(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部は、2つの分割体を組み合わせてなり、前記各分割体の位置を相対的に変位させることにより、前記本体部が前記取付孔周縁に当接可能である第1形態と前記取付孔を通過可能な第2形態とに相互に変形可能であり、
前記2つの分割体の一方に前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の取付補助部材。
前記本体部を前記取付孔周縁に固定するための固定手段をさらに備え、前記固定手段は、前記突出部が設けられた一方の分割体に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項5に記載の取付補助部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、天井材がスパンドレルのような薄厚の材料で構成された場合、ダウンライト器具の取付バネで天井材を十分に挟持することができない。そして、従来技術の取付補助板を取付バネと天井材裏面との間に介在させたとしても、取付補助板が薄板状に形成されているので、天井厚と取付補助板の厚みの合計が器具の取付バネで十分に挟持可能な厚みには足りず、器具を天井材にしっかりと固定できない。また、取付補助部材を天井材に配置する際、取付補助板の透孔と天井材の取付孔とを合致させるように、取付補助部材の位置決めを出来るだけ正確に行う必要がある。しかしながら、取付補助部材の位置決めの作業は、一般的に天井材表側から取付孔に手を入れた状態で天井材裏側で行われるので、目視することができず、正確な位置決めを迅速に行うことが困難であった。それ故、器具の天井材への設置作業が困難になることが問題であった。
【0006】
本発明の目的は、天井材の厚みに対応するとともに、器具の設置作業を改善すべく、天井材に穿設した取付孔への器具の取着を補助するための取付補助部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の取付補助部材は、天井材に穿設された取付孔に対して、前記天井材を厚み方向に挟持するための挟持部を有する器具を取り付けることを補助する取付補助部材であって、
前記取付孔に連通する透孔を形成し、前記天井材裏面側から前記取付孔周縁に当接する当接部を有し、前記挟持部により前記天井材とともに挟持される厚みを有する本体部と、
前記当接部よりも前記天井材表面側に突出するように前記本体部に設けられた突出部と、を備え、
前記当接部が前記取付孔周縁に当接する位置で前記突出部が前記取付孔の内周面に係合可能であり、且つ、前記突出部は、前記天井材表面側に突出する第1位置から前記天井材の表面から突出しない第2位置に変位可能
に構成され
、
前記突出部は、前記当接部の内周側端縁から延設されているとともに、前記本体部側に折り返すように前記第1位置から前記第2位置に変位可能であり、前記本体部には、折り返した前記突出部を収納する収納部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の取付補助部材は、
天井材に穿設された取付孔に対して、前記天井材を厚み方向に挟持するための挟持部を有する器具を取り付けることを補助する取付補助部材であって、
前記取付孔に連通する透孔を形成し、前記天井材裏面側から前記取付孔周縁に当接する当接部を有し、前記挟持部により前記天井材とともに挟持される厚みを有する本体部と、
前記当接部よりも前記天井材表面側に突出するように前記本体部に設けられた突出部と、を備え、
前記当接部が前記取付孔周縁に当接する位置で前記突出部が前記取付孔の内周面に係合可能であり、且つ、前記突出部は、前記天井材表面側に突出する第1位置から前記天井材の表面から突出しない第2位置に変位可能に構成され、
前記突出部を前記第2位置に保持する保持部をさらに備える
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の取付補助部材は、請求項1又は2に記載の取付補助部材において、
前記本体部を前記取付孔周縁に固定するための固定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の取付補助部材は、天井材に穿設された取付孔に対して、前記天井材を厚み方向に挟持するための挟持部を有する器具を取り付けることを補助する取付補助部材であって、
前記取付孔に連通する透孔を形成し、前記天井材裏面側から前記取付孔周縁に当接する当接部を有し、前記挟持部により前記天井材とともに挟持される厚みを有する本体部と、
前記当接部よりも前記天井材表面側に突出するように前記本体部に設けられた突出部と、
前記本体部を前記取付孔周縁に固定するための固定手段と、を備え、
前記当接部が前記取付孔周縁に当接する位置で前記突出部が前記取付孔の内周面に係合可能であり、且つ
、
前記突出部は、
前記固定手段により前記本体部が前記取付孔周縁に固定された状態で、(a)前記天井材表面側に突出する第1位置から前記天井材の表面から突出しない第2位置に変位可能であり、(b)前記天井材の表面から突出しない位置まで、その突出長が減少するように変位可能であり、又は、
(c)前記本体部から除去可能であるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の取付補助部材は、請求項1から4のいずれか一項に記載の取付補助部材において、前記本体部は、2つの分割体を組み合わせてなり、前記各分割体の位置を相対的に変位させることにより、前記本体部が前記取付孔周縁に当接可能である第1形態と前記取付孔を通過可能な第2形態とに相互に変形可能であり、前記2つの分割体の一方に前記突出部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
【0013】
請求項
6に記載の取付補助部材は、請求項5に記載の取付補助部材において、前記本体部を前記取付孔周縁に固定するための固定手段をさらに備え、前記固定手段は、前記突出部が設けられた一方の分割体に少なくとも設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明
の取付補助部材によれば、本体部は、当接部が天井材の取付孔周縁に当接した状態で、器具の挟持部により天井材とともに挟持され得る厚みを有している。つまり、天井材の厚みと本体部の厚みの合計が器具の挟持部により挟持可能な厚みに達するように、本体部の厚みが定められている。これにより、天井材の厚みによらずに、取付補助部材を介して器具を天井材に取り付け可能となる。また、取付補助部材は、当接部が取付孔周縁に当接する位置で、本体部に設けられた突出部が取付孔の内周面に係合することを特徴とする。つまり、突出部を取付孔の内周面に係合させることで、取付補助部材を所定の設置位置にガイドして迅速且つ正確に配置することが可能である。よって、本発明によれば、取付補助部材の取付孔周縁への位置決めを簡単に行うことができる。そして、突出部によって取付補助部材の位置決めをした状態では、(特に天井材が肉薄である場合)突出部が天井材表面から突出することがあるが、これは見栄え上望ましくない。これに対し、本発明によれば、突出部は、位置決め(ガイド)の機能を果たした後に邪魔にならないように、天井材表面側に突出する第1位置から天井材表面から突出しない第2位置に変位可能であり、又は、本体部から除去可能であるように構成されている。よって、取付補助部材は、器具設置構造の見栄えを損なうことなく、器具の設置作業を改善することが可能である。
【0015】
請求項
1に記載の取付補助部材によれば、
上記発明の効果に加えて、当接部の内周端縁から延設された突出部を取付孔内周面に当接させることにより、取付補助部材の位置決めが容易である。そして、位置決め後に、本体部に設けられた収納部に突出部を折り返して収容することにより、突出部を邪魔にならない位置に簡単に配置することができる。さらに、突出部を破壊又は切除することなく収納部に収納することができるので、取付補助部材を再利用することも可能である。
【0016】
請求項
2に記載の取付補助部材によれば、
上記発明の効果に加えて、保持部によって突出部を第2位置に安定的に維持することができる。
【0017】
請求項4に記載の取付補助部材によれば、本体部は、当接部が天井材の取付孔周縁に当接した状態で、器具の挟持部により天井材とともに挟持され得る厚みを有している。つまり、天井材の厚みと本体部の厚みの合計が器具の挟持部により挟持可能な厚みに達するように、本体部の厚みが定められている。これにより、天井材の厚みによらずに、取付補助部材を介して器具を天井材に取り付け可能となる。また、取付補助部材は、当接部が取付孔周縁に当接する位置で、本体部に設けられた突出部が取付孔の内周面に係合することを特徴とする。つまり、突出部を取付孔の内周面に係合させることで、取付補助部材を所定の設置位置にガイドして迅速且つ正確に配置することが可能である。よって、本発明によれば、取付補助部材の取付孔周縁への位置決めを簡単に行うことができる。そして、突出部によって取付補助部材の位置決めをした状態では、(特に天井材が肉薄である場合)突出部が天井材表面から突出することがあるが、これは見栄え上望ましくない。これに対し、本発明によれば、突出部は、位置決め(ガイド)の機能を果たした後に邪魔にならないように、その突出長を減少させるように変位可能であり、又は、本体部から除去可能であるように構成されている。よって、取付補助部材は、器具設置構造の見栄えを損なうことなく、器具の設置作業を改善することが可能である。
【0018】
請求項5に記載の取付補助部材によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、2つの分割体の各分割体の位置を相対的に変位させて本体部を変形させることで、本体部を簡単に取付孔に通過させることができる。さらに、一方の分割体に突出部が設けられていることにより、取付孔を通過可能に変形した状態で、突出部を取付孔内周面に係合させて位置決め可能である。よって、作業性の向上に貢献する。
【0019】
請求項
3に記載の取付補助部材によれば、請求項1
又は2の発明の効果に加えて、取付補助部材を位置決めした後に、当該位置からずれないように固定手段によって取付補助部材を取付孔周縁に固定することができる。
【0020】
請求項
6に記載の取付補助部材によれば、請求項5の発明の効果に加えて、折り畳み変形させた第2形態の本体部を取付孔に通過させて位置決め及び固定した後に、本体部を当初の第1形態に戻すことにより、取付補助部材を取付孔周縁に簡単に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の取付補助部材の(a)上から見た概略斜視図、及び、(b)下から見た概略斜視図。
【
図2】
図1の取付補助部材の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)底面図。
【
図3】
図2の取付補助部材の(a)A−A断面図及び(b)B−B断面図。
【
図4】
図1の取付補助部材の部分拡大斜視図であり、(a)突出部が当接部から下方に突出する第1位置、(b)突出部が収納された第2位置を示す。
【
図5】
図4の取付補助部材の突出部の(a)第1位置における概略断面図、及び(b)第2位置における概略断面図。
【
図6】
図1の第1形態から折り畳まれた第2形態の取付補助部材の(a)上から見た概略斜視図、及び、(b)下から見た概略斜視図。
【
図7】
図4の取付補助部材の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、及び(d)底面図。
【
図8】本実施形態のダウンライト器具の(a)上から見た概略斜視図、及び、(b)下から見た概略斜視図。
【
図9】本発明の一実施形態の器具設置構造の概略斜視図。
【
図11】
図10の器具設置構造の(a)C−C概略断面図、及び、(b)D−D概略断面図。
【
図12】一実施形態の取付補助部材を用いてダウンライト器具を天井材の取付孔に対して設置する方法の各工程を示す模式図であって、(a)取付補助部材を天井材表面側から裏面側へと移動させる工程、及び、(b)取付補助部材を取付孔周縁に対して設置する工程を示す。
【
図13】一実施形態の取付補助部材を用いてダウンライト器具を天井材の取付孔に対して設置する方法の各工程を示す模式図であって、(a)突出部により位置決めする工程、及び、(b)突出部を折り畳む工程を示す。
【
図14】一実施形態の取付補助部材を用いてダウンライト器具を天井材の取付孔に対して設置する方法の一工程を示す模式図であって、取付孔周縁に取付補助部材を設置した天井材に対してダウンライト器具を取り付ける工程を示す。
【
図15】本発明の変形例の取付補助部材の(a)上から見た概略斜視図、(b)下から見た概略斜視図、及び、(c)該取付補助部材を取付孔に通過させる工程を示す図。
【
図16】本発明の変形例の取付補助部材の(a)上から見た概略斜視図、及び(b)下から見た概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0023】
本発明の一実施形態の取付補助部材100は、天井材に穿設された取付孔に対する器具の取付を補助するように構成されている。より具体的には、取付補助部材100は、天井材11に穿設された取付孔12に対してダウンライト器具15(
図8参照)を取り付けることを補助する。そして、本実施形態において、取付補助部材100を用いて天井材11の取付孔12にダウンライト器具15を設置した構造を器具設置構造10(
図9乃至
図11参照)と称する。
【0024】
まず、
図1乃至
図7を参照して、取付補助部材100を詳細に説明する。
図1(a),(b)は、一実施形態の取付補助部材100の上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図である。
図2(a)〜(d)は、取付補助部材100の平面図、正面図、側面図及び底面図である。
図3(a),(b)は、取付補助部材100のA−A断面図、B−B断面図である。
図4(a),(b)は、取付補助部材100の突出部108の部分拡大斜視図(延出状態及び収納状態)である。
図5(a),(b)は、突出部108の概略断面図(延出状態及び収納状態)である。
図6(a),(b)は、折り畳み変形した形態の取付補助部材100の上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図である。
図7(a)〜(d)は、折り畳み変形した形態の取付補助部材100の平面図、正面図、側面図及び底面図である。
【0025】
図1乃至
図3に示すとおり、取付補助部材100は、平面視円環状に形成された本体部101と、天井材11表面側に突出するように該本体部101に設けられた突出部108とを備える。本体部101は、一対のC字状又は半円弧状の分割体101a1,101a2が接合することで円環状に構成されている。また、本体部101は、円環の内側に天井材11の取付孔12(
図9参照)に連通する透孔101bを形成する。
【0026】
該本体部101の下面には、天井材11裏面側から取付孔12周縁に当接する当接部102が設けられている。すなわち、当接部102が取付孔12周縁に当接可能であるように、本体部101の外径は少なくとも取付孔12内径よりも大きい。本実施形態では、本体部101(透孔101b)の内径と、取付孔12の内径とがほぼ等しくなるように定められている。該本体部101の上面には、ダウンライト器具15の弾性片18(
図8参照)を受けるための受け部103が設けられている。また、本体部101の外周側面から複数の張り出し部107が突出している。作業者は該張り出し部107を把持して取付補助部材100を操作可能である。本実施形態では、一方の分割体101a1に2つの張り出し部107が設けられ、他方の分割体101a2に1つの張り出し部107が設けられている。そして、各張り出し部107下面と(該張り出し部107に連設された)当接部102下面の一部とによって比較的広い平坦部位111が形成されている。該平坦部位111は、取付補助部材100を取付孔12周縁に固定するための固定手段の配置スペースとして活用可能である。特には、張り出し部107の張り出しによって、両面テープの貼着面を比較的広く確保することができる。また、一方の分割体101a1の2つの張り出し部107の間において、本体部101の内周面が切り欠かれて本体部101がL字断面をなしている。本体部101のL字断面部分の受け部103側の壁部は、作業者にとってつまみ易く、つまみ部112として機能し得る。
【0027】
そして、本体部101は、ダウンライト器具15の挟持部(鍔部17、弾性片18)により天井材11とともに挟持される厚み(当接部102と受け部103との距離)を有するように構成されている。この本体部101の厚み(本実施形態では約10mm)は、後述のダウンライト器具15の挟持部によって挟持可能な厚みとほぼ等しいか、又は、それよりも大きく定められることが好ましい。しかしながら、本体部101及び天井材11の厚みの合計が、挟持部で挟持又は挟圧可能な板材の厚みを少なくとも超えていればよい。すなわち、本発明の本体部101の厚みは、天井材の厚みと挟持部で挟持可能な厚みに基づいて適宜設定され得る。
【0028】
図4(a)に示すとおり、該本体部101には、当接部102よりも天井材11表面側に突出するように突出部108が設けられている。本実施形態では、2つの突出部108が一方の分割体101aのみに形成されている。各突出部108は、当接部102の内周側端縁から所定長さで垂下している。該突出部108の長さは、天井材11の厚みよりも長く、天井材11裏面の取付孔12周縁に載置したときに取付孔12から天井材11表側に突き出る長さであることが好ましい。また、該突出部108は、先端で閉塞されたコ字状の薄板片であり、本体部101の内周面(及び取付孔12の周縁)と実質的に同じ曲率で円弧状に湾曲している。つまり、突出部108は、当接部102の内周側端縁に沿って周方向に所定幅で延在している。すなわち、突出部108は、当接部102が取付孔12周縁に当接する位置(特には、透孔101b及び取付孔12の中心が合致し、当接部102内周側端縁と取付孔12周縁がほぼ揃った位置)で取付孔12内周面に係合可能に構成されている。さらに、該突出部108の内面には、鉤爪状の係合爪108aが径方向内方に向けて突出形成されている。
図5(a)に示すように、係合爪108aは、突出部108内面から略垂直に延び出ており、その先端で上方(突出部108基端側)に向いた錐状の突起が形成されている。
【0029】
また、突出部108は、当接部102から天井材11表面側に突出する第1位置(
図4(a),
図5(a)の形態)から天井材11表面から突出しない第2位置(
図4(b),
図5(b)の形態)に変位可能に構成されている。なお、本発明の「天井材表面側に突出する第1位置」は、本実施形態のように、当接部とともに天井材表面から突出する形態に加えて、当接部から突出するものの天井材表面から突出しない形態をも含む概念である。すなわち、本発明の取付補助部材は、天井材の厚みに左右されることなく、その作用効果を発揮するものである。
【0030】
突出部108は、他の部位よりも相対的に肉薄の連結部位108bを介して本体部101に連結されている。これにより、
図5(a),(b)に示すように、当該連結部位108bをヒンジとして、突出部108は本体部101側に折り返すように回動変位可能である。換言すると、突出部108は、当接部102から突出する突出長が減少するように、取付孔12内周面に係合可能な突出位置から縮退又は変位可能である。他方、本体部101には、折り返した突出部108を収納する収納部109が設けられている。該収納部109は、本体部101の内周面に凹設された凹みであり、突出部108の形状に対応している。収納部109の上端には、突出部108の係合爪108aを収容して掛止可能とする切り欠き109aが形成されている。該切り欠き109aは、本体部101の受け部103側の内周側端縁が切り欠かれて形成されている。そして、
図5(b)に示すように、突出部108が収納部109に収納された状態では、係合爪108a先端の突起が切り欠き109a内で本体部101内壁に引っ掛かることで、突出部108が収納部109内に保持され得る。つまり、係合爪108a及び切り欠き109aは、突出部108を第2位置に保持する保持部として機能する。
【0031】
本体部101を構成する一対の分割体101a1,101a2は、ヒンジ部104を介して回動式に連結されてなる。そして、本体部101は、取付孔12周縁に当接可能である第1形態(
図1〜
図3の形態)から各分割体101a,101a2の相対位置を変位させることにより、取付孔12を通過可能な第2形態(
図6〜
図7の形態)に変形可能である。すなわち、環状の本体部101の外径が取付孔12の内径よりも大きいので、環状の第1形態では取付孔12を通過できない。それ故、取付補助部材100を取付孔12に通過させる際に第2形態が選択され得る。
【0032】
詳細には、一対のヒンジ部104が、本体部101の径方向に沿った位置に設けられている。該ヒンジ部104は、本体部101を径方向に横断する溝である。また、ヒンジ部104の溝は、下面側(当接部102側)に開放又は凹設されている。そのため、一対の分割体101a1,101a2は、上面(受け部103)が互いに近接する方向に優先的に回動可能である。そして、ヒンジ部104の両側には、係合凸部105と係合凹部106が設けられている。係合凸部105は本体部101上面から隆起した突起であり、係合凹部106は、係合凸部105を嵌合可能な孔又は凹みである。係合凸部105及び係合凹部106は、ヒンジ部104を中心とした対称位置にそれぞれ配置されている。
【0033】
そして、
図1乃至
図3に示した環状の第1形態から一対の分割体101a1,101a2を折り畳むように回動させると、取付補助部材100は、
図6及び
図7に示すようなC字状の第2形態に変形する。第2形態では、一対の分割体101a1,101a2がヒンジ部104を境に折り畳まれており、各分割体101a1,101a2の上面(受け部103)が当接している。このとき、係合凸部105が係合凹部106に摩擦係合している。この嵌合による摩擦力によって第2形態が簡易的に維持されている。このような摩擦による係合凸部105及び係合凹部106の嵌合は簡単に解除することができるので、取付補助部材100は第2形態から第1形態へと簡単に変形可能である。
【0034】
次に、本実施形態の器具設置構造10を構成する天井材11の構造を説明する。本実施形態の天井材11は、金属板からなり、比較的薄く形成されている。この天井材11の厚み(本実施形態では約1mm)は、後述のダウンライト器具15の挟持部(鍔部17、弾性片18)によって挟持可能な厚みよりも大幅に薄い。なお、当該天井材11は、例示にすぎず、その材質や厚み等を任意に変更可能である。
【0035】
図8を参照して、本実施形態の器具設置構造10を構成するダウンライト器具15の構造を説明する。
図8に示すように、ダウンライト器具15は、LED電球などの電灯を内装する器具本体16と、該器具本体16の下面(照光側端面)から側方に張り出した環状の鍔部17とを備える。そして、器具本体16における鍔部17の裏面側基端から一対の板バネ状の弾性片18が側方に延び出ている。弾性片18は、鍔部17に近接する角度で延在しており、鍔部17と離隔する方向(上方)に弾性変形可能である。離隔方向に弾性変形した弾性片18と、鍔部17とで所定厚の板材(天井材11の取付孔12周縁)を弾性力によって挟み込んで挟持することが可能である。すなわち、鍔部17及び弾性片18が協働して挟持部として機能する。本実施形態では、挟持部(鍔部17、弾性片18)で実用的に挟持又は挟圧可能な板材の厚みは、少なくとも約9mmであり、本体部101を挟持可能である。なお、ここで説明したダウンライト器具15は、器具の例示にすぎず、挟持部で板材を挟持するタイプの一般的な器具又は照明器具であれば、その形状・形態は問わない。また、挟持部の弾性片は板バネに限定されず、爪などの非弾性の部材であってもよい。さらに、「挟持」の方向も必ずしも天井材11に対して垂直な方向に限定されず、器具の挟持部が外方に広がるようにして挟持圧がかかるタイプのものでもよい。
【0036】
次いで、
図9乃至
図11を参照して、本実施形態の取付補助部材100を用いてダウンライト器具15を天井材11の取付孔12に設置した器具設置構造10について説明する。
図9は、器具設置構造10の概略斜視図である。
図10は、器具設置構造10の平面図である。
図11(a),(b)は、器具設置構造10のC−C概略断面図及びD−D概略断面図である。なお、概略断面図において、説明の便宜上、ダウンライト器具15の器具本体16内部を断面として表していない。
【0037】
図9及び
図10に示すとおり、器具設置構造10では、天井材11の取付孔12にダウンライト器具15の器具本体16が収容されている。また、環状の取付補助部材100が天井材11裏面上に載置されている。そして、ダウンライト器具15の一対の弾性片18と鍔部17とによって、天井材11と取付補助部材100が挟持されることにより、ダウンライト器具15が天井材11に設置されている。
【0038】
より具体的には、
図11(a)に示すように、天井材11表面に鍔部17上面が当接した状態で器具本体16の筐体上部が天井材11裏面側へと延び出ている。他方、取付補助部材100の当接部102が取付孔12周縁に天井材11裏面から当接している。このとき、取付補助部材100の透孔101bと取付孔12とが連通し、その中心及び内周縁がほぼ合致している。そして、取付補助部材100は、当接部102の一部に設けられた両面テープ(図示せず)を介して取付孔12周縁に固着されている。また、
図11(b)に示すように、突出部108は、天井材11表面側に突出しないように、天井材11裏面側に折り返されて収納部109に収納されている。突出部108の係合爪108aが収容部109の切り欠き109aの縁部に係合し、突出部108が収容位置に維持されている。さらに、収納された突出部108の内方に器具本体16の筐体部分が配置されているので、突出部108の下方への回動が規制され、突出部108が事後的に天井材11表面側に垂れ下がることはない。
【0039】
そして、弾性片18が鍔部17上面から取付孔12を通って天井材11裏面側へと延び出ている。弾性片18は、少なくとも取付補助部材100の受け部103に当接して上方(天井材裏面側)に弾性変形している。つまり、弾性片18は
図8の初期状態から上方に回動するように弾性変形している。そして、弾性片18の弾性復帰力が受け部103に作用することにより、鍔部17と弾性片18とによって天井材11(取付孔12周縁)及び取付補助部材100(本体部101)が併せて挟持されている。すなわち、器具設置構造10では、本体部101の厚みによって天井材11の厚みがかさ増しされることにより、弾性片18による弾性力が十分に発揮されている。換言すれば、天井材11の厚みだけでは弾性片18の弾性変形が不十分となり、取付補助部材100なしでは天井材11を鍔部17及び弾性片18でしっかりと挟持することができない。その結果、ダウンライト器具15が天井材11の取付孔12に対して安定的に取り付けられている。
【0040】
続いて、
図12及び
図13を参照して、本実施形態の器具設置構造10を構築する方法、すなわち、天井材11を厚み方向に挟持する挟持部を有するダウンライト器具15を取付孔12を介して固定する方法を説明する。
【0041】
まず、取付補助部材100を準備し、
図12(a)に示すように、天井材11表面側で取付補助部材100を折り畳んで第2形態へと変形させる。具体的には、ヒンジ部104を中心として、受け部103が近接する方向に一対の分割体101a,101aを相対的に回動させ、係合凸部105及び係合凹部106を摩擦嵌合させることによって本体部101を折り畳む。次に、張り出し部107又はつまみ部112を把持しつつ、取付孔12を介してC字状に変形した取付補助部材100を天井材11表面側から裏面側へと挿入する。このとき、つまみ部112をつまんで、取付補助部材100を天井材11裏面に挿入配置することが好ましい。すなわち、張り出し部107下面の平坦部位111に両面テープが予め設けられている場合、つまみ部112を活用することで、作業者が両面テープを触って汚したりして、接着力を低下させることを防止できる。なお、取付補助部材100の本体部101の外径は取付孔12の径よりも大きいが、このように半分に折り畳むことにより、取付補助部材100を天井材11裏面側へと簡単に配置することができる。また、第2形態の取付補助部材100は比較的コンパクトであるので、天井材11裏面側での取り回しが容易である。
【0042】
次に、
図12(b)に示すように、係合凸部105及び係合凹部106の摩擦係合を解除し、天井材11裏面側で取付補助部材100を第2形態から展開して第1形態へと変形させ、突出部108により位置決めを行い、取付補助部材100を取付孔12周縁上に配置する。好ましくは、天井材11裏面側で取付補助部材100を折り畳んだ状態で、2つの突出部108を取付孔12内周面に当接させつつ取付孔12周縁に取付補助部材100を載置し、一方の分割体101a1の当接部102を取付孔12内周面に当接させる。特には、
図13(b)に示すように、当接部102と取付孔12周縁とが未だ離隔した状態から、(当接部102よりも下方に突出する)2つの突出部108外面を取付孔12内周面に係合させつつ、当接部102を取付孔12周縁に対して摺動(又はガイド)させながら近接させることにより、取付補助部材100を目視することなく、取付補助部材100の位置決めを簡単且つ迅速に行うことができる。なお、突出部108外面と取付孔12内周面との「係合」は、外力に抗して動かないものに限らず、取付孔12に対して相対的に位置を定められる程度に当たり合う(宛がわれる)ものも含む概念である。
【0043】
そして、一方の分割体101a1を取付孔12周縁の一方側に両面テープで固着した上で、張り出し部107を把持しつつ取付補助部材100を第1形態に変形させ、他方の分割体101a2を取付孔12周縁の他方側に両面テープで固着する。これにより、取付孔12及び透孔101bの中心(又は周縁)を合致させて、取付補助部材100を取付孔12周縁上に簡単に固着することができる。なお、位置固定手段として両面テープ(貼着)の代わりに、磁石(磁着)を採用してもよい。
【0044】
続いて、
図13(b)に示すとおり、取付補助部材100を位置決めして固定した状態で、各突出部108を取付孔12から天井材11表面側に突出する第1位置から、突出部108を内方に回動させて収納部109に収納させることにより、天井材11表面側に突出しない第2位置に変位させる。すなわち、突出部108は、取付孔12の内周面に係合させた状態で(つまり位置決め後に)その突出長が減少するように変位可能である。なお、第1位置において、突出部108が取付孔12を貫通して天井材11表面から突出しているので、作業者は突出部108を天井材11表面側から簡単に把持して収納操作することができる。こうして、天井材11裏面に取付補助部材100を設置して取付孔12周縁の厚みをかさ増しすることができる。
【0045】
そして、
図14に示すように、取付孔12及び透孔101bに向けて天井材11表面側から(図示しないが、電源等に配線された)ダウンライト器具15を差し込む。具体的には、器具本体16上部を取付孔12に差し込む際、弾性片18を上方及び内方に弾性変形させることにより、弾性片18を取付孔12周縁に当接させずに器具本体16を取付孔12に通過させることができる。そして、ダウンライト器具15の鍔部17上面が天井材11表面に当接するまで器具本体16を差し込むと、弾性片18が下方に部分的に回動して受け部103に当接する。このとき、弾性片18はまだ弾性変形した状態にあるため、弾性片18が受け部103を下方に付勢している。このようにして、弾性片18と鍔部17とに天井材11及び取付補助部材100を挟持させることで、ダウンライト器具15を天井材11の取付孔12に対して設置することができる。
【0046】
なお、ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略又は変更することも可能である。例えば、突出部108を収納部109に収納する代わりに切除してもよい。この場合、肉薄の溝状の連結部位108bが切断補助線として機能するので、容易に突出部108を除去することができる。
【0047】
以下、本発明に係る一実施形態の取付補助部材100の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態の取付補助部材100によれば、本体部101は、当接部102が天井材11の取付孔12周縁に当接した状態で、ダウンライト器具15の挟持部により天井材11とともに挟持され得る厚みを有している。つまり、天井材11の厚みと本体部101の厚みの合計がダウンライト器具15の挟持部により挟持可能な厚みに達するように、本体部101の厚みが定められている。これにより、天井材11の厚みによらずに、取付補助部材100を介してダウンライト器具15を天井材11の取付孔12に対して取り付け可能となる。また、取付補助部材100は、当接部102が取付孔12周縁に当接する位置で、本体部101に設けられた突出部108が取付孔12内周面に係合することを特徴とする。つまり、突出部108を取付孔12内周面に係合させることで、取付補助部材100を透孔101bと取付孔12とが連通及び合致する位置にガイドして迅速且つ正確に位置決めすることが可能である。そして、本実施形態のように天井材11が肉薄である場合、突出部108が天井材11表面側に突出するが、これは見栄え上望ましくない。これに対し、突出部108は、位置決め(ガイド)の機能を果たした後に邪魔にならないように、本体部101内周面に形成された収納部109に収納されるように変位可能であり、又は、連結部位108bを切断して本体部101から除去可能である。よって、本実施形態の取付補助部材100は、器具設置構造10の見栄えを損なうことなく、ダウンライト器具15の設置作業を改善することが可能である。
【0049】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0050】
(1)上記実施形態の取付補助部材100では、ヒンジ部104によって2つの分割体101a1,101a2を相対変位可能としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ヒンジ部は回避凹部の上壁以外の箇所に設けられてもよい。また、ヒンジ部を設けるかわりに、2つの分割体を部分的に又は完全に着脱可能にしてもよい。さらに、本発明の取付補助部材は、3以上の分割体で構成されてもよい。さらには、上記実施形態では、2つの分割体101a1,101a2は、互いに重合するように完全に折り畳まれるが、取付孔を通過可能であればV字状に折られてもよい。以下に本発明の変形例を具体的に例示する。
【0051】
例えば、
図15に示した取付補助部材200は、取付孔22に連通する透孔201bを形成し、天井材21裏面側から取付孔22周縁に当接する当接部202を有し、ダウンライト器具の挟持部により天井材21とともに挟持される厚みを有する本体部201と、当接部202よりも天井材21表面側に突出するように本体部201に設けられた突出部208と、を備える。該取付補助部材200の本体部201は、上記実施形態の取付補助部材100と異なり、変位可能な分割体でなく、周方向の一部に切り欠き部210を有するC字形状に形成されている。そして、
図15(c)に示すように、切り欠き部210で天井材21を挟み込むように取付補助部材200を傾けることにより、取付補助部材200に取付孔22を通過させ、取付補助部材200を天井材21表面側から裏面側へと移動させることができる。また、該取付補助部材200では、本体部201に収納部が設けられておらず、突出部208は連結部208bを切断することにより切除可能に構成されている。ただし、本変形例の本体部201は、C字状であるので切り欠き部209が拡がるように撓み変形し易い。それ故、ダウンライト器具の挟持部が外方に広がるように挟持圧がかかるタイプの場合には、(上記実施形態の取付補助部材100のように)切り欠き部209が繋がった環状とした方が、取付補助部材の形状が安定するため好適である。
【0052】
例えば、
図16に示した取付補助部材300は、取付孔に連通する透孔301bを形成し、天井材裏面側から取付孔周縁に当接する当接部302を有し、ダウンライト器具の挟持部により天井材とともに挟持される厚みを有する本体部301と、当接部302よりも天井材31表面側に突出するように本体部301に設けられた突出部308と、を備える。本取付補助部材300では、2つの突出部308が各分割体301a1,301a2にそれぞれ形成されている。本変形例の取付補助部材300は、上記実施形態の取付補助部材100と異なり、可撓変形可能な蛇腹状の連結帯310が設けられている。すなわち、取付補助部材300の本体部301を構成する一対の分割体301a1,分割体301a2が該連結帯310によって互いに傾動可能に連結されている。つまり、この蛇腹状の連結帯310を屈曲、屈折又は縮退させることにより、両分割体301a1,301a2を互いに傾動又は接近させて、取付孔を通過可能な形態に変形可能である。また、該取付補助部材300では、本体部301に収納部が設けられておらず、突出部308は連結部308bを切断することにより切除可能に構成されている。
【0053】
(2)上記実施形態では、突出部は連結部位を介して折り返されるように回動して収納部に収納されるように変位可能であるが、本発明の突出部は上記形態に限定されない。例えば、突出部を第1位置及び第2位置間に変位可能に上下にスライド移動させるように構成してもよい。また、突出部の形状は、当接部よりも天井材表面側に突出して取付孔に対する取付補助部材の位置決めが可能であれば、上記実施形態に限定されず任意に変更可能である。例えば、突出部は、位置決め可能な部位で本体部に抜き差し可能に保持された棒材やピンなどであってもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、天井材において、円形の取付孔が穿設され、円形の取付孔に対応するダウンライト器具が設置されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、取付孔の形状を円形でなく、角形等の他の形状としてもよい。その場合、取付補助部材の外形を取付孔の形状に合わせて変更することにより対応可能である。すなわち、上記実施形態は、本発明を例示する一実施形態にすぎず、本発明の技術的範囲の範疇であれば、天井材や器具の形状・種類に応じて、取付補助部材及び器具設置構造の形態は適宜改変可能である。さらに、上記実施形態では、突出部は一方の分割体のみに2つ形成されたが、本発明は上記形態に限定されない。例えば、突出部の数を取付孔の径に応じて任意に増減することが可能である。また、両方の分割体にそれぞれ突出部を設けてもよい。
【0055】
(4)上記実施形態では、肉薄の天井材に器具を取り付けることを補助する用途に取付補助部材が用いられたが、その用途は実施形態に限定されるものではない。例えば、天井材の脆い取付孔周縁を補強したり、取付孔の径を変換する用途に用いられてもよい。
【0056】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。