特許第6691708号(P6691708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6691708傾斜機能材料およびその製造方法ならびに複合粒子スラリの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691708
(24)【登録日】2020年4月15日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】傾斜機能材料およびその製造方法ならびに複合粒子スラリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20200427BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20200427BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20200427BHJP
   C04B 35/622 20060101ALI20200427BHJP
   C04B 35/626 20060101ALI20200427BHJP
   B28B 1/14 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B28B1/30
   B01J2/00 B
   B01J2/04
   C04B35/622
   C04B35/626 050
   B28B1/14 F
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-24261(P2016-24261)
(22)【出願日】2016年2月11日
(65)【公開番号】特開2017-140786(P2017-140786A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2019年1月31日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/革新的設計生産技術ナノ物質の集積複合化技術の確立と戦略的産業利用」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】110001324
【氏名又は名称】特許業務法人SANSUI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】木村 直人
(72)【発明者】
【氏名】河村 剛
(72)【発明者】
【氏名】松田 厚範
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−525930(JP,A)
【文献】 特開2002−292611(JP,A)
【文献】 特開2011−148690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/30
B01J 2/00
B01J 2/04
B28B 1/14
C04B 35/622
C04B 35/626
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質Aの粒子または物質Bの粒子の相対的な粒径が大きい粒子を母粒子、相対的な粒径が小さい粒子を子粒子として該母粒子の表面に該子粒子が静電吸着されてなる複合粒子を原料粒子とする傾斜機能材料であって、
前記物質Aまたは物質Bのうち子粒子とした物質の平均的な体積相当量を単位とし、その吸着される子粒子の数に応じて変化する傾斜率によって、組成が傾斜されていることを特徴とする傾斜機能材料。
【請求項2】
前記傾斜率は、その全部または一部が略線形であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜機能材料。
【請求項3】
二種類に区分された物質粒子群の混合割合が調整されたスラリの製造方法であって、
前記二種類の物質粒子群のそれぞれに属する物質粒子が、区分ごとに溶液中で相互に反対の極性に帯電するように、各物質粒子の電荷を調整してなる電荷調整工程と、
前記電荷調整工程によって作製された二種類の物質粒子群が個別に含有される二種類の液体を、相対的な流量を調整しつつ合流させ、二種類の物質粒子群に属する双方の物質粒子のうち、相対的な粒径が大きい母粒子に相対的な粒径が小さい子粒子が静電吸着して複合粒子を形成させるとともに、その複合粒子の態様で一方の物質粒子群に属する物質粒子と他方の物質粒子群に属する物質粒子との比率を流量に応じて変化させる混合工程とを含み、
二種類の物質粒子群に属するそれぞれの物質粒子のうち、相対的な粒径が大きい母粒子となるべき物質粒子と、相対的な粒径が小さい子粒子となるべき物質粒子との相対的な数を調整することにより、双方の混合割合が調整されたスラリを得ることを特徴とする複合粒子スラリの製造方法。
【請求項4】
さらに、二種類の物質粒子群に属する物質粒子のそれぞれについて、平均粒径を調整するための粒径調整工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の複合粒子スラリの製造方法。
【請求項5】
前記粒径調整工程は、スプレードライ法により造粒する造粒工程であることを特徴とする請求項4に記載の複合粒子スラリの製造方法。
【請求項6】
前記混合工程は、上流側が分岐してなるY字形を形成する流路を使用し、該分岐する上流側から二種類の液体を流入させ、該流路内において合流させることにより混合するものであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の複合粒子スラリの製造方法。
【請求項7】
前記混合工程における相対的な流量は、二種類の液体のうちの一方のみを調整するものであることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の複合粒子スラリの製造方法。
【請求項8】
請求項3ないし7に記載の製造方法により製造される複合粒子スラリを使用する傾斜機能材料の製造方法であって、
前記混合工程における相対的な流量を順次変化させることにより、二種類の物質粒子群の混合割合を連続的に変化させた複合粒子スラリを作製する連続混合工程と、
前記連続混合工程により二種類の物質粒子群に属する双方の物質粒子が異なる比率で静電吸着された複合粒子を、順次所定方向に積み重ねる重積工程と
を含むことを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記重積工程前に前記一方の物質粒子群に属する物質粒子のみを前記重積工程にて重積される複合粒子に連続するように導入し、または前記重積工程の後に、前記重積工程にて重積された複合粒子に連続するように前記他方の物質粒子群に属する物質粒子のみを導入する少なくともいずれかの予備工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の傾斜機能材料の製造方法。
【請求項10】
前記重積工程は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を小さくして形成された複合粒子から、該混合割合を増加させて形成された複合粒子に移行させつつ、連続的に積み重ねる連続重積工程であることを特徴とする請求項8または9に記載の傾斜機能材料の製造方法。
【請求項11】
前記連続重積工程は、前期工程と後期工程とに区分され、前期工程は、相対的な粒径が大きい母粒子となるべき物質粒子が属する一方の物質粒子群に対し、相対的な粒径が小さい子粒子となるべき物質粒子が属する他方の物質粒子群の混合割合を変化させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であり、後期工程は、相対的な粒径が大きい母粒子となるべき物質粒子が属する他方の物質粒子群に対し、相対的な粒径が小さい子粒子となるべき物質粒子が属する一方の物質粒子群の混合割合を変化させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であることを特徴とする請求項10に記載の傾斜機能材料の製造方法。
【請求項12】
前記前期工程は、一方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、他方の物質粒子群に属する物質粒子を子粒子として、該母粒子の表面に静電吸着する該子粒子の数を変化させた複合粒子を積み重ねる工程であり、
前記後期工程は、他方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、一方の物質粒子群に属する物質粒子を子粒子として、該母粒子の表面に静電吸着する該子粒子の数を変化させた複合粒子を積み重ねる工程である
ことを特徴とする請求項11に記載の傾斜機能材料の製造方法。
【請求項13】
前記前期工程は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を体積比1:1以下または未満まで増加させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であり、
前記後期工程は、他方の物質粒子群に対する一方の物質粒子群の混合割合が体積比1:1を超えまたはそれ以上から減少させて形成された複合粒子を積み重ねる工程である
ことを特徴とする請求項11または12に記載の傾斜機能材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に組成が変化する傾斜機能材料と、その製造方法に関し、また、当該傾斜機能材料の製造過程において使用する複合粒子スラリの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
傾斜機能材料は、金属とセラミックのように組成や組織が異なる素材が一体化し、その物性が段階的に傾斜する材料であり、各種の用途に使用されるものである。これまでの製造方法としては、原料粉末の混合比を変化させた混合粉末を所定の分量で用意し、混合比の異なる混合粉を、ダイス内へ順次充填して圧粉体を作製する粉末混合法(特許文献1参照)、複数の原料粉末を液中に分散させ、粒径または密度などの違いを利用して遠心力等による分布の勾配を生じさせる遠心傾斜法(特許文献2参照)などがあった。
【0003】
しかし、これらの従来法は、例えば前者にあっては、混合比の異なる混合粉末層の界面において不連続な組成になるという問題点があった。この層間の組成差を縮小すべく混合比の異なる多数の混合粉末を作製して充填しようとすれば、膨大な作業量が必要になるものであった。また、後者にあっては、所定の粒径または密度に応じた原料粒子の組合せに配慮せざるを得ず、使用できる材料が限定的なものとなるという問題点を有していた。
【0004】
また、傾斜機能材料を効率よく製造するための方法として、主材料と副材料との構成比を変化させつつ、主材料の表面に副材料を成膜し、また、副材料の表面に主材料を成膜することにより、複数種類の原料粒子を作製し、この原料粒子を所定の構成比の順序に積層固化する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、この方法では、主材料または副材料の成膜量の制御が難しく、成膜に寄与できなかった残余の材料が存在することとなり、所望の構成比に制御された原料粒子を作製することが困難であるという問題点を有し、さらに、仮に成膜を制御し得たとしても、構成比の順序に応じた傾斜構造を得ることができる程度であり、各積層体の界面には不連続な組成が生じるという問題点は解決されるものではなかった。
【0006】
これらの技術に対し、種々の傾斜パターンで組成または組織が変化する傾斜機能材料を得るための方法として、相互の供給速度を変動させながら供給される二種類の原料スラリを震盪混合及び攪拌混合して混合スラリを作製し、これを成形型にスプレー吐出することによって積層充填させる構成としたものが提案されている(特許文献4)。
【0007】
しかしながら、この手法においては、二種類の原料スラリを混合する際の比率は、混合スラリにおいても維持されるとされているが、単純に混合している状態であるから、二種類の原料スラリに含まれる両材料は沈降等によって分離しやすく、混合スラリをスプレー吐出させた状態で積層充填された後において、前記比率が維持されないという懸念があった。
【0008】
他方、複合粒子を連続的に作製する手法として、微小流路内で混合するものがあった(特許文献5参照)。しかしながら、この手法は、表面電位が正の微粒子を含有する液体と、表面電位が負の微粒子を含有する液体を、微小流路内で混合することによって、単に複合粒子を作製するというものであり、傾斜構造を生じさせることができる複合粒子またはそのスラリを作製するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−74986号公報
【特許文献2】特開2001−115224号公報
【特許文献3】特開2002−100818号公報
【特許文献4】特開2002−292611号公報
【特許文献5】特開2006−82073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来の傾斜機能材料の製造方法によれば、異なる原料粉末の混合割合を正確に制御することが困難であり、その結果、連続的に組成を変化させるとしても、その変化は階段状なものとなっていた。特に、引用文献1〜3に開示される技術では、予め混合割合を変化させた原料粒子の作製が煩雑で高度なことから実用的でなく、また、引用文献4に開示される技術では、二種類の物質粒子が混合されている状態であるため、原料粒子そのものに一体性がなく、混合比を変更しつつ傾斜に係る各層を形成した場合に、両原料粒子が均一分布(分散)した状態で各層を得ることが困難であった。そのため、精密に組成の変化を制御できるものではなかった。
【0011】
また、従来の連続的な複合粒子の製造方法によれば、微小流路を利用するものであるが、これは、作製される複合粒子の粒径や、粒径分散度(粒径の標準偏差を平均粒径で除した値)を安定させるためであり、その際の流路幅は100μm未満とすることが好ましいとされている。しかしながら、この微小流路を使用した複合粒子では、母粒子と子粒子との混合割合を変化させることはできず、仮に、混合割合を変化させる場合には、その制御が極めて困難なものとなっていた。
【0012】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、混合割合が制御された複合粒子の効率的な作製方法を提供するとともに、これにより作製された複合粒子を使用した傾斜機能材料とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記の目的を達成するために、まず、傾斜機能材料に係る第1の本発明は、物質Aの粒子または物質Bの粒子のいずれか一方を母粒子、他方を子粒子として該母粒子の表面に該子粒子が静電吸着されてなる複合粒子を原料粒子とする傾斜機能材料であって、前記物質Aまたは物質Bのうち子粒子とした物質の平均的な体積相当量を単位とする傾斜率によって、組成が傾斜されていることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、物質Aの粒子および物質Bの粒子とは、いずれも単一の物質である場合のほか、複数の物質により複合粒子が形成された結果、複数の物質が混合された状態の粒子である場合もある。また、物質Aと物質Bとは、化学的組成は同一であっても異なっていても良いものである。さらに、物質Aと物質Bは、異なる種類によって区分することができ、ここでの種類とは、化学的組成が異なることのみを意味するものではなく、物性が異なることを含む概念である。このため、例えば、物質粒子の化学組成、形態や粒径等の形状、結晶構造や比重などを含む物理的性質、電気的性質、磁気的性質のいずれかが異なることで、異なる種類とされる。更に、物質の平均的な体積相当量とは、ほぼ均一な粒径の粒子を子粒子として使用する場合であっても、微細な粒子の体積を一定にさせることが困難であるため、そのような場合の体積差を調整するために、平均的としたものであり、子粒子相互の体積の相違が誤差の範囲内であれば、格別に平均値を算定する必要はないものである。
【0015】
本発明によれば、原料粒子は、物質Aおよび物質Bのうち、一方を母粒子とし他方を子粒子とする複合粒子で形成されるものであるから、子粒子が静電吸着される個数が制御されることによって、組成の傾斜が自在に調整された傾斜機能材料を得ることができる。さらに、子粒子とされた物質を個数で制御することにより、1個当たりの平均的な体積相当量を単位として組成が傾斜することから、組成の変化の程度を微細に調整でき、緩やかな傾斜率を有する傾斜機能材料を得ることができる。尚、ここで、粒子とは、微小な固形物を意味するものであって、粒状のものに限定されるものではなく、例えば、塊状、扁平状、異形状、柱状、繊維状のものを含み、中空の形態のものをも包含され、剛直なものに限られず可撓性を有するものを含む概念である。
【0016】
傾斜機能材料に係る第2の発明は、前記第1の発明において、前記傾斜率が、その全部または一部が略線形であることを特徴とするものである。
【0017】
ここで、略線形とは、線形に近似することを意味するが、子粒子として使用される個々の粒子における体積の相違、または子粒子1個に相当する体積量を最小単位とするときの段階的な微小変化を考慮しない場合に線形となることを意味するものである。
【0018】
本発明によれば、第1の発明に加え、組成の傾斜率が略線形となっているため、組成の変化の不連続性を抑制でき、シームレスに変化する組成を有する傾斜機能材料を得ることができる。従って、例えば、粉末冶金法により焼成される場合において、収縮率または熱膨張係数等の相違に基づく歪みの発生を制限させることができる。
【0019】
また、複合粒子スラリの製造方法に係る第1の発明は、二種類に区分された物質粒子群の混合割合が調整されたスラリの製造方法であって、前記二種類の物質粒子群のそれぞれに属する物質粒子が、区分ごとに溶液中で相互に反対の極性に帯電するように、各物質粒子の電荷を調整してなる電荷調整工程と、前記電荷調整工程によって作製された二種類の物質粒子群が個別に含有される二種類の液体を、相対的な流量を調整しつつ合流させ、二種類の物質粒子群に属する双方の物質粒子が相互に静電吸着して複合粒子を形成させるとともに、その複合粒子の態様で一方の物質粒子群に属する物質粒子と他方の物質粒子群に属する物質粒子との比率を流量に応じて変化させる混合工程とを含み、二種類の物質粒子群の混合割合が調整されたスラリを得ることを特徴とするものである。
【0020】
ここで、物質粒子には、個々の物質粒子が単一の物質である場合のほか、いずれか一方または双方が、複合粒子によって形成され、当該物質粒子が複数の物質を混合している粒子の場合もある。また、物質粒子群とは、物質粒子の集合体を意味し、同種の物質粒子による集合体である場合のほか、同じ物質でありながら、平均粒径等を異ならせた物質粒子の集合体とする場合もあり、さらには、異種の物質粒子を集合させるような場合をも含むものである。そこで、物質粒子群に属する物質粒子の選定は任意であり、個々の物質粒子の化学的組成のみならず、物性によっても選択することができる。このため、例えば、物質粒子の化学組成、形態や粒径等の形状、結晶構造や比重などを含む物理的性質、電気的性質、磁気的性質のいずれかを基準として選定することができる。従って、二種類に区分された物質粒子群には、異なる物性を有する二種の物質粒子によって区分される場合のほか、同一の物性を有する物質粒子を形状や粒径等によって区分されることもあり、また、複数の異なる物性を有する物質粒子を二つのグループとして区分するような場合もあり得る。
【0021】
本発明によれば、電荷調整工程によって、物質粒子群の一方に属する物質粒子が正極に帯電し、他方に属する物質粒子が負極に帯電された状態であるから、混合工程において、相対的な流量を調整しつつ合流させることにより、二種類の物質粒子群に属する物質粒子が静電吸着によって複合粒子を形成し、当該流量の変化に応じて両粒子が吸着する比率が異なることとなる。このとき、物質粒子の一方を粒径の大きい母粒子とし、他方を粒径の小さい子粒子とすることにより、母粒子の表面に静電吸着される子粒子の数が異なる複数種類の複合粒子を形成させることができ、これにより複合粒子の状態における両物質粒子群の混合割合が調整されることとなる。ゆえに、二種類の物質粒子群を個別に含有する二種類の液体の流量調整をもって、二種類の物質粒子群の混合割合を調整することができるのである。さらに、前記の混合工程は、二種類の液体の流量調整によって複合材料の状態における吸着比率を変化させるものであるため、個々の液体に含有される個々の物質粒子の濃度を変更するような煩瑣な工程が不要なものである。
【0022】
複合粒子スラリの製造方法に係る第2の発明は、前記第1の発明において、さらに、二種類の物質粒子群に属する物質粒子のそれぞれについて、平均粒径を調整するための粒径調整工程を含むことを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、第1の発明に加え、物質粒子群に属する個々の物質粒子の粒径を所定の範囲内に規定することや、ほぼ均一な状態とすることができることから、混合工程において混合される双方の物質粒子の数を調整することによって、混合割合を所望状態に制御することができる。さらに、母粒子とすべき粒径の大きい物質粒子と、子粒子とすべき粒径の小さい物質粒子とを予め作製することができる。
【0024】
複合粒子スラリの製造方法に係る第3の発明は、前記第2の発明において、前記粒径調整工程は、スプレードライ法により造粒する造粒工程であることを特徴とするものである。
【0025】
本発明によれば、第2の発明に加え、汎用される方法を利用しつつ、物質粒子群に属する個々の物質粒子の粒径を調整することができ、また、混合すべき子粒子の粒径を微細に粉砕することも可能であるため、微細な子粒子が提供されることによって混合割合を細分化することも可能となる。
【0026】
複合粒子スラリの製造方法に係る第4の発明は、前記第1〜3のいずれかの発明において、前記混合工程は、上流側が分岐してなるY字形を形成する流路を使用し、該分岐する上流側から二種類の液体を流入させ、該流路内において合流させることにより混合するものであることを特徴とするものである。
【0027】
本発明によれば、第1〜第3の発明に加え、簡易な流路構成によって二種類の液体を合流させることができる。また、この流路は、マイクロリアクタ等の微細な流路を使用するものではなく、数mm程度の流路径を有するものであればよく、少なくとも略1mm程度の流路径を有しているものとされる。従って流路設計が極めて容易となる。さらに、Y字形の流路としていることから、二種類の液体は、上流側の二つの流路から個別に供給することができ、相互の流量調整は、上流側の流路によって行うことが可能となる。そして、上流側の両流路が合流点において、二種類の液体が合流されることとなり、震盪混合などの特別な混合を行う必要もないものである。
【0028】
複合粒子スラリの製造方法に係る第5の発明は、前記第1〜4のいずれかの発明において、前記混合工程における相対的な流量は、二種類の液体のうちの一方のみを調整するものであることを特徴とするものである。
【0029】
本発明によれば、第1〜第4の発明に加え、二種類の液体の一方のみについて流量調整を行うことから、二種類の液体の供給量を容易に調整でき、これらに含有される二種類の物質粒子群を供給する量の調整が簡便となる。例えば、子粒子とすべき物質粒子を含有する液体の流量のみを調整する場合には、母粒子の表面に静電吸着される子粒子の数を制御することができる。ゆえに、形成される複合粒子は、母粒子に対する子粒子の割合が変化することとなり、混合割合(吸着比率)の異なる複合粒子を自在に作製することができる。
【0030】
さらに、傾斜機能材料の製造方法に係る第1の発明は、前記複合粒子スラリの製造方法に係る発明によって製造された複合粒子スラリを使用する傾斜機能材料の製造方法であって、前記混合工程における相対的な流量を順次変化させることにより、二種類の物質粒子群の混合割合を連続的に変化させた複合粒子スラリを作製する連続混合工程と、前記連続混合工程により二種類の物質粒子群に属する双方の物質粒子が異なる比率で静電吸着された複合粒子を、順次所定方向に積み重ねる重積工程とを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、連続混合工程により、二種類の物質粒子群の混合割合が順次かつ連続して変化し、すなわち二種類の物質粒子群に属する個々の物質粒子による静電吸着の比率が適宜変化した複合粒子を、スラリとして得ることができる。このとき、二種類の物質粒子群を含有する二種類の液体について、相対的な流量を変化させるものであるから、流量の変化に応じた複合粒子の状態における両群に属する物質粒子の比率を自由に調整することができる。そして、このように形成された複合粒子を所定方向に順次積み重ねることにより、当該所定方向の組成の変化を自在に設計することができる。ゆえに、このような製造方法によって作製される傾斜機能材料は、複合粒子を形成する子粒子の物質粒子の平均的な体積相当量を単位として組成を傾斜させることができ、組成の変化の程度を微細に調整することにより、緩やかな傾斜率を有する傾斜機能材料を得ることができる。なお、所定方向に積み重ねるとは、一般的には高さ方向へ堆積させることがであるが、これに限定されず、横方向または斜め方向へ積み重ねるような状態を含むものである。
【0032】
傾斜機能材料の製造方法に係る第2の発明は、前記第1の発明において、さらに、前記重積工程前に前記一方の物質粒子群に属する物質粒子のみを前記重積工程にて重積される複合粒子に連続するように導入し、または前記重積工程の後に、前記重積工程にて重積された複合粒子に連続するように前記他方の物質粒子群に属する物質粒子のみを導入する少なくともいずれかの予備工程を含むことを特徴とするものである。
【0033】
本発明によれば、第1の発明に加え、二種類の物質粒子群に属する物質粒子のいずれか一方のみが導入される領域を形成することができ、他方の物質粒子の混合割合が0%の状態から組成の傾斜を開始させ、100%に変化するまでの範囲で組成を傾斜させることも可能となる。なお、本発明の予備工程における物質粒子は、複合粒子スラリを製造する際の混合工程を経由させることも可能である。すなわち、流量調整において、一方の液体の流量を0とすれば、他方の液体と合流することなく、いずれか一方の物質粒子群を含む液体のみが複合粒子スラリと同様に流路内を流下させることができるのである。これにより、流量変化によってのみ、連続して0%〜数%へ移行させることができ、また、数十%〜100%への移行も連続させることができる。
【0034】
傾斜機能材料の製造方法に係る第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記重積工程は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を小さくして形成された複合粒子から、該混合割合を増加させて形成された複合粒子に移行させつつ、連続的に積み重ねる連続重積工程であることを特徴とするものである。
【0035】
本発明によれば、第1および第2の発明に加え、連続重積工程により、複合粒子を連続的に積み重ねることができる。積み重ねられる複合粒子における吸着比率は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を小さくしたものから連続して増加することに伴うものであるので、順次連続して変化することとなり、間断なくかつ円滑な組成の変化を可能とする。
【0036】
傾斜機能材料の製造方法に係る第4の発明は、前記第3の発明において、前記連続重積工程は、前期工程と後期工程とに区分され、前期工程は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を変化させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であり、後期工程は、他方の物質粒子群に対する一方の物質粒子群の混合割合を変化させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であることを特徴とするものである。
【0037】
本発明によれば、第3の発明に加え、前期工程と後期工程とでは、変化させるべき物質粒子群の対象を逆にしており、前期工程において、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を増加させ、さらに、後期工程において、他方の物質粒子群に対する一方の物質粒子群を減少させれば、実質的には、他方の物質粒子群の混合割合が増加することとなる。これにより、前期工程および後期工程の全体として、他方の物質粒子群に属する物質粒子が吸着する比率の小さな複合粒子から順次吸着比率を増加させた複合粒子の連続的な重積が可能となる。ゆえに、広範囲な組成の変化においても間断なくかつ円滑な組成の変化を可能とする。なお、前期工程と後期工程における混合割合の変更対象の物質粒子群を逆にすれば、他方の物質粒子群の混合割合が大きくしたときに形成される複合粒子から、順次混合割合を減少させて形成される複合粒子の連続的な重積も可能である。
【0038】
傾斜機能材料の製造方法に係る第5の発明は、前記第4の発明において、前記前期工程は、一方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、他方の物質粒子群に属する物質粒子を子粒子として、該母粒子の表面に静電吸着する該子粒子の数を変化させた複合粒子を積み重ねる工程であり、前記後期工程は、他方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、一方の物質粒子群に属する物質粒子を子粒子として、該母粒子の表面に静電吸着する該子粒子の数を変化させた複合粒子を積み重ねる工程であることを特徴とするものである。
【0039】
本発明によれば、第4の発明に加え、母粒子の表面に子粒子を静電吸着させて形成される複合粒子を使用する場合、一つの母粒子に対し、その表面に静電吸着される子粒子の数を制御することによって、物質粒子群の混合割合を広範囲に変化させることができる。例えば、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を連続的に増加させる場合には、前期工程では、一方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、他方を子粒子とするため、子粒子の個数を増加させることによって、複合粒子の状態おける他方の物質粒子群に属する物質粒子の吸着比率が増大し、それに応じて他方の物質粒子群の混合割合は増加する。また、後期工程では、他方の物質粒子群に属する物質粒子を母粒子とし、一方を子粒子とすることから、子粒子の個数を減少させることによって、それに応じて、実質的には、他方の物質粒子群の混合割合が増加することとなる。このように、母粒子の表面に静電吸着される子粒子の数を制御することにより、物質粒子群の混合割合を緻密に調整することができ、よって、組成の変化を自在に調整することが可能となる。
【0040】
傾斜機能材料の製造方法に係る第6の発明は、前記第4または第5の発明において、前記前期工程は、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を体積比1:1以下または未満まで増加させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であり、前記後期工程は、他方の物質粒子群に対する一方の物質粒子群の混合割合が体積比1:1を超えまたはそれ以上から減少させて形成された複合粒子を積み重ねる工程であることを特徴とするものである。
【0041】
本発明によれば、第4および第5に加え、前期工程および後期工程のそれぞれにおいて、一方の物質粒子群に対する他方の物質粒子群の混合割合を、それぞれ1/2近傍とすることができ、前期工程の連続的な組成の変化に続けて、後期工程による継続的な連続的組成変化を可能とし、両群の物質粒子による複合粒子の形成可能な範囲内において、広範囲における混合割合を変化させることができる。すなわち、複合粒子は、母粒子の表面に子粒子を静電吸着させる構造であるから、母粒子の粒径に対し子粒子の粒径を適当な大きさとすることにより、母粒子の表面全体に子粒子を静電吸着させた状態において、体積比1:1を超える混合割合とすることができる。従って、これを1:1近傍までに制御し、子粒子の静電吸着量を適宜な範囲内で変化させることにより、両群に属する物質粒子の混合割合の調整範囲が拡大することとなる。さらに、前期予備工程を加えれば、0%〜100%の範囲で混合割合を変化させることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の複合粒子スラリの製造方法によれば、適宜選択された物質粒子を区分しつつ、混合割合が制御された複合粒子をスラリとして連続的に作製できる。また、上記複合粒子スラリの製造方法を利用する傾斜機能材料の製造方法に係る発明によれば、連続して組成が変化する傾斜機能材を製造できる。さらに、本発明の傾斜機能材料によれば、円滑に組成を傾斜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】(a)は複合粒子スラリの製造工程を示し、(b)は電荷調整工程の詳細を示す説明図である。
図2】混合工程における混合方法を示す説明図である。
図3】傾斜機能材料の製造工程を示す説明図である。
図4】実験1による結果を示すSEM像である。
図5】実験2による結果を示すグラフである。
図6】実験3による結果を示すグラフである。
図7】実験4によるSEM像である。
図8】実験4によるSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の傾斜機能材料およびその製造方法ならびに複合粒子スラリの製造方法について詳細に説明する。本発明の傾斜機能材料は、粉末冶金法によって鋳込み成形されるもののほか、3Dプリンタによる造形材としても使用され得るものであり、複数種類の物質粒子によって複合粒子を形成し、基材となる物質粒子に対し付着する物質粒子が静電吸着される割合を制御することによって、複合粒子における一方の物質粒子と他方の物質粒子の混合割合(構成比)を調整するものである。なお、物質粒子は、単一の物質とする場合のほか、既に複合粒子が形成され、複数の物質による混合物による粒子の場合もある。また、付着させる物質粒子は1種類であってもよく、2種類以上であっても良い。ここで、物質粒子の種類とは、物質粒子の化学的性質(化学組成)、物理的性質、電気的性質、磁気的性質のいずれかが異なることをもって、種別できることを意味する。このため、例えば、傾斜機能材料を作製することを想定した場合に、物質粒子の形態(中空と中実、繊維と粒状物など)や粒径によって傾斜機能材料の物性を傾斜させる場合には、同じ化学組成の物質であっても、形状因子に基づいて異なる種類として取り扱われ、一方、化学組成を傾斜させる場合には、その化学組成をもって異なる種類として取り扱われる。以下の実施の形態においては、説明の便宜上、二種類の物質粒子をもって区分した二つの物質粒子群を使用するものとし、特記しない限り、二種類の物質粒子とは、二種類の物質粒子群に属する個々の物質粒子とする。
【0045】
そこで、まず、二種類の物質粒子による複合粒子の製造方法、すなわち複合粒子スラリの製造方法に係る実施形態から説明する。図1(a)は、複合粒子スラリの製造工程を示すものである。この図1(a)に示すように、二種類の物質粒子A,Bのそれぞれは、造粒工程S10により、スプレードライ法などにより造粒されることにより、予めそれぞれの粒径が調整される。なお、物質粒子A,Bが所望の粒径である場合には、粒径を調整する必要がなく、この場合には造粒工程を省略してもよい。粒径が所望の大きさであり、または造粒工程により調整された各物質粒子A,Bは、個別に電荷調整工程S20により、一方の粒子(例えば物質粒子A)の表面電位がプラスとなるように帯電され、他方の粒子(例えば物質粒子B)の表面電位がマイナスになるように帯電される。そして、両極電位に帯電した二種類の物質粒子を混合すること(混合工程S30)により、両物質粒子A,Bは静電吸着により複合粒子が形成される。
【0046】
ここで、各物質粒子A,Bの表面電荷の調整には、アニオン性電解質またはカチオン性電解質が使用され、物質粒子A,Bがプラスに帯電している場合には、アニオン性電解質を投与してマイナスに帯電させ、逆に、プラスに帯電している場合には、カチオン性電解質を投与してプラスに帯電させるのである。さらに、その後、極性を反転させてもよい。そして、これらの物質粒子A,Bは、それぞれが個別の液体に含有されており、それぞれの液体中にポリアニオン溶液またはポリカチオン溶液が添加されることにより、液中におけるそれぞれの物質粒子A,Bについて電荷調整が行われる。
【0047】
図1(b)には、プラスに帯電する物質粒子について、電荷調整工程を実施する際の工程を示す。この図1(b)に示されるように、液体中に含有する物質がプラスに帯電している場合には、まず、ポリアニオン溶液を添加し、物質粒子の表面をマイナスに帯電させたうえで、さらにポリカチオン溶液を添加することにより、物質粒子の表面電荷をプラスに帯電させるのである。この電荷調整工程により、物質粒子の表面はほぼ均等にプラスに帯電し、マイナスに帯電する粒子との間で良好に静電吸着可能な状態となるのである。図示とは逆に、物質粒子がマイナスに帯電している場合には、当該物質粒子が含有される液体に、まず、ポリカチオン溶液を添加し、その後にポリアニオン溶液を添加することにより、マイナスに帯電させるのである。
【0048】
なお、これらのポリアニオン溶液およびポリカチオン溶液の添加は、交互に各1回とする必要はなく、混合すべき物質粒子が同じ極性に帯電している場合には、いずれか一方についてさらに極性を反転させる溶液を添加してもよく、または、ポリアニオン溶液またはポリカリオン溶液のいずれか一方を1回のみ添加することでもよい。上記の電荷調整は、本願発明者らによって開発された発明(WO2012/133696号公報)に基づくものであり、詳細な説明は省略するが、物質粒子A,Bのいずれについても均等にプラスまたはマイナスに帯電させることにより、各物質粒子A,Bは液体中において均等に分散した状態となる。
【0049】
次に、混合工程の詳細を説明する。図2は、混合工程の状態を示すものである。この図2に示しているように、液体に含有された物質粒子A,Bは、それぞれ個別に流路1に流入され、この流路1によって混合される。流路1は、上流側が分岐しており、2つの導入路11,12と、下流側の合流路13とを備えている。一方の導入路11からは、例えば物質粒子Aを含有する液体が流入され、他方の導入路12からは、例えば物質粒子Bを含有する液体が流入されるものとし、合流路13において両液体が合流し、両物質粒子A,Bが静電吸着された複合粒子の状態で流下されることとなる。
【0050】
ここで、二つの導入路11,12に流入させる際には、その流入経路中に、それぞれバルブ2,3が設けられており、流入すべき液体の流量を調整可能としている。バルブ2,3の調整により、一方の物質粒子Aが供給される際の液体の流量と、他方の物質粒子Bが供給される際の液体の流量とが、相対的に異なるように調整することができるのである。この流量の調整により、液体の流入に際し、供給される双方の物質粒子A,Bの数を制御しているのである。
【0051】
すなわち、物質粒子A,Bのいずれもが、液体中において均等に分散された状態であるから、各液体中の物質粒子の濃度は安定した状態である。そこで、相対的な流量を変更すれば、液体中に含有される物質粒子の供給量は、当該流量に比例して変化することとなるのである。さらに、合流した両液体は、合流路13から順次流下することから、この合流路13を通過するまでの間で両物質粒子A,Bが静電吸着されるのである。
【0052】
なお、流路1は、管体で構成されたものでもよいが、溝状に形成された流路でもよく、調整された流量に応じて流下されればよい。また、流路径は、流量調整を容易にするために微細なもの(マイクロ流路)とすべきでなく、好ましくは略1mm以上で構成することが好ましく、単位時間当たりの生産量の増加や、物質粒子との粒径との関係で流路の閉塞を回避することが必要な場合には、数mmの単位で構成することが好ましい。また、図2には、双方の流入経路中にそれぞれバルブ2,3を設けているが、一方(例えばバルブ2)は、調整せず一定の開放状態とし、他方(例えばバルブ3)のみを調整することにより、相対的な流量を調整してもよい。さらに、便宜上バルブ2,3を例示したが、液体を圧送する場合には、ポンプ圧によって流量を調整するように構成してもよい。流路1が、管体で構成される場合には、流量は、断面積×流速で決定するため、流速を計測するための流速計を備える構成とし、流速を調整しつつ相対的な流量を制御することも可能である。
【0053】
このように、相対的な流量が調整されることにより、供給される物質粒子A,Bの数が制御され、静電吸着される両物質粒子の相対的な数が異なる状態で複合粒子Cが形成される。この複合粒子Cの形成によって複合粒子スラリが作製されるのである。
【0054】
ここで、各物質粒子A,Bは、前述の造粒工程S10(図1)によって粒径が調整されるものであるが、図2に示しているように、一方の物質粒子Aを大きい粒径とし、他方の物質粒子Bを小さい粒径とすることにより、他方の物質粒子Bの吸着量を制御することにより、複合粒子Cにおける物質粒子Aに対する物質粒子Bの混合割合が調整されることとなる。すなわち、大きい粒径の物質粒子Aを母粒子とし、小さい粒径の物質粒子Bを子粒子として、母粒子Aの表面に子粒子Bを吸着させるのであり、個々に形成される複合粒子Cの状態において、混合割合を適宜変更することができるのである。
【0055】
従って、この複合粒子Cごとに異なる混合割合とすることができ、各複合粒子Cに静電吸着される子粒子(物質粒子B)の個数を単位として、混合割合を変化させることができるのである。つまり、この複合粒子Cにおける物質粒子Aと物質粒子Bとの比率(混合割合)は、上記したように物質粒子Aを含有する液体と物質粒子Bを含有する液体との相対的な流量比を調整するだけで制御できるので、連続的かつ効率的に複合粒子Cの組成や構造等の物性変更を実施できる。
【0056】
そこで、次に、上記のように作製される複合粒子スラリを使用する傾斜機能材料の製造方法について説明する。図3は、傾斜機能材料の製造工程を示すものである。この図3に示されるように、物質粒子A,Bは、前述のように、個別に造粒工程S10と電荷調整工程S20を経由し、両物質粒子A,Bは、所望の粒径により、いずれかの電荷に帯電している状態である。なお、造粒工程S10が不要な場合は省略できること、前述のとおりである。
【0057】
傾斜機能材料を作製する場合には、複合粒子スラリが作製されることから混合工程S30を経由するが、ここでの混合工程は、相対的な流量が調整されながら両物質粒子A,Bが混合される。前述のとおり相対的な流量が調整されることにより、一方の物質粒子Aに対する他方の物質粒子Bが、複合材料の状態で混合割合が変化するため、その変化した状態の複合材料を、組成の傾斜に合わせて順次積み重ねる(重積工程S50)のである。
【0058】
組成の傾斜は、一方の物質粒子Aに対する物質粒子Bの混合割合が低いものから高いものへ、または高いものから低いものへ、順次変化させつつ積み重ねるものであることから、これを連続して作製することも可能である。そのため、傾斜機能材料の製造工程では、相対的な流量を変更しつつ連続的に混合させるようにした連続混合工程としている。これは、両物質粒子A,Bを含有する液体が常時流路1(図2)に供給され、連続して複合材料C(図2)を作製するものであるが、作製される複合粒子Cは、当該流量に応じて両物質粒子A,Bが異なる混合割合で静電吸着されたものとなる。
【0059】
このように、連続混合工程により、順次(例えば混合割合の低いものから高いものへ)連続して複合粒子を作製することにより、その作製された順序に従って所定方向(例えば高さ方向)に積み重ねることで、所望の傾斜率による組成変化を得ることができる。このように、連続して作製される複合粒子を、その順序に従って連続的に積み重ねる場合を連続重積工程と称している。なお、所定方向に混合割合の異なる複合粒子を積み重ねることから、一定の容積(水平な底面積)を有する容器等に積み重ねる場合には、第1列目に同じ混合割合の複合粒子が充填されるまで、前記流量を一定とすることとなるが、このことは特に説明するまでもない。更には、線形的に傾斜率を変化させるものに限られるものではなく、任意に組成変化を変化させられることは、当然の想定範囲である。また、積み重ねられる各層において、横方向に所望の傾斜率とすることも当然に実施できる。
【0060】
ところで、傾斜機能材料の傾斜率を所望状態とするためには、一方の物質粒子Aのみが積み重ねられる状態、または他方の物質粒子Bのみが積み重ねられる状態も必要となり得る。すなわち、一方の物質粒子Aに対する他方の物質粒子Bの混合割合が0%または100%の状態である。このような場合には、二種類の物質粒子A,Bを混合させる必要がないため、予備工程S40,S60によって、複合粒子を形成しない物質粒子A,Bのいずれかを最初に、または最後に積み重ねるのである。このように、予備工程S40,S60を導入することによって、組成の変化を0%〜100%の範囲内で自在に調整することが可能となる。
【0061】
また、物質粒子A,Bの各粒径に応じて、複合粒子を形成した状態における混合割合の限界もあり得る。すなわち、一方を母粒子として、その表面に子粒子を静電吸着させる構成の複合粒子では、0%に近い混合割合とすることはできても100%に近似させることは困難である。
【0062】
表1は、大きい粒径の母粒子の表面に小さい粒径の子粒子を静電吸着させた場合の粒径と体積率との関係を示すものである。この表は、均一な粒径(単分散粒子)の母粒子表面に、粒径比を変化させた均一な粒径(単分散粒子)の子粒子が吸着した場合の体積率を算出したものである。
【0063】
【表1】
【0064】
この表に示されるように、母粒子および子粒子の粒径を調整した場合において、その限界はせいぜい70%程度である。
【0065】
そこで、0%近傍から100%近傍までの範囲を複合粒子によって形成するために、混合工程においては、図3に示す前期工程S31と後期工程S32とに分けて混合することとしたのである。前期工程S31とは、一方の物質粒子Aを母粒子とし、他方の物質粒子Bを子粒子として、母粒子の表面に静電吸着する子粒子の数を変化させる工程である。この工程により、一方の物質粒子Aに対する他方の物質粒子Bの混合割合は0%近傍から徐々に増加させることができる。
【0066】
また、後期工程S32とは、他方の物質粒子Bを母粒子とし、一方の物質粒子Aを子粒子とするものであり、母粒子の表面に多くの子粒子が静電吸着される状態から徐々に子粒子の数を減少させることにより、結果的に、一方の物質粒子Aに対する他方の物質粒子Bの割合を増加させ、最終的には他方の物質粒子の割合を100%近傍まで増加させることができるのである。なお、後期工程においては、母粒子とすべき物質粒子Bと子粒子とすべき物質粒子Aとが、前期工程S31とは逆であるから、使用する物質粒子A,Bの粒径は、それぞれ母粒子または子粒子になり得る大きさに、造粒工程S10(図1)によって調整されることとなる。
【0067】
また、前期工程S31から後期工程S32への切り替えは、前期工程における複合粒子の限界から、後期工程を開始してもよいが、この切り替えを容易にすべく、前期工程は、母粒子に対する子粒子の体積比が1:1近傍となるまで子粒子を増加させ、後期工程は、母粒子に対する子粒子の体積比が1:1近傍から徐々に子粒子を減少させるようにしてもよい。
【0068】
なお、上記の前期工程S31および後期工程S32は、混合工程において導入した例を示しているが、これを重積工程S50に導入してもよい。すなわち、物質粒子Aを母粒子、物質粒子Bを子粒子とする複合粒子を作製する工程と、物質粒子Bを母粒子、物質粒子Aを子粒子とする複合粒子をそれぞれ作製する工程とを、別工程として並列させ、これを重積工程50において、前期工程と後期工程とに分けることで、前記と同様の構造とすることができる。これらの前期工程および後期工程を連続的に処理する場合には、いずれも連続重積工程である。また、図3には、傾斜機能材料の作製工程に後工程S70を含めており、これは例えばグリーン体を作製する場合の鋳込みなどを意味するが、格別にその種の工程が不要な場合は、省略することができる。
【0069】
上記のような方法により作製される傾斜機能材料は、複合材料の状態において子粒子として静電吸着される物質粒子の割合が、組成の変化に寄与することとなる。その結果として、子粒子とした物質粒子の平均的な体積相当量を単位として傾斜率を決定することができる。子粒子とすべき物質粒子の吸着量を1個単位で制御することにより、傾斜機能材料の傾斜率は、極めて緩やかなものとすることができ、連続的に組成を変化させることができる。
【0070】
なお、傾斜機能材料を形成するとして使用される物質粒子には、各種物性、化学組成を傾斜できるものが適宜選択できる。一方が金属粒子であり、他方がセラミック粒子であることが一般的であるが、これに限られるものではなく、異種金属粒子を用いて傾斜機能材料を構成しても良く、また、合金、サーメット、ガラス、炭素材料や樹脂材料をいずれか一方の物質粒子とすることもできる。
例示すれば、金属粒子としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、金、銀、プラチナ、銅などがある。また、セラミックには、各種の金属酸化物、窒化物、炭化物などがあるが、これに限られるものではない。尚、金属酸化物は、単一酸化物であっても複合酸化物であっても良い。かかるセラミックとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、マグネシア、カルシア、チタニア、酸化バナジウム、スピネル、フェライトなどが例示できる。
【0071】
樹脂材料としては、例えば、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂などの汎用の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素樹脂等の各種エンジニアリングプラスチックを適宜使用することができる。
【0072】
更に、物質粒子として、積層造形用パウダーを使用することにより、3Dプリンタの造形材として使用することも可能となる。加えて、ポアフォーマー(造孔材)を一方の粒子に用いても良い。これによれば、連続的に空隙率を変化させた傾斜孔を有する傾斜機能材料を作製できる。
【0073】
尚、一方の物質粒子に、焼結性が低下するほどの大きさの粒径のものを選択した場合には、他方の物質粒子には粒径の微細なものを用いても良い。あるいは、焼結性の良好な微細粒子を、予め一方の物質粒子または他方の物質粒子に複合化した物質粒子を、一方の物質粒子または他方の物質粒子として用いても良い。これにより、傾斜機能材料の焼結性を向上させることができると共に、両物質粒子の粒径を適宜選択することで、多孔性の傾斜機能材料とすることができる。更に、空隙率を変化させた傾斜孔形成がなされた傾斜機能材料も形成し得る。
【0074】
また、他方の物質粒子を、ナノサイズの粒子(いわゆるナノ粒子)としても良く、これによってナノサイズの添加物の濃度を厚み方向(または幅方向)に任意に変化させたナノ複合材料を作製することもできる。
【実施例】
【0075】
実験例1
二種類の物質粒子を個別に含有する二種類の液体を合流させ、相対的な流量の変化により、母粒子に静電吸着する子粒子の個数が変化し得るか否かを実験した。実験に使用した物質粒子は、いずれもアルミナ粒子とし、母粒子とすべき粒子は、平均粒径が1.5μmとなるように粒径を調整し、子粒子とすべき粒子は、平均粒径が100nmとなるように粒径を調整した。
【0076】
これらについて、それぞれ電荷調整し、母粒子側がプラスの電荷に帯電し、子粒子はマイナスの電荷に帯電した。電荷調整には、両粒子を個別に、高分子電解質水溶液中に投入し、電解質として、ポリアニオン性電解質はPSS(ポリスチレンスルホン酸)を、カチオン性電解質はPDDA(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)を使用した。また、混合に際して使用した流路は、図2に示すようなY字形の流路であり、流路長を1000mmとした。
【0077】
そこで、母粒子を含有する液体の流量を10ml/minと固定し、子粒子を含有する液体の流量を8ml/min〜0ml/minまでの範囲で、段階的に変化させ、各流量によって合流された際に作製された数種類の複合粒子を得た。
【0078】
そのSEM像を図4に示す。なお、図中の「1」は、子粒子を含む流体の流量が多い場合の複合粒子であり、「2」、「3」は、徐々に子粒子を含む流体の流量を少なくした場合であり、「4」は、最も流量を制限した場合の複合粒子である。
【0079】
これらのSEM像から明らかなとおり、液体の流量を変化させることによって、作製された複合粒子は、いずれの母粒子に対しても、同程度の割合で子粒子が静電吸着されていることがわかる。
【0080】
実験例2
同様に電荷調整された二種類のアルミナを利用し、子粒子を含む液体の流量変化に対する子粒子の体積比率を確認した。実験は、母粒子の平均粒径を800nmとし、子粒子の平均粒径を100nmとした。実験1と同様にY字形の流路を使用し、母粒子を含む液体は、40ml/minと一定にし、子粒子を含む液体を8ml/min、10ml/min、15ml/min、20ml/min、40ml/minの5種類の流量で複合粒子を作製し、それぞれにおける子粒子の数から、体積比を算出した。その結果を図5に示す。
【0081】
この結果から明らかなとおり、流量の変化に対して子粒子が吸着される体積率は略線形に変化している。従って、流量を細かく変化させることによって、体積率は緩やかに変化すると判断される。そして、このように子粒子の吸着される体積率が異なる複合粒子を使用した傾斜機能材料は、緩やかで、かつ円滑に組成が変化するものであると判断されるものである。
【0082】
実験例3
前記と同様にして電荷調整されたポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)およびアルミナを使用し、PMMAを母粒子、アルミナを子粒子とした。PMMAは、PDDAを溶解した水溶液を用いて処理を行い、最表面にPDDAが吸着して表面電荷を正としたPMMA粒子の分散水溶液を調整した。また、PSSを溶解させた水溶液を用いて処理を行い、最表面にPSSが吸着して表面電荷を負としたアルミナ粒子の分散水溶液を調整した。そして、両水溶液の流量変化に対する子粒子の体積比率を確認した。実験は、母粒子(PMMA)の平均粒径を4μmとし、子粒子(アルミナ)の平均粒径を100nmとした。流路は、実験2と同様にY字形のものであるが、流路径を1mmとし、流路長を300mmに形成したものを使用した。母粒子(PMMA)を含む液体は、40ml/minと一定にし、子粒子(アルミナ)を含む液体を4ml/min、8ml/min、20ml/minの3種類の流量で複合粒子を作製し、それぞれにおける子粒子(アルミナ)の数から、体積比を算出した。その結果を図6に示す。
【0083】
この実験結果からも明らかなとおり、異なる物質による混合の場合においても、流量の変化に対して吸着する子粒子の体積率は略線形に、かつ、緩やかに変化すると判断される。本実験例では、体積率は0.8vol%〜4.0vol%の範囲で変化しているが、これは、母粒子(PMMA)の粒径に比して子粒子(アルミナ)の粒径が極めて小さいためであり、両者の粒径比を変化(母粒子を小さく、または子粒子を大きく)させれば、体積率は上方に変動することが想定される。
【0084】
実験例4
ここで、複合粒子を形成させた場合の混合割合(吸着比率)の状態を実験した。実験に使用した物質は、母粒子としてハイドロキシアパタイト(HAp)、子粒子としてポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)であり、母粒子(HAp)に子粒子(PMMA)を吸着させて複合粒子を形成した。作製した複合粒子をSEMによって撮影し、母粒子(HAp)に吸着する子粒子(PMMA)の体積比率をSEM像から算出した。なお、複合粒子の形成は、母粒子(HAp)および子粒子(PMMA)を、表面電荷が反対電荷となるように調整すると共に、それぞれが含まれる二種類の分散水溶液(液体)を作製した。子粒子(PMMA)を含む液体を適当な分量で変化させ、それぞれビーカー内で攪拌して静電吸着法によって複合化したものである。その状態のSEM像を図7および図8に示す。なお、図7(a)は子粒子(PMMA)を含む液体の添加量を少なくしたものであり、図7(b)は添加量を多くしたものである。また、図8(a)はさらに添加量を増やし、図8(b)が最も添加量の多いものである。
図7図8からわかるように、図7においては、両者の粒径比率(d(子粒子径)/D(母粒子径))は、0.3〜0.4の範囲と考えられる。また、図8(a)、図8(b)の実験例では、母粒子であるPMMAの平均粒径をより小径側にシフトさせている。
【0085】
上記SEM像から判断される結果は、図7(a)の場合には、子粒子の体積率が約30%、図7(b)の場合は約60%、図8(a)の場合は約75%、図8(b)の場合には約85%と推定される。この実験結果から明らかなことは、複合粒子を形成させた際の母粒子に対する子粒子の体積率は、子粒子の粒径を所定の範囲内で変化させる(粒度分布を持たせる)ことにより、前掲の表1に示した計算値よりも向上するということである。また、計算上の誤差を踏まえても、子粒子の体積率を50%に到達させることができるということである。つまり、子粒子の粒径を分散させることにより、子粒子の体積率を調整し得る範囲が拡張するものである。従って、この実験例のように、例えば、85%以下の体積率の範囲内で組成を傾斜させることで十分な傾斜機能材料を作製する場合には、母粒子と子粒子を逆転させることなく、粒度分布によって調整することも可能となることが想定される。なお、傾斜率は、平均的な体積相当量を単位とするため、子粒子の粒度分布から平均値を算出すれば、所望の傾斜率から大きく逸脱しない範囲で調整することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 流路
2,3 バルブ
11,12 導入路
13 合流路
A 物質粒子A
B 物質粒子B
C 複合粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8