着フレーム9Lは、取付プレート12、支持台13、アーム装着部14、補強フレーム15のほかに、連結フレーム48を有する。右の装着フレーム9Rも、取付プレート12、支持台13、アーム装着部14、補強フレーム15のほかに、連結フレーム48を有する。
アーム装着部14は、外側プレート14aと、この外側プレート14aの機体内方に間隔をおいて設けられた内側プレート14bとを有する。連結フレーム48は、取付プレート12とフロントフレーム47とを連結している。
【0043】
第1ブラケット46は、トラクタ(車両)1側に設けられている。この第1ブラケット46は、トラクタ1の前部の下部であって、機体1Aの前方(フロントフレーム47の前方)に配置されている。また、第1ブラケット46は、フロントフレーム47の前板47aに固定され、該前板47aから前方(第2実施形態では、前方に行くに従って下方に移行する傾斜方向)に突出している。また、第1ブラケット46は、第1板材46aと、第2板材46bとを有する。第1板材46aと第2板材46bとは、機体幅方向X1で間隔をおいて並べて配置されている。
【0044】
第1ブラケット46の先端側(前部)には、機体幅方向X1の軸心を有する第1支軸62が設けられている。第1支軸62は、トラクタ1(車両)の前部の下部前方(機体1Aの前方)に配置されている。また、第1支軸62は、第1板材46aと第2板材46bとを機体幅方向X1で貫通して設けられている。第1支軸62は、できるだけ低い位置に配置するのが好ましいが、トラクタ1の最低地上高を確保するために、前輪4L,4Rを支持する前車軸ケースの下端よりも上方に設けるのがよい。
【0045】
作業ユニット11は、アーム19Lと、アーム19Rと、連結部材20と、ブレード(作業具)21と、第2ブラケット49と、第2支軸64と、アームシリンダ22とを有する。
図7に示すように、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、アーム19Lの前部とアーム19Rの前部との間に第1ブラケット46(第1ブラケット46の先端側及び第1支軸62)が位置している。言い換えれば、ブレード21が平坦な地面に設置するように、アーム19Lの前部及びアーム19Rの前部を下げた状態において、第1ブラケット46は、アーム19L及びアーム19Rの前部の間に配置されている。
図7は、アーム19L及びアーム19Rを最も下げた状態を示している。
【0046】
なお、第2実施形態では、第2端板26は、第1端板25に固着されている。また、アーム基部24の下端には、機体幅方向X1の軸心を有するボス(筒体)51が設けられている。このボス51は、アーム装着部14の外側プレート14aと内側プレート14bとの間に配置され、アーム軸27によって外側プレート14a及び内側プレート14bに枢支されている。したがって、アーム基部24の下端は、アーム装着部14に(トラクタ1に)アーム軸27によって横軸心(機体幅方向X1の軸心)回りに回転自在に枢支されている。これによって、アーム19L及びアーム19Rは、アーム軸27を中心として上下に揺動自在とされている。また、連結部材20の一端は、第1端板25及び第2端板26を介してアーム19Lの本体23(一方の本体23)に固定されている。連結部材20の他端は、第1端板25及び第2端板26を介してアーム19Rの本体23(他方の本体23)に固定されている。また、ブレード21は、第1ブラケット46より前方に配置されている。
【0047】
図7〜
図10に示すように、第2ブラケット49は、アーム19L及びアーム19Rの先端側に設けられている。この第2ブラケット49は、連結部材20の機体幅方向X1の中央部に配置され、基部(下部)が連結部材20に固定されている。第2ブラケット49は、第1部材49aと第2部材49bとを有する。第1部材49aと第2部材49bとは、板材によって形成され、機体幅方向X1で間隔をおいて並べて配置されている。第2ブラケット49は、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、第1ブラケット46及び第1支軸62の前方に位置している。
【0048】
第2ブラケット49の先端側(上部)には、第2支軸64が設けられている。第2支軸64は機体幅方向X1の軸心を有し、第1部材49aと第2部材49bとにわたって設けられている。第2支軸64は、第1支軸62より上方に位置する。また、第2支軸64は、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、第1支軸62より前方に位置する。
アームシリンダ22は、ピストン52を有する。ピストン52は、シリンダチューブ29の内部に長手方向移動自在に設けられている。ピストンロッド30は、一端側がピストン52に連結されており、他端側がシリンダチューブ29から突出している。ピストン52及びピストンロッド30がシリンダチューブ29の長手方向に移動することにより、シリンダチューブ29に対してピストンロッド30が進出(突出)又は後退してアームシリンダ22が伸縮自在とされる。
【0049】
アームシリンダ22は、トラクタ1(ボンネット6)とブレード21との間に配置されている。また、アームシリンダ22は、ピストンロッド30が下方に向けて突出するように縦向きに配置されている。また、アームシリンダ22は、トラクタ1の機体幅方向X1の中央部に配置されている。アームシリンダ22の下端側(ピストンロッド30の先端側)は、第1ブラケット46の第1板材46aと第2板材46bとの間に配置され、第1支軸62によって第1ブラケット46に枢支されている。シリンダチューブ29のロッド側(ピストンロッド30が突出する側)は、第2ブラケット49の第1部材49aと第2部材49bとの間に配置され、第2支軸64によって第2ブラケット49に枢支されている。
【0050】
第2実施形態では、シリンダチューブ29のロッド側が第2ブラケット49に枢支されたロッド側トラニオン形の支持形式の取付構造が採用されている。トラニオン形の支持形式を採用することにより、第2ブラケット49の長さ(連結部材20からの突出長さ)を短くすることができ、第2ブラケット49の高さを低く抑えることができる。
なお、シリンダチューブ29の中央部(中途部)を枢支する中間トラニオン形の支持形式の取付構造であってもよい。中間トラニオン形の支持形式よりも第2実施形態のようなロッド側トラニオン形の支持形式の方が第2ブラケット49の長さを短くすることができる。
【0051】
図7に示すように、アーム(アーム19L及びアーム19R)を下げた状態では、アームシリンダ22は収縮(ピストンロッド30を後退)させた収縮状態である。この収縮状態からアームシリンダ22を伸長(ピストンロッド30を進出)させると、第1支軸62に対して第2支軸64が上方移動する。これにより、
図8に示すように、アーム19L及びアーム19Rがアーム軸27を中心として上方に揺動する(アームが持ち上げられる)。
図8は、アーム19L及びアーム19Rを最も上げた状態を示している。また、アームシリンダ22を収縮させると、第1支軸62に対して第2支軸64が下方移動する。これにより、
図7に示すように、アーム19L及びアーム19Rがアーム軸27を中心として下方に揺動する。
【0052】
以上のように、アームシリンダ22は、第1支軸62及び第2支軸64によって枢支される伸縮自在な油圧シリンダであって、伸長することにより第1支軸62に対して第2支軸64を上方移動させる油圧シリンダである。
図7に示すように、第2支軸64は、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、第1支軸62より前方に位置する。また、
図8に示すように、第2支軸64は、アーム19L及びアーム19Rを上げた状態では、第1支軸62より後方に位置する。したがって、アームシリンダ22は、アーム19L及びアーム19Rを下方に揺動した状態では、前方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされ、アーム19L及びアーム19R)を上方に揺動した状態では、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされる。
【0053】
第2実施形態では、フロント作業機2及び作業車3は、トラクタ(車両)1側に設けられる第1ブラケット46と、アーム(アーム19L及びアーム19R)の先端側に設けられる第2ブラケット49と、トラクタ(車両)1の前部の下部前方に配置されていて、第1ブラケット46に設けられた第1支軸62と、第1支軸62より上方に配置されていて、第2ブラケット49に設けられた第2支軸64と、第1支軸62及び第2支軸64によって枢支される伸縮自在な油圧シリンダであって、伸長することにより第1支軸62に対して第2支軸64を上方移動させるアームシリンダ22とを備えている。即ち、トラクタ(車両)1の前部の下部前方に配置した第1支軸62をトラクタ(車両)1側に設け、第1支軸62より上方に配置した第2支軸64をアーム(アーム19L及びアーム19R)の先端側に設け、伸長することにより第1支軸62に対して第2支軸64を上方移動させるアームシリンダ22を設けるという簡単な構成で、アーム(アーム19L及びアーム19R)の持ち上げ高さを高くすることができる。
【0054】
また、トラクタ1側に設けた第1ブラケット46に第1支軸62を設け、第1支軸62をトラクタ1の前部の下部前方に配置していることから、第1ブラケット46の高さを低く抑えることができる。また、アーム(アーム19L及びアーム19R)を下方に揺動した状態では、アームシリンダ22は収縮させた状態であるので、第2ブラケット49の高さを低く抑えることができる。第1ブラケット46及び第2ブラケット49の高さを低く抑えることができるので、アーム(アーム19L及びアーム19R)の持ち上げ高さを高くするために、アームシリンダ22の長さを長くしても、オペレータの前方の視界性の低下を抑えることができる。言い換えると、視界性の低下を抑えながら、アーム(アーム19L及びアーム19R)の持ち上げ高さを高くすることができる。
【0055】
アーム(アーム19L及びアーム19R)の持ち上げ高さを高くすることにより、高い畦を作ることができる。
また、従来技術では、アームシリンダを収縮させることによりアームを持ち上げる構造とされている。したがって、従来では、アームを持ち上げる際には、アームシリンダのピストンのロッド側(ピストンロッドが連結されている側)の受圧面に油圧が作用する。これに対して、第2実施形態では、アームシリンダ22を伸長させることにより、アーム(アーム19L、アーム19R)を持ち上げる構造としている。したがって、アーム(アーム19L、アーム19R)を持ち上げる際には、アームシリンダ22のピストン52のヘッド側(ロッド側とは反対側)の受圧面に油圧が作用する。このピストン52に作用する油圧の受圧面の面積差から、第2実施形態では、従来に対して、アーム(アーム19L、アーム19R)の持上げ力を大きくすることができる。
【0056】
また、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、第1支軸62に対して第2支軸64が上方で且つ前方に位置していて、アームシリンダ22が前方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされている。これによって、第2ブラケットの高さを抑えることができる。なお、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態において、アームシリンダ22のシリンダチューブ29の上端がブレード21よりも後方に位置させるのがよい。
【0057】
また、アームシリンダ22は、アーム(アーム19L、アーム19R)を上昇させるに従ってトラクタ1(ボンネット6)に接近する。そこで、アーム(アーム19L、アーム19R)の持ち上げ高さを高くするには、アームシリンダ22とトラクタ1との干渉を考慮する必要がある。第2実施形態では、アームシリンダ22は、アーム(アーム19L、アーム19R)を下方に揺動した状態では、前方に行くに従って上方に移行する傾斜状とし、アーム(アーム19L、アーム19R)を上方に揺動した状態では、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状としている。これにより、アームシリンダ22とトラクタ1との干渉を防止しながら、アーム(アーム19L、アーム19R)の持ち上げ高さを高くすることができる。
【0058】
図7に示すように、第2実施形態のフロント作業機2にあっても、ブレード21にフォーク(作業具)42を着脱自在に取付け可能とされている。
図11及び
図12は、第3実施形態を示している。
第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成は、同様の符号を付して説明を省略する。
この第3実施形態では、シリンダチューブ29のボトム側(ロッド側とは反対側)を第1支軸62によって第1ブラケット46に枢支し、ピストンロッド30の先端側(ピストンロッド30の突出端)を第2支軸64によって第2ブラケット49に枢支している。
図11に示すように、この第3実施形態においても、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、アームシリンダ22は、収縮させた収縮状態である。この収縮状態からアームシリンダ22を伸長させると、第1支軸62に対して第2支軸64が上方移動する。これにより、
図12に示すように、アーム19L及びアーム19Rがアーム軸27を中心として上方に揺動する。また、アームシリンダ22を収縮させることにより、アーム19L及びアーム19Rがアーム軸27を中心として下方に揺動する。
図11はアーム19L及びアーム19Rを最も下げた状態を示しており、
図12は、アーム19L及びアーム19Rを最も上げた状態を示している。
【0059】
第2端板26は、上部が本体23の機体内方側の側面に固着されており、且つ本体23の先端から突出している。
なお、第3実施形態において、ピストンロッド30の先端側を第1支軸62によって第1ブラケット46に枢支し、シリンダチューブ29のボトム側を第2支軸64によって第2ブラケット49に枢支してもよい。
【0060】
この第3実施形態にあっても、第1ブラケット46及び第2ブラケット49の高さを低く抑えることができるので、アーム(アーム19L及びアーム19R)の持ち上げ高さを高くするために、アームシリンダ22の長さを長くしても、オペレータの前方の視界性の低下を抑えることができる。
また、アーム19L、アーム19Rを持ち上げる際には、アームシリンダ22のピストン52のヘッド側の受圧面に油圧が作用するので、アーム19L、アーム19Rの持上げ力を大きくすることができる。
【0061】
また、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態では、第1支軸62に対して第2支軸64が上方で且つ前方に位置していて、アームシリンダ22が前方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされている。これによって、第2ブラケットの高さを抑えることができる。なお、アーム19L及びアーム19Rを下げた状態において、アームシリンダ22の上端をブレード21よりも後方に位置させる。
【0062】
また、アームシリンダ22は、アーム19L、アーム19Rを上昇させるに従ってトラクタ1(ボンネット6)に接近するが、アーム19L、アーム19Rを下方に揺動した状態では、アームシリンダ22は、前方に行くに従って上方に移行する傾斜状であるので、アームシリンダ22とトラクタ1との干渉を防止しながら、アーム(アーム19L、アーム19R)の持ち上げ高さを高くすることができる。
【0063】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。車両として、トラクタを例示したが当該トラクタ以外の走行可能な車両にフロント作業機を装着してもよく、作業車及び車両は上述した実施形態に限定されない。