特許第6691312号(P6691312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6691312情報処理システム、情報処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6691312
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20200421BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20200421BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   H02J1/00 310D
   G06F1/26
   H02J13/00 301C
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-191679(P2019-191679)
(22)【出願日】2019年10月21日
【審査請求日】2019年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 彰
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−085075(JP,A)
【文献】 特開2006−345624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 − 1/16
G06F 1/26 − 1/3296
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機電力および操作電力を出力する電源部を備える周辺装置と、
ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する第1の制御部と、前記第1の制御部に対して前記待機電力から前記操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間を保持する記憶部と、前記第1の制御部に前記待機電力が供給されている状態であり、かつ前記第1の制御部が起動中状態であることを条件にして前記第1の制御部への電力遮断を発動させる保護機能を備えており、前記第1の制御部が前記起動指示を受けて前記起動中状態になったことを検出した場合、前記起動中状態の検出時から前記所定時間遅延させた時刻で、前記保護機能を発動するための前記条件の判定を行う第2の制御部と、を含む情報処理装置と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記周辺装置は、前記電源部の他に、前記電源部からの電力の供給制御を行う電源制御部、拡張バスを有して前記拡張バスを介した通信を中継する中継装置および前記拡張バスにそれぞれ接続された複数の演算処理装置を含む演算処理装置群を少なくとも備え、
前記電源制御部は、前記電源部、前記中継装置、前記情報処理装置および前記演算処理装置群の順に前記操作電力の供給を行う、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記電源制御部は、前記中継装置へ前記操作電力の供給制御を行った場合、前記中継装置への前記操作電力の供給制御の終了後に、前記中継装置が起動状態になったことを示すフラグを設定し、
前記第2の制御部は、前記フラグの設定状態を定期的に監視し、前記フラグが設定されていることを検出した場合、前記記憶部に格納されているプログラムデータを用いて前記周辺装置の初期化処理を行い、
前記電源制御部は、前記初期化処理の終了を検出した場合、前記演算処理装置群に前記操作電力の供給制御を行う、
請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記第1の制御部が前記起動指示を受信したことを検出した場合、
前記記憶部に格納されているプログラムデータを用いて、前記周辺装置の前記初期化処理のうちの前記中継装置の初期化を除く第1の処理を行い、
前記フラグの設定状態を定期的に監視し、前記第1の処理の終了後、前記フラグが設定されるまで前記初期化処理の実行を待機し、
前記フラグが設定されていることを検出した場合、前記プログラムデータを用いて、前記中継装置の初期化を含む第2の処理を行って前記初期化処理の実行を継続する、
請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する第1の制御部と、
前記第1の制御部に対して待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間を保持する記憶部と、
前記第1の制御部に前記待機電力が供給されている状態であり、かつ前記第1の制御部が起動中状態であることを条件にして前記第1の制御部への電力遮断を発動させる保護機能を備えており、前記第1の制御部が前記起動指示を受けて前記起動中状態になったことを検出した場合、前記起動中状態の検出時から前記所定時間遅延させた時刻で、前記保護機能を発動するための前記条件の判定を行う第2の制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する制御部に対して、前記制御部に待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間をメモリに保持し、
前記制御部に前記待機電力が供給されている状態であり、かつ前記制御部が起動中状態であることを条件にして前記制御部への電力遮断を行う保護機能を発動し、
前記制御部が前記起動指示を受けて前記起動中状態になったことを検出した場合、前記起動中状態の検出時から前記所定時間遅延させた時刻で、前記保護機能を発動するための前記条件の判定を行う、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホストPC(Personal Computer)と、コプロセッサ(co-processor)間の通信を、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express:登録商標)等の拡張バスを用いて行う情報処理システムが開発されている。
【0003】
このような情報処理システムを起動させる場合には、スタンバイ電力が供給されている状態で、電源ボタンの押下やWoL(Wake on LAN(Local Area Network))による遠隔電源投入が行われる。
【0004】
また、情報処理システムは、システム内の構成デバイスに対して電力供給を制御する電源制御部を備えている。電源制御部が電源ボタンの押下やWoLによる起動トリガを検出することで、電力供給がスタンバイ電力からアクティブ電力に切替えられてシステムが起動する。
【0005】
一方、ホストPCが搭載されるメインボードには、AMT(Active Management Technology)と呼ばれる機能が備えられている。AMTは、LAN等のネットワークを通じて遠隔からホストPCを管理する遠隔管理機能であり、AMTを使ってホストPCの電力をオンオフすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−109625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、AMTは、ホストPCの起動トリガになることができるが、電源制御部には、AMTによる起動トリガを認識する機構が備えられていない。このため、AMTによる起動では、スタンバイ電力からアクティブ電力への切替えが行われず、ホストPCはスタンバイ電力を利用して起動しようとする。
【0008】
しかし、スタンバイ電力は、アクティブ電力よりも低電力であるため、ホストPCを起動させるには電力不足である。よって、AMTを用いてホストPCに起動トリガが与えられると、スタンバイ電力が供給された電力不足の状態でホストPCは起動しようとする。このため、OCP(Over Current Protection)等の保護機能が働いてしまい、ホストPCが搭載されているメインボードがシャットダウンしてしまう。
【0009】
このように、従来の情報処理システムでは、AMTを用いてホストPCを起動させようとすると、ホストPCがシャットダウンしていまい、正常な起動が困難であるという問題がある。
【0010】
1つの側面では、本発明は、ホストPCの遠隔管理機能にもとづく正常な起動を可能にした情報処理システム、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、情報処理システムが提供される。情報処理システムは、待機電力および操作電力を出力する電源部を備える周辺装置と、ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する第1の制御部と、第1の制御部に対して待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間を保持する記憶部と、第1の制御部に待機電力が供給されている状態であり、かつ第1の制御部が起動中状態であることを条件にして第1の制御部への電力遮断を発動させる保護機能を備えており、第1の制御部が起動指示を受けて起動中状態になったことを検出した場合、起動中状態の検出時から所定時間遅延させた時刻で保護機能を発動するための条件の判定を行う第2の制御部と、を含む情報処理装置とを有する。
【0012】
また、上記課題を解決するために、上記情報処理システムと同様の制御を実行する情報処理装置が提供される。
さらに、コンピュータに上記情報処理システムと同様の制御を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
1側面によれば、ホストPCの遠隔管理機能にもとづく正常な起動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態の情報処理システムの一例を説明するための図である。
図2】第2の実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図3】信号の名称および機能の一覧を示す図である。
図4】情報処理システムのエッジコンピューティングの適用例を示す図である。
図5】ホストPCのハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】通常の起動シーケンスの一例を示す図である。
図7】保護機能の発動条件の変更を説明するための図である。
図8】AMTによる起動シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態の情報処理システムの一例を説明するための図である。情報処理システム1−1は、情報処理装置1と周辺装置2を備える。情報処理装置1は、制御部1a(第1の制御部)、制御部1b(第2の制御部)および記憶部1cを含む。周辺装置2は、電源部2aを含む。電源部2aは、待機電力および操作電力を出力する。待機電力は、コンセントプラグが接続されて電源が切れている状態でも消費される電力であり、操作電力は、各構成部が運用しているときに供給される電力である。
【0016】
制御部1a、1bおよび記憶部1cの各処理は、例えば、情報処理装置1が備える図示しないプロセッサが、所定のプログラムを実行することによって実現される。なお、制御部1bは、制御部1aに待機電力が供給されている状態であり、かつ制御部1aが起動中状態であることを条件にして、制御部1aへの電力遮断(シャットダウン)を発動させる保護機能1b1を備えている。
【0017】
図1の例を用いて動作の流れについて説明する。
〔ステップS1〕制御部1aは、ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する。
〔ステップS2〕制御部1bは、制御部1aに対して待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間tdを保持する。
【0018】
〔ステップS3〕制御部1bは、時刻T1において、制御部1aが起動指示を受けて起動中状態になったことを検出する。
〔ステップS4〕制御部1bは、制御部1aが起動指示を受けて起動中状態になったことを検出すると、起動中状態を検出した時刻T1から所定時間td遅延させた時刻T2で保護機能1b1を発動するための条件の判定を行う。
【0019】
ここで、保護機能1b1の発動条件は、制御部1aが起動中状態であり、かつ待機電力が供給されているときであり、この場合は、制御部1aの起動に要する電力が不足するため、制御部1bは、保護機能1b1を稼働させて制御部1aの電力遮断を行う。
【0020】
仮に、起動中状態の検出タイミングである時刻T1を保護機能1b1の発動条件の判定タイミングにすると、時刻T1では、制御部1aは起動中状態であり、電力状態は待機電力であるため(操作電力にまだ遷移していないため)、保護機能1b1が発動して電力遮断が生じてしまう。
【0021】
これに対し、制御部1bでは、時刻T2を保護機能1b1の発動条件の判定タイミングにしている。遠隔管理にもとづく起動指示があった場合、制御部1bは、起動中状態を検出した時刻T1から所定時間td遅延させた時刻T2で保護機能1b1を発動するための条件の判定を行う。この所定時間tdは、上述のように、制御部1aに対して待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の設定時間である。
【0022】
このため、時刻T2においては、制御部1aに操作電力が供給されている状態で、かつ制御部1aが起動中状態となるので、保護機能1b1の発動条件から外すことができる。よって、遠隔管理によって電力の起動指示が与えられた場合でも、保護機能1b1を動作させることなく、制御部1aを起動状態にすることができる。
【0023】
このように、情報処理システム1−1では、制御部1aが遠隔管理による起動指示を受けて起動中状態になったことを検出した場合、起動中状態の検出時から所定時間以上遅延させた時刻で、保護機能発動条件の判定を行う。これにより、遠隔管理機能にもとづく正常な起動が可能になる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態として、拡張バスの一例であるPCIeを用いた情報処理システムについて説明する。なお、以降の説明では、待機電力をスタンバイ電力、操作電力をアクティブ電力と呼ぶ。
【0025】
図2は第2の実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システム1−2は、PCIeコネクタ(図示せず)を介して接続されるメインボードBd1とブリッジボードBd2とを備える。
【0026】
メインボードBd1には、ホストPC10が搭載され、ホストPC10は、制御部11a、11b、記憶部12、LANインタフェース部13および反転部ic3を含む。
ブリッジボードBd2には、電源制御部20、PCIeブリッジコントローラ30、PSU(Power Supply Unit:電源部)40、コプロセッサボード50(演算処理装置群)、電源ボタン6および反転部ic1、ic2が搭載されている。なお、反転部ic1、ic2、ic3は、インバータ回路であり信号レベルの反転を行う。
【0027】
制御部11a、11bは、ホストPC10の主機能を担うプロセッサである。制御部11a、11bは、通信ラインL1で接続されて、通信ラインL1を通じて相互通信を行う。
例えば、制御部11bが電力遮断指示を電源制御部20から受けた場合、制御部11bは、通信ラインL1を通じて、その旨を制御部11aに通知する。制御部11aは、通信ラインL1を通じて、現在稼働している処理の終了後に電力断の許可を制御部11bに通知し、制御部11bは許可を得てから電力遮断を行う。このような通信が通信ラインL1を通じて制御部11a、11b間で行われる(上記の相互通信は1つの例である)。
【0028】
記憶部12は、制御部11bに接続され、ブリッジボードBd2内の構成デバイスの初期化処理等を行うプログラムデータであるBIOS(Basic Input Output System)を格納する。また、記憶部12は、上述した保護機能発動条件の判定タイミングを遅延させるための所定時間tdを格納する。なお、制御部11aにも図示しないメモリが接続され、そのメモリには制御部11aに実行させる各種データが記憶される。
【0029】
LANインタフェース部13は、LANと接続して、LANを介して送信された遠隔管理機能の1つであるAMTの信号のインタフェース制御を行う。なお、LAN以外のネットワークに接続して、ネットワークインタフェース制御を行うことも可能である。
【0030】
電源制御部20は、スタンバイ電力にもとづいて駆動し、システム内の各構成デバイスに対する電力供給または電力停止制御を行う。例えば、電源制御部20は、電源ボタン6の操作やWoLにもとづいて、ホストPC10、PSU40、コプロセッサボード50へのアクティブ電力の電力供給または電力供給停止の制御を行う。
【0031】
PCIeブリッジコントローラ30は、コプロセッサ5−1、・・・、5−n(演算処理装置)が搭載されたコプロセッサボード50をブリッジ接続し、ホストPC10とコプロセッサボード50間の通信、およびコプロセッサ5−1、・・・、5−n間の通信を中継する。
【0032】
PSU40は、直流電圧としてアクティブ電力およびスタンバイ電力を生成して出力する。アクティブ電力の電圧値は例えば、12Vであり、スタンバイ電力の電圧値は例えば、11Vである。
【0033】
コプロセッサボード50は、PCIeコネクタにそれぞれ接続されたコプロセッサ5−1、・・・、5−nを含み、コプロセッサ5−1、・・・、5−nは、例えば、AI(Artificial Intelligence)推論処理や画像処理等の並列演算処理をホストPC10の指示にもとづいて行う。
【0034】
図3は信号の名称および機能の一覧を示す図である。テーブルTaは、図2に示される各信号の機能の一覧を示している。信号AMTは、LANインタフェース部13が制御部11aに向けて送信する信号である。信号AMTがHレベルのときAMTによる起動が行われた状態を示し、LレベルのときAMTによる起動が行われていない状態を示す。
【0035】
信号PC_S3_STATEは、制御部11aが電源制御部20に向けて送信する信号であり、制御部11aのACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の状態を示す。信号PC_S3_STATEは、HレベルのときにS0状態またはS3状態を示し、LレベルのときにS4以下(S4、S5、G3)の状態を示す。
【0036】
なお、S0は、動作中で通常の運用状態であり、S3は、スリープ状態である。スリープ状態とは、メモリへの通電と再起動に必要な電流のみが流れる状態である。スリープ状態は、電源ボタン6等の起動トリガによってメモリから中断途中の作業内容を読み込んでスタートできる状態である。
【0037】
S4は休止状態である。休止状態とは、メモリの作業内容を他メモリ(HDD(Hard Disk Drive)等)に移して再起動に必要な電流のみ流れる状態であり、メモリへの通電はない。休止状態は、例えば、電源ボタン6等の起動トリガによってメモリが通電されて記憶部12に格納されているBIOSの読み込みからスタートする状態である。
【0038】
S5は、OS(Operating System)をシャットダウンしての電力遮断(ソフトオフ)の状態であり、他デバイスからの指令で起動できるように、起動を促す信号(ウェイクアップ信号)だけ受け取れる状態である。G3は、機械的な電力遮断(メカニカルオフ)の状態であり、電源ケーブルを抜いたときと同様の完全な電力遮断の状態である。
【0039】
信号PC_S3_STATE#は、信号PC_S3_STATEが反転部ic1により反転された信号であり、電源制御部20で受信される。信号PC_S3_STATE#がHレベルのときにホストPC10がS4以下(S4、S5、G3)の状態であることを示し、LレベルのときにホストPC10がS0状態またはS3状態であることを示す。
【0040】
信号PC_S0_STATEは、制御部11aが制御部11bを介して電源制御部20に向けて送信する信号であり、制御部11aのACPIの状態を示す。信号PC_S0_STATEは、HレベルのときにS0状態を示し、LレベルのときにS3以下(S3、S4、S5、G3)の状態を示す。
【0041】
信号DLY_PC_S0_STATEは、信号PC_S0_STATEが所定時間遅延した信号である。図2に示すように、信号PC_S0_STATEは制御部11bに一旦入力して所定時間遅延後に出力される。したがって、信号DLY_PC_S0_STATEの論理は、信号PC_S0_STATEと同じであり、HレベルのときにS0状態を示し、LレベルのときにS3以下(S3、S4、S5、G3)の状態を示す。
【0042】
信号PC_S0_STATE#は、信号DLY_PC_S0_STATEが反転部ic2により反転された信号であり、電源制御部20で受信される。信号PC_S0_STATE#がHレベルのときにホストPC10がS3以下(S3、S4、S5、G3)の状態であることを示し、LレベルのときにホストPC10がS0状態であることを示す。
【0043】
信号SUSSW#は、電源制御部20から制御部11bに向かって出力される信号である。信号SUSSW#がHレベルのときに起動/シャットダウンのトリガがない状態を示し、Lレベルのとき起動/シャットダウンのトリガがあることを示す。
【0044】
信号POW_SW#は、電源ボタン6から電源制御部20に向かって出力される信号である。信号POW_SW#は、Hレベルのときに電源ボタン6が押下されていない状態(電力オフ)を示し、Lレベルときに電源ボタン6が押下されている状態(電力オン)を示す。
なお、電源ボタンが所定時間以上(例えば、4秒以上)押下されて、Lレベルが所定時間以上(例えば、4秒以上)になったときには、強制シャットダウンの状態を示す。
【0045】
信号LAN_Wakeは、LANインタフェース部13が電源制御部20に向けて出力する信号である。信号LAN_Wakeは、HレベルのときにWoLによる起動指示がない状態を示し、LレベルのときにWoLによる起動指示がある状態を示す。
【0046】
信号PS_ON_PMU#は、電源制御部20がPSU40および制御部11bに向けて出力する起動信号である。信号PS_ON_PMU#がHレベルのときにPSU40からアクティブ電力の12Vが出力していない状態を示し、LレベルのときにPSU40からアクティブ電力の12Vが出力している状態を示す。
【0047】
信号12V_ONは、信号PS_ON_PMU#が反転部ic3により反転された信号であり、制御部11bで受信される。信号12V_ONがHレベルのときにPSU40からアクティブ電力の12Vが出力している状態を示し、LレベルのときにPSU40からアクティブ電力の12Vが出力していない状態を示す。
【0048】
信号on/off1は、電源制御部20がPCIeブリッジコントローラ30に向けて出力する起動信号である。信号on/off1がHレベルのときにPCIeブリッジコントローラ30が起動中の状態を示し、LレベルのときにPCIeブリッジコントローラ30が起動中でない状態を示す。
【0049】
信号on/off2は、電源制御部20がコプロセッサボード50に向けて出力する起動信号である。信号on/off2がHレベルのときにコプロセッサボード50が起動中の状態を示し、Lレベルのときにコプロセッサボード50が起動中でない状態を示す。
【0050】
<エッジコンピューティングへの適用>
図4は情報処理システムのエッジコンピューティングの適用例を示す図である。図2で上述したホストPC10をエッジサーバとみなして、情報処理システム1−2をエッジコンピューティングに適用することができる。
【0051】
エッジコンピューティングシステムsy1は、情報処理システム1−2、専用ネットワークN1(インターネット等)およびクラウドネットワークN2を備える。情報処理システム1−2内のホストPC10は専用ネットワークN1に接続され、専用ネットワークN1はクラウドネットワークN2に接続される。
【0052】
ホストPC10は、PCIeブリッジコントローラ30を介して、コプロセッサ5−1、・・・、5−nで分散処理されたデータを集約して、専用ネットワークN1を介してクラウドネットワークN2へ送信する。
【0053】
このような構成によって、クラウド側のリソースを節約してエッジ側での処理が可能になる。これにより、クラウドネットワークN2を介した応答時間が低減するためリアルタイム性を確保できる。
【0054】
また、ホストPC10(エッジ)上でデータを処理して結果をクラウドネットワークN2へ送信するので、データの秘匿性を確保できる。さらに、ホストPC10上でデータを処理して必要なデータのみをクラウドネットワークN2へ送信することで、通信量を削減できる。
【0055】
<ハードウェア構成>
図5はホストPCのハードウェア構成の一例を示す図である。ホストPC10は、プロセッサ(コンピュータ)100によって全体制御されている。プロセッサ100は、制御部11a、11bの機能を実現する。
【0056】
プロセッサ100には、バス103を介して、メモリ101、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104が接続されている。プロセッサ100は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ100は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0057】
メモリ101は、記憶部12の機能を含み、ホストPC10の主記憶装置として使用される。メモリ101には、プロセッサ100に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ101には、プロセッサ100による処理に要する各種データが格納される。
【0058】
また、メモリ101は、ホストPC10の補助記憶装置としても使用され、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。メモリ101は、補助記憶装置として、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置やHDD等の磁気記録媒体を含んでもよい。
【0059】
バス103に接続されている周辺機器としては、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104がある。入出力インタフェース102は、プロセッサ100からの命令にしたがってホストPC10の状態を表示する表示装置として機能するモニタ(例えば、LED(Light Emitting Diode)やLCD(Liquid Crystal Display)等)が接続できる。
【0060】
さらに、入出力インタフェース102は、キーボードやマウス等の情報入力装置を接続可能であって、情報入力装置から送られてくる信号をプロセッサ100に送信する。
さらにまた、入出力インタフェース102は、周辺機器を接続するための通信インタフェースとしても機能する。例えば、入出力インタフェース102は、レーザ光等を利用して、光ディスクに記録されたデータの読み取りを行う光学ドライブ装置を接続することができる。光ディスクには、Blu−rayDisc(登録商標)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(Rewritable)等がある。
【0061】
また、入出力インタフェース102は、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、入出力インタフェース102との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込み、またはメモリカードからのデータの読み出しを行う装置である。メモリカードは、カード型の記録媒体である。
【0062】
ネットワークインタフェース104は、LANインタフェース部13の機能を含み、ネットワークに接続してネットワークインタフェース制御を行う。例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LANカード等を使用することもできる。ネットワークインタフェース104で受信されたデータは、メモリ101やプロセッサ100に出力される。
【0063】
以上のようなハードウェア構成によって、ホストPC10の処理機能を実現することができる。例えば、ホストPC10は、プロセッサ100がそれぞれ所定のプログラムを実行することで本発明の処理を行うことができる。
【0064】
ホストPC10は、例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。ホストPC10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0065】
例えば、ホストPC10に実行させるプログラムを補助記憶装置に格納しておくことができる。プロセッサ100は、補助記憶装置内のプログラムの少なくとも一部を主記憶装置にロードし、プログラムを実行する。
【0066】
また、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ100からの制御により、補助記憶装置にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ100が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。なお、電源制御部20もコンピュータを備えて、図5に示した同様のハードウェアにより実現することができる。
【0067】
<通常の起動シーケンス>
図6は通常の起動シーケンスの一例を示す図である。図2に示すシステム構成と図6に示すタイムチャートを用いて、通常の起動シーケンスについて説明する。
【0068】
〔ステップS11〕電源制御部20は、通常起動トリガの発生を検出する。通常起動トリガとしては、電源ボタン6の押下操作またはWoLがある。
【0069】
電源ボタン6に対して押下が行われると、電源ボタン6は、押下された時間と同じ時間幅のLレベルの信号POW_SW#を出力する。また、LANインタフェース部13は、LANを通じて送信されたWoLのマジックパケット(起動指示を含むパケット)を受信すると、信号LAN_Wake#をLレベルにして出力する。
【0070】
電源制御部20では、信号POW_SW#がLレベルになった場合、または信号LAN_Wake#がLレベルになった場合に、通常起動トリガの発生を検出する。なお、図6では便宜的に、通常起動トリガが発生したことをLレベルからHレベルへの立ち上がりで示して、起動開始タイミングを表している。
【0071】
〔ステップS12a〕電源制御部20は、信号PS_ON_PMU#をLレベルにして、PSU40からアクティブ電力(12V)を出力させる。
〔ステップS12b〕反転部ic3は、信号PS_ON_PMU#のレベルを反転し、LレベルからHレベルになる信号12V_ONを制御部11bに送信する。制御部11bは、Hレベルの信号12V_ONを受信することで、ブリッジボードBd2に対してアクティブ電力の供給が開始されたことを認識する。
【0072】
〔ステップS13〕電源制御部20は、ブリッジボードBd2に備えられている冷却ファン(図2に図示せず)の稼働チェックを行う(ファンチェック)。また、電源制御部20は、ファンチェックの他にも、起動中か否かの状態を外部に通知するためのLED(図2に図示せず)を点滅させる。このLEDは、例えば、起動中は点滅し、起動が完了したら点灯になる。
【0073】
〔ステップS14〕電源制御部20は、信号on/off1をHレベルにして、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力を供給して起動状態にする。
〔ステップS15〕電源制御部20は、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力が供給されたことを認識すると、フラグをLレベルからHレベルにしてフラグのビットに1を立てる(フラグをHレベルに設定する)。
【0074】
なお、このフラグは、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力が供給されていない状態(起動していない状態)ではLレベルになり、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力が供給されている状態(起動している状態)ではHレベルになる。フラグがHレベルのとき、フラグが設定された状態になる。
【0075】
〔ステップS16〕電源制御部20は、フラグのビットに1を立てたときに信号PC_S3_STATE#がHレベル(信号PC_S3_STATE#がLレベル)であるので、ホストPC10が起動していないことを認識する。
【0076】
そして、電源制御部20は、信号SUSSW#をHレベルの状態から、所定時間幅をLレベルにしたワンショットのLレベルパルスを出力して、ホストPC10に対して起動トリガが与える。
【0077】
なお、電源ボタン6の所定時間以上の長押し操作による起動指示、またはWoLによる起動指示が行われた場合、電源制御部20は、信号SUSSW#をHレベルからLレベルにして、ホストPC10にアクティブ電力を供給して、ホストPC10を起動させる。したがって、Lレベルパルスの信号SUSSW#は、これら起動指示(電源ボタン6の所定時間以上の長押し操作またはWoL)を疑似した信号に相当する。
【0078】
〔ステップS17a〕制御部11aは、電源制御部20に向けて、信号PC_S3_STATEをLレベルからHレベルにして送信する。信号PC_S3_STATEがHレベルのとき、ホストPC10がS0またはS3状態であることを示す。
【0079】
〔ステップS17b〕反転部ic1は、信号PC_S3_STATEのレベルを反転し、HレベルからLレベルになる信号PC_S3_STATE#を電源制御部20に送信する。電源制御部20は、Lレベルの信号PC_S3_STATE#を受信することで、ホストPC10がS0またはS3状態であることを認識する。
【0080】
〔ステップS18〕制御部11bは、フラグの状態をポーリングで定期的に監視しており、フラグがHレベルになっていることを検出すると、信号SUSSW#のLレベルパルスの立ち上がり時に、記憶部12からBIOSを読み出してPOST(Power On Self-Test)処理を行う。ここでのPOST処理では、例えば、PCIeブリッジコントローラ30およびその他の周辺デバイスの初期化が行われる。
【0081】
〔ステップS19〕POST処理が終了すると、電源制御部20は、制御部11bからPOST処理の終了通知を受信し、信号on/off2をHレベルにして、コプロセッサボード50にアクティブ電力を供給し、コプロセッサボード50を起動させる。なお、コプロセッサボード50は、制御部11bから送信されるPOST処理の終了を示すコード(例えばFB)を受信することで、POST処理の終了を認識する。
【0082】
上記の図6に示すような起動シーケンスによって、情報処理システム1−2では、PSU40→PCIeブリッジコントローラ30→ホストPC10→コプロセッサボード50の順にアクティブ電力の供給にもとづく起動を行う。このような順番で各構成デバイスが起動していくことにより、システム全体を安定して起動させることができる。
【0083】
また、上記の起動シーケンスによって、電源制御部20は、PCIeブリッジコントローラ30が起動状態になった場合はフラグを設定し、制御部11bがフラグの設定状態を定期的に監視し、フラグが設定されていることを検出した場合、BIOSによる初期化処理を行うものとした。
【0084】
これにより、PCIeブリッジコントローラ30が起動する前に、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理のプログラムデータが走ってしまうといった現象を無くすことができる。したがって、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理を、PCIeブリッジコントローラ30の起動後に行うことが可能になる。
【0085】
<保護機能の発動条件の変更>
図7は保護機能の発動条件の変更を説明するための図である。図2に示すシステム構成と図7に示すタイムチャートを用いて、保護機能の発動条件を変更することにより、AMT起動時に制御部11a(ホストPC10)へのシャットダウン発生が防止されることについて説明する。
【0086】
〔ステップS21〕LANインタフェース部13は、LANを介してAMTによる起動指示を受信すると、信号AMT(図7には図示せず)を制御部11aに出力する。制御部11aは、信号AMTを受信すると、時刻t0において、信号PC_S3_STATEをLレベルからHレベルにする。
【0087】
〔ステップS22〕制御部11aは、信号PC_S3_STATEがHレベルになると、例えば、34μs後に信号PC_S0_STATEをLレベルからHレベルにして出力する。信号PC_S0_STATEがHレベルのとき、ホストPC10がS0状態(起動中状態)であることを示す。
【0088】
〔ステップS23〕制御部11bは、信号PC_S0_STATEを受信すると、信号PC_S0_STATEを例えば18ms遅延させた信号DLY_PC_S0_STATEを生成して出力する(なお、信号PC_S3_STATEの立ち上がりから信号DLY_PC_S0_STATEの立ち上がりまでの時間は、CPUの規格から25ms以内である)。
【0089】
〔ステップS24〕反転部ic2は、信号DLY_PC_S0_STATEのレベルを反転し、HレベルからLレベルになる信号PC_S0_STATE#を電源制御部20に送信する。電源制御部20は、Lレベルの信号PC_S0_STATE#を受信することで、ホストPC10がS0状態であることを認識する。
【0090】
〔ステップS25a〕電源制御部20は、信号DLY_PC_S0_STATEのレベルが反転部ic2で反転されたLレベルの信号PC_S0_STATE#と、信号PC_S3_STATEのレベルが反転部ic1で反転されたLレベルの信号PC_S3_STATE#(図7には図示せず)とを受信して、制御部11aが起動中状態になったことを検出する。電源制御部20は、制御部11aが起動中状態になったことを検出すると、信号PS_ON_PMU#をHレベルからLレベルにして出力する。
【0091】
〔ステップS25b〕反転部ic3は、信号PS_ON_PMU#のレベルを反転し、LレベルからHレベルになる信号12V_ONを制御部11bに送信する。制御部11bは、Hレベルの信号12V_ONを受信することで、ブリッジボードBd2に対してアクティブ電力の供給が開始されたことを認識する。
【0092】
ここで、保護機能発動の条件は、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルであり、かつ信号12V_ONがLレベルのときである。すなわち、制御部11aが起動中状態、かつスタンバイ電力が供給されているときであり、この場合は、制御部11aの起動に要する電力不足になるため、制御部11bは、この条件を検出すると保護機能を稼働させて制御部11aをシャットダウンさせる。
【0093】
時刻t1は、変更前の従来の保護機能発動のタイミングを示している。AMTにもとづく起動時、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになった時点(時刻t1)で、制御部11bは、信号12V_ONのレベルを判定していた。
【0094】
時刻t1では、信号12V_ONはまだHレベルに遷移していない。このため、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベル、かつ信号12V_ONはLレベルという条件が満たされてしまい、AMTによる起動指示が与えられているのに、保護機能が発動してシャットダウンが生じていた。
【0095】
これに対し、時刻t2は、変更後の本発明の保護機能発動のタイミングを示している。AMTにもとづく起動時、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルの場合、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになってから200ms(図1の所定時間tdに該当)遅延後の信号12V_ONのレベルを判定する。この200msは、制御部11aに対して、PSU40がスタンバイ電力からアクティブ電力を供給するまでに要する時間以上の設定時間である。
【0096】
図7に示すように、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになってから200ms遅延後の時刻t2では信号12V_ONはHレベルに遷移できている。このため、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルであり、かつ信号12V_ONがHレベルであるので、保護機能の発動条件から外すことでき、制御部11bは、保護機能を動作させることなく制御部11aを起動状態にすることができる。
【0097】
このように、情報処理システム1−2では、AMTにもとづく起動時、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになってから、200ms遅延後の時刻t2で、信号12V_ONのレベル判定を行う。
【0098】
信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになってから200msに達するまでの間に信号12V_ONをHレベルにしてアクティブ電力をメインボードBd1に供給することができる。したがって、時刻t2では、信号DLY_PC_S0_STATEおよび信号12V_ONが共にHレベルであるから、制御部11aを正常に起動状態にすることができ、AMT起動時のシャットダウンの発生を防止することができる。
【0099】
なお、信号DLY_PC_S0_STATEがHレベルになってから200ms後の信号12V_ONのレベルがLレベルである場合には、何らかの原因で正常動作が行われていないので、制御部11bは、条件どおり保護機能を動作させてシャットダウンさせることになる。
【0100】
<AMTによる起動シーケンス>
図8はAMTによる起動シーケンスの一例を示す図である。図2に示すシステム構成と図8に示すタイムチャートを用いて、AMTによる起動シーケンスについて説明する。
【0101】
〔ステップS31〕LANインタフェース部13は、LANを介してAMTによる起動指示を受信すると、信号AMTを制御部11aに出力し、制御部11aは、AMT起動トリガを認識する。
【0102】
また、制御部11aは、通信ラインL1を介してAMT起動トリガを制御部11bに通知する。なお、図8では便宜的に、AMT起動トリガが発生したことをLレベルからHレベルへの立ち上がりで示して起動開始タイミングを表している。
【0103】
〔ステップS32〕制御部11bは、記憶部12からBIOSを読み出して第1のPOST処理を行う。第1のPOST処理(第1の処理)は、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理以外の周辺デバイスの初期化処理である。
【0104】
すなわち、制御部11bは、AMT起動トリガを認識すると、記憶部12から周辺デバイスの初期化処理に必要なBIOSを読み出して、第1のPOST処理として周辺デバイスの初期化処理を行う(ここでの周辺デバイスにはPCIeブリッジコントローラ30は含まれない)。
【0105】
〔ステップS33a〕制御部11aは、電源制御部20に向けて、信号PC_S3_STATEをLレベルからHレベルにして送信する。信号PC_S3_STATEがHレベルのとき、制御部11aがS0またはS3状態であることを示す。
【0106】
〔ステップS33b〕反転部ic1は、信号PC_S3_STATEのレベルを反転し、HレベルからLレベルになる信号PC_S3_STATE#を電源制御部20に送信する。電源制御部20は、Lレベルの信号PC_S3_STATE#を受信することで、制御部11aがS0またはS3状態であることを認識する。
【0107】
〔ステップS34a〕電源制御部20は、信号PC_S3_STATE#がHレベルからLレベルになったことを検出すると、信号PS_ON_PMU#をHレベルからLレベルにして、制御部11bおよびPSU40に送信する。
【0108】
〔ステップS34b〕反転部ic3は、信号PS_ON_PMU#のレベルを反転し、LレベルからHレベルになる信号12V_ONを制御部11bに送信する。制御部11bは、Hレベルの信号12V_ONを受信することで、PSU40がアクティブ電力の供給を開始したことを認識する。
【0109】
〔ステップS35〕電源制御部20は、ブリッジボードBd2に備えられている冷却ファンの稼働チェックを行う。また、電源制御部20は、LEDを点滅させて起動中であることを表示する。
【0110】
〔ステップS36〕制御部11bは、第1のPOST処理を終了する。その後、制御部11bは、電源制御部20によってフラグが設定されるまで、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理である第2のPOST処理の開始を待機(ウエイト)する。
【0111】
〔ステップS37〕電源制御部20は、信号on/off1をLレベルからHレベルにして、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力を供給して起動状態にする。
〔ステップS38〕電源制御部20は、PCIeブリッジコントローラ30にアクティブ電力が供給されたことを認識すると、フラグをLレベルからHレベルにしてフラグのビットに1を立てる。
【0112】
〔ステップS39〕制御部11bは、フラグの状態をポーリングで定期的に監視しており、フラグがHレベルになっていることを検出すると、記憶部12からBIOSを読み出して第2のPOST処理(第2の処理)を行う。
【0113】
すなわち、制御部11bは、フラグに1が立っていることを認識すると、記憶部12からPCIeブリッジコントローラ30の初期化処理に必要なBIOSを読み出して、第2のPOST処理としてPCIeブリッジコントローラ30の初期化を行い、初期化処理を継続する。
【0114】
〔ステップS40〕制御部11bによる第2のPOST処理が終了すると、電源制御部20は、制御部11bから第2のPOST処理の終了通知を受信し、コプロセッサボード50を起動させる。コプロセッサボード50は、制御部11bから送信される第2のPOST処理の終了を示すコード(例えばFB)を受信することで、第2のPOST処理の終了を認識する。
【0115】
なお、電源制御部20は、フラグのビットに1を立てたときに信号PC_S3_STATE#がLレベル(信号PC_S3_STATEがHレベル)であるので、すでにホストPC10が起動していることを認識し、信号SUSSW#はHレベルを維持して出力する(ワンショットのLレベルパルスの出力は行わない)。
【0116】
上記の図8に示すようなAMTにもとづく起動シーケンスによって、制御部11bはフラグの設定前はPCIeブリッジコントローラ30の初期化を含まないPOST処理を実行し、フラグの設定後はPCIeブリッジコントローラ30の初期化を含むPOST処理を実行する。
【0117】
これにより、AMTにもとづく起動において、PCIeブリッジコントローラ30が起動する前に、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理のプログラムデータが走ってしまうといった現象を無くすことができる。したがって、PCIeブリッジコントローラ30の初期化処理を、PCIeブリッジコントローラ30の起動後に行うことが可能になる。
【0118】
上記で説明した本発明の情報処理システム1−1、1−2の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、情報処理システム1−1、1−2が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0119】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD−ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0120】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0121】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0122】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0123】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1−1 情報処理システム
1 情報処理装置
1a、1b 制御部
1b1 保護機能
1c 記憶部
2 周辺装置
2a 電源部
T1 起動中状態の検出タイミング
T2 保護機能発動条件の判定タイミング
【要約】
【課題】遠隔管理機能にもとづく正常な起動を行う。
【解決手段】情報処理装置1は、制御部1a、1bおよび記憶部1cを含む。周辺装置2は、電源部2aを含む。電源部2aは、待機電力および操作電力を出力する。制御部1aは、ネットワークを介した遠隔管理によって電力の起動指示を受信する。記憶部1cは、制御部1aに対して待機電力から操作電力が供給されるまでに要する時間以上の所定時間tdを保持する。制御部1bは、制御部1aに待機電力が供給されている状態であり、かつ制御部1aが起動中状態であることを条件にして制御部1aへの電力遮断を発動させる保護機能1b1を備えており、制御部1aが起動指示を受けて起動中状態になったことを検出した場合、起動中状態の検出時から所定時間td遅延させた時刻で保護機能1b1を発動するための条件判定を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8