【実施例】
【0011】
図1は、実施例に係る携帯端末装置100の斜視図である。実施例に係る携帯端末装置100は、例えばスマートフォンやタブレット型パソコンなどの、ユーザにより携帯された状態で利用される情報端末装置である。
図1のように、実施例の携帯端末装置100は、フロントケース12とリアケース14とが組み合わされた筐体10を有する。フロントケース12及びリアケース14は、例えば樹脂材料などから形成されている。フロントケース12には、前面にタッチパネルが組み付けられている。リアケース14の側面には、ボタン30が設けられている。ボタン30は、例えばABS樹脂やポリカーボネートなどの合成樹脂などから形成されている。なお、以下において、携帯端末装置100の短手方向をX方向、長手方向をY方向、厚み方向をZ方向として図示する。
【0012】
図2は、リアケース14がフロントケース12に組み合わされる前の分解斜視図である。
図2のように、リアケース14をフロントケース12にZ軸方向から組み合わせることで筐体10は形成される。リアケース14がフロントケース12に組み合わされる前の状態において、リアケース14の側壁に設けられた貫通孔にボタン30が挿入されている。フロントケース12内には、バッテリー60と、プリント基板及び/又はNFC(Near Field Communication)用のアンテナなどの電子部品62と、がプリント基板上に搭載されている。また、フロントケース12の側壁に設けられた貫通孔に例えばゴムからなる弾性部材32が嵌め込まれている。弾性部材32は、リアケース14がフロントケース12に組み合わされたときに、リアケース14の側壁に設けられたボタン30とフロントケース12内に設けられたスイッチとの間に位置する。なお、
図2においては、弾性部材32を分かり易くするために、フロントケース12から離して図示している。
【0013】
図3(a)は、リアケース14の内側を示す斜視図、
図3(b)は、
図3(a)の一部を拡大した斜視図である。
図3(a)及び
図3(b)のように、リアケース14の側壁16に設けられた貫通孔に挿入されたボタン30は、リアケース14の内側で例えば両面テープなどの粘着剤によってシート34に貼り付けられている。例えば、複数のボタン30が1枚のシート34に貼り付けられていて、これにより、シート34の部品点数が低減されている。シート34は、例えば両面テープなどの粘着剤によってリアケース14の内側でリアケース14の側壁16に貼り付けられている。
図3(b)において、シート34のうちのボタン30に貼り付けられた貼付部分Xを密な斜線で図示している。リアケース14の側壁16に貼り付けられた貼付部分Yを粗な斜線で図示している。ボタン30及びリアケース14のいずれにも貼り付けられていない非貼付部分Zを斜線無しで図示している。このように、ボタン30は、シート34によってリアケース14の内側でリアケース14の側壁16に固定されている。シート34は、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)などから形成され、厚さが0.1mm程度である。なお、シート34にリアケース14の側壁16に貼り付けられていない部分を設けるのは、ボタン30が押されて動くことを可能とするためである。
【0014】
ボタン30は、平坦部36と、リアケース14の側壁16よりもリアケース14の内側に突出した突出部38と、を有する。突出部38は、平坦部36の中央付近に位置する円柱状部40と、円柱状部40から延びた複数の直線状部42a、42bと、を有する。直線状部42aは、円柱状部40からリアケース14の開口側に向かって延びている。直線状部42bは、円柱状部40から直線状部42aに交差する方向に延びている。直線状部42aは、リアケース14の開口側から開口とは反対側(すなわち、リアケース14の底面側)に向かうに従い、リアケース14の側壁16からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面39を有する。
【0015】
リアケース14の側壁16には、リアケース14の内側に張り出した庇部44が設けられている。庇部44は、ボタン30よりもリアケース14の開口側に位置している。
【0016】
図4は、
図3(b)のA−A断面の断面図である。
図4のように、庇部44は、リアケース14の側壁16に貼り付けられた貼付部分Yにおけるシート34よりも、リアケース14の内側に出っ張っている。突出部38の円柱状部40は、庇部44よりも、リアケース14の内側に出っ張っている。
【0017】
図5は、実施例に係る携帯端末装置100のボタン30が設けられた部分における断面図である。
図5のように、フロントケース12の側壁13の外側にリアケース14の側壁16が位置して、フロントケース12とリアケース14とが組み合わされている。リアケース14内の周囲には弾性部材からなるシール部材68が設けられている。シール部材68がフロントケース12に当接することで、フロントケース12とリアケース14との間に形成される空間の防水性が確保されている。
【0018】
フロントケース12の前面にタッチパネル70を備えた表示デバイス72が固定具74によって組み付けられている。タッチパネル70は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を含み、画像や、各種情報、及びタッチ操作ボタンなどの操作入力用画像などを表示する。フロントケース12内に配置されたプリント基板66上に、バッテリーカバー64に嵌め込まれたバッテリー60が搭載されている。
【0019】
リアケース14の側壁16に設けられた貫通孔20にボタン30が挿入されている。ボタン30は、貫通孔20の延在方向(側壁16の厚さ方向)に可動し且つ側壁16よりもリアケース14の内側に突出した突出部38を有する。突出部38に含まれる円柱状部40とフロントケース12内に配置されたスイッチ46とは、フロントケース12の側壁13を貫通する貫通孔に嵌め込まれた弾性部材32を間に挟んで対向している。これにより、ボタン30がリアケース14の外側から押されることで、弾性部材32が変形して、スイッチ46が押されることとなる。
【0020】
ボタン30の突出部38のうちのリアケース14の開口側に位置する直線状部42aは、リアケース14の開口側から開口とは反対側に向かうに従い、リアケース14の側壁16からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面39を有する。ボタン30よりもリアケース14の開口側に位置するリアケース14の側壁16に庇部44が設けられている。庇部44のリアケース14の側壁16からの高さH1は、突出部38のリアケース14の側壁16からの最大高さH2よりも低くなっている。
【0021】
ここで、実施例1の携帯端末装置100の効果を説明するにあたって、比較例の携帯端末装置について説明する。
図6は、比較例に係る携帯端末装置500のボタン30が設けられた部分における断面図である。
図6のように、比較例の携帯端末装置500においても、フロントケース12の側壁13の外側にリアケース14の側壁16が位置して、フロントケース12とリアケース14とが組み合わされている。
【0022】
フロントケース12の前面にはタッチパネル70を備えた表示デバイス72が固定具74によって組み付けられている。リアケース14の側壁16に設けられた貫通孔20にボタン30が挿入されている。ボタン30は、貫通孔20の延在方向(側壁16の厚さ方向)に可動し且つ側壁16よりもリアケース14の内側に突出した突出部38を有する。突出部38は、フロントケース12の側壁13を貫通する貫通孔に嵌め込まれた弾性部材32を介して、フロントケース12内に配置されたスイッチ46に対向している。
【0023】
ボタン30の突出部38の側面は、リアケース14の側壁16に対してほぼ垂直となっている。すなわち、比較例の携帯端末装置500では、突出部38のうちのリアケース14の開口側に位置する面は、リアケース14の側壁16に対してほぼ垂直となっていてテーパとはなっていない。また、ボタン30よりもリアケース14の開口側に位置するリアケース14の側壁16に庇部44は設けられていない。
【0024】
図7は、比較例に係る携帯端末装置500において、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる工程を示す断面図である。
図7のように、リアケース14をZ方向からフロントケース12に組み合わせることで筐体10を形成する。この際、携帯端末装置の小型化のために各部品間の距離が小さくなっており、リアケース14の側壁16に設けられたボタン30の突出部38がフロントケース12内の部品(例えば弾性部材32など)に接触することがある。これにより、リアケース14をフロントケース12に組み付ける方向とは反対側の方向にボタン30が押されて動いてしまう場合がある。この場合、ボタン30によってスイッチ46を押すことができなくなるなどの不具合が生じてしまう。
【0025】
図8は、実施例に係る携帯端末装置100において、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる工程を示す断面図である。
図8のように、リアケース14をZ方向からフロントケース12に組み合わせる際にボタン30の突出部38がフロントケース12内の部品に接触した場合、突出部38のうちの直線状部42aが部品に接触することになる。直線状部42aは、リアケース14の開口側から開口とは反対側に向かうに従いリアケース14の側壁16からの高さが高くなる傾斜面39を有している。このため、直線状部42aがフロントケース12内の部品に接触した場合、ボタン30はリアケース14の組み付け方向と交差する方向(すなわち、リアケース14の側壁16の厚さ方向)に押されて動くこととなる。ボタン30は、リアケース14の側壁16に設けられた貫通孔20に挿入されて貫通孔20の延在方向に可動する。このため、ボタン30は、リアケース14の組み付け方向とは反対側の方向に動くと不具合が生じ易いが、リアケース14の組み付け方向と交差する方向に動いても不具合は生じ難い。したがって、実施例に係る携帯端末装置100では、リアケース14をフロントケース12に組み合わせて筐体10を形成する際に不具合が生じることを抑制できる。
【0026】
実施例によれば、
図3(b)及び
図5のように、ボタン30の突出部38のうちのリアケース14の開口側は直線状部42aとなっている。直線状部42aは、リアケース14の開口側から開口とは反対側に向かうに従いリアケース14の側壁16からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面39を有する。これにより、
図8で説明したように、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる際に、ボタン30がリアケース14の組み付け方向と反対側の方向に押されて動くことを抑制できる。したがって、リアケース14をフロントケース12に組み合わせて筐体10を形成する際に不具合が生じることを抑制できる。
【0027】
また、実施例によれば、
図3(b)及び
図5のように、リアケース14は、ボタン30よりも開口側に位置する側壁16に庇部44を有する。庇部44は、ボタン30の突出部38のリアケース14の側壁16からの最大高さよりも低い高さでリアケース14の内側に張り出している。このような庇部44が設けられていることで、フロントケース12に対するリアケース14の位置を正常な位置に概ね合わせながら、リアケース14をフロントケース12に組み合わせることができる。
【0028】
なお、庇部44がボタン30の突出部38の最大高さ以上の高さであれば、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる際に、突出部38がフロントケース12内の部品に接触することを抑制できる。しかしながら、庇部44がボタン30の突出部38の最大高さ以上の高さである場合、ボタン30を押してもスイッチ46を押せなくなることが生じ得る。したがって、庇部44は、ボタン30の突出部38のリアケース14の側壁16からの最大高さより低い場合が好ましい。
【0029】
また、実施例によれば、
図3(b)のように、シート34は、リアケース14の側壁16に貼り付けられた貼付部分Yと、ボタン30及びリアケース14のいずれにも貼り付けられていない非貼付部分Zと、を有する。シート34の貼付部分Yは、庇部44よりもリアケース14の開口から離れた位置に配置されている。シート34の非貼付部分Zは、ボタン30の突出部38に含まれる直線状部42aよりもリアケース14の開口から離れた位置に配置されている。
図4のように、庇部44は、シート34の貼付部分Yよりもリアケース14の側壁16からの高さが高くなっている。これにより、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる際に、シート34がフロントケース12内の部品に接触することを抑制できる。よって、シート34がリアケース14の側壁16から剥がれてしまうことを抑制できる。また、シート34の非貼付部分Zが撓んでいる場合でも、リアケース14をフロントケース12に組み合わせる際にボタン30の突出部38がフロントケース12内の部品に押されることでシート34の撓みが低減される。
【0030】
なお、実施例では、
図5のように、直線状部42aの全てがリアケース14の開口側から開口とは反対側に向かうに従いリアケース14の側壁16からの高さが高くなる傾斜面39となっている場合を例に示したが、この場合に限られない。直線状部42aの少なくとも一部が傾斜面39となっていればよく、直線状部42aのリアケース14の内側寄りの部分が少なくとも傾斜面39となっていることが好ましい。例えば、直線状部42aのうちの庇部44よりもリアケース14の内側に突出した部分が少なくとも傾斜面39になっていることが好ましい。また、庇部44が設けられていない場合には、直線状部42aの全てが傾斜面39となっていることが好ましく、もちろん、庇部44が設けられている場合でも、直線状部42aの全てが傾斜面39となっていることが好ましい。
【0031】
なお、実施例では、リアケース14の側壁16に設けられた貫通孔20に挿入されて貫通孔20の延在方向に可動する可動部として、筐体10内のスイッチ46を押すボタン30の場合を例に示したが、その他の場合であってもよい。また、実施例では、携帯端末装置の場合を例に示したが、その他の電子機器の場合でもよい。
【0032】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0033】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)第1ケースの側壁が第2ケースの側壁よりも内側になって前記第2ケースが前記第1ケースに組み合わされ、前記第2ケースの前記側壁に設けられた貫通孔に挿入されて前記貫通孔の延在方向に可動し、前記第2ケースの前記側壁よりも前記第2ケースの内側に突出した突出部を有する可動部を備え、前記突出部のうちの前記第2ケースの開口側に位置する面は、前記第2ケースの前記開口側から前記開口側とは反対側に向かうに従い前記第2ケースの前記側壁からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面を有する、筐体と、前記筐体内に設けられた電子部品と、を備える電子機器。
(付記2)前記突出部のうちの前記第2ケースの前記開口側に位置する面の全てが前記傾斜面となっている、付記1記載の電子機器。
(付記3)前記筐体は、前記可動部よりも前記第2ケースの前記開口側に位置する前記第2ケースの前記側壁に、前記第2ケースの前記側壁からの前記突出部の最大高さよりも低い高さで前記第2ケースの内側に張り出した庇部を有する、付記1または2記載の電子機器。
(付記4)前記筐体は、前記可動部よりも前記第2ケースの前記開口側に位置する前記第2ケースの前記側壁に、前記第2ケースの前記側壁からの前記突出部の最大高さよりも低い高さで前記第2ケースの内側に張り出した庇部を有し、前記突出部のうちの前記第2ケースの前記開口側に位置する面は、少なくとも前記庇部よりも前記第2ケースの内側に突出した部分が前記傾斜面となっている、付記1記載の電子機器。
(付記5)前記筐体は、前記可動部を前記第2ケースの内側で前記第2ケースの前記側壁に固定する固定具を備え、前記固定具のうちの前記第2ケースの前記側壁に貼り付けられた貼付部分は前記庇部よりも前記第2ケースの前記開口から離れた位置に配置され、前記可動部及び前記第2ケースの前記側壁のいずれにも貼り付けられていない非貼付部分は前記突出部の前記傾斜面よりも前記第2ケースの前記開口から離れた位置に配置され、前記庇部は、前記固定具のうちの前記貼付部分よりも前記第2ケースの前記側壁からの高さが高い、付記3または4記載の電子機器。
(付記6)前記可動部は、前記第2ケースの前記側壁に垂直な方向に可動することで前記筐体内に設けられたスイッチを押すボタンである、付記1から5のいずれか一項記載の電子機器。
(付記7)第1ケースの側壁が第2ケースの側壁よりも内側になって前記第2ケースが前記第1ケースに組み合わされた筐体であって、前記第2ケースの前記側壁に設けられた貫通孔に挿入されて前記貫通孔の延在方向に可動し、前記第2ケースの前記側壁よりも前記第2ケースの内側に突出した突出部を有する可動部を備え、前記突出部のうちの前記第2ケースの開口側に位置する面は、前記第2ケースの前記開口側から前記開口側とは反対側に向かうに従い前記第2ケースの前記側壁からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面を有する、筐体。