【実施例1】
【0020】
[実施例1の構成]
初めにポスティング対策システム1の構成について説明する。
図1に本発明の実施例1におけるポスティング対策システム1の構成図を示す。マンション10は、1階に駐車場(図示省略)と、エントランス12とポーチ14と自転車置場15を備えており、2階以上が住居となっている。エントランス12の奥には階段17があり、階段17から先が入居者が使用する居住区16である。
ポスティング対策システム1は、エントランス12と居住区16を備えたマンション10において、エントランス12に設置された集合郵便受50への迷惑広告等の投函を抑止するものである。エントランス12には、集合郵便受50の他に宅配ボックス52も設置されている。そして、マンション10、エントランス12、居住区16は、それぞれ本発明の共用建物、共用エリア、専用エリアに相当する。
【0021】
マンション10の玄関部分がポーチ14であり、ポーチ14とエントランス12の間には、自動施錠システム(図示省略)により制御される自動施錠ドア60が設けられており、自動施錠ドア60は通常は施錠されている。そして、ポーチ14から自動施錠ドア60に向かって左側の壁面に集合玄関機20が設置され、ポーチ14から自動施錠ドア60に向かって右側の壁面にインターホン30が設置され、ポーチ14からエントランス12に向かって後方となり、インターホン30の前に立って振り向くと見易い位置となる自転車置場15の壁面に、不在票ポスト40が設置されている。エントランス12と居住区16の入り口となる階段17の間には、ドア18が設けられているが、通常は開放されており、エントランス12と居住区16の間は自由に通行出来る。
【0022】
図2に集合玄関機20の構成を示す。集合玄関機20は自動施錠システムの構成要素であり、電子キーに記録された識別コードを読み取る識別コード読取装置22と、テンキー及び呼び出しボタンを含むコード入力部24と、マイク26と、スピーカー27と、カメラ28と案内表示29とを備えている。集合玄関機20及び自動施錠ドア60を含む自動施錠システムは、市販品を使用しているため、構成や制御等の詳細な説明は省略する。
図3にインターホン30使用時の模式図を示す。インターホン30は呼出ボタン32と、カメラ34とマイク37とスピーカー38を備え、インターネットに接続されて、管理人の携帯電話36で応答が可能な構成となっている。インターホン30と携帯電話36はいずれも市販品を使用しているため、その構成や制御等の詳細な説明は省略する。
図1に示した不在票ポスト40は投函口を備えており、施錠出来る構成とされているが厚さが薄く背後の自転車置場15の壁面と同系色で塗装されており目立ず、表に何も記載されておらず、入居者にも説明していないため、不在票を投函するためのポストである事には気づき難い構成となっている。
【0023】
[実施例1の運用]
次に、ポスティング対策システム1の運用について説明する。
マンション10の入居者には入居時に電子キーが貸与され、電子キーに記録された識別コード、具体的には、電子キーに内蔵されたICチップに記録されているシリアルナンバーが自動施錠システムに登録される。電子キーは住居のドアの鍵と兼用である。そして、新聞配達人、郵便配達人、宅配業者、電気・ガス・水道等の検針員等のエントランス12に立ち入る必要性が認められる指定来訪者には、集合玄関機20で自動施錠ドア60の解錠を指示できる暗証コードを知らせておく。
集合玄関機20で入居者を呼び出す時は、コード入力部24のテンキーで部屋番号3桁を入力した後、コード入力部24の呼び出しボタンを押せばよい。また、集合玄関機20で暗証コードを入力する時は、コード入力部24の呼び出しボタン押した後、コード入力部24のテンキーで暗証コード4桁を入力すればよい。なお、集合玄関機20の案内表示29には入居者を呼び出す方法の説明はあるが、暗証コードについての説明はない。
そして、集合玄関機20のそばの見やすい位置に、「ポストにご用のある方は右のインターホンを押して下さい」等のメッセージを張り出しておき、インターホン30の呼出ボタン32が押されたときに、インターホン30から管理人の携帯電話36を呼び出す設定にしておく。メッセージは集合玄関機20の案内表示29に表示しておいても良い。
【0024】
入居者は、集合玄関機20の識別コード読取装置22に電子キーを近づけることで、識別コード読取装置22によって電子キーに記録された識別コードが読み取られ、自動施錠システムに登録されている識別コードと合致すると自動施錠システムにより自動施錠ドア60が解錠されるので、エントランス12に立ち入ることができる。このとき、読み取られた識別コードが自動施錠システムによって記録される。
入居者を訪問する来訪者は、集合玄関機20で入居者を呼び出すと、自動施錠システムにより集合玄関機20が入居者の部屋に設置された入居者用インターホン(図示省略)と接続されて、集合玄関機20のカメラ28が撮影した映像が入居者用インターホンに表示され、入居者との会話が可能となる。そして、入居者が入居者用インターホンに付属する解錠ボタンを押すと、自動施錠ドア60が解錠され、来訪者はエントランス12に立ち入ることができ、ドア18を通って居住区16まで入ることが出来る。このときは、集合玄関機20のカメラ28が撮影した映像が自動施錠システムによって記録される。
【0025】
そして、暗証コードを知らされている新聞配達人、郵便配達人等の指定訪問者は、通常は集合郵便受50に配達物を投函すればよいので、集合玄関機20で暗証コードを入力し、自動施錠システムに登録されている暗証コードと合致すると、自動施錠ドア60が解錠され、エントランス12に立ち入ることが出来るので、管理人や入居者に自動施錠ドア60の解錠を依頼することなく、新聞や郵便を集合郵便受50に投函することができる。
なお、書留郵便や速達あるいは行政からの通知等で受領印等が必要な場合、あるいは配達物が集合郵便受50に入らない場合などは、指定訪問者は、暗証コードを知らされていても、入居者に配達物を直接渡す必要があるため、入居者を呼び出すこともある。
【0026】
暗証コードを知らされている宅配業者は、荷物を入居者に直接届けるのが原則であるため、エントランス12に宅配ボックス52が設置されていても、まず、集合玄関機20で荷物の配達先の入居者を呼び出して、自動施錠ドア60を開けてもらい、荷物を届ける。そして、入居者が不在の時は、宅配業者は集合玄関機20で暗証コードを入力してエントランス12に立ち入り、宅配ボックス52に荷物を入れる。そして、荷物が大きいときは、不在票を集合郵便受50に入れる。
ここで、宅配ボックス52の使い方について説明する。宅配ボックス52は集合型の汎用品を設置しており、複数の区画ボックスを備えており、未使用中の区画ボックスは通常は開いている。宅配業者等は、未使用中の開放状態の区画ボックスに荷物を入れ、扉を閉め、区画ボックスでランダムな数字を入力してから鍵を回して施錠し、区画ボックスの番号と入力したランダムな数字を記入した配達票を配達先の集合郵便受50に投函する。
受取人は配達票に記されたランダムの数値を指定された区画ボックスで押すと扉が解錠される。宅配業者等は、区画ボックスにシリアルナンバー印があるので、それを押して受取印としている。
【0027】
そして、電気・ガス・水道等の検針員は、集合玄関機20で暗証コードを入力してエントランス12に立ち入り、さらにドア18を通って居住区16まで立ち入って、居住区に設置されている使用量計で検針を行い、検針結果を居室のポストに投函する。
暗証コードの入力により自動施錠ドア60の解錠をしたときは、解錠のタイミングで集合玄関機20のカメラ28が撮影した画像が自動施錠システムによって記録される。
【0028】
一方、広告やビラ等を無差別に配布する目的でマンション10を訪問した来訪者は、暗証コードを知らないので自動施錠ドア60の解錠が出来ないため、多くの場合は配布を断念して帰ると考えられる。そして、これらの来訪者が、集合玄関機20のそばの「ポストにご用のある方は右のインターホンを押して下さい」等のメッセージを見て、インターホン30の呼出ボタン32を押した場合も、管理人が携帯電話36で来訪者と会話して、ビラ等の投函を断ることができる。このように、エントランス12へは指定来訪者しか入れないため、集合郵便受50への迷惑広告等の投函を抑止することが出来る。
【0029】
そして、暗証コードを知らない配達業者が入居者宛の荷物を届けに来て、入居者が不在で荷物を引き渡せない場合などで、入居者に不在票を渡したい場合は、配送業者はインターホン30の呼出ボタン32を押し、インターホン30と携帯電話36で管理人と会話し、管理人から不在票ポスト40のことを知らされて、不在票を不在票ポスト40に投函する。そして、管理人は、不在票を不在票ポスト40から取り出して、集合郵便受50の不在票の宛先人のポストに投函することができる。
したがって、管理人が必要と認める場合は不在票ポストを経由して入居者宛の不在票を入居者に届けることが出来る。
なお、インターホン30と携帯電話36で配達業者と会話した管理人がマンション10のすぐ近くに居り、配達業者が郵便受への投函を強く希望する場合は、管理人が電子キーで自動施錠ドア60を解錠して、配達業者に配達物を集合郵便受50に投函させることもできる。なお、管理人が電子キーを持っていなかった場合等は、暗証コードで自動施錠ドア60を解錠することも出来る。
また、不在票ポストを何度か利用した配達業者には暗証コードを知らせて、エントランス12への立ち入りを認めても良い。
【0030】
そして、入居者は、電子キーで自動施錠ドア60を解錠出来るため、入居者には暗証コードを知らせる必要が無く、知らせていないので、暗証コードが第三者に知られるリスクが低く、セキュリティが高い。また、退去等があっても、その都度、暗証コードを変更する必要がない。
そして、集合郵便受50と宅配ボックス52は、自動施錠ドア60で施錠されたエントランス12の内部に設置されており、第3者はエントランス12に入ることが出来ないため、第3者は、集合郵便受50や宅配ボックス52に触れることが出来ない。
よって、集合郵便受50にゴミが投げ込まれたり、宅配ボックス52にロックか掛けられたりすることが無く、また、宅配ボックス52に配達された荷物が盗難にあったりすることも無く、安全である。
【0031】
[変形例]
上述の実施例では、集合玄関機が読み取る識別情報は電子キーに記録された識別コードとし、識別情報を読み取る情報取得部を識別コード読取装置としたが、識別コードが記録されるICチップを収容する媒体は、プラスチックのカードでも良い。
識別コード読取装置が読み取る識別コードは、携帯電話等の電子機器に内蔵された記憶装置に記録されていても良い。
そして、識別情報は、入居者の静脈情報、指紋、瞳の虹彩画像等の入居者本人に由来する情報であっても良く、情報取得部は、静脈情報読取措置、指紋読取装置、瞳の虹彩読取装置等で有っても良い。
【0032】
上述の実施例では、インターホンは自動施錠システムからは独立しており、インターホンへの呼びかけに対して携帯電話で応答出来る構成としているが、インターホン自体の機能を使って応答する構成としても良い。
そして、大家あるいは出入管理を委託された業者がマンションの一室に居住して管理人として在宅している場合などは、自動施錠システムの入居者用インターホンと、携帯電話で応答可能なインターホンを併用することも出来る。そして、管理人が外出時には、インターホンへの呼びかけに対して携帯電話で応答することが出来る。
【0033】
そして、集合玄関機は、電子キーに記録された識別コードを取得する識別コード取得装置に替えて、鍵穴を備え、鍵穴に鍵を挿入するかあるいは鍵を挿入した上で回すと、集合玄関機が鍵を識別して鍵の情報を取得する構成として、取得された鍵の情報が自動施錠システムに登録されている鍵の情報と合致したときに、自動施錠ドアが解錠される構成であっても良い。
【0034】
また、エントランスに自動施錠システムの構成要素となる第2集合玄関機を設置し、エントランスと居住区の間に自動施錠システムで制御される第2自動施錠ドアを設けて、集合玄関機で自動施錠ドアを解錠させる識別情報と第2集合玄関機で第2自動施錠ドアを解錠させる識別情報は共通としてもよい。そして、集合玄関機が識別情報を取得したとき、自動施錠システムに登録されている識別情報と合致すると、自動施錠ドアのみが解錠され、第2集合玄関機が識別情報を取得したとき、自動施錠システムに登録されている識別情報と合致すると、第2自動施錠ドアのみが解錠される構成としても良い。
【0035】
本発明の上述の実施例や変形例は例示であって、本発明に係るポスティング対策システムはその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。