特許第6691568号(P6691568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691568
(24)【登録日】2020年4月14日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200421BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20200421BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20200421BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20200421BHJP
   B62D 1/06 20060101ALN20200421BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20200421BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20200421BHJP
【FI】
   G08G1/16 CZYW
   B60W50/10
   B60W30/10
   B62D6/00
   G08G1/16 F
   !B62D1/06
   B62D101:00
   B62D119:00
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-63564(P2018-63564)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-175208(P2019-175208A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2018年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】白石 英一
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−038846(JP,A)
【文献】 特開2017−128180(JP,A)
【文献】 特開平11−091397(JP,A)
【文献】 特開2013−075652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00〜 1/16
B60W 10/00〜10/30
B60W 30/00〜60/00
B62D 1/00〜 1/28
B62D 6/00〜 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のハンドルに接触する位置を検出するハンドル接触位置検出手段と、
前記運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
自車両の運転モードとして、少なくとも前記運転者の前記ハンドルの把持を条件として自動運転を行う第1運転支援モードと前記運転者の前記ハンドルの把持を条件としないで自動運転を行う第2運転支援モードと前記運転者自らが操舵する手動運転モードとを有し、運転条件に応じて前記各モードを設定する運転モード設定演算手段とを備える運転支援システムにおいて、
前記ハンドル接触位置検出手段は、前記ハンドルに設けた把持部の断面円周上を前記運転者側と外周側と内周側とフロントウインドウ側とに区分して各区分域に接触検知部をそれぞれ配設し、
前記運転モード設定演算手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した前記操舵トルクが所定に設定されている操舵オーバライド判定閾値を超え、且つ前記運転者側の前記接触検知部と内側の前記接触検知部との一方のみが接触を検知した場合、誤検知と判定する
ことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記運転モード設定演算手段は、前記操舵トルク検出手段がタイヤ側から入力される前記操舵トルクを検出し、且つ、前記各接触検知部の何れかが接触を検知した場合、誤検知と判定する
ことを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記運転モード設定演算手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した前記操舵トルクが前記操舵オーバライド判定閾値を超え、且つ前記外側の接触検知部と前記フロントウインドウ側の接触検知部との少なくとも一方を含む前記接触検知部で接触を検知した場合、操舵オーバライドと判定する
ことを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記運転モード設定演算手段は、前記第2運転支援モードでの走行中に、誤検知と判定した場合、前記第2運転支援モードを維持させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記ハンドル接触位置検出手段は、前記ハンドルの中央から左右に左手接触検出手段と右手接触検出手段とに分割されており、該各接触検出手段に複数の前記接触検知部が設定されている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者によるハンドル把持を条件としない自動運転での走行中に運転者のハンドルへの接触を検出した際に、運転者が操舵を意図しているのか、誤検知なのかを適正に判断することのできる運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車両においては、運転者の負担を軽減し、快適且つ安全に運転できるようにするための自動運転による運転支援システムが種々提案され、一部は既に実用化されている。
【0003】
この運転支援システムの運転モードには、自動運転の継続を困難と判断した際に、運転者に操作を引継がせることができるように予め待機させる運転支援モード(以下、「第1運転支援モード」と称する)と、運転者に運転を引継がせる必要の無い運転支援モード(以下、「第2運転支援モード」と称する)とがある。
【0004】
第1運転支援モードは、従来のレーンキープ(ALK)制御と車間距離自動維持制御付きクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)システムとにより、自車両を車線に沿って先行車に追従走行させるものであり、先行車が検出されない場合はセット車速で定速走行する。従って、第1運転支援モードは、運転者が積極的にハンドル操作を行う必要は無いが、運転者が両手でハンドルを把持(以下、この状態を「保舵」と称する場合もある)して、いつでも運転を引継ぐことのできる状況としておくことが条件となる。
【0005】
一方、第2運転支援モードは、地図ロケータにて検出した自車両が走行している地図上の道路形状と、カメラユニット等で検出した実際に走行している車線の道路形状との一致度を常に比較し、この一致度が高い場合に、運転者に保舵させることなく、制御システムが運転主体となって自動運転を継続させる。そして、自動運転の継続が困難と判断された場合にのみ、運転者に保舵を要求して第1運転モードへ遷移させ、或いは、自動退避モードを実行させる。尚、この自動退避モードは、走行車線を、法定若しくは指定されている最低速度で走行させる。或いは、自車両を路側帯等の安全な場所へ誘導して停止させるものである。
【0006】
そして、自車両が第2運転支援モードで走行している際に、運転者が保舵した場合、運転支援システムは、それを運転者の意思と判定し、運転モードを第1運転支援モードへ遷移させる。又、運転支援システムが運転者による操舵介入(操舵オーバライド)を検出した場合、運転モードは当然、自動運転を中断して手動運転モードに遷移するが、これが誤操作である場合、自動運転を継続させようとしている運転者の意思に反するものであり、違和感を覚えさせてしまう不都合がある。
【0007】
運転者の保舵を検出する技術として、例えば、特許文献1(特許第5009473号公報)には、ハンドルのリムにタッチセンサ(圧力センサ、容量センサ、電極対等)を設け、運転者のハンドル把持、及び把持位置を検知する技術が開示されている。
【0008】
又、運転者の操舵介入を検出する技術として、特許文献2(特許第4435519号公報)には、トルクセンサで検出した操舵トルクと車速に基づいて設定した閾値を比較し、操舵トルクが閾値を以上の場合、運転者の操舵介入と判定し、自動操舵をキャンセルする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5009473号公報
【特許文献2】特許第4435519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献2に開示されている技術では、トルクセンサによる操舵トルクを検出することで運転者の操舵介入(操舵オーバライド)の意思を検出している。
【0011】
しかし、第2運転支援モードでの走行は、運転者に保舵を要求していないため、運転者は走行中に後を向く等の姿勢を動かす動作をし易く、その際、運転者の手や体の一部がハンドルに誤って接触して意図しない方向に操舵トルクが発生する場合が考えられる。このような場合に、操舵介入と判定されることは、運転者の意思に反するものであり、例えば、「手動運転モードに遷移します」と報知された場合、運転者に違和感を覚えさせてしまうことになる。
【0012】
又、保舵を条件とする第1運転支援モードで走行している場合であっても、路面の凹凸や横風等の外乱によってトルクセンサが操舵トルクを検出した場合、運転者の操舵介入(操舵オーバライド)と誤判定する可能性がある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑み、ハンドルの把持を条件としない第2運転支援モード、或いはハンドルの把持を条件とする第1運転支援モードでの自動運転において、操舵トルクが検出された場合であっても、直ちに手動運転モードへ遷移されてしまうことが防止され、運転者に与える違和感を軽減させることのできる運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、運転者のハンドルに接触する位置を検出するハンドル接触位置検出手段と、前記運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、自車両の運転モードとして、少なくとも前記運転者の前記ハンドルの把持を条件として自動運転を行う第1運転支援モードと前記運転者の前記ハンドルの把持を条件としないで自動運転を行う第2運転支援モードと前記運転者自らが操舵する手動運転モードとを有し、運転条件に応じて前記各モードを設定する運転モード設定演算手段とを備える運転支援システムにおいて、前記ハンドル接触位置検出手段は、前記ハンドルに設けた把持部の断面円周上を前記運転者側と外周側と内周側とフロントウインドウ側とに区分して各区分域に接触検知部をそれぞれ配設し、前記運転モード設定演算手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した前記操舵トルクが所定に設定されている操舵オーバライド判定閾値を超え、且つ前記運転者側の前記接触検知部と内側の前記接触検知部との一方のみが接触を検知した場合、誤検知と判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドルに設けた把持部の断面円周上に区分された状態で複数の接触検知部を配設し、操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクと複数の接触検知部で検出した接触検知位置とに基づき、検出した操舵トルクが運転者の意思による操舵オーバライドか誤検知か否かを判定するようにしたので、ハンドルの把持を条件としない第2運転支援モード、或いはハンドルの把持を条件とする第1運転支援モードでの自動運転において、操舵トルクが検出された場合であっても、直ちに手動運転モードへ遷移されてしまうことが防止され、運転者に与える違和感を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】運転支援システムの概略構成図
図2】(a)はリムの全周にハンドルタッチセンサを備えるハンドルの正面図、(b)は(a)のb−b断面図
図3】(a)は両手でハンドルを把持した状態を示す図2のIII-III要部概略断面図、(b)はハンドルに手などが接触した状態を示す断面図
図4】運転モード設定ルーチンを示すフローチャート
図5】運転支援モード処理サブルーチンを示すフローチャート
図6】第1運転支援モード実行条件判定処理サブルーチンを示すフローチャート
図7】第2運転支援モード実行条件判定処理サブルーチンを示すフローチャート
図8】操舵オーバライド判定処理ルーチンを示すフローチャート
図9】(a)はカメラユニットにて認識した道路曲率と地図上の道路曲率とが一致した状態を示す説明図、(b)はカメラユニットにて認識した道路曲率と地図上の道路曲率とが相違している状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示す運転支援システムは、自車両M(図9参照)に搭載されている。この運転支援システム1は、周辺の道路形状を検出するセンサユニットとして、ロケータユニット11、走行環境認識手段としてのカメラユニット21を有している。この両ユニット11,21は互いに依存することのない完全独立の多重系を構成している。更に、この両ユニット11(21)の一方が失陥した場合には、他方のユニット21(11)で自動運転を一時的に継続させ、自車両Mの運転を運転者に安全に引継がせる冗長系が構築されている。
【0018】
この運転支援システム1は、ロケータユニット11とカメラユニット21とで現在走行中の道路形状が同一か否かを監視し、同一の場合に自動運転を継続させる。尚、検出する同一道路形状の一例として、本実施形態では道路曲率を示す。
【0019】
ロケータユニット11は道路地図上の自車両Mの位置(自車位置)を推定すると共に、この自車位置の前方の道路地図データを取得する。一方、カメラユニット21は自車両Mの走行車線の左右を区画する区画線を認識し、この区画線の中央の道路曲率を求めると共に、この車線区画線の中央を基準とする自車両Mの車幅方向の横位置偏差を検出する。
【0020】
ロケータユニット11は、地図ロケータ演算部12と記憶手段としての高精度道路地図データベース18とを有している。この地図ロケータ演算部12、後述する前方走行環境認識部21d、運転モード設定演算手段としての運転モード設定演算部22、及び後述する自動運転制御ユニット51は、CPU,RAM,ROM等を備える周知のマイクロコンピュータ、及びその周辺機器で構成されており、ROMにはCPUで実行するプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。
【0021】
この地図ロケータ演算部12の入力側に、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機13、及び自律走行センサ14が接続されている。GNSS受信機13は複数の測位衛星から発信される測位信号を受信する。又、自律走行センサ14は、トンネル内走行等GNSS衛生からの受信感度が低く測位信号を有効に受信することのできない環境において、自律走行を可能にするもので、車速センサ、ジャイロセンサ、及び前後加速度センサ等で構成されている。すなわち、地図ロケータ演算部12は、車速センサで検出した車速とジャイロセンサで検出した角速度、及び前後加速度センサで検出した前後加速度等に基づき移動距離と方位からローカライゼーションを行う。
【0022】
この地図ロケータ演算部12は、自車位置を推定する機能として自車位置推定演算部12aと、推定した自車位置を道路地図上にマップマッチングして位置を特定すると共に、その前方の道路形状情報を取得する地図情報取得部12bとを備えている。
【0023】
又、高精度道路地図データベース18はHDD等の大容量記憶媒体であり、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)が記憶されている。この高精度道路地図情報は、自動運転を行う際に必要とする車線データ(車線幅データ、車線中央位置座標データ、車線の進行方位角データ、制限速度等)を保有しており、この車線データは、道路地図上の各車線に数メートル間隔で格納されている。
【0024】
上述した地図情報取得部12bは、この高精度道路地図データベース18に格納されている道路地図情報から現在地の道路地図情報を取得する。そして、例えば運転者が自動運転に際してセットした目的地に基づき、上述した自車位置推定演算部12aで推定した自車位置(現在地)から目的地までのルート地図情報を、この道路地図情報から取得し、取得したルート地図情報(ルート地図上の車線データ及びその周辺情報)を自車位置推定演算部12aへ送信する。
【0025】
自車位置推定演算部12aは、GNSS受信機13で受信した測位信号に基づき自車両Mの位置座標を取得し、この位置座標をルート地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置(現在地)を推定すると共に走行車線を特定し、ルート地図情報に記憶されている走行車線の道路形状、すなわち、本実施形態では車線中央の道路曲率(以下、「地図曲率」と称する)RMPU[1/m](図9参照)を取得し、逐次記憶させる。
【0026】
更に、自車位置推定演算部12aは、トンネル内走行等のようにGNSS受信機13の感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境では、車速センサで検出した車速、ジャイロセンサで検出した角速度、前後加速度センサで検出した前後加速度等に基づいて自車位置を推定する自律航法に切替えて、道路地図上の自車位置を推定し、自車両Mが走行している道路の曲率(地図曲率)RMPUを取得する。
【0027】
一方、カメラユニット21は、自車両Mの車室内前部の上部中央に固定されており、車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配設されているメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなる車載カメラと、画像処理ユニット(IPU)21c、及び前方走行環境認識部21dとを有している。このカメラユニット21は、両カメラ21a,21bで撮像した自車両M前方の所定領域を撮影するステレオカメラである。IPU21は両カメラ21a,21bで撮影した走行方向前方の周辺環境画像を所定に画像処理し、前方走行環境認識部21dへ出力する。
【0028】
前方走行環境認識部21dは、受信した自車両M前方の走行環境画像情報に基づき、自車両Mが走行する進行路(自車進行路)の道路形状、すなわち、本実施形態では、左右を区画する区画線の道路曲率[1/m]、及び左右区画線間の幅(車幅)を求める。この道路曲率、及び車幅の求め方は種々知られているが、例えば、道路曲率は走行環境画像情報に基づき輝度差による二値化処理にて、左右の区画線を認識し、最小二乗法による曲線近似式等にて左右区画線の曲率を所定区間毎に求め、更に、両区画線間の曲率の差分から車幅を算出する。そして、この左右区画線の曲率と車線幅とに基づき車線中央の道路曲率(以下、「カメラ曲率」と称する)RCAM[1/m](図9参照)を求め、逐次記憶させる。そして、自車位置推定演算部12aで取得した地図曲率RMPUと前方走行環境認識部21dで推定したカメラ曲率RCAMとが、運転モード設定演算部22に読込まれる。
【0029】
又、前方走行環境認識部21dは、取得した走行環境画像情報に基づき、自車両Mの前方を走行する先行車の有無を検出する。そして、前方走行環境認識部21dは、先行車を検出した場合、自車両Mとの車間距離(道のり距離)、相対車速、及び車間時間を算出する。尚、ステレオカメラを用いた先行車の検出、車間距離、相対車速、及び車間時間の求め方は既に知られている技術であるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
運転モード設定演算部22の入力側には、上述した自車位置推定演算部12a、前方走行環境認識部21d以外に、運転者が運転モードを任意に選択することのできる運転モードスイッチ41と、運転者のハンドル2(図2(a)参照)の把持部としてのリム2aに配設した、ハンドル接触位置検出手段としてのハンドルタッチセンサ部42と、操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ44とが接続されている。尚、ハンドル2はリム2aの中心がスポーク2bを介してステアリング軸(図示せず)に支持されている。
【0031】
カメラユニット21で取得した前方走行環境情報は、ACC制御ユニット(図示せず)においても読込まれる。ACC制御ユニットは、前方走行環境情報に基づき、自車両Mが走行している車線前方に先行車を検出した場合は、この先行車に対して所定車間距離を維持した状態で先行車追従走行制御を実行する。又、先行車が検出されてない場合は予め運転者が設定したセット車速で走行させる。
【0032】
ハンドルタッチセンサ部42はシート状に形成された感圧センサ、圧力センサ、容量センサ等であり、図2(a)に示すように、ハンドル2のリム2aのほぼ全周が囲繞されており、ハンドルの中央から左右に、左手接触検出手段としての左タッチセンサ部42lと右手接触検出手段としての右タッチセンサ部42rに分割されている。
【0033】
図2(b)に示すように、各タッチセンサ部42l,42rは、接触検知部としての第1〜第4タッチセンサ(以下、「第1〜第4センサ」と略称)42a〜42dを有し、この各センサ42a〜42dがリム2aの断面円周上に、等区分に配設されている。この左右タッチセンサ部42l,42rの第1〜第4センサ42a〜42dは、1枚のシートを区分して形成してもよく、或いは独立したシート状のものを貼り合わせて形成するようにしても良い。尚、以下においては、便宜的に、左右タッチセンサ部42l,42rの各構成要素である第1〜第4センサ42a〜42は、同一の符号を付して説明する。
【0034】
ここで、第1センサ42aはリム2aの運転者側に対峙する領域に配設され、第2センサ42bはリム2aの外周側の領域に配設され、第3センサ42cはリム2aの内周側の領域に配設され、又、第4センサ42dはフロントウインドウに対峙する領域に配設されている。
【0035】
又、図3(a)に示すように、運転者がハンドル2を把持すると、おおよそ親指が第3センサ42cの位置に接触し、人差し指の付け根が第2センサ42bに接触し、人差し指が第4センサ42dに接触する。又、第1センサ42aは運転者側に対峙しているため、第2運転支援モードでの走行時には最も誤接触し易い。
【0036】
更に、操舵トルクセンサ44は、ステアリング軸(図示せず)の捩れから、運転者がステアリング軸に入力する操舵トルクTstを検出し、この操舵トルクTstに基づき操舵介入(操舵オーバライド)の有無を判定する。
【0037】
又、この運転モード設定演算部22の出力側に音声スピーカやモニタからなる報知手段としての報知装置45が接続されている。又、この運転モード設定演算部22に自動運転制御ユニット51が双方向通信自在に接続されている。この自動運転制御ユニット51は、運転モード設定演算部22で設定した運転モード(手動運転モード、第1運転支援モード、第2運転支援モード、及び自動退避モード)に従い、対応する運転モードを実行する。
【0038】
運転モード設定演算部22は、自車位置推定演算部12aで推定した自車位置前方の地図曲率RMPUと前方走行環境認識部21dで推定したカメラ曲率RCAMとを常時比較する。すなわち、地図上の自車位置と実走行による自車位置とをそれぞれ基準として所定前方の同一距離区間における両曲率RMPU,RCAMの一致度(信頼度)[%]を調べ、その一致度が予め設定した閾値(例えば、95〜99[%])を超えている場合は一致していると判定し、下回っている場合は、不一致と判定する。例えば、図9(a)に示すように、ロケータユニット11で取得した地図曲率RMPUと前方走行環境認識部21dで認識したカメラ曲率RCAMとが一致している場合、自車両Mは確かに目標進行路を走行していると評価する。
【0039】
一方、同図(b)に示すように、GNSS受信機13による測位位置が誤差により、隣の車線上にマップマッチングされた場合、ロケータユニット11は隣の車線の地図曲率RMPUを自車進行路上の道路曲率と誤認するため、両曲率RCAM,RMPUは一致度(信頼性)が低いと評価する。或いは、降雨時等の視界の悪い状態での走行において前方走行環境認識部21dにてカメラ曲率RCAMを求めることができなかった場合も、一致度が低い(閾値未満)と評価される。
【0040】
そして、両曲率RMPU,RCAMが一致していると判定した場合は、第2運転支援モードを継続させる。或いは、運転モードを第1運転支援モードから第2運転支援モードへ遷移させる。尚、運転モードを遷移させるに際しては、その旨を報知装置45から運転者に予め報知する。
【0041】
本実施形態では、運転モードとして運転者自らが操舵する手動運転モードと、第1運転支援モードと、第2運転支援モード、及び自動退避モードが設定されており、この第1運転支援モード、第2運転支援モードが自動運転の範疇に含まれる。ここで、第1運転支援モードと第2運転支援モードとは、自車両Mを目標進行路に沿って自動走行(自動運転)させる点は共通しているが、第1運転支援モードは運転者の保舵を条件とする運転モードであり、第2運転支援モードは運転者の保舵を条件としない(非保舵の)運転モードである。
【0042】
例えば、カメラユニット21が一時的に失陥した場合、第2運転支援モードによる自動運転の継続が困難となるが、いきなり手動運転モードへ遷移させることはせず、先ず、運転者に対して第1運転支援モードへ遷移する旨を報知し、運転者に保舵を要求する。そして、運転者にハンドル2を保舵させた後、第1運転支援モードへ遷移し、地図ロケータ演算部12で推定した自車位置に基づき自動運転を継続させる。これは、地図ロケータ演算部12で自車位置の推定が失陥した場合も同様であり、運転者にハンドル2を保舵させた後、カメラユニット21で認識した左右区画線の中央を目標進行路として設定し、この目標進行路に沿って自車両Mを走行させる。
【0043】
又、自動運転(第1運転支援モード、或いは第2運転支援モード)での走行中に、運転者による操舵介入(操舵オーバライド)を検出した場合、運転モードは自動運転モードから手動運転モードに遷移される。
【0044】
ところで、通常、運転者がハンドル2のリム2aを両手で把持して操舵しようとする場合、図3(a)に示すように、リム2aには、親指と人差し指との腹部分、及び手のひら部分が接触する。そのため、各タッチセンサ部42l,42rでは、外周側の第2センサ42bと、内周側の第3センサ42cと、フロントウインドウ側の第4センサ42dとがONする。又、ハンドルを大きく切る必要が無い場合、運転者は、図2(a)に示すリム2aとスポーク2bとの接続部に形成されている窪み部2cに親指を掛けた状態で把持している。
【0045】
従って、運転者が操舵を行う際は、第2センサ42bと第4センサ42dとの何れか、及び少なくとも1つの他のセンサがONされる。そして、この姿勢の状態で運転者が操舵し、操舵トルクセンサ44で検出する操舵トルクTstに基づいて操舵介入を検出した場合は、運転者の意思による操舵オーバライドであると判定することができる。
【0046】
又、左右タッチセンサ部42l,42rの第1センサ42aは運転者側に対峙しているため、図3(b)に示すように、保舵が要求されない第2運転支援モードで走行している際に、手、肘、着衣等が誤って接触され易い。特に、この第1センサ42aには、運転者が立ち上がって後を振り向くなどの動作を行った際に、膝やお尻等が接触しやすく、その際、ハンドル2を押圧して操舵トルクTstを誤って入力し易くもなる。更に、第3センサ42cは運転者の親指が接触し易く、その際、運転者の親指が窪み部2cに引っ掛かると操舵トルクTstが入力され易くなる。尚、図3(b)には右タッチセンサ部42rの断面のみを示し、左タッチセンサ部42lは対象形状であるため省略する。
【0047】
このような誤接触しただけの状況で運転モードが直ちに第1運転支援モード、或いは手動運転モードへ遷移されてしまうことは運転者に違和感を与えることになる。
【0048】
そのため、本実施形態では、運転者がハンドル2を把持している部位と、操舵トルクTstを与える方向との双方、及び操舵トルクTstの大きさに基づき、操舵介入(操舵オーバライド)が運転者の意思によるものか誤接触(誤検知)かを適正に判定する。
【0049】
運転モード設定演算部22では、操舵オーバライドが運転者の意思によるものか、単なる誤接触なのかを、図4図8に示す運転モードを設定するルーチンの中において判定している。自車両Mが走行すると、図4に示す運転モード設定ルーチンが起動し、先ず、ステップS1で、運転モードスイッチ41からの信号を読込む。この運転モードスイッチ41は、運転者が自動運転のモード(第1運転支援モードか第2運転支援モードか)を任意に選択することができ、手動運転モードを選択する場合はOFFにする。
【0050】
そして、ステップS2へ進み、この運転モードスイッチ41がONされているか否かを調べ、ONの場合はステップS3へ進み、運転支援モード処理を実行してルーチンを抜ける。OFFの場合はステップS4へ分岐して、手動運転モードを実行してルーチンを抜ける。
【0051】
運転モードとして手動運転モードが選択されると、自車両Mを目的地までガイドする従来のナビゲーション機能により設定された目標進行路がモニタ(図示せず)に表示される。運転者はモニタの表示、及び音声ガイドに従い、自らの運転によって自車両Mを走行させる。
【0052】
又、ステップS3での運転支援モード処理は、図5に示す運転支援モード処理サブルーチンに従って実行される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS11で運転者が運転モードスイッチ41で選択した自動運転モードを読込み、ステップS12で運転者の選択した自動運転モードが第1運転支援モードか否かを調べる。
【0053】
そして、第1運転支援モードが選択されている場合はステップS13へ進み、第2運転支援モードか選択されている場合は、ステップS14へ進む。
【0054】
ステップS13へ進むと、第1運転支援モード実行条件判定処理を実行し、ステップS15へ進む。又、ステップS14へ進むと、第2運転支援モード実行条件判定処理を実行してステップS15へ進む。
【0055】
ステップS13で実行する第1運転支援モード実行条件判定処理は、図6に示す第1運転支援モード実行条件判定処理サブルーチンに従って行われる。
【0056】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS21で走行条件が満足されているか否かを調べる。上述したように、第1運転支援モードは従来のALK制御とACCシステムとにより、自車両Mを車線に沿い、且つ先行車に追従させて走行させるものであり、自車両Mを車線に沿って走行させることができるか否かを調べる。そして、走行条件が満足されている場合はステップS22へ進む。又、カメラユニット21が失陥している等、走行条件が満足されていない場合はステップS27へジャンプする。
【0057】
ステップS22へ進むと、左右タッチセンサ部42l,42rのそれぞれで、各センサ42a〜42dの内の何れかがONされているか否かを調べる。そして、左右タッチセンサ部42l,42rのそれぞれでONされているセンサ42a〜42dが検出されている場合は、ステップS23へ進み、第1運転支援モード実行フラグF1をセットして(F1←1)、図5のステップS15へ進む。
【0058】
一方、左右タッチセンサ部42l,42rの一方に設けられているセンサ42a〜42dの何れかのみがONしており、或いは全てのタッチセンサ42a〜42dがOFFの場合はステップS24へ分岐する。
【0059】
ステップS24へ分岐すると、運転者に対して、「両手でハンドルを把持してください」等の保舵要求を報知装置45から運転者に対して報知した後、ステップS25へ進む。ステップS25では、注意喚起時間tim1をインクリメントし(tim1←tim1+1)、ステップS26へ進み、設定時間t1(例えば、3〜5[sec])と比較し、tim1<t1の場合はステップS22へ戻り、運転者が両手で保舵するまで待機する。一方、注意喚起時間tim1が経過しても(tim1≧t1)、左右タッチセンサ部42l,42rそれぞれにおいて、何れのセンサ42a〜42dもONしていない場合は、ステップS27へ進む。
【0060】
ステップS21,S26からステップS27へ進むと、第1運転支援モード実行フラグF1をクリアして(F1←0)、図5のステップS15へ進む。
【0061】
又、ステップS14で実行する第2運転支援モード実行条件判定処理は、図7に示す第2運転支援モード実行条件判定処理サブルーチンに従って行われる。
【0062】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS31で、走行条件が満足されているか否かを調べる。すなわち、ロケータユニット11で取得した地図曲率RMPUと、カメラユニット21の前方走行環境認識部21dで認識したカメラ曲率RCAMとの一致度(信頼性)を調べる。そして、その一致度が予め設定した閾値(例えば、95〜99[%])を超えている場合、走行条件は満足していると判定し、ステップS32へ進む。
【0063】
又、一致度が閾値を下回っている場合は、走行条件が満足されていないと判定し、ステップS35へ分岐する。
【0064】
又、ステップS32へ進むと、左右タッチセンサ部42l,42rの全てのセンサ42a〜42dがOFFか否かを調べる。そして、全てのセンサ42a〜42dがOFFの場合は、ステップS34へジャンプする。又、一つでもONしているセンサ42a〜42dが検出された場合は、ステップS33へ分岐し、「ハンドルに触れています。ハンドルから手を離した自動運転が可能です」等、非保舵を要求する旨を報知装置45から運転者に対して報知してステップS34へ進む。
【0065】
ステップS32、或いはステップS33からステップS34へ進むと、第2運転支援モード実行フラグF2をセットして(F2←1)、図5のステップS15へ進む。又、ステップS35へ進むと、第2運転支援モード実行フラグF2をクリアして(F2←0)、図5のステップS15へ進む。
【0066】
図5のステップS15へ進むと、上述したステップS12で、運転者が第1運転支援モードを選択していると判定した場合は、第1運転支援モード実行フラグF1の値を参照し、又、第2運転支援モードが選択されている場合は、第2運転支援モード実行フラグF2の値を参照する。
【0067】
そして、F1=1の場合は、第1運転支援モードを実行させてルーチンを抜ける。又、F2=1の場合は、第2運転支援モードを実行させてルーチンを抜ける。更に、F1=0の場合は、自動運転を実行することなく、手動運転モードを実行させてルーチンを抜ける。一方、又、F2=0の場合は、運転条件に応じて第1運転支援モード或いは手動運転モードへ遷移させてルーチンを抜ける。
【0068】
自動運転モード(第1運転支援モード、或いは第2運転支援モード)が実行されると、図8に示す操舵オーバライド判定処理ルーチンがバックグランド処理にて実行される。
【0069】
このルーチンでは、先ず、ステップS41で、操舵トルクセンサ44で検出した操舵トルクTstと、予め設定した操舵オーバライド判定閾値Tstoとを比較する。この操舵オーバライド判定閾値Tstoは操舵が運転者の意思によるものか、単なる誤接触(誤検知)かを調べる値で固定値でも良いが、車速に基づき設定されている可変値であっても良い。
【0070】
そして、Tst≧Tstoの場合はステップS42へ進み、Tst<Tstoの場合はステップS47へジャンプする。
【0071】
ステップS42では、操舵トルクTstの入力方向を調べる。操舵トルクセンサ44は、ステアリング軸(図示せず)の捩れから操舵トルクTstを検出するものである。そのため、運転者がハンドル2を操舵することにより入力される(以下、「正入力」と称する)操舵トルクを検出するのみならず、走行時において路面の凹凸等から受ける外乱によりタイヤ側から入力される(以下、「逆入力」と称する)操舵トルクTstも検出してしまう。
【0072】
操舵トルクTstが正入力か逆入力かは、例えば、操舵トルクセンサ44のハンドル2側に舵角センサを設け、この舵角センサで回転角変位を検出したときと操舵トルクセンサ44でトルクセンサ変位を検出したときとの時系列のずれにより判定するすなわち、回転変角位がトルクセンサ変位よりも先に発生した場合は正入力と判定し、逆の場合は逆入力と判定する。そして、操舵トルクTstが逆入力の場合はステップS43へ進み、正入力の場合はステップS44へ進む。
【0073】
逆入力と判定されてステップS43へ進むと、当該操舵トルクTstは明らかに運転者が意図したものではないため誤操舵処理を実行してステップS47へジャンプする。この誤操舵処理は現在の自動運転モードを維持させるもので、自動運転制御ユニット51に運転モードを遷移させるような誤った信号が送信されることを防止する。
【0074】
又、ステップS44へ進むと、このステップS44以下で、左右タッチセンサ部42l,42rそれぞれのセンサ42a〜42dの何れかがONしているか否かを調べて、運転者の意思による操舵オーバライドか単なる誤接触かを判定する。第2運転支援モードでの走行では、運転者が後を向く等の体を動かす動作により、誤ってハンドル2を動かしてしまうこともある。従って、単に操舵トルクTstと操舵オーバライド判定閾値Tstoとを比較しただけでは、たとえそれが正入力であっても、その操舵が、運転者が意図したものであるか誤接触によるものなのかを適正に判定することができない。
【0075】
そのため、本ルーチンでは、操舵トルクTstと左右タッチセンサ部42l.42rに設けた各センサ42a〜42dの状態(ON/OFF)との双方にて、操舵オーバライドか単なる誤接触かを判定するようにしている。この場合、図3(a)に示すように、運転者は、基本的に両手でハンドル2を把持して操舵を行う。
【0076】
従って、以下において、タッチセンサ42a〜42dは、左右タッチセンサ42l,42rの双方を示すものとする。先ず、ステップS44では、第4センサ42dと他のタッチセンサの少なくとも1つとがON、或いは第2センサ42bと他のタッチセンサの少なくとも1つとがONしているか否かを調べる。
【0077】
図3に示すように、運転者がハンドルのリム2aを両手で把持すると、少なくとも人差し指と、その付け根部とがリム2aに接触し、又、親指はハンドル2の窪み部2c(図2参照)に引っ掛けた状態となる。従って、上述したステップS44では、第4センサ42d、或いは第2センサ42bと他のタッチセンサの少なくとも1つとがONしている場合は、運転者が意図的に行った操舵オーバライドであると判定することができる。そのため、このような場合は、運転者の意図的な操舵オーバライドと判定して、ステップS45へ進み、操舵オーバライド処理を実行してルーチンを抜ける。
【0078】
一方、第4センサ42dと第2センサ42bとの双方がOFFの場合は、運転者がハンドル2を把持していないと判定し、ステップS46へ分岐する。ステップS46では、第1センサ42aのみ、又は第2センサ42bのみがONか否かで誤接触を調べる。上述したしたように、運転者が意図的に操舵を行おうとした場合は、必ず、第4センサ42d、又は第2センサ42bと他のタッチセンサの少なくとも一つがONする。更に、意図的な操舵では、第4センサ42d、又は第2センサ42bを含む少なくとも2つのタッチセンサがONする。
【0079】
従って、第1センサ42aのみがON,或いは第3センサ42cのみがONの場合は誤接触であると判定することができる。そのため、このような場合は、ステップS48へ進み、誤検知処理を実行してルーチンを抜ける。又、ステップS44及びステップS46の判定条件に適合しない場合は、制御エラーを防止するため、ステップS47へ分岐する。
【0080】
そして、ステップS41,S43,S46からステップS47へ進むと、左右タッチセンサ部42l,42rに設けられている全てのタッチセンサ42a〜42dの中に、ONしているものがあるか否かを調べる。ステップS41でTst<Tstoと判定され、或いは、ステップS42で操舵トルクTstが逆入力であると判定された場合に、何れかのタッチセンサ42a〜42dでONが検出された場合、明らかに誤接触と判定される。
【0081】
従って、このような場合は、ステップS48へ進み、誤検知処理を実行してルーチンを抜ける。又、全てのタッチセンサ42a〜42dかOFFの場合は、誤接触はないのでそのままルーチンを抜ける。
【0082】
ステップS45で実行される操舵オーバライド処理は、操舵トルクセンサ44で検出した操舵トルクTst、及びその入力時間と、車両の走行状態に基づき、現在の自動運転モード(第1運転支援モード、或いは第2運転支援モード)から手動運転モードへ遷移させるか、或いは、一時的に手動運転モードへ遷移させ後、元の自動運転モードへ戻すかを判定する。
【0083】
例えば、自動運転では対応が困難な僅かなカーブや落下物回避等のために行う操舵角補正程度の操舵オーバライドであれば、一時的に手動運転モードへ遷移させた後、元の自動運転モードへ戻す。これに対し、操舵時間が明らかに長く、運転者の操舵意思が明確な場合は、自動運転モードをOFFし、手動運転モードへ遷移させる。
【0084】
又、ステップS48で実行される誤検知処理は、現在の自動運転モードを維持させるもので、例えば、誤接触フラグをセットする処理が行われる。そして、第2運転支援モードで走行している際に、タッチセンサ42a〜42dの何れかでONを検出した場合であっても、誤接触フラグがセットされていれば、第1運転支援モードへ遷移させることなく、第2運転支援モードを維持させる。
【0085】
このように、本実施形態によれば、ハンドル2に設けたリム2aの断面円周上に第1〜第4センサ42dを配設し、これにより運転者のハンドル把持状態を調べ、少なくともフロントウインドウ側に対峙する第4センサ42d、又はリム2aの外周側に配設されている第2センサ42bと他のタッチセンサがONし、且つ操舵オーバライド判定閾値Tsto以上の正入力された操舵トルクTstが検出された場合にのみ操舵オーバライドと判定するようにしたので、ハンドル2の把持を条件としない第2運転支援モード、或いはハンドル2の把持を条件とする第1運転支援モードでの自動運転において、運転者の操舵トルクTstが検出された場合であっても、直ちに手動運転モードへ遷移されてしまうことが防止され、運転者に与える違和感を軽減させることができる。
【0086】
特に、第2運転支援モードでの走行中において、運転者がリム2aの運転者側に対峙する位置に設けた第1センサ42a、又はリム2aの内周側に設けた第3センサ42cのみがONの場合は、操舵オーバライド判定閾値Tsto以上の正入力された操舵トルクTstが検出された場合であっても、誤接触と判定し、手動運転モードへの遷移を防止するようにしたので、運転者に与える違和感を大きく軽減させることができる。
【0087】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば左右タッチセンサ部42l,42rは、断面円周上に複数のタッチセンサを3区分、或いは5区分以上に形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0088】
1…運転支援システム、
2…ハンドル、
2a…リム、
2b…スポーク、
2c…窪み部、
11…ロケータユニット、
12…地図ロケータ演算部、
12a…自車位置推定演算部、
12b…地図情報取得部、
13…GNSS受信機、
14…自律走行センサ、
18…高精度道路地図データベース、
21…カメラユニット、
21a…メインカメラ、
21b…サブカメラ
21c…画像処理ユニット(IPU)、
21d…前方走行環境認識部、
22…運転モード設定演算部、
41…運転モードスイッチ、
42…ハンドルタッチセンサ部、
42a〜42d…第1〜第4タッチセンサ、
42l…左タッチセンサ部、
42r…右タッチセンサ部、
44…操舵トルクセンサ、
45…報知装置、
51…自動運転制御ユニット、
F1…運転支援モード実行フラグ、
F2…運転支援モード実行フラグ、
M…自車両、
RCAM…カメラ曲率、
RMPU…地図曲率、
Tst…操舵トルク、
Tsto…操舵オーバライド判定閾値、
t1…設定時間、
tim1…注意喚起時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9