特許第6691702号(P6691702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レフィルム加工株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691702
(24)【登録日】2020年4月15日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20200427BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B32B27/00 L
   B32B27/18 D
   B32B27/00 101
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-38604(P2016-38604)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-154333(P2017-154333A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】石田 康之
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 倫子
(72)【発明者】
【氏名】田中 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康宏
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−155420(JP,A)
【文献】 特開2008−279669(JP,A)
【文献】 特開2015−016676(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/152369(WO,A1)
【文献】 特開2015−030768(JP,A)
【文献】 特開平04−059207(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00920986(EP,A1)
【文献】 特開2014−069361(JP,A)
【文献】 特開2013−244667(JP,A)
【文献】 特開2011−132309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09D 1/00−10/00
101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材の少なくとも一方の面に、支持基材側から順に中間層と離型層とを有する離型フィルムであって、前記離型層がシリコーン系樹脂を含み、かつ前記中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、さらに前記中間層が多価アルコールおよび/または多価アルコール誘導体を含み、さらに前記中間層が過塩素酸アルカリ金属塩、パーフルオロスルホン酸アルカリ金属塩およびビス(パーフルオロスルホン酸イミド)アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩を含むことを特徴とする離型フィルム。
【請求項2】
支持基材の少なくとも一方の面に、支持基材側から順に中間層と離型層とを有する離型フィルムであって、前記離型層がシリコーン系樹脂を含み、かつ前記中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、さらに前記中間層が多価アルコールおよび/または多価アルコール誘導体を含み、さらに前記中間層がイオン液体を含むことを特徴とする離型フィルム。
【請求項3】
前記中間層が多価アルコールを含み、当該多価アルコールがグリセリンであることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。
【請求項4】
前記中間層が多価アルコール誘導体を含み、当該多価アルコール誘導体がグリセリン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。
【請求項5】
前記中間層がアルコキシシランを含み、当該アルコキシシランがテトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項6】
前記中間層がアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、当該アルコキシシランの部分加水分解縮合物がテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項7】
前記中間層が過塩素酸アルカリ金属塩、パーフルオロスルホン酸アルカリ金属塩およびビス(パーフルオロスルホン酸イミド)アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩を含むことを特徴とする請求項に記載の離型フィルム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型フィルムに関する。更に詳しくは例えば偏光板、位相差フィルムの粘着層の保護フィルムに有用な離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン系樹脂の表面層を持つ離型フィルムは、液晶偏光板や位相差板等の光学用途フィルム製造時に用いる粘着層形成時のベースフィルムとして、上記光学フィルムが貼合されるまでの粘着層保護フィルムとして機能する。
【0003】
光学フィルムの粘着層は、離型フィルムから剥離されその粘着性能を発揮する層であるため、その保護フィルムである離型フィルムには、その剥離力が経時や保管環境、保管期間により変化せず、また光学フィルムの粘着層の粘着力を変化させないことが求められる。
【0004】
一方で、上記粘着層は離型フィルムの離型層上に塗布−乾燥することにより形成されるため、
離型層には、この工程を経ても変化しない性質、即ち高い耐溶剤性が求められる。
【0005】
さらにこのような光学フィルムの粘着層向けの離型フィルムでは、剥離による離型フィルム自身や、離型フィルムから剥離した粘着層の帯電、帯電による粘着層への埃の付着、粘着層塗布時の表面荒れのなどの問題を生じる場合があり、その対策として離型フィルムへの帯電防止性が求められている。
【0006】
この離型フィルムへの帯電防止性の付与について、特許文献1では、「帯電防止シリコン離型フィルムであって、ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一面に帯電防止シリコン離型組成物で1回以上コーティングされたコーティング層と、を含み、前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記導電性ポリマー樹脂は、ポリ陰イオンにポリチオフェン又はその誘導体を重合して製造されることを特徴とする帯電防止シリコン離型フィルム」が提案されている。
【0007】
特許文献2では、「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有し、当該フィルムの少なくとも片面に離型層を有し、当該離型層中に陰イオン性界面活性剤を1〜15質量%含有することを特徴とする離型フィルム」が提案されている。
【0008】
また特許文献3では「プラスチックフイルムの片面または両面に、金属化合物と電荷移動錯体を形成しているテトラアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解物を用いた帯電防止層を介して、硬化型シリコーンを用いた離型層が形成されていることを特徴とする帯電防止性能を有する離型フイルム」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2009−533256号公報
【特許文献2】特開2014−233845号公報
【特許文献3】特許201436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、1.離型フィルムと粘着層間の高温加熱前後の剥離力変化が小さいこと、2.離型層の耐溶剤性が高いこと、3.離型フィルムが安定した帯電防止性を有すること、の3点を両立することにある。
【0011】
これに対し前述の従来技術は次の状況にある。本発明者らが確認したところ、特許文献1の技術は、帯電防止性は良好だが離型層の耐溶剤性が低く、離型層上に形成した粘着層に離型層の成分が移行する問題があり、特許文献2の技術は、高温加熱後に剥離力が増加する傾向が大きく、特許文献3の技術は、離型層の耐溶剤性および帯電防止性の湿度依存性が大きいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、従来技術の実情に鑑み、鋭意検討の結果、以下の発明に至った
1.支持基材の少なくとも一方の面に、支持基材側から順に中間層と離型層とを有する離型フィルムであって、前記離型層がシリコーン系樹脂を含み、かつ前記中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、さらに前記中間層が多価アルコールおよび/または多価アルコール誘導体を含むことを特徴とする離型フィルム。
2.前記中間層が多価アルコールを含み、当該多価アルコールがグリセリンであることを特徴とする1.に記載の離型フィルム。
3.前記中間層が多価アルコール誘導体を含み、当該多価アルコール誘導体がグリセリン誘導体であることを特徴とする1.に記載の離型フィルム。
4.前記中間層がアルコキシシランを含み、当該アルコキシシランがテトラアルコキシシランであることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の離型フィルム。
5.前記中間層がアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、当該アルコキシシランの部分加水分解縮合物がテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物であることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の離型フィルム。
6.前記中間層が過塩素酸アルカリ金属塩、パーフルオロスルホン酸アルカリ金属塩およびビス(パーフルオロスルホン酸イミド)アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩を含むことを特徴とする1.から5.のいずれかに記載の離型フィルム。
7.前記中間層がイオン液体を含むことを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の離型フィルム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高温加熱前後の剥離力変化が小さく、耐溶剤性が高く、かつ優れた帯電防止性能を有する離型フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記課題を達成するにあたり、まず本発明者らは従来技術の問題点について以下のように考察した。
【0015】
まず、特許文献1に記載の技術について、離型層の耐溶剤性が低い原因は、離型層自身に帯電防止剤としてポリチオフェンを含有するため、これが離型層を構成する付加反応型シリコーンの触媒毒として作用した結果、硬化不良になり、離型層の耐溶剤性が低下したと考えている。
【0016】
また、特許文献2に記載の技術については、離型層自身に親水性の高い陰イオン性界面活性剤を添加しているため、高温加熱時に粘着層の界面部に移動し、粘着層−離型層の境界面部の相溶性を高め、剥離力が上昇したと考えている。
【0017】
特許文献3の技術は、帯電防止層に含まれ、帯電防止性の発現に影響するテトラアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解物のシラノール基が縮合することで、帯電防止性能が大幅に低下したと考えている。
【0018】
次に、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
【0019】
本発明者らは、離型フィルムにおいて、上記の3つの課題、すなわち、剥離力の経時変化、離型層の耐溶剤性、帯電防止性の両立という課題に対して、支持基材の少なくとも一方の面に、支持基材側から順に中間層と離型層とを有する離型フィルムであって、前記離型層がシリコーン系樹脂を含み、かつ前記中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含み、さらに前記中間層が多価アルコールおよび/または多価アルコール誘導体とを含むことが好ましいことを見いだした。
【0020】
ここで離型層とは、離型フィルムにおいて支持基材の少なくとも一方に形成された層で、例えば粘着性や接着性を有する層(粘着層、接着層)に接触した状態で使用され、粘着層や接着層の機能を損ないにくく剥離することができ、それにより粘着層や接着層を保護する機能を有する層である。層の定義については後述する。
【0021】
離型層に含まれる「シリコーン系樹脂」とは、ジメチルシロキサン骨格を主鎖、または側鎖に含む樹脂であり、その硬化方法により大別することができる。本発明においては、硬化型シリコーン系樹脂が好ましく、付加反応型シリコーン系樹脂がより好ましい。その詳細については後述する。
【0022】
中間層は、上記離型層と支持基材との間に存在する層であって、一例として支持基材と離型層間の層間密着性付与や、離型フィルムの帯電防止、離型層の耐溶剤性や、支持基材からの低分子量成分の表面移行を抑制する(以降、オリゴマーブロック性とする)機能を担う層である。
【0023】
本発明において中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含むことが好ましい。
【0024】
中間層に含まれる「アルコキシシラン」とは、化学式1に示される化合物で、nは0〜3、Rはアルキル基またはフェニル基を、Rはアルキル基を指す。
【0025】
【化1】
【0026】
アルコキシシランの部分加水分解縮合物とは、化学式2にその一例が示されるが、アルコキシ基が部分的に加水分解してシラノール基(Si−OH)になると共に、一部がシラノール縮合することにより、シロキサン結合(Si−O−Si)を形成したものを指す。
【0027】
【化2】
【0028】
中間層には、化学式1において、nは0〜1、R、Rはともにアルキル基で、部分加水分解縮合物を形成した状態で存在することが好ましく、n=0、R、Rはともにアルキル基、すなわちテトラアルコキシシランであることが好ましく、さらにテトラアルコキシシランが部分加水分解縮合物を形成した状態で存在することが、帯電防止性の面からより好ましい。つまり、前記中間層に含まれるアルコキシシランがテトラアルコキシシランであることが好ましく、前記中間層がテトラアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含むことが好ましい。
【0029】
中間層がアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含むと、例えば支持基材にプラスチックフィルムを用いる場合、Siの存在により離型層に含まれるシリコーン系樹脂と、アルキル部分の存在により支持基材であるプラスチックフィルム表面の両方に親和性が得られ密着性が高くなるため好ましい。
【0030】
さらに、アルコキシシランが使用環境下で加水分解を受けて生じるシラノール基、もしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物中のシラノール基が水を吸着し、その吸着水とシラノール基間をプロトンが移動するイオン伝導(プロトン導電性)を発現するため好ましい。
【0031】
中間層に含まれる「多価アルコール」とは、分子中にアルコール性水酸基を2個以上含み、分子量が62以上10,000未満の分子をいう。「多価アルコール誘導体」とは、上記の多価アルコールの水酸基の一部、またはすべてが、エステル化やエーテル化された分子をいう。
【0032】
具体的な多価アルコール、および多価アルコール誘導体の例としては、特に限定されないが、例えば、グリセリンおよびグリセリン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのアルキレングリコールおよびそれらの誘導体、ペンタエリトリトールおよびその誘導体、分子量が62以上10,000未満の低分子量ポリアルキレングリコールおよびその誘導体などが挙げられ、グリセリンおよびグリセリン誘導体、ポリアルキレングリコール誘導体がより好ましく、帯電防止性の面から特に好ましくはグリセリンおよび/またはグリセリン誘導体である。特に好ましい例として中間層が多価アルコールとしてグリセリンまたはグリセリン誘導体のいずれかを含んでもよいし、グリセリンおよびグリセリン誘導体の両方を含んでもよい。
【0033】
中間層が「多価アルコール」、または「多価アルコール誘導体」を含むと、前述のアルコキシシランが使用環境下で加水分解を受けて生じるシラノール基(Si−OH)、もしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物に含まれるシラノール基が、高温条件、または経時にて縮合反応により、シロキサン結合(Si−O−Si)に変化して、前述のイオン伝導性に起因する帯電防止性が低下することを抑制すると共に、自身の水酸基により導電性を向上させることができるため好ましい。
【0034】
さらに中間層の導電性を安定させる目的で、前記中間層が下記の化学式3〜5に示す過塩素酸アルカリ金属塩、パーフルオロスルホン酸アルカリ金属塩およびビス(パーフルオロスルホン酸イミド)アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩を含むことが好ましい
ここで、Aはアルカリ金属(Li、Na、K)が、nとmは1〜6が好ましく、AはLiで、nとmは1〜4が帯電防止性の観点からより好ましい。
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】
【0037】
【化5】
【0038】
また、同じく中間層の導電性を安定させる目的で、前記中間層がイオン液体を含むことが好ましい。イオン液体とは、イオン性液体や低融点溶融塩とも呼ばれる材料で、イオンのみから構成される塩であり、室温付近でも液体状態で存在する塩を指す。
【0039】
その構造は基本的に、カチオンとアニオンが対になった塩を形成しており、カチオンがイミダゾリウム系、ピリジニウム系、脂肪族系、ホスホネート系、ヨウ素系などの分類がある。またアニオンとしては、硫酸エステル、ホウ酸エステル、燐酸エステル、スルホン酸、ハロゲン、などがあり、その組み合わせにより得られる。
【0040】
以下、本発明の実施の形態について詳細を述べる
[離型フィルム、および離型層]
本発明の離型フィルムは、支持基材の少なくとも一方の面に、前述の条件を満たす離型層および中間層を有するものであればよく、支持基材の両方の面に離型層を有してもよいし、離型層と支持基材との密着性を向上させるために、離型層に帯電防止性、耐溶剤性等を付与するため支持基材と離型層の間に複数の中間層を設けてもよい。
【0041】
前述の離型層の厚みは、10〜500nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。例えば塗布により離型層を形成する場合、離型層の厚みを上記範囲とすることで、不必要な厚みを塗布することで生産性を低下させにくく、安定した剥離性能を実現させることができるため好ましい。
【0042】
本発明の離型フィルムの離型層は、前述の条件を満たすことができれば特に限定されないが、本発明の離型層用樹脂組成物により形成されていることが好ましく、本発明の離型層用塗料組成物を後述する離型フィルムの製造方法により、塗布、乾燥、硬化することにより形成することが好ましい。
【0043】
ここで本発明における「層」とは、前記離型フィルムの表面から厚み方向に向かい、隣接する部位との構成元素の組成、粒子等の含有物の形状、厚み方向の物理特性が不連続な境界面を有することで区別される有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記離型フィルムを表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(FT−IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS、EPMA、EELS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別され、有限の厚みを有する部位を指す。
【0044】
[離型層用樹脂組成物]
離型層用樹脂組成物は、前述の本発明の離型フィルムの離型層に好ましい樹脂組成物を指す。離型層または離型層用樹脂組成物として前述の条件を満たすことができれば、その組成は特に限定されないが、シリコーン系樹脂、有機系とシリコーン系の混合もしくは共重合樹脂などが好ましく、優れた離型性や耐熱性からシリコーン系樹脂がより好ましく、特に硬化型シリコーン系樹脂が好ましい。
【0045】
硬化型シリコーン系樹脂には、末端にビニル基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンを白金触媒のもとに、加熱硬化させた「付加反応型」、末端に水酸基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンとを有機錫触媒を用いて加熱硬化させた「縮重合反応型」、アルケニル基を含むシロキサンとメルカプト基を含むシロキサンとを光重合触媒を用いて硬化させる「ラジカル付加型」、エポキシ基をオニウム塩開始剤にて光開環させて硬化させる「カチオン重合型」があり、いずれを用いてもよいが、生産性、剥離力の観点から末端ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンを白金触媒のもとに、加熱硬化させた付加反応型が好ましい。
【0046】
本発明の離型層用樹脂組成物は、好ましくは後述する離型層用塗料組成物を必要に応じて乾燥工程で溶媒を除去の上、硬化することにより形成することができる。
【0047】
[離型層用塗料組成物、離型層用樹脂前駆体]
離型層用塗料組成物は、前述の離型フィルムの離型層もしくは離型層用樹脂組成物を形成することができる、室温にて液体の性状を示す混合物であり、少なくとも後述する離型フィルムの製造方法によって、離型層用樹脂組成物を形成可能な材料(以降これを樹脂前駆体と呼ぶ)と、重合開始剤、硬化剤、硬化触媒含み、さらに溶媒、粒子、帯電防止剤などの各種添加剤を含んでもよい。
【0048】
離型層用塗料組成物はシリコーン系樹脂前駆体が好ましく、特に硬化型シリコーン系樹脂を形成可能な樹脂前駆体が好ましく、「付加反応型」、「縮重合反応型」、「ラジカル付加型」、「カチオン重合型」の樹脂前駆体、および重合開始剤、硬化剤、硬化触媒を含む塗料組成物がより好ましい。
【0049】
付加反応型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、末端にビニル基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンと白金触媒を含むものが好ましく、信越化学工業(株)社製のKS−774、KS843、KS847、KS847HおよびKS838、東レ・ダウコーニング(株)社製SD7226、S D7223、SRX211、SRX345、SD7236、SRX370、LTC750A、LTC371Gなどが挙げられる
縮重合反応型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、末端に水酸基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンとを有機錫触媒を含むものが好ましく、東レダウコーニング(株)社製SRX290やSY LOFF23が挙げられる。
【0050】
ラジカル付加型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、アルケニル基を含むシロキサンとメルカプト基を含むシロキサンと光重合触媒を含むものが好ましく、東レ・ダウコーニング(株)社製BY24−510HおよびBY24− 544などが挙げられる。
【0051】
カチオン重合型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、エポキシ基を含むシロキサンと、オニウム塩開始剤を含むものが好ましく、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TPR6501、UV9300およびXS56−A2775などが挙げられる。
【0052】
本発明における離型層用塗料組成物の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、離型層用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常10質量%以下であり、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、支持基材もしくは後述する中間層上でハジキが発生しやすくなる場合があり、他方10質量%を超えると表面が粗くなる場合がある。
【0053】
[中間層]
本発明の離型フィルムでは、支持基材と離型層間の層間密着性向上、離型フィルムの帯電防止、離型層の耐溶剤性や、支持基材からの低分子量成分の表面移行を抑制する(以降、オリゴマーブロック性とする)観点から、支持基材と離型層の間に1層以上の中間層を設けることが好ましく、機能に合せて複数の中間層を設けてもよい。
【0054】
中間層の形成方法は、上記の目的を達する中間層が形成できれば、その形成方法は特に限定されない。支持基材の製膜途中で後述する中間層用塗料組成物を塗布したフィルムを作成後、別の工程で離型層を塗布してもよく、支持基材の製膜後、中間層用塗料組成物を支持基材に塗布−乾燥−巻き取りを行い、次いで離型層を塗布−乾燥−巻き取り(逐次塗布)を行ってもよいが、好ましくは、中間層用塗料組成物を塗布、溶媒除去後、直ちに離型層を塗布することが、支持基材と離型層間の密着性、塗膜品位の面から好ましい。
【0055】
例えば中間層を塗布により形成する場合、中間層の乾燥塗布厚みは、好ましくは、10〜500nm、より好ましくは20〜200nm、さらに好ましくは20〜100nmである。塗布厚みが10nm〜500nmであると、離型層の本来の目的である離型性能が安定し、かつ中間層によって付与したい機能、即ち支持基材と離型層間の密着性向上、オリゴマーブロック性、帯電防止性、耐溶剤性と優れた塗膜品位を得ることができるため好ましい。
【0056】
[中間層用塗料組成物]
中間層用塗料組成物は、前述の支持基材と離型層間の層間密着性付与、帯電防止性、耐溶剤性、さらに支持基材からの低分子量成分の析出を抑制する目的からアルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含むことが好ましい。
【0057】
アルコキシシランの具体例としては、信越化学工業(株)社製のKBM−13、KBM−22、KBM−103、KBE−04、KBE−13、KBE−22、KBE−103がある。また、アルコキシシランの部分加水分解物の例としては、コルコート(株)製のエチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート48、コルコートPS−162R、コルコートPS−169、コルコートPX、コルコートN−103Xなどが挙げられる。
【0058】
さらに、中間層が多価アルコールを含むことが好ましい。具体的な多価アルコールの例としては、特に限定されないが、例えば、グリセリンおよびグリセリン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびそれらの誘導体、ペンタエリトリトールおよびその誘導体、分子量が62以上10,000未満の低分子量ポリエチレングリコール(低分子量PEGとも称する)およびその誘導体などが挙げられるが、好ましくはグリセリンおよびグリセリン誘導体である。
【0059】
多価アルコールの例として具体的には、坂本薬品工業(株)のグリセリン、ジグリセリンS、SY−DPシリーズ、MCA−150、SC−Pシリーズ、SC−Eシリーズ、ポリグリセリン
などが挙げられる。
【0060】
さらに中間層の導電性を安定させ、帯電防止性を安定化させる目的で、中間層が過塩素酸アルカリ金属塩、パーフルオロスルホン酸アルカリ金属塩およびビス(パーフルオロスルホン酸イミド)アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩を含むことが好ましい。具体的には、三菱マテリアル電子化成(株)のEF−12、EF−13、EF−15(以上トリフルオロメタンスルホン酸塩)、EF−22、EF−23、EF−25(以上ペンタフルオロエタンスルホン酸塩)、EF−32、EF−33、EF−35(以上ヘキサフルオロプロパンスルホン酸塩)、KFBS、EF−43、LFBS(以上ノナンフルオロブタンスルホン酸塩)、EF−N112、EF−N113、EF−N115(以上ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、EF−N142、EF−N143、EF−N145(以上(トリフルオロメタンスルホニル−ノニルフルオロブタンスルホニル)イミド)、EF−N442、EF−N443、EF−N445(以上、ビスノニルフルオロブタンスルホニルイミド)、が挙げられる。
【0061】
また、同じく中間層の導電性を安定させる目的で、前記中間層がイオン液体を含むことが好ましい。イオン液体とは、イオン性液体や低融点溶融塩とも呼ばれる材料で、イオンのみから構成される塩であり、室温付近でも液体状態で存在する塩を指す。
【0062】
その構造は基本的に、カチオンとアニオンが対になった塩を形成しており、カチオンがイミダゾリウム系、ピリジニウム系、脂肪族系、ホスホネート系、ヨウ素系などの分類がある。またアニオンとしては、硫酸エステル、ホウ酸エステル、燐酸エステル、スルホン酸、ハロゲン、などがあり、その組み合わせにより得られる。具体的には、日本乳化剤(株)のAS100、AS300、AS400、JI62J01、JI62G01、広栄化学(株)のIL−Pシリーズ、IL−Aシリーズ、IL−Cシリーズ、IL−IMシリーズ、IL−APシリーズ、IL−MAシリーズ、IL−Sシリーズなどが挙げられる。
【0063】
中間層用塗料組成物は上記アルコキシシランおよび/またはアルコキシシランの部分加水分解物に加えて、離型層の密着性向上や耐溶剤性付与の観点から有機金属化合物を含有してもよい。有機金属化合物としては、アルミニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム、鉄、インジウムなどの金属の有機酸塩、キレート化合物、アルコキシド、およびそのオリゴマーが好ましく、特に有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0064】
有機アルミニウム化合物としては、(MeO)Al、(EtO)Al、(n−Pro)Alなどのアルミニウムアルコラート、ナフテン酸、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸などのアルミニウム塩、アルミニウムアルコラートにアセト酢酸エステルまたはジアルキルマロネートを反応させて得られるアルミニウムキレート、アルミニウムオキサイドの有機酸塩、アルミニウムアセチルアセトネートなどが挙げられる。さらに有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムキレート化合物が好ましい。具体的には、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートヒス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
【0065】
本発明における中間層用塗料組成物の固形分濃度は、特にこれに限定されるものではないが、中間層用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常10質量%以下であり、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、基材フィルム上でハジキが発生しやすくなる場合があり、他方10質量%を超えると表面が粗面化する場合がある。
【0066】
[その他の塗料組成物添加剤]
前述の離型層用塗料組成物と中間層用塗料組成物は溶媒を含んでもよく製造適性の面から溶媒を含むことが好ましい。ここで溶媒とは塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。本発明の離型フィルムに適した塗料組成物は、溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下である。
【0067】
溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
【0068】
[支持基材]
本発明における支持基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられるが、特に離型フィルムに使用される支持基材としては、機械的強度、耐熱性、熱寸法安定性および耐薬品性に優れ、且つ経済的である2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい
支持基材の表面には、前記中間層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
【0069】
[離型フィルムの製造方法]
本発明における離型層は、離型層用塗料組成物を中間層を設けた支持基材上に塗布することにより形成する方法が好ましい。また、中間層を設ける場合も同様に、支持基材上に中間層用塗料組成物を塗布することにより形成する方法が好ましい。
【0070】
支持基材上への塗料組成物の塗布方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法またはダイコート法が塗布方法としてより好ましい。次いで、支持基材等の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる離型フィルム中から完全に溶媒を除去することに加え、塗膜の硬化を促進する観点からも、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。
【0071】
乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
【0072】
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、より好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは130℃以上200℃以下である。
【0073】
また、エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)であることが好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましくは200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。ここで、紫外線照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計および被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
【0074】
また、本発明の離型フィルムは、例えば偏光板、位相差フィルムの粘着層の保護用途に好適に利用することができる。
【実施例】
【0075】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、同一の化合物については特記しない限り同一の製品を用いた。また、実施例1〜16および実施例30は、それぞれ参考例1〜16および参考例17とする。
【0076】
[塗料組成物の作成]
[中間層用塗料組成物A1]下記材料を混合し中間層用塗料組成物A1を得た。
【0077】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.022質量部
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0078】
[中間層用塗料組成物A2] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A2を得た。
【0079】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部(コルコートN−103X コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.022質量部
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0080】
[中間層用塗料組成物A3]
1.下記材料をオイルバス上に設置した還流冷却管付き三つ口フラスコに入れ、オイルバス温度65度で1時間混合する。
【0081】
・メチルトリメトキシシランの加水分解縮合物の2プロパノール・トルエン溶液:10質量部(KR242A 信越化学工業(株)製 固形分濃度 50質量%)
・テトラエトキシシランの加水分解縮合物:5質量部
(エチルシリケート40 コルコート(株)製)
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部
2.上記混合物に攪拌しながらイオン交換水 2質量部を滴下、混合し、液体の濁りがなくなった後、さらに24時間攪拌する。
【0082】
3.冷却後、グリセリン 0.022質量部を滴下混合し、中間層用塗料組成物A3を得た。
【0083】
[中間層用塗料組成物A4] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A4を得た。
【0084】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン : 0.011質量部
・2プロパノール: 5.5質量部
・1ブタノール : 5.5量部。
【0085】
[中間層用塗料組成物A5] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A5を得た。
【0086】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.05質量部
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0087】
[中間層用塗料組成物A6] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A6を得た。
【0088】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.086質量部
・2プロパノール:9.2質量部
・1ブタノール :9.2質量部。
【0089】
[中間層用塗料組成物A7] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A7を得た。
【0090】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・ジエチレングリコール:0.022質量部
・2プロパノール :6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0091】
[中間層用塗料組成物A8] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A8を得た。
【0092】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部(コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・ペンタエリスリトール:0.022質量部
・2プロパノール :6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0093】
[中間層用塗料組成物A9] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A9を得た。
【0094】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・PO変性グリセリン:0.022質量部(SY−DP9 阪本薬品工業(株)製)
・2プロパノール :6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0095】
[中間層用塗料組成物A10] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A10を得た。
【0096】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン脂肪酸エステル:0.022質量部(MCA−150阪本薬品工業(株)製)
・2プロパノール :6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0097】
[中間層用塗料組成物A11] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A11を得た。
【0098】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.013質量部(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0099】
[中間層用塗料組成物A12] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A12を得た。
【0100】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.013質量部(KOELIQIL−S2 広栄化学(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0101】
[中間層用塗料組成物A13] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A13を得た。
【0102】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.022質量部
・反応性イオン液体:0.013質量部(アミノイオンJI62G02 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール :7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0103】
[中間層用塗料組成物A14] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A14を得た。
【0104】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.005質量部(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0105】
[中間層用塗料組成物A15] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A15を得た。
【0106】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.025質量部(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0107】
[中間層用塗料組成物A16] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A16を得た。
【0108】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.038質量部(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0109】
[中間層用塗料組成物A17] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A17を得た。
【0110】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・イオン液体 :0.013質量部(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム:0.013質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0111】
[中間層用塗料組成物A18] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A18を得た。
【0112】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム: 0.013質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0113】
[中間層用塗料組成物A19] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A19を得た。
【0114】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・ビス(トリフルオロブタンスルホニルイミド)カリウム: 0.013質量部(EF−N442(三菱マテリアル電子化成(株))製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0115】
[中間層用塗料組成物A20] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A20を得た。
【0116】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・ビス(トリフルオロブタンスルホニルイミド)リチウム: 0.013質量部(EF−N445(三菱マテリアル電子化成(株))製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0117】
[中間層用塗料組成物A21] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A21を得た。
【0118】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム: 0.005質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0119】
[中間層用塗料組成物A22] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A22を得た。
【0120】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム: 0.025質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0121】
[中間層用塗料組成物A23] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A23を得た。
【0122】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液:10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・グリセリン :0.025質量部
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム: 0.038質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:7.5質量部
・1ブタノール :7.5質量部。
【0123】
[中間層用塗料組成物A24]下記材料を混合し中間層用塗料組成物A1を得た。
【0124】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液: 10質量部 (コルコートPX コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0125】
[中間層用塗料組成物A25] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A2を得た。
【0126】
・テトラエトキシシラン部分加水分解縮合物の2プロパノール・1ブタノール溶液: 10質量部(コルコートN−103X コルコート(株)製 固形分濃度 2質量%)
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部。
【0127】
[中間層用塗料組成物A26]
1.下記材料をオイルバス上に設置した還流冷却管付き三つ口フラスコに入れ、オイルバス温度65度で1時間混合する。
【0128】
・メチルトリメトキシシランの加水分解縮合物の2プロパノール・トルエン溶液:10質量部(KR242A 信越化学工業(株)製 固形分濃度:50質量%)
・テトラエトキシシランの加水分解縮合物:5質量部(エチルシリケート40 コルコート(株)製)
・2プロパノール:6.1質量部
・1ブタノール :6.1質量部
2.上記混合物に攪拌しながらイオン交換水 2質量部を滴下、混合し、液体の濁りがなくなった後、さらに24時間攪拌し、中間層用塗料組成物A26を得た。
【0129】
[中間層用塗料組成物A27] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A27を得た。
【0130】
・グリセリン :0.02質量部
・2プロパノール:10質量部
・1ブタノール :10質量部。
【0131】
[中間層用塗料組成物A28] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A27を得た。
【0132】
・イオン液体 :0.01質量部(アミノイオンRAS100 日本乳化剤(株)製)
・2プロパノール:10質量部
・1ブタノール :10質量部。
【0133】
[中間層用塗料組成物A29] 下記材料を混合し中間層用塗料組成物A27を得た。
【0134】
・トリフルオロメタンスルホン酸リチウム:0.01質量部(EF−15(三菱マテリアル電子化成(株)製)
・2プロパノール:10質量部
・1ブタノール :10質量部。
【0135】
[離型層用塗料組成物B1] 下記材料を混合し離型層用塗料組成物B1を得た。
【0136】
・メチルビニルポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液:10質量部 (KS847H 信越化学工業(株)製 固形分濃度 30質量%)
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液:0.1質量部(PL−50T 信越化学工業(株)製)
・トルエン:10質量部
・ヘプタン:10質量部。
【0137】
[離型層用塗料組成物B2] 下記材料を混合し離型層用塗料組成物B2を得た。
【0138】
・メチルヘキシレンポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液:10質量部(LTC750A 東レダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%)
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液:0.1質量部(SRX212 東レダウコーニング(株)製)
・トルエン:10質量部
・ヘプタン:10質量部。
【0139】
[離型フィルムの作成]
以下の離型フィルムの作成−C1〜C7にしたがって離型フィルムを得た。
【0140】
[離型フィルムの作成−C1]
厚み38μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R60)に、中間層用塗料組成物を、乾燥・硬化後の塗布厚みが40nmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化した。
【0141】
次いで、5分以内に離型層用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが80nmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化して離型フィルムを得た。
【0142】
[離型フィルムの作成−C2]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、中間層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを20nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0143】
[離型フィルムの作成−C3]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、中間層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを60nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0144】
[離型フィルムの作成−C4]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、中間層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを15nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0145】
[離型フィルムの作成−C5]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、離型層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを50nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0146】
[離型フィルムの作成−C6]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、離型層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを150nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0147】
[離型フィルムの作成−C7]
前記離型フィルムの作成−C1に対し、離型層用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを30nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、離型フィルムを得た。
【0148】
以上の方法により実施例1〜30、比較例1〜6の離型フィルムを作成した。各実施例・比較例に対応する上記離型フィルムの作成方法、使用する離型層用塗料組成物、中間層用塗料組成物、各層の膜厚を表1に記載した。
【0149】
[離型フィルムの評価]
作成した離型フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表1に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において、1つのサンプルにつき場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
【0150】
[常温剥離力]
離型フィルムの離型層形成面に粘着テープ(日東電工(株)製、ポリエステルテープ商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgfのゴムローラーを1往復させて圧着し、20℃65%RH24時間放置後、引張り試験機を用いて300mm/分の速度で180°剥離した時の応力を測定した。
【0151】
[加熱重剥離化率]
23℃×65%RH環境下にて、離型フィルムの離型層形成面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、70℃乾燥オーブンにて24時間放置した後、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を測定した値を31Bテープ70℃加熱剥離力とした。
【0152】
離型フィルムの離型層形成面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)社製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、23℃×60%条件下にて24時間放置し、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を31Bテープ常温剥離力とした。以下の式で加熱重剥離化率を求め、加熱重剥離化率150%以下を合格とした。
加熱重剥離化率=A/B×100
A:31Bテープ70℃加熱剥離力
B:31Bテープ常温剥離力。
【0153】
[残留接着率]
ポリエステル粘着テープ(31Bテープ)を離型層形成面に5kgfのゴムローラーを1往復させて圧着し、70℃、20g/cmの環境下で20時間静置した。その後室温で1時間冷却した後31Bテープを丁寧にはがし、これを再度銅板に張り合わせて更に1時間静置した後、300m/分の速度で180°剥離した時の抵抗値を測定した。この値を(f)とした。同様の手順を4フッ化エチレン樹脂(東レフィルム加工(株)製“トヨフロン”(登録商標))に貼り合わせて剥離抵抗値を測定しこの値をブランク値(fo)とした。この結果を以下の数式に当てはめて残留接着率を計算した。計算値が90%以上を合格とした
残留接着率(%)=(f)/(fo)×100。
【0154】
[耐溶剤離型性保持率]
テスター産業社製、学振型摩擦試験機II型を用いて、離型フィルムの離型層表面をトルエン約1mlを染み込ませた綿布(金巾3号)で荷重200gf×30往復擦過し、フィルム面についた溶剤を乾燥させた後、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)社製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、1時間放置し、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を測定した。この剥離力をトルエン含浸綿布で擦過した後の離型層形成面の剥離力とした。
【0155】
上記測定に用いたサンプルとは別の離型フィルムの離型層形成面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)社製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、1時間放置し、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を測定し、この剥離力を初期の離型層形成面の剥離力とした。
【0156】
この結果を以下の数式に当てはめて、耐溶剤離型性保持率を計算した。耐溶剤離型性保持率が85%以上を合格とした。
耐溶剤離型性保持率=A/B×100
A:初期の離型層形成面の剥離力
B:トルエン含浸綿布で擦過した後の離型層形成面の剥離力。
【0157】
[帯電防止性・・・初期の表面抵抗値]
23℃×65%RH環境下にて、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製 ハイレスターUX 検出上限値 9×1014Ω/□)を用い、離型フィルムの離型層形成面側の任意の3点を測定した。その平均値を初期の表面抵抗値とし、9×1012Ω/□以下を合格とした。
【0158】
[帯電防止性・・・帯電防止性保持率]
上記測定に用いたサンプルとは別の離型フィルムを、70℃の熱風オーブン内にて24時間加熱後、23℃×65%RH環境下に1時間放置し、次いで表面抵抗測定機(三菱化学(株)製 ハイレスター HT−201検出限界上限値9×1012Ω/□)を用い、離型フィルムの離型層形成面側の任意の3点を測定した。その平均値を加熱後の表面抵抗値とし、以下の式で帯電防止性保持率を算出し、帯電防止性保持率が50%以下を合格とした。
帯電防止性保持率=A/B×100
A:初期の表面抵抗値
B:加熱後の表面抵抗値。
【0159】
表1に各実施例、比較例の構成と評価結果をまとめた。評価結果において、1項目でも合格とならないものについて、課題未達成と判断した。表1に示すように本発明の実施例はいずれも合格しており、本発明が解決しようとしている課題を達成している。
【0160】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の離型フィルムは、例えば偏光板、位相差フィルムの粘着層の保護用途に好適に利用することができる。