特許第6691366号(P6691366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691366
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】壁用点検口
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   E04F19/08 101C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-196507(P2015-196507)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-66823(P2017-66823A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】永谷 有弘
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−179295(JP,A)
【文献】 特開2001−295459(JP,A)
【文献】 特開2000−213188(JP,A)
【文献】 特開2007−291697(JP,A)
【文献】 特開2003−074181(JP,A)
【文献】 特開平11−200610(JP,A)
【文献】 特開2011−144591(JP,A)
【文献】 特開平09−242318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に点検用開口を備えた枠形状に形成されて壁面に開設された壁開口に嵌合、固定される外枠と、
外枠に着脱自在に装着されて該外枠の点検用開口を閉塞する蓋体とを有し、
前記蓋体の下端には、下端が前記外枠の点検用開口の下端縁部に形成された係止凹部に回動自在に支承されるヒンジ用突片が突設されるとともに、
該蓋体の上縁部、および外枠の点検用開口の上縁部には蓋体の起立状態を解除可能に保持する蓋体連結部が設けられ、
かつ、前記係止凹部の後方壁は上方に行くに従って漸次後方に移動する傾斜面により形成される壁用点検口。
【請求項2】
中央部に点検用開口を備えた枠形状に形成されて壁面に開設された壁開口に嵌合、固定される外枠と、
外枠に着脱自在に装着されて該外枠の点検用開口を閉塞する蓋体とを有し、
前記蓋体の下端には、下端が前記外枠の点検用開口の下端縁部に形成された係止凹部に回動自在に支承されるヒンジ用突片が突設されて、該蓋体が下端前端部を回転支点とされるとともに、
該蓋体の上縁部、および外枠の点検用開口の上縁部には蓋体の起立状態を解除可能に保持する蓋体連結部が設けられ、
かつ、前記蓋体の全周縁部は、パッキンを介して外枠に接触して蓋体周縁と外枠との隙間が閉塞されるとともに、
前記蓋体の裏面上縁、および裏面両側縁に対応するパッキンは、前記点検用開口の正面を向く外枠の各対応片に、蓋体の下縁に対応するパッキンは、蓋体の下縁における後方側の下端部に、各々固定面に対して反対面を被押圧面として固定される壁用点検口。
【請求項3】
前記外枠下端部には、奥行方向に延びる奥行片と、奥行片の後端部から上方に延びる後部フランジ、および後部フランジから枠後方に延びる水平フランジが設けられ、
前記蓋体の下縁に対応するパッキンは前記水平フランジに固定される請求項2記載の壁用点検口。
【請求項4】
前記外枠には、上下端において奥行方向に延びる奥行片と、奥行片の後端部から枠内方に延びる後部フランジ、後部フランジから枠後方に延びる水平フランジ、および水平フランジから枠内方に延びる垂直フランジが設けられ、
前記蓋体の裏面上縁、および裏面両側縁に対応するパッキンは前記垂直フランジに固定される請求項2または3記載の壁用点検口。
【請求項5】
前記外枠の下端には前記係止凹部の前方壁となって前記ヒンジ用突片を外部視界から遮る遮蔽フランジが突設されるとともに、
前記係止凹部の前方壁と後方壁とは、ヒンジ用突片の前後への移動を許容する間隔で配置される請求項1または2記載の壁用点検口。
【請求項6】
前記外枠と蓋体の上端縁間は、いずれか一方に着脱自在な落下防止ワイヤにより連結される請求項1または2記載の壁用点検口。
【請求項7】
前記蓋体連結部は、外枠に開設されるロック挿通開口と、
蓋体の上端に横方向スライド操作可能に装着されるストッパスライダとを有し、
前記ストッパスライダには、前記ロック挿通開口を挿通可能で、挿通後の側方への移動状態において外枠に係止するロック突部が設けられる請求項1または2記載の壁用点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁用点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋の壁面に設置される壁用点検口としては特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、壁用点検口は、壁に開設された壁開口に嵌合される外枠と蓋板(蓋体)とから形成される。
【0003】
外枠の上下端縁には、自由端が各々の斜め後方に位置する係合立片が設けられ、蓋体は、該蓋体の上下裏面に設けられる上方傾斜係合片と弾性係合部材とを上記係合立片に弾発係止して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-179295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、弾性係合部材は蓋体の裏面に配置されて目視不能であるために、装着操作に際して持ち上げた蓋体の弾性係合部材を外枠の係合立片に弾性変形させながら係止させ、かつ上方傾斜係合片を外枠の上端の係合立片に係止させる必要があるために、装着作業性が非常に悪いという問題がある。
【0006】
とりわけ、蓋体が大型で、重量も大きな場合には蓋体が扱いにくくなるために、さらに作業性が悪化する。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、蓋体の装着、取り外し操作性の良好な壁用点検口の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
中央部に点検用開口1を備えた枠形状に形成されて壁面2に開設された壁開口3に嵌合、固定される外枠4と、
外枠4に着脱自在に装着されて該外枠4の点検用開口1を閉塞する蓋体5とを有し、
前記蓋体5の下端には、下端が前記外枠4の点検用開口1の下端縁部に形成された係止凹部6に回動自在に支承されるヒンジ用突片7が突設されるとともに、
該蓋体5の上縁部、および外枠4の点検用開口1の上縁部には蓋体5の起立状態を解除可能に保持する蓋体連結部8が設けられ、
かつ、前記係止凹部6の後方壁は上方に行くに従って漸次後方に移動する傾斜面により形成される壁用点検口を提供することにより達成される。
【0009】
壁用点検口は壁面2に固定される外枠4の点検用開口1を蓋体5で閉塞して形成される。蓋体5は下端にヒンジ用突片7を備えるとともに、外枠4には係止凹部6が形成され、蓋体5は、ヒンジ用突片7を係止凹部6に落とし込んだ後、ヒンジ用突片7と係止凹部6の底壁との接触部を回転中心として回転させ、さらに、上端を蓋体連結部8を使用して外枠4に連結して取り付けられる。
【0010】
したがって本発明において、蓋体5は、下端を係止凹部6に差し込んだ後、上端部を回転させるだけで装着することができるために、蓋体5が大きかったり重かったりしても、容易に取り付けることができる。
さらに、ヒンジ用突片7の先端を傾斜面からなる後方壁に沿わせるようにして落とし込んだ蓋体5の装着操作が可能になるために、より装着操作性が向上する。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
中央部に点検用開口1を備えた枠形状に形成されて壁面2に開設された壁開口3に嵌合、固定される外枠4と、
外枠4に着脱自在に装着されて該外枠4の点検用開口1を閉塞する蓋体5とを有し、
前記蓋体5の下端には、下端が前記外枠4の点検用開口1の下端縁部に形成された係止凹部6に回動自在に支承されるヒンジ用突片7が突設されて、該蓋体5が下端前端部を回転支点とされるとともに、
該蓋体5の上縁部、および外枠4の点検用開口1の上縁部には蓋体5の起立状態を解除可能に保持する蓋体連結部8が設けられ、
かつ、前記蓋体5の全周縁部は、パッキン9を介して外枠4に接触して蓋体5周縁と外枠4との隙間が閉塞されるとともに、
前記蓋体5の裏面上縁、および裏面両側縁に対応するパッキン9は、前記点検用開口1の正面を向く外枠の各対応片に、蓋体5の下縁に対応するパッキン9は、蓋体5の下縁における後方側の下端部に、各々固定面に対して反対面を被押圧面として固定される壁用点検口を構成することができる。
【0012】
本発明において、蓋体5と外枠4との境界部にパッキン9を介在させることにより、点検口内部空間の密閉性を向上させることができる。
【0013】
また、蓋体5の取り付けがヒンジ用突片7の先端を回転中心とする回転操作により行われる本発明において、蓋体5の高さ寸法をアーム長とするてこの作用を利用することによってパッキン9に対する大きな押し潰し力を得ることができる。この結果、小さな操作力によってパッキン9に対する十分な撓み量を与えることができ、取り付け作業性を低下させることなく、十分な密閉性能を発揮させることが可能になる。
【0014】
また、前記パッキン9は、蓋体5の裏面上縁、および裏面両側縁に対峙する外枠4の各対応片と、
蓋体5の点検用開口1への嵌合部底面に対峙する外枠4の対応片に固定される。
【0015】
蓋体5が該蓋体5の下端から突出するヒンジ用突片7の先端周りに回転操作されて閉扉姿勢に移行する本発明において、蓋体5の上縁部、および両側縁部は閉扉移動に伴って外枠4の開口に対して正面方向から接近するのに対し、蓋体5の下端部は、該蓋体5の回転中心が外枠4の下端部との接触部に対して前方、下方に偏倚していることから、概ね上方から外枠4の下端縁に接近する。
【0016】
したがって、蓋体5の上縁、および両側縁に対応するパッキン9を、該蓋体5の裏面上縁、および裏面両側縁に対峙する対応片に固定し、蓋体5の下縁に対応するパッキン9を、蓋体5の点検用開口1への嵌合部の底面に対峙する対応片に固定することにより、各パッキン9を、外枠4への固定面に対する反対面を蓋体5による被圧接面とすることができる。
【0017】
この結果、蓋体5の閉塞時に各パッキン9にはほぼ圧縮方向の力のみが負荷されてずれ方向の力が加えられないために、長期の使用によるパッキン9のズレを効果的に防止することが可能になる。
この場合、
前記外枠4下端部には、奥行方向に延びる奥行片16aと、奥行片16aの後端部から上方に延びる後部フランジ18、および後部フランジ18から枠後方に延びる水平フランジ19が設けられ、
前記蓋体5の下縁に対応するパッキン9は前記水平フランジ19に固定される壁用点検口を構成することができ、
さらに、
前記外枠4には、上下端において奥行方向に延びる奥行片16aと、奥行片16aの後端部から枠内方に延びる後部フランジ18、後部フランジ18から枠後方に延びる水平フランジ19、および水平フランジ19から枠内方に延びる垂直フランジ20が設けられ、
前記蓋体5の裏面上縁、および裏面両側縁に対応するパッキン9は前記垂直フランジ20に固定される壁用点検口を構成することができる。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記外枠4の下端には前記係止凹部6の前方壁となって前記ヒンジ用突片7を外部視界から遮る遮蔽フランジ10が突設されるとともに、
前記係止凹部6の前方壁と後方壁とは、ヒンジ用突片7の前後への移動を許容する間隔で配置される壁用点検口を構成することができる。
【0019】
本発明において、蓋体5を装着した状態で蓋体5のヒンジ用突片7は外枠4に突設された遮蔽フランジ10により覆い隠されるために、外観を美麗に保つことが可能になる。
【0020】
また、係止凹部6の前方壁と後方壁との間に形成される間隙は、ヒンジ用突片7を係止凹部6内に落としこむ際のヒンジ用突片7先端の前後への移動スペースを提供し、蓋体5の傾斜を許容する。
【0021】
この結果、蓋体5を装着する際に上端部を前方に傾けた姿勢でヒンジ用突片7を係止凹部6に挿入する作業が可能になるために、装着作業性が向上し、さらに、蓋体5裏面と外枠4との間にパッキン9が介装される場合、装着操作中にヒンジ用突片7の先端は蓋体5全体がパッキン9から受ける前方への付勢力により係止凹部6の前端に押し付けられることから、ガタツキ等が発生することなく、かつ、気密性も保持される。
【0022】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記係止凹部6の後方壁は上方に行くに従って漸次後方に移動する傾斜面により形成される壁用点検口を構成した場合、ヒンジ用突片7の先端を傾斜面からなる後方壁に沿わせるようにして落とし込んだ蓋体5の装着操作が可能になるために、より装着操作性が向上する。
【0023】
また、壁面2に固定される外枠4の係止凹部6は壁面2下方に位置することが多いために、後方壁を傾斜させると、上方から見下ろした際に後方壁の位置を確認しやすくなるために、蓋体5の装着作業性が向上する。
【0024】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記外枠4と蓋体5の上端縁間は、いずれか一方に着脱自在な落下防止ワイヤ11により連結される壁用点検口を構成することができる。
【0025】
本発明において、蓋体5と外枠4の上端縁間、すなわち、蓋体5をヒンジ用突片7の先端を回転中心として回転させた場合の回転端側を落下防止ワイヤ11により連結することにより、上端縁間を開放させた状態に保持することができる。落下防止ワイヤ11により連結するため、アンロック状態において妄りに蓋体5が落下するのを防止し、周囲の床面や壁面2に傷を付けてしまうことがない。
【0026】
また、蓋体5の閉塞状態を保持する蓋体連結部8は種々の構成をとることができるが、
前記蓋体連結部8は、外枠4に開設されるロック挿通開口12と、
蓋体5の上端に横方向スライド操作可能に装着されるストッパスライダ13とを有し、
前記ストッパスライダ13には、前記ロック挿通開口12を挿通可能で、挿通後の側方への移動状態において外枠4に係止するロック突部14が設けられるように構成すると、開閉操作が簡単になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ヒンジ用突片を外枠の係止凹部に係止させた状態で蓋体を回転させるだけで蓋体を装着することができ、さらに、回転姿勢で蓋体を係止凹部から引き抜くだけで取り外すことができるために、蓋体の装着、取り外し操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明を示す図で、(a)は正面図、(b)は蓋体開放状態における斜視図である。
図2】壁点検口の分解斜視図である。
図3】外枠を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の3B方向矢視図である。
図4】外枠の要部拡大断面図で、(a)は図3(a)の4A-4A線断面図、(b)は図3(a)の4B-4B線断面図である。
図5】蓋体を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の5B方向矢視図である。
図6】蓋体の要部拡大断面図で、(a)は図5(a)の6A-6A線断面図、(b)は図5(a)の6B-6B線断面図である。
図7】蓋体の装着工程を示す図で、(a)はヒンジ用突片を係止凹部に嵌合させる状態を示す要部拡大断面図、(b)は装着が完了した状態を示す要部拡大断面図である。
図8】蓋体連結部を示す図で、(a)はアンロック状態における図1(a)の8A部拡大図、(b)はロック状態における図8(c)の8B-8B線断面図、(c)は図8(a)の8C-8C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1以下に示すように、壁点検口は、家屋の垂直壁に開設された壁開口3に嵌合固定される外枠4と、外枠4の点検用開口1に装着される蓋体5とを有する。本例において壁開口3は、上下縁が壁面2裏面に配置される木下地2aに沿うように開口される。
【0030】
上縁側の木下地2aには、フック状の係止金具15を介して落下防止ワイヤ11の一端が連結される。落下防止ワイヤ11の先端にはスプリングフック11aが固定される。
【0031】
図3に示すように、外枠4は、4本の外枠材16をコーナー連結金具4aを介して矩形に連結することにより中央部に上述した点検用開口1を形成した構成される。本例において各外枠材16は、図4に示すように、アルミニウム材を押出成形した型材であり、枠形成時に奥行方向に延びる奥行片16aと、奥行片16aの前端から枠外方に向けて突出する外向きフランジ16bとを有する。
【0032】
また、各外枠材16には外向きフランジ16bの奥行片16aの基端を枠内方に延長させることにより内向きフランジ16dが設けられており、上端縁に配置される外枠材16の内向きフランジ16dには、下端縁に向けて開放される切欠状で、後述するストッパスライダ13と協働して蓋体連結部8を構成するロック挿通開口12が2箇所に設けられる(図3、8参照)。
【0033】
図4に示すように、外枠4の固定は、各外枠材16の奥行片16aを壁開口3内に嵌合させるとともに、外向きフランジ16bを壁面2に沿わせた状態で、上下に配置される外枠材16を固定金具17を使用して木下地2aに連結して行われる。
【0034】
外枠4固定後の壁面2と外向きフランジ16bとの間の隙間発生を防止するために、外向きフランジ16bと壁面2との間には、外向きフランジの裏面に固定されるパッキン16eが介装される。
【0035】
なお、図4において16cは固定金具17を木下地2aに固定するタッピングネジ、16fは固定金具を外枠4に連結するためのビスを示す。
【0036】
さらに、外枠4の奥行片16aの後端部には、枠内方に延びる後部フランジ18、後部フランジ18から枠後方に延びる水平フランジ19、および水平フランジ19から枠内方に延びる垂直フランジ20が設けられており、上端縁、両側縁に配置される外枠材16の垂直フランジ20、および下端縁に配置される外枠材16の水平フランジ19に、各々パッキン9が固定される。
【0037】
また、外枠4の下端縁に配置される外枠材16の奥行片16aには、内方に行くに従って漸次後方に移動する傾斜片21が突設され、この傾斜片21と、後述するように蓋体5のヒンジ用突片7の遮蔽フランジ10として機能する内向きフランジ16dとにより奥行片16a表面を底面、内向きフランジ16dの裏面を前方壁、傾斜片21の表面を後方壁とする溝形状の係止凹部6が形成される。
【0038】
傾斜片21の基端と内向きフランジ16dとの間の間隔は、後述する蓋体5のヒンジ用突片7が挿入された際に、該ヒンジ用突片7の前後方向への移動スペースが発生する寸法に設定される。
【0039】
なお、本例において、係止凹部6の後方壁を傾斜片21により形成する場合を示したが、内向きフランジ16dに平行な縦壁として形成することも可能であり、さらに、係止凹部6は全長にわたって形成される場合を示したが、別途ピース状部材として形成した後方壁部材を適宜間隔で配置することにより不連続状に形成することもできる。
【0040】
一方、蓋体5は、図2に示すように、外枠4と同様に、4本の内枠材22をコーナー連結金具23aを使用して矩形に枠組みした内枠23の開口部をボード24により閉塞して形成される。ボード24には、壁開口3を形成する際に切り抜いた壁面2の表面を形成する仕上げ材が使用される。
【0041】
図6に示すように、内枠材22は奥行片22aの前端から内外方に向けて内向きフランジ22bと外向きフランジ22c、および奥行片22aの後端縁から外向きに延設され、先端が前方に屈曲された後部フランジ22dとを有し、上記ボード24は、奥行片22aにビス22eを使用して連結されるL型アングル材からなるボード押さえ金具25により背面を押し付けられて固定される。
【0042】
内枠23内に装着されるボード24と内枠23との間の隙間発生を防止するために、内向きフランジ22bとボード24との間には、内向きフランジ22bの裏面に固定されるパッキン22fが介装される。
【0043】
さらに、内枠23の下端縁に配置される内枠材22の外向きフランジ22cにはヒンジ用突片7が延設される。このヒンジ用突片7は、外向きフランジ22cからやや後方に後退した後、下方に延設されており、下端には、前方に向けてカールする屈曲端部7aが形成される。ヒンジ用突片7は、上述した外枠4の内向きフランジ16dの高さ寸法に比してやや高背に形成される。
【0044】
また、上端縁に配置される内枠材22には、落下防止ワイヤ11のスプリングフック11aを着脱自在に連結するためのワイヤ連結片22hと、ストッパスライダ13が装着される。上述したように、ストッパスライダ13はロック挿通開口12と協働して蓋体連結部8を構成し、図5、6に示すように、ベース部13aの前方に配置される操作部13bと、ベース部13aの前後端に突出するガイド突部13cとを有し、ガイド突部13cを内枠材22のストッパフランジ22gに係止させて奥行片22a上をロック位置とアンロック位置との間で摺動自在に装着される(図6(a)参照)。
【0045】
さらに、上記ベース部13aの前端部には上方に向けて膨隆されるロック突部14が設けられ、ロック突部14の前端面と操作部13bの背面との間に外枠4の内向きフランジ16dが嵌合可能な嵌合溝13dが形成される。
【0046】
また、図6(a)に示すように、操作部13bにはロック突部14の上端に形成された開口14aに連通する透孔26が形成される。透孔26には、ストッパスライダ13がロック状態にあるときには外枠4により閉塞されて外枠4の表面が現れ、アンロック状態にあるときには、ロック挿通開口12、およびロック突部14の開口14aから点検口内の状態が現れるために、該透孔26の表示状態によって、ロック、アンロック状態を判別することができる。
【0047】
上記ロック突部14は、上述した外枠4のロック挿通開口12に挿通可能に形成され、ストッパスライダ13がアンロック位置にあるとき、蓋体5の閉塞操作時のロック突部14の回転軌跡がロック挿通開口12を通過する。
【0048】
以上の構成の下、外枠4の点検開口の蓋体5による閉塞操作は、まず、図7(a)に示すように、蓋体5全体を傾けた姿勢でヒンジ用突片7を係止凹部6に挿入した後、蓋体5の上端部を閉扉方向に押し付けて行われ、蓋体5が適宜角度回転した状態で、落下防止ワイヤ11の先端に取り付けられたスプリングフック11aをワイヤ連結片22hに連結させた後(図8(c)参照)、さらに、蓋体5を閉塞方向に押し込んで行われる。
【0049】
ヒンジ用突片7の係止凹部6への挿入は、ヒンジ用突片7の先端、すなわち、屈曲端部7aが傾斜片21上を滑るようにして所定位置に導くことにより行うことが可能であり、傾斜片21を滑動面として利用する場合、蓋体5の装着作業時に滑動面が容易に目視できるように、傾斜片21の表面に着色等を施すこともできる。
【0050】
上述したように、蓋体5を傾斜させてヒンジ用突片7を係止凹部6に嵌合させることができるように、ヒンジ用突片7には前後方向への移動スペースが確保されており、係止凹部6の底面(奥行片16a)と蓋体5のヒンジ用突片7先端との接触点を中心として蓋体5を閉塞方向に回転させると、外枠4に固定されたパッキン9により蓋体5全体が前方に押されるために、ヒンジ用突片7は前方に移動し、屈曲端部7aの前端が外枠4の内向きフランジ16dの裏面に圧接し、装着後のガタツキが防がれる。
【0051】
図7に示すように、蓋体5は閉塞回転操作に伴って、上縁部、および両側縁部においては、裏面周縁がパッキン9への押圧面となるのに対し、下縁部は蓋体5の下端底面、すなわち、内枠の後部フランジ22dがパッキン9への押圧面となる。
【0052】
一方、上述したように、上記パッキン9は外枠4の上縁、および両側縁においては点検開口の正面を向く垂直フランジ20を固定面として、下縁においては、上方を向いた外枠材16の水平フランジ19を固定面として各々固定され、その反対面を被押圧面とするために、蓋体5の閉塞動作に伴う各パッキン9の被押圧方向は固定面に対してほぼ反対方向となる。このため、蓋体5の閉塞操作時にパッキン9へのスライド方向への負荷を最小限に抑えることができ、長期の使用によるパッキン9のずれ、脱落等を確実に防止することができる。
【0053】
以上のようにして回転操作した蓋体5の閉塞位置での保持は、図8に示すように、ストッパスライダ13を操作することにより行われる。上述したように、ストッパスライダ13をアンロック位置に保持した状態で蓋体5を閉塞操作すると、ストッパスライダ13のロック突部14は回転軌跡上に配置されるロック挿通開口12から外枠4内に進入する。
【0054】
この状態からストッパスライダ13をロック位置側にスライドさせると、ロック突部14が外枠4の内向きフランジ16dの背面側に移動して該内向きフランジ16dに係止状態となり、以後、蓋体5の閉塞状態が保持される。
【0055】
蓋体5を閉塞した状態において、下縁に配置される外枠材16の内向きフランジ16dは遮蔽フランジ10として機能してヒンジ用突片7を概ね覆い隠し、該ヒンジ用突片7が外部に露出することによる外観の劣化を防止する。
【0056】
なお、本例において、ストッパスライダ13の透孔26は、ロック、アンロック状態の識別のために設けられているが、壁点検口内にアクセスランプ等の稼働表示ランプを備えた電子機器を収容する場合には、透孔26、およびロック突部14の開口14aを外枠4に開設される図外の透孔にロック時に合致させるように構成すると、蓋体5の閉塞状態において電子機器の作動を確認することが可能になる。
【0057】
これに対し、蓋体5の取り外しは、上述した装着動作の逆にたどることにより簡単に行うことができる。なお、蓋体5の下端前端部を回転支点として外枠4の点検用開口1内に嵌合して閉塞姿勢をとる本例において、蓋体5の重心は回転支点に対して枠奥行方向に偏倚しているために、蓋体5には閉塞状態を保持する方向のモーメントが発生している。このため、ストッパスライダ13によるロック解除後の蓋体5の開放操作の初期は、ストッパスライダ13の操作部13bを手前側に引き出すようにして行われるが、パッキン9の反力を好適に設定することにより、パッキン9の復元力によりストッパスライダ13をロック解除した時に蓋体5を僅かに前傾させて開放操作性を向上させることもできる。
【0058】
なお、以上の実施の形態においては点検用開口1が横長に形成されるが、点検時の使い勝手等に応じて縦長にすることも可能である。また、蓋体連結部8の数量についても、蓋体8の長さ等に応じて変更することができる。さらに、ボード押さえ金具25の奥行き片22aへの取り付けは、上述のようにビス22eによるのではなく両面テープによることも可能で、この場合にはより気密性を高めやすくなる。
【符号の説明】
【0059】
1 点検用開口
2 壁面
3 壁開口
4 外枠
5 蓋体
6 係止凹部
7 ヒンジ用突片
8 蓋体連結部
9 パッキン
10 遮蔽フランジ
11 落下防止ワイヤ
12 ロック挿通開口
13 ストッパスライダ
14 ロック突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8