(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691439
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
F24H 1/12 20060101AFI20200421BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20200421BHJP
F23Q 3/00 20060101ALI20200421BHJP
F23D 14/78 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
F24H1/12 B
F24H9/00 A
F23Q3/00 102G
F23Q3/00 615E
F23Q3/00 615F
F23D14/78 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121533(P2016-121533)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-219299(P2017-219299A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-110792(P2016-110792)
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小代 卓史
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−178459(JP,U)
【文献】
実開昭61−039256(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第2811141(EP,A1)
【文献】
実開昭51−121550(JP,U)
【文献】
特開2004−347230(JP,A)
【文献】
特開2013−133955(JP,A)
【文献】
特開平08−042844(JP,A)
【文献】
特開平04−055619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/12
F23D 14/78
F23Q 3/00
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、バーナの燃焼面から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置した水を加熱する熱交換器とを備える熱源機であって、燃焼筐のバーナと熱交換器との間の部分に、燃焼筐を冷却するために熱交換器に接続されるウォータジャケットが設けられると共に、燃焼筐の一側の側板のバーナと熱交換器との間の部分に、当該側板に形成した透孔を通して燃焼筐内に突出する電極と、電極を挿通固定した碍子とを備える電極部品が装着され、碍子は、一側の側板の透孔の周囲の部分の外面に重なるフランジ部を有し、このフランジ部と一側の側板との間にパッキンを介設した状態でフランジ部の外面に重なる押え板を一側の側板に締結することにより電極部品が一側の側板に装着されるものにおいて、
一側の側板に、電極部品の装着箇所の上側と下側に位置させて、ウォータジャケットの一部を構成する上下の水管が取付けられ、上下の水管が一側の側板の内面に取付けられる場合は、一側の側板に形成した上下の水管が夫々凹入される外方に膨出した上下の膨出部に、上下の水管が一側の側板の外面に取付けられる場合は、上下の水管に、パッキンの上下の側縁部が当接することを特徴とする熱源機。
【請求項2】
バーナと、バーナの燃焼面から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置した水を加熱する熱交換器とを備える熱源機であって、燃焼筐のバーナと熱交換器との間の部分に、燃焼筐を冷却するために熱交換器に接続されるウォータジャケットが設けられると共に、燃焼筐の一側の側板のバーナと熱交換器との間の部分に、当該側板に形成した透孔を通して燃焼筐内に突出する電極と、電極を挿通固定した碍子とを備える電極部品が装着され、碍子は、一側の側板の透孔の周囲の部分の外面に重なるフランジ部を有し、このフランジ部と一側の側板との間にパッキンを介設した状態でフランジ部の外面に重なる押え板を一側の側板に締結することにより電極部品が一側の側板に装着されるものにおいて、
一側の側板の内面に、電極部品の装着箇所の上側と下側に位置させて、ウォータジャケットの一部を構成する上下の水管が取付けられ、一側の側板に、上下の水管が共に凹入される外方に膨出した膨出部が形成され、この膨出部の上半部に、外方に最も膨出した上部から下方に向けて内方に傾斜した傾斜部が形成されると共に、膨出部の下半部に、外方に最も膨出した下部から上方に向けて内方に傾斜した傾斜部が形成され、膨出部に、上半部の傾斜部と下半部の傾斜部との間に位置させて、電極を通す透孔が形成され、パッキンの上部と下部が夫々上半部と下半部の傾斜部に接することを特徴とする熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナと、バーナの燃焼面から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置した水を加熱する熱交換器とを備える熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱源機として、燃焼筐の一側の側板のバーナと熱交換器との間の部分に、当該側板に形成した透孔を通して燃焼筐内に突出する点火電極やフレームロッド等の電極と、電極を挿通固定した碍子とを有する電極部品を装着したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、碍子は、一側の側板の透孔の周囲の部分の外面に重なるフランジ部を有し、このフランジ部と一側の側板との間にパッキンを介設した状態でフランジ部の外面に重なる押え板を一側の側板に締結することにより電極部品が一側の側板に装着される。
【0003】
上記従来例のものにおいて、パッキンを使用するのは、燃焼筐内の燃焼ガスが透孔を通して外部に漏れ出るのを防止するためである。然し、従来は、パッキンの周縁が拘束されていないため、押え板の締結でパッキンを圧縮したときに、パッキンが周囲に広がって、パッキン内部の圧縮応力を十分に高くすることができず、シール性が悪くなることがある。
【0004】
また、従来、熱源機として、特許文献2により、燃焼筐のバーナと熱交換器との間の部分に、燃焼筐を冷却するために熱交換器に接続されるウォータジャケットを設けたものも知られている。ウォータジャケットの一部は、燃焼筐の側板に取付ける水管で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−30056号公報
【特許文献1】欧州特許出願公開第2811141号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パッキンが圧縮したときに広がることを、燃焼筐の側板に取付けるウォータジャケット用の水管を利用して抑制し、良好なシール性が得られるようにした熱源機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、バーナと、バーナの燃焼面から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置した水を加熱する熱交換器とを備える熱源機であって、燃焼筐のバーナと熱交換器との間の部分に、燃焼筐を冷却するために熱交換器に接続されるウォータジャケットが設けられると共に、燃焼筐の一側の側板のバーナと熱交換器との間の部分に、当該側板に形成した透孔を通して燃焼筐内に突出する電極と、電極を挿通固定した碍子とを備える電極部品が装着され、碍子は、一側の側板の透孔の周囲の部分の外面に重なるフランジ部を有し、このフランジ部と一側の側板との間にパッキンを介設した状態でフランジ部の外面に重なる押え板を一側の側板に締結することにより電極部品が一側の側板に装着されるものにおいて、本願の第1発明は、一側の側板に、電極部品の装着箇所の上側と下側に位置させて、ウォータジャケットの一部を構成する上下の水管が取付けられ、上下の水管が一側の側板の内面に取付けられる場合は、一側の側板に形成した上下の水管が夫々凹入される外方に膨出した上下の膨出部に、上下の水管が一側の側板の外面に取付けられる場合は、上下の水管に、パッキンの上下の側縁部が当接することを特徴とし、本願の第2発明は、一側の側板の内面に、電極部品の装着箇所の上側と下側に位置させて、ウォータジャケットの一部を構成する上下の水管が取付けられ、一側の側板に、上下の水管が共に凹入される外方に膨出した膨出部が形成され、この膨出部の上半部に、外方に最も膨出した上部から下方に向けて内方に傾斜した傾斜部が形成されると共に、膨出部の下半部に、外方に最も膨出した下部から上方に向けて内方に傾斜した傾斜部が形成され、膨出部に、上半部の傾斜部と下半部の傾斜部との間に位置させて、電極を通す透孔が形成され、パッキンの上部と下部が夫々上半部と下半部の傾斜部に接することを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、パッキンの上下の側縁部が上下の膨出部又は上下の水管に当接するため、押え板の締結でパッキンを圧縮したときに、パッキンが上下に広がることを抑制できる。また、第2発明によれば、パッキンの上部と下部が膨出部の上半部と下半部の傾斜部に接するため、押え板の締結でパッキンを圧縮したときに、傾斜部からの圧縮反力の上下方向成分でパッキンの上部には下向き、パッキンの下部には上向きの力が作用し、パッキンが上下に広がることを抑制できる。従って、第1と第2の何れの発明においても、パッキン内部の圧縮応力を十分に高くすることができ、良好なシール性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1とは反対側から見た第1実施形態の熱源機の斜視図。
【
図5】第1実施形態の熱源機の要部の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態の熱源機は、燃焼面1aを下方に向けた下向き姿勢のバーナ1と、燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼空間を囲う、バーナ1の下側の燃焼筐2とを備えている。燃焼筐2は、前側と後側の側板21,22と、横方向一方と他方の側板23,24で構成されている。また、燃焼筐2内の下部には、水を加熱する給湯用又は暖房用の熱交換器3が収納されている。
【0011】
バーナ1は、下面を開放面とするバーナボディ11と、バーナボディ11の下面に装着した、燃焼面1aを構成する燃焼板12とで構成される。バーナボディ11には、混合気を供給するファン4を接続する流入口111が開設されている。流入口111には、ファン4停止時にバーナボディ11内に残留する混合気がファン4側に逆流することを阻止する逆止弁13が装着されている。逆止弁13は、流入口111に嵌め込まれる弁筐131と、バーナボディ11内を向く弁筐131の開口部に開閉自在に軸着された弁板132とで構成されている。また、燃焼板12は、中央部に大きな開口部を有しており、この開口部に耐熱繊維の織布121を装着すると共にその上に多数の分布孔を形成した分布板122を重ね合わせて、バーナボディ11内の混合気が分布板122と織布121とを介して噴出して全一次燃焼するようにしている。
【0012】
熱交換器3は、多数のフィン31とこれらフィン31を貫通する複数の吸熱管32とを備えるフィンチューブ型熱交換器で構成されている。燃焼筐2の横方向一方と他方の側板23,24の外面には、隣り合う2本の吸熱管32,32の接続路を各側板23,24との間に画成する接続蓋33が複数取付けられており、全ての吸熱管32が直列に接続される。また、上流端の吸熱管32に接続される接続路を横方向一方の側板23との間に画成する接続蓋33には入水口34が設けられている。
【0013】
また、燃焼筐2のバーナ1と熱交換器3との間の部分には、燃焼筐2を冷却するために熱交換器3の下流側に接続されるウォータジャケット5が設けられている。このウォータジャケット5は、燃焼筐2の後側の側板22に設けられた横方向にのびる上下3本の第1水管51と、燃焼筐2の前側の側板21に設けられた横方向にのびる上下3本の第3水管53と、燃焼筐2の横方向一方の側板23に設けられた、第1水管51と第3水管53とを接続する前後方向にのびる上下3本の第2水管52と、燃焼筐2の横方向他方の側板24の後方寄りの部分に設けられた、熱交換器3を通過した水を第1水管51に導く流入側ヘッダ5inと、燃焼筐2の横方向他方の側板24の前方寄りの部分に設けられた、第3水管53からの水が流入する流出側ヘッダ5outとで構成され、流出側ヘッダ5outの上部に、給湯路を接続する出湯口54が設けられている。これにより、熱交換器3を通過した水(温水)は、流入側ヘッダ5inから第1水管51と第2水管52と第3水管53とを介して流出側ヘッダ5outに流れ、出湯口54から給湯路に供給される。
【0014】
尚、第1と第3の各水管51,53は、燃焼筐2の前側と後側の各側板21,22の内面に取付けられる。具体的には、前側と後側の各側板21,22に、各水管51,53の取付け箇所に位置させて、外方に半円状に膨出する膨出部51a,53aを形成し、各水管51,53を各膨出部51a,53aに凹入させた状態で各側板21,22の内面に取付けている。また、第2水管52は、側板23に形成した横方向内方への窪み部52aと、この窪み部52aを覆う蓋体52bとで構成されている。
【0015】
また、
図5も参照して、燃焼筐2の前側の側板21のバーナ1と熱交換器3との間の部分には、点火電極61、接地電極62及びフレームロッド63から成る電極と、点火電極61及び接地電極62を挿通固定した第1碍子64
1とフレームロッド63を挿通固定した第2碍子64
2とを備える電極部品6が装着されている。点火電極61及び接地電極62は、側板21に形成した横長の透孔21aを通して燃焼筐2内に突出し、フレームロッド63は、側板21に形成した別の透孔21bを通して燃焼筐2内に突出する。第1と第2の各碍子64
1,64
2は、側板21の各透孔21a,21bの周囲の部分に重なるフランジ部64aを有している。そして、第1と第2の両碍子64
1,64
2のフランジ部64a,64aと側板21との間に横長の共通のパッキン65を介設した状態で、両碍子64
1,64
2のフランジ部64a,64aの外面に重なる横長の共通の押え板66を設け、この押え板66を側板21に締結、即ち、ネジ67止めすることで電極部品6を側板21に装着している。
【0016】
尚、パッキン65には、点火電極61及び接地電極62を挿通する透孔65aとフレームロッド63を挿通する透孔65bとが形成されている。また、押え板66には、燃焼筐2内を目視するための覗き窓68が付設されており、側板21及びパッキン65に覗き窓68に対応する透孔21c,65cが形成されている。
【0017】
ところで、パッキン65を使用するのは、燃焼筐2内の燃焼ガスが透孔21a,21bを通して外部に漏れ出るのを防止するためである。ここで、押え板66の締結でパッキン65を圧縮したときに、パッキン65が周囲に広がると、パッキン65内部の圧縮応力を十分に高くすることができず、シール性が悪くなることがある。
【0018】
そこで、本実施形態では、
図6に明示する如く、燃焼筐2の前側の側板21に形成した、電極部品6の装着箇所の上側と下側に位置する上下の第3水管53,53が凹入される上下の膨出部53a,53aに、パッキン65の上下の側縁部が当接するようにしている。これによれば、押え板66の締結でパッキン65を圧縮したときに、パッキン65が上下に広がることを上下の膨出部53a,53aにより抑制できる。そのため、パッキン65内部の圧縮応力を十分に高くすることができ、良好なシール性が得られる。
【0019】
次に、
図7に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態では、燃焼筐2の前側の側板21に、電極部品6の装着箇所の上側と下側に位置する上下の第3水管53,53が共に凹入される外方に膨出した膨出部53bを形成している。この膨出部53bの上半部には、外方に最も膨出した上部から下方に向けて内方に傾斜した傾斜部53cが形成され、膨出部53bの下半部には、外方に最も膨出した下部から上方に向けて内方に傾斜した傾斜部53dが形成されている。更に、膨出部53bには、上半部の傾斜部53cと下半部の傾斜部53cとの間に位置させて、電極を通す透孔、即ち、
図7に示されたフレームロッド63を通す透孔21bと、
図7には示されていない点火電極61及び接地電極62を通す透孔21aとが形成されている。
【0020】
そして、第2実施形態では、パッキン65の上部と下部が夫々膨出部53bの上半部と下半部の傾斜部53c,53dに接するようにしている。これによれば、押え板66の締結でパッキン65を圧縮したときに、傾斜部53c,53dからの圧縮反力の上下方向成分でパッキン65の上部には下向き、パッキン65の下部には上向きの力が作用し、パッキン65が上下に広がることを抑制できる。そのため、パッキン65内部の圧縮応力を十分に高くすることができ、良好なシール性が得られる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記第1実施形態では、燃焼筐2の前側の側板21の内面に第3水管53を取付けているが、この側板21の外面に第3水管53を取付けることも可能である。この場合は、電極部品6の装着箇所の上下の第3水管53,53にパッキン65の上下の側縁部を当接させて、パッキン65が上下に広がることを抑制できるようにすればよい。また、電極部品6を装着する側板は、後側の側板22や横方向一方や他方の側板23,24であってもよく、更に、ウォータジャケット5は、熱交換器3の上流側に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1…バーナ、1a…燃焼面、2…燃焼筐、21…前側の側板(一側の側板)、21a,21b…透孔、3…熱交換器、5…ウォータジャケット、53…第3水管(上下の水管)、53a…膨出部、53b…上下の水管が共に凹入される膨出部、53c…上半部の傾斜部、53d…下半部の傾斜部、6…電極部品、61…点火電極(電極)、62…接地電極(電極)、63…フレームロッド(電極)、64
1,64
2…碍子、64a…フランジ部、65…パッキン、66…押え板。