特許第6691362号(P6691362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6691362コイル材搬送装置、プレスシステム、およびコイル材搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691362
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】コイル材搬送装置、プレスシステム、およびコイル材搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/02 20060101AFI20200421BHJP
   B21D 43/04 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B21D43/02 D
   B21D43/04 A
   B21D43/02 E
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-168626(P2015-168626)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-42802(P2017-42802A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石原 真
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 育大
(72)【発明者】
【氏名】徳永 英和
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−205629(JP,A)
【文献】 特開2005−334940(JP,A)
【文献】 特開平11−244968(JP,A)
【文献】 実開昭60−042621(JP,U)
【文献】 特開2007−007713(JP,A)
【文献】 米国特許第03974920(US,A)
【文献】 実開平06−009728(JP,U)
【文献】 実開平02−048223(JP,U)
【文献】 実公平07−035619(JP,Y2)
【文献】 実公昭58−056018(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00 − 43/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル材を供給するコイル材供給装置と前記コイル材供給装置から供給される前記コイル材をプレス加工するプレス装置との間に配置されたコイル材搬送装置であって、
前記プレス装置に配置される金型の方向へ伸縮可能であり、前記コイル材供給装置から供給される前記コイル材の終端を下方から支持する支持部と、
前記支持部を伸縮させる第1駆動部と、
前記支持部に設けられ、前記プレス装置に配置される前記金型に向かって前記コイル材の終端を搬送する搬送部と、
前記コイル材の終端を前記プレス装置に配置される前記金型へ搬送する際に、前記支持部の前記プレス装置側の第1端部が、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置に配置されるように前記第1駆動部を制御する制御部と、
前記支持部の前記プレス装置側の端部を上下方向に移動させる第2駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記支持部の前記第1端部の上下方向の位置が、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置になるように前記第2駆動部を制御し、
前記支持部は、前記コイル材の終端を下方から支持する支持位置と、前記支持位置から退避した退避位置の間を移動可能であり、
前記制御部は、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御して前記支持部を前記支持位置と前記退避位置の間で移動させ、
前記プレス装置によるプレス加工時に前記支持部を前記退避位置に移動させる、
コイル材搬送装置。
【請求項2】
前記プレス装置に配置される前記金型ごとに、前記支持位置を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御することにより前記プレス装置に配置される前記金型に対応する前記支持位置に前記支持部を配置させる、
請求項に記載のコイル材搬送装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1端部とは反対側の第2端部が回動可能に前記コイル材供給装置に支持されており、
前記第2駆動部は、前記第2端部を中心に前記第1端部が上下方向に移動するように前記支持部を回動させる、
請求項1に記載のコイル材搬送装置。
【請求項4】
前記搬送部は、
前記コイル材の終端に当接する当接部と、
前記当接部を搬送方向に移動させる第3駆動部と、
を有する、
請求項1に記載のコイル材搬送装置。
【請求項5】
前記第3駆動部は、
前記支持部に前記搬送方向に沿って回転可能に支持され、前記当接部が固定されたベルト状部材と、
前記ベルト状部材を回転させる駆動モータと、を有する、
請求項に記載のコイル材搬送装置。
【請求項6】
前記ベルト状部材は、前記搬送方向に対して垂直な幅方向における前記支持部の中央に配置されている、
請求項に記載のコイル材搬送装置。
【請求項7】
前記支持部は、
前記第2端部を持つ回動部と、
前記第1端部を持ち、前記回動部に対して搬送方向にスライド可能なスライド部と、を有し、
前記第1駆動部は、前記スライド部を前記回動部に対してスライド移動させて前記支持部を伸縮し、
前記回動部は、
前記搬送方向に沿って配置され、前記コイル材を滑らせる複数の滑り部材を持つ第1支持部分を複数有し、
前記スライド部は、
前記搬送方向に沿って配置され、前記コイル材を滑らせる複数の滑り部材を持つ第2支持部分を複数有し、
前記搬送方向に対して垂直な前記支持部の幅方向の中央から前記幅方向の両端のそれぞれに向かって前記第1支持部分と前記第2支持部分が交互に配置されている、
請求項に記載のコイル材搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記コイル材供給装置から前記コイル材の先端が前記プレス装置に供給される際に、前記支持部の前記プレス装置側の第1端部が、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置に配置されるように前記第1駆動部を制御する、
請求項1に記載のコイル材搬送装置。
【請求項9】
コイル材を供給するコイル材供給装置本体と、
前記コイル材供給装置本体から供給される前記コイル材にプレス加工を行うプレス装置本体と、
前記コイル材供給装置本体と前記プレス装置本体の間に配置されたコイル材搬送装置本体と、
前記コイル材供給装置本体を制御する供給装置制御部と、
前記プレス装置本体を制御するプレス装置制御部と、
前記コイル材搬送装置本体を制御する搬送装置制御部と、を備え、
前記コイル材搬送装置本体は、
前記プレス装置に配置される金型の方向へ伸縮可能であり、前記コイル材供給装置本体から供給される前記コイル材の終端を下方から支持する支持部と、
前記支持部を伸縮させる第1駆動部と、
前記支持部に設けられ、前記プレス装置本体に配置される金型へ向けて前記コイル材の終端を搬送する搬送部と、
前記支持部の前記プレス装置側の端部を上下方向に移動させる第2駆動部と、有し、
前記搬送装置制御部は、
前記コイル材の終端を前記プレス装置に配置される前記金型へ搬送する際に、前記支持部の前記プレス装置本体側の第1端部が、前記プレス装置本体に配置される前記金型に対応する位置に配置されるように前記第1駆動部を制御し、
前記支持部の前記第1端部の上下方向の位置が、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置になるように前記第2駆動部を制御し、
前記支持部は、前記コイル材の終端を下方から支持する支持位置と、前記支持位置から退避した退避位置の間を移動可能であり、
前記搬送装置制御部は、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御して前記支持部を前記支持位置と前記退避位置の間で移動させ、
前記プレス装置によるプレス加工時に前記支持部を前記退避位置に移動させる、
プレスシステム。
【請求項10】
プレス装置に設置された金型の金型情報を取得する金型情報取得工程と、
前記金型情報に基づいて、コイル材の先端を下方から支持して前記金型に案内する支持部の金型側先端部の位置データを取得する位置データ取得工程と、
前記位置データに基づいて前記支持部を駆動させる駆動工程と、
前記コイル材の終端を前記プレス装置に配置された前記金型へ向かって搬送する搬送工程と、
を備え、
前記駆動工程では、前記支持部を伸縮させて前記金型側先端部を、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置に配置し、前記支持部の前記金型側先端部を上下方向に移動させて前記金型側先端部の上下方向の位置を、前記プレス装置に配置される前記金型に対応する位置に
前記支持部を、前記コイル材の終端を下方から支持する支持位置と、前記支持位置から退避した退避位置の間で移動させる移動工程を更に備え、
前記移動工程では、前記プレス装置によるプレス加工時に前記支持部を前記退避位置に移動させる、
コイル材搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル材搬送装置、プレスシステム、およびコイル材搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルシステムとして、プレス装置と、巻き回されたコイル材を解きながらプレス装置に供給するコイル材供給装置とを備えた構成が開示されている。コイル材供給装置には、アンコイラ、レベラーフィーダ、などが設けられている。そして、アンコイラによって解かれたコイル材がレベラーフィーダによって平滑化されてプレス装置へと供給される。
このような構成のコイルシステムでは、コイル材の終端がレベラーフィーダなどのフィーダを通過すると、フィーダからプレス装置内までの間に残っている終端材料を供給方向に移動させることができなくなる。
【0003】
そこで、この終端材料を供給方向に移動させる搬入装置が設けられた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献に示す搬入装置では、ローラコンベア上の終端材料がエアシリンダによってコンベア側に押し付けられ、その状態を維持したままプレス装置の金型に向けて送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の搬入装置は、図では簡便化されているものの押圧部材を下方に移動させる機構を備えるとともにプレス装置側に移動させる機構も備える必要があるため、機構が大きくなりプレス装置の内側に配置できなかった。
このため、従来の搬入装置では、プレス装置の外側に配置されている搬入装置から、プレス装置の内側に配置されている金型までのコイル材の終端材料を金型へと供給できなかった。
【0006】
本発明は、上記従来の装置の課題を考慮し、より有効に材料を利用可能なコイル材搬送装置、プレスシステムおよびコイル材搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るコイル材搬送装置は、コイル材を供給するコイル材供給装置とコイル材供給装置から供給されるコイル材をプレス加工するプレス装置との間に配置されたコイル材搬送装置であって、支持部と、第1駆動部と、搬送部と、を備えている。支持部は、プレス装置に配置される金型の方向へ伸縮可能であり、コイル材供給装置から供給されるコイル材の終端を下方から支持する。第1駆動部は、支持部を伸縮させる。搬送部は、支持部に設けられており、プレス装置に配置される金型に向かってコイル材の終端を搬送する。
【0008】
このように、コイル材の終端を下方から支持する支持部に、コイル材の終端を搬送する搬送部が設けられている。そのため、支持部の上方にコイル材の終端を搬送するための機構を設ける必要がなく、第1駆動部によりプレス装置の内側まで支持部を伸長し金型の近傍に配置できる。
そして、伸長させた支持部のプレス装置側の端まで搬送部によってコイル材の終端が搬送されることにより、コイル材の終端を金型に送り込むことできる。
【0009】
このように、金型近傍にまでコイル材の終端を送り込めるため、コイル材の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
第2の発明に係るコイル材搬送装置は、第1の発明に係るコイル材搬送装置であって、制御部を更に備えている。制御部は、コイル材の終端をプレス装置に配置される金型へ搬送する際に、支持部のプレス装置側の第1端部が、プレス装置に配置される金型に対応する位置に配置されるように第1駆動部を制御する。
【0010】
ユーザは、様々な大きさおよび形状の金型を用いるため、使用する最大の金型の大きさに合わせたサイズのボルスタを使用することが一般的である。このため、例えばサイズの小さい金型を用いた場合には、ボルスタの外縁よりも内側に入り込んだ位置に金型が配置されることになり、従来の装置では、より材料の無駄が生じることになる。
しかしながら、金型に合わせて支持部のプレス装置側の端部の位置を設定することで、ボルスタの内側に入り込んで金型が配置されている場合であっても、その金型に合わせて支持部を伸長できる。そのため、材料の無駄を低減でき、より有効に材料を利用できる。
【0011】
第3の発明に係るコイル材搬送装置は、第2の発明に係るコイル材搬送装置であって、第2駆動部を更に備えている。第2駆動部は、支持部のプレス装置側の端部を上下方向に移動させる。制御部は、支持部の第1端部の上下方向の位置が、プレス装置に配置される金型に対応する位置になるように第2駆動部を制御する
このように支持部のプレス装置側の端部の上下位置を制御することによって、支持部の端部を、プレス装置に配置される金型の高さに合わせることが出来る。これにより、様々な高さの金型に合わせて、コイル材の終端を搬送部によって移動できる。
【0012】
第4の発明に係るコイル材搬送装置は、第3の発明に係るコイル材搬送装置であって、支持部は、コイル材の終端を下方から支持する支持位置と、支持位置から退避した退避位置の間を移動可能である。制御部は、第1駆動部および第2駆動部を制御して支持部を支持位置と退避位置の間で移動させる。
プレス装置に配置された金型に案内されたコイル材は、金型のリフタガイドに配置されており、プレス加工時には、リフタガイドが沈み込みこむとともにコイル材も下方に移動する。このため、プレス加工時に支持部が支持位置に配置された状態では、コイル材のプレス加工に影響を与える場合がある。
【0013】
しかしながら、上記発明では、支持部が支持位置と退避位置の間を移動可能であるため、プレス加工時には支持部を退避位置に移動させ、コイル材の終端がフィーダを抜けてから支持部を支持位置に移動させて終端が搬送される。これによって、支持部がプレス加工時にコイル材に影響を与えることを防止できる。
第5の発明に係るコイル材搬送装置は、第4の発明に係るコイル材搬送装置であって、記憶部を更に備えている。記憶部は、プレス装置に配置される金型ごとに、支持位置を記憶する。制御部は、第1駆動部および第2駆動部を制御することによりプレス装置に配置される金型に対応する支持位置に支持部を配置させる。
【0014】
予めティーチング等により金型ごとに支持部の位置を決定して記憶部に記憶することによって、プレス装置に配置した金型に対応する支持位置まで支持部を自動で移動させることができる。
これにより、金型ごとに適した支持位置に支持部を位置決めさせることができる。
なお、ティーチングについては、金型を用いた試し打ちの際に行えばよい。
【0015】
第6の発明に係るコイル材搬送装置は、第3の発明に係るコイル材搬送装置であって、支持部は、第1端部とは反対側の第2端部が回動可能にコイル材供給装置に支持されている。第2駆動部は、第2端部を中心に第1端部が上下方向に移動するように支持部を回動させる。
これにより、支持部を回動させてプレス装置側の端部の位置をプレス装置に配置された金型の近傍に位置させることができる。
【0016】
第7の発明に係るコイル材搬送装置は、第1の発明に係るコイル材搬送装置であって、搬送部は、当接部と、第3駆動部と、を有する。当接部は、コイル材の終端に当接する。第3駆動部は、当接部を搬送方向に移動させる。
これにより、当接部がコイル材の終端を搬送方向に押し、コイル材の終端は、プレス装置に配置された金型へと搬送される。
【0017】
第8の発明に係るコイル材搬送装置は、第7の発明に係るコイル材搬送装置であって、第3駆動部は、ベルト状部材と、駆動モータとを有する。ベルト状部材は、支持部に搬送方向に沿って回転可能に支持され、当接部が固定されている。駆動モータは、ベルト状部材を回転させる。
これにより、ベルト状部材の回転によって当接部が搬送方向に移動する。
【0018】
第9の発明に係るコイル材搬送装置は、第8の発明に係るコイル材搬送装置であって、ベルト状部材は、搬送方向に対して垂直な幅方向における支持部の中央に配置されている。
これにより、幅方向の中央を搬送方向に向かって当接部が移動するため、コイル材の幅に係らずコイル材の終端を搬送できる。
【0019】
第10の発明に係るコイル材搬送装置は、第6の発明に係るコイル材搬送装置であって、支持部は、回動部と、スライド部とを有する。回動部は、第2端部を持つ。スライド部は、第1端部を持ち、回動部に対して搬送方向にスライド可能である。第1駆動部は、スライド部を回動部に対してスライド移動させて支持部を伸縮する。回動部は、搬送方向に沿って配置され、コイル材を滑らせる複数の滑り部材を持つ第1支持部分を複数有する。スライド部は、搬送方向に沿って配置され、コイル材を滑らせる複数の滑り部材を持つ第2支持部分を複数有する。搬送方向に対して垂直な支持部の幅方向の中央から幅方向の両端のそれぞれに向かって第1支持部分と第2支持部分が交互に配置されている。
【0020】
このように、複数の支持部分によって支持部を伸長可能な構成とすることによって、中央に空間を形成でき、ベルト状部材を配置しやすい。
第11の発明に係るコイル材搬送装置は、第2の発明に係るコイル材搬送装置であって、制御部は、コイル材供給装置からコイル材の先端がプレス装置に供給される際に、支持部のプレス装置側の第1端部が、プレス装置に配置される金型に対応する位置に配置されるように第1駆動部を制御する。
【0021】
これにより、コイル材の終端をプレス装置に向かって搬送するだけでなく、コイル材供給装置から供給されるコイル材の先端をプレス装置に案内することもできる。
このように、コイル材の先端の案内を自動で行うことが出来るため、コイル材供給装置からプレス装置に配置される金型へのコイル材の先端の受け渡しを作業者が行う必要がなく、コイル材または金型を交換する毎に作業者がプレス装置内に立ち入る必要がなく、交換時の段取りに要する時間を短縮できる。
【0022】
第12の発明に係るコイル材搬送装置は、コイル材供給装置本体と、プレス装置本体と、コイル材搬送装置本体と、供給装置制御部と、プレス装置制御部と、搬送装置制御部と、を備えている。コイル材供給装置本体はコイル材を供給する。プレス装置本体は、コイル材供給装置本体から供給される前記コイル材にプレス加工を行う。コイル材搬送装置本体は、コイル材供給装置本体とプレス装置本体の間に配置されている。供給装置制御部は、コイル材供給装置本体を制御する。プレス装置制御部は、プレス装置本体を制御する。搬送装置制御部は、コイル材搬送装置本体を制御する。コイル材搬送装置本体は、支持部と、第1駆動部と、搬送部と、を有する。支持部は、プレス装置に配置される金型の方向へ伸縮可能であり、コイル材供給装置本体から供給されるコイル材の終端を下方から支持する。第1駆動部は、支持部を伸縮させる。搬送部は、支持部に設けられプレス装置本体に配置される金型へ向けてコイル材の終端を搬送する。搬送装置制御部は、コイル材の終端をプレス装置に配置される金型へ搬送する際に、支持部のプレス装置本体側の第1端部が、プレス装置本体に配置される金型に対応する位置に配置されるように第1駆動部を制御する。
【0023】
これにより、プレス装置本体の内側まで支持部を伸長し金型の近傍に配置でき、伸長させた支持部の第1端部まで搬送部によってコイル材の終端を搬送できるため、金型近傍にまでコイル材の終端を送り込める。このため、コイル材の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
第13の発明に係るコイル材搬送装置は、金型情報取得工程と、位置データ取得工程と、駆動工程と、搬送工程と、を備える。金型情報取得工程は、プレス装置に設置された金型の金型情報を取得する。位置データ取得工程は、金型情報に基づいて、コイル材の先端を下方から支持して金型に案内する支持部の金型側先端部の位置データを取得する。駆動工程は、位置データに基づいて支持部を駆動させる。搬送工程は、コイル材の終端をプレス装置に配置された金型へ向かって搬送する。
【0024】
これによりコイル材の終端を金型へ搬送できる。このため、コイル材の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、より有効に材料を利用可能なコイル材搬送装置、プレスシステムおよびコイル材搬送方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のプレスシステムの構成を示す図。
図2図1のプレスシステムのコイル材搬送装置近傍を示す上方からの斜視図。
図3図2のコイル材搬送装置を示す拡大斜視図。
図4図3のコイル材搬送装置を示す下方からの斜視図。
図5図3のコイル材搬送装置の支持部が縮んだ状態を示す斜視図。
図6図3のコイル材搬送装置の側面図。
図7図6のコイル材搬送装置の支持部が縮んだ状態を示す側面図。
図8図7のコイル材搬送装置の支持部が下方に回動した状態を示す側面図。
図9図3のコイル材搬送装置の搬送方向の上流側から視た斜視図。
図10図9のAA´間の矢示断面図。
図11図10のコイル材搬送装置の支持部が縮んだ状態を示す断面図。
図12】コイル材の先端が下金型に送り込まれている状態を示す斜視図。
図13図1に示すプレスシステムの動作を示すフロー図。
図14】(a)〜(c)図3のコイル材搬送装置によってコイル材の先端が下金型に案内される動作を説明するための図。
図15】(a)〜(c)図3のコイル材搬送装置によってコイル材の先端が下金型に案内される動作を説明するための図。
図16】(a)、(b)図1に示すプレス装置によるプレス動作の際のコイル材の移動を説明するための図。
図17】(a)、(b)図3のコイル材搬送装置によってコイル材の終端が下金型に案内される動作を説明するための図。
図18】(a)、(b)図3のコイル材搬送装置によってコイル材の終端が下金型に案内される動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明にかかる実施の形態のプレスシステムについて図面を参照しながら以下に説明する。
<1.構成>
(1−1.プレスシステムの構成の概要)
図1は、本実施の形態のプレスシステム1の構成を示す模式図である。本実施の形態のプレスシステム1は、順送り型であって、コイル材供給装置2と、プレス装置3と、コイル材搬送装置4と、全体制御部5と、を備えている。
【0028】
コイル材供給装置2は、コイル材100をプレス装置3に供給する。プレス装置3は、コイル材100をプレス加工して製品101を形成する。コイル材搬送装置4は、コイル材100の先端100aのプレス装置3への案内と、コイル材100の終端100b(図17(a)参照)のプレス装置3への搬送を行う。
コイル材100の先端100aのプレス装置3への案内とは、コイル材100または金型8を交換した際に、コイル材100の先端100aをプレス装置3へと自動で導くことである。コイル材100の終端100bのプレス装置3への搬送とは、コイル材100の終端100bがコイル材供給装置2から排出されてプレス装置3へと供給できなくなった終端材料をプレス装置3への搬送することである。
【0029】
全体制御部5は、コイル材供給装置2の供給装置制御部24と、プレス装置3のプレス装置制御部38と、コイル材搬送装置4の搬送装置制御部45と信号を送受信しながら、プレスシステム1の全体の制御を行う。
なお、全体制御部5、供給装置制御部24、プレス装置制御部38、および搬送装置制御部45、および位置記憶部46(後述する)は、制御装置9に設けられている。制御装置9は、CPU、メモリ、ディスプレイ、および操作部(キーボード、ボタンなど)を有している。
【0030】
金型8は、図1に示すように、上金型6および下金型7を含む。
(1−2.コイル材供給装置)
コイル材供給装置2は、コイル材供給装置本体20と、コイル材供給装置本体20を制御する供給装置制御部24とを有する。コイル材供給装置本体20は、アンコイラ21と、レベラ22と、フィーダ23と、を有する。
【0031】
アンコイラ21は、巻き回されたコイル材100を解きながら送り出す。アンコイラ21は、マンドレル211を有する。マンドレル211は駆動機構を持ち、コイル材100を繰り出す。
レベラ22は、複数のローラ221を有しており、ローラ231の間を通過するコイル材100の巻き癖を矯正する。
【0032】
フィーダ23は、コイル材100の搬送方向Xを基準にしてレベラ22の下流側に配置されている。フィーダ23は、複数のローラ231を有し、アンコイラ21から繰り出されるコイル材100をプレス装置3へと搬送する。また、フィーダ23のローラ231の下流側には、コイル材100の終端100b(図17(a)参照)を検出する終端検出部236が設けられている。終端検出部236は、例えば光学式センサ等によって構成されており、コイル材100がなくなったことを検出する。
【0033】
レベラ22とフィーダ23の間のフロアFには、凹状のループピット25が形成されており、コイル材100がループを形成する。このループは、フィーダ23の間欠送りの影響を除き、レベラ22を連続して運転することを可能とする。
供給装置制御部24は、アンコイラ21およびローラ221、231の駆動の制御を行い、コイル材100の供給を制御する。
【0034】
(1−3.プレス装置)
プレス装置3は、コイル材供給装置2のフィーダ23の下流側に配置されており、プレス装置本体30と、プレス装置本体30の制御を行うプレス装置制御部38を有する
プレス装置本体30は、ベッド32と、アプライト33と、クラウン34と、スライド35と、プレス駆動部36と、ボルスタ37とを有する。
【0035】
ベッド32は、プレス装置3の土台を構成する。
アプライト33は、柱状の部材であり、ベッド32上に4本配置されている。4本のアプライト33は、平面視において矩形状の各頂点を形成するように配置されている。図1では、アプライト33を2本のみ図示している。
クラウン34は、4本のアプライト33によって上方に支持されている。スライド35は、クラウン34の下側に吊下されている。
【0036】
プレス駆動部36は、クラウン34に設けられている。プレス駆動部36は、ポイントアセンブリ39を介してクラウン34の下側に吊下されたスライド35と連結されており、スライド35を昇降移動させる。ポイントアセンブリ39は、搬送方向Xに沿って2つ設けられており、スライド35が2ポイントで支持されている。なお、ポイントアセンブリ39の数は1つ若しくは3つ以上であってもよい。
【0037】
プレス駆動部36は、例えば、駆動源としてのサーボモータ、サーボモータの回転を減速する減速機、およびクランク機構などを備えている。クランク機構によってサーボモータの回転運動が上下方向の運動に変換され、クランク機構が連結されているポイントアセンブリ39が上下移動し、スライド35が上下移動する。
スライドの35の下面には、図示しないダイクランパによって上金型6が搬送方向に沿って着脱自在に取り付けられる。
【0038】
ボルスタ37には、下金型7が搬送方向に沿って載置される。図2は、コイル材搬送装置4の周辺の構成を示す斜視図である。図2では、金型8のうち下金型7のみが示されている。図2に示すように、下金型7には、コイル材100を搬送方向Xに案内するリフタガイド71が設けられている。
リフタガイド71は、下金型7の幅方向Yの両端に設けられており、内側に搬送方向Xに沿って溝71aが形成されている。幅方向Yの両側のリフタガイド71の溝71aにコイル材100の幅方向Yの両端が嵌ることによって、コイル材100は搬送方向Xに案内されプレス動作の際に上下動される。
【0039】
また、リフタガイド71のコイル材供給装置2側の端には、コイル材搬送装置4によってリフタガイド71の溝71aにコイル材100の先端100aを導き易くするための端ガイド72が設けられている。端ガイド72は、溝71aの端の上下から搬送方向Xの上流側に向かって形成された2つのガイド部材72a、72bによって構成されており、2つのガイド部材72a、72bは、搬送方向Xの上流側に向かって上下方向の間隔が広くなるように形成されている。
【0040】
プレス装置制御部38は、供給装置制御部24および搬送装置制御部45によるコイル材100の供給に合わせてプレス駆動部36を制御してスライド35を上下動させる。これによってプレス加工が行われる。
(1−4.コイル材搬送装置)
本実施の形態のコイル材搬送装置4は、図1に示すように、コイル材搬送装置本体40と、搬送装置制御部45と、位置記憶部46と、を備えている。
【0041】
搬送装置制御部45は、コイル材搬送装置本体40を制御する。位置記憶部46は、金型8ごとに、コイル材搬送装置本体40の後述する支持部41の支持位置を記憶する。
図3は、図2のコイル材搬送装置本体40の拡大図である。図3は、支持部41が上方に回動し、後述するスライド部52が回動部51に対してプレス装置3側にスライドした状態を示す。図4は、図3のコイル材搬送装置本体40を搬送方向Xの下流側の下方から見た斜視図である。
【0042】
図2図4に示すように、コイル材搬送装置本体40は、支持部41(図2参照)と、スライド駆動部42(図2および図4参照)と、回動駆動部43(図4参照)と、搬送部44(図2および図3参照)とを主に有する。
支持部41は、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100を下方から支持することによって、コイル材100の先端100a(図1参照)をプレス装置3に配置される金型8の端ガイド72へと案内する。
【0043】
スライド駆動部42は、支持部41を伸縮させる。回動駆動部43は、支持部41をフィーダ23のハウジング232側の端部41bを支点として回動する。
スライド駆動部42および回動駆動部43の駆動によって、支持部41は、支持位置(後述する図6参照)と、支持位置から退避した退避位置(後述する図8参照)の間を移動する。支持位置とは、コイル材100の先端100aを案内および終端100bを搬送する際にコイル材100を支持する位置である。
【0044】
(1−4−1.支持部)
支持部41は、フィーダ23のハウジング232の側面に回動可能に設けられている。ハウジング232のプレス装置3側の側面には、図2に示すように、コイル材100の排出口233が形成されており、支持部41は、排出口233の下側に配置されるフィーダ23側の端部41bを中心にしてプレス装置3側の端が上下に回動する。
【0045】
支持部41は、図2図4に示すように、回動部51と、スライド部52と、を有する。
(1−4−1−1.回動部)
回動部51は、図3に示すように、幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)に沿って4つ配置された第1ローラ部11と、4つの第1ローラ部11を接続する接続枠12と、回動フレーム13と、を主に有する。
【0046】
(a)第1ローラ部
第1ローラ部11は、図3に示すように、ローラ支持枠111と、ローラ支持枠111に回転可能に支持された複数のローラ112とを有する。ローラ支持枠111は、搬送方向X対して垂直な断面がU字形状であり搬送方向Xに長く形成されている。複数のローラ112は、搬送方向Xに並んで配置されており、ローラ支持枠111に回転可能に支持されている。各ローラ112は、ローラ支持枠111の対向する側面に軸支されており、幅方向Yを軸として回転する。このような第1ローラ部11が、幅方向Yに沿って間隔を空けて4つ配置されている。なお、第1ローラ部11の数は4つに限られない。ただし、コイル材100を安定して支持するためには複数設けられている方が好ましい。
【0047】
(b)接続枠
接続枠12は、図3に示すように、4つの第1ローラ部11の搬送方向Xの上流側の端を接続する上流側接続部材121と、4つの第1ローラ部11の搬送方向Xの下流側の端を接続する下流側接続部材122とを有する。
上流側接続部材121は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第1ローラ部11の上流側端部が固定されている。
【0048】
下流側接続部材122は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第1ローラ部11の下流側端部が固定されている。
(c)回動フレーム
回動フレーム13は、図3および図4に示すように、接続枠12の下側に配置されている。回動フレーム13の上面側に図3に示す接続枠12が固定されている。
【0049】
回動フレーム13は、図3に示すように、回動板状部131と、回動板状部131の上面に立設した一対の縦板部132と、一対のリニアレール133と、一対の回動支点部134とによって形成されている。
回動板状部131は、図2の支持位置において概ね水平になるように配置されている。回動板状部131の上面に、縦板部132が立設している。一対の縦板部132は、主面が搬送方向Xと平行になるよう搬送方向Xに沿って配置されている。一対の縦板部132は、所定の間隔を空けて幅方向Yに並んで配置されている。縦板部132の上側には、上流側接続部材121と、下流側接続部材122が固定されている。
【0050】
一対のリニアレール133は、回動板状部131の幅方向Yの両端に配置されている。リニアレール133は、後述するリニアボックス17とともにリニアガイドを構成する。
回動支点部134は、回動板状部131の幅方向Yの両端であって搬送方向Xの上流側の端(支持部41の端部41b)に設けられている。回動支点部134は回動板状部131の下面から下方に向かって突出して設けられている。
【0051】
図2および図3に示すように、フィーダ23の排出口233の幅方向Yにおける両側のハウジング232部分には、回動フレーム13を回動可能に軸支する回動支持部234が設けられている。図3に示すように、回動支持部234に回動支点部134が回転可能に軸支されている。
詳細には、回動支持部234は、図4に示すように、所定の間隔を空けて配置された一対の突起部234aから形成され、一対の突起部234aの間に回動支点部134が配置されている。そして、突起部234aおよび回動支点部134に形成された軸部および軸孔等によって回動支点部134は回動支持部234に対して回動可能に構成されている。なお、図3において回動軸がO1で示されている。
【0052】
(1−4−1−2.スライド部)
スライド部52は、図3に示すように、幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)に沿って4つ配置された第2ローラ部14と、4つの第2ローラ部14を接続する接続枠15と、一対の縦板部16と、複数のリニアボックス17と、を主に有する。
(a)第2ローラ部
第2ローラ部14は、ローラ支持枠141と、ローラ支持枠141に回転可能に支持された複数のローラ142と有する。ローラ支持枠141は、搬送方向X対して垂直な断面がU字形状であり搬送方向Xに長く形成されている。複数のローラ142は、搬送方向Xに並んで配置されており、ローラ支持枠141に回転可能に支持されている。各ローラ142は、ローラ支持枠141の対向する側面に軸支されており、幅方向Yを軸として回転する。このような第2ローラ部14が、幅方向Yに沿って間隔を空けて4つ配置されている。なお、第2ローラ部14の数は4つに限られない。ただし、コイル材100を安定して支持するためには複数設けられている方が好ましい。
【0053】
なお、4つの第2ローラ部14のうち幅方向Yの外側の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて4つの第1ローラ部11よりも外側に配置されている。また、搬送方向Xの下流方向側を向いて右側から2番目の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて右側から1番目と2番目の第1ローラ部11の間に配置されている。右側から3番目の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて右側から3番目と4番目の第1ローラ部11の間に配置されている。
【0054】
この構成は、幅方向Yにおける中央から外側に向かって第1ローラ部11と第2ローラ部14は交互に配置されているともいえる。
第1ローラ部11と第2ローラ部14の上側(詳細にはローラ112、142の上側)をコイル材100が搬送される。
(b)接続枠
接続枠15は、図3に示すように、4つの第2ローラ部14の搬送方向Xの上流側の端を接続する上流側接続部材151と、4つの第2ローラ部14の搬送方向Xの下流側の端を接続する下流側接続部材152とを有する。
【0055】
上流側接続部材151は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第2ローラ部14の上流側端部が固定されている。
下流側接続部材152は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第2ローラ部14の下流側端部が固定されている。
ここで、上流側接続部材151は、4つの第1ローラ部11を接続する接続枠12の上流側接続部材121と下流側接続部材122の間に配置されており、第1ローラ部11の下側を通っている。下流側接続部材152は、下流側接続部材122の下流側に配置されている。
【0056】
(c)縦板部
一対の縦板部16は、図3に示すように、主面が鉛直方向と平行になるように搬送方向Xに沿って配置されており、上流側接続部材151と下流側接続部材152の下側に固定されている。縦板部16は、4つの第2ローラ部14のうち幅方向Yの両端に配置されている第2ローラ部14の下方に配置されている。
【0057】
(d)リニアボックス
リニアボックス17は、一つの縦板部16に対して2つ設けられており、リニアレール133とリニアボックス17によってリニアガイドが構成されている。なお、リニアボックス17の数は1つの縦板部16に対して2つ以上設けられていてもよい。
(1−4−2.スライド駆動部)
スライド駆動部42は、図4に示すように、電動モータ421と、ピニオン422と、ラック423と、を主に有している。
【0058】
電動モータ421は、回動フレーム13の回動板状部131のプレス装置本体30側の先端の中央近傍に配置されている。電動モータ421は、回転軸421aが幅方向Yに沿って配置されている。電動モータ421としては、例えばサーボモータ等を用いることが出来る。
ピニオン422は、回転軸421aに固定されており、回転軸421aとともに回転する。ラック423は、ピニオン422の上側且つ幅方向Yの中央近傍であって搬送方向Xに沿って配置されており、ピニオン422と噛み合っている。ラック423は、回動部51の下流側接続部材122と回動板状部131の間の空間を通って、スライド部52の上流側接続部材151と下流側接続部材152の下側に固定されている。
【0059】
電動モータ421は、搬送装置制御部45によって制御される。電動モータ421の回転によってピニオン422が回転し、ピニオン422と噛み合っているラック423が搬送方向Xに移動する。このラック423の移動によって、ラック423が固定されているスライド部52が回動部51に対してスライド移動し、支持部41が伸縮する。
図5は、支持部41が縮んだ状態のコイル材搬送装置4の状態を示す斜視図である。また、図6は、支持部41が伸長した状態を示すコイル材搬送装置4の状態を示す側面図である。図7は、支持部41が縮んだ状態を示すコイル材搬送装置4の状態を示す側面図である。
【0060】
図3および図5図7に示すように、スライド部52が搬送方向Xの上流側に移動すると、上流側接続部材151が上流側接続部材121に近づき、下流側接続部材152が下流側接続部材122に近づき、支持部41が縮んだ状態となる。支持部41が縮んだ状態では、幅方向Yに沿って視て図3に示す状態よりも第2ローラ部14の第1ローラ部11との重なりが多くなる。
【0061】
なお、図6は、支持部41が支持位置に配置されている状態を示す。
(1−4−3.回動駆動部)
回動駆動部43は、電動シリンダであって、図4に示すように、電動モータを収納するモータケース431と、電動モータによって回転するボールネジに接続されたロッド432を有している。回動駆動部43は、平面視において幅方向Yの中央に配置されている。回動駆動部43に設けられている電動モータとしては、サーボモータ、ステッピングモータ等が用いられ、搬送装置制御部45によって制御されている。
【0062】
回動板状部131の下面には、下方に向かって突出した回動支持部131aが設けられており、ロッド432の先端432aを回動可能に支持している。図示していないが、先端432aには凹部が形成されており、この凹部に回動支持部131aが配置されている。そして、先端432aおよび回動支持部131aに軸部および軸孔等が形成され、軸部が軸孔に挿入されることにより、ロッド432は、回動支持部131aに対して回動可能に連結される。
【0063】
また、モータケース431の後端には、ケース連結部431aが設けられている。また、フィーダ23のハウジング232には、回動支持部235が設けられている。ケース連結部431aは、回動支持部235に回動可能に支持され、ハウジング232に連結されている。
詳細には、ケース連結部431aは、所定の間隔を設けた一対の突起部431bを有しており、一対の突起部431bの間に回動支持部235が配置されている。そして、一対の突起部431bおよび回動支持部235に軸部および軸孔等が形成され、ケース連結部431aにおいてモータケース431は、回動支持部235に回動可能に連結されている。
【0064】
図8は、縮んだ支持部41が下方に回動した状態におけるコイル材搬送装置4を示す側面図である。図8に示すように、モータケース431内の電動モータが駆動しロッド432がモータケース431に引き込まれる方向に移動することによって、支持部41は、回動支点部134を中心にして、プレス装置本体30側の端部41aが下方に回動する。また、図8に示す状態が、支持部41が退避位置に配置されている状態を示す。なお、支持部41のプレス装置本体30側の端部41aは、詳細には、支持部41のうちスライド部52の端部を示す。
【0065】
(1−4−4.搬送部)
図9は、コイル材搬送装置4を搬送方向Xの上流側の上方から見た斜視図である。図10は、AA´間の矢示断面図である。
搬送部44は、図9および図10に示すように、当接部83と、当接部83を駆動させる搬送駆動部80とを有する。当接部83は、コイル材100の終端100b(図17参照)に当接する。搬送駆動部80は、チェーン81と、チェーン駆動用モータ82と、複数のスプロケット84a、84b、84c、84d、84eと、を主に持ち、当接部83を搬送方向Xに移動する。
【0066】
(a)チェーン駆動用モータ
チェーン駆動用モータ82は、回動板状部131の搬送方向Xの上流側の端であって幅方向Yの中央近傍に固定されている。チェーン駆動用モータ82は、図10に示すように、その回転軸82aが幅方向Yと平行になるように配置されている。チェーン駆動用モータ82としてサーボモータなどを用いることが出来、チェーン駆動用モータ82の駆動は、搬送装置制御部45によって制御される。
【0067】
(b)スプロケット
スプロケット84aは、図10に示すように、チェーン駆動用モータ82の回転軸82aに取り付けられている。チェーン駆動用モータ82の駆動によって、スプロケット84aは、幅方向Yを軸として回転する。
スプロケット84bは、回動部51の下流側接続部材122の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、回動部51の下流側接続部材122の中央には、下方に向かって形成されたスプロケット支持部91が設けられている。スプロケット支持部91は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板91aによって形成されており、一対の支持板91aの間にスプロケット84bが軸支されている。
【0068】
スプロケット84cは、スライド部52の上流側接続部材151の中央に、幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、スライド部52の上流側接続部材151には、その中央に搬送方向Xに沿って視て逆Uの字形状のスプロケット支持部92が形成されている。この逆Uの字形状のスプロケット支持部92の内側にスプロケット84cが配置されており、逆Uの字形状の幅方向Yにおいて対向する側壁92aにスプロケット84cが軸支されている。
【0069】
スプロケット84dは、スライド部52の下流側接続部材152の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、スライド部52の下流側接続部材152の中央には、上方に向かって形成されたスプロケット支持部93が設けられている。スプロケット支持部93は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板93aによって形成されており、一対の支持板93aの間にスプロケット84dが軸支されている。
【0070】
スプロケット84eは、回動部51の上流側接続部材121の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、回動部51の上流側接続部材121の中央には、上方に向かって形成されたスプロケット支持部94が設けられている。スプロケット支持部94は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板94aによって形成されており、一対の支持板94aの間にスプロケット84eが軸支されている。
【0071】
支持部41を水平状態にした場合、スプロケット84aとスプロケット84bは、概ね同じ高さに配置されており、スプロケット84dとスプロケット84eは、概ね同じ高さに配置されている。スプロケットcは、スプロケット84a、84bとスプロケット84d、84eの間の高さに配置されている。
(c)チェーン
チェーン81は、無端状であって、支持部41の幅方向Yの中央に配置され、上述したスプロケット84a〜84eの順に巻き掛けられている。
【0072】
詳細には、チェーン81は、スプロケット84aの上流側から下側に亘るように巻き掛けられ、スプロケット84bの下側から下流側を回って上側に亘るように巻き掛けられている。続いて、チェーン81は、スプロケット84cの下側から上流側を回って上側に亘るように巻き掛けられ、スプロケット84dの下側から下流側を回って上側に渡るように巻き掛けられている。続いて、チェーン81は、スプロケット84eの上側から上流側へと亘るように巻き掛けられ、スプロケット84aに向かっている。
【0073】
図11は、図10において支持部41が縮んだ状態を示す断面図である。
図10および図11に示すように、スライド部52が搬送方向Xの上流側にスライド移動しても、スプロケット84cとスプロケット84dがスライド部52に取り付けられているため、チェーン81のテンションを保つことができる。
(d)当接部
当接部83は、コイル材100の終端100bをプレス装置3側に向かって搬送するように終端100bに当接して終端100bを押す。当接部83は、ブロック状の部材であり、図9図11に示すように、チェーン81の外側に固定されている。チェーン駆動用モータ82の駆動によってスプロケット84aが回転し、チェーン81が回転する。このチェーン81の回転によってチェーン81に固定されている当接部83がチェーン81に沿って移動する。
【0074】
以上のような構成において、本実施の形態のコイル材搬送装置4では、スライド駆動部42および回動駆動部43を制御することによって、支持部41の位置(姿勢を含む)を変更できる。また、チェーン駆動用モータ82を制御することによって、当接部83を移動できる。
<2.動作>
次に、本実施の形態のプレスシステム1の動作について説明する。
【0075】
初めて使用する金型8をプレス装置3に設置する際には、プレスシステム1において、コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aが金型8に案内可能なように支持部41の位置が予め設定される。
(2−1.位置設定動作)
金型8をプレス装置3に取り付けた後に、作業者が制御装置9を操作することによって、全体制御部5から供給装置制御部24に指令が送信され、供給装置制御部24がコイル材供給装置本体20を駆動する。
【0076】
供給装置制御部24は、アンコイラ21、レベラ22、およびフィーダ23を駆動させてコイル材100の先端100aをフィーダ23の排出口233からプレス装置3側に向かって送り出す。
ここで、コイル材100の先端100aを端ガイド72のガイド部材72aとガイド部材72bの間に送り込むように、作業者が、ティーチングによって支持部41の位置を設定する。
【0077】
具体的には、スライド駆動部42の電動モータ421および回動駆動部43の電動モータを制御してスライド部52のスライド量と支持部41の回動角を変更しながら、図12に示すようにコイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aが、支持部41の第1ローラ部11および第2ローラ部14の上側を伝って端ガイド72に送り込まれるように調整が行われる。図12は、コイル材100の先端100aが支持部41によって案内されて端ガイド72に送り込まれている状態を示す図である。
【0078】
このようにして、コイル材100の先端100aが端ガイド72に送り込まれるスライド量および回動角が求められる。このスライド量および回動角は、例えば、電動モータに設けられているエンコーダの値を位置データとして位置記憶部46に記憶される。
このようにコイル材100の先端100aを端ガイド72に案内できる支持部41の位置データが支持位置として記憶される。
【0079】
なお、汎用性を持たせるために、一般的にプレス装置3には、複数の異なる形状の金型8が配置可能である。異なる金型8では、リフタガイド71の位置も異なっているため、コイル材100の先端100aをリフタガイド71に案内可能な支持部41の位置も変わることになる。
このため、本実施の形態のコイル材搬送装置4では、金型8ごとに、支持部41の位置が位置記憶部46に記憶される。なお、本明細書において、位置とは、姿勢も含んでおり、支持部41の位置の制御とは、支持部41の傾きなどの姿勢の制御も含む。
【0080】
(2−2.プレス動作)
次に、本実施の形態のプレス方法について説明する。図13は、本実施の形態のプレス方法を示すフロー図である。
金型8およびコイル材100が交換されると、作業者の制御装置9に対する操作などによって、搬送装置制御部45は、プレス装置3に配置された金型8を認識し、金型8の情報を取得する(ステップS5)。続いて、搬送装置制御部45は、その金型8に対応する支持部41の位置データを位置記憶部46から取り出す(ステップS10)。
【0081】
次に、搬送装置制御部45は、スライド駆動部42および回動駆動部43を駆動し、支持部41がプレス装置3に配置された金型8に対応する支持位置になるように制御を行う(ステップS20)。
図14(a)〜(c)および図15(a)〜(c)は、コイル材搬送装置4の動作を説明するための図である。
【0082】
はじめに、コイル材搬送装置4は、図14(a)に示すように、スライド部52が回動部51側に引き込まれ、回動部51が下方に回動した状態となっている。すなわち、支持部41が縮み、回転軸O1を支点にして支持部41の端部41aが下がった状態となっている。このような支持部41の位置が、退避位置とされる。
次に、図14(b)に示すように、搬送装置制御部45は、回動駆動部43を位置記憶部46から取り出した値まで駆動することによって、支持部41は、端部41aが上方に移動するように回動する。
【0083】
次に、図14(c)に示すように、搬送装置制御部45は、スライド駆動部42の電動モータ421を位置記憶部46から取り出した値まで駆動させることによってスライド部52を回動部51に対して金型8に向かってスライド移動させる。
これによって、支持部41のプレス装置3側の端部41aが、下金型7の端ガイド72の近傍に位置し、支持部41の支持位置への移動が完了する。なお、図14(c)に示すように、搬送部44の当接部83は、スプロケット84dとスプロケット84eの間(支持部41の上側)には配置されておらず、スプロケット84aとスプロケット84eの間(支持部41の上流側)に配置されている。また、図14(c)に示す支持位置では、支持部41は、略水平に配置されているが、下金型7の種類によっては、端部41aが図14(c)よりも上方または下方に位置し、支持部41が傾いている場合もある。
【0084】
次に、ステップS30において、全体制御部5は、供給装置制御部24へと指令を送信し、供給装置制御部24はコイル材供給装置本体20を制御し、巻き回されているコイル材100を解きながらフィーダ23の排出口233からコイル材搬送装置4へとコイル材100を送り込む。
コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aは、第1ローラ部11および第2ローラ部14を伝いながら、図15(a)に示すように端ガイド72へと送り込まれる。なお、図3で説明した第1ローラ部11および第2ローラ部14のローラ112、142は、コイル材100の移動に伴って回転するため、コイル材100はスムーズにリフタガイド71へと送り込まれる。
【0085】
ここで、コイル材100の交換および金型8の交換を行った後は、正常にプレス加工が行われるかを確認するために、作業者は、制御装置9を操作し金型8内を1加工(穴あけ加工、絞り加工、曲げ加工など)ずつ移動するようにコイル材100を進める。
作業者がはじめにプレスを行うために制御装置9を操作すると、プレス動作を行う前に、ステップS40において搬送装置制御部45は支持部41を退避位置へと移動させる。具体的には、図15(b)に示すように、搬送装置制御部45はスライド駆動部42の電動モータ421を制御し、支持部41を縮め、プレス装置本体30の内側からスライド部52を退避させる。
【0086】
次に、搬送装置制御部45は、回動駆動部43の電動モータ(図示せず)を駆動することによって、図15(c)に示すように回動部51を下方に回動させる。これによって、支持部41が退避位置に移動する。
次に、ステップS50において、全体制御部5は、プレス装置制御部38に指令を送信し、プレス装置制御部38が、プレス駆動部36を駆動させてスライド35を上下動させる。これによってプレス装置3に案内されたコイル材100に対してプレス加工が行われる。
【0087】
図16(a)および図16(b)は、プレス加工時におけるコイル材100の上下動を説明するための模式図である。図16(a)および図16(b)には、上金型6と下金型7が示されている。図16(a)に示す金型8には、穴あけ加工を行う部分と、穴あけ加工後に曲げ加工を行う部分が示されている。図16(a)に示す金型8の構成について順に説明すると、下金型7では、リフタガイド71は分割して設けられており、図では711、712として示されている。各リフタガイド711、712の下側には、バネ部材713が設けられており、リフタガイド711、712を上方に付勢している。上金型6のリフタガイド711の下流側には、穴あけ部61が形成されている。穴あけ部61の上側にはバネ部材611が設けられている。上金型6の穴あけ部61の下流側には、曲げ加工部62が形成されている。また、曲げ加工部62の下流側には、押さえ部63が設けられており、押さえ部63の上側にはバネ部材631が設けられている。
【0088】
上金型6の曲げ加工部62に対向して下金型7に曲げ加工部73が形成されている。上記リフタガイド712は、曲げ加工部73の下流側に設けられている。
プレス装置制御部38が、スライド35を下降させると、図16(a)および図16(b)に示すように、上金型6が下降し、上金型6と下金型7の間にコイル材100が挟まれてプレス加工が行われる。プレス加工の際には、図16(b)に示すように、リフタガイド711、712が下方に移動するため、コイル材100も下方に移動する。そのため、コイル材100の下金型7よりもコイル材供給装置2側の部分(図では100cとして示す)は下方に引っ張られることになる。このように引っ張られることによってプレス加工の際に余分な張力がコイル材100に加わることを防ぐために、本実施の形態のコイル材搬送装置4ではコイル材100の先端100aをリフタガイド71(711、712)に案内した後に支持部41が退避位置(図15(c)参照)に移動される。
【0089】
なお、コイル材供給装置2では、スライド35の下降のタイミングにあわせてローラ231がコイル材100から離間し、余分な張力がコイル材100に加わることを防ぐ。
以降、コイル材供給装置2から順次コイル材が供給され、プレス装置3によってプレス加工が行われる。
続いて、順次プレス加工が行われ、図17(a)に示すように巻き回されたコイル材100がなくなり、終端100bがフィーダ23のローラ231を通過したことが終端検出部236によって検出される(ステップS60)と、供給装置制御部24は、その検出結果を全体制御部5へと伝達する。
【0090】
全体制御部5は、プレス装置3を停止して搬送装置制御部45に指示を行い、搬送装置制御部45は、図17(b)に示すように支持部41を退避位置から支持位置に移動させる(ステップS70)。
次に、搬送装置制御部45は、図17(b)の矢印Bに示すように、チェーン駆動用モータ82を駆動してチェーン81を回転させる。チェーン81の回転によって、当接部83は、支持部41の上側を通りながら下流側に向かって移動し、図18(a)に示すように終端100bに当接する。更に、当接部83が下流側(矢印C参照)に移動することによって、終端100bが下金型7に向かって押されてコイル材100は下金型7に向かって搬送される(ステップS80)。
【0091】
全体制御部5は、当接部83によるコイル材100の搬送に合わせてプレス装置3を動作させて、プレス加工を行う(ステップS90)。
そして、図18(b)に示すように当接部83が支持部41のプレス装置側の端部41aに移動するまでステップS80,S90が繰り返される(ステップS100)。当接部83が支持部41の端部41aに達すると、搬送装置制御部45は、支持部41を支持位置から退避位置に移動させ(ステップS110)、制御が終了する。この当接部83の支持部41の端部41aへの到達は、チェーン駆動用モータ82のエンコーダから検出できる。
【0092】
なお、ステップS90においてプレス加工を行う際に、支持部41を退避位置に移動させてもよい。
<3.特徴>
(3−1)
本実施の形態のコイル材搬送装置4は、図2および図3に示すように、コイル材100を供給するコイル材供給装置2とコイル材供給装置2から供給されるコイル材100をプレス加工するプレス装置3との間に配置されたコイル材搬送装置であって、支持部41と、スライド駆動部42(第1駆動部の一例)と、搬送部44と、を備えている。支持部41は、プレス装置3に配置される金型8の方向へ伸縮可能であり、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100の終端100bを下方から支持する。スライド駆動部42は、支持部41を伸縮させる。搬送部44は、支持部41に設けられており、プレス装置3に配置される金型8に向かってコイル材100の終端100bを搬送する。
【0093】
このように、コイル材100の終端100bを下方から支持する支持部41に、コイル材100の終端100bを搬送する搬送部44が設けられている。そのため、支持部41の上方にコイル材100の終端100bを搬送するための機構を設ける必要がなく、スライド駆動部42によりプレス装置3の内側まで支持部41を伸長し金型8の近傍まで配置できる。
【0094】
そして、搬送部44によってコイル材100の終端100bを搬送することにより、コイル材100の終端100bを金型8(詳細には下金型7)に送り込むことできる。
このように、金型8近傍にまで支持部41を配置できるため、コイル材100の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
(3−2)
本実施の形態のコイル材搬送装置4は、図4に示すように搬送装置制御部45(制御部の一例)を更に備えている。搬送装置制御部45は、コイル材100の終端100bをプレス装置3に配置される金型8(詳細には下金型7)へ搬送する際に、支持部41のプレス装置3側の端部41a(第1端部の一例)が、プレス装置3に配置される金型8に対応する位置に配置されるようにスライド駆動部42(第1駆動部の一例)を制御する。
【0095】
使用者は、様々な大きさおよび形状の金型8を用いるため、使用する最大の金型8の大きさに合わせたサイズのボルスタ37を使用することが一般的である。このため、例えばサイズの小さい金型8を用いた場合には、ボルスタ37の外縁よりも内側に入り込んだ位置に金型8が配置されることになり、従来の装置では、より材料の無駄が生じることになる。
【0096】
しかしながら、金型8に合わせて支持部41のプレス装置3側の端部41aの位置を設定することで、ボルスタ37の内側に入り込んで金型8が配置されている場合であっても、その金型8に合わせて支持部41を伸長できる。そのため、材料の無駄を低減でき、より有効に材料を利用できる。
(3−3)
本実施の形態のコイル材搬送装置4は、回動駆動部43(第2駆動部の一例)を更に備えている。回動駆動部43は、支持部41のプレス装置3側の端部41aを上下方向に移動させる。搬送装置制御部45(制御部の一例)は、支持部41の端部41a(第1端部の一例)の上下方向の位置が、プレス装置3に配置される金型8に対応する位置になるように回動駆動部43を制御する
このように支持部41のプレス装置3側の端部41aの上下位置を制御することによって、支持部41の端部41aを、プレス装置3に配置される金型8の高さに合わせることが出来る。これにより、様々な高さの金型8に合わせて、コイル材100の終端100bを搬送部44によって移動できる。
【0097】
(3−4)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、支持部41は、コイル材100の終端100bを下方から支持する支持位置と、支持位置から退避した退避位置の間を移動可能である。搬送装置制御部45(制御部の一例)は、スライド駆動部42(第1駆動部の一例)および回動駆動部43(第2駆動部の一例)を制御して支持部41を支持位置と退避位置の間で移動させる。
【0098】
プレス装置3に配置された金型8に案内されたコイル材100は、金型8のリフタガイド71に配置されており、プレス加工時には、リフタガイド71が沈み込みこむとともにコイル材100も下方に移動する。このため、プレス加工時に支持部41が支持位置に配置された状態では、コイル材100のプレス加工に影響を与える場合がある。
しかしながら、本実施の形態では、支持部41が支持位置と退避位置の間を移動可能であるため、プレス加工時には支持部41を退避位置に移動させ、コイル材100の終端100bがフィーダ23(フィーダの一例)を抜けてから支持部41を支持位置に移動させて終端100bを搬送することによって、プレス加工時にコイル材100に影響を与えることを防止できる。
【0099】
(3−5)
本実施の形態のコイル材搬送装置4は、位置記憶部46(記憶部の一例)を更に備えている。位置記憶部46は、プレス装置3に配置される金型8ごとに、支持位置を記憶する。搬送装置制御部45(制御部の一例)は、スライド駆動部42(第1駆動部の一例)および回動駆動部43(第2駆動部の一例)を制御することによりプレス装置3に配置される金型8に対応する支持位置に支持部41を配置させる。
【0100】
予めティーチング等により金型8ごとに支持部41の位置を決定して位置記憶部46に記憶することによって、プレス装置3に配置した金型8に対応する支持位置まで支持部41を自動で移動させることができる。
これにより、金型8ごとに適した支持位置に支持部41を位置決めさせることができる。
【0101】
なお、ティーチングについては、金型8を用いた試し打ちの際に行えばよい。
(3−6)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、支持部41は、図4に示すように、端部41a(第1端部の一例)とは反対側の端部41b(第2端部の一例)側が回動可能にコイル材供給装置2に支持されている。回動駆動部43(第2駆動部の一例)は、端部41b側を中心に端部41aが上下方向に移動するように支持部41を回動させる。
【0102】
これにより、支持部41を回動させてプレス装置3側の端部41aの位置をプレス装置3に配置された金型8の近傍に位置させることができる。
(3−7)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、搬送部44は、当接部83と、搬送駆動部80(第3駆動部の一例)とを有する。当接部83は、コイル材100の終端100bに当接する。搬送駆動部80は、当接部83を搬送方向Xに移動させる。
【0103】
これにより、当接部83がコイル材100の終端100bを搬送方向Xに押し、コイル材100の終端100bは、プレス装置3に配置された金型8へと搬送される。
(3−8)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、搬送駆動部80(第3駆動部の一例)は、チェーン81(ベルト状部材の一例)と、チェーン駆動用モータ82(駆動モータの一例)とを有する。チェーン81は、支持部41に搬送方向Xに沿って回転可能に支持され、当接部83が固定されている。チェーン駆動用モータ82(駆動用モータの一例)は、チェーン81を回転させる。
【0104】
これにより、チェーン81の回転によって当接部83が搬送方向Xに移動する。
(3−9)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、チェーン81(ベルト状部材の一例)は、搬送方向Xに対して垂直な幅方向Yにおける支持部41の中央に配置されている。
これにより、幅方向Yの中央を搬送方向Xに向かって当接部83が移動するため、コイル材100の幅に係らずコイル材100の終端100bを搬送できる。
【0105】
(3−10)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、支持部41は、回動部51と、スライド部52とを有する。回動部51は、端部41b(第2端部の一例)を有する。スライド部52は、回動部51に対して搬送方向Xにスライド可能である。スライド駆動部42(第1駆動部の一例)は、スライド部52を回動部に対してスライド移動させて支持部41を伸縮する。回動部51は、搬送方向Xに沿って配置され、コイル材100を滑らせる複数のローラ112(滑り部材の一例)を持つ第1ローラ部11(第1支持部分の一例)を複数有する。スライド部52は、搬送方向Xに沿って配置され、コイル材100を滑らせる複数のローラ142(滑り部材の一例)を持つ第2ローラ部14(第2支持部分の一例)を複数有する。搬送方向Xに対して垂直な支持部41の幅方向Yの中央(詳細にはチェーン81)から幅方向Yの両端のそれぞれに向かって第1ローラ部11と第2ローラ部14が交互に配置されている。
【0106】
このように、複数のローラ部11、14によって支持部41をスライド可能な構成とすることによって、中央に空間を形成でき、チェーン81を配置しやすい。
(3−11)
本実施の形態のコイル材搬送装置4では、搬送装置制御部45(制御部の一例)は、コイル材供給装置2からコイル材100の先端100aがプレス装置3に供給される際に、支持部41のプレス装置3側の端部41a(第1端部の一例)が、プレス装置3に配置される金型8に対応する位置に配置されるようにスライド駆動部42(第1駆動部の一例)を制御する。
【0107】
これにより、コイル材100の終端100bをプレス装置3に向かって搬送するだけでなく、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aをプレス装置3に案内することもできる。
このように、コイル材100の先端100aの案内を自動で行うことが出来るため、コイル材供給装置2からプレス装置3に配置される金型8へのコイル材100の先端100aの受け渡しを作業者が行う必要がなく、コイル材100または金型8を交換する毎に作業者がプレス装置3内に立ち入る必要がなく、交換時の段取りに要する時間を短縮できる。
【0108】
(3−12)
本実施の形態のプレスシステム1は、コイル材供給装置本体20と、プレス装置本体30と、コイル材搬送装置本体40と、供給装置制御部24と、プレス装置制御部38と、搬送装置制御部45と、を備えている。コイル材供給装置本体20はコイル材100を供給する。プレス装置本体30は、コイル材供給装置本体20から供給されるコイル材100にプレス加工を行う。コイル材搬送装置本体40は、コイル材供給装置本体20とプレス装置本体30の間に配置されている。供給装置制御部24は、コイル材供給装置本体20を制御する。プレス装置制御部38は、プレス装置本体30を制御する。搬送装置制御部45は、コイル材搬送装置本体40を制御する。コイル材搬送装置本体40は、支持部41と、スライド駆動部42(第1駆動部の一例)と、搬送部44と、を有する。支持部41は、コイル材供給装置本体20から供給されるコイル材100の終端100bを下方から支持する。スライド駆動部42は、支持部41を伸縮させ、コイル材100の終端100bを金型8へ搬送する際に支持部41を伸長させる。搬送部44は、支持部41に設けられ、プレス装置3に配置される金型8に向かってコイル材100の終端100bを搬送する。供給装置制御部24は、コイル材100の終端100bをプレス装置3に配置される金型8(詳細には下金型7)へ搬送する際に、支持部41のプレス装置本体30側の端部41a(第1端部の一例)が、プレス装置本体30に配置される金型8に対応する位置に配置されるようにスライド駆動部42(第1駆動部の一例)を制御する。
【0109】
これにより、プレス装置本体30の内側まで支持部41を伸長し金型8の近傍に配置でき、搬送部44がコイル材100の終端100bを搬送できるため、金型8近傍にまでコイル材100の終端100bを送り込める。このため、コイル材100の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
(3−13)
本実施の形態のコイル材搬送方法は、ステップS5(金型情報取得工程の一例)と、ステップS10(位置データ取得工程の一例)と、ステップS70(駆動工程の一例)と、ステップS80(搬送工程の一例)と、を備える。ステップS5(金型情報取得工程の一例)は、プレス装置3に設置された金型8の金型情報を取得する。ステップS10(位置データ取得工程の一例)は、金型情報に基づいて、コイル材100の先端100aを下方から支持して金型8に案内する支持部41の端部41a(金型側先端部の一例)の位置データを取得する。ステップS70(駆動工程の一例)は、位置データに基づいて支持部41を駆動させる。ステップS80(搬送工程の一例)は、コイル材100の終端100bをプレス装置3に配置された金型8へ向かって搬送する。
【0110】
これにより、コイル材100の終端100bを金型8へ搬送できる。このため、コイル材100の無駄をできるだけ省き、材料をより有効に利用できる。
[他の実施の形態]
(A)
上記実施の形態では、コイル材搬送装置4は、コイル材供給装置2に支持されているが、プレス装置3のアプライト33の間に設けられていてもよい。
【0111】
(B)
上記実施の形態では、コイル材搬送装置4の搬送装置制御部45は、コイル材供給装置2の供給装置制御部24とプレス装置3のプレス装置制御部38とともに制御装置9に設けられているが、搬送装置制御部45が単独で設けられていてもよい。例えば、コイル材搬送装置4に、CPU、メモリ、ディスプレイおよび操作部などを有する制御装置が設けられており、その制御装置内に搬送装置制御部45が設けられていてもよい。
【0112】
また、プレス装置3とコイル材供給装置2が別々に制御装置を備えており、プレス装置3の制御装置にプレス装置制御部38が設けられ、コイル材供給装置2の制御装置に供給装置制御部24が設けられている場合、どちらか一方の制御装置に搬送装置制御部45が設けられていてもよい。
(C)
上記実施の形態では、搬送部44は、当接部83によってコイル材の終端100bを押すことによって搬送しているが、例えば、チェーン81に磁石を装着して磁力によってコイル材100の終端100bを搬送してもよい。
【0113】
また、搬送部44を設けず、第1ローラ部11および第2ローラ部14のローラ112、142を駆動させることによって支持部41に搬送機構を持たせても良い。この場合、搬送部は、支持部41に兼ねられているといえる。
(D)
上記実施の形態では、当接部83が固定されるベルト状部材の一例としてチェーン81が用いられているが、これに限られなくてもよく、例えばゴム等によって形成されたベルト状部材であってもよい。
【0114】
(E)
上記実施の形態では、第3駆動部の一例である搬送駆動部80が、チェーン81(ベル状部材の一例)とチェーン駆動用モータ82(駆動モータの一例)とを有しているが、このような構成に限らなくても良く、要するに、当接部83を搬送方向Xに移動させる構成であればよい。例えば、第3駆動部が、シリンダまたはリニアモータなどの直線運動する装置を有しており、これらによって当接部83が搬送方向Xに移動されてもよい。
【0115】
(F)
上記実施の形態では、回動駆動部43として電動シリンダが用いられているが、油圧シリンダが用いられても良い。
(G)
上記実施の形態では、スライド駆動部42に電動モータ421が設けられており、ラック423およびピニオン422による機構によってスライド部52が回動部51に対してスライド移動可能に構成されているが、これに限らなくても良い。例えば、回動部51に電動シリンダを固定し、そのロッドの先端をスライド部52に連結することによって、スライド部52を回動部51に対してスライド移動可能に構成しても良い。なお、この電動シリンダは油圧シリンダであってもよい。
【0116】
(H)
上記実施の形態のコイル材搬送装置4では、搬送部44は、幅方向Yの中央に1つ設けられていたが、中央に限られなくてもよいし、複数列設けられていてもよい。
(I)
上記実施の形態のコイル材搬送装置4では、滑り部材の一例としてローラ112、142が設けられているが、これに限らなくても良く、例えばフリーボールベアリング、スキッドバーなどであってもよい。要するに、滑り部材は、コイル材100を滑らせることが可能な部材であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のコイル材搬送装置及びコイル材搬送方法は、より有効に材料を利用可能な効果を有し、順送り型のプレスシステム等として有用である。
【符号の説明】
【0118】
1 :プレスシステム
2 :コイル材供給装置
3 :プレス装置
4 :コイル材搬送装置
5 :全体制御部
6 :上金型
7 :下金型
8 :金型
9 :制御装置
11 :第1ローラ部
12 :接続枠
13 :回動フレーム
14 :第2ローラ部
15 :接続枠
16 :縦板部
17 :リニアボックス
20 :コイル材供給装置本体
21 :アンコイラ
22 :レベラ
23 :フィーダ
24 :供給装置制御部
25 :ループピット
30 :プレス装置本体
32 :ベッド
33 :アプライト
34 :クラウン
35 :スライド
36 :プレス駆動部
37 :ボルスタ
38 :プレス装置制御部
39 :ポイントアセンブリ
40 :コイル材搬送装置本体
41 :支持部
41a :端部
41b :端部
42 :スライド駆動部
43 :回動駆動部
44 :搬送部
45 :搬送装置制御部
46 :位置記憶部
51 :回動部
52 :スライド部
61 :穴あけ部
62 :曲げ加工部
63 :押さえ部
71 :リフタガイド
71a :溝
72 :端ガイド
72a :ガイド部材
72b :ガイド部材
73 :曲げ加工部
81 :チェーン
82 :チェーン駆動用モータ
82a :回転軸
83 :当接部
84、84a、84b、84c、84d、84e :スプロケット
91、92、93、94 :スプロケット支持部
91a :支持板
92a :側壁
93a :支持板
94a :支持板
100 :コイル材
100a :先端
100b :終端
101 :製品
111 :ローラ支持枠
112 :ローラ
121 :上流側接続部材
122 :下流側接続部材
131 :回動板状部
131a :回動支持部
132 :縦板部
133 :リニアレール
134 :回動支点部
141 :ローラ支持枠
142 :ローラ
151 :上流側接続部材
152 :下流側接続部材
211 :マンドレル
221 :ローラ
231 :ローラ
232 :ハウジング
233 :排出口
234 :回動支持部
234a :突起部
235 :回動支持部
236 :終端検出部
421 :電動モータ
421a :回転軸
422 :ピニオン
423 :ラック
431 :モータケース
431a :ケース連結部
431b :突起部
432 :ロッド
432a :先端
611 :バネ部材
631 :バネ部材
711 :リフタガイド
712 :リフタガイド
713 :バネ部材
図1
図2
図3
図4
図5
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