(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691566
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】天然ハーブ防虫剤包装体
(51)【国際特許分類】
A01N 25/18 20060101AFI20200421BHJP
A01N 65/28 20090101ALI20200421BHJP
A01N 65/22 20090101ALI20200421BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20200421BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20200421BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20200421BHJP
B65D 81/28 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
A01N25/18 102A
A01N65/28
A01N65/22
A01N65/00 A
A01N25/00 102
A01P17/00
B65D81/28 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-61037(P2018-61037)
(22)【出願日】2018年3月28日
(65)【公開番号】特開2019-172599(P2019-172599A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】302072240
【氏名又は名称】東洋除虫菊株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】土井 清貴
(72)【発明者】
【氏名】末冨 明孝
【審査官】
石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−068918(JP,A)
【文献】
特開2013−226523(JP,A)
【文献】
特開2016−185898(JP,A)
【文献】
特開2014−040409(JP,A)
【文献】
特開平11−056894(JP,A)
【文献】
特開2002−113828(JP,A)
【文献】
特開2016−043514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコールにより表面処理されたB型シリカゲル粒子の表面に、ユーカリ油とメントン油とを体積比で20:80乃至80:20の比率にて含むハーブ油混合物が坦持された天然ハーブ防虫剤、但し、この天然ハーブ防虫剤は、目開き2.36mmの標準篩を通過する微細粒子を60質量%以上含有する天然ハーブ防虫剤である、そしてこの天然ハーブ防虫剤を内包するユーカリ油とメントン油の各々の香気成分が透過する袋体を含む天然ハーブ防虫剤包装体。
【請求項2】
天然ハーブ防虫剤が、目開き2.36mmの標準篩を通過し、目開き1.70mmの標準篩を通過しない粒子を60質量%以上含有する請求項1に記載の天然ハーブ防虫剤包装体。
【請求項3】
袋体が、L−LDPEフィルム、LDPEフィルム及びスパンボンド不織布をこの順に積層して形成した積層体シートから形成した袋体であって、L−LDPEフィルムが内側となるようにして袋状とした袋体である請求項1もしくは2に記載の天然ハーブ防虫剤包装体。
【請求項4】
袋体の積層体シートの総厚みが50−200μmの範囲にあって、L−LDPEフィルムの厚さとLDPEフィルムの厚さが、それぞれ順に、20−40μmの範囲と10−30μmの範囲にあり、そして、スパンボンド不織布の目付が、10−50g/m2の範囲にある請求項3に記載の天然ハーブ防虫剤包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ハーブ防虫剤包装体に関し、特に、衣料などの繊維製品を害虫から保護するために有利に使用できる天然ハーブ防虫剤包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維製品を保存する際に、コイガやヒメカツオブシムシなどの繊維害虫による繊維製品の食害を防ぐために用いられる防虫剤として、従来、パラジクロロベンゼンやピレスロイド系化合物などの合成化合物を有効成分とする防虫剤が一般的に用いられてきた。しかしながら、これらの合成化合物については、その防虫剤成分としての有効性は確認されているものの、強い刺激臭を示すものが多いこと、そして化合物によっては、人体に対する安全性に疑問が持たれる化合物もあるところから、近年では、刺激臭が弱く、また人体に対する安全性も高い天然ハーブを防虫成分として用いた天然ハーブ防虫剤の使用も一般的になっている。
【0003】
特許文献1には、コイガやヒメカツオブシムシなどの繊維害虫が、ユーカリ油とメントン油との20:80乃至80:20の混合物(精油混合物)に対して忌避行動を示すとの確認結果に基づく発明として、その精油混合物をプロピレングリコールなどのグリコールで表面処理した粒状担体に坦持させて調製した防虫剤が開示されている。粒状担体の例としては、シリカゲルやセルロースビーズが記載されているが、なかでも、調湿効果のあるシリカゲルが推奨されている。ただし、複数種知られているシリカゲルの内のどのようなタイプのものの使用が可能であるか、あるいは好ましいかの点についての開示は一切見られず、またシリカゲルの粒径に関する記載は見られない。さらに当該防虫剤を袋体に収容して用いることの記載もない。
【0004】
特許文献2には、多くの香油成分に含まれるエーテル結合を有する炭素数10個の環式化合物を有効成分とする防虫剤が開示されている。そして、この防虫剤を濾紙あるいは布製小袋に包んだ防虫剤包装体としての使用の例の記載がある。また、防虫剤が油性物質であることを考慮して、これをタルク、シリカゲル、パルプマット、濾紙に吸着させて使用することの記載もある。しかしながら、タルクやシリカゲルなどの粒状担体に関しては、それ以上の詳しい記載は見られない。
【0005】
特許文献3には、メントンを有効成分として含有する防虫剤が開示されいる。そして、メントンが粘ちょうな液体であることを考慮して、このメントンをペーパーボードやゼオライトのような担体に含浸させ、通気性のある和紙の袋やプラスチックまたは防湿セロファン等に適宜小孔を穿った袋に収容することの記載がある。
【0006】
特許文献4には、クロルピリフォスを有効成分とし、シリカゲル、プロピレングリコール及びアクリルポリマーが混合されていなる害虫駆除塗布剤が開示されている。この害虫駆除塗布剤は、建造物の床、畳床、壁、家具あるいはカーペット等に塗布されて使用される防虫剤であり、従って、防虫剤を袋体に収容して用いることの記載はなく、またシリカゲルのタイプや粒度に関する記載も見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−68918号公報
【特許文献2】特開昭52−110823号公報
【特許文献3】特開昭62−283903号公報
【特許文献4】特開昭63−156706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の発明者は、特許文献1に記載のユーカリ油とメントン油との体積比で20:80乃至80:20の混合物(精油混合物)をグリコールで表面処理した粒状担体に坦持させて調製した防虫剤の有効性をさらに活かすために、その防虫剤のさらに有効な使用態様を見出すことを課題として、詳しい研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、上記の研究の結果、担体のシリカゲルとして、B型シリカゲル粒子を用い、かつ防虫剤を、ユーカリ油とメントン油の各々の香気成分が透過する袋体を用いて包装した包装体として使用することが、家庭内に置かれるタンスや戸棚あるいは衣装函などの繊維製品収納具に長期にわたって配置する防虫剤の使用として特に有利であることを見出した。
【0010】
従って、本発明は、グリコールにより表面処理されたB型シリカゲル粒子の表面に、ユーカリ油とメントン油とを体積比で20:80乃至80:20の比率にて含むハーブ油混合物が坦持された天然ハーブ防虫剤そしてこの天然ハーブ防虫剤を内包するユーカリ油とメントン油の各々の香気成分が透過する袋体を含む天然ハーブ防虫剤包装体を提供する。
【0011】
本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の好ましい態様は、以下に示す。
(1)天然ハーブ防虫剤が、目開き2.36mmの標準篩を通過する微細粒子を60質量%以上含有する。
(2)天然ハーブ防虫剤が、目開き2.36mmの標準篩を通過し、目開き1.70mmの標準篩を通過しない粒子を60質量%以上含有する。
【0012】
(3)上記袋体が、L−LDPEフィルム、LDPEフィルム及びスパンボンド不織布にこの順に積層して形成した積層体シートから形成した袋体であって、L−LDPEフィルムが内側となるようにして袋状とした袋体である。
(4)袋体の積層体シートの総厚みが50−200μmの範囲にあって、L−LDPEフィルムの厚さとLDPEフィルムの厚さが、それぞれ順に、20−40μmの範囲と10−30μmの範囲にある。そして、スパンボンド不織布の目付が、10−50g/m
2の範囲にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の天然ハーブ防虫剤包装体は、コイガやヒメカツオブシムシなどの繊維害虫に対する防虫成分(繊維害虫忌避成分)として有効なユーカリ油とメントン油との混合物の香気成分(防虫成分に相当する)を継続的に包装体の外部に適量(防虫剤として作用するための有効量)ずつ放出しながら、その防虫剤としての有効性を長期にわたって維持する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した天然ハーブ防虫剤包装体をA−A線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の天然ハーブ防虫剤包装体を、添付図面の
図1と
図2とを参照して更に詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明に従う天然ハーブ防虫剤包装体の構成の例を示す平面図であり、
図2は、
図1に示した天然ハーブ防虫剤包装体をA−A線に沿って切断した断面図である。
【0017】
図1と
図2に見られるように、本発明の天然ハーブ防虫剤包装体10は、粒状物の集合体としての天然ハーブ防虫剤11と、これを内包する、透明、半透明あるいは不透明の積層体シートから構成された袋体12とからなる。
【0018】
本発明の天然ハーブ防虫剤包装体10で用いられる天然ハーブ防虫剤11は、グリコールにより表面処理されたB型シリカゲル粒子の表面に、ユーカリ油とメントン油とを体積比で20:80乃至80:20の比率にて含むハーブ油混合物を坦持させた粒状の防虫剤である。
【0019】
グリコール(例えば、プロピレングリコール)により表面処理されたシリカゲル粒子の表面に、ユーカリ油とメントン油とを体積比で20:80乃至80:20の比率にて含むハーブ油混合物を坦持させた粒状の防虫剤については、その製造方法と天然ハーブ防虫剤としての有効性と共に、前述の特許文献1に詳しい記載があるので、その特許文献1の記載全体を本明細書の記載とする。
【0020】
ただし、特許文献1には、前述のように、本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の天然ハーブ防虫剤の構成材料であるB型シリカゲル粒子についての記載が見られないので、以下に詳しく説明する。
【0021】
シリカゲル粒子は、単にシリカゲルとも呼ばれる化成品であって、ケイ酸のコロイド溶液を凝固させることにより生成する粒状物であり、JISでは、主として吸湿率の違いに着目して、A型タイプのシリカゲル(A型シリカゲルあるいはシリカゲルAとも呼ばれる)とB型タイプのシリカゲル(B型シリカゲルあるいはシリカゲルBとも呼ばれる)とに分類されている。A型シリカゲルは、B型シリカゲルに比較して、1g当たりの細孔の表面積が大きいことが特徴の一つであって、食品の包装用乾燥剤、あるいは電子製品、精密部品、光学機器、医薬品などの湿害防止用乾燥剤として一般的に使用されている。一方、B型シリカゲルは、A型シリカゲルに比較して細孔の径が大きいことが特徴の一つであって、主に楽器、船舶、床下調湿、家庭用調湿などの用途に用いられている。
【0022】
本発明の発明者は、上述のA型シリカゲルとB型シリカゲルの特性を比較検討した結果、本発明の天然ハーブ防虫剤の製造に際しては、シリカゲルに坦持させる香気成分を含む精油混合物は粘性の高い油性物質であることから、その効果的な坦持のためには、表面積の大きなA型シリカゲルよりも、細孔の径が大きいB型シリカゲルを用いることが有利であろうと推測し、担体として、このB型シリカゲルを用いて天然ハーブ防虫剤を調製したところ、推測通り、B型シリカゲルは、精油混合物を粒子内部に高濃度に吸着あるいは収容し、その結果、粒子表面がべとつくことがなく、かつ長期にわたる天然ハーブ防虫剤の使用においても、その香気成分の保持が可能であることを確認した。
【0023】
本発明の発明者は、さらにB型シリカゲルの粒度分布が天然ハーブ防虫剤の防虫性能(害虫忌避性能)に与える影響を調べる目的で研究を続けた。そして、その結果、目開き2.36mmの標準篩を通過するような微細粒子を60質量%以上含有する天然ハーブ防虫剤が得ることのできる微細なB型シリカゲル粒子を精油混合物の担体として用いて製造した天然ハーブ防虫剤は、防虫成分として有効な香気成分が適量透過する袋体に収容した製品形態の天然ハーブ防虫剤包装体として、タンスや戸棚あるいは衣装函などの繊維製品収納具内に、例えば、半年(6ヶ月)というような長期にわたって使用(配置)した場合でも、その香気成分の継続的な発散が継続し、従って、繊維害虫忌避効果を有効に持続することを確認した。
【0024】
なお、上述した微細なB型シリカゲル粒子は、精油混合物の坦持作業や袋体への収容作業の効率を考慮すると、過度に微細な粒子を多く含むことは不利になるため、目開き2.36mmの標準篩を通過し、目開き1.70mmの標準篩を通過しない粒子を60質量%以上含有する天然ハーブ防虫剤が生成するように粒度調整がされたB型シリカゲル粒子を担体として用いることが本発明の天然ハーブ防虫剤を製造するためには、最も有利であることも確認した。
【0025】
本発明の天然ハーブ防虫剤包装体は、上述の天然ハーブ防虫剤を、ユーカリ油とメントン油の各々の香気成分が透過する袋体に収容して使用する。すなわち、家庭での繊維収納具内部で防虫剤を使用する場合、例えば、季節の変わり目毎(3ヶ月毎)あるいは半年毎(6ヶ月毎)に防虫剤を交換することが多いため、通常の防虫剤の有効期間(通常条件での使用での防虫効果の有効性が期待される期間)は6ヶ月とされることが多い。上述の天然ハーブ防虫剤についても、そのような有効期間を考慮すると、袋体に収容して使用することが好ましいことも確認した。ただし、袋体は、ユーカリ油とメントン油の各々の香気成分が透過する袋体である必要がある。
【0026】
本発明の発明者は、さらに本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の袋体を構成するシート状物の構成についても検討を重ねた。その結果、本発明の天然ハーブ防虫剤包装体は、L−LDPEフィルム、LDPEフィルム及びスパンボンド不織布にこの順に積層して形成した積層体シートから形成した袋体であって、L−LDPEフィルムが内側となるように袋状とした袋体を用いる包装体として使用することが好ましいことを見出した。このような構成を持つ積層体シートを袋状にした構成して得た袋体に上述の天然ハーブ防虫剤を収容して用いることにより、袋体の内部に収容した天然ハーブ防虫剤に含まれるユーカリ油とメントン油の各々の香気成分(この香気成分が繊維害虫忌避効果をもたらす)が袋体の外部に適度な早さで発散され、かつ例えば、6ヶ月というような長期の保存でも、継続して、繊維害虫忌避効果が持続される。
【0027】
なお、上記の袋体を構成する「L−LDPEフィルム」と「LDPEフィルム」は、それぞれ、「直鎖状低密度ポリエチレンフィルム」と「分岐低密度ポリエチレンフィルム」を意味し、それぞれの名称の製品として販売されており、各フィルム自体は市場で入手可能である。本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の袋体で用いるシート状物は、スパンボンド不織布に、L−LDPEとLDPEとの積層体フィルムを押し出しラミネートさせて製造したものであることが望ましい。
【0028】
そして、本発明の天然ハーブ防虫剤包装体の袋体では、袋体の積層体シートの総厚みが50−200μmの範囲にあって、L−LDPEフィルムの厚さが20−40μmの範囲そしてLDPEフィルムの厚さが10−30μmの範囲にあることが好ましく。また、スパンボンド不織布の目付が、10−50g/m
2の範囲にあることが好ましい。このような積層体シートから形成した袋体を用いることが、袋体の内部に収容される天然ハーブ防虫剤の長期にわたる使用での防虫剤としての有効性の安定な確保のために望ましい。
【実施例】
【0029】
[実施例1]−粒子径分布の影響の確認
(1)評価試料の作成
公称の粒度分布が1−3mmのB型シリカゲル(粒状物)を入手し、このB型シリカゲル60kgとプロピレングリコール10kgとを攪拌機を用いて均一に混合することにより、プロピレングリコールで表面処理したB型シリカゲルを調製した。
続いて、上記のようにしてプロピレングリコールで表面処理をしたB型シリカゲル70kgと、ユーカリ油とミント油との50:50(体積比)の混合物(精油混合物)16kgとを、攪拌機により均一に混合して、精油混合物が吸着されたB型シリカゲル(粒状防虫剤)を調製した。
次に、上記の粒状防虫剤を、目開きが2.36mmが標準篩、そして目開きが1.70mmの標準篩を用い、振とう機に掛けてふるい分けをすることにより、大径粒子防虫剤(目開き2.36mmの標準篩を通過しなかった粒子群)、中径粒子防虫剤(目開き2.36mmの標準篩を通過し、目開き1.70mmの標準篩を透過しなかった粒子群)、そして小径粒子防虫剤(目開き1.70mmの標準篩を通過した粒子群)をそれぞれ得た。
そして、各防虫剤を約8グラムずつ秤量し、それぞれを別々に、下記構成の積層体シートから調製した袋体に収容して、
図1と
図2に示されている構成の天然ハーブ防虫剤包装体(評価試料)を得た。
積層体シート:L−LDPEフィルム(厚み:30μm)とLDPEフィルム(厚み:20μm)、そしてスパンボンド不織布(目付:30g/m
2)の表面に、押し出しラミネート処理して得た積層体(総厚み:123μm)。
【0030】
(2)評価試料の香気残留性の評価
温度51℃に恒温加熱した恒温炉の内部に配置し、その状態で5時間の加熱処理を行った。この加熱条件は、通常の室温での180日間保存に相当する過酷試験条件である。
上記の加熱処理が終了した後、評価試料の袋を破り、7人一組の香気評価担当者からなるパネルによる香気残留評価を行ったところ、下記の評価結果が得られた。
【0031】
(3)180日保存後の残留香気の評価結果
<香気の残留を確認した香気評価担当者の人数>
大径粒子防虫剤包装体:一人(1/7)
中径粒子防虫剤包装体:二人(2/7)
小径粒子防虫剤包装体:五人(5/7)
【0032】
(4)残留香気の評価結果のまとめ
上記のパネルによる香気残留評価の結果、防虫剤包装体の香気の残留性は、同一構成の積層体シートからなる袋体を利用した包装体で比較すると、小径粒子防虫剤包装体(目開き1.70mmの標準篩を通過した粒子群からなる防虫剤)が最も優れていて、次に、中径粒子防虫剤包装体(目開き2.36mmの標準篩を通過し、目開き1.70mmの標準篩を透過しなかった粒子群からなる防虫剤)であり、大径粒子防虫剤包装体(目開き2.36mmの標準篩を通過しなかった粒子群からなる防虫剤)が最も劣ることが確認された。
【0033】
[実施例2]−袋体の構成材料の影響の確認
(1)評価試料の作成
実施例1と同一の方法で作製した中径粒子防虫剤包装体(好適実施例)から、袋体の積層体シートを下記の比較用の積層体シートから得た袋体に替えた以外は同一の方法で比較用中径粒子防虫剤包装体を作製した。それぞれの包装体に収容された防虫剤を秤量したところ、結果は下記の通りであることが確認された。
比較用中径粒子防虫剤包装体の袋体材料:ポリプロピレン(PP)フィルムとポリエチレン(PE)フィルムとの積層体フィルム(フィルム全体の厚み:12μm)
【0034】
防虫剤秤量値(中径粒子防虫剤包装体:好適実施例):8.0648g
防虫剤秤量値(中径粒子防虫剤包装体:比較実施例):8.0659g
【0035】
(2)評価試料の加熱減量の評価
温度51℃に恒温加熱した恒温炉の内部に配置し、その状態で5時間の加熱処理を行った。この加熱条件は、前述のように、通常の室温での180日間保存に相当する。
【0036】
(3)180日保存後の減量の評価結果
加熱処理後の防虫剤の秤量値(中径粒子防虫剤包装体:好適実施例):6.6297g(減量値:1.435g、減量比:17.8質量%)
加熱処理後の防虫剤の秤量値(中径粒子防虫剤包装体:比較実施例):6.0087g(減量値:2.057g、減量比:25.5質量%)
【0037】
(4)180日保存後の減量の評価結果のまとめ
L−LDPEフィルム(厚み:30μm)とLDPEフィルム(厚み:20μm)、そしてスパンボンド不織布(目付:30g/m
2)の表面に、押し出しラミネート処理して得た積層体シート(総厚み:123μm)を袋体材料として用いて作製した天然ハーブ防虫剤包装体は、一般的な防虫剤の袋体の製造材料であるポリプロピレン(PP)フィルムとポリエチレン(PE)フィルムとの積層体シートを袋体材料として用いて作製した天然ハーブ防虫剤包装体に比較すると、防虫剤の含まれる揮発性成分(香気成分=防虫成分に相当すると理解される)の保持性(維持率)が明らかに高いことが確認された。
【符号の説明】
【0038】
10 天然ハーブ防虫剤包装体
11 天然ハーブ防虫剤(粒状物)
12 袋体