特許第6691444号(P6691444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691444
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20200421BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20200421BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20200421BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20200421BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20200421BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/73
   A61K8/44
   A61K8/60
   A61Q19/10
   C11D1/04
   C11D3/22
   C11D1/10
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-127350(P2016-127350)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-2609(P2018-2609A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−265324(JP,A)
【文献】 特開平11−209799(JP,A)
【文献】 特開2014−047179(JP,A)
【文献】 特開2005−281455(JP,A)
【文献】 特開2010−241909(JP,A)
【文献】 特開2006−225403(JP,A)
【文献】 特開2004−331583(JP,A)
【文献】 特開2014−221743(JP,A)
【文献】 特開2009−107930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする洗浄料。
(A)高級脂肪酸塩
(B)タマリンドガム
(C)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン
(D)グルコピラノシルグリセロール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に、肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。
【0003】
洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−116135号公報
【特許文献2】特開平10−88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決した、泡立ち及び泡質が良く、保湿効果の優れた、安定性の高い洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする洗浄料を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)タマリンドガム
(C)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン
(D)グルコピラノシルグリセロール
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、泡立ち及び泡質が良く、保湿効果の優れた、安定性の高い洗浄料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)高級脂肪酸塩は、特に制限されないが、あらかじめ中和された高級脂肪酸塩を配合しても良いし、高級脂肪酸と塩基を中和することにより高級脂肪酸塩を形成させて配合しても良い。高級脂肪酸としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれの脂肪酸でも用いることができ、炭素数8〜24のものが好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、2−パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等を挙げることができる。高級脂肪酸塩を生成するための塩基としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の無機塩基、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等のアルカノールアミン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。これらの中でも、パルミチン酸、ミリスチン酸及びステアリン酸を水酸化カリウムで中和したものを用いるのが好ましい。
【0009】
成分(A)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、25〜40質量%の配合量が好ましい。配合量が25質量%未満又は40質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0010】
本発明で用いられる成分(B)タマリンドガムは、タマリンドの種子を由来とするもので、グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つキシログルカンと呼ばれる水溶性高分子多糖類であり、特に制限されずに使用することができる。
【0011】
成分(B)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.02〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.02質量%未満であると、泡質に影響を及ぼす場合があり、1質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0012】
成分(B)の市販品としてはグリロイド 6C(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる成分(C)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシンは、リシン塩酸塩と脂肪酸アシルグルタミン酸を反応させて合成することができ、フリー体を配合することもできるし、塩の形で配合することもできる。塩としては、特に制限されることなく使用でき、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩等を挙げることができる。アシル基の脂肪酸としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれの脂肪酸でも用いることができ、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等を挙げることができる。これらの中でも、ジラウロイルグルタミン酸リシン及び/又はその塩を用いるのが好ましい。
【0014】
成分(C)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.02〜0.3質量%の配合量が好ましい。配合量が0.02%未満であると、泡質及び保湿効果に影響を及ぼす場合があり、0.3質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。市販品としては、ペリセア L−30(旭化成ケミカルズ株式会社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明で用いられる成分(D)グルコピラノシルグリセロールは、グリセリンとグルコースを反応させて合成することができ、α体、β体、あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。
【0016】
成分(D)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.02〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.02質量%未満であると、泡質及び保湿効果に影響を及ぼす場合があり、1質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0017】
本発明の洗浄料には、上述の成分の他に、通常の化粧料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0018】
本発明の洗浄料は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の洗浄料は、洗顔料、全身洗浄料、ハンドソープ、シャンプー等として使用することができ、洗顔料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0020】
表1及び表2の実施例及び比較例のペースト状洗顔料を、下記の製造方法で製造した。
<製造方法>
a)その他成分の水酸化カリウムと精製水の一部を用いて水酸化カリウム水溶液を調製した。
b)成分(A)を水酸化カリウム水溶液で中和した。
c)上記b)に成分(B)、成分(C)、成分(D)及びその他成分を順次添加し、均一に混合した。
【0021】
そして、表1及び表2の実施例及び比較例について、下記の方法で、泡立ち、泡質、保湿効果及び安定性の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0022】
a)泡立ち、泡質、保湿効果
専門パネラー10名による、顔での使用テストを行い、下記の評価基準に従って、表の洗浄料の泡立ち、泡質、保湿効果について、絶対評価をし、更にその10人の評点の平均点を下記判定基準により判定した。

<評価基準>
3点:泡立ちが非常に良い/泡質が非常に良い/保湿効果が非常に良い
2点:泡立ちが良い/泡質が良い/保湿効果が良い
1点:泡立ちが少し悪い/泡質が少し悪い/保湿効果が少し悪い
0点:泡立ちが悪い/泡質が悪い/保湿効果が悪い

<判定基準>
◎:2.5点以上
○:1.8点以上2.5点未満
△:1.0点以上1.8点未満
×:1.0点未満
【0023】
b)安定性
専門評価員3名で、表の洗浄料を5℃、25℃、40℃で3カ月保管した際の外観の状態を下記の判定基準により判定した。

<判定基準>
◎:変化がない
○:変化がほとんどない
△:やや分離が見られる
×:分離が見られる
【0024】
表に示された結果から明らかなように、各実施例の洗浄料は、比較例の洗浄料に比べて泡立ち、泡質、保湿効果及び安定性すべての面で優れていた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】