特許第6691531号(P6691531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6691531半導体ウェハを検査するためのX線検査装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691531
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】半導体ウェハを検査するためのX線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/044 20180101AFI20200421BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20200421BHJP
【FI】
   G01N23/044
   G01N23/083
【請求項の数】11
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-503784(P2017-503784)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-516114(P2017-516114A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015024022
(87)【国際公開番号】WO2015153851
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年3月5日
(31)【優先権主張番号】14180394.0
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14163620.9
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー ウィリアム ティー
(72)【発明者】
【氏名】キング フィル
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−153819(JP,A)
【文献】 特開2008−245999(JP,A)
【文献】 特開2013−231700(JP,A)
【文献】 特開2002−181738(JP,A)
【文献】 特開2004−170226(JP,A)
【文献】 特開2011−143103(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0298537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01B 15/00−15/08
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止したX線源と、
検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、
前記サンプルの画像を記録するために前記サンプル支持部及び前記サンプルを通過したX線を検出するX線検出器と、
サンプル支持部をX線源またはX線検出器に対して位置決めするためのサンプル支持部位置決め組立体と、
前記X線源と前記サンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を決定するために、前記X線源に対して固定された近接センサと、
を備え、
前記X線源は、前記サンプル支持部の上方に位置しており、
前記X線検出器は、前記X線源に対して移動可能であり、
サンプル支持部は、水平面内に延在する支持面を有しており、
サンプル位置決め組立体は、サンプル支持部を水平面に直交する鉛直方向に移動するための鉛直位置決め機構と、第1水平方向にサンプル支持部及び鉛直位置決め機構を移動する第1水平位置決め機構と、を有しており、
前記X線源に対して前記X線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体を更に備え、
当該検出器位置決め組立体は、
水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、
検出器が水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、
を有しており、
前記サンプルは、前記サンプル支持部と前記X線源との間に配置されるようになっている
ことを特徴とするX線検査システム。
【請求項2】
前記サンプル位置決め組立体は、前記第1水平方向に平行でない第2水平方向に前記サンプル支持部を移動するように構成された第2水平位置決め機構を有しており、
前記鉛直位置決め機構は、前記第2水平位置決め機構と前記サンプル支持部とを鉛直方向に移動するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線検査システム。
【請求項3】
前記第1及び第2水平位置決め機構に接続され当該第1及び第2水平位置決め機構を制御して前記サンプル支持部を移動してラスター走査を水平面内でX線源に対して実施するように構成されたコントローラ
を更に備えている
ことを特徴とする請求項2に記載のX線検査システム。
【請求項4】
走査線は、第2水平方向に延びる
ことを特徴とする請求項3に記載のX線検査システム。
【請求項5】
当該システムは、前記鉛直位置決め機構が前記第1及び第2水平位置決め機構よりも短い移行範囲を有する、というように構成されている
ことを特徴とする請求項2、3または4に記載のX線検査システム。
【請求項6】
当該システムは、前記鉛直位置決め機構が前記第1及び第2水平位置決め機構よりも低速に前記サンプル支持部を移動するよう動作する、というように構成されている
ことを特徴とする請求項2、3、4または5に記載のX線検査システム。
【請求項7】
前記位置決め機構の各々は、少なくとも1つのモータを有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のX線検査システム。
【請求項8】
フロアに固定されるようになっているフレームを更に備え、
前記第1水平位置決め機構が、当該フレームに固定される
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のX線検査システム。
【請求項9】
前記サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のX線検査システム。
【請求項10】
前記サンプル支持部に隣接して位置決めされて前記サンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成されたレーザ干渉計を有するサンプル支持部位置検出組立体を更に備えている
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のX線検査システム。
【請求項11】
当該システムは、前記X線検出器によって記録される画像に基づいてトモシンセシス計算を実施するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のX線検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関しており、特には、集積回路を生産するための半導体ウェハの処理中に半導体ウェハを検査するのに好適な装置及び方法に関している。もっとも、本発明の特徴は、一般的にX線検査システムに関しており、任意のタイプのサンプルを検査するためのシステムに適用され得る。
【背景技術】
【0002】
集積回路を製造することは、フォトリソグラフィ処理工程及び化学処理工程の複数工程の連続である。それら工程の間に、典型的にはシリコンである純粋な半導体からなるウェハ上に次第に電子回路が生成されていく。全体の製造処理は、開始から終了まで6週間から8週間かかり、製造プラントと呼ばれる非常に特殊化された設備内で実施される。製造プラントは、機能するべき多くの高価な装置を要求する。新しい製造プラントを建造するコストの見積額は、10億USドルを超えており、30〜40億USドル程度になることも珍しくない。結果として、製造プラントにおける処理時間は、大変に貴重である。例えばプラント内の機械のメンテナンスのため、製造プラントが動作しない時間は、非常に望ましくない。
【0003】
要求される最少のメンテナンスで、顕著に信頼性があるということが、全てのウェハ処理工程にとって必要である。また、全ての処理工程は、できるだけ迅速になされ、できるだけ小スペースのみを要する、ということも必要である。
【0004】
処理に信頼性を与えることの一部として、また、回路が適切に動作するよう製造されることを確実にするべく、製造の様々な段階において不良や欠陥のためにウェハをテスト可能であることが望ましい。表面特徴の光学的検査が、迅速かつ信頼性をもって達成され得る一方で、堆積された導電要素(シリコンビア、銅ピラー、バンプなどを介する)におけるボイド、クラック、整列ずれ、のような内部欠陥の検査は、より難しい。これらの欠陥を検出する現在の方法は、ウェハを製造プラントの外側に取り出して、焦点合わせされたイオンビームを用いてテストして、電子マイクロスコープまたはX線を走査することを要求する。しかしながら、ウェハは製造プラントのクリーン環境から取り出されるとすぐに、実際上壊れてしまって、もはや利用不能となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より効率的で非破壊的な態様で、堆積された導電要素におけるボイド、クラック、整列ずれ、のために半導体ウェハを正確にテスト可能であることが、望ましい。半導体ウェハの処理時間の顕著な増大を招かない態様で迅速に、堆積された導電要素におけるボイド、クラック、整列ずれ、のために半導体ウェハをテスト可能であることも、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特徴において、X線検査システムが提供される。当該X線検査システムは、
X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、を有するキャビネットと、
前記サンプル支持部上の前記キャビネット内の空気入口部を通して、前記キャビネット内に空気を強制的に送り込むように構成されたエアームーバと、
を備え、
前記エアームーバと前記キャビネットは、前記空気入口部から前記サンプル支持部を通して前記サンプル支持部下の前記キャビネットの空気出口部へと、空気を強制的に送り込むように構成されている。
【0007】
キャビネットは、X線シールドを提供するべく構成され得て、当該目的のために鉛でライン(ライナ)され得る。安全の見地から、当該システムからのX線の漏洩を最小化することが望ましい。
【0008】
このタイプのX線システムは、半導体ウェハのような物品を検査するためにクリーンルーム環境内で用いられ得る。サンプル支持部の上方から当該サンプル支持部を通して当該サンプル支持部の下方の出口部に至る空気の流れを維持することによって、サンプルはダストや塵から保護され得る。システムは、当該システムの動作中、すなわち、サンプルがロードされ、画像化され、移動され、システムからアンロードされる間に、空気の流れが維持されるように、構成され得る。システムは、少なくともクラス4ISO14644−1クリーンルーム環境を提供するように構成されている。
【0009】
X線源は、好適には、シールされたX線チューブである。シールされたX線チューブは、開放型のX線チューブと比較して、顕著に少ないメンテナンスを要求するため、プラントの動作がメンテナンスのために停止される時間が大変に高価である半導体製造プラントにおいて使用するのにずっと好適である。
【0010】
X線源は、好適には、透過ターゲットを有している。透過ターゲットの使用は、大変小さいスポットサイズのX線源を許容し、コンパクトなシステム内での高い倍率を許容する。なぜなら、画像化されるサンプルが、ターゲットの近くにもたらされ得るからである。シールされた、透過ターゲットを有するX線チューブが、半導体ウェハ検査のために特に有利である。なぜなら、このタイプのX線チューブは、高分解能の画像、良好な信頼性、及び、長いメンテナンスサイクル、を提供し得るからである。
【0011】
本システムは、好適には、透過顕微鏡法を実施するように構成される。X線検出器は、X線源からの主要な入射X線ビームの減衰を測定して、サンプルまたはサンプルの一領域の2次元画像を提供するように構成され得る。
【0012】
本システムは、更に、例えば高効率粒子吸収(HEPA)フィルタまたは超低貫通空気(ULPA)フィルタのような、高性能のエアーフィルタを備え得る。当該エアーフィルタは、サンプル支持部の上方に置かれる。このタイプのエアーフィルタは、入口部からキャビネットに入る空気流がダストフリーであることを保証する。
【0013】
好適な実施形態では、エアームーバが、サンプル支持部上で、キャビネット内に位置決めされている。当該実施形態では、エアーフィルタは、エアームーバとサンプル支持部との間に位置決めされている。エアームーバをキャビネット内に設けることは、コンパクトなシステムの製造を許容する。もっとも、キャビネットの外側にエアームーバを置くことも可能である。
【0014】
本システムは、複数のエアームーバと複数のエアーフィルタとを備え得る。理想的には、本システムは、キャビネット内の空気流が、何らの空気の再循環無しで、均一で層状で下向きであるように、構成される。用いられるエアームーバの数は、層流を達成するべくキャビネット内のシステム要素の幾何形状に適合するよう選択され得る。好適な実施形態では、本システムは、2つのエアームーバと2つの関連するエアーフィルタとを備える。
【0015】
エアームーバは、ファンであり得る。エアーフィルタは、エアームーバに結合され得る。エアームーバとエアーフィルタは、ファンフィルタユニットとして提供され得る。ファンフィルタユニットは、空気入口部を有する包囲部と、当該包囲部内で空気を空気入口部を通して引き入れるように構成されたファンと、空気出口部と、空気出口部に広がるフィルタ板と、を備え得て、空気出口部から出る空気は、強制的にフィルタ板を通されるようになっている。ファンフィルタユニットは、包囲部の外側よりも包囲部の内部においてより高圧を提供するように構成され得る。ファンフィルタユニットの内部でより高圧を提供することは、エアーフィルタを通る空気流の均一性を改善する。これは、キャビネット内の空気再循環を防止するために望ましい。
【0016】
ファンフィルタユニットは、ファンに結合されたバッフル板を有し得る。バッフル板は、有利には、フィルタ板を通る均一な空気流を提供するように構成される。ファンは、包囲部の中心に置かれ得て、バッフル板は、ファンからの空気を包囲部の先端(末端)へと指向するように構成され得る。包囲部は、外部壁を有し得て、バッフル板は、ファンからの空気を外部壁に向けて指向するように構成され得る。
【0017】
エアームーバは、当該エアームーバを通してのキャビネットからのX線の漏洩を防止するために配置された、例えば鉛シートのようなX線シールドを有し得る。ファンフィルタユニット内のバッフル板は、X線シールドであり得る。それは、安全上の見地から、システムからのX線の漏洩を最小化するために望ましい。
【0018】
X線源は、有利には、サンプル支持部の上方に置かれて、キャビネットに対して固定される。X線源を支持部の上方に置くことは、支持部の頂部上のサンプル、特にはサンプルの頂面、がX線源に近接されることを許容する。これは、コンパクトなシステム内で高倍率の画像を提供するために有利である。X線源がサンプルの上方に置かれる場合、サンプルを損傷し得る任意の運動機構からのダストやデブリの生成を防ぐべく、それが動作中に静止していることもまた、有利である。また、X線源は相対的に大きくて重い要素であるので、X線源を静止状態に維持することは有利である。典型的には、それは、相対的に柔軟でなくて動かすのが難しい非常に大きな電源ケーブルを必要とする。
【0019】
X線検査システムは、画像プロセッサを含むコントローラを備え得る。画像プロセッサは、X線検出器からのデータを受容するためにX線検出器に接続され得る。
【0020】
X線検査システムは、サンプル支持部とX線源との間の相対移動を許容する第1位置決め組立体を更に備え得て、当該第1位置決め機構は、サンプル支持部の下方に位置する。第1位置決め機構は、第1水平方向にサンプル支持部を移動するための第1水平サンプル位置決め機構と、第2水平方向にサンプル支持部を移動するための第2水平サンプル位置決め機構と、鉛直方向にサンプル支持部を移動するための鉛直サンプル位置決め機構と、を有し得る。
【0021】
好適な実施形態では、第1位置決め組立体は、第1水平位置決め機構がサンプル支持部と鉛直位置決め機構とを第1水平方向に移動する、というように構成される。鉛直位置決め機構は、第2水平位置決め機構とサンプル支持部とを鉛直方向に移動する、というように構成され得る。第1水平位置決め機構は、好適には、支持フレームに直接取り付けられる。この配置は、水平面内でのサンプルのラスター走査を実施するシステムにとって有利である。ラスター走査の走査線は、第2水平方向に延びていて、第2水平位置決め機構は、最長距離に亘って頻繁に高速に動作することが要求される。従って、第2水平位置決め機構は、サンプル支持部のみを移動して、他の位置決め機構のいずれの集団も移動しないように構成されている。第1水平位置決め機構もまた、鉛直位置決め機構と比較すると、高速かつ頻繁に移動することが要求される。第1水平位置決め機構を支持フレームに直接的に取り付けることによって、第1水平方向の運動は、高速かつ正確になされ得る。鉛直位置決め機構は、画像倍率を変更するが、水平位置決め機構よりも相対的にさほど頻繁でなく相対的に短い距離に亘って移動することが要求される。典型的には、ラスター走査動作中は、全く移動しない。鉛直位置決め組立体は、水平位置決め機構よりも、相対的に小さい質量とされ得る。
【0022】
第1水平位置決め機構が固定される支持フレームは、床(フロア)に取り付けられ得る。好適な実施形態では、支持フレームは、フロアに固定されるよう構成された第1剛性サブフレームと、第1サブフレームにダンピング機構を介して支持された第2剛性サブフレームと、を有し得る。第1水平位置決め機構は、第2剛性サブフレームに固定される。
【0023】
X線検査システムは、サンプル支持部に隣接して位置決めされてサンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成された、例えばレーザ干渉計のような非接触式の位置測定装置を有するサンプル支持部位置検出組立体を備え得る。これは特に、サンプルの位置を水平面内で正確に決定するために有利である。それは、大変高い倍率の画像を生成し、それらを用いて3次元モデルを生成する時に要求される。好適な実施形態では、本システムは、好適にはレーザ干渉計である2つの非接触式の位置測定装置を有する。第1の非接触式の位置測定装置は、第1水平方向のサンプル支持部の位置変化を検出するための装置であり、第2の非接触式の位置測定装置は、第2水平方向のサンプル支持部の位置変化を検出するための装置である。勿論、一対の非接触式の位置測定装置は、第1及び第2水平方向とは異なる水平面内の方向での位置変化を検出するように配置されてもよい。他の可能性ある非接触式の位置測定装置は、光学的なリニアエンコーダ、磁石式のエンコーダ、静電容量センサ、及び、ソナー距離測定装置を含む。
【0024】
非接触式の位置測定装置によって提供される位置情報は、画像プロセッサによって用いられ得る。特に、非接触式の位置測定装置によって提供される画像間のサンプルの位置変化は、トモシンセシス計算において用いられ得る。非常に高い倍率で半導体ウェハ内のボイドのような大変小さい特徴の3次元モデルを生成する時、正確な位置情報が要求される。サンプルの位置情報がより正確であればある程、画像分解能がよくなる。
【0025】
X線検査システムは、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離の測定を提供するように構成され、X線源に固定された近接センサを備え得る。近接センサは、レーザ位置センサや共焦点センサであり得る。近接センサは、画像プロセッサに距離データを提供するべく、画像プロセッサに接続され得る。画像プロセッサは、例えばトモシンセシス計算のような画像処理計算において、近接センサからの距離の測定を用い得る。
【0026】
コントローラが、サンプル位置決め組立体に接続され得て、近接センサによって提供される距離測定値に基づいてサンプル位置決め組立体を制御し得る。近接センサは、X線源とサンプルの頂面との間の正確な距離測定値を提供する。それは、倍率計算のような画像処理計算において利用され得るし、サンプルとX線源との衝突を防止するためにも利用され得る。コンパクトなシステムにおいて半導体ウェハの小さな特徴の有用な検査を提供するために、サンプルはX線源に大変近くもたらされるが、サンプルとX線源との間の何らかの衝突は、サンプルとX線源の両方に損傷をもたらす可能性がある。X線源の近くにサンプルをもたらす間、そのような衝突を避けることが必要である。
【0027】
サンプル位置決め組立体は、リニアエンコーダを有し得る。コントローラは、近接センサによって提供される距離測定値に基づいて、リニアエンコーダを較正するように構成され得る。
【0028】
X線検査システムは、更に、X線検出器とX線源との間の相対移動を許容する第2位置決め組立体を更に備え得て、当該第2位置決め機構は、サンプル支持部の下方に位置する。第2位置決め機構は、水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構を有し得る。当該検出器位置決め機構は、検出器が水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構を有し得る。検出器は、この時、当該検出器がどこに位置決めされても、当該検出器の画像取得面が当該検出器の中心とX線源の出力スポットとの間の線に対して常に垂直であるように、傾斜され得る。コントローラは、第2位置決め組立体に接続され得る。
【0029】
第1及び第2位置決め組立体は、有利には、サンプル支持部の下方に位置決めされる。サンプル及び検出器をX線源に対して移動する能力は、撮像されるサンプルの異なる位置と、利用される検査の異なる角度と、を許容する。同じサンプルまたはサンプルの同じ一部の一連の画像が、サンプルの3次元モデル及び画像を生成してクラック、ボイド及び他の欠陥を正確に位置特定して測定するため、トモシンセシスシステムで用いられ得る。
【0030】
サンプルの上方に固定されたX線源を置き、位置決め組立体をサンプルの下方に置くことにより、システムの全ての可動要素が、サンプルの下方に位置され得る。下方向きの空気流により、可動部分によって生成される何らかのデブリ(塵)がサンプルに到達してサンプルを損傷する可能性が低減される。
【0031】
本システムは、X線源の下方で、第1及び第2位置決め組立体の上方に位置決めされた穿孔されたデッキを備え得る。穿孔されたデッキとエアームーバは、デッキ上方に第1空気圧力を提供し、デッキ下方に第2空気圧力を提供するように構成されており、第2空気圧力は、第1空気圧力よりも低い。穿孔されたデッキは、好適には、サンプル支持部がその最上位置(最大倍率に対応する)にある時のサンプル支持部の高さのレベルに位置決めされる。サンプル上方の空間とサンプル下方の空間との間の小さい圧力差が、サンプル下方からサンプル上方への空気の有意な流れを防止する。
【0032】
空気入口部は、有利には、ラビリンス状空気流路を有している。これは、X線源からのX線が空気入口部を通してキャビネットから漏洩できないことを保証する。空気出口部は、同じ理由のため、有利には、ラビリンス状空気流路を有している。空気出口部は、好適には、空気の再循環を最小化するべく、大きい。
【0033】
サンプル支持部は、X線検査の間にサンプルを支持するように構成されている。ある実施形態では、サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成されている。
【0034】
サンプル支持部は、以下に説明される本発明の11番目乃至15番目の特徴の一つに従って構成され得る。
【0035】
ウェハ処理中に非破壊的な態様で内部特徴のために半導体ウェハを検査する能力が、非常に望ましい。空気流がウェハ上方からウェハ下方までキャビネットを通して向けられるというシステムを提供することで、キャビネットが要求されるX線シールディングを提供する間、これが可能となる。
【0036】
ファンフィルタユニット内に見出されるようなエアーフィルタ、サンプル支持部に関する穿孔されたデッキのレベル、及び、サンプル支持部の上方の固定された位置でのX線源の位置決め、を使用することで、クリーンルーム基準が充足され得ることが保証される。シールされた透過ターゲットX線チューブの使用のような、更なる有利な特徴は、商業上魅力あるシステムとしての要求される信頼性と画像の質とを提供する。
【0037】
本発明の第2の特徴において、ウェハにX線を指向する工程と、前記ウェハを通過してきたX線を検出する工程と、前記2つの工程と同時の、前記ウェハ上から当該ウェハを通って当該ウェハの下方へと層状の空気流を指向する工程と、を備えたことを特徴とする半導体ウェハの検査方法が提供される。
【0038】
空気流は、好適には、HEPAフィルタを通った、または、ULPAフィルタを通った空気流を有する。
【0039】
ウェハを通る清浄空気の連続流を提供することによって、システム内の機構からのダストやデブリを拾い上げるかもしれない空気の再循環無しで、検査システムはクリーンルーム基準を充足することができ、半導体ウェハの汚染や損傷のリスクが最小化される。
【0040】
本発明の第3の特徴において、X線源と、検査対象の半導体ウェハを支持するように構成されたサンプル支持部と、X線検出器と、を備え、X線源はサンプル支持部の上方に位置決めされている、というX線検査システムが提供される。
【0041】
X線源は、好適には、支持フレームに固定されていて、システムの稼働中には移動しない。サンプル支持部は、X線源に非常に近く位置決めされ得て、高倍率画像の生成を許容する。
【0042】
この特徴において、X線検査システムは、キャビネットを備え得て、当該キャビネットが、X線源と、サンプル支持部と、X線検出器と、を備え得る。X線検査システムは、サンプル支持部上のキャビネット内の空気入口部を通して、キャビネット内に空気を強制的に送り込むように構成されたエアームーバをも備え得て、エアームーバとキャビネットは、空気入口部からサンプル支持部を通してサンプル支持部下のキャビネットの空気出口部へと、空気を強制的に送り込むように構成されている。
【0043】
サンプル支持部は、水平面内に延在する支持面を有し得て、更に、当該サンプル支持部をX線源またはX線検出器に対して位置決めするためのサンプル支持部位置決め組立体を有し得る。サンプル支持部位置決め組立体は、サンプル支持部の下方に位置決めされる。
【0044】
第1サンプル位置決め組立体は、水平面に直交する鉛直方向にサンプル支持部を移動するための鉛直位置決め機構と、第1水平方向にサンプル支持部及び鉛直位置決め機構を移動する第1水平位置決め機構と、を有し得る。X線検査システムは、更に、X線検出器とX線源との間の移動を許容する第2位置決め組立体を有し得る。第2位置決め機構は、サンプル支持部の下方に位置される。
【0045】
本発明の第4の特徴において、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、サンプル支持部をX線源またはX線検出器に対して位置決めするためのサンプル支持部位置決め組立体と、を備え、サンプル支持部は水平面内に延在する支持面を有しており、サンプル位置決め組立体は、サンプル支持部を水平面に直交する鉛直方向に移動するための鉛直位置決め機構と、第1水平方向にサンプル支持部及び鉛直位置決め機構を移動する第1水平位置決め機構と、を有している、というX線検査システムが提供される。
【0046】
サンプル位置決め組立体は、第1水平方向に平行でない第2水平方向にサンプル支持部を移動するように構成された第2水平位置決め機構を有し得て、鉛直位置決め機構は、第2水平位置決め機構とサンプル支持部とを鉛直方向に移動するように構成されている。
【0047】
本システムは、更に、第1及び第2水平位置決め機構に接続され当該水平位置決め機構を制御してサンプル支持部を移動してラスター走査を水平面内でX線源に対して実施するように構成されたコントローラを備え得る。有利には、走査線は、第2水平方向に延びる。第2水平位置決め機構は、最長距離に亘って頻繁に高速に動作するよう要求される。従って、第2水平位置決め機構は、サンプル支持部のみを移動して、他の位置決め機構のいずれの集団も移動しないように構成されている。第1水平位置決め機構もまた、鉛直位置決め機構と比較すると、高速かつ頻繁に移動することが要求される。第1水平位置決め機構を剛性の支持フレームに直接的に取り付けることによって、第1水平方向の運動は、高速かつ正確になされ得る。
【0048】
本システムは、鉛直位置決め機構が第1及び第2水平位置決め機構よりも短い移行範囲を有する、というように構成され得る。本システムは、鉛直位置決め機構が第1及び第2水平位置決め機構よりも低速にサンプル支持部を移動するよう動作する、というように構成され得る。
【0049】
鉛直位置決め機構は、画像倍率を変更するが、水平位置決め機構よりも相対的にさほど頻繁でなく相対的に短い距離に亘って移動することが典型的には要求される。典型的には、ラスター走査動作中は、全く移動しない。鉛直位置決め機構は、水平位置決め機構ほど遠くまたは速く移動する必要がないため、鉛直位置決め組立体は、水平位置決め機構よりも、相対的に小さい質量とされ得る。
【0050】
位置決め組立体は、複数のモータを有し得る。特に、第1及び第2水平位置決め機構は、各々、1または2以上のリニアモータを有し得る。鉛直位置決め機構は、送りねじと共にサーボモータを有し得る。本システムは、有利には、複数の所定の撮像位置へとサンプル支持部を移動するべく、位置決め組立体内の機構を制御するように構成され得る。
【0051】
X線検査システムは、有利には、フロアに固定されるようになっているフレームを更に備える。第1水平位置決め機構が、当該フレームに固定される。第1水平位置決め組立体を支持フレームに直接固定することによって、第1水平位置決め組立体は、高速かつ正確になされ得る。フレームは、サンプル支持部の振動を低減するべくダンピング要素を介して互いに接続された2または3以上の部品で形成され得る。
【0052】
サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成され得る。サンプル支持部は、以下に説明される本発明の11番目乃至15番目の特徴の一つに従って構成され得る。
【0053】
X線源は、好適には、サンプル支持部の上方に位置している。X線源は、好適には、本発明の第1の特徴に関連して説明された通り、シールされた、透過ターゲットを有するX線チューブである。
【0054】
X線検査システムは、更に、本発明の第5の特徴に関連してより詳細に説明される通り、サンプル支持部に隣接して位置決めされてサンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成された、例えばレーザ干渉計のような非接触式の位置測定装置を有するサンプル支持部位置検出組立体を備え得る。
【0055】
X線検査システムは、更に、本発明の第6、第7及び第8の特徴に関連してより詳細に説明される通り、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を決定するために、X線源に固定された近接センサを備え得る。
【0056】
本システムは、X線検出器によって記録される画像に基づいてトモシンセシス計算を実施するように構成され得る。
【0057】
X線検査システムは、X線源に対してX線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体を有し得る。当該検出器位置決め組立体は、水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、検出器が水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、を有する。検出器位置決め組立体の有利な特徴は、本発明の第9及び第10の特徴に関連してより詳細に説明される。
【0058】
本発明の第5の特徴において、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、サンプル支持部をX線源またはX線検出器に対して位置決めするためのサンプル位置決め組立体と、サンプル支持部に隣接して位置決めされてサンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成された非接触式の位置測定装置を有するサンプル支持部位置検出組立体と、サンプル支持部位置検出組立体に接続された画像プロセッサと、を備えている、というX線検査システムが提供される。
【0059】
非接触式の位置測定装置は、レーザ干渉計であり得る。X線検査システムは、更に、干渉計からのレーザ光を反射するようにサンプル支持部に取り付けられたリフレクタを備え得る。
【0060】
システムは、複数の撮像位置へとサンプル位置決め組立体を自動的に移動するように構成され得る。画像(撮像)プロセッサは、非接触式の位置測定装置からの出力に基づいて、1つの画像(撮像)位置から別の画像(撮像)位置へのサンプル支持部の位置変化を計算するように構成される。画像プロセッサは、非接触式の位置測定装置からの出力を用いて、X線検出器によって記録された画像についてのトモシンセシス計算を実施するように構成され得る。
【0061】
サンプル支持部は、水平面内に延在する支持面を有し得る。サンプル位置決め組立体は、サンプル支持部を第1水平方向に移動するための第1位置決め機構と、サンプル支持部を第2水平方向に移動するための第2位置決め機構と、を有し得る。サンプル支持部位置検出組立体は、サンプル支持部の第1水平方向での位置または位置変化を検出するための第1の非接触式の位置測定装置と、サンプル支持部の第2水平方向での位置または位置変化を検出するための第2の非接触式の位置測定装置と、を有し得る。第2の非接触式の位置測定装置は、好適には、第2のレーザ干渉計であり、X線検査システムは、更に、第2の干渉計からのレーザ光を反射するようにサンプル支持部に取り付けられた第2のリフレクタを有し得る。
【0062】
2または3以上の干渉計を有するシステムにおいて、2または3以上の対応するレーザ光源が存在し得る。あるいは、本システムは、異なる干渉計で用いられ得る2つの二次ビームへとレーザ光ビームを分離するよう構成された1または2以上のビームスプリッタを有し得る。
【0063】
サンプル位置決め組立体は、サンプル支持部を水平面に直交する鉛直方向に移動するための鉛直位置決め機構を有し得る。サンプル支持部位置検出組立体は、サンプル支持部の鉛直方向での位置または移動を検出するための第3の非接触式の位置測定装置を有し得る。第3の非接触式の位置測定装置は、サンプル支持部の鉛直位置を検出するように位置決めされ得るか、あるいは、サンプル支持部上に取り付けられたサンプルの頂面の鉛直位置を検出するように位置決めされ得る。コントローラが、第3の非接触式の位置測定装置の出力に基づいて倍率計算を実施するように構成され得る。
【0064】
非接触式の位置測定装置または各非接触式の位置測定装置は、ホモダイン干渉計またはヘテロダイン干渉計であり得る。他の可能性ある非接触式の位置測定装置は、光学的なリニアエンコーダ、磁石式のエンコーダ、静電容量センサ、及び、ソナー距離測定装置を含む。
【0065】
X線源は、有利には、サンプル支持部の上方に位置される。サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成され得る。サンプル支持部は、本発明の11番目乃至15番目の特徴の一つに従って構成され得る。
【0066】
X線検査システムは、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を測定するように構成され、X線源に固定された近接センサを備え得る。近接センサの出力は、コントローラに接続され得る。近接センサは、本発明の6番目、7番目及び8番目の特徴に関連して、より詳細に説明される。
【0067】
X線検査システムは、X線源に対してX線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体を有し得る。当該検出器位置決め組立体は、水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、検出器が水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、を有する。検出器位置決め組立体の有利な特徴は、本発明の第9及び第10の特徴に関連してより詳細に説明される。
【0068】
本発明の6番目の特徴において、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、X線源に向かう及び離れる第1軸に沿ってサンプル支持部を移動するための第1位置決め機構を含むサンプル位置決め組立体と、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離の測定を提供するよう構成されX線源に固定された近接センサと、近接センサに接続されたコントローラと、を備えている、というX線検査システムが提供される。
【0069】
コントローラは、サンプル位置決め組立体に接続され得て、近接センサからの距離測定値に基づいて、サンプル位置決め組立体を制御し得る。コントローラは、画像プロセッサを有し得て、画像処理計算において、近接センサからの距離測定値を利用し得る。
【0070】
近接センサは、第1軸に平行にレーザビームを指向するレーザ光源を有し得る。近接センサは、共焦点センサであり得る。
【0071】
X線源とサンプルの頂面との間の距離の直接の測定を提供することは、幾つかの理由にとって、特には典型的には関心対象の領域を有するサンプルの頂面がX線源に非常に近くにもたらされる高倍率システムにおいて、有益である。第1に、当該距離測定は、第1位置決め機構を較正するために用いられ得て、正確な位置決めとその後の画像処理とが達成され得る。第2に、当該距離測定は、倍率計算において直接的に用いられ得て、正確な倍率の測定を提供できる。第3に、当該距離測定ないし複数回の距離測定は、サンプルの頂面とX線源との間の衝突を防止するために用いられ得る。当該衝突は、サンプルの頂面とX線源との両方に損傷を与える可能性があった。
【0072】
有利には、コントローラは、近接センサからの距離測定値に基づいて第1位置決め機構を較正するように構成されている。特に、位置決め組立体は、第1軸に沿って配置されるリニアエンコーダを有し得て、コントローラは、近接センサからの1または2以上の距離測定値を用いて、リニアエンコーダを較正するように構成され得る。
【0073】
コントローラは、近接センサによって決定される距離を用いて倍率計算を実施するように構成され得る。
【0074】
位置決め組立体は、第1軸に直交する面内でサンプル支持部を移動するように構成された第2位置決め機構を有し得て、コントローラは、近接センサに対して、サンプル支持部上のサンプルの頂面の走査を実施するように第2位置決め機構を動作させるように構成され得る。
【0075】
有利には、コントローラは、走査中に記録されるサンプルの最近接点を記録するように構成されている。コントローラは、当該最近接点に基づいて、X線源からの第1位置決め機構の最接近安全位置を計算して、第1位置決め組立体が計算された最接近安全位置よりもX線源の近くに移動されることを防ぐように第1位置決め組立体を制御する、というように構成され得る。
【0076】
X線源は、有利には、サンプル支持部の上方に位置される。サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成され得る。サンプル支持部は、本発明の11番目乃至15番目の特徴の一つに従って構成され得る。
【0077】
X線源は、好適には、本発明の第1の特徴に関連して説明された通り、シールされた、透過ターゲットを有するX線チューブである。
【0078】
X線検査システムは、更に、本発明の第5の特徴に関連してより詳細に説明された通り、サンプル支持部に隣接して位置決めされてサンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成された、1または2以上のレーザ干渉計を有するサンプル支持部位置検出組立体を備え得る。
【0079】
X線検査システムは、X線源に対してX線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体を有し得る。当該検出器位置決め組立体は、水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、検出器が水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、を有する。検出器位置決め組立体の有利な特徴は、本発明の第9及び第10の特徴に関連してより詳細に説明される。
【0080】
本システムは、X線検出器によって記録される画像についてトモシンセシス計算を実施するように構成され得る。
【0081】
本発明の7番目の特徴において、X線検査システムを制御する方法が提供される。当該X線検査システムは、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、X線源に向かう及び離れる第1軸に沿ってサンプル支持部を移動するための第1位置決め機構及び第1軸に直交する面内でサンプル支持部を移動するように構成された第2位置決め機構を含むサンプル位置決め組立体と、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を測定するためのX線源に固定された近接センサと、を備えている。サンプル支持部は、支持面を有している。そして、当該方法は、
a)サンプル支持部上にサンプルを載置する工程、
b)第1位置決め機構を用いて、第1位置決め機構の第1位置にサンプル支持部を位置決めする工程、
c)近接センサを通る第1軸に直交する面内でサンプル支持部を移動させ、サンプル支持部が当該面内で移動される際の複数の位置においてサンプルの(ある)面のX線源からの距離を記録する工程、
d)記録された複数の距離に基づいてX線源からの第1位置決め機構の最近接安全位置を計算する工程、及び、
e)第1位置決め組立体が計算された最近接安全位置よりもX線源の近くに移動されることを防ぐべく第1位置決め組立体を制御する工程
を備えている。
【0082】
本方法は、記録された距離に基づいて倍率計算を実施する工程を更に備え得る。
【0083】
サンプル支持部を移動させる工程は、サンプル支持部をラスター走査形態で移動させる工程を有し得る。
【0084】
本発明の8番目の特徴において、X線検査システムを制御する方法が提供される。当該X線検査システムは、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、X線源に向かう及び離れる第1軸に沿ってサンプル支持部を移動するための第1位置決め機構及び第1軸に直交する面内でサンプル支持部を移動するように構成された第2位置決め機構を含むサンプル位置決め組立体と、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を測定するためのX線源に固定された近接センサと、を備えている。サンプル支持部は、支持面を有している。そして、当該方法は、
a)サンプル支持部上にサンプルを載置する工程、
b)第1位置決め機構を用いて、第1位置決め機構の第1位置にサンプル支持部を位置決めする工程、
c)第1位置においてサンプルの(ある)面のX線源からの距離を記録する工程、及び、
d)記録された距離に基づいて倍率計算を実施する工程
を備えている。
【0085】
この文脈において、「倍率計算」とは、X線検出器におけるサンプルまたはサンプルの一部の画像の倍率の計算である。
【0086】
本発明の第9の特徴において、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、サンプル支持部をX線源に対して位置決めするためのサンプル位置決め組立体と、X線源に対してX線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体と、を備え、サンプル支持部は、第1水平面内に延在する支持面を有しており、当該検出器位置決め組立体は、第2水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、検出器が第2水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、を有する、というX線検査システムが提供される。
【0087】
検出器は、この時、当該検出器の前記第2水平面内での位置がどこであっても、当該検出器の画像取得面が当該検出器の中心とX線源との間の線に対して常に垂直であるように、位置決めされ得る。各画像取得位置において、検出器の画像取得面が常にX線源に直接向いているということは、X線が検出器に極端に斜めの角度で入る時に生じる 「ぼけ」を除去するため、結果としての画像の最高品質を提供する。
【0088】
有利には、2つの平行でない軸は、同一平面上にある。X線検出器は、平面状の画像取得面を有し得る。2つの平行でない軸は、当該画像取得面と同じ平面上にあり得る。この配置は、特に画像がトモシンセシスアルゴリズムで用いられる予定の時、画像処理計算を単純化する。
【0089】
有利には、傾斜機構は、水平検出器位置決め機構とは独立に駆動される。このことは、検出器の極めて正確な向き(オリエンテーション)を許容する。傾斜機構は、第1ジンバルと第2ジンバルとを有し得る。好適な実施形態では、第1ジンバルは、第1ジンバルモータによって駆動され、第2ジンバルは、第2ジンバルモータによって駆動される。第1及び第2ジンバルモータは、単一のコントローラによって自動的に制御されてもよい。コントローラは、複数の画像取得位置にX線検出器を位置決めして、トモシンセシス計算において組み合わされ得る複数の画像を生成するために、第1及び第2ジンバルモータを制御するように構成され得る。第1及び第2ジンバルモータは、出力側に、直接のリードエンコーダを有し得る。
【0090】
X線検査システムは、更に、コントローラを備え得る。当該コントローラは、検出器位置決め組立体に接続され当該検出器位置決め組立体を制御するように構成される。また、当該コントローラは、複数の画像取得位置に検出器を移動させ、傾斜機構を制御して、検出器の画像取得面が複数の画像取得位置の各々において検出器の中心とX線源の出力スポットとの間の線に対して常に垂直であることを保証する、というように構成される。
【0091】
前記コントローラは、水平面内のラスター走査パターンで検出器を移動させるべく水平検出器位置決め機構を制御するように構成され得る。
【0092】
サンプル位置決め組立体は、サンプル支持部を水平面に直交する鉛直方向に移動するための鉛直サンプル位置決め機構を有し得る。サンプル位置決め組立体は、第1水平方向にサンプル支持部を移動するための第1水平サンプル位置決め機構と、第2水平方向にサンプル支持部を移動するための第2水平サンプル位置決め機構と、を有し得る。サンプル位置決め組立体の有利な特徴は、本発明の第4の特徴に関して説明されている。特には、第2水平サンプル位置決め機構は、鉛直サンプル位置決め機構に取り付けられ得て、鉛直位置決め機構は、第1水平サンプル位置決め機構に取り付けられ得る。
【0093】
サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成され得る。サンプル支持部は、以下に説明される本発明の11番目乃至15番目の特徴の一つに従って構成され得る。
【0094】
X線検査システムは、更に、サンプル位置決め組立体と検出器位置決め組立体とが取り付けられるフレームを備え得る。X線源が、当該フレームに固定される。
【0095】
X線源は、有利には、サンプル支持部の上方に位置決めされる。
【0096】
本システムは、X線検出器によって記録される画像についてトモシンセシス計算を実施するように構成され得る。
【0097】
X線源は、好適には、本発明の第1の特徴に関連して説明された通り、シールされた、透過ターゲットを有するX線チューブである。
【0098】
X線検査システムは、更に、本発明の第5の特徴に関連してより詳細に説明された通り、サンプル支持部に隣接して位置決めされてサンプル支持部の位置または位置変化を検出するように構成された、例えばレーザ干渉計のような非接触式の位置測定装置を有するサンプル支持部位置検出組立体を備え得る。
【0099】
X線検査システムは、更に、本発明の第6、第7及び第8の特徴に関連してより詳細に説明された通り、X線源とサンプル支持部上のサンプルの表面との間の距離を決定するために、X線源に固定された近接センサを備え得る。
【0100】
本発明の10番目の特徴において、X線検査システムを制御する方法が提供される。当該X線検査システムは、X線源と、検査対象のサンプルを支持するためのサンプル支持部と、X線検出器と、サンプル支持部をX線源に対して位置決めするためのサンプル位置決め組立体と、X線源に対してX線検出器を位置決めするための検出器位置決め組立体と、を備え、サンプル支持部は、第1水平面内に延在する支持面を有しており、当該検出器位置決め組立体は、第2水平面内で検出器を少なくとも2つの平行でない方向に移動するための水平検出器位置決め機構と、検出器が第2水平面から少なくとも2つの平行でない軸回りに傾斜されることを許容するよう構成された検出器傾斜機構と、を有する、というX線検査システムである。そして、当該方法は、検出器位置決め組立体を制御して、検出器を複数の画像取得位置へと移動させ、傾斜機構を制御して、検出器が複数の画像取得位置の各々においてX線源に向くことを保証する工程、を備える。
【0101】
前述の通り、各画像取得位置において、検出器の画像取得面が常にX線源に直接向いているということは、X線が検出器に斜めの角度で入る時に生じる「ぼけ」が除去されるため、結果としての画像の最高品質を提供する。
【0102】
本発明の11番目の特徴において、半導体ウェハのためのサンプル支持部が提供される。当該サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成された撮像領域を有する略平面状の支持面と、真空ポートに流体連通している前記支持面の撮像領域内の少なくとも1つの凹部と、を備えている。当該サンプル支持部は、平面状の支持面に垂直な方向の厚みを有しており、当該サンプル支持部の当該厚みの変化率は、撮像領域を横切る移動行程1mmあたり5%を超えない最大値を有している。
【0103】
この文脈において、用語「真空ポート」とは、真空源が接続され得る出口を意味する。真空を真空ポートに適用することは、サンプル支持部上のウェハの下方の前記凹部内に低圧を生成して、当該位置にウェハを保持する。これは、従来のウェハチャックの作動態様である。
【0104】
凹部は、側壁を有し得る。当該側壁は、好適には、当該凹部の第1側から当該凹部の反対側まで連続的な曲線状に延びている。有利には、当該側壁は、少なくとも10mm、より好適には少なくとも15mm、の最小曲率半径を有する。最小曲率半径は、平面状の支持面の下方の凹部の最大深さよりも、好適には少なくとも1桁大きい、更に好適には少なくとも2桁大きい。平面状の支持面と凹部の側壁との間の遷移領域は、連続的な曲線状に延び得て、有利には、1mm以上の最小曲率半径を有する。
【0105】
好適には、平面状の支持面に対する凹部の深さの最大変化率は、平面状の支持面に平行な凹部を横切る移動行程1mmあたり0.2mmを超えない。
【0106】
有利には、サンプル支持部の厚みは、撮像領域を横切って、最大厚さの10%を超えないで変化する。より好適には、撮像領域を横切って、5%を超えないで変化する。有利には、凹部の第1側から反対側までの最小距離は、凹部の最大深さの少なくとも10倍であり、好適には凹部の最大深さの少なくとも20倍である。
【0107】
有利には、サンプル支持部は、当該サンプル支持部のX線画像において顕著なコントラスト変動を生じさせないで、機械的に堅牢(ロバスト)であるような、均質な非結晶性の材料から形成される。好適には、サンプル支持部は、2000kg/m3未満の密度、更に好適には1500kg/m3未満の密度を有する。好適な材料は、ポリエチルエーテルケトン(PEEK)、ベリリウム及びアセタールを含む。
【0108】
本発明の当該特徴に従うサンプル支持部の利点は、それが、当該支持部を通過するX線によるX線画像において顕著なコントラスト変動を生じさせないことである。有利には、凹部の結果としてのウェハ支持部の厚みの変化が、緩やかであって、支持部の全体の厚みと比較して小さくて、何らの鋭利な縁部をも含まない。
【0109】
サンプル支持部は、撮像領域内で複数の凹部を有し得る。各凹部は、実質的に環状であり得る。各凹部の径方向幅は、2mmと10mmとの間であり得る。平面状の支持面の下方の各凹部の最大深さは、0.1mmと0.5mmとの間であり得る。
【0110】
真空ポートは、支持部の撮像領域の外側の領域に位置決めされ得る。
【0111】
本発明の12番目の特徴において、半導体ウェハのためのサンプル支持部が提供される。当該サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成された撮像領域を有する略平面状の支持面と、真空ポートに流体連通している前記支持面の撮像領域内の少なくとも1つの凹部と、を備えている。当該凹部は、当該凹部の第1側から反対側まで延在する曲線(曲面)状の側壁を有する。
【0112】
好適には、側壁は、凹部の第1側から反対側まで連続的な曲線(曲面)状に延在している。
【0113】
有利には、当該側壁は、少なくとも10mm、より好適には少なくとも15mm、の最小曲率半径を有する。最小曲率半径は、平面状の支持面の下方の凹部の最大深さよりも、好適には少なくとも2桁大きい。
【0114】
本発明の13番目の特徴において、半導体ウェハのためのサンプル支持部が提供される。当該サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成された撮像領域を有する略平面状の支持面と、真空ポートに流体連通している前記支持面の撮像領域内の少なくとも1つの凹部と、を備えている。平面状の支持面に対する凹部の深さの最大変化率は、平面状の支持面に平行な凹部を横切る移動行程1mmあたり0.2mmを超えない。
【0115】
本発明の14番目の特徴において、半導体ウェハのためのサンプル支持部が提供される。当該サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成された撮像領域を有する略平面状の支持面と、真空ポートに流体連通している前記支持面の撮像領域内の少なくとも1つの凹部と、を備えている。当該サンプル支持部は、平面状の支持面に垂直な方向の厚みを有しており、当該サンプル支持部の厚みは、撮像領域を横切って、最大厚さの10%を超えないで変化する、より好適には、撮像領域を横切って、5%を超えないで変化する。
【0116】
本発明の15番目の特徴において、半導体ウェハのためのサンプル支持部が提供される。当該サンプル支持部は、半導体ウェハを支持するように構成された撮像領域を有する略平面状の支持面と、真空ポートに流体連通している前記支持面の撮像領域内の少なくとも1つの凹部と、を備えている。凹部の第1側から反対側までの最小距離は、凹部の最大深さの少なくとも10倍、好適には少なくとも20倍である。
【0117】
本発明の16番目の特徴において、X線源と、X線検出器と、X線源とX線検出器との間に位置決めされる11番目乃至15番目の特徴の一つに従うサンプル支持部と、を備えるX線検査システムが提供される。
【0118】
本システムは、X線検出器によって記録される画像についてトモシンセシス計算を実施するように構成され得る。
【0119】
X線源は、サンプル支持部の上方に位置され得る。X線検査システムは、X線源とサンプル支持部とX線検出器とを有するキャビネットと、前記サンプル支持部上の前記キャビネット内の空気入口部を通して前記キャビネット内に空気を強制的に送り込むように構成されたエアームーバと、を備え得て、前記エアームーバ及び前記キャビネットは、前記空気入口部から前記サンプル支持部を通して当該サンプル支持部下の前記キャビネットの空気出口部へと、空気を強制的に送り込むように構成され得る。
【0120】
本発明の一つの観点(特徴)に関して説明された特徴は、本発明の他の観点(特徴)に対しても適用され得る。本発明の2または3以上の観点(特徴)の任意の組合せが、本開示の範囲内で考慮される。
【0121】
本発明の実施形態が、例示的に、添付の図面を参照することで、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1図1は、X線検査システムの基本的な構成要素の概略図である。
図2図2は、本発明によるX線検査システムの第1の概略断面図である。
図3図3は、図2のA−A面による。図2のX線検査システムの第2の概略断面図である。
図4図4は、キャビネットが取り外された状態の、図2のタイプのシステムの簡略化された斜視図である。
図5a図5aは、図4のキャビネットの上部の斜視図である。
図5b図5bは、図4のキャビネットの底部の斜視図である。
図5c図5cは、図2の出口部を通る空気流の拡大図である。
図6図6は、図2のX線検査システムのサンプル位置決め組立体の構成の概略図である。
図7図7は、本発明の1つの観点に従う、サンプル位置決め組立体の斜視図である。
図8図8は、サンプル支持部位置検出システムの概略図である。
図9図9は、図7のサンプル位置決め組立体内での図8の位置検出システムの位置(割当)を示す斜視図である。
図10図10は、サンプル近接センサ組立体の概略図である。
図11図11は、図2のタイプのX線検査システムの近接センサの位置を示す斜視図である。
図12図12は、近接計算及び倍率計算において用いられる距離を示す概略図である。
図13図13は、衝突防止動作を示すフロー図である。
図14図14は、X線検出器のための傾斜機構を示す、本発明に従うX線検査システムの概略断面図である。
図15図15は、水平面内でX線検出器を移動させる機構の概略図である。
図16図16は、検出器傾斜機構の斜視図である。
図17図17は、半導体ウェハのためのサンプル支持部の斜視図である。
図18図18は、図17のサンプル支持部の一部の概略断面図である。
図19図19は、従来技術に従う、典型的なウェハチャックの一部の概略断面図である。
図20図20は、X線検査システムの制御要素を示す概略図である。
図21図21は、連続的な態様でX線検査システムの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0123】
X線検査システムの構成要素
図1は、X線撮像システムの基本的な構成要素の概略図である。図1に示されるシステムは、当該システムにおいては静止状態に保持されたX線源10と、可動のサンプル支持部12と、可動の検出器14と、を備えている。X線源10からのX線は、支持部と当該サンプル支持部上に取り付けられた何らかのサンプルとを通過して、検出器14に至る。図1は、検出器14の視野(検出野)に対応するサンプル支持部上の領域16を示している。検出器の視野(検出野)は、検出器14、サンプル支持部12及びX線源10の相対的な位置決めによって、サンプルまたはサンプルの一領域が検出器の視野内に入るように、ユーザによって選択される。検出器は、異なる撮像位置に移動可能であり、異なる投影がサンプル支持部上のサンプルを通してなされ得る。この文脈において、異なる投影とは、X線が異なる方向で支持部上のサンプルを通過することを意味する。
【0124】
典型的には、2つの動作モードがある。第1モードでは、検出器が静止状態を維持して、サンプル支持部が異なる視野を得るべく異なる位置へと移動される。第2モードでは、検出器とサンプル支持部とが調和した態様で移動されて、同じ視野を通るが異なる角度の投影を得る。この調和動作は、3次元の復元がトモシンセシスを用いて生成されることを可能にする。
【0125】
支持部12は、当該支持部上のサンプルがX線源と検出器との間の(任意の)位置に移動され得るように、XY平面内で移動可能である。図1に示された実施例では、支持部12はまた、鉛直方向ないしZ方向にも移動可能である。これは、検出器で検出される画像の倍率が調整されることを許容する。換言すれば、支持部のより大きいかより小さい領域が、X線源10と支持部12との間、及び、X線源10と検出器14との間、の相対的な距離に依存して、検出器の視野内に入るように、作られ(調整され)得る。説明されるように、サンプルの撮像される領域は、前記視野内に存在しなければならない。
【0126】
一般に、X線源10は、電子銃からの電子を加速してエネルギッシュな電子を金属ターゲットに衝突させることによってX線ビームを生成するチューブを含む。当該ビーム内に含まれるX線は、サンプル支持部12上のターゲット物体の厚みを貫通するのに十分にエネルギッシュであり、減衰されたX線が検出器14に到達する。サンプル内の異なる密度の材料及びそれらの異なる厚みによるX線減衰の異なるレベルが、撮像される領域内において、検出器によって把握される結果としての画像においてコントラストを生成する。
【0127】
検出器14は、デジタル検出器であってもよいし、従来技術において周知であるような構成を有していてもよい。一般に、検出器は、活性領域と、当該活性領域に入射してくるX線を測定ないし撮像され得る別の信号タイプに変換するセンサと、当該信号の振幅を増大するべく利用される増幅器と、を含んでいる。信号は、検出器14内で、アナログ形態からデジタル形態へと変換されて、デジタル画像が検出器から出力される。例示的なデジタル検出器は、活性領域を構成するシリコンフォトダイオードの2次元ピクセルアレイを含んだ相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のフラットパネル検出器である。
【0128】
トモシンセシス
図1において、検出器14は、4つの異なる位置で示されており、支持部上には4つの対応する領域16が存在している。多くの更なる位置が可能であることが、理解される。トモシンセシスシステムでは、撮像されるサンプルの領域の3次元モデルが、多数の投影から構成され得る。実際には、12と720との間の任意の数の投影が用いられる。
【0129】
結果としての3次元モデルは、ユーザが撮像領域を通る任意の平面を検査して、ボイドのような欠陥を見出すべく3次元画像をレビューすることを許容する。
【0130】
様々なトモシンセシスのアルゴリズム及び処理技術が、当該技術分野において知られている。例えば、Prexion Inc.(411 Borel Avenue,Suite 550,San Mateo,CA94402,USA)によって提供されているReconPro復元解決法がある。
【0131】
複数の画像を用いて3次元モデルを生成するための要件は、X線源、興味対象の領域、及び、各撮像のための検出器、の間の正確な空間関係の情報である。トモシンセシスにおいて2次元画像が組み合わされる態様は、この幾何学的情報に依存する。なぜなら、それは、用いられる数学的な式において要求されるからである。
【0132】
クリーンルームのX線検査システム
半導体ウェハのようなクリーンルーム環境で生産されるサンプルについて検査してモデルを生成するために、前述のようなシステムを用いるには、X線検査システム自身がクリーンルーム標準を満たすことが必要である。
【0133】
図2は、本発明の一実施形態に従うX線検査システムの概略断面図である。図3は、A−A面に沿った、図2の断面に垂直な、図2のシステムの第2の断面図である。図4は、図2及び図3のシステムの部分切除斜視図である。
【0134】
図2乃至図4のシステムは、X線チューブ100、サンプル支持部200、及び、検出器300を、キャビネット110内に備えている。キャビネット110は、X線チューブ100によって生成されるX線からのシールドを提供するべく、鉛で裏打ちされている(lead lined)。
【0135】
キャビネット110内では、X線チューブ100、サンプル支持部200及び検出器300の全てが取り付けられた支持フレーム120がある。サンプル支持部200は、半導体ウェハ(図2乃至図4では不図示)を保持するように構成されている。
【0136】
フレームは、検出器300が水平面内で移動することを許容する検出器位置決め組立体310(図3ないし図4では視認できない)を有している。検出器位置決めステージ310の詳細な構成要素は、図2及び図3には示されておらず、任意の好適な構成が、クリーンルーム準拠システムのために利用され得る。もっとも、1つの本発明による有利な構成が、図14乃至図16を参照して詳細に説明される。当該実施形態では、検出器位置決め機構は、検出器がそれに支持されていてX軸に沿って延びる第1ビーム314と、当該第1ビーム314が支持されていてY方向に延びるレール318を有する支持フレーム120と、を有している。
【0137】
リニアモータが、検出器がビーム314に沿って移動されることを許容するべく、また、ビーム314がレール318に沿って移動されることを許容するべく、設けられている。この態様では、検出器は、水平面内(フレーム内)の任意の位置に移動され得る。傾斜機構が、検出器の活性領域が全ての撮像位置においてX線源を向くように方向付けられることを許容するように、設けられている。傾斜機構は、図16に図示されており、本明細書でも後に詳細に説明される。本実施形態の検出器は、CMOSフラットパネル検出器であり、例えば、Dexela Limited(Wenlock Business Centre,50−52 Wharf Road,London,N1 7EU,United Kingdom)から入手可能な、Dexela1512NDTである。
【0138】
サンプル位置決めステージ210が、検出器位置決めステージ310の上方で、支持フレーム上に設けられている。サンプル位置決めステージの詳細な構成要素は、図6及び図7に図示されており、それらを参照して説明される。もっとも、異なる幾何形状ないしレイアウトを有するサンプル支持部位置決め構成も、クリーンルーム準拠システムを提供するべく、用いられ得る。本実施形態では、サンプル位置決めステージは、サンプル支持部200を水平面内で移動させるための、検出器位置決めステージと同様のモータ及びレールの構成を有している。また、X線チューブに向かう及びそこから離れる鉛直方向にサンプル支持部を移動させるための更なるモータが付加されている。これは、画像の倍率が選択されることを許容する。サンプル位置決めステージは、図6及び図7を参照して以下により詳細に説明される。
【0139】
図3に示されるようなサンプル入口シャッタ240が、半導体ウェハのようなサンプルがサンプル支持部200上にロードされることを許容するべく、設けられている。当該シャッタは、キャビネット内に設けられていて、空気圧式に動作する機構を有している。当該シャッタは、X線の漏洩を防ぐべく、鉛で裏打ちされていて、鋼鉄製のラビリンス状バーでシールされている。当該シャッタは、ウェハの検査が完了して、完了したウェハのアンロードと新しいウェハの再ロードとを可能にするべき時に、自動的に開放される。ウェハのロード/アンロードは、装置フロンドエンドモジュール(EFEM)ユニットによって、前方開放統一ポッド(FOUP)からサンプル支持部へとウェハが移動される際にウェハのために連続的なクリーン環境を提供するために、取り扱われる。FOUPは、シリコンウェハをクリーンルーム環境内で安定かつ安全に保持して、ウェハが適当なロードポート及びロボットハンドリングシステムが装備されたツールによる処理または測定のために取り出されることを許容するように設計された、特殊なプラスチック筐体である。本実施形態で用いられるEFEMは、Brooks Automation,Inc.(15 Elizabeth Drive,Chelmsford,MA 01824,USA)から入手可能な、Brooks JET(登録商標)大気内トランスポートシステムユニットである。
【0140】
X線チューブ100は、X線チューブブラケット115に固定されていて、サンプル支持部200及び検出器300の上方に位置決めされている。X線チューブブラケット115は、サンプル位置決めステージの上方でフレーム120上に設けられている。X線チューブ100は、フレーム120に対して移動可能でない。
【0141】
本実施形態では、X線チューブ100は、シールされた透過型タイプのX線チューブである。例えば、Dage Holdings Limited(25 Faraday Road,Rabans Lane Industrial Area,Aylesbury,Buckingham HP198RY United Kingdom)から入手可能なNTX線チューブである。このタイプのX線チューブは、大変高い分解能の撮像と共に、大変長い製品寿命、典型的にはメンテナンスが要求される前に5000時間を超える動作、を提供する。シールされた透過型タイプのX線チューブは、完全にシールされた真空チューブと、当該チューブの外壁の一部を形成する透過ターゲットと、を有している。透過ターゲットは、電子がチューブの内側を向いた当該ターゲットの第1側に衝突して、生成されるX線の少なくとも幾らかがチューブから外側を向いた当該ターゲットの第2側を通って放射される、というように構成されている。これは、時々、エンドウィンドウ透過チューブと呼ばれる。
【0142】
エンドウィンドウ透過チューブは、小さなスポットサイズのX線源の生成を許容し、撮像されるサンプルがX線源の近くにもたらされることを許容する。これは、高倍率と高分解能の画像が得られることを意味する。X線チューブ100をサンプル支持部200の上方に配置して、サンプル支持部を当該サンプル支持部とX線チューブとの間に半導体ウェハを支持するように構成することによって、半導体ウェハの表面はX線源の非常に近くにもたらされ得て、高倍率の画像がコンパクトなシステム内で得られることを許容する。
【0143】
一対のファンフィルタユニット(FFU)130が、サンプル支持部の上方でキャビネットに取り付けられている。FFUは、キャビネットの天井内の各空気入口132を通して空気を引き入れて、当該空気を各FFU内のHEPAフィルタプレート134を通してサンプル支持部200を下方へと通過させてキャビネットの床の空気出口150に向けて送り込むように構成されている。空気流の方向は、図2及び図3において矢印で示されている。
【0144】
この例では、各FFU130が、筐体136と、当該筐体の一側の空気入口132を通して空気を当該筐体内に引き込んでHEPAフィルタプレート134で覆われた出口を通して送り出すように構成されたファン138と、を有している。各FFUは、ファン138が動作している時に、筐体136内の空気圧が筐体外よりも高い、というように構成されている。これは、フィルタプレート134を通る空気の均一な流れを提供することを助け、局所的な流速の変動を最小化する。
【0145】
本実施形態では、各FFU130は、また、ファンとフィルタプレートとの間に位置決めされた内部シールド140を有している。それは、標準的なFFUの特徴ではない。このシールド140は、2つの機能を有している。X線吸収器と空気流バッフル板との両方である。もっとも、これら機能の各々のために、2つの別個の構成要素が用いられてもよい。シールド140は、鉛で裏打ちされた鋼鉄製のトレイであり、FFU130の空気入口132よりも大きく、当該空気入口132を覆うように広がっていて、これにより、X線チューブ100からのX線は空気入口132を通して漏れ出ることができない。シールド140を通ってFFU130を出る空気流路は、ラビリンス状になされている。当該シールドは、図2及び図3に明瞭に示されているように、空気をファン138から筐体136の外側縁部へと強制的に送り込む。これは、フィルタプレート134を通る均一な空気流を促進する。
【0146】
フィルタプレート134からサンプル支持部200を通過するようにキャビネットを通る空気流は、層状である。サンプル支持部200の下方からサンプル支持部の上方の位置までの空気の循環は存在しない。HEPAフィルタ134の使用、層状の空気流、及び、フィルタプレート134とサンプル支持部200との間でシステムの可動部が存在しないことの保証は、何らかのダストや他の粒子が浮遊ないし落下してサンプル支持部200上の半導体ウェハを汚染ないし損傷させるというリスクが最小であることを意味する。
【0147】
サンプル支持部200の下方からサンプル支持部の上方までの空気の循環が存在しないことを保証するために、穿孔されたデッキ160(図4に最もよく示されている)がサンプル支持部のレベルで設けられている。穿孔されたデッキ160は、システムの最高倍率に対応する、サンプル支持部200の最上位置と同じ高さに位置決めされている。穿孔されたデッキ160は、空気が当該デッキの上方からデッキの下方へと通過することを許容するが、デッキを通る小さな圧力差を形成して、デッキ上方においてデッキ下方よりも空気圧が高い。穿孔されたデッキは、空気の流路を約50%にまで制限する。この制限が、デッキ上方の空気の圧力を増大させる。この小さな圧力差が、実質的に、デッキ上方への空気の循環を防止する。なぜなら、空気は、高圧領域から低圧領域へと自然に流れるからである。図3に示すように、バッフル板165が、層状の空気流を促進するべく設けられる。
【0148】
キャビネットのフロアの空気出口150は、空気入口132と比較して相対的に大きい。このことも、層状の空気流を促して、空気の上方への循環を低減する。図5aは、キャビネットの上部を示している。空気入口132が視認されるが、空気がFFU内に引き込まれることを許容する。図5bは、キャビネットの底部の空気出口の切除図である。空気出口150は、4個の別個の開口を有している。これらの開口は、鋼鉄製ブロック154によって取り囲まれている。4つの出口開口の間の空間が、キャビネットに対する電力及びデータの提供のための電気ケーブルを収容するべく設けられている。空気出口は、出口シールディングプレート152(図5bに破線輪郭で示されている)によって覆われていて、キャビネットからのX線の漏洩を防止している。出口シールディングプレート152の機能は、図5cに最もよく示されている。出口シールディングプレート152は、X線を吸収するべく鉛で裏打ちされている。鋼鉄製ブロック155は、出口に向かう空気流路内のX線吸収器として、シールディングプレートの下側に設けられている。鋼鉄製ブロック154、155は、X線を吸収して、出口に向かう空気流路がラビリンス状となるように、位置決めされている。これは、X線が空気出口を通してキャビネットから漏洩できない、ということを保証する。
【0149】
動作中、FFU130は、キャビネットを通して空気を連続的に強制的に送り込んで、サンプル位置決め組立体や検出器位置決め組立体の動作の結果として生成されるダストやデブリがサンプル支持部200上のサンプルに到達できないことを保証する。FFUは、キャビネット内で、少なくともクラス4ISO14644−1のクリーンルーム環境を提供する。FFUは、サンプル支持部200及び検出器300の移動及び動作の間中、及び、サンプルがシステムに対してロード及びアンロードされる時、動作する。図2乃至図4を参照して説明されたシステムは、数千時間、メンテナンスを要求しないで動作可能である。
【0150】
サンプル位置決め
例示的なサンプル位置決め組立体が、図6及び図7を参照して詳細に説明される。
【0151】
サンプル内の所望の興味対象の領域の撮像、及び、興味対象の領域の異なる投影、が得られ得るように、サンプル位置決め組立体は、X線源に対して相対的にサンプルを位置決めするべく、用いられる。X線源は、サンプル支持部の上方に位置決めされていて、静止している。従って、異なるサンプルの領域の異なる投影及び撮像を提供するためには、サンプル支持部を水平面であるXY平面内で移動可能であることが、望ましい。また、画像の倍率を変更するべく、X線源に向かう及びそこから離れる鉛直方向であるZ方向にサンプル支持部を移動することも、望ましい。特に、半導体ウェハにとっては、システムの全体の高さを標準的な天井高さ内に維持してシステムが合理的に容易に搬送可能であることを許容しながら、当該ウェハをX線源の非常に近くにもたらして、大変高い倍率の画像が生産され得る、ということの必要性がある。
【0152】
動作中、トモシンセシス計算のために異なる投影のセットを得る時、サンプルは、Z方向よりも頻繁にXY方向に移動される必要がある。撮像倍率がサンプルのために設定されると、サンプルは、異なる投影を得るために、XY方向にのみ移動される必要がある。
【0153】
X線検査プロセスがウェハ処理プラント内でのボトルネックにならないために、検査プロセスは迅速である必要がある。これは、サンプルをXY方向に移動するための機構が迅速である必要がある、ということを意味する。特に大変高い倍率においては、前述のように、高分解能の3次元モデルを生成するために、正確であることも必要である。
【0154】
本実施形態において、サンプル位置決め組立体は、平行な線に沿った画像の線毎の収集として、撮像位置間でラスター走査パターンに移動するように構成されている。これらの平行な走査線は、X方向に延びている。X方向は、図6及び図7において、X矢印で示されている。これは、X方向の移動機構が、移動の最大量を有して、必要とされるX線画像を収集するための処理の全体の速度を高めるべく、高速であるべきである、ということを意味する。この理由のため、本実施形態では、X軸駆動機構が、サンプル支持部に直接的に結合されている。これは、X軸駆動機構が、サンプル支持部と当該X軸駆動機構の可動部のみを有する最小質量を移動する、ということを意味する。最も重要なのは、X軸駆動機構が、Y軸駆動機構もX軸駆動機構も支持ないし保持しないということである。このことが、X軸駆動機構がより迅速に移動することを可能にする。Z軸駆動機構は、さほど頻繁には利用されず、X軸及びY軸の駆動機構ほど高速である必要がないため、X軸及びY軸機構よりも相対的に低い質量でなされ得る。Z軸駆動機構は、X軸駆動機構を支持するように位置決めされ、X軸駆動機構とサンプル支持部とをZ軸方向に移動させる。Y軸駆動機構は、Z軸駆動機構を支持して、X軸駆動機構、X軸駆動機構及びサンプル支持部をY軸方向に移動させる。Y軸駆動機構は、支持フレームに取り付けられていて、当該支持フレームにX線源が取り付けられている。
【0155】
この構成は、図6に概略的に図示されている。サンプル支持部200は、シャトル212上に取り付けられている。当該シャトル212は、第1フレーム214上でX方向に移動する。当該シャトル212とフレーム214とは、共にX軸駆動機構を形成している。第1フレーム214は、トラック216上に取り付けられていて、当該トラック216上を上下に移動し得る。トラック216及び第1フレーム214は、共にZ軸駆動機構を形成している。トラック216は、第2フレーム218に取り付けられていて、Y方向に第2フレーム218に沿って移動可能である。
【0156】
図7は、図2乃至図4に示されたシステムにおいて、本構成の一実施形態をより詳細に図示している。図7においては、サンプル支持部200が、円形の半導体ウェハを支持するように構成されている。サンプル支持部は、第1の一対のリニアモータ220に取り付けられている。各リニアモータは、X方向に延びる永久磁石224の軌道と、電気制御信号に応じて当該軌道に沿って移動するコイル組立体222と、を有している。このタイプのリニアモータは、Aerotech,Inc.(101 Zeta Drive,Pittsburgh,PA 15238,USA)から入手可能である。リニアモータ220は、第1フレーム214上に取り付けられている。第1フレーム214上の第1の一対のリニアモータ220は、X軸駆動機構の一部を形成している。
【0157】
第1フレーム214は、当該第1フレーム214の対向する両側において、一対の送りネジ230上に取り付けられている。そのうちの一方だけが、図7において視認可能である。各送りネジ230は、回転モータ234によって角度ギヤボックス238を介して駆動される。送りネジ230は、各々、プレート218に取り付けられていて、X軸駆動機構と共に第1フレーム214をプレート218に対してZ軸方向に上下に移動させる。4つのガイドレール216が、第1フレーム214の角部に設けられて第1フレーム214を支持していて、第1フレームが送りネジ230によってZ軸方向に移動される時に、それを安定に維持する。送りネジ230、関連する回転モータ234、ギヤボックス238及びガイドレール216が、Z軸駆動機構の一部を形成している。リニアエンコーダ236が、第1フレーム214とプレート218との間に設けられていて、第1フレーム214及びウェハ支持部200の鉛直位置の制御を決定ないし許容する。
【0158】
プレート218は、支持フレーム120上に形成されたガイド242に沿って摺動する。第2の一対のリニアモータ244が、プレート218と支持フレーム120との間に接続されていて、Z軸駆動機構及びX軸駆動機構と共にプレート218を支持フレームに対してY方向に移動させる。第2の一対のリニアモータは、それらが第1の一対のリニアモータより大きな質量を動かすことを要求されるので、第1の一対のリニアモータよりも大きくてよいし、より高出力であってよい。このタイプのリニアモータは、Aerotech,Inc.(101 Zeta Drive,Pittsburgh,PA 15238,USA)から入手可能である。支持フレーム120上の第2の一対のリニアモータ244は、Y軸駆動機構の一部を形成している。
【0159】
以上の構成は、クリーンルーム環境で半導体ウェハを検査するためのシステムに関して説明されたが、クリーンルーム環境で動作する必要がなく従ってエアームーバやエアーフィルタを含まないX線検査システムにおいても利用され得る、ということが明瞭である。
【0160】
サンプル位置の測定
前述のように、良質なトモシンセシスモデルを生成するための要件の1つは、X線源、サンプル及び検出器の相対位置の非常に正確な情報である。特に、画像が適切に組み合わされ得るように、ある撮像位置から次の撮像位置への相対的な位置変化を正確に知ることが必要である。
【0161】
高倍率の画像を提供するために、サンプルとX線源との間の距離は、検出器とX線源との間の距離よりもずっと小さい。これは、サンプルの小さい位置変化が、検出器によって記録される画像における大きい変化を導くことを意味する。これは、また、サンプルの位置が、検出器の位置よりもずっと高精度に知られる必要があることを意味する。
【0162】
非接触式の位置測定装置が、サンプル支持部の位置を正確に決定するために用いられ得る。本発明の一実施形態では、干渉計ベースのシステムが、ある撮像位置から次の撮像位置へのサンプル支持部の位置変化を決定するために用いられる。図8は、干渉計ベースの検出構成の概略図である。2つの干渉計が提供される。第1の干渉計256は、X方向のサンプル支持部200の位置変化を決定するために用いられる。第2の干渉計258は、Y方向のサンプル支持部200の位置変化を決定するために用いられる。X方向及びY方向のための組立体は、同一である。各組立体は、関連する干渉計256、258にレーザビームを提供するレーザ光源260、262を有している。干渉計は、レーザビームの一部を、サンプル支持部200に取り付けられたミラー252、254に向ける。ミラーから反射された光は、干渉計に戻るように、そして検出器264、266へと向けられる。サンプル支持部が移動される時、サンプル支持部に到達した光とサンプル支持部に到達していない光との間の干渉の変化が、検出器において検出されて、検出方向(すなわち、XまたはY方向)におけるサンプル支持部の位置変化の非常に正確な測定値を提供する。レーザ光源及びミラーを含む好適な干渉計システムは、Renishaw plc(New Mills,Wotton−under−Edge,Gloucestershire,GL12 8JR,United Kingdom)から入手可能である。他の可能な非接触式の位置測定装置は、光学的なリニアエンコーダ、磁石式のエンコーダ、静電容量センサ、及び、ソナー距離測定装置を含む。
【0163】
検出器からの出力は、サンプル支持部が撮像位置間で移動する時、X方向及びY方向でのサンプル支持部の位置変化の正確な測定値である。これらの測定値は、説明されるように、画像プロセッサに提供されて、トモシンセシス計算で利用される。検出器からの測定値は、X及びY位置決め組立体を較正するためにも用いられ得る。
【0164】
図8は、別個のレーザ光源が各干渉計のために設けられている構成を図示している。もっとも、単一のレーザ光源とビームスプリッタとが用いられ得ることも、明らかである。更に、Z方向におけるサンプル支持部の位置はそのような高精度で決定される必要はないが、Z方向におけるサンプル支持部の位置変化を決定するために同一の構成を用いることは可能である。
【0165】
図9は、図8に示されたような構成が、図7に示されたサンプル位置決め組立体に如何にして一体化されるか、を図示している。第1ミラー252は、X方向に向くサンプル支持部200に固定されており、第2ミラー254は、Y方向に向くサンプル支持部に固定されている。干渉計256、258は、支持フレーム120に固定されている。ミラー252、254は、干渉計256、258からの光があらゆる可能性ある撮像位置において当該ミラーに入射するのに十分な高さ及び幅を有している。この例では、各ミラーの使用可能領域は、320mm幅で、20mm高さである。ミラーは、典型的には、前述のように干渉計システムの一部として設けられている。もっとも、好適なミラーは、例えばGooch and Housego PLC(Dowlish Ford,llminster,TA190PF,UK)のような光学メーカーからスタンドアロンの製品としても入手可能である。
【0166】
以上の構成は、クリーンルーム環境で半導体ウェハを検査するためのシステムに関して説明されたが、クリーンルーム環境で動作する必要がなく従ってエアームーバやエアーフィルタを含まないX線検査システムにおいても利用され得る、ということが明瞭である。それは、サンプル及び検出器を位置決めするための異なる構成との協働で用いられてもよい。
【0167】
近接測定
前述のように、高倍率画像のためには、サンプルをX線源に対して非常に近くにもたらすことが必要である。従って、サンプルの位置をZ方向において信頼性をもって制御することが必要である。また、画像処理及びデータ解釈目的のため、Z方向でのサンプルの位置を知ることも必要である。
【0168】
Z軸におけるサンプル支持部200の位置が、Z軸位置決め機構から、あるいは、Z軸位置決め機構に取り付けられたリニアエンコーダから、決定(測定)され得る一方で、異なるサンプルは異なる厚みを有しているため、X線源とサンプルの上面との間の正確な距離がサンプル支持部200の位置から正確に決定され得ない、という問題がある。従って、本発明の1つの観点(特徴)において、近接センサが、サンプルの上面とX線源との間の距離の直接測定を提供するために用いられる。
【0169】
X線源とサンプルの頂面との間の距離の直接の測定を提供することは、幾つかの理由にとって、特には典型的には関心対象の領域を有するサンプルの頂面がX線源に非常に近くにもたらされる高倍率システムにおいて、有益である。第1に、当該距離測定は、Z軸位置決め機構を較正するために用いられ得て、正確な位置決めとその後の画像処理とが達成され得る。第2に、当該距離測定は、倍率計算において直接的に用いられ得て、正確な倍率の測定を提供できる。第3に、当該距離測定ないし複数回の距離測定は、サンプルの頂面とX線源との間の衝突を防止するために用いられ得る。当該衝突は、サンプルの頂面とX線源との両方に損傷を与える可能性があった。
【0170】
図10は、本発明の1つの観点(特徴)に従う近接センサ構成の概略図である。半導体ウェハ20が、シールされたX線チューブ100の下方で、サンプル支持部200上に図示されている。レーザ距離センサ400が、X線チューブ100に固定されている。好適なレーザ距離センサは、Keyence Corporation(1−3−14,Higashi−Nakajima,Higashi−Yodogawa−ku,Osaka,533−8555,Japan)から入手可能である。代替的なものとして、共焦点検出器が利用され得る。距離センサからのレーザビームが、矢印401で図示されている。サンプル位置決め組立体210は、概略的に図示されているが、サンプル支持部200のZ軸位置を決定(測定)するためのリニアエンコーダ236を含んでいる。サンプル位置決め組立体と距離センサとの両方が、コントローラ500に接続されている。
【0171】
図11は、図2乃至図4に示されたタイプのシステムにおける、X線チューブ100へのレーザ距離センサ400の取り付けを図示している。
【0172】
レーザ距離センサ400は、この例では半導体ウェハであるサンプルの上面に対する直接測定を提供する。レーザ距離センサ400は、その出力端、ここではサンプルの上面に向くリードヘッドと呼ばれる、からサンプルまでの距離を測定する。X線チューブ100は、透過ターゲット上の出力スポットからX線を生成する。透過ターゲットは、X線チューブ100の出力窓101を形成し、出力スポットは、X線チューブ100の出力窓101の面内に存在する。レーザ距離センサ400のリードヘッドは、X線チューブ100の出力スポットと正確に同じ高さに取り付けられなくてもよい。換言すれば、レーザ距離センサのリードヘッドは、X線チューブの出力窓と同一平面になくてもよい。しかし、出力窓とレーザ距離センサの出力端との間の高さの差は、オフセットとして知られるが、以下に説明されるように、異なる位置においてサンプル支持部上の公知のサイズの特徴や公知の間隔の2つの特徴を撮像することによって、システムのセットアップ中に計算され得る。
【0173】
図12は、図11に示された構成の概略図であり、レーザ距離センサ400のリードヘッド402とX線チューブの出力窓101との間のオフセットが、サンプル支持部200のゲージ板上において互いから公知の間隔だけ離れている一対の特徴280、281を撮像することによって、どのように計算され得るか、を示している。
【0174】
ゲージ板上での特徴280、281間の公知の距離は、D1である。検出器300上の2つの特徴280、281の画像380、381間の距離は、D2である。D2は、標準的な画像処理技術を用いて、検出器の出力から計算され得る。
【0175】
比D1/D2は、比A/Hに等しいことが、当該技術分野において周知である。X線源の出力窓と検出器300の撮像面との間の距離Hは、システムの仕様から分かっている。従って、Aは、次の式を用いて計算され得る。
A=H×(D1/D2
【0176】
レーザ距離センサのリードヘッドとサンプル支持部との間の距離Bは、レーザ距離センサ400によって直接的に測定される。結果的に、レーザ距離センサ400のリードヘッドとX線チューブの出力窓との間のオフセットCは,次の減算式によって決定される。
C=B−A
【0177】
A=H×(D1/D2)であるから、C=B−(H×(D1/D2))である。
【0178】
従って、出力窓とレーザ距離センサのリードヘッドとの間の高さの差、すなわちオフセットCは、公知のサイズの特徴を撮像することによって、システムのセットアップ中に、式C=B−(H×(D1/D2))から計算され得る。
【0179】
レーザ距離センサのリードヘッドからサンプルまでの距離の引き続いての測定は、出力窓からサンプルまでの距離を得るべく、当該オフセットCによって調整され得る。これは、以下に説明されるように、倍率計算において用いられる。
【0180】
そして、レーザ距離センサは、サンプル位置決め組立体内で高さセンサを較正するために用いられ得る。この例では、高さセンサは、リニアエンコーダ236であり、それは、図10に示されるように、X軸サンプル位置決め機構において用いられる。これは、検査中、サンプルがX線チューブによってレーザ距離センサからは見えなくなってレーザ距離センサでの測定が直接利用できない、というようにサンプルが位置決めされる場合に、特に有益である。サンプルがX線チューブによって見えなくなっていない位置にある時、ここでは開始位置と言うが、コントローラ500がレーザ距離センサ400からの距離測定値を受け入れ、同時に、リニアエンコーダ236からの出力を受け入れる。サンプルの上面とX線チューブの出力窓との間の絶対距離は、レーザ距離センサ400を用いて確立され得る。これは、レーザ距離センサ400から絶対測定値を読み取って、前述のように計算されるオフセットCを減算することによって、達成される。サンプルの上面とX線チューブの出力窓との間の当該距離は、リニアエンコーダのための較正として利用される。それは、開始位置からの距離変化を測定する。この較正処理は、周期的に実施され得る。
【0181】
また、レーザ距離センサの測定は、画像倍率を決定するために用いられ得る。それは、画像処理中に用いられる。画像倍率(IM)は、検出器300上の画像内に現れている時の物体のサイズの、当該物体の実際のサイズに対する比である。図12を参照して、当該技術分野においては、倍率がH/Aに等しいことが知られている。Aは、測定された距離Bから計算されたオフセットCを減算することで決定される。Hは分かっている値である。従って、画像倍率は、次の式で与えられる。
IM=H/A=H/(B−C)
【0182】
例えば、距離Hが350mmで、測定された距離Bが12mmで、オフセットCが2mmとして計算される場合、画像倍率は、
IM=H/(B−C)=350(12−2)=35
である。これは、検出器上で35mmの距離として表れている特徴間の距離が、実際の距離1mmの画像である、ということを意味している。
【0183】
倍率を正確に決定(測定)するこの能力には、2つの利点がある。第1に、サンプル内の特徴のサイズが、大変正確に確立され得て、ウェハのバンプの径やボイド領域のような幾何学的特徴のサイズの良好な量的評価を許容する。第2に、トモシンセシスの間、個々の投影の角度及び位置がよく知られて、計算された3次元モデルが正確に作られ得る。レーザ距離センサからの測定値を用いる画像倍率計算は、典型的には、特定の興味対象領域の1セットの画像が捕捉される前に、較正計算として実施される。
【0184】
以上の構成は、クリーンルーム環境で半導体ウェハを検査するためのシステムに関して説明されたが、クリーンルーム環境で動作する必要がなく従ってエアームーバやエアーフィルタを含まないX線検査システムにおいても利用され得る、ということが明瞭である。
【0185】
衝突回避
図10乃至図12に図示された近接センサ、すなわちレーザ距離センサ400は、X線源とサンプルとの間の衝突を防止するためにも利用され得る。X線源とサンプルとの間の衝突は、サンプルを修復不能に損傷する可能性があり、また、X線源にも顕著な損傷を引き起こす可能性がある。本実施例では半導体ウェハであるサンプルは、異なる厚みを有し得るので、サンプル支持部の位置についての情報を提供するだけのリニアエンコーダ236からの出力に単純に依存することは、大変高い倍率の画像を得ようとする時の衝突を防ぐという点において、有効でない場合がある。そのような時には、サンプルがX線チューブに非常に近く位置付けられることが要求され、図12の距離Aが大変小さくなる。
【0186】
衝突を防ぐために、高倍率での半導体ウェハの検査の前に、ウェハは低倍率の高さにおいてレーザ距離センサによって安全にラスター走査される。これは、全ての可能性あるウェハにとって安全であることが知られていて、X線チューブ100の端部からウェハ20の最上の特徴までの距離を確立する。ラスター走査は、XY面内でサンプル支持部を移動させるようにサンプル位置決め組立体を動作させることで、達成される。これは、図10に図示されている。リニアエンコーダのスケール上の位置は、ベースライン値として、低倍率高さのために記録される。ウェハ20の最上の特徴に対応する、レーザ高さセンサによって測定される最短距離が、記録される。コントローラ500は、測定された最短距離でのベースラインエンコーダスケールの読みに基づいて、仮想の参照面を生成する。それは、ウェハがX線チューブの表面に対してどの程度近くまで安全にもたらされ得るか、を示す。当該仮想面は、ウェハの最上の特徴の上方に所定のクリアランスをもって位置付けられ得る。例えば、低倍率高さにおいてレーザ距離センサによって測定されるサンプルの頂部までの最短距離が12mmであって、レーザ距離センサ400の出力端とX線チューブの出力窓との間の公知のオフセットCが2mmである場合、ラスター走査の間のX線チューブの出力窓とサンプルの頂部との間の最短距離は10mmである。衝突の可能性を防ぐために、動作中においてサンプルの最上面がX線チューブの出力窓から1mm以上であるべき、ということが望まれる場合、サンプル支持部は、リニアエンコーダ上のベースラインとして記録される低倍率高さから9mmより近くない所まで移動され得る。この9mmという最大移行距離は、リニアエンコーダの読みを用いて制御され得る。リニアエンコーダスケールは、衝突が生じないことを保証するべく、ウェハの検査中に用いられ得る。
【0187】
図13は、X線チューブとウェハとの間の衝突を防ぐために用いられる制御処理を示すフロー図である。工程450において、半導体ウェハが、システム内にロードされる。工程460において、ウェハは、公知の安全高さにおいて、すなわち、最も厚いサンプルであってもX線チューブから十分にクリアランスがある高さにおいて、レーザ距離センサの下方に位置決めされる。工程470において、レーザ距離センサが起動され、サンプル支持部がサンプル位置決め組立体によってXY平面内でラスター走査パターンで移動される。ウェハ上の最接近特徴までの距離が記録される。工程480において、サンプル支持部の最大許容上方行程が、サンプル支持部とX線チューブとの間の最小安全距離またはサンプル支持部のための最大安全高さに対応して、計算される。工程490において、ウェハの検査は高倍率で実施されるが、サンプル支持部は、当該サンプル支持部にとっての最大安全高さ以下の位置にある。
【0188】
この処理は、新しいサンプルが機械内にロードされる毎に、迅速かつ自動的に実施され得る。また、当該システム及び方法は、半導体ウェハに対してのみならず、高倍率で撮像されることが要求される任意のタイプのサンプルに適用可能である。
【0189】
検出器の位置決め
前述のように、X線検出器は、サンプルを通過するX線を捕捉するべくサンプル支持部の下方に位置決めされる。検出器は、前述のように、シリコンフォトダイオードの2次元ピクセルアレイを含むフラットパネル検出器である。
【0190】
サンプルを通る異なる投影を記録するために、検出器は、異なる撮像位置へ正確に移動されなければならない。投影は、サンプルまたはサンプルの一領域の3次元モデルを生成するべく、トモシンセシスアルゴリズムを用いて組み合わされる。前述のように、複数の異なる投影が、できるだけ迅速に記録されることが望ましい。サンプル支持部がX線源に大変近く位置決めされる高倍率画像にとって、X線検出器は、撮像位置間において、サンプル支持部よりもずっと大きな距離を移動しなければならない。そして、検出器は、サンプル支持部よりも、相対的に高速で移動される必要がある。
【0191】
検出器が正確で高速に移動され得るためには、検出器がXY面内でグリッド軸上に移動されることが有利である。回動可能な円弧軌道上で検出器を移動する代替法は、従来システムで用いられているが、機構の剛性が小さいため、そのような正確で高速な移動を許容しない。この代替システムは、高速での始動時及び停止時において、過剰な振動に苦しむであろう。Z軸移動無しで、検出器とサンプルの両方が平行なXY面内で移動することは、全ての撮像位置において画像倍率が同一を維持するという利点がある。なぜなら、倍率は、前述のように、式IM=A/Hで決定されるからである。
【0192】
もっとも、XY平面内のみに存在する検出器面を有する検出器の移動は、検出器がX線源に常には面しない、という不利に苦しむ。検出器の面とX線源からのX線の放射位置との間の極端な斜め角度では、画像のボケが生じ得る。本発明の1つの観点(特徴)において、検出器をXY平面内で移動させる機構に加えて、傾斜機構が検出器に設けられる。それは、検出器がすべての撮像位置においてX線源を向くように方向付けられることを許容する。
【0193】
図14は、本発明に従う、図2に示されたような、X線検査システムの概略断面図であるが、X線検出器のための傾斜機構320を示している。検出器位置決め組立体310が、検出器300が水平面内で移動することを許容する。
【0194】
図14に示されたシステムの残りの特徴は、図2を参照して説明される。キャビネット及びFFUが、クリーンルーム動作のために構成されている。サンプル位置決めステージ210は、検出器位置決めステージの上方で支持フレーム上に設けられている。サンプル位置決めステージの詳細な構成要素は、図6及び図7に図示され、それらを参照して説明されている。X線チューブ100は、ブラケット115に固定され、サンプル支持部200及び検出器300の上方に位置決めされている。
【0195】
XY平面内での高速移動を提供するために、第1及び第2リニアモータが、X方向及びY方向にそれぞれ検出器を移動するために用いられる。図15に示されるように、第1リニアモータ312が、検出器組立体のフレーム326と水平延伸ビーム314との間に取り付けられている。ビーム314は、X方向に延びていて、支持フレーム120に沿って移動するように支持されている。この移動を提供するために、Y方向に延びる一対の第2リニアモータ316(そのうちの一方のみが図15において可視である)が、支持フレーム120に取り付けられていて、ビーム314の遠端315を駆動する。第1リニアモータ312の起動は、検出器組立体をビーム314に沿ってX方向に移動させる。第2リニアモータ316の起動は、ビーム314及び検出器組立体をビーム314に垂直なY方向に移動させる。この機構は、検出器が、迅速かつ正確に水平面内を移動されることを許容する。第1及び第2リニアモータは、同一であり得て、サンプル支持部位置決め組立体のために用いられるリニアモータよりも大型である。このタイプのリニアモータは、Aerotech,Inc.(101 Zeta Drive,Pittsburgh,PA 15238,USA)から入手可能である。
【0196】
図16は、傾斜機構320を詳細に図示している。検出器の移動の2つの更なる軸が、この傾斜機構320によって提供されており、検出器300の平面状撮像面305は、常にX線源に直接方向付けられることが可能である。検出器300は、第1ジンバル面322に取り付けられており、それは第1回転軸321回りに傾斜され得る。第1モータ324が、第1回転軸回りに検出器を回転するように構成されている。好適なモータの一例は、Aerotech,Inc.(101 Zeta Drive,Pittsburgh,PA 15238,USA)から入手可能なAPR150DR−135である。
【0197】
第1ジンバルフレーム322は、モータ328に回転可能に取り付けられていて、モータ328は、第2ジンバルフレーム326に取り付けられていて、第2回転軸327回りに回転する。第2モータ328は、第2回転軸327回りに第1ジンバルフレーム322を回転するように構成されている。第2ジンバルフレーム326は、リニアモータ312のムーバ(可動部)に取り付けられており、リニアモータ312のステータ(固定部)は、図15を参照して説明されたように、ビーム314に取り付けられていて、検出器及び傾斜機構は、ビーム314に沿って移動され得る。第1及び第2モータは、出力側に直接のリードエンコーダを有して、検出器の方向の非常に正確な決定を許容する。
【0198】
傾斜機構は、第1及び第2回転軸321、327が、検出器の活性領域すなわち検出面305と同一平面であるように、構成されている。これは、図16に示されるように、第1回転軸321及び第2回転軸327が検出器300の検出面305を横切るか、それと整列する、ということを意味する。これは、要求される画像処理計算を簡単化する。それは、画像倍率の変化に対処するためのサンプル支持部または検出器の補償的なZ軸移動の必要性を除去する。これは、検出器の検出面の中心がすべての位置においてX線源からの同じZ軸距離に留まり、画像倍率が傾斜機構の位置に拘わらず一定に留まるからである。
【0199】
第1及び第2回転モータは、検出器のXY移動のためのリニアモータに接続されたコントローラ(図16では不図示)に接続され、当該コントローラによって制御される。当該コントローラは、検出器がX線画像を記録するために停止されている各撮像位置において、検出器の活性領域305がX線源に面することを保証するように構成されている。好適には、コントローラは、検出器の検出面305が当該検出面305の中心からX線がX線源から放射される点にまで引かれる線に垂直である、というように当該検出面305を方向付ける。
【0200】
検出器の活性領域305を常にX線源に向けて方向付けることにより、画像のボケを引き起こし得る検出器の検出面とX線源からのX線の放射位置との間の斜めの角度が回避される。これは、画像の質を改善する。
【0201】
以上の構成は、クリーンルーム環境で半導体ウェハを検査するためのシステムに関して説明されたが、クリーンルーム環境で動作する必要がなく従ってエアームーバやエアーフィルタを含まないX線検査システムにおいても利用され得る、ということが明瞭である。この検出器位置決め組立体は、サンプル支持部位置決め組立体の異なる構成と共に使用することも、ここまで説明されてきた位置検出システム無しで使用することも、可能である。
【0202】
ウェハチャック
半導体ウェハ20のためのサンプル支持部200は、ウェハの後面に吸引を適用することによって、各半導体ウェハを所定位置に保持する。これは、ウェハに対する損傷を回避する、周知のウェハ取り扱い技術である。図17は、サンプル支持部の平面図であり、サンプル支持部の平面状の上支持面612に形成された複数の同心の凹部ないし溝部610を示す。溝610は、径方向チャネル614によって真空ポート620に接続されている。ウェハが支持面612上に置かれる時、真空がポート620に適用される。これは、ウェハを支持面612に対して堅固に保持する。サンプル支持部の「撮像領域」は、半導体ウェハの一部のX線画像に現れ得る、サンプル支持部の一部である
【0203】
前述のX線検査システムでは、X線チューブ100からのX線が、検出器300に到達する前に、半導体ウェハを通過するだけでなくサンプル支持部200をも通過しなければならない。サンプル支持部は、従って、X線を過度な程度には減衰しないでX線を 回折する結晶構造を有しないという材料から形成されなければならない。好適な材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ベリリウム、アセタールである。
【0204】
もっとも、これらの材料でさえ、ある程度はX線を減衰させる。減衰の量(程度)は、X線が通過しなければならないサンプル支持部の厚みに依存する。溝610は、サンプル支持部の局所的な薄さに帰結するため、溝による厚みの変化のパターンが結果としてのX線画像に現れる。従来のウェハチャックの溝は、図19に示すように、平行な側壁と平坦な底部を有する断面矩形状であった。図19は、矩形の断面溝680を有するウェハチャック280を示している。X線画像が溝に広がる場合、ウェハチャック上の溝を通過するX線は、ウェハチャックの残りの部分を通過するX線よりも減衰の量が小さい。矩形の断面は、溝の鉛直の側壁により、ウェハチャックの厚みの変化が大変急激である。これは、X線画像のコントラストに非常に急激な変化をもたらし得て、それは、特にウェハの弱いコントラストの特徴について、画像を見えなくしたり混乱させたりし得る。これは、幾つかの場合には、画像の自動的な解析を遅くしたり、不可能にしたりする。
【0205】
この問題を最小化するために、矩形の断面を有する溝を提供するよりもむしろ、ウェハの裏面に吸引力を与えるために本発明で用いられる溝または凹部は、画像を見えなくしたり混乱させたりし得るX線画像内パターンをより少なくするべく、ウェハチャックの厚みについて小さい徐々の変化のみを提供する、というように構成されている。これにより、ウェハチャックの厚みは、急激な厚み変化を有するよりもむしろ、連続的に変化され、溝は比較的広く浅く作られる。
【0206】
図18は、本発明に従う図17の溝610の1つの概略断面である。この例では、溝は、約4.88mmの幅Wと、支持面の下方0.2mmの最大深さと、を有している。溝の側壁は、溝の第1側から第2側に向けて連続曲線状に延びている。当該曲線は、実質的に円弧状で、約16mmの最大曲率半径を有している。当該曲率半径は、溝の最大深さよりも、実質的に2桁大きい、ということが理解され得る。これは、ウェハチャックの厚みの変化率が小さいことを保証している。画像領域D内のサンプル支持部の最大厚みは、5mmである。
【0207】
溝のサイズ及び形状は、2つの競合する要件を満足しなければならない。溝は、ウェハの裏面に十分な吸引力を提供するのに、十分大きくなければならない。しかし、それらは、半導体ウェハ内または半導体ウェハ上の興味対象の特徴の画像を見えなくしたり混乱させたりしてはいけない。
【0208】
この例では、溝の深さは、2.44mmの半径距離に亘って0.2mmまで増大している。これは、0.2mm/5mm=0.04であるので、ウェハの厚みの4%の変化に対応する。溝を横切るウェハの厚みの平均変化率は、平坦な支持面に平行な行程1mmあたりの厚み変化0.2/2.44=0.08である。ウェハの厚みの最大変化率は、凹部の縁部であって、平坦な支持面に平行な行程1mmあたり約0.165mmである。
【0209】
溝Wの幅は、半導体ウェハ内の興味対象の典型的な特徴よりも、2桁大きい。溝は、鋭い端縁を有するよりもむしろ、その幅に亘って連続的に変化するので、検査にとって適切な倍率で、溝に亘っての全体の厚み変化の約1%だけが、興味対象の特徴の画像背景の変化として見られる。
【0210】
シリコンウェハ上の100μm直径のはんだバンプを検査する時、画像コントラストを調整するためのベースラインを決定するために、解析ソフトウェアは、バンプ領域の外側の4つの点を用いることができる。最悪の場合、これらの点は、互いから200μm離れている。はんだバンプが、チャックの厚み変化率が最大である溝の縁部を覆う場合、サンプル支持部の有効深さは、画像領域を横切って約0.66%だけ変化する。これは、深さの最大変化率×興味対象の領域の直径/チャックの最大厚み0.165×0.02/5≒0.0066%として計算される。これは、はんだパンプとその周辺領域とはんだバンプ内の任意の欠陥との間で提供されるコントラストと比較した、画像を横切る画像コントラストの有意な変化に上昇を与えない。
【0211】
溝や凹部に何ら鋭利な縁部を有しないことが望ましい。換言すれば、サンプル支持部の厚み変化の変化率は、低くあるべきである。これは、用いられる画像処理ソフトウェアの縁部検出アルゴリズムによって強調されるかもしれない鋭利な縁部がない、ということを保証するためである。一側から他側へ連続曲線状に延びる凹部を提供することによって、鋭利な縁部は、凹部自身の内部において回避される。凹部の縁部は、また、理想的には円滑であるべきである。図18に見られ得るように、溝610の縁部615は、鋭利な遷移部を除去するべく、丸められている。溝の側壁と平坦な支持面612との間の遷移領域の曲率半径は、約2mmの最小曲率半径を有している。
【0212】
これは、本発明に従うウェハ支持部の単なる一例であって、画像領域に亘っての支持部の厚み変化の低い最大変化率を提供する異なる溝の幾何形状が用いられ得ることが、明らかである。溝に要求される寸法は、明らかに、撮像される領域のサイズ及び性質に依存し、また、撮像されるサンプルの密度と比較してのサンプル支持部の材料の密度(これはX線がどの程度減衰するか、に緊密に関係する)に依存する。
【0213】
システム動作
ここまでに説明されたX線検査システムの様々な特徴は、自動的に互いに同期して動作するように制御され得る。特に、サンプル支持部の位置決めと検出器の位置決めとは、位置検知の構成からの測定によって協調される必要がある。エアームーバ、X線チューブ及びウェハハンドリング機構も、位置決め組立体に対して協調されなければならない。
【0214】
図20は、システムの制御可能な構成要素の各々の動作を協調させると共に、トモシンセシスモデルを提供するために要求されるデータを受容して処理するような、中央コントローラ500の利用を図示する概略図である。
【0215】
中央コントローラ500は、画像プロセッサ510を含み、システムの制御可能な構成要素の各々に接続されており、同様に、出力部520及び製造プラントインタフェース530に接続されている。
【0216】
コントローラ500は、X線チューブ100とFFU130の動作を制御する。それは、ウェハをサンプル支持部200上に置くために、及び、当該ウェハがシステム内で検査された後に当該ウェハをサンプル支持部200から取り出すためにシャッタを通って延びる自動ウェハハンドリング機構540を動作させる。それは、サンプル支持部位置決め組立体210を介してウェハを位置決めし、対応するように、検出器位置決め組立体310を介して検出器を制御する。それは、検出器からの出力を受容して、3次元モデルを作り上げる。それは、レーザ距離センサ400からの入力を受容して、X線源に対するウェハの鉛直位置を制御して衝突を回避する。レーザ距離センサ400からの入力は、画像倍率計算においても用いられる。それは、収集されるべき画像のため異なる位置に移動する時、サンプル支持部200の位置変化を示す干渉計からの入力をも受容する。
【0217】
コントローラは、予めプログラムされた連続動作に従って、サンプル支持部と検出器との移動を協調させ、前述のような初期較正を実施する。コントローラは、移動の3軸を有するサンプルステージと、移動の4軸を有してそのうちの2つが回転である検出器と、の両方を制御しなければならない。
【0218】
図21は、図20に示されたタイプのX線検査システムのための例示的な周期動作を示すフロー図である。システムは、工程700で起動される。この工程で、コントローラがスイッチオンされて、続いてFFUがスイッチオンされて、層状の空気流を確立させる。FFUは、システムの動作中、連続的に動作する。工程710において、ウェハハンドリング組立体540は、半導体ウェハをシステム内のサンプル支持部上にロードするべく動作される。本実施形態のウェハハンドリング組立体は、半導体製造プラントで用いられる従来のウェハハンドリング装置を含んでおり、本例では、前述のBrooks JET(登録商標)大気内トランスポートシステムユニットである。ウェハは、前述のように、吸引力を用いてサンプル支持部上に固定される。工程720において、サンプル支持部の最大高さが、図10乃至図12を参照して説明されたプロセスを用いて計算される。工程730において、X線チューブ100が起動されて、ウェハ上の興味対象の複数の異なる領域の投影(像)が、検出器300によって記録される。このプロセスにおいて、サンプル支持部200及び検出器300は、複数の所定の撮像位置にまで移動される。このプロセスは、矢印735によって示されたように、ウェハの興味対象の異なる領域毎に繰り返され得る。工程740において、興味対象の特定の領域の投影(像)が、トモシンセシスアルゴリズムを用いて処理されて、3次元モデルが生成される。画像プロセッサ510は、検出器からの記録された画像と、サンプル、サンプル支持部及び検出器の位置に関する各画像の関連情報と、を利用する。当該モデルは、工程750において、画像捕捉処理に関連する任意の他の収集データと共に、ディスプレイ及び/またはメモリー(記憶装置)に出力される。特定のウェハに対して要求される画像の全てが検出器300によって捕捉された後で、当該ウェハは、工程760において、ウェハハンドリング組立体540を用いてシステムからアンロードされて、新しいウェハが工程710においてロードされ得る。ウェハのアンロード(アンローディング)及びロード(ローディング)は、画像処理動作と同時に実施され得る。
【0219】
本システムは、半導体製造プラントに一体化され得る。自動的な半導体ウェハのサンプル支持部に対するロード(ローディング)及びサンプル支持部からのアンロード(アンローディング)が、ウェハ処理動作中の任意の所望の時点で、及び/または、ウェハ処理が完了した後で、標準的なウェハハンドリング装置を用いて達成され得る。位置決め組立体、検出器及びX線チューブのための制御ソフトウェアが、コントローラ500のために、製造プラント制御システムと一体化され得る。
図1
図2
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図5A
図5B
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