特許第6691489号(P6691489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6691489搬送用接着剤を有するマルチパネル滅菌アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691489
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】搬送用接着剤を有するマルチパネル滅菌アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/26 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A61L2/26
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-571702(P2016-571702)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-522082(P2017-522082A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】US2015035975
(87)【国際公開番号】WO2015195627
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月7日
(31)【優先権主張番号】14/307,848
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルモン、マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】レイ、トーマス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】タンカズリー、テリー・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョイス・ヴイ
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/046186(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00− 12/14
A61B 34/00− 90/98
B65D 67/00− 79/02
B65D 81/18− 81/30
B65D 81/38− 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリであって、
バリアパネルであって、折り畳み保護パネルを画定する第1端部、第2端部、互いに反対側の第1縁部及び第3縁部、前記第1端部の反対側の第2縁部、互いに反対側の第1ウイング及び第2ウイング、及び前記バリアパネルの展開のために前記第2端部に取り付けられたプルタブを有する、該バリアパネルを含み、
前記バリアパネルは第1の表面を有し、前記第1の表面は、被滅菌物品及び裏側の第2の表面をカバーするか、またはそれに接触するように構成され、
前記第1ウイング前記第2ウイング、またはその両方は、前記被滅菌物品が前記滅菌アセンブリ内に含められているとき、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはその両方を前記バリアパネルの前記第1の表面の裏側の第2の表面に固定するためのパネル取り付け手段を備え、前記パネル取り付け手段は、前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を相互に固定するか、または前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を、前記バリアパネルが中心点の線においてまたはその近傍においてその前記第2端部がその前記第1端部に向けられるように折り畳まれた後の前記第2端部の部分に固定し、
前記プルタブの遠位端は、過渡的接着剤が塗布された領域を有し前記プルタブは前記過渡的接着剤のみで前記滅菌アセンブリに対して保持され、
前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造中に、前記プルタブを前記滅菌アセンブリに対して少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって所定位置に保持して、前記プルタブが前記滅菌アセンブリに対して動くのを防止し、
前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの滅菌後に、前記プルタブを前記滅菌アセンブリに対して約150グラム重未満の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項2】
請求項に記載の滅菌アセンブリであって、
前記パネル取り付け手段は、接着テープ、両面接着テープ、粘着性の材料、フック・ループ型面ファスナシステム、機械的固定システム、スナップ、クリップ、磁石、留め具、スロット及びタブ、またはその2つ以上の組み合わせを含むことを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記プルタブは、滅菌の後に展開または前記被滅菌物品を開封する間にアクセス可能に配置されることを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項4】
請求項に記載の滅菌アセンブリであって、
前記プルタブは、前記バリアパネルの前記第2端部から延びるか、または前記第2端部に結合されることを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項5】
請求項に記載の滅菌アセンブリであって、
前記プルタブは、前記第2の表面において前記バリアパネルの前記第2端部から延びるか、または前記第2端部に結合されることを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の滅菌アセンブリであって、
前記プルタブの遠位端が、前記バリアパネルの前記第2端部に前記過渡的接着剤で固定されることを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の滅菌アセンブリであって、
前記過渡的接着剤は、ホットメルト接着剤であることを特徴とする滅菌アセンブリ。
【請求項8】
滅菌アセンブリの作製方法であって、
バリアパネルを形成するステップであって、前記バリアパネルは、折り畳み保護パネルを画定する第1端部、第2端部、互いに反対側の第1縁部及び第3縁部、前記第1端部の反対側の第2縁部、互いに反対側の第1ウイング及び第2ウイング、及び前記バリアパネルの展開のために前記第2端部に取り付けられたプルタブを有し、前記バリアパネルは第1の表面を有し、前記第1の表面は、被滅菌物品及び裏側の第2の表面をカバーするか、またはそれに接触するように構成され、前記第1ウイング前記第2ウイング、またはその両方は、前記被滅菌物品が前記滅菌アセンブリ内に含められているとき、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはその両方を前記バリアパネルの前記第1の表面の裏側の第2の表面に固定するためのパネル取り付け手段を備え、前記パネル取り付け手段は、前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を相互に固定するか、または前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を、前記バリアパネルが中心点の線においてまたはその近傍においてその前記第2端部がその前記第1端部に向けられるように折り畳まれた後の前記第2端部の部分に固定する、該バリアパネルを形成するステップと、
前記プルタブの遠位端に過渡的接着剤を塗布するステップであって、前記プルタブは、前記過渡的接着剤のみで前記滅菌アセンブリに対して保持される、該ステップとを含み、
前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造中に、前記プルタブを前記滅菌アセンブリに対して少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって所定位置に保持して、前記プルタブが前記滅菌アセンブリに対して動くのを防止し、
前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの滅菌後に、前記プルタブを前記滅菌アセンブリに対して約150グラム重未満の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、
前記プルタブを前記バリアパネルの前記第2の表面に一時的に保持するために前記過渡的接着剤を塗布するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記過渡的接着剤は、ホットメルト接着剤であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年6月18日出願の米国特許出願第14/307,848号を基礎とする優先権を主張するものである。
本発明は、概して、滅菌すべき内容物を包み、その内容物を使用するまで無菌的に保存するために用いられる使い捨て式ラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の使い捨て滅菌ラップは、強度または吸収性を確保するための1以上の材料の層を含む場合もある、フラットで特徴的形状のないシート材料である。例えば、Bourneらの米国特許第5635134号明細書(特許文献1)には、1枚以上の滅菌ラップのシート(例えば2枚の別体のシートまたは折り重ねられた1枚のシート)を一緒に接合して物品の便利な二重包装を可能にする2つの同程度のサイズの重畳パネルを形成することによって形成されたマルチプライ滅菌ラップが開示されている。別の例としては、Bayerによる米国特許出願公開第2001/0036519号明細書(特許文献2)には、互いに結合された2つの同程度のサイズの重畳パネルを形成するように折り畳まれる滅菌ラップ材料の単一シートから形成された2プライ滅菌ラップが開示されている。更に別の例としては、Steckleinらによる米国特許出願公開第2005/0163654号明細書(特許文献3)には、第1の主パネルと、主パネルよりも小さい第2のパネルとを有する滅菌ラップ材料が開示されている。第2のパネルは、第2のパネルが完全に主パネル内に含められて主パネルを強化及び/または主パネルに追加の吸収性を提供するように、主パネルの中央部分に重ね合わせて結合される。
【0003】
Gaynorらの米国特許出願公開第2013/0081355号明細書(特許文献4)は、器具トレイまたは物品の滅菌処理に必要な殺菌ラップ材料の量を低減し、ラップを展開するために滅菌ラップ材料を把持する必要性をなくすアセンブリ、パッケージまたはシステムを提示する。このアセンブリは、一旦物品がアセンブリで包装されるとアセンブリを一体に保持するために用いられる両側部上のウイングと、滅菌済み物品を開封するのを助ける端部上のプルタブとを有する。このアセンブリは、拡張または向上された蒸気または加熱滅菌プロセスで使用することがでる滅菌ファブリックの量を低減し、かつ滅菌された器具トレイまたは物品を開封する作業を単純化するとともに、滅菌ファブリックを展開している間にそれが折り返される可能性を低減または回避させる。しかし、プルタブ及びウイングはアセンブリの製造中に動き、製造プロセスにおいて問題を起こす可能性があることが判明した。この動きは、アセンブリライン上でのシフトが生じて、アセンブリの部品が装置類に引っかかり、生産を妨害することにつながる可能性がある。また、プルタブ及びウイングは、病院内で包装前位置にあるときラップの主本体部から脱離して落ちる可能性がある。トレイまたは物品が包装される前に、滅菌ラップは、ユーザが滅菌トレイまたはバスケットを包装するためにいつでも引き出し可能となるように、バーの上に巻き付けられることがある。この包装前位置では、ウイング及び特にプルタブが緩んだ場合、それらの要素は下に垂れ下がり、床に接触してしまう可能性もある。
【0004】
製造中にプルタブまたはウイングが動くのを許容しないが、製造後には、破れや表面からの繊維の垂れ下がりを生じることなくタブまたはウイングが、それを引っ張り可能となるように自由に動けるようにした滅菌ラップが存在するのであれば有用であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5635134号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0036519号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0163654号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0081355号明細書
【特許文献5】米国特許第4041203号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題には、一端に永久的に取り付けられた少なくとも1つのプルタブを有するバリアパネルであって、製造中にプルタブの長さ方向の部分がバリアパネルに対して保持される、該バリアパネルを含むマルチパネル滅菌アセンブリを包含する本発明によって対処することができる。ウイングも同様に保持され得る。プルタブは、滅菌アセンブリが物品の上に折り畳まれて、滅菌された後に滅菌アセンブリを展開するために用いられる。製造プロセスの間には過渡的接着剤しか必要とせず、この過渡的接着剤はその後接着力を失い、プルタブ及び/またはウイングの長さ方向の部分はバリアパネルから容易に引き剥がされ、従って滅菌アセンブリは、被滅菌物品またはトレイ包装するために使用し、次いで滅菌後には容易に取り外すことが可能なものとなる。
【0007】
特定の一実施形態では、本発明は、フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリであって、バリアパネルであって、折り畳み保護パネルを画定する第1端部、第2端部、互いに反対側の第1縁部及び第3縁部、前記第1端部の反対側の第2縁部、互いに反対側の第1ウイング及び第2ウイング、及び前記バリアパネルの展開のために前記第2端部に取り付けられたプルタブを有する、該バリアパネルを含み、前記第1ウイング及び前記第2ウイングは、前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を相互に固定するか、または前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を、前記バリアパネルが中心点の線においてまたはその近傍においてその前記第2端部がその前記第1端部に向けられるように折り畳まれた後の前記第2端部の部分に固定し、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせは、過渡的接着剤で前記滅菌アセンブリに対して保持され、前記バリアパネルは第1の表面を有し、前記第1の表面は、被滅菌物品及び裏側の第2の表面をカバーするか、またはそれに接触するように構成されることを特徴とする滅菌アセンブリに関する。
【0008】
別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造中に、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0009】
更に別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造後に、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して、少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0010】
更に別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造中に、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0011】
一実施形態では、前記第1ウイング及び前記第2ウイングは、前記被滅菌物品が前記滅菌アセンブリ内に含められているとき、前記第1ウイング及び前記第2ウイングを前記バリアパネルの前記第1の表面の裏側の第2の表面に固定するためのパネル取り付け手段を備えることができる。前記パネル取り付け手段は、接着テープ、両面接着テープ、粘着性の材料、フック・ループ型面ファスナシステム、機械的固定システム、スナップ、クリップ、磁石、留め具、スロット及びタブ、またはその2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0012】
追加の実施形態では、前記プルタブは、滅菌の後に展開または前記被滅菌物品を開封する間にアクセス可能に配置することができる。例えば、前記プルタブは、前記バリアパネルの前記第2端部から延びるか、または前記第2端部に結合されるものにできる。更に、前記プルタブは、前記第2の表面において前記バリアパネルの前記第2端部から延びるか、または前記第2端部に結合されるものにできる。
【0013】
更に別の実施形態では、前記プルタブの遠位端が、前記バリアパネルの前記第2端部に前記過渡的接着剤で固定されるようにできる。
【0014】
更に別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、ホットメルト接着剤であり得る。
【0015】
特定の一実施形態では、本発明は、滅菌アセンブリの作製方法に関する。前記方法は、バリアパネルを形成するステップであって、前記バリアパネルは、折り畳み保護パネルを画定する第1端部、第2端部、互いに反対側の第1縁部及び第3縁部、前記第1端部の反対側の第2縁部、互いに反対側の第1ウイング及び第2ウイング、及び前記バリアパネルの展開のために前記第2端部に取り付けられたプルタブを有し、前記第1ウイング及び前記第2ウイングは、前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を相互に固定するか、または前記第1縁部の部分及び前記第3縁部の部分を、前記バリアパネルが中心点の線においてまたはその近傍においてその前記第2端部がその前記第1端部に向けられるように折り畳まれた後の前記第2端部の部分に固定し、前記バリアパネルは第1の表面を有し、前記第1の表面は、被滅菌物品及び裏側の第2の表面をカバーするか、またはそれに接触するように構成される、該バリアパネルを形成するステップと、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記バリアパネルに一時的に保持するために過渡的接着剤を塗布するステップとを含む。
【0016】
別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造中に、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0017】
更に別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、前記滅菌アセンブリの製造後に、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して、少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0018】
前記過渡的接着剤は、前記被滅菌物品が前記滅菌アセンブリで包装されているときに、前記プルタブ、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記滅菌アセンブリに対して、少なくとも約150グラム重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度をもって保持することができる。
【0019】
別の実施形態では、前記方法は、前記第1ウイング、前記第2ウイング、またはそれらの組み合わせを前記バリアパネルの前記第1の表面または前記第2の表面に一時的に保持するために前記過渡的接着剤を塗布するステップを含み得る。
【0020】
別の実施形態では、前記方法は、前記プルタブを前記バリアパネルの前記第2の表面に一時的に保持するために前記過渡的接着剤を塗布するステップを含み得る。例えば、前記プルタブの遠位端が、前記バリアパネルの前記第2端部に前記過渡的接着剤で固定され得る。
【0021】
更に別の実施形態では、前記過渡的接着剤は、ホットメルト接着剤であり得る。
【0022】
本発明は、添付図面を参照しつつ、発明を実施するための形態の説明及び特許請求の範囲の記載を読むことによってより良く理解されよう。添付図面においては、同様の参照符合は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A図1A図1Eは、両側部ウイングと、間隔をおいてプル位置を有するプルタブとを備える例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリの、滅菌の前の折り畳みの例示的なシーケンスを示し、図1Aは、完全に展開されたアセンブリを、滅菌すべき物品(被滅菌物品)とともに示す。
図1B図1Bは、被滅菌物品を実質的にカバーするように、アセンブリの底部側の端部を上向きに折り返したところを示す。
図1C図1Cは、アセンブリの左側を、折り返された底部側の端部及び被滅菌物品の上に折り返したところを示す。
図1D図1Dは、アセンブリの右側を、折り返された底部側の端部及び被滅菌物品の上に折り返したところを示す。
図1E図1Eは、アセンブリの上側の端部を、折り返された底部側の端部及び両側部並びに被滅菌物品の上に折り返して、パッケージを形成したところを示す。
図2A図2A図2Eは、両側部ウイングと、間隔をおいてプル位置を有するプルタブとを備える例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリの、例示的な展開のシーケンスを示し、図2Aは、図1Eの状態にある滅菌後のパッケージを示す。
図2B図2Bは、アセンブリの上側の端部を展開して、折り畳まれた底部側の端部及び両側部を露出したところを示す。
図2C図2Cは、アセンブリの右側を展開して、折り畳まれた下側の端部の一部を露出したところを示す。
図2D図2Dは、アセンブリの左側を展開して、折り畳まれた下側の端部の残部を露出したところを示す。
図2E図2Eは、滅菌後に完全に展開されたアセンブリと物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用するとき、「使い捨て式」なる用語は、1回使用しただけで廃棄される非常に安価な経済的な製品を指す。「使い捨て式」の製品は、一般的に、単回使用を目的としている。「単回使用」なる用語は、1回だけ使用することを意図しており、使用後に再使用、再生、貯蔵または修理することを意図していない製品を指す。これらの製品は、汚染または感染の可能性を減少させるという利点を臨床現場に提供する。加えて、これらの製品は、再処理及び再使用するために集めたり組み立てたりする必要がないので、作業の流れを向上させることができる。
【0025】
本明細書で使用するとき、「マルチパネル滅菌アセンブリ」または「滅菌アセンブリ」または「アセンブリ」なる用語は、滅菌前に、未滅菌の物品または被包装物を包み込むか、前記物品の周りに折り畳まれるか、または前記物品を別の方法で取り囲む、布(複数可)及び/またはフレキシブルな材料(複数可)から成るフレキシブルな物品を指す。滅菌アセンブリは、包装、折り畳み、取り扱い、強度、滅菌、滅菌後の貯蔵及び/または開封または展開のための利点をもたらす特別な物理的性質、機能特性及び/または構造を提供する複数のパネル及び/または部分を有する。
【0026】
本明細書で使用するとき、「不織(ウェブ)」なる用語は、個々の繊維または細繊維が、規則的な繰り返し形態ではない形態で交絡された構造を有するウェブを指す。不織布ウェブは、従来、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ法などの当業者に公知の様々な方法によって形成されてきた。
【0027】
10インチ×20インチ×高さ5インチ(25.4センチメートル×50.8センチメートル×高さ12.7センチメートル)の寸法を有する典型的な滅菌トレイは、一般的には、包装または滅菌処理のために各辺が45インチ(1.143メートル)の正方形の滅菌布片を必要とする。この大きいサイズの布片は、布の角部がトレイの上部全体を横切って折り畳まれるが、このときトレイの準備者が、内容物がカバーされた状態であること及び布片が折り畳まれた状態のままで弾発的に折れ戻らないことを確信できるよう、ある程度の過剰な材料を残す形で折り畳まれるために必要とされる。一辺45インチ(1.143メートル)の正方形の布片を用いることは、表面積がちょうど700平方インチ(約4516平方センチメートル)のトレイを包むために2025平方インチ(約13064平方センチメートル)の材料が使用されていることを意味する。つまり、この従来通りの方法は、外科用器具のトレイの1平方インチをカバーするために概ね3平方インチの材料を必要とする。
【0028】
マルチパネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性材料から形成されたバリアパネルと、バリアパネルの折り畳みまたは展開のための把持部分を有し得る両側部ウイングと、折り畳み保護パネルとを備える。バリアパネルは、第1端部、前記第1端部の反対側の第2端部、それぞれが第1端部に対して概ね垂直な第1縁部及び第3縁部、及び中点の線を有し、中点の線は、バリアパネルを、概ね第1端部から中点の線まで延在する内容物受容領域と、中点の線から概ね第2端部まで延在する内容物受容領域とに線引きする。アセンブリは、前記第2端部に取り付けられ、包装パッケージの展開または開封の最終ステップの間にアクセス可能となるように配置されるプルタブを有する。両側部ウイングは、望ましくは、バリアパネルの第1端部と中点の線との間の部分の第1縁部及び第3縁部に配置されるか、または第1縁部及び第3縁部の近傍に配置される。折り畳み保護パネルは、内容物カバー領域並びに第1及び第3縁部が内容物受容領域の上に折り畳まれた後に折り畳み保護パネルがそれらをカバーするように、バリアパネルに連続する形態で隣接配置される。
【0029】
フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性材料から作成されたバリアパネルを有し、バリアパネルは、第1の表面及び第2の表面、第1端部、前記第1端部の反対側の第2端部、及びそれぞれが第1端部に対して概ね垂直な第1縁部及び第3縁部を有する。第2縁部は、記第1端部の概ね反対側の縁部である。バリアパネルは、第1縁部から第3縁部までの最大距離である最大幅と、第1端部から第2端部までの最大距離である最大長さを有する。バリアパネルは、第1縁部と第3縁部との間に延びる、長さ方向の中点の線を有し、中点の線は、バリアパネルを、概ね第1端部から中点の線まで延在する内容物受容領域と、中点の線から概ね第2端部まで延在する内容物受容領域とに線引きする。
【0030】
アセンブリは、バリアパネルの第1端部と中点の線との間の部分の第1縁部及び第3縁部に配置されるか、または第1縁部及び第3縁部の近傍に配置された両側の側部ウイングを有する。両側部ウイングは、バリアパネルの折り畳みまたは展開のための把持部分を備える。アセンブリは、バリアパネルに連続する形態で隣接配置される折り畳み保護パネルを有する。折り畳み保護パネルは透過性材料から作成され、バリアパネルの第1端部に概ね隣接する近位端、近位端の概ね反対側の遠位端、及び少なくとも近位端から離れる方向に延在する第1の縁部及び第2の縁部を有する。折り畳み保護パネルは、第1の縁部から第2の縁部までの最大距離である最大幅と、近位端から遠位端までの距離である最大長さを有し、バリアパネルがバリアパネルの中点の線で、または中点の線の近傍で折り畳まれた後、バリアパネルの第2端部がその第1端部に向けられ、第1縁部の側部ウイング及び第3縁部の側部ウイングはバリアパネルの上に、相互に向けられるか、相互に重なるように折り畳まれて、少なくとも部分的に包装体を形成する。折り畳み保護パネルの遠位端は、少なくとも折り畳まれたバリアパネルの第1縁部及び第3縁部をカバーするように構成される。
【0031】
ここで図1A図1Eを参照すると、マルチパネル滅菌アセンブリの一例が、例示的な滅菌前の折り畳みシーケンスで示されている。図1Aは、バリアパネル102を含むフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示し、バリアパネル102が折り畳み保護パネル108及び第1の表面110上の両側部ウイング400上のパネル取り付け手段106と協働し、バリアパネル102が内容物200の周りで折り畳まれてパッケージ(例えば図1E及び図2Aに示すパッケージ202のようなパッケージ)を形成する。バリアパネル102は、内容物200に接触し、それをカバーする、フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100の部分である。
【0032】
図1A及び図1Bに概略的に示されているように、バリアパネル102の第2端部118は中点の線「M」で折り曲げられ、第2縁部122が第1端部114に向けられて、バリアパネル102の一部が内容部の上に重なるようにされる。図1Bに示すように、第2端部118におけるバリアパネルの幅は、第1端部114におけるバリアパネルの幅より小さい。これにより、第4縁部126及び第5縁部128の形状が、第2端部118が持ち上げられて第1端部114に向けられた後にパネル取り付け手段106にアクセス可能とする形状となる。
【0033】
本発明の一部の実施形態では、プルタブシステム(以下プルタブ300)と互いに離れたプル位置500が、第2端部118が延び出して、プルタブ300は、包装されたパッケージを展開または開封する最終ステップの間にアクセス可能となるように位置付けられる。プルタブ300は、バリアパネル102の裏側の第2の表面112上でバリアパネルの第2端部118から延出するか、またはそこに結合されるのが望ましい。プルタブ300が、バリアパネルとともに一個部品とされること、またはバリアパネルと一体化され得ることも想定されている。プルタブ300の遠位端(即ち遊端)は、バリアパネルに過渡的接着剤130で固定され、プルタブ300が包装中に落ちず、開封中に適切な位置にあるようにされる。具体的にはアセンブリ100は、アセンブリ100の下側上にプルタブを有するように作製され、プルタブ300は、組立ラインに沿って進行宙にアセンブリからぶら下がる形となり得る。プルタブ300をアセンブリ100に固定することは、製造中にプルタブが装置類に引っかからないようにするために重要である。同様に、側部ウイング400は製造中にアセンブリ100から垂れ下がることがあり、従って、プルタブの場合と同じ理由で製造中に過渡的接着剤でバリアパネル102の表面に固定しておくべきである。過渡的接着剤130は、滅菌対象の物品またはトレイ(内容物200)の包装プロセス中に図1A及び図1Bに示すように存在する必要はなく、図1A及び図1Bは、過渡的接着剤が製造中初めから塗布され得ることを示していることを理解されたい。例えば、過渡的接着剤130は、側部ウイング400a及び400bをバリアパネル102の、第1の表面110または裏側の第2の表面のいずれかに一時的に塗布することが可能であり、過渡的接着剤130を、プルタブ300をバリアパネル102に第2の表面112に一時的に塗布することが可能である。
【0034】
図1Cは、(第2端部118が第1端部114の側に持ち上げられた後)バリアパネル102の第3縁部124が第2端部118の上に折り畳まれたところを示す。必ずしも縮尺通りに図示されていないが、折り畳み後にバリアパネル102の第3縁部124がアセンブリの中央に向けて非常に長く延びている必要はない。図1Cは、第3縁部124上の側部ウイング400aが展開され、パネル取り付け手段106(図1Cでは見えていない)を用いて、バリアパネルの第3縁部を第2端部118(即ち内容物受容領域)に対してしっかりと固定したところを示す。
【0035】
図1Dは、(第2端部118が第1端部114の側に持ち上げられた後)バリアパネル102の第1縁部120が第2端部118の上に折り畳まれたところを示す。図1Dは、第1縁部120上の側部ウイング400bが展開され、パネル取り付け手段106(図1Dでは見えていない)を用いて、バリアパネルの第1縁部120を第2端部118(即ち内容物受容領域)に対してしっかりと固定したところを示す。
【0036】
図1Dにみられるように、パネル取り付け手段106は側部ウイング400a及び400b上に位置付けられ、両側部ウイングが、プルタブ300の互いに離れたプル位置500の間でバリアパネルの第2端部118(即ち内容物受容領域)に取り付けられる。図1Eは、バリアパネル102の第1端部114が、第2端部118の上に折り返されているところを示す。必ずしも縮尺通りに図示されていないが、折り畳み後にバリアパネル102の第1端部114がアセンブリの中央に向けて非常に長く延びている必要はない。従って、第3縁部124と第1縁部120とは概ね重複していないことが明らかである。縁部が意図的に重複される従来型の滅菌ラップと異なり、バリアパネルの第1縁部120及び第3縁部124は、ある距離だけ離されている。この差違が、バリアパネル102の折り畳まれた第1縁部120及び第3縁部124を内容物の周囲の所定位置に保持するパネル取り付け手段106の重要性を強調している。更に、3つの縁部が概ね露出されていることが、折り畳み保護パネル108の重要性を強調している。
【0037】
図1A図1D、及び図1Eを再度参照すると、バリアパネル102の第1端部114の先端「E」と、所定の折り畳み線116との間のバリアパネル102の部分及び折り畳み保護パネル108は、バリアパネルの第1端部114を第2端部118の上に持ち上げて折り畳まれる。一部の実施形態では、第1縁部120及び第3縁部124に隣接する材料の部分が、目視可能であり得る。この形態では、バリアパネル102の実際の第1縁部120及び第3縁部124はカバーされており、それらの縁部自体は、パッケージの通常の取扱いの間に誤って引いて開かれる、または破られるような影響を受けにくくなっている。折り畳み保護パネル108は、一般的には滅菌ラップとともに用いられる従来型のテープを利用して固定される。望ましくは、折り畳み保護パネル108は、バリアパネル102の縁部を、それが被滅菌内容物の周りに折り畳まれてパッケージを形成した後にカバーする。折り畳み保護パネル108はこれらの縁部をカバーして、作業者が折り畳まれたバリアパネル102を誤って開くのを防止する。加えて、折り畳み保護パネル108は、パネル取り付け手段を取り外すことになる引き剥がし力をこれらの縁部に与える可能性がある引っかかり、引っ張りまたは他の現象からこれらの縁部を保護する。即ち、マルチパネル滅菌アセンブリのこの形態は、折り畳み保護パネルを利用して、バリアパネルが被滅菌内容物を周りに折り畳まれた後にバリアパネルの露出された縁部を保護する。
【0038】
マルチパネル滅菌アセンブリがトレイまたは物品を包んで滅菌された後にマルチパネル滅菌アセンブリを展開するシーケンスは、図2A図2Eに概略を示すように概ね折り畳みシーケンスの逆である。例えば、図2Aは、開封または展開の準備ができたパッケージ202を示す。折り畳み保護パネル108を固定する従来型のテープを破り、折り畳み保護パネル108を引き戻して、図2Bに示すように側部ウイング400を露出させる。側部ウイング400a及び400bを引き上げて(中央から離すように)側部に引き、パネル取り付け手段106を外して、第1縁部120及び第3縁部124を図2Dに概略を示すような形態に展開する。このステップは、図2Cに示すように連続的にまたは同時に側部ウイング400a及び400bを引くことによって実施され得る。重要な点として、側部ウイング400a及び400bの場所/位置、滅菌状態を損なうことなく側部ウイングを把持する能力、及び展開された側部ウイングによって与えられる力のレバレッジ及び分布が、折り畳み保護パネル、バリアパネルの第1縁部120及び第3縁部124が概ね平坦な展開された形態のままとなるのを補助し、これによりそれらの要素が内容物200の上への折り返されることが防止される。
【0039】
図2Dに示すように、側部ウイング400a及び400bの展開により、プルタブ300の互いに離れたプル位置500が露出される。プル位置500の各々を、従来の位置またはプルタブ300は接着タブまたはステッカーでバリアパネル102に固定されているときの位置において把持し、タブまたはステッカーを引き上げる。プルタブ300及びバリアパネル102の第2端部118を、図2Eに示すように内容物200から引き離して、内容物200への完全なアクセスが得られるようにする。重要な点として、互いに離れたプル位置500が、バリアパネル102の第1縁部120及び第3縁部124が概ね平坦な展開された形態のままとなるのを補助し、これによりそれらの要素が内容物200の上への折り返されることが防止される。
【0040】
本発明によれば、前記バリアパネルは、少なくとも1つの通気性不織布材料層を含んで構成され得る。前記通気性不織材料は、スパンボンド極細繊維層、メルトブローン細繊維層及びスパンボンド極細繊維層を含んでなる積層体(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド材料とも称される)であることが望ましい。これらの層の製造方法は、譲受人が共通のBrockらに付与された米国特許第4041203号明細書(特許文献5)に記載されており、この特許文献の内容は引用により本明細書の一部とする。特許文献5の材料は、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドの三層積層体は、頭字語として「SMS」とも称される。SMSの外側の2層は、押し出し成形されたポリオレフィン細繊維、または極細繊維からなり、ランダムなパターンに堆積させて、互いに結合させたスパンボンド材料である。内側層は、これもスパンボンド層の細繊維より概ね小さい径の押し出し成形されたポリオレフィン細繊維から生成されるメルトブローン層である。この結果、メルトブローン層は、細菌及び他の汚染物質の通過を防止しつつ滅菌剤が布を通過するのを許容するその細繊維構造により向上したバリア性を提供する。逆に、2つの外側のスパンボンド層は、積層体全体の強度因子のより大きな部分を提供する。積層体は、好ましくは、積層体の表面にわたって実質的に規則的に反復されるパターンで使用される断続的な結合パターンを用いて作製することができる。パターンは、この結合が積層体の表面積の約5〜50%を占めるように選択される。望ましくは、結合が積層体の表面積の約10〜30%を占めるものにできる。これらの材料の他の組み合わせ及び改変も想定される。非限定的な実施例として、内側層は、2つのメルトブローン層を含むことができ、その結果、材料は「SMMS」と称されることがある。
【0041】
バリアパネルがSMS材料から構成されるかまたはSMS材料を含む場合、SMS材料の坪量は、約33〜100グラム/平方メートル(gsm)(約1〜3オンス/平方ヤード(osy))であり得る。例えば、SMS材料の坪量は、40〜67gsm(1.2〜2osy)であり得る。別の例では、SMS材料の坪量は、47〜60gsm(1.4〜1.8osy)であり得る。坪量は、ASTM D3776−07に従って求めることができる。SMS材料の複数のプライまたは層は、約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するのに使用され得る。
【0042】
バリアパネルのシート材料の透過度は、フラジール法通気度により特徴付けられ、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2立方メートル/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルのシート材料の透過度は、50〜400立方フィート/分(1.4〜11.3立方メートル/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルのシート材料の透過度は、100〜300立方フィート/分(2.8〜8.5立方メートル/分)の範囲であり得る。代替的に及び/または追加的に、バリアパネルの透過度は、フラジール通気度により特徴付けられ、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2立方メートル/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルの透過度は、50〜400立方フィート/分(1.4〜11.3立方メートル/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルの透過度は、100〜300立方フィート/分(2.8〜8.5立方メートル/分)の範囲であり得る。水の0.5インチの圧力降下(125Pa)で、材料表面の1平方フィートの面積を通過する空気の透過度を立方フィート/分の単位で表すフラジール通気度は、フラジール・プレシジョン・インスツルメント社(Frazier Precision Instrument Company)から入手可能なフラジール通気度試験機を用いて測定され、連邦試験方法5450、基準第191A号(Federal Test Method 5450, Standard No. 191A)に従って求められる。
【0043】
バリアパネルが約33〜87gsm(1〜2.6osy)の坪量を有するSMS材料から構成されるかまたは該SMS材料を含む場合、バリアパネルの透過度は、25立方フィート/分(0.7立方メートル/分)未満の範囲であり得る。例えば、約33〜87gsm(1〜2.6osy)の坪量を有するSMS材料の場合、バリアパネルの透過度は、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、約20〜75立方フィート/分(0.6〜2.1立方メートル/分)の範囲であり得る(38平方センチメートルのヘッドを用いて、125Paの試験圧力で、自動化された通気度測定機によって測定した。例示的な通気度測定機は、スイス国のTEXTEST AG社から入手可能なTEXTEST FX 3300である)。SMS材料の複数のプライまたは層を用いて約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するようにした場合、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、バリアパネルの通気度は、約10〜30立方フィート/分(0.3〜0.8立方メートル/分)の範囲であり得る。
【0044】
本明細書において、従来通りの製造プロセスの間にプルタブ及び両ウイングは動き回ることがあるが、この理由は、それらの要素が一点または1つの場所だけで滅菌アセンブリに取り付けられているからである。アセンブリが生産ラインに沿って移動すると、ウイング及びプルタブが、アセンブリラインの部品に絡まって、製造を妨げることが生じ得る。この種の製造のための最近のアセンブリは、600フォート/分(183メートル/分)の速度で動き、従ってたるんだ状態の材料は確実に望ましくないものである。
【0045】
製造中にたるんだウイング及びプルタブを無くすという課題の解決には、製造中にウイング及びプルタブを所定位置に保持することのみならず、ひとたびアセンブリが完成したときにそれらの要素を確実に利用可能にすることが必要である。製造中にウイング及びプルタブを所定位置に保持するために一時的または「搬送用(transport)」接着剤を使用可能であることが発見された。この接着剤は、使用時に短時間しかその機能を発揮しない点で「過渡的」または「一時的」である。搬送用接着剤には多くのことが要求され、ラップ製品の組立中に接着剤はウイングまたはプルタブを滅菌アセンブリの本体(例えば、側部ウイング400a及び400bのためのバリアパネル102の第1の表面、プルタブ300のためのバリアパネル102の裏側の第2の表面)に保持でき、搬送用接着剤の結合は、少なくとも約150g重の引っ張り力に耐える引き剥がし強度(例えば、約150〜750グラム重の力、約150〜200グラム重の力に耐える強度)を有する必要がある。更に、滅菌後には、搬送用接着剤が塗布されていた包装パッケージの外部に、埃、糸くずなどの浮遊粒子を引きつける粘着性が残っていてはならない。また、滅菌アセンブリの滅菌後、望ましくはユーザが製品を受け取ったときに、搬送用接着剤の結合力は最小限(即ち、粘着性に殆ど気づかない程度)のもので、利用者またはユーザが、滅菌アセンブリの種々の本体部表面からウイングまたはプルタブを物理的に離さなければならないことによって滅菌アセンブリを損なうリスクを生ずることなく、被滅菌物(例えばトレイまたは物品)を包装することができるようにしなければならない。例えば、配送後またはユーザが被滅菌内容物を包装するときに、搬送用接着剤の結合強度は、約150g重未満の引っ張り力(例えば約0〜約100g重の力、約0〜約50g重の力)に耐える引き剥がし強度しか有していないようにすべきである。適切な接着剤としては、米国ミネソタ州セントポールのH.B.Fuller社製のFuller HM1097及びPHO3000が挙げられる。Fuller HM1097接着剤は、「Post-it(登録商標)」付箋の接着剤と同様に、長期間にわたって低い粘着力を保持し、多数回の除去及び再塗布が可能である。Fuller Smart Grip(商標)PHO3000接着剤は、比較的低い粘度曲線及び低い粘着力を有するホットメルト接着剤である。接着剤が硬化すると、初めに結合は強化するが、約30分から約1時間以内に結合強度は減弱し始め、約1週間後には結合強度がゼロに近くなるように継続して減弱する。熱を加えると、温度が下がるにつれて接着剤中に過架橋が生じ始める。この接着剤は、例えば、ボトリング産業において、正しい数のボトルまたは缶を1単位として、パッケージに入れることができるまで保持するために用いられる。この材料は、他のホットメルト接着剤と比較して非常に速く硬化し乾燥して1個の塊となり、このとき缶またはボトルから容易に除去される。通常は、乾燥した接着剤塊はパッケージから落ちてしまうので、顧客は乾燥した接着剤塊の存在に気づくことはない。
【0046】
本明細書では本発明の特定の実施形態について説明してきたが、特許請求の範囲の各請求項の技術範囲を逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態に変更及び修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E