(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項5記載の防災情報管理システムに於いて、前記火災イベント通知部は、火災検出器の発報、火災感知器の不存在、受信機交流電源の状態、受信機予備電源の状態、受信機操作部の操作、回線の障害を含むイベントを検出してイベント情報を前記サーバに送信することを特徴とする防災情報管理システム。
請求項5記載の防災情報管理システムに於いて、前記火災イベント通知部は、前記温度検出器により検出した受信機周辺温度が所定の閾値温度を超えた場合に、前記イベント報
告周期を短い周期に変更して、前記受信機周辺温度を含むイベント情報を前記サーバに送信することを特徴とする防災情報管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような防災監視設備における物件データ、障害情報、イベント情報を含む防災情報は、防災監視設備で個別に保存して管理しており、例えば防災監視設備の製造メーカや保守契約会社等の外部機関で防災情報を利用したい場合には、防災監視設備を所有している利用者の承諾を得て受信機から必要な防災情報を取得する必要があり、手間と時間がかかり、防災情報の効率的な利用が困難であった。
【0008】
この問題を解決するため、異なる利用者が保有する複数の防災監視設備の物件データ、障害情報、発生イベントを含む設備情報を、例えば製造メーカが保有するネットワーク上のサーバに送ってデータベースに保存し、外部の情報端末からサーバにアクセスしてデータベースに保存している設備情報を閲覧可能とする防災情報管理システムの構築が考えられる。
【0009】
ところで、防災監視設備の設備情報をサーバのデータベースに保存して一元的に利用管理する防災情報管理システムにあっては、製造メーカや保守契約会社にとっては、個々の防災監視設備に出向いて防災情報を取得利用する手間が省け、略リアルタイムで複数の防災監視設備の状況を把握できるメリットがある。
【0010】
しかしながら、防災監視設備を保有している利用者にあっては、サーバのデータベースに保存している他の防災監視設備の防災情報は、自分の防災監視設備とは無関係であり、それを利用するメリットがなかなか見い出せず、メリットが明確でないことから、自分の防災監視設備の設備情報をサーバのデータベースに保存して一元的に利用管理する防災情報管理システムの導入には消極的にならざるを得ない状況にある。
【0011】
本発明は、複数の防災監視設備の設備情報をサーバのデータベースに保存して一元的に利用管理するメリットを生成して利用者の積極的なシステム導入と利用を可能とする防災情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(
防災情報管理システム1)
本発明は、複数
の設備情報
をサーバに
収集する防災情報管理システムに於いて、
サーバ
は、
防災監視設備から収集した設備情報に基づき、当該設備情報を送信した防災監視設備の運用傾向を判断し、当該運用傾向を、設備情報を送信した防災設備と同一形式の他の防災監視設備の利用者の情報端末に知らせることを特徴とする。
【0013】
(
防災情報管理システム2)
本発明は、複数の防災監視設備の障害情報を含む設備情報をサーバにに収集する防災情報監視システムに於いて、
サーバは、防災監視設備から収集した設備情報のうちの障害情報に基づき、
当該障害情報を送信した防災監視設備の障害傾向を判断し、
当該障害傾向を
、障害情報を送信した防災設備と同一形式の
他の防災監視設備
の利用者の情報端末に知らせる
設備情報解析部を備えたことを特徴とする。
【0014】
(
防災情報管理システム3)
本発明は、複数の防災監視設備の発生イベントを含む設備情報をサーバにに収集する防災情報監視システムに於いて、
サーバは、防災監視設備から収集した設備情報のうちの発生イベント情報に基づき、
当該発生イベントを送信した防災監視設備
の運用上の不備(ヒューマンエラー)傾向を判断し、
当該不備の傾向を
、発生イベントを送信した防災監視設備と同一形式の
他の防災監視設備
の利用者の情報端末に知らせる
設備情報解析部を備えたことを特徴とする。
【0015】
(個々の防災監視設備での運用傾向の解析と通知)
設備情報解析部は、
収集した個々の防災監視設備の
設備情報に基づき、個々の防災監視設備の
運用傾向を判断して個々の防災監視設備の利用者
の情報端末に知らせる。
【0016】
(火災履歴機能)
防災監視設備の受信機
は、火災が発生した場合に、所定の火災イベント報告周期毎に、周期内で発生したイベントを含むイベント情報をサーバに送信する火災イベント通知部を
備え、
サーバ
は、火災イベント通知部からのイベント情報を、火災発生から設備機能が喪失するまでの火災履歴として
保存する火災履歴生成部を
備えたことを特徴とする。
【0017】
(火災による受信機周辺温度の保存)
火災イベント通知部は、火災検出器の発報、火災感知器の不存在、受信機交流電源の状態、受信機予備電源の状態、受信機操作部の操作、回線の障害を含むイベントを検出してイベント情報をサーバに送信する。
【0018】
(火災による受信機周辺温度の保存)
また、受信機
は、受信機周辺温度を検出する温度検出器を
備え、
火災イベント通知部は、火災が発生した場合に、所定のイベント報告周期毎に、温度検出器で検出した受信機周辺温度を含むイベント情報をサーバに送信し、
サーバの火災履歴生成部は
、受信機周辺温度を含むイベント情報を火災イベント履歴として保存する。
【0019】
(温度上昇に伴う報告周期の短縮)
火災イベント通知部は、温度検出器により検出した受信機周辺温度が所定の閾値温度を超えた場合に、イベント報告周期を短い周期に変更して、受信機周辺温度を含むイベント情報を前記サーバに送信する。
【発明の効果】
【0020】
(設備情報解析機能による効果)
本発明は、複数の防災監視設備の物件データ、障害情報、発生イベントを含む設備情報をネットワーク上のサーバに送ってデータベースに保存し、情報端末によりサーバにアクセスしてデータベースに保存している設備情報を閲覧可能とする防災情報管理システムに於いて、サーバに、データベースに保存している設備情報を解析し、当該解析結果を情報端末により閲覧可能とする設備情報解析部を設け、例えば、設備情報解析部は、データベースに保存した障害情報に基づき、同一形式の防災監視設備の障害傾向を判断し、障害傾向を他の同一形式の防災監視設備をもつ利用者の情報端末に知らせるようにしたため、複数の防災監視設備の設備情報をサーバのデータベース上で一元的に管理する防災情報化管理システムを導入した利用者は、障害情報の解析結果として、例えば同一形式の他の防災監視設備の障害傾向を障害解析結果として受けることで、自分の防災監視設備における障害傾向を事前に知って予測することが可能となり、該当する障害が発生した場合に、事前に予測していることから、迅速且つ適切な対応が可能となり、また、故障が発生する前に、予測される障害に対する修理交換等の対処を行うことで、防災監視設備の故障を未然に防止して信頼性を高めることができ、防災監視設備の設備情報を他の防災監視設備の防災情報と共にサーバのデータベースに保存して一元的に利用管理する十分なメリットを確保可能とする。
【0021】
また、設備情報解析部は、データベースに保存した発生イベント情報に基づき、同一形式の防災監視設備における運用上の不備(ヒューマンエラー)傾向を判断し、傾向を他の同一形式の防災監視設備をもつ利用者の情報端末に知らせるようにしたため、防災管理者等は設備機器の利用における人為的な運用上の不備の傾向を認識して必要な対応を行うことで、運用上の不備に起因した問題を未然に防ぐことができる。
【0022】
また、設備情報解析部は、データベースに保存した個々の防災監視設備の発生イベント情報に基づき、個々の防災監視設備の運用上における不備の傾向を判断して個々の防災監視設備の利用者が保有する情報端末に知らせるようにしたため、防災管理者等は自己の防災監視設備における設備機器の利用における人為的な運用上の不備の傾向を認識して必要な対応を行うことで、自己の防災監視設備における運用上の不備に起因した問題を未然に防ぐことができる。
【0023】
(火災履歴機能による効果)
本発明の別の形態にあっては、複数の防災監視設備の物件データ、障害情報、発生イベントを含む設備情報をネットワーク上のサーバに送ってデータベースに保存し、情報端末によりサーバにアクセスしてデータベースに保存している設備情報を閲覧可能とする防災情報管理システムに於いて、防災監視設備の受信機に、火災が発生した場合に、所定の火災イベント報告周期毎に、周期内で発生したイベントを含むイベント情報をサーバに送信する火災イベント通知部を設け、サーバに、火災イベント通知部からのイベント情報を、火災発生から設備機能が喪失するまでの火災履歴としてデータベースに保存する火災履歴生成部を設けるようにしたため、火災の発生により受信機を設置している場所まで火災が拡大して受信機が焼失するような状況であっても、サーバのデータベース上に、例えば火災発生から受信機焼失に至るまでのイベント情報が所定の火災イベント報告周期毎に保存されており、受信機が焼失するような事態に至っても、火災履歴生成部により火災履歴が確実に残されており、後に行う火災原因や火災状況の解析に有効利用を可能とし、防災監視設備の設備情報を他の防災監視設備の防災情報と共にサーバのデータベースに保存して一元的に利用管理する十分なメリットを確保可能とする。
【0024】
(火災イベントによる効果)
また、受信機の火災イベント通知部は、火災検出器の発報、火災感知器の不存在、受信機交流電源の状態、受信機予備電源の状態、受信機操作部の操作、回線の障害を含むイベントを検出してイベント情報をサーバに送信するようにしたため、サーバのデータベースに保存される火災履歴には、時間的な火災感知器の発報状況、火災が拡大して火災感知器が焼失したことを示す火災感知器の不存在、火災による受信機交流電源の停電や予備電源の電圧低下の状況、火災警報が出された場合の音響停止、火災断定といったスイッチ操作等がデータベースに保存している火災履歴から分かり、火災が発生した場合の設備稼働状況の確認や解析を可能とする。
【0025】
(火災による受信機周辺温度の保存による効果)
また、受信機に受信機周辺温度を検出する温度検出器を設け、火災イベント通知部は、火災が発生した場合に、所定のイベント報告周期毎に、温度検出器で検出した受信機周辺温度を含むイベント情報をサーバに送信し、サーバの火災履歴生成部は、データベースに受信機周辺温度を含むイベント情報を火災イベント履歴として保存するようにしたため、火災が拡大して受信機が焼失するような状況であった場合、データベースに火災履歴として保存している温度検出器による受信機周辺温度の変化から、受信機が焼失して機能を完全に停止するまでの状況を克明に知ることができ、火災が発生した場合の詳細な設備稼働状況の確認や解析を可能とする。
【0026】
(温度上昇に伴う報告周期の短縮による効果)
また、火災イベント通知部は、温度検出器により検出した受信機周辺温度が所定の閾値温度を超えた場合に、イベント報告周期を短い周期に変更して、受信機周辺温度を含むイベント情報をサーバに送信するようにしたため、受信機焼失に至るまでの受信機周辺温度の変化をより正確に把握し、受信機がどの程度の周辺温度になるまでその機能を維持できたか、またその時間と時刻はどのようであったか、といった解析判断を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[防災情報管理システム]
(防災情報管理システムの概要)
図1は複数の防災監視設備の設備情報をサーバにより一元管理する防災情報管理システムの概要を示したブロック図である。
【0029】
図1に示すように、複数の防災監視設備10は、例えばR型の防災監視設備であり、受信機12から引き出された伝送路14にアナログ感知器16を接続して警戒区域の火災等の異常を監視している。
【0030】
受信機12には、防災監視設備10に固有な物件データとして、感知器アドレス、地区名、部署名、種別、マスク状況、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等を予め設定して受信制御に利用している。また、受信機12は障害監視機能を備えており交流電源障害、予備電源障害、伝送路障害、感知器障害、受信機内部障害等の障害を検出して警報することができる。
【0031】
複数の防災監視設備10に設けた受信機12は、インターネット22を介して例えば製造メーカが保有するサーバ18に接続しており、サーバ18にはデータベース20を接続している。
【0032】
受信機12は防災監視設備10を構築してサーバ18との接続が可能となった立上げ時に、受信機12に設定している物件データをサーバ18に送信し、サーバ18は防災監視設備単位に受信した物件データをデータベース20に保存している。
【0033】
また、防災監視設備10の運用中に、受信機12に設定している物件データの変更が行われた場合には、変更した物件データをサーバ18に送信し、これを受信したサーバ18はデータベース20に保存している物件データを更新する。
【0034】
また、防災監視設備10の運用中に、障害が発生して受信機12が障害警報を出力した場合には、発生した障害イベントを示す障害イベント情報をサーバ18に送信し、データベース20の履歴情報に受信した障害イベント情報を加えるようにしている。
【0035】
また、防災監視設備10の運用中に、火災が発生して受信機12が火災警報を出力した場合には、発生した火災イベントを示す火災イベント情報をサーバ18に送信し、データベース20の火災履歴として保存するようにしている。この火災履歴には、アナログ感知器16の発報情報、火災警報に伴う受信機12における音響停止や火災断定等のスイッチ操作等のイベント情報が含まれる。
【0036】
サーバ18のデータベース20に保存している防災監視設備10の防災情報は、インターネット22を介して外部の情報端末24により閲覧可能としている。データベース20の防災情報の閲覧は、防災監視設備10を保有している利用者、サーバ18を保有している製造メーカ、防災監視設備10の点検保守を行う保守会社などがあり、パーソナルコンピュータ等の情報端末24からサーバ18にアクセスしてログインIDとパスワードを事前登録することで、データベース20の防災情報の閲覧を可能とする。
【0037】
ここで、データベース20の防災情報の閲覧は、例えば、防災監視設備10を保有する利用者は自己の防災情報の閲覧ができ、保守会社は保守契約の対象となっている防災監視設備10の設備情報が閲覧でき、製造メーカは全ての防災監視設備10の防災情報を閲覧できるようにしている。
【0038】
また、データベース20の防災情報の閲覧は、情報端末24以外に、閲覧する権限のある利用者の保有するスマートフォン等の携帯端末30から、基地局28、携帯電話網26及びインターネット22を経由してサーバ18にアクセスすることでも、実現可能としている。
【0039】
[防災監視設備の概要]
図2はR型防災監視設備の受信機とサーバの機能を示した説明図である。
図2に示すように、受信機12からは施設の警戒エリアに向けて伝送路14が引き出され、伝送路14にアナログ感知器16を接続している。また伝送路14には中継器32を接続し、中継器から引き出された火報回線34にオンオフ感知器36及び発信機38を接続している。
【0040】
また別の中継器にはガス漏れ検出器を接続しているが、図示を省略している。更に、受信機12に設けた別の伝送部からは制御用の伝送路が引き出され、そこに地区音響装置や防排煙機器等の制御機器を伝送路に接続して制御するようにしているが、図示を省略している。
【0041】
アナログ感知器16及び中継器32は、受信機12との間で情報を双方向伝送する伝送機能を備えており、受信機12を含めて固有のアドレスが予め割り当てられている。1つの伝送路14に接続できるアナログ感知器16及び中継器32の数は、例えば最大アドレス数が256アドレスの場合、受信機アドレスを除くことから、255台以下のアナログ感知器16及び中継器32を接続することができる。
【0042】
受信機12には、受信機制御部40,伝送部42、表示部44、操作部46、警報部48、移報部50、プリンタ52、通信部54及び温度検出器56を設けている。
【0043】
受信機制御部40は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の受信機制御を行う。
【0044】
受信機12からアナログ感知器16に対する下り信号は電圧モードの伝送であり、伝送路14の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。これに対しアナログ感知器16からの上り信号は電流モードの伝送であり、伝送路14に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機12に伝送される。
【0045】
受信機制御部40による火災監視制御は次のようになる。受信機12は、通常監視中には、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ感知器16は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため受信機12にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ感知器16を障害として故障を検出することができる。
【0046】
また受信機12は、すべての端末アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに、一括AD変換コマンドを送信している。アナログ感知器16は受信機12からの一括AD変換コマンドを受信すると、検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0047】
アナログ感知器16でサンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、受信機12に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0048】
受信機12は、アナログ感知器16からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ感知器16を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ感知器16に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、アナログデータ等の火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ感知器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
【0049】
表示部44には火災代表灯、ガス漏れ代表灯、障害代表灯等を設け、更に、タッチパネル付きの液晶ディスプレイを設けている。操作部46には、火災警報が出力された場合に操作する音響停止スイッチ、火災断定スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、復旧スイッチ等の各種の操作スイッチを設けている。警報部48には音響警報を出力するスピーカを設けている。
【0050】
通信部54はインターネット通信プロトコルに基づきサーバ18にアクセスして情報の送受信を行う。温度検出器56は、サーミスタ等の温度検出素子を受信機筐体の外側に配置することで、受信機周辺温度を検出する。
【0051】
また、受信機制御部40による防災情報の管理機能は次のようになる。受信機制御部40はメモリに予め設定した物件データを記憶しており、受信機12の電源を投入して運用を開始した際に、サーバ18にアクセスして物件データを送信し、データベース20に保存させる制御を行う。
【0052】
また、防災監視設備10の運用中に、受信機12に設定している物件データの変更が行われた場合、受信機制御部40は、サーバ18にアクセスして変更した物件データを送信し、データベース20に保存している物件データを更新させる制御を行う。
【0053】
また、防災監視設備10の運用中に、障害が発生して受信機12が障害警報を出力した場合、受信機制御部40は、サーバ18にアクセスして発生した障害イベントを示す障害イベント情報を送信し、データベース20の履歴情報に受信した障害イベント情報を加える制御を行う。
【0054】
また、防災監視設備10の運用中に、火災が発生して受信機12が火災警報を出力した場合、受信機制御部40は、サーバ18にアクセスして発生した火災イベントを示す火災イベント情報を送信し、データベース20の履歴情報に受信した火災イベント情報を加える制御を行う。
【0055】
更に、受信機制御部40には、火災イベント通知部60の機能を設けている。火災イベント通知部60は、アナログ感知器16等による火災発報を検出して火災警報が出力された場合に、例えば5分といった所定の火災イベント報告周期に亘り発生したイベントを一時記憶し、火災イベント報告周期が経過した場合に、この周期内で発生したイベントを含むイベント情報をサーバ18に送信する制御を行う。
【0056】
火災イベント通知部60によりサーバ18に送信するイベント情報には、アナログ感知器16等による火災発報情報、火災感知器の不存在を示す障害情報、受信機交流電源の電圧等の状態情報、受信機予備電源の電圧等の状態情報、受信機操作部の操作情報、受信機周辺温度情報が含まれる。
【0057】
また、火災イベント通知部60は、温度検出器56により検出した受信機周辺温度が所定の閾値温度、例えば火災が予測される閾値温度45℃を超えた場合に、それまでの例えば5分といったイベント報告周期を、それより短い例えば1分周期に変更して、受信機周辺温度を含むイベント情報をサーバ18に送信する制御を行う。
【0058】
[サーバの概要]
図2に示すように、サーバ18には、通信部64とサーバ制御部62を設け、サーバ制御部62にデータベース20を外部接続している。サーバ制御部62は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の防災情報の管理制御を行う。通信部64はインターネット通信プロトコルに基づき受信機12や情報端末24との間で情報の送受信を行う。
【0059】
サーバ制御部62には、設備情報管理部66、設備情報解析部68及び火災履歴生成部70の機能を設けている。
【0060】
(防災設備情報の管理)
設備情報管理部66は、インターネット22を介して防災監視設備の受信機12から物件データ、障害情報、イベント情報を受信した場合に、防災監視設備毎に分けて、物件データ、障害情報、イベント情報を含む設備情報72−1〜72−nをデータベース20に保存する。
【0061】
また、設備情報管理部66は、情報端末24や携帯端末からログインIDとパスワードを使用してアクセス要求を受けた場合に防災情報の閲覧を許可し、要求のあった設備情報を読出して情報端末24や携帯端末に送信する制御を行う。
【0062】
(防災設備情報の解析)
設備情報解析部68は、データベース20に保存している複数の防災監視設備の設備情報72−1〜72−nを解析し、この解析結果を情報端末24や携帯端末により閲覧可能としたり、通知する制御を行う。
【0063】
例えば、設備情報解析部68は、データベース20に保存している同一形式の防災監視設備の障害情報に基づき、同一形式の防災監視設備の障害傾向を判断し、障害傾向を他の同一形式の防災監視設備をもつ利用者の情報端末24に送信して知らせる制御を行う。
【0064】
図3はサーバで解析された障害傾向の通知画面の一例を示した説明図である。
図3に示すように、サーバ18の設備情報解析部68の解析結果を示す情報端末24に表示される障害傾向通知画面74は、タイトル76に続いて障害傾向情報78を表示している。障害傾向情報78の中には、障害傾向80と対策82が表示され、その下に、確認操作釦84と修理依頼釦86を配置している。
【0065】
本実施形態では、HRP−XXXXとする同一形式の防災監視設備において、交流電源AC100Vの低下に起因して異常障害を起こすという障害傾向80を知らせている。この障害傾向通知画面74を見た防災担当者等は、受信機12の交流電源の電圧をテスター等により計測して確認する。
【0066】
障害傾向80に続いては、障害傾向80に対する対策情報82が表示され、交流電圧がAC100Vを下回っていた場合は、対策情報80に従った対処を取ることになる。
【0067】
このため、防災監視設備10の防災管理者等は、同一形式の他の防災監視設備の障害傾向を障害解析結果として受けることで、自分の防災監視設備における障害傾向を事前に知って予測することが可能となり、該当する障害が発生した場合に、事前に予測していることから、迅速且つ適切な対応が可能となり、また、故障が発生する前に、予測される障害に対する修理交換等の対処を行うことで、防災監視設備の故障を未然に防止して信頼性を高めることができる。
【0068】
また、設備情報解析の他の例として、設備情報解析部68は、データベース20に保存している同一形式の防災監視設備の発生イベント情報に基づき、同一形式の防災監視設備における運用上の不備(ヒューマンエラー)の傾向を判断し、その傾向を他の同一形式の防災監視設備をもつ利用者の情報端末24に送信して知らせる制御を行う。
【0069】
さらに、設備情報解析の他の例として、設備情報解析部68は、データベース20に保存した個々の防災監視設備の発生イベント情報に基づき、個々の防災監視設備の運用上における不備の傾向を判断して個々の防災監視設備の利用者が保有する情報端末24に知らせる制御を行う。
【0070】
例えば、飲食店がある防災監視設備の場合、店舗毎のガス元栓の開閉を監視する例が多く、毎日、開店前に「ガス元栓開」、閉店後に「ガス元栓閉」のイベントが発生する。ここで傾向として、「ガス元栓閉」のイベントが発生しない日が多くある場合は、店舗がガス元栓を閉め忘れている可能性があり、その防災監視設備の防災管理者等が保有する
情報端末24へ連絡することで、元栓締め忘れに起因する問題を未然に防ぐことができる。
【0071】
この点は、防災監視設備で定期的に防火扉の閉鎖やシャッターの閉鎖を行っている場合にも、同様に、防火扉やシャッターの閉鎖のイベントが定期的に発生していない場合は、定期的な操作を忘れている可能性があり、その防災監視設備の防災管理者等が保有する
情報端末24へ連絡することで、適切な設備機器の運用管理を可能とする。
【0072】
(火災履歴の収集保存)
火災履歴生成部70は、防災監視設備10に設けた受信機12の火災イベント通知部60からのイベント情報を受信して、火災発生から受信機12が機能を喪失するまでイベント情報を火災履歴としてデータベース20の防災情報の中に加えて保存する制御を行う。
【0073】
データベース20に保存する火災履歴には、前述したように、アナログ感知器16等による火災発報情報、火災感知器の不存在を示す障害情報、受信機交流電源の電圧等の状態情報、受信機予備電源の電圧等の状態情報、受信機操作部の操作情報、受信機周辺温度情報が含まれる。
【0074】
このため火災の発生により受信機12を設置している場所まで火災が拡大し、受信機12が焼失するような状況であっても、サーバ18のデータベース20上に、例えば火災発生から受信機焼失に至るまでのイベント情報が保存されており、受信機12が焼失するような事態に至っても、火災履歴生成部70により火災履歴が確実に残されており、後に行う火災原因や火災状況の解析に有効利用を可能とする。
【0075】
特に、受信機12に設けた火災イベント通知部60は、温度検出器56により検出した受信機周辺温度が例えば閾値温度45℃を超えた場合に、それまでの5分といったイベント報告周期を、それより短い例えば1分周期に変更して、受信機周辺温度を含むイベント情報をサーバ18に送信してデータベース20に火災履歴として保存しているため、受信機焼失に至るまでの受信機周辺温度の変化をより正確に把握し、受信機12がどの程度の周辺温度になるまでその機能を維持できたかといった解析判断を可能とする。
【0076】
図4はサーバによりデータベースに保存された火災履歴の一例を示した説明図である。
図4に示すように、火災履歴90は、火災発生年月日に続いて、時分秒のイベント時刻とイベント内容を、時間順に配置しており、21時03分33秒にアドレス001のアナログ感知器16の火災発報が検出され、21時42分33秒の受信機周辺温度が最後のイベント情報であり、この直後に受信機12が焼失して機能が失われている。
【0077】
その間のイベント情報としては、21時12分29秒に感知器アドレス002の第2報目の火災発報があり、また、21時15分59秒に感知器アドレス003の第3報目の火災発報があり、21時35分48秒に感知器アドレス004の第4報目の火災発報があり、火災の拡大状況が分かる。また、21時39分05秒に感知器アドレス002の感知器外れとなる感知器障害があり、これは第1報目の火災発報を行ったアナログ感知器が火災により焼失して機能を停止したことが分かる。
【0078】
また、受信機周辺温度は、最初の21時08分33秒は26℃と室温であり、その後は5分周期で収集されているが、21時33分33秒に48℃と閾値温度45℃を超えたこで、1分周期の収集となり、受信機周辺温度が火災の拡大により急激に上昇して21時42分33秒の受信機焼失による機能停止に至ったことが分かる。
【0079】
[火災警報を出力した場合の制御]
図5は
図2の受信機の制御動作に対するサーバの防災情報の管理制御を示したフローチャートである。
【0080】
図5に示すように、受信機12は、通常監視状態ではステップS1で火災監視制御を行っており、その間に、ステップS2で操作部に設けたスイッチ操作を判別すると、ステップS3でスイッチ操作に対応した制御を行うと共に、操作イベント情報をサーバに送信する。サーバ18はステップS4で受信機12からの操作イベント情報を受信してデータベース20に保存する。
【0081】
また、受信機
12はステップS5で障害発生を検出すると、ステップS6に進んで障害警報制御を行うと共に、障害イベント情報をサーバ18に送信し、サーバ18はステップS7で受信機12からの障害イベント情報を受信してデータベース20に保存する。
【0082】
サーバ18はステップS8で例えば1か月に1回といった障害情報の解析タイミングへの到達を判別すると、ステップS9に進んでデータベース20に保存している複数の防災監視設備から収集した障害情報を解析し、ステップS10で例えば
図3に示した障害解析画面74を利用者の情報端末24に送信し、障害解析結果を通知する。なお、ステップS8の障害情報の解析タイミングには、サーバの管理者の手動操作による解析指示も含まれる。
【0083】
また、受信機12はステップS11で感知器発報による火災を検出すると、ステップS12に進んで火災警報制御を行い、ステップS13で火災イベントを一時保存する。続いて、ステップS14で所定の火災イベント報告周期の経過による火災イベント報告タイミングへの到達を判別すると、ステップS15で一時保存していた火災イベントをサーバ18に送信する。サーバ18はステップS16で受信機12からの火災イベントを受信し、データベース20に火災履歴として保存する。
【0084】
続いて、受信機12はステップS17で復旧スイッチの操作に基づく火災復旧の有無を判別しており、火災復旧がなければステップS13からの処理を繰り返し、火災復旧を判別するとステップS18で復旧制御を行うと共に復旧イベントをサーバ18に送信し、ステップS1に戻る。サーバ18はステップS19で受信機12からの復旧イベントを受信してデータベース20の火災履歴に最後のイベントとして保存し、ステップS4に戻る。
【0085】
火災の拡大により受信機12が焼失するような場合、受信機12はステップS13〜S17の処理の繰り返しにより火災イベントをサーバ18に送信している途中で機能を停止することになる。
【0086】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、複数のR型防災監視設備の設備情報の管理を例にとっているが、複数のP型防災監視設備の設備情報管理であっても良いし、R型防災監視設備とP型防災監視設備が混在した場合の設備情報管理としても良い。
【0087】
また、上記のサーバによる防災情報の解析は、障害情報の解析を例にとっているが、必要に応じて適宜の防災情報を解析して解析結果を利用者端末に通知するようにしても良い。
【0088】
また、上記の実施形態におけるインターネット、サーバ、データベースを含む構成は、クラウドコンピューティングとしても良い、クラウドコンピューティングは、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなどの構成可能なコンピューティングリソースの共用プールに対して、便利かつオンデマンドにアクセスできる。
【0089】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。