(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)が、テトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、エチレン、プロピレンおよび/またはイソブチレンとのコポリマーであり、ここで、非フッ素化モノマーと前記フッ素化モノマーのモル比は、70:30〜30:70であり、かつ前記コポリマーは、0.1〜30モル%の1種以上のフッ素化コモノマーおよび/または1種以上の非フッ素化水素含有コモノマーを任意選択で含む、請求項3に記載の組成物。
前記コポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)が、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン(HFIB)、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール(TTD)からなる群から選択される1種以上のフッ素化コモノマー、および/または酢酸ビニル、アクリル酸プロピオン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸(ヒドロキシ)エチルヘキシルからなる群から選択される1種以上の非フッ素化水素含有コモノマー、ならびにそれらの混合物を、0.1〜30モル%含む、請求項4または5に記載の組成物。
【背景技術】
【0003】
フルオロポリマーは、金属表面を風化作用または化学薬剤による腐食から保護するために広く使用されている。金属工業設備は、フルオロポリマーをベースとしたコーティングを使用して腐食から保護することができる。このようなコーティングは、攻撃的な環境に対する化学的不活性を保証し、ステンレスおよび炭素鋼、アルミニウム、銅、青銅、黄銅および特殊合金などの様々な表面上に直接塗布される必要があり得る。コーティングはまた、作業の間に摩擦および衝撃に耐えるために機械的に耐性でなければならず、かつ通常条件の間に過度にひびが入ったり、摩滅したりしてはならない。フッ素化材料、例えば、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)をベースとするものは、特に10g/分を超えるメルトフローインデックス(MFI)を有するものが、コーティングに使用されるために利用可能である。
【0004】
コーティングは、有機または水性溶媒中でポリマー分散液を用いること、および静電粉体コーティングによること、を含めて、様々なコーティング処理方法によって保護する表面に塗布することができる。しかしながら、コーティングの層に生じ得る欠陥、例えば、ピンホール、ひび割れおよびポロシティは、その化学的および機械的耐性を減少させる。損傷の可能性を減少させ、かつ潜在的な弱点を最小限にするために、通常はポリマーコーティングの複数の層が、所望の厚さが得られるまで金属製設備の表面に塗布される。これは、非常に長い作業を必要とし、その理由は、オーバーコーティング層を、下の層が乾燥された後でしか塗布することができないからである。さらに、複数の層間の接着は、不完全であり得、最終的に保護コーティングの不十分な性能を決定づける膨れ、剥離および座屈の現象をもたらす。
【0005】
フルオロポリマーコーティングの堆積ための主たる方法は、静電粉体コーティングおよび液体分散液の塗布である。
【0006】
静電粉体コーティングを介しての堆積は、コーティングされる金属表面が、接地され、かつコーティングポリマーの溶融範囲を超える温度に加熱されることを必要とする。加えて、一般に、コーティングされる表面は、コーティングの接着性を改善するために、事前に脱脂され、化学エッチングまたは機械的手段によって粗面化されなければならない(米国特許出願公開第2003/0031875A号明細書(AUSIMONT S.P.A.)2003年、2月13日。
【0007】
代替では、コーティングは、水性溶媒系中フルオロポリマーの分散液を使用して塗布することができる。この方法は、基材の接地を必要とせず、一般に静電粉体コーティングよりも簡単で、環境に優しく、かつエネルギー消費が少ない。コーティングに適した液体分散液の例は、米国特許出願公開第2009/0018244A号明細書(SOLVAYNORTHAMERICA,LLC)2009年1月15日に開示されている。液体フルオロポリマー分散液は、当業者に公知の様々な技術、例えば、ディッピング、吹付け、ロール法、ドクターブレード法またはフローコート法を使用してコーティングされる表面に塗布することができる。液体組成物が、表面前処理およびプライマー層の塗布が必要とされないように金属表面に直接塗布可能であることが有利である。
【0008】
米国特許出願公開第2011/213069A号明細書(THREEBONDCO.)2011年9月1日は、主成分として、成分(A)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー樹脂エマルション、ならびに成分(B)、異なる粒子直径を有する2種以上のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂粉末、すなわち、2〜20μmの平均粒子直径を有するPTFE樹脂粉末(b−1)および20〜100μmの平均粒子直径を有するPTFE樹脂粉末(b−2)を有する、水性コーティング組成物に関する。
【0009】
本発明の目的は、一様であり、かつ風化および化学薬剤からの表面の不十分な保護をもたらし得る不完全性を有しないフルオロポリマー系保護コーティングを得るように、表面に均一に塗布することができる液体組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、容易に塗布可能であり、かついくつかの層の堆積を必要としない、表面のための保護コーティングを提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の文脈において、特に断りのない限り、混合物中の成分の含有量に関するすべてのパーセンテージは、混合物の全重量に対するその成分の重量(重量%)である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「モルパーセンテージ」または「モルパーセント(モル%)は、混合物中のすべての成分の全量(モルで表された)で除し、100を掛けた混合物成分の量(モルで表された)を示す。
【0018】
本発明の文脈で使用される場合、用語「部分フッ素化コポリマー」は、少なくとも1個の水素を含む、少なくとも1種のエチレン性不飽和非フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位、および少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーを指す。
【0019】
本発明の文脈で使用される場合、用語「フッ素化モノマー」は、少なくとも1個のフッ素原子を含み、および任意選択で1個以上の追加のハロゲン原子(Cl、Br、I)を含み得る、低分子量を有する分子を示す。本発明の文脈でコポリマーに使用されるフッ素化モノマーは、パーフッ素化またはパー(ハロ)フッ素化単位(すなわち、ハロゲン原子だけを含み、水素原子を含まない分子、例えば、テトラフルオロエチレン、TFE、およびクロロトリフルオロエチレン、CTFE)、または水素が含有されるフッ素化分子、例えば、フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレン、のいずれかに由来し得る。
【0020】
本発明の文脈でコポリマーのための適当なフッ素化コモノマーの非限定的な例は、特に、C
3〜C
8パーフルオロオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン;C
2〜C
8水素化フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニル、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロパン(HFIB)、およびトリフルオロエチレン;式CH
2=CH−R
f0(式中、R
f0は、C
1〜C
6パーフルオロアルキルである)に適合するパーフルオロアルキルエチレン;クロロ−および/またはブロモおよび/またはヨードC
2〜C
6のフルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン;式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6フルオロ−またはパーフルオロアルキル、例えば、CF
3、C
2F
5、C
3F
7である)に適合する(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;CF
2=CFOX
0(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル(式中、X
0は、C
1〜C
12アルキル、またはC
1〜C
12オキシアルキル、または1個以上のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキル、例えば、パーフルオロ−2−プロポキシ−プロピルである);式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6のフルオロ−またパーフルオロアルキル、例えば、CF
3、C
2F
5、C
3F
7または1個以上のエーテル基を有するC
1〜C
6(パー)フルオロオキシアルキル、例えば、−C
2F
5−O−CF
3である)に適合する(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;式CF
2=CFOY
0(式中、Y
0は、C
1〜C
12アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル、または、C
1〜C
12オキシアルキル、または1個以上のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキルであり、Y
0は、カルボン酸基またはスルホン酸基を、その酸、酸ハライド、または塩の形態で含む)に適合する官能性(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;フルオロジオキソール、特にパーフルオロジオキソールである。好ましい実施形態において、部分フッ素化フルオロポリマーは、任意選択でTFEおよび/またはCTFEならびに水素化コモノマーの全モル数に基づいて、0.01〜30モル%の量で1種以上のコモノマーを含む、30:70〜70:30のモル比パー(ハロ)フルオロモノマー/水素化コモノマーの、エチレン、プロピレンまたはイソブチレン(より好ましくはエチレン)とのTFEおよび/またはCTFEコポリマーからなる群から選択される。(例えば、米国特許第3,624,250号明細書(DU PONT)1971年11月30日および米国特許第4,513,129号明細書(DAIKIN IND LTD)1985年4月23日参照)。好ましい実施形態において、本発明の組成物中、コポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)は、
i.少なくとも1個の水素原子を含む、少なくとも1種のエチレン性不飽和非フッ素化モノマーに由来する1〜75モル%の繰り返し単位;および
ii.少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する25モル%〜99モル%の繰り返し単位
を含む。
【0021】
さらにより好ましい実施形態において、部分フッ素化フルオロポリマーは、CTFEまたはTFEコポリマーである。これらのポリマーの中で、ECTFEポリマーが好ましい。
【0022】
より好ましい実施形態において、本発明の組成物中のコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)は、テトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、エチレン、プロピレンおよび/またはイソブチレンとのコポリマーである。テトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレン以外のモノマーと、エチレン、プロピレンおよび/またはイソブチレンとに由来する0.1%未満の繰り返し単位を含むコポリマーは、以下「二元コポリマー」と称される。
【0023】
CTFEまたはTFEコポリマーは、好ましくは
(a)35〜65モル%、好ましくは45〜55モル%、より好ましくは48〜52モル%のエチレン(E);
(b)65〜35モル%、好ましくは55〜45モル%、より好ましくは52〜48モル%のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)(ECTFEコポリマーの場合)および/またはテトラフルオロエチレン(TFE)(ETFEコポリマーの場合)
を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)は、テトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、エチレン、プロピレンおよび/またはイソブチレンとのコポリマーであり、0.1〜30モル%の1種以上のフッ素コモノマーおよび/または1種以上の非フッ素化水素含有コモノマーをさらに含む(以下:「三元コポリマー」)。
【0025】
好ましくは、コポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)は、テトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、エチレン、プロピレンおよび/またはイソブチレンとのコポリマーであり、ここで、非フッ素化モノマーとフッ素化モノマーのモル比は、70:30〜30:70、好ましくは35:65〜65:35または52:48〜48:52、より好ましくは50:50であり、かつ前記コポリマーは、0.1〜30モル%(モルで表された混合物中の成分の全量に対して)の1種以上のフッ素化コモノマーおよび/または1種以上の非フッ素化水素含有コモノマーを任意選択で含む(以下:「三元コポリマー」)。
【0026】
より好ましくは、前記コポリマーは、0.2〜10、さらにより好ましくは1〜6、最も好ましくは2〜4モル%(モルで表された混合物中の成分の全量に対して)の1種以上のフッ素化コモノマーおよび/または1種以上の非フッ素化水素含有コモノマーを含む。好ましくは、このような非フッ素化水素含有コモノマーは、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン(HFIB)、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PFPVE)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール(TTD)からなる群から選択され、ならびに/または1種以上の非フッ素化水素含有コモノマーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸(ヒドロキシ)エチルヘキシル、好ましくはアクリル酸もしくはアクリル酸n−ブチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
より好ましくは、前記1種以上のフッ素化コモノマーは、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン(HFIB)またはパーフルオロプロピルビニルエーテル(PFPVE)であり、さらにより好ましくはコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)中のHFIBまたはPFPVEの含有量は、(重量)/(モノマーの全重量)で3〜10%、最も好ましくは5〜6%である。
【0028】
上に述べられたものと異なる繰り返し単位をもたらす末端鎖、欠陥または微量のモノマー不純物は、これが材料の特性に影響を与えることなく、本発明の組成物中の好ましいコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)になお含まれ得る。
【0029】
本発明の組成物中のコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)のメルトインデックスは、有利には少なくとも0.2g/10分、好ましくは少なくとも0.5g/10分、より好ましくは少なくとも2g/10分である。本発明の組成物中のコポリマー(F)および/またはコポリマー(F’)のメルトインデックスは、有利には20g/10分未満、好ましくは18g/10分未満、より好ましくは15g/10分未満である。ECTFEポリマーのメルトインデックスは、2.16kgのピストン荷重下で、275℃で行われて、ASTM試験番号D 1238に従って測定される。本発明の組成物中第1および/または第2の粉末中のポリマーは、有利には180〜245℃(ECTFEベースコポリマー)または220〜270℃(ETFEベースコポリマー)の融点を有する。
【0030】
融点は、ASTM D3418に従い、10℃/分の加熱速度で、DSCにより決定される。
【0031】
部分a)または部分b)の粒子は、同じ部分フッ素化フルオロポリマーベースコポリマー、または2種の、もしくはそれを超える、異なる部分フッ素化フルオロポリマーベースコポリマーからなってもよい。好ましくは、部分a)または部分b)の粒子は、同じ部分フッ素化フルオロポリマーベースコポリマー(ポリマー(F)=ポリマー(F’))からなる。
【0032】
本発明の組成物は、固体部分および水性溶媒(すなわち、水からなる、またはそれを含む液体溶媒)を、固体部分が液体部分に均一に懸濁され得るような比で含む。好ましくは、本発明の組成物は、スラリー、すなわち、均一で、濃くかつ流動性の懸濁液、または溶媒との粉砕不溶性固体の流体混合物の形態である。本発明によるスラリーは、当業者に公知である標準的な方法によって調製することができ、そのきめ(texture)および濃さは、それをコーティング塗布(例えば、吹付けによる)に適するように、視覚的評価を使用して調整することができる。
【0033】
本発明の組成物中の固体部分と液体部分の比は、10:90〜60:40であることができる。好ましい実施形態において、組成物中の固体部分と液体部分の比は、(重量)/(本発明の組成物の全重量)で20:80〜50:50、より好ましくは35:65〜47:53である。好ましくは、本発明による組成物中で、固体部分の重量は、(重量)/(本組成物の全重量)で20〜50%である。
【0034】
本発明の組成物は、溶媒として水性混合物を含む。これは、コーティングプロセスの環境影響および関係する従業員の潜在的健康問題を減少させるために特に有利である。好ましくは、本発明による組成物は、水混和性有機溶媒を0.1〜20%の(重量)/(本組成物の全重量)で含む。好ましい実施形態において、本組成物は、水と水混和性有機溶媒の混合物を含み、ここで、有機溶媒は、(重量)/(液体部分の全重量)で0.1〜40%、好ましくは5〜30%、より好ましくは15〜25%である。非限定的な例として、このような有機溶媒は、アルコール、ポリオール、グリコール誘導体およびそれらの混合物であることができる。
【0035】
本明細書によって使用される場合、用語「アルコール溶媒」は、少なくとも1個のヒドロキシル基を含み、かつ前記ヒドロキシル基以外の官能基を含まない有機溶媒を示す。非限定的な例は、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノールおよびそれらの混合物である。本明細書によって使用される場合、用語「ポリオール」は、2個以上のヒドロキシル基を含む有機溶媒、例えば、2個のヒドロキシル基を含むジオール、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびに3個のヒドロキシル基を含むポリオール、例えば、グリセリンを示す。本明細書によって使用される場合、用語「グリコール誘導体」は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含み、ヒドロキシル基の少なくとも1個は、エーテルまたはエステル基の一部である、化合物に由来する溶媒を示す。好ましくは、少なくとも1種のグリコール誘導体溶媒は、少なくとも100℃の沸点を有する。好ましくは、本発明による組成物中のグリコール誘導体は、一般式(I):
に適合し、Rは、任意選択で1個以上のエーテル結合を含む、直鎖または分岐のC
1〜C
6二価炭化水素基であり;
XおよびYは、互いに等しいまたは異なり、独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐のC
1〜C
6アルキル基、または式−C(O)−R’(R’は、直鎖または分岐のC
1〜C
6アルキル基である)の基であり、但し、XおよびYの少なくとも一方は、水素原子でないことを条件とし、nは、1〜3の整数である。
好ましくは、本発明による組成物中のグリコール誘導体は、以下の式(II):
に適合し、式中、R2は、水素原子またはメチル基であり;
X
2およびY
2は、互いに等しいまたは異なり、独立して、水素原子、−R’’基または−C(O)−R’’基(R’’は、C
1〜C
4アルキル基である)であり、但し、X
2およびY
2の少なくとも一方は、水素原子でないことを条件とし;pは、1〜3の整数である。本発明の組成物中の好ましい水混和性溶媒は、イソブチルアルコール(IBA)、1−プロポキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールn−プロピルエーテル、PNP)、トリプロピレングリコール(TPG)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM)、((2−(2−メトキシメチルエトキシ)メチルエトキシ)−プロパノール(TPGメチルエーテル)およびそれらの混合物である。好ましくは、本発明の組成物中の水性溶媒と水の重量比は、1:3〜1:5、より好ましくは1:35〜1:45である。さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、IBA、PNP、TPMおよびTPGを、1.4:1.4:1:1〜1.3:1.3:1:1の比で含む。
【0036】
有利には、本発明による水性組成物は、可燃性でなく、すなわち、試験ASTM 4206およびADR(L.2)の燃焼要件に適合することがわかった。
【0037】
本発明の文脈内で、用語「粒子」は、幾何学的観点から、3つの寸法により特徴づけされる、確定された3次元の体積および形状を有し、前記寸法のいずれも200%を上回る残りの2つの他の寸法を超えない材料の塊を意味するように意図される。粒子は、一般に等しい寸法でなく、すなわち、それは、一方向でその他におけるより長い。粒子の形状は、特に球形度Φ
sによって表され、これは、粒子サイズと無関係である。粒子の球形度は、その粒子と等しい体積を有する球の表面積−体積比と、その粒子の表面積−体積比との比である。直径D
p、Φ
s=1の球形粒子の場合;非球形粒子について、球形度は、
Φ
s=(6.v
p)/(D
p.S
p)
と定義され、
式中:
Dpは、粒子の相当直径であり;
Spは、1粒子の表面積であり;
vpは、1粒子の体積である。
相当直径は、等体積の球の直径と定義される。Dpは、通常ふるい分析または顕微鏡分析に基づく名目サイズであると見なされる。表面積は、吸着測定または粒子の床における圧力降下から見出される。ポリマー(F)またはポリマー(F’)の粒子は、好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.65、さらにより好ましくは少なくとも0.7の球形度Φ
sを有する。良好な結果は、0.7〜0.95のΦ
sを有する粒子によって得られた。
【0038】
ポリマー(F)およびポリマー(F’)の粒子は、一般に懸濁重合から得られる。したがって、粒子という用語は、溶融状態のポリマーをストランドに押し出し、ストランドをペレットにチョップする場合に得られるペレットから区別できると意図されるべきである。
【0039】
本発明の目的のために、ポリマー(F)またはポリマー(F’)粒子の平均粒子サイズは、特に、当業者に周知である、ASTM D1921規格(比較的大きい粒子のための)に従って、標準ふるい分け法によって、またはISO13321規格(比較的小さい粒子のための)に従って、光子相関分光法(PCS)によって測定することができる。
【0040】
本発明のある実施形態において、平均粒子サイズ分布(PSD)は、試験法ASTM D1921(B法)によって、乾燥ふるい分析により決定することができる。
【0041】
本発明の組成物中の粒子のサイズ分布は、二峰性であり、すなわち、PSDの2つの主たるピークが存在し、これらは、第1の粉末(a)および第2の粉末(b)のD50値に対応する。
【0042】
好ましくは、第1の粉末の粒子は、4〜5.5マイクロメートル、より好ましくは約5マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有し、および/または第2の粉末の粒子は、約25〜40、より好ましくは30マイクロメートル、もしくは約55〜85、より好ましくは約70〜82、最も好ましくは約80マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する。
【0043】
好ましくは、第2の粉末の粒子は、第2の粉末の粒子は、約20〜40、より好ましくは30マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有するEFTEもしくはECTFE二元コポリマーからなるか、または約55〜85、より好ましくは約70〜82、最も好ましくは約80マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有するETFEもしくはECTFE三元コポリマーからなる。
【0044】
より好ましい実施形態において、本発明による水性組成物は、固体部分および液体部分を含み、ここで、
a)(重量)/(固体の部分の全重量)で20〜25%は、3〜6マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する粒子の形態で、少なくとも1種の部分フッ素化コポリマー(コポリマー(F))の第1の粉末からなり;
b)(重量)/(固体部分の全重量)で75〜80%は、20〜90マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する粒子の形態で、コポリマー(F)に等しいまたは異なる、少なくとも1種の部分フッ素化コポリマー(コポリマー(F’))の第2の粉末からなる。
【0045】
さらにより好ましくは、本発明による水性組成物は、固体部分および液体部分を含み、ここで、
a)(重量)/(固体部分の全重量)で20〜22%は、約3〜6マイクロメートル、最も好ましくは約5マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する粒子の形態で、少なくとも1種の部分フッ素化コポリマー(コポリマー(F))の第1の粉末からなり、
b)(重量)/(固体部分の全重量)で78〜80%は、約60〜80マイクロメートル、最も好ましくは約80マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する粒子の形態で、コポリマー(F)に等しいまたは異なる、少なくとも1種の部分フッ素化コポリマー(コポリマー(F’))の第2の粉末からなる。
【0046】
本発明者らは、本発明の組成物が、有利には、その特性および/または表面上での組成物の塗布により得られ得るコーティングの性能を改善する他の物質を含み得ることを見出した。
【0047】
適当な任意選択の物質は、1種以上の添加剤、例えば、酸化防止剤、例えば、ADKP(無水リン酸二カリウム)およびDSTDP(ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート)、紫外線防止剤、熱安定剤、酸捕捉剤、殺生物剤、例えば、Kathon(登録商標)(The Dow Chemical Company)、防錆剤、例えば、リン酸トリブチル、界面活性剤、例えば、Mackamine LA(登録商標)(Rhodia)またはGenaminox(登録商標)(Clariant)、消泡剤、例えば、Rhodosil(登録商標)EP/6703、チクソトロピー添加剤(レオロジー調整剤)、例えば、尿素−変性ポリウレタン(例えば、BYK−Altanaグループにより製造された、BYK−420(登録商標)およびBYK−425(登録商標))、シリケートおよび合成クレー、ポリヒドロキシカルボン酸エステル、ならびに無機塩、例えば、硝酸カリウムを含む。一般に、これらの成分のそれぞれは、存在する場合、(重量)/(本組成物の固体部分の重量)で0.01%〜5%の量で含まれる。
【0048】
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種のチクソトロピー剤を含む。少なくとも1種のチクソトロピー剤(すなわち、レオロジー添加剤)の存在は、本発明による組成物の安定性を増強し、その結果、それが、穏やかな攪拌または振とうによって均一な分散液として形成または得られた後に、保存12〜24時間までさらなる処理なしで吹付けコーティングによって塗布することができることがわかった。より好ましくは、本発明による組成物中前記少なくとも1種のチクソトロピー剤の量は、(重量)/(本組成物の固体部分の重量)で0.01〜2%である。最も好ましくは、前記少なくとも1種のチクソトロピー剤は、尿素変性ポリウレタン(例えば、BYK−Altanaグループにより製造されたBYK−420(登録商標)およびBYK−425(登録商標))、シリケートまたは合成クレー、およびそれらの混合物である。
【0049】
ある態様において、本発明は、上で定義されたとおりの組成物を製造するための方法であって、3〜6マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有するコポリマー(F)粒子の第1の粉末と20〜90マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有するコポリマー(F’)粒子の第2の粉末とを含む固体部分を水性溶媒系中でブレンドする工程を含み、ここで、第1の粉末の重量は、固体部分の全重量に対して重量で15〜30%であり、かつ第2の粉末の重量は、固体部分の全重量に対して重量で85〜70%である、方法に関する。
【0050】
好ましくは、本発明による方法において、溶媒水性系は、水を含み、少なくとも1種のグリコール誘導体溶媒は、少なくとも100℃の沸点を有する。好ましくは、本発明による方法におけるグリコール誘導体は、一般式(I):
に適合し、
Rは、1個以上のエーテル結合を任意選択で含む、直鎖または分岐のC
1〜C
6二価炭化水素基であり;
XおよびYは、互いに等しいまたは異なり、独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐のC
1〜C
6アルキル基、または式−C(O)−R’(R’は、直鎖または分岐のC
1〜C
6アルキルである)の基であり、但し、XおよびYの少なくとも一方は、水素原子でないことを条件とし、nは、1〜3の整数である。好ましくは、本発明による方法におけるグリコール誘導体は、以下の式(II):
に適合し、式中、R2は、水素原子またはメチル基であり;
X
2およびY
2は、互いに等しいまたは異なり、独立して、水素原子、−R’’基または−C(O)−R’’基(R’’は、C
1〜C
4アルキル基である)であり、但し、X
2およびY
2の少なくとも一方は、水素原子でないことを条件とし;pは、1〜3の整数である。本発明の方法で使用される好ましい水混和性溶媒は、イソブチルアルコール(IBA)、1−プロポキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールn−プロピルエーテル、PNP)、トリプロピレングリコール(TPG)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM)、((2−(2−メトキシメチルエトキシ)メチルエトキシ)−プロパノール(TPGメチルエーテル)、およびそれらの混合物である。好ましくは、本発明の方法における水性溶媒と水の重量比は、1:3〜1:5、より好ましくは1:35〜1:45である。さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、IBA、PNP、TPMおよびTPGを、1.4:1.4:1:1〜1.3:1.3:1:1の比で含む。
【0051】
別の態様において、本発明は、コーティングとしての上で定義された通りの組成物の使用、および上記のとおりの組成物を使用してコーティングされた物品を提供する。
【0052】
本発明者らは、上で定義されたとおりの組成物が、有利には、物品の表面をコーティングして、風化作用および腐食に対する耐性を与え、機械的特性を改善するために使用することができることを見出した。
【0053】
特に、本発明の組成物は、消泡剤の添加なしでコーティングプロセスにおいて調製し、かつ都合よく使用することができることがわかった。このような剤は、一般に、工業設備に対するプロセスの拡張性を妨げ得る、泡の形成を回避するために必要とされる。しかしながら、本コポリマー分散液中の消泡剤の存在は、表面への吹付け塗布中の加熱後にコーティングの実質的な変色をもたらすことがわかった。事実、表面へのコーティングの塗布は、一般にフルオロポリマーの融点、例えば、ECTFEポリマーについて260〜265℃をわずかに超える温度で、20〜40分間行われる。初期に白色である、消泡剤(例えば、シリカ担持ポリジメチルシロキサン)を含有するフルオロポリマーベースコーティングは、260〜265℃で加熱後に茶色がかった色から黄褐色に変わることが認められた。主として美的問題であるが、これは、コーティングされた物品の外観にとって有害と認められ、コーティングの利用分野を制限し得る。
【0054】
有利には、本発明による組成物は、消泡剤の添加を必要としない。事実、泡は、コーティングとしての本発明の組成物の形成および塗布の間に認められない。理論に拘束されることを望まないが、これは、特定の比での小さい粒子サイズを有する粒子と、比較的大きい粒子サイズを有する粒子との組合せのためと思われ、これは、泡の形成なしに水性溶媒中で適当な濡れおよび容易な分散をもたらす。特に、本発明の組成物でコーティングされた表面がフルオロポリマーの溶融範囲を超える温度で加熱される場合、ほとんどまたはまったく色の変化は認められない。本発明による組成物の使用は、有利には改善された外観および腐食耐性を有するコーティングされた物品をもたらし、これにより、広範な用途が見出される。
【0055】
本発明の範囲内のコーティングされた物品の非限定的な例は、ベアリング、バルブ、電線、金属箔、ボイラー、インペラー、チューブ、パイプ、船底、オーブンライニング、アイロンの底部プレート、焼き型、炊飯器、グリルパン、電気ポット、製氷トレイ、スノープラウシャベル、スペード、シュート、コンベヤ、ロール、金属ダイ、ダイ、ノコギリ、ファイル、ドリルなどの工具、キッチンナイフ、挟み、ホッパー、他の工業用容器(特に半導体工業のための)、および鋳型を含む。
【0056】
本発明によってコーティングすることができる材料の非限定的な例には、ガラス、セラミックス、複合材料、金属および金属合金、例えば、鉄、鋼、特に炭素鋼およびステンレス鋼、銅、スズ、アルミニウム、青銅、黄銅、ならびに例えば、粉末またはチップ形態での、金属を含有する材料が含まれる。
【0057】
フルオロポリマーベース組成物の有利な接着特性によって、予備処理は、一般に本発明によるコーティングの塗布前に必要とされないが、コーティングされる表面は、任意選択で前処理または粗面化されて、追加的にコーティング層の接着性を改善することができる。このような処理の非限定的な例には、プライマー処理、脱脂、エッチング、サンドブラストなどが含まれる。
【0058】
好ましくは、本出願による組成物は、プライマーの予備塗布なしに、処理される表面に直接、コーティングとして塗布され、したがって、コーティングプロセスのコストおよび全体的な期間を節約する。
【0059】
代わりに、本発明の組成物によるコーティング前に、プライマーを表面に塗布することができる。使用され得るプライマーの非限定的な例は、米国特許出願公開第2005070659A号明細書(SOLVAY)2005年3月31日およびその中に引用された参考文献に記載されたものである。
【0060】
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0061】
以下の実施例は、本発明を例証するために提供され、それらは、その範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0062】
実施例1
出発材料:
コポリマーA(ECTFE)コポリマー(Solvay Specialty Polymers Italy製);
平均PSD(D50):5μm、試験法ASTM1921
コポリマーB(エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー、
ECTFE)コポリマー(Solvay Specialty Polymers Italy製);平均PSD(D50):80μm、試験法ASTM1921
リン酸トリブチル
硝酸カリウム
メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(Kathon(登録商標))、イソブチルアルコール(IBA)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(PNP)、
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM)、トリプロピレングリコール(TPG):すべて、The Dow Chemical Companyにより供給される
ラウラミンオキシド(LA):Mackamine(登録商標)LA(Rhodiaにより供給される)
【0063】
チクソトロピー剤(レオロジー調整剤):BYK−420(登録商標)(BYK−Altanaグループにより供給される)
【0064】
組成物の調製のための手順
実施例1
PNP(13.9g)、IBA(13.9g)、TPM(10.4g)およびTPG(10.4g)の混合物を、1Lの容器中水(201.5g)に溶解させた。次いで、リン酸トリブチル(2.5g)、ピロリン酸ナトリウム(2.5g)、LA(12.5g)、硝酸カリウム(0.5g)およびKathon(登録商標)(1ppm)を添加した。次いで、この混合物を、機械的溶解機(Dispermat(登録商標)LC)を使用して5分間穏やかに攪拌して(約1000rpm)、透明で均一な溶液を得た。この溶液に、PSD(D50)=5μmを有する
ECTFEコポリマーA(57.9g)を、穏やかな機械的攪拌(500rpm)下で5分かけて少量ずつ添加した。次いで、この懸濁液に、PSD(D50)=80μmを有する
ECTFEコポリマーB(173.6g)を、穏やかな機械的攪拌(500rpm)下で10分かけて少量ずつ添加した。このようにして得られた懸濁液を、機械的溶解機(Dispermat(登録商標)LC)を使用して20分間激しく攪拌した(約2500rpm)。このようにして得られた組成物は、懸濁液を振とうまたは攪拌4時間後まで液体部分と固体部分との間に明白な分離はまったく認め得なかったという点で、均一であった。均一な分散液は、長期保存(2〜7日間)後の組成物の穏やかな攪拌または振とう後に容易に形成された。このスラリーは、均一分散液が得られた24時間後までの間吹付け技術によるコーティングとしての塗布に適した。
【0065】
実施例2
2.5gのBYK−420(登録商標)を添加し、水の量は200gであり、およびPSD(D50)=80μmを有する
ECTFEコポリマーBの量が172.6gであった以外は、実施例1のとおりの手順によって、および同じ原料を使用して、組成物を調製した。このようにして得られた組成物は、懸濁液の振とうまたは攪拌24時間後まで液体部分と固体部分との間の明白な分離はまったく認め得なかったという点で、均一であった。均一な分散液は、長期保存(7〜10日間)後の組成物の穏やかな攪拌または振とう後に容易に形成された。このスラリーは、均一な分散液が得られた48時間後までの間、吹付け技術によるコーティングとしての塗布に適した。
【0066】
比較例1
平均PSD(D50)=80μmを有するECTFEコポリマーB粉末(231.5g)だけを使用したことを除いて、実施例1の出発材料および手順を使用して、比較組成物を調製した。固体部分の完全分離が、初期懸濁液から10分後に認められた。10分後の完全分離は、1%のレオロジー調整剤(BYK−Altanaグループにより供給されるBYK−420(登録商標))をさらに含む上記比較組成物についても認められた。したがって、レオロジー調整剤の添加は、3〜6マイクロメートルの平均サイズ(D50)を有する粒子の形態での少なくとも1種の部分フッ素化コポリマー(コポリマー(F))の第1の粉末の非存在下で組成物の挙動を増強しない。この比較組成物は、吹付け装置のノズルを直ちに閉塞させたので、吹付け技術を使用してのコーティングとしての塗布に適さなかった。
【0067】
比較例2
平均PSD(D50)=5μmを有するECTFEコポリマーA粉末(231.5g)だけを使用した以外は、実施例1の出発材料および手順を使用して、比較組成物を調製した。平均PSD(D50)=5μmを有するECTFEコポリマーA粉末は、水性溶媒系中で濡れ性でなく、容器の底に密集ペーストを形成し、これは分散させることができなかった。
【0068】
コーティング手順:
ステンレス鋼試験片の表面をサンドブラストし(16メッシュ砂を使用して)、実施例1の組成物を前処理表面上に25℃で吹き付けた。次いで、コーティングされた試験片を265℃に50分で徐々に加熱し、265℃で15分間維持した。次いで、試験片を25℃に冷却させた。
【0069】
ひび割れおよび目に見える不完全性を有しない、一様なコーティングが表面上で得られた。コーティングされた試験片の加熱/冷却後に変色はまったく認められなかった。
【0070】
コーティングされた試験片上に同じ手順を繰り返して、コーティングの第2の層を塗布し(第2のコーティングの温度=70℃以下)、視覚的外観の点で同様の結果を得た。
【0071】
任意選択で、コーティングの追加の層を塗布することができる。